説明

ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤としての6−アルケニルおよび6−フェニルアルキル置換2−キノリノンおよび2−キノキサリノン

【化1】


本発明は式(I)で表される化合物および式(VII−a)で表される化合物ばかりでなく前記化合物を含有させた薬剤組成物そしてそれらをPARP阻害剤として用いることを提供し、ここで、n、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびXは定義する意味を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPARP阻害剤に関し、化合物およびこの開示する化合物を含有させた組成物を提供するものである。その上、本発明は、この開示するPARP阻害剤を例えば薬剤として用いる方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
核酵素であるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)は、PARP−1および最近同定された数種の新規なポリ(ADP−リボシル化)酵素で構成されるPARP酵素ファミリーの一員である。PARPはまたポリ(アデノシン5’−ジホスホ−リボース)ポリメラーゼまたはPARS(ポリ(ADP−リボース)シンテターゼ)とも呼ばれる。
【0003】
PARP−1は、下記の3ドメインで構成される116 kDaの主要な核蛋白質である:ジンクフィンガーを2個含有するN末端DNA結合ドメイン、自己修飾ドメイン(automodification domain)およびC末端触媒ドメイン。それはほとんど全ての真核生物に存在する。この酵素はポリ(ADP−リボース)、即ち200単位を超えるADP−リボース単位で構成されている可能性のある分枝重合体を合成する。ポリ(ADP−リボース)の蛋白質受容体がDNAの一体性の維持に直接または間接的に関与している。それらにはヒストン、トポイソメラーゼ、DNAおよびRNAポリメラーゼ、DNAリガーゼおよびCa2+−およびMg2+−依存エンドヌクレアーゼが含まれる。PARP蛋白質はいろいろな組織の中で高濃度に発現するが、最も注目すべきは、免疫系、心臓、脳および生殖系列細胞の中で発現する。PARP活性は正常な生理学的条件下では最低限である。しかしながら、DNAが損傷を受けると直ちにPARPが500倍に及んで活性化する。
【0004】
PARP、特にPARP−1に帰属する数多くの機能の中で、ADP−リボシル化によるDNA修復の助長、従って数多くのDNA修復蛋白質との連携における役割がそれの主要な役割である。PARPが活性化すると、結果として、NADの濃度が大きく低下する。大きなDNA損傷に苦しんでいる細胞の中でPARPの活性化が大規模に起こると結果としてNADがひどく欠如する。ポリ(ADP−リボース)の半減期は短く、その結果として代謝回転速度は速い。ポリ(ADP−リボース)が生じると、構成的に活性化するポリ(ADP−リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)がホスホジエステラーゼおよび(ADP−リボース)蛋白質リアーゼと一緒になってそれを迅速に劣化させる。PARPとPARGが多量のNADをADP−リボースに変化させるサイクルを構成する。PARPが過度に刺激されると、1時間以内にNADおよびATPが減少して正常な濃度の20%未満にまでなり得る。そのようなシナリオは、酸素の欠乏によって細胞のエネルギー出力が既に劇的に危うくなっている虚血中に特に有害である。その後の再かん流中にフリーラジカルが発生することが組織損傷の主要な原因になっていると仮定する。ATP減少(これは虚血および再かん流中のいろいろな器官に典型的である)の一部はポリ(ADP−リボース)代謝回転が原因でNAD欠如と関連している可能性がある。従って、PARPまたはPARGを阻害すると細胞エネルギーレベルが保存されることで発作後に虚血を起こした組織が生き残る可能性があると期待する。
【0005】
ポリ(ADP−リボース)合成はまた炎症反応に必須な数多くの遺伝子の誘発発現にも関与している。PARP阻害剤はマクロファージの中の誘発性酸化窒素シンターゼ(iNOS)、P型セレクチンおよび内皮細胞内の細胞間接着分子1(ICAM−1)の産生を
抑制する。そのような活性がPARP阻害剤が示す強力な抗炎症効果の基礎になっている。PARPを阻害すると好中球が損傷組織に移動かつ侵入することが防止されることで壊死を軽減することができる。
【0006】
PARPは損傷を受けたDNAフラグメントによって活性化され、そしてそれが活性化されると、ADP−リボース単位がいろいろな核蛋白質(ヒストンおよびPARP自身を包含)に100単位に及んで結合する結合に触媒作用を及ぼす。主な細胞ストレス中にPARPが過度に活性化されることで結果としてエネルギー貯蔵量が不足して細胞の損傷または細胞死が急速にもたらされる可能性がある。NADが1分子再生する毎にATPが4分子消費されることから、PARPが大規模に活性化するとNADが欠乏し、NADを再合成しようとしてまたATPも欠乏して来る可能性がある。
【0007】
NMDA誘発およびNO誘発両方の神経毒症状にPARPの活性化が鍵となる役割を果たすことが報告された。これは皮質培養および海馬スライスを用いて立証され、そこでは、毒性の防止とPARP阻害効力を直接的に相互に関連付けている。このように、正確な作用機構はまだ解明されてはいなくても、神経変性病および頭部外傷の治療でPARP阻害剤が潜在的役割を果たすと認識されている。
【0008】
同様に、ウサギにPARP阻害剤を1回注射すると心臓または骨格筋の虚血によって引き起こされる梗塞の大きさおよび再かん流が軽減されることが立証された。これらの研究では、閉塞を起こす1分前または再かん流の1分前のいずれかに3−アミノ−ベンズアミド(10mg/kg)を1回注入すると心臓の梗塞の大きさが同様に低下(32−42%)した一方、別のPARP阻害剤である1,5−ジヒドロキシイソキノリン(1mg/kg)は梗塞の大きさを匹敵する度合(38−48%)で低下させた。そのような結果からPARP阻害剤が以前に虚血を起こした心臓または骨格筋組織の再かん流障害を回復させ得ると仮定するのが妥当である。
【0009】
PARPの活性化を、また、下記の如き誘発因子:グルタメート(NMDA受容体刺激による)、反応性酸素中間体、アミロイドβ−蛋白質、N−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)またはこれの活性代謝物であるN−メチル−4−フェニルピリジン(MPP)(これらは病的状態、例えば発作、アルツハイマー病およびパーキンソン病などに参与する)のいずれかに接触することでもたらされる神経毒性発作の後の損傷の尺度として用いることも可能である。PARPの活性化が小脳顆粒細胞の中でインビトロで果たす役割およびMPTP神経毒で果たす役割を探求する他の研究が継続して行われている。発作または他の神経変性過程の結果として、非常に頻繁に、神経がグルタメート[これは中枢神経系の主な神経伝達物質として働き、N−メチルD−アスパルテート(NMDA)受容体および他のサブタイプ受容体に作用する]に過度に接触することが起こる。虚血による脳発作、例えば卒中または心臓発作など中に酸素が欠乏したニューロンからグルタメートが多量に放出される。そのようにグルタメートが過度に放出されると、今度は、N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)、AMPA、カイニン酸およびMGR受容体の過度の刺激(興奮毒性)が引き起こされ、それによって、イオンチャンネルが開放されることでイオンの流れが制御不能になる(例えばCa2+およびNaが細胞の中に流れ込みかつKが細胞から出て行く)ことで、ニューロンの過度の刺激がもたらされる。ニューロンが過度に刺激されるとグルタメートの分泌量が多くなることで、フィードバックループまたはドミノ効果がもたらされ、それによって最終的にプロテアーゼ、リパーゼおよびフリーラジカルが発生することで細胞の損傷または細胞死がもたらされる。グルタメート受容体が過度に活性化されることがいろいろな神経病および状態に関係していると考えられており、そのような病気および状態には、てんかん、発作、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、統合失調症、慢性痛、虚血、そして低酸素症、低血糖症、虚血、外傷および神経障害後のニューロンの欠損が含まれる。グルタメートの暴露および刺激はまた神経強拍症、特に薬物依存の基であるとも考えられている。その証拠には、いろいろな動物種ばかりでなく大脳皮質培養物をグルタメートまたはNMDAで処置するとグルタメート受容体拮抗薬(即ちグルタメートがこれの受容体と結合しないようにするか或はそれを活性化する化合物)が血管発作後の神経損傷を防ぐことが見つかったことが含まれる。NMDA、AMPA、カイニン酸およびMGR受容体は各受容体がグルタメートが結合し得る部位を多数有することからそれらを阻害することで興奮毒性を防止しようとする試みは困難であることが確認され、ゆえに、グルタメートがそのような受容体の全部と結合しないようにすることでそのような理論を試験することを可能にする有効な拮抗薬混合物または万能拮抗薬を見つけだすのは困難であった。その上、そのような受容体の阻害に有効な組成物の多くはまた動物にも毒である。このように、現在のところ、グルタメート異常に有効な公知治療は存在しない。NMDA受容体がグルタメートによって刺激されると、例えば酵素であるニューロン酸化窒素シンターゼ(nNOS)が活性化させることで酸化窒素(NO)の生成がもたらされ、これもまた神経毒を仲介する。酸化窒化シンターゼ(NOS)阻害剤を用いた治療またはnNOSのインビトロ標的遺伝子崩壊によってNMDA神経毒を防止することができる。
【0010】
PARP阻害剤の別の用途は、抹消神経損傷およびその結果としてもたらされる病的疼痛症候群(神経障害性痛として知られる)、例えば一般的座骨神経の慢性狭窄損傷(CCI)によって誘発される痛み、および細胞質および核質の過染色によって特徴づけられる脊髄後角の経シナプス変性(いわゆる「ダーク」ニューロン)が起こる痛みなどの治療である。
【0011】
また、PARP阻害剤が炎症性腸疾患、例えば大腸炎などの治療に有用であると言った証拠も存在する。具体的には、ハプテントリニトロベンゼンスルホン酸を50%のエタノールに入れてラットに腔内投与すると大腸炎が誘発された。処置したラットにPARP活性の具体的な抑制剤である3−アミノベンズアミドを与えた。PARP活性が抑制されたことで炎症反応が低下して遠位結腸の形態およびエネルギー状態が回復した。
【0012】
PARP阻害剤が関節炎の治療に有用であることを示唆するさらなる証拠も存在する。その上、PARP阻害剤は糖尿病の治療にも有用であると思われる。PARP阻害剤が内毒素性ショックおよび敗血性ショックの治療に有用であることが分かっている。
【0013】
PARP阻害剤はまた細胞の寿命および増殖能力を伸ばす目的でも用いられ、それには、皮膚老化、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、変形性関節症、骨粗鬆症、筋ジストロフィー、複製老化を伴う骨格筋の変性病、加齢筋肉変性、免疫老化、エイズおよび他の免疫老化病などの如き病気の治療および老化した細胞の遺伝子発現を変えることが含まれる。
【0014】
また、PARP阻害剤、例えば3−アミノベンズアミドなどは例えば過酸化水素または電離放射線などに対する反応における全体的DNA修復にも影響を与えることが知られている。
【0015】
PARPがDNAストランド破壊の修復、特に破壊が電離放射線によって直接引き起こされたか或はメチル化剤、トポイソメラーゼI阻害剤および他の化学療法薬、例えばシスプラチンおよびブレオマイシンなどによって誘発されたDNA損傷の酵素的修復後に間接的に引き起こされた時の修復で果たす極めて重要な役割は充分に確立されている。「ノックアウト」マウス、トランスドミナント阻害モデル(DNA結合ドメインの過剰発現)、アンチセンスおよび低分子量の阻害剤を用いたいろいろな研究によって、DNA損傷が誘発された後の修復および細胞生存でPARPがそのように役割を果たすことが立証された
。PARPが示す酵素活性を抑制すると結果として腫瘍細胞がDNA損傷治療に対して示す感受性が高まるはずである。
【0016】
PARP阻害剤は放射線増感性(低酸素)腫瘍細胞に有効でありかつ腫瘍細胞が放射線療法後に受け得るDNAの致命的および亜致命的損傷から回復することがないようにするに有効であることが報告されており、それは、恐らくは、それらが破壊されたDNAストランドの再結合を防止する能力を有しかついくつかのDNA損傷シグナル伝達経路に影響を与えることによるものであろう。
【0017】
PARP阻害剤は癌の治療で用いられている。加うるに、電離放射線または化学療法薬が腫瘍細胞に対して与える致命的影響を向上させる目的で数種のイソキノリンを用いることが特許文献1に考察されている。PARPの活性を抑制すると腫瘍細胞の増殖が低下しかつ腫瘍細胞にアルキル化薬剤を一緒に用いた処置を受けさせると顕著な相乗作用がもたらされることが非特許文献1に考察されている。
【0018】
最新技術に関する最近の包括的論評が非特許文献2に公開されている。
【0019】
効力のある有効なPARP阻害剤、より詳細にはもたらす副作用が最小限であるPARP−1阻害剤が継続して求められている。本発明は、癌治療の目的および/または細胞、組織および器官の損傷、例えば壊死またはアポトーシスなどによる細胞損傷または細胞死の結果としてもたらされるそれらの損傷を防止する目的でPARPの活性を抑制する化合物、組成物および方法を提供するものである。本発明の化合物および組成物は、特に、治療の主要な効果が標的細胞の中のDNAに損傷をもたらすことである化学療法および放射線療法の効果を向上させるに有用である。
【0020】
先行技術
(1H−アゾール−1−イルメチル)置換キノリン、キナゾリンもしくはキノキサリン誘導体が特許文献2に開示されている。その記述された化合物はレチノイン酸の血漿消失率を抑制する。より詳細には、化合物である6−[(1H−イミダゾール−1−イル)(4−メトキシフェニル)メチル]−3−メチル−2(1H)−キノキサリノン(本出願の化合物番号128)、3−エチル−6−(1H−イミダゾール−1−イルフェニルメチル)−2(1H)−キノキサリノン(本出願の化合物番号127)および6−[(4−クロロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イルメチル]−3−メチル−2(1H)−キノキサリノン(本出願の化合物番号146)が開示されている。
【0021】
【化1】

【特許文献1】米国特許第5,177,075号
【特許文献2】1990年6月6日付けで公開されたEP 371564
【非特許文献1】Weltin他、「Effect of 6(5−Phenanthridinone,an Inhibitor of Poly(ADP−ribose)Polymerase,on Cultured Tumor Cells」、Oncol.Res.、6:9、399−403(1994)
【非特許文献2】LiおよびZhang、IDrugs 2001、4(7):804−812
【発明の開示】
【0022】
発明の説明
本発明は、式(I)
【0023】
【化2】

【0024】
{式中、
nは、0、1または2であり、
Xは、NまたはCR(ここで、Rは、水素であるか、或はRと一緒になって式−CH=CH−CH=CH−で表される二価基を形成していてもよい)であり、
は、C1−6アルキルまたはチオフェニルであり、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6アルキニルであるか、或はRと一緒になって=Oを形成していてもよく、
は、
−(CH−NR (a−1)
−O−H (a−2)
−O−R10 (a−3)
−S−R11 (a−4)、または
−C≡N (a−5)
[ここで、
sは、0、1、2または3であり、
、R10およびR11は、各々独立して、−CHO、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルオキシ、チオフェニルC1−6アルキル、ピロリルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルピペリジニル、アリールカルボニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキルまたはアリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、そして
は、水素またはC1−6アルキルである]
から選択される基であるか、或は
は、式
−(CH−Z (b−1)
[式中、
tは、0、1、2または3であり、
−Zは、
【0025】
【化3】

【0026】
(ここで、R12は、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、アリール、
【0027】
【化4】

【0028】
1−6アルキルアミノC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノ、アリールC1−6アルキル、ジ(フェニルC2−6アルケニル)、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、ハロインダゾリル、アリールC1−6アルキル、アリールC2−6アルケニル、アリールC1−6アルキルアミノ、モルホリノ、C1−6アルキルイミダゾリルまたはピリジニルC1−6アルキルアミノであり、
13は、水素、ピペリジニルまたはアリールである)
から選択される複素環式環系である]
で表される基であり、
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルオキシカルボニル、またはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシまたはアミノC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−6アルキルから選択されるか、或は
とRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式
−O−CH−O (d−1)
−O−(CH−O− (d−2)
−CH=CH−CH=CH− (d−3)、または
−NH−C(O)−NR14=CH− (d−4)
[ここで、R14は、C1−6アルキルである]
で表される二価基を形成していてもよく、
アリールは、フェニルであるか、或はハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルであるが、但し
nが0であり、XがNであり、RがC1−6アルキルであり、Rが水素であり、Rが式(b−1)で表される基であり、tが0であり、Zが複素環式環系(c−2)(ここで、前記複素環式環系−Zは窒素原子によって分子の残りと結合している)でありそしてR12が水素またはC1−6アルキルの時には置換基R、RまたはRの中の少なくとも1つが水素、ハロ、C1−6アルキルオキシおよびトリハロメチル以外であることを条件とする}
で表される化合物、これのN−オキサイド形態、付加塩および立体化学異性体形態に関する。
【0029】
複素環式環系Zが−CH−、−CH=または−NH−部分を含有する場合にはいつでも、置換基R12およびR13または分子の残りはその炭素または窒素原子と結合してもよく、この場合、一方または両方の水素原子が置き換わる。
【0030】
前記式(I)で表される化合物はまた互変異性形態でも存在し得る。そのような形態を前記式の中に明確には示さなかったが、それらを本発明の範囲内に包含させることを意味する。
【0031】
この上に示した定義および本明細書の以下で用いる数多くの用語を本明細書の以下に説明する。これらの用語を時にはそのままか或は複合用語として用いる。
【0032】
この上に示した定義および本明細書の以下で用いる如きハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり、C1−6アルキルは、炭素原子数が1から6の直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2−メチル−ブチル、2−メチルペンチルなどを定義するものであり、C1−6アルカンジイルは、炭素原子を1から6個含有する二価の直鎖もしくは分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチレン、1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,5−ペンタンジイル、1,6−ヘキサンジイルなど、これらの分枝異性体、例えば2−メチルペンタンジイル、3−メチルペンタンジイル、2,2−ジメチルブタンジイル、2,3−ジメチルブタンジイルなどを定義するものであり、トリハロメチルは、同一もしくは異なるハロ置換基を3個含有するメチル、例えばトリフルオロメチルなどを定義するものであり、C2−6アルケニルは、二重結合を1個含有する炭素原子数が2から6の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えばエテニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニルなどを定義するものであり、C3−6アルキニルは、三重結合を1個含有する炭素原子数が3から6の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えば2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−ヘキシニルなどを定義するものであり、C3−10シクロアルキルには、炭素数が3から10の環状炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれる。
【0033】
用語「付加塩」は、前記式(I)で表される化合物が有機もしくは無機塩基、例えばアミン、アルカリ金属塩基およびアルカリ土類金属塩基など、または第四級アンモニウム塩基、または有機もしくは無機酸、例えば鉱酸、スルホン酸、カルボン酸または燐含有酸などと一緒に形成し得る塩を包含する。
【0034】
用語「付加塩」は、更に、前記式(I)で表される化合物が形成し得る薬学的に受け入れられる塩、金属錯体および溶媒和物およびこれらの塩も包含する。
【0035】
用語「薬学的に受け入れられる塩」は、薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩を意味する。本明細書の上に挙げた如き薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩は、これに前記式(I)で表される化合物が形成し得る治療的に活性のある無毒の酸および無毒の塩基付加塩形態を包含させることを意味する。塩基特性を有する式(I)で表される化合物を適切な酸で処理することで前記塩基形態を薬学的に受け入れられる酸付加塩に変化させることができる。適切な酸には、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸など、硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸(即ちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などが含まれる。酸性特性を有する式(I)で表される化合物を適切な有機もしくは無機塩基で処理することで前記酸形態を薬学的に受け入れられる塩基付加塩に変化させることができる。適切な塩基塩形態には、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩など、およびアミノ酸、例えばアルギニン、リシンなどとの塩などが含まれる。用語「酸もしくは塩付加塩」は、また、前記式(I)で表される化合物が形成し得る水化物および溶媒付加形態も包含する。そのような形態の例は、例えば水化物、アルコラートなどである。
【0036】
用語「金属錯体」は、式(I)で表される化合物と1種以上の有機もしくは無機金属塩の間で生じる錯体を意味する。前記有機もしくは無機塩の例には、周期律系の第二主族の金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、例えばメチルスルホン酸塩、4−メチルフェニルスルホン酸塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、例えばマグネシウムまたはカルシウム塩、第三または第四主族、例えばアルミニウム、錫、鉛などの塩ばかりでなく、周期律系の第一から第八遷移族、例えばクロロ、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの塩が含まれる。
【0037】
本明細書の上で用いた如き用語「式(I)で表される化合物の立体化学的異性体形態」は、式(I)で表される化合物が持ち得る同じ配列の結合で結合している同じ原子で構成されているが相互交換不能な異なる三次元構造を有する可能なあらゆる化合物を定義するものである。特に明記しない限り、ある化合物の化学的表示は、前記化合物が持ち得る可能なあらゆる立体化学異性体形態の混合物を包含する。前記混合物は、前記化合物の基本的分子構造を有するジアステレオマーおよび/または鏡像異性体の全部を含有し得る。高純度形態または互いの混合物の両方の式(I)で表される化合物の立体化学異性体形態の全部を本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0038】
前記式(I)で表される化合物のN−オキサイド形態は、これに1個もしくは数個の窒素原子が酸化されていわゆるN−オキサイドになっている式(I)で表される化合物、特にピペリジン、ピペラジンまたはピリダジニルが有する窒素の中の1個以上がN−オキサイドになっているN−オキサイドを包含させることを意味する。
【0039】
用語「式(I)で表される化合物」を本明細書の以下で用いる時にはいつでも、これにまたN−オキサイド形態、薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩およびあらゆる立体異性体形態を包含させることを意味する。
【0040】
EP 371564に記述されている化合物はレチノイン酸の血漿消失率を抑制する。6−[(1H−イミダゾール−1−イル)(4−メトキシフェニル)メチル]−3−メチル−2(1H)−キノキサリノン(本出願の化合物番号128)、3−エチル−6−(1H−イミダゾール−1−イルフェニルメチル)−2(1H)−キノキサリノン(本出願の化合物番号127)および6−[(4−クロロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イルメチル]−3−メチル−2(1H)−キノキサリノン(本出願の化合物番号146)はEP 371564に開示されている。そのような本発明の化合物がPARP阻害活性を示すことを予想外に見いだした。
【0041】
興味の持たれる化合物の1番目の群は、下記の制限の中の1つ以上が当てはまる式(I)で表される化合物で構成される群である:
a)RがC1−6アルキルであり、
b)Rが(a−1)、(a−2)、(a−3)または(a−5)から選択される基であるか或は式(b−1)で表される基であり、
c)sが0、1または2であり、
d)RおよびR10が各々独立して−CHO、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルオキシ、チオフェニルC1−6アルキル、ピロリルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルピペリジニル、アリールカルボニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリル
ピペリジニルC1−6アルキルまたはアリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、
e)tが0または2であり、
f)Zが(c−1)、(c−2)、(c−4)、(c−6)、(c−8)、(c−9)または(c−11)から選択される複素環式環系であり、
g)R12が水素、C1−6アルキル、アミノカルボニル、
【0042】
【化5】

【0043】
1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノ、ジ(フェニルC2−6アルケニル)、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、ハロインダゾリルまたはアリールC2−6アルケニルであり、
h)R、RおよびRが各々独立して水素、ハロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルオキシカルボニルから選択され、そして
i)RとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(d−1)または(d−2)で表される二価の基を形成していてもよい。
【0044】
興味の持たれる化合物の2番目の群は、下記の制限の中の1つ以上が当てはまる式(I)で表される化合物で構成される群である:
a)nが0であり、
b)XがCR(ここで、Rは、水素であるか、或はRと一緒になって式−CH=CH−CH=CH−で表される二価基を形成していてもよい)であり、
c)RがC1−6アルキルであり、
d)Rが水素であり、
e)Rが(a−1)、(a−2)または(a−3)から選択される基であるか或は式(b−1)で表される基であり、
f)sが0または2であり、
g)RおよびR10が各々独立して−CHO、C1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキルまたはアリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、
h)tが0または2であり、
i)Zが(c−1)、(c−2)または(c−6)から選択される複素環式環系であり、j)R12が水素、
【0045】
【化6】

【0046】
1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノまたはピペリジニルC1−6アルキルであり、
k)R13が水素またはアリールであり、
l)R、RおよびRが各々独立して水素またはトリハロメチルから選択され、そして
m)RとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(d−1)または(d−2)で表される二価の基を形成していてもよい。
【0047】
興味の持たれる化合物の3番目の群は、Zが式(c−2)で表される複素環式環系でも(c−4)で表される複素環式環系でもない複素環式環系である前記式(I)で表される化合物、前記1番目の群の興味の持たれる化合物または前記2番目の群の興味の持たれる化合物で構成される群である。
【0048】
好適な化合物の群は、RがC1−6アルキルであり、Rが(a−1)、(a−2)、(a−3)または(a−5)から選択される基であるか或は式(b−1)で表される基であり、sが0、1または2であり、RおよびR10が各々独立して−CHO、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルオキシ、チオフェニルC1−6アルキル、ピロリルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルピペリジニル、アリールカルボニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキルまたはアリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、tが0または2であり、Zが(c−1)、(c−2)、(c−4)、(c−6)、(c−8)、(c−9)または(c−11)から選択される複素環式環系であり、R12が水素、C1−6アルキル、アミノカルボニル、
【0049】
【化7】

【0050】
1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノ、ジ(フェニルC2−6アルケニル)、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、ハロインダゾリルまたはアリールC2−6アルケニルであり、R、RおよびRが各々独立して水素、ハロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルオキシカルボニルから選択され、そしてRとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(d−1)または(d−2)で表される二価の基を形成していてもよい前記式(I)で表される化合物で構成される群である。
【0051】
好適な化合物のさらなる群は、nが0であり、XがCR(ここで、Rは、水素であるか、或はRと一緒になって式−CH=CH−CH=CH−で表される二価基を形成していてもよい)であり、RがC1−6アルキルであり、Rが水素であり、Rが(a−1)、(a−2)または(a−3)から選択される基であるか或は式(b−1)で表される基であり、sが0または2であり、RおよびR10が各々独立して−CHO、C1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6
アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキルまたはアリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、tが0または2であり、Zが(c−1)、(c−2)または(c−6)から選択される複素環式環系であり、R12が水素、
【0052】
【化8】

【0053】
1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノまたはピペリジニルC1−6アルキルであり、R13が水素またはアリールであり、R、RおよびRが各々独立して水素またはトリハロメチルから選択され、そしてRとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(d−1)または(d−2)で表される二価の基を形成していてもよい前記式(I)で表される化合物で構成される群である。
【0054】
好適な化合物のさらなる群は、Zが式(c−2)で表される複素環式環系でも(c−4)で表される複素環式環系でもない複素環式環系である前記式(I)で表される化合物、前記好適な群の化合物またはさらなる好適な群の化合物で構成される群である。
【0055】
より好適な化合物の群は、nが0であり、XがCHであり、RがC1−6アルキルであり、Rが水素であり、Rが式(b−1)で表される基であり、tが2であり、−Zが(c−1)から選択される複素環式環系であり、R12が水素であり、R13が水素であり、そしてRとRが隣接して位置していて一緒になって式(d−2)で表される二価の基を形成している前記式(I)で表される化合物で構成される群である。
【0056】
最も好適な化合物は化合物番号16、化合物番号144および化合物番号145
【0057】
【化9】

【0058】
である。
【0059】
前記式(I)で表される化合物の調製はEP 371564に記述されている一般的に方法に従って実施可能である。
【0060】
数多くのそのような調製方法を本明細書の以下により詳細に記述する。式(I)で表される最終的な化合物を得るに適した他の方法を本実施例に記述する。
【0061】
が水素でありそしてRが−NR−CHO(ここで、Rは水素またはメチルである)である式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−b)で表される化合物と呼ぶ]の調製は、RがRと一緒になって=Oを形成している式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−a)で表される化合物と呼ぶ]から出発して、ホルムアミドまたはメチルホルムアミド[本明細書では式(II)で表される中間体として示す]および蟻酸の存在下で実施可能である。
【0062】
【化10】

【0063】
がヒドロキシである式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−c)で表される化合物と呼ぶ]の調製は、式(I−a)で表される化合物が有するケトン部分を適切な還元剤、例えばホウ水素化ナトリウムなどを適切な溶媒、例えばメタノールおよびテトラヒドロフランなど中で用いてヒドロキシ基に変化させることで実施可能である。
【0064】
【化11】

【0065】
式(I−a)で表される化合物の調製は、Rが水素である式(I−c)で表される化合物[本明細書では式(I−c−1)で表される化合物と呼ぶ]に変換を適切な酸化剤、例えば三酸化クロムなどおよび酸、例えば硫酸などの存在下の適切な溶媒、例えば2−プロパノンなど中で受けさせることで実施可能である。
【0066】
【化12】

【0067】
が水素でありそしてRが式(c−1)で表される基である式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−f)で表される化合物と呼ぶ]の調製は、Rが水素でありそしてRが式(c−8)で表される基である式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−d)で表される化合物と呼ぶ]とRが適切な基である式(III)で表されるアミンを適切な溶媒、例えばメタノールなどおよび適切な反応体、例えばシアノホウ水素化ナトリウムなどの存在下で反応させることで実施可能である。
【0068】
【化13】

【0069】
Wが適切な脱離基、例えばクロロ、ブロモ、メタンスルホニルオキシまたはベンゼンスルホニルオキシなどである式(IV)で表される中間体の調製は、式(I−c−1)で表される化合物を用いてこの化合物に適切な反応体、例えばメタンスルホニルオキシクロライドまたはベンゼンスルホニルオキシクロライドなどまたはハロゲン化用反応体、例えばPOClまたはSOClなどによる処理を受けさせることで実施可能である。
【0070】
【化14】

【0071】
がRで定義した通りでありそしてRがRで定義した通りであるか或はRとRがこれらが結合している窒素と一緒になってZで定義した如き適切な複素環式環系を形成している式(I)で表される化合物として定義する式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−h)で表される化合物と呼ぶ]の調製は、式(IV)で表される中間体と式(V)で表される中間体を反応させることで実施可能である。この反応は反応に不活性な溶媒、例えばジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなど中で場合により適切な塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたはトリエチルアミンなどの存在下で実施可能である。
【0072】
【化15】

【0073】
また、本技術分野で公知の反応または官能基変換反応を用いることで前記式(I)で表される化合物を互いに変化させることも可能である。そのような変換の多くを本明細書の上に既に記述した。他の例はカルボン酸エステルから相当するカルボン酸またはアルコー
ルを生じさせる加水分解、アミドから相当するカルボン酸またはアミンを生じさせる加水分解、ニトリルから相当するアミドを生じさせる加水分解であり、本技術分野で公知のジアゾ化反応を用いてイミダゾールまたはフェニルが有するアミノ基を水素と交換した後にジアゾ基を水素と交換することも可能であり、アルコールをエステルおよびエーテルに変化させることも可能であり、第一級アミンを第二級もしくは第三級アミンに変化させることも可能であり、二重結合に水添を受けさせて相当する単結合を生じさせることも可能であり、フェニル基が有するヨード基の所に一酸化炭素を適切なパラジウム触媒の存在下で挿入させることでそれをエステル基に変えることも可能である。
【0074】
このように、式(I)、(I−a)、(I−a−1)、(I−b)、(I−c)、(I−c−1)、(I−d)、(I−e)、(I−f)、(I−h)、(I−i)および(I−j)で表される化合物に場合により以下に示す変換の1つ以上を所望の任意順で受けさせてもよい:
(i)式(I)で表される化合物から式(I)で表される異なる化合物を生じさせる変換、
(ii)式(I)で表される化合物からこれの相当する受け入れられる塩もしくはN−オキサイドを生じさせる変換、
(iii)式(I)で表される化合物の薬学的に受け入れられる塩もしくはN−オキサイドから式(I)で表される親化合物を生じさせる変換、
(iv)式(I)で表される化合物の立体化学異性体またはこれの薬学的に受け入れられる塩もしくはN−オキサイドの調製。
【0075】
およびRが適切な基であるか或はこれらが結合している炭素と一緒になってZで定義した如き適切な複素環式環系を形成している式(VII)で表される中間体の調製は、Rが式(b−1)で表される基または式(a−1)で表される基(この場合にはsが0以外である)[本明細書ではRと呼ぶ]である式(VI)で表される中間体に加水分解を本技術分野で公知の方法に従って受けさせる、例えば前記中間体(VI)を反応に不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下の酸水溶液中で撹拌することなどで受けさせることで実施可能である。適切な酸は例えば塩酸である。
【0076】
【化16】

【0077】
が水素でありそしてRがこの上で定義した通りである式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−i)で表される化合物と呼ぶ]の調製は、式(VII)で表される中間体から出発して前記中間体に選択的水添を適切な還元剤、例えば貴触媒、例えば炭に担持されている白金、炭に担持されているパラジウムなどおよび適切な還元剤、例えば水素などを用いて適切な溶媒、例えばメタノールなど中で受けさせることで実施可能である。
【0078】
【化17】

【0079】
式(I)で表される化合物の調製は、本技術分野で公知の方法に従い、式(VIII)で表される中間体を適切な反応体、例えば塩化錫、酢酸および塩酸などに反応に不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下で提示することで式(VIII)で表される中間体に加水分解を受けさせることで実施可能である。
【0080】
【化18】

【0081】
式(I)で表される化合物の調製は、式(IX)のN−オキサイドから出発して前記式(IX)で表される中間体に変換を適切な反応体、例えば炭酸ナトリウムまたは無水酢酸などの存在下で適宜溶媒、例えばジクロロメタンなど中で受けさせることで実施可能である。
【0082】
【化19】

【0083】
また、式(X)で表される中間体に環化を受けさせることでもXがCHである式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−j)で表される化合物と呼ぶ]を得ることができる。式(X)で表される中間体の環化反応を本技術分野で公知の環化手順に従って実施してもよい。好適には、この反応を適切なルイス酸、例えば塩化アルミニウムなどの存在下で混ぜ物無しまたは適切な溶媒、例えば芳香族炭化水素、例えばベンゼン、クロロベンゼン、メチルベンゼンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばトリクロロメタン、テトラクロロメタンなど、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど、または前記溶媒の混合物など中で実施する。温度をいくらか高くし、好適には70−100℃の範囲にしそして撹拌を行うと前記反応の速度が速くなる。
【0084】
【化20】

【0085】
式(XI)で表される適切なオルソ−ベンゼンジアミンとRがC1−6アルキルである式(XII)で表されるエステルを縮合させることでXがNでありそしてRがRと一緒になって=Oを形成している式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−a−1)で表される化合物と呼ぶ]を得ることができる。そのような式(XI)で表される置換オルソ−ジアミンと式(XII)で表されるエステルの縮合は、カルボン酸、例えば酢酸など、鉱酸、例えば塩酸、硫酸またはスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸などの存在下で実施可能である。反応速度を速くしようとする時には温度をいくらか高くするのが適切であり得、ある場合には、反応を反応混合物の還流温度で実施することさえ可能である。縮合中に遊離して来る水を共沸蒸留、蒸留などの如き方法でその混合物から除去してもよい。
【0086】
【化21】

【0087】
式(XI)で表される中間体の調製は、式(XIII)で表される中間体を用いて出発してニトロからアミンを生じさせる還元反応を金属触媒、例えばラネーニッケルなどおよび適切な還元剤、例えば水素などの存在下で適切な溶媒、例えばメタノールなど中で行うことで実施可能である。
【0088】
【化22】

【0089】
式(XIII)で表される中間体の調製は、本技術分野で公知の方法に従い、式(XIV)で表される中間体に加水分解を受けさせる、例えば前記中間体(XIV)を反応に不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの存在下の酸水溶液中で撹拌することなどで実施可能である。適切な酸は例えば塩酸である。
【0090】
【化23】

【0091】
式(X)で表される中間体の調製は、便利に、式(XV)で表されるアニリンと式(XVI)で表されるハロゲン化物を塩基、例えばピリジンなどの存在下の適切な溶媒、例えばジクロロメタンなど中で反応させることで実施可能である。
【0092】
【化24】

【0093】
が水素またはヒドロキシでありそしてRが水素の時にRがヒドロキシである式(VIII)で表される中間体[本明細書では式(VIII−a)で表される中間体と呼ぶ]の調製は、Wがハロである式(XVII)で表される中間体に有機リチウム反応体、例えばn−ブチルリチウムなどによる処理を反応に不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフランなど中で受けさせた後に前記中間体をRが水素またはRで定義した如き基である式(XVIII)で表される中間体と反応させることで実施可能である。
【0094】
【化25】

【0095】
本発明は、また、nが0であり、XがCRでありそしてRおよびRが以下に定義する如き意味を有する式(VII)で表される化合物{本明細書では式(VII−a)
【0096】
【化26】

【0097】
[式中、
、R、R、R、Rおよびアリールは、式(I)で表される化合物で定義した通りであり、
は、水素であるか、或はRと一緒になって式
−(CH−NR15−(CH− (e−1)、または
−CH−NR16−(CH− (e−2)
(ここで、
15およびR16は、各々独立して、水素、C1−6アルキル、
【0098】
【化27】

【0099】
1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、アリールC1−6アルキルまたはアリールC2−6アルケニルから選択される)
で表される二価基を形成していてもよいか、或は
は、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルまたはピペリジニルC1−6アルキルである]
で表される化合物、これのN−オキサイド形態、付加塩および立体化学異性体形態と呼ぶ}にも関する。
【0100】
式(VII−a)で表される興味の持たれる化合物の1番目の群は、下記の制限の中の1つ以上が当てはまる式(VII−a)で表される化合物で構成される群である:
a)RがC1−6アルキルであり、
b)R15およびR16が各々独立して水素、C1−6アルキル、
【0101】
【化28】

【0102】
アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、アリールC1−6アルキルまたはアリールC2−6アルケニルから選択され、
c)R、RおよびRが各々独立して水素またはハロから選択され、
d)RとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(b−2)または(b−4)で表される二価の基を形成していてもよく、そして
e)アリールがフェニルであるか或はハロまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルである。
【0103】
式(VII−a)で表される興味の持たれる化合物の2番目の群は、下記の制限の中の1つ以上が当てはまる式(VII−a)で表される化合物で構成される群である:
a)RがC1−6アルキルであり、
b)Rが水素であるか或はRと一緒になって式(e−1)で表される二価基を形成していてもよく、
c)R15およびR16が各々独立して水素またはアリールC2−6アルケニルから選択され、
d)R、RおよびRが各々独立して水素から選択され、
e)RとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(b−2)で表される二価の基を形成していてもよく、そして
e)アリールがハロまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルである。
【0104】
好適な化合物の群は、RがC1−6アルキルであり、Rが式(a−1)または(a−2)で表される基の時にはR15およびR16が各々独立して水素、C1−6アルキル、
【0105】
【化29】

【0106】
アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、アリールC1−6アルキルまたはアリールC2−6アルケニルから選択され、R、RおよびRが各々独立して水素またはハロから選択されるか、或はRとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(b−2)または(b−4)で表される二価の基を形成していてもよく、そしてアリールがフェニルであるか或はハロまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルである式(VII−a)で表される化合物で構成される群である。
【0107】
好適な化合物のさらなる群は、RがC1−6アルキルであり、Rが水素であるか或はRと一緒になって式(a−1)で表される二価基を形成していてもよく、R15およびR16が各々独立して水素またはアリールC2−6アルケニルから選択され、R、RおよびRが各々独立して水素から選択されるか、或はRとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(b−2)で表される二価の基を形成していてもよく、そしてアリールがハロまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルである式(VII−a)で表される化合物で構成される群である。
【0108】
がRと一緒になって式(e−1)または(e−2)で表される二価基[例えば式
(e−1)で表される二価基]を形成しておりそしてR15またはR16(例えばR15)が水素以外である式(VII−a)で表される化合物として定義する式(VII−a−1)で表される化合物の調製は、RがRと一緒になって式(e−1)または(e−2)で表される二価基[例えば式(e−1)で表される二価基]を形成しておりそしてR15またはR16(例えばR15)が水素である式(VII−a)で表される化合物[本明細書ではまた式(VII−a−2)で表される化合物とも呼ぶ]とWが適切な脱離基、例えばクロロ、ブロモ、メタンスルホニルオキシまたはベンゼンスルホニルオキシなどでありそしてR15またはR16(例えばR15)が水素以外である式(XIX)で表される中間体を反応させることで実施可能である。この反応は反応に不活性な溶媒、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたはトリエチルアミンなど中で実施可能である。
【0109】
【化30】

【0110】
15またはR16(例えばR15)がアリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキルである式(VII−a)で表される化合物[本明細書では式(VII−a−3)で表される化合物と呼ぶ]の調製は、式(VII−a−2)で表される化合物とRが適切な置換基である式(XX)で表される中間体を2−プロパノールの存在下で反応させることで実施可能である。
【0111】
【化31】

【0112】
本発明はまた、この上で定義した如き式(I)または式(VII−a)で表される化合物を薬剤として用いることにも関する。
【0113】
本発明の化合物は、本明細書の以下に示す実験部分から分かるであろうように、PARP阻害特性を有する。
【0114】
本発明は、また、本明細書に記述する動物における1種以上の病気および疾患を治療するための薬剤の製造で式(I)
【0115】
【化32】

【0116】
{式中、
nは、0、1または2であり、
Xは、NまたはCR(ここで、Rは、水素であるか、或はRと一緒になって式−CH=CH−CH=CH−で表される二価基を形成していてもよい)であり、
は、C1−6アルキルまたはチオフェニルであり、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6アルキニルであるか、或はRと一緒になって=Oを形成していてもよく、
は、
−(CH−NR (a−1)
−O−H (a−2)
−O−R10 (a−3)
−S−R11 (a−4)、または
−C≡N (a−5)
[ここで、
sは、0、1、2または3であり、
、R10およびR11は、各々独立して、−CHO、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルオキシ、チオフェニルC1−6アルキル、ピロリルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルピペリジニル、アリールカルボニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、そして
は、水素またはC1−6アルキルである]
から選択される基であるか、或は
は、式
−(CH−Z (b−1)
[式中、
tは、0、1、2または3であり、
−Zは、
【0117】
【化33】

【0118】
(ここで、R12は、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、アリール、
【0119】
【化34】

【0120】
1−6アルキルアミノC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノ、アリールC1−6アルキル、ジ(フェニルC2−6アルケニル)、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、ハロインダゾリル、アリールC1−6アルキル、アリールC2−6アルケニル、アリールC1−6アルキルアミノ、モルホリノ、C1−6アルキルイミダゾリル、ピリジニルC1−6アルキルアミノであり、そして
13は、水素、ピペリジニルまたはアリールである)
から選択される複素環式環系である]
で表される基であり、
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルオキシカルボニル、またはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシまたはアミノC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−6アルキルから選択されるか、或は
とRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式
−O−CH−O (d−1)
−O−(CH−O− (d−2)
−CH=CH−CH=CH− (d−3)、または
−NH−C(O)−NR14=CH− (d−4)
[ここで、R14は、C1−6アルキルである]
で表される二価基を形成していてもよく、
アリールは、フェニルであるか、或はハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルである}
で表される化合物、これのN−オキサイド形態、付加塩および立体化学異性体形態を用いることも意図する。
【0121】
本発明は、また、本明細書に記述する動物における1種以上の病気および疾患を治療するための薬剤を製造する時に式(I−k)
【0122】
【化35】

【0123】
[式中、
nは0であり、
XはNであり、
はメチルまたはエチルであり、
は水素であり、
は式(b−1)で表される基であり、
tは0であり、
−Zは複素環式環系(c−2)(ここで、前記複素環式環系−Zは窒素原子を通して分子の残りと結合している)であり、
12は水素またはC1−6アルキルであり、そして
17はハロまたはC1−6アルキルオキシであるか或はRがエチルの時にはR17は水素であってもよい]
で表される化合物である式(I)で表される化合物、これのN−オキサイド形態、付加塩および立体化学異性体形態を用いることも意図する。
【0124】
より詳細には、式(I−k)で表される化合物は6−[(1H−イミダゾール−1−イル)(4−メトキシフェニル)メチル]−3−メチル−2(1H)−キノキサリノン(化合物番号128)、3−エチル−6−(1H−イミダゾール−1−イルフェニルメチル)−2(1H)−キノキサリノン(化合物番号127)および6−[(4−クロロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イルメチル]−3−メチル−2(1H)−キノキサリノン(化合物番号146)である。
【0125】
本発明は、また、本明細書に記述する動物における1種以上の病気および疾患を治療するための薬剤を製造する時に式(VII−a)で表される化合物を用いることも意図する。
【0126】
本発明の化合物を用いて壊死またはアポトーシスによる細胞損傷または細胞死の結果としてもたらされる組織の損傷を治療または予防することができ、神経または心臓血管組織の損傷(局所的虚血、心筋梗塞および再かん流障害後の損傷を包含)を改善することができ、PARP活性によって引き起こされるか或はそれの活性が過剰であるいろいろな病気および状態を治療することができ、細胞の寿命または増殖能力を伸ばすか或は向上させることができ、老化細胞の遺伝子発現を変えることができ、細胞に放射線増感および/または化学増感を受けさせることができる。PARPの活性を抑制すると、一般に、細胞がエネルギー損失から救われることで、神経細胞の場合にはニューロンの不可逆的脱分極が防止され、従って神経保護がもたらされる。
【0127】
この上に示した理由で、本発明は、更に、この上に示した化合物をPARP活性を抑制するか、壊死またはアポトーシスによる細胞損傷または細胞死の結果としてもたらされる組織の損傷を治療または予防するか、NMDA毒性が媒介しないニューロン活性をもたらすか、NMDA毒性が媒介するニューロン活性をもたらすか、虚血および再かん流障害の結果としてもたらされる神経組織損傷、神経疾患および神経変性疾患を治療するか、血管発作を予防または治療するか、心臓血管疾患を治療または予防するか、他の病気および/または疾患、例えば加齢筋肉変性、エイズおよび他の免疫老化病、炎症、痛風、関節炎、アテローム性動脈硬化症、悪液質、癌、複製老化を伴う骨格筋の変性病、糖尿病、頭部外傷、炎症性腸疾患(例えば大腸炎およびクローン病)、筋ジストロフィー、変形性関節症、骨粗鬆症、慢性および/または急性痛(例えば神経障害痛)、腎不全、腎虚血、敗血性ショック(例えば内毒性ショック)および皮膚老化などを治療するか、細胞の寿命または増殖能力を伸ばすか、老化細胞の遺伝子発現を変えるか或は腫瘍細胞に化学増感および/または放射線増感(低酸素)を受けさせるに充分な量である治療的に有効な量で投与する方法にも関する。本発明は、また、動物における病気および状態を治療することにも関し、この方法は、前記動物にこの上に示した化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0128】
本発明は、特に、動物における神経疾患を治療、予防または抑制する方法に関し、この方法は、前記動物にこの上に示した化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。そのような神経疾患は身体的障害または病気状態によって引き起こされる抹消神経障害、外傷性脳損傷、脊髄の物理的損傷、脳障害に関連した発作、局所的虚血、広範囲の虚血、再かん流障害、脱髄疾患、および神経変性に関連した神経疾患から成る群から選択される。
【0129】
本発明は、また、式(I)で表される化合物および式(VII−a)で表される化合物をPARP活性を抑制する目的、壊死またはアポトーシスによる細胞損傷または細胞死の結果としてもたらされる組織損傷を治療、予防または抑制する目的、動物における神経疾患を治療、予防または抑制する目的で用いることも意図する。
【0130】
用語「神経変性を予防」は、神経変性病にかかっているか或は新しい変性病を発症する危険性があると新しく診断された患者における神経変性を予防することができること、および既に神経変性疾患に苦しんでいるか或はその兆候がある患者におけるさらなる神経変性を予防することを包含する。
【0131】
本明細書で用いる如き用語「治療」は、動物、特にヒトにおける病気および/または状態の如何なる治療も包含し、それには(i)ある病気および/または状態にかかりやすいがまだそれにかかっていると診断されていない被験体を前記病気および/または状態にならないようにすること、(ii)そのような病気および/または状態を抑制する、即ちそれの発症を阻止すること、(iii)そのような病気および/または状態を軽減、即ちそ
の病気および/または状態を退行させることが含まれる。
【0132】
用語「放射線増感剤」を本明細書で用いる場合、細胞が電離放射線に対して示す感受性を高めそして/または電離放射線によって治療可能な病気の治療を助長する治療的に有効な量で動物に投与される分子、好適には低分子量の分子であるとしてそれを定義する。電離放射線を用いて治療可能な病気には、腫瘍性疾患、良性および悪性腫瘍および癌性細胞が含まれる。本発明では、本明細書に挙げなかった他の病気の電離放射線治療も意図する。
【0133】
用語「化学増感剤」を本明細書で用いる場合、細胞が化学療法に対して示す感受性を高めそして/または化学療法によって治療可能な病気の治療を助長する治療的に有効な量で動物に投与される分子、好適には低分子量の分子であるとしてそれを定義する。化学療法で治療可能な病気には、腫瘍性疾患、良性および悪性腫瘍および癌性細胞が含まれる。本発明では、本明細書に挙げなかった他の病気の化学療法治療も意図する。
【0134】
本発明の化合物、組成物および方法は、特に、壊死またはアポトーシスによる細胞損傷または細胞死の結果としてもたらされる組織損傷を治療または予防するに有用である。
【0135】
本発明の化合物は「抗癌剤」であり得るが、この用語は、また、「抗腫瘍細胞増殖剤」および「抗腫瘍剤」も包含する。例えば、本発明の方法は、癌の治療および癌の中の腫瘍細胞、例えばACTHを産生する腫瘍、急性リンパ性白血病、急性非リンパ性白血病、副腎皮質の癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T細胞性リンパ腫、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胆嚢癌、ヘアリー細胞白血病、頭と首の癌、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小および/または非小細胞)、悪性腹水、悪性胸水、メラノーマ、中皮腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ種、骨肉腫、卵巣癌、卵巣(胚細胞)癌、前立腺癌、膵臓癌、陰茎癌、網膜芽腫、皮膚癌、軟組織肉腫、偏平上皮細胞癌、胃癌、睾丸癌、甲状腺癌、絨毛性腫瘍、子宮癌、膣癌、外陰癌およびウィルム腫瘍などに化学増感および/または放射線増感を受けさせる目的で用いるに有用である。
【0136】
従って、本発明の化合物は「放射線増感剤」および/または「化学増感剤」として使用可能である。
【0137】
放射線増感剤は癌性細胞が電離放射線の毒性効果に対して示す感受性を高めることが知られている。放射線増感剤が示す作用様式に関する機構が文献にいくつか提案されており、それらには下記が含まれる:低酸素細胞放射線増感剤(例えば2−ニトロイミダゾール化合物およびベンゾトリアジンジオキサイド化合物)は酸素をまねるか或は別法として低酸素下で生体還元剤として挙動すること、非低酸素細胞放射線増感剤(例えばハロゲン置換ピリミジン)はDNA塩基に類似していて癌細胞のDNAの中に優先的に取り込まれることでDNA分子の放射線誘発破壊を助長しそして/または正常なDNA修復機構を邪魔し得ること、そして放射線増感剤が病気の治療で示す他の可能ないろいろな作用機構が仮定されている。現在、いろいろな癌治療プロトコルでx線照射と一緒に放射線増感剤が用いられている。x線で活性化する放射線増感剤の例には、これらに限定するものでないが、下記が含まれる:メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、ミトマイシンC、RSU 1069、SR 4233、EO9、RB6145、ニコチンアミド、5−ブロモデオキシウリジン(BUdR)、5−ヨードデオキシウリジン(IUdR)、ブロモデオキシシチジン、フルオロデオキシウリジン(FudR)、ヒドロキシ尿素、シスプラチンおよびそれらの治療的に有効な類似物および誘導体。癌の光線力学療法(PDT)では、増感剤の放射線活性化媒介物として可視光が用いられる。光線力学放射線増感剤の例には、これらに限定するものでないが、下記が含まれる:ヘマトポルフィリン誘導体、ホトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、錫エチオポルフィリン、フェオボルビド−a、バクテリオクロロフィル−a、ナフタロシアニン、フタロシアニン、亜鉛フタロシアニンおよびそれらの治療的に有効な類似物および誘導体。
【0138】
放射線増感剤は治療的に有効な量の他の1種以上の化合物と一緒に投与される可能性があり、そのような化合物には、これらに限定するものでないが、標的細胞への放射線増感剤の取り込みを助長する化合物、治療薬、栄養剤および/または酸素が標的細胞に流れ込むのを制御する化合物、追加的放射線の有り無しで腫瘍に作用する化学療法薬、または癌または他の病気の治療にとって治療的に有効な他の化合物が含まれる。放射線増感剤と一緒に使用可能な追加的治療薬の例には、これらに限定するものでないが、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、5’−アミノ−5’デオキシチミジン、酸素、カルボゲン、赤血球輸液、パーフルオロカーボン(例えばFluosol 10 DA)、2,3−DPG、BW12C、カルシウムチャネル遮断薬、ペントキシフィリン、抗血管形成化合物、ヒドララジンおよびLBSOが含まれる。放射線増感剤と一緒に使用可能な化学療法薬の例には、これらに限定するものでないが、アドリアマイシン、カムプトテシン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、インターロイキン2、イリノテカン、パクリタキセル、トポテカンおよびそれらの治療的に有効な類似物および誘導体が含まれる。
【0139】
化学増感剤を治療的に有効な量の他の1種以上の化合物と一緒に投与してもよく、そのような化合物には、これらに限定するものでないが、標的細胞への化学増感剤の取り込みを助長する化合物、治療薬、栄養剤および/または酸素が標的細胞に流れ込むのを制御する化合物、腫瘍に作用する化学療法薬、または癌または他の病気の治療にとって治療的に有効な他の化合物が含まれる。化学増感剤と一緒に使用可能な追加的治療薬の例には、これらに限定するものでないが、メチル化剤、トポイソメラーゼI阻害剤および他の化学療法薬、例えばシスプラチンおよびブレオマイシンなどが含まれる。
【0140】
また、PARP、より詳細にはPARP−1受容体を検出または同定する目的で前記式(I)で表される化合物および前記式(VII−a)で表される化合物を用いることも可能である。その目的で前記化合物に標識を付けてもよい。前記標識は放射性同位体、スピン標識、抗原標識、酵素標識蛍光基または化学発光基から成る群から選択可能である。
【0141】
本発明の薬剤組成物を調製する時、塩基もしくは酸付加塩形態の個々の化合物を活性材料として有効量で薬学的に受け入れられる担体と一緒に密な混合物として組み合わせるが、前記担体が取り得る形態は投与に望まれる製剤の形態に応じて幅広く多様であり得る。望ましくは、本薬剤組成物を好適には経口、直腸、経皮または非経口注入投与に適した単位投薬形態にする。例えば、本組成物を経口投薬形態で調製する時には、通常の薬剤媒体のいずれも使用可能であり、例えば経口用液状製剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシルおよび溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与の容易さが理由で錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の薬剤担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は、一般に、少なくとも大部分が無菌水を含んで成るが、例えば溶解性を補助する目的で他の材料を含有させることも可能である。例えば、注射可能な溶液を調製することも可能であり、この場合の担体には食塩水溶液、グルコース溶液または食塩水溶液とグルコース溶液の混合物が含まれる。また、注射可能な懸濁液を調製することも可能であり、この場合には、適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。経皮投与に適した組成物の場合、その担体に場合により浸透増強剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それを場合により僅かな比率のいずれかの性質の適切な添加剤と一緒に組み合わせてもよいが、そのような添加剤は皮膚に有害な影響を有意な度合では引き起こさない添加剤である。前記添加剤は皮膚への投与を容易にしそして/または所望組成物の調製に役立つ可能性がある。本組成物はいろいろな様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)または軟膏などとして投与可能である。投与が容易でありかつ投薬が均一であることから上述した薬剤組成物を投薬単位形態物に調合するのが特に有利である。本明細書および本明細書の請求の範囲で用いる如き投薬単位形態物は、各単位が所望の治療効果がもたらされるように計算して前以て決めておいた量の活性材料を必要な薬剤担体と一緒に含有する単位投薬物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような投薬単位形態物の例は錠剤(刻み目付きまたは被覆錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末パケット、ウエハース、注射可能溶液または懸濁液、茶サジ一杯、テーブルスプーン一杯など、そしてそれらを複数に分離させた物(segregated multiples)である。
【0142】
本分野の技術者は本明細書の以下に示す試験結果から有効量を容易に決定することができるであろう。有効量は一般に体重1kg当たり0.001mgから100mg、特に体重1kg当たり0.005mgから10mgであろうと考えている。必要な用量をその日全体に渡って適切な間隔で2、3、4またはそれ以上のサブドース(sub−doses)として投与する方が適切である可能性もある。そのようなサブドースを活性材料が1投薬形態単位当たり例えば0.05から500mg、特に0.1mgから200mg入っている単位投薬形態物として配合してもよい。
【0143】
以下に示す実施例で本発明の説明を行う。
【実施例】
【0144】
実験部分
本明細書では以降、「BuLi」をブチル−リチウムとして定義する。「MeOH」をメタノールとして定義する。「DIPE」をジイソプロピルエーテルとして定義する。「DMF」をN,N−ジメチルホルムアミドとして定義する。「DCM」をジクロロメタンとして定義する。「DMSO」をジメチルスルホキサイドとして定義する。「EtOAc」を酢酸エチルとして定義する。「THF」をテトラヒドロフランとして定義する。「MEK」をメチルエチルケトンとして定義する。
A. 中間体化合物の製造
実施例A1
a) 中間体1の製造
【0145】
【化36】

【0146】
Mg削り屑(0.316モル)をジエチルエーテルに入れることで生じさせた溶液に室温でブロモ−ベンゼン(0.316モル)をジエチルエーテルに入れることで生じさせた溶液を滴下した後、この混合物を1時間30分撹拌した。この混合物を0℃に冷却し、3−メチル−6−キノリンカルボキサルデヒド(0.263モル)をTHF(200ml)に入れて滴下した後、その混合物を2時間撹拌した。この混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液に中に注ぎ込んだ後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、
濾過した後、乾固まで蒸発させた。その残留物(65.65g)をDIPEから結晶化させた。その生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体1の収量は45.92g(70%)であった。
b) 中間体2の製造
【0147】
【化37】

【0148】
中間体1(0.16モル)をDCM(300ml)とトリエタノールアミントリス(2−メトキシエチル)エーテル(5ml)に入れることで生じさせた溶液に過マンガン酸カリウム(0.24モル)を分割して加えた後、この混合物を2時間撹拌した。この混合物をセライトに通して濾過した後、乾固まで蒸発させることで、中間体2を35g(88%)得た。
c) 中間体3の製造
【0149】
【化38】

【0150】
3−クロロ−過安息香酸(benzenecarboperoxoic acid)(0.283モル)をDCMに入れることで生じさせた溶液に室温で中間体2(0.142モル)をDCM(200ml)に入れることで生じさせた溶液を滴下した後、この混合物を12時間撹拌した。この混合物を水の中に注ぎ込み、炭酸カリウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾過した後、乾固まで蒸発させることで中間体3を32.68g(87%)得た。
d) 中間体4の製造
【0151】
【化39】

【0152】
中間体3(0.121モル)をDCM(300ml)と10%の炭酸カリウム(665ml)に入れることで生じさせた混合物に塩化トシル(0.145モル)を分割して加えた後、この混合物を1時間30分撹拌した。DCMおよび水を加えた後の混合物をセライ
トに通して濾過した後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾過した後、乾固まで蒸発させた。その残留物(36.43g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 98/2)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させた。その残留物(4.09g)を2−プロパノンから結晶化させることで融点が264.6℃の中間体4を1.67g(5%)得た。
e) 中間体5の製造
【0153】
【化40】

【0154】
中間体4(0.037モル)とN−メチル−ホルムアミド(1.85モル)を蟻酸(15ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら160℃に48時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、氷水の中に注ぎ込み、10%の炭酸カリウムで塩基性にした後、EtOAcで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾過した後、蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから結晶化させた。その残留物(7g)の一部(3g)をDCM/ジエチルエーテルから再結晶化させることで融点が189.8℃の中間体5を2.15g得た。
実施例A2
a) 中間体6の製造
【0155】
【化41】

【0156】
6−ブロモ−3−エチル−2−メトキシ−キノリン(0.03モル)をTHF(50ml)に入れることで生じさせた混合物にN流下−60℃でヘキサン中1.6MのnBuLi(0.0382モル)を滴下した。この混合物を−60℃で1時間撹拌した。2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボキサルデヒド(0.0361モル)をTHF(50ml)に入れることで生じさせた溶液を滴下した。この混合物を−60℃で2時間に続いて−40℃で1時間撹拌し、水と水酸化アンモニウムの中に注ぎ込んだ後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体6の収量は10.56gであった。
b) 中間体7の製造
【0157】
【化42】

【0158】
中間体6(0.0398モル)を3Nの塩酸(100ml)とTHF(20ml)に入れることで生じさせた混合物を60℃で12時間撹拌した後、氷水と水酸化アンモニウムの中に注ぎ込んで、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物を2−プロパノンとDIPEで取り上げ、濾別した後、乾燥させることで融点が232℃の中間体7を6.2g(47%)得た。
実施例A3
a) 中間体8の製造
【0159】
【化43】

【0160】
6−ブロモ−2−クロロ−3−エチル−キノリン(0.085モル)をTHF(200ml)に入れることで生じさせた溶液にN流下−78℃で1.6MのnBuLi(0.102モル)を滴下した。この混合物を−78℃で1時間撹拌した。N−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド(0.085モル)をTHF(50ml)に入れることで生じさせた溶液を−78℃で滴下した。この混合物を−78℃から0℃になるまで2時間30分撹拌し、それに水を用いた加水分解そしてEtOAcによる抽出を受けさせた。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc 93/7)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(7.5g、30%)を2−プロパノンから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が94℃の中間体8を7.15g(28%)得た。
b) 中間体9の製造
【0161】
【化44】

【0162】
中間体8(0.169モル)を3Nの塩酸(250ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら12時間還流させた。この混合物を室温に冷却した後、濾別した。その沈澱物を水に続いて2−プロパノンそして次にジエチルエーテルで洗浄した。この生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体9の収量は26g(55%)であった。
c) 中間体10の製造
【0163】
【化45】

【0164】
中間体9(0.018モル)をMeOH(100ml)に入れることで生じさせた溶液にN下0℃でナトリウムヒドロボレート(0.018モル)を分割して加え、この混合物を5℃で1時間に続いて室温で1時間撹拌した。この混合物を氷水の中に注ぎ込んだ後、濾別した。その沈澱物を2−プロパノンそしてジエチルエーテルで洗浄した後、それを2−プロパノン/MeOHから再結晶化させることで融点が235.7℃の中間体10を2.6g(52%)得た。
実施例A4
a) 中間体11の製造
【0165】
【化46】

【0166】
イソシアン化トシルメチル(0.085モル)をDMSO(300ml)に入れることで生じさせた溶液に0℃で2−メチル−2−プロパノールのカリウム塩(0.21モル)に続いてMeOH(10.5ml)を加えた。中間体2(0.06モル)を5℃で加えた後、その混合物を5℃で1時間撹拌した。この混合物を氷水の中に注ぎ込んだ後、DCMで抽出した。その有機層を3Nの塩酸溶液で洗浄した後、乾固まで蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから再結晶化させることで中間体11を6.3g(40%)得た。b) 中間体12の製造
【0167】
【化47】

【0168】
中間体11(0.024モル)をDCMに入れることで生じさせた溶液に0℃で3−クロロ−過安息香酸(0.048モル)をDCMに入れることで生じさせた溶液を加えた後、この混合物を室温で12時間撹拌した。この混合物を10%の炭酸カリウムで洗浄した後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させることで中間体12を6.28g(94%)得た。
実施例A5
a) 中間体13の製造
【0169】
【化48】

【0170】
中間体1(0.08モル)をDCM(300ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃になるまで冷却した。塩化チオニル(0.4モル)を滴下した後、その混合物を室温で12時間撹拌した。この混合物を氷水の中に注ぎ込み、水酸化アンモニウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、乾固まで蒸発させた。この生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体13の収量は21.5gであった。
b) 中間体14の製造
【0171】
【化49】

【0172】
中間体13(0.08モル)と1−H−1,2,4−トリアゾール(0.24モル)と炭酸カリウム(0.24モル)をアセトニトリル(200ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら80℃に48時間加熱した。この混合物を水の中に注ぎ込んだ後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、乾固まで蒸発させた。この残留物(25.22g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 97/3)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させることで中間体14を14.3g(60%)得た。
c) 中間体15の製造
【0173】
【化50】

【0174】
中間体14(0.043モル)と3−クロロ−過安息香酸(0.086モル)をDCM(150ml)に入れることで生じさせた溶液を室温で12時間撹拌した。この混合物を水の中に注ぎ込み、水酸化アンモニウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、乾固まで蒸発させた。この生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体15を収量は14gであった。
実施例A6
a) 中間体16の製造
【0175】
【化51】

【0176】
中間体4(0.076モル)をホルムアミド(300ml)と蟻酸(100ml)に入れることで生じさせた混合物を160℃で週末の間撹拌した後、氷水の中に注ぎ出した。沈澱物を濾過し、水に続いてジエチルエーテルで濯いだ後、乾燥させた。その残留物をDCM/MeOHから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が>260℃の中間体16を14.5g(65%)得た。
b) 中間体17および18の製造
【0177】
【化52】

【0178】
中間体16(0.044モル)を6Nの塩酸(290ml)に入れることで生じさせた混合物を100℃で4時間30分撹拌した後、室温に持って行った。沈澱物を濾過し、水に続いてジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させることで中間体18を融点が>260℃の一塩酸塩として13.5g(100%)得た。この画分の一部(11.8g)を水酸化ナトリウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体17を9.95g得た。
実施例A7
中間体19の製造
【0179】
【化53】

【0180】
1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(0.0794モル)をTHF(100ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で15分間撹拌した。中間体18(0.0265モル)をTHF(100ml)に入れることで生じさせた混合物をゆっくり加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した。この生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体19の収量は7.7g(100%)であった。
実施例A8
a) 中間体20の製造
【0181】
【化54】

【0182】
中間体12(0.022モル)と塩化トシル(0.033モル)を10%の炭酸カリウム(100ml)とDCM(100ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物をDCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから再結晶化させることで融点が227.5℃の中間体20を5g(84%)得た。
b) 中間体21の製造
【0183】
【化55】

【0184】
中間体20(0.015モル)をMeOH/NH 7N(100ml)に入れて、それに水添をラネーニッケル(4g)を触媒として用いて室温で3バールの圧力下で6時間受けさせた後、そのフラスコをNでフラッシュ洗浄した。H(2当量)の吸収が起こった後に触媒を濾別した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 90/10/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させることで中間体21を3g(73%)得た。
実施例A9
a) 中間体22の製造
【0185】
【化56】

【0186】
中間体4(0.075モル)をMeOH(500ml)とTHF(500ml)に入れることで生じさせた混合物にN下5℃でナトリウムヒドロボレート(0.15モル)を分割して加えた。この混合物を5℃で1時間に続いて室温で1時間撹拌した。この混合物を氷の中に注ぎ込んだ後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させた。その残留物(36.82g、92%)の一部(3g)をジエチルエーテルとTHFから再結晶化させることで融点が237.7℃の中間体22を2g得た。
b) 中間体23の製造
【0187】
【化57】

【0188】
中間体22(0.0162モル)をDCM(200ml)に入れることで生じさせた溶液に0℃で塩化チオニル(10ml)を滴下した。この滴下が終了した時点で、その混合物を室温で12時間撹拌した。この混合物に蒸発を真空下で受けさせた後、その生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体23の収量は4.6g(100%)であった。
実施例A10
a) 中間体24の製造
【0189】
【化58】

【0190】
中間体4(0.076モル)を塩化ホスホリル(60ml)に入れることで生じさせた混合物を60℃で5時間撹拌した。この混合物に蒸発を乾固まで受けさせ、その残留物を氷の中に入れ、NaHCOで塩基性にした後、EtOAcで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させた。その生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体24の収量は18g(86%)であった。
b) 中間体25の製造
【0191】
【化59】

【0192】
中間体24(0.035モル)をMeOH(100ml)に入れることで生じさせた溶
液にナトリウムメチラート(0.16モル)を加えた後、この混合物を撹拌しながら5時間還流させた。この混合物を室温に冷却し、氷水の中に注ぎ込んだ後、EtOAcで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから結晶化させることで中間体25を7g(72%)得た。
c) 中間体26の製造
【0193】
【化60】

【0194】
1−メチル−1H−イミダゾール(0.0539モル)をTHF(80ml)に入れることで生じさせた溶液にN流下−70℃でn−BuLi(0.0539モル)をゆっくり加えた。この混合物を−70℃で30分間撹拌した。クロロトリエチル−シラン(0.0539モル)を加えた。この混合物を室温に温めた後、−70℃に冷却した。n−BuLi(0.0539モル)をゆっくり加えた。この混合物を−70℃で1時間撹拌した後、−15℃になるまで温め、そして−70℃に冷却した。中間体25(0.0414モル)をTHF(50ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた。この混合物を室温に温めた後、室温で一晩撹拌した。水を加えた。この混合物にEtOAcによる抽出を受けさせた。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(28g)をシリカゲル(20−45μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 96.5/3.5/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体26を9.7g(65%)得た。
実施例A11
a) 中間体27の製造
【0195】
【化61】

【0196】
N−(2−メトキシエチル)−1−(フェニルメチル)−4−ピペリジンアミン(0.0402モル)をエタノール(100ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を10%Pd/C(1g)を触媒として用いて3バールの圧力下40℃で2時間に続いて室温で3時間受けさせた。H(1当量)の吸収が起こった後に触媒をセライトに通して濾過し、エタノールで洗浄した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体27の収量は6.5g(99%)であった。
b) 中間体28の製造
【0197】
【化62】

【0198】
2−ブロモ−6−クロロ−フェナントリジン(0.124モル)をMeOH(413ml)に入れることで生じさせた混合物にMeOH中30%のナトリウムメチラート(138ml)を加えた。この混合物を撹拌しながら一晩還流させた後、氷の上に注ぎ出して、DCMで抽出した。沈澱物を濾別した後、乾燥させた。その濾液を乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(19.7g)をシリカゲル(20−45μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/シクロヘキサン 30/70)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体28を9.6g(27%)得た。
c) 中間体29の製造
【0199】
【化63】

【0200】
中間体28(0.014モル)をTHF(40ml)に入れることで生じさせた混合物にN流下−78℃で1.6MのnBuLi(0.028モル)を滴下した。この混合物を−78℃で1時間撹拌した。2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−カルボキサルデヒド(0.0305モル)をTHF(40ml)に入れることで生じさせた混合物を加えた。この混合物を−78℃で1時間撹拌し、それに加水分解を受けさせた後、EtOAcによる抽出を受けさせた。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(11.2g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/EtOAc 70/30)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体29を4g(77%)得た。
d) 中間体30の製造
【0201】
【化64】

【0202】
中間体29(0.0107モル)を3Nの塩酸(40ml)とTHF(10ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら一晩還流させた後、水の中に注ぎ出した。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで中間体30を3.7g(97%)得た。
e) 中間体31の製造
【0203】
【化65】

【0204】
中間体30(0.0028モル)をDCM(10ml)に入れることで生じさせた混合物に室温で塩化チオニル(10ml)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を乾固まで蒸発させた。この生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体31の収量は1.3g(定量的)であった。
実施例A12
a) 中間体32の製造
【0205】
【化66】

【0206】
6−ブロモ−3−エチル−2−メトキシ−キノリン(0.0376モル)をTHF(200ml)に入れることで生じさせた溶液にN流下−78℃で1.6MのnBuLi(0.0451モル)をゆっくり加えた。この混合物を90分間撹拌した後、再び−78℃に冷却した。ピペロニルアルデヒド(0.0376モル)をTHF(100ml)に入れることで生じさせた混合物を滴下した。この混合物を2時間撹拌し、水と塩化アンモニウムの中に注ぎ出した後、EtOAcで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(14.9g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 99/1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が116℃の中間体32を1g得た。
実施例A13
a) 中間体33の製造
【0207】
【化67】

【0208】
中間体10(0.0183モル)をDCM(50ml)に入れることで生じさせた溶液にN下10℃で塩化チオニル(0.069モル)を滴下した後、この混合物を10℃で1時間そして室温で一晩撹拌した。この混合物に蒸発を受けさせた後、その残留物をDCMで取り上げた。この混合物を10%の炭酸カリウムでアルカリ性にした後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させることで中間体33を5.10g(94%)得た。
b) 中間体34の製造
【0209】
【化68】

【0210】
塩酸4,4−ピペリジンジオール(0.1974モル)と炭酸カリウム(0.396モル)をDMF(150ml)に入れることで生じさせた混合物をN流下40℃で15分間撹拌した後、N流下40℃で中間体33(0.0987モル)をDMF(150ml)に入れることで生じさせた溶液に迅速添加した。この混合物をN流下で12時間撹拌した。溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物を水とDCMで取り上げ、3Nの塩酸で洗浄した後、それに傾斜法を受けさせた。その水層を水酸化アンモニウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(17g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/25/0.5)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物を2−プロパノン/DIPEから結晶化させた。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで中間体34を3.2g得た。
実施例A14
a) 中間体35の製造
【0211】
【化69】

【0212】
塩化アルミニウム(0.2699モル)を1,2−ジクロロ−エタン(25ml)に入れることで生じさせた混合物に5℃で塩化1−アセチル−4−ピペリジンカルボニル(0.1227モル)をゆっくり加えた。この混合物を65℃に加熱した。2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン(0.18405モル)を加えた。この混合物を60℃で15時間撹拌し、室温に冷却し、水の中に注ぎ出した後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(44.44g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 97.5/2.5)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(27g、76%)の一部(0.2g)をMEKとDIPEから結晶化させた。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が102℃の中間体35を得た。
b) 中間体36の製造
【0213】
【化70】

【0214】
6−ブロモ−3−エチル−2−メトキシ−キノリン(0.075モル)をTHF(200ml)に入れることで生じさせた溶液にN流下−78℃でヘキサン中1.6MのnBuLi(0.09モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間撹拌した。中間体35(0.075モル)をTHF(100ml)に入れることで生じさせた混合物を−78℃で滴下した。この混合物を−30℃で2時間撹拌し、水と塩化アンモニウムの中に注ぎ出した後、EtOAcで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(37.1g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.15)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEから結晶化させた。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が114℃の中間体36を0.8g得た。
c) 中間体37の製造
【0215】
【化71】

【0216】
中間体36(0.0504モル)を3Nの塩酸(400ml)とTHF(200ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら12時間還流させた後、氷水の中に注ぎ出し、水酸化アンモニウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 90/10/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEから結晶化させた。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が249℃の中間体37を7.45g(37%)得た。
d) 中間体38の製造
【0217】
【化72】

【0218】
中間体37(0.015モル)をMeOH(100ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を10%Pd/C(1.3g)を触媒として用いて20バールの圧力下50℃で15時間受けさせた。Hの吸収が起こった後に触媒を濾別した。水添を継続した。Hの吸収が起こった後に触媒を濾別した後、その濾液に蒸発を乾固まで受けさせた。その残留物(5.4g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 85/15/1)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体38を3.5g(54%)得た。
実施例A15
a) 中間体39の製造
【0219】
【化73】

【0220】
6−ブロモ−3−エチル−2−メトキシ−キノリン(0.02488モル)をTHF(120ml)に入れることで生じさせた溶液にN流下−78℃で1.6MのnBuLi(0.02986モル)を加えた。この混合物を−30℃で1時間撹拌した後、再び−70℃に冷却した。1−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−3−(1−ピペリジニル)−1−プロパノン(0.02488モル)をTHF(60ml)に入れることで生じさせた混合物をゆっくり加えた。この混合物を−70℃で1時間撹拌し、水と塩化アンモニウムの中に注ぎ出した後、EtOAcで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(14.92g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 94/6/0.1)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体39を7.2g(63%)得た。
b) 中間体40、41および42の製造
【0221】
【化74】

【0222】
中間体39(0.0123モル)と6Nの塩酸(95ml)とTHF(38ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら15時間還流させ、室温に冷却し、氷の上に注ぎ出し、濃水酸化アンモニウム溶液で塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(13.6g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 94/6/0.5)で精製した。所望画分を3画分集めた後、それらの溶媒を蒸発させることでF1(E異性体)を2.1g、F2(Z異性体)を2gおよび中間体40(E+Z異性体混合物)を0.67g得た。F1およびF2画分の両方を2−プロパノンから結晶化させた。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで中間体41(E)を0.7gおよび中間体42(Z)を0.7g得た。
実施例A16
中間体43の製造
【0223】
【化75】

【0224】
4−(1H−イミダゾール−1−イルフェニルメチル)−ベンゼンアミン(0.089モル)をピリジン(20ml)とDCM(150ml)に入れることで生じさせた0℃の溶液に塩化α−エチル−シンナモイル(0.107モル)を加えた後、この混合物を4時間撹拌した。この混合物に蒸発を乾固まで受けさせ、その残留物を水酸化アンモニウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、乾固まで蒸発させた。この生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体43を得た。実施例A17
a) 中間体44の製造
【0225】
【化76】

【0226】
1−(4−クロロフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−エタノン(0.09064モル)をMeOH(500ml)に入れることで生じさせた溶液にラネーニッケル(25g)を加えた。この混合物を減圧(3バール)下で30分間撹拌した。次に、この熱反応混合物を濾別した。溶媒を蒸発させることで中間体44を得た。
b) 中間体45の製造
【0227】
【化77】

【0228】
中間体44(0.252モル)をDCM(600ml)に入れることで生じさせた溶液に無水酢酸(71.5ml)を滴下した。この混合物を室温で1時間撹拌した。次に、この混合物を氷水の上に注ぎ、濃水酸化アンモニウムで中和し、それに傾斜法を受けさせ、それを洗浄し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させることで融点が190℃の中間体45を72g(99%)得た。
c) 中間体46の製造
【0229】
【化78】

【0230】
中間体45(0.25モル)を無水酢酸(500ml)に入れることで生じさせた室温の混合物に硝酸(発煙)(39.6ml)を分割して加えた。この混合物を1時間撹拌した。次に、この混合物を氷水の上に注ぎ、濃水酸化アンモニウムで中和し、濾別し、MEKで洗浄した後、乾燥させることで融点が145℃の中間体46を47g(56.5%)得た。
d) 中間体47の製造
【0231】
【化79】

【0232】
中間体46(0.1202モル)を3Nの塩酸(100ml)とTHF(300ml)に入れることで生じさせた混合物を60℃で12時間撹拌し、水の中に注ぎ出した後、DCMで3回(3x80ml)抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで融点が112℃の中間体47を34g(97%)得
た。
e) 中間体48の製造
【0233】
【化80】

【0234】
中間体47(0.0103モル)をMeOH(350ml)に入れることで生じさせた混合物に水添をラネーニッケル(34g)を触媒として用いて室温で3バールの圧力下で90分間受けさせた。H(3当量)の吸収が起こった後、触媒をセライトに通して濾過し、MeOHで洗浄した後、その濾液に蒸発を受けさせることで融点が128℃の中間体48を23g(75%)得た。
f) 中間体49および50の製造
【0235】
【化81】

【0236】
中間体48(0.0882モル)を水(160ml)に入れることで生じさせた混合物を0℃で撹拌した。2−オキソ−酪酸(0.112モル)を酢酸(70ml)に入れることで生じさせた溶液を分割して0℃で加えた。この混合物を室温に温めた後、室温で12時間撹拌し、水と3Nの水酸化ナトリウムの中に注ぎ出した後、DCMとMeOHで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(33g)をDCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1に溶解させた。沈澱物を濾別(*)した後、MeOHとDCMを用いて2回結晶化させた。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が228℃の中間体49を0.64g(3%)得た。(*)その濾液をシリカゲル(20−45μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物を2−プロパノンのジエチルエーテルから結晶化させた。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が236℃の中間体50を1.5g(5%)得た。
実施例A18
a) 中間体51の製造
【0237】
【化82】

【0238】
中間体46(0.141モル)をMeOH(500ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃に冷却して、これにナトリウムヒドロボレート(0.0141モル)を滴下した。次に、水を加え、沈澱物を濾別し、洗浄した後、乾燥させることで中間体51を44g(93.2%)得た。
b) 中間体52の製造
【0239】
【化83】

【0240】
中間体51(0.131モル)をDCM(400ml)に入れることで生じさせた溶液にトリエチルアミン(36.6ml)を加えた。この混合物を0℃に冷却した。次に、塩化メタンスルホニル(20.35ml)を滴下した。この混合物を室温で一晩撹拌した。次に、この混合物を氷水の中に注ぎ込み、それに傾斜法を受けさせ、それを洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、溶媒を蒸発させることで中間体52を58g(100%)得た。
c) 中間体53の製造
【0241】
【化84】

【0242】
中間体52(0.131モル)をアセトニトリル(400ml)と1H−イミダゾール(0.658モル)と炭酸カリウム(89.06g)に入れることで生じさせた混合物を80℃で一晩撹拌した。溶媒を乾固まで蒸発させた後、その残留物をDCMで取り上げ、それに傾斜法を受けさせ、それを洗浄し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(35g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 98/2)で精製することで融点が131℃の中間体53を13g(27.6%)得た。
d) 中間体54の製造
【0243】
【化85】

【0244】
中間体53(0.0352モル)を2Nの水酸化ナトリウム(130ml)とエタノール(13ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で24時間撹拌した後、その反応混合物を塩酸で中和して、DCMで抽出した。その有機層を水で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾別した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPE/2−プロパノンから結晶化させ、その結果として生じた沈澱物を集めることで融点が153℃の中間体54を10g(82.8%)得た。
e) 中間体55の製造
【0245】
【化86】

【0246】
中間体54(0.0292モル)をMeOH(100ml)に入れることで生じさせた混合物に水添をラネーニッケル(10g)を触媒として用いて室温で1時間受けさせた。H(3当量)の吸収が起こった後、その溶液をセライトの路に通して濾過した後、溶媒を蒸発(真空)けさせることで中間体55を9.1g得た(さらなる精製なしにそのまま次の反応段階で用いた)。
実施例A19
a) 中間体56の製造
【0247】
【化87】

【0248】
中間体46(0.141モル)をMeOH(500ml)に入れることで生じさせた溶液を10℃に冷却して、これにナトリウムヒドロボレート(0.0141モル)を分割して加えた。次に、水を加えた後、沈澱物を濾別し、洗浄した後、乾燥させることで中間体56を44g(93.2%)得た。
b) 中間体57の製造
【0249】
【化88】

【0250】
中間体56(0.0239モル)とトリエチルアミン(0.048モル)をDCM(8
0ml)に入れることで生じさせた0℃の溶液に塩化メチルスルホニル(0.048モル)をゆっくり加えた。この混合物を4時間かけて室温になるまで温めた。溶媒を乾固まで蒸発させた。この生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体57を得た。
c) 中間体58の製造
【0251】
【化89】

【0252】
中間体57(0.0291モル)とピロリジン(0.0871モル)と炭酸カリウム(0.0868モル)をアセトニトリル(150ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら12時間還流させた後、冷却し、濾過し、アセトニトリルで洗浄し、再び濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物をDCMと水で取り上げた。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(12g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 99/1/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体58を1.7g(15%)得た。
d) 中間体59の製造
【0253】
【化90】

【0254】
中間体58(0.00438モル)を3Nの水酸化ナトリウム(80ml)とエタノール(20ml)に入れることで生じさせた混合物を室温℃で12時間撹拌し、水の中に注ぎ出した後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させることで中間体59を1.2g(80%)得た。
e) 中間体60の製造
【0255】
【化91】

【0256】
中間体59(0.00347モル)をMeOH(80ml)に入れることで生じさせた混合物に水添をラネーニッケル(1.2g)を触媒として用いて室温で3バールの圧力下で30分間受けさせた。H(3当量)の吸収が起こった後、触媒をセライトに通して濾過し、MeOHで洗浄した後、その濾液に蒸発を受けさせた。この生成物をさらなる精製なしに用いたが、中間体60の収量は0.98gであった。
実施例A20
a) 中間体61の製造
【0257】
【化92】

【0258】
反応(I): 4−クロロ−3−ニトロ−安息香酸(0.125モル)を塩化チオニル(30ml)とクロロホルム(60ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら4.5時間還流させた後、その反応混合物に濃縮を乾固まで受けさせることで残留物(I)を得た。
反応(II): 残留物(I)をジクロロベンゼン(65ml)に溶解させた後、その結果として生じた溶液を、塩化アルミニウム(0.188モル)をクロロベンゼン(65ml)に入れることで生じさせた懸濁液を冷却(氷浴)下で撹拌しながらこれに滴下した。この反応混合物を室温で一晩撹拌し、氷水の中に注ぎ出した後、DCMで抽出した。その抽出液をNaHCO溶液そして水で洗浄した後、乾燥(MgSO)させ、そしてそれに濃縮(真空)を乾固まで受けさせた。その残留物を2−プロパノールから結晶化させ、所望生成物を集めることで融点が83.4℃の中間体61を23.7g得た。
b) 中間体62の製造
【0259】
【化93】

【0260】
中間体61(0.06モル)とNH(10g)をMeOH(180ml)とチオファンジオキサイド(20ml)に入れることで生じさせた混合物を圧力管に入れて120−130℃に一晩加熱した後、MeOHを減圧下で留出させ、その残留物を希塩酸水溶液に入れて沸騰下で撹拌した。この混合物を冷却し、結果として生じた沈澱物を吸引で取り出した後、水で洗浄し、そしてエタノールを用いて再結晶化させた。最後に、所望生成物を集めることで融点が200.9℃の中間体62を12g(72.3%)得た。
c) 中間体63の製造
【0261】
【化94】

【0262】
中間体62(0.0686モル)をDCM(200ml)と塩化アセチル(20ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で12時間撹拌した後、溶媒を蒸発乾固させた。その残留物をジエチルエーテル(50ml)で取り上げた後、所望生成物を濾別して乾燥させることで融点が138℃の中間体63を21.6g(99%)得た。
d) 中間体64の製造
【0263】
【化95】

【0264】
中間体63(0.066モル)をMeOH(200ml)に入れることで生じさせた混合物を0℃で撹拌しながらこれにナトリウムヒドロボレート(0.066モル)を水に入れることで生じさせた溶液を滴下した後、この反応混合物を室温で1時間撹拌し、そして溶媒を蒸発させた。その残留物にDCM/MeOH/HOによる抽出を受けさせた後、その抽出液を乾燥(MgSO)させた。最後に溶媒を蒸発させた後、所望生成物を集めることで融点が198℃の中間体64を20.4g(97%)得た。
e) 中間体65の製造
【0265】
【化96】

【0266】
滴下漏斗と温度計を取り付けておいた3つ口反応フラスコ(500ml)の中で中間体64(0.062モル)とトリエチルアミン(0.125モル)をDCM(200ml)に入れることで生じさせた混合物を0℃に冷却し、温度を0−5℃に維持しながら塩化メチルスルホニル(0.125モル)を滴下した後、この反応混合物を室温で4時間撹拌し、そして水(1000ml)の中に注ぎ出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾別した後、溶媒を蒸発させることで中間体65を18g(油、85%)得た。f) 中間体66の製造
【0267】
【化97】

【0268】
中間体65(0.0490モル)と1H−1,2,4−トリアゾール(0.265モル)と炭酸カリウム(0.267モル)をアセトニトリル(200ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら2時間還流させた後、溶媒を蒸発乾固させ、そしてその残留物を水とDCMの間で分離させた。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾別した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用高性能液クロ(溶離剤:DCM/MeOH 98/2)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体66を14g(71%)得た。
g) 中間体67の製造
【0269】
【化98】

【0270】
中間体66(0.0376モル)を3Nの塩酸(80ml)に入れることで生じさせた混合物を室温℃で12時間撹拌し、水(200ml)を加えた後、この反応混合物を炭酸カリウムで中和し、そしてそれにDCM/MeOHによる抽出を受けさせた。その有機抽出液を乾燥(MgSO)させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(12g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 98/2)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体67を7.2g(58%)得た。
h) 中間体68の製造
【0271】
【化99】

【0272】
中間体67(0.0218モル)をMeOH(100ml)に入れることで生じさせた混合物に水添をラネーニッケル(7g)を触媒として用いて1時間受けさせた。H(3当量)の吸収が起こった後、NでHを追い出し、そして触媒をセライトで濾過した。その結果として得た残留物をそのまま次の反応段階で用いたが、中間体68の収量は6.54gであった。
実施例A21
中間体69の製造
【0273】
【化100】

【0274】
6−ブロモ−3−エチル−2−メトキシ−キノリン(0.02488モル)をTHF(120ml)に入れることで生じさせた溶液にN流下−78℃で1.6MのnBuLi(0.02986モル)を加えた。この混合物を−30℃で1時間撹拌した後、再び−70℃に冷却した。1−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−3−(1−ピペリジニル)−1−プロパノン(0.02488モル)をTHF(60ml)に入れることで生じさせた混合物をゆっくり加えた。この混合物を−70℃で1時間撹拌し、水と塩化アンモニウムの中に注ぎ出した後、EtOAcで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(14.92g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 94/6/0.1)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させることで中間体69を7.2g(63%)得た。
実施例A22
中間体70の製造
【0275】
【化101】

【0276】
6−ブロモ−3−エチル−2−メトキシ−キノリン(0.075モル)をTHF(200ml)に入れることで生じさせた溶液にN流下−78℃でヘキサン中1.6MのnBuLi(0.09モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間撹拌した。1−アセチル−4−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)カルボニル]−ピペリジン(0.075モル)をTHF(100ml)に入れることで生じさせた混合物を−78℃で滴下した。この混合物を−30℃で2時間撹拌し、水と塩化アンモニウムの中に注ぎ出した後、EtOAcで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(37.1g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.15)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEから結晶化させた。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が114℃の中間体70を0.8g得た。
B. 最終的化合物の製造
実施例B1
化合物1の製造
【0277】
【化102】

【0278】
中間体5(0.013モル)を6Nの塩酸(40ml)と2−プロパノール(40ml
)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら80℃に6時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、氷水の中に注ぎ込み、NHOHで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させた。その残留物をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(3.9g)をEtOAcから結晶化させることで融点が174.3℃の化合物1を2.47g(27%)得た。
実施例B2
化合物2の製造
【0279】
【化103】

【0280】
酸化クロム(VI)(0.01186モル)を水(2.2ml)に入れることで生じさせた0℃の溶液に硫酸(1ml)を加えた。次に、この混合物を中間体7(0.00593モル)を2−プロパノン(40ml)に入れることで生じさせた0℃の懸濁液に加えた。この混合物を室温で3時間撹拌し、10%の炭酸カリウム水溶液の中に注ぎ出した後、DCMで抽出した。その沈澱物を濾別した後、DCMとMeOH(50/50)の沸騰している混合物で洗浄した。その有機層を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物をMeOHから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が255℃の化合物2を0.69g得た。
実施例B3
化合物3の製造
【0281】
【化104】

【0282】
中間体10(0.01432モル)を無水酢酸(50ml)に入れることで生じさせた混合物を100℃で3時間撹拌した。この混合物を氷の中に注ぎ込み、水酸化アンモニウムで塩基性にした後、EtOAcで抽出した。その有機層を水で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾別した後、乾固まで蒸発させた。その残留物をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから結晶化させることで融点が168.2℃の化合物3を1.65g(36%)得た。
実施例B4
化合物4の製造
【0283】
【化105】

【0284】
中間体12(0.022モル)と塩化トシル(0.033モル)を10%の炭酸カリウム(100ml)とDCM(100ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物にDCMによる抽出を受けさせた。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから再結晶化させることで融点が227.5℃の化合物4を5g(84%)得た。
実施例B5
化合物5の製造
【0285】
【化106】

【0286】
中間体15(0.044モル)を無水酢酸(100ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながら2時間還流させた。この混合物に蒸発を乾固まで受けさせた。その残留物を水で取り上げ、水酸化アンモニウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、乾固まで蒸発させた。その残留物(13.49g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させた。その残留物(3g、22%)を活性炭とMeOHの溶液に加えた。この混合物を撹拌し、セライトに通して濾過した後、乾固まで蒸発させた。その残留物をMEKから結晶化させることで融点が254.2℃の化合物5を1.77g(13%)得た。
実施例B6
化合物6の製造
【0287】
【化107】

【0288】
中間体17(0.00945モル)をアセトニトリル(50ml)に入れることで生じさせた混合物にホルムアルデヒド(0.189モル)およびナトリウムシアノトリヒドロ
ボレート(0.028モル)を加えた。酢酸(0.019モル)を10分かけて注意深く加えた後の混合物を室温で3時間撹拌した。この混合物をジエチルエーテルで抽出した後、3Nの水酸化ナトリウムで洗浄した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させた。その残留物を2−プロパノンから再結晶化させることで融点が226.7℃の化合物6を1.6g(76%)得た。
実施例B7
化合物7の製造
【0289】
【化108】

【0290】
中間体19(0.0265モル)をTHF(200ml)に入れることで生じさせた溶液に1−ピペリジンプロパンアミン(0.0794モル)を加えた。この混合物を室温で4時間撹拌した。溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物を水で数回洗浄した後、98/2のDCM/MeOHで取り上げた。その有機溶液を乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(4g)をシリカゲル(35−70μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 90/10/1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させた。その残留物(2.8g)を10%の炭酸カリウムとDCMで取り上げた後、DCMで抽出した。その有機溶液を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(2.2g)をジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで化合物7を水化物(1:1)として1.85g(16%)得た。
実施例B8
化合物8の製造
【0291】
【化109】

【0292】
中間体21(0.01モル)をDCM(52ml)とピリジン(3ml)に入れることで生じさせた0℃の溶液に塩化アセチル(0.012モル)をDCMに入れて加えた後、この混合物を室温で2時間撹拌した。水を加えた後、生成物をDCMで抽出した。その有機層を1NのHCl水溶液に続いて10%の炭酸カリウム水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾別した後、蒸発させた。その残留物(3.02g)をEtOAcとジエチルエーテルから再結晶化させることで融点が206.2℃の化合物8を1.7g(51%)得た。
実施例B9
化合物9の製造
【0293】
【化110】

【0294】
中間体23(0.0088モル)をMeOH(50ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながら4時間還流させた。この混合物を室温に冷却した後、真空下で蒸発させた。その残留物をEtOAc/DCM/MeOHで取り上げた後、活性炭と一緒にして撹拌した。沈澱物をセライトを用いた濾過で除去した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物をDCM/MeOHから再結晶化させることで融点が207.3℃の化合物9を1.5g(62%)得た。
実施例B10
化合物10の製造
【0295】
【化111】

【0296】
中間体26(0.0148モル)を酢酸(80ml)に入れることで生じさせた混合物に12Nの塩酸(20ml)および塩化錫(II)(0.0888モル)を加えた。この混合物を120℃で24時間撹拌し、水の中に注ぎ出し、水酸化アンモニウムで塩基性にし、セライトに通して濾過した後、DCMで濯いだ。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(4.86g)を2−プロパノンとジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させた。その残留物(4.05g、83%)をDCMで取り上げた。この混合物を水で洗浄した後、セライトに通して濾過した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(3.46g)を2−プロパノンとジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで化合物10を融点が240℃の水化物(1:1)として2.71g得た。
実施例B11
化合物11の製造
【0297】
【化112】

【0298】
中間体31(0.0028モル)と中間体27(0.0056モル)と炭酸カリウム(0.0084モル)をアセトニトリル(10ml)に入れることで生じさせた混合物を80℃で2時間撹拌した。水を加えた。この混合物にEtOAcによる抽出を受けさせた。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(1.1g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 94/6/0.2)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(0.6g、43%)をジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が116℃の化合物11を0.201g(14%)得た。
実施例B12
化合物12の製造
【0299】
【化113】

【0300】
中間体32(0.0235モル)を3Nの塩酸(132ml)とTHF(80ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら4時間還流させ、室温に冷却した後、氷水の中に注ぎ出した。沈澱物を濾別し、水そしてジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させた。その残留物(5.7g)の一部(1g)を2−プロパノンから結晶化させた。その沈澱物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させることで融点が211℃の化合物12を0.5g得た。
実施例B13
化合物13の製造
【0301】
【化114】

【0302】
中間体34(0.0147モル)と2−メトキシ−エタンアミン(0.0176モル)をMeOH(80ml)に入れることで生じさせた溶液をN流下0℃で撹拌しながらこ
れにナトリウムシアノトリヒドロボレート(0.0147モル)を分割して加えた。この混合物を30分かけて室温になるまで温めた後、氷水の中に注ぎ出して、DCMで2回(2x100ml)抽出した。その有機層を一緒にして乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(5g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.3)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物から結晶を析出させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させた。その残留物をジエチルエーテルと石油エーテルから再結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで化合物13を2.1g(34%)得た。
実施例B14
化合物14および15の製造
【0303】
【化115】

【0304】
中間体38(0.001409モル)と(3−クロロ−1−プロペニル)−ベンゼン(0.00183モル)と炭酸カリウム(0.00507モル)をDMF(10ml)に入れることで生じさせた混合物を70℃で15時間撹拌し、室温になるまで冷却し、水の中に注ぎ出した後、EtOAcで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(2.95g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.1そして80/20/0.5)で精製した。2画分を集めた後、それらの溶媒を蒸発させることでF1を0.24g(33%)とF2を0.5g(53%)得た。F1を2−プロパノンとDIPEから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が107℃の化合物14を0.16g得た。F2を2−プロパノンとジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させた。その残留物(0.38g)をHCl(3N)で取り上げた。この混合物にDCMによる抽出を受けさせた。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させることで融点が198℃の化合物15を0.25g得た。
実施例B15
化合物16の製造
【0305】
【化116】

【0306】
中間体40(0.00836モル)をMeOH(60ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を10%Pd/C(0.36g)を触媒として用いて3バールの圧力下で15時間受けさせた。H(1当量)の吸収が起こった後に触媒をセライトに通して濾過した後、その濾液に蒸発を乾固まで受けさせた。その残留物(3.4g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(1.8g、50%)をMEKとDIPEから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が181℃の化合物16を得た。
実施例B16
化合物17の製造
【0307】
【化117】

【0308】
中間体43(0.088モル)とクロロベンゼン(1.162モル)を塩化アルミニウム(300ml)に入れることで生じさせた混合物を100℃で12時間撹拌した。この混合物を水の中に注ぎ込み、水酸化アンモニウムで塩基性にし、セライトに通して濾過した後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させ、濾過した後、乾固まで蒸発させた。その残留物(49.35g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.2)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させた。その残留物(4.1g、14%)をMeOHに入れて50℃で撹拌した。この混合物をセライトに通して濾過した後、その濾液に蒸発を乾固まで受けさせた。その残留物をMEK/DIPE/MeOHから結晶化させることで融点が220.1℃の化合物17を2.58g(9%)得た。
実施例B17
化合物18の製造
【0309】
【化118】

【0310】
化合物2(0.0089モル)を蟻酸(11.3ml)とホルムアミド(3ml)に入れることで生じさせた混合物を160℃で15時間撹拌した後、室温に冷却した。蟻酸(11.3ml)およびホルムアミド(3ml)を再び加えた。この混合物を160℃で6時間撹拌し、室温に冷却し、氷水の中に注ぎ出した後、濃水酸化アンモニウム溶液で塩基性にした。DCMを加えた。沈澱物を濾別した後、水とMeOHで取り上げた。この混合物を20分間撹拌した。沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が>260℃の化合物18を1.55g(48%)得た。
実施例B18
化合物19の製造
【0311】
【化119】

【0312】
[中間体49(0.012モル)と中間体50(0.012モル)の混合物(0.024モル)]をMeOH(80ml)とTHF(80ml)に入れることで生じさせた懸濁液にN流下0℃でナトリウムテトラヒドロボレート(0.0292モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間撹拌した後、水の中に注ぎ出して、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(7.5g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/2−プロパノール/NHOH 96/4/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(5g)をC18[カラム:HYPERSIL(商標)C18 10μ]使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:MeOH/HO 68/32)でそれの異性体に分離した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(2g、25%)をMeOHから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が204℃の化合物19を2g得た。
実施例B19
化合物20の製造
【0313】
【化120】

【0314】
中間体55(0.02モル)を水(100ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃で撹拌した後、プロピオニル蟻酸(0.029モル)を酢酸(30ml)に入れることで生じさせた溶液を滴下し、次にその結果として生じた溶液を室温で2時間撹拌した後、氷水の中に注ぎ出した。この混合物を水酸化ナトリウム(3N)で中和してpH:7にした後、DCMで抽出した。その有機層を乾燥(MgSO)させた後、溶媒を蒸発乾固させた。油状残留物(11g)をシリカゲル使用高性能液クロ(溶離剤:トルエン/2−プロパノール/NHOH 90/10/0.1)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をMeOH/DCMから結晶化させ、その結果として生じた固体を集めることで融点が270℃の化合物20を1.6g(15%)得た。
実施例B20
化合物21の製造
【0315】
【化121】

【0316】
中間体60(0.0031モル)と2−オキソ−酪酸エチルエステル(0.00622モル)をMeOH(50ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら12時間還流させた。溶媒を蒸発させた。その残留物(2g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.5)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をMEKとDIPEから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が194℃の化合物21を0.215g(18%)得た。
実施例B21
化合物22の製造
【0317】
【化122】

【0318】
中間体68(0.0250モル)を酢酸(適量)と水(80ml)に入れることで生じさせた溶液に0℃でプロピオニル蟻酸(0.0264モル)を酢酸(適量)に入れることで生じさせた混合物を滴下し、その溶液を0℃で2時間撹拌した後、氷水の中に注ぎ出した。水酸化ナトリウム(3N)をpHが7になるまで加えた後、結果として生じた溶液にDCM/MeOHによる抽出を受けさせた。その有機層を乾燥(MgSO)させた後、溶媒を蒸発(真空)させた。その油状粗残留物(12g)をMeOH/DCMで取り上げた。その母層を蒸発乾固させた後、その残留物をEtOAc/MeOHから結晶化させ、最終的に所望生成物を集めることで融点が188℃の化合物22を1.4g(16%)得た。
実施例B22
化合物129および130の製造
【0319】
【化123】

【0320】
中間体69(0.0123モル)を6Nの塩酸(95ml)とTHF(38ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら15時間還流させ、室温に冷却し、氷の上に注ぎ出し、濃NHOH溶液で塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(13.6g)をシリカゲル(15−35μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 94/6/0.5)で精製した。所望画分を2画分集めた後、それらの溶媒を蒸発させた。両方の画分とも2−プロパノンから結晶化させた。各沈澱物を濾別した後、乾燥させることで、融点が170℃の化合物130を0.7gと融点が252℃の化合物129を0.7g得た。
実施例B23
化合物131の製造
【0321】
【化124】

【0322】
中間体70(0.0504モル)を3Nの塩酸(400ml)とTHF(200ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながら12時間還流させた後、氷水の中に注ぎ込み、水酸化アンモニウムで塩基性にした後、DCMで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 90/10/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をDIPEから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が249℃の化合物131を7.45g(37%)得た。
実施例B24
化合物132の製造
【0323】
【化125】

【0324】
中間体131(0.00124モル)と1−(2−ブロモエチル)−4−メトキシ−ベンゼン(0.00186モル)と炭酸カリウム(0.00657モル)をDMF(10ml)に入れることで生じさせた混合物を70℃で15時間撹拌し、室温に冷却、水の中に注ぎ出した後、EtOAcで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を乾固まで蒸発させた。その残留物(2.33g)をシリカゲル(15−40μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物(0.37g)を2−プロパノンとジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が203℃の化合物132を0.24g得た。
実施例B25
化合物133の製造
【0325】
【化126】

【0326】
化合物131(0.00248モル)と[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−オキシラン(0.00289モル)を2−プロパノール(15ml)に入れることで生じさせた溶液を80℃で12時間撹拌した。固体を濾別した後、乾燥させた。その残留物をシリカゲル(35−70μm)使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.1)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をメチルエチルケトンとジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで融点が219℃の化合物133を0.72g(50%)得た。
実施例B26
化合物144および145の製造
【0327】
【化127】

【0328】
中間体42(0.0046モル)とPd/C(0.1g)をTHF(40ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を大気圧下室温で18時間受けさせた後、セライトの上に置いて濾過した。その濾液に蒸発を受けさせた。その残留物(2.5g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.5;15−40μm)で精製した。2画分集めた後、溶媒を蒸発させることで、F1を1.6gとF2を0.5g得た。F1をキラルクロマトグラフィー(Chiralpak AD:溶離剤:MeOH 100;20μm)で2種類の鏡像異性体に分離した。2画分を集めた後、溶媒を蒸発させることでF3を0.56gとF4を0.38g得た。F3を2−プロパノン/DIPEから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで化合物144(融点が159℃)(鏡像異性体A)を0.43g(21%)得た。F4を2−プロパノン/DIPEから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させることで化合物145(融点が172℃)(鏡像異性体B)を0.33g(16%)得た。
【0329】
表1に、この上に示した実施例の中の1つに従って調製した化合物を挙げる。この表では下記の省略形を用いた:Co.No.は化合物番号を表し、Ex.[Bn゜]はBn゜実施例に記述した方法と同じ方法を指す。
【0330】
【表1】

【0331】
【表2】

【0332】
【表3】

【0333】
【表4】

【0334】
【表5】

【0335】
【表6】

【0336】
【表7】

【0337】
【表8】

【0338】
【表9】

【0339】
【表10】

【0340】
【表11】

【0341】
【表12】

【0342】
【表13】

【0343】
薬理学的実施例
PARP−1阻害活性に関するインビトロシンチレーション近接解析(SPA)
本発明の化合物にSPA技術(Amersham Pharmacia Biotechが独自に開発)が基になったインビトロ解析試験を受けさせた。この解析は、原則として、ビオチニル化標的蛋白質、即ちヒストンのポリ(ADP−リボシル)化を検出するに適した充分に確立されたSPA技術に頼っている。ニックDNAで活性化させたPARP−1酵素および[H]−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド([H]−NAD)をADP−リボシル供与体として用いて前記リボシル化を誘発させる。
【0344】
PARP−1酵素活性誘発剤としてニックDNAを調製した。この目的で、25mgのDNA(供給業者:Sigma)を25mlのDNA分解酵素緩衝液[10mMのトリス−HCl、pH7.4;0.5mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA);5mMのMgCl・6HOおよび1mMのKCl]に溶解させて、これにDNA分解酵素溶液(0.15MのNaCl中1mg/ml)を50μl加えた。インキュベーションを37℃で90分間行った後、NaClを1.45g添加した後にさらなるインキュベーションを58℃で15分間実施することで反応を停止させた。この反応混合物を氷上で冷却した後、透析を1.5 lの0.2M KClに対して4℃でそれぞれ1.5および2時間実施しかつ1.5 lの0.01M KClに対してそれぞれ1.5および2時間づつ2回実施した。この混合物を一定分量に分けて−20℃で貯蔵した。Amershamのビオチニル化用キットを用いてヒストン(1mg/ml、タイプII−A、供給業者:Sigma)にビオチニル化を受けさせた後、それを一定分量に分けて−20℃で貯蔵した。PBS中でSPAポリ(ビニルトルエン)(PVT)ビード(供給業者:Amersham)が100mg/mlの原液を作成した。6mlのインキュベーション用緩衝液(50mMのトリス/HCl、pH8;0.2mMのDTT;4mMのMgCl)に[H]−NAD(0.1mCi/ml、供給業者:NEN)を120μl添加することで[H]−NADの原液を作成した。インキュベーション用緩衝液中で4mMのNAD(供給業者:Roche)溶液を作成した(−20℃で貯蔵されている水中100mMの原液を用いて)。本技術分野で公知の技術、即ちヒト肝臓cDNAから出発した蛋白質のクローン化および発現を用いてPARP−1酵素を産生させた。その使用したPARP−1酵素の蛋白質配列に関する情報(引用文献を包含)をSwiss−Protデータベースの中の一次受け入れ番号P09874の下に見ることができる。ビオチニル化ヒストンとPVT−SPAビードを混合した後、予備インキュベーションを室温で30分間実施した。PARP−1酵素(濃度はロットに依存)を前記ニックDNAと混合した後、この混合物の予備インキュベーションを4℃で30分間実施した。前記ヒストン/PVT−SPAビード溶液とPARP−1酵素/DNA溶液を等しい割合で混合した後、96穴ミクロタイタープレートの中の穴1個当たりに前記混合物を75μlとDMSO中の化合物を1μlと[H]−NADを25μl一緒に加えた。このインキュベーション混合物中の最終濃度はビオチニル化ヒストンが2μg/mlでPVT−SPAビードが2mg/mlでニックDNAが2μg/mlでPARP−1酵素が5−10μg/mlの範囲であった。この混合物のインキュベーションを室温で15分間実施した後、インキュベーション用緩衝液中4mMのNADを100μl添加(最終濃度2mM)することで反応を停止させそしてプレートを混合した。
【0345】
前記ビードを少なくとも15分間沈降させた後、プレートをTopCountNXT(商標)(Packard)に移してシンチレーション計数を実施し、値を1分当たりのカウント数(cpm)として表した。各実験毎に対照(PARP−1酵素とDMSOを含有させたが化合物を含有させていない)、ブランクインキュベーション(DMSOを含有させたがPARP−1酵素も化合物も含有させていない)およびサンプル(PARP−1酵素と化合物をDMSOに溶解させて入れた)の実験を並行して実施した。試験を受けさせるあらゆる化合物を溶解させた後、最終的にDMSOで更に希釈した。1番目の例として、化合物に試験を10−5Mまたは10−6Mの濃度で受けさせた。当該化合物が10−5Mまたは10−6Mの時に活性を示した時には用量反応曲線を作成したが、その場合には前記化合物に試験を10−5Mから10−8Mの範囲の濃度で受けさせた。各試験毎に対照値およびサンプル値の両方からブランク値を差し引いた。対照サンプルが最大PARP−1酵素活性に相当していた。各サンプル毎にcpm量を対照が示した平均cpm値のパーセントとして表した。適宜、50%レベルの直ぐ上および直ぐ下の実験点の間の線形補間を用いてIC50値(PARP−1酵素活性を対照の50%にまで低下させるに要する薬剤濃度)を計算した。本明細書では、試験化合物が示した効果をpIC50(IC50値の負log値)として表す。SPA解析の正当性を立証する目的で4−アミノ−1,8−ナフタルイミドを基準化合物として含めた。本発明の化合物は10−5Mまたは10−6Mの初期試験濃度で阻害活性を示した(表2を参照)。
【0346】
PARP−1阻害活性に関するインビトロ濾過分析
本発明の化合物に[32P]−NADをADP−リボシル供与体として用いてPARP−1がヒストンのポリ(ADP−リボシル)化を活性にすることによるそれの活性(ニックDNAの存在が引き金になる)を評価するインビトロ濾過分析試験を受けさせた。放射能を有するリボシル化ヒストンを96穴フィルタープレート中でトリクロロ酢酸(TCA)を用いて沈澱させそして取り込まれた[32P]をシンチレーションカウンターで測定した。
【0347】
ヒストン(原液:HO中5mg/ml)とNAD(原液:HO中100mM)と[32P]−NADがインキュベーション用緩衝液(50mMのトリス/HCl、pH8;0.2mMのDTT;4mMのMgCl)に入っている混合物を作成した。また、PARP−1酵素(5−10μg/ml)とニックDNAの混合物も作成した。前記ニックDNAの調製をPARP−1阻害活性に関するインビトロSPAで記述した如く実施した。96穴フィルタープレート(0.45μm、供給業者:Millipore)の中の穴1個当たりに前記PARP−1酵素/DNA混合物を75μlとDMSO中の化合物を1μlとヒストン−NAD/[32P]−NAD混合物を25μl一緒に加えた。このインキュベーション混合物中の最終濃度はヒストンが2μg/mlでNADが0.1
mMで[32P]−NADが200μM(0.5μC)でニックDNAが2μg/mlであった。プレートを室温で15分間インキュベートした後、氷冷100%TCAを10μl添加した後に氷冷BSA溶液(HO中1%)を10μl添加することで反応を停止させた。蛋白質画分を4℃で10分間沈澱させた後、プレートに真空濾過を受けさせた。その後、そのプレートの各穴を1mlの氷冷10%TCA、1mlの氷冷5%TCAおよび1mlの5%TCA(室温)で洗浄した。最終的に各穴にシンチレーション溶液(Microscint 40、Packard)を100μl加えた後、そのプレートをTopCountNXT(商標)(供給業者:Packard)に移してシンチレーション計数を実施して、値を1分当たりのカウント数(cpm)として表した。各実験毎に対照(PARP−1酵素とDMSOを含有させたが化合物を含有させていない)、ブランクインキュベーション(DMSOを含有させたがPARP−1酵素も化合物も含有させていない)およびサンプル(PARP−1酵素と化合物をDMSOに溶解させて入れた)の実験を並行して実施した。試験を受けさせるあらゆる化合物を溶解させた後、最終的にDMSOで更に希釈した。1番目の例として、化合物に試験を10−5Mの濃度で受けさせた。当該化合物が10−5Mの時に活性を示した時には用量反応曲線を作成したが、その場合には前記化合物に試験を10−5Mから10−8Mの範囲の濃度で受けさせた。各試験毎に対照値およびサンプル値の両方からブランク値を差し引いた。対照サンプルが最大PARP−1酵素活性に相当していた。各サンプル毎にcpm量を対照が示した平均cpm値のパーセントとして表した。適宜、50%レベルの直ぐ上および直ぐ下の実験点の間の線形補間を用いてIC50値(PARP−1酵素活性を対照の50%にまで低下させるに要する薬剤濃度)を計算した。本明細書では、試験化合物が示した効果をpIC50(IC50値の負log値)として表す。濾過分析の正当性を立証する目的で4−アミノ−1,8−ナフタルイミドを基準化合物として含めた。試験を受けさせた化合物は10−5Mの初期試験濃度で阻害活性を示した(表2を参照)。
【0348】
【表14】

【0349】
【表15】

【0350】
【表16】

【0351】
【表17】

【0352】
本化合物に細胞化学および/または放射線増感検定、癌細胞株における内因性PARP−1活性の阻害を測定する検定そして最終的にインビボ放射線増感試験を用いたさらなる評価を受けさせることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

{式中、
nは、0、1または2であり、
Xは、NまたはCR(ここで、Rは、水素であるか、或はRと一緒になって式−CH=CH−CH=CH−で表される二価基を形成していてもよい)であり、
は、C1−6アルキルまたはチオフェニルであり、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6アルキニルであるか、或はRと一緒になって=Oを形成していてもよく、
は、
−(CH−NR (a−1)
−O−H (a−2)
−O−R10 (a−3)
−S−R11 (a−4)、または
−C≡N (a−5)
[ここで、
sは、0、1、2または3であり、
、R10およびR11は、各々独立して、−CHO、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルオキシ、チオフェニルC1−6アルキル、ピロリルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルピペリジニル、アリールカルボニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、そして
は、水素またはC1−6アルキルである]
から選択される基であるか、或は
は、式
−(CH−Z (b−1)
[式中、
tは、0、1、2または3であり、
−Zは、
【化2】

(ここで、R12は、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、アリール、
【化3】

1−6アルキルアミノC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノ、アリールC1−6アルキル、ジ(フェニルC2−6アルケニル)、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、ハロインダゾリル、アリールC1−6アルキル、アリールC2−6アルケニル、アリールC1−6アルキルアミノ、モルホリノ、C1−6アルキルイミダゾリル、ピリジニルC1−6アルキルアミノであり、そして
13は、水素、ピペリジニルまたはアリールである)
から選択される複素環式環系である]
で表される基であり、
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルオキシカルボニル、またはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシまたはアミノC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−6アルキルから選択されるか、或は
とRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式
−O−CH−O (d−1)
−O−(CH−O− (d−2)
−CH=CH−CH=CH− (d−3)、または
−NH−C(O)−NR14=CH− (d−4)
[ここで、R14は、C1−6アルキルである]
で表される二価基を形成していてもよく、
アリールは、フェニルであるか、或はハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルであるが、但し
nが0であり、XがNであり、RがC1−6アルキルであり、Rが水素であり、Rが式(b−1)で表される基であり、tが0であり、−Zが複素環式環系(c−2)(ここで、前記複素環式環系−Zは窒素原子によって分子の残りと結合している)でありそしてR12が水素またはC1−6アルキルの時には置換基R、RまたはRの中の少なくとも1つが水素、ハロ、C1−6アルキルオキシおよびトリハロメチル以外であることを条件とする}
で表される化合物、これのN−オキサイド形態、付加塩および立体化学異性体形態。
【請求項2】
がC1−6アルキルであり、Rが(a−1)、(a−2)、(a−3)または(a−5)から選択される基であるか或は式(b−1)で表される基であり、sが0、1または2であり、RおよびR10が各々独立して−CHO、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルオキシ、チオフェニルC1−6アルキル、ピロリルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルピペリジニル、アリールカルボニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキルまたはアリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、tが0または2であり、−Zが(c−1)、(c−2)、(c−4)、(c−6)、(c−8)、(c−9)または(c−11)から選択される複素環式環系であり、R12が水素、C1−6アルキル、アミノカルボニル、
【化4】

1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノ、ジ(フェニルC2−6アルケニル)、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、ハロインダゾリルまたはアリールC2−6アルケニルであり、R、RおよびRが各々独立して水素、ハロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルオキシカルボニルから選択され、そしてRとRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式(d−1)または(d−2)で表される二価の基を形成していてもよい、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが0であり、XがCHであり、RがC1−6アルキルであり、Rが水素であり、Rが式(b−1)で表される基であり、tが2であり、−Zが(c−1)から選択される複素環式環系であり、R12が水素であり、R13が水素であり、そしてRとRが隣接して位置していて一緒になって式(d−2)で表される二価の基を形成している請求項1および2記載の化合物。
【請求項4】
該化合物が化合物番号16、化合物番号144および化合物番号145
【化5】

である請求項1、2および3記載の化合物。
【請求項5】
式(VII−a)
【化6】

[式中、
、R、R、R、Rおよびアリールは、請求項1で定義した通りであり、
は、水素であるか、或はRと一緒になって式
−(CH−NR15−(CH− (e−1)、または
−CH−NR16−(CH− (e−2)
(ここで、
15およびR16は、各々独立して、水素、C1−6アルキル、
【化7】

1−6アルキルオキシC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、アリールC1−6アルキルまたはアリールC2−6アルケニルから選択される)
で表される二価基を形成していてもよいか、或は
は、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルまたはピペリジニルC1−6アルキルである]
で表される化合物、これのN−オキサイド形態、付加塩および立体化学異性体形態。
【請求項6】
薬剤として用いるための請求項1から5のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
薬学的に受け入れられる担体を含有しかつ請求項1から5記載の化合物を有効成分として治療的に有効な量で含有して成る製薬学的組成物。
【請求項8】
請求項7記載の製薬学的組成物の製造方法であって、薬学的に受け入れられる担体と請求項1から5記載の化合物を密に混合する方法。
【請求項9】
PARP媒介疾患治療用薬剤を製造するための、式(I)
【化8】

{式中、
nは、0、1または2であり、
Xは、NまたはCR(ここで、Rは、水素であるか、或はRと一緒になって式−CH=CH−CH=CH−で表される二価基を形成していてもよい)であり、
は、C1−6アルキルまたはチオフェニルであり、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6アルキニルであるか、或はRと一緒になって=Oを形成していてもよく、
は、
−(CH−NR (a−1)
−O−H (a−2)
−O−R10 (a−3)
−S−R11 (a−4)、または
−C≡N (a−5)
[ここで、
sは、0、1、2または3であり、
、R10およびR11は、各々独立して、−CHO、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルオキシ、チオフェニルC1−6アルキル、ピロリルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルピペリジニル、アリールカルボニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、そして
は、水素またはC1−6アルキルである]
から選択される基であるか、或は
は、式
−(CH−Z (b−1)
[式中、
tは、0、1、2または3であり、
−Zは、
【化9】

(ここで、R12は、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、アリール、
【化10】

1−6アルキルアミノC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノ、アリールC1−6アルキル、ジ(フェニルC2−6アルケニル)、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、ハロインダゾリル、アリールC1−6アルキル、アリールC2−6アルケニル、アリールC1−6アルキルアミノ、モルホリノ、C1−6アルキルイミダゾリル、ピリジニルC1−6アルキルアミノであり、そして
13は、水素、ピペリジニルまたはアリールである)
から選択される複素環式環系である]
で表される基であり、
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルオキシカルボニル、またはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシまたはアミノC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−6アルキルから選択されるか、或は
とRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式
−O−CH−O (d−1)
−O−(CH−O− (d−2)
−CH=CH−CH=CH− (d−3)、または
−NH−C(O)−NR14=CH− (d−4)
[ここで、R14は、C1−6アルキルである]
で表される二価基を形成していてもよく、
アリールは、フェニルであるか、或はハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルである}
で表される化合物、これのN−オキサイド形態、薬学的に受け入れられる付加塩および立体化学異性体形態の使用。
【請求項10】
PARP媒介疾患治療用薬剤を製造するための、請求項5記載の化合物の使用。
【請求項11】
前記治療が化学増感を伴う請求項9および10記載の使用。
【請求項12】
前記治療が放射線増感を伴う請求項9および10記載の使用。
【請求項13】
化学療法薬と、式(I)
【化11】

{式中、
nは、0、1または2であり、
Xは、NまたはCR(ここで、Rは、水素であるか、或はRと一緒になって式−CH=CH−CH=CH−で表される二価基を形成していてもよい)であり、
は、C1−6アルキルまたはチオフェニルであり、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C3−6アルキニルであるか、或はRと一緒になって=Oを形成していてもよく、
は、
−(CH−NR (a−1)
−O−H (a−2)
−O−R10 (a−3)
−S−R11 (a−4)、または
−C≡N (a−5)
[ここで、
sは、0、1、2または3であり、
、R10およびR11は、各々独立して、−CHO、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、ピペリジニルC1−6アルキルアミノカルボニル、C1−6アルキルオキシ、チオフェニルC1−6アルキル、ピロリルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキルピペリジニル、アリールカルボニルC1−6アルキル、アリールカルボニルピペリジニルC1−6アルキル、ハロインドゾリルピペリジニルC1−6アルキル、アリールC1−6アルキル(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルから選択され、そして
は、水素またはC1−6アルキルである]
から選択される基であるか、或は
は、式
−(CH−Z (b−1)
[式中、
tは、0、1、2または3であり、
−Zは、
【化12】

(ここで、R12は、水素、ハロ、C1−6アルキル、アミノカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、アリール、
【化13】

1−6アルキルアミノC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルアミノ、アリールC1−6アルキル、ジ(フェニルC2−6アルケニル)、ピペリジニル、ピペリジニルC1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキルC1−6アルキル、アリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキル、ハロインダゾリル、アリールC1−6アルキル、アリールC2−6アルケニル、アリールC1−6アルキルアミノ、モルホリノ、C1−6アルキルイミダゾリル、ピリジニルC1−6アルキルアミノであり、そして
13は、水素、ピペリジニルまたはアリールである)
から選択される複素環式環系である]
で表される基であり、
、RおよびRは、各々独立して、水素、ハロ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ジ(C1−6アルキル)アミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルオキシまたはC1−6アルキルオキシカルボニル、またはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシま
たはアミノC1−6アルキルオキシから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されているC1−6アルキルから選択されるか、或は
とRが隣接して位置する時にはそれらが一緒になって式
−O−CH−O (d−1)
−O−(CH−O− (d−2)
−CH=CH−CH=CH− (d−3)、または
−NH−C(O)−NR14=CH− (d−4)
[ここで、R14は、C1−6アルキルである]
で表される二価基を形成していてもよく、
アリールは、フェニルであるか、或はハロ、C1−6アルキルまたはC1−6アルキルオキシで置換されているフェニルである}
で表される化合物、これのN−オキサイド形態、薬学的に受け入れられる付加塩および立体化学異性体形態との組み合わせ物。
【請求項14】
請求項5記載の化合物と化学療法薬の組み合わせ物。
【請求項15】
請求項1または請求項5記載の化合物を製造する方法であって、
a)技術公知の方法に従って、式(VIII)で表される中間体を反応に不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下で適切な反応体、例えば塩化錫、酢酸および塩酸などに提示することで式(VIII)で表される中間体に加水分解を受けさせ、
【化14】

b)技術公知の環化手順に従って、式(X)で表される中間体に環化を好適には適切なルイス酸、例えば塩化アルミニウムなどの存在下で混ぜ物無しまたは適切な溶媒、例えば芳香族炭化水素、例えばベンゼン、クロロベンゼン、メチルベンゼンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばトリクロロメタン、テトラクロロメタンなど、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど、または前記溶媒の混合物など中で受けさせることでXがCHである式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−j)で表される化合物と呼ぶ]を生じさせ、
【化15】

c)式(XI)で表される適切なオルソ−ベンゼンジアミンと式(XII)で表されるエステルの縮合をカルボン酸、例えば酢酸など、鉱酸、例えば塩酸、硫酸またはスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸などの存在下で起こさせることでXがNでありそしてRがRと一緒になって=Oを形成している式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−a−1)で表される化合物と呼ぶ]を生じさせ、
【化16】

d)技術公知の方法に従い、Rが式(b−1)で表される基またはsが0以外である式(a−1)で表される基[本明細書ではRと呼ぶ]である式(VI)で表される中間体に加水分解、例えば前記中間体(VI)を反応に不活性な溶媒の存在下の酸水溶液中で撹拌することなどで加水分解を受けさせることでRとRが適切な基であるか或はこれらが結合している炭素と一緒になって−Zで定義する如き適切な複素環式環系を形成している式(VII)で表される化合物である中間体を生じさせ、
【化17】

e)式(VII)で表される中間体に適切な還元剤および適切な還元剤を用いた選択的水添を適切な溶媒中で受けさせることによる変換を前記中間体に受けさせることでRが水素でありそしてRがこの上で定義した通りである式(I)で表される化合物[本明細書では式(I−i)で表される化合物と呼ぶ]で表される化合物を生じさせる、
【化18】

ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項5記載の化合物を製造する方法であって、
a)RがRと一緒になって式(e−1)または(e−2)で表される二価基[例えば式(e−1)で表される二価基]を形成しておりそしてR15またはR16(例えばR15)が水素である式(VII−a)で表される化合物[本明細書では式(VII−a−2)で表される化合物と呼ぶ]とWが適切な脱離基、例えばクロロ、ブロモ、メタンスルホニルオキシまたはベンゼンスルホニルオキシなどでありそしてR15またはR16(例えばR15)が水素以外である式(XIX)で表される中間体を反応に不活性な溶媒中で反応させることでRがRと一緒になって式(e−1)または(e−2)で表される二価基[例えば式(e−1)で表される二価基]を形成しておりそしてR15またはR16(例えばR15)が水素以外である式(VII−a)で表される化合物として定義する式(VII−a−1)で表される化合物を生じさせるか、
【化19】

または、
b)式(VII−a−2)で表される化合物とRが適切な置換基である式(XX)で表される中間体を2−プロパノールの存在下で反応させることでR15またはR16(例えばR15)がアリールオキシ(ヒドロキシ)C1−6アルキルである式(VII−a)で表される化合物[本明細書では式(VII−a−3)で表される化合物と呼ぶ]を生じさせる、
【化20】

ことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−511574(P2007−511574A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540338(P2006−540338)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013163
【国際公開番号】WO2005/054201
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】