マイクロアロイ鋼、特に管鋼を製造するための装置および方法
本発明は、マイクロアロイ鋼、特に管鋼の製造方法であって、その際、鋳造されたスラブ(1)が、スラブ(1)の搬送方向(F)において、以下の順番で、鋳造機械(3)、第一の炉(4)、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)、第二の炉(6)、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)および冷却区間(8)を有する設備(2)を通り抜ける製造方法に関する。本発明に従い、以下のステップを有することが提案される。
a)スラブが設備(2)を通って走行する間の、スラブ(1)の望まれる温度プロフィルを定義する。
b)スラブ(1)の温度の最適化の為の、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素(9,10)を、定義された温度プロフィルに従い、設備(2)の生産ライン(L)内に位置決めする、その際、温度に影響を及ぼす要素(9,10)が、第一の炉(4)と、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)の間、及び/又は、第二の炉(6)と少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)の間にもたらされる。
c)このようにして構成された設備(2)内において、スラブ(1)またはストリップの生産を行い、その際、定義された温度プロフィルが少なくとも大幅に保たれるように、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素(9,10)を作動させる。
a)スラブが設備(2)を通って走行する間の、スラブ(1)の望まれる温度プロフィルを定義する。
b)スラブ(1)の温度の最適化の為の、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素(9,10)を、定義された温度プロフィルに従い、設備(2)の生産ライン(L)内に位置決めする、その際、温度に影響を及ぼす要素(9,10)が、第一の炉(4)と、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)の間、及び/又は、第二の炉(6)と少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)の間にもたらされる。
c)このようにして構成された設備(2)内において、スラブ(1)またはストリップの生産を行い、その際、定義された温度プロフィルが少なくとも大幅に保たれるように、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素(9,10)を作動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロアロイ鋼、特に管鋼を製造するための方法に関する。その際、鋳造されるスラブは、スラブの搬送方向に、この順番で、鋳造機械、第一の炉、少なくとも一つの粗圧延スタンド、第二の炉、少なくとも一つの仕上圧延スタンドおよび冷却区間を有する設備中を通り抜ける。さらに本発明は、マイクロアロイ鋼を製造するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ストリップの製造の為に、先行技術文献中では、同様な種類の方法に従う様々な可能性が説明されている。例えば、これは、特許文献1,2,3,4,5および6中に示されている。
【0003】
熱機械的圧延は、確立された方法である。マイクロアロイ鋼は、近年、重要な意味を獲得してきている。その際、(API仕様5Lに従う)管鋼は、マイクロアロイ鋼の中の最も重要な下位グループの一つである。この鋼の需要は増大している。
【0004】
管鋼の大部分は、厚肉金属板圧延機にて製造される。もちろん、管鋼、特に大きすぎない最終厚さと最終幅を有するものは、熱間幅広ストリップミル(Warmbreitbandstrassen)、いわゆるCSP設備や他の圧延装置においても製造可能である。
【0005】
マイクロアロイ鋼の通常の製造の際、および管鋼の特別あ製造の際には、時間の関数としての(または仕上設備内での場所の関数としての)温度推移が、特に注意を引く。この推移は、減少分配と組み合わさって、マイクロ構造の発達に決定的な影響を及ぼし、よって、鋼の機械的および技術的特性を決定する。この理由から、例えば、仕上区間の後方で出力の高い冷却装置が使用される。そして、この冷却装置によって望まれる温度推移が調節されることができる。
【0006】
公知の仕上装置および方法は、マイクロアロイ鋼の仕上げ、特に管鋼の仕上の際に、各前提条件および要求に柔軟に対応し、これら鋼の種類を、極めて自由に選択可能な、時間に関する温度プロフィルまたは搬送経路に関する温度プロフィルで仕上るのには最適では無い、ということは不利である。よって、鋼の中の組織発達を管理しそして影響を与えることは、最善には可能でない。上述の鋼の、その化学的構成と寸法に関する柔軟な製造は、よって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第2005/0115649 A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/012963 A1号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/073841 A1号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/027045 A1号明細書
【特許文献5】欧州特許第0 611 610 B1号明細書
【特許文献6】欧州特許出願第1 860 204 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の課題は、上述の不利益を克服することが可能である、方法および付随する装置を提供することである。それゆえ、時間及び搬送経路に対して望まれるプロフィルに従って温度推移の改善された制御が可能であるべきであり、そのようにして組織発達が、より良好に管理されおよび制御されることができる。その上、これによってマイクロアロイ鋼、特に管鋼の、より柔軟な仕上げが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明により方法に従い、以下のステップの順番によって解決される。
a)設備を通って走行する間のスラブに対する所望の温度プロフィルを定義する。
b)定義された温度プロフィルに従いスラブの温度の最適化の為の、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素を設備の生産ライン中に位置決めし、その際、温度に影響を及ぼす要素が、第一の炉と少なくとも一つの粗圧延スタンドの間、及び/又は、第二の炉と少なくとも一つの仕上圧延スタンドの間にもたらされる。
c)スラブまたはストリップを、そのようにして構成された設備内で製造し、その際、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素を、定義された温度プロフィルが少なくとも大幅に保持されるよう動作させる。
【0010】
その際、温度に影響を及ぼす要素としては、本発明に係る構成に従い、別の炉が使用される。これは、誘導炉または、直接の火炎付勢によってスラブを加熱する炉(DFIオキシ燃料炉)であることが可能である。後者の場合、好ましくは、スラブの直接の火炎付勢が、少なくとも75%の酸素を有するガス噴射によって行われ、この酸素中に、ガス状のまたは流体状の燃料が混合されることが意図されている。別の炉として、補償炉、ローラーハース炉、またはウォーキングビーム炉若しくはプッシャー炉が使用されることが可能である。
【0011】
温度に影響を及ぼす要素として、別の冷却区間が使用されることが可能である。これは、例えば集中冷却区間または層流ストリップ冷却区間であることが可能である。
【0012】
温度に影響を及ぼす要素として、最後に、温度遮断要素が使用されることが可能である(ローラーテーブルカプセル)。
【0013】
その際、温度プロフィルは、好ましくは、組織モデルを基礎として求められる。組織モデルは、その際好ましくは、以下のパラメータを決定する、及び/又は、監視する:時間またはパス数に関する温度プロフィル、時間またはパス数に関する減少分配、保持時間または往復時間、圧延速度および搬送速度、及び/又は冷却強度および冷却強度。
【0014】
一つの改良形は、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素を使用することによって、少なくとも一つの仕上圧延スタンドへの極めて低い進入温度が達成されるので、そこで再結晶化および結晶成長がほとんど行われず、その際、少なくとも一つの粗圧延スタンドへの進入と、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素への進入の間の温度レベルが、
a)特に、低いマイクロアロイ元素の含有率と薄いスラブ厚さを有する管鋼に対しては、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素によって低められ、仕上圧延区間への進入の際の結晶サイズが減少されるか、または、
b)特に、高いマイクロアロイ元素の含有率と厚いスラブ厚さを有する管鋼に対しては、加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素によって高められ、粗圧延の際の完全な再結晶化が保障されるか、または、
c)単に比較され、そしてさもなければ、変更されないままにしておかれる。
【0015】
一つの改良形に従い、更に、加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素を使用することによって、少なくとも一つの仕上圧延スタンドへの極めて高い進入温度が達成されるので、再結晶化は、そこで完全に進行するか、
a)高い温度と減少に基づいて、第一の仕上パス中において既に行われる、更に、変形の集積が最後の仕上パス中において続く、または、
b)緩やかな温度と減少にもとづいて、それ以前に変形の集積が行われていた後に、最後の仕上パス中でようやく行われる。
【0016】
マイクロアロイ鋼、特に、管鋼の製造のための設備であって、スラブの搬送方向に、鋳造機械、第一の炉、少なくとも一つの粗圧延スタンド、第二の炉、少なくとも一つの仕上圧延スタンド、および冷却区間をこの順番で有する設備が、発明に従い、第一の炉と、少なくとも一つの粗圧延スタンドの間、及び/又は、第二の炉および少なくとも一つの仕上圧延スタンドの間に、スラブの温度の最適化の為の温度に影響を及ぼす要素が、生産ライン中に選択的に持ち込み可能であること、その際、温度に影響を及ぼす要素が、別の炉、別の冷却区間、温度遮断要素:という要素の中から選択可能であることを特徴とする。
【0017】
別の炉、別の冷却区間および温度遮断要素の少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素が、スラブの搬送方向に対して横方向にスライド可能に設けられているので、要素の一つが選択的に生産ライン中にもたらされることが可能である。
【0018】
別の炉、別の冷却区間、および温度遮断要素の少なくとも一つの要素が、その際、搬送方向に向く回転軸を中心として揺動可能に設けられていることが可能であるので、要素の一つが選択的に生産ライン中にもたらされることができる。
【0019】
マイクロアロイ鋼、特に管鋼(例えばX52…X120)の改良された製造が、提案される解決策により可能であり、このことは、良好な特性の組合せへと通じる。剛性及び粘性の最良の値、並びに、使用される化学的構成に関する最大の柔軟性、更にまた最終製品の寸法もが、温度推移の意図した制御によって達成される。これまで一般的なプロセスマネジメントに基づいて存在する制限は、本発明に従う提案により大幅に取り除かれる。極めて有利な方法では、鋼の製造の際の望まれる温度・時間推移の実行が達成され、これによって管鋼が高い品質で製造されることができる。
【0020】
提案される方法に従い、温度は、予区間の前においても、予区間と仕上区間の間においても上げられ、一定に保持され、または下げられることが可能である。よって、温度コントロールに関して、最大限の柔軟性が達成され、このことは、管鋼の製造の基本的可能性を開くのみならず、その上、要求に応じて、この鋼種類の製造の様々な方法と、異なる材料特性の調整を可能とする。
【0021】
さらに、温度推移が重要な役割を果たす多くの他の鋼種類が、明らかに問題なく、そして所定の場合にはより良好な特性を有して製造されることが可能であり、このことは、例えば他相鋼および全ての種類のマイクロアロイ鋼にあてはまる。
【0022】
最終的には、変更された温度推移によって変更された減少分配が適用され、そして、特に、より高い減少が実施されることができる。これは、また、すべての鋼種類におけるより薄く達成可能な最終厚さ、または、設備設計における追加的な自由空間という結果に通じる。
【0023】
効果的な加熱装置(誘導性による加熱装置、またはDFIオキシ燃料法による炉)、及び/又は、(例えば、空気に接する事前ストリップの往復箇所における)調整可能な集中冷却装置の使用が、更に、設備の全生産性を高め、または、これが製造シーケンスを簡易化する。
【0024】
それゆえ、提案される方法または装置が、材料分析、材料寸法および材料特性に応じて、粗圧延の前にスラブの温度に的確な影響を与えることを可能とする。同様に、材料分析、材料寸法および材料特性に応じて仕上圧延の前に事前ストリップの温度に的確に影響を与えることが可能である。
【0025】
個々のプロセスステップ中の温度コントロールの的確な制御は、好ましくは、組織モデルの使用または利用によって行われる。その際、組織モデルは、(すでに記載したとおり)、以下のパラメータの推移を決定し、および、これらを監視する。
・ 時間またはパス数に関する温度プロフィル
・ 時間またはパス数に関する減少分配
・ 保持時間または往復時間
・ 温度プロフィルに影響を与えるための圧延速度および搬送速度
・ 加熱強度および冷却強度
【0026】
さらに、ここのプロセスステップ中における軟化過程の様々な種類の的確な制御と、これに伴う材料特性の制御が行われることができる。
【0027】
本方法は、様々な熱機械的処理に使用されることが可能である。
【0028】
スラブ冷却装置の組込みは、粗圧延スタンド中でスラブの予変形の前に行われることが可能である。同様に、誘導加熱装置またはDFIオキシ燃料加熱装置の組込みは、粗圧延スタンド中の予変形の前に行われることが可能である。
【0029】
様々な冷却ユニットおよび加熱ユニットが、スライドまたは揺動によって互いに交換可能である。
【0030】
最大限達成可能な減少の影響および前減少分配の影響が、粗圧延および仕上圧延の前の的確な温度上昇によって、製品の寸法および特性に対してと、設備設計に対してして効果的に可能である。
【0031】
これによって、圧延設備の生産性が、的確な(追加的な)冷却及び/又は加熱によって高められる。
【0032】
図面中には、本発明の実施例が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】鋳造機械、第一の炉、予区間、第二の炉、仕上区間および冷却区間を有する本発明の第一の実施系に従う鋳造圧延設備の簡略側面図。
【図2】図1に対して代替的な、第二の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図3】図1に対してさらに代替的な、第三の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図4】図1に対してさらに代替的な、第四の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図5】図1に対してさらに代替的な、第五の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図6】図1に対してさらに代替的な、第六の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図7】別の実施形に従う鋳造圧延設備の簡略上面図。
【図8】鋳造圧延設備の、簡略的に表された温度に影響を及ぼす要素を、スラブの搬送方向でみた図。本発明の第一の実施形に従う。
【図9】図8に対してさらに代替的な、温度に影響を及ぼす要素の形態を、本発明の第二の実施形に従い表す図。
【図10】図8に対してさらに代替的な、温度に影響を及ぼす要素の形態を、本発明の第三の実施形に従い表す図。
【図11】図8に対してさらに代替的な温度に影響を及ぼす要素を、本発明の第四の実施形に従い表す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には、管鋼(API仕様5L)の鋳造および圧延を一つのライン中において行うための設備2が、側面図として表されている。これは、鋳造機械3(垂直型鋳造設備または湾曲型鋳造設備)を備え、この鋳造機械中で公知の方法によってスラブ1が連続鋳造によって製造される。スラブの典型的な寸法は、厚さが50mmから150mmの間で、幅が900mmから3000mmの間である。搬送方向Fにおいては、鋳造機械3に、第一の炉4、唯一の粗圧延スタンド5のみが表されている(時として複数の粗圧延スタンドも設けられる)スラブを圧延する予区間、第二の炉6、唯一の仕上圧延スタンド7のみが表されている(たいていは複数の仕上圧延スタンドが設けられる)スラブまたはストリップの圧延を行うための仕上区間、および冷却区間8が続く。
【0035】
温度コントロールに関して意味を有さない又は下位にある別の要素もまた存在している。鋳造機械3と第一の炉4の間には、シャー12が設けられており、このシャーによってスラブ1は、所望のスラブ長へと切断されることができる(代替としてガス切断装置が使用されることもまた可能である)。第一の炉4と粗圧延スタンド5の間には、脱スケール装置13が設けられている。脱スケール装置14が、仕上圧延スタンド7の直前にも存在している。冷却区間8の後方には、(公知の方法で)、コイラ15が設けられ、これによって完成したストリップがまきとられる。
【0036】
管鋼の場合、設備2を通る経路中において、スラブまたはストリップの温度コントロールに関し、高い要求が存在する。
【0037】
ストリップの仕上の前に、まず、時間に関して望まれる温度プロフィル、または搬送方向Fにおける搬送経路に関して望まれる温度プロフィルが定められる。このため好ましくは、そのようなものとして公知の、コンピュータ利用した組織モデルが使用され、そして専門的な方法で、スラブ1またはストリップの温度がどのように推移すべきかが設定され、これによって理想的な製品が仕上られることができる。仕上設備2の特別な場所に対して、スラブ1またはストリップの温度領域が挙げられることによって、そのような温度推移の為の例示的記載が、更に下に存在する。
【0038】
予め定められた温度プロフィルに応じて、望まれるプロフィルが走らされることができるよう、設備2を準備することが重要である。これは発明に従い、スラブ1の温度の最適化の為の、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素の、定められた温度プロフィルに従っての設備2の生産ライン中への位置決めが行われ、その際、温度に影響を及ぼす要素が、第一の炉4と少なくとも一つの粗圧延スタンド5の間、及び/又は、第二の炉6と少なくとも一つの仕上圧延スタンド7の間にもたらされる、というように行われる。
【0039】
図1の実施例においては、温度に影響を与える要素9は、冷却区間であり、この冷却区間は、第二の炉6の後方で生産ライン中に有効にもたらされている。これは、必要とされる冷却性能、つまり望まれる温度プロフィルを達成するのに必要である冷却性能に応じて、集中冷却装置であるか、または層流冷却装置であり得る。
【0040】
冷却および脱スケール装置14を通り抜けた後、少なくとも一つの仕上圧延スタンド7内で、連続的仕上圧延またはリバース仕上圧延が行われ、その際好ましくは、複数の仕上圧延スタンド、つまり仕上圧延段が設けられている。仕上圧延は、望まれる仕上ストリップ厚さと仕上ストリップ温度に行われ、これにストリップの冷却装置が冷却区間8中で続く。最終ステップとして、ストリップがコイラ15へ巻きつけられる。仕上げ圧延されたストリップを巻きつける代わりに、代替として直接最終部へと供給されるということも可能である。
【0041】
古典的な熱機械的処理の枠内の管鋼の仕上圧延のために、炉6および冷却装置9の後方で、850℃から950℃の温度領域が意図されている。低い進入温度は、仕上区間内でのほぼ等温の圧延の間、再結晶化と結晶成長がほとんど行われず、そして、およそ全ての変形が集められるので、後続する変換(Umwandlung)の際に、極めて微細な粒子状の組織が発生する。別の前提条件は、典型的には820℃よりも低い最終圧延温度と、冷却区間内の十分に高い冷却速度である。
【0042】
もちろん、上述した、粗圧延スタンド5と仕上圧延スタンド7の間の領域の冷却に加えて、粗圧延スタンド5に進入する前にすでにストリップの温度に影響を当て得ることが必要とされる可能性がある。これに対して、図2は、APIによる管鋼の製造の為の設備2を示し、この設備においては、第一の炉4の後方の部分が、ストリップ冷却部10により置き換えられている。正確にいうと、温度に影響を及ぼす要素10が、ここでは、追加的な冷却区間10として生産ラインにもたらされている。
【0043】
スラブの冷却によって、熱機械的な処理の程度は、著しく上昇し、そして粗圧延区間と仕上圧延区間の間の結晶成長が制限されることが可能である。しかしその際、完全な再結晶化は保障されなければならないので、この方法は、特に低いマイクロアロイ元素の含有率と、薄いスラブ厚さを有する管鋼に対して適している。
【0044】
特別高いアロイ元素含有率と厚いスラブ厚さの場合は、これとは逆に、より高い変換程度を可能とし、完全な動的または静的再結晶化を保障するために、より高い温度へと加熱することすら意味がある可能性がある。さらに、高められた温度は、マイクロアロイ元素の溶解状態に好ましく作用することが可能である。これを特に有利な方法で可能とする本発明の一つの実施形が、図3に表されている。ここでは、第一の炉4の後および粗圧延スタンド5の前に、誘導加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素10がもたらされている。
【0045】
図4,5および6は、特に図2および3の解決策と比較すると、仕上圧延の前に設けられたストリップ冷却部が、誘導加熱装置または炉によって置き換えられている設備コンセプトを示している。
【0046】
従前は、集められた変形の最大化を目的として有する、古典的な熱機械的処理が目指されていたのに対して、所定の鋼に対しては、他の方法が使用されるべきである。粗圧延に続いての完全な再結晶化の後に、仕上区間の領域におけるさらなる軟化を断念する代わりに、新たな再結晶化が目指される。この再結晶化は、特に、誘導加熱装置またはDFIオキシ燃料炉によって有利に発生される高い温度を必要とする。その際、再結晶化は、特に高い温度および変換程度のもと、すでに第一の仕上パス中で行われることが可能であり、そして引き続いて、最後の仕上パス中における変形の集積が続くか、または、変形の集積が第一の仕上パス中で行われた後、動的な再結晶化が、それほど高くない温度及び変換程度において、最後の仕上パス中でようやく行われる。両方の場合において、温度を高めることは、例えば図1,2および3の解決策に従う古典的な熱機械的処理と比較して、最大限可能な変換程度が上昇するということに通じ、一方で、再結晶化を引き起こすために必要な変換程度が低下するので、軟化の傾向は明らかに増す。
【0047】
本発明にしたがう、温度に影響を及ぼすための可能性の拡張により、従来の、個々の設備区域中における温度推移に対する矛盾を含んだ要求が満たされることが可能であるので、各個々の区域中において、製品特性に関して最適なプロセス推移、つまり、搬送方向Fに沿ったスラブまたはストリップ中における最適に選択された温度推移の運転が可能とされる。望まれる材料特性または材料寸法または異なる材料分析に対する柔軟な適合が、これによて行われる。
【0048】
同時に、温度コントロールに影響を与えることは、粗圧延スタンドおよび仕上圧延スタンド中において負荷分配および減少分配に影響を与える性能の良いツールであり、これは、最小限達成可能な最終厚さを減少すること、または設計の際に、より小さなユニットに助けを求めるということに使用されることが可能である。
【0049】
温度推移のマイクロ構造への多様な影響の記載は、組織発達の管理がいかなる時も必要であり、そして、提案された方法による管鋼の圧延は、プロセスが、適切な組織モデルによって監視され及び/又は制御され及び/又は調整されるとき、特に望まれる機械的特性に通じるということを示す。
【0050】
通常鋼を同じ設備で圧延する場合、仕上区間の前では通常の場合、約1000℃から1150℃の温度が使用され、しかし特別な場合、より高いまたはより低い温度である。ばらつく温度を調整する必要性は、アロイコンセプトの複雑さと共に上昇する。他相鋼および様々なマイクロアロイ鋼に対して、この方法は特に有利である。提案される設備コンセプトによって、スラブ、薄肉スラブ、中間ストリップ、ストリップおよびシート(Blech)が、多くの場合に目指される温度レベルにもたらされるので、要求される材料特性に関してなんら制限が存在しない。
【0051】
各プロセス条件に対する最適な適合の為に、(図1,2および3内の)ストリップ冷却部9および(図3および図5中の)誘導加熱装置10または(図4中の)9が、搬送方向Fに対して横向きの方向にスライド可能または揺動可能に実施され、そして一方のユニットまたは他方のユニット9,10が稼働させられる。
【0052】
類似して、図4の代わりに図6に従い、ストリップ冷却部10または誘導加熱装置9の代わりに、従来からの補償炉9,10が生産ラインに運びいれられることが可能である。これは、圧延設備の前後の様々なユニットに対してあてはまる。
【0053】
鋳造機械3は、圧延区間5を有する生産ライン内にあるか、またはこれから位置的に分離して設けられることが可能である。このため図7には、上面図中で、どこに相応する例が視ることができるかを指し示している。ここでは、二つの上方の鋳造機械3’が、互いに平行に設けられており、その後方でスラブがガス切断機械12’によって、所望の長さに切り離される。ウォーキングビーム炉4’またはプッシャー炉によって、スラブ1は上方の両生産ラインLから、下方の生産ラインLへ、搬送方向Fに対する横方向Qへスライドされる。下方の生産ライン中には、ストリップを仕上るための別の設備部分が存在している。下方の生産ラインLは、同様に鋳造機械3を備えている。この鋳造機械の後方にシャー12が設けられている。
【0054】
炉4、4’によって、スラブ1は、略1100℃から1200℃の粗圧延温度へと加熱される。脱スケール装置13の後で、連続またはリバース式の中間厚さへ粗圧延が、一または代替として複数の粗圧延スタンド5において行われる。
【0055】
粗圧延スタンド5における圧延速度の選択によって、炉進入温度が、影響されることができる。
【0056】
粗圧延スタンド5の後方には、第二の炉6が保持炉として設けられている。保持炉6は、粗圧延スタンド5中において変換される薄肉スラブを完全に収容することができる十分なスペースを提供する。変換された薄肉スラブの短い往復がまた炉6内で生じることも可能である。
【0057】
保持炉6の代わりに、ローラーテーブルカプセルまたは通常のローラーテーブルもまた設けられることが可能である。炉6に続いて、またはローラーテーブルカプセルに続いて、冷却区間の形式の温度に影響を及ぼす要素9が、生産ラインL中に位置決めされ、この冷却区間によってスラブ1が、仕上圧延スタンド7内における仕上圧延の前に、所望の温度にもたらされることが可能である。代替として、ストリップ冷却部9が、保持炉の前またはローラーテーブルカプセルの前に存在することも可能である。
【0058】
温度に影響を及ぼす要素9,10の、横へのスライドによる、または進入または退出振幅による、様々なユニットの交換の詳細は、図8から11に記載されている。場合によっては、その上、適当な方法装置によって、三つの異なるユニットが生産ライン中の一つのスペースをシェアすることに対する配慮がなされることが可能である。
【0059】
図8には、代替として一つの追加的な炉(図8の左)、または誘導炉(図6の右)が、横方向Qへのスライドによって生産ラインLへと移動できることが見て取れる。生産ラインLの両側の退避位置16,16’は、両炉が、表されている位置から右へとそして反対へと、同時にスライドすることを可能とする。
【0060】
代替として生産ラインL中へともたらされる(図9中の左側の)冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素および(図9の右側の)誘導炉の形式の温度に影響を及ぼす要素9,10の類似する状況が図9に記載される。図10の類似形は、ローラーハース炉(左)およびスラブ冷却部(右)に対してもあてはまる。
【0061】
図11には、冷却用梁の形式の温度に影響を及ぼす要素9が、回転軸11を中心として揺動可能であり、これが介入状態または非介入状態にもたらされる点が見て取れる。この中で、誘導炉10が、ここでもまた方向Qにおいて横方向スライド可能に設けられており、これが非介入状態にもたらされるべきとき、これを退避位置16’へと動かす。
【符号の説明】
【0062】
1 スラブ(ストリップ)
2 設備
3 鋳造機械
3‘ 鋳造機械
4 第一の炉
4‘ ウォーキングビーム炉またはプッシャー炉
5 粗圧延スタンド
6 第二の炉
7 仕上圧延スタンド
8 冷却区間
9 温度に影響を及ぼす要素
10 温度に影響を及ぼす要素]
11 回転軸
12 シャー
12‘ ガス切断装置
13 脱スケール装置
14 脱スケール装置
15 コイラ
16 退避位置
16‘ 退避位置
F 搬送方向
Q 横スライド方向
L 生産ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロアロイ鋼、特に管鋼を製造するための方法に関する。その際、鋳造されるスラブは、スラブの搬送方向に、この順番で、鋳造機械、第一の炉、少なくとも一つの粗圧延スタンド、第二の炉、少なくとも一つの仕上圧延スタンドおよび冷却区間を有する設備中を通り抜ける。さらに本発明は、マイクロアロイ鋼を製造するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ストリップの製造の為に、先行技術文献中では、同様な種類の方法に従う様々な可能性が説明されている。例えば、これは、特許文献1,2,3,4,5および6中に示されている。
【0003】
熱機械的圧延は、確立された方法である。マイクロアロイ鋼は、近年、重要な意味を獲得してきている。その際、(API仕様5Lに従う)管鋼は、マイクロアロイ鋼の中の最も重要な下位グループの一つである。この鋼の需要は増大している。
【0004】
管鋼の大部分は、厚肉金属板圧延機にて製造される。もちろん、管鋼、特に大きすぎない最終厚さと最終幅を有するものは、熱間幅広ストリップミル(Warmbreitbandstrassen)、いわゆるCSP設備や他の圧延装置においても製造可能である。
【0005】
マイクロアロイ鋼の通常の製造の際、および管鋼の特別あ製造の際には、時間の関数としての(または仕上設備内での場所の関数としての)温度推移が、特に注意を引く。この推移は、減少分配と組み合わさって、マイクロ構造の発達に決定的な影響を及ぼし、よって、鋼の機械的および技術的特性を決定する。この理由から、例えば、仕上区間の後方で出力の高い冷却装置が使用される。そして、この冷却装置によって望まれる温度推移が調節されることができる。
【0006】
公知の仕上装置および方法は、マイクロアロイ鋼の仕上げ、特に管鋼の仕上の際に、各前提条件および要求に柔軟に対応し、これら鋼の種類を、極めて自由に選択可能な、時間に関する温度プロフィルまたは搬送経路に関する温度プロフィルで仕上るのには最適では無い、ということは不利である。よって、鋼の中の組織発達を管理しそして影響を与えることは、最善には可能でない。上述の鋼の、その化学的構成と寸法に関する柔軟な製造は、よって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第2005/0115649 A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/012963 A1号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/073841 A1号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/027045 A1号明細書
【特許文献5】欧州特許第0 611 610 B1号明細書
【特許文献6】欧州特許出願第1 860 204 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の課題は、上述の不利益を克服することが可能である、方法および付随する装置を提供することである。それゆえ、時間及び搬送経路に対して望まれるプロフィルに従って温度推移の改善された制御が可能であるべきであり、そのようにして組織発達が、より良好に管理されおよび制御されることができる。その上、これによってマイクロアロイ鋼、特に管鋼の、より柔軟な仕上げが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明により方法に従い、以下のステップの順番によって解決される。
a)設備を通って走行する間のスラブに対する所望の温度プロフィルを定義する。
b)定義された温度プロフィルに従いスラブの温度の最適化の為の、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素を設備の生産ライン中に位置決めし、その際、温度に影響を及ぼす要素が、第一の炉と少なくとも一つの粗圧延スタンドの間、及び/又は、第二の炉と少なくとも一つの仕上圧延スタンドの間にもたらされる。
c)スラブまたはストリップを、そのようにして構成された設備内で製造し、その際、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素を、定義された温度プロフィルが少なくとも大幅に保持されるよう動作させる。
【0010】
その際、温度に影響を及ぼす要素としては、本発明に係る構成に従い、別の炉が使用される。これは、誘導炉または、直接の火炎付勢によってスラブを加熱する炉(DFIオキシ燃料炉)であることが可能である。後者の場合、好ましくは、スラブの直接の火炎付勢が、少なくとも75%の酸素を有するガス噴射によって行われ、この酸素中に、ガス状のまたは流体状の燃料が混合されることが意図されている。別の炉として、補償炉、ローラーハース炉、またはウォーキングビーム炉若しくはプッシャー炉が使用されることが可能である。
【0011】
温度に影響を及ぼす要素として、別の冷却区間が使用されることが可能である。これは、例えば集中冷却区間または層流ストリップ冷却区間であることが可能である。
【0012】
温度に影響を及ぼす要素として、最後に、温度遮断要素が使用されることが可能である(ローラーテーブルカプセル)。
【0013】
その際、温度プロフィルは、好ましくは、組織モデルを基礎として求められる。組織モデルは、その際好ましくは、以下のパラメータを決定する、及び/又は、監視する:時間またはパス数に関する温度プロフィル、時間またはパス数に関する減少分配、保持時間または往復時間、圧延速度および搬送速度、及び/又は冷却強度および冷却強度。
【0014】
一つの改良形は、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素を使用することによって、少なくとも一つの仕上圧延スタンドへの極めて低い進入温度が達成されるので、そこで再結晶化および結晶成長がほとんど行われず、その際、少なくとも一つの粗圧延スタンドへの進入と、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素への進入の間の温度レベルが、
a)特に、低いマイクロアロイ元素の含有率と薄いスラブ厚さを有する管鋼に対しては、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素によって低められ、仕上圧延区間への進入の際の結晶サイズが減少されるか、または、
b)特に、高いマイクロアロイ元素の含有率と厚いスラブ厚さを有する管鋼に対しては、加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素によって高められ、粗圧延の際の完全な再結晶化が保障されるか、または、
c)単に比較され、そしてさもなければ、変更されないままにしておかれる。
【0015】
一つの改良形に従い、更に、加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素を使用することによって、少なくとも一つの仕上圧延スタンドへの極めて高い進入温度が達成されるので、再結晶化は、そこで完全に進行するか、
a)高い温度と減少に基づいて、第一の仕上パス中において既に行われる、更に、変形の集積が最後の仕上パス中において続く、または、
b)緩やかな温度と減少にもとづいて、それ以前に変形の集積が行われていた後に、最後の仕上パス中でようやく行われる。
【0016】
マイクロアロイ鋼、特に、管鋼の製造のための設備であって、スラブの搬送方向に、鋳造機械、第一の炉、少なくとも一つの粗圧延スタンド、第二の炉、少なくとも一つの仕上圧延スタンド、および冷却区間をこの順番で有する設備が、発明に従い、第一の炉と、少なくとも一つの粗圧延スタンドの間、及び/又は、第二の炉および少なくとも一つの仕上圧延スタンドの間に、スラブの温度の最適化の為の温度に影響を及ぼす要素が、生産ライン中に選択的に持ち込み可能であること、その際、温度に影響を及ぼす要素が、別の炉、別の冷却区間、温度遮断要素:という要素の中から選択可能であることを特徴とする。
【0017】
別の炉、別の冷却区間および温度遮断要素の少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素が、スラブの搬送方向に対して横方向にスライド可能に設けられているので、要素の一つが選択的に生産ライン中にもたらされることが可能である。
【0018】
別の炉、別の冷却区間、および温度遮断要素の少なくとも一つの要素が、その際、搬送方向に向く回転軸を中心として揺動可能に設けられていることが可能であるので、要素の一つが選択的に生産ライン中にもたらされることができる。
【0019】
マイクロアロイ鋼、特に管鋼(例えばX52…X120)の改良された製造が、提案される解決策により可能であり、このことは、良好な特性の組合せへと通じる。剛性及び粘性の最良の値、並びに、使用される化学的構成に関する最大の柔軟性、更にまた最終製品の寸法もが、温度推移の意図した制御によって達成される。これまで一般的なプロセスマネジメントに基づいて存在する制限は、本発明に従う提案により大幅に取り除かれる。極めて有利な方法では、鋼の製造の際の望まれる温度・時間推移の実行が達成され、これによって管鋼が高い品質で製造されることができる。
【0020】
提案される方法に従い、温度は、予区間の前においても、予区間と仕上区間の間においても上げられ、一定に保持され、または下げられることが可能である。よって、温度コントロールに関して、最大限の柔軟性が達成され、このことは、管鋼の製造の基本的可能性を開くのみならず、その上、要求に応じて、この鋼種類の製造の様々な方法と、異なる材料特性の調整を可能とする。
【0021】
さらに、温度推移が重要な役割を果たす多くの他の鋼種類が、明らかに問題なく、そして所定の場合にはより良好な特性を有して製造されることが可能であり、このことは、例えば他相鋼および全ての種類のマイクロアロイ鋼にあてはまる。
【0022】
最終的には、変更された温度推移によって変更された減少分配が適用され、そして、特に、より高い減少が実施されることができる。これは、また、すべての鋼種類におけるより薄く達成可能な最終厚さ、または、設備設計における追加的な自由空間という結果に通じる。
【0023】
効果的な加熱装置(誘導性による加熱装置、またはDFIオキシ燃料法による炉)、及び/又は、(例えば、空気に接する事前ストリップの往復箇所における)調整可能な集中冷却装置の使用が、更に、設備の全生産性を高め、または、これが製造シーケンスを簡易化する。
【0024】
それゆえ、提案される方法または装置が、材料分析、材料寸法および材料特性に応じて、粗圧延の前にスラブの温度に的確な影響を与えることを可能とする。同様に、材料分析、材料寸法および材料特性に応じて仕上圧延の前に事前ストリップの温度に的確に影響を与えることが可能である。
【0025】
個々のプロセスステップ中の温度コントロールの的確な制御は、好ましくは、組織モデルの使用または利用によって行われる。その際、組織モデルは、(すでに記載したとおり)、以下のパラメータの推移を決定し、および、これらを監視する。
・ 時間またはパス数に関する温度プロフィル
・ 時間またはパス数に関する減少分配
・ 保持時間または往復時間
・ 温度プロフィルに影響を与えるための圧延速度および搬送速度
・ 加熱強度および冷却強度
【0026】
さらに、ここのプロセスステップ中における軟化過程の様々な種類の的確な制御と、これに伴う材料特性の制御が行われることができる。
【0027】
本方法は、様々な熱機械的処理に使用されることが可能である。
【0028】
スラブ冷却装置の組込みは、粗圧延スタンド中でスラブの予変形の前に行われることが可能である。同様に、誘導加熱装置またはDFIオキシ燃料加熱装置の組込みは、粗圧延スタンド中の予変形の前に行われることが可能である。
【0029】
様々な冷却ユニットおよび加熱ユニットが、スライドまたは揺動によって互いに交換可能である。
【0030】
最大限達成可能な減少の影響および前減少分配の影響が、粗圧延および仕上圧延の前の的確な温度上昇によって、製品の寸法および特性に対してと、設備設計に対してして効果的に可能である。
【0031】
これによって、圧延設備の生産性が、的確な(追加的な)冷却及び/又は加熱によって高められる。
【0032】
図面中には、本発明の実施例が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】鋳造機械、第一の炉、予区間、第二の炉、仕上区間および冷却区間を有する本発明の第一の実施系に従う鋳造圧延設備の簡略側面図。
【図2】図1に対して代替的な、第二の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図3】図1に対してさらに代替的な、第三の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図4】図1に対してさらに代替的な、第四の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図5】図1に対してさらに代替的な、第五の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図6】図1に対してさらに代替的な、第六の実施例に従う鋳造圧延設備の形態。
【図7】別の実施形に従う鋳造圧延設備の簡略上面図。
【図8】鋳造圧延設備の、簡略的に表された温度に影響を及ぼす要素を、スラブの搬送方向でみた図。本発明の第一の実施形に従う。
【図9】図8に対してさらに代替的な、温度に影響を及ぼす要素の形態を、本発明の第二の実施形に従い表す図。
【図10】図8に対してさらに代替的な、温度に影響を及ぼす要素の形態を、本発明の第三の実施形に従い表す図。
【図11】図8に対してさらに代替的な温度に影響を及ぼす要素を、本発明の第四の実施形に従い表す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には、管鋼(API仕様5L)の鋳造および圧延を一つのライン中において行うための設備2が、側面図として表されている。これは、鋳造機械3(垂直型鋳造設備または湾曲型鋳造設備)を備え、この鋳造機械中で公知の方法によってスラブ1が連続鋳造によって製造される。スラブの典型的な寸法は、厚さが50mmから150mmの間で、幅が900mmから3000mmの間である。搬送方向Fにおいては、鋳造機械3に、第一の炉4、唯一の粗圧延スタンド5のみが表されている(時として複数の粗圧延スタンドも設けられる)スラブを圧延する予区間、第二の炉6、唯一の仕上圧延スタンド7のみが表されている(たいていは複数の仕上圧延スタンドが設けられる)スラブまたはストリップの圧延を行うための仕上区間、および冷却区間8が続く。
【0035】
温度コントロールに関して意味を有さない又は下位にある別の要素もまた存在している。鋳造機械3と第一の炉4の間には、シャー12が設けられており、このシャーによってスラブ1は、所望のスラブ長へと切断されることができる(代替としてガス切断装置が使用されることもまた可能である)。第一の炉4と粗圧延スタンド5の間には、脱スケール装置13が設けられている。脱スケール装置14が、仕上圧延スタンド7の直前にも存在している。冷却区間8の後方には、(公知の方法で)、コイラ15が設けられ、これによって完成したストリップがまきとられる。
【0036】
管鋼の場合、設備2を通る経路中において、スラブまたはストリップの温度コントロールに関し、高い要求が存在する。
【0037】
ストリップの仕上の前に、まず、時間に関して望まれる温度プロフィル、または搬送方向Fにおける搬送経路に関して望まれる温度プロフィルが定められる。このため好ましくは、そのようなものとして公知の、コンピュータ利用した組織モデルが使用され、そして専門的な方法で、スラブ1またはストリップの温度がどのように推移すべきかが設定され、これによって理想的な製品が仕上られることができる。仕上設備2の特別な場所に対して、スラブ1またはストリップの温度領域が挙げられることによって、そのような温度推移の為の例示的記載が、更に下に存在する。
【0038】
予め定められた温度プロフィルに応じて、望まれるプロフィルが走らされることができるよう、設備2を準備することが重要である。これは発明に従い、スラブ1の温度の最適化の為の、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素の、定められた温度プロフィルに従っての設備2の生産ライン中への位置決めが行われ、その際、温度に影響を及ぼす要素が、第一の炉4と少なくとも一つの粗圧延スタンド5の間、及び/又は、第二の炉6と少なくとも一つの仕上圧延スタンド7の間にもたらされる、というように行われる。
【0039】
図1の実施例においては、温度に影響を与える要素9は、冷却区間であり、この冷却区間は、第二の炉6の後方で生産ライン中に有効にもたらされている。これは、必要とされる冷却性能、つまり望まれる温度プロフィルを達成するのに必要である冷却性能に応じて、集中冷却装置であるか、または層流冷却装置であり得る。
【0040】
冷却および脱スケール装置14を通り抜けた後、少なくとも一つの仕上圧延スタンド7内で、連続的仕上圧延またはリバース仕上圧延が行われ、その際好ましくは、複数の仕上圧延スタンド、つまり仕上圧延段が設けられている。仕上圧延は、望まれる仕上ストリップ厚さと仕上ストリップ温度に行われ、これにストリップの冷却装置が冷却区間8中で続く。最終ステップとして、ストリップがコイラ15へ巻きつけられる。仕上げ圧延されたストリップを巻きつける代わりに、代替として直接最終部へと供給されるということも可能である。
【0041】
古典的な熱機械的処理の枠内の管鋼の仕上圧延のために、炉6および冷却装置9の後方で、850℃から950℃の温度領域が意図されている。低い進入温度は、仕上区間内でのほぼ等温の圧延の間、再結晶化と結晶成長がほとんど行われず、そして、およそ全ての変形が集められるので、後続する変換(Umwandlung)の際に、極めて微細な粒子状の組織が発生する。別の前提条件は、典型的には820℃よりも低い最終圧延温度と、冷却区間内の十分に高い冷却速度である。
【0042】
もちろん、上述した、粗圧延スタンド5と仕上圧延スタンド7の間の領域の冷却に加えて、粗圧延スタンド5に進入する前にすでにストリップの温度に影響を当て得ることが必要とされる可能性がある。これに対して、図2は、APIによる管鋼の製造の為の設備2を示し、この設備においては、第一の炉4の後方の部分が、ストリップ冷却部10により置き換えられている。正確にいうと、温度に影響を及ぼす要素10が、ここでは、追加的な冷却区間10として生産ラインにもたらされている。
【0043】
スラブの冷却によって、熱機械的な処理の程度は、著しく上昇し、そして粗圧延区間と仕上圧延区間の間の結晶成長が制限されることが可能である。しかしその際、完全な再結晶化は保障されなければならないので、この方法は、特に低いマイクロアロイ元素の含有率と、薄いスラブ厚さを有する管鋼に対して適している。
【0044】
特別高いアロイ元素含有率と厚いスラブ厚さの場合は、これとは逆に、より高い変換程度を可能とし、完全な動的または静的再結晶化を保障するために、より高い温度へと加熱することすら意味がある可能性がある。さらに、高められた温度は、マイクロアロイ元素の溶解状態に好ましく作用することが可能である。これを特に有利な方法で可能とする本発明の一つの実施形が、図3に表されている。ここでは、第一の炉4の後および粗圧延スタンド5の前に、誘導加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素10がもたらされている。
【0045】
図4,5および6は、特に図2および3の解決策と比較すると、仕上圧延の前に設けられたストリップ冷却部が、誘導加熱装置または炉によって置き換えられている設備コンセプトを示している。
【0046】
従前は、集められた変形の最大化を目的として有する、古典的な熱機械的処理が目指されていたのに対して、所定の鋼に対しては、他の方法が使用されるべきである。粗圧延に続いての完全な再結晶化の後に、仕上区間の領域におけるさらなる軟化を断念する代わりに、新たな再結晶化が目指される。この再結晶化は、特に、誘導加熱装置またはDFIオキシ燃料炉によって有利に発生される高い温度を必要とする。その際、再結晶化は、特に高い温度および変換程度のもと、すでに第一の仕上パス中で行われることが可能であり、そして引き続いて、最後の仕上パス中における変形の集積が続くか、または、変形の集積が第一の仕上パス中で行われた後、動的な再結晶化が、それほど高くない温度及び変換程度において、最後の仕上パス中でようやく行われる。両方の場合において、温度を高めることは、例えば図1,2および3の解決策に従う古典的な熱機械的処理と比較して、最大限可能な変換程度が上昇するということに通じ、一方で、再結晶化を引き起こすために必要な変換程度が低下するので、軟化の傾向は明らかに増す。
【0047】
本発明にしたがう、温度に影響を及ぼすための可能性の拡張により、従来の、個々の設備区域中における温度推移に対する矛盾を含んだ要求が満たされることが可能であるので、各個々の区域中において、製品特性に関して最適なプロセス推移、つまり、搬送方向Fに沿ったスラブまたはストリップ中における最適に選択された温度推移の運転が可能とされる。望まれる材料特性または材料寸法または異なる材料分析に対する柔軟な適合が、これによて行われる。
【0048】
同時に、温度コントロールに影響を与えることは、粗圧延スタンドおよび仕上圧延スタンド中において負荷分配および減少分配に影響を与える性能の良いツールであり、これは、最小限達成可能な最終厚さを減少すること、または設計の際に、より小さなユニットに助けを求めるということに使用されることが可能である。
【0049】
温度推移のマイクロ構造への多様な影響の記載は、組織発達の管理がいかなる時も必要であり、そして、提案された方法による管鋼の圧延は、プロセスが、適切な組織モデルによって監視され及び/又は制御され及び/又は調整されるとき、特に望まれる機械的特性に通じるということを示す。
【0050】
通常鋼を同じ設備で圧延する場合、仕上区間の前では通常の場合、約1000℃から1150℃の温度が使用され、しかし特別な場合、より高いまたはより低い温度である。ばらつく温度を調整する必要性は、アロイコンセプトの複雑さと共に上昇する。他相鋼および様々なマイクロアロイ鋼に対して、この方法は特に有利である。提案される設備コンセプトによって、スラブ、薄肉スラブ、中間ストリップ、ストリップおよびシート(Blech)が、多くの場合に目指される温度レベルにもたらされるので、要求される材料特性に関してなんら制限が存在しない。
【0051】
各プロセス条件に対する最適な適合の為に、(図1,2および3内の)ストリップ冷却部9および(図3および図5中の)誘導加熱装置10または(図4中の)9が、搬送方向Fに対して横向きの方向にスライド可能または揺動可能に実施され、そして一方のユニットまたは他方のユニット9,10が稼働させられる。
【0052】
類似して、図4の代わりに図6に従い、ストリップ冷却部10または誘導加熱装置9の代わりに、従来からの補償炉9,10が生産ラインに運びいれられることが可能である。これは、圧延設備の前後の様々なユニットに対してあてはまる。
【0053】
鋳造機械3は、圧延区間5を有する生産ライン内にあるか、またはこれから位置的に分離して設けられることが可能である。このため図7には、上面図中で、どこに相応する例が視ることができるかを指し示している。ここでは、二つの上方の鋳造機械3’が、互いに平行に設けられており、その後方でスラブがガス切断機械12’によって、所望の長さに切り離される。ウォーキングビーム炉4’またはプッシャー炉によって、スラブ1は上方の両生産ラインLから、下方の生産ラインLへ、搬送方向Fに対する横方向Qへスライドされる。下方の生産ライン中には、ストリップを仕上るための別の設備部分が存在している。下方の生産ラインLは、同様に鋳造機械3を備えている。この鋳造機械の後方にシャー12が設けられている。
【0054】
炉4、4’によって、スラブ1は、略1100℃から1200℃の粗圧延温度へと加熱される。脱スケール装置13の後で、連続またはリバース式の中間厚さへ粗圧延が、一または代替として複数の粗圧延スタンド5において行われる。
【0055】
粗圧延スタンド5における圧延速度の選択によって、炉進入温度が、影響されることができる。
【0056】
粗圧延スタンド5の後方には、第二の炉6が保持炉として設けられている。保持炉6は、粗圧延スタンド5中において変換される薄肉スラブを完全に収容することができる十分なスペースを提供する。変換された薄肉スラブの短い往復がまた炉6内で生じることも可能である。
【0057】
保持炉6の代わりに、ローラーテーブルカプセルまたは通常のローラーテーブルもまた設けられることが可能である。炉6に続いて、またはローラーテーブルカプセルに続いて、冷却区間の形式の温度に影響を及ぼす要素9が、生産ラインL中に位置決めされ、この冷却区間によってスラブ1が、仕上圧延スタンド7内における仕上圧延の前に、所望の温度にもたらされることが可能である。代替として、ストリップ冷却部9が、保持炉の前またはローラーテーブルカプセルの前に存在することも可能である。
【0058】
温度に影響を及ぼす要素9,10の、横へのスライドによる、または進入または退出振幅による、様々なユニットの交換の詳細は、図8から11に記載されている。場合によっては、その上、適当な方法装置によって、三つの異なるユニットが生産ライン中の一つのスペースをシェアすることに対する配慮がなされることが可能である。
【0059】
図8には、代替として一つの追加的な炉(図8の左)、または誘導炉(図6の右)が、横方向Qへのスライドによって生産ラインLへと移動できることが見て取れる。生産ラインLの両側の退避位置16,16’は、両炉が、表されている位置から右へとそして反対へと、同時にスライドすることを可能とする。
【0060】
代替として生産ラインL中へともたらされる(図9中の左側の)冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素および(図9の右側の)誘導炉の形式の温度に影響を及ぼす要素9,10の類似する状況が図9に記載される。図10の類似形は、ローラーハース炉(左)およびスラブ冷却部(右)に対してもあてはまる。
【0061】
図11には、冷却用梁の形式の温度に影響を及ぼす要素9が、回転軸11を中心として揺動可能であり、これが介入状態または非介入状態にもたらされる点が見て取れる。この中で、誘導炉10が、ここでもまた方向Qにおいて横方向スライド可能に設けられており、これが非介入状態にもたらされるべきとき、これを退避位置16’へと動かす。
【符号の説明】
【0062】
1 スラブ(ストリップ)
2 設備
3 鋳造機械
3‘ 鋳造機械
4 第一の炉
4‘ ウォーキングビーム炉またはプッシャー炉
5 粗圧延スタンド
6 第二の炉
7 仕上圧延スタンド
8 冷却区間
9 温度に影響を及ぼす要素
10 温度に影響を及ぼす要素]
11 回転軸
12 シャー
12‘ ガス切断装置
13 脱スケール装置
14 脱スケール装置
15 コイラ
16 退避位置
16‘ 退避位置
F 搬送方向
Q 横スライド方向
L 生産ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロアロイ鋼、特に管鋼の製造方法であって、その際、鋳造されたスラブ(1)が、スラブ(1)の搬送方向(F)において、以下の順番で、鋳造機械(3)、第一の炉(4)、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)、第二の炉(6)、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)および冷却区間(8)を有する設備(2)を通り抜ける製造方法において、以下のステップを有する方法。
a)スラブが設備(2)を通って走行する間の、スラブ(1)の望まれる温度プロフィルを定義する。
b)スラブ(1)の温度の最適化の為の、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素(9,10)を、定義された温度プロフィルに従い、設備(2)の生産ライン(L)内に位置決めする、その際、温度に影響を及ぼす要素(9,10)が、第一の炉(4)と、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)の間、及び/又は、第二の炉(6)と少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)の間にもたらされる。
c)このようにして構成された設備(2)内において、スラブ(1)またはストリップの生産を行い、その際、定義された温度プロフィルが少なくとも大幅に保たれるように、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素(9,10)を作動させる。
【請求項2】
温度に影響を及ぼす要素(9,10)として、別の炉が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
別の炉として、誘導炉が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
別の炉中において、直接の火炎付勢によるスラブ(1)の加熱が行われる(DFIオキシ燃料炉)ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
スラブ(1)の直接の火炎付勢が、少なくとも75%の酸素を有するガス噴射により行われ、このガス噴射中に、ガス状のまたは液状の燃料が混合されていることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
別の炉として、補償炉が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
別の炉として、ローラハース炉が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
別の炉として、スラブの横方向搬送を可能とするウォーキングビーム炉またはプッシャー炉が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
温度に影響を及ぼす要素(9,10)として、別の冷却区間が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
別の冷却区間として集中冷却区間が使用されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
別の冷却区間として、層流ストリップ冷却区間が使用されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
温度に影響を及ぼす要素(9,10)として、温度遮断要素が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
温度プロフィルが、組織モデルを基礎として定められることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
組織モデルが、以下のパラメータ:時間またはパス数に対する温度プロフィル、時間またはパス数に対する減少分配、停止時間または往復時間、圧延速度、および搬送速度、及び/又は加熱強度および冷却強度を決定し、及び/又は、監視することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(9)の使用によって、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)への極めて低い進入温度が達成されるので、そこで再結晶化と結晶成長が大幅に行われず、その際、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)への進入と、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(9)への進入の間の温度レベルが、
a)特に、低いマイクロアロイ元素含有率を有し、および薄いスラブ厚さを有する管鋼に対して、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(9)によって下げられ、仕上圧延区間(7)への進入の際の結晶サイズが減少されるか、または、
b)特に、高いマイクロアロイ元素含有率を有し、および熱いスラブ厚さを有する管鋼に対して、加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(10)によって高められ、粗圧延の際の完全な再結晶化が保障されるか、または、
c)単に調整され、その他には変更無いままとされることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(10)の使用によって、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)への極めて高い進入温度が達成されるので、再結晶化がそこで完全に進行するか、
a)高い温度と減少に基づいて、すでに第一の仕上パス中で行われ、更に、最後の仕上パス中で変形の集積が続くか、または
b)緩やかな温度と減少に基づいて、その前に変形の集積が行われた後に、最後の仕上パス中でようやく行わることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
マイクロアロイ鋼とくに、管鋼の製造のための設備(2)であって、スラブ(1)の搬送方向(F)に、鋳造機械(3)、第一の炉(4)、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)、第二の炉(6)、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)、および冷却区間(8)をこの順番で有し、特に、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実施するための設備において、
第一の炉(4)と、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)の間に、及び/又は、第二の炉(6)および少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)の間に、スラブ(1)の温度の最適化の為の温度に影響を及ぼす要素(9,10)が、生産ライン(L)中に選択的に持ち込み可能であること、その際、温度に影響を及ぼす要素(9,10)が、要素の一つ、つまり別の炉、別の冷却区間、温度遮断要素の中から選択可能であることを特徴とする設備。
【請求項18】
別の炉が、誘導炉であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項19】
別の炉が、スラブ(1)に直接火炎を付勢する炉(DFIオキシ燃料炉)であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項20】
別の炉が、補償炉であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項21】
別の炉が、ローラーハース炉であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項22】
別の炉が、スラブの横方向の搬送を可能とするウォーキングビーム炉またはプッシャー炉であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項23】
別の冷却区間が、集中冷却区間であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項24】
別の冷却区間が、層流ストリップ冷却区間であることを特徴とする設備17に記載の設備。
【請求項25】
別の炉、別の冷却区間、および温度遮断要素の要素(9,10)の少なくとも一つが、スラブの搬送方向(F)に対して横方向スライド可能(Q)に設けられているので、要素(9,10)の一つが、選択的に生産ライン(L)中に持ち込まれることが可能であることを特徴とする請求項17から24のいずれか一項に記載の設備。
【請求項26】
別の炉、別の冷却区間、および温度遮断要素の要素(9,10)の少なくとも一つが、搬送方向(F)を指し示す回転軸(11)を中心として揺動可能に設けられているので、要素(9,10)の一つが、選択的に生産ライン(L)内に持ち込み可能であることを特徴とする請求項17から24のいずれか一項に記載の設備。
【請求項1】
マイクロアロイ鋼、特に管鋼の製造方法であって、その際、鋳造されたスラブ(1)が、スラブ(1)の搬送方向(F)において、以下の順番で、鋳造機械(3)、第一の炉(4)、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)、第二の炉(6)、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)および冷却区間(8)を有する設備(2)を通り抜ける製造方法において、以下のステップを有する方法。
a)スラブが設備(2)を通って走行する間の、スラブ(1)の望まれる温度プロフィルを定義する。
b)スラブ(1)の温度の最適化の為の、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素(9,10)を、定義された温度プロフィルに従い、設備(2)の生産ライン(L)内に位置決めする、その際、温度に影響を及ぼす要素(9,10)が、第一の炉(4)と、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)の間、及び/又は、第二の炉(6)と少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)の間にもたらされる。
c)このようにして構成された設備(2)内において、スラブ(1)またはストリップの生産を行い、その際、定義された温度プロフィルが少なくとも大幅に保たれるように、少なくとも一つの温度に影響を及ぼす要素(9,10)を作動させる。
【請求項2】
温度に影響を及ぼす要素(9,10)として、別の炉が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
別の炉として、誘導炉が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
別の炉中において、直接の火炎付勢によるスラブ(1)の加熱が行われる(DFIオキシ燃料炉)ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
スラブ(1)の直接の火炎付勢が、少なくとも75%の酸素を有するガス噴射により行われ、このガス噴射中に、ガス状のまたは液状の燃料が混合されていることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
別の炉として、補償炉が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
別の炉として、ローラハース炉が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
別の炉として、スラブの横方向搬送を可能とするウォーキングビーム炉またはプッシャー炉が使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
温度に影響を及ぼす要素(9,10)として、別の冷却区間が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
別の冷却区間として集中冷却区間が使用されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
別の冷却区間として、層流ストリップ冷却区間が使用されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
温度に影響を及ぼす要素(9,10)として、温度遮断要素が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
温度プロフィルが、組織モデルを基礎として定められることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
組織モデルが、以下のパラメータ:時間またはパス数に対する温度プロフィル、時間またはパス数に対する減少分配、停止時間または往復時間、圧延速度、および搬送速度、及び/又は加熱強度および冷却強度を決定し、及び/又は、監視することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(9)の使用によって、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)への極めて低い進入温度が達成されるので、そこで再結晶化と結晶成長が大幅に行われず、その際、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)への進入と、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(9)への進入の間の温度レベルが、
a)特に、低いマイクロアロイ元素含有率を有し、および薄いスラブ厚さを有する管鋼に対して、冷却装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(9)によって下げられ、仕上圧延区間(7)への進入の際の結晶サイズが減少されるか、または、
b)特に、高いマイクロアロイ元素含有率を有し、および熱いスラブ厚さを有する管鋼に対して、加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(10)によって高められ、粗圧延の際の完全な再結晶化が保障されるか、または、
c)単に調整され、その他には変更無いままとされることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
加熱装置の形式の温度に影響を及ぼす要素(10)の使用によって、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)への極めて高い進入温度が達成されるので、再結晶化がそこで完全に進行するか、
a)高い温度と減少に基づいて、すでに第一の仕上パス中で行われ、更に、最後の仕上パス中で変形の集積が続くか、または
b)緩やかな温度と減少に基づいて、その前に変形の集積が行われた後に、最後の仕上パス中でようやく行わることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
マイクロアロイ鋼とくに、管鋼の製造のための設備(2)であって、スラブ(1)の搬送方向(F)に、鋳造機械(3)、第一の炉(4)、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)、第二の炉(6)、少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)、および冷却区間(8)をこの順番で有し、特に、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実施するための設備において、
第一の炉(4)と、少なくとも一つの粗圧延スタンド(5)の間に、及び/又は、第二の炉(6)および少なくとも一つの仕上圧延スタンド(7)の間に、スラブ(1)の温度の最適化の為の温度に影響を及ぼす要素(9,10)が、生産ライン(L)中に選択的に持ち込み可能であること、その際、温度に影響を及ぼす要素(9,10)が、要素の一つ、つまり別の炉、別の冷却区間、温度遮断要素の中から選択可能であることを特徴とする設備。
【請求項18】
別の炉が、誘導炉であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項19】
別の炉が、スラブ(1)に直接火炎を付勢する炉(DFIオキシ燃料炉)であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項20】
別の炉が、補償炉であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項21】
別の炉が、ローラーハース炉であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項22】
別の炉が、スラブの横方向の搬送を可能とするウォーキングビーム炉またはプッシャー炉であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項23】
別の冷却区間が、集中冷却区間であることを特徴とする請求項17に記載の設備。
【請求項24】
別の冷却区間が、層流ストリップ冷却区間であることを特徴とする設備17に記載の設備。
【請求項25】
別の炉、別の冷却区間、および温度遮断要素の要素(9,10)の少なくとも一つが、スラブの搬送方向(F)に対して横方向スライド可能(Q)に設けられているので、要素(9,10)の一つが、選択的に生産ライン(L)中に持ち込まれることが可能であることを特徴とする請求項17から24のいずれか一項に記載の設備。
【請求項26】
別の炉、別の冷却区間、および温度遮断要素の要素(9,10)の少なくとも一つが、搬送方向(F)を指し示す回転軸(11)を中心として揺動可能に設けられているので、要素(9,10)の一つが、選択的に生産ライン(L)内に持ち込み可能であることを特徴とする請求項17から24のいずれか一項に記載の設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−501144(P2013−501144A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523247(P2012−523247)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004814
【国際公開番号】WO2011/015365
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004814
【国際公開番号】WO2011/015365
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】
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