説明

マイクロマニピュレータ

【課題】顕微鏡視野内において微小物体を正確かつ迅速に取り扱うことができ、消費電力の小さい小型のマイクロマニピュレータを提供する。
【解決手段】マイクロマニピュレータ100は、把持指の先端部を近接させて微小物体を把持するハンドリング部104と、パンタグラフ機構204を変位させハンドリング部104をX方向及びY方向に駆動するXY駆動部101と、パンタグラフ機構204を変位させハンドリング部104の把持指の先端部を中心として把持指が揺動するようにハンドリング部104の姿勢方向を変更するθz駆動部102と、ハンドリング部104をZ方向に駆動するZ駆動部103と、を備えており、XY駆動部101とθz駆動部102とは一体に構成されている。Z駆動部103はパンタグラフ機構204の出力リンク204jに支持されており、ハンドリング部104はZ駆動部103に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロマニピュレータに係り、特に、把持指の先端部を近接させて微小物体を取り扱うマイクロマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、微小部品の組み立てや細胞操作等にマイクロマニピュレータが用いられている。一般に、マイクロマニピュレータは、微小物体を取り扱う(把持する)ために、把持指を移動させる機構を有しており(例えば、特許文献1参照)、把持対象物が微小なため、マイクロマニピュレータによる作業は、肉眼による顕微鏡視野下や、顕微鏡に取り付けられたカメラを介してディスプレイ等のモニタに出力された画像を参照して行われる(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
また、従来のマイクロマニピュレータでは、把持対象物(微小物体)の向きに把持指の先端部の向きを一致させる場合には、予め微小物体の向きを把持指の先端部の向きに対して揃えるように微小物体載置台(載置ステージ)上に載置するか、微小物体載置台が向きを変えられるような機構を備えている。なお、直方体状のチップ素子を把持して基板上に実装する場合には、チップ素子の端子位置を基板のランド位置に合わせるため、把持対象物を把持した状態の把持指先端部や基板の向きをマニュアルで合わせ込むようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−168979号公報
【特許文献2】特開平4−303810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のマイクロマニピュレータでは、マニュアルで微小物体(把持対象物)に対して把持指の先端部の向きを合わせているため、把持指の先端部で微小物体を把持するまでに複数回の試行錯誤が必要なため操作上の手間が掛かっていた。特に、把持対象物が細胞の場合には、複数回の試行錯誤を行うと、当該細胞が傷つくため、1回の操作で把持対象物を把持指の先端部で把持可能なマイクロマニピュレータが求められている。また、現在より2まわりも小さい0402型(0.4mm×0.2mm)のチップ素子の規格化も進められており、より微小な把持対象物を把持すると共に、ランド位置に正確かつ迅速に載置可能なマイクロマニピュレータが求められている。
【0006】
また、一般に、マイクロマニピュレータでは、把持指の先端部をX、Y、Zの3次元方向に移動させる機構を有しているが、とりわけ、Z方向に把持指の先端部を移動させる場合には、X、Y方向の移動に比べ、重力方向に逆らう位置エネルギーの増加を伴う移動となることから、消費電力が増大する要因となっていた。
【0007】
本発明は上記時間に鑑み、顕微鏡視野内において微小物体を正確かつ迅速に取り扱うことができ、消費電力の小さい小型のマイクロマニピュレータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、把持指の先端部を近接させて微小物体を把持する把持手段と、前記把持手段をX方向及びY方向に移動させると共に、前記把持手段の把持指の先端部を中心として前記把持指が揺動するように前記把持手段の姿勢方向を変更する第1移動手段と、前記第1移動手段に支持され、前記把持手段をZ方向に移動させる第2移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明では、把持手段をZ方向に移動させる第2移動手段が第1移動手段に支持されている。把持手段が、第1移動手段によりX方向及びY方向に移動され、第2移動手段によりZ方向に移動され、更に、第1移動手段により把持手段の把持指の先端部を中心として把持指が揺動するように把持手段の姿勢方向が変更されることで、微小物体に対する把持指の先端部が位置付けられる。そして、把持手段により把持指の先端部を近接させて微小物体が把持される。
【0010】
本発明において、具体的には、第1移動手段は入力されたX方向及びY方向の変位を合成して拡大するパンタグラフ機構を有しており、このパンタグラフ機構の出力側に第2移動手段が支持されている。パンタグラフ機構は、X方向の駆動力を供給するX方向アクチュエータからの駆動力が入力されるX方向入力リンクと、Y方向の駆動力を供給するY方向アクチュエータからの駆動力が入力されるY方向入力リンクと、X方向及びY方向アクチュエータからの駆動力によるX方向及びY方向の変位が合成されて出力される出力リンクとを有している。この場合に、把持手段の把持指の姿勢方向を変更する姿勢変更アクチュエータからの駆動力がX方向入力リンク又はY方向入力リンクに入力されることが好ましく、姿勢変更アクチュエータからの駆動力が入力されるX方向入力リンク又はY方向入力リンクが出力リンクと平行状態を維持することがより好ましく、X方向アクチュエータ又はY方向アクチュエータの出力部は姿勢変更アクチュエータをX方向又はY方向に移動可能に支持しており、姿勢変更アクチュエータからの駆動力がレバー部材を介してX方向入力リンクの位置を変位させることが更に好ましい。
【0011】
このようなパンタグラフ機構の一態様は、X方向入力リンク、Y方向入力リンク、出力リンクの他に略直線状の第1乃至第7の7つのリンクを有しており、第1リンクの一端はY方向入力リンクに、第2リンクの一端はX方向入力リンクの一端に、第3リンクの一端はX方向入力リンクの他端に、第4リンクの一端は出力リンクの一端に、第5リンクの一端は出力リンクの他端に、第1リンクの他端は第4リンクの他端に、第3リンクの他端は第5リンクの他端に、第6リンクの一端は第3リンク及び第5リンクの他端に、第7リンクの一端は第2リンク及びX方向入力リンクの一端に、それぞれ接続されており、更に、第2リンクの他端及び第6リンクの他端は、第6リンクがX方向入力リンク及び出力リンクと平行状態を維持するように第4リンクの同じ位置に接続されており、第7リンクの他端は第4リンクと平行状態を維持するように第1リンクに接続されている。
【0012】
また、上記態様のパンタグラフ機構は、第1リンクの一端がY方向入力リンクに接続された点、第2リンク及び第7リンクの一端がX方向入力リンクの一端に接続された点、第7リンクの他端が第1リンクに接続された点の3点で形成される第1の三角形が、第1リンクの一端がY方向入力リンクに接続された点、第4リンクの一端が出力リンクの一端に接続された点、第1リンクの他端が第4リンクの他端に接続された点の3点で形成される第2の三角形と相似であることが望ましい。このとき、レバー部材は、一端に姿勢変更アクチュエータからの駆動力が入力され、他端がX方向入力リンクに固定されており、レバー部材の一端及び他端間の距離と、第4リンクの一端が出力リンクに接続された点及び把持指の先端部間の距離とが第1の三角形と第2の三角形との相似比と同じであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、把持手段が、第1移動手段によりX方向及びY方向に移動され、第2移動手段によりZ方向に移動され、更に、第1移動手段により把持手段の把持指の先端部を中心として把持指が揺動するように把持手段の姿勢方向が変更されるので、顕微鏡視野内において微小物体に対する把持指の姿勢方向を容易に位置付けることができ、微小物体を正確かつ迅速に取り扱うことができると共に、第2移動手段が第1移動手段に支持され、把持手段が第1移動手段に支持されているので、第2移動手段には把持手段の荷重しか掛からず、重力に逆らうZ方向の移動に要する駆動力を小さくできるため、消費電力を小さくすることができ、更に、第1移動手段が、把持手段をX方向及びY方向に移動させる構成と、把持手段の把持指の先端部を中心として把持指が揺動するように把持手段の姿勢方向を変更する構成とを一体に有しているので、マイクロマニピュレータを小型化できる、という効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るマイクロマニピュレータを、細胞やマイクロ部品等の微小物体を取り扱うための微小物体ハンドリングシステムに適用した実施の形態について説明する。
【0015】
(構成)
図1に示すように、本実施形態の微小物体ハンドリングシステム200は、定盤1に架台4を介して固定され微小物体を取り扱うためのマイクロマニピュレータ100と、定盤1に固定されマイクロマニピュレータ100により取り扱われる微小物体を載置するためのステージ3と、支柱が定盤1に固定されCCDカメラ5が装着された顕微鏡2と、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する。)6と、PC6のスレーブ(奴隷)コンピュータとしてマイクロマニピュレータ100を制御する、プログラマブル・ロジック・コントローラ(以下、PLCと略称する。)等を内蔵したコントロールボックス8と、を備えている。
【0016】
PC6には、コントロールボックス8との入出力ケーブル、液晶表示装置等のモニタ7への出力ケーブル及びCCDカメラ5からの入力ケーブルが接続されている。コントロールボックス8は、マイクロマニピュレータ100と接続ケーブル8aで接続されていると共に、ジョイスティックや十字ボタン等を有しコントロールボックス8のPLCに命令を与えるためのコントローラ(入力装置)9に接続されている。従って、微小物体ハンドリングシステム200のオペレータは、顕微鏡2の接眼レンズから直接、又は、モニタ7を介してステージ3に載置された微小物体10を目視することができる。
【0017】
コントロールボックス8に内蔵されたPLCは、CPU、ROM、RAMの他に、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ等を有して構成されており、ROMに格納されたプログラム及びプログラムデータに従って、PC6から基本動作命令を受信すると共に、PC6に登録商標イーサネット(Ethernet)を介してエンコーダ等で検出したデータや種々のアクチュエータのステータスを送信し、更に、コントローラ9からの入力された命令を各アクチュエータ制御信号に変換して接続ケーブル8aを介してマイクロマニピュレータ100に送信する。
【0018】
図2及び図3に示すように、マイクロマニピュレータ100は、大別して、把持指(後述する固定指505、可動指507)を有し微小物体を取り扱う把持手段としてのハンドリング部104と、ハンドリング部104をX、Y方向に移動させるXY駆動部101と、ハンドリング部104の把持指の先端部(後述するエンドエフェクタ505aの先端部)を中心としてハンドリング部104を回動(厳密には回転揺動機構における揺動に相当するため、以下、揺動という。)させステージ3に載置された微小物体に対するハンドリング部104の把持指の先端部の姿勢方向を変更するθz駆動部102と、ハンドリング部104をZ方向に移動させる第2移動手段としてのZ駆動部103とからなる。なお、後述するように、XY駆動部101とθz駆動部102とは一体に構成されており、両者は本発明の第1移動手段として機能する。
【0019】
<XY駆動部101、θz駆動部102>
マイクロマニピュレータ100は、上述した架台4に固定される基台201を有している。基台201には、ハンドリング部104を、それぞれ、X、Y方向に駆動するための駆動源となるX方向アクチュエータ202と、Y方向アクチュエータ203とが互いに交差する方向に固定されている。
【0020】
X方向アクチュエータ202は、エンコーダを有し正逆転可能なステッピングモータ202aと、ステッピングモータ202aの出力軸であってエンコーダの反対側に形成されたボールネジ202bに係合する出力部としてのスライダ202cと、スライダ202cが摺動可能な直進ガイドレール(不図示)と、を有する直動アクチュエータであり、Y方向アクチュエータ203も同様に、エンコーダを有し正逆転可能なステッピングモータ203aと、ステッピングモータ203aの出力軸であってエンコーダの反対側に形成されたボールネジ203bに係合するスライダ203cと、スライダ203cが摺動可能な直進ガイドレール(不図示)と、を有している。
【0021】
X方向アクチュエータ202のスライダ202には、ステッピングモータからなり、ハンドリング部104の把持指の姿勢を変更するための駆動力を供給する姿勢変更アクチュエータとしてのθzアクチュエータ207が固定されている。θzアクチュエータ207の出力軸207aにはレバー208が固定されている。レバー208は支点部208aと固定部208bとで構成された平面略L字状の形状を有している。レバー208の支点部208aはθzアクチュエータ207の出力軸207aに嵌着されており、固定部208bはパンタグラフ機構204のX方向入力リンク204aに固定されている。また、Y方向アクチュエータ203のスライダ203cは、パンタグラフ機構204のY方向入力リンク204bに固定されている。このため、X方向アクチュエータ202、Y方向アクチュエータ203及びθzアクチュエータ207はパンタグラフ機構204にX方向及びY方向の直動変位、並びに、後述するようにハンドリング部104の把持指の姿勢を変更する(把持指を回転させる)ための直動変位(θz変位)を与えることができる。なお、図3では、レバー208の形状を表すためにX方向入力リンク204aと重なる部分を破線で示している。
【0022】
図4に示すように、パンタグラフ機構204は、上述したX方向入力リンク204a、Y方向入力リンク204b及び出力リンク204jの他に、X方向アクチュエータ202、Y方向アクチュエータ203及びθzアクチュエータ207からそれぞれ入力されたX方向及びY方向の直動変位、並びに、上述したθz変位を合成、拡大して出力リンク204jに出力するための略直線状のリンク204c〜204i及び回転対偶204k〜204sを有している。なお、本発明の第1リンク〜第7リンクと本実施形態のリンク204c〜204iとの関係について付言すれば、第1リンクはリンク204dに、第2リンクはリンク204eに、第3リンクはリンク204hに、第4リンクはリンク204fに、第5リンクはリンク204iに、第6リンクはリンク204gに、第7リンクはリンク204cに、それぞれ対応する。
【0023】
このパンタグラフ機構204は、X方向入力リンク204a、Y方向入力リンク204bから、リンク204c、204d、204e、204fで構成される平行四節(パンタグラフ)を介して出力リンク204jに変位を与えるものであり、リンク204g、204h、204iは、回転対偶204k〜204sの位置をそれぞれ末尾のアルファベットをとってk〜sとしたときに(図8(A)も参照)、□pqrn及び□osrnの二つの平行四辺形ループを加えるように付加されたリンクで、出力リンク204jの姿勢を一定に保つ機能を有するものであるが、詳述すれば以下の通りである。
【0024】
すなわち、パンタグラフ機構204は、リンク204dの一端はY方向入力リンク204に回転対偶204kを介して、リンク204eの一端はX方向入力リンク204aの一端に回転対偶204kを介して、リンク204hの一端はX方向入力リンク204aの他端に回転対偶204qを介して、リンク204fの一端は出力リンク204jの一端に回転対偶204oを介して、リンク204iの一端は出力リンク204jの他端に回転対偶204sを介して、リンク204dの他端はリンク204fの他端に回転対偶204mを介して、リンク204hの他端はリンク204iの他端に回転対偶204rを介して、リンク204gの一端はリンク204h及びリンク204iの他端に回転対偶204rを介して、リンク204cの一端はリンク204e及びX方向入力リンク204aの一端に回転対偶204pを介して、それぞれ接続されている。
【0025】
また、リンク204eの他端及びリンク204gの他端は、X方向アクチュエータ202、Y方向アクチュエータ203及びθzアクチュエータ207からの駆動力の入力の有無に拘わらず、リンク204gがX方向入力リンク204a及び出力リンク204jと平行状態を維持するように回転対偶204nを介してリンク204fの同一位置に接続されており、リンク204cの他端はリンク204fと平行状態を維持するように回転対偶204lを介してリンク204dに接続されている。更に、X方向アクチュエータ202、Y方向アクチュエータ203及びθzアクチュエータ207からの駆動力の入力の有無に拘わらず、回転対偶204k、204p、204lの3点で形成される第1の二等辺三角形が、回転対偶204k、204o、204mの3点で形成される第2の二等辺三角形と相似状態を保持し、レバー208の支点部208a(一端)から回転対偶204p(他端)までの距離と、ハンドリング部104の把持指の先端部(後述するエンドエフェクタ505aの先端部)から回転対偶204oまでの距離とが上記第1の二等辺三角形と上記第2の二等辺三角形との相似比と同じとなるように設定されている(図8(A)も参照)。このため、本実施形態では、θzアクチュエータ207から駆動力が入力されない状態で(θz=0°)、回転対偶204k、204p、レバー208の支点部208a(θzアクチュエータ207の回転軸207a)の位置、回転対偶204o、及び、ハンドリング部104の把持指の先端部(後述するエンドエフェクタ505aの先端部)は一直線上に位置している。
【0026】
図2〜図4に示すように、パンタグラフ機構204は、X方向アクチュエータ202、Y方向アクチュエータ203及びθzアクチュエータ207と干渉しないように、これらのアクチュエータより上方に配置されている。また、出力リンク204jの略中央には、Z駆動部103のギアボックス402から下方に延出された足部(不図示)を嵌合、固定するための嵌合穴が形成された支持部材205が立設されており(図4参照)、Z駆動部103は支持部材205を介してパンタグラフ機構204の出力リンク204jに支持されている。
【0027】
<Z駆動部103>
図2に示すように、Z駆動部103は、正逆転可能なステッピングモータ401と、減速歯車列を有しステッピングモータ401からの回転駆動力を減速するギアボックス402と、Z方向直動機構403とで構成されている。
【0028】
図5に示すように、Z方向直動機構403は、ボールネジ403a、ナット403b、スライダ403c、ガイドレール403d及びホルダ403eを有している。すなわち、ギアボックス402の減速歯車列の出力端には下方に延出されたボールネジ403aが配設されている。ボールネジ403aの先端部側は、ギアボックス402に固定されたホルダ403eに回転可能に軸支されている。ボールネジ403aにはナット403bが螺合しており、ナット403bにはスライダ403cが固定されている。また、ギアボックス402からはボールネジ403aと平行するように直進ガイドレール403dが配設されており、ガイドレール403dの先端部側はホルダ403eに固定されている。スライダ403cはガイドレール403d上を摺動可能にガイドレール403dに当接している。
【0029】
<ハンドリング部104>
図2に示すように、Z方向直動機構403のナット403bには、ハンドリング部104側の先端部に貫通穴が形成された連結部材404が固定されている。ハンドリング部104は、ベース501の下部に形成された2つの貫通穴510(図6参照)と連結部材404のハンドリング部104側の先端部に形成された貫通穴(不図示)とを貫通する連結ピン508により、Z駆動部103に固定されている。
【0030】
図6に示すように、ハンドリング部104は、微小物体を把持するために、固定指505と可動指507との2本の把持指を有している。固定指505、可動指507には、それぞれ微小物体と接触するエンドエフェクタ505a、507aが取り付けられている。
【0031】
ハンドリング部104のベース501にはメータ等のアクチュエータ502がブラケット503を伴って固定されており、プレート504には固定指505が組み付けられている(固定されている)。プレート504は、固定指505が組み付けられた状態で、ベース501と一定の隙間を形成してベース501に固定されている。この隙間には長板状のレバー506が介在している。レバー506の先端部一側(Z駆動部103の反対側)には可動指507が固定されており、先端部側中央には上下両方向に支点軸506aが突設されている。上述した隙間は、この支点軸506aがプレート504の軸受504aとベース501の軸受501aとに軸支されることにより画定されている。
【0032】
レバー506の後端には略U字状のスリット(切り欠き)506bが形成されている。スリット506bにはアクチュエータ502の出力ピン502aが係合している。このため、アクチュエータ502を駆動すると、レバー506が支点軸506bを中心として揺動することで、固定指505のエンドエフェクタ505aに可動指507のエンドエフェクタ507aが近接ないし離間し、微小物体の把持ないし把持した微小物体の開放を行うことができる。なお、エンドエフェクタ505a及びエンドエフェクタ507aは、先端同士が接触するように、固定指505及び可動指507に配設されたネジで調整可能である。
【0033】
(動作)
次に、本実施形態の微小物体ハンドリングシステム200の動作について、マイクロマニピュレータ100の動作を中心として、マイクロマニピュレータ100の機能毎に説明する。
【0034】
まず、オペレータは、図1に示すように、ステージ3に載置された微小物体10、ハンドリング部104のエンドエフェクタ505a、507aを、顕微鏡2、カメラ5及びPC6を介して、モニタ7の画面内に捉える。この状態で、オペレータは、コントローラ9からコントロールボックス8のPLCを介してマイクロマニピュレータ100に、X方向、Y方向、θz方向(エンドエフェクタ505aの先端部を中心とするハンドリング部104の揺動角度、すなわち、ハンドリング部104の姿勢方向)、Z方向と、把持指に対するハンドリング(開閉)の指令を与えて、微小物体10とエンドエフェクタ505a、507aとの相対関係を制御する。
【0035】
<X方向駆動>
図2〜図4に示すように、X方向アクチュエータ202に作動信号が与えられると、ステッピングモータ202aは、ボールネジ202bを回転させ、スライダ202cを介して、パンタグラフ機構204のX方向入力リンク204aを図3の水平方向(X方向)に移動させる。このとき、PLCは、Y方向アクチュエータ203を励磁すると共に、θzアクチュエータ207を励磁してθz=0°の状態を維持している。ここで、Y方向アクチュエータ203の励磁により回転対偶204kのY方向の変位が固定されるので、回転対偶204pの変位は、回転対偶204k〜204sの位置をそれぞれの末尾のアルファベットをとってk〜sとしたときに(図8(A)参照)、△kpl:△komの相似比に拡大されて回転対偶204oに出力され、回転対偶204oを変位(移動)させる。
【0036】
<Y方向駆動>
Y方向アクチュエータ203に作動信号が与えられると、ステッピングモータ203aは、ボールネジ203bを回転させ、スライダ203cを介して、パンタグラフ機構204のY方向入力リンク204bを図3の鉛直方向(Y方向)に移動させる。このとき、PLCは、X方向アクチュエータ202を励磁すると共に、θzアクチュエータ207を励磁してθz=0°の状態を維持している。ここで、X方向アクチュエータ202の励磁により回転対偶204pは固定されるので、回転対偶204kの変位は、X方向の場合と同様、回転対偶204k〜204sの位置をそれぞれの末尾のアルファベットをとってk〜sとしたときに、△kpl:△opnの相似比に拡大されて回転対偶204oに出力され、回転対偶204oを変位(移動)させる。
【0037】
<XY方向駆動>
上述したように、X方向、Y方向の入力によりパンタグラフ機構204の出力リンク204jにはX方向、Y方向の変位を合成した変位が出力される。上記のX方向駆動及びY方向駆動では、説明を簡単にするために、X方向駆動を行うときにはY方向アクチュエータ203を励磁した状態のままとしY方向入力リンク204bを移動させない例を示し、また、Y方向駆動を行うときにはX方向アクチュエータ202を励磁した状態のままとしX方向入力リンク204aを移動させない例を示したが、X方向駆動とY方向駆動とを同時に行うことができることは云うまでもない。なお、XY方向駆動を行うときは、パンタフラフ機構204の姿勢を図4に示した状態を保つため、上述したように、θzアクチュエータ207を励磁してθz=0°の状態を維持する必要がある。
【0038】
<θz方向駆動>
θzアクチュエータ207に作動信号が与えられると、θzアクチュエータ207は出力軸207aを揺動させ、出力軸207aに嵌着されたレバー208は、支点部208aを支点として、パンタグラフ機構204のX方向入力リンク204aに揺動変位を与える。図7(B)は図7(A)の状態からレバー208を支点部208aに対し反時計回り方向(CCW)にα度(例えば、15°)揺動させた例を示し、図7(C)は図7(A)の状態からレバー208を支点部208aに対し時計回り方向(CW)にβ度(例えば、15°)揺動させた例を示している。レバー208によりパンタグラフ機構204のX方向入力リンク204aに揺動変位を与えると、出力リンク204jにも同じ角度の揺動変位が出力される。
【0039】
これを機構図に従って説明する。図8(A)〜(C)は、それぞれ図7(A)〜(C)の状態に対応している。図8(A)は、回転対偶204k〜204sの位置をそれぞれの末尾のアルファベットをとって点k〜sとし、レバー208の支点部208a(θzアクチュエータ207の回転軸207a)の位置を点w、出力リンク204jの仮想の揺動中心点を点vとして表したものである。ここで、レバー208の支点部208aの位置を、点k、p、oを通る直線上にとると、出力リンク204jの揺動中心もその直線上となり、線分ov:線分pwの距離の比が△kpl:△komの相似比となるため、出力リンク204jを揺動させたい位置、点vに対して、レバー208の支点部208aの位置、点wの位置を設定することができる。本実施形態では、図7(A)に示すように、ハンドリング部104のエンドエフェクタ505aの先端部が揺動中心となるようにレバー208の支点部208aの位置を設定している。
【0040】
図8(B)に示すように、点wを中心に点pを角度α分揺動させると、△kplは点kを固定点として変形する。すると、△komも相似形を保つように変形し、点pの変位に対し点oが拡大変位する。点oの変位は点vを中心とした角度αの揺動となる。このとき、点q、r、sは角vosを一定に保つために付加された2つの平行四辺形ループ(□pqrn、□osrn)を形成する回転対偶として従動的に機能する。図8(C)に示すように、点wを中心に点pをCW方向にβ度揺動させても、同様に、点oは点vを中心にCW方向にβ度揺動する。
【0041】
<Z方向駆動>
図5に示すように、ステッピングモータ401に駆動信号が与えられると、ステッピングモータ401はギアボックス402に配設された減速歯車列を介してボールネジ403aを回転し、ナット403bと一体のハンドリング部104をガイドレール403dに沿って図5の上下方向(Z方向)移動させる。
【0042】
<把持駆動>
図6に示すように、アクチュエータ502に駆動信号が与えられると、出力ピン502aが揺動変位し、レバー506のスリット506bに変位が伝達され、レバー506は支点軸506aを中心に揺動する。これにより、可動指507のエンドエフェクタ507aは、固定指505のエンドエフェクタ505aに対し、近接、又は、離間する動きをする。従って、固定指505、可動指507の2本の把持指は、微小物体10の把持ないし把持した微小物体10の開放を行うことができる。
【0043】
(作用等)
次に、本実施形態の微小物体ハンドリングシステム200の作用等について、マイクロマニピュレータ100の作用等を中心に説明する。
【0044】
マイクロマニピュレータ100は、ハンドリング部104を、パンタグラフ機構204を用いてX方向及びY方向に駆動(移動)するXY駆動部101及びθz方向に駆動(エンドエフェクタ505aの先端部を中心として把持指が揺動するようにハンドリング部104の姿勢方向を変更)するθz駆動部102、並びに、Z方向に駆動するZ駆動部103を備えている。このため、例えば、直方体状の微小チップ部品等把持方向が制約される場合や、球状の卵細胞等であっても細胞操作のためエンドエフェクタ505a、507aによる接触位置(接触方向)が制約される場合に、θz駆動部102により、微小物体10に対するエンドエフェクタ507a、507による接触(把持)位置(方向)を調整することができる。従って、マイクロマニピュレータ100は、微小物体を正確かつ迅速に取り扱うことができる。また、微小物体を把持するエンドエフェクタ507a(の先端部)が揺動動作の中心となるので、エンドエフェクタ507a、507aの姿勢方向を変えることによる位置変化を少なくすることができ、顕微鏡視野内でのマイクロマニピュレータの操作が容易となる。
【0045】
また、マイクロマニピュレータ100は、Z駆動部103が支持部材205を介してパンタグラフ機構204の出力リンク204jに支持されており、連結部材404及び連結ピン508を介して、ハンドリング部104がZ駆動部103(のZ方向直動機構403のナット403b)に支持されている。この作用、効果について、本発明者らが既に提案したマイクロマニピュレータ(特願2004−166000)と比較して説明する。なお、便宜上、上記実施形態のマイクロマニピュレータ100を実施例、本発明者らが特願2004−166000で提案したマイクロマニピュレータを比較例1という。
【0046】
図9に示すように、比較例1のマイクロマニピュレータ100’は、基台201’上に、X方向アクチュエータ202’及びY方向アクチュエータ203’が配設されている。両アクチュエータは、それぞれ、パンタグラフ機構204’の入力リンクに変位を入力する。パンタグラフ機構204’の出力リンクには、Z駆動部103’が固定されている。Z駆動部103’の底面側には、その重量を受けて平面移動する脚部を有するXYスライダ205’と、その受け面206’とが配設されている。Z駆動部103’は、ステッピングモータ401’の駆動トルクをボールネジ403’に減速伝達して、ナット403’に組み付けられ駆動源のステッピングモータ304’を有するθz駆動部102’と、さらにその先に配置されたハンドリング部104’とにZ方向の駆動力を伝達する。
【0047】
実施例と比較例1とを対比すると、(1)Z方向について、比較例1ではステッピングモータ401’がθz駆動部102’とハンドリング部104’とを駆動する回転駆動力(回転トルク)が必要であるのに対し、実施例ではステッピングモータ401がハンドリング部104のみを駆動する回転トルクで足りる点、及び、(2)θz方向について、比較例1ではステッピングモータ304’がハンドリング部104’のみを駆動する回転トルクで足りるのに対し、実施例ではθzアクチュエータ207がZ駆動部103とハンドリング部104とを駆動する回転トルクが必要である点で相違している。
【0048】
上記(1)、(2)の相違について検討すると、Z方向の駆動は重力に逆らう移動のため、ステッピングモータ401、401’の負荷が大きくなる。一方、θz方向の駆動は、位置エネルギーの増加を伴うZ方向の駆動に比べると、負荷は小さい。従って、実施例のマイクロマニピュレータ100は、ステッピングモータ401とθzアクチュエータ207との駆動負荷の総和を、比較例1のマイクロマニピュレータ100’のステッピングモータ401’とステッピングモータ304’との駆動負荷の総和より小さくすることができるので、エネルギー消費を小さくすることができる。
【0049】
更に、マイクロマニピュレータ100は、θzアクチュエータ207の駆動力を、レバー208を介してX方向入力リンク204aに入力することで、ハンドリング104の把持指の姿勢方向(θz方向)を変更している。この作用、効果について、本発明者らが既に提案したマイクロマニピュレータ(特願2005−23796)と比較して説明する。なお、便宜上、上記実施形態のマイクロマニピュレータ100を実施例、本発明者らが特願2005−23796で提案したマイクロマニピュレータを比較例2という。
【0050】
図10に示すように、比較例2のマイクロマニピュレータ100Aは、θz駆動部102がパンタグラフ機構204を変位させるものではなく、パンタグラフ機構204の出力側(出力リンク204側)に独立して配置されている。θz駆動部102はベース301を有している。ベース301には、円弧状のガイドレール302が固定されており、ガイドレール302にはこのガイドレール302上を摺動可能なスライダ303が係合されている。ガイドレール302の円弧中心は、ハンドリング部104の把持指の先端部に一致している。スライダ303には、ステッピングモータ304と、ステッピングモータ304からの回転駆動を減速する減速歯車列からなるギアボックス305とが固定されている。更に、ベース301にはZ駆動部103側にガイドレール302と同心円状に円弧状壁面301aが形成されており、ベース301の円弧状壁面301aの上側には円弧状壁面301aよりZ駆動部103(ハンドリング部104)側に突出した内歯歯車301bが一体形成されている。
【0051】
実施例と比較例2とを対比すると、(3)比較例2ではθz駆動部102がパンタグラフ機構204の出力側に独立して配置されており、ベース301、ガイドレール302、減速歯車列を内蔵したギアボックス305等の部材が必要であるのに対し、実施例ではこれらの部材が不要で、θzアクチュエータ207の駆動力を、レバー208を介してパンタグラフ機構204のX方向入力リンク204aに入力すれば足りる。
【0052】
上記(3)の相違について検討すると、実施例のマイクロマニピュレータ100は比較例2のマイクロマニピュレータ100Aのようにベース301、ガイドレール302、ギアボックス305等の部材が不要なため、マイクロマニピュレータの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、2本の把持指を有するハンドリング部104を示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、微小物体の形状に応じて、把持指の形状、本数やエンドエフェクタの形状を変更可能なことは云うまでもない。また、本実施形態では、可動指507を固定指505に近接させる例を示したが、双方の把持指を互いに近接させるようにしてもよい。この場合に、把持指を駆動する(開閉させる)アクチュエータは、Z駆動部103のステッピングモータ401の負荷を小さくするために、単一であることが好ましく、双方の把持指を駆動可能な任意の構成を採ればよい。
【0054】
また、本実施形態では、θzアクチュエータ207の出力軸にレバー208の支点部208aを嵌着した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、減速ギアを介してレバー208の支点部208aにθzアクチュエータ207の駆動力を入力するようにしてもよい。この場合には、減速ギアの出力軸の位置が図8(A)に示した点wとなる。
【0055】
また、本実施形態では、図4に示したように、パンタグラフ機構204を、X方向入力リンク204a、Y方向入力リンク204b及び出力リンク204jの他に、略直線状のリンク204c〜204i及び回転対偶204k〜204sで構成した例を示したが、図11(B)〜(M)に示すように、本実施形態のパンタフラフ機構204(図11(A)参照)に代えて、種々のパンタフラフ機構を採用することができる。なお、図11において、aはX方向入力リンク、bはY方向入力リンク、jは出力リンク、θはθzアクチュエータからの駆動力が入力されるリンク、XはX方向アクチュエータからの駆動力の入力点、YはY方向アクチュエータからの駆動力の入力点をそれぞれ表している。
【0056】
更に、本実施形態では、X方向アクチュエータ202のスライダ202cがθzアクチュエータ207をX方向に移動可能に支持し、θzアクチュエータ207からの駆動力がレバー208を介してX方向入力リンク204aに入力する例を示したが、本発明はこれに制約されず、Y方向アクチュエータ203のスライダ203cがθzアクチュエータ207をY方向に移動可能に支持し、θzアクチュエータ207からの駆動力がレバーを介してY方向入力リンクに入力するようにしてもよい。ただし、この態様では、X方向アクチュエータ202、Y方向アクチュエータ203及びθzアクチュエータ207からの駆動力の入力の有無に拘わらず、当該Y方向入力リンクは出力リンク204jと平行状態を維持し、かつ、入力点ではなくリンクとして構成する必要がある。例えば、図11(M)はθzアクチュエータ207からの駆動力をY方向入力リンクに入力する一例であるが、本実施形態を表す図11(A)と比較すると明らかなように、Y方向入力リンクは出力リンク204jと平行状態を維持し、かつ、入力点ではなくリンクとして構成する必要がある。
【0057】
また、本実施形態では、X方向入力リンク204a、Y方向入力リンク204b、リンク204c〜204iを接続する部材に回転対偶204k〜204sを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図12(A)、(B)に示すように、リンクと一体成形された弾性ヒンジを用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、顕微鏡視野内において微小物体を正確かつ迅速に取り扱うことができ、消費電力の小さい小型のマイクロマニピュレータを提供することを目的とするため、マイクロマニピュレータの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の微小物体ハンドリングシステムの概略構成図である。
【図2】実施形態の微小物体ハンドリングシステムのマイクロマニピュレータの正面図である。
【図3】マイクロマニピュレータの平面図である。
【図4】Z駆動部を組み付ける前のマイクロマニピュレータのXY駆動部及びθz駆動部の平面図である。
【図5】マイクロマニピュレータのZ駆動部及びハンドリング部の斜視図である。
【図6】マイクロマニピュレータのハンドリング部の分解斜視図である。
【図7】θz駆動部の揺動原理を示す説明図であり、(A)は揺動前、(B)は反時計回り方向に揺動させた状態、(C)は時計回り方向に揺動させた状態を示すマイクロマニピュレータの平面図である。
【図8】パンタグラフ機構の回転対偶を点で表しθz駆動部の揺動原理を示す説明図であり、(A)は図7(A)に、(B)は図7(B)に、(C)は図7(C)にそれぞれ対応する機構図である。
【図9】比較例1のマイクロマニピュレータを示す正面図である。
【図10】比較例2のマイクロマニピュレータを示す一部分解斜視図である。
【図11】パンタフラフ機構の概略機構図を示し、(A)は本実施形態のパンタグラフ、(B)〜(M)は、本実施形態のパンタグラフに代えて適用可能な他の実施形態のパンタフラフである。
【図12】回転対偶に弾性ヒンジを用いた場合の説明図であり、(A)は2つのリンクを接続する弾性ヒンジ、(B)は3つのリンクを接続する弾性ヒンジを示した平面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 微小物体
100 マイクロマニピュレータ
101 XY駆動部(第1移動手段)
102 θz駆動部(第1移動手段)
103 Z駆動部(第2移動手段)
104 ハンドリング部(把持手段)
202 X方向アクチュエータ
202c スライダ(出力部)
203 Y方向アクチュエータ
204 パンタグラフ機構
204a X方向入力リンク
204b Y方向入力リンク
204c リンク(第7リンク)
204d リンク(第1リンク)
204e リンク(第2リンク)
204f リンク(第4リンク)
204g リンク(第6リンク)
204h リンク(第3リンク)
204i リンク(第5リンク)
204j 出力リンク
207 θzアクチュエータ(姿勢変更アクチュエータ)
207a 出力軸
208 レバー(レバー部材)
208a 支持部(一端)
208b 固定部(他端)
505 固定指(把持指)
505a エンドエフェクタ(先端部)
507 可動指(把持指)
507b エンドエフェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持指の先端部を近接させて微小物体を把持する把持手段と、
前記把持手段をX方向及びY方向に移動させると共に、前記把持手段の把持指の先端部を中心として前記把持指が揺動するように前記把持手段の姿勢方向を変更する第1移動手段と、
前記第1移動手段に支持され、前記把持手段をZ方向に移動させる第2移動手段と、
を備えたことを特徴とするマイクロマニピュレータ。
【請求項2】
前記第1移動手段は入力されたX方向及びY方向の変位を合成して拡大するパンタグラフ機構を有しており、このパンタグラフ機構の出力側に前記第2移動手段が支持されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項3】
前記パンタグラフ機構は、X方向の駆動力を供給するX方向アクチュエータからの駆動力が入力されるX方向入力リンクと、Y方向の駆動力を供給するY方向アクチュエータからの駆動力が入力されるY方向入力リンクと、前記X方向及びY方向アクチュエータからの駆動力によるX方向及びY方向の変位が合成されて出力される出力リンクとを有することを特徴とする請求項2に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項4】
前記把持手段の把持指の姿勢方向を変更する姿勢変更アクチュエータからの駆動力が前記X方向入力リンク又は前記Y方向入力リンクに入力されることを特徴とする請求項3に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項5】
前記姿勢変更アクチュエータからの駆動力が入力される前記X方向入力リンク又は前記Y方向入力リンクが前記出力リンクと平行状態を維持することを特徴とする請求項4に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項6】
前記X方向アクチュエータ又は前記Y方向アクチュエータの出力部は前記姿勢変更アクチュエータをX方向又はY方向に移動可能に支持しており、前記姿勢変更アクチュエータからの駆動力がレバー部材を介して前記X方向入力リンク又は前記Y方向入力リンクの位置を変位させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項7】
前記パンタグラフ機構は、前記X方向入力リンク、前記Y方向入力リンク、前記出力リンクの他に略直線状の第1乃至第7の7つのリンクを有しており、前記第1リンクの一端は前記Y方向入力リンクに、前記第2リンクの一端は前記X方向入力リンクの一端に、前記第3リンクの一端は前記X方向入力リンクの他端に、前記第4リンクの一端は前記出力リンクの一端に、前記第5リンクの一端は前記出力リンクの他端に、前記第1リンクの他端は前記第4リンクの他端に、前記第3リンクの他端は前記第5リンクの他端に、前記第6リンクの一端は前記第3リンク及び前記第5リンクの他端に、前記第7リンクの一端は前記第2リンク及び前記X方向入力リンクの一端に、それぞれ接続されており、更に、前記第2リンクの他端及び前記第6リンクの他端は、前記第6リンクが前記X方向入力リンク及び前記出力リンクと平行状態を維持するように前記第4リンクの同じ位置に接続されており、前記第7リンクの他端は前記第4リンクと平行状態を維持するように前記第1リンクに接続されていることを特徴とする請求項5に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項8】
前記パンタグラフ機構は、前記第1リンクの一端が前記Y方向入力リンクに接続された点、前記第2リンク及び第7リンクの一端が前記X方向入力リンクの一端に接続された点、前記第7リンクの他端が前記第1リンクに接続された点の3点で形成される第1の三角形が、前記第1リンクの一端が前記Y方向入力リンクに接続された点、前記第4リンクの一端が前記出力リンクの一端に接続された点、前記第1リンクの他端が前記第4リンクの他端に接続された点の3点で形成される第2の三角形と相似状態を保持することを特徴とする請求項7に記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項9】
前記レバー部材は、一端に前記姿勢変更アクチュエータからの駆動力が入力され、他端が前記X方向入力リンクに固定されており、前記レバー部材の一端及び他端間の距離と、前記第4リンクの一端が前記出力リンクに接続された点及び前記把持指の先端部間の距離とが前記第1の三角形と前記第2の三角形との相似比と同じであることを特徴とする請求項8に記載のマイクロマニピュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−30137(P2007−30137A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220600(P2005−220600)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】