説明

マシニングスピンドル、及び、シャフト

金属基複合材料のシャフト(1)、及び、シャフト(1)における巻線の保持力を助けるための複数の複数列(multi-fluted)の溝(1a)にめっきされた銅巻線(33)を備えたマシニングスピンドル。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、マシニングスピンドル、及び、マシニングスピンドルにおいて用いるためのシャフトに関するものである。
本案は、特に、ドリルスピンドル(drilling spindle)及びシャフトにおける使用、例えば、プリント回路基板(PCB)の孔開けのような、高速孔開けの用途における使用に適している。
【0002】
電子機器の小型化が続き、そのような機器の精巧さが継続的に増している傾向に沿って、製造工程全体を補助するために、プリント回路基板上に、より小さな孔を、より速く、また、より近接させて開けることを可能にしようという要望がある。一般論として、これらの要望によれば、良好な孔開け特性を達成するために、ドリルスピンドルを一層高速回転で運転することが好ましいということになる。また、プリント回路基板またはその他のワークピースに対するスピンドルの高速動作を促進するように、ドリルスピンドルを、可能な限り軽量におさえる必要性がある。
【0003】
プリント回路基板や他の部品の孔開けに用いるための既存のスピンドルは、通常は、必須のスムーズな運転を実現するために、エアーベアリング技術を使用する。同じことが、いくつかの他のマシニングスピンドルにも当てはまる。
【0004】
一般論として、そのようなスピンドルに用いられうる2つの補完的な駆動技術が存在する。直流モータドライブ及び交流モータドライブである。
交流モータは一般的に単純な構成を有しており、設置及び修理が容易であり、さらに、より信頼性を有しうるので、一般的に、直流モータドライブよりも交流モータドライブの使用が好まれる。交流ドライブにて用いられる部品、及び、高効率の交流ドライブ全体は、一般的に容易に入手でき、安価であることは確かである。
【0005】
当然ながら、交流モータ駆動においては、ある種の巻線が、スピンドルの駆動部、つまり、通常はシャフトに設けられる必要がある。これを実現するための1つの従来型の方法は、シャフト上で好ましい巻線パターンを実現するために、鋼製のシャフトにスロットを加工し、さらに、これらのスロットに銅めっきすることである。このようなドライブは、一般的には、ブラシレス誘導モータドライブとして機能するように構成される。
【0006】
このようなモータドライブ技術は、略毎分180,000回転で運転するスピンドルにおいて、従来的に用いられている。しかしながら、より高速な回転速度でそのようなスピンドルの運転を試みた場合に、困難に直面する。
【0007】
これはある程度は、モータドライブの運転がシャフト(通常は鋼製)の磁気特性に依存しているためである。鋼製のシャフトの使用は、高速な回転速度において、好ましくないものとなりうる。さらに、このような高速な回転速度においては、非常に高い遠心力が発生することにより、シャフトのスロットに設けられた銅めっきが剥がれ飛んでしまう危険性がある。
【0008】
本発明の少なくともいくつかの実施形態の目的は、これらの問題の1つまたはそれ以上を解決することである。
本発明の第1の側面によれば、シャフトと、スピンドルスリーブと、シャフトをスリーブに対して回転運動させるための交流モータドライブと、を備え、シャフトの一部は、使用中にこのシャフトの一部を通り抜ける磁束を生じるようにモータドライブの一部を形成し、少なくともシャフトの一部は、金属基複合材料からなるマシニングスピンドルが提供される。
【0009】
本発明の第2の側面によれば、シャフトと、スピンドルスリーブと、スリーブをシャフトに対して回転運動させるための交流モータドライブと、を備え、スリーブの一部は、使用中にこのスリーブの一部を通り抜ける磁束を生じるようにモータドライブの一部を形成し、少なくともスリーブの一部は、金属基複合材料からなるマシニングスピンドルが提供される。
【0010】
本発明の第3の側面によれば、マシニングスピンドルのためのシャフトが提供され、このシャフトは、その少なくとも一部が金属基複合材料からなる。
金属基複合材料は、モータドライブが機能できるために適切な磁気特性を有するように選択される必要があることは言うまでもない。金属基複合材料は、フェロチタン(Ferro−Titanit)としてもよい。
【0011】
好ましくは、シャフトは、モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する第1材料からなる本体を備えているとよい。巻線は、本体に成膜された第2材料を含んでいてもよい。巻線の少なくとも一部は、本体に設けられた複数列の(multi-fluted)溝に成膜されていてもよい。成膜の好ましい形態は、めっきである。本明細書において、めっきとは、電気化学的な析出の工程を指して用いられる。他の可能な成膜技術としては、溶銑(hot-metal)、または、焼き入れ(flame)、吹き付け(spraying)がある。好ましくは、巻線は、本体にめっきされた第2材料を含むとよい。
【0012】
巻線は、シャフトの一部に設けられていてもよい。この場合、シャフトの一部は、金属基複合材料からなり、且つ、使用中にシャフトの一部を通り抜ける磁束を生じる。
本発明の第4の側面によれば、シャフトと、スピンドルスリーブと、シャフトをスリーブに対して回転運動させるための交流モータドライブと、を備え、シャフトは、モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する第1材料からなる本体を備え、巻線は、本体に成膜された第2材料を含み、巻線の少なくとも一部は、本体における複数列の(multi-fluted)溝に成膜されたマシニングスピンドルが提供される。
【0013】
本発明の第5の側面によれば、マシニングスピンドルのためのシャフトが提供されており、シャフトは、モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する第1材料からなる本体を備え、巻線は、本体に成膜された第2材料を含み、巻線の少なくとも一部は、本体の複数列の(multi-fluted)溝に成膜されている。
【0014】
モータドライブのロータを形成するために、めっきにより鋼製のシャフトに巻線を成膜する技術は、エアーベアリングスピンドルの分野においては確立されている。しかし、例えば速度が毎分200,000回転に到達するような非常に速い速度でシャフトが回転される場合には、問題が生じる。まず、シャフトの強度や剛性に問題が生じ、この問題により、鋼製のシャフトを用いることを好ましくなくする。一方、交流モータドライブの使用が望まれており、このことは、シャフトが適切な磁気特性を有することを要求する。めっきされた巻線を有する通常のシャフトが備える他の問題は、スピンドルの故障を引き起こすシャフトからのめっきの剥離が起こりうるような、シャフト本体と巻線との間の不十分な接着が起こりうることである。この問題は、回転速度が増加するにつれて悪化する。シャフト本体に複数列の(multi-fluted)溝が設けられることは、接着のためのより広い表面積を設けることによりこの問題の解決を助ける。めっきのためのリエントラント(re-entrant)型のスロットまたは溝を設けることにより、また、他の“隆起(bulge)”型の凹部を設けることで、このような問題を解決しうると考えられうる。しかしながら、そのような形状は、一般的に空隙が巻線に残りやすいことから適切にめっきされず、機能を低下させることが明らかであった。
【0015】
シャフト本体に成膜される第2材料は、銅としてもよい。
本体は、複数列の(multi-fluted)溝を複数備え、その複数列の(multi-fluted)溝のそれぞれには、本体とは異なる材料が設けられていてもよい。
【0016】
複数列の(multi-fluted)溝、または、複数列の(multi-fluted)溝のそれぞれは、開口されていてもよい。複数列の(multi-fluted)溝、または、複数列の(multi-fluted)溝のそれぞれにおける各列は、開口されていてもよい。ここで、開口されているという表現は、各溝または列が、リエントラント型を有しておらず、また、換言すれば、シャフトに成膜された材料の一部が、その形状によりシャフト内に保持されるのではなく、むしろ、成膜された材料とシャフトの残りの部分の材料との間の接着により適当な位置に保持されるように、各溝または列が形成されているということである。
【0017】
本発明の第6の側面によれば、シャフトと、スピンドルスリーブと、スリーブをシャフトに対して回転運動させるための交流モータドライブと、を備え、スリーブは、モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する第1材料からなる本体を備え、巻線は、本体に成膜された第2材料を含み、巻線の少なくとも一部は、本体における複数列の(multi-fluted)溝に成膜されたマシニングスピンドルが提供される。
【0018】
好ましくは、スピンドルは、当該スピンドルの駆動部(シャフトまたはスリーブ)が、毎分200,000回転を超えて駆動可能に構成されているとよい。
本発明の第7の側面によれば、シャフトと、スピンドルスリーブと、シャフトとスリーブとの間で互いに相対的に回転運動させるための交流モータドライブと、を備え、スピ
ンドルは、当該スピンドルの駆動部が、毎分200,000回転を超えて駆動可能に構成されたマシニングスピンドルが提供される。
【0019】
好ましくは、スピンドルは、シャフトとスリーブとの間の相対的な回転を可能とする少なくとも1つのエアーベアリングを含むエアーベアリングスピンドルとするとよい。ほとんどの実施形態において、スピンドルスリーブは、エアーベアリングを備えている。
【0020】
本発明の他の1つの側面によれば、シャフトと、スピンドルスリーブと、シャフトをスリーブに対して毎分200,000回転を超えて回転運動させるための交流モータドライブと、を備え、シャフトは、モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する金属基複合材料からなる本体を備え、巻線は、本体に成膜された第2の異なる材料を有し、巻線の少なくとも一部は、本体に設けられた複数列の(multi-fluted)溝に成膜されたエアーベアリングマシニングスピンドルが提供される。
【0021】
上述したそれぞれの場合において、マシニングスピンドルはドリルスピンドルとしてもよく、さらには、シャフトはドリルスピンドルのためのものとしてもよい。
本発明の他の1つの側面によれば、シャフトと、スピンドルスリーブと、シャフトをスリーブに対して毎分200,000回転を超えて回転運動させるための交流モータドライブと、を備え、シャフトは、モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する金属基複合材料からなる本体を備え、巻線は、本体にめっきされた第2の異なる材料を有し、巻線の少なくとも一部は、本体における複数列の(multi-fluted)溝にめっきされたエアーベアリングマシニングスピンドルが提供されている。
【0022】
本発明の実施形態を、ほんの一例として、図面を参照しつつ以下に説明する。
図1は、本発明を具体化したPCBドリルスピンドルの一部の断面図を示す。PCBドリルスピンドルは、概して、スピンドルスリーブ2内に支持されると共に、ドリル用のビット(図示なし)を保持するためのコレット(図示なし)を備えたシャフト1を備えている。運転中においては、ドリル用のビットが、プリント回路基板(または、孔開けされる他のワークピース)に穿設するために用いられうるように、シャフト1がスピンドルスリーブ2に対して高速で運転される。一部が図1に示されたドリルスピンドルについては、多くの部分が標準的なものである。さらに、それらの標準的な部分が提供されうる多くの方法があり、それゆえに、それらの部品の図面や説明は、本明細書を簡略化するために本明細書には含まれていない。本明細書においては、標準的でなく、それゆえに関心の対象であるドリルスピンドルの部品はシャフトに用いられた材料であり、そして、これらの部品は、シャフト1のスリーブ2に対する運動に用いられるモータドライブにおける様々な側面の特性を備えている。これらの側面は、図1〜図4を参照しつつ、以下にさらに詳細に説明される。
【0023】
スピンドルは、スピンドルスリーブ2に設けられた一連の駆動コイル31、駆動コイル31に近接して配置されたシャフト1の部分32、及び、シャフト1に銅めっきの形で設けられた巻線33、を通常備えるモータドライブ3を備えている。
【0024】
駆動コイル31は、概して標準的なものであり、磁性材コアと適切な電気巻線とを備えている。
図2に明示されているように、銅めっき巻線33は、略軸方向に方向付けられた複数のストリップ部33aと、一対の周状のバンド部33bと、を備えている。バンド部の1つは、これらのストリップ部33aの端部を互いに連結するように、ストリップ部33aの第1端部に設けられ、また、他方のバンド部33bは、これらのストリップ部33aの他方の端部を互いに連結するように、ストリップ部33aの他方の端部に設けられている。それゆえに、銅めっき巻線33は、シャフト1の周囲を覆うようにはしご状に形成されている。図1において、銅めっき巻線33は、黒一色で示されている。図1においては、シャフトの一方の側には、ストリップ部33a及び2つの周状のバンド部33bが断面で示されており、一方、シャフトの他方側には、2つの周状のバンド部33bのみが見られることに留意してほしい。
【0025】
使用中には、スリーブ2に設けられた駆動コイル31の電気巻線に、適切な電流が供給される。シャフト1がスリーブ2に対して回転運動されることを引き起こすように、結果として、電流は標準的、且つ、よく知られた方法で、銅めっき巻線33に誘導される。シャフト1は、モータドライブ3において、銅めっきロータとして作用する。
【0026】
この段階では本発明のドリルスピンドルは標準的である。銅めっきロータ巻線を含むこのようなモータドライブシステムは、シャフト1のスリーブ2に対する回転を実現するために必要な電流駆動設計として知られている。適切な駆動コイル31、電源供給、及び、電子機器制御等を実現することは、この分野における当業者にとって、直接的な問題であることが理解されうる。
【0027】
図2に示すタイプの銅めっきロータシャフト1の製造において、適切なスロットや溝は、シャフト1の本体に最初に加工され、これらのスロットや溝には、その後、巻線33を作り出すためにめっきが施される。
【0028】
図2に示されたものに類似した標準的なシャフトにおいては、めっきのためにシャフトに加工されたスロットは、図3に示す型の単純な略半円形状を有している。しかしながら、本実施形態においては、より複合的(complex)、または、より複雑な(convoluted)スロット形状が用いられる。本実施形態においては、このより複合的またはより複雑な孔形状が、シャフト1に対して加工され、銅によりめっきされる全てのスロット1aに使用されている。換言すると、より複合的またはより複雑なスロット形状が、銅めっき巻線のそれぞれのストリップ部33a、及び、それぞれの周状のバンド部33bを形成するために、(シャフト1に対して)加工された孔1aに用いられている。しかしながら、別のものにおいては、加工されたスロットのうち選択されたもののみが、より複合的またはより複雑なスロット形状を有するように加工されていてもよい。具体的には、バンド部33bのためのスロット1aは、単純な形状を有していてもよい。
【0029】
図4は、ストリップ部33aの1つを形成するために、めっき前にシャフト1に加工されたスロット1aの任意の1つの断面図を示している。本実施形態において、スロット形状は、ベイビーボトム形状(Baby's bottom profile)と呼ばれうる形状を有していることが分かる。それゆえに、このスロット1aは、2列の溝(double fluted groove)である。その有効性や加工の容易性からこの特有の形状が好まれる一方、他の形状も用いられうる。そのような適切な形状は、複数列(multi-fluted)のスロットまたは溝を提供するような既存の形状として、より一般的に言及されてもよい。
【0030】
複数列(multi-fluted)の溝を提供する、より複合的、または、より複雑なスロット形状を設ける効果は、シャフト1の本体の材料と、この場合は、めっき巻線33を形成するために用いられた銅である成膜される材料との間の接着のための表面積を増加することである。シャフト1の本体と、成膜される材料との間の接着のための表面積を増加することは、成膜部とシャフト1の本体との間の全体的な接着力を向上し、シャフト1全体として、毎分200,000回転、または、それ以上の回転のような非常に高速の回転に良好に耐えうることを可能とする。
【0031】
図4に示されるように、シャフト1に設けられた複数列(multi-fluted)の溝のそれぞれは、開口されている(open-mouthed)ことも注目すべき点である。換言すると、シャフトの表面における溝の全体的な幅は、溝における他の何れの箇所における幅とも等しいか、または、何れの箇所における幅よりも広く、別の言い方をするならば、この溝は、リエントラント型(re-entrant shape)を有しない溝である。(めっき材料を適当な位置に保持しやすい)リエントラント型の溝が用いられた場合には、溝の十分なめっきが達成されないので、リエントラント型でないことは、溝形状の好適な特徴である。リエントラント型の溝へのめっきを行ったとき、運転中に性能劣化を引き起こしたり、さらに/または、シャフトの不具合のリスクを増加しうる空隙をめっきされた本体に残したままで、めっき面は溝の外表面を覆いうる。それゆえに、当初は、シャフト内にめっき材料を保持する考えは魅力的なようであったが、実際には、これは最適な方法ではない。
【0032】
図4に示すような複数列(multi-fluted)の溝の溝形状を用いて設けられたシャフト1の表面におけるスロットの幅は、図3に示す単純な半円形状を用いて達成されるものと略同じである。このスロットの幅は、運転中のシャフトの電気特性及び磁気特性のために重要である。
【0033】
シャフト1の本体とめっき材料との間の接着力の向上のために用いるスロット1aの最適形状の決定においては、スロットを形成するために行われる必要がある機械加工工程に関して熟慮を必要とする。それゆえに、ベイビーボトム形状、または、他の形状は、例えば、多数の溝列(a larger number of flutes)が設けられたもの、また、スロットの表面に粗面処理(a small scale roughening) 、または、ローレット処理(knurling)されたものよりも好ましい。ここで、ベイビーボトム形状、または、他の形状は、本体における溝、または、本体における溝のそれぞれが2つの列(2フルート(two flutes))を有する形状である。
【0034】
本実施形態においては、上述したように毎分200,000回転を上回る非常に高速な回転を容易とするため、シャフト1は、金属基複合材料にて製造されており、具体的に本実施形態においては、シャフト1は、フェロチタン(Ferro−Titanit)金属基複合材料にて製造されている。この材料は、非常に高速で回転するシャフトに用いるのに適するように特に強度及び剛性があるものである。しかしながら、さらに、この材料は、上述したような型のスピンドルにおけるめっきされたシャフトに用いられうるように、適度な磁気特性を有している。
【0035】
当然のことながら、図1及び図2に関連して上述したモータドライブが機能するために、磁束がシャフト1の材料を通して発生可能でなければならない。これは、鋼製のシャフトが用いられている場合には問題とはならない。しかし、回転速度が増加するにつれて、鋼製のシャフトの使用は好ましくなく、または、非実用的である。シャフトを製造可能な材料から適切な材料を見つけることは非常に困難である。
【0036】
例えば、シャフトに永久磁石が設けられた直流モータドライブ技術を用いた他の用途においては、非常に高速な回転速度を達成するためにセラミック材料が用いられてきた。しかしながら、そのような材料は、シャフト自体の材料を通して磁束を生じさせる必要がある場合には、使用することができない。
【0037】
それゆえに、磁性材料として機能しうる金属基複合材料が、少なくともシャフトに適切な材料として選択されるべきである。
上述したタイプのドリルスピンドルは、最高、毎分略220,000回転の速度で運転可能であるべきである。
【0038】
上述した説明は、ドリルスピンドルに関して記載されており、本発明は特にドリルスピンドル及びドリルスピンドルのためのシャフトにおいて用いることが適している一方、本発明が、より広く適用され、例えば、浅彫り(light engraving)/ルータ(routing)スピンドル、及び、孔研磨(bore grinding)スピンドルのような他のマシニングスピンドルに用いられうることは言うまでもない。
【0039】
さらに、上述した説明ではシャフトへの材料のめっきに言及している一方、十分な接着力を達成するように提供された、例えば、溶銑(hot-metal)、または、焼き入れ(flame)、吹き付け(spraying)のような他の型の成膜技術が用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】PCB孔開けエアーベアリングドリルスピンドルの一部の断面図を示す。
【図2】図1に示すドリルスピンドルのシャフトの等角図を示す。
【図3】図2に示されたものと同種の従来のシャフトに加工されたスロットの形状を概略的に示す。
【図4】銅めっきをするために、図2に示すシャフトに加工されたスロットの形状を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシニングスピンドルであって、
シャフトと、
スピンドルスリーブと、
前記シャフトを前記スリーブに対して回転運動させるための交流モータドライブと、
を備え、
前記シャフトの一部は、使用中に該シャフトの一部を通り抜ける磁束を生じるように前記モータドライブの一部を形成し、少なくとも前記シャフトの一部は、金属基複合材料からなるマシニングスピンドル。
【請求項2】
前記金属基複合材料は、フェロチタン(Ferro−Titanit)である請求項1に記載のマシニングスピンドル。
【請求項3】
前記シャフトは、前記モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する第1材料からなる本体を備える請求項1または請求項2に記載のマシニングスピンドル。
【請求項4】
前記巻線は、前記本体に成膜された第2材料を含む請求項3に記載のマシニングスピンドル。
【請求項5】
前記巻線は、前記本体にめっきされた第2材料を含む請求項4に記載のマシニングスピンドル。
【請求項6】
前記巻線の少なくとも一部は、前記本体に設けられた複数列の(multi-fluted)溝に設けられうる請求項3〜請求項5の何れかに記載のマシニングスピンドル。
【請求項7】
前記巻線は、前記シャフトの一部に設けられており、
前記シャフトの一部は、金属基複合材料からなり、且つ、使用中には該一部を通り抜ける磁束を生じる請求項3〜請求項6の何れかに記載のマシニングスピンドル。
【請求項8】
前記本体は、複数列の(multi-fluted)溝を複数備え、
前記複数列の(multi-fluted)溝のそれぞれには、前記本体とは異なる材料が設けられる請求項3〜請求項7の何れかに記載のマシニングスピンドル。
【請求項9】
前記複数列の(multi-fluted)溝、または、複数列の(multi-fluted)溝のそれぞれは、開口されている請求項6または請求項8に記載のマシニングスピンドル。
【請求項10】
前記複数列の(multi-fluted)溝、または、複数列の(multi-fluted)溝のそれぞれにおける各列は、開口されている請求項6または請求項9の何れかに記載のマシニングスピンドル。
【請求項11】
当該スピンドルは、該スピンドルの駆動部が、毎分200,000回転を超えて駆動可能に構成された請求項1〜請求項10の何れかに記載のマシニングスピンドル。
【請求項12】
当該スピンドルは、前記シャフトと前記スリーブとの間の相対的な回転を可能とする少なくとも1つのエアーベアリングを含むエアーベアリングスピンドルである請求項1〜請求項11の何れかに記載のマシニングスピンドル。
【請求項13】
当該マシニングスピンドルは、ドリルスピンドルである請求項1〜請求項12の何れかに記載のマシニングスピンドル。
【請求項14】
マシニングスピンドルであって、
シャフトと、
スピンドルスリーブと、
前記スリーブを前記シャフトに対して回転運動させるための交流モータドライブと、
を備え、
前記スリーブの一部は、使用中に該スリーブの一部を通り抜ける磁束を生じるように前記モータドライブの一部を形成し、少なくとも前記スリーブの一部は、金属基複合材料からなるマシニングスピンドル。
【請求項15】
マシニングスピンドルのためのシャフトであって、
金属基複合材料からなる少なくとも一部を備えたシャフト。
【請求項16】
マシニングスピンドルであって、
シャフトと、
スピンドルスリーブと、
前記シャフトを前記スリーブに対して回転運動させるための交流モータドライブと、
を備え、
前記シャフトは、前記モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する第1材料からなる本体を備え、
前記巻線は、前記本体に成膜された第2材料を含み、
前記巻線の少なくとも一部は、前記本体における複数列の(multi-fluted)溝に成膜されたマシニングスピンドル。
【請求項17】
マシニングスピンドルのためのシャフトであって、
前記モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する第1材料からなる本体を備え、
前記巻線は、前記本体に成膜された第2材料を含み、
前記巻線の少なくとも一部は、前記本体における複数列の(multi-fluted)溝に成膜されたシャフト。
【請求項18】
マシニングスピンドルであって、
シャフトと、
スピンドルスリーブと、
前記スリーブを前記シャフトに対して回転運動させるための交流モータドライブと、
を備え、
前記スリーブは、前記モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する第1材料からなる本体を備え、
前記巻線は、前記本体に成膜された第2材料を含み、
前記巻線の少なくとも一部は、前記本体における複数列の(multi-fluted)溝に成膜されたマシニングスピンドル。
【請求項19】
マシニングスピンドルであって、
シャフトと、
スピンドルスリーブと、
前記シャフトと前記スリーブとの間で互いに相対的に回転運動させるための交流モータドライブと、
を備え、
当該スピンドルは、該スピンドルの駆動部が、毎分200,000回転を超えて駆動可能に構成されたマシニングスピンドル。
【請求項20】
エアーベアリングマシニングスピンドルであって、
シャフトと、
スピンドルスリーブと、
前記シャフトを前記スリーブに対して毎分200,000回転を超えて回転運動させるための交流モータドライブと、
を備え、
前記シャフトは、前記モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する金属基複合材料からなる本体を備え、
前記巻線は、前記本体に成膜された第2の異なる材料を有し、
前記巻線の少なくとも一部は、前記本体に設けられた複数列の(multi-fluted)溝に成膜されたエアーベアリングマシニングスピンドル。
【請求項21】
エアーベアリングマシニングスピンドルであって、
シャフトと、
スピンドルスリーブと、
前記シャフトを前記スリーブに対して毎分200,000回転を超えて回転運動させるための交流モータドライブと、
を備え、
前記シャフトは、前記モータドライブの一部を形成するために、巻線を有する金属基複合材料からなる本体を備え、
前記巻線は、前記本体にめっきされた第2の異なる材料を有し、
前記巻線の少なくとも一部は、前記本体における複数列の(multi-fluted)溝にめっきされたエアーベアリングマシニングスピンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−514176(P2008−514176A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531817(P2007−531817)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003377
【国際公開番号】WO2006/030176
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507023500)ジーエスアイ グループ リミテッド (13)
【Fターム(参考)】