説明

マロニル−CoAデカルボキシラーゼ阻害剤として有用な複素環式化合物

本発明は、構造Iで示されるような化合物の使用法、化合物を含む薬学的組成物、ならびに代謝性疾患およびMCD阻害によって調節される疾患の予防、管理および治療のための方法を提供する。本発明において開示される化合物は、マロニル-CoAによって調節されるグルコース/脂肪酸代謝経路に関与する疾患の予防、管理および治療のために有用である。特に、これらの化合物および化合物を含む薬学的組成物は、心血管疾患、糖尿病、癌および肥満の予防、管理および治療において必要とされる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、特定の代謝性疾患の治療法と、そのような疾患を治療する際に有用な、化合物およびそれらのプロドラッグの使用、ならびに/または薬学的に許容される塩、そのような化合物を含む薬学的組成物に関する。特に、本発明は、マロニル-コエンザイムAデカルボキシラーゼ(マロニル-CoAデカルボキシラーゼ、MCD)の阻害を通じた、心血管疾患、糖尿病、癌、および肥満の予防、管理または治療のための化合物および組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マロニル-CoAは、体内で酵素アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)によって産生される重要な代謝中間体である。肝、脂肪細胞、および他の組織において、マロニル-CoAは脂肪酸合成酵素(FAS)の基質である。ACCおよびマロニル-CoAは、脂肪酸合成酵素レベルが低い骨格筋および心筋組織で見いだされる。マロニル-CoAデカルボキシラーゼ(MCD、EC4.1.1.9)は、マロニル-CoAのアセチル-CoAへの変換を触媒し、それによりマロニル-CoAレベルを調節する。MCD活性は、原核生物、鳥類、および哺乳類を含む広範な生物において記載されている。この酵素は細菌リゾビウム・トリフォリ(Rhizobium trifolii)(Anら、J. Biochem. Mol. Biol. 32: 414-418 (1999))、水鳥の尾腺(Bucknerら、Arch. Biochem. Biophys 177: 539 (1976);KimおよびKolattukudy、Arch. Biochem. Biophys 190: 585 (1978))、ラット肝ミトコンドリア(KimおよびKolattukudy、Arch. Biochem. Biophys. 190: 234 (1978))、ラット乳腺(KimおよびKolattukudy、Biochim. Biophys, Acta 531: 187 (1978))、ラット膵β細胞(Voilleyら、Biochem. J. 340: 213 (1999))およびガチョウ(ハイイロガン)(Jangら、J. Biol. Chem. 264: 3500 (1989))から精製されている。MCD欠損症患者の同定は、ガチョウおよびラットMCD遺伝子に相同のヒト遺伝子のクローニングにつながる(Gaoら、J. Lipid. Res. 40: 178 (1999);Sackstederら、J. Biol. Chem. 274: 24461 (1999);FitzPatrickら、Am. J. Hum. Genet. 65: 318 (1999))。ノーザンブロット分析で単一のヒトMCD mRNAが観察される。筋および心臓組織で最も高いmRNA発現レベルが観察され、肝、腎および膵ではその次に高く、検査したその他の組織すべてにおいて検出可能な量が認められる。
【0003】
マロニル-CoAは、長鎖脂肪酸の代謝に必要不可欠な酵素であるカルニチンパルミトイル転移酵素-I(CPT-I)の強力な内因性阻害剤である。CPT-Iは脂肪酸酸化の律速酵素で、アシルカルニチンの生成を触媒し、アシルカルニチンはアシルカルニチントランスロカーゼにより細胞質ゾルからミトコンドリア膜を通過して輸送される。ミトコンドリア内部で、長鎖脂肪酸は補足酵素CPT-IIによってCoA型に変換され、ミトコンドリア内でアシル-CoAはβ-酸化経路に入ってアセチル-CoAを生成する。肝においては、例えば食後に高レベルのアセチル-CoAが生成し、CPT-Iを阻害するマロニル-CoAレベルの上昇を引き起こし、それによって脂肪代謝を妨害し、かつ脂肪合成に有利にはたらく。反対に、マロニル-CoAレベルが低い場合、長鎖脂肪酸をミトコンドリア内へ輸送させることにより、脂肪酸代謝に好都合となる。したがって、マロニル-CoAは、脂肪酸合成と脂肪酸酸化とのバランスを保つ上で重要な役割を果たす中心的代謝物である(Zammit、Biochem. J. 343: 5050-515 (1999))。最近の研究により、MCDは細胞質ならびにミトコンドリアのマロニル-CoAレベルを調節しうることが示されている[AlamおよびSaggerson、Biochem J. 334: 233-241 (1998);Dyckら、Am J Physiology 275: H2122-2129 (1998)]。
【0004】
マロニル-CoAは筋および心臓組織に存在するが、これらの組織ではFASは低レベルでしか検出されていない。これらの組織におけるマロニル-CoAおよびMCDの役割は、脂肪酸代謝を調節することであると考えられる。これは、別個の遺伝子によってコードされるCPT-Iの筋(M)および肝(L)アイソフォームのマロニル-CoA阻害によって達成される(McGarryおよびBrown、Eur. J. Biochem. 244: 1-14 (1997))。マロニル-CoA阻害に対して、筋アイソフォーム(IC50=0.03μM)は肝アイソフォーム(IC50=2.5μM)よりも感受性が高い。CPT-Iのマロニル-CoA調節が肝、心臓、骨格筋および膵β細胞で記載されている。加えて、おそらくアシル基を小胞体に送達する系の一部である、ミクロソームにおけるマロニル-CoA感受性アシル-CoA転位酵素活性も記載されている(Fraserら、FEBS Lett. 446: 69-74 (1999))。
【0005】
心血管疾患
健康なヒトの心臓は利用可能な代謝基質を利用している。血糖値が高い場合、グルコースの取り込みおよび代謝によって心臓の主な燃料源が得られる。絶食状態では、脂肪組織によって脂質が提供され、心臓での脂肪酸取り込みおよび代謝によってグルコース代謝が下方制御される。脂肪酸およびグルコースの血清レベルによる中間代謝の調節は、グルコース-脂肪酸回路を含む(Randleら、Lancet, 1: 785-789 (1963))。虚血状態では、酸素供給が限られるため、脂肪酸およびグルコース両方の酸化が低下し、心臓組織における酸化的リン酸化によって産生されるATPの量が減少する。十分な酸素がない状態では、ATPレベルを維持しようとして解糖が増大し、その結果、乳酸の増加および細胞内pHの低下が起こる。エネルギーを費やしてイオンの恒常性を維持し、異常に低いATPレベルおよび細胞の浸透性崩壊の結果、筋細胞死が起こる。加えて、AMPKが虚血中に活性化されてリン酸化し、したがってACCを不活化する。全体の心臓マロニル-CoAレベルが低下し、したがってCPT-I活性が上昇し、脂肪酸の酸化がグルコースの酸化よりも有利となる。心臓組織における代謝調節剤の有益な効果は、酸素1モルあたりのATPの有効性が脂肪酸に比べてグルコースで高まることで、より重要なことには、解糖とグルコース酸化の結合が増大することにより、虚血組織におけるプロトン負荷の正味の低下が起こる。
【0006】
いくつかの臨床および実験的研究から、心臓におけるエネルギー代謝のグルコース酸化へのシフトは、これに限定されるわけではないが心筋虚血などの心血管疾患に伴う症状を軽減するための有効なアプローチであることが示されている(Hearse、「虚血性心疾患とその管理への代謝的アプローチ(Metabolic approaches to ischemic heart disease and its management)」、Science Press)。いくつかの臨床的に証明された、ペルヘキシリンおよびアミオダロンを含む抗狭心症薬は、CPT-Iの阻害を介して脂肪酸の酸化を阻害する(Kennedyら、Biochem. Pharmacology, 52: 273 (1996))。抗狭心症薬のラノラジン(現在第III相試験中)およびトリメタジジンは、脂肪酸のβ-酸化を阻害することが判明している(McCormackら、Genet. Pharmac. 30: 639 (1998)、Pepineら、Am. J. Cardiology 84: 46 (1999))。トリメタジジンは、脂肪酸酸化の基本的段階である長鎖3-ケトアシルCoAチオラーゼを特異的に阻害することが明らかにされている(Kantorら、Circ. Res. 86: 580-588 (2000))。ジクロロ酢酸塩はピルビン酸脱水素酵素複合体を刺激することによりグルコース酸化を増大させ、冠動脈疾患の患者で心臓機能を改善する(Wargovichら、Am. J. Cardiol. 61: 65-70 (1996))。MCD阻害剤でマロニル-CoAレベルを高めることによってCPT-I活性を阻害すると、心血管疾患の予防および治療にとって、新規であるだけでなく、他の公知の低分子CPT-I阻害剤に比べてはるかに安全な方法が得られると考えられる。
【0007】
グリセロール-脂質合成に関与する段階のほとんどは、肝小胞体(ER)膜の細胞質ゾル側で起こる。ER内での分泌を標的とする、ジアシルグリセロール(DAG)およびアシルCoAからのトリアシルグリセロール(TAG)の合成は、ER膜を通過するアシルCoA輸送に依存している。この輸送は、マロニル-CoA感受性アシル-CoA転移酵素活性に依存している(Zammit、Biochem. J. 343: 505 (1999);Abo-Hashema、Biochem. 38: 15840 (1999)およびAbo-Hashema、J. Biol. Chem. 274: 35577 (1999))。MCD阻害剤によるTAG生合成の阻害は、血中脂質プロフィールを改善し、したがって患者の冠動脈疾患のリスクを低減する可能性がある。
【0008】
糖尿病
糖尿病に最もよく付随する二つの代謝性合併症は、肝のケトン体過剰産生(NIDDMにおいて)および持続性のグルコースレベル上昇に伴う臓器毒性である。脂肪酸酸化の阻害は、血糖値を調節し、II型糖尿病のいくつかの症状を寛解することができる。CPT-Iのマロニル-CoA阻害は、低インスリン-高グルカゴン血症状態発症中の脂肪酸酸化速度を制御する最も重要な調節機構である。いくつかの不可逆的および可逆的CPT-I阻害剤が、その血糖値を制御する能力について評価されており、これらはすべて決まって血糖降下性である(Anderson、Current Pharmaceutical Design 4: 1 (1998))。肝特異的かつ可逆的なCPT阻害剤であるSDZ-CPI-975は、18時間絶食させた健常な非ヒト霊長類およびラットで、心肥大を引き起こすことなくグルコースレベルを著しく低下させる(Deemsら、Am. J. Physiology 274: R524 (1998))。マロニル-CoAは膵β細胞におけるグルコースおよび脂肪酸の相対的利用可能性のセンサーとしての重大な役割を果たしており、したがってグルコース代謝を細胞のエネルギー状態およびインスリン分泌に連結している。インスリン分泌促進物質がβ細胞におけるマロニル-CoA濃度を高めることが明らかにされている(Prentkiら、Diabetes 45: 273 (1996))。しかし、糖尿病をCPT-I阻害剤で直接治療することは、機構に基づく肝および心筋毒性の原因となっている。したがって、CPT-Iをその内因性阻害物質、マロニル-CoAの増加を通じて阻害するMCD阻害剤は、糖尿病性疾患の治療のために、CPT-I阻害剤と比べて安全かつ優れている。
【0009】

マロニル-CoAは、ヒト乳癌細胞および異種移植片において脂肪酸合成酵素阻害により誘導される細胞毒性の媒介物質である可能性が示唆されている(Pizerら、Cancer Res. 60: 213 (2000))。抗腫瘍抗生物質セルレニンまたは合成類縁体C75を用いての脂肪酸合成酵素の阻害は、乳癌細胞のマロニル-CoAレベルを著しく上昇させることが判明している。一方、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)のレベルでのみ阻害する、脂肪酸合成阻害剤TOFA(5-(テトラデシロキシ)-2-フロン酸)は、抗腫瘍活性は全く示さないが、同時にマロニル-CoAレベルは対照の60%に低下する。マロニル-CoAレベルの上昇はこれらの脂肪酸合成酵素阻害剤の抗腫瘍活性を担っていると考えられる。MCD阻害剤を用いてマロニル-CoAレベルを調節することは、したがって、癌性疾患治療のための価値ある治療戦略となる。
【0010】
肥満
マロニル-CoAはニューロペプチドY経路の阻害により、脳の食欲シグナリングにおいて主要な役割を果たすことが示唆されている(Loftusら、Science 288: 2379 (2000))。脂肪酸合成酵素(FAS)阻害剤セルレニンまたはC75によるマウスの全身または脳室内治療は、摂食阻害および劇的な体重減少を引き起こした。C75は海馬において摂食亢進性(prophagic)シグナルニューロペプチドYの発現を阻害し、マロニル-CoAによって仲介されると考えられるレプチン非依存性の様式で作用することが判明した。したがって、MCDの阻害を通じてのマロニル-CoAレベルの制御は、肥満の予防および治療への新規アプローチを提供する。
【0011】
加えて、これらの化合物は、MCD欠損または機能不全に関連する疾患の診断ツールとしても有用である。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明は、構造Iで示されるような化合物の使用法、これらの化合物を含む薬学的組成物、ならびに代謝性疾患およびMCD阻害によって調節される疾患の予防、管理および治療のための方法を提供する。本発明に開示される化合物は、マロニル-CoA調節グルコース/脂肪酸代謝経路に関与する疾患の予防、管理および治療のために有用である。特に、これらの化合物およびこれらの化合物を含む薬学的組成物は、心血管疾患、糖尿病、癌および肥満の予防、管理および治療において必要とされる。
【0013】
本発明の範囲内には、MCD欠損または機能不全に関連する疾患を検出するための診断法も含まれる。
【0014】
本発明において有用な化合物は、下記の構造によって示され、

式中、R1、R2、R3、R4、X、YおよびZは、下記に定義されるとおりである。これらの化合物の範囲内には、対応する鏡像異性体、ジアステレオ異性体、プロドラッグ、および薬学的に許容される塩も含まれる。本発明の他の局面は本発明の説明を続けるうちに明らかになると思われる。したがって、前記は単に本発明の特定の局面の概要を示しているにすぎず、いかなる様式でも本発明を限定することを意図するものではなく、本発明を限定すると解釈されるべきでもない。
【0015】
発明の詳細な説明
下記の本発明の詳細な説明は、網羅的であること、または開示する正確な詳細に本発明を限定することを意図してはいない。これは、他の当業者に本発明の詳細を十分に説明するために選択され、記載されたものである。
【0016】
本発明において有用な化合物は、薬学的に許容される担体中の、下記式(I)、その対応する鏡像異性体、ジアステレオ異性体もしくは互変異性体、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである:

式中、
R1およびR2は、水素、ハロゲン、C1〜C6置換アルキル、C1〜C6置換アルケニル、C1〜C6置換アルキニル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-NHCONR5R6、-COR5、-CONR5R6、-S(O)nR5、または-SO2NR5R6から独立に選択され;
R3およびR4は、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、ヒドロキシル、メトキシル、-COOH、-COOR5、-NHCONR5R6、-COR5、-CONR5R6、-S(O)nR5、または-SO2NR5R6、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシル、フェニル、置換フェニル、アリール、またはヘテロアリールから独立に選択され;
R5およびR6は、水素、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、フェニル、置換フェニル、アリール、またはヘテロアリールから独立に選択され;
Xは、O、N、NH、NR5、S、またはCから選択される。
【0017】
好ましくは、本発明の化合物は、下記式(Ia〜If)で表される:

式中、R1、R2、R3およびR4は、前述の定義のとおりである。
【0018】
より好ましくは、本発明の化合物は、一般式Ieで表される:

式中、R1、R2、R3およびR4は、前述の定義のとおりである。
【0019】
組成物
本発明の組成物は、以下の(a)および(b)を含む:
(a)安全で治療的に有効な量のMCD阻害化合物IまたはII、その対応する鏡像異性体、ジアステレオ異性体もしくは互変異性体、またはその薬学的に許容される塩、もしくはプロドラッグ;および
(b)薬学的に許容される担体。
【0020】
前述のとおり、多くの疾患がMCD関連療法によって仲介されうる。したがって、本発明において有用な化合物は、これらの状態の予防、管理および治療において用いるための薬学的組成物に製剤することができる。「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストンに開示されているものなどの、標準的な薬学的製剤法を用いる。
【0021】
本発明において有用な化合物の「安全かつ治療的に有効な量」とは、本発明の様式で用いた場合に、被検者、組織、または細胞、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物において、過度の有害副作用(毒性、刺激、またはアレルギー反応など)なく、妥当な利益/危険比に見合った、一つまたは複数の活性部位でMCDを阻害するのに有効な量である。具体的な「安全かつ治療的に有効な量」とは、治療中の特定の状態、患者の身体状態、治療期間、併用療法があればその性質、用いる特定の剤形、用いる担体、その中での化合物の溶解性、および組成物にとって望ましい投与法などの因子に応じて変動することが明らかである。
【0022】
本発明において有用な選択された化合物に加えて、本発明の組成物は薬学的に許容される担体を含む。本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、哺乳動物への投与に適した、一つまたは複数の適合性の固体または液体充填希釈剤またはカプセル化物質を意味する。本明細書において用いられる「適合性」という用語は、組成物の複数の成分が本発明の化合物と、および互いに、通常の使用状態で組成物の薬学的有効性を実質的に低下させる相互作用がないような様式で、混合可能であることを意味する。薬学的に許容される担体は、当然のことながら、それらが治療中の好ましくは動物、好ましくは哺乳動物への投与に適するように、十分に高純度で、十分に低毒性でなければならない。
【0023】
薬学的に許容される担体またはその成分として役立ちうる物質のいくつかの例は、乳糖、グルコース、およびショ糖などの糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびメチルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体;トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸およびステアリン酸マグネシウムなどの固体滑沢剤;硫酸カルシウム;落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ脂などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;アルギン酸;トゥイーンなどの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;着香剤;錠剤化剤、安定化剤;抗酸化剤;保存剤;発熱性物質を含まない水;等張食塩水;ならびにリン酸緩衝溶液である。
【0024】
本発明の化合物と共に用いるための薬学的に許容される担体の選択は、基本的に化合物を投与する方法によって決定される。
【0025】
被験化合物を注射する場合、好ましい薬学的に許容される担体は、pHを約7.4に調節した、血液適合性懸濁化剤を含む滅菌生理食塩水である。特に、全身投与のための薬学的に許容される担体には、糖類、デンプン、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、等張食塩水、および発熱性物質を含まない水が含まれる。非経口投与のために好ましい担体には、プロピレングリコール、オレイン酸エチル、ピロリドン、エタノール、およびゴマ油が含まれる。好ましくは、非経口投与のための組成物中の薬学的に許容される担体は、全組成物の少なくとも約90重量%を構成する。
【0026】
本発明の組成物は、好ましくは、単位投与剤形で提供される。本明細書において用いられる「単位投与剤形」とは、適正な医学的基準に従い、動物、好ましくは哺乳動物被検者に、一回で投与するのに適した化合物の量を含む、本発明の組成物である。(しかし、一回または単位投与剤形の調製は、その剤形が一日一回または一治療クールにつき一回投与されることを意味するものではない。単回投与が特に除外されることはないが、そのような剤形は一日あたり一回、二回、三回またはそれ以上投与されることが意図され、一治療クール中に複数回投与されることが予想される。当業者であれば、製剤は全治療クールを特に意図するものではなく、そのような決定は製剤よりも治療分野の技術者にまかされることを理解すると思われる。)これらの組成物は好ましくは約5mg(ミリグラム)から、より好ましくは約10mgから約1000mgまで、より好ましくは約500mgまで、最も好ましくは約300mgまでの選択された化合物を含む。
【0027】
本発明のために有用な組成物は、(例えば)経口、鼻内、直腸内、局所(経皮を含む)、眼内、脳内、静脈内、筋肉内、または非経口投与に適した様々な剤形のいずれであってもよい。(当業者であれば、経口および鼻内組成物は吸入によって投与され、利用可能な方法を用いて調製される組成物を含むことを理解すると思われる。)望ましい特定の投与経路に応じて、当技術分野において公知の様々な薬学的に許容される担体を用いることができる。これらには固体または液体の充填剤、希釈剤、水溶性増大物質(hydrotropies)、界面活性剤、およびカプセル化物質が含まれる。化合物の阻害活性を実質的に妨害しない、自由選択の薬学的活性物質が含まれていてもよい。化合物と共に用いる担体の量は、化合物の単位用量あたりの投与のための物質の実用量を提供するのに十分な量である。本発明の方法において有用な剤形を調製するための技法および組成物は下記の引用文献に記載されており、これらはすべて参照として本明細書に組み入れられる:「現代の薬剤学(Modern Pharmaceutics)」、第9章および第10章(BankerおよびRhodes編、1979);Liebermanら、「医薬品の剤形:錠剤(Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets)」(1981):およびAnsel、「医薬品剤形概論(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」第2版(1976)。
【0028】
錠剤、カプセル剤、粒剤および原薬粉末などの固体剤形を含む、様々な経口剤形を用いることができる。これらの経口剤形は安全かつ有効な量、通常は少なくとも約5%、好ましくは約25%から約50%の化合物を含む。錠剤は、適当な結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、流動性誘導剤(flow-inducing agents)、および融解剤を含む、圧縮錠剤、湿製錠剤、腸溶錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠、または多重圧縮錠剤であってもよい。液体経口剤形には、適当な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、融解剤、着色剤および着香剤を含む、水溶液、乳剤、懸濁剤、非発泡性粒剤から再構成された溶液および/または懸濁剤、ならびに発泡性粒剤から再構成された発泡性製剤が含まれる。
【0029】
経口投与用の単位投与剤形の調製に適した薬学的に許容される担体は、当技術分野において公知である。錠剤は典型的には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、乳糖およびセルロースなどの不活性希釈剤;デンプン、ゼラチンおよびショ糖などの結合剤;デンプン、アルギン酸およびクロスカルメロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクなどの滑沢剤としての通常の薬学的適合性補助剤を含む。混合粉末の流動特性を改善するために、二酸化ケイ素などの流動促進剤を用いることもできる。外観のために、FD&C色素などの着色剤を加えることもできる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、およびフルーツ風味などの甘味料および着香剤は、咀嚼錠のための有用な補助剤である。カプセルは典型的には、一つまたは複数の前述の固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、味、費用、および貯蔵中の安定性などの二次的考察に依存するが、これらは本発明の目的のためには重大ではなく、当業者であれば容易に行うことができる。
【0030】
経口組成物には液剤、乳剤、懸濁剤なども含まれる。そのような組成物の調製に適した薬学的に許容される担体は、当技術分野において公知である。シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および懸濁剤用の担体の典型的成分には、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液状ショ糖、ソルビトールおよび水が含まれる。懸濁剤のために、典型的懸濁化剤には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC-591、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムが含まれ;典型的湿潤剤には、レシチンおよびポリソルベート80が含まれ;典型的保存剤には、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが含まれる。経口液体組成物は、前述の甘味料、着香剤および着色剤などの一つまたは複数の成分も含むことができる。
【0031】
そのような組成物は、本発明の化合物が所望の局所適用の近くで、または所望の作用を延長するため様々な時間に、消化管内に放出されるように、通常の方法、典型的にはpHまたは時間依存的コーティングによりコーティングされていてもよい。そのような剤形には典型的には、一つまたは複数の酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、オイドラギットコーティング、ワックスおよびセラックが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0032】
本発明の組成物は選択的に他の活性薬物を含んでいてもよい。
【0033】
本発明の化合物の全身送達を行うために有用な他の組成物には、舌下、口腔内および鼻内剤形が含まれる。そのような組成物は典型的には、ショ糖、ソルビトールおよびマンニトールなどの可溶性充填物質;ならびにアラビアゴム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤を含む。前述の流動促進剤、滑沢剤、甘味料、着色料、抗酸化剤および着香剤も含むことができる。
【0034】
本発明の組成物は、被検者に局所投与、例えば、被検者の表皮もしくは上皮組織上への組成物の直接適用もしくは散布により、または「パッチ」を介して経皮的に投与することもできる。そのような組成物には、例えばローション、クリーム、液剤、ゲルおよび固形剤が含まれる。これらの局所組成物は、好ましくは安全かつ有効な量、通常は少なくとも約0.1%、好ましくは約1%から約5%の化合物を含む。局所投与に適した担体は、好ましくは持続性フィルムとして皮膚上の適所に残り、発汗または水中への浸漬による除去に抵抗する。一般に、担体は性質上有機物であり、化合物をその中に分散または溶解させることができる。担体は薬学的に許容される軟化剤、乳化剤、増粘剤、溶媒などを含んでいてもよい。
【0035】
投与法
本発明において有用な化合物および組成物は、局所または全身投与することができる。全身適用には、化合物を体の組織内に導入する任意の方法、例えば関節内、くも膜下腔内、硬膜外、筋肉内、経皮、静脈内、腹腔内、皮下、舌下投与、吸入、直腸内、または経口投与が含まれる。本発明において有用な化合物は、経口投与することが好ましい。
【0036】
投与する化合物の具体的用量、ならびに治療期間は、治療担当医師によって個別に配慮されるべきである。典型的には、ヒト成人(体重約70kg)に対しては、一日あたり約5mgから、好ましくは約10mgから約3000mgまで、より好ましくは約1000mgまで、より好ましくは約300mgまでの選択した化合物を投与する。これらの用量範囲は例示のためにすぎず、毎日の投与は前述の因子に応じて調節しうることが理解される。
【0037】
前述のすべてにおいて、当然のことながら、本発明において有用な化合物は単独または混合物として投与することができ、組成物は適応症のために適当な追加の薬物または賦形剤をさらに含むこともできる。例えば、心血管疾患の治療において、本発明はβ遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害剤、利尿薬、アンギオテンシン受容体阻害剤、または既知の心血管治療薬もしくは治療法と共に用いうることが明らかに意図される。したがって、この例では、本発明において有用な化合物または組成物は、別の活性物質と共に投与する際に有用であり、単回投与剤形または組成物に組み合わせることができる。
【0038】
組成物は、小さいユニラメラ小胞、大きいユニラメラ小胞、およびマルチラメラ小胞などのリポソーム送達システムの形で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0039】
定義
本明細書において用いられる「アルキル」とは、メチル、エチル、ブチル、ペンチル、ヘプチルなどの、炭素および水素のみを含む直鎖アルカン、アルケン、またはアルキン置換基を意味する。アルキル基は飽和でもよく、または一つまたは複数の位置で不飽和(すなわち、-C=C-または-C≡C-結合を含んでいる)でもよい。特定の不飽和度が好ましい場合、前記置換基は「アルケニル」または「アルキニル」と呼ばれ、それぞれ-C=C-または-C≡C-結合を含む置換基を意味する。炭素数は「Ci〜Cjアルキル」(iおよびjは炭素原子の最小および最大の数を意味する)として示すこともできる。典型的には、アルキル基は1個から12個の炭素原子、好ましくは1個から10個、より好ましくは2個から8個の炭素原子を含むことになる。
【0040】
本明細書において用いられる「置換アルキル」とは、直鎖状、環状または分枝状で、一つまたは複数の水素原子がカルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボニル、アリール、カルボキシアルキル、メルカプト、アミノ、アミド、ウレイド、カルバモイル、スルホンアミド、スルファミド、またはハロゲンで置換されている炭化水素置換基を意味する。好ましい置換アルキルは炭素1個から約5個のアルキルスペーサー(すなわち、アルキル部分)を有し、分枝状でも直鎖状でもよく、その構造の一部または全体として環状置換基を含んでいてもよい。「置換アルキル」の好ましい例には、4-カルボキシブチル、ピリジン-2-イルメチル、および1,3-チアゾル-2-イルメチル、ベンジル、フェネチル、およびトリフルオロメチルが含まれる。「置換アルキル」という用語を他の当技術分野において認められている用語と組み合わせることもできる。例えば、「置換アルコキシ」とは、置換基のアルキル部分が置換されている、当技術分野において理解されているアルコキシを意味する。
【0041】
本明細書において用いられる「分枝アルキル」とは「アルキル」の一部を意味し、したがって分枝している炭化水素置換基である。好ましい分枝アルキルは炭素3個から約12個のものであり、その構造内にシクロアルキルを含んでいてもよい。分枝アルキルの例には、イソプロピル、イソブチル、1,2-ジメチル-プロピル、シクロペンチルメチルなどが含まれる。「分枝アルキル」という用語は他の当技術分野において認められている用語と組み合わせることもできる。例えば、「分枝アルコキシ」とは、置換基のアルキル部分が分枝している、当技術分野において理解されているアルコキシを意味する。
【0042】
本明細書において用いられる「シクロアルキル」とは、環状の炭化水素置換基であり、置換されていても、無置換でもよい。置換されている場合、一つまたは複数の水素原子がカルボキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボニル、アリール、カルボキシアルキル、メルカプト、アミノ、アミド、ウレイド、カルバモイル、スルホンアミド、スルファミド、またはハロゲンで置換されている。好ましい環状アルキルは炭素3個から約7個のものである。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロペンチル、4-フルオロ-シクロヘキシル、2,3-ジヒドロキシ-シクロペンチルなどが含まれる。
【0043】
本明細書において用いられる「アルキレン」とは、アルキルジラジカル、すなわち二つの異なる炭素原子上に開殻の原子価を有するアルキルである。したがって「(アルキレン)Ri」は一つの炭素に結合したアルキルジラジカルで、結合点から一つまたは複数の炭素で隔てられていてもよい別の炭素に結合した置換基Riを有している。アルキレンは直鎖状、分枝状または環状であってもよい。アルキレンの例には、-CH2-、CH2CH2-、-(CH2)4-、-(シクロヘキシル)-などが含まれる。
【0044】
本明細書において用いられる「アリール」とは、0個から4個のヘテロ原子を含んでいてもよい、単環(例えば、フェニル)または縮合多環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する置換または無置換芳香族、すなわちヒュッケル(Huckel)の4n+2則があてはまる基である。したがって、「ヘテロアリール」という用語は明らかに「アリール」という用語内であることが企図される。好ましい炭素環アリールはフェニルである。好ましい単環式複素環、すなわちヘテロアリールは5または6員環である。好ましくは、「アリール」という用語が芳香族複素環を表す場合、これを「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」と呼び、一つまたは複数のヘテロ原子を有する。そのようなヘテロ原子の好ましい数は1個から3個のN原子で、好ましくは「ヘテロアリール」が5員複素環である場合、O、N、またはSから選択される1個または2個のヘテロ原子を有する。したがって、好ましい複素環は、芳香環に最大3個まで、より好ましくは2個以下のヘテロ原子を有する。当業者であれば、ヘテロアリールの中には、5員環および6員環の両方があることを理解すると思われる。「ヘテロアリール」の例には、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、フリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアジリル、トリアジニル、トリアゾリル、チアジアゾリルなどが含まれ、当業者であれば理解すると思われる。本定義において、アリール環上の置換は本発明の範囲内であることが明らかに企図される。置換が起これば、その基は置換アリールと呼ばれる。好ましくは1個から3個、より好ましくは1個または2個、最も好ましくは1個の置換基がアリール環に結合する。多くの置換基が有用であると考えられるが、好ましい置換基にはアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルキル、メルカプトなどの、アリール化合物で一般的に見られるものが含まれる。そのような置換基は公知の方法を用いて調製される。これらの置換基はアリール環の様々な位置に結合することができ、所与の配置が好ましい場合、そのような配置は「o,m,p-Riアリール」で示される。したがって、置換基Riがアリールのパラ位に結合されている場合、これは「p-Ri置換アリール」と示される。
【0045】
本明細書において用いられる「アミド」とは、RNR'CO-(R=アルキルの場合、アルカミノカルボニル-)およびRCONR'-(R=アルキルの場合、アルキルカルボニルアミノ-)の両方を含む。
【0046】
本明細書において用いられる「エステル」とは、ROCO-(R=アルキルの場合、アルコキシカルボニル-)およびRCOO-(R=アルキルの場合、アルキルカルボニルオキシ-)の両方を含む。
【0047】
本明細書において用いられる「ハロゲン」とは、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード原子の基である。クロロ、ブロモおよびフルオロが好ましいハロゲンである。「ハロゲン」という用語は、時に「ハロ」または「ハロゲン化物」と呼ばれる用語も企図する。
【0048】
本明細書において用いられる「アルキルアミノ」とは、窒素上の少なくとも一つの水素原子がアルキルで置換されているアミン基である。好ましい例には、エチルアミノ、ブチルアミノ、イソプロピルアミノなどが含まれる。アルキル成分は直鎖状、分枝状、環状、置換、飽和、または不飽和でありうる。
【0049】
本明細書において用いられる「アルキルスルファニル」とは、硫黄上の水素原子がアルキルで置換されているチオール基である。好ましい例には、エチルスルファニル、ブチルスルファニル、イソプロピルスルファニルなどが含まれる。アルキル成分は直鎖状、分枝状、環状、置換、飽和、または不飽和でありうる。
【0050】
本明細書において用いられる「アルコキシ」とは、酸素上の水素原子がアルキルで置換されているヒドロキシ基である。好ましい例には、エトキシ、ブトキシ、ベンジルオキシなどが含まれる。アルキル成分は直鎖状、分枝状、環状、置換、飽和、または不飽和でありうる。
【0051】
本明細書において用いられる「複素環」とは、飽和または不飽和で、非芳香族の、好ましくは3〜7員環系を意味する。これらは置換されていても、無置換でもよく、任意の可能な原子価、好ましくは任意の可能な炭素または窒素を介して分子の他の部分に結合される。より好ましい複素環は5または6員環である。6員単環式複素環において、一つまたは複数のヘテロ原子が1個から3個のO、S、またはNから選択され、複素環が5員環である場合、この環は好ましくはO、N、またはSから選択される1個または2個のヘテロ原子を有する。
【0052】
本明細書において用いられる「ヘテロシクリル」とは、複素環の基を意味する。これらは置換されていても、無置換でもよく、任意の可能な原子価、好ましくは任意の可能な炭素または窒素を介して他に結合される。
【0053】
本明細書において用いられる「スルファミド」とは、アルキル-N-S(O)2N基、アリール-NS(O)2N基またはヘテロシクリル-NS(O)2N基を意味し、ただしアルキル、アリールまたはヘテロシクリル基は本明細書に記載のとおりである。
【0054】
本明細書において用いられる「スルホンアミド」とは、アルキル-S(O)2N基、アリール-S(O)2N基またはヘテロシクリル-S(O)2N基を意味し、ただしアルキル、アリールまたはヘテロシクリル基は本明細書に記載のとおりである。
【0055】
本明細書において用いられる「ウレイド」とは、アルキル-NCON基、アリール-NCON基またはヘテロシクリル-NCON基を意味し、ただしアルキル、アリールまたはヘテロシクリル基は本明細書に記載のとおりである。
【0056】
本明細書において基と呼ばれる置換基は、本明細書に記載のもう一つの基と環を形成することができる。そのような基が結合する場合、当業者であれば、そのような場合に条件を満たさない原子価はないが、特定の置換、例えば水素への結合が形成されることを理解すると思われる。したがって、特定の基が共に環を形成すると記載することができる。当業者であれば、そのような環は通常の化学反応によって形成することができ、また容易に生成することを理解すると思われ、そのような環およびそれらの形成法を構想することはいずれも、当業者の認識範囲内である。好ましいものは、3〜7員環、より好ましくは5または6員環である。本明細書に記載の化合物は、その中に環R1およびR2などの環状構造を有していてもよい。これに関して、当業者であれば記載のこの方法は医薬品化学における常法であることを理解するが、それらは化学合成経路を厳密に反映していないこともある。本明細書において用いられる「環」または「(複数の)環」という用語は、二つの基の組み合わせによって形成される場合、複素環または炭素環基を意味し、そのような基は飽和、不飽和、または芳香族でありうる。例えば、好ましい複素環系には、モルホリニル、ピペルジニル、イミダゾリル、ピロリジニル、およびピリジルなどの複素環が含まれる。
【0057】
当業者であれば、下記式の基

が、複数の異なる官能基を表すことを理解すると思われる。この構造で表される好ましい官能基には、アミド、ウレイド、チオ尿素、カルバミン酸塩、エステル、チオエステル、アミジン、ケトン、オキシム、ニトロオレフィン、ヒドロキシグアニジン、およびグアニジンが含まれる。より好ましい官能基には、尿素、チオ尿素、アミド、およびカルバミン酸塩が含まれる。
【0058】
当業者であれば、本明細書に記載のいくつかの構造は、他の化学構造で適切に表すことができる化合物の共鳴型または互変異性体でありうることを理解すると思われる。当業者であれば、そのような共鳴型または互変異性体は本明細書に示されていないが、そのような化合物は本発明の範囲内であることが明らかに企図されることを理解する。例えば、下記の構造

は明らかに同じ化合物を表しており、いずれかへの言及は明らかに他方を企図している。加えて、本発明において有用な化合物をプロドラッグとして提供することができ、下記を例として示す:

式中、Rは生物学的プロセスで除去される基(または結合)である。したがって、本発明において明らかに企図されるものは、当技術分野において理解されているとおり、生体加水分解可能なプロドラッグとして提供される化合物の使用である。本明細書において用いられる「プロドラッグ」とは、生物において生物学的プロセスに曝露されると、加水分解、代謝、誘導体化などを受けて所望の活性を有する活性物質を生じる任意の化合物である。当業者であれば、プロドラッグはプロドラッグとして任意の活性を有していてもいなくてもよいことを理解すると思われる。本明細書に記載のプロドラッグは、安全かつ有効な量で投与された場合に、治療する被検者に対して有害な作用は持たないことが意図される。これらには、例えば、生体加水分解可能なアミドおよびエステルが含まれる。「生体加水分解可能なアミド」とは、化合物の活性を基本的に妨害しないか、あるいは細胞、組織、またはヒト、哺乳動物、もしくは動物被検者によってインビボで容易に変換されて活性化合物を生じるアミド化合物である。「生体加水分解可能なエステル」とは、これらの化合物の活性を妨害しないか、または動物によって容易に変換されて活性化合物を生じる、本発明のエステル化合物を意味する。そのような生体加水分解可能なプロドラッグは、当業者には理解され、規制ガイドラインに組み込まれている。
【0059】
本明細書の化合物および組成物は、薬学的に許容されるカチオンまたはアニオンいずれの塩も特に意図する。「薬学的に許容される塩」とは、任意の酸性(例えばカルボキシル)基で形成されるアニオン塩、または任意の塩基性(例えばアミノ)基で形成されるカチオン塩である。1987年9月11日公開のJohnstonらの国際特許公開第87/05297号(参照として本明細書に組み入れられる)に記載されたとおり、多くのそのような塩が当技術分野において公知である。酸性基で形成可能な塩の好ましい対イオンには、アルカリ金属塩(ナトリウムおよびカリウムなど)およびアルカリ土類金属塩(マグネシウムおよびカルシウムなど)ならびに有機塩などの塩のカチオンが含まれうる。塩基性部位で形成可能な好ましい塩には、ハロゲン化物(塩化物塩など)などのアニオンが含まれる。当然のことながら、当業者であれば、多数の様々な塩を用いることができ、この様式において有用な有機または無機塩いずれの例も文献中に報告されていることを承知していると思われる。
【0060】
本発明において有用な化合物は、一つまたは複数の不斉(stereogenic)中心を含んでよいため、本明細書において言及される「光学異性体」、「立体異性体」、「鏡像異性体」、「ジアステレオマー」とは当技術分野において認められている標準的な意味を有し(「Hawleys Condensed Chemical Dictionary」第11版参照)、ラセミ体、またはそれらの光学異性体、立体異性体、鏡像異性体、およびジアステレオマーのいずれとしてでも、特許請求されている化合物に含まれる。
【0061】
本明細書において用いられる「代謝性疾患」という用語は、代謝の誤り、代謝における不均衡、または最適以下の代謝が起こる、特定の障害群を意味する。本明細書において用いられる代謝性疾患は、疾患自体は特定の代謝阻害が原因であっても、原因でなくてもよいが、代謝の調節を通じて治療することができる疾患も企図する。好ましくは、そのような代謝性疾患は、グルコースおよび脂肪酸酸化経路に関与している。さらに好ましくは、そのような代謝性疾患はMCDに関与するか、またはマロニルCoAのレベルによって調節され、本明細書において「MCDまたはMCA関連障害」と総称される。
【0062】
化合物の調製
本発明において有用な化合物を調製する際に用いる出発原料は公知であるか、公知の方法によって調製するか、または市販されている。当業者には、本明細書において特許請求されている化合物に関連する前駆体および官能基を調製する方法は、文献中に一般に記載されていることが明らかであると思われる。当業者は、文献および本開示を読めば、これらの化合物の任意のものを調製する能力が十分にあると考えられる。
【0063】
有機化学分野の技術者であれば、これ以上の指示なしに操作を容易に行うことができる、すなわち、これらの操作を行うことは、当業者の領域および技量で十分可能であることが認められる。これらには、カルボニル化合物の対応するアルコールへの還元、アミンの還元性アルキル化、酸化、アシル化、求電子および求核両方の芳香族置換、エーテル化、エステル化およびけん化などが含まれる。これらの操作は、March、「上級有機化学(Advanced Organic Chemistry)」(Wiley)、CareyおよびSundberg、「上級有機化学(Advanced Organic Chemistry)」などの標準の教科書に記載されている。
【0064】
当業者であれば、特定の反応は、分子内の他の官能基がマスクまたは保護されている場合に最も良好に進行し、したがっていかなる望ましくない副反応も回避され、かつ/または反応収率が高まることを容易に理解すると思われる。当業者は、そのような収率上昇を達成するため、または望ましくない反応を避けるために、保護基を用いることが多い。これらの反応は文献中に見いだされ、当業者の領域で十分に実施可能でもある。これらの操作の多くの例は、例えば、T. GreeneおよびP. Wuts、「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」第2版、John Wiley & Sons (1991)に見いだすことができる。
【0065】
下記の例示的スキームは、読者の手引きのために提供され、本明細書において例示される化合物を調製するための好ましい方法を示している。これらの方法は限定的なものではなく、これらの化合物を調製するために他の経路も用いうることが明らかであると思われる。そのような方法には、コンビナトリアルケミストリーを含む固相化学が特に含まれる。当業者は、文献および本開示記載のこれらの方法によりこれらの患者を調製する能力が十分にあると考えられる。
【0066】
スキーム1

上記スキームに示すとおり、ジクロロメタン中でベンゾフランO-メチルエーテル(1)を三臭化ホウ素で処理することにより遊離の5-ヒドロキシルベンゾフラン化合物2を得、これを一級または二級アミンと通常のペプチドカップリング条件下でカップリングさせて、所望の2-カルボキサミド誘導体3を得た。
【0067】
スキーム2

スキーム2にC-3カルボキサミドの合成を例示した。同じ出発原料1から出発して、臭素存在下、溶媒としてCS2を用い、臭素化がC-3位に起こった。C-2カルボン酸基の脱カルボキシル反応を通常の条件(Cu-キノリン)下で行い、3-ブロモ-5-メトキシ-ベンゾフラン5を高収率で得た。次いで、化合物5をn-ブチルリチウムと、続いてドライアイスで処理し、C-3カルボン酸化合物6を得た。スキーム1の順序に従い、中間化合物6をその対応するC-3カルボキサミド8に変換した。
【0068】
スキーム3

または、C-2置換C-3カルボキサミド化合物12を、スキーム3に示す方法によって調製することもできた(Giza; Hinman; J. Org. Chem.; 1964, 29:1453)。ルイス酸(例えばZnCl2)存在下、b-ジケトンまたはb-ケトエステル9をキノン誘導体10とカップリングさせて、所望のC2置換C-3ケトン誘導体を一段階で得た。または、R2=OEtの場合、C-3カルボキシラートをけん化して対応するカルボン酸を得、これを続いてその対応するアミド誘導体12に変換した。
【0069】
スキーム4

類似の方法を用いてC-2無置換C-3ケト誘導体を調製した。メチルケトン13を電磁波をかけながら加熱して、対応するエナミン中間体に容易に変換した。次いで、中間体をキノン誘導体10とカップリングさせて、所望のC-3ケトン化合物を得た。
【0070】
スキーム5

一方、C-2ケトン誘導体を、スキーム5に示す方法で調製した。o-ヒドロキシベンズアルデヒド16をK2CO3などの弱酸存在下、a-クロロメチルケトンで環形成して、C-2ケトンベンゾフラン中間体17とした。続いて、メトキシ保護基を除去し、C4およびC-6位を臭素化して、最終生成物18を得た。
【0071】
インビトロMCD阻害アッセイ法
マロニル-CoAからのアセチル-CoAの変換を、Kim, Y. S. and Kolattukudy, P. E. in 1978 (Arch. Biochem. Biophys 190:585 (1978))により以前に記載された改変プロトコルを用いてアッセイした。式1〜3に示すとおり、マレート/NADおよびオキサロアセテート/NADHの間の動態平衡の確立はリンゴ酸デヒドロゲナーゼによって触媒された(式2)。MCDの酵素反応生成物であるアセチル-CoAは、クエン酸合成酵素存在下でオキサロアセテートと縮合することにより平衡をシフトさせ(式3)、これによりNADからNADHが連続的に生成された。NADHの蓄積は、蛍光プレート読み取り器で460nmの蛍光発光の増大をモニターすることにより、連続的に追跡することができる。蛍光プレート読み取り器は、Sigmaからの標準アセチル-CoAを用いて較正した。典型的な96穴プレートアッセイでは、各ウェルの蛍光発光(NADH:λex=360nm、λem=460nm)の増大を用いて、hMCDの初期速度を計算した。各50μLのアッセイ溶液には10mMリン酸緩衝食塩水(Sigma)、pH7.4、0.05%トゥイーン-20、25mM K2HPO4-KH2PO4(Sigma)、2mMマレート(Sigma)、2mM NAD(Boehringer Mannheim)、0.786単位のMD(Roche Chemicals)、0.028単位のCS(Roche Chemicals)、5〜10nM hMCD、および様々な量のMCA基質が含まれていた。アッセイはMCAの添加によって開始し、速度をhMCD非存在下で求めたバックグラウンド速度で補正した。
【0072】
ラット摘出拍動心アッセイプロトコル
雄Sprague-Dawleyラット(300〜350g)から摘出した拍動心に60分間の好気的灌流を行う。拍動心を95%O2、5%CO2で、5mMグルコース;100μU/mLインスリン;3%無脂肪酸BSA;2.5mM遊離Ca2+、および0.4〜1.2mmol/Lパルミテートを含む改変クレブス-ヘンゼライト(Krebs-Henseleit)液により灌流する(Kantor et al., Circulation Research 86:580-588(2000))。試験化合物を灌流期間の5分前に加える。DMSO(0.05%)を対照として用いる。
【0073】
グルコース酸化速度の測定
実験パラメーターの測定のために試料を10分間隔で採取した。グルコース酸化速度を、[U14]-グルコースを含む緩衝液で灌流した心臓により産生された14CO2の定量的収集によって定量する(R. Barr and G. Lopaschuk, 「Measurement of cardiovascular function」, McNeill, J. H. ed., Chapter 2, CRC press, New York (1997))。灌流後、灌流液1mLを9N H2SO4 1mLを含む密封試験管に注入して、灌流液からの14CO2を放出させる。試験管はハイアミンヒドロキシド(hyamine hydroxide)300μlで飽和させたろ紙片を含むシンチレーションバイアルに連結したゴム栓で密封した。次いで、ろ紙を含むシンチレーションバイアルを取り出し、エコライトシンチレーション液(Ecolite Scintillation Fluid)を加えた。試料を前述の標準法で計数した。各灌流段階のグルコース酸化の平均速度を、前述のとおりμmol/分/g(乾燥重量)で表す。
【0074】
脂肪酸酸化速度の測定
脂肪酸酸化の速度を、[14C]パルミテートを用いたグルコース酸化速度について前述したものと同じ方法を用いて、または[5-3H]パルミテートを含む緩衝液で灌流した心臓により生成される3H2Oの定量的収集(R. Barr and G. Lopaschuk, 「Measurement of cardiovascular function」, McNeill, J. H. ed., Chapter 2, CRC press, New York (1997))により評価した。緩衝液試料0.5mLをクロロホルム/メタノール(体積比1:2)の混合物1.88mLで処理し、次いでクロロホルム0.625mLおよび2M KCl/HCl溶液0.625mLを加えることにより、[5-3H]パルミテートから3H2Oを分離した。試料を10分間遠心分離し、水相を取り出し、クロロホルム1mL、メタノール1mLおよびKCl/HCl 0.9mL(1:1:0.9)の混合物で処理した。次いで、水層を総3H2O量について計数した。この工程によるパルミテートからの3H2Oの抽出および分離は99.7%を上回った。各灌流段階の脂肪酸酸化の平均速度を、希釈率を考慮した後に、nmol/分/g(乾燥重量)で表す。
【0075】
活性化合物は、対照実験(DMSO)と比較した、グルコース酸化の増大および/または脂肪酸酸化の減少により特徴付けられる。グルコース酸化の統計的に有意な増大、および/または脂肪酸酸化の統計的に有意な減少を引き起こす化合物は、活性であると考えられる。統計的有意性は、適宜対応のあるまたは対応のない試料に対するスチューデントt検定を用いて計算した。P<0.05の結果を統計的に有意と考える。
【0076】
(表I)インビトロ酵素阻害活性


【0077】
実施例
本発明をさらに詳しく例示するために、下記の実施例が含まれる。実施例は、本発明を特に制限すると解釈されるべきではない。特許請求の範囲内でのこれらの実施例の変更は、当業者の範囲内であり、本明細書において記載され、主張されている本発明の範囲内に入ると考えられる。読者は、本開示を読み、当技術分野の技能を備えた当業者であれば、網羅的な実施例なしで、本発明を調製し、用いることができることを理解すると思われる。
【0078】
本明細書において用いる商標は単なる例であり、本発明の時点で用いられる例示的材料を反映している。当業者であれば、ロット、製造工程などにおける変動が予想されることを理解すると思われる。したがって、実施例およびその中で用いる商標は非限定的なもので、限定されることを意図しておらず、当業者が本発明の一つまたは複数の態様を実施するために、いかにして選択しうるかを例示しているにすぎない。
【0079】
1H核磁気共鳴スペクトル(NMR)は、特に記載がない限り、CDCl3または示されたようなその他の溶媒中、Varian NMR分光計(Unity Plus 400、1H用の400 MHz)により測定し、ピークの位置はテトラメチルシランから低磁場への100万分率(ppm)で表す。ピークの形状は次のとおりに示す:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線。
【0080】
下記の略語は所定の意味を有する。
Ac=アセチル
Bn=ベンジル
Bz=ベンゾイル
CDI=カルボニルジイミダゾール
CH2Cl2=ジクロロメタン
DIBAL=水素化ジイソブチルアルミニウム
DMAP=4-(ジメチルアミノ)-ピリジン
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDClまたはECAC=塩酸1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド
ESIMS=電子スプレー質量分析
Et3N=トリエチルアミン
EtOAc=酢酸エチル
HMTA=ヘキサメチレンテトラミン
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
LHDMS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
MgSO4=硫酸マグネシウム
NaH=水素化ナトリウム
NBS=N-ブロモスクシンイミド
NCS=N-クロロスクシンイミド
NH4Cl=塩化アンモニウム
Ph=フェニル
Py=ピリジニル
r.t.=室温
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィ
Tf2O=トリフルオロメタンスルホン酸無水物(triflic anhydride)
アルキル基の略語
Me=メチル
Et=エチル
n-Pr=ノルマルプロピル
i-Pr=イソプロピル
n-Bu=ノルマルブチル
i-Bu=イソブチル
t-Bu=三級ブチル
s-Bu=二級ブチル
c-Hex=シクロヘキシル
【0081】
実施例1
4,6-ジブロモ-2-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフランの調製

段階1:2-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフランの調製
2-カルボキシ-5-メトキシベンゾフラン(1.0g、5.2mmol)を無水ジクロロメタン(25ml)に溶解し、-78℃まで冷却した。ジクロロメタン中の1M三臭化ホウ素溶液(15.6ml)をゆっくり加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で周囲温度に戻し、4時間撹拌した。溶液を塩化アンモニウム水溶液(20ml)で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。水層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。粗生成物0.9g(100%)を得た。

【0082】
段階2:4,6-ジブロモ-2-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフランの調製
2-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフラン(980mg、5.50mmol)および酢酸カリウム(1.10g、11.21mmol)を酢酸(30ml)に溶解し、0℃まで冷却した。臭素(845μl、16.50mmol)を酢酸(2ml)に溶解し、上記溶液にゆっくり加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で周囲温度に戻し、2.5時間撹拌した。次いで、水(20ml)を溶液に加え、Na2S2O3-5H2O(260mg)を加えて反応停止した。水溶液をジエチルエーテルで抽出し、有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮により黄褐色固体を得、これをヘキサンで洗浄して1.04g(56%)を得た。

【0083】
実施例2
4,6-ジブロモ-3-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフランの調製

段階1:3-ブロモ-2-カルボキシ-5-メトキシベンゾフランの調製
2-カルボキシ-5-メトキシベンゾフラン(2.00g、10.41mmol)を二硫化炭素(70ml)に懸濁し、臭素(1.18ml、22.96mmol)を加えた。混合物を48時間還流した。粗生成物を溶媒の減圧蒸発により単離した(2.64g、96%)。

【0084】
段階2:3-ブロモ-5-メトキシベンゾフランの調製
3-ブロモ-2-カルボキシ-5-メトキシベンゾフラン(1.36g、5.02mmol)、粉末銅(371mg、5.84mmol)、およびキノン(16ml)を混合し、210℃で0.5時間加熱した。混合物を周囲温度まで冷却した後、固体をセライトを通してろ去した。ろ液をジクロロメタンで希釈し、1M塩酸水溶液で三回、炭酸水素ナトリウム水溶液で一回、および食塩水で一回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(SiO2ゲル、ヘキサン/酢酸エチル6:1)で精製して、708mg(62%)を得た。

【0085】
段階3:3-カルボキシ-5-メトキシベンゾフランの調製
ヘキサン中の2.5M n-ブチルリチウム溶液(5.6ml、2.24mmol)を、3-ブロモ-5-メトキシベンゾフラン(483mg、2.13mmol)の無水THF溶液に-78℃で滴加し、冷却反応混合物を窒素雰囲気下で0.5時間撹拌した。粉末CO2を加え、混合物をさらに0.5時間撹拌した後、周囲温度に戻した。0.5時間後、反応を2M塩酸水溶液で停止し、減圧濃縮し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。調製用TLC(ヘキサン/酢酸エチル3:2)で精製して、113mg(9%)を得た。

【0086】
段階4:3-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフランの調製
3-カルボキシ-5-メトキシベンゾフラン(128mg、0.666mmol)を無水ジクロロメタン(25ml)に溶解し、-78℃まで冷却した。ジクロロメタン中の1M三臭化ホウ素溶液(15.6ml)をゆっくり加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で周囲温度まで加温し、3時間撹拌した。溶液を塩化アンモニウム水溶液(20ml)で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。水層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。粗生成物106mg(89%)を得た。

【0087】
段階5:4,6-ジブロモ-3-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフランの調製
3-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフラン(100mg、0.561mmol)および酢酸カリウム(83mg、0.842mmol)を酢酸(10ml)に溶解し、0℃まで冷却した。臭素(86μl、1.680mmol)を上記溶液にゆっくり加え、反応混合物を窒素雰囲気下で周囲温度に戻し、3時間撹拌した。反応をチオ硫酸ナトリウム水溶液で停止し、酢酸エチルで抽出し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮により黄褐色固体を得、これをヘキサンで洗浄して155mg(82%)を得た。

【0088】
実施例3
N-アルキル-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-2-カルボキサミドの調製

段階1:N-1,5-ジメチルヘキシル-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-2-カルボキサミドの調製
4,6-ジブロモ-2-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフラン(16mg、0.048mmol)、1,5-ジメチルヘキシルアミン(9mg、0.052mmol)、HBTU(33mg、0.062mmol)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(26μl、0.144mmol)をDMF(2ml)中0℃で混合した。混合物を2時間撹拌し、減圧濃縮し、調製用TLC(50%酢酸エチル、50%ヘキサン)で精製して、3.5mg(16%)を得た。

【0089】
実施例4
N-アルキル-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-2-カルボキサミドの調製
表1に挙げたすべての化合物を、前述の実施例中に記載した方法に従って調製した。
(表1)N-アルキル-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-2-カルボキサミド


【0090】
実施例5
N-アルキル-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-3-カルボキサミドの調製

段階1:N-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-3-カルボキサミドの調製
4,6-ジブロモ-3-カルボキシ-5-ヒドロキシベンゾフラン(60mg、0.179mmol)、3,4-ジメトキシアニリン(27mg、0.179mmol)、およびEDC(41mg、0.215mmol)をTHF(5ml)中で混合し、終夜撹拌した。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。粗製材料を調製用TLC(ヘキサン/酢酸エチル2:1)で精製して9mg(23%)を得た。

【0091】
実施例6
N-アルキル-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-3-カルボキサミドの調製
表2に挙げたすべての化合物を、前述の実施例中に記載した方法に従って調製した。
(表2)N-アルキル-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-3-カルボキサミド

【0092】
実施例7
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-3-ケトンの調製

段階1:4,6-ジブロモ-3-(2,5-ジメトキシベンゾイル)-5-ヒドロキシベンゾフランの調製
N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(141μl、1.06mmol)および2,5-ジメトキシアセトフェノン(161μl、1.01mmol)を一緒に150℃で2時間電磁波処理した。2,6-ジブロモ-p-ベンゾキノン(266mg、1.00mmol)を酢酸(0.5ml)中で加え、混合物を終夜撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、調製用TLC(50%酢酸エチル、50%ヘキサン)で精製して、37mg(8%)を得た。

【0093】
実施例8
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-3-ケトンの調製
表3に挙げたすべての化合物を、前述の実施例中に記載した方法に従って調製した。
(表3)4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-3-ケトン

【0094】
実施例9
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-2-ケトンの調製

段階1:2-ベンゾイル-5-メトキシベンゾフランの調製
2-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド(164μl、1.31mmol)、α-クロロアセトフェノン(203mg、1.31mmol)、および炭酸カリウム(217mg、1.57mmol)を2-ブタノン(10ml)中、80℃で7時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルに溶解した。有機溶液を2M水酸化ナトリウム水溶液で二回と、食塩水で一回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、粗生成物315mg(95%)を得た。

【0095】
段階2:2-ベンゾイル-5-ヒドロキシベンゾフランの調製
2-ベンゾイル-5-メトキシベンゾフラン(100mg、0.396mmol)を無水ジクロロメタン(10ml)に溶解し、-78℃まで冷却した。ジクロロメタン中の1M三臭化ホウ素(1.2ml)をゆっくり加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で周囲温度に戻し、3時間撹拌した。溶液を塩化アンモニウム水溶液(10ml)で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。水層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。粗生成物69mg(73%)を得た。

【0096】
段階3:2-ベンゾイル-4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフランの調製
2-ベンゾイル-5-ヒドロキシベンゾフラン(60mg、0.252mmol)および酢酸カリウム(37mg、0.378mmol)を酢酸(10ml)に溶解し、0℃まで冷却した。臭素(39μl、0.756mmol)を上記溶液にゆっくり加え、反応混合物を窒素雰囲気下で周囲温度に戻し、3時間撹拌した。反応をチオ硫酸ナトリウム水溶液で停止し、酢酸エチルで抽出し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮により黄褐色固体を得、 これをヘキサンで洗浄して7mg(7%)を得た。

【0097】
実施例10
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-2-ケトンの調製
表4に挙げたすべての化合物を、前述の実施例中に記載した方法に従って調製した。
【0098】
(表4)4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシベンゾフラン-2-ケトン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素マロニル-CoAデカルボキシラーゼを阻害するのに有用な薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体中に、下記式(I)の化合物、その対応する鏡像異性体、ジアステレオ異性体もしくは互変異性体、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグからなる群より選択されるメンバーを含む組成物:

式中、
R1およびR2は、水素、ハロゲン、C1〜C6置換アルキル、C1〜C6置換アルケニル、C1〜C6置換アルキニル、アルコキシ、フェニル、置換フェニル、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-NHCONR5R6、-COR5、-CONR5R6、-S(O)nR5、または-SO2NR5R6から独立に選択され;
R3およびR4は、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、ヒドロキシル、メトキシル、-COOH、-COOR5、-NHCONR5R6、-COR5、-CONR5R6、-S(O)nR5、または-SO2NR5R6、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシル、フェニル、置換フェニル、アリール、またはヘテロアリールから独立に選択され;
R5およびR6は、水素、C1〜C6アルキル、置換C1〜C6アルキル、フェニル、置換フェニル、アリール、またはヘテロアリールから独立に選択され;
Xは、O、N、NH、NR5、S、またはCから独立に選択される。
【請求項2】
一般構造式(Ia〜Ig)を有する、請求項1記載の化合物:

式中、R1、R2、R3およびR4は、請求項1の定義のとおりである。
【請求項3】
一般構造式(Ie)を有する、請求項1または2記載の化合物:

式中、R1、R2、R3およびR4は、請求項1の定義のとおりである。
【請求項4】
下記からなる群より選択される、請求項1、2または3記載の化合物:
(4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-2-イル)(フェニル)メタノン;
4,6-ジブロモ-N-(4-tert-ブチルフェニル)-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-(1,3-ジオキソラン-2-イルメチル)-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-メチル-N-ペンチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-メチル-N-(2-メチルフェニル)-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-メチル-N-(4-メチルフェニル)-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-(2-フリルメチル)-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-(2-クロロフェニル)-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-(4-クロロフェニル)-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-メチル-N-(1-ナフチルメチル)-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-(4-メトキシフェニル)-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル]-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-N-(3,4-ジクロロフェニル)-5-ヒドロキシ-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-メチル-N-(3,4,5-トリメトキシベンジル)-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-メチル-N-(3-メチルフェニル)-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-(6-メトキシピリジン-2-イル)-N-メチル-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミド;
tert-ブチル3-{[(4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-2-イル)カルボニル]アミノ}-3-メチルブタノアート;
(5-メトキシ-1-ベンゾフラン-2-イル)(3-ニトロフェニル)メタノン;
(5-メトキシ-1-ベンゾフラン-2-イル)(4-メチルフェニル)メタノン;
(5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-2-イル)(3-ニトロフェニル)メタノン;
(5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-2-イル)(4-メチルフェニル)メタノン;
4,6-ジブロモ-N-(3,4-ジメトキシフェニル)-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-3-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-メチル-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1-ベンゾフラン-3-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-(4-メトキシベンジル)-1-ベンゾフラン-3-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-メチル-N-(3,4,5-トリメトキシベンジル)-1-ベンゾフラン-3-カルボキサミド;
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1-ベンゾフラン-3-カルボキサミド;
tert-ブチルN-[(4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-3-イル)カルボニル]-N-イソプロピルグリシナート;
tert-ブチル3-{[(4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-3-イル)カルボニル]アミノ}-3-メチルブタノアート;
(4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-3-イル)カルボニルN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-エチルイミドカルバメート;
(4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-2-イル)(3-ニトロフェニル)メタノン;
(4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-2-イル)(4-メチルフェニル)メタノン;
tert-ブチル3-{[(4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-1-ベンゾフラン-3-イル)カルボニル]アミノ}ブタノアート;および
4,6-ジブロモ-5-ヒドロキシ-N-(3-イソプロポキシプロピル)-1-ベンゾフラン-3-カルボキサミド。
【請求項5】
請求項1記載の治療的に有効な量の組成物の投与を含む、患者においてマロニル-CoAデカルボキシラーゼを阻害する方法。
【請求項6】
請求項1記載の治療的に有効な量の組成物の投与を含む、マロニル-CoA濃度を高めることにより、患者において脂肪酸代謝を炭水化物代謝にシフトさせる方法。
【請求項7】
請求項1記載の治療的に有効な量の組成物の投与を含む、患者においてマロニル-CoAデカルボキシラーゼによって仲介される脂肪酸およびグルコース代謝に関連する疾患を処置する方法。
【請求項8】
疾患が心血管疾患である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
心血管疾患がうっ血性心不全である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
心血管疾患が虚血性心血管疾患である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
虚血性心血管疾患が狭心症である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
疾患が糖尿病である、請求項7記載の方法。
【請求項13】
疾患が肥満である、請求項7記載の方法。
【請求項14】
疾患がアシドーシスである、請求項7記載の方法。
【請求項15】
疾患が癌である、請求項7記載の方法。

【公表番号】特表2007−501232(P2007−501232A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522610(P2006−522610)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/024285
【国際公開番号】WO2005/011670
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000003311)中外製薬株式会社 (228)
【Fターム(参考)】