説明

ミシン、ミシンの縫製データ編集装置及びミシンの縫製データ編集プログラム

【課題】縫製データの編集時により適切な空送りの針位置の入力を可能とする。
【解決手段】複数の針位置が記録された縫製データに従って、被縫製物に対して縫製パターン通りの縫製を行うミシンMの縫製データ編集装置20において、針位置を入力する入力手段21と、縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアA1と、空送りが可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報25bを記憶する記憶手段25と、入力手段から入力される針位置が作業領域内の各エリアのいずれに位置するかを提示する提示手段22とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫製データの編集を行うミシン、縫製データ編集装置及び縫製データ編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のミシンにあっては、布の保持枠と、平面の任意に保持枠を位置決めさせるX軸及びY軸のモータとを備え、毎針の針落ち位置を縫製データから読み出して保持枠を位置決めすることで所定の縫製パターンの縫い模様の形成を行っている。
そして、かかる従来のミシンは、保持枠と縫い針とが干渉しない縫製可能領域内に縫製パターンを構成する各針落ち位置が収まっているかを確認するために、縫い針が上方に退避した状態で各針落ち位置について順番に保持枠を移動させるトレース動作を行うことを可能としていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−085870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のミシンは、干渉の確認を行う対象を針落ち位置のみに限定するものであった。即ち、縫製データには、針落ち位置を示すデータの他に、針落ちを伴うことなく縫い針の移動を行ういわゆる空送りのデータも含まれている場合があり、このような空送りについては、針落ちを行わないことから保持枠との干渉も生じないとの理由によりトレース動作の対象となっていなかった。しかし、実際には、保持枠の支持構造などが枠よりも高い位置にあり、空送りでも干渉を生じる場合があり、これを事前に確認する方法がなかった。
また、上記従来のミシンでは、ミシンによるトレース動作により確認作業が行われるため、ミシン本体による確認作業しか行うことができず、ミシンとは別のデータ編集装置では干渉の確認を行うことができなかった。
【0005】
本発明は、ミシンの空送り動作について適切な針位置に設定を行うことをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンの縫製データ編集装置において、縫製パターンを構成する複数の針位置を入力する入力手段と、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報を記憶する記憶手段と、前記入力手段から入力される針位置が前記作業領域内の前記各エリアのいずれに位置するかを提示する提示手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記提示手段は、前記作業領域内の前記各エリアを識別表示すると共に前記入力手段から入力される針位置を重ねて表示する表示装置を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記入力手段は、縫いの針位置か空送りの針位置かを特定して針位置の入力を行うことが可能であり、入力された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定し、縫い又は空送りが不可能である場合に、報知手段による報知を行わせる処理部を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記入力手段は、縫いの針位置か空送りの針位置かを特定して針位置の入力を行うことが可能であり、入力された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定し、縫い又は空送りが不可能である場合に、前記入力された針位置を縫い又は空送りが可能となる針位置に修正する処理を行う処理部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンにおいて、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報と前記縫製データとを記憶する記憶手段と、前記縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定し、縫い又は空送りが不可能である場合に報知手段による報知を実行させる制御手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンにおいて、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報と前記縫製データとを記憶する記憶手段と、前記縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定し、縫い又は空送りが不可能である場合に、前記縫製データの内容を、縫い又は空送りが可能な針位置に修正する制御手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンの縫製データ編集装置により実行される縫製データ編集プログラムにおいて、前記縫製データ編集装置が、縫製パターンを構成する複数の針位置を入力する入力手段と、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報を記憶する記憶手段とを備え、前記入力手段から入力される針位置が前記作業領域内の前記各エリアのいずれに位置するかを前記縫製データ編集装置が有する提示手段に提示させる制御を前記縫製データ編集装置の処理部に実行させることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記提示手段が有する表示装置に、前記作業領域内の前記各エリアを識別表示する制御と、前記入力手段から入力される針位置を重ねて表示させる制御とを前記処理部に実行させることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記入力手段は、縫いの針位置か空送りの針位置かを特定して針位置の入力を行うことが可能であり、入力された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する処理と、縫い又は空送りが不可能である場合に前記縫製データ編集装置の報知手段による報知を実行させる制御とを前記処理部に実行させることを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項7又は8記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記入力手段は、縫いの針位置か空送りの針位置かを特定して針位置の入力を行うことが可能であり、入力された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する処理と、縫い又は空送りが不可能である場合に、前記入力された針位置を、可能な針位置に修正する処理とを前記処理部に実行させることを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンの縫製データ編集プログラムにおいて、前記ミシンが、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報と前記縫製データとを記憶する記憶手段を備え、前記縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する処理と、縫い又は空送りが不可能である場合に前記ミシンの報知手段による報知を実行させる制御とを前記ミシンの制御手段に実行させることを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンの縫製データ編集プログラムにおいて、前記ミシンが、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報と前記縫製データとを記憶する記憶手段を備え、前記縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する処理と、縫い又は空送りが不可能である場合に、前記縫製データの内容を、縫い又は空送りが可能な針位置に修正する処理とを前記ミシンの制御手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1又は7記載の発明は、入力される針位置が作業領域内の縫製可能エリア、空送りエリア、排除エリアのいずれに位置するかを提示するので、入力した針位置が縫いの針位置であっても空送りの針位置であっても、いずれのエリアに位置するかが一目で分かり、針位置の指定が適切か否かを即座に且つ効果的に判断することが可能となる。また、空送りの針位置を入力する場合でも他の機器との干渉を生じるような位置を選択することを事前に回避することが可能となる。
【0019】
請求項2又は8記載の発明は、作業領域内の各エリアを識別表示すると共に入力手段から入力される針位置を重ねて表示するので、針位置の指定が適切か否かをより速やかに且つ効果的に判断することが可能となる。
【0020】
請求項3又は9記載の発明は、入力された縫い又は空送りの針位置が縫い又は空送りが不可能なエリアである場合に報知が行われるので、針位置の入力の適否を速やかに且つより確実に認識することが可能となる。
【0021】
請求項4又は10記載の発明は、入力された縫い又は空送りの針位置が縫い又は空送りが不可能なエリアである場合に自動的に修正が行われるので、再入力の手間を省略し、針位置の入力を速やかに且つ確実に行うことが可能となる。
【0022】
請求項5又は11記載の発明は、縫製データ中の縫い又は空送りの針位置が縫い又は空送りが不可能なエリアである場合に報知が行われるので、針位置の入力の適否を速やかに且つより確実に認識することが可能となる。
【0023】
請求項6又は12記載の発明は、縫製データ中の縫い又は空送りの針位置が縫い又は空送りが不可能なエリアである場合に自動的に修正が行われるので、再入力の手間を省略し、針位置の入力を速やかに且つより確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかるミシンを示す斜視図である。
【図2】本発明にかかるミシンの保持枠の近傍を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明にかかるミシンの縫製データ編集装置を示す正面図である。
【図4】本発明にかかるミシンの要部構成を示すブロック図である。
【図5】縫製データ内の設定内容を示す説明図である。
【図6】図6(A)はある縫製パターンの縫製に適した構造の保持枠の平面図であり、図6(B)は図6(A)の保持枠に基づく領域分布情報の設定内容の表示例である。
【図7】縫製データ編集プログラムに基づく各種の処理及び制御を示すフローチャートである。
【図8】ミシンが実施する縫製データ編集プログラムに基づく各種の処理及び制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(発明の実施形態の全体構成)
以下、本発明の実施の形態である縫製データ編集装置20と縫製データに基づいて縫製を行うミシン10とについて図1乃至図7に基づいて説明する。
本実施形態において、ミシン10として電子サイクルミシンを例に説明する。電子サイクルミシンは、縫製を行う被縫製物である布を保持する布保持部としての保持枠を有し、その保持枠が縫い針に対し垂直となる平面に沿って任意に移動することにより、保持枠に保持される布に所定の縫製データに基づく縫い目形状の縫い目を形成するミシンである。
ここで、後述する縫い針8が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
【0026】
(電子サイクルミシン)
図1に示すように、電子サイクルミシンM(以下、ミシンM)は、ミシンテーブルTの上面に備えられるミシン本体1と、ミシンテーブルTの下部に備えられ、ミシン本体1を操作するためのペダルP等により構成されている。
【0027】
図1に示されるように、ミシン本体1は、外形が側面視にて略コ字状を呈するミシンフレーム2を備えている。このミシンフレーム2は、ミシン本体1の上部をなしY軸方向に延びるミシンアーム部2aと、ミシン本体1の下部をなしY軸方向に延びるミシンベッド部2bと、ミシンアーム部2aとミシンベッド部2bとを連結する縦胴部2cとを有している。
【0028】
このミシン本体1は、ミシンフレーム2内に動力伝達機構が配され、回転自在でY軸方向に延びる図示しない上軸及び図示しない下軸を有している。上軸(図示省略)はミシンアーム部2aの内部に配され、下軸(図示省略)はミシンベッド部2bの内部に配されている。
上軸(図示省略)は、ミシンモータ5(図4参照)に接続され、このミシンモータ5により回転力が付与される。また、下軸(図示省略)は、図示しない縦軸を介して上軸と連結しており、上軸が回転すると、上軸の動力が周知の伝達機構(例えばタイミングベルト)を介して下軸側へ伝達し、下軸が回転するようになっている。
上軸(図示省略)の前端には、上軸の回転によりZ軸方向に上下動する針棒8aが接続されており、その針棒8aの下端には、図2に示されるように、縫い針8が設けられている。また、ミシンアーム2aには縫い針8の上下動による布の浮き上がりを防止するために、針棒8aの上下動と連動して上下動し、縫い針8の周囲の布を押圧する周知の中押さえ12が設けられている。
また、下軸(図示省略)の前端には、釜(図示省略)が設けられている。上軸とともに下軸が回転すると、縫い針8と釜(図示省略)との協働により縫い目が形成される。
なお、ミシンモータ5、上軸(図示省略)、針棒8a、縫い針8、下軸(図示省略)、釜(図示省略)等の接続構成は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0029】
また、図1、図2に示されるように、ミシンベッド部2b上には、布板10が配設されており、この布板10の上方に保持枠11及び縫い針8が配置されるようになっている。
保持枠11は、ミシンアーム部2aの前端部に配される取付部材13に取り付けられており、その取付部材13にはミシンベッド2b内に配置されたX軸パルスモータ14及びY軸パルスモータ15が駆動機構部として連結されている(図4参照)。
保持枠11は、被縫製物である布を保持し、X軸パルスモータ14及びY軸パルスモータ15の駆動に伴い、保持した布を保持枠11ごと前後左右方向に移動するようになっている。保持枠11の移動と、縫い針8や釜(図示省略)の動作が連動することにより、布に所定の縫製データに基づく縫い目が形成される。
【0030】
ペダルPは、ミシンMを駆動し、針棒8a(縫い針8)を上下動させたり、保持枠11を動作させたりするための操作ペダルとして作動する。すなわちペダルPには、ペダルPが踏み込まれたその踏み込み操作位置を検出するための、例えば、可変抵抗等から構成されるセンサ(踏み込み量検出手段)が組み込まれており、センサからの出力信号がペダルPの操作信号として後述する制御部100に出力され、制御部100はその操作位置、操作信号に応じて、ミシンMを駆動し、動作させるように構成されている。
【0031】
また、ミシンM(ミシン本体1)とは分離して、作業者がミシンに対する各種設定操作や、各種データ等の入力又は編集作業を行うための縫製データ編集装置20が用意されている。この縫製データ編集装置20とミシン10の制御部100とは、通信部106,24により無線接続されている。
【0032】
また、図4に示すように、ミシンM(ミシン本体1)は、ミシンモータ5、X軸パルスモータ14、Y軸パルスモータ15、X軸原点センサ14a、Y軸原点センサ15a、縫製データ編集装置20、ペダルP等に接続される制御部100を有している。また、ミシンMは、着脱可能な外部記憶装置を備えている。
この制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、EEPROM104及びI/Oインターフェイス105を備えている。CPU101には、バスを介して、ROM102、RAM103、EEPROM104、I/Oインターフェイス105及び通信部106が接続されている。
【0033】
CPU101は、ペダルPから入力される操作信号、縫製データ編集装置20から入力される各種設定、各種データ等に応じて、ROM102に格納されている電子サイクルミシン用の縫製制御プログラムやEEPROM104に格納されている各種縫製データに従って各部の動作処理を集中制御し、その処理結果をRAM103内のワークエリアに格納するとともに、縫製データ編集装置20の操作により入力された各種データや、RAM103に格納した処理結果を必要に応じてEEPROM104又は、外部記憶装置に記憶させる。そして、CPU101は、ミシンM(ミシン本体1)を構成する各部の駆動を制御する。
【0034】
ROM102には、ミシンM(ミシン本体1)の縫製制御プログラムや制御データ、各種縫製に関するデータが格納され、記憶されている。
RAM103には、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、入力されたデータの処理中や、縫製動作中のワークエリアとして使用される。
【0035】
EEPROM104は、入力された各種データや各種パラメータと縫製データとが記憶されている。
図5は縫製データ内の設定内容を示す説明図である。縫製データは、所定の縫製パターンを形成するための複数の針位置に縫い針8を導くために、毎針ごとのX軸方向とY軸方向の移動量が運針の順番で記録されている。また、各針位置へのX,Y軸方向の移動量に関連づけられて、針落ちを伴う縫いの針位置を示すものであるか針落ちを伴わない空送りの針位置を示すものかが記録されている。
なお、縫製データ中には、縫製の前後或いは途中で行われる各種のコマンド(糸切り、糸張力変更、押さえ上げ、中押さえ高さ調節、ミシンモータ速度変更等)を含むものであっても良い。
なお、EEPROM104における各種データや各種パラメータの記憶処理を、外部記憶装置において行うようにしてもよい。
【0036】
I/Oインターフェイス105には、ミシンモータドライバ5aを介してミシンモータ5が接続されている。このミシンモータドライバ5aには、ミシンモータ5の回転数を検出するエンコーダ5bが接続され、フィードバック制御が可能となっている。
さらに、ミシンモータドライバ5aには、縫い針8が上昇したことを検知する縫い針上位置センサ5cが接続されている。これにより、縫い針8により縫い目が形成される際の縫い針数が、制御部100によりカウントされるようになっている。
【0037】
また、I/Oインターフェイス105には、取付部材13の保持枠駆動回路を介してX軸パルスモータ14及びY軸パルスモータ15が接続されているとともに、これら両パルスモータの原点位置を検出するX軸原点センサ14a及びY軸原点センサ15aが接続されている。
X軸パルスモータ14及びY軸パルスモータ15は、縫製データに基づき、保持枠11をXY方向に移動させる布保持部移動手段である。また、X軸原点センサ14a及びY軸原点センサ15aは、それぞれX軸パルスモータ14及びY軸パルスモータ15の原点位置を検出するセンサであり、ミシンベッド部2b内に配置されている。
【0038】
そして、CPU101は、ROM102内の縫製制御プログラムを実行し、これにより、ミシンモータ5の回転を制御し、これと同期して毎針ごとに縫製データに定められたX,Y軸方向の移動量となるようにX軸パルスモータ14及びY軸パルスモータ15を制御し、予定された縫製パターンを形成する縫製を実行する。
また、CPU101は、上記縫製制御プログラムに従って、各針位置が「縫い(針落ち)」か「空送り」かを判定し、「縫い」の場合にはミシンモータ5の回転駆動を行いつつX軸及びY軸パルスモータ14,15を駆動させて針位置に針落ちを行い、「空送り」の場合にはミシンモータ5の停止状態を維持しつつX軸及びY軸パルスモータ14,15を駆動させて保持枠11の移動動作のみを行う。
【0039】
(縫製データ編集装置)
縫製データ編集装置20は、縫製データの新規作成又は作成済みの縫製データの設定内容の修正等を行うことを主目的とする情報処理端末である。
縫製データ編集装置20は、図3及び図4に示すように、ミシンの各種設定、各種データの入力の操作が可能な入力手段としての複数の操作キー群21と、各種設定状態、縫い目形状等を表示する提示手段及び表示装置としての表示部22と、後述する各種の処理を行う処理部23とを備えている。
なお、縫製データ編集装置20は、液晶表示部にタッチパネルが重ね合わされた入力表示手段が使用されており、液晶表示部に表示される操作キー群21をタッチ操作することにより、処理部23への入力を行うようになっている。
【0040】
そして、例えば、操作キー群21には、表示部22において表示されるカーソルCを移動させて針位置Sを入力するための方向入力キー21aと、表示部22においてカーソルCで指し示した針位置Sを「縫い」の針位置として確定する縫い指定キー21bと、表示部22においてカーソルCで指し示した針位置Sを「空送り」の針位置として確定するキー21c等が備えられている。
また、表示部22には、カーソルCと、各種操作キーを介して入力された針位置Sを結ぶように形成される縫い目形状と、カーソルCの位置を示す絶対座標Rと、カーソルCの位置を示す基準位置(例えば、保持枠11の中心位置、原点)からの相対座標Qなどが表示されるようになっている。
【0041】
縫製データ編集装置20の処理部23は、縫製データ25a(前述したミシンMが記憶するものと同じ縫製データ)と領域分布情報25bと縫製データ編集プログラム25cとを記憶する記憶手段としての不揮発性のメモリ25と、縫製データ編集プログラム25cを実行するCPU26と、前述した通信部24と、表示部22及び操作キー群21をCPU26と接続するためのI/Oインターフェイス27と備えている。
【0042】
(領域分布情報)
図6(A)はある縫製パターンの縫製に適した構造の保持枠11の平面図(図1に示したものと若干構造が異なっている)であり、図6(B)は図6(A)の保持枠11に基づく領域分布情報25bの設定内容の表示例である。
この保持枠11は、全体が横長の長方形状に形成された均一な厚みの平板であり、その左右には縦長の長方形状の開口部11a,11bが形成されている。また、左右方向における中央の上面には取り付け部材13が固定されている。
これに対して、この保持枠11の領域分布情報25bは、保持枠11の上面全体と等しい作業領域A0を、縫い針8による針落ちを伴う「縫い」が可能な縫製可能エリア(レベル1エリア)A1と、「縫い」はできないが「空送り」は可能な空送りエリア(レベル2エリア)A2と、「縫い」と「空送り」のいずれも行うことができない排除エリア(レベル3エリア)A3とに分類する設定内容となっている。
つまり、保持枠11の開口部11a,11bは上下に貫通しているため針落ち可能であることから縫製可能エリアA1となる。
保持枠11の取り付け部材13と重合していない部分は平板状の保持枠11の厚み分の高さである。そして、空送りの際には縫い針8は上方に退避されており、その際の縫い針8の下端部よりも保持枠11の上面は低くなるようにその厚さが設定されている。従って、保持枠11の取り付け部材13と重合していない部分は空送りの際に縫い針8と干渉を生じないので空送りエリアA2に分類される。
また、保持枠11の上に取り付け部材13が重合している部分は、取り付け部材13の厚み分だけ高さが高くなり、その結果、空送り時の縫い針8の下端部より高くなっている。このため、保持枠11の上に取り付け部材13が重合している部分は空送りの際に縫い針8と干渉するため排除エリアA3に分類される。
このように、領域分布情報25bは、保持枠11の各部の高さに応じて各エリアA1〜A3に分類し、各エリアA1〜A3の分布を示す情報となっている。かかる領域分布情報25bは寸法や構造の異なる保持枠ごとに用意され、使用される保持枠に対応するものが後述する縫製データ編集処理に利用される。
【0043】
(縫製データ編集プログラム)
CPU26は、縫製データ編集プログラム25cを実行することより、(1)表示部22に対して作業領域A0内の各エリアA1,A2,A3の分布を模様によって識別表示させる制御を行うエリア表示制御、(2)表示部22に対して識別表示された作業領域A0に操作キー群21から入力される針位置を重ねて表示させることより入力される針位置が作業領域A0内のいずれのエリアA1〜A3に位置するかを提示させる制御を行う針位置確認制御、(3)操作キー群21から入力された「縫い」の針位置又は「空送り」の針位置がいずれのエリアA1〜A3に位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する適否判定処理、(4)適否判定処理により縫い又は空送りが不可能と判定された場合に報知手段として機能する表示部21による報知画面の表示を実行させる報知制御、(5)適否判定処理により空送りが不可能と判定された場合に空送りが可能となる針位置に修正する修正処理とを実行する。
【0044】
上記縫製データ編集プログラム25cによりCPU26が実行する上記各種の処理及び制御について図7に示すフローチャートに基づいてさらに説明する。
まず、領域分布情報25bの読み込みを行い(ステップS101)、表示部22に作業領域A0を各エリアA1〜A3で色分け或いは模様分けした状態で識別表示する(図6(B)参照:エリア表示制御)。
さらに、縫製データを構成する針位置が操作キー群21から入力されると(ステップS102)、当該針位置Sを各エリアA1〜A3で識別表示された作業領域A0の画像に重ねて表示する(図6(B)参照:針位置確認制御)。
【0045】
次に、CPU26は入力された針位置が「縫い」か否かを判定する(ステップS103)。入力された針位置が「縫い」であれば、その針位置が縫製可能エリアA1内か否かを判定する(ステップS104:適否判定処理)。そして、縫製可能エリアA1内であった場合には、入力データを「縫い」の針落ちに確定し(ステップS109)、一針分の入力を終了する。
また、入力された針位置が「縫い」を行うことができないエリアA2又はA3内にあった場合には、表示部22に報知画面を表示させる制御を行って使用者に通知する(ステップS107:報知制御)。そして、ステップS102に処理を戻して針位置の再入力が可能となる。
【0046】
また、ステップS103において、入力された針位置が「縫い」の針位置ではない場合(空送りの針位置である場合)には、当該針位置が空送りが可能な縫製可能エリアA1又は空送りエリアA2内かどうかを判定する(ステップS105)。そして、空送り可能なエリアA1,A2だった場合には、入力された針位置を「空送り」の針位置に確定し(ステップS109)、一針分の入力を終了する。
また、入力された針位置が「空送り」ができないエリアA3内にあった場合には、図示しないメモリスイッチに報知と針位置の修正のいずれを実行することが選択されているか読み込みを行う(ステップS6)。なお、このメモリスイッチの設定内容は予め操作キー群21からの入力により任意に選択することができる。
そして、報知が選択されている場合には、表示部22に報知画面を表示させる制御を行って使用者に通知する(ステップS107:報知制御)。そして、ステップS102に処理を戻して針位置の再入力が可能となる。
また、報知が選択されていない場合(針位置の修正が選択されている場合)には、空送りの針位置を修正する(ステップS108:修正処理)。そして、修正された針位置を「空送り」の針位置に確定し(ステップS109)、一針分の入力を終了する。
【0047】
なお、上記空送りの針位置の修正は、例えば、排除エリアA3内に指定されていた針位置を空送りエリアA2(又は縫製可能エリアA1)と排除エリアA3との境界線に沿った経路上に修正する処理が行われる。
具体例として、図6(B)に示すように、空送りの針位置X1からX2への移動は、排除エリアA3を通過するため修正処理が必要になる。修正処理の結果、空送りエリアA2と排除エリアA3との境界線を通る最短距離となる、X1からX3、X4を経由してX2に至る空送りの針位置経路となる。
また、上記縫製データ編集プログラム25cに基づくステップS102〜S109までの処理は、一針分の処理であり、縫製データを構成する全針数について、これらの処理が繰り返し実行される。
【0048】
(発明の実施形態の効果)
以上のように、縫製データ編集装置20は、操作キー群21から入力される針位置が作業領域A0内の縫製可能エリアA1、空送りエリアA2、排除エリアA3のいずれに位置するかを表示部22の表示により提示するので、入力した針位置が縫いの針位置であっても空送りの針位置であっても、いずれのエリアA1〜A3に位置するかが一目で分かり、針位置の指定が適切か否かを即座に且つ効果的に判断することが可能となる。また、特に空送りの針位置の入力時にも他の機器との干渉を生じるような針位置を選択することを事前に回避することが可能となる。
【0049】
また、入力された縫い又は空送りの針位置が縫い又は空送りが不可能なエリアである場合に報知が行われるので、針位置の入力の適否を速やかに且つ確実に認識することが可能となる。
さらに、入力された空送りの針位置が空送りが不可能なエリアである場合に自動的に修正が行われるので、再入力の手間を省略し、針位置の入力を速やかに且つ確実に行うことが可能となる。
【0050】
(ミシンによる縫製データ中の針位置の配置の適否の判定)
上記実施形態では、ミシンMとは別体の縫製データ編集装置20において、入力される針位置についてその配置の適否の判定等を行っているが、ミシンMの制御部100により、縫製データ中の各針位置についてその配置の適否の判定等を行う構成としても良い。
その場合には、ミシンMの制御部100のEEPROM104内に縫製データ編集プログラムと縫製データと領域分布情報とを用意し、CPU101が縫製データ編集プログラムを実行することにより、縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアA1〜A3に位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する適否判定処理と、適否判定処理により縫い又は空送りが不可能と判定された場合に表示部22に報知画面を表示して報知を実行させる制御と、適否判定処理により縫い又は空送りが不可能と判定された場合に、縫製データの内容を、縫い又は空送りが可能な針位置に修正する修正処理とを実行する。
また、ミシンMには領域分布情報を表示する表示部を搭載させる必要がある。
なお、ミシンMの制御部により針位置についてその配置の適否の判定等を行う場合には、判定等の対象となる縫製データは、前述した縫製データ編集装置20により作成された縫製データは対象とせず、縫製データ編集装置20以外により作成された縫製データが対象となる。縫製データ編集装置20で作成された縫製データは、「縫い」の針位置も「空送り」の針位置も既に適正な位置に修正されているからである。
【0051】
上記縫製データ編集プログラムによりミシンMのCPU101が実行する上記各種の処理及び制御について図8に示すフローチャートに基づいてさらに説明する。
まず、領域分布情報の表示を行い(ステップS201:エリア表示制御)、縫製データ中の各針位置が領域分布情報の表示画像に重ねて表示される(ステップS202:針位置確認制御)。
次に、CPU101は縫製データ中に含まれる「縫い」の全ての針位置について、その中で空送りエリアA2又は排除エリアA3に位置するものがあるか判定を行い(ステップS203)、該当するものが一つでもある場合には、表示部に報知画面を表示させる制御を行って使用者に通知する(ステップS208:報知制御)。そして、処理を終了する。
【0052】
一方、「縫い」の針位置が全て縫製可能エリアA1内にある場合には、「空送り」の全ての針位置について、その中で排除エリアA3に位置するものがあるか判定を行い(ステップS204)、該当するものが一つでもある場合には、図示しないメモリスイッチに報知と針位置の修正のいずれを実行することが選択されているか読み込みを行う(ステップS205)。なお、このメモリスイッチの設定内容は事前の入力により任意に選択することができる。
そして、メモリスイッチに「報知」の実行が選択されている場合には、表示部に報知画面を表示させる制御を行って使用者に通知する(ステップS208:報知制御)。そして、処理を終了する。
【0053】
また、メモリスイッチに「報知」の実行が選択されていない場合(針位置の修正が選択されている場合)には、排除エリアA3内の空送りの針位置を全て修正する(ステップS206:修正処理)。かかる修正の手法は、前述した場合と同様に、各針位置を排除エリアの外側であって外縁に沿うように移動させる。
そして、「空送り」の針位置の修正後、新たな縫製データを記憶して、一連の処理を終了する。
【0054】
上述のようにミシンMで縫製データの各針位置について配置の適否を判定する場合も、縫製データ編集装置20で行う場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0055】
(その他)
なお、上記実施形態では、縫い針8に対して保持枠11のみが専ら移動することにより縫い針と保持枠11との相対移動を実現しているが、これに限らず、例えば、保持枠ではなく縫い針をX−Y方向に移動させても良いし、縫い針をX軸方向、保持枠をY軸方向に移動させることで任意の針落ちを実現させても良い。
【0056】
また、上記実施形態では、縫製データ編集装置としてミシンMの専用装置を例示したが、処理部23に対応するパソコン(パーソナルコンピュータ)、表示部22としてのディスプレイ、操作キー群21としてのキーボードやマウス等からなる情報処理装置を利用し手も良い。また、逆に、ミシンMがそのフレーム上に備えるに表示部、入力スイッチ、ミシンの制御部から縫製データ編集装置を構成しても良い。
【0057】
また、「縫い」の針位置が縫製可能エリアA1ではない場合には報知処理のみが行われるが、「空送り」の場合と同様に、報知処理と修正処理のいずれを選択的に実行可能としても良い。
【符号の説明】
【0058】
8 縫い針
11 保持枠
20 縫製データ編集装置
21 操作キー群(入力手段)
22 表示部(表示装置、提示手段)
23 処理部
26 CPU
25 メモリ(記憶手段)
25a 縫製データ
25b 領域分布情報
25c 縫製データ編集プログラム
M 電子サイクルミシン
S 針位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンの縫製データ編集装置において、
縫製パターンを構成する複数の針位置を入力する入力手段と、
前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報を記憶する記憶手段と、
前記入力手段から入力される針位置が前記作業領域内の前記各エリアのいずれに位置するかを提示する提示手段とを備えることを特徴とするミシンの縫製データ編集装置。
【請求項2】
前記提示手段は、前記作業領域内の前記各エリアを識別表示すると共に前記入力手段から入力される針位置を重ねて表示する表示装置であることを特徴とする請求項1記載のミシンの縫製データ編集装置。
【請求項3】
前記入力手段は、縫いの針位置か空送りの針位置かを特定して針位置の入力を行うことが可能であり、
入力された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定し、縫い又は空送りが不可能である場合に、報知手段による報知を行わせる処理部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のミシンの縫製データ編集装置。
【請求項4】
前記入力手段は、縫いの針位置か空送りの針位置かを特定して針位置の入力を行うことが可能であり、
入力された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定し、縫い又は空送りが不可能である場合に、前記入力された針位置を縫い又は空送りが可能となる針位置に修正する処理を行う処理部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のミシンの縫製データ編集装置。
【請求項5】
縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンにおいて、
前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報と前記縫製データとを記憶する記憶手段と、
前記縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定し、縫い又は空送りが不可能である場合に報知手段による報知を実行させる制御手段を備えることを特徴とするミシン。
【請求項6】
縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンにおいて、
前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報と前記縫製データとを記憶する記憶手段と、
前記縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定し、縫い又は空送りが不可能である場合に、前記縫製データの内容を、縫い又は空送りが可能な針位置に修正する制御手段を備えることを特徴とするミシン。
【請求項7】
縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンの縫製データ編集装置により実行される縫製データ編集プログラムにおいて、
前記縫製データ編集装置が、縫製パターンを構成する複数の針位置を入力する入力手段と、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記入力手段から入力される針位置が前記作業領域内の前記各エリアのいずれに位置するかを前記縫製データ編集装置が有する提示手段に提示させる制御を前記縫製データ編集装置の処理部に実行させることを特徴とするミシンの縫製データ編集プログラム。
【請求項8】
前記提示手段が有する表示装置に、前記作業領域内の前記各エリアを識別表示する制御と、前記入力手段から入力される針位置を重ねて表示させる制御とを前記処理部に実行させることを特徴とする請求項7記載のミシンの縫製データ編集プログラム。
【請求項9】
前記入力手段は、縫いの針位置か空送りの針位置かを特定して針位置の入力を行うことが可能であり、
入力された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する処理と、
縫い又は空送りが不可能である場合に前記縫製データ編集装置の報知手段による報知を実行させる制御とを前記処理部に実行させることを特徴とする請求項7又は8記載のミシンの縫製データ編集プログラム。
【請求項10】
前記入力手段は、縫いの針位置か空送りの針位置かを特定して針位置の入力を行うことが可能であり、
入力された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する処理と、
縫い又は空送りが不可能である場合に、前記入力された針位置を、可能な針位置に修正する処理とを前記処理部に実行させることを特徴とする請求項7又は8記載のミシンの縫製データ編集プログラム。
【請求項11】
縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンの縫製データ編集プログラムにおいて、
前記ミシンが、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報と前記縫製データとを記憶する記憶手段を備え、
前記縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する処理と、
縫い又は空送りが不可能である場合に前記ミシンの報知手段による報知を実行させる制御とを前記ミシンの制御手段に実行させることを特徴とするミシンの縫製データ編集プログラム。
【請求項12】
縫製パターンを構成する複数の針位置が記録された縫製データに従って、縫い針と被縫製物を保持する保持枠とを相対的に移動させる制御を行うことで前記被縫製物に対して前記縫製パターン通りの縫製を行うミシンの縫製データ編集プログラムにおいて、
前記ミシンが、前記縫い針と保持枠との相対移動が可能な作業領域内を、前記縫い針による針落ちを伴う縫いが可能な縫製可能エリアと、針落ちを伴わない空送りは可能であって縫いは不可能な空送りエリアと、縫いと空送りの双方ができない排除エリアとに分類する領域分布情報と前記縫製データとを記憶する記憶手段を備え、
前記縫製データに記録された縫いの針位置又は空送りの針位置がいずれのエリアに位置するかによって縫い又は空送りが可能か否かを判定する処理と、
縫い又は空送りが不可能である場合に、前記縫製データの内容を、縫い又は空送りが可能な針位置に修正する処理とを前記ミシンの制御手段に実行させることを特徴とするミシンの縫製データ編集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−115373(P2011−115373A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275325(P2009−275325)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】