説明

ミラーアクチュエータおよびビーム照射装置

【課題】ミラーの回動精度を保ちつつ、可動部に対する給電を円滑に行い得るミラーアクチュエータおよびこのミラーアクチュエータを搭載したビーム照射装置を提供する。
【解決手段】ミラーアクチュエータ1は、支軸24について回動可能なミラーユニットフレーム11と、支軸17に配されたミラー19と、マグネットユニット20とミラーユニットフレーム11とを連結するサスペンションワイヤー26a〜26fと、ミラーユニットフレーム11と支軸17とを連結するサスペンションワイヤー16a〜16dとを備える。サスペンションワイヤー16a〜16d、26a〜26fにより、ミラーユニットフレーム11に装着されたチルトコイル11bと、支軸17に装着されたパンコイル12b、13bに給電でき、ミラーユニットフレーム11と支軸17に対し、一定かつ安定的な抗力が付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの軸を回動軸としてミラーを回動させるミラーアクチュエータ、および、このミラーアクチュエータを搭載したビーム照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、走行時の安全性を高めるために、レーザレーダが、家庭用乗用車等に搭載されている。一般に、レーザレーダは、レーザ光を目標領域内でスキャンさせ、各スキャン位置における反射光の有無から、各スキャン位置における障害物の有無を検出する。さらに、各スキャン位置におけるレーザ光の照射タイミングから反射光の受光タイミングまでの所要時間をもとに、障害物までの距離が検出される。
【0003】
目標領域においてレーザ光を走査させるためのアクチュエータとして、たとえば、2つの軸を回動軸としてミラーを回動させるムービングコイル方式のミラーアクチュエータを用いることができる(特許文献1)。このミラーアクチュエータを用いる場合、レーザ光は、斜め方向からミラーに入射される。2つの軸を回動軸としてミラーが水平方向と鉛直方向に回動されると、目標領域内においてレーザ光が水平方向と鉛直方向に振られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−14698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ミラーアクチュエータでは、可動部に駆動コイルが配置されるため、ケーブルやハーネス等を介して駆動コイルに電流を給電する必要がある。しかし、この場合、可動部の回動に伴い、ケーブルやハーネス等が撓み、可動部に不安定な負荷が生じ、ミラーの回動精度が低下する惧れがある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ミラーの回動精度を保ちつつ、可動部に対する給電を円滑に行い得るミラーアクチュエータおよびこのミラーアクチュエータを搭載したビーム照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の局面はミラーアクチュエータに関する。第1の局面に係るミラーアクチュエータは、ベースと、第1回動軸について回動可能なように前記ベースに支持された第1回動部と、前記第1回動軸に垂直な第2回動軸について回動可能なように前記第1回動部に支持された第2回動部と、前記第2回動部に配されたミラーと、前記第1回動部と共に回動する第1コイルと、前記第2回動部と共に回動する第2コイルと、前記第1コイルと前記第2コイルに磁界を与える磁石部と、前記ベースと前記第1回動部とを連結するとともに可撓性および導電性を有する複数の第1弾性部材と、前記第1回動部と前記第2回動部とを連結するとともに可撓性および導電性を有する複数の第2弾性部材と、前記第1弾性部材と前記第1回動部との接合部の何れかと前記第2弾性部材と前記第1回動部との接合部の何れかとを接続するための回路パターンと、を備える。ここで、前記回路パターンは、前記第2コイルに信号を供給するための前記第1弾性部材から前記第2コイルに信号を供給するための前記第2の弾性部材に電流が流れるように設けられ、前記第1コイルに信号を供給するための前記第1弾性部材の前記第1回動部側の端部に前記第1コイルが接続され、前記第2コイルに信号を供給するための前記第2弾性部材の前記第2回動部側
の端部に前記第2コイルが接続されることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の局面はビーム照射装置に関する。第2の局面にかかるビーム照射装置は、前記ミラーアクチュエータのミラーにレーザ光を供給するレーザ光源とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ミラーの回動精度を保ちつつ、可動部に対する給電を円滑に行い得るミラーアクチュエータおよびこのミラーアクチュエータを搭載したビーム照射装置を提供することができる。
【0010】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係るミラーアクチュエータの分解斜視図を示す図である。
【図2】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図3】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図4】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図5】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図6】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組立過程を示す図である。
【図7】実施の形態に係るミラーアクチュエータの回動時の作用を示す図である。
【図8】実施の形態に係るミラーユニットフレームとサスペンションワイヤーの接続状況を示す図である。
【図9】実施の形態に係るミラーアクチュエータの給電方法を示す図である。
【図10】実施の形態に係るビーム照射装置の構成を示す図である。
【図11】実施の形態に係るサーボ光学系の構成および作用を説明する図である。
【図12】実施の形態に係るレーザレーダの回路構成を示す図である。
【図13】変更例に係るミラーアクチュエータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施の形態に係るミラーアクチュエータ1の分解斜視図を示す図、図2(a)は、本実施の形態に係るミラーユニット10の分解斜視図を示す図である。
【0013】
ミラーアクチュエータ1は、ミラーユニット10と、マグネットユニット20と、サーボユニット30を備えている。
【0014】
図2(a)を参照して、ミラーユニット10は、ミラーユニットフレーム11と、パンコイル装着板12、13と、サスペンションワイヤー固定基板14a、14b、15と、サスペンションワイヤー16a〜16dと、支軸17と、LED18と、ミラー19とを備えている。
【0015】
ミラーユニットフレーム11は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。ミラーユニットフレーム11は、軽量な樹脂等で形成されている。ミラーユニットフレーム11には、左右の側面にそれぞれ2つのチルトコイル装着部11aが設けられている。各側面のチルトコイル装着部11aは、各側面の中心から上下方向に対称な位置に配置されている。これら4つのチルトコイル装着部11aには、それぞれ、チルトコイル11bが巻回され固着される。
【0016】
また、ミラーユニットフレーム11には、左右に並ぶ軸孔11cと、上下に並ぶ溝11
eが形成されている。軸孔11cは、左右の側面の中心位置に配置され、溝11eは上下の側面の中心位置まで延びている。軸孔11cには、それぞれ、左右から軸受け11dが取り付けられる。
【0017】
ミラーユニットフレーム11の底面は、櫛歯状となっており、サスペンションワイヤー16a、16bを通すための2つのワイヤー孔11fと、サスペンションワイヤー16c、16dを通すための2つのワイヤー孔11gと、後述するサスペンションワイヤー26a〜26cを通すための3つのワイヤー孔11hと、サスペンションワイヤー26d〜26fを通すための3つのワイヤー孔11iが形成されている。なお、ワイヤー孔11h、11iは、サスペンションワイヤー26a〜26fを斜め後方向に傾けて固定するために、サスペンションワイヤー26a〜26fの径よりもやや大きく形成されている。これにより、サスペンションワイヤー26a〜26fを、ミラー19から離れる方向に曲線状に張ることができる。
【0018】
パンコイル装着板12、13は、アルミニウムで形成されており、耐可撓性に優れている。パンコイル装着板12には、2つのパンコイル装着部12aと、サスペンションワイヤー固定基板14aを装着するための基板装着部12cと、サスペンションワイヤー固定基板14bを装着するための基板装着部12dと、サスペンションワイヤー16a、16bを通すための2つのワイヤー孔12eと、サスペンションワイヤー16c、16dを通すための2つのワイヤー孔12fと、支軸17を通すための軸孔12gが設けられている。基板装着部12c、12dは、一段低い段部となっている。ワイヤー孔12eは、ワイヤー孔11fと上下方向に直線状に並ぶように形成されており、ワイヤー孔12fは、ワイヤー孔11gと上下方向に直線状に並ぶように形成されている。2つのパンコイル装着部12aには、それぞれ、2つのパンコイル12bが巻回され固着される。また、パンコイル装着板13には、2つのパンコイル装着部13aと支軸17を通すための軸孔13cが設けられている。パンコイル装着部13aには、2つのパンコイル13bが巻回され固着される。
【0019】
サスペンションワイヤー固定基板14a、14bは、ガラスエポキシ樹脂等からなる回路基板である。サスペンションワイヤー固定基板14a、14bには、それぞれ、サスペンションワイヤー16a、16bを通すための2つの端子穴14cと、サスペンションワイヤー16c、16dを通すための2つの端子穴14dが形成されている(図2(b)参照)。端子穴14c、14dの位置において、後述のように、パンコイル12b、13bと、LED18に電流を供給するための導線が、サスペンションワイヤー16a〜16dに半田等で電気的に接続される。サスペンションワイヤー固定基板14a、14bは、2つの端子穴14c、14dとワイヤー孔12e、12fが整合するように、パンコイル装着板12の基板装着部12c、12dに接着して固定される。
【0020】
サスペンションワイヤー固定基板15は、ガラスエポキシ樹脂等からなる回路基板であり、可撓性を有している。サスペンションワイヤー固定基板15には、サスペンションワイヤー16a、16bを通すための2つの端子穴15aと、サスペンションワイヤー16c、16dを通すための2つの端子穴15bと、サスペンションワイヤー26a〜26cを通すための3つの端子穴15cと、サスペンションワイヤー26d〜26f(図1参照)を通すため3つの端子穴15dが形成されている。なお、3つの端子穴15c、15dは、ワイヤー孔11h、11iと同様に、サスペンションワイヤー26a〜26fを曲線状に張るために、サスペンションワイヤー26a〜26fの径よりもやや大きく形成されている。
【0021】
図2(c)を参照して、サスペンションワイヤー固定基板15には、2つの端子穴15aと3つの端子穴15cのうちの2つとを電気的に接続する回路パターンP1、P2が形
成されている。また、サスペンションワイヤー固定基板15には、2つの端子穴15bと3つの端子穴15dのうちの2つとを電気的に接続する回路パターンP3、P4が形成されている。これらの端子穴と、各端子穴に通されたサスペンションワイヤー16a〜16dおよびサスペンションワイヤー26a、26b、26d、26eとを半田付けすることにより、サスペンションワイヤー16a〜16dと、サスペンションワイヤー26a、26b、26d、26eとが、上記回路パターンを介して、電気的に接続される。3つの端子穴15cの残り一つと、3つの端子穴15dの残り一つの位置において、後述のように、左右のチルトコイル11bと、サスペンションワイヤー26c、26fとが、半田等で電気的に接続される。
【0022】
図2(a)に戻り、サスペンションワイヤー固定基板15は、端子穴15aとワイヤー孔11f、端子穴15bとワイヤー孔11g、端子穴15cとワイヤー孔11h、および、端子穴15dとワイヤー孔11iが、それぞれ互いに整合するように、ミラーユニットフレーム11に接着して固定される。
【0023】
サスペンションワイヤー16a〜16dは、りん青銅、ベリリウム銅等からなり、導電性に優れ、ばね性を有する。サスペンションワイヤー16a〜16dは、断面が円形状となっている。サスペンションワイヤー16a〜16dは、互いに同じ形状および特性を持ち、後述するように、パンコイル12b、13bとLED18への電流供給と、ミラー19のPan方向の回動時において、安定した負荷を与えるために利用される。なお、サスペンションワイヤー16a〜16dは、伸縮性を有しておらず、長手方向に力が加えられたとしても、略伸縮することはない。
【0024】
支軸17には、LED基板固定アーム18bを挿入するための孔17aと、パンコイル13bとLED18を電気的に接続する導線を通すための孔17b、17cと、ミラー19を嵌め込むための段部17dが形成されている。また、支軸17内は、パンコイル13bとLED18を電気的に接続する導線を通すため、空洞となっている。なお、支軸17は、後述するように、ミラー19をPan方向に回動させる回転軸として利用される。
【0025】
LED18は、拡散タイプ(広指向タイプ)であり、広い範囲に光を拡散させることができる。LED18からの拡散光は、後述するように、走査用のレーザ光の目標領域内での走査位置を検出するために利用される。LED18は、LED基板18aに取り付けられている。LED基板18aは、LED基板固定アーム18bに接着された後、支軸17の孔17aに取り付けられる。
【0026】
ミラーユニット10の組立時には、支軸17にミラー19が嵌め込まれた後、支軸17の両端の軸に軸受け17e、ポリスライダーワッシャ17fが取り付けられる。そして、この状態で、2つの軸受け17eが、ミラーユニットフレーム11に形成された溝11eに嵌め込まれる。さらに、上下からパンコイル装着板12の軸孔12gとパンコイル装着板13の軸孔13cが、支軸17に通され、支軸17に接着固定される。
【0027】
その後、サスペンションワイヤー16a、16bが、サスペンションワイヤー固定基板14aの2つの端子穴14cと、2つのワイヤー孔12eと、2つのワイヤー孔11fを介して、サスペンションワイヤー固定基板15の端子穴15aに通される。同様に、サスペンションワイヤー16c、16dが、サスペンションワイヤー固定基板14bの2つの端子穴14dと、2つのワイヤー孔12fと、2つのワイヤー孔11gを介して、サスペンションワイヤー固定基板15の端子穴15bに通される。サスペンションワイヤー16a〜16dは、それぞれ、パンコイル12b、13bと、LED18に電流を供給するための導線とともにサスペンションワイヤー固定基板14a、14b、15に半田付けられる。
【0028】
これにより、図1に示すように、ミラーユニット10の組立が完了する。この状態で、ミラー19は、支軸17の周りにPan方向に回動可能となる。なお、サスペンションワイヤー固定基板14a、14bは、ミラー19のPan方向の回動に伴って、Pan方向に回動する。組み立てられたミラーユニット10は、マグネットユニットフレーム21の開口に収容される。なお、サスペンションワイヤーを用いた電流の供給方法については、別途、図9を参照して、説明する。
【0029】
図1に戻り、マグネットユニット20は、マグネットユニットフレーム21と、8つのパンマグネット22と、8つのチルトマグネット23と、2つの支軸24と、サスペンションワイヤー固定基板25と、サスペンションワイヤー26a〜26fと、保護カバー27とを備えている。
【0030】
マグネットユニットフレーム21は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。マグネットユニットフレーム21の左右の側面の中央には、支軸24を通すための軸孔21aと、支軸24を固定するためのネジ穴21bが形成されている。マグネットユニットフレーム21の上面には、サスペンションワイヤー固定基板25を固定するための2つのネジ穴21cが形成されている。また、マグネットユニットフレーム21の上下の内側面の前端には、マグネットユニットフレーム21の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、保護カバー27を固定するためのネジ穴21dが形成されている。さらに、マグネットユニットフレーム21の上下の内側面の後端には、マグネットユニットフレーム21の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、サーボユニットフレーム31を固定するためのネジ穴21eが形成されている。
【0031】
図3は、マグネットユニットフレーム21を後側から見た斜視図である。図3を参照して、8つのパンマグネット22がマグネットユニットフレーム21の上下の内側面に取り付けられる。さらに、8つのチルトマグネット23がマグネットユニットフレーム21の左右の内側面に取り付けられる。
【0032】
図1に戻り、2つの支軸24には、それぞれ、2つのネジ孔24bが形成されている。2つの支軸24は、ポリスライダーワッシャ24aが取り付けられた状態で、マグネットユニットフレーム21に形成された軸孔21aを介して、ミラーユニットフレーム11の軸受け11dに嵌め込まれる。この状態で、2つのネジ孔24bを介して2つのネジ24cがマグネットユニットフレーム21の2つのネジ穴21bに螺着される。これにより、2つの支軸24がマグネットユニットフレーム21に固着される。なお、支軸24は、後述するように、ミラー19をTilt方向に回動させる回転軸として利用される。
【0033】
サスペンションワイヤー固定基板25には、2つのネジ孔25aと、サスペンションワイヤー26a〜26fを通すための3つの端子穴25c、25dが形成されている。なお、3つの端子穴25c、25dは、サスペンションワイヤー26a〜26fを曲線状に張るために、サスペンションワイヤー26a〜26fの径よりもやや大きく形成されている。サスペンションワイヤー固定基板25には、端子穴25c、25dに信号を供給するための回路パターンが形成されている。
【0034】
サスペンションワイヤー26a〜26fは、りん青銅、ベリリウム銅等からなり、導電性に優れ、ばね性を有する。サスペンションワイヤー26a〜26fは、断面が円形状となっている。サスペンションワイヤー26a〜26fは、互いに同じ形状および特性を持ち、後述するように、チルトコイル11bとパンコイル12b、13bとLED18への電流供給と、ミラー19のTilt方向の回動時において、安定した負荷を与えるために利用される。なお、サスペンションワイヤー26a〜26fは、伸縮性を有しておらず、
長手方向に力が加えられたとしても、略伸縮することはない。
【0035】
マグネットユニット20の組立時には、サスペンションワイヤー固定基板25が、マグネットユニットフレーム21の上面に取り付けられる。この状態で、2つのネジ孔25aを介して、2つのネジ25bを2つのネジ穴21cに螺着する。これにより、サスペンションワイヤー固定基板25がマグネットユニットフレーム21に固着される。
【0036】
その後、サスペンションワイヤー26a〜26cが、サスペンションワイヤー固定基板25の3つの端子穴25cと、ミラーユニットフレーム11の3つのワイヤー孔11hを介して、サスペンションワイヤー固定基板15の端子穴15c(図2(a)参照)に通される。同様に、サスペンションワイヤー26d〜26fが、サスペンションワイヤー固定基板25の3つの端子穴25dと、ミラーユニットフレーム11の3つのワイヤー孔11iを介して、サスペンションワイヤー固定基板15の3つの端子穴15d(図2(a)参照)に通される。
【0037】
しかる後、サスペンションワイヤー26a〜26fは、それぞれ、チルトコイル11bと、パンコイル12b、13bと、LED18に電流を供給するための導線とともに、サスペンションワイヤー固定基板15、25に半田付けられる。なお、サスペンションワイヤー26a〜26fは、ミラー19から離れる方向に曲線状に張られる。すなわち、サスペンションワイヤー26a〜26fの上端部は、端子穴25c、25dから離れるに従って後ろ方向に傾くように端子穴25c、25dに固定される。また、サスペンションワイヤー26a〜26fの下端部は、ワイヤー孔11h、11iおよび端子穴15b、15cから離れるに従って後ろ方向に傾くようにワイヤー孔11h、11iおよび端子穴15b、15c固定される。これにより、図4に示す構成体が完成する。この状態で、ミラーユニットフレーム11は、支軸24の周りにTilt方向に回動可能となる。なお、サスペンションワイヤー固定基板15は、ミラーユニットフレーム11のTilt方向の回動に伴って、Tilt方向に回動する。
【0038】
図4は、ミラーユニット10がマグネットユニット20に取り付けられた状態の構成体の斜視図である。図4(a)は、この構成体を図1の前方向から見た斜視図であり、図4(b)は、この構成体を図1の後方向から見た斜視図である。
【0039】
図4(b)を参照して、サスペンションワイヤー16aの両端は、それぞれ、2つの端子穴14cの内側の1つと、2つの端子穴15aの内側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー16cの両端は、2つの端子穴14dの内側の1つと、2つの端子穴15bの内側の1つに接続されている。
【0040】
サスペンションワイヤー16bの両端は、2つの端子穴14cの外側の1つと、2つの端子穴15aの外側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー16dの両端は、2つの端子穴14dの外側の1つと、2つの端子穴15bの外側の1つに接続されている。
【0041】
サスペンションワイヤー26aの両端は、3つの端子穴25cの内側の1つと、3つの端子穴15cの内側の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー26dの両端は、3つの端子穴25dの内側の1つと、3つの端子穴15dの内側の1つに接続されている。
【0042】
サスペンションワイヤー26bの両端は、3つの端子穴25cの中央の1つと、3つの端子穴15cの中央の1つに接続されている。同様に、サスペンションワイヤー26eの両端は、3つの端子穴25dの中央の1つと、3つの端子穴15dの中央の1つに接続さ
れている。
【0043】
サスペンションワイヤー26cの両端は、3つの端子穴25cの外側の1つと、3つの端子穴15cの外側の1つと接続されている。同様に、サスペンションワイヤー26fの両端は、3つの端子穴25dの外側の1つと、3つの端子穴15dの外側の1つに接続されている。
【0044】
なお、図4(a)において、25eは、端子である。端子25eを介して、ミラー19をPan方向とTilt方向に駆動するための駆動信号と、LED18を点灯するための駆動信号が供給される。各端子25eは、それぞれ、端子穴25c、25dの何れかと、サスペンションワイヤー固定基板25上の回路パターンを介して接続されている。
【0045】
図1に戻り、サーボユニット30は、サーボユニットフレーム31と、ピンホール取り付け金具32と、ピンホール板33と、PSD基板34と、PSD35とを備えている。
【0046】
サーボユニットフレーム31は、正面視において長方形の輪郭の枠部材からなっている。サーボユニットフレーム31の左右の側面には、ピンホール取り付け金具32を固定するための2つのネジ孔31aが形成されている。また、サーボユニットフレーム31の上下の内側面の前端には、サーボユニットフレーム31の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、それぞれ、ネジ孔31cが形成されている。さらに、サーボユニットフレーム31の左右の内側面の後端には、サーボユニットフレーム31の内側に突出した4つの鍔部が形成され、これら4つの鍔部には、それぞれ、ネジ穴31eが形成されている。
【0047】
ピンホール取り付け金具32の左右の側面には、2つのネジ穴32aが形成されている。また、ピンホール取り付け金具32の背面には、ピンホール板33を固定するための2つのネジ穴32bと、LED18から出射されたサーボ光をピンホール33aを介してPSD35に導くための開口32cが形成されている。
【0048】
ピンホール板33には、ピンホール33aと、2つのネジ孔33bが形成されている。ピンホール33aは、LED18から出射された拡散光のうち、一部の光を通過させる。
【0049】
PSD基板34には、PSD基板34をサーボユニットフレーム31に固定するための4つのネジ孔34aが形成されている。PSD基板34には、PSD35が装着されている。PSD35は、サーボ光の受光位置に応じた信号を出力する。
【0050】
サーボユニット30の組立時には、ピンホール板33が、ピンホール取り付け金具32の背面に当てられる。この状態で、2つのネジ孔33bを介して2つのネジ33cを2つのネジ穴32bに螺着する。これにより、ピンホール板33がピンホール取り付け金具32に固着される。
【0051】
次に、ピンホール取り付け金具32が、サーボユニットフレーム31内に収容される。この状態で、4つのネジ孔31aと4つのネジ穴32aとが合わされ、左右から4つのネジ31bをそれぞれネジ孔31aとネジ穴32aに螺着する。これにより、ピンホール取り付け金具32が、サーボユニットフレーム31に固着される。
【0052】
さらに、PSD基板34が、サーボユニットフレーム31の背部に当てられる。この状態で、4つのネジ孔34aを介して4つのネジ34bを4つのネジ穴31eに螺着する。これにより、PSD基板34が、サーボユニットフレーム31に固着される。こうして、図5に示すサーボユニット30が完成する。図5(a)は、組み立てられたサーボユニッ
ト30を前方から見た斜視図、図5(b)は、組み立てられたサーボユニット30を後方から見た斜視図である。
【0053】
こうしてサーボユニット30が組み立てられた後、サーボユニット30が、図4に示す構成体の背部に当てられる。この状態で、サーボユニットフレーム31の4つのネジ孔31cを介して、後方から4つのネジ31dをマグネットユニットフレーム21の4つのネジ穴21eに螺着する。これにより、サーボユニット30が図4に示す構成体に固着される。こうして、図6に示すように、ミラーアクチュエータ1の組立が完了する。図6(a)は、ミラーアクチュエータ1を前方から見た斜視図、図6(b)は、ミラーアクチュエータ1を後方から見た斜視図である。
【0054】
図7は、ミラー19の回動時における力作用の関係を示す図である。なお、図7では、便宜上、パンコイル装着板12と、サスペンションワイヤー固定基板14a、14bと、サスペンションワイヤー固定基板15と、サスペンションワイヤー固定基板25と、ミラーユニットフレーム11と、支軸17と、支軸24と、ミラー19と、サスペンションワイヤー16a〜16dと、サスペンションワイヤー26a〜26fのみが図示されている。
【0055】
図7(a)は、ミラーアクチュエータ1の初期状態を示す図である。ミラー19は、チルトコイル11b、パンコイル12b、13bに電流の印加がされてないとき、ミラー19のミラー面が図1の前後方向に垂直となる位置に位置づけられるよう構成されている。この状態のミラー19の位置を、以下、「中立位置」という。なお、サスペンションワイヤー26a〜26fは、ミラーユニットフレーム11のTilt方向の回動に必要な余裕を持たせるために、ミラー19から離れる方向に曲線状となるように張られている。この状態において、サスペンションワイヤー16a〜16dとサスペンションワイヤー26a〜26fから可動部に力が付加されず、このため、ミラー19に対する回動力は発生していない。
【0056】
図7(b)は、ミラーアクチュエータ1をPan方向に駆動させたときの状態を示す図である。8つのパンマグネット22(図3参照)は、パンコイル12b、13b(図2(a)参照)に電流を印加することにより、パンコイル装着板12、13に支軸17を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、パンコイル12b、13bに電流を印加すると、パンコイル12b、13bに生じる電磁駆動力によってパンコイル装着板12、13とともに支軸17が回動し、これにより、ミラー19が、支軸17を軸として回動する。支軸17を軸とするミラー19の回動方向をPan方向という。
【0057】
ミラー19が支軸17を軸として回動すると、これに伴って、パンコイル装着板12に装着されたサスペンションワイヤー固定基板14a、14bが一体的に回動する。一方、サスペンションワイヤー固定基板15は、ミラーユニットフレーム11に固定されており、図7(a)の状態のままである。これにより、サスペンションワイヤー16a、16bと、サスペンションワイヤー16c、16dは、それぞれ、長手方向に引っ張られながら、支軸17を中心として、ねじれの位置に位置づけられる。
【0058】
したがって、サスペンションワイヤー16a〜16dのばね性により、支軸17を中心とした、ミラー19のPan方向の回動方向と逆向きのモーメントが発生する。このモーメントは、サスペンションワイヤー16a〜16dのばね定数と支軸17を中心としたミラー19の回動位置とによって算出可能な所定の値となる。このように、ミラー19がPan方向に回動した状態では、常に逆向きのモーメントが発生するため、パンコイル12b、13bへの電流の印加を中止すると、ミラー19は、図7(a)に示す中立位置に戻
される。
【0059】
図7(c)は、ミラーアクチュエータ1をTilt方向に駆動させたときの状態を示す図である。8つのチルトマグネット23(図3参照)は、チルトコイル11b(図2(a)参照)に電流を印加することにより、ミラーユニットフレーム11に支軸24を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、チルトコイル11bに電流を印加すると、チルトコイル11bに生じる電磁駆動力によって、ミラーユニットフレーム11が、支軸24を軸として回動し、ミラーユニットフレーム11と一体的にミラー19が回動する。支軸24を軸とするミラー19の回動方向をTilt方向という。
【0060】
ミラーユニットフレーム11が支軸24を軸として回動すると、これに伴って、ミラーユニットフレーム11に装着されたサスペンションワイヤー固定基板14a、14bと、サスペンションワイヤー固定基板15が一体的に回動する。一方、サスペンションワイヤー固定基板25は、マグネットユニットフレーム21に固定されており、図7(a)の状態のままである。これにより、サスペンションワイヤー26a〜26fは、図7(a)の状態から変形し、図7(a)の状態に復元する復元力がサスペンションワイヤー26a〜26fに生じる。したがって、この復元力により、支軸24を中心とした、ミラーユニットフレーム11のTilt方向の回動方向と逆向きのモーメントが発生する。このモーメントは、サスペンションワイヤー26a〜26fのばね定数と支軸24を中心としたミラーユニットフレーム11の回動位置とによって算出可能な所定の値となる。このように、ミラーユニットフレーム11がTilt方向に回動した状態では、常に逆向きのモーメントが発生するため、チルトコイル11bへの電流の印加を中止すると、ミラーユニットフレーム11は、図7(a)に示す中立位置に戻される。
【0061】
なお、サスペンションワイヤー26a〜26fは、伸縮性を有していないが、サスペンションワイヤー26a〜26fがミラー19から離れる方向に曲線状に張られているため、ミラー19をTilt方向に回動させることができる。
【0062】
したがって、ミラー19をPan方向およびTilt方向に回動させると、各回動位置において、サスペンションワイヤーのばね性による一定の抗力が生じる。この抗力に応じて、ミラー19を回動させるための駆動力を調整することにより、安定してミラー19を回動させることができる。また、電流を印加しない場合、サスペンションワイヤーのばね性により、ミラー19が中立位置に位置づけられる。このため、振動等の外乱により、ミラーが不定な回動位置に位置づけられることを防ぐことができる。
【0063】
また、上記のようにミラーアクチュエータ1を構成することにより、大きなミラー19を高レスポンスで駆動することができる。このため、目標領域からの反射光を、大きなミラー19で受光できるようになる。
【0064】
図8(a)は、ミラーユニットフレーム11にサスペンションワイヤー16a〜16d、26a〜26fが接続された状態の構成体を後側から見た一部背面図、図8(b)は、ミラー19のPan方向の回動時におけるサスペンションワイヤー固定基板15にかかる力を模式的に示す一部拡大図、図8(c)は、パンコイル装着板12周辺を後斜方向からみた一部拡大図である。なお、図8(a)〜(c)には、便宜上、ミラーユニットフレーム11とサスペンションワイヤー16a〜16d、26a〜26fの接続状況の説明に必要な部材のみが示されている。
【0065】
図8(a)に示すように、サスペンションワイヤー固定基板15は、ミラーユニットフレーム11との間に所定の隙間(破線部)を有し、ワイヤー孔11hとワイヤー孔11i
が形成された外側の2つの櫛歯の部分のみが、接着剤によってミラーユニットフレーム11に固定される。なお、所定の隙間は、接着剤の厚みによって形成され、数mm程度である。
【0066】
サペンションワイヤー16a〜16dは、伸縮しないため、ミラー19がPan方向に回動する力によって、上部のパンコイル装着板12の基板装着部12c、12dと、下部のサスペンションワイヤー固定基板15は、それぞれが近づく方向に引っ張られる。上述の如く、サスペンションワイヤー16a〜16dの一端に接続されたパンコイル装着板12の基板装着部12c、12dは、耐可撓性に優れるように構成されており、他方に接続されたサスペンションワイヤー固定基板15は、可撓性を有するように構成されている。したがって、ミラー19がPan方向に回動することにより、基板装着部12c、12dとサスペンションワイヤー固定基板15が、サスペンションワイヤー16a〜16dによってミラーユニットフレーム11に近づく方向に引っ張られると、図8(b)に示すように、サスペンションワイヤー固定基板15が、ミラーユニットフレーム11に近づく方向に撓む。サスペンションワイヤー固定基板15とミラーユニットフレーム11の間には、所定の隙間が形成されているため、その隙間において、サスペンションワイヤー固定基板15が、ミラーユニットフレーム11に近づく方向に撓み得る。なお、たとえば、ミラー19がPan方向に90度回動する場合、ミラー19の回動に伴うサスペンションワイヤー固定基板15の撓む大きさは、略1mm以下であり、サスペンションワイヤー固定基板15に対する負荷は、小さい。
【0067】
また、図8(c)に示すように、サスペンションワイヤー16a〜16dは、それぞれ、パンコイル装着板12を、ポリスライダーワッシャ17f、軸受け17eを介して、ミラーユニットフレーム11の上面に押し当てるようにして、接続固定される。すなわち、パンコイル装着板12は、サスペンションワイヤー16a〜16dによって、ミラーユニットフレーム11から離れる方向の移動が抑制され、且つ、ミラーユニットフレーム11の抗力によって、ミラーユニットフレーム11に近づく方向の移動が抑制される。よって、パンコイル装着板12は、支軸17の軸方向の移動が抑制される。
【0068】
また、ミラーユニットフレーム11の上部の厚さT1(図8(a)参照)は、他の部分の厚さ(たとえば、下部T2)に比べて、厚く構成されている。したがって、ミラー19のPan方向の回動によって、パンコイル装着板12がサスペンションワイヤー16a〜16dにより引っ張られ、これにより、パンコイル装着板12からミラーユニットフレーム11に近づく方向に大きな力が加わっても、ミラーユニットフレーム11が撓むことはない。よって、ミラー19のPan方向の回動により、ミラーユニットフレーム11の上面に大きく力加わったとしても、支軸17の軸方向の移動は抑制される。
【0069】
さらに、パンコイル装着板12は、図示の如く、ポリスライダーワッシャ17fの上面にのみ接触する。したがって、パンコイル装着板12が接触する面積は、パンコイル装着板12がミラーユニットフレーム11に直接接触する場合に比べ、小さいものとなり、パンコイル装着板12とミラーユニットフレーム11の間に発生する摩擦力は小さいものとなる。
【0070】
このように、ミラー19がPan方向に回動するときは、常に、パンコイル装着板12とミラーユニットフレーム11の上面が基準となって、下部のサスペンションワイヤー固定基板15がミラーユニットフレーム11に近づく方向に撓むこととなる。よって、伸縮性を有さないサスペンションワイヤー16a〜16dを用いても、ミラー19をPan方向に円滑に回動させることができる。
【0071】
さらに、前述のように、支軸17は、軸方向の移動が抑制されており、パンコイル装着
板12は、摩擦力の小さいポリスライダーワッシャ17f(図8(c)参照)を介してミラーユニットフレーム11に押し当てられているため、安定、かつ滑らかにミラー19をPan方向に回動させることができる。
【0072】
図9は、サスペンションワイヤー16a〜16dとサスペンションワイヤー26a〜26fを用いて、LED18と、チルトコイル11bと、パンコイル12b、13bへ給電する方法を示す図である。なお、図9では、便宜上、ミラーユニットフレーム11と、パンコイル装着板12、13と、パンコイル12b、13bと、チルトコイル11bと、サスペンションワイヤー固定基板14a、14bと、サスペンションワイヤー固定基板15と、サスペンションワイヤー16a〜16dと、支軸17と、LED18と、マグネットユニットフレーム21と、サスペンションワイヤー固定基板25と、サスペンションワイヤー26a〜26fのみが図示されており、サスペンションワイヤー16a〜16dとサスペンションワイヤー26a〜26fは、各部に対する電流の供給に必要なもの以外は省略されている。
【0073】
図9(a)は、LED18への給電方法を示す図である。
【0074】
サスペンションワイヤー固定基板25には、3つの端子穴25cのうち1つが端子25e(図4(a)参照)を介してサーボLED駆動回路302(図11参照)の流出端子に接続され、3つの端子穴25dのうち1つが端子25eを介してサーボLED駆動回路302(図12参照)の流入端子と接続されるように、回路パターンが形成されている。また、サスペンションワイヤー固定基板15には、3つの端子穴15cのうち1つが2つの端子穴15aのうち1つと接続され、2つの端子穴15bのうち1つが3つの端子穴15dのうち1つと接続されるよう回路パターンが形成されている。
【0075】
LED18の+端子は、支軸17内に形成された空洞と孔17bを介して端子穴14cと導線によって電気的に接続されている。また、LED18の−端子は、支軸17内に形成された空洞と孔17bを介して、端子穴14dと導線によって電気的に接続されている。
【0076】
サーボLED駆動回路302(図12参照)の流出端子から出力された電流は、端子穴25cに接続されたサスペンションワイヤー26a、端子穴15c、端子穴15a、サスペンションワイヤー16aを通り、端子穴14cに到達する。そして、電流は、端子穴14cに接続された導線を介してLED18の+端子に入力される。LED18に到達した後、電流は、LED18の−端子に接続された導線を通り、端子穴14dに到達する。その後、電流は、サスペンションワイヤー16c、端子穴15b、端子穴15d、サスペンションワイヤー26dを通って端子穴25dに至り、端子穴25dからサーボLED駆動回路302(図12参照)の流入端子へ出力される。これにより、LED18に対して、電流が供給される。
【0077】
図9(b)は、パンコイル12b、13bへの給電方法を示す図である。
【0078】
サスペンションワイヤー固定基板25には、3つの端子穴25cのうち1つが端子25e(図4(a)参照)を介してアクチュエータ駆動回路303(図12参照)のPan駆動用の流出端子と接続され、3つの端子穴25dのうち1つが端子25eを介してアクチュエータ駆動回路303(図12参照)のPan駆動用の流入端子と接続されるように、回路パターンが形成されている。また、サスペンションワイヤー固定基板15には、3つの端子穴15cのうち1つが2つの端子穴15aのうち1つと接続され、2つの端子穴15bのうち1つが3つの端子穴15dのうち1つと接続されるよう回路パターンが形成されている。
【0079】
2つのパンコイル12bは、それぞれ、一方の端が端子穴14cに電気的に接続され、他方の端が端子穴14dに電気的に接続されている。また、2つのパンコイル13bは、それぞれ、一方の端が支軸17内に形成された空洞と孔17b、17cを介して、端子穴14cに電気的に接続され、他方の端が支軸17内に形成された空洞と孔17b、17cを介して、端子穴14dに電気的に接続されている。
【0080】
アクチュエータ駆動回路303(図12参照)のPan駆動用の流出端子から出力された電流は、端子穴25cに接続されたサスペンションワイヤー26b、端子穴15c、端子穴15a、サスペンションワイヤー16bを通り、端子穴14cに到達する。そして、電流は、4並列に、パンコイル12b、13bの一方の端に入力される。パンコイル12b、13bを流れた後、電流は、端子穴14dで合流する。その後、電流は、サスペンションワイヤー16d、端子穴15b、端子穴15d、サスペンションワイヤー26eを通って端子穴25dに至り、端子穴25dからアクチュエータ駆動回路303(図12参照)のPan駆動用の流入端子へ出力される。これにより、パンコイル12b、13bに対して、電流が供給される。
【0081】
図9(c)は、チルトコイル11bへの給電方法を示す図である。
【0082】
サスペンションワイヤー固定基板25は、3つの端子穴25cのうち1つが端子25e(図4(a)参照)を介してアクチュエータ駆動回路303(図12参照)のTilt駆動用の流出端子と接続され、3つの端子穴25dのうち1つが端子25eを介してアクチュエータ駆動回路303(図12参照)のTilt駆動用の流出端子と接続されるように、回路パターンが形成されている。また、サスペンションワイヤー固定基板15は、3つの端子穴15cのうち1つが2つの端子穴15dのうち1つと接続されるよう回路パターンが形成されている。4つのチルトコイル11bは、それぞれ、一方の端が端子穴15cに電気的に接続され、他方の端が端子穴15dに電気的に接続されている。
【0083】
アクチュエータ駆動回路303(図12参照)のTilt駆動用の流出端子から出力された電流は、端子穴25cに接続されたサスペンションワイヤー26b、端子穴15c、端子穴15a、サスペンションワイヤー16bを通り、端子穴14cに到達する。そして、電流は、4並列に、パンコイル12b、13bの一方の端に入力される。パンコイル12b、13bを流れた後、電流は、端子穴14dで合流する。その後、電流は、スペンションワイヤー16d、端子穴15b、端子穴15d、サスペンションワイヤー26eを通って端子穴25dに至り、端子穴25dからアクチュエータ駆動回路303(図12参照)のTilt駆動用の流入端子へ出力される。これにより、パンコイル12b、13bに対して、電流が供給される。
【0084】
このように、サスペンションワイヤーを適切に配置することによって、外部からのケーブルやハーネス等を用いずに、ミラーユニットフレーム11、支軸17に対して不安定な負荷をかけることなく、LED18と、パンコイル12b、13bと、チルトコイル11bに対して電流を供給することができる。
【0085】
図10は、ミラーアクチュエータ1が装着された状態の光学系の構成を示す図である。
【0086】
図10において、500は、光学系を支持するベースである。ベース500の上面には、ミラーアクチュエータ1と、レーザ光源101と、ビーム整形レンズ102が配置されている。レーザ光源101は、ベース500の上面に配されたレーザ光源用の回路基板101aに装着されている。
【0087】
レーザ光源101から出射されたレーザ光は、ビーム整形レンズ102によって水平方向および鉛直方向の収束作用を受け、目標領域において所定の形状に整形される。ビーム整形レンズ102を透過したレーザ光は、ミラーアクチュエータ1のミラー19に入射し、ミラー19によって目標領域に向かって反射される。ミラーアクチュエータ1によってミラー19が駆動されることにより、レーザ光が目標領域内においてスキャンされる。
【0088】
ミラーアクチュエータ1は、ミラー19が図7(a)に示した中立位置にあるときに、ビーム整形レンズ102からの走査レーザ光がミラー19のミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するよう配置されている。すなわち、ミラー19が中立位置にあるとき、ミラー19のミラー面は鉛直方向に対し平行で、且つ、走査レーザ光がミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射する。
【0089】
図11(a)は、ベース500を上面側から見たときの一部平面図である。図11(a)には、ミラーアクチュエータ1の一部断面図とレーザ光源101のみが示されている。
【0090】
図示の如く、ミラーアクチュエータ1には、LED18と、ピンホール取り付け金具32と、ピンホール板33と、PSD基板34と、PSD35が配されている。
【0091】
LED18、PSD35およびピンホール33aは、ミラーアクチュエータ1のミラー19が上記中立位置にあるときに、LED18がピンホール板33のピンホール33aとPSD35の中心に向き合うように配置されている。すなわち、ミラー19が中立位置にあるとき、LED18から出射されピンホール33aを通るサーボ光が、PSD35の中心に垂直に入射するよう、ピンホール板33およびPSD35が配置されている。また、ピンホール板33は、LED18とPSD35の中間位置よりもPSD35に近い位置に配置されている。
【0092】
ここで、LED18から拡散するように発せられたサーボ光は、その一部が、ピンホール33aを通過し、PSD35によって受光される。ピンホール33a以外の領域に入射されたサーボ光は、ピンホール板33によって遮光される。PSD35は、サーボ光の受光位置に応じた電流信号を出力する。
【0093】
たとえば、図11(b)のようにミラー19が破線で示す中立位置から矢印方向に回動すると、LED18の拡散光(サーボ光)のうちピンホール33aを通る光の光路は、LP1からLP2へと変位する。その結果、PSD35上におけるサーボ光の照射位置が変化し、PSD35から出力される位置検出信号が変化する。この場合、LED18からのサーボ光の発光位置と、PSD35の受光面上におけるサーボ光の入射位置は一対一に対応する。したがって、PSD35にて検出されるサーボ光の入射位置によって、ミラー19の位置を検出することができ、結果、目標領域における走査レーザ光の走査位置を検出することができる。
【0094】
また、図8を参照して説明したように、支軸17の軸方向の移動が抑制されており、ミラー19を安定して回動させることができるため、ミラー19の背面に取り付けられたLED18の位置も安定したものとなる。よって、精度よく、目標領域における走査レーザ光の走査位置を検出することができる。
【0095】
図12は、レーザレーダの回路構成を示す図である。図示の如く、レーザレーダは、走査部100と、受光部200と、PSD信号処理回路301と、サーボLED駆動回路302と、アクチュエータ駆動回路303と、スキャンLD駆動回路304と、PD信号処理回路305と、DSP306を備えている。
【0096】
走査部100は、図10に示す走査光学系と、図11(a)に示すサーボ光学系を備えている。なお、図11には、便宜上、走査部100の構成として、レーザ光源101、ミラーアクチュエータ1、LED18およびPSD35のみが図示されている。受光部200は、レーザ光源101から出射されるレーザ光の波長帯域の光のみを透過するバンドパスフィルタ201と、目標領域から反射された走査用レーザ光を集光する受光レンズ202と、集光された走査用レーザ光を受光する光検出器203を備えている。
【0097】
PSD信号処理回路301は、PSD35からの出力信号から受光位置に応じた位置検出信号を生成してDSP306に出力する。
【0098】
サーボLED駆動回路302は、DSP306からの信号をもとに、LED18に駆動信号を供給する。具体的には、走査部100の作動時において、一定出力のサーボ光が、LED18から出力される。
【0099】
アクチュエータ駆動回路303は、DSP306からの信号をもとに、ミラーアクチュエータ1を駆動する。具体的には、目標領域において走査用レーザ光を所定の軌道に沿って走査させるための駆動信号がミラーアクチュエータ1に供給される。
【0100】
スキャンLD駆動回路304は、DSP306からの信号をもとに、レーザ光源101に駆動信号を供給する。具体的には、目標領域内において走査用レーザ光のスキャン位置が所定の位置になったタイミングでレーザ光源101がパルス発光される。
【0101】
PD信号処理回路305は、光検出器203からの信号を増幅およびデジタル化してDSP306に供給する。
【0102】
DSP306は、PSD信号処理回路301から入力された位置検出信号をもとに、目標領域における走査用レーザ光の走査位置を検出し、ミラーアクチュエータ1の駆動制御や、レーザ光源101の駆動制御等を実行する。また、DSP306は、PD信号処理回路305から入力される信号にもとづいて、目標領域内の走査用レーザ光の照射位置に障害物が存在するかを判定し、同時に、レーザ光源101から出力される走査用レーザ光の照射タイミングと、光検出器203にて受光される目標領域からの反射光の受光タイミングの間の時間差をもとに、障害物までの距離を測定する。
【0103】
以上、本実施の形態によれば、ミラー19をPan方向およびTilt方向に回動させると、各回動位置において、サスペンションワイヤーのばね性による一定かつ安定な抗力が生じる。したがって、この抗力に応じて、ミラー19を回動させるための駆動力を調整することにより、安定してミラー19を回動させることができる。また、電流を印加しない場合、サスペンションワイヤーのばね性により、ミラー19が中立位置に位置づけられるため、振動等の外乱により、ミラーが不定な回動位置に位置づけられることを防ぐことができる。
【0104】
また、本実施の形態では、サスペンションワイヤー26a〜26f、サスペンションワイヤー固定基板25の回路パターン、および、サスペンションワイヤー16a〜16dを介して、可動部に電流が供給されるため、可動部に不安定な負荷をかける惧れのあるケーブルやハーネス等を用いずとも、LED18と、パンコイル12b、13bと、チルトコイル11bに対して電流を供給することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、支軸17に並ぶように、すなわち、支軸17と略平行となるように、サスペンションワイヤー26a〜26fとサスペンションワイヤー16a〜16dが配されているため、ミラー19の回動時のサスペンションワイヤー26a〜26fと
サスペンションワイヤー16a〜16dの撓み量を小さくすることができ、ミラー19の回動時に、サスペンションワイヤー26a〜26fとサスペンションワイヤー16a〜16dから、ミラー19の回動を規制する大きな力が掛るのを防止することができる。また、サスペンションワイヤー26a〜26fとサスペンションワイヤー16a〜16dの端部がミラーユニットフレーム11の底面近傍に位置付けられるため、平板状のサスペンションワイヤー固定基板25の回路パターンによって、対応するサスペンションワイヤーを容易に接続することができる。
【0106】
また、本実施の形態では、サスペンションワイヤー固定基板25にサスペンションワイヤー26a〜26fとサスペンションワイヤー16a〜16dの端部を半田付けするのみで、当該端部の固定と、サスペンションワイヤー間の電気的な接続を行うことができる。
【0107】
また、本実施の形態では、図6(a)に示すように、ミラー19が中立位置にある状態において、サスペンションワイヤー26a〜26fがミラー19から離れる方向に一様に湾曲するように配置されるため、中立位置からミラー19がTilt方向に回動しても、サスペンションワイヤー26a〜26fは、一律に、ミラー19に接近または離間する方向に変形する。このように、サスペンションワイヤー26a〜26fの変形方向を一方向に制限することにより、Tilt方向におけるミラー19の回動時にサスペンションワイヤー26a〜26fに生じる抗力を安定させることができ、よって、ミラー19を安定に駆動することができる。さらに、サスペンションワイヤー26a〜26fが、ミラー19から離れる方向に曲線状に張られているため、伸縮性を有さないサスペンションワイヤー26a〜26fを用いても、ミラー19をTilt方向に回動させることができる。
【0108】
また、本実施の形態では、図8(a)に示すように、サスペンションワイヤー固定基板15が可撓性を有し、サスペンションワイヤー固定基板15とミラーユニットフレーム11の間に所定の隙間を有しているため、伸縮性を有さないサスペンションワイヤー16a〜16dを用いても、ミラー19をPan方向に良好に回動させることができる。
【0109】
また、本実施の形態では、サスペンションワイヤー16a〜16dにより、パンコイル装着板12が隙間なく、軸受け17e、ポリスライダーワッシャ17fを介して、ミラーユニットフレーム11の上面に押し当てられるように構成されているため、パンコイル装着板12および支軸17は、支軸17の軸方向の移動が抑制され、ミラー19を安定して回動させることができる。これにより、ミラー19の背面に取り付けられたサーボ用のLED18の位置も安定し、精度よく、目標領域における走査レーザ光の走査位置を検出することができる。
【0110】
また、本実施の形態では、ミラーユニットフレーム11は、パンコイル装着板12によって押してられる上面が、他の部分と比べ、厚く構成されているため、ミラー19のPan方向の回動によって力が大きく加わっても、撓むことなく、安定してミラー19を回動させることができる。
【0111】
さらに、本実施の形態では、パンコイル装着板12は、摩擦力の小さいポリスライダーワッシャ17fを介してミラーユニットフレーム11に押し当てられているため、滑らかにミラー19を回動させることができる。
【0112】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0113】
たとえば、上記実施の形態では、合計10本のサスペンションワイヤー(サスペンションワイヤー16a〜16d、サスペンションワイヤー26a〜26f)が用いられたが、
サスペンションワイヤーの数がこれに限られるものではない。たとえば、上記実施の形態において、給電に用いられないサスペンションワイヤーをさらに配置しても良い。また、可動部にLED18を配置しない場合は、サスペンションワイヤー26b、26eを省略し、合計8本のサスペンションワイヤーを配置するようにしても良い。
【0114】
また、上記実施の形態では、断面が円形状のサスペンションワイヤーが用いられたが、これに替えて、断面が角形状のサスペンションワイヤーや板ばね等が用いられてもよい。このようにサスペンションワイヤーの断面形状を角形状または平板形状にすると、サスペンションワイヤーの曲がり方向を一方向に制限することができる。これにより、Tilt方向におけるミラー19の回動時に、サスペンションワイヤーを同じ方向に一様に湾曲させやすくなる。このため、サスペンションワイヤーに生じる抗力を安定させることができ、よって、ミラー19を安定に駆動することができる。たとえば、サスペンションワイヤー26a〜26fを所定の長さ、幅、厚みを有する平板形状の可撓性部材から構成する場合、可撓性部材の幅方向が、図1の左右方向となるように、可撓性部材が配置される。こうすると、Tilt方向におけるミラー19の回動時に、サスペンションワイヤーを前後方向に一様に湾曲させ易くなる。
【0115】
なお、このようにサスペンションワイヤー26a〜26fの形状を変更する場合、必ずしも全長に亘ってサスペンションワイヤー26a〜26fを角形状あるいは平板形状にする必要はなく、たとえば中央部分のみ等、一部の領域において、サスペンションワイヤー26a〜26fを角形状あるいは平板形状としても良い。
【0116】
この他、可動部に対して、安定的な抗力を与え、かつ導電性を有する部材であれば、サスペンションワイヤーに替えて、どのような部材を用いてもよい。
【0117】
また、上記実施の形態では、サーボ光を拡散発光するための光源として、拡散タイプ(広指向タイプ)のLED18が用いられたが、拡散タイプでないLEDが用いられるようにしても良い。この場合、拡散タイプでないLEDの光出射側には、光拡散作用を有する拡散レンズが配置されるようにしても良い。また、拡散タイプでないLEDが、光拡散作用を有するキャップにより覆われるようにしても良い。
【0118】
また、上記実施の形態では、ミラー19と一体的に駆動するLED18と、ミラーアクチュエータ1内に配されたピンホール板33と、PSD35によって、ミラー19の回動角度が検出された。しかしながら、これに限らず、ベース500に設置された半導体レーザとPSDによりミラーの回動角度が検出されるようにしても良い。すなわち、かかる半導体レーザから出射されミラー19により反射されたレーザ光が、かかるPSDにて受光されるようにしても良い。または、かかる半導体レーザから出射されミラー19と一体的に駆動する透過板を透過したレーザ光が、かかるPSDにて受光されるようにしても良い。
【0119】
また、上記実施の形態では、サスペンションワイヤー固定基板15に、サスペンションワイヤー26a〜26fの端部を固定するようにしたが、サスペンションワイヤー固定基板15を省略し、サスペンションワイヤー26a〜26fの端部を、ワイヤー孔11f〜11iにのみ固定するようにしても良い。この場合、ミラーユニットフレーム11の底面に、サスペンションワイヤー26a、26b、26d、26eとサスペンションワイヤー16a〜16dとを接続するための回路パターンが形成されても良い。
【0120】
また、上記実施の形態では、サスペンションワイヤー固定基板15の素材として、ガラスエポキシ樹脂を用いたが、可撓性を有する素材であれば、どのような素材であってもよい。
【0121】
また、上記実施の形態では、ミラー19をPan方向に回動させるための構成として、サスペンションワイヤー固定基板15のみが撓む構成としたが、図13(a)に示すように、サスペンションワイヤー固定基板15は撓まず、サスペンションワイヤー固定基板14a、14bと、基板装着部12c、12dが撓むように構成されてもよい。この場合、パンコイル装着板12は、たとえば、基板装着部12c、12dの部分のみが可撓性のある物質で構成される。これにより、上記実施の形態同様、伸縮しないサスペンションワイヤー16a〜16dを用いても、ミラー19をPan方向に回動させることができる。さらに、サスペンションワイヤー固定基板15およびサスペンションワイヤー固定基板14a、14b、基板装着部12c、12dの両方が撓むように構成されてもよい。なお、これらの場合においても、支軸17が移動しないよう、パンコイル装着板12がミラーユニットフレーム11に押し当てられる部分については、撓まないよう構成される方が望ましい。
【0122】
また、上記実施の形態では、ミラー19のPan方向の回動時において、サスペンションワイヤー固定基板15をミラーユニットフレーム11に近づく方向に撓ませるために、ミラーユニットフレーム11との間に所定の隙間を設けたが、図13(b)に示すように、ミラーユニットフレーム11のワイヤー孔11f、11gを有する内側2つの櫛歯を設けない構成としてもよい。これによっても、上記実施の形態同様、サスペンションワイヤー固定基板15を、ミラーユニットフレーム11に近づく方向に撓ませることができる。
【0123】
また、上記実施の形態では、支軸17の軸方向の移動を抑制し、ミラー19を安定して可動させるため、ミラーユニットフレーム11は、パンコイル装着板12に押し当てられる上面が、他の部分に比べて、厚く構成されたが、固い素材等を用いることにより、耐可撓性をもたせてもよい。なお、ミラーユニットフレーム11は、可動枠となるため、本実施の形態のように樹脂等を用いて、できるだけ軽量となる構成とするほうが望ましい。
【0124】
また、上記実施の形態では、パンコイル装着板12が、軸受け17e、ポリスライダーワッシャ17fを介して、ミラーユニットフレーム11の上面に押し当てられたが、ポリスライダーワッシャ17fが省略されても良く、あるいは、パンコイル装着板12がミラーユニットフレーム11の上面に直接押し当てられても良い。この場合、パンコイル装着板12がミラーユニットフレーム11に接触する面積が大きくなり、Pan方向の回動がやや鈍くなるものの、上記実施の形態同様、支軸17の軸方向の移動を抑制することができ、安定してミラー19を回動させることができる。
【0125】
さらに、上記実施の形態では、ミラーユニットフレーム11がTilt方向に回動し、このミラーユニットフレーム11に対してミラー19がPan方向に回動するように、ミラーアクチュエータ1が構成されたが、ミラーユニットフレーム11がPan方向に回動し、このミラーユニットフレーム11に対してミラー19がTilt方向に回動するように、ミラーアクチュエータ1が構成されても良い。
【0126】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 … ミラーアクチュエータ
11 … ミラーユニットフレーム(第1回動部)
11b… チルトコイル(第1コイル)
12、13 … パンコイル装着板(第2回動部)
12c、12d … 基板装着部(接続部)
13b… パンコイル(第2コイル)
14a、14b … サスペンションワイヤー固定基板(接続部)
15 … サスペンションワイヤー固定基板(固定具、接続部)
16a〜16d … サスペンションワイヤー(第2弾性部材)
17 … 支軸(第2回動軸、第2回動部)
17f… ポリスライダーワッシャ(摺接体)
19 … ミラー
20 … マグネットユニット(ベース)
22 … パンマグネット(磁石部)
23 … チルトマグネット(磁石部)
24 … 支軸(第1回動軸)
26a〜26f … サスペンションワイヤー(第1弾性部材)
P1〜P4 … 回路パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
第1回動軸について回動可能なように前記ベースに支持された第1回動部と、
前記第1回動軸に垂直な第2回動軸について回動可能なように前記第1回動部に支持された第2回動部と、
前記第2回動部に配されたミラーと、
前記第1回動部と共に回動する第1コイルと、
前記第2回動部と共に回動する第2コイルと、
前記第1コイルと前記第2コイルに磁界を与える磁石部と、
前記ベースと前記第1回動部とを連結するとともに可撓性および導電性を有する複数の第1弾性部材と、
前記第1回動部と前記第2回動部とを連結するとともに可撓性および導電性を有する複数の第2弾性部材と、
前記第1弾性部材と前記第1回動部との接合部の何れかと前記第2弾性部材と前記第1回動部との接合部の何れかとを接続するための回路パターンと、を備え、
前記回路パターンは、前記第2コイルに信号を供給するための前記第1弾性部材から前記第2コイルに信号を供給するための前記第2弾性部材に電流が流れるように設けられ、
前記第1コイルに信号を供給するための前記第1弾性部材の前記第1回動部側の端部に前記第1コイルが接続され、前記第2コイルに信号を供給するための前記第2弾性部材の前記第2回動部側の端部に前記第2コイルが接続される、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のミラーアクチュエータにおいて、
前記回路パターンは、前記第1弾性部材の一端と前記第2弾性部材の一端を前記第1回動部に固定するための固定具に形成されている、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のミラーアクチュエータにおいて、
前記第1弾性部材と前記第2弾性部材は、前記第2回動軸と並ぶように配置されている、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項4】
請求項3に記載のミラーアクチュエータにおいて、
前記第1弾性部材は、同じ方向に一様に湾曲するように配されている、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項5】
請求項3または4に記載のミラーアクチュエータにおいて、
前記ミラーが前記第2回動軸について回動するとき、前記第2弾性部材の両端が接続されている接続部のうち、少なくとも、一方が撓むように構成されている、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項6】
請求項3ないし5の何れか一項に記載のミラーアクチュエータにおいて、
前記第2回動部は、前記第2弾性部材を介して前記第1回動部に押し当てられるようにして接続されている、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項7】
請求項6に記載のミラーアクチュエータにおいて、
前記第1回動部は、前記第2回動部に押し当てられる部分が耐可撓性を有する、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のミラーアクチュエータにおいて、
前記第2回動軸に取り付けられる摺接体をさらに有し、
前記第2回動部は、前記摺接体を介して前記第1回動部に押し当てられるようにして接続されている、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載のミラーアクチュエータにおいて、
前記第1弾性部材と前記第2弾性部材は、サスペンションワイヤーである、
ことを特徴とするミラーアクチュエータ。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載のミラーアクチュエータと、
前記ミラーアクチュエータのミラーにレーザ光を供給するレーザ光源と、を備える、
ことを特徴とするビーム照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−145905(P2012−145905A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119781(P2011−119781)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】