説明

メディアコンバータシステム

【課題】 光通信システムにおいて、局側集線装置からの情報送信のみによって系統の状態を簡単且つ短時間に確認できるようにする。
【解決手段】 SNMPマネージャ7からの要求により、SNMPユニット3が局側メディアコンバータ2bへループバック試験を要求すると、局側メディアコンバータ2bは、TP5aからの信号の送受信を禁止して利用者側メディアコンバータ8へリクエストメッセージを送信する。利用者側メディアコンバータ8は、端末10との送受信を禁止して局側メディアコンバータ2aへループバック状態の確認メッセージを送信する。局側メディアコンバータ2aから利用者側メディアコンバータ8へ試験データを送信すると、利用者側メディアコンバータ8はMACアドレス機能に基づいて、試験データを折り返して局側メディアコンバータ2aへ返信する。試験が完了すると、SNMPユニット3に通知され、SNMPマネージャ7で確認される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信システムに関し、特に、電気信号−光信号の相互変換を行うメディアコンバータを含むメディアコンバータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】光通信システムを用いた高速通信網が普及し始めている。図3は、光通信システムが適用されたネットワークシステムの概念図である。集線装置51は、通信事業者側に設置され、この局側集線装置51には複数の局側メディアコンバータ52a、52b、52cが組み込まれている。これらの局側メディアコンバータ52a、52b、52cは、金属のツイストペア線(以下、TPと略す)53a、53b、53cによってLAN(Local Area Network)54に接続されている。また、局側メディアコンバータ52bは、光ケーブル56を介して遠隔地の利用者側に設置されたメディアコンバータ55と接続されている。さらに、利用者側メディアコンバータ55から利用者が操作するパソコンなどの端末57へはTP58によって接続されている。
【0003】尚、特に図示していないが、局側集線装置51における他の局側メディアコンバータ52a、52cなども同様に光ケーブルを介して利用者側のメディアコンバータと接続されている。このような構成によって、分散する複数の利用者側の端末57と集線装置51との間で光通信が行われ、各端末は集線装置51を介してLAN54に接続される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような構成の光通信システムにおいて、局側メディアコンバータ52bから利用者側メディアコンバータ55までは、局側である通信事業者の管理下にあるのが通例である。このような場合、通信会社が、局側メディアコンバータ52bから利用者側メディアコンバータ55まで信号が正常に送られているか等の動作チェックを行う必要がある。
【0005】しかしながら、システムを管理する通信事業者にしてみれば、利用者側のメディアコンバータが遠隔地に設置されているため、利用者側のメディアコンバータや光ケーブルの状態を容易に確認することができない。従って、光ケーブル56や利用者側メディアコンバータ55などが故障した場合、それぞれの現場に出向いて故障状況を確認しなければならならず、回線状況の確認作業や復旧作業に時間を要するという問題がある。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、局側の集線装置側から利用者側のメディアコンバータまでの通信経路の状態を簡単且つ短時間に確認することのできるメディアコンバータシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のメディアコンバータシステムは、光電変換により光通信を行うメディアコンバータシステムにおいて、光電変換処理を実行する複数のメディアコンバータを備え、複数のメディアコンバータの間で折り返し試験信号を送受信することにより、複数のメディアコンバータ間における通信機能の状態を確認するための構成(例えば後述する制御部24、データ生成部20、送信処理部21、受信処理部22、データ受信部23、切替スイッチ13、MACスイッチ39、データ受信部41、データ送信部43、制御部42、切替スイッチ33に相当する構成要素)を有することを特徴とする。
【0008】すなわち、本発明のメディアコンバータシステムによれば、例えば、局側メディアコンバータから遠隔地の利用者側メディアコンバータへ試験データを送信すると、自動的に、送信した試験データが局側メディアコンバータへ返信されてくる。これによって、局側メディアコンバータと利用者側メディアコンバータとを接続する光ケーブルや利用者側メディアコンバータなどで回線故障や装置故障などが生じた場合、わざわざ現場に出向かなくても故障状況を確認することができる。したがって、回線状況の確認作業や復旧作業などを迅速に行うことができる。
【0009】また、本発明のメディアコンバータシステムは、前記発明において、複数のメディアコンバータのうち、少なくとも、試験信号を折り返すメディアコンバータはMACアドレス識別機能を備え、複数のメディアコンバータの間で送受信される試験信号はMACフレームを備え、試験信号を折り返すメディアコンバータは、MACフレームに付与されたMACアドレス情報に基づいて、所定のメディアコンバータへ試験信号を折り返すことを特徴とする。尚、具体的な実施形態としては、試験信号を折り返すメディアコンバータにスイッチ機能を備えておき、MACフレームに付与されたMACアドレス情報に基づいてこのスイッチ機能を切り替え、試験信号を所定のメディアコンバータへ折り返すようにすればよい。
【0010】すなわち、本発明のメディアコンバータシステムによれば、例えば、局側メディアコンバータから遠隔地の利用者側メディアコンバータへMACアドレスを有する試験データを送信すると、アドレス情報に基づいて自動的にスイッチ機能が切り替えられ、送信した試験データが局側メディアコンバータへ返信されてくる。これにより、回線状況を迅速且つ正確に確認することができる。
【0011】また、本発明のメディアコンバータシステムは、前記発明において、試験信号の送信元となるメディアコンバータは、上位装置からの指示に基づいて試験信号を送信し、折り返された試験信号に基づく試験結果を上位装置に通知することを特徴とする。すなわち、本発明のメディアコンバータシステムによれば、メディアコンバータシステムの設置時や異常発生時において、上位装置であるSNMPマネージャからの要求によって、対向する利用者側メディアコンバータとの間で試験信号の折り返し通信を行い、各メディアコンバータや回線の状態を確認し、その結果をSNMPマネージャに通知することができる。
【0012】また、本発明のメディアコンバータシステムは、前記発明において、試験信号は、試験の予告を通知する予告信号と試験を実行するためのデータ信号とを含み、試験信号の送信元となるメディアコンバータは、予告信号の折り返し結果に基づいてデータ信号を送信し、折り返されたデータ信号に基づいて試験結果を判定することを特徴とする。すなわち、本発明のメディアコンバータシステムによれば、予告信号によって、予め、ループバック状態(信号の折り返し状態)を確立しておき、その後に試験を行うためのデータ信号を送信してこの信号を折り返せば、正確且つ無駄のない試験を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明におけるメディアコンバータシステムの実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係るメディアコンバータを適用したネットワークシステムの概念図である。同図において、局側集線装置1は、それぞれが電気信号−光信号の相互変換を行う複数の局側メディアコンバータ2a、2b、2c…と、ネットワーク管理プロトコル(Simple Network Management Protocol)であるSNMPユニット3と、各局側メディアコンバータ2a、2b、2c…が接続されたスイッチハブ(SW−HUB)4とによって構成されている。各局側メディアコンバータ2a、2b、2c…は、SW−HUB4を介して、LAN6に接続されている。SW−HUB4は、TP5aによってLAN6に接続されている。同様にSNMPユニット3もTP5bによってLAN6に接続されている。また、LAN6には、LAN内の全ての集線装置のSNMPユニットを集中的に管理するためのSNMPマネージャ7が接続されている。
【0014】一方、局側メディアコンバータ2bと利用者側メディアコンバータ8との間は光ケーブル9を介して接続されている。また、利用者側メディアコンバータ8と利用者が操作するパソコンなどの端末10との間はTP5cを介して接続されている。局側集線装置1の他の局側メディアコンバータ2a、2c…も同様に光ケーブルを介して利用者側に設置されたメディアコンバータと接続されている。
【0015】このような構成において、LAN6からTP5aによって局側メディアコンバータ2bへ伝送された電気信号は、局側メディアコンバータ2bにより光信号に変換されて光ケーブル9を介して利用者側メディアコンバータ8へ送信される。そして、利用者側メディアコンバータ8によって光信号が電気信号に変換された後に、TP5cを介して標準的なLANの接続手段であるイーサネット(登録商標)によって端末9へ伝送される。また、この逆のルートにおいても同様に、電気/光信号の相互変換処理が行われて信号伝送が行われる。これにより、局側メディアコンバータ2bと利用者側メディアコンバータ8との間で光通信が可能となる。
【0016】以下、この実施の形態の動作について、通信事業者の管理下にある通信経路の試験を行う場合を説明する。図1を参照して動作の概略を説明する。この試験は、先ず、局側から利用者側に試験データを送信して行われる。試験データを送信する場合、SNMPマネージャ7は、SNMPユニット3に対してループバック試験要求を発行する。すると、SNMPユニット3は局側メディアコンバータ2bに対してループバック試験を要求する。この要求を受けた局側メディアコンバータ2bでは、TP5aからの信号の送受信を禁止する。そして、局側メディアコンバータ2bから利用者側メディアコンバータ8へ、光ケーブル9を介して、光信号にてリクエストメッセージを送信する。利用者側メディアコンバータ8は、リクエストメッセージを受信すると端末10との送受信を禁止してループバック状態にする。
【0017】さらに、利用者側メディアコンバータ8から局側メディアコンバータ2aへ、光ケーブル9を介して、光信号にてループバック状態の確認メッセージを送信し、ループバック状態に入ったことを通知する。すると、局側メディアコンバータ2aから利用者側メディアコンバータ8へ、光ケーブル9を介して光信号にて試験データ信号を送信する。利用者側メディアコンバータ8はMACアドレス識別機能に基づいて、試験データを折り返して局側メディアコンバータ2aへ返信する。このようにして試験データの送受信が行われると、ループバック試験データの送信が停止されてループバック状態が解除される。そして、ループバック試験が完了したことがSNMPユニット3に通知され、SNMPマネージャ7にて試験結果が確認される。
【0018】図2は、本発明におけるメディアコンバータシステムの構成図であり、この図を用いてさらに詳細に説明する。つまり、この図2は、上述の図1におけるネットワークシステムにおける1系統の利用者側メディアコンバータと局側メディアコンバータの構成を示している。すなわち、局側メディアコンバータ11と利用者側メディアコンバータ31が光ケーブル30によって接続され、さらに、局側メディアコンバータ11はTPによってLANに接続され、利用者側メディアコンバータ31はTPによって端末に接続されている。また、局側メディアコンバータ11はSNMPユニットとの間で相互通信ができるように構成されている。
【0019】次に、構成について説明する。まず、局側メディアコンバータ11の構成を説明する。図2において、符号12は、LANとの間のTPを接続するためのコネクタ、符号13は、信号経路を通常の通信経路とテスト時の通信経路とに切換えるための切換スイッチである。符号14は、切換えスイッチ13側からの電気信号を受信して物理層レベルのプロトコルで処理を行うための100BASE-TX規格に準拠した受信処理部、符号15は、受信処理部14から受け取った信号を物理層レベルのプロトコルで処理して外部へ送信するための100BASE-FX規格に準拠した送信処理部である。符号16は、送信処理部15からの電気信号を光信号に変換するための電気/光変換部、
【0020】符号17は、利用者側メディアコンバータ31からの光信号を電気信号に変換するための光/電気変換部である。符号18は、光/電気変換部17からの電気信号を受信してして物理層レベルのプロトコルで処理を行うための100BASE-FX規格に準拠した受信処理部、符号19は、受信処理部18から受け取った電気信号を物理層レベルのプロトコルで処理して外部へ送信するための100BASE-TX規格に準拠した送信処理部である。
【0021】符号20は、テスト用のデータを生成するデータ生成部、符号21は、データ生成部20で生成されたデータを物理層レベルのプロトコルで処理して外部へ送信するための100BASE-TX規格に準拠した送信処理部、符号22は、テスト用のデータを受信して物理層レベルのプロトコルで処理を施す100BASE-TX規格に準拠した受信処理部である。符号23は、受信処理部20からデータを受信するデータ受信部、符号24は、局側メディアコンバータ11全体の制御機能と、SNMPユニット3との間で信号の受け渡しを行うSNMPインタフェース機能を有する制御部である。符号25は光ケーブル30を接続する光コネクタ25である。
【0022】次に、利用者側メディアコンバータ31の構成を説明する。図2において、符号32は、端末との間でTPを接続するためのコネクタ、符号33は、テスト時に信号経路を折り返すための切換スイッチであり、通常時には受信処理部34および送信処理部をコネクタ32に接続する。符号34は、切換スイッチ33からの信号を受信して物理層レベルのプロトコルで処理を行うための100BASE-TX規格に準拠した受信処理部、符号35は、受信処理部34から受け取った信号を物理層レベルのプロトコルで処理して外部へ送信するための100BASE-FX規格に準拠した送信処理部である。
【0023】符号36は、送信処理部35からの電気信号を光信号に変換するための電気/光変換部、符号37は、局側メディアコンバータ11からの光信号を電気信号に変換するための光/電気変換部である。符号38は、光/電気変換部37からの電気信号を受信して物理層レベルのプロトコルで処理を行うための100BASE-FX規格に準拠した受信処理部、符号39は、受け取った信号のアドレスを識別して信号の振り分けを行うMAC(メディアアクセスコントロール)スイッチ、符号40は、MACスイッチ39から受け取った信号を物理層レベルのプロトコルで処理して外部へ送信するための100BASE-TX規格に準拠した送信処理部である。
【0024】符号41は、MACスイッチ39からアドレスデータを受信するデータ受信部、符号42は、データ受信部41からのデータに基づいて切換スイッチ33の切換え制御を行う制御部、符号43は、制御部42からループバック試験の了解信号を受け取ってMACスイッチ39へ送信するデータ送信部、符号44は、利用者側メディアコンバータ31の各部へ供給する電圧を12Vから3.3Vに変換する電圧変換部である。尚、電圧変換部44への電力は、AC100Vを受電してDC12を生成するACアダプタ45によって供給されている。尚、図中の矢印は各信号の流れを示している。
【0025】次に、このように構成されたメディアコンバータシステムの動作について説明する。メディアコンバータシステムが正常状態にあるときは、端末からTPを通して送信される電気信号は、利用者側メディアコンバータ31のコネクタ32によって受信された後、切換スイッチ33と受信処理部34と送信処理部35を経由し、電気/光変換部36によって光信号に変換されて、光ケーブル8を介して局側メディアコンバータ11へ送信される。そして、局側メディアコンバータ11の光/電気変換部17によって電気信号に変換され、受信処理部18と送信処理部19と切換スイッチ13を経由し、TPを通してLANへ送信される。
【0026】一方、LANからTPを通して送信される電気信号も、コネクタ12で受信された後、切換スイッチ13と受信処理部14と送信処理部15を経由し、電気/光変換部16によって光信号に変換されて、光コネクタ25より光ケーブル30を介して利用者側メディアコンバータ31へ送信される。さらに、利用者側メディアコンバータ31において、光/電気変換部37によって電気信号に変換され、受信処理部38とMACスイッチ39と送信処理部40と切換スイッチ33を経由し、TPを通して利用者側の端末へ送信される。
【0027】次に、メディアコンバータシステムの各通信経路が正常かどうかを確認するためのループバック試験の方法を説明する。尚、本発明の実施の形態においては、ループバック試験中は通常のデータ通信は停止させるものとする。このループバック試験を行う場合、まず、図1に示すSNMPマネージャ7よりSNMPユニット3に対して、ループバック試験要求を発行する。この要求を受けたSNMPユニット3は、図2に示す局側メディアコンバータ11に対してループバック試験を要求する。
【0028】このループバック試験の要求を受けた制御部24は、局側メディアコンバータ11の切換スイッチ13を切り替えてLANが接続されているTPインタフェースからの送受信を禁止し、同時に、図示しないループバック完了タイマとループバック試験タイマを起動する。データ生成部20はループバックリクエスト(LB_req)信号を生成し、このループバックリクエスト(LB_req)信号は、送信処理部21−切換スイッチ13−受信処理部14−送信処理部15を経由して、電気/光変換部16によって光信号に変換され、光ケーブル8を介して、利用者側メディアコンバータ31へ送信される。
【0029】利用者側メディアコンバータ31がループバックリクエスト(LB_req)信号を受信すると、この信号は光/電気変換部37によって電気信号に変換されて受信処理部38よりMACスイッチ39へ送信される。すると、MACスイッチ39は、受信した電気信号のMACアドレスに基づいて信号の行き先を識別し、このループバックリクエスト(LB_req)信号をデータ受信部41へ送信する。データ受信部41は、受信したループバックリクエスト(LB_req)信号を制御部42へ送信する。制御部42は、受信したループバックリクエスト(LB_req)信号に基づいて切換スイッチ33を切り替え、端末9が接続されているTPインタフェースからの送受信を禁止し、回線をループバック状態にする。
【0030】回線がループバック状態に設定されると、利用者側メディアコンバータ31の制御部42は、ループバック状態の了解信号であるループバックアクノリッジ(LB_ack)信号を、データ送信部43を経由してMACスイッチ39へ送信する。MACスイッチ39は、ループバックアクノリッジ(LB_ack)信号のMACアドレスを識別し、送信処理部35を経由して、電気/光変換部36によって光信号に変換し、光ケーブル30より局側メディアコンバータ11へ送信してループバック状態に入ったことを通知する。また、このとき、利用者側メディアコンバータ31は図示しないループバック試験タイマを起動する。
【0031】つまり、局側メディアコンバータ11は、受信したループバックアクノリッジ(LB_ack)信号を光/電気変換部17によって電気信号に変換し、受信処理部18−送信処理部19−切換スイッチ13−受信処理部22を経由して、データ受信部23へ送信する。データ受信部23は、このループバックアクノリッジ(LB_ack)信号を制御部24へ通知する。これによって、局側メディアコンバータ11は利用者側メディアコンバータがループバック状態に入ったことを把握する。
【0032】次に、局側メディアコンバータ11のデータ生成部20は、ループバック試験用のデータであるループバックデータ(LB_data)信号を生成し、このループバックデータ(LB_data)信号が、送信処理部21−切換スイッチ13−受信処理部14−送信処理部15を経由して電気/光変換部16に送信されて光信号に変換された後、光ケーブル30を介して利用者側メディアコンバータ31へ送信される。
【0033】利用者側メディアコンバータ31は、ループバックデータ(LB_data)信号を受信すると、この信号は光/電気変換部37によって電気信号に変換され、受信処理部38よりMACスイッチ39へ送信される。すると、MACスイッチ39のアドレス識別機能によって受信信号の行き先が識別され、このループバックデータ(LB_data)信号は、送信処理部40を経由した後に切換スイッチ33で折り返えされる。そして、送信処理部34−受信処理部35を経由して、電気/光変換部36によって光信号に変換された後、光ケーブル30を介して、局側メディアコンバータ11へ返送される。
【0034】局側メディアコンバータ11は、利用者側メディアコンバータ側から受信したループバックデータ(LB_data)信号を光/電気変換部17によって電気信号に変換し、受信処理部18−送信処理部19−切換スイッチ13−受信処理部22を経由して、データ受信部23へ送信する。データ受信部23は、このループバックデータ(LB_data)信号を制御部24へ通知する。
【0035】次に、局側メディアコンバータ11のループバック試験タイマがタイムアップすると、データ生成部20はループバックデータ(LB_data)信号の生成を停止し、以降、ループバックデータ(LB_data)信号の送受信は停止される。また、利用者側メディアコンバータ31のループバック試験タイマもタイムアップし、ループバック状態が解除されて通常の通信状態にスタンバイされる。その後、局側メディアコンバータ11のループバック完了タイマがタイムアップして、ループバック試験状態が完了し、制御部24からSNMPユニットへループバック試験完了通知が送信される。図1に示すSNMPマネージャ7は、ループバック試験結果が正常であったか異常であったかなどの試験結果情報を、MIB(Management Information Base)情報として各SNMPユニットから取得する。
【0036】以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記の実施の形態におけるループバックリクエスト(LB_req)信号、ループバックアクノリッジ(LB_ack)信号、ループバックデータ(LB_data)信号の各信号が、MACアドレスを有するMACフレームの形態であれば、必ずしも上記実施の形態の信号ルートに限定されるものではない。また、宛先MACアドレスや送信先MACアドレス、あるいはその他のフィールドなどは、全て独立仕様としてもよい。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のメディアコンバータシステムによれば、SNMPマネージャからの指示に基づいて、局側メディアコンバータから遠隔地の利用者側メディアコンバータへMACアドレスを有する試験データを送信すると、通信経路に故障がなければ、送信した試験データが局側メディアコンバータへ返信されてくる。これによって、局側メディアコンバータと利用者側メディアコンバータとを接続する光ケーブルや利用者側メディアコンバータなどで回線故障や装置故障などが生じた場合、わざわざ現場に出向かなくても故障状況を確認することができる。したがって、回線状況の確認作業や復旧作業などを迅速に行うことができる。
【0038】また、本発明のメディアコンバータシステムによれば、対向するメディアコンバータ固有の情報、例えばそれぞれのメディアコンバータのMACアドレス情報などを必要としないため、個別機器の設定をする必要がなくなり、どの機器を組み合わせても使用することができる。さらに、対向するメディアコンバータのそれぞれのTPインタフェース部分で、外部ネットワークと切断されるため、折り返し試験用のデータに含まれるMACフレームが外部に漏れることはないので、セキュリティは充分に確保される。尚、本発明のメディアコンバータシステムではMACフレームを使用しているため、スイッチ機能を持ったメディアコンバータでも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明においてメディアコンバータを適用したネットワークシステムの概念図である。
【図2】 本発明におけるメディアコンバータシステムの構成図である。
【図3】 一般に適用されている光通信システムにおけるネットワークシステムの概念図である。
【符号の説明】
1…局側集線装置、2a,2b,2c,11…局側メディアコンバータ、3…SNMPユニット、4…スイッチハブ(SW−HUB)、5a,5b,5c…ツイストペア線(TP)、6…LAN、7…SNMPマネージャ、8,31…利用者側メディアコンバータ、9,30…光ケーブル、10…端末、12,32…コネクタ、13,33…切換スイッチ、14,18,22,34,38…受信処理部、15,19,21,35,40…送信処理部、16,36…電気/光変換部、17,37…光/電気変換部、20…データ生成部、23,41…データ受信部、24,42…制御部、25…光コネクタ、39…MACスイッチ、43…データ送信部、44…電圧変換部、45…ACアダプタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 光電変換により光通信を行うメディアコンバータシステムにおいて、光電変換処理を実行する複数のメディアコンバータを備え、前記複数のメディアコンバータの間で折り返し試験信号を送受信することにより、前記複数のメディアコンバータ間における通信機能の状態を確認するための構成を有することを特徴とするメディアコンバータシステム。
【請求項2】 前記複数のメディアコンバータのうち、少なくとも、試験信号を折り返すメディアコンバータはMACアドレス識別機能を備え、前記複数のメディアコンバータの間で送受信される試験信号はMACフレームを備え、試験信号を折り返すメディアコンバータは、前記MACフレームに付与されたMACアドレス情報に基づいて、所定のメディアコンバータへ試験信号を折り返すことを特徴とする請求項1に記載のメディアコンバータシステム。
【請求項3】 試験信号を折り返すメディアコンバータはスイッチ機能を備え、前記MACフレームに付与されたMACアドレス情報に基づいて前記スイッチ機能を切り替え、試験信号を所定のメディアコンバータへ折り返すことを特徴とする請求項2に記載のメディアコンバータシステム。
【請求項4】 試験信号の送信元となるメディアコンバータは、上位装置からの指示に基づいて試験信号を送信し、折り返された試験信号に基づく試験結果を前記上位装置に通知することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のメディアコンバータシステム。
【請求項5】 前記試験信号は、試験の予告を通知する予告信号と、試験を実行するためのデータ信号とを含み、試験信号の送信元となるメディアコンバータは、前記予告信号の折り返し結果に基づいて前記データ信号を送信し、折り返されたデータ信号に基づいて試験結果を判定することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のメディアコンバータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2002−261705(P2002−261705A)
【公開日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−55960(P2001−55960)
【出願日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】