メモリーカード用コネクタ
【課題】ケースを大型化することなく、簡単な構成で確実に不適合メモリーカードの挿入を排除できるメモリーカード用コネクタを提供する。
【解決手段】カード収容部を遮断する遮断位置と開放位置との間で回動自在にケースに支持されたシャッターと、カード収容部の内底面若しくは内頂面からメモリーカードの挿入方向に向かって対向する内頂面若しくは内底面に傾斜する傾斜面を有する2枚の板バネ片とを備え、自由状態の板バネ片の第1係合部に遮断位置にあるシャッターの第2係合部が係合する。2枚の板バネ片の各傾斜面の間隔と、第2係合部のカード収容部内の高さは、適合メモリーカードより薄く若しくは横幅が狭い不適合メモリーカードが挿入された場合に、少なくとも2枚の板バネ片のいずれかが応動せず、第1係合部と第2係合部の係合が外れないように設定され、これにより不適合メモリーカードは、回動がロックされたシャッターによって内方へ挿入できない。
【解決手段】カード収容部を遮断する遮断位置と開放位置との間で回動自在にケースに支持されたシャッターと、カード収容部の内底面若しくは内頂面からメモリーカードの挿入方向に向かって対向する内頂面若しくは内底面に傾斜する傾斜面を有する2枚の板バネ片とを備え、自由状態の板バネ片の第1係合部に遮断位置にあるシャッターの第2係合部が係合する。2枚の板バネ片の各傾斜面の間隔と、第2係合部のカード収容部内の高さは、適合メモリーカードより薄く若しくは横幅が狭い不適合メモリーカードが挿入された場合に、少なくとも2枚の板バネ片のいずれかが応動せず、第1係合部と第2係合部の係合が外れないように設定され、これにより不適合メモリーカードは、回動がロックされたシャッターによって内方へ挿入できない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリーカードが挿入されていない間にカード収容部の開口を覆うシャッターを備えたメモリーカード用コネクタに関し、更に詳しくは、不適合なメモリーカードのカード収容部への挿入をシャッターにより規制するメモリーカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメモリーカード用コネクタには、メモリーカードを挿入するカード収容部の開口近傍にシャッターが取り付けられ、メモリーカードが挿入されていない間は、シャッターでその開口近傍を遮断し、外部からカード収容部内への塵埃の侵入を防止している。このシャッターは、メモリーカードをカード収容部内に挿入される際の障害とならないように、カード収容部を挟む両側のケースに回動自在に支持されている。
【0003】
一方、このシャッターの回動をロックするロック機構を設けて、大きさや挿入方向の異なる適合外のメモリーカードの挿入をシャッターで排除するメモリーカード用コネクタ100が知られている(特許文献1)。以下、この従来のメモリーカード用コネクタ100を図14乃至図16を用いて説明する。
【0004】
メモリーカード用コネクタ100は、図16に示す大型のSDカード等のメモリーカードを適合メモリーカード10としてカード収容部101内に収容し、適合メモリーカード10の背面に露出する導電パッド12、12・・へカード収容部101に突出するコンタクト102、102・・を接続させるコネクタである。適合メモリーカード10の挿入方向の前方右側(図16では前方左側)には、コネクタ側で適合メモリーカード10の挿入を判別するための傾斜面10aが形成されている。従って、傾斜面10aが形成される部位の導電パッド12aは、他の導電パッド12よりやや後方(図16において下方)に露出し、その導電パッド12aと電気接続するコンタクト102aは、カード収容部101の後方(図14において右方)に突出して配置されている。
【0005】
カード収容部101の開口側となる後方に、シャッター103が掛け渡されている。シャッター103は、カード収容部101と直交する方向に配置される細長板状の連結部103aと、連結部103aの両側に形成された矩形状の係合部103bと、係合部103bの下方で連結部103aの両側にクランク状に連設された円柱状の軸部103cとから構成されている。円柱状の軸部103cは、カード収容部101を形成するケースの側壁104に回転自在に支持され、軸部103cに巻装されたねじりコイルバネ(図示せず)により、シャッター103は、軸部103c回りで一方向に回転するように付勢されている。
【0006】
また、カード収容部101の後方の両側壁104、104に沿って、一対のロックバネ片105が配置されてる。ロックバネ片105は、前端が側壁104に固定され、自由状態で、後方の内向きに湾曲する検知部105aがカード収容部101の開口近傍に突出している。シャッター103の係合部103bと対向するロックバネ片105の部位には、長方形の係合孔105bが穿設され、検知部105aがカード収容部101内に突出する状態で、図15に示すように、矩形状の係合部103bが長方形の係合孔105bに挿通し、連結部103aがカード収容部101を遮断しているシャッター103の軸部103a回りの回転をロックしている。
【0007】
一方、ロックバネ片105は、検知部105aがカード収容部101へ挿入するメモリーカードにより押圧されると前端を中心に外側に回転し、検知部105aがカード収容部101から退避したときに、係合孔105bがシャッター103の係合部103aから外れる。カード収容部101の横幅は、適合メモリーカード10を遊嵌する横幅となっているので、カード収容部101へ適合メモリーカード10を前方に挿入すると、左右両側のロックバネ片105が外側に回転し、各係合孔105bとシャッター103の係合部103aとの係合が外れる。これにより、シャッター103は軸部103a回りで回転自在となり、適合メモリーカード10をコンタクト102、102・・と接続する接続位置まで挿入可能となる。
【0008】
これに対して、カード収容部101に挿入可能な大きさであるが、適合メモリーカード10より小型で横幅が短い不適合メモリーカード10’をカード収容部101へ挿入しようとすると、左右一対のロックバネ片105の検知部105aを同時に押圧して外側へ回転させることができないので、少なくとも一方の係合孔105bと係合部103bとの係合は外れず、シャッター103は、連結部103aがカード収容部101を遮断したまま回転が規制される。これにより、不適合メモリーカード10’の挿入が排除される。
【特許文献1】特開2007−165011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のメモリーカード用コネクタ100は、挿入されるメモリーカードの横幅から適合メモリーカード10を判別するので、カード収容部101の側方にシャッター103の回転をロックするロックバネ片105の検知部105aを配置する必要があり、ケース104が大型化し、鉛直方向(図14の紙面に直交方向)にプリント配線基板へ実装する実装面積が拡大し、高密度実装の障害となっていた。
【0010】
また、シャッター103の回転をロックするために、ロックバネ片105を別に用意してケース104に組み付ける必要があり、部品点数が増加するとともに余分な組み立て工程も加わるものとなった。
【0011】
更に、図16に示すメモリーカードを適合メモリーカード10とするメモリーカード用コネクタ100では、挿入方向の前方右側に傾斜面10aが形成されているので、導電パッド12を下面側とした適合メモリーカード10を挿入した場合に、左側(図14の下方側)の検知部105aがカード収容部101から退避して係合孔105bと係合部103bとの係合が外れても、右側の検知部105aは、適合メモリーカード10の側面に当接せず、係合孔105bと係合部103bとの係合は解除されない。その結果、右側の検知部105aが退避する前に、回転がロックされたシャッター103へ適合メモリーカード10の前端が当接することとなり、右側の検知部105aがカード収容部101から退避してシャッター103が回転自在の状態となってもシャッター103が回転しないといういわゆる「メモリーカードのくいつき」が発生する。そこで、傾斜面10a側の側面で応動する検知部105aが退避するまで、適合メモリーカード10の前面がシャッター103に当接しないように、左側の検知部105aとシャッター103との前後方向の間隔を図16のL2以上とする必要があり、そのためにケース104の前後方向の大きさも拡大することとなった。
【0012】
更に、前後方向の挿入方向に対して、適合メモリーカード10を斜めに挿入した場合にも、一方の検知部105aが押圧されずに、「メモリーカードのくいつき」が発生してシャッター103が回転せず、挿入できないという問題があった。
【0013】
逆に、上述のメモリーカード用コネクタ100は、挿入されるメモリーカードの横幅から適合メモリーカード10を判別するので、適合メモリーカード10より薄い不適合メモリーカード10’が挿入されても、左右一対のロックバネ片105の検知部105aが応動してシャッター103が回転自在となり、不適合メモリーカード10’の挿入を排除できないという問題があった。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、ケースを大型化することなく、簡単な構成で確実に不適合メモリーカードの挿入を排除できるメモリーカード用コネクタを提供することを目的とする。
【0015】
また、挿入するメモリーカードの横幅と厚さから不適合メモリーカードを判別してその挿入を排除できるメモリーカード用コネクタを提供することを目的とする。
【0016】
更に、適合メモリーカードを挿入方向に対して傾斜させて挿入しても、シャッターが回転し、挿入可能となるメモリーカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、後面に開口する開口部から前方に向かって挿入される適合メモリーカードを収容するカード収容部が形成されたケースと、カード収容部内の前方に突出するように互いに絶縁してケースに取り付けられ、カード収容部に収容された適合メモリーカードに接続する複数のコンタクト片と、ケースに枢支され、複数のコンタクト片の後方のカード収容部内で、適合メモリーカードの前方への挿入を遮断する遮断位置と、適合メモリーカードの前方への挿入を可能とする開放位置との間で回動するシャッターと、遮断位置でシャッターの回動をロックするロック機構とを備えたメモリーカード用コネクタであって、ロック機構は、シャッターの開口部寄りで、シャッターの回動軸と平行なカード収容部の内底面若しくは内頂面から前方に向かって対向する内頂面若しくは内底面に傾斜する傾斜面を有する2枚の板バネ片と、各板バネ片の前記傾斜面の前方に形成される第1係合部と、各板バネ片の第1係合部の移動軌跡上のシャッターの部位に形成され、シャッターが遮断位置にあるときに、自由状態の各板バネ片の第1係合部と係合し、シャッターの回動が規制される第2係合部とから構成され、2枚の板バネ片の傾斜面は、適合メモリーカードがカード収容部に挿入された場合に、2枚の各板バネ片の第1係合部と第2係合部との係合が解除され、適合メモリーカードより横幅が狭い不適合メモリーカードが挿入された場合に、少なくとも一方の板バネ片の第1係合部と第2係合部との係合が解除されない間隔でカード収容部内に臨み、
第2係合部のカード収容部内の高さは、適合メモリーカードがカード収容部に挿入された場合に、第1係合部との係合が解除され、適合メモリーカードの厚みより薄い不適合メモリーカードが挿入された場合に、第1係合部との係合が解除されない高さであるメモリーカード用コネクタを最も主要な特徴とする。
【0018】
シャッターが遮断位置にあるときに、板バネ片の第2係合部は、適合メモリーカードの挿入によって第1係合部との係合が解除されるカード収容部内の高さにあるので、適合メモリーカードをカード収容部の前方へ挿入すると、板バネ片の傾斜面に当接して第1係合部と第2係合部との係合が解かれる。また、2枚の板バネ片の傾斜面は、適合メモリーカードの挿入によって、いずれの板バネ片の第1係合部も第2係合部との係合が解かれる間隔でカード収容部に臨むので、全ての第1係合部と第2係合部の係合が解除され、シャッターが開放位置まで回転し、シャッターを越えて適合メモリーカードは前方へ挿入可能となる。
【0019】
一方、適合メモリーカードより厚みが薄い不適合メモリーカードは、カード収容部へ挿入しても板バネ片の傾斜面に当接せず、若しくは当接しても第2係合部から第1係合部を解除させるほどの厚みがないので、シャッターは遮断位置でその回動が規制され、前方へ挿入できない。また、適合メモリーカードより横幅が狭い不適合メモリーカードは、カード収容部へ挿入しても2枚の板バネ片の傾斜面に同時に当接せず、一方の板バネ片の第1係合部が第2係合部に係合した状態となるので、シャッターは遮断位置でその回動が規制され、前方へ挿入できない。
【0020】
また、請求項2に記載の発明は、ケースが、絶縁ケース本体と、絶縁ケース本体の上面を覆い、絶縁ケース本体との間にカード収容部が形成される導電性金属板からなるカバーで構成され、2枚の板バネ片は、カバーの一部が切り欠かれ、切り欠かれた内側がカード収容部の内頂面から下方に傾斜して傾斜面が形成されることを特徴とする。
【0021】
導電性金属板からなるカバーの一部を切り欠いて、その内側を下方へ折り曲げて、カード収容部内に臨ませるだけで、内頂面から前方に向かって下方に傾斜する傾斜面を有する板バネ片が形成される。
【0022】
また、請求項3に記載の発明は、板バネ片が、第1係合部が形成される前端部から斜め後方に向かって左右に逆V字状に分岐する二股の分岐片を有し、二股の各分岐片の上面若しくは下面が前記傾斜面となっていることを特徴とする。
【0023】
板バネ片は、斜め後方に向かって左右二股に逆V字状に分岐する二股の分岐片を有し、二股の各分岐片の上面若しくは下面が前記傾斜面となっているので、前後方向の挿入方向に対して傾斜して適合メモリーカードが挿入されても、その挿入方向に近い二股のいずれかの傾斜面に沿って適合メモリーカードが当接し、その傾斜面の前端部に形成された第1係合部が第2係合部から離れる方向に移動して第2係合部との係合が解かれる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明は、逆V字状に分岐する二股の一方の分岐片を、斜め前方に向かって左右にV字状に分岐する二股の一方の分岐片として、逆V字状に分岐する二股の分岐片にV字状に分岐する二股の他方の分岐片を連設し、該連設した分岐片の前端部に、逆V字状の前端部に形成される第1係合部と異なる第1係合部を形成することを特徴とする。
【0025】
板バネ片の逆V字状の前端部と、V字状に分岐する二股の他方の分岐片の前端部の2カ所にシャッターの第2係合部と係合する第1係合部が形成される。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、横幅の他、厚さが適合メモリーカードより薄い不適合メモリーカードのカード収容部内への挿入も、シャッターを遮断位置で回動をロックすることにより排除できる。
【0027】
また、遮断位置にあるシャッターの回動をロックするロック機構をカード収容部の側方に形成せず、カード収容部の内底面若しくは内頂面側のケースに形成するので、ロック機構によってケースの鉛直方向の面積が拡大せず、プリント配線基板への実装面積が拡大しない。
【0028】
挿入方向の前面に傾斜面を有するメモリーカードが適合メモリーカードであっても、2枚の板バネ片の各傾斜面は、適合メモリーカードの上面若しくは下面が当接して上下方向に退避するので、適合メモリーカードの両側面でロック機構の検知部が退避する従来のコネクタに比べて、各傾斜面間の前後方向の間隔を短くすることが可能となり、ケースの前後方向の大きさを縮小できる。
【0029】
請求項2の発明によれば、新たな部品を用いずに、ケースの上面を覆うカバーから傾斜面を有する板バネ片を形成することができる。
【0030】
カバーは、導電性金属板で形成されるので、その一部を接地することにより、カード収容部内の適合メモリーカードやコンタクトを外部からシールドすることができ、また、金属板であるので、プレス成形により、板バネ片や板バネ片の第1係合部を容易に加工できる。
【0031】
請求項3の発明によれば、、前後方向の挿入方向に対して傾斜して適合メモリーカードが挿入されても、その挿入方向に近い二股の分岐片のいずれかの傾斜面に沿って適合メモリーカードが当接して板バネ片の全体が応動するので、板バネ片に傾斜した方向から適合メモリーカードが当接することによるねじり応力が発生しにくい。特に、適合メモリーカードのカード収容部への挿抜力を低下させるために、2枚の板バネ片は厚みを薄くして板バネ片による接触圧を低下させるので、薄肉でねじれ強度が低下した板バネ片であっても、捻れ応力による塑性変形が生じない。
【0032】
請求項4の発明によれば、一枚の板バネ片にシャッターの第2係合部と係合する第1係合部が2カ所に形成されるので、自由状態でシャッターの回動をロックするロック強度が増す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願発明の一実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1に適合メモリーカード10を挿入する状態を斜め前方の上方からみた斜視図である。
【図2】ケース本体2とカバー3の分解斜視図である。
【図3】カバー3の平面図である。
【図4】カバー3の正面図である。
【図5】ねじりコイルバネ7を取り付けたシャッター4の斜め後方からみた斜視図である。
【図6】シャッター4とシャッター4を回動自在に支持するケース本体2を斜め前方からみた要部斜視図である。
【図7】メモリーカード用コネクタ1の要部斜視図である。
【図8】自由状態の板バネ片8がシャッター4と係合する状態を示す要部断面図である。
【図9】適合メモリーカード10が板バネ片8に当接する状態を示す要部断面図である。
【図10】適合メモリーカード10をカード収容部6へ挿入する状態を示す斜視図である。
【図11】不適合メモリーカード10’がシャッター4に当接する状態を示す要部断面図である。
【図12】本願発明の他の実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ20と適合メモリーカード10を斜め前方の上方からみた斜視図である。
【図13】メモリーカード用コネクタ20のカバー21の平面図である。
【図14】従来のメモリーカード用コネクタ100を、カバーを除いて示す平面図である。
【図15】従来のメモリーカード用コネクタ100の要部斜視図である。
【図16】適合メモリーカード10の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1を図1乃至図11を用いて説明する。メモリーカード用コネクタ1の各部の説明は、図3の上下方向を前後方向と、左右方向を左右方向と、図4の上下方向を上下方向として説明する。このメモリーカード用コネクタ1のケース30は、図2に示すように、後方を除く周辺に沿った左右の側壁2L、2Rと前壁2Fにより、その内側に凹部が形成されたケース本体2と、ケース本体2の上面に沿って組み立付けられる導電性の金属カバー3とから構成され、金属カバー3がケース本体2の凹部を上方から覆うことにより、その間にケース30の後面に開口部6aが開口し、適合メモリーカード10を収容するカード収容部6が形成される。すなわち、このメモリーカード用コネクタ1に接続するメモリーカードは、図16に示す適合メモリーカード10であり、カード収容部6の左右方向の幅と奥行き及び上下方向の高さは、適合メモリーカード10を遊嵌する大きさとなっている。
【0035】
ケース本体2は、絶縁性合成樹脂で成形され、ケース本体2の成形の際に前壁2Fを挿通して前後方向に多数のコンタクト5がインサート成形で一体に取り付けられている。各コンタクト5の後方の接触部は、カード収容部6内に突出し、カード収容部6に挿入される適合メモリーカード10の導電パッド12に接触する。図16に示すように、各コンタクト5のうち、適合メモリーカード10の傾斜面10a後方に露出する導電パッド12aに接触するコンタクト5aは、他のコンタクト5よりわずかに後方位置でその接触部がコンタクト収容部6内に臨むように取り付けられている。
【0036】
ケース本体2の前方の左右の側壁2L、2R間には、コンタクト5の接触部の前後で摺動自在の排出板13が掛け渡され、この排出板13は、ケース本体2の右枠部内に装着された圧縮バネ14により後方に付勢されるとともに、その前方の右枠部内に形成されたハートカム溝に先端が係合するリンクが回動自在に連結されることにより、周知のプッシュ−プッシュ型イジェクト機構が構成される。すなわち、カード収容部6の前方へ挿入する適合メモリーカード10は、排出板13に当接し、圧縮バネ14に抗して更に前方へ挿入すると、リンクがハートカム溝のロック位置に係合し、排出板13はロック位置で位置決めされ、適合メモリーカード10はコンタクト5に接続した状態で挿入力を解除しても保持される。また、この状態から更に適合メモリーカード10を押し込むと、リンクがハートカム溝のロック位置から外れ、圧縮バネ14により付勢され排出板13によって適合メモリーカード10がカード収容部6から排出される。
【0037】
ケース本体2の左右の側壁2L、2R間の更に後方のカード収容部6の開口近傍には、シャッター4が回動自在に掛け渡されている。シャッター4は、図5、図6に示すように、カード収容部6を遮断する細長帯状に形成された遮断板4aと、遮断板4aの長手方向の両端からわずかに下方に偏倚した位置に一体に連設された断面U字状の枢軸4b、4bと、後述する2枚の板バネ片8の各係合孔8aに対応して、その下方の遮断板4aの部位から係合孔8aに向けて立設された一対の係合板部4c、4cとを備えている。
【0038】
シャッター4の右側の枢軸4bは、ねじりコイルバネ7の螺旋状巻回部7aを挿通し、ねじりコイルバネ7の外側の一端部7bは螺旋状巻回部7aの径方向に沿って直線状に突出し、内側の他端部7cは、クランク状に折り曲げられ遮断板4aの前面に当接している。
【0039】
シャッター4が掛け渡される左右の側壁2L、2Rには、枢軸4b、4bを回動自在に支持する軸受孔9が側壁2L、2Rを貫通して穿設されている。このうち、側壁2Rに穿設された軸受孔9には、図6に示すように、ねじりコイルバネ7が取り付けられた枢軸4bが挿通されるもので、軸受孔9に螺旋状巻回部7aと枢軸4bが遊挿されるとともに、軸受孔9から側壁2Rの上面に連通する細溝9aに組み立て時にトルクを加えたねじりコイルバネ7の一端部7bが位置決め収容される。これにより、シャッター4は、枢軸4b、4b回りで回動自在にケース本体2に支持されるとともに、ねじりコイルバネ7によって、右方向にみて時計回り(以下、この方向を時計回りという)に回転するように付勢される。
【0040】
また、シャッター4の遮断板4aの右端は、後方に直角に折り曲げられたストッパー片4dとなっていて、ねじりコイルバネ7により時計回りに回転するように付勢されたシャッター4は、側壁2Rの軸受孔9近傍で前方に面する内壁面2a(図6参照)にストッパー片4dが当接し、その回転が規制される。内壁面2aにストッパー片4dが当接したシャッター4は、遮断板4aが鉛直面に沿って起立し、カード収容部6を遮断するものとなる。この状態で、シャッター4の係合板部4cのカード収容部6内底面からの高さは、適合メモリーカード10の厚さより低い高さhとなっている。鉛直面に沿って起立する遮断板4aに、コイルバネ7のトルクに抗して前方に向かって押圧力を加えると、シャッター4は、軸受孔9、9を中心に反時計回りに回転する。従って、カード収容部6の前方へ挿入する適合メモリーカード10がシャッター4の遮断板4aに当接すると、遮断板4aは反時計回りに回転し、遮断板4aを乗り越えて更にカード収容部6の前方へ挿入可能となる。
【0041】
金属カバー3は、図2乃至図4に示すように、長方形状の導電性金属板の左右両側を、ケース本体2の左右の側壁2L、2Rを外側から囲うように折り曲げて、ケース本体2の凹部を覆うように取り付けられるもので、その前方の平面が、右方に向かってU字状に切り欠かれて形成される誤挿入防止片15と、後方の開口近くの平面の2カ所の位置が、前方に向かって逆V字状に切り起こされて形成される2枚の板バネ片8、8とを、一体に備えている。
【0042】
誤挿入防止片15は、図3に示すように、金属カバー3平面の中央側を基端15aとして右方に向けて一体に片持ち支持され、鉛直方向に見たその後方側辺15bは左右方向と平行で、適合メモリーカード10の挿入方向に直交している。また、誤挿入防止片15は、中央付近で斜め下方に折り曲げられ、斜め下方に傾斜する中央から自由端側は、カード収容部6内で、適合メモリーカード10の傾斜面10aがカード収容部6内を移動する移動軌跡を横切るように臨んでいる。これにより、通常の姿勢で挿入される適合メモリーカード10は、傾斜面10aの上端が誤挿入防止片15の後方側面の下端に当接する。
【0043】
誤挿入防止片15が右方に向かって下方に傾斜しているのに対し、適合メモリーカード10の傾斜面10aは、右方に向かって後方に傾斜するので、適合メモリーカード10の前方への移動にともない、当接位置は誤挿入防止片15の後方側面に沿って自由端側(右方)に移動する。誤挿入防止片15に当接する傾斜面10aの内底面からの高さは変わらないので、当接位置の高さは変化せず、誤挿入防止片15はカード収容部6から退避する上方へ押し上げられる。一方、傾斜面10aが右前方にない誤った姿勢で挿入される適合メモリーカード10は、誤挿入防止片15との当接面が誤挿入防止片15の後方側面と平行な面であるので、当接位置が変化せず、上方に退避することのない誤挿入防止片15によりその前方への挿入が規制される。
【0044】
尚、自由端が斜め下方に折り曲げられた誤挿入防止片15は、その自由端が最も下方の位置でカード収容部6内に臨むが、ここでは、少なくとも自由端のカード収容部6の内底面からの高さは、シャッター4の係合板部4cの高さh以下となっている。これにより、シャッター4を回動させて挿入される厚さがh以上の適合メモリーカード10は、その挿入姿勢にかかわらず確実に誤挿入防止片15に当接し、正しい挿入姿勢の適合メモリーカード10のみが更に挿入可能となる。
【0045】
金属カバー3から切り起こされる板バネ片8は、前端部から斜め後方に向かって左右二股に分岐片8b、8bが分岐することにより前方に向かって逆V字状に形成され、その逆V字状の輪郭に沿った周囲の金属カバー3が、分岐片8b、8bの後端を残して切り欠かれ、分岐片8b、8bの各後端を基端として前方に片持ち支持される。板バネ片8は、その基端で、前方に向かって斜め下方に折り曲げられ、図8に示すように、折り曲げられることにより最下端となる前端部に、シャッター4の係合板部4cが挿通して係合する係合孔8aが穿設されている。すなわち、シャッター4の係合板部4cは、板バネ片8の係合孔8aの下方となる位置に立設され、基端から前方に向かって斜め下方に折り曲げたられた板バネ片8に外力が加わらない自由状態で、図8に示すように、下方に傾斜する板バネ片8の前端部にある係合孔8aに係合板部4cが挿通するように構成される。
【0046】
自由状態でカード収容部6の内底面より高さhのシャッター4の係合板部4cが挿通する係合孔8aの高さは、少なくとも高さhより低いので、高さhより厚い適合メモリーカード10が挿入されると、一枚の板バネ片8の左右斜めに分岐する分岐片8b、8bの下面に当接し、その前端部にある係合孔8aを押し上げる。本実施の形態では、分岐片8b、8bの下面が、前後方向の挿入方向に対して左右に傾斜しているので、適合メモリーカード10をカード収容部6に斜めに挿入しても、その挿入方向に接近する左右いずれかの分岐片8b、8bの下面に当接して板バネ片4の全体が上方に応動し、板バネ片8に適合メモリーカード10が斜めに当接して捻り塑性変形を起こすことがない。
【0047】
上述の板バネ片8は、図3、図7に示すように、2枚の板バネ片8、8が、金属カバー3の平面の後方に、左右に隔てて形成される。従って、各板バネ片8、8の係合孔8aの下方の2カ所のシャッター4の部位に、係合板部4cが形成される。2枚の板バネ片8、8の左右方向の間隔は、適合メモリーカード10をカード収容部6に挿入したときに、いずれの板バネ片8、8の係合孔8aも上方に退避し、対応する係合板部4cとの係合が外れる間隔となっている。すなわち、適合メモリーカード10が当接する一方の板バネ片8の分岐片8bと他方の板バネ片8の分岐片8bの左右の間隔が、少なくとも適合メモリーカード10の幅より狭い間隔となる位置に板バネ片8、8が形成される。
【0048】
次に、このように構成されたメモリーカード用コネクタ1に、適合メモリーカード10と適合メモリーカード10と異なる形状の不適合メモリーカード10を挿入する場合について説明する。カード収容部6にメモリーカードを収容していない待機状態では、ねじりコイルバネ7により時計回りに付勢されたシャッター4は、ストッパー片4dがケース本体2の内壁面2aに当接し、遮断板4aが鉛直方向に起立した状態で位置決めされているので、起立する遮断板4aによりカード収容部6の開口付近が覆われ、カード収容部6内への埃の進入が防止されている。また、この待機状態では、各板バネ片8、8にも外力が加わらない自由状態にあり、図8に示すように、各板バネ片8の係合孔8aに対応する係合板部4cが挿通している。
【0049】
この待機状態のメモリーカード用コネクタ1に、適合メモリーカード10を傾斜面10aが前方右側となった正しい姿勢でカード収容部6へ挿入すると、左右2枚の板バネ片8、8の分岐片8bの下面に適合メモリーカード10の前端が当接する。係合板部4cの高さhより厚い適合メモリーカード10の前方への挿入により、左右双方の板バネ片8、8の各係合孔8aが、図9に示すように上方に退避し、係合板部4cとの係合が外れる。シャッター4は、2カ所の各係合板部4cでの係合が外れるので、枢軸4b回りに回動自在となる。
【0050】
ここで、適合メモリーカード10には、前方の右側に傾斜面10aが存在するので、右側の板バネ片8の応動が遅れるが、適合メモリーカード10の傾斜面10aの上端に当接して応動するので、図16に示すように、左側の板バネ片8が当接する前端との距離はL1は、側面で応動するL2より短く、適合メモリーカード10の前端がシャッター4に当接する前に、右側の板バネ片8の係合孔8aと係合板部4cとの係合が外れ、シャッター4は回動自在となる。
【0051】
従って、シャッター4に当接した適合メモリーカード10は、ねじりコイルバネ7のトルクに抗して遮断板4aを反時計回りに回動させることにより、更に前方へ挿入可能となり、カード収容部6の内底面まで回転させた遮断板4aを乗り越えて、前端右側の傾斜面10aが誤挿入防止片15に当接する図10に示す当接位置まで挿入される。
【0052】
誤挿入防止片15は、その後方側面に右方に向かって後方に傾斜する傾斜面10aが当接すると、カード収容部6から退避する上方へ押し上げられるので、適合メモリーカード10は、更に、各導電パッド12がコンタクト5に接触する接続位置まで挿入される。この状態で、前方への挿入力を解いても、上述のプッシュ−プッシュ型イジェクト機構により、適合メモリーカード10はその接続位置に保持される。
【0053】
適合メモリーカード10をカード収容部6から排出する場合には、接続位置から更に適合メモリーカード10を押し込むと、圧縮バネ14により後方へ付勢される排出板13により適合メモリーカード10がカード収容部6から排出される。適合メモリーカード10が排出されることにより、ねじりコイルバネ7により付勢されたシャッター4は、ストッパー片4dが内壁面2aに当接するまで時計回りに回転し、係合板部4cは上方に突出し、遮断板4aが起立する待機状態に復帰する。その後、板バネ片8、8も外力が加わわらない自由状態となるので、その前端部の係合孔8aが下降して係合板部4cと係合し、シャッター4の回転は再びロックされる。
【0054】
次に、メモリーカード用コネクタ1のカード収容部6には挿入可能な大きさであるが、適合メモリーカード10より横幅が狭い若しくは厚さが薄い小型の不適合メモリーカード10’がカード収容部6へ挿入される場合について説明する。メモリーカード用コネクタ1の待機状態では、上述のように、シャッター4の2カ所の係合板部4cがそれぞれ左右の板バネ片8、8の係合孔8aに係合しているので、その枢軸4b回りの回転はロックされている。
【0055】
係合板部4cの高さhより薄い不適合メモリーカード10’が挿入される場合には、シャッター4と当接する位置まで挿入しても、図11に示すように、板バネ片8、8の下面に当接せず、その前端の係合孔8aを上方へ退避させることができないので、係合板部4cとの係合が外れず、遮断板4aが起立した状態でシャッター4の回転がロックされている。従って、この不適合メモリーカード10’は、シャッター4を回転させて前方へ挿入することができない。
【0056】
また、適合メモリーカード10より横幅が狭い不適合メモリーカード10’がカード収容部6へ挿入される場合には、不適合メモリーカード10’の横幅が、左右に隔てて形成される一方の板バネ片8の分岐片8bと他方の板バネ片8の分岐片8bとの間隔未満であり、いずれか一方の板バネ片8の分岐片8bに当接する。その結果、その不適合メモリーカード10’が分岐片8bに当接する側の板バネ片8の係合孔8aは、シャッター4の係合板部4cとの係合が外れるが、他側の板バネ片8の係合孔8aは、対応する係合板部4cとの係合が外れず、シャッター4は回転が規制されるロック状態を維持する。従って、細幅の不適合メモリーカード10’も、起立する遮断板4aにより前方への挿入ができない。
【0057】
また、適合メモリーカード10であっても、いずれかの分岐片8bに直交する方向となる程度まで大きく挿入方向を傾斜させて挿入した場合には、いずれか一方の板バネ片8の分岐片8bに当接しない。従って、このように異常な挿入方向で挿入する適合メモリーカード10も、シャッター4によりその挿入が規制される。
【0058】
尚、本発明に係るシャッター4と板バネ片8によるロック機構では、厚さと横幅から適合メモリーカード10の挿入を可能とするので、前後を逆にしたり、表裏を逆にした誤挿入姿勢の適合メモリーカード10であっても、シャッター4を回動させて前方へ挿入できる。このように、シャッター4を回転させ、誤姿勢で挿入された適合メモリーカード10は、誤挿入防止片15が当接する部位に傾斜面10aがなく、誤挿入防止片15を上方へ退避させることができないので、誤挿入防止片15によって前方への挿入が規制され、各導電パッド12がコンタクト5に接触する接続位置まで挿入することができない。
【0059】
上述の第1の実施の形態では、板バネ片8を挿入方向に対して傾斜する二股に分岐し、適合メモリーカード10が斜めに挿入されても、板バネ片8に過大なねじり応力が発生しないようにしているが、必ずしも二股とする必要はなく、前方に挿入される適合メモリーカード10によってその係合部(係合孔8a)がシャッター4の係合部(係合板部4c)との係合から外れる方向に移動するように前方から後方に向かう傾斜面を有するものであれば、任意の形状とするができる。
【0060】
また、板バネ片は、左右方向に分岐片を加えて、前方に向かってV字状に分岐する分岐片を連続させてもよい。図12、図13は、本発明の第2実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ20と、そのカバー21を示し、図示するように、板バネ片8と同様にカバー21の左右に分けて配設される板バネ片22の内、右側の板バネ片22Rに前方に向かってV字状に分岐する分岐片22br’を加えている。すなわち、前方に向かって逆V字状に形成される左右二股の分岐片22bl、22brの右側の分岐片22brを、斜め前方に向かって左右にV字状に分岐する二股の左側の分岐片として、その右側にV字状となる分岐片22br’を加えて前方に向かって下方に傾斜するように一体に切り起こしている。分岐片22br’の前端にも、逆V字状の前端に形成される係合孔22aと同様に係合孔22a’が形成される。また、シャッター4側には、係合孔22a、22aの下方に立設される係合板部4c、4cに加えて、係合孔22a’の下方に板バネ片22Rの自由状態で係合孔22a’と係合する係合板部4cが立設される。これにより、シャッター4が遮断位置にあるときに、3カ所の位置でシャッター4とカバー21の板バネ片22側の係合部が係合し、より強固にシャッター4の回動が規制される。
【0061】
上述の各実施の形態では、シャッター4側に係合凸部となる係合板部を、板バネ片8、22側に係合凹部となる係合孔8a、22aを形成しているが、板バネ片8、22が自由状態で係合し、板バネ片8、22の変位により係合が外れる関係にあれば、係合凸部と係合凹部は、いずれに設けてもよい。
【0062】
更に、上述の実施の形態では、板バネ片8、22をカバー3、21側に形成したが、カード収容部6の内底面となるケース本体2側から斜め前方に向かって上方に傾斜するように形成してもよい。この場合に、対向するカード収容部6の内頂面から垂設するシャッター4の係合板部4cは、内頂面までの長さを、適合メモリーカード10の厚さよりわずかに短い長さとする。
【0063】
また、シャッター4は、ケース本体2に枢支される例で説明したが、カバー2、21側に枢支されるものであってもよい。
【0064】
また、シャッター4の遮断位置への復帰に、ねじりコイルバネ7を用いたが、シャッター4を自由状態でカード収容部6を遮断するように吊り下げ支持し、シャッター4の自重で遮断位置に復帰するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
メモリーカードを携帯電話機などの電子機器へ接続するメモリーカード用コネクタに適している。
【符号の説明】
【0066】
1 メモリーカード用コネクタ
2 絶縁ケース本体
3 カバー(金属カバー)
4 シャッター
4b 枢軸(シャッターの回動軸)
4c 係合板部(第2係合部)
5 コンタクト片
6 カード収容部
8 板バネ片
8a 係合孔(第1係合部)
8b 分岐片
10 適合メモリーカード
30 ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリーカードが挿入されていない間にカード収容部の開口を覆うシャッターを備えたメモリーカード用コネクタに関し、更に詳しくは、不適合なメモリーカードのカード収容部への挿入をシャッターにより規制するメモリーカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメモリーカード用コネクタには、メモリーカードを挿入するカード収容部の開口近傍にシャッターが取り付けられ、メモリーカードが挿入されていない間は、シャッターでその開口近傍を遮断し、外部からカード収容部内への塵埃の侵入を防止している。このシャッターは、メモリーカードをカード収容部内に挿入される際の障害とならないように、カード収容部を挟む両側のケースに回動自在に支持されている。
【0003】
一方、このシャッターの回動をロックするロック機構を設けて、大きさや挿入方向の異なる適合外のメモリーカードの挿入をシャッターで排除するメモリーカード用コネクタ100が知られている(特許文献1)。以下、この従来のメモリーカード用コネクタ100を図14乃至図16を用いて説明する。
【0004】
メモリーカード用コネクタ100は、図16に示す大型のSDカード等のメモリーカードを適合メモリーカード10としてカード収容部101内に収容し、適合メモリーカード10の背面に露出する導電パッド12、12・・へカード収容部101に突出するコンタクト102、102・・を接続させるコネクタである。適合メモリーカード10の挿入方向の前方右側(図16では前方左側)には、コネクタ側で適合メモリーカード10の挿入を判別するための傾斜面10aが形成されている。従って、傾斜面10aが形成される部位の導電パッド12aは、他の導電パッド12よりやや後方(図16において下方)に露出し、その導電パッド12aと電気接続するコンタクト102aは、カード収容部101の後方(図14において右方)に突出して配置されている。
【0005】
カード収容部101の開口側となる後方に、シャッター103が掛け渡されている。シャッター103は、カード収容部101と直交する方向に配置される細長板状の連結部103aと、連結部103aの両側に形成された矩形状の係合部103bと、係合部103bの下方で連結部103aの両側にクランク状に連設された円柱状の軸部103cとから構成されている。円柱状の軸部103cは、カード収容部101を形成するケースの側壁104に回転自在に支持され、軸部103cに巻装されたねじりコイルバネ(図示せず)により、シャッター103は、軸部103c回りで一方向に回転するように付勢されている。
【0006】
また、カード収容部101の後方の両側壁104、104に沿って、一対のロックバネ片105が配置されてる。ロックバネ片105は、前端が側壁104に固定され、自由状態で、後方の内向きに湾曲する検知部105aがカード収容部101の開口近傍に突出している。シャッター103の係合部103bと対向するロックバネ片105の部位には、長方形の係合孔105bが穿設され、検知部105aがカード収容部101内に突出する状態で、図15に示すように、矩形状の係合部103bが長方形の係合孔105bに挿通し、連結部103aがカード収容部101を遮断しているシャッター103の軸部103a回りの回転をロックしている。
【0007】
一方、ロックバネ片105は、検知部105aがカード収容部101へ挿入するメモリーカードにより押圧されると前端を中心に外側に回転し、検知部105aがカード収容部101から退避したときに、係合孔105bがシャッター103の係合部103aから外れる。カード収容部101の横幅は、適合メモリーカード10を遊嵌する横幅となっているので、カード収容部101へ適合メモリーカード10を前方に挿入すると、左右両側のロックバネ片105が外側に回転し、各係合孔105bとシャッター103の係合部103aとの係合が外れる。これにより、シャッター103は軸部103a回りで回転自在となり、適合メモリーカード10をコンタクト102、102・・と接続する接続位置まで挿入可能となる。
【0008】
これに対して、カード収容部101に挿入可能な大きさであるが、適合メモリーカード10より小型で横幅が短い不適合メモリーカード10’をカード収容部101へ挿入しようとすると、左右一対のロックバネ片105の検知部105aを同時に押圧して外側へ回転させることができないので、少なくとも一方の係合孔105bと係合部103bとの係合は外れず、シャッター103は、連結部103aがカード収容部101を遮断したまま回転が規制される。これにより、不適合メモリーカード10’の挿入が排除される。
【特許文献1】特開2007−165011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のメモリーカード用コネクタ100は、挿入されるメモリーカードの横幅から適合メモリーカード10を判別するので、カード収容部101の側方にシャッター103の回転をロックするロックバネ片105の検知部105aを配置する必要があり、ケース104が大型化し、鉛直方向(図14の紙面に直交方向)にプリント配線基板へ実装する実装面積が拡大し、高密度実装の障害となっていた。
【0010】
また、シャッター103の回転をロックするために、ロックバネ片105を別に用意してケース104に組み付ける必要があり、部品点数が増加するとともに余分な組み立て工程も加わるものとなった。
【0011】
更に、図16に示すメモリーカードを適合メモリーカード10とするメモリーカード用コネクタ100では、挿入方向の前方右側に傾斜面10aが形成されているので、導電パッド12を下面側とした適合メモリーカード10を挿入した場合に、左側(図14の下方側)の検知部105aがカード収容部101から退避して係合孔105bと係合部103bとの係合が外れても、右側の検知部105aは、適合メモリーカード10の側面に当接せず、係合孔105bと係合部103bとの係合は解除されない。その結果、右側の検知部105aが退避する前に、回転がロックされたシャッター103へ適合メモリーカード10の前端が当接することとなり、右側の検知部105aがカード収容部101から退避してシャッター103が回転自在の状態となってもシャッター103が回転しないといういわゆる「メモリーカードのくいつき」が発生する。そこで、傾斜面10a側の側面で応動する検知部105aが退避するまで、適合メモリーカード10の前面がシャッター103に当接しないように、左側の検知部105aとシャッター103との前後方向の間隔を図16のL2以上とする必要があり、そのためにケース104の前後方向の大きさも拡大することとなった。
【0012】
更に、前後方向の挿入方向に対して、適合メモリーカード10を斜めに挿入した場合にも、一方の検知部105aが押圧されずに、「メモリーカードのくいつき」が発生してシャッター103が回転せず、挿入できないという問題があった。
【0013】
逆に、上述のメモリーカード用コネクタ100は、挿入されるメモリーカードの横幅から適合メモリーカード10を判別するので、適合メモリーカード10より薄い不適合メモリーカード10’が挿入されても、左右一対のロックバネ片105の検知部105aが応動してシャッター103が回転自在となり、不適合メモリーカード10’の挿入を排除できないという問題があった。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、ケースを大型化することなく、簡単な構成で確実に不適合メモリーカードの挿入を排除できるメモリーカード用コネクタを提供することを目的とする。
【0015】
また、挿入するメモリーカードの横幅と厚さから不適合メモリーカードを判別してその挿入を排除できるメモリーカード用コネクタを提供することを目的とする。
【0016】
更に、適合メモリーカードを挿入方向に対して傾斜させて挿入しても、シャッターが回転し、挿入可能となるメモリーカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、後面に開口する開口部から前方に向かって挿入される適合メモリーカードを収容するカード収容部が形成されたケースと、カード収容部内の前方に突出するように互いに絶縁してケースに取り付けられ、カード収容部に収容された適合メモリーカードに接続する複数のコンタクト片と、ケースに枢支され、複数のコンタクト片の後方のカード収容部内で、適合メモリーカードの前方への挿入を遮断する遮断位置と、適合メモリーカードの前方への挿入を可能とする開放位置との間で回動するシャッターと、遮断位置でシャッターの回動をロックするロック機構とを備えたメモリーカード用コネクタであって、ロック機構は、シャッターの開口部寄りで、シャッターの回動軸と平行なカード収容部の内底面若しくは内頂面から前方に向かって対向する内頂面若しくは内底面に傾斜する傾斜面を有する2枚の板バネ片と、各板バネ片の前記傾斜面の前方に形成される第1係合部と、各板バネ片の第1係合部の移動軌跡上のシャッターの部位に形成され、シャッターが遮断位置にあるときに、自由状態の各板バネ片の第1係合部と係合し、シャッターの回動が規制される第2係合部とから構成され、2枚の板バネ片の傾斜面は、適合メモリーカードがカード収容部に挿入された場合に、2枚の各板バネ片の第1係合部と第2係合部との係合が解除され、適合メモリーカードより横幅が狭い不適合メモリーカードが挿入された場合に、少なくとも一方の板バネ片の第1係合部と第2係合部との係合が解除されない間隔でカード収容部内に臨み、
第2係合部のカード収容部内の高さは、適合メモリーカードがカード収容部に挿入された場合に、第1係合部との係合が解除され、適合メモリーカードの厚みより薄い不適合メモリーカードが挿入された場合に、第1係合部との係合が解除されない高さであるメモリーカード用コネクタを最も主要な特徴とする。
【0018】
シャッターが遮断位置にあるときに、板バネ片の第2係合部は、適合メモリーカードの挿入によって第1係合部との係合が解除されるカード収容部内の高さにあるので、適合メモリーカードをカード収容部の前方へ挿入すると、板バネ片の傾斜面に当接して第1係合部と第2係合部との係合が解かれる。また、2枚の板バネ片の傾斜面は、適合メモリーカードの挿入によって、いずれの板バネ片の第1係合部も第2係合部との係合が解かれる間隔でカード収容部に臨むので、全ての第1係合部と第2係合部の係合が解除され、シャッターが開放位置まで回転し、シャッターを越えて適合メモリーカードは前方へ挿入可能となる。
【0019】
一方、適合メモリーカードより厚みが薄い不適合メモリーカードは、カード収容部へ挿入しても板バネ片の傾斜面に当接せず、若しくは当接しても第2係合部から第1係合部を解除させるほどの厚みがないので、シャッターは遮断位置でその回動が規制され、前方へ挿入できない。また、適合メモリーカードより横幅が狭い不適合メモリーカードは、カード収容部へ挿入しても2枚の板バネ片の傾斜面に同時に当接せず、一方の板バネ片の第1係合部が第2係合部に係合した状態となるので、シャッターは遮断位置でその回動が規制され、前方へ挿入できない。
【0020】
また、請求項2に記載の発明は、ケースが、絶縁ケース本体と、絶縁ケース本体の上面を覆い、絶縁ケース本体との間にカード収容部が形成される導電性金属板からなるカバーで構成され、2枚の板バネ片は、カバーの一部が切り欠かれ、切り欠かれた内側がカード収容部の内頂面から下方に傾斜して傾斜面が形成されることを特徴とする。
【0021】
導電性金属板からなるカバーの一部を切り欠いて、その内側を下方へ折り曲げて、カード収容部内に臨ませるだけで、内頂面から前方に向かって下方に傾斜する傾斜面を有する板バネ片が形成される。
【0022】
また、請求項3に記載の発明は、板バネ片が、第1係合部が形成される前端部から斜め後方に向かって左右に逆V字状に分岐する二股の分岐片を有し、二股の各分岐片の上面若しくは下面が前記傾斜面となっていることを特徴とする。
【0023】
板バネ片は、斜め後方に向かって左右二股に逆V字状に分岐する二股の分岐片を有し、二股の各分岐片の上面若しくは下面が前記傾斜面となっているので、前後方向の挿入方向に対して傾斜して適合メモリーカードが挿入されても、その挿入方向に近い二股のいずれかの傾斜面に沿って適合メモリーカードが当接し、その傾斜面の前端部に形成された第1係合部が第2係合部から離れる方向に移動して第2係合部との係合が解かれる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明は、逆V字状に分岐する二股の一方の分岐片を、斜め前方に向かって左右にV字状に分岐する二股の一方の分岐片として、逆V字状に分岐する二股の分岐片にV字状に分岐する二股の他方の分岐片を連設し、該連設した分岐片の前端部に、逆V字状の前端部に形成される第1係合部と異なる第1係合部を形成することを特徴とする。
【0025】
板バネ片の逆V字状の前端部と、V字状に分岐する二股の他方の分岐片の前端部の2カ所にシャッターの第2係合部と係合する第1係合部が形成される。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、横幅の他、厚さが適合メモリーカードより薄い不適合メモリーカードのカード収容部内への挿入も、シャッターを遮断位置で回動をロックすることにより排除できる。
【0027】
また、遮断位置にあるシャッターの回動をロックするロック機構をカード収容部の側方に形成せず、カード収容部の内底面若しくは内頂面側のケースに形成するので、ロック機構によってケースの鉛直方向の面積が拡大せず、プリント配線基板への実装面積が拡大しない。
【0028】
挿入方向の前面に傾斜面を有するメモリーカードが適合メモリーカードであっても、2枚の板バネ片の各傾斜面は、適合メモリーカードの上面若しくは下面が当接して上下方向に退避するので、適合メモリーカードの両側面でロック機構の検知部が退避する従来のコネクタに比べて、各傾斜面間の前後方向の間隔を短くすることが可能となり、ケースの前後方向の大きさを縮小できる。
【0029】
請求項2の発明によれば、新たな部品を用いずに、ケースの上面を覆うカバーから傾斜面を有する板バネ片を形成することができる。
【0030】
カバーは、導電性金属板で形成されるので、その一部を接地することにより、カード収容部内の適合メモリーカードやコンタクトを外部からシールドすることができ、また、金属板であるので、プレス成形により、板バネ片や板バネ片の第1係合部を容易に加工できる。
【0031】
請求項3の発明によれば、、前後方向の挿入方向に対して傾斜して適合メモリーカードが挿入されても、その挿入方向に近い二股の分岐片のいずれかの傾斜面に沿って適合メモリーカードが当接して板バネ片の全体が応動するので、板バネ片に傾斜した方向から適合メモリーカードが当接することによるねじり応力が発生しにくい。特に、適合メモリーカードのカード収容部への挿抜力を低下させるために、2枚の板バネ片は厚みを薄くして板バネ片による接触圧を低下させるので、薄肉でねじれ強度が低下した板バネ片であっても、捻れ応力による塑性変形が生じない。
【0032】
請求項4の発明によれば、一枚の板バネ片にシャッターの第2係合部と係合する第1係合部が2カ所に形成されるので、自由状態でシャッターの回動をロックするロック強度が増す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願発明の一実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1に適合メモリーカード10を挿入する状態を斜め前方の上方からみた斜視図である。
【図2】ケース本体2とカバー3の分解斜視図である。
【図3】カバー3の平面図である。
【図4】カバー3の正面図である。
【図5】ねじりコイルバネ7を取り付けたシャッター4の斜め後方からみた斜視図である。
【図6】シャッター4とシャッター4を回動自在に支持するケース本体2を斜め前方からみた要部斜視図である。
【図7】メモリーカード用コネクタ1の要部斜視図である。
【図8】自由状態の板バネ片8がシャッター4と係合する状態を示す要部断面図である。
【図9】適合メモリーカード10が板バネ片8に当接する状態を示す要部断面図である。
【図10】適合メモリーカード10をカード収容部6へ挿入する状態を示す斜視図である。
【図11】不適合メモリーカード10’がシャッター4に当接する状態を示す要部断面図である。
【図12】本願発明の他の実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ20と適合メモリーカード10を斜め前方の上方からみた斜視図である。
【図13】メモリーカード用コネクタ20のカバー21の平面図である。
【図14】従来のメモリーカード用コネクタ100を、カバーを除いて示す平面図である。
【図15】従来のメモリーカード用コネクタ100の要部斜視図である。
【図16】適合メモリーカード10の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1を図1乃至図11を用いて説明する。メモリーカード用コネクタ1の各部の説明は、図3の上下方向を前後方向と、左右方向を左右方向と、図4の上下方向を上下方向として説明する。このメモリーカード用コネクタ1のケース30は、図2に示すように、後方を除く周辺に沿った左右の側壁2L、2Rと前壁2Fにより、その内側に凹部が形成されたケース本体2と、ケース本体2の上面に沿って組み立付けられる導電性の金属カバー3とから構成され、金属カバー3がケース本体2の凹部を上方から覆うことにより、その間にケース30の後面に開口部6aが開口し、適合メモリーカード10を収容するカード収容部6が形成される。すなわち、このメモリーカード用コネクタ1に接続するメモリーカードは、図16に示す適合メモリーカード10であり、カード収容部6の左右方向の幅と奥行き及び上下方向の高さは、適合メモリーカード10を遊嵌する大きさとなっている。
【0035】
ケース本体2は、絶縁性合成樹脂で成形され、ケース本体2の成形の際に前壁2Fを挿通して前後方向に多数のコンタクト5がインサート成形で一体に取り付けられている。各コンタクト5の後方の接触部は、カード収容部6内に突出し、カード収容部6に挿入される適合メモリーカード10の導電パッド12に接触する。図16に示すように、各コンタクト5のうち、適合メモリーカード10の傾斜面10a後方に露出する導電パッド12aに接触するコンタクト5aは、他のコンタクト5よりわずかに後方位置でその接触部がコンタクト収容部6内に臨むように取り付けられている。
【0036】
ケース本体2の前方の左右の側壁2L、2R間には、コンタクト5の接触部の前後で摺動自在の排出板13が掛け渡され、この排出板13は、ケース本体2の右枠部内に装着された圧縮バネ14により後方に付勢されるとともに、その前方の右枠部内に形成されたハートカム溝に先端が係合するリンクが回動自在に連結されることにより、周知のプッシュ−プッシュ型イジェクト機構が構成される。すなわち、カード収容部6の前方へ挿入する適合メモリーカード10は、排出板13に当接し、圧縮バネ14に抗して更に前方へ挿入すると、リンクがハートカム溝のロック位置に係合し、排出板13はロック位置で位置決めされ、適合メモリーカード10はコンタクト5に接続した状態で挿入力を解除しても保持される。また、この状態から更に適合メモリーカード10を押し込むと、リンクがハートカム溝のロック位置から外れ、圧縮バネ14により付勢され排出板13によって適合メモリーカード10がカード収容部6から排出される。
【0037】
ケース本体2の左右の側壁2L、2R間の更に後方のカード収容部6の開口近傍には、シャッター4が回動自在に掛け渡されている。シャッター4は、図5、図6に示すように、カード収容部6を遮断する細長帯状に形成された遮断板4aと、遮断板4aの長手方向の両端からわずかに下方に偏倚した位置に一体に連設された断面U字状の枢軸4b、4bと、後述する2枚の板バネ片8の各係合孔8aに対応して、その下方の遮断板4aの部位から係合孔8aに向けて立設された一対の係合板部4c、4cとを備えている。
【0038】
シャッター4の右側の枢軸4bは、ねじりコイルバネ7の螺旋状巻回部7aを挿通し、ねじりコイルバネ7の外側の一端部7bは螺旋状巻回部7aの径方向に沿って直線状に突出し、内側の他端部7cは、クランク状に折り曲げられ遮断板4aの前面に当接している。
【0039】
シャッター4が掛け渡される左右の側壁2L、2Rには、枢軸4b、4bを回動自在に支持する軸受孔9が側壁2L、2Rを貫通して穿設されている。このうち、側壁2Rに穿設された軸受孔9には、図6に示すように、ねじりコイルバネ7が取り付けられた枢軸4bが挿通されるもので、軸受孔9に螺旋状巻回部7aと枢軸4bが遊挿されるとともに、軸受孔9から側壁2Rの上面に連通する細溝9aに組み立て時にトルクを加えたねじりコイルバネ7の一端部7bが位置決め収容される。これにより、シャッター4は、枢軸4b、4b回りで回動自在にケース本体2に支持されるとともに、ねじりコイルバネ7によって、右方向にみて時計回り(以下、この方向を時計回りという)に回転するように付勢される。
【0040】
また、シャッター4の遮断板4aの右端は、後方に直角に折り曲げられたストッパー片4dとなっていて、ねじりコイルバネ7により時計回りに回転するように付勢されたシャッター4は、側壁2Rの軸受孔9近傍で前方に面する内壁面2a(図6参照)にストッパー片4dが当接し、その回転が規制される。内壁面2aにストッパー片4dが当接したシャッター4は、遮断板4aが鉛直面に沿って起立し、カード収容部6を遮断するものとなる。この状態で、シャッター4の係合板部4cのカード収容部6内底面からの高さは、適合メモリーカード10の厚さより低い高さhとなっている。鉛直面に沿って起立する遮断板4aに、コイルバネ7のトルクに抗して前方に向かって押圧力を加えると、シャッター4は、軸受孔9、9を中心に反時計回りに回転する。従って、カード収容部6の前方へ挿入する適合メモリーカード10がシャッター4の遮断板4aに当接すると、遮断板4aは反時計回りに回転し、遮断板4aを乗り越えて更にカード収容部6の前方へ挿入可能となる。
【0041】
金属カバー3は、図2乃至図4に示すように、長方形状の導電性金属板の左右両側を、ケース本体2の左右の側壁2L、2Rを外側から囲うように折り曲げて、ケース本体2の凹部を覆うように取り付けられるもので、その前方の平面が、右方に向かってU字状に切り欠かれて形成される誤挿入防止片15と、後方の開口近くの平面の2カ所の位置が、前方に向かって逆V字状に切り起こされて形成される2枚の板バネ片8、8とを、一体に備えている。
【0042】
誤挿入防止片15は、図3に示すように、金属カバー3平面の中央側を基端15aとして右方に向けて一体に片持ち支持され、鉛直方向に見たその後方側辺15bは左右方向と平行で、適合メモリーカード10の挿入方向に直交している。また、誤挿入防止片15は、中央付近で斜め下方に折り曲げられ、斜め下方に傾斜する中央から自由端側は、カード収容部6内で、適合メモリーカード10の傾斜面10aがカード収容部6内を移動する移動軌跡を横切るように臨んでいる。これにより、通常の姿勢で挿入される適合メモリーカード10は、傾斜面10aの上端が誤挿入防止片15の後方側面の下端に当接する。
【0043】
誤挿入防止片15が右方に向かって下方に傾斜しているのに対し、適合メモリーカード10の傾斜面10aは、右方に向かって後方に傾斜するので、適合メモリーカード10の前方への移動にともない、当接位置は誤挿入防止片15の後方側面に沿って自由端側(右方)に移動する。誤挿入防止片15に当接する傾斜面10aの内底面からの高さは変わらないので、当接位置の高さは変化せず、誤挿入防止片15はカード収容部6から退避する上方へ押し上げられる。一方、傾斜面10aが右前方にない誤った姿勢で挿入される適合メモリーカード10は、誤挿入防止片15との当接面が誤挿入防止片15の後方側面と平行な面であるので、当接位置が変化せず、上方に退避することのない誤挿入防止片15によりその前方への挿入が規制される。
【0044】
尚、自由端が斜め下方に折り曲げられた誤挿入防止片15は、その自由端が最も下方の位置でカード収容部6内に臨むが、ここでは、少なくとも自由端のカード収容部6の内底面からの高さは、シャッター4の係合板部4cの高さh以下となっている。これにより、シャッター4を回動させて挿入される厚さがh以上の適合メモリーカード10は、その挿入姿勢にかかわらず確実に誤挿入防止片15に当接し、正しい挿入姿勢の適合メモリーカード10のみが更に挿入可能となる。
【0045】
金属カバー3から切り起こされる板バネ片8は、前端部から斜め後方に向かって左右二股に分岐片8b、8bが分岐することにより前方に向かって逆V字状に形成され、その逆V字状の輪郭に沿った周囲の金属カバー3が、分岐片8b、8bの後端を残して切り欠かれ、分岐片8b、8bの各後端を基端として前方に片持ち支持される。板バネ片8は、その基端で、前方に向かって斜め下方に折り曲げられ、図8に示すように、折り曲げられることにより最下端となる前端部に、シャッター4の係合板部4cが挿通して係合する係合孔8aが穿設されている。すなわち、シャッター4の係合板部4cは、板バネ片8の係合孔8aの下方となる位置に立設され、基端から前方に向かって斜め下方に折り曲げたられた板バネ片8に外力が加わらない自由状態で、図8に示すように、下方に傾斜する板バネ片8の前端部にある係合孔8aに係合板部4cが挿通するように構成される。
【0046】
自由状態でカード収容部6の内底面より高さhのシャッター4の係合板部4cが挿通する係合孔8aの高さは、少なくとも高さhより低いので、高さhより厚い適合メモリーカード10が挿入されると、一枚の板バネ片8の左右斜めに分岐する分岐片8b、8bの下面に当接し、その前端部にある係合孔8aを押し上げる。本実施の形態では、分岐片8b、8bの下面が、前後方向の挿入方向に対して左右に傾斜しているので、適合メモリーカード10をカード収容部6に斜めに挿入しても、その挿入方向に接近する左右いずれかの分岐片8b、8bの下面に当接して板バネ片4の全体が上方に応動し、板バネ片8に適合メモリーカード10が斜めに当接して捻り塑性変形を起こすことがない。
【0047】
上述の板バネ片8は、図3、図7に示すように、2枚の板バネ片8、8が、金属カバー3の平面の後方に、左右に隔てて形成される。従って、各板バネ片8、8の係合孔8aの下方の2カ所のシャッター4の部位に、係合板部4cが形成される。2枚の板バネ片8、8の左右方向の間隔は、適合メモリーカード10をカード収容部6に挿入したときに、いずれの板バネ片8、8の係合孔8aも上方に退避し、対応する係合板部4cとの係合が外れる間隔となっている。すなわち、適合メモリーカード10が当接する一方の板バネ片8の分岐片8bと他方の板バネ片8の分岐片8bの左右の間隔が、少なくとも適合メモリーカード10の幅より狭い間隔となる位置に板バネ片8、8が形成される。
【0048】
次に、このように構成されたメモリーカード用コネクタ1に、適合メモリーカード10と適合メモリーカード10と異なる形状の不適合メモリーカード10を挿入する場合について説明する。カード収容部6にメモリーカードを収容していない待機状態では、ねじりコイルバネ7により時計回りに付勢されたシャッター4は、ストッパー片4dがケース本体2の内壁面2aに当接し、遮断板4aが鉛直方向に起立した状態で位置決めされているので、起立する遮断板4aによりカード収容部6の開口付近が覆われ、カード収容部6内への埃の進入が防止されている。また、この待機状態では、各板バネ片8、8にも外力が加わらない自由状態にあり、図8に示すように、各板バネ片8の係合孔8aに対応する係合板部4cが挿通している。
【0049】
この待機状態のメモリーカード用コネクタ1に、適合メモリーカード10を傾斜面10aが前方右側となった正しい姿勢でカード収容部6へ挿入すると、左右2枚の板バネ片8、8の分岐片8bの下面に適合メモリーカード10の前端が当接する。係合板部4cの高さhより厚い適合メモリーカード10の前方への挿入により、左右双方の板バネ片8、8の各係合孔8aが、図9に示すように上方に退避し、係合板部4cとの係合が外れる。シャッター4は、2カ所の各係合板部4cでの係合が外れるので、枢軸4b回りに回動自在となる。
【0050】
ここで、適合メモリーカード10には、前方の右側に傾斜面10aが存在するので、右側の板バネ片8の応動が遅れるが、適合メモリーカード10の傾斜面10aの上端に当接して応動するので、図16に示すように、左側の板バネ片8が当接する前端との距離はL1は、側面で応動するL2より短く、適合メモリーカード10の前端がシャッター4に当接する前に、右側の板バネ片8の係合孔8aと係合板部4cとの係合が外れ、シャッター4は回動自在となる。
【0051】
従って、シャッター4に当接した適合メモリーカード10は、ねじりコイルバネ7のトルクに抗して遮断板4aを反時計回りに回動させることにより、更に前方へ挿入可能となり、カード収容部6の内底面まで回転させた遮断板4aを乗り越えて、前端右側の傾斜面10aが誤挿入防止片15に当接する図10に示す当接位置まで挿入される。
【0052】
誤挿入防止片15は、その後方側面に右方に向かって後方に傾斜する傾斜面10aが当接すると、カード収容部6から退避する上方へ押し上げられるので、適合メモリーカード10は、更に、各導電パッド12がコンタクト5に接触する接続位置まで挿入される。この状態で、前方への挿入力を解いても、上述のプッシュ−プッシュ型イジェクト機構により、適合メモリーカード10はその接続位置に保持される。
【0053】
適合メモリーカード10をカード収容部6から排出する場合には、接続位置から更に適合メモリーカード10を押し込むと、圧縮バネ14により後方へ付勢される排出板13により適合メモリーカード10がカード収容部6から排出される。適合メモリーカード10が排出されることにより、ねじりコイルバネ7により付勢されたシャッター4は、ストッパー片4dが内壁面2aに当接するまで時計回りに回転し、係合板部4cは上方に突出し、遮断板4aが起立する待機状態に復帰する。その後、板バネ片8、8も外力が加わわらない自由状態となるので、その前端部の係合孔8aが下降して係合板部4cと係合し、シャッター4の回転は再びロックされる。
【0054】
次に、メモリーカード用コネクタ1のカード収容部6には挿入可能な大きさであるが、適合メモリーカード10より横幅が狭い若しくは厚さが薄い小型の不適合メモリーカード10’がカード収容部6へ挿入される場合について説明する。メモリーカード用コネクタ1の待機状態では、上述のように、シャッター4の2カ所の係合板部4cがそれぞれ左右の板バネ片8、8の係合孔8aに係合しているので、その枢軸4b回りの回転はロックされている。
【0055】
係合板部4cの高さhより薄い不適合メモリーカード10’が挿入される場合には、シャッター4と当接する位置まで挿入しても、図11に示すように、板バネ片8、8の下面に当接せず、その前端の係合孔8aを上方へ退避させることができないので、係合板部4cとの係合が外れず、遮断板4aが起立した状態でシャッター4の回転がロックされている。従って、この不適合メモリーカード10’は、シャッター4を回転させて前方へ挿入することができない。
【0056】
また、適合メモリーカード10より横幅が狭い不適合メモリーカード10’がカード収容部6へ挿入される場合には、不適合メモリーカード10’の横幅が、左右に隔てて形成される一方の板バネ片8の分岐片8bと他方の板バネ片8の分岐片8bとの間隔未満であり、いずれか一方の板バネ片8の分岐片8bに当接する。その結果、その不適合メモリーカード10’が分岐片8bに当接する側の板バネ片8の係合孔8aは、シャッター4の係合板部4cとの係合が外れるが、他側の板バネ片8の係合孔8aは、対応する係合板部4cとの係合が外れず、シャッター4は回転が規制されるロック状態を維持する。従って、細幅の不適合メモリーカード10’も、起立する遮断板4aにより前方への挿入ができない。
【0057】
また、適合メモリーカード10であっても、いずれかの分岐片8bに直交する方向となる程度まで大きく挿入方向を傾斜させて挿入した場合には、いずれか一方の板バネ片8の分岐片8bに当接しない。従って、このように異常な挿入方向で挿入する適合メモリーカード10も、シャッター4によりその挿入が規制される。
【0058】
尚、本発明に係るシャッター4と板バネ片8によるロック機構では、厚さと横幅から適合メモリーカード10の挿入を可能とするので、前後を逆にしたり、表裏を逆にした誤挿入姿勢の適合メモリーカード10であっても、シャッター4を回動させて前方へ挿入できる。このように、シャッター4を回転させ、誤姿勢で挿入された適合メモリーカード10は、誤挿入防止片15が当接する部位に傾斜面10aがなく、誤挿入防止片15を上方へ退避させることができないので、誤挿入防止片15によって前方への挿入が規制され、各導電パッド12がコンタクト5に接触する接続位置まで挿入することができない。
【0059】
上述の第1の実施の形態では、板バネ片8を挿入方向に対して傾斜する二股に分岐し、適合メモリーカード10が斜めに挿入されても、板バネ片8に過大なねじり応力が発生しないようにしているが、必ずしも二股とする必要はなく、前方に挿入される適合メモリーカード10によってその係合部(係合孔8a)がシャッター4の係合部(係合板部4c)との係合から外れる方向に移動するように前方から後方に向かう傾斜面を有するものであれば、任意の形状とするができる。
【0060】
また、板バネ片は、左右方向に分岐片を加えて、前方に向かってV字状に分岐する分岐片を連続させてもよい。図12、図13は、本発明の第2実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ20と、そのカバー21を示し、図示するように、板バネ片8と同様にカバー21の左右に分けて配設される板バネ片22の内、右側の板バネ片22Rに前方に向かってV字状に分岐する分岐片22br’を加えている。すなわち、前方に向かって逆V字状に形成される左右二股の分岐片22bl、22brの右側の分岐片22brを、斜め前方に向かって左右にV字状に分岐する二股の左側の分岐片として、その右側にV字状となる分岐片22br’を加えて前方に向かって下方に傾斜するように一体に切り起こしている。分岐片22br’の前端にも、逆V字状の前端に形成される係合孔22aと同様に係合孔22a’が形成される。また、シャッター4側には、係合孔22a、22aの下方に立設される係合板部4c、4cに加えて、係合孔22a’の下方に板バネ片22Rの自由状態で係合孔22a’と係合する係合板部4cが立設される。これにより、シャッター4が遮断位置にあるときに、3カ所の位置でシャッター4とカバー21の板バネ片22側の係合部が係合し、より強固にシャッター4の回動が規制される。
【0061】
上述の各実施の形態では、シャッター4側に係合凸部となる係合板部を、板バネ片8、22側に係合凹部となる係合孔8a、22aを形成しているが、板バネ片8、22が自由状態で係合し、板バネ片8、22の変位により係合が外れる関係にあれば、係合凸部と係合凹部は、いずれに設けてもよい。
【0062】
更に、上述の実施の形態では、板バネ片8、22をカバー3、21側に形成したが、カード収容部6の内底面となるケース本体2側から斜め前方に向かって上方に傾斜するように形成してもよい。この場合に、対向するカード収容部6の内頂面から垂設するシャッター4の係合板部4cは、内頂面までの長さを、適合メモリーカード10の厚さよりわずかに短い長さとする。
【0063】
また、シャッター4は、ケース本体2に枢支される例で説明したが、カバー2、21側に枢支されるものであってもよい。
【0064】
また、シャッター4の遮断位置への復帰に、ねじりコイルバネ7を用いたが、シャッター4を自由状態でカード収容部6を遮断するように吊り下げ支持し、シャッター4の自重で遮断位置に復帰するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
メモリーカードを携帯電話機などの電子機器へ接続するメモリーカード用コネクタに適している。
【符号の説明】
【0066】
1 メモリーカード用コネクタ
2 絶縁ケース本体
3 カバー(金属カバー)
4 シャッター
4b 枢軸(シャッターの回動軸)
4c 係合板部(第2係合部)
5 コンタクト片
6 カード収容部
8 板バネ片
8a 係合孔(第1係合部)
8b 分岐片
10 適合メモリーカード
30 ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面に開口する開口部から前方に向かって挿入される適合メモリーカードを収容するカード収容部が形成されたケースと、
カード収容部内の前方に突出するように互いに絶縁してケースに取り付けられ、カード収容部に収容された適合メモリーカードに接続する複数のコンタクト片と、
ケースに枢支され、複数のコンタクト片の後方のカード収容部内で、適合メモリーカードの前方への挿入を遮断する遮断位置と、適合メモリーカードの前方への挿入を可能とする開放位置との間で回動するシャッターと、
遮断位置でシャッターの回動をロックするロック機構とを備えたメモリーカード用コネクタであって、
ロック機構は、シャッターの開口部寄りで、シャッターの回動軸と平行なカード収容部の内底面若しくは内頂面から前方に向かって対向する内頂面若しくは内底面に傾斜する傾斜面を有する2枚の板バネ片と、
各板バネ片の前記傾斜面の前方に形成される第1係合部と、
各板バネ片の第1係合部の移動軌跡上のシャッターの部位に形成され、シャッターが遮断位置にあるときに、自由状態の各板バネ片の第1係合部と係合し、シャッターの回動が規制される第2係合部とから構成され、
2枚の板バネ片の傾斜面は、適合メモリーカードがカード収容部に挿入された場合に、2枚の各板バネ片の第1係合部と第2係合部との係合が解除され、適合メモリーカードより横幅が狭い不適合メモリーカードが挿入された場合に、少なくとも一方の板バネ片の第1係合部と第2係合部との係合が解除されない間隔でカード収容部内に臨み、
第2係合部のカード収容部内の高さは、適合メモリーカードがカード収容部に挿入された場合に、第1係合部との係合が解除され、適合メモリーカードの厚みより薄い不適合メモリーカードが挿入された場合に、第1係合部との係合が解除されない高さであることを特徴とするメモリーカード用コネクタ。
【請求項2】
ケースは、絶縁ケース本体と、絶縁ケース本体の上面を覆い、絶縁ケース本体との間にカード収容部が形成される導電性金属板からなるカバーで構成され、
2枚の板バネ片は、カバーの一部が切り欠かれ、切り欠かれた内側がカード収容部の内頂面から下方に傾斜して傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1に記載のメモリーカード用コネクタ。
【請求項3】
板バネ片は、第1係合部が形成される前端部から斜め後方に向かって左右に逆V字状に分岐する二股の分岐片を有し、二股の各分岐片の上面若しくは下面が前記傾斜面となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメモリーカード用コネクタ。
【請求項4】
逆V字状に分岐する二股の一方の分岐片を、斜め前方に向かって左右にV字状に分岐する二股の一方の分岐片として、逆V字状に分岐する二股の分岐片にV字状に分岐する二股の他方の分岐片を連設し、該連設した分岐片の前端部に、逆V字状の前端部に形成される第1係合部と異なる第1係合部を形成することを特徴とする請求項3に記載のメモリーカード用コネクタ。
【請求項1】
後面に開口する開口部から前方に向かって挿入される適合メモリーカードを収容するカード収容部が形成されたケースと、
カード収容部内の前方に突出するように互いに絶縁してケースに取り付けられ、カード収容部に収容された適合メモリーカードに接続する複数のコンタクト片と、
ケースに枢支され、複数のコンタクト片の後方のカード収容部内で、適合メモリーカードの前方への挿入を遮断する遮断位置と、適合メモリーカードの前方への挿入を可能とする開放位置との間で回動するシャッターと、
遮断位置でシャッターの回動をロックするロック機構とを備えたメモリーカード用コネクタであって、
ロック機構は、シャッターの開口部寄りで、シャッターの回動軸と平行なカード収容部の内底面若しくは内頂面から前方に向かって対向する内頂面若しくは内底面に傾斜する傾斜面を有する2枚の板バネ片と、
各板バネ片の前記傾斜面の前方に形成される第1係合部と、
各板バネ片の第1係合部の移動軌跡上のシャッターの部位に形成され、シャッターが遮断位置にあるときに、自由状態の各板バネ片の第1係合部と係合し、シャッターの回動が規制される第2係合部とから構成され、
2枚の板バネ片の傾斜面は、適合メモリーカードがカード収容部に挿入された場合に、2枚の各板バネ片の第1係合部と第2係合部との係合が解除され、適合メモリーカードより横幅が狭い不適合メモリーカードが挿入された場合に、少なくとも一方の板バネ片の第1係合部と第2係合部との係合が解除されない間隔でカード収容部内に臨み、
第2係合部のカード収容部内の高さは、適合メモリーカードがカード収容部に挿入された場合に、第1係合部との係合が解除され、適合メモリーカードの厚みより薄い不適合メモリーカードが挿入された場合に、第1係合部との係合が解除されない高さであることを特徴とするメモリーカード用コネクタ。
【請求項2】
ケースは、絶縁ケース本体と、絶縁ケース本体の上面を覆い、絶縁ケース本体との間にカード収容部が形成される導電性金属板からなるカバーで構成され、
2枚の板バネ片は、カバーの一部が切り欠かれ、切り欠かれた内側がカード収容部の内頂面から下方に傾斜して傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1に記載のメモリーカード用コネクタ。
【請求項3】
板バネ片は、第1係合部が形成される前端部から斜め後方に向かって左右に逆V字状に分岐する二股の分岐片を有し、二股の各分岐片の上面若しくは下面が前記傾斜面となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメモリーカード用コネクタ。
【請求項4】
逆V字状に分岐する二股の一方の分岐片を、斜め前方に向かって左右にV字状に分岐する二股の一方の分岐片として、逆V字状に分岐する二股の分岐片にV字状に分岐する二股の他方の分岐片を連設し、該連設した分岐片の前端部に、逆V字状の前端部に形成される第1係合部と異なる第1係合部を形成することを特徴とする請求項3に記載のメモリーカード用コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図4】
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【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−69356(P2012−69356A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212668(P2010−212668)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】
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