説明

モジュレーター

本発明は、式Iの化合物、又は医薬品として許容されるその塩、式(I)(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CH2)Zから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);R〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(このアルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);R12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり、より好ましくはH又はMeであり;nは1〜6であり;この化合物は、3’,5’−ジメチル−4−(1,1−ジメチルヘプチル)−1,1’−ビフェニル−2−オールではない)に関する。本発明のさらなる態様は、筋疾患、胃腸障害の治療のため、又は痙攣若しくは振戦を抑制するための薬物の調製における、このような化合物の使用に関する。
【化1】


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビノイド受容体、特に末梢CB受容体を調節することが可能な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用大麻、及び大麻の活性成分であるΔ−テトラヒドロカンナビノール(THC)[1]などの合成カンナビノイドの治療上の使用について、新たな関心が持たれている。
【0003】
【化1】

【0004】
THCは、急性、特に慢性/神経障害性の疼痛、吐き気、摂食障害、AIDS、緑内障、喘息、及び多発性硬化症の抑制も含めた医療のいくつかの主な領域で、治療上有益と考えられる[Baker,D. et al, Nature 2000, 404, 84-87; Baker,D. et al, FASEB J. 2001, 15, 300-302; Schnelle,M. et al, Forsch. Komplementarmed. 1999, 6 suppl 3, 28-36]。
【0005】
いくつかのカンナビノイドリガンドが、文献で報告されている。概してカンナビノイドリガンドは、(i)(−)−Δ−テトラヒドロカンナビノールやΔ−THC[1]、CP55,940[9]などの古典的カンナビノイドと;(ii)アナンダミド[2]や2−アラキドニルグリセロール[3]などのエンドカンナビノイドと;(iii)WIN55,212[7]や選択的CB1アンタゴニストSR141716A[8]などの複素環に代表される非古典的複素環類似体とからなる、3つの主なグループに分けることができる[Pertwee,R.G., Pharmacology & Therapeutics 1997, 74, 129-180]。立体配座的に制約を受けるアナンダミド類似体についても、報告されている[Berglund,B.A. et al, Drug Design and Discovery 2000, 16, 281-294]。しかし今日まで、カンナビノイド薬の治療上の有用性は、その望ましくない精神活性により、限定されている。
【0006】
【化2】

【0007】
カンナビノイドは、急性、炎症性、及び神経障害性の疼痛モデルで、侵害受容処理を調節することが知られている[Pertwee,R.G., Prog. Neurobiol. 2001, 63, 569-611]。より具体的には、研究は、神経障害性痛覚過敏[Herzberg,U. et al, Neurosci. Lett. 1997, 221, 157-160]及び炎症性痛覚過敏[Richardson,J.D., Pain 1998, 75, 111-119; Jaggar,S.I. et al, Pain 1998, 76, 189-199; Calignano,A. et al, Nature 1998, 394, 277-281; Hanus, L. et al, Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.I 1999, 96, 14228-14233]のモデルにおけるカンナビノイドの役割に、重点が置かれてきた。また、カンナビノイド受容体の発現と、内因性カンナビノイドのレベルとは、炎症及び痛覚過敏の間に変化する可能性があることも提示されてきた[Pertwee,R.G., Prog. Neurobiol. 2001, 63, 569-611]。
【0008】
カンナビノイドの信号伝達系は、2つのクローン化カンナビノイド受容体(CB及びCB)と、アナンダミド[2]や2−アラキドノイルグリセロール[3]などのエンドカンナビノイドリガンドと、エンドカンナビノイド分解系とを含むと考えられる[Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202; Pertwee,R.G., Pharmacology of cannabinoid receptor ligands. Curr. Med. Chem. 1999, 6, 635-664]。
【0009】
カンナビノイド系の、1つの重要な機能は、シナプス神経伝達物質放出のレギュレーターとして働くことである[Kreitzer,A.C. et al, Neuron 2001, 29, 717-727: Wilson,R.I. et al, Neuron 2001, 31, 453-462]。CBは、CNS中、とりわけ淡蒼球、黒質、小脳、及び海馬中に、高レベルで発現する[Howlett,A.C., Neurobiol. Dis. 1998, 5, 405-416]。これは、大麻が平静及び短期記憶処理に及ぼす既知の副作用と一致している[Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202]。CBは白血球によって発現し、その調節は精神活性作用を誘発せず、さらにこれは、大部分の作用がCBによって媒介される症状管理の大きな目標ではない。
【0010】
多くのカンナビノイド作用は、CNS中の受容体によって主に媒介されるが[Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202]、末梢CB受容体も、特に疼痛及び胃腸管において重要な役割を演ずると理解される。例えばCBは、後根神経節や末梢神経、神経筋終末などの末梢組織でも発現し、それによって、CNSの外側で神経伝達を調節することが可能になる[Pertwee,R.G., Life Sci. 1999, 65, 597-605]。したがって、疼痛[Fox,A. et al, Pain 2001, 92, 91-100]、又は腸運動過剰を含むような状態での治療活性を、非CNS部位に位置付けることができる。しかし今日まで、末梢カンナビノイド系に関する研究は、CNS上の末梢受容体を選択的に標的とする薬物の不足により、妨げられてきた。
【0011】
有害な精神活性作用を無くすため、CNSからCBアゴニストを除外することが望ましい。小分子物質のCNS除外のための、2つの確立された方法がある。まず、1つの方法では、物質が血液脳関門(BBB)を通過しないように、その物理化学的性質を慎重に制御することによって、CNSから物質を除外する。BBBは、緊密な細胞間結合及びごく僅かな開窓を有する、脳内皮細胞によって形成される[Tamai,I. et al, J.Pharm.Sci. 2000, 89, 1371-1388]。その結果、物質は、原形質膜を横断する受動拡散によって、又は能動輸送メカニズムによって、脳に進入しなければならない。したがってBBBは、多くの末梢循環物質に対して効果的な障壁を形成する。
【0012】
脳から化合物を除外する代替方法は、BBBを通過するように化合物を能動的に送出させる、構造的特徴を組み込むことである。そのような1つの例は、オピオイドアゴニストロペラミドであるが、親油性のロペラミドは、血液脳関門を通過するよう能動的に送出することが可能な、p−糖タンパク質輸送体(MDR1)によって認識される、構造的特徴を含む[Wandel,C. et al, Anesthesiology 2002, 96, 913-920; Seeling,A. et al, Eur.J.Pharm.Sci. 2000, 12, 31-40]。
【非特許文献1】Baker,D. et al, Nature 2000, 404, 84-87
【非特許文献2】Baker,D. et al, FASEB J. 2001, 15, 300-302
【非特許文献3】Schnelle,M. et al, Forsch. Komplementarmed. 1999, 6 suppl 3, 28-36
【非特許文献4】Pertwee,R.G., Pharmacology & Therapeutics 1997, 74, 129-180
【非特許文献5】Berglund,B.A. et al, Drug Design and Discovery 2000, 16, 281-294
【非特許文献6】Pertwee,R.G., Prog. Neurobiol. 2001, 63, 569-611
【非特許文献7】Herzberg,U. et al, Neurosci. Lett. 1997, 221, 157-160
【非特許文献8】Richardson,J.D., Pain 1998, 75, 111-119
【非特許文献9】Jaggar,S.I. et al, Pain 1998, 76, 189-199
【非特許文献10】Calignano,A. et al, Nature 1998, 394, 277-281
【非特許文献11】Hanus,L. et al, Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A 1999, 96, 14228-14233
【非特許文献12】Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202
【非特許文献13】Pertwee,R.G., Pharmacology of cannabinoid receptor ligands. Curr. Med. Chem. 1999, 6, 635-664
【非特許文献14】Kreitzer,A.C. et al, Neuron 2001, 29, 717-727
【非特許文献15】Wilson,R.I. et al, Neuron 2001, 31, 453-462
【非特許文献16】Howlett,A.C., Neurobiol. Dis. 1998, 5, 405-416
【非特許文献17】Pertwee,R.G., Life Sci. 1999, 65, 597-605
【非特許文献18】Fox,A. et al, Pain 2001, 92, 91-100
【非特許文献19】Tamai,I. et al, J.Pharm.Sci. 2000, 89, 1371-1388
【非特許文献20】Wandel,C. et al, Anesthesiology 2002, 96, 913-920
【非特許文献21】Seeling,A. et al, Eur.J.Pharm.Sci. 2000, 12, 31-40
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、一般に従来技術のモジュレーターに関連する欠点のいくつか、例えば望ましくない精神活性作用を緩和し且つ/又は無くす、カンナビノイド受容体モジュレーターを提供しようとするものである。より具体的には、本発明は、中枢CB受容体に優先して末梢カンナビノイド受容体を選択的に標的とするモジュレーターを提供しようとするものであるが、これに限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様は、式Iの化合物、又は医薬品として許容されるその塩に関する。
【0015】
【化3】


I
【0016】
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COOR、SONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZ(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である)から選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく;
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6であり;
前記化合物は、3’,5’−ジメチル−4−(1,1−ジメチルヘプチル)−1,1’−ビフェニル−2−オールではない)。
【0017】
本発明の化合物は、従来技術のカンナビノイド受容体モジュレーターに比べて改善された水溶性及び/又は低下した親油性を示すことが有利である。
【0018】
本発明の第2の態様は、医薬品として許容される希釈剤、賦形剤又は担体と混合された上記定義の式Iの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0019】
本発明の第3の態様は、筋疾患を治療するための薬物の調製における、式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0020】
【化4】


Ia
【0021】
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COOR、SONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)。
【0022】
本発明の第4の態様は、痙攣及び振戦を抑制するための薬物の調製における、上記定義の式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0023】
本発明の第5の態様は、神経障害性疼痛を治療するための薬物の調製における、上記定義の式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0024】
本発明の第6の態様は、胃腸障害を治療するための薬物の調製における、上記定義の式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0025】
本発明の第7の態様は、末梢CB受容体の調節に関連した障害を治療する方法に関し、この方法は、その治療を必要とする被験体に、治療上有効な量の上記定義の式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩を投与するステップを含む。
【0026】
本発明の第8の態様は、末梢CB受容体の調節に関連した障害を治療するための薬物の調製における、治療上有効な量の上記定義の式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0027】
本発明の第9の態様は、被験体において末梢CB受容体を阻害する方法に関し、この方法は、被験体に、上記定義の式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩を投与するステップを含む。
【0028】
本発明の第10の態様は、末梢CB受容体のモジュレーターとしての、上記定義の式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0029】
本発明の第11の態様は、末梢CB受容体を調節することが可能なその他の化合物を同定するためのアッセイにおける、上記定義の式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
カンナビノイド
カンナビノイドは、カンナビノイド受容体、特にCB1及び/又はCB2に結合することが可能な物質である。典型的なカンナビノイドは、インド大麻、アサに見られる、2−(2−イソプロピル−5−メチルフェニル)−5−ペンチルレゾルシノールの30程度の誘導体を含み、その中には、植物及びその抽出物の麻薬作用を誘発させるものがある。カンナビノイドの例は、カンナビジオール、カンナビノール、トランス−Δ−テトラヒドロカンナビノール、トランス−Δ−テトラヒドロカンナビノール、及びΔ−テトラヒドロ−カンナビノール酸である。カンナビノイドのその他の例には、アナンダミド、メタナンダミド、及びR(+)WIN55,212が含まれる。
【0031】
エンドカンナビノイド
この用語は、外部から供給されたカンナビノイドとは対照的に、体内に天然に存在するカンナビノイドを意味する。エンドカンナビノイドは、Di Marzo (1998) Biochimica et Biophysica Acta vol 1392 pages 153-175に論じられている(その内容を、参照により本明細書に組み込む)。エンドカンナビノイドの例は、アナンダミドである。この物質及びアナンダミドアミダーゼに関する教示を、US−A−5874459に見出すことができる。この文献は、アナンダミドアミダーゼ阻害剤の、鎮痛薬としての使用について教示している。
【0032】
カンナビノイド受容体
カンナビノイド受容体は、カンナビノール及び構造的に類似している化合物を結合し、且つそれらの細胞内作用を媒介する、いくつかの膜タンパク質のいずれか1つ又は複数である。
【0033】
マリファナの精神活性成分Δ−テトラヒドロカンナビノール(THC)に対する2つの受容体、CB1及びCB2カンナビノイド受容体が、わかっている(Pertwee 1997 Pharmacol Ther vol 74 129-180)。これら受容体のどちらも、7回膜貫通ドメインGタンパク質結合型受容体である。CB受容体は、脳及び精巣に見られる。CB受容体は脾臓に見られ、脳には見られない。
【0034】
どちらのタイプの受容体も、アラキドノイルエタノールアミド(アナンダミド)が推定上の内在リガンドであり、どちらのタイプもアデニレートシクラーゼにネガティブに結合し、細胞内環状AMPレベルが低下する。そのような受容体の配列の例は、Mus musculusから得られ、CB1、データベースコードCB1R_MOUSE、473アミノ酸(52.94kDA)と、CB2、データベースコードCB2R_MOUSE、347アミノ酸(38.21kDa)が含まれる。CB1及びCB2に関するさらなる詳細について、以下に述べる。
【0035】
カンナビノイド受容体1(CB又はCNR1)
CBに関する背景の教示は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Omim上に、Victor A. McKusick他によって示されている。CBに関する以下の情報は、このソースから抽出した。
【0036】
カンナビノイドはマリファナの精神活性成分であり、主としてΔ−9−テトラヒドロカンナビノール、並びに合成類似体であって、Matsuda他[Nature 346: 561-564, 1990]がラットの脳からカンナビノイド受容体をクローニングした。ヒト遺伝子の全コード配列のコスミドクローンを使用して、Modi及びBonner[Abstract, Cytogenet. Cell Genet. 58: 1915 only, 1991]は、in situハイブリダイゼーションにより6q14-q15にヒトCNR座をマップした。Gerard他[Biochem. J. 279: 129-134, 1991]は、ヒト脳幹cDNAライブラリーから、カンナビノイド受容体をコード化するcDNAを単離した。推論されるアミノ酸配列は、Matsuda他[同書、1990]によってクローン化されたカンナビノイド受容体に対して97.3%の同一部分を共有する、472残基のタンパク質をコード化した。これらは、ヒト精巣中に発現した同一カンナビノイド受容体が存在することの証拠を提供した。Hoehe他[New Biologist 3: 880-885, 1991]は、遺伝的連関マッピングと染色体in situハイブリダイゼーションとを組み合わせることによって、CNR遺伝子のゲノム局在化を決定した。密接な連関は、6q21.1-q23に位置付けられたCGA、θ=0.0での最大ロッド=2.71により示した。さらにCNRは、座D6Z1、全ての染色体のセントロメアだけに局在化し且つ染色体6上で豊富にされた配列を定めるマーカーに結合した。Ledent他[Science 283: 401-404, 1991]は、マウスの遺伝子を分裂させることによって、中枢カンナビノイド受容体(CB1)の機能について調査した。突然変異マウスは、カンナビノイド薬物に応答せず、鎮痛、強化、低体温、低運動移動、及び低血圧を媒介する際の、CB1の唯一の役割が実証された。
【0037】
カンナビノイド受容体2(CB2又はCNR2)
CB2に関する背景の教示は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Omim上に、Victor A. McKusick他によって示されている。CB2に関する以下の情報は、このソースから抽出した。
【0038】
そのよく知られた精神活性の他に、マリファナ、又はその主な活性カンナビノイド成分、Δ−9−テトラヒドロカンナビノールは、鎮痛性、抗炎症性、免疫抑制性、抗痙攣性、及び制吐作用を発揮し、同様に緑内障の眼内圧も軽減させる。精巣内で低レベルであることは別にして、脳内で発現するがその末梢では発現しない、Gタンパク質結合型カンナビノイド受容体−1(CNR1; 114610)は、カンナビノイドの非精神活性作用を容易に説明するものではない。
【0039】
前骨髄球性白血病細胞cDNAライブラリーをスクリーニングするために、縮退プライマーを用いたPCRを使用することにより[Munro, Nature 365: 61-65, 1993]、cDNAコード化CNR2が得られ、これを筆者は、CX5と呼んだ。配列分析では、推定される360アミノ酸7回膜貫通タンパク質が、CNR1全体に対して44%のアミノ酸同一部分を有し、且つリガンド特異性をもたらすよう提示された膜貫通残基に対して68%の同一部分を有することが予測された。結合分析では、CNR2が、カンナビノールのCNR1よりも高い親和性で、カンナビノイドの高親和性受容体をコードすると判定された。ノーザンブロット分析では、HL60骨髄細胞系中の2.5−及び5.0−kbの転写物の発現が、骨髄又は顆粒球分化で増加することが、明らかにされた。ラットCX5同族体を使用することにより、Munro[1993,同書]は、2.5−kb転写物が脾臓で発現するが、脳、腎臓、肺、胸腺、肝臓、又は鼻上皮では発現しないことを見出した。in situハイブリダイゼーション分析では、脾臓周辺帯での発現が実証された。PCR分析では、精製された脾臓マクロファージでのCNR2発現が検出されたが、CD5+t細胞では検出されなかった。Munro[1993,同書]は、CNR2の位置が、その内在リガンドが免疫調節の役割をすべきであることを示唆すると推測した。国際放射線ハイブリッドマッピング協会(International Radiation Hybrid Mapping Consortium)は、CNR2遺伝子を染色体(stSG90)にマップした。
【0040】
化合物
上述のように、本発明の化合物は、従来技術のカンナビノイドモジュレーターに比べ、改善された水溶性及び/又は低下した親油性を示すことが好ましい。本発明の化合物は、いかなる有意な程度にも、血液脳関門を通過しないことが好ましい。
【0041】
本明細書で使用する「アルキル」という用語は、置換(モノ−又はポリ−)又は非置換でよい、飽和直鎖及び分枝状アルキル基の両方を含む。好ましくは、アルキル基はC1−20アルキル基であり、より好ましくはC1−15であり、さらにより好ましくはC1−10アルキル基であり、さらにより好ましくはC1−6アルキル基である。特に好ましいアルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、及びヘキシルが含まれる。好ましい置換基には(CHZが含まれ、式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である。
【0042】
本明細書で使用する「アリール」という用語は、置換(モノ−又はポリ−)又は非置換のものでよいC6−10芳香基を指す。典型的な例には、フェニル及びナフチルなどが含まれる。好ましい置換基には(CHZが含まれ、式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である。
【0043】
用語「ヘテロアリール」とは、1つ又は複数のヘテロ原子を含む、置換(モノ又はポリ)又は非置換の上記定義のアリール基をいう。適切なヘテロ原子は当業者に明らかであり、例えば、硫黄、窒素、酸素、リン及びケイ素が含まれる。好ましいヘテロアリール基には、ピロール、ピラゾール、ピリミジン、ピラジン、ピリジン、キノリン、チオフェン及びフランが含まれる。より好ましくは、このヘテロアリール基はピリジニル基であり、なおより好ましくはピリジン−3−イル基又はピリジン−4−イル基である。好ましい置換基には(CHZが含まれ、式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である。好ましい一実施形態において、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11である。
【0044】
特に好ましい一実施形態において、ZはFである。
【0045】
好ましい一実施形態において、mは1〜3である。
【0046】
別の好ましい実施形態において、mは0又は1である。
【0047】
非常に好ましい一実施形態において、mは0である。
【0048】
好ましい一実施形態において、Zは、ハロ、アルキル、NHCOR11及びOHから選択される。
【0049】
好ましい一実施形態において、R11及びR15のそれぞれは独立にアルキルである。
【0050】
好ましい一実施形態において、R〜R11のそれぞれは独立に、H又はアルキルである。
【0051】
特に好ましい一実施形態において、Zは、クロロ、メチル、NHCOMe又はOHである。
【0052】
本発明の好ましい一実施形態において、Xは、任意選択で置換されたフェニル基又は任意選択で置換されたピリジル基である。
【0053】
より好ましい実施形態において、Xは、任意選択で置換されたフェニル基、又は任意選択で置換されたピリジン−3−イル基若しくはピリジン−4−イル基である。
【0054】
特に好ましい一実施形態において、Xは、任意選択で置換されたフェニル基である。
【0055】
別の特に好ましい実施形態において、フェニル基又はピリジル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシアルキル及びNH−CO−アルキルから選択される1つ又は複数の置換基によって置換されている。
【0056】
なおより好ましい一実施形態において、フェニル基又はピリジル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ヒドロキシアルキル及びNH−CO−アルキルから選択される1つ又は複数の置換基によって置換されている。
【0057】
特に好ましい一実施形態において、フェニル基又はピリジル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ、クロロ、メチル、ヒドロキシメチル及びアセトアミドから選択される1つ又は複数の置換基によって置換されている。
【0058】
特に好ましい一実施形態において、フェニル基又はピリジル基は、非置換であるか、又はヒドロキシ、クロロ、ヒドロキシメチル及びアセトアミドから選択される1つ又は複数の置換基によって置換されている。
【0059】
なおより好ましい実施形態において、Xは、フェニル、3,5−ジクロロ−フェニル、3,5−ジメチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、3−ヒドロキシメチルフェニル及び3−アセトアミドフェニルから選択される。
【0060】
好ましい一実施形態において、Yはアルキル基又はCONRである。より好ましくは、Yはアルキルである。
【0061】
特に好ましい一実施形態において、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルである。
【0062】
特に好ましい一実施形態において、Yはエチル基又はCONMeである。
【0063】
好ましくは、nは1〜4である。
【0064】
なおより好ましくは、nは4又は5であり、より好ましくは5である。
【0065】
好ましい一実施形態において、R及びRのそれぞれは独立にアルキルである。より好ましくは、R及びRは同じである。
【0066】
より好ましい実施形態において、R及びRは共にメチルである。
【0067】
好ましい一実施形態において、Yはメチルであり、且つnは5である。
【0068】
別の好ましい実施形態において、YはCONMeであり、且つnは4である。
【0069】
特に好ましい一実施形態において、式Iの化合物は以下から選択される:
【0070】
【化5】

【0071】
本発明の非常に好ましい一実施形態において、式Iの化合物は、
【0072】
【化6】


である。
【0073】
本発明の化合物を、インビトロでCB受容体の結合及び活性化について調査し、マウスを用いてインビボで精神活性能について調査した。CNSレベルを、化合物の脳レベルの直接測定を使用して定量した(CNS効果を欠く化合物について)。末梢カンナビノイド活性化を、腸運動アッセイを使用して評価した。結合研究のさらなる詳細は、添付の実施例のセクションに見ることができる。
【0074】
治療適用
別の態様は、筋疾患を治療するための薬物の調製における、上記定義の式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0075】
式Iaの化合物について、好ましい実施形態は、式Iの化合物について上記で示したものと同一である。
【0076】
特に好ましい一実施形態において、式Iaの化合物は以下から選択される:
【0077】
【化7】




【0078】
好ましい一実施形態において、筋疾患は神経筋疾患である。
【0079】
本明細書で使用する「薬物の調製」という文言は、薬物としての直接的な式Iaの化合物の使用の他に、別の薬剤に関するスクリーニングプログラムでの使用、又はそのような薬物の製造の任意の段階での使用を含む。
【0080】
「筋疾患」という用語は、あらゆる筋肉の障害又は疾患を網羅する広い意味で使用され、特に、神経障害又は疾患、より詳細には神経変性疾患、又は神経筋制御を伴う悪条件として使用される。したがって、この用語には、例えばCREAE、MS、痙攣、パーキンソン病、ハンチントン病、脊髄損傷、癲癇、トゥーレット症候群、及び膀胱痙攣が含まれる。多発性硬化症及びEAEで痙攣を抑制する際、末梢カンナビノイド受容体の明瞭な役割は無いが、血液:CNS障壁が病変領域で損なわれ、治療薬を選択的に到達させることができる[Butter,C. et al, J.Neurol. Sci. 1991, 104, 9-12; Daniel,P.M. et al, J.Neurol. Sci. 1983, 60, 367-376; Juhler, M. et al, Brain Res. 1984, 302, 347-355]。
【0081】
前述の障害の他、本発明には、失禁や喘息、気管支痙攣、しゃっくりなど、振戦又は筋痙攣が生じ又は顕著である別の分野での用途もある。
【0082】
別の態様は、痙攣及び振戦を抑制するための薬物の調製における、式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0083】
なお別の態様は、神経障害性疼痛を治療するための薬物の調製における、式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0084】
また式Iaの化合物には、様々な胃腸障害の治療での、療法としての用途もある。
【0085】
末梢CB受容体は、胃腸運動、腸分泌、及び胃保護を調節することが知られている。消化管は、内在カンナビノイド(アナンダミド及び2−アラキドノイルグリセロール)を含有し、カンナビノイドCB受容体は、腸管筋及び粘膜下神経上に見出すことができる。接合部前/シナプス前に位置付けられた腸内(腸管)CB受容体の活性化は、ヒト回腸及び結腸を含めた様々な分離した腸管組織での、電気的に誘発された収縮(腸神経からのアセチルコリン放出の阻害に伴う作用)の阻害をもたらす。カンナビノイドアゴニストは、げっ歯類の生体内で腸運動を阻害し、この作用は、少なくとも部分的に、上部胃腸通過[Izzo,A.A. et al, Br.J.Pharmacol. 2000, 129, 1627-1632; Landi,M. et al, Eur.J.Pharmacol. 2002, 450, 77-83]と結腸[Pinto,L. et al, Gastroenterology 2002, 123, 227-234]の両方において、末梢(即ち腸管)CB受容体の活性化によって媒介される。したがって、生体内での腸運動の測定は、末梢作用カンナビノイド薬物の活性を評価するための、有用なモデルである。
【0086】
したがって、本発明の別の態様は、胃腸障害を治療するための薬物の調製における、式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0087】
好ましくは、胃腸障害は、下記のもの、即ち胃潰瘍、クローン病、分泌性下痢、及び麻痺性イレウスの、1つ又は複数から選択される。
【0088】
本明細書で使用する「麻痺性イレウス」という用語は、腸内での物質の通過を妨げる、腸の麻痺又は不活性を指す。典型的な場合、これは、抗コリン作動薬、損傷、又は病気の結果と考えられる。麻痺性イレウスは、術後に一般的に生ずるものである。
【0089】
本明細書中で使用する場合、用語「モジュレーター」とは、特定の受容体で活性を直接的又は間接的のいずれかで増加又は減少させる化合物又は物質をいう。
【0090】
好ましくは、上記療法上の適用例の全ての場合、モジュレーターは、末梢CB受容体を選択的に調節する。
【0091】
さらにより好ましくは、モジュレーターは、中枢CB受容体にも優って、末梢CB受容体を選択的に調節する。
【0092】
本明細書で使用する「選択的に」という用語は、末梢CB受容体に選択的なモジュレーターを指す。これらは、中枢CB受容体にも優って選択的であることが好ましい。好ましくは、本発明のモジュレーターは、末梢CB受容体に対する選択比が、中枢CB受容体に対して10よりも大きく、より好ましくは50よりも大きく、より好ましくは100よりも大きく、さらにより好ましくは300:1よりも大きい。選択比は、当業者によって容易に決定することができる。
【0093】
いくつかの適用例では、本発明のモジュレーターは、約1000nM未満のEC50値を有することが好ましく、好ましくは100nM未満、より好ましくは約75nM未満、さらにより好ましくは約50nM未満、より好ましくは約25nM未満、より好ましくは約20nM未満、より好ましくは約15nM未満、より好ましくは約10nM未満、さらにより好ましくは約5nM未満である。
【0094】
より好ましくは、モジュレーターは、実質的に末梢CB受容体のみに結合する。
【0095】
ある特定の好ましい実施形態では、モジュレーターは、CB受容体アゴニストである。本明細書で使用する「アゴニスト」という用語は、当技術分野でのその通常の意味で使用し、即ちこれが結合する受容体を機能的に活性化する化合物を意味する。
【0096】
ある特定の好ましい実施形態では、モジュレーターは、中枢CB受容体を実質的に作用させない。
【0097】
モジュレーターは、CNSから実質的に除外されることが、さらにより好ましい。したがってモジュレーターは、望ましくない精神活性作用などのCNS作用をもたらすこと無く、末梢CB受容体を調節することが可能である。
【0098】
本発明の別の態様は、末梢CB受容体の調節に関連した、障害を治療する方法に関し、前記方法は、投与を必要とする被験者に、治療上有効な量の、上記定義した式Iaの化合物を投与することを含む。
【0099】
本発明のなお別の態様は、末梢CB受容体の調節に関連した障害を治療するための薬物の調製における、治療上有効な量の上記定義の式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0100】
好ましくは、この障害は、末梢CB受容体の非活性化に関連している。より好ましくは、この障害は、上記に示された特定の状態、例えば、筋疾患、痙攣及び振戦、神経障害性疼痛又は胃腸障害から選択される。
【0101】
医薬品組成物
本発明の他の態様は、上記定義された化合物を、医薬品として許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合させた状態で含む、医薬品組成物に関する。
【0102】
本発明の化合物(医薬品として許容されるその塩、エステル、及び医薬品として許容される溶媒を含む)は、単独で投与することができるが、これらは一般に、特にヒトの治療のために、医薬品担体、賦形剤、又は希釈剤との混合物として投与される。医薬品組成物は、ヒト及び獣医学において、ヒト又は動物に使用することができる。
【0103】
本明細書に記述される、様々な種々の形の医薬品組成物のための、そのような適切な賦形剤の例は、"Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd Edition, (1994), Edited by A Wade and PJ Weller"に見出すことができる。
【0104】
治療の用途に許容される担体又は希釈剤は、医薬品の技術分野で周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A.R.Gennaro edit. 1985)に記載されている。
【0105】
適切な担体の例には、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが含まれる。適切な希釈剤の例には、エタノール、グリセロール、及び水が含まれる。
【0106】
医薬品担体、賦形剤、又は希釈剤の選択は、意図される投与経路及び標準的な薬務に関して選択することができる。医薬品組成物は、担体、賦形剤、又は希釈剤として、或いはこれらに加えて、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含むことができる。
【0107】
適切な結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコース、無水ラクトース、易流動性ラクトース、β−ラクトース、コーン甘味料、天然及び合成ガム、例えばアカシア、トラガカント、又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0108】
適切な潤滑剤の例には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。
【0109】
防腐剤、安定剤、染料、及び着香料も、医薬品組成物中に提供することができる。防腐剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。酸化防止剤、及び懸濁化剤を使用してもよい。
【0110】
本発明のなお別の態様は、医薬品として許容される希釈剤、賦形剤又は担体、及びCB受容体のモジュレーターを含む医薬組成物に関し、このモジュレーターは、末梢CB受容体を選択的に調節する。
【0111】
塩/エステル
本発明の化合物は、塩又はエステルとして、特に医薬品として許容される塩又はエステルとして存在することができる。
【0112】
本発明の化合物の、医薬品として許容される塩には、適切な酸付加塩又はその塩基性塩が含まれる。適切な医薬品としての塩の概説は、Berge et al, J Pharm Sci, 66, 1-19 (1977)に見出すことができる。塩は、例えば、硫酸やリン酸、ハロゲン化水素酸などの鉱酸のような強無機酸と;酢酸など、非置換又は置換(例えばハロゲンによって)の1から4個の炭素原子を有するアルカンカルボン酸などの強有機カルボン酸と;シュウ酸やマロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラフタル酸などの飽和又は不飽和ジカルボン酸と;アスコルビン酸やグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸と;アスパラギン酸やグルタミン酸などのアミノ酸と;安息香酸と;或いは、メタン−又はp−トルエンスルホン酸など、非置換又は置換(例えばハロゲンによる)の(C−C)−アルキル−又はアリールスルホン酸などの有機スルホン酸と形成する。
【0113】
エステルは、エステル化される官能基に応じて、有機酸又はアルコール/水酸化物を使用して形成する。有機酸には、酢酸などの、非置換又は置換(例えばハロゲンによる)の1〜12個の炭素原子を有するアルカンカルボン酸などのカルボン酸;シュウ酸やマロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラフタル酸などの飽和又は不飽和ジカルボン酸と;アスコルビン酸やグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのヒドロキシカルボン酸と;アスパラギン酸やグルタミン酸などのアミノ酸と;安息香酸と;或いは、メタン−又はp−トルエンスルホン酸などの、非置換又は置換(例えばハロゲンによる)の(C−C)−アルキル−又はアリール−スルホン酸などの有機スルホン酸が、含まれる。適切な水酸化物には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機水酸化物が含まれる。アルコールには、非置換又は置換(例えばハロゲンによる)のものでよい、1〜12個の炭素原子を有するアルカンアルコールが含まれる。
【0114】
鏡像異性体/互変異性体
既に論じた本発明の全ての態様では、本発明は、適切な場合、式I及びIaの化合物の全ての鏡像異性体及び互変異性体を含む。当業者なら、光学的性質(1個又は複数の不斉炭素原子)又は互変異性の特性を有する化合物が、理解されよう。対応する鏡像異性体及び/又は互変異性体は、当技術分野で知られている方法によって、分離/調製することができる。
【0115】
立体及び幾何異性体
本発明の特定の薬剤のいくつかは、立体鏡像異性体及び/又は幾何異性体として存在することができ、例えばこれらは、1つ又は複数の不斉及び/又は幾何中心を有することができ、したがって2つ以上の立体異性及び/又は幾何形態で存在することができる。本発明は、これら阻害剤の、個々の立体異性体及び幾何異性体と、これらの混合物の全ての使用を企図するものである。特許請求の範囲で使用する用語は、前記形が適切な機能活性を維持するならば(必ずしも同じ程度とは限らないが)、それらの形を包含する。
【0116】
また本発明は、薬剤又は医薬品として許容されるその塩の、全ての適切な同位体の種類も含む。本発明の薬剤又は医薬品として許容されるその塩の、同位体の種類は、少なくとも1個の原子を、これと同じ原子番号を有するが自然な状態で通常見られる原子質量とは異なる原子質量を有する原子に置き換えたものと定義される。薬剤及び医薬品として許容されるその塩に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、及び36Clなどが含まれる。薬剤及び医薬品として許容されるその塩の、ある同位体の種類、例えばHや14Cなどの放射性同位元素を組み込んだものが、薬物及び/又は基質組織分布の研究では有用である。トリチウム化した、即ちHと、炭素−14、即ち14Cの同位体は、その調製及び検出が容易であるので特に好ましい。さらに重水素、即ちHなどの同位体による置換によって、より高い代謝安定性から得られるある治療上の利点がもたらされ、例えば、生体内半減期が長くなり、又は投薬要件が減少し、したがって、一部の環境では好ましいと考えられる。本発明の薬剤及び本発明の医薬品として許容されるその塩の、同位体の種類は、一般に、適切な試薬の適切な同位体の種類を使用して、従来の手順によって調製することができる。
【0117】
溶媒和化合物
本発明は、式I及び式Iaの化合物の溶媒和形態も含む。特許請求の範囲で使用されるこの用語は、これらの形態を包含する。
【0118】
多形
本発明はさらに、式I及び式Iaの化合物がその様々な結晶の形、多形、及び(無)水和の形にあるものに関する。化合物は、そのような化合物の合成方法で使用される溶媒からの精製及び/又は単離方法を僅かに変えることによって、そのような形のいずれかで単離できることは、製薬産業において十分確立されている。
【0119】
プロドラッグ
本発明はさらに、プロドラッグの形にある本発明の化合物を含む。そのようなプロドラッグは、一般に式I及びIaの化合物であって、1つ又は複数の適切な基が、ヒト又は哺乳類の被験体に投与したときに元に戻ることができるように修飾しているものである。そのような復帰変異は、通常、そのような被験体内で天然に存在する酵素によって行われるが、生体内での再生を行うために、そのようなプロドラッグと共に第2の薬剤を投与することが可能である。そのような修飾の例には、エステルが含まれ(例えば、上記にて記載したもののいずれか)、再生をエステラーゼなどで実施することができる。その他のそのような系は、当業者に周知である。
【0120】
投与
本発明の医薬品組成物は、経口、直腸、膣、非経口、筋肉内、腹腔内、動脈内、クモ膜下内、気管支内、皮下、皮内、静脈内、鼻、頬、又は舌下からの投与経路に適応させることができる。
【0121】
経口投与の場合、圧縮錠、丸薬、錠剤、ゲル、ドロップ、及びカプセルが特に使用される。好ましくはこれらの組成物は、用量当たりの活性成分を1〜250mg含有し、より好ましくは10〜100mg含有する。
【0122】
その他の投与形態には、静脈内、動脈内、クモ膜下、皮下、皮内、腹腔内、又は筋肉内から注入することができ、且つ滅菌又は滅菌可能な溶液から調製される、溶液又はエマルジョンが含まれる。本発明の医薬品組成物は、坐薬、ペッサリー、懸濁剤、エマルジョン、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、スプレー、溶液、又は粉剤の形でもよい。
【0123】
経皮投与の代替の手段は、皮膚用パッチ剤の使用によるものである。例えば活性成分は、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルジョンからなるクリームに組み入れることができる。活性成分は、必要と考えられる安定化剤及び防腐剤と一緒に、白蝋又は白色軟質パラフィンベースからなる軟膏に1から10重量%の間の濃度で組み入れることもできる。
【0124】
注入可能な形では、用量当たりの活性成分が10〜1000mgの間で含有され、好ましくは10〜250mgの間である。
【0125】
組成物は、単位剤形に製剤とすることができ、即ち、1回分の用量を含有するよう個別に分けられた形、或いは、単位用量を複数回分又はサブユニット分含有する形に製剤とすることができる。
【0126】
投薬量
当業者なら、必要以上の実験をすること無く、被験体に投与される即時組成物の1つの適切な用量を、容易に決定することができる。典型的な場合、医師は、個々の患者に最も適したものになる実際の用量を決定することになり、これは、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全身の健康、性別、食生活、投与形態及び時間、排泄速度、複合薬、特定の状態の重症度、個々が受けている療法を含めた様々な要因に応じて変わることになる。本明細書に開示される投薬量は、平均的なケースの例示である。当然ながら、より高く又はより低い投薬量範囲に価値があり且つそのような範囲が本発明の範囲内にある、個々の場合が存在する可能性がある。
【0127】
必要性に応じて、薬剤は、0.01〜30mg/kg体重、例えば0.1〜10mg/kg、より好ましくは0.1〜1mg/kg体重の用量で、投与することができる。
【0128】
例示的な実施形態では、10〜150mg/日が、1回又は複数回に分けた用量で患者に投与される。
【0129】
組合せ
特に好ましい実施形態では、式I又はIaの1種又は複数の化合物を、1種又は複数のその他の医薬品として活性な薬剤と組み合わせて投与する。そのような場合、本発明の化合物は、1種又は複数のその他の医薬品として活性な薬剤と共に、連続的に、同時に、又は順次投与することができる。
【0130】
合成
式I又はIaの化合物は、添付の実施例のセクションに示されるスキーム1及び2に従って合成され得る。
【0131】
本発明の一態様は、式Iaの化合物の調製のための方法(「方法1」)に関し、この方法は以下のステップを含む:
【0132】
【化8】


(i)式IIの化合物を式BrMg(CHYの化合物と反応させて、式IIIの化合物を形成するステップ;
(ii)式IIIの化合物を式IVの化合物に変換するステップ;
(iii)式IVの化合物を臭素化して式Vの化合物を形成するステップ;
(iv)式Vの化合物を式Iの化合物に変換するステップ。
【0133】
好ましくは、R及びRは共にメチルである。
【0134】
好ましくは、方法1のステップ(i)は、THF中のグリニャール反応によって実施される。
【0135】
好ましくは、方法1のステップ(ii)は、TiCl及びジアルキル亜鉛錯体(例えば、MeZn)を使用して実施される。好ましくは、溶媒はジクロロメタンである。好ましくは、この反応は、低温(例えば−30℃)で実施される。
【0136】
好ましくは、方法1のステップ(iii)は、より好ましくは溶媒としてジクロロメタンを用いてBBrで処理し、対応するOH誘導体を得ることによって実施され、このOH誘導体は引き続いて臭素化されて式Vの化合物を形成する。好ましくは、この臭素化ステップは溶媒としてCClを使用して実施される。
【0137】
好ましい一実施形態において、方法1のカップリングステップ(iv)は、パラジウム触媒、好ましくはPd(PPhを使用して実施される。典型的には、この反応は、塩基(例えば、NaCO)の存在下で高温(例えば80℃)で実施される。
【0138】
代替的な好ましい実施形態において、方法1のカップリングステップ(iv)は、Pd(OAc)及び1,4−ジオキサンを使用して実施される。典型的には、この反応は、ジシクロヘキシルアミン及びCsCOの存在下で、高温(例えば80℃)で実施される。
【0139】
本発明の別の態様は、式Iaの化合物を調製するための代替的方法(「方法2」)に関し、この方法は以下のステップを含む:
【0140】
【化9】


(i)式VIの化合物を式Cl(CO)(CH(CO)OMeの化合物と反応させて、式VIIの化合物を形成するステップ;
(ii)式VIIの化合物を式VIIIの化合物に変換するステップ;
(iii)式VIIIの化合物を臭素化して、式IXの化合物を形成するステップ;
(iv)式IXの化合物を式Iの化合物に変換するステップ。
【0141】
好ましくは、R及びRは共にメチルである。
【0142】
好ましくは、方法2のステップ(i)は、LiBr及びCuBrの存在下で実施される。好ましくは、溶媒はTHFである。
【0143】
好ましくは、方法2のステップ(ii)は、エステル中間体VIIを対応する遊離酸VIIIaへと加水分解するステップを含む。
【0144】
【化10】

【0145】
方法2について、より好ましくは、VIIの加水分解反応は、塩基性条件下で、より好ましくはNaOH(例えば1M)及びアセトニトリルを使用して、実施される。好ましくは、遊離酸VIIIaは次いで、例えば、EtN及びクロロギ酸エチルでの処理、その後のTHF中のジメチルアミン塩酸塩、HO及びEtNでの処理により、対応するアミドVIIIbに変換される。
【0146】
好ましくは、アミドVIIIbは次いで、TiCl及びアルキル化剤(例えば、MeAl)で処理することによって、式VIIIcの化合物に変換される。好ましくは、溶媒はジクロロメタンである。好ましくは、この反応は低温(例えば−45℃)で実施される。
【0147】
好ましくは、式VIIIcの化合物は、ジクロロメタン中のBBrで処理され、式VIIIの化合物を形成する。
【0148】
好ましくは、方法2のステップ(iii)は、適切な溶媒(例えばCCl)中の臭素で上記式VIIIの化合物を処理することによって実施され、式IXの化合物を形成する。
【0149】
好ましくは、方法2のステップ(iv)のカップリング反応は、上記式IXの化合物を、EtOH中のパラジウム触媒及びX−B(OH)で処理することによって実施される。好ましくは、この触媒はPd(PPhである。好ましくは、このカップリング反応は、塩基(例えば、NaCO)の存在下でトルエン中で実施される。好ましくは、この反応は高温(例えば80℃)で実施される。
【0150】
アッセイ
本発明の別の態様は、1種又は複数のカンナビノイド受容体を調節することが可能なその他の候補化合物を同定するためのアッセイにおける、本明細書中上記定義の式Iaの化合物の使用に関する。
【0151】
好ましくは、このカンナビノイド受容体はCB受容体である。
【0152】
本発明はまた、末梢CB受容体を調節できる薬剤又は候補化合物についてスクリーニングするために使用されるアッセイを包含する。このようなアッセイの詳細は後に示す。
【0153】
好ましくは、このアッセイは、中枢CB受容体にまさって末梢CB受容体を選択的に調節することが可能な候補化合物を同定するためのものである。
【0154】
アッセイは、競合結合アッセイであることがより好ましい。
【0155】
好ましくは、候補化合物は、本発明の化合物の従来のSAR修飾によって生成される。
【0156】
本明細書中で使用する場合、用語「従来のSAR修飾」とは、化学的誘導体化によって所定の化合物を変化させるための、当該分野で公知の標準的方法をいう。
【0157】
一態様において、同定された化合物は、他の化合物の開発のためのモデル(例えばテンプレート)として働き得る。そのような試験で用いられる化合物は、溶液中で遊離となり、固体支持体に固着され、細胞表面に担持され、又は細胞内に分布される。活性の消滅、又は化合物と試験される薬剤との間の結合複合体の形成を、測定することができる。
【0158】
本発明のアッセイはスクリーニングでよく、それによって、いくつかの薬剤が試験される。1つの態様では、本発明のアッセイ方法は、高速大量処理スクリーンである。
【0159】
ハイスループット薬物スクリーニングのための技法は、Geysenの国際公開84/03564号に記載されている。要約すれば、多数の異なる小ペプチド試験化合物を、プラスチックピンや何らかのその他の表面などの、固体基板上で合成する。ペプチド試験化合物を、適切な標的又はその断片と反応させ、洗浄する。次いで、当技術分野で周知の方法を適切に適合させることなどによって、結合部分を検出する。精製した標的は、薬物スクリーニング技法で使用するために、プレート上に直接被覆することもできる。或いは、非中和抗体を使用して、ペプチドを捕獲し、それを固体支持体上に固定化することができる。
【0160】
また本発明は、競合薬物スクリーニングアッセイの使用も企図するものであり、この場合、標的に結合することが可能な中和抗体が、標的に結合させるための試験化合物と特異的に競合する。
【0161】
本発明のアッセイ方法は、定量アッセイと同様に、試験化合物の小規模及び大規模スクリーニングの両方に適したものになることが予測される。
【0162】
好ましい態様では、本発明のアッセイは、表面にCB1受容体を呈示する細胞を利用する。これらの細胞は、そのような細胞を有する被験体から分離することができる。しかし細胞は、トランスフェクションによってこれらの細胞がその表面にCB1受容体を呈示するように、細胞をトランスフェクトすることによって調製することが好ましい。
【0163】
上記方法は、1種又は複数のカンナビノイド受容体の、モジュレーターとして有用な候補化合物のスクリーニングに使用することができる。
【0164】
本発明はまた、本明細書中で上記したアッセイによって同定された候補化合物に関する。
【0165】
本発明のなお別の態様は、本明細書中で上記したアッセイによって同定された1種又は複数の候補化合物を含む医薬組成物に関する。
【0166】
本発明の別の態様は、筋疾患、胃腸障害、神経障害性疼痛のうち1つ又は複数の治療に使用するための、或いは痙攣及び振戦を抑制するための医薬組成物の調製における、本明細書で上記した方法によって同定された候補化合物の使用に関する。
【0167】
レポーター
広く様々なレポーターを、本発明のアッセイ方法(並びにスクリーニング)で使用することができ、好ましいレポーターは、都合良く検出可能なシグナルを供給するものである(例えば分光法によって)。例として、レポーター遺伝子は、光吸収特性を変化させる反応を触媒する酵素を、コード化することができる。
【0168】
その他のプロトコルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及び蛍光発色セルソーター(FACS)を含む。2つの不干渉エピトープに対して反応性のあるモノクローナル抗体を利用する、2部位モノクローナルベースイムノアッセイも、使用することができる。これら及びその他のアッセイは、他の場所にも記載されているが、とりわけHampton R et al[1990, Serological Methods, A Laboratory Manual, APS Press, St Paul MN]及びMaddox DE et al[1983, J Exp Med 15 8: 121 l]に記載されている。
【0169】
レポーター分子の例には、(ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール、アセチルトランスフェラーゼ、(グルクロニダーゼ、エクソ−グルカナーゼ、及びグルコアミラーゼが含まれるが、これらに限定されない。或いは、放射標識し又は蛍光タグ標識したヌクレオチドを新生転写物に組み込むことができ、次いで、これがオリゴヌクレオチドプローブに結合したときに同定する。
【0170】
他の例として、Pharmacia Biotech(Piscataway, NJ)やPromega(Madison, WI)、US Biochemical Corp(Cleveland, OH)などのいくつかの会社は、商用キット及びアッセイ手順に関するプロトコルを供給している。適切なレポーター分子又は標識には、これらの放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、又は色素生産性の薬剤、並びに基質、補助因子、阻害剤、磁性粒子などが含まれる。そのような標識の使用を教示する特許には、米国特許第3817837号;米国特許第3850752号;米国特許第3939350号;米国特許第3996345号;米国特許第4277437号;米国特許第4275149号、及び米国特許第4366241号が含まれる。
【0171】
候補化合物
本明細書中で使用する場合、用語「候補化合物」には、天然であれ非天然であれ任意の適切な供給源から得ることができるか、又はそのような供給源によって生成され得る化合物が含まれるが、これに限定されない。
【0172】
候補化合物は、ペプチドを含み得る化合物、並びに有機低分子及び特に新規リード化合物などの他の化合物のライブラリーから設計され得るか又は得られ得る。例として、候補化合物は以下であり得る:天然物質、生物学的高分子若しくは生物学的材料(例えば、細菌、真菌又は動物(特に哺乳動物)の細胞又は組織)から生成した抽出物、有機分子若しくは無機分子、合成の候補化合物、半合成の候補化合物、構造的若しくは機能的模倣物、ペプチド、ペプチド模倣物、誘導体化した候補化合物、全タンパク質から切断したペプチド、或いは例えばペプチド合成機を使用するか若しくは組換え技術又はそれらの組合せのいずれかにより合成により合成したペプチド、組換え候補化合物、天然若しくは非天然の候補化合物、融合タンパク質若しくはその等価物及びそれらの変異体、誘導体若しくは組合せ。候補化合物は、組換えDNA技術又は化学合成技術などのいくつかの方法で修飾された、CB受容体の公知のモジュレーターである化合物であってもよい。
【0173】
典型的には、候補化合物は、組換えDNA技術及び/又は化学合成技術によって調製されよう。
【0174】
CB受容体を調節することが可能な候補化合物が一旦同定されると、候補化合物がCB受容体を調節できるように、その候補化合物を選択及び/若しくは修飾するため、並びに/又は既存の化合物を修飾するために、さらなるステップを実施してもよい。
【0175】
CB1受容体及びCB2受容体結合アッセイ
CB1受容体結合アッセイとCB2受容体結合アッセイの詳細は、Petrocellis et al [2000 FEBS Letter 483 52-56]に見ることができる。この参考文献からのアッセイについて、関係ある情報を以下に述べる。他のアッセイを使用することができる。
【0176】
CB受容体に関する置換アッセイを、高親和性リガンドとしての[H]SR141716A(0.4nM、55Ci/mmol、Amerscham社製)及び前述の濾過技法[12〜14]を使用して、凍結したオスCDラット脳(Charles River社製、イタリア)からの膜製剤(0.4mg/チューブ)上で、且つ100μM PMSFの存在下で実施した。特異的結合を、1μM SR 14176A(Sanofi Recherch、フランスから寄贈)を用いて計算したが、これは84.0%であった。CDラットからの脾臓を使用して、膜(0.4mg/チューブ)を調製し、前述のように[14]、[H]WIN55,212-2(0.8nM、50.8CI/mmol、NEN-Dupont社製)を使用して、且つやはり100μM PMSFの存在下で、CB結合アッセイを実施した。特異的結合を、1μM HU-348(Prof.R.Mechoulam及びPharmosから寄贈)を用いて計算したが、これは75.0%であった。全ての場合において、Cheng-prusoff式をIC50値(GraphPadによって得られた)に当てはめることによりK値を計算したが、これは、試験化合物の濃度を増大させることによって、結合した放射性リガンドの置換を行うためのものである。特定の参考文献に関する詳細は、その文書自体の中に見ることができる。
【0177】
本発明を、一例として且つ下記の図を参照しながら、さらに記述する。
【実施例】
【0178】
一般
全ての出発物質は、示さない限り、市販のものか又は以前に文献中に報告されたもののいずれかであった。溶媒及び試薬は、ナトリウムで乾燥したテトラヒドロフラン(THF)以外、さらに精製することなく使用した。反応は、予めコーティングしたシリカゲルプレート(Kieselgel 60 F254, Merck)での薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングした。精製は、他のように示さない限り、シリカゲル(粒子サイズ40〜63μM、Merck)を充填したカラムを用いて、Still36の方法を使用するフラッシュクロマトグラフィーで実施した。H及び13C NMRスペクトルは、Bruker AMX-300分光計で記録した。化学シフトはppmとして報告する。結合定数はHzである。質量スペクトルは、VG ZAB SE分光計(ESP、FAB)又はMicromass Quattroエレクトロスプレー液晶質量分析計(LCMS)のいずれかで記録した。いくつかの鈴木カップリング反応は、CEM Focused Microwave(商標)Synthesis Systemを使用して実施した。
【0179】
合成
式Iの化合物を、以下のスキーム1及び2に示される方法によって合成した。
【0180】
【化11】

【0181】
【化12】

【0182】
1−(3−メトキシフェニル)−ヘプタン−1−オン(3)
【0183】
【化13】



【0184】
3−メトキシベンゾニトリル(1)(5.33g、40mmol)、乾燥THF(100mL)及び2Mの臭化ヘキシルマグネシウム(2)(30mL、60mmol、1.5等量)をジエチルエーテル中、3時間加熱還流した。この反応系を15分間かけて0℃まで冷却した。塩酸(HCl)6M(15mL)をゆっくりと添加し、この反応混合物を一晩撹拌及び加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル(EtOAc)(40mL)中に溶解し、6MのHCl(20mL)で洗浄した。有機層を分離し、水層をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で、次いで飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液(20mL)で洗浄し、次いで硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、シクロヘキサン中0〜10%のEtOAc勾配で溶出するシリカでのクロマトグラフィーにかけた。これにより、黄色油として生成物(3)を得た(8.93g、40mmol、100%):
H NMR(CDCl)δ 7.59〜7.51(d,4H)、7.49〜7.47(d,J=6,1H)、7.38〜7.32(t,1H)、7.11〜7.08(dd,J=1,J=1,1H)、3.85(s,3H)、2.96〜2.91(t,J=15,2H)、1.74〜1.67(m,2H)、1.41〜1.25(m,6H)、0.90〜0.86(t,J=12,3H);
13C NMR(CDCl)δ 200.44(C,CO)、159.81(C,Ar)、138.48(C,Ar)、129.52(CH,Ar)、120.72(CH,Ar)、119.30(CH,Ar)、112.32(CH,Ar)、55.42(CH)、38.76(CH)、31.68(CH)、29.05(CH)、24.42(CH)、22.55(CH)、14.06(CH);
MS(FAB)m/z 221(M+1)。
【0185】
1−(3−メトキシフェニル)−3−(1,1−ジメチル)−ヘプタン(4)
【0186】
【化14】



【0187】
無水ジクロロメタン(DCM)(100mL)を、温度計及び添加漏斗を備えた2首フラスコに添加し、−40℃に冷却した。DCM中1Mの四塩化チタン(100mL、100mmol)を無水DCM溶液に滴下し、温度を−40℃と−30℃との間に維持した。添加後、この混合物を−50℃に冷却し、トルエン中2Mのジメチル亜鉛(50mL、100mmol)を添加し、温度を−50℃と−40℃との間に維持した。添加の際に、オレンジ色/褐色懸濁物を10分間撹拌した。乾燥DCM(20mL)中の3(8.95g、40mmol)の溶液を、−50℃の温度を維持しながら迅速に添加した。この混合物を−45℃で2時間撹拌した。温度を、撹拌を継続しながら2時間かけて−10℃まで上昇させた。この混合物を水及び氷(400mL)上に注ぎ、水層をDCM(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮して粗生成物を得た。残渣を、シクロヘキサン中0〜5%のEtOAc勾配で溶出するシリカでのクロマトグラフィーにかけ、黄色油として生成物(4)を得た(8.17g、34.9mmol、87%):
H NMR(CDCl)δ 7.27〜7.22(t,J=15,1H)、6.97〜6.90(dt,2H)、6.75〜6.72(dd,J=1,J=1,1H)、3.76〜3.75(s,3H)、1.63〜1.57(m,2H)、1.30〜1.27(bs,J=9,6H)、1.10〜1.07(bs,J=9,6H)、0.97〜0.91(m,2H)、0.88〜0.84(t,3H);
13C NMR(CDCl)δ 159.38(C,Ar)、151.71(C,Ar)、128.85(CH,Ar)、118.47(CH,Ar)、112.64(CH,Ar)、109.72(CH,Ar)、55.11(CH)、44.62(CH)、31.82(CH)、30.07(CH)、29.00(CH)、24.70(CH)、22.71(CH)、14.12(CH);
MS(FAB)m/z 234(M+1)。
【0188】
3−(1,1−ジメチルヘプチル)−フェノール(5)
【0189】
【化15】



【0190】
化合物4(4.08g、17.74mmol)及び1Mの三臭化ホウ素(35mL、35mmol)をDCM中2時間撹拌した。この混合物を氷及び水(400mL)上に注ぎ、水層をDCM(30mL)で抽出し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、20%EtOAc/シクロヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、褐色油として生成物(5)を得た(3.66g、16.63mmol、94%):
H NMR(CDCl)δ 7.19〜7.14(t,J=15,1H)、6.92〜6.89(dd,J=1,J=1,1H)、4.83(bs,1H)、1.59〜1.53(m,2H)、1.27〜1.25(d,J=6,6H)、1.21〜1.18(d,6H)、0.86〜0.82(t,J=12,3H);
13C NMR(CDCl)δ 155.20(C,Ar)、152.11(C,Ar)、129.06(CH,Ar)、118.49(CH,Ar)、113.12(CH,Ar)、112.12(CH,Ar)、44.60(CH)、31.80(CH)、30.04(CH)、28.93(CH)、24.68(CH)、22.69(CH)、14.11(CH);
MS(ESP)m/z 219.3(M−1)。
【0191】
3−(1,1−ジメチルヘプチル)−6−ブロモフェノール(6)
【0192】
【化16】



【0193】
四塩化炭素(CCl)(10mL)中の臭素(0.8575g、16.66mmol)の溶液を、添加漏斗を使用して、CCl(10mL)中の5(3.66g、16.66mmol)の溶液に滴下した。この混合物をさらに15分間撹拌し、温度を30℃より低い温度に維持した。次いで溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、シクロヘキサン中0〜10%のEtOAc勾配で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、粘性の褐色油として生成物(6)を得た(3.25g、10.83mmol、65%):
H NMR(CDCl)δ 7.36〜7.33(d,J=9,1H)、6.99〜6.98(d,1H)、6.79〜6.73(dd,J=1,J=1,1H)、5.41〜5.40(s,1H)、1.57〜1.51(m,2H)、1.24(s,6H)、1.16(bs,6H)、1.04〜1.01(m,2H)、0.86〜0.81(t,3H);
13C NMR(CDCl)δ 151.91(C,Ar)、151.75(C,Ar)、131.21(CH,Ar)、119.76(CH,Ar)、113.97(CH,Ar)、106.73(CH,Ar)、44.44(CH)、31.77(CH)、29.97(CH)、28.87(CH)、24.64(CH)、22.67(CH)、14.09(CH);
MS(FAB)m/z 300(M+1)。
【0194】
3’,5’−ジクロロ−4−(1,1−ジメチルヘプチル)−1,1’−ビフェニル−2−オール(VSN28)
【0195】
【化17】


VSN28
【0196】
トルエン中の6(0.100g、0.33mmol)(2mL)及び2M炭酸ナトリウム(NaCO)水溶液(1mL)の脱気した混合物に、パラジウム(テトラキス)トリフェニルホスフィン(0.0115g、0.033mmol、0.1等量)を添加し、次いでエタノール(EtOH)(0.5mL)中の3,5−ジクロロフェニルボロン酸(0.0699g、0.363mmol、1.1等量)の溶液を添加した。この反応系を80℃で6時間撹拌した。この反応混合物に、EtOAc(10mL)を添加し、次いで飽和ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮して黒色残渣として粗生成物を得た。Flashtube(商標)クロマトグラフィーを使用して、20%EtOAc/シクロヘキサンで溶出して粗生成物を精製した。Flashtube(商標)2008の区画を、Flashtube(商標)Cutter(FTC)を使用して所望のバンドで切断した。シリカの区画をEtOAc中で抽出し、濾去し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この生成物を結晶化し、その後イソプロパノール及び蒸留水を使用して再結晶化した。これにより、褐色結晶としてVSB28を得た(30mg、0.0822mmol、25%):
H NMR(CDCl)δ 7.42〜7.41(d,2H)、7.34〜7.33(d,J=3,1H)、7.16〜7.14(d,J=6,1H)、6.98〜6.94(dd,J=3,J=3,1H)、6.89〜6.88(d,J=3,1H)、4.89(bs,1H)、1.61〜1.56(m,2H)、1.29(s,6H)、1.26〜1.21(d,6H)、1.11〜1.08(m,2H)、0.87〜0.83(t,3H);
13C NMR(CDCl)δ 152.26(C,Ar)、151.90(C,Ar)、140.92(C,Ar)、135.26(CH,Ar)、129.70(CH,Ar)、127.58(CH,Ar)、127.28(CH,Ar)、122.62(C,Ar)、119.03(CH,Ar)、114.04(CH,Ar)、44.46(CH)、31.76(CH)、29.99(CH)、28.84(CH)、24.67(CH)、22.64(CH)、14.03(CH);
MS(ESP)m/z 363(M−1)。
理論上の質量364.13606;実測質量364.13546。
【0197】
3’,5’−ジメチル−4−(1,1−ジメチルヘプチル)−1,1’−ビフェニル−2−オール(VSN29)
[Gareau, Yves; Dufresne, Claude; Gallant, Michel; Rochette, Chantal; Sawyer, Nicole; et al. ; BMCLE8; Bioorg.Med.Chem.Lett.; EN; 6; 2; 1996; 189-194]
【0198】
【化18】


VSN29
【0199】
1,4−ジオキサン(2mL)中の6(0.100g、0.33mmol)の溶液に、炭酸セシウム(CsCO)(0.2150g、0.66mmol、2.0等量)を添加した。酢酸パラジウム(4.49mg、0.02mmol)を添加し、次いでジシクロヘキシルアミン(8.0μL、0.04mmol)を添加した。最後に、3,5−ジメチルフェニルボロン酸(0.0742g、0.495mmol、1.5当量)を添加した。サンプルチューブをマイクロ波(可変出力)中に配置し、この反応系を10分間80℃で加熱した。DCM(1mL)をチューブに添加し、この混合物を飽和NaCl及び飽和NaCOの1:1溶液(15mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濃縮して粗生成物を暗褐色の粘性残渣として得た。この粗生成物を、シクロヘキサン中10〜30%のDCM勾配で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、褐色粘性油として化合物VSN28を得た(18.2mg、0.0562mmol、17%):
H NMR(CDCl)δ 7.15〜7.12(d,J=9,1H)、7.07(s,2H)、7.02(s,1H)、6.99(s,2H)、5.28(s,1H)、2.36(s,6H)、1.62〜1.56(m,2H)、1.29(s,6H)、1.25〜1.21(d,6H)、1.12〜1.10(m,2H)、0.87〜0.83(t,3H);
13C NMR(CDCl)δ 151.98(C,Ar)、151.46(C,Ar)、139.00(C,Ar)、137.01(C,Ar)、129.44(CH,Ar)、129.32(CH,Ar)、126.73(CH)、125.06(C,Ar)、118.35(CH,Ar)、113.27(CH,Ar)、44.56(CH)、31.83(CH)、30.08(CH)、28.95(CH)、24.72(CH)、22.72(CH)、14.12(CH);
MS(ESP)m/z 323.5(M−1)。
理論上の質量324.24530(M+H);実測質量324.24578。
【0200】
4−(1,1−ジメチルヘプチル)−1,1’−ビフェニル−2,3’−ジオール(VSN13)
【0201】
【化19】


VSN13
【0202】
トルエン(2mL)中の6(0.100g、0.33mmol)の溶液に、2M NaCO水溶液(1mL)を添加し、この混合物を窒素バブリングした。パラジウム(テトラキス)トリフェニルホスフィン(0.0115g、0.033mmol、0.1等量)を添加し、この混合物をさらに5分間窒素バブリングした。最後に、EtOH(0.5mL)中の3−ヒドロキシフェニルボロン酸(0.0500g、0.363mmol、1.1等量)を添加した。この混合物を80℃で6時間加熱した。生成した黒色スラリーをEtOAc(10mL)で希釈し、次いで、飽和ブライン及び飽和NaCOの1:1溶液(15mL)で洗浄した。水層をEtOAc(3×10mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮して粗生成物(0.109g)を得た。この粗残渣を、Flashtube(商標)2008を使用して、50% EtOAc/シクロヘキサンで溶出するクロマトグラフィーにかけ、VSN13を得た(35.2mg、0.011mmol、34%):
H NMR(CDCl)δ 7.36〜7.33(d,J=9,2H)、7.23〜7.17(m,1H)、7.05〜7.02(m,2H)、6.79〜6.76(dd,J=1,J=3,2H)、5.43(bs,1H)、5.28(bs,1H)、1.58〜1.52(m,2H)、1.26〜1.25(d,6H)、1.21〜1.20(d,6H)、1.06〜1.04(m,2H)、0.87〜0.82(t,3H);
13C NMR(CDCl)δ 156.55(C,Ar)、155.52(C,Ar)、151.49(C,Ar)、140.61(C,Ar)、130.56(CH,Ar)、129.50(CH,Ar)、127.68(C,Ar)、122.48(CH,Ar)、118.95(CH,Ar)、116.95(CH,Ar)、114.07(CH,Ar)、109.95(CH,Ar)、45.00(CH)、32.17(CH)、30.43(CH)、29.39(CH)、25.09(CH)、23.05(CH)、14.44(CH);
MS(FAB)m/z 312(M+1)。
理論上の質量312.20892;実測質量312.20940。
【0203】
4−(1,1−ジメチルヘプチル)−1,1’−ビフェニル−2−オール(23)
【0204】
【化20】


VSN14
【0205】
これは、6(0.100g、0.33mmol)及びフェニルボロン酸(0.0442g、0.363mmol、1.1等量)を使用して、化合物VSN13について上記したのと同じ方法を使用して調製した。Flashtube(商標)2008を使用し、50%EtOAc/シクロヘキサンで溶出するクロマトグラフィーにより、淡褐色油としてVSN14を得た(50.2mg、0.17mmol、51%):
H NMR(CDCl)δ 7.48〜7.47(m,2H)、7.40〜7.36(m,1H)、7.18〜7.12(m,1H)、6.98〜6.94(m,2H)、5.15(bs,1H)、1.63〜1.58(m,2H)、1.30(s,6H)、1.28〜1.23(m,4H)、1.17〜1.12(m,4H)、0.88〜0.83(t,J=6.4,3H);
13C NMR(CDCl)δ 152.39(C,Ar)、152.09(C,Ar)、139.0(C,Ar)、130.01(CH,Ar)、129.59(CH Ar)、129.45(CH,Ar)、127.96(CH,Ar)、118.92(CH,Ar)、113.90(CH,Ar)、44.92(CH)、32.18(CH)、30.43(CH)、29.29(CH)、25.09(CH)、23.06(CH)、14.44(CH);
MS(FAB)m/z 297(M+1)。
【0206】
N−[4’−(1,1−ジメチルヘプチル)−2’−ヒドロキシ−1,1’−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド(VSN30)
【0207】
【化21】


VSN30
【0208】
これは、6(0.100g、0.33mmol)及び3−アセトアミドフェニルボロン酸(0.0649g、0.363mmol、1.1等量)を使用して、化合物VSN13について上記したのと同じ方法を使用して調製した。Flashtube(商標)2008を使用し、50%EtOAc/シクロヘキサンで溶出するクロマトグラフィーにより、淡褐色油としてVSN30を得た(10.2mg、0.0290mmol、9%):
H NMR(CDCl)δ 7.49〜7.47(d,J=6,2H)、7.39〜7.30(m,2H)、7.14〜7.09(m,2H)、6.93〜6.91(dd,J=3,J=3,1H)、2.16〜2.15(s,3H)、1.60〜1.55(m,2H)、1.27〜1.23(d,6H)、1.21〜1.20(d,6H)、1.09〜1.07(m,2H)、0.86〜0.82(t,J=12,3H);
13C NMR(CDCl)δ 151.92(C,Ar)、147.30(C,Ar)、146.81(C,Ar)、137.01(C,Ar)、130.02(CH,Ar)、129.93(CH,Ar)、128.99(CH,Ar)、124.32(C,Ar)、119.90(CH,Ar)、118.03(CH,Ar)、113.20(CH,Ar)、44.42(CH)、31.78(CH)、30.03(CH)、28.89(CH)、24.70(CH)、22.66(CH)、14.04(CH)。
【0209】
5−(1,1−ジメチルヘプチル)−2−ピリジン−3−イルフェノール(VSN26)
【0210】
【化22】


VSN26
【0211】
6(0.100g、0.33mmol)及び3−ピリジンボロン酸(0.04461g、0.363mmol、1.1等量)を使用して、化合物VSN13の合成と同じ手順を適合させた。Flashtube(商標)2008を使用し、50%EtOAc/シクロヘキサンで溶出するクロマトグラフィーにより、VSN26を得た(40.3mg、0.135mmol、41):
H NMR(CDCl)δ 8.00〜7.97(d,J=9,1H)、7.48〜7.45(m,2H)、7.23〜7.20(d,J=9,2H)、7.00〜6.98(dd,J=3,J=3,2H)、1.62〜1.56(m,2H)、1.29(s,6H)、1.21(s,6H)、1.11〜1.07(m,2H)、0.86〜0.82 t,J=12,3H);
13C NMR(CDCl)δ 156.75(C,Ar)、152.43(C,Ar)、150.71(C,Ar)、148.05(C,Ar)、137.07(CH,Ar)、134.64(CH,Ar)、130.41(CH,Ar)、124.49(CH,Ar)、123.21(CH,Ar)、119.15(CH,Ar)、109.76(CH,Ar)、44.97(CH)、32.16(CH)、30.41(CH)、29.38(CH)、25.10(CH)、23.05(CH)、14.44(CH);
MS(FAB)m/z 298(M+1)。
理論上の質量298.21708(M+H);実測質量298.21741。
【0212】
5−(1,1−ジメチルヘプチル)−2−ピリジン−4−イルフェノール(VSN27)
【0213】
【化23】


VSN27
【0214】
6(0.100g、0.33mmol)及び4−ピリジンボロン酸(0.0446g、0.363mmol、1.1等量)を使用して、化合物VSN13の合成と同じ手順を適合させた。Flashtube(商標)2008を使用し、50%EtOAc/シクロヘキサンで溶出するクロマトグラフィーにより、VSN27を得た(34.8mg、0.0497mmol、35%):
H NMR(CDCl)δ 7.83(s,2H)、7.71〜7.69(m,1H)、7.58〜7.55(m,1H)、7.30〜7.27(d,J=9,1H)、6.87〜6.85(dd,J=3,J=3,2H)、1.54〜1.48(m,2H)、1.18(s,6H)、1.11(s,6H)、1.10〜0.98(m,2H)、0.76〜0.72(t,J=12,3H);
13C NMR(CDCl)δ 156.81(C,Ar)、153.16(C,Ar)、149.80(C,Ar)、146.76(C,Ar)、130.28(CH,Ar)、125.07(CH,Ar)、124.60(CH,Ar)、119.20(CH,Ar)、109.88(CH,Ar)、44.93(CH)、32.15(CH)、30.40(CH)、29.35(CH)、25.09(CH)、23.04(CH)、14.43(CH);
MS(FAB)m/z 298(M+1)。
理論上の質量298.21708(M+H);実測質量298.21684。
【0215】
4−(1,1−ジメチルヘプチル)−3’−(ヒドロキシメチル)−1,1’−ビフェニル−2−オール(VSN31)
【0216】
【化24】


VSN31
【0217】
6(0.05g、0.165mmol)の溶液を1,4−ジオキサン(2mL)中に溶解し、炭酸セシウム(0.1075g、0.33mmol、2.0等量)を添加した。得られた混合物に、酢酸パラジウム(0.0011g、0.01mmol)を添加し、次いでジシクロヘキシルアミン(2.0μL、0.02mmol)を添加した。MeOH(0.5mL)中に溶解させた3−ヒドロキシメチルフェニルボロン酸(0.0376g、1.5等量)をこの混合物に添加した。サンプルチューブをマイクロ波中で80℃で10分間加熱した。この混合物を、ブライン及び飽和NaCOの1:1溶液(15mL)でクエンチし、水層をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物を、溶離剤として50%EtOAc/シクロヘキサンを使用してFlashtube(商標)2008でクロマトグラフィー処理した。クロマトグラフィーにより、純粋な生成物VSN31を得た(15mg、0.0460mmol、28%):
H NMR(CDCl)δ 7.49〜7.39(m,3H)、7.29(s,1H)、7.18〜7.15(dd,J=3,J=3,1H)、6.97〜6.94(dd,J=3,J=3,2H)、4.70(s,2H)、1.62〜1.57(m,2H)、1.30(s,6H)、1.25〜1.22(d,J=9,6H)、1.13〜1.11(m,2H)、0.87〜0.83(t,J=12,3H);
13C NMR(CDCl)δ 151.93(C,Ar)、151.76(C,Ar)、141.85(C,Ar)、137.55(C,Ar)、129.63(CH,Ar)、129.42(CH,Ar)、128.25(CH,Ar)、127.64(CH,Ar)、126.13(CH,Ar)、124.71(C,Ar)、118.56(CH,Ar)、113.52(CH,Ar)、44.51(CH)、31.79(CH)、30.03(CH)、28.90(CH)、24.68(CH)、22.67(CH)、14.08(CH)。
MS(FAB)m/z 326。
理論上の質量326.22457;実測質量326.22575。
【0218】
メチル−6−(3−メトキシフェニル)−6−オキソヘキサノエート(16)
【0219】
【化25】


16
【0220】
無水臭化リチウム(4.66g、53.74mmol、2.4等量)及び臭化銅(I)(3.85g、26.87mmol、1.2等量)の混合物に、乾燥THF(50mL)を添加し、この溶液を室温で撹拌した。均一になったところで、THF中3−メトキシフェニルマグネシウムブロミド(14)の溶液(26.87mL、26.87mmol、1.2等量)を添加し、その後すぐにTHF(2mL)中のメチルアジピン酸クロライド(15)(4.0g、22.39mmol)の溶液を添加した。この混合物を30分間撹拌し、飽和塩化アンモニウム(NHCl)水溶液(20mL)でクエンチし、EtOAc(3×15mL)で抽出した。この有機抽出物を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮して、粗生成物を暗緑色油として得た。この粗生成物を、溶離剤として10%EtOAc/シクロヘキサンを使用してクロマトグラフィーにかけた。クロマトグラフィーにより、純粋な生成物(16)を得た(3.8g、15.30mmol、68%):
H NMR(CDCl)δ 7.53〜7.47(t,2H)、7.38〜7.33(t,J=15,1H)、7.11〜7.07(dd,J=3,J=3,1H)、3.85(s,3H)、3.66(s,3H)、3.01〜2.97(t,J=12,2H)、2.39〜2.34(t,J=15,2H)、1.77〜1.68(m,4H);
13C NMR(CDCl)δ 199.59(C,CO)、173.81(C,COOMe)、159.89(C,Ar)、138.39(C,Ar)、129.55(CH,Ar)、120.64(CH,Ar)、119.41(CH,Ar)、112.37(CH,Ar)、55.43(CH)、51.48(CH)、38.23(CH)、33.90(CH)、24.59(CH)、23.74(CH)。
【0221】
6−(3−メトキシフェニル)−6−オキソヘキサン酸(17)
【0222】
【化26】


17
【0223】
化合物16(1.0092g、0.403mmol)に、1M水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液(7mL)及びアセトニトリル(5mL)を添加し、この反応系を室温で一晩撹拌した。この反応混合物をEtOAcで洗浄し、水層を1MのHCl水溶液で酸性化した。その後、この水層をEtOAc(3×15mL)で洗浄した。この有機抽出物を乾燥し、濃縮して純粋な生成物として17を得た(0.700g、0.296mmol、74%):
H NMR(CDCl)δ 7.53〜7.46(t,2H)、7.38〜7.33(t,J=15,1H)、7.11〜7.08(dd,J=3,J=3,1H)、3.85(s,3H)、3.00〜2.95(t,J=15,2H)、2.44〜2.39(t,J=15,2H)、1.79〜1.70(m,4H);
13C NMR(CDCl)δ 199.65(C,CO)、179.23(C,COOH)、159.89(C,Ar)、138.34(C,Ar)129.57(CH,Ar)、120.66(CH,Ar)、119.48(CH,Ar)、112.37(CH,Ar)、55.44(CH)、38.18(CH)、33.81(CH)、24.30(CH)、23.63(CH);
MS(FAB)m/z 237(M+1)。
【0224】
6−(3−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル−6−オキソヘキサンアミド(18)
【0225】
【化27】


18
【0226】
乾燥THF(6mL)中の化合物17(0.70g、2.96mmol)に、窒素雰囲気下でトリエチルアミン(0.826mL、5.92mmol、2.0等量)を添加し、この混合物を−10℃に冷却した。クロロギ酸エチル(0.283mL、2.96mmol、1.0等量)を添加し、この反応混合物を−10℃でさらに15分間撹拌した。ジメチルアミン塩酸塩(0.724g、8.88mmol、3.0等量)、蒸留水(1mL)、トリエチルアミン(2.475mL、17.76mmol、6.0等量)及びTHF(2mL)の溶液を調製し、反応混合物に滴下した。この反応系を1.5時間で5℃まで温め、次いでさらに30分間室温で撹拌した。この混合物を飽和ブライン及び飽和NaCOの1:1溶液(50mL)中に注ぎ、次いでDCM(4×15mL)で抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて、得られた残渣を、0〜4%のEtOH/DCM勾配を使用するクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物18を得た(0.650g、2.47mmol、83%):
H NMR(CDCl)δ 7.45〜7.37(t,2H)、7.29〜7.23(t,1H)、7.02〜6.98(dd,J=3,J=3,1H)、3.75(s,3H)、2.91〜2.84(d,6H)、2.30〜2.25(t,J=15,3H)、1.70〜1.61(m,4H);
13C NMR(CDCl)δ 199.82(C,CO)、172.62(C,CONMe)、159.79(C,Ar)、138.36(C,Ar)、129.50(CH,Ar)、120.58(CH,Ar)、119.22(CH,Ar)、112.35(CH,Ar)、55.34(CH)、38.43(CH)、37.17(CH)、35.27(CH)、33.07(CH)、24.74(CH)、24.04(CH);
MS(FAB)m/z 264(M+1)。
【0227】
6−(3−メトキシフェニル)−N,N,6−トリメチルヘプタンアミド(19)
【0228】
【化28】


19
【0229】
乾燥DCM(4mL)を−30℃に冷却した。DCM中1Mの塩化チタン(1.52mL、1.52mmol、1.0当量)を添加し、その後ヘキサン中2Mのトリメチルアルミニウム(1.52mL、3.04mmol、2.0等量)を添加し、この混合物を−45℃で20分間撹拌した。化合物18(0.400g、1.52mmol)を乾燥DCM(4mL)中に溶解し、この混合物に滴下し、これを室温まで温め、一晩撹拌した。この反応混合物を水でクエンチし、これを次いでEtOAc(3×20mL)で抽出した。有機抽出物を乾燥し(MgSO)、濃縮して所望の生成物として19を得た(0.3616g、1.30mmol、85%):
H NMR(CDCl)δ 7.13〜7.08(t,J=15,1H)、6.84〜6.78(t,2H)、6.62〜6.59(dd,J=1.5,J=3,1H)、3.69(s,3H)、2.83〜2.80(d,J=9,6H)、2.15〜2.10(t,2H)、1.56〜1.43(m,4H)、1.19(s,6H)、1.06〜1.03(m,2H);
13C NMR(CDCl)δ 172.91(C,CONMe)、159.40(C,Ar)、151.24(C,Ar)、128.83(CH,Ar)、118.28(CH,Ar)、112.45(CH,Ar)、109.86(CH,Ar)、54.98(CH)、44.27(CH)、37.11(CH)、35.17(CH)、33.21(CH)、28.90(CH)、25.75(CH)、24.66(CH)。
【0230】
6−(3−ヒドロキシフェニル)−N,N,6−トリメチルヘプタンアミド(20)
【0231】
【化29】


20
【0232】
DCM中1Mの三臭化ホウ素(1.44mL、1.44mmol、2.0等量)を化合物19(0.200g、0.721mmol)に滴下し、この混合物を室温で2時間、窒素雰囲気下で撹拌した。この反応混合物を氷及び水(100mL)上に注ぎ、水層をDCM(3×20mL)で抽出した。有機抽出物を乾燥し(MgSO)、濃縮して生成物(20)を得た(0.175g、0.66mmol、91%):
H NMR(CDCl)δ 7.14〜7.08(t,1H)、6.86〜6.80(t,2H)、6.70〜6.66(dd,J=3,3,1H)、2.94〜2.92(d,J=6,6H)、2.26〜2.21(t,2H)、1.60〜1.50(m,4H)、1.23(s,6H)、1.17〜1.08(m,2H);
13C NMR(CDCl)δ 173.77(C,CONMe)、156.41(C,Ar)、151.25(C,Ar)、128.89(CH,Ar)、117.47(CH,Ar)、113.35(CH,Ar)、112.51(CH,Ar)、44.22(CH)、37.61(CH)、35.57(CH)、33.36(CH)、28.99(CH)、25.82(CH)、24.68(CH);
MS(FAB)m/z 264(M+1)。
【0233】
6−(4−ブロモ−3−ヒドロキシフェニル)−N,N,6−トリメチルヘプタンアミド(21)
【0234】
【化30】


21
【0235】
CCl(1mL)及び乾燥DCM(1.5mL)中の20(0.050g、0.19mmol)の溶液に、臭素(9.7μL、0.19mmol、1.0等量)を添加した。この反応混合物を30℃より低い温度で15分間撹拌した。溶媒を蒸発させて粗残渣を得た。溶離剤として%EtOH/DCMを使用するクロマトグラフィーによって、純粋な生成物21を得た(41.7mg、0.122mmol、64%):
H NMR(CDCl)δ 7.33〜7.30(d,J=9,1H)、7.15〜7.14(d,J=3,1H)、6.73〜6.69(dd,J=3,3,1H)、2.95〜2.91(d,J=12,6H)、2.28〜2.22(t,2H)、1.62〜1.56(m,4H)、1.23(s,6H)、1.13〜1.04(m,2H);
13C NMR(CDCl)δ 177.42(C,CONMe)、152.52(C,Ar)、150.65(C,Ar)、131.87(CH,Ar)、119.37(CH,Ar)、114.53(CH,Ar)、106.72(CH,Ar)、43.25(CH)、37.68(CH)、35.48(CH)、31.61(CH)、29.05(CH)、26.30(CH)、24.57(CH);
MS(ESP)m/z 340(M−1)。
【0236】
4−(2,3’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−N,N,6−トリメチルヘプタンアミド(VSN32)
【0237】
【化31】


VSN32
【0238】
化合物21(0.040g、0.120mmol)をトルエン(2mL)中に溶解し、2M NaCO水溶液を添加し(1mL)、この混合物を窒素バブリングした。パラジウム(テトラキス)トリフェニルホスフィン(0.0041g、0.012mmol、0.1等量)を添加し、この混合物をさらに5分間窒素バブリングした。最後に、EtOH(1mL)中の3−ヒドロキシフェニルボロン酸(0.0182g、0.132mmol、1.1等量)をこの反応混合物に添加した。この反応系を80℃で5時間撹拌し、その後、飽和ブライン及び飽和NaCOの1:1溶液(15mL)でクエンチした。トルエン(10mL)をこの反応混合物に添加し、分離した水層をEtOAc(3×15mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濃縮して粗生成物を得た(64.8mg)。DCM中0〜2%のEtOH勾配を使用するクロマトグラフィーにより、純粋な生成物VSN32を得た(2.45mg、0.0069mmol、6%):
H NMR(CDCl)δ 7.35〜7.25(m,2H)、7.17〜7.14(d,J=9,1H)、7.03〜7.00(dd,J=3,3,1H)、6.96〜6.94(t,2H)、6.86〜6.83(dd,J=3,3,1H)、2.96〜2.92(d,J=12,6H)、2.28〜2.23(t,2H)、1.61〜1.55(m,4H)、1.29(s,6H)、1.16〜1.08(m,2H);
MS(ESP)m/z 356.3(M+1)。
【0239】
4−(2,3’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−N,N,6−トリメチル−ヘプタンアミド(VSN32)の代替的合成
磁気スターラーバーを含むスクリューキャップ試験管に、6−(4−ブロモ−3−ヒドロキシフェニル)−N,N,6−トリメチルヘプタンアミド(21)(0.100g、0.43mmol)、Pd(OAc)(0.66mg、2mol%)12(2’6’ジメトキシビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン(2.4mg、2mol%)及び上記3−ヒドロキシフェニルボロン酸(0.059g、0.42mmol)並びにKPO(0.127g、0.66mmol)を充填した。この試験管をテフロン(登録商標)コートしたスクリューキャップで密封し、排気し、アルゴンで3回充填しなおした。次いで、乾燥トルエン(0.6mL)及び脱気した水(0.060mL)を添加し、テフロン(登録商標)コートしたスクリューキャップを迅速に置換した。この反応混合物を1000℃で1時間激しく撹拌した。次いでこの反応混合物を酢酸エチル(2mL)で希釈し、セライトの薄いパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮した。DCM中0〜2%のEtOH勾配を使用するクロマトグラフィーによって、純粋な生成物VSN32を得た(0.058g、0.16mmol、23.7%):
H NMR(CDCl)δ 7.35〜7.25(m,2H)、7.17〜7.14(d,J=9,1H)、7.03〜7.00(dd,J=3,3,1H)、6.96〜6.94(t,2H)、6.86〜6.83(dd,J=3,3,1H)、2.96〜2.92(d,J=12,6H)、2.28〜2.23(t,2H)、1.61〜1.55(m,4H)、1.29(s,6H)、1.16〜1.08(m,2H);
MS(ESP)m/z 356.3(M+1)。
【0240】
結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイは、CB受容体における活性の単純な測定を提供する。機能的活性について、輸精管アッセイ又は以下に記載するサイクリック3’,5’−アデノシン一リン酸(cAMP)アッセイを使用する。これらのアッセイは、ラット脳膜において、CB受容体アンタゴニスト[H]SR141716A(0.5nM)を使用して、文献から改変したプロトコルを用いて実施する。食事及び水に自由にアクセスさせた雄性Wistarラット(150〜200g)を使用した。簡潔に述べると、動物を頚椎脱臼によって屠殺し、小脳を氷冷0.25Mスクロース中に解剖した。ホモジネートを、Ultra-Turrax(商標)ホモジナイザーを使用して、氷冷50mM、pH7.4 HEPES(アッセイ)緩衝液中で小脳を懸濁することによって調製した。ホモジネートを、引き続いて45,000rpmで15分間4℃で遠心分離し、新たな氷冷アッセイ緩衝液中に再懸濁して、1mg/mLの湿重量の最終濃度にした。試験下の化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し、14mLのポリプロピレン試験管に移した。[H]SR141617A{0.1%v/vトリス(2−ブトキシエチル)ホスフェートを含むアッセイ緩衝液中に調製した約0.5nMの最終濃度}及び小脳膜(試験管1本当たり400μgの湿重量)を、0.5mLの最終容量で完全に混合し、37℃で1時間インキュベートした。これらの試験管をBrandel濾過装置に移し、5mLの氷冷アッセイ緩衝液を添加し、試験管内容物を、Whatman GF/Cグラスファイバーフィルタを介して減圧吸引した。さらに5mLの氷冷洗浄緩衝液を試験管に添加し、洗浄/減圧サイクルをさらに3回繰り返した。フィルタを、プラスチックのMini-PolyQ(商標)バイアルに移し、Picofluor(商標)液体シンチラントを添加し、放射能(dpm)をBeckman LS6000 Liquid Scintillation Counterを使用して定量した。特異的結合部位からの放射性リガンドの50%の置換を生じる競合リガンド(試験化合物)の濃度(IC50)を、Origin(商標)を使用して、化合物濃度(x軸、Mとしてlog10[x])に対する総結合リガンド(dpmとしてy軸)を、ロジスティック方程式y=a+b/[1+exp{−c(x−IC50)}]に当てはめることによって計算した。式中、a=下の漸近線、b=特異的結合及びc=傾き関数である。
【0241】
構造及び生物学的データ
以下の表1は、本発明の選択された化合物についてのIC50値及びLogBB値を示す。
【0242】
LogBB(Feher M, Sourial E and Schmidt J M (2000); A Simple Model for the Prediction of Blood-Brain Partitioning. Int J Pharm 201: pp 239-247)は、化合物の物理化学的特徴をその血液脳関門を通過する能力に関連付ける、経験的に誘導された方程式である。種々の方法がBBBの浸透を計算するために使用されてきた;これは、最良の予測方法の1つである。
【0243】
その方程式は以下である:
logBB=log(C/C血液
=0.4275−0.3873nacc,solv+0.1092logP−0.0017Apol
(n=61、r=0.730、q=0.688、rmse=0.424、F=51、P<0.001)
acc,solv:水素結合アクセプターの数
logP:計算したオクタノール−水分配係数
pol:極性表面積
【0244】
【表1】



【0245】
神経障害性疼痛
痛覚過敏を、国際公開第03/066603号に記載されたモデルに従ってアッセイした。
【0246】
末梢作用を有するCB1アゴニストとしての検証
生体外放射リガンド結合の研究
放射リガンド結合アッセイ[Ross,R.A. et al, Br.J.Pharmacol. 1999, 128, 735-743]を、脳及び脾臓膜内のCB受容体アンタゴニスト[3H]SR141716A(0.5nM)又は[3H]CP55940(0.5nM)を用いて実施する。アッセイは、1mg/mL BSAを含有するアッセイ緩衝剤中で行い、このときの全アッセイ体積は500μLである。結合は、膜の添加(100μg)によって開始する。0.1% DMSOというビヒクル濃度を、全体を通して一定に保つ。アッセイは、37℃で60分間実施し、その後、氷冷洗浄緩衝液(50mM トリス緩衝液、1mg/mL BSA)を添加し、12ウェルサンプリングマニホールド(Brandel Cell Harvester)及び洗浄緩衝液中に4℃で24時間浸漬させたWhatman GF/Bガラスファイバーフィルタを使用して真空濾過することにより、終了する。各反応チューブを、4mLという一定分量の緩衝液で5回洗浄する。フィルタを、60分間オーブン乾燥し、次いで5mLのシンチレーション流体(Ultima Gold XR, Padkard)中に置き、液体シンチレーション分光分析によって放射能を定量する。特異的結合は、1μMの非標識リガンドが存在し、また存在しない状態で生じた結合の差として定義され、脳内及び脾臓内で結合された全放射リガンドは、それぞれ71%及び40%である。特異的結合部位からの放射リガンドの50%置換(IC50)をもたらす競合リガンド(試験化合物)の濃度は、GraphPad Prism(GraphPad Software社製、San Diego)を使用して計算する。阻害定数(Ki)値は、Cheng & Prusoffの方程式を使用して計算する[Cheng, Y.及びPrusoff,W.H., Biochem, Pharmacol. 1973, 22, 3099-3108]。
【0247】
生体外カンナビノイド受容体調節活性
化合物を、マウス輸精管製剤[Ward S, Mastriani D, Casiano F及びArnold R (1990) J Pharmacol Exp Ther 255:1230-1239]を使用して、カンナビノイド調節能力に関して評価し、それによって、アゴニストの可能性を常に反映するとは限らない簡単な受容体結合ではなくて、CBアゴニストの証拠が提供される。
【0248】
化合物VSN13についての結果を図5に示す。より詳細には、このグラフは、上記のように電気的に刺激した前収縮マウス輸精管に対する収縮の%阻害対log10[濃度](M)を示している。このグラフはまた、観察されたCBアゴニズムがCBアンタゴニストSR141617Aによって阻害できることを示している。
【0249】
生体内末梢CB受容体活性化
上部胃腸通過
胃腸通過は、チャコール法を使用して測定する。マウスに、0.1mL(10g/マウス)の黒色マーカー(5%アラビアガムに懸濁させた、10%チャコール懸濁液)を経口的に与え、20分後に、COでマウスを窒息死させ、小腸を取り出す。マーカーが移動した距離を測定し、幽門から盲腸までの小腸の全長に対するパーセンテージとして表す[Izzo,A.A. et al, Br.J.Pharmacol. 2000, 129, 1627-1632]。カンナビノイドアゴニストは、チャコールを投与する30分前に与える。
【0250】
結腸推進試験
遠位結腸推進を、Pinto et al[Gastroenterology 2002, 123, 227-234]に従って測定する。カンナビノイド薬物を投与してから30分後、1個の3mmガラスビーズを、各マウスごとに、遠位結腸に2cm挿入する。ガラスビーズの排出に必要とされる時間を、各動物ごとに決定した。平均排出時間が長いほど、結腸推進をより強力に阻害することの指標になる。
【0251】
末梢活性カンナビノイドの向精神活性
多くのCBアゴニストは、中枢CB受容体への結合により、向精神性に関連した「4組効果」を誘発することが知られている[Howlett,A.C. et al, International Union of Pharmacology. XXVII, Pharmacol. Rev. 2002, 54, 161-202]。研究は、本発明の化合物も中枢CB受容体に結合するか否かを調査するために着手した。これは、化合物が、静脈内、腹腔内、及び経口投与された後、正常なマウスにおいて鎮静、下垂症、低運動性、カタレプシー、及び低体温症を誘発する能力を測定することにより、評価する[Brooks,J.W. et al, Eur. J. Pharmacol. 2002, 439, 83-02]。
【0252】
CBアゴニズムの生物学の予備的特徴付け
末梢活性カンナビノイドの侵害受容活性
末梢では、CBで媒介された侵害受容の証拠がある[Fox,A. et al, Pain 2001, 92, 91-100]。したがって、部分坐骨神経結紮に関する研究を、ラット及びノックアウトマウスで着手した。
【0253】
痙攣の評価
さらなる研究は、CB、CB、VR−1、FAAH、及び条件的CBノックアウトマウスを含めたカンナビノイドノックアウトマウスを使用して着手した。痙攣は、ABH(3〜4回の疾患の発作の後、80日以内で、動物の50〜60%に著しい痙攣が生ずる)又はABH.CB1-/-(1〜2回の疾患の発作の後、30〜40日以内で、動物の80〜100%に著しい痙攣が生ずる)で誘発させることができる。化合物を、初めに静脈内(初回通過効果を制限するため)、腹腔内、又は経口的に注入する。痙攣は、歪みゲージを使用して、後肢屈曲に対する抵抗力により評価する(n=6〜7/グループ)[Baker,D. et al, Nature 2000, 404, 84-87]。動物を、それ自体の対照として役立て、2つ一組にして分析を行う。動物の数、労力、及び費用を減らすため、薬物を用いない期間の後(痙攣は24時間以内に戻る)、これらの動物に、異なる用量及び/又はビヒクルを与える。低用量のCBアゴニスト及びCNS活性CP55,940を、対照として、痙攣性ABHマウスに局所(皮下、筋肉内)投与し、対側肢における活性の欠如を分析する[Fox,A. et al, Pain 2001, 92, 91-100]。CB媒介型侵害受容に対する非CNS部位である、後根神経節も含めた末梢神経系におけるCBの発現は、ペリフェリン−Creトランスジェニックマウスを使用して除去することができる[Zhou,L. et al, FEBS Lett. 2002, 523, 68-72]。これらの条件的KOマウスは、C57BL/6バックグラウンド上で維持される。これらのマウスは、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質残基35〜55ペプチドの誘発後、EAEを発症する[Amor,S. et al, J. Immunol. 1994, 153, 4349-4356]。
【0254】
化合物VSN13についての結果を図6に示す。より具体的には、図6は、Baker et al [Nature 2000, 404, 84-87]によって記載された方法に従い、後肢屈曲に必要な力対注射後の時間を示している。
【0255】
正常及びCREAEマウスでの生体内評価
CNSを除外した化合物は、カンナビノイド抗痙攣作用の成分が末梢CB受容体を介して媒介されるかどうか、試験をするためのツールを提供する。上述のように、痙攣の抑制において、末梢カンナビノイド受容体には確立された役割が無いが、痙攣は、少なくともEAEでは脊髄の神経損傷の現れである可能性があり[Baker,D. et al, FASEB J. 2001, 15, 300-302; Baker,D. et al, J.Neuroimmunol. 1990, 28, 261-270]、筋系への、及び筋系からの異常なシグナルは、少なくとも部分的に、痙縮で生ずる筋肉痙攣に寄与する可能性がある。
【0256】
記述された本発明の方法の、様々な変更例及び変形例は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者に明らかにされよう。本発明を、特定の好ましい実施形態に関して述べてきたが、化学又は関係する分野の当業者に明らかな、本発明を実施するために記述された形態の様々な変更例は、以下の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0257】
【図1】ナビロン及び本発明の選択された化合物が、ラット小脳ホモジネートから[H]SR141716Aの結合を置換する能力を示す図である。このグラフは、総結合(dpm)対Log10[濃度](M)を示している。
【図2】ラット小脳ホモジネートから[H]SR141716Aの結合を置換する、化合物VSN26についてのIC50値の測定を示す。このグラフは、総結合(dpm)対Log10[濃度](M)を示している。
【図3】ラット小脳ホモジネートから[H]SR141716Aの結合を置換する、化合物VSN27及びナビロンについてのIC50値の測定を示す。このグラフは、総結合(dpm)対Log10[濃度](M)を示している。
【図4】Pertwee et al及びWard et al [Pertwee RG, Gibson T M, Stevenson L A, Ross R A, Banner W K, Saha B, Razdan R K and Martin B R (2000) O-1057, a Potent Water-Soluble Cannabinoid Receptor Agonist With Antinociceptive Properties. Br J Pharmacol 129: pp 1577-1584; Ward S, Mastriani D, Casiano F and Arnold R (1990) Pravadoline: profile in isolated tissue preparations. J Pharmacol Exp Ther 255:1230-1239]に記載されたとおり電気的に刺激した前収縮マウス輸精管に対する、化合物VSN13(n=7)及びVSN14(n=7)の効果を示す図である。このグラフは、化合物VSN13及びVSN14についての、Log10[濃度](M)に対する収縮の%阻害を示している。
【図5】化合物VSN13についてマウス輸精管を使用したインビトロCBアゴニズムを示す図である。より詳細には、このグラフは、上記のように電気的に刺激した前収縮マウス輸精管に対する収縮の%阻害対Log10[濃度](M)を示している。このグラフはまた、観察されたCBアゴニズムがCBアンタゴニストSR141617Aによって阻害できることも示している。
【図6】インビボの痙攣におけるVSN13の阻害効果を示す図である。より詳細には、図6は、Baker et al [Nature 2000, 404, 84-87]によって記載された方法に従って、後肢屈曲に必要な力対注射後の時間を示している。VSN13は、有害な大麻類似性効果を示さないが、鎮痙性である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又は医薬品として許容されるその塩
【化1】


I
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZ(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である)から選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく;
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6であり;
前記化合物は、3’,5’−ジメチル−4−(1,1−ジメチルヘプチル)−1,1’−ビフェニル−2−オールではない)。
【請求項2】
Xが、任意選択で置換されたフェニル基、又は任意選択で置換されたピリジル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、任意選択で置換されたフェニル基、又は任意選択で置換されたピリジン−3−イル基若しくはピリジン−4−イル基である、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
nが0又は1である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Zが、ハロ、アルキル、NHCOR11及びOHから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
11及びR15のそれぞれが独立にアルキルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
〜R11のそれぞれが独立に、H又はアルキルである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
Zが、クロロ、メチル、NHCOMe又はOHである、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
フェニル基又はピリジル基が、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、メチル、ヒドロキシメチル及びアセトアミドから選択される1つ又は複数の置換基によって置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
Xが、フェニル、3,5−ジクロロ−フェニル、3,5−ジメチルフェニル、3−ヒドロキシフェニル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、3−ヒドロキシメチルフェニル及び3−アセトアミドフェニルから選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
Yがアルキル基又はCONRである、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
及びRのそれぞれが独立にH又はアルキルである、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
Yがエチル基又はCONMeである、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
nが1〜4である、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
nが4である、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
及びRのそれぞれが独立にアルキルである、請求項1〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
及びRが共にメチルである、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物。
【化2】

【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の化合物、及び医薬品として許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
筋疾患を治療するための薬物の調製における、式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用
【化3】


Ia
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)。
【請求項20】
筋疾患が神経筋疾患である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
痙攣及び振戦を制御するための薬物の調製における、式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用
【化4】


Ia
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)。
【請求項22】
胃腸障害を治療するための薬物の調製における、式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用
【化5】


Ia
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)。
【請求項23】
胃腸障害が胃潰瘍である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
胃腸障害がクローン病である、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
胃腸障害が分泌性下痢である、請求項22に記載の使用。
【請求項26】
胃腸障害が麻痺性イレウスである、請求項22に記載の使用。
【請求項27】
神経障害性疼痛を治療するための薬物の調製における、式Iaの化合物、又は医薬品として許容されるその塩の使用
【化6】


Ia
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)。
【請求項28】
化合物が、末梢CB受容体を選択的に調節する、請求項19〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
化合物が、中枢CB受容体より末梢CB受容体を選択的に調節する、請求項19〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項30】
化合物が、実質的に末梢CB受容体にのみ結合する、請求項19〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項31】
化合物がCB受容体アゴニストである、請求項19〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項32】
化合物が、中枢CB受容体に実質的に作用しない、請求項19〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項33】
化合物が、CNSから実質的に排除される、請求項19〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項34】
末梢CB受容体の調節に関連した障害を治療する方法であって、その治療を必要とする被験体に、治療上有効な量の式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩を投与することを含む方法。
【化7】


Ia
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)
【請求項35】
障害が、末梢CB受容体の非活性化に関連する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
化合物が、中枢CB受容体に実質的に作用しない、請求項34又は請求項35に記載の方法。
【請求項37】
化合物が、実質的に末梢CB受容体にのみ結合する、請求項34〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
化合物が、CNSから実質的に排除される、請求項34〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
被験体において末梢CB受容体を阻害する方法であって、被験体に、式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩を投与することを含む方法。
【化8】


Ia
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)
【請求項40】
末梢CB受容体のモジュレーターとしての、式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩の使用
【化9】


Ia
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)。
【請求項41】
末梢CB受容体を調節することが可能なその他の化合物を同定するためのアッセイにおける、式Iaの化合物又は医薬品として許容されるその塩の使用
【化10】


Ia
(式中、R及びRのそれぞれは独立にH又はアルキルであり;
Yは、アルキル基、CONR、COORSONR1617、NHSO18又はCNであり;
Xは、アリール基又はヘテロアリール基であり、このそれぞれは(CHZから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されていてもよく(式中、Zは、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR、CN、NR、COOR10又はNHCOR11であり、且つmは0〜3である);
〜R11のそれぞれは独立に、H、アルキル又はアリールであり(前記アルキル基及びアリール基は、ハロゲン、OH、CN、アルキル、アルコキシ、NO、CF、CONR1213、CN、NH、COOR14、NHCOR15及びCNから選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている);
12〜R18のそれぞれは独立に、H又はアルキルであり;
nは1〜6である)。
【請求項42】
アッセイが競合結合アッセイである、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
式Iaの化合物の調製のための方法であり、
【化11】


(i)式IIの化合物を式BrMg(CHYの化合物と反応させて、式IIIの化合物を形成するステップと、
(ii)式IIIの前記化合物を式IVの化合物に変換するステップと、
(iii)式IVの前記化合物を臭素化して式Vの化合物を形成するステップと、
(iv)式Vの前記化合物を式Iaの化合物に変換するステップと
を含む方法。
【請求項44】
式Iaの化合物を調製するための方法であり、
【化12】


(i)式VIの化合物を式Cl(CO)(CH(CO)OMeの化合物と反応させて、式VIIの化合物を形成するステップと、
(ii)式VIIの前記化合物を式VIIIの化合物に変換するステップと、
(iii)式VIIIの前記化合物を臭素化して、式IXの化合物を形成するステップと、
(iv)式IXの前記化合物を式Iaの化合物に変換するステップと
を含む方法。
【請求項45】
式Iaの化合物が
【化13】


から選択される、請求項19、21、22、27、40又は41のいずれかに記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−524196(P2008−524196A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546201(P2007−546201)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004990
【国際公開番号】WO2006/067450
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(505367464)ユーシーエル ビジネス ピーエルシー (20)
【Fターム(参考)】