説明

モジュールの取付け構造

【課題】本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、小型化、放熱性の向上、およびシールド効果を有し、取付け作業の効率を向上させることが可能なモジュールの取付け構造を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によるモジュールの取付け構造は、開口部6を有し電子回路が形成される制御基板5と、制御基板5の一方主面側において開口部6の位置に配置され、電子回路の一部を構成するモジュール1と、モジュール1の表面全体を覆うようにあるいは前記表面のうちの複数面上に形成された放熱基板3と、制御基板5の他方主面側において、開口部6を介してモジュール1表面の放熱基板3と接するように配置された放熱ブロック2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール、電子部品モジュール等のモジュールの取付け構造に関し、特に、制御基板への取付けに特徴を有するモジュールの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モジュールの取付け構造は、モジュールと制御基板とを電気的に接続するためにモジュールから突出して設けられたリード端子を備えており、リード端子はモジュールと制御基板とが所定の空間を保持するように、制御基板に設けられたスルーホールに挿入して取り付けられていた。また、モジュールの制御基板とは反対の側には放熱板が接触して設けられており、モジュールにて生じた熱を放熱板によって放熱していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−252198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来のモジュールの取付け構造では、制御基板とモジュールとの間にある程度の空間を確保する必要があり、取付け構造全体の小型化が難しかった。また、制御基板に取付けられる他の部品は制御基板上に形成された配線パターンにはんだ付けされていたが、モジュールのみリード端子を制御基板のスルーホールに挿入してはんだ付けされており、モジュールと他の部品との制御基板への取付け方法が異なるため、取付け作業の効率が悪かった。また、放熱板がモジュールの片側面にのみ設けられているためモジュールの放熱性に限界があり、取付け構造の全体的な熱容量が制約となって、モジュール内に備えられた例えば半導体チップの電流耐量を上げることが困難であった。また、モジュール自体にシールド効果がないため、モジュールの周辺にノイズ等の原因となる部品が搭載されると当該部品から生じるノイズの影響を受けてモジュールが誤動作する可能性があった。
【0005】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、小型化、放熱性の向上、およびシールド効果を有し、取付け作業の効率を向上させることが可能なモジュールの取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明によるモジュールの取付け構造は、開口部を有し電子回路が形成される制御基板と、制御基板の一方主面側において開口部の位置に配置され、電子回路の一部を構成するモジュールと、モジュールの表面全体を覆うように形成された放熱基板と、制御基板の他方主面側において、開口部を介してモジュール表面の放熱基板と接するように配置された第1の放熱ブロックとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、開口部を有し電子回路が形成される制御基板と、制御基板の一方主面側において開口部の位置に配置され、電子回路の一部を構成するモジュールと、モジュールの表面全体を覆うように形成された放熱基板と、制御基板の他方主面側において、開口部を介してモジュール表面の放熱基板と接するように配置された第1の放熱ブロックとを備えるため、小型化、放熱性の向上、およびシールド効果を有し、取付け作業の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1によるモジュールの取付け構造の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1によるモジュールの取付け構造の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2によるモジュールの取付け構造の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態3によるモジュールの取付け構造の構成の一例を示す図である。
【図5】前提技術によるモジュールの取付け構造の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面に基づいて以下に説明する。
【0010】
まず、本発明の前提となる技術(前提技術)について説明する。
【0011】
〈前提技術〉
図5は、前提技術によるモジュール1の取付け構造の構成の一例を示す図である。図5に示すように、モジュール1のリード端子4は、制御基板5のスルーホールに挿入して取付けられており、モジュール1と制御基板5との間には所定の空間容量が確保されている。また、モジュール1の制御基板5とは反対側には、放熱基板3および放熱ブロック2が備えられている。しかし、図5に示すようなモジュール1の取り付け構造では、上述のような問題(発明が解決しようとする課題参照)があった。本発明は、そのような問題を解決するためになされたものであり、以下に詳細を説明する。
【0012】
〈実施形態1〉
図1は、本実施形態1によるモジュール1の取付け構造の構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態1によるモジュール1の取付け構造は、開口部6を有し電子回路が形成される制御基板5と、制御基板5の一方主面側において開口部6の位置に配置され、電子回路の一部を構成するモジュール1と、モジュール1の制御基板5側の表面に形成された放熱基板3と、制御基板5の他方主面側において、開口部6を介してモジュール1の表面に形成された放熱基板3と接するように配置された放熱ブロック2(第1の放熱ブロック)とを備えている。また、モジュール1のリード端子4は、制御基板5のスルーホール(穴部)に挿入してはんだ付けにより取付けられている。
【0013】
図1に示すようなモジュール1の取付け構造にすることによって、モジュール1と制御基板5との空間容量をなくすことができるため、取付け構造全体を小型化することができる。また、放熱ブロック2と制御基板5とを一体型にすることができる。また、制御基板5に開口部6を設けることによって、リード端子4を制御基板5にはんだ付けする前に、モジュール1を予め制御基板5に固定することができ、リード端子4の取付け位置がずれる等の取付け精度の低下を防ぐことができる。
【0014】
また、図2は、本実施形態1によるモジュール1の取付け構造の構成の他の例を示す図である。図2に示すモジュールの取付け構造は、モジュール1のリード端子4の先端を折り曲げて制御基板5上ではんだ付けにより取付けられていることを特徴としている。その他の構成は、図1に示すモジュールの取付け構造と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0015】
図2に示すようなモジュール1の取付け構造にすることによって、従来はモジュールのリード端子のみ制御基板のスルーホールに挿入してはんだ付けを行っていたが(例えば、図5参照)、他の部品と同様に制御基板5上に形成された配線パターンにはんだ付けすることができる。すなわち、他の部品との制御基板5への取付け方法が同じ(共通)であるため、取付け作業の効率を向上させることができる。
【0016】
〈実施形態2〉
図3は、本発明の実施形態2によるモジュール1の取付け構造の構成の一例を示す図である。図3に示すように、本実施形態2によるモジュール1の取付け構造は、放熱基板3がモジュール1の表面全体を覆うように形成されていることを特徴としている。その他の構成は、実施形態1の図2に示す構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0017】
図3に示すようなモジュール1の取付け構造にすることによって、モジュール1にて生じた熱は、図1,2に示すような放熱ブロック2からだけでなく、モジュール1の表面全体から放熱することができる。また、モジュール1にシールド効果を持たせることができ、モジュール1の周辺にノイズ等の原因となる部品が配置されていても、モジュール1をノイズから保護することができる。
【0018】
なお、本実施形態2において、放熱基板3は、モジュール1の表面全体を覆うように形成されているが、モジュール1の内部から外部へ引き出す配線や構成に従って、放熱ブロック2と接する面を含む4面に形成するロの字型、放熱ブロック2と接する面を含む3面に形成するコの字型、放熱ブロック2と接する面と当該面に対向する面とに形成する二の字型としてもよく、スリット構造としてもよい。また、シールド効果を持たせることができ、放熱基板3をグランドに接続することも可能である。
【0019】
〈実施形態3〉
図4は、本発明の実施形態3によるモジュール1の取付け構造の構成の一例を示す図である。図4に示すように、本実施形態3によるモジュールの取付け構造は、モジュール1の表面に形成された放熱基板3上であって、モジュール1を間に介して放熱ブロック2(第1の放熱ブロック)と対向する位置に配置された放熱ブロック8(第2の放熱ブロック)を備えることを特徴としている。また、モジュール1は半導体モジュールであって、当該モジュール1のリード端子4は、モジュール1内に設けられた半導体チップ7の上面および下面の電極に直接接続されることを特徴としている。その他の構成は、実施形態2の図3に示す構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0020】
図4に示すように、モジュール1の内部には動作時に熱を生じる半導体チップ7が設けられている。半導体チップ7にて生じた熱は、当該半導体チップ7の上面および下面に直接接続されたリード端子4を介して放熱基板3に伝導して放熱されるとともに、放熱基板3に接するように配置された放熱ブロック2および放熱ブロック8からも放熱される。
【0021】
図4に示すようなモジュール1の取付け構造にすることによって、半導体チップ7にて生じた熱を半導体チップ7の上面および下面に直接接続されたリード端子4を介して放熱基板3から放熱させ、さらに、放熱基板3を介して放熱ブロック2および放熱ブロック8から放熱させるため、モジュール1全体の放熱性を向上させることができ、半導体チップ7の電流耐量を上げることができる。
【0022】
なお、本実施形態3では、半導体チップ7の上面および下面にリード端子4を直接接続しているが、例えば半導体チップ7の下面にのみリード端子4が直接接続されている場合は、半導体チップ7の上面側を覆う樹脂等による熱伝導により放熱を行うものとする。また、放熱ブロック2および放熱ブロック8は固定ネジで制御基板5に固定し、固定された放熱ブロック2および放熱ブロック8によりシールド効果を持たせることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 モジュール、2 放熱ブロック、3 放熱基板、4 リード端子、5 制御基板、6 開口部、7 半導体チップ、8 放熱ブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し電子回路が形成される制御基板と、
前記制御基板の一方主面側において前記開口部の位置に配置され、前記電子回路の一部を構成するモジュールと、
前記モジュールの表面全体を覆うようにあるいは前記表面のうちの複数面上に形成された放熱基板と、
前記制御基板の他方主面側において、前記開口部を介して前記モジュール表面の前記放熱基板と接するように配置された第1の放熱ブロックと、
を備える、モジュールの取付け構造。
【請求項2】
前記モジュール表面の前記放熱基板上であって、前記モジュールを間に介して前記第1の放熱ブロックと対向する位置に配置された第2の放熱ブロックをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のモジュールの取付け構造。
【請求項3】
前記モジュールのリード端子は、前記制御基板の穴部に挿入して取付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュールの取付け構造。
【請求項4】
前記モジュールのリード端子は、当該リード端子の先端を折り曲げて前記制御基板の前記一方主面上に取付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載のモジュールの取付け構造。
【請求項5】
前記モジュールのリード端子は、前記モジュール内に設けられた半導体チップの上面および下面に直接接続されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のモジュールの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−38119(P2013−38119A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170736(P2011−170736)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】