モジュールの製造方法
【課題】本発明は特性の信頼性の良好なモジュールを提供する。
【解決手段】樹脂基板22に実装された半導体素子24が埋設された樹脂部25と、この樹脂部25の表面を覆うシールド金属膜26とを有した高周波モジュール21の製造方法であり、樹脂槽63の上方に半導体素子24が下方を向く方向で樹脂基板22を載置し、樹脂槽63へ投入された樹脂25aが流動可能となるまで軟化させる軟化工程71と、樹脂基板22下面を樹脂25aの液面へ接触させる浸漬工程72と、樹脂25aを樹脂基板22と半導体素子24との間の隙間へ強制的に流入させる圧縮流入工程73と、樹脂25aを硬化する硬化工程74と、シールド金属膜26を形成する工程とを有し、このシールド金属膜26を形成する工程ではスパッタによって樹脂部25の表面に金属薄膜を形成する。これにより、樹脂部25内の残留応力を小さくでき、シールド金属膜26のストレスを小さくできる。
【解決手段】樹脂基板22に実装された半導体素子24が埋設された樹脂部25と、この樹脂部25の表面を覆うシールド金属膜26とを有した高周波モジュール21の製造方法であり、樹脂槽63の上方に半導体素子24が下方を向く方向で樹脂基板22を載置し、樹脂槽63へ投入された樹脂25aが流動可能となるまで軟化させる軟化工程71と、樹脂基板22下面を樹脂25aの液面へ接触させる浸漬工程72と、樹脂25aを樹脂基板22と半導体素子24との間の隙間へ強制的に流入させる圧縮流入工程73と、樹脂25aを硬化する硬化工程74と、シールド金属膜26を形成する工程とを有し、このシールド金属膜26を形成する工程ではスパッタによって樹脂部25の表面に金属薄膜を形成する。これにより、樹脂部25内の残留応力を小さくでき、シールド金属膜26のストレスを小さくできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上に実装された電子部品が樹脂で覆われ、前記電子部品によって構成された回路がシールドされたモジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のモジュール1について図面を用いて説明する。図10は、従来のモジュール1の断面図であり、図11は同、モジュール1の製造フローチャートである。図10、図11において、プリント基板2は、熱硬化性の樹脂基板であり、このプリント基板2の上面に電子部品3が実装されている。なお、電子部品3は半導体素子であり、半導体素子とプリント基板2との間は、ワイヤボンディングによって接続されている。ここで、プリント基板2上には、半導体素子以外の電子部品3も装着され、これら電子部品3によって高周波回路が形成されている。プリント基板2の上面には樹脂部4が形成され、この樹脂部4内には電子部品3が埋設されている。そして、プリント基板2の上面の周端部には高周波回路のグランドと接続された接続パターン5が形成されている。
【0003】
シールド膜6は厚膜導体であり、この樹脂部4の上面と側面ならびにプリント基板2の側面の一部を覆うように形成されている。ここで、接続パターン5はプリント基板2の上面に設けられ、その端部が樹脂部4の側面から露出するように設けられ、この露出部でシールド膜6と電気的に接続している。
【0004】
次に、以上のような従来のモジュール1の製造方法について説明する。実装工程11では、プリント基板2が複数個連結された状態で、それぞれのプリント基板2上に電子部品3を実装する。トランスファ成型工程12は、実装工程11の後でプリント基板2の上面に、電子部品3を覆うように樹脂部4を形成する工程である。ここで、樹脂部4を形成する樹脂4aには、熱硬化性の樹脂が用いられている。
【0005】
接続パターン露出工程13は、トランスファ成型工程12の後で、プリント基板2同士が連結された位置に凹部を形成し、樹脂部4の側面から接続パターン5が露出するようにする。導体ペースト印刷工程14は、接続パターン露出工程13の後で、樹脂部4の上面に導電性ペースト6aを塗布し、硬化する。なお、このときに、導電性ペースト6aが凹部内にも埋め込まれる。そしてこれによりシールド膜6が形成される。
【0006】
分割工程15は、導体ペースト印刷工程14の後でプリント基板2同士の連結部を切断する工程である。この工程では、硬化した導電性ペースト6aとプリント基板2とが、ダイシング回転歯などによって切断され、モジュール1が完成する。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−172176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のモジュール1においてシールド膜6は、導電性ペースト6aを印刷によって形成したものであるので、膜内にボイドやピンホールなどが生じ易くなる。また、樹脂部4の側面部のシールド膜6は、分割工程15において切断されるので、切断によるシールド膜6の欠損などが生じ易くなる。また樹脂部4はトランスファ成型によって形成されるので、内部応力(残留応力)が生じ易く、場所によってはシールド膜6に対し大きな応力が加わる箇所が発生する可能性も有している。
【0010】
そしてこれらのことより、シールド膜6に欠損やクラックなどが生じ、その箇所より水分が浸入して、樹脂部4が吸湿し、回路の特性を変化させてしまい易くなる。そして、特に高周波回路においては、この吸湿によって樹脂部4の誘電率が変化するので、高周波特性への影響は非常に顕著である。
【0011】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、信頼性が良好なモジュールを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために複数個の前記樹脂基板が連結部で連結された状態で、前記樹脂基板の上面に前記電子部品を装着して前記樹脂基板上に回路を形成し、その後で樹脂槽の上方に電子部品が下方を向く方向で樹脂基板を載置し、前記樹脂槽へ投入された非流動状態の前記樹脂が流動可能となるまで軟化させるとともに、前記樹脂基板と前記樹脂との間に形成される空間の空気を吸引し、その後で前記電子部品を前記軟化した樹脂へ浸漬するとともに、前記基板下面を前記樹脂の液面へ接触させ、その後で前記樹脂を圧縮して、前記樹脂を前記樹脂基板と前記電子部品との間の隙間へ強制的に流入させ、その後で前記樹脂を硬化して前記樹脂基板上に前記樹脂部を形成し、その後でシールド金属膜を形成する工程を設け、このシールド金属膜を形成する工程ではスパッタによって前記樹脂部の表面に薄膜を形成するものである。これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、樹脂基板と、この樹脂基板上に装着された電子部品と、この電子部品が埋設されるとともに、前記樹脂基板の少なくとも上面に形成された樹脂部と、この樹脂部の表面を覆うシールド金属膜とを有し、前記電子部品によって前記樹脂基板上に回路が形成されたモジュールの製造方法において、複数個の前記樹脂基板が連結部で連結された状態で、前記樹脂基板の上面に前記電子部品を装着して前記樹脂基板上に回路を形成し、その後で樹脂槽の上方に電子部品が下方を向く方向で樹脂基板を載置し、前記樹脂槽へ投入された非流動状態の前記樹脂が流動可能となるまで軟化させるとともに、前記樹脂基板と前記樹脂との間に形成される空間の空気を吸引し、その後で前記電子部品を前記軟化した樹脂へ浸漬するとともに、前記基板下面を前記樹脂の液面へ接触させ、その後で前記樹脂を圧縮して、前記樹脂を前記樹脂基板と前記電子部品との間の隙間へ強制的に流入させ、その後で前記樹脂を硬化して前記樹脂基板上に前記樹脂部を形成し、その後でシールド金属膜を形成する工程を設け、このシールド金属膜を形成する工程ではスパッタによって前記樹脂部の表面に薄膜を形成するモジュールの製造方法であり、これにより欠損やピンホールなどの少ない緻密なシールド金属膜を形成でき、信頼性の良好なモジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態における高周波モジュールの断面図
【図2】同、高周波モジュールの製造フローチャート
【図3】同、樹脂部形成装置の概略断面図
【図4】同、樹脂部形成工程の製造フローチャート
【図5】同、樹脂基板搭載工程における樹脂部形成装置の断面図
【図6】同、浸漬工程における樹脂部形成装置の断面図
【図7】同、圧縮流入工程における樹脂部形成装置の断面図
【図8】同、他の例の高周波モジュールの断面図
【図9】同、他の例の高周波モジュールの製造フローチャート
【図10】従来の高周波モジュールの断面図
【図11】同、高周波モジュールの製造フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態における高周波モジュール21(モジュールの一例として用いている)について説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における高周波モジュール21の断面図である。なお図1において、図6と同じものには同じ番号を用い、その説明は簡略化している。図1において、樹脂基板22は、ガラス・エポキシ基材の多層基板であり、本実施の形態における樹脂基板22には厚みが0.2mmの4層基板を用いている。
【0017】
この樹脂基板22上には、はんだ23によって半導体素子24(電子部品の一例として用いた)やチップ部品(図示せず)が、実装されている。ここで本実施の形態において半導体素子24は、厚みが0.35mmのチップサイズパッケージによる半導体であり、はんだバンプによって樹脂基板22へフェイスダウンの状態でフリップチップ実装されている。なお、本実施の形態において、バンプ間のピッチが約0.25mmであるので、バンプ間の隙間は約0.12mmであり、半導体素子24と樹脂基板22との間の間隔は、約0.12mmである。またチップ部品と樹脂基板22との間の間隔は、約0.08mmである。
【0018】
ここで、半導体素子24には高周波回路の一部が形成されており、この半導体素子24やチップ部品(図示せず)などが樹脂基板22へ実装されることによって、樹脂基板22上に高周波回路(例えば受信回路や送信回路など)が形成されている。なお、本実施の形態において半導体素子24ははんだバンプによって樹脂基板22へ接続されているが、これは半導体素子24にスタッドバンプなどを形成し、ACFやACPあるいはNCFやNCPなどによって樹脂基板22へ実装しても構わない。
【0019】
樹脂部25は、樹脂基板22の上面側に形成され、半導体素子24やチップ部品などが埋設されている。なお、本実施の形態における樹脂部25には、熱硬化性樹脂を用いている。そして、シールド金属膜26は、樹脂部25の表面(上面と4側面全体)を覆うように形成されている。ここで、シールド金属膜26は、厚みが約1マイクロメートルのスパッタによる薄膜であるので、非常に薄くかつ緻密な(ピンホールなどの少ない)膜が形成できる。さらに、シールド金属膜26は導電性の良好な銅を用いている。したがって、シールド性が良好であり、妨害などに強い高周波モジュール21を実現できる。
【0020】
ここで、樹脂基板22にはグランドパターン27が形成されている。このグランドパターン27は樹脂基板22の周縁部にまで導設されており、樹脂基板22の側面には、グランドパターン27の露出部が形成される。そして、この露出部において、グランドパターン27とシールド金属膜26とが接続される。なお、本実施の形態においてグランドパターン27は、内層に設けられているが、これは、表層であっても構わない。ただし、可能な限りグランドパターン27とシールド金属膜26との接続は、内層によって行うことが望ましい。これはグランドパターン27が金属であるので樹脂部25に対する密着力が小さく、グランドパターン27の露出部を樹脂基板22の表層に設けると、後述する分割工程53などにおいてグランドパターン27と樹脂部25との間の界面で剥離などが生じやすくなるためである。そしてこのようにグランドパターン27の露出部を樹脂基板22の内層に設けることにより、たとえ1マイクロメートルの厚みのシールド金属膜であっても、シールド金属膜26にクラックなどを生じにくくできる。したがって、シールド性が良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0021】
なお本実施の形態においてグランドパターン27は、接続導体29aを介して、樹脂基板22の下面の装着パッド30aへと接続される。そして、高周波モジュール21が親基板(図示なし)へと装着される場合、この装着パッド30aは親基板のグランドへと接続される。これにより、樹脂基板22上に構成された高周波回路の上方向と横方向とが、シールド金属膜26によって囲まれることとなるので、高周波回路で処理される(または発生する)高周波信号が外部へ漏洩したり、あるいは外部で発生した高周波ノイズが高周波モジュール21内の高周波回路へ飛び込むことが少なくでき、妨害に対して強い高周波モジュール21を実現できる。
【0022】
また本実施の形態においてグランドパターン27は、樹脂基板22の内層に形成している。本実施の形態では、第2層目に形成している。これにより、樹脂基板22上に構成された高周波回路は、グランドパターン27とシールド金属膜26とによって囲まれることとなるので、さらに妨害に対して強い高周波モジュール21を実現できる。
【0023】
さらに本実施の形態において、グランドパターン27は高周波回路のグランドとは接続していない。つまり高周波回路のグランドは樹脂基板22の表面のグランド端子28へと接続され、樹脂基板22の上下の面の間を導通させる接続導体29bを介して、樹脂基板22の下面の装着パッド30bへ導出されている。このように、高周波回路のグランドと、シールド金属膜26とが高周波的(電気的)に分離されているので、高周波回路の高周波信号がシールド金属膜26から外部へと放射されることや、シールド金属膜26へ飛び乗った高周波ノイズが高周波回路内へ進入することを発生しにくくできる。
【0024】
次に以上のような高周波モジュール21の製造方法について、図面を用いて説明する。図2は、本実施の形態における高周波モジュールの製造フローチャートである。なお、図2において、図1と同じものには同じ番号を用い、その説明は簡略化している。
【0025】
図2において実装工程51では、樹脂基板22が複数個連結された状態で、半導体素子24やチップ部品を樹脂基板22へ装着し、樹脂基板22上に高周波回路を形成する。本実施の形態における実装工程51では、樹脂基板22の上面にクリーム状のはんだ23を印刷し、半導体素子24やチップ部品を装着して、これらの部品を樹脂基板22へリフローはんだ付けする。なお、半導体素子24の下面側には高周波回路が形成され、この半導体素子24は、高周波回路の形成面が樹脂基板22と対向する方向(フェイスダウン)でフリップチップ装着される。そして実装工程51では、半導体素子24やチップ部品の実装が完了した後に、高周波回路の特性検査が行われる。この検査において、所定の特性範囲外となるものは、修正作業が行われ、所定の特性を満足させる。なおこの修正作業としては、定数の異なるチップ部品への取替え作業や、パターンインダクタのトリミングなどを行う。
【0026】
樹脂部形成工程52は、実装工程51の後で樹脂基板22の上面に樹脂部25を形成する工程である。なお、本実施の形態における樹脂部25には、熱硬化性の樹脂25aが用いられる。
【0027】
分割工程53では、樹脂部形成工程52の後で、連結された樹脂基板22を個片の状態へと分割する。本実施の形態における分割工程53では、ダイシング回転歯を用いて切断している。そしてこれによって、樹脂基板22の連結部上に形成された樹脂部25と樹脂基板22の連結部とが除去されて、個々の樹脂基板22へと分割される。さらにこの分割によって、樹脂基板22の側面にはグランドパターン27の露出部が形成される。
【0028】
シールド金属膜形成工程54は、樹脂部25の表面(上面と側面)と樹脂基板22の側面とにシールド金属膜26を形成する工程であり、スパッタにより樹脂部25の表面(上面と側面)と樹脂基板22の側面とに金属のスパッタ薄膜を形成する。これにより、シールド金属膜26は、樹脂基板22の側面に設けられたグランドパターン27の露出部でグランドパターン27と接続される。そしてシールド金属膜形成工程54の後で、高周波モジュール21に対して最終の特性検査が行われて、高周波モジュール21が完成する。
【0029】
以上の製造方法によれば、シールド金属膜26は分割工程53の後で形成されるので、ダイシング回転歯によってシールド金属膜26に傷が生じにくくできる。これは特に、本実施の形態のように膜厚が薄い場合に重要である。このようにすることで、本実施の形態のようにスパッタ薄膜の厚みが1マイクロメートルであっても傷の発生などを少なくできる。
【0030】
次に樹脂部形成工程52について、図面を用いて説明する。最初に樹脂部形成工程52において、樹脂基板22上に樹脂部25を形成するための樹脂部形成装置61について説明する。図3は、本実施の形態における樹脂部形成装置61の概略断面図である。図3において、樹脂基板搭載部62は、樹脂基板22が搭載されるものであり、本実施の形態では半導体素子24が下方を向く方向で、樹脂基板22が装着される。従って、樹脂基板搭載部62には樹脂基板22を吸着する構成を設けている。
【0031】
この樹脂基板搭載部62の下方には、樹脂25aが投入される空間を有した樹脂槽63が設けられている。ここで、樹脂槽63は上下方向へと可動する。また、樹脂槽63の底部63aは、樹脂槽63全体の動きとは独立して、単独に垂直(図3中上下)方向へ可動できる構造となっている。そしてこれら樹脂基板搭載部62や樹脂槽63には加熱手段が設けられており、これらによって樹脂基板22や樹脂25aを加熱する。また、樹脂部形成装置61にはコンプレッサなどが設けられ、樹脂槽63内や樹脂槽63と樹脂基板搭載部62との間の空気を吸引することで、樹脂部25の形成をほぼ真空状態下で行うことができるようになっている。
【0032】
図4は本実施の形態における樹脂部形成工程の製造フローチャートであり、図5は樹脂基板搭載工程における樹脂部形成装置の断面図である。なお、これらの図4、図5において、図1から図3と同じものには同じ番号を用い、その説明は簡略化している。このような樹脂部形成装置61を用いた場合の樹脂部形成工程52について、図4の工程の順序に従って、詳細に説明する。
【0033】
図4、図5において、軟化工程71は実装工程51の後で、樹脂基板22を樹脂基板搭載部62へ搭載するとともに、樹脂槽63内へ非流動状態(未溶融の固体状態または、ゲル状態)の樹脂25aを投入し、加熱して樹脂25aを流動可能な状態となるまで軟化させる。そしてこの処理に並行して、樹脂25aと樹脂基板22間の空間64の空気が吸引される。この吸引は空間64がほぼ真空状態となるまで行われ、樹脂25aが完全に溶融を完了した後に止められる。ここで、樹脂基板22は半導体素子24やチップ部品の搭載面側が下方を向くように搭載される。なお本実施の形態における樹脂槽63や樹脂基板搭載部62は予め樹脂25aが溶融する温度にまで加熱しているので、短時間に樹脂25aを軟化させることができる。
【0034】
本実施の形態において、樹脂槽63へ投入前の樹脂25aは粒状(固体状態)であり、計量容器などによって計量された所定量の樹脂25aが樹脂槽63へと投入される。ここで樹脂25aは、第1の温度範囲内では流動性を有せず、この第1の温度より高い第2の温度範囲内では流動性を生じ、この第2の温度より高い温度で硬化する熱硬化性樹脂を用いる。このように樹脂25aを樹脂槽63へ投入する段階で、樹脂25aは粒状であるので、精度良く計量することができる。また、計量や投入の自動化も容易である。なお、本実施の形態における樹脂25aは、固体状態を用いたが、これはゲル状態の樹脂25aを用いても良い。この場合常温で既にゲル状態であるので、軟化(流動性を生じる)までの時間を短くでき、生産性が良好となる。
【0035】
発明者らは樹脂部形成装置61を用いて、以下のような手順で軟化工程71を行った。予め加熱手段によって樹脂基板搭載部62と樹脂槽63との温度を樹脂25aが溶融する(流動性を生じる)温度以上であり、樹脂25aが硬化する温度範囲(第3の温度範囲)未満の温度(第2の温度範囲)となるように加熱しておく。本実施の形態における樹脂25aは、約140℃未満の温度では流動性が小さく、約140℃から約175℃において最も軟化して流動性を生じ、それを超える温度で硬化するエポキシ系の熱硬化性樹脂を用いている。したがって本実施の形態では、樹脂基板搭載部62と樹脂槽63との温度を第2の温度範囲上限の175℃に設定している。
【0036】
ここで、樹脂基板搭載部62は図3における水平方向へとスライドできる構造を有しており、この樹脂基板搭載部62がスライドすることによって、樹脂槽63の上方が開放状態となる。そこで、規定量の樹脂25aが樹脂槽63の上方から投入される。これにより即時、樹脂25aへの加熱が開始されることとなる。一方樹脂基板搭載部62はスライドすることによって、下方が開放状態となるので、この樹脂基板搭載部の下面には、半導体素子24(あるいはチップ部品)が下方となる向きで樹脂基板22が吸着される。そして、再度樹脂基板搭載部62がスライドして、樹脂槽63の上方の位置で停止する。このようにして、樹脂25aの投入と樹脂基板22の搭載が完了すると、空間64の空気の吸引を開始する。そして樹脂25aが完全に流動可能な状態にまで溶融した後に、吸引を停止し、その真空状態を維持する。
【0037】
なお、本実施の形態における樹脂部形成装置61では、樹脂基板搭載部62が水平にスライドしたが、これは樹脂槽63がスライドしても構わない。また、樹脂基板搭載部62と樹脂槽63の少なくともいずれか一方を、上下方向へと移動させるだけでも良い。ただしこの場合、樹脂槽63と樹脂基板搭載部62との間の距離が、樹脂25aの投入や樹脂基板22の搭載作業が可能な程度まで開くようにしておく。
【0038】
図6は、浸漬工程における樹脂部形成装置の断面図である。図6において、浸漬工程72は軟化工程71の後で、流動可能な状態に溶融した樹脂25aの中に、半導体素子24やチップ部品を浸漬し、樹脂基板22の下面を溶融した樹脂25aの液面へと接触させる工程である。
【0039】
例えばこの工程は、以下のようにして行われる。樹脂槽63と底部63aとをほぼ同じ速度で上方(図5矢印方向)へ移動させて、樹脂基板22が樹脂槽63と樹脂基板搭載部62との間に挟まれるようにする。このとき、樹脂槽63と樹脂基板22との間に隙間が生じないようにすることが必要であり、そのために樹脂槽63において、樹脂基板22の下面と当接する箇所にはゴムパッキン(図示せず)などが設けられる。そして、樹脂槽63は規定の位置(樹脂槽63が樹脂基板22と当接する位置)まで上昇した後に停止する。この状態では、樹脂25aの液面は、樹脂基板22の下面とはまだ接触しないようにしてある。これにより、樹脂25aが樹脂槽63から溢れ出すことを少なくできる。ただしこのとき、半導体素子24(あるいはチップ部品)は樹脂25aの液面と接触させておくことが望ましい。これは、樹脂25aの表面張力によって、樹脂25aが半導体素子24(チップ部品)の側面に沿って這い上がり(あるいはその一部が、半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の狭い隙間へ入り込み)、後の圧縮流入工程73において樹脂25aが半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の非常に狭い隙間へ充填され易くなるためである。一方、底部63aは樹脂部25の移動が停止した後も上方へと移動を続ける。これによって、樹脂25aの液面と樹脂基板22の下面とが接触することとなる。
【0040】
図7は、圧縮流入工程73における樹脂部形成装置61の断面図である。図7に示すように、浸漬工程72が完了すれば、一見電子部品は完全に樹脂25a内に埋設が完了しているよう見える。ところが、半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の隙間の中には、樹脂25aが充填されていない箇所も存在している。
【0041】
そこで、浸漬工程72の後で圧縮流入工程73を行なう。この圧縮流入工程73では樹脂25aを(図7矢印方向へ)圧縮し、この圧力によって未充填の隙間へ樹脂25aを強制的に流入させる。このとき、樹脂槽63と樹脂基板22とで囲まれた空間は、半導体素子24(あるいはチップ部品)と樹脂基板22間の隙間の未充填の箇所を除き、樹脂25aによって埋まっている。従って、樹脂25aを圧縮しても底部63aはほとんど上昇することはなく、樹脂25aの圧力のみが上昇することとなる。そして、この圧力が規定値となるまで加圧を続け、その圧力を維持する。なお、この圧縮流入工程73において樹脂25aの温度は、第2の温度範囲内とすることが重要である。これにより、半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の隙間へ確実に樹脂25aを充填させることができる。
【0042】
なお、本実施の形態においてはんだ23は錫、銀系の鉛フリーはんだであり、その融点は約200℃である。このようにはんだ23の融点を第2の温度範囲より高いはんだを用いているので、圧縮流入工程73においてはんだ23が溶融することもないので、半導体素子24(あるいはチップ部品)と樹脂基板22間の電気的接続が外れたりしにくくできる。
【0043】
硬化工程74は、圧縮流入工程73の後で、樹脂25aの温度が第2の温度範囲を超える温度(第3の温度範囲)となるまでさらに加熱することによって、樹脂25aを硬化する。これによって、樹脂基板22上に樹脂部25が形成されることとなる。なお、少なくとも樹脂25aの流動性がなくなるまでの間は、この硬化工程74においても圧縮流入工程73で加えられた圧力を維持する。これにより、確実に半導体素子24(あるいはチップ部品)と樹脂基板22との間の隙間に、ボイドなどが残りにくくできる。
【0044】
以上のような製造方法を用いて、前述の構成の高周波モジュール21は製造されるので、シールド金属膜形成工程54ではスパッタによって樹脂部25の表面に薄膜が形成されることとなる。従って、シールド金属膜26はスパッタ薄膜となるので、非常に緻密であり、ピンホールなどの少ないシールド金属膜26を形成できる。これにより、シールド性が良好であり、ノイズなどによる誤動作などを起こしにくい高周波モジュール21を実現できる。
【0045】
ところが、スパッタによる薄膜は非常に薄いので、膜に微細な傷などがあると、樹脂部25の内部応力(あるいはそのストレスによる変形)や分割工程53(分割工程92)によるストレスなどが原因で、クラックなどへと進行する可能性が高くなる。特に、樹脂部25と樹脂基板22との間の線膨張係数の違いなどのより、樹脂部25と樹脂基板22との界面部へ応力が集中し易く、この界面でのクラックが生じ易い。そこで、浸漬工程72では半導体素子24やチップ部品が浸漬し、圧縮流入工程73では樹脂25aを圧縮し、半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の隙間へ樹脂25aを埋設するわけである。このようにすることで、トランスファ成型に比べて樹脂25aの流れの不均等さなどに起因する内部応力を小さくできる。これにより、樹脂基板22や樹脂部25の残留応力が小さくなり、それらの歪(変形)も小さくできるので、シールド金属膜26のストレスも小さくでき、シールド金属膜26の剥離(クラック)が発生しにくい高周波モジュール21を実現できる。したがって、高湿環境下においても樹脂部25へ吸湿しにくくでき、信頼性の良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0046】
ここで、樹脂基板22の表層の全周にグランドパターン27を設けたような場合、金属と樹脂部25との間の密着力は小さいため、分割工程53などにおいてグランドパターン27と樹脂部25との間の界面で剥離などが生じやすくなる。従来のモジュールでは、導電性ペースト6aが剥離部に埋まり剥離部の補強がなされるが、本実施の形態におけるシールド金属膜26はスパッタによって形成されるので、剥離部にはシールド金属膜26が形成されない。そこで本実施の形態においてグランドパターン27の露出部を樹脂基板22の内層に設けている。これにより、樹脂基板22と樹脂部25との間に金属物などが介在せず、樹脂部25は直接樹脂基板22上に形成される。したがって、樹脂部25の密着強度が高い。また、グランドパターン27の露出部の上下はガラス基材によって挟まれて、補強されるので、分割工程53でのストレスに対しても、剥離やクラックなどを生じにくくできる。したがって、たとえ1マイクロメートルの厚みのシールド金属膜であっても、シールド金属膜26にクラックなどが生じにくくでき、シールド性が良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0047】
また、圧縮流入工程73で圧力を加えるので、樹脂25aは半導体素子24(あるいはチップ部品)と樹脂基板22との間の非常に狭い隙間へも確実に充填できる。また、半導体素子24やチップ部品には、圧縮流入工程73においてのみ圧力が加わるので、半導体素子24やチップ部品へかかる応力を小さくできる。したがって、半導体素子24(あるいはチップ部品)や樹脂基板22の変形が小さくなるので、半導体素子24上の高周波回路とシールド金属膜26との間や、半導体素子24上の高周波回路と樹脂基板22との間、さらには樹脂基板22とシールド金属膜26との間の距離などのばらつきが小さくできる。これによりこれらの間のもつ浮遊容量の値のばらつきが小さくできるので、ばらつきの少ない高周波モジュール21を実現できる。
【0048】
また、浸漬工程72では半導体素子24やチップ部品が浸漬されるのみであり、圧縮流入工程73で樹脂25aに流れが発生するので、樹脂25aの流れる距離は、トランスファ成型に比べて非常に短い。したがって、硬化後において樹脂25aの流れの不均等さなどによる内部応力も小さくできる。これによって、さらに半導体素子24(あるいはチップ部品)、樹脂基板22や樹脂部25自身の歪(変形)などを小さくできるので、さらに浮遊容量の値のばらつきを小さくできるので、高周波回路の特性のばらつきの小さな高周波モジュール21を実現できる。
【0049】
特に本実施の形態では半導体素子24をフェイスダウンにてフリップチップ実装しているので、半導体素子24と樹脂基板22との間が非常に近くなる。したがって、半導体素子24に形成された高周波回路とグランドパターン27との間には大きな浮遊容量を持つこととなり、特にこの浮遊容量のばらつきは、半導体素子24の高周波回路の特性に大きな影響を与えることとなる。そしてこのことは、樹脂25a内に高周波回路を埋設する上において非常に重要な点である。つまり、実装工程11における高周波特性の検査において、合格範囲と判断したものにおいても、半導体素子24、樹脂基板22や樹脂部25自身の歪が大きいと樹脂部25を形成した後に不合格となる恐れがある。しかし樹脂部25が形成された後においては、修理することが非常に困難であるので、廃棄する以外に方策はなく、歩留まりが非常に悪化することとなる。そこで、以上のような製造法を用い、樹脂25aの流れる距離を小さくすることで、樹脂25a内部に残る残留応力を小さくし、半導体素子24(あるいはチップ部品)、樹脂基板22や樹脂部25自身などにかかる応力を小さくする。これにより、樹脂部25形成後での高周波特性のばらつきを小さくでき、歩留まりの良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0050】
さらに加えて、この残留応力を小さくすることは、高周波モジュール21の特性の長期信頼性にも大きな影響を及ぼす。つまり、温度変化などによって、樹脂部25や樹脂基板22に伸縮が生じ、樹脂部25内の内部応力の分布が変化すると考えられる。これにより、半導体素子24や樹脂基板22や樹脂部25などの歪量が変化し、その結果半導体素子24と樹脂基板22(グランドパターン27)との間や、半導体素子24とシールド金属膜26との間などの浮遊容量の値が製造段階の値より変化することが考えられる。そこで、上記製造方法により、内部応力を小さくできるので、温度変化などに対しても長期にわたり安定した特性を維持できる高周波モジュール21を実現できる。
【0051】
そしてもちろん、圧縮流入工程73で樹脂25aを強制的に隙間へ充填するので、印刷法やポッティングなどによる方法に比べ、半導体素子24と樹脂基板22との間にも確実に樹脂25aを充填できることは言うまでもない。したがって、非常に信頼性も良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0052】
そして以上のように、圧縮圧力で半導体素子24やチップ部品が破壊することを少なくでき、また半導体素子24の変形も小さくできるので、半導体素子24の厚みを薄くすることができる。したがって、従来のトランスファ成型に比べ、半導体素子24やチップ部品の上部に形成される樹脂部25の厚みが薄くても、これら半導体素子24やチップ部品の上部へ確実に樹脂部25を形成できる。これは、半導体素子24(あるいはチップ部品)の上部の樹脂部25は、浸漬工程72で浸漬することで形成されるためである。これにより薄型の高周波モジュール21を実現できる。本実施の形態では、厚みが0.8mmの高周波モジュール21を実現している。
【0053】
なお発明者らは、上記製造方法を用い、厚みが0.5mmの高周波モジュール21の実現に成功している。この場合、樹脂基板22の厚みが0.1mm、半導体素子24の厚みが0.25mmと非常に薄いが、変形も小さく、特性ばらつきの小さな高周波モジュール21を実現できている。また、半導体素子24と樹脂基板22との間が0.08mmと非常に狭いが、この隙間に対しても樹脂25aを確実に充填できた。そして、半導体素子24やチップ部品の上部の樹脂部25の厚みが0.07mmと非常に薄いが、厚みの安定した樹脂部25を形成できている。
【0054】
次に本実施の形態における他の例の高周波モジュール81について図面を用いて説明する。図8は、第2の例における高周波モジュール81の断面図である。第1の例の高周波モジュール21では、樹脂基板22の側面は樹脂部25の側面と一直線上であり、シールド金属膜26は樹脂基板22の側面下端まで形成されている。しかし、この例における高周波モジュール81は、上記高周波モジュール21に比べ、樹脂基板22の側面下部に段付部82が形成されている点と、シールド金属膜26は樹脂基板22の側面において段付部82の上端まで形成される点が異なる。ただし、樹脂基板22の側面における段付部82より上部は、樹脂部25の側面と一直線上にあり、グランドパターン27の露出部も樹脂基板22の側面において段付部82より上部に形成される。
【0055】
では、第2の例における高周波モジュール81の製造方法について図面を用いて説明する。図9は、第2の例における高周波モジュールの製造フローチャートである。なお、図9において、図2と同じ工程には同じ番号を用いており、その説明は簡略化している。図9において、樹脂部形成工程52までの工程は、第1の例の高周波モジュール21の製造方法と同じである。樹脂部形成工程52の後で溝形成工程91が行われる。この溝形成工程91では、樹脂基板22を個片の状態へ切断せず、樹脂基板22の連結部は残して連結された状態とし、この状態でグランドパターン27の露出部が樹脂基板22側面から露出するように溝を形成する。
【0056】
この溝形成工程91の後でシールド金属膜形成工程54が行われ、樹脂部25の周囲(上面と側面)および樹脂基板22に形成された溝部分(段付部82の上面と、樹脂基板22の側面において段付部82の上側)にシールド金属膜26を形成する。そして、このシールド金属膜形成工程54の後で、分割工程92が行われる。この分割工程92では、溝よりも幅の狭いダイシング回転歯などで、溝より狭い幅で樹脂基板22の連結部を切断する。このようにすることで、分割工程92においてシールド金属膜26の切断によるストレスを小さくでき、シールド金属膜26へ傷などがつきにくくできる。したがって、良好なシールドを実現できる。そしてこの例の場合、シールド金属膜形成工程54を樹脂基板22が連結された状態で行うことができる。また、シールド金属膜形成工程54と分割工程92との間に、特性検査工程を設ければ、その検査も連結状態で行うことができるので、非常に生産性が良好である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかるモジュールは、良好な信頼性を得るという効果を有し、電子機器などに搭載する高周波モジュール等に用いると有用である。
【符号の説明】
【0058】
21 モジュール
22 樹脂基板
24 半導体素子
25 樹脂部
26 シールド金属膜
51 実装工程
52 樹脂部形成工程
54 シールド金属膜形成工程
63 樹脂槽
71 軟化工程
72 浸漬工程
73 圧縮流入工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上に実装された電子部品が樹脂で覆われ、前記電子部品によって構成された回路がシールドされたモジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来のモジュール1について図面を用いて説明する。図10は、従来のモジュール1の断面図であり、図11は同、モジュール1の製造フローチャートである。図10、図11において、プリント基板2は、熱硬化性の樹脂基板であり、このプリント基板2の上面に電子部品3が実装されている。なお、電子部品3は半導体素子であり、半導体素子とプリント基板2との間は、ワイヤボンディングによって接続されている。ここで、プリント基板2上には、半導体素子以外の電子部品3も装着され、これら電子部品3によって高周波回路が形成されている。プリント基板2の上面には樹脂部4が形成され、この樹脂部4内には電子部品3が埋設されている。そして、プリント基板2の上面の周端部には高周波回路のグランドと接続された接続パターン5が形成されている。
【0003】
シールド膜6は厚膜導体であり、この樹脂部4の上面と側面ならびにプリント基板2の側面の一部を覆うように形成されている。ここで、接続パターン5はプリント基板2の上面に設けられ、その端部が樹脂部4の側面から露出するように設けられ、この露出部でシールド膜6と電気的に接続している。
【0004】
次に、以上のような従来のモジュール1の製造方法について説明する。実装工程11では、プリント基板2が複数個連結された状態で、それぞれのプリント基板2上に電子部品3を実装する。トランスファ成型工程12は、実装工程11の後でプリント基板2の上面に、電子部品3を覆うように樹脂部4を形成する工程である。ここで、樹脂部4を形成する樹脂4aには、熱硬化性の樹脂が用いられている。
【0005】
接続パターン露出工程13は、トランスファ成型工程12の後で、プリント基板2同士が連結された位置に凹部を形成し、樹脂部4の側面から接続パターン5が露出するようにする。導体ペースト印刷工程14は、接続パターン露出工程13の後で、樹脂部4の上面に導電性ペースト6aを塗布し、硬化する。なお、このときに、導電性ペースト6aが凹部内にも埋め込まれる。そしてこれによりシールド膜6が形成される。
【0006】
分割工程15は、導体ペースト印刷工程14の後でプリント基板2同士の連結部を切断する工程である。この工程では、硬化した導電性ペースト6aとプリント基板2とが、ダイシング回転歯などによって切断され、モジュール1が完成する。
【0007】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−172176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のモジュール1においてシールド膜6は、導電性ペースト6aを印刷によって形成したものであるので、膜内にボイドやピンホールなどが生じ易くなる。また、樹脂部4の側面部のシールド膜6は、分割工程15において切断されるので、切断によるシールド膜6の欠損などが生じ易くなる。また樹脂部4はトランスファ成型によって形成されるので、内部応力(残留応力)が生じ易く、場所によってはシールド膜6に対し大きな応力が加わる箇所が発生する可能性も有している。
【0010】
そしてこれらのことより、シールド膜6に欠損やクラックなどが生じ、その箇所より水分が浸入して、樹脂部4が吸湿し、回路の特性を変化させてしまい易くなる。そして、特に高周波回路においては、この吸湿によって樹脂部4の誘電率が変化するので、高周波特性への影響は非常に顕著である。
【0011】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、信頼性が良好なモジュールを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために複数個の前記樹脂基板が連結部で連結された状態で、前記樹脂基板の上面に前記電子部品を装着して前記樹脂基板上に回路を形成し、その後で樹脂槽の上方に電子部品が下方を向く方向で樹脂基板を載置し、前記樹脂槽へ投入された非流動状態の前記樹脂が流動可能となるまで軟化させるとともに、前記樹脂基板と前記樹脂との間に形成される空間の空気を吸引し、その後で前記電子部品を前記軟化した樹脂へ浸漬するとともに、前記基板下面を前記樹脂の液面へ接触させ、その後で前記樹脂を圧縮して、前記樹脂を前記樹脂基板と前記電子部品との間の隙間へ強制的に流入させ、その後で前記樹脂を硬化して前記樹脂基板上に前記樹脂部を形成し、その後でシールド金属膜を形成する工程を設け、このシールド金属膜を形成する工程ではスパッタによって前記樹脂部の表面に薄膜を形成するものである。これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、樹脂基板と、この樹脂基板上に装着された電子部品と、この電子部品が埋設されるとともに、前記樹脂基板の少なくとも上面に形成された樹脂部と、この樹脂部の表面を覆うシールド金属膜とを有し、前記電子部品によって前記樹脂基板上に回路が形成されたモジュールの製造方法において、複数個の前記樹脂基板が連結部で連結された状態で、前記樹脂基板の上面に前記電子部品を装着して前記樹脂基板上に回路を形成し、その後で樹脂槽の上方に電子部品が下方を向く方向で樹脂基板を載置し、前記樹脂槽へ投入された非流動状態の前記樹脂が流動可能となるまで軟化させるとともに、前記樹脂基板と前記樹脂との間に形成される空間の空気を吸引し、その後で前記電子部品を前記軟化した樹脂へ浸漬するとともに、前記基板下面を前記樹脂の液面へ接触させ、その後で前記樹脂を圧縮して、前記樹脂を前記樹脂基板と前記電子部品との間の隙間へ強制的に流入させ、その後で前記樹脂を硬化して前記樹脂基板上に前記樹脂部を形成し、その後でシールド金属膜を形成する工程を設け、このシールド金属膜を形成する工程ではスパッタによって前記樹脂部の表面に薄膜を形成するモジュールの製造方法であり、これにより欠損やピンホールなどの少ない緻密なシールド金属膜を形成でき、信頼性の良好なモジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態における高周波モジュールの断面図
【図2】同、高周波モジュールの製造フローチャート
【図3】同、樹脂部形成装置の概略断面図
【図4】同、樹脂部形成工程の製造フローチャート
【図5】同、樹脂基板搭載工程における樹脂部形成装置の断面図
【図6】同、浸漬工程における樹脂部形成装置の断面図
【図7】同、圧縮流入工程における樹脂部形成装置の断面図
【図8】同、他の例の高周波モジュールの断面図
【図9】同、他の例の高周波モジュールの製造フローチャート
【図10】従来の高周波モジュールの断面図
【図11】同、高周波モジュールの製造フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態における高周波モジュール21(モジュールの一例として用いている)について説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における高周波モジュール21の断面図である。なお図1において、図6と同じものには同じ番号を用い、その説明は簡略化している。図1において、樹脂基板22は、ガラス・エポキシ基材の多層基板であり、本実施の形態における樹脂基板22には厚みが0.2mmの4層基板を用いている。
【0017】
この樹脂基板22上には、はんだ23によって半導体素子24(電子部品の一例として用いた)やチップ部品(図示せず)が、実装されている。ここで本実施の形態において半導体素子24は、厚みが0.35mmのチップサイズパッケージによる半導体であり、はんだバンプによって樹脂基板22へフェイスダウンの状態でフリップチップ実装されている。なお、本実施の形態において、バンプ間のピッチが約0.25mmであるので、バンプ間の隙間は約0.12mmであり、半導体素子24と樹脂基板22との間の間隔は、約0.12mmである。またチップ部品と樹脂基板22との間の間隔は、約0.08mmである。
【0018】
ここで、半導体素子24には高周波回路の一部が形成されており、この半導体素子24やチップ部品(図示せず)などが樹脂基板22へ実装されることによって、樹脂基板22上に高周波回路(例えば受信回路や送信回路など)が形成されている。なお、本実施の形態において半導体素子24ははんだバンプによって樹脂基板22へ接続されているが、これは半導体素子24にスタッドバンプなどを形成し、ACFやACPあるいはNCFやNCPなどによって樹脂基板22へ実装しても構わない。
【0019】
樹脂部25は、樹脂基板22の上面側に形成され、半導体素子24やチップ部品などが埋設されている。なお、本実施の形態における樹脂部25には、熱硬化性樹脂を用いている。そして、シールド金属膜26は、樹脂部25の表面(上面と4側面全体)を覆うように形成されている。ここで、シールド金属膜26は、厚みが約1マイクロメートルのスパッタによる薄膜であるので、非常に薄くかつ緻密な(ピンホールなどの少ない)膜が形成できる。さらに、シールド金属膜26は導電性の良好な銅を用いている。したがって、シールド性が良好であり、妨害などに強い高周波モジュール21を実現できる。
【0020】
ここで、樹脂基板22にはグランドパターン27が形成されている。このグランドパターン27は樹脂基板22の周縁部にまで導設されており、樹脂基板22の側面には、グランドパターン27の露出部が形成される。そして、この露出部において、グランドパターン27とシールド金属膜26とが接続される。なお、本実施の形態においてグランドパターン27は、内層に設けられているが、これは、表層であっても構わない。ただし、可能な限りグランドパターン27とシールド金属膜26との接続は、内層によって行うことが望ましい。これはグランドパターン27が金属であるので樹脂部25に対する密着力が小さく、グランドパターン27の露出部を樹脂基板22の表層に設けると、後述する分割工程53などにおいてグランドパターン27と樹脂部25との間の界面で剥離などが生じやすくなるためである。そしてこのようにグランドパターン27の露出部を樹脂基板22の内層に設けることにより、たとえ1マイクロメートルの厚みのシールド金属膜であっても、シールド金属膜26にクラックなどを生じにくくできる。したがって、シールド性が良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0021】
なお本実施の形態においてグランドパターン27は、接続導体29aを介して、樹脂基板22の下面の装着パッド30aへと接続される。そして、高周波モジュール21が親基板(図示なし)へと装着される場合、この装着パッド30aは親基板のグランドへと接続される。これにより、樹脂基板22上に構成された高周波回路の上方向と横方向とが、シールド金属膜26によって囲まれることとなるので、高周波回路で処理される(または発生する)高周波信号が外部へ漏洩したり、あるいは外部で発生した高周波ノイズが高周波モジュール21内の高周波回路へ飛び込むことが少なくでき、妨害に対して強い高周波モジュール21を実現できる。
【0022】
また本実施の形態においてグランドパターン27は、樹脂基板22の内層に形成している。本実施の形態では、第2層目に形成している。これにより、樹脂基板22上に構成された高周波回路は、グランドパターン27とシールド金属膜26とによって囲まれることとなるので、さらに妨害に対して強い高周波モジュール21を実現できる。
【0023】
さらに本実施の形態において、グランドパターン27は高周波回路のグランドとは接続していない。つまり高周波回路のグランドは樹脂基板22の表面のグランド端子28へと接続され、樹脂基板22の上下の面の間を導通させる接続導体29bを介して、樹脂基板22の下面の装着パッド30bへ導出されている。このように、高周波回路のグランドと、シールド金属膜26とが高周波的(電気的)に分離されているので、高周波回路の高周波信号がシールド金属膜26から外部へと放射されることや、シールド金属膜26へ飛び乗った高周波ノイズが高周波回路内へ進入することを発生しにくくできる。
【0024】
次に以上のような高周波モジュール21の製造方法について、図面を用いて説明する。図2は、本実施の形態における高周波モジュールの製造フローチャートである。なお、図2において、図1と同じものには同じ番号を用い、その説明は簡略化している。
【0025】
図2において実装工程51では、樹脂基板22が複数個連結された状態で、半導体素子24やチップ部品を樹脂基板22へ装着し、樹脂基板22上に高周波回路を形成する。本実施の形態における実装工程51では、樹脂基板22の上面にクリーム状のはんだ23を印刷し、半導体素子24やチップ部品を装着して、これらの部品を樹脂基板22へリフローはんだ付けする。なお、半導体素子24の下面側には高周波回路が形成され、この半導体素子24は、高周波回路の形成面が樹脂基板22と対向する方向(フェイスダウン)でフリップチップ装着される。そして実装工程51では、半導体素子24やチップ部品の実装が完了した後に、高周波回路の特性検査が行われる。この検査において、所定の特性範囲外となるものは、修正作業が行われ、所定の特性を満足させる。なおこの修正作業としては、定数の異なるチップ部品への取替え作業や、パターンインダクタのトリミングなどを行う。
【0026】
樹脂部形成工程52は、実装工程51の後で樹脂基板22の上面に樹脂部25を形成する工程である。なお、本実施の形態における樹脂部25には、熱硬化性の樹脂25aが用いられる。
【0027】
分割工程53では、樹脂部形成工程52の後で、連結された樹脂基板22を個片の状態へと分割する。本実施の形態における分割工程53では、ダイシング回転歯を用いて切断している。そしてこれによって、樹脂基板22の連結部上に形成された樹脂部25と樹脂基板22の連結部とが除去されて、個々の樹脂基板22へと分割される。さらにこの分割によって、樹脂基板22の側面にはグランドパターン27の露出部が形成される。
【0028】
シールド金属膜形成工程54は、樹脂部25の表面(上面と側面)と樹脂基板22の側面とにシールド金属膜26を形成する工程であり、スパッタにより樹脂部25の表面(上面と側面)と樹脂基板22の側面とに金属のスパッタ薄膜を形成する。これにより、シールド金属膜26は、樹脂基板22の側面に設けられたグランドパターン27の露出部でグランドパターン27と接続される。そしてシールド金属膜形成工程54の後で、高周波モジュール21に対して最終の特性検査が行われて、高周波モジュール21が完成する。
【0029】
以上の製造方法によれば、シールド金属膜26は分割工程53の後で形成されるので、ダイシング回転歯によってシールド金属膜26に傷が生じにくくできる。これは特に、本実施の形態のように膜厚が薄い場合に重要である。このようにすることで、本実施の形態のようにスパッタ薄膜の厚みが1マイクロメートルであっても傷の発生などを少なくできる。
【0030】
次に樹脂部形成工程52について、図面を用いて説明する。最初に樹脂部形成工程52において、樹脂基板22上に樹脂部25を形成するための樹脂部形成装置61について説明する。図3は、本実施の形態における樹脂部形成装置61の概略断面図である。図3において、樹脂基板搭載部62は、樹脂基板22が搭載されるものであり、本実施の形態では半導体素子24が下方を向く方向で、樹脂基板22が装着される。従って、樹脂基板搭載部62には樹脂基板22を吸着する構成を設けている。
【0031】
この樹脂基板搭載部62の下方には、樹脂25aが投入される空間を有した樹脂槽63が設けられている。ここで、樹脂槽63は上下方向へと可動する。また、樹脂槽63の底部63aは、樹脂槽63全体の動きとは独立して、単独に垂直(図3中上下)方向へ可動できる構造となっている。そしてこれら樹脂基板搭載部62や樹脂槽63には加熱手段が設けられており、これらによって樹脂基板22や樹脂25aを加熱する。また、樹脂部形成装置61にはコンプレッサなどが設けられ、樹脂槽63内や樹脂槽63と樹脂基板搭載部62との間の空気を吸引することで、樹脂部25の形成をほぼ真空状態下で行うことができるようになっている。
【0032】
図4は本実施の形態における樹脂部形成工程の製造フローチャートであり、図5は樹脂基板搭載工程における樹脂部形成装置の断面図である。なお、これらの図4、図5において、図1から図3と同じものには同じ番号を用い、その説明は簡略化している。このような樹脂部形成装置61を用いた場合の樹脂部形成工程52について、図4の工程の順序に従って、詳細に説明する。
【0033】
図4、図5において、軟化工程71は実装工程51の後で、樹脂基板22を樹脂基板搭載部62へ搭載するとともに、樹脂槽63内へ非流動状態(未溶融の固体状態または、ゲル状態)の樹脂25aを投入し、加熱して樹脂25aを流動可能な状態となるまで軟化させる。そしてこの処理に並行して、樹脂25aと樹脂基板22間の空間64の空気が吸引される。この吸引は空間64がほぼ真空状態となるまで行われ、樹脂25aが完全に溶融を完了した後に止められる。ここで、樹脂基板22は半導体素子24やチップ部品の搭載面側が下方を向くように搭載される。なお本実施の形態における樹脂槽63や樹脂基板搭載部62は予め樹脂25aが溶融する温度にまで加熱しているので、短時間に樹脂25aを軟化させることができる。
【0034】
本実施の形態において、樹脂槽63へ投入前の樹脂25aは粒状(固体状態)であり、計量容器などによって計量された所定量の樹脂25aが樹脂槽63へと投入される。ここで樹脂25aは、第1の温度範囲内では流動性を有せず、この第1の温度より高い第2の温度範囲内では流動性を生じ、この第2の温度より高い温度で硬化する熱硬化性樹脂を用いる。このように樹脂25aを樹脂槽63へ投入する段階で、樹脂25aは粒状であるので、精度良く計量することができる。また、計量や投入の自動化も容易である。なお、本実施の形態における樹脂25aは、固体状態を用いたが、これはゲル状態の樹脂25aを用いても良い。この場合常温で既にゲル状態であるので、軟化(流動性を生じる)までの時間を短くでき、生産性が良好となる。
【0035】
発明者らは樹脂部形成装置61を用いて、以下のような手順で軟化工程71を行った。予め加熱手段によって樹脂基板搭載部62と樹脂槽63との温度を樹脂25aが溶融する(流動性を生じる)温度以上であり、樹脂25aが硬化する温度範囲(第3の温度範囲)未満の温度(第2の温度範囲)となるように加熱しておく。本実施の形態における樹脂25aは、約140℃未満の温度では流動性が小さく、約140℃から約175℃において最も軟化して流動性を生じ、それを超える温度で硬化するエポキシ系の熱硬化性樹脂を用いている。したがって本実施の形態では、樹脂基板搭載部62と樹脂槽63との温度を第2の温度範囲上限の175℃に設定している。
【0036】
ここで、樹脂基板搭載部62は図3における水平方向へとスライドできる構造を有しており、この樹脂基板搭載部62がスライドすることによって、樹脂槽63の上方が開放状態となる。そこで、規定量の樹脂25aが樹脂槽63の上方から投入される。これにより即時、樹脂25aへの加熱が開始されることとなる。一方樹脂基板搭載部62はスライドすることによって、下方が開放状態となるので、この樹脂基板搭載部の下面には、半導体素子24(あるいはチップ部品)が下方となる向きで樹脂基板22が吸着される。そして、再度樹脂基板搭載部62がスライドして、樹脂槽63の上方の位置で停止する。このようにして、樹脂25aの投入と樹脂基板22の搭載が完了すると、空間64の空気の吸引を開始する。そして樹脂25aが完全に流動可能な状態にまで溶融した後に、吸引を停止し、その真空状態を維持する。
【0037】
なお、本実施の形態における樹脂部形成装置61では、樹脂基板搭載部62が水平にスライドしたが、これは樹脂槽63がスライドしても構わない。また、樹脂基板搭載部62と樹脂槽63の少なくともいずれか一方を、上下方向へと移動させるだけでも良い。ただしこの場合、樹脂槽63と樹脂基板搭載部62との間の距離が、樹脂25aの投入や樹脂基板22の搭載作業が可能な程度まで開くようにしておく。
【0038】
図6は、浸漬工程における樹脂部形成装置の断面図である。図6において、浸漬工程72は軟化工程71の後で、流動可能な状態に溶融した樹脂25aの中に、半導体素子24やチップ部品を浸漬し、樹脂基板22の下面を溶融した樹脂25aの液面へと接触させる工程である。
【0039】
例えばこの工程は、以下のようにして行われる。樹脂槽63と底部63aとをほぼ同じ速度で上方(図5矢印方向)へ移動させて、樹脂基板22が樹脂槽63と樹脂基板搭載部62との間に挟まれるようにする。このとき、樹脂槽63と樹脂基板22との間に隙間が生じないようにすることが必要であり、そのために樹脂槽63において、樹脂基板22の下面と当接する箇所にはゴムパッキン(図示せず)などが設けられる。そして、樹脂槽63は規定の位置(樹脂槽63が樹脂基板22と当接する位置)まで上昇した後に停止する。この状態では、樹脂25aの液面は、樹脂基板22の下面とはまだ接触しないようにしてある。これにより、樹脂25aが樹脂槽63から溢れ出すことを少なくできる。ただしこのとき、半導体素子24(あるいはチップ部品)は樹脂25aの液面と接触させておくことが望ましい。これは、樹脂25aの表面張力によって、樹脂25aが半導体素子24(チップ部品)の側面に沿って這い上がり(あるいはその一部が、半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の狭い隙間へ入り込み)、後の圧縮流入工程73において樹脂25aが半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の非常に狭い隙間へ充填され易くなるためである。一方、底部63aは樹脂部25の移動が停止した後も上方へと移動を続ける。これによって、樹脂25aの液面と樹脂基板22の下面とが接触することとなる。
【0040】
図7は、圧縮流入工程73における樹脂部形成装置61の断面図である。図7に示すように、浸漬工程72が完了すれば、一見電子部品は完全に樹脂25a内に埋設が完了しているよう見える。ところが、半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の隙間の中には、樹脂25aが充填されていない箇所も存在している。
【0041】
そこで、浸漬工程72の後で圧縮流入工程73を行なう。この圧縮流入工程73では樹脂25aを(図7矢印方向へ)圧縮し、この圧力によって未充填の隙間へ樹脂25aを強制的に流入させる。このとき、樹脂槽63と樹脂基板22とで囲まれた空間は、半導体素子24(あるいはチップ部品)と樹脂基板22間の隙間の未充填の箇所を除き、樹脂25aによって埋まっている。従って、樹脂25aを圧縮しても底部63aはほとんど上昇することはなく、樹脂25aの圧力のみが上昇することとなる。そして、この圧力が規定値となるまで加圧を続け、その圧力を維持する。なお、この圧縮流入工程73において樹脂25aの温度は、第2の温度範囲内とすることが重要である。これにより、半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の隙間へ確実に樹脂25aを充填させることができる。
【0042】
なお、本実施の形態においてはんだ23は錫、銀系の鉛フリーはんだであり、その融点は約200℃である。このようにはんだ23の融点を第2の温度範囲より高いはんだを用いているので、圧縮流入工程73においてはんだ23が溶融することもないので、半導体素子24(あるいはチップ部品)と樹脂基板22間の電気的接続が外れたりしにくくできる。
【0043】
硬化工程74は、圧縮流入工程73の後で、樹脂25aの温度が第2の温度範囲を超える温度(第3の温度範囲)となるまでさらに加熱することによって、樹脂25aを硬化する。これによって、樹脂基板22上に樹脂部25が形成されることとなる。なお、少なくとも樹脂25aの流動性がなくなるまでの間は、この硬化工程74においても圧縮流入工程73で加えられた圧力を維持する。これにより、確実に半導体素子24(あるいはチップ部品)と樹脂基板22との間の隙間に、ボイドなどが残りにくくできる。
【0044】
以上のような製造方法を用いて、前述の構成の高周波モジュール21は製造されるので、シールド金属膜形成工程54ではスパッタによって樹脂部25の表面に薄膜が形成されることとなる。従って、シールド金属膜26はスパッタ薄膜となるので、非常に緻密であり、ピンホールなどの少ないシールド金属膜26を形成できる。これにより、シールド性が良好であり、ノイズなどによる誤動作などを起こしにくい高周波モジュール21を実現できる。
【0045】
ところが、スパッタによる薄膜は非常に薄いので、膜に微細な傷などがあると、樹脂部25の内部応力(あるいはそのストレスによる変形)や分割工程53(分割工程92)によるストレスなどが原因で、クラックなどへと進行する可能性が高くなる。特に、樹脂部25と樹脂基板22との間の線膨張係数の違いなどのより、樹脂部25と樹脂基板22との界面部へ応力が集中し易く、この界面でのクラックが生じ易い。そこで、浸漬工程72では半導体素子24やチップ部品が浸漬し、圧縮流入工程73では樹脂25aを圧縮し、半導体素子24やチップ部品と樹脂基板22との間の隙間へ樹脂25aを埋設するわけである。このようにすることで、トランスファ成型に比べて樹脂25aの流れの不均等さなどに起因する内部応力を小さくできる。これにより、樹脂基板22や樹脂部25の残留応力が小さくなり、それらの歪(変形)も小さくできるので、シールド金属膜26のストレスも小さくでき、シールド金属膜26の剥離(クラック)が発生しにくい高周波モジュール21を実現できる。したがって、高湿環境下においても樹脂部25へ吸湿しにくくでき、信頼性の良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0046】
ここで、樹脂基板22の表層の全周にグランドパターン27を設けたような場合、金属と樹脂部25との間の密着力は小さいため、分割工程53などにおいてグランドパターン27と樹脂部25との間の界面で剥離などが生じやすくなる。従来のモジュールでは、導電性ペースト6aが剥離部に埋まり剥離部の補強がなされるが、本実施の形態におけるシールド金属膜26はスパッタによって形成されるので、剥離部にはシールド金属膜26が形成されない。そこで本実施の形態においてグランドパターン27の露出部を樹脂基板22の内層に設けている。これにより、樹脂基板22と樹脂部25との間に金属物などが介在せず、樹脂部25は直接樹脂基板22上に形成される。したがって、樹脂部25の密着強度が高い。また、グランドパターン27の露出部の上下はガラス基材によって挟まれて、補強されるので、分割工程53でのストレスに対しても、剥離やクラックなどを生じにくくできる。したがって、たとえ1マイクロメートルの厚みのシールド金属膜であっても、シールド金属膜26にクラックなどが生じにくくでき、シールド性が良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0047】
また、圧縮流入工程73で圧力を加えるので、樹脂25aは半導体素子24(あるいはチップ部品)と樹脂基板22との間の非常に狭い隙間へも確実に充填できる。また、半導体素子24やチップ部品には、圧縮流入工程73においてのみ圧力が加わるので、半導体素子24やチップ部品へかかる応力を小さくできる。したがって、半導体素子24(あるいはチップ部品)や樹脂基板22の変形が小さくなるので、半導体素子24上の高周波回路とシールド金属膜26との間や、半導体素子24上の高周波回路と樹脂基板22との間、さらには樹脂基板22とシールド金属膜26との間の距離などのばらつきが小さくできる。これによりこれらの間のもつ浮遊容量の値のばらつきが小さくできるので、ばらつきの少ない高周波モジュール21を実現できる。
【0048】
また、浸漬工程72では半導体素子24やチップ部品が浸漬されるのみであり、圧縮流入工程73で樹脂25aに流れが発生するので、樹脂25aの流れる距離は、トランスファ成型に比べて非常に短い。したがって、硬化後において樹脂25aの流れの不均等さなどによる内部応力も小さくできる。これによって、さらに半導体素子24(あるいはチップ部品)、樹脂基板22や樹脂部25自身の歪(変形)などを小さくできるので、さらに浮遊容量の値のばらつきを小さくできるので、高周波回路の特性のばらつきの小さな高周波モジュール21を実現できる。
【0049】
特に本実施の形態では半導体素子24をフェイスダウンにてフリップチップ実装しているので、半導体素子24と樹脂基板22との間が非常に近くなる。したがって、半導体素子24に形成された高周波回路とグランドパターン27との間には大きな浮遊容量を持つこととなり、特にこの浮遊容量のばらつきは、半導体素子24の高周波回路の特性に大きな影響を与えることとなる。そしてこのことは、樹脂25a内に高周波回路を埋設する上において非常に重要な点である。つまり、実装工程11における高周波特性の検査において、合格範囲と判断したものにおいても、半導体素子24、樹脂基板22や樹脂部25自身の歪が大きいと樹脂部25を形成した後に不合格となる恐れがある。しかし樹脂部25が形成された後においては、修理することが非常に困難であるので、廃棄する以外に方策はなく、歩留まりが非常に悪化することとなる。そこで、以上のような製造法を用い、樹脂25aの流れる距離を小さくすることで、樹脂25a内部に残る残留応力を小さくし、半導体素子24(あるいはチップ部品)、樹脂基板22や樹脂部25自身などにかかる応力を小さくする。これにより、樹脂部25形成後での高周波特性のばらつきを小さくでき、歩留まりの良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0050】
さらに加えて、この残留応力を小さくすることは、高周波モジュール21の特性の長期信頼性にも大きな影響を及ぼす。つまり、温度変化などによって、樹脂部25や樹脂基板22に伸縮が生じ、樹脂部25内の内部応力の分布が変化すると考えられる。これにより、半導体素子24や樹脂基板22や樹脂部25などの歪量が変化し、その結果半導体素子24と樹脂基板22(グランドパターン27)との間や、半導体素子24とシールド金属膜26との間などの浮遊容量の値が製造段階の値より変化することが考えられる。そこで、上記製造方法により、内部応力を小さくできるので、温度変化などに対しても長期にわたり安定した特性を維持できる高周波モジュール21を実現できる。
【0051】
そしてもちろん、圧縮流入工程73で樹脂25aを強制的に隙間へ充填するので、印刷法やポッティングなどによる方法に比べ、半導体素子24と樹脂基板22との間にも確実に樹脂25aを充填できることは言うまでもない。したがって、非常に信頼性も良好な高周波モジュール21を実現できる。
【0052】
そして以上のように、圧縮圧力で半導体素子24やチップ部品が破壊することを少なくでき、また半導体素子24の変形も小さくできるので、半導体素子24の厚みを薄くすることができる。したがって、従来のトランスファ成型に比べ、半導体素子24やチップ部品の上部に形成される樹脂部25の厚みが薄くても、これら半導体素子24やチップ部品の上部へ確実に樹脂部25を形成できる。これは、半導体素子24(あるいはチップ部品)の上部の樹脂部25は、浸漬工程72で浸漬することで形成されるためである。これにより薄型の高周波モジュール21を実現できる。本実施の形態では、厚みが0.8mmの高周波モジュール21を実現している。
【0053】
なお発明者らは、上記製造方法を用い、厚みが0.5mmの高周波モジュール21の実現に成功している。この場合、樹脂基板22の厚みが0.1mm、半導体素子24の厚みが0.25mmと非常に薄いが、変形も小さく、特性ばらつきの小さな高周波モジュール21を実現できている。また、半導体素子24と樹脂基板22との間が0.08mmと非常に狭いが、この隙間に対しても樹脂25aを確実に充填できた。そして、半導体素子24やチップ部品の上部の樹脂部25の厚みが0.07mmと非常に薄いが、厚みの安定した樹脂部25を形成できている。
【0054】
次に本実施の形態における他の例の高周波モジュール81について図面を用いて説明する。図8は、第2の例における高周波モジュール81の断面図である。第1の例の高周波モジュール21では、樹脂基板22の側面は樹脂部25の側面と一直線上であり、シールド金属膜26は樹脂基板22の側面下端まで形成されている。しかし、この例における高周波モジュール81は、上記高周波モジュール21に比べ、樹脂基板22の側面下部に段付部82が形成されている点と、シールド金属膜26は樹脂基板22の側面において段付部82の上端まで形成される点が異なる。ただし、樹脂基板22の側面における段付部82より上部は、樹脂部25の側面と一直線上にあり、グランドパターン27の露出部も樹脂基板22の側面において段付部82より上部に形成される。
【0055】
では、第2の例における高周波モジュール81の製造方法について図面を用いて説明する。図9は、第2の例における高周波モジュールの製造フローチャートである。なお、図9において、図2と同じ工程には同じ番号を用いており、その説明は簡略化している。図9において、樹脂部形成工程52までの工程は、第1の例の高周波モジュール21の製造方法と同じである。樹脂部形成工程52の後で溝形成工程91が行われる。この溝形成工程91では、樹脂基板22を個片の状態へ切断せず、樹脂基板22の連結部は残して連結された状態とし、この状態でグランドパターン27の露出部が樹脂基板22側面から露出するように溝を形成する。
【0056】
この溝形成工程91の後でシールド金属膜形成工程54が行われ、樹脂部25の周囲(上面と側面)および樹脂基板22に形成された溝部分(段付部82の上面と、樹脂基板22の側面において段付部82の上側)にシールド金属膜26を形成する。そして、このシールド金属膜形成工程54の後で、分割工程92が行われる。この分割工程92では、溝よりも幅の狭いダイシング回転歯などで、溝より狭い幅で樹脂基板22の連結部を切断する。このようにすることで、分割工程92においてシールド金属膜26の切断によるストレスを小さくでき、シールド金属膜26へ傷などがつきにくくできる。したがって、良好なシールドを実現できる。そしてこの例の場合、シールド金属膜形成工程54を樹脂基板22が連結された状態で行うことができる。また、シールド金属膜形成工程54と分割工程92との間に、特性検査工程を設ければ、その検査も連結状態で行うことができるので、非常に生産性が良好である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかるモジュールは、良好な信頼性を得るという効果を有し、電子機器などに搭載する高周波モジュール等に用いると有用である。
【符号の説明】
【0058】
21 モジュール
22 樹脂基板
24 半導体素子
25 樹脂部
26 シールド金属膜
51 実装工程
52 樹脂部形成工程
54 シールド金属膜形成工程
63 樹脂槽
71 軟化工程
72 浸漬工程
73 圧縮流入工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基板と、この樹脂基板上に装着された電子部品と、この電子部品が埋設されるとともに、前記樹脂基板の少なくとも上面に形成された樹脂部と、この樹脂部の表面を覆うシールド金属膜とを有し、前記電子部品によって前記樹脂基板上に回路が形成されたモジュールの製造方法において、前記樹脂基板の上面に前記電子部品を装着して前記樹脂基板上に回路を形成し、その後で樹脂槽の上方に電子部品が下方を向く方向で樹脂基板を載置し、前記樹脂槽へ投入された非流動状態の前記樹脂が流動可能となるまで軟化させるとともに、前記樹脂基板と前記樹脂との間に形成される空間の空気を吸引し、その後で前記電子部品を前記軟化した樹脂へ浸漬するとともに、前記基板下面を前記樹脂の液面へ接触させ、その後で前記樹脂を圧縮して、前記樹脂を前記樹脂基板と前記電子部品との間の隙間へ強制的に流入させ、その後で前記樹脂を硬化して前記樹脂基板上に前記樹脂部を形成し、その後でシールド金属膜を形成する工程を設け、このシールド金属膜を形成する工程ではスパッタによって前記樹脂部の表面に金属薄膜を形成するモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂には第1の温度範囲内では流動性を有せず、この第1の温度より高い第2の温度範囲内では流動性を生じ、この第2の温度より高い温度で硬化する熱硬化性樹脂を用いるとともに、電子部品と樹脂基板との間の接続には前記第2の温度範囲よりも高い融点のはんだを用い、前記樹脂を強制的に流入させる工程における前記樹脂は第2の温度範囲内とした請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記樹脂を硬化する工程では、前記樹脂に圧力を印加しつつ前記樹脂が前記第2の温度範囲を超える温度にまで加熱する請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【請求項4】
樹脂基板にはグランドパターンが形成され、前記樹脂基板の側面には前記グランドパターンの露出部が形成され、この露出部において前記グランドパターンと前記シールド金属膜とが接続されたモジュールにおいて、前記樹脂を硬化する工程と前記シールド金属膜を形成する工程との間には、前記樹脂部の側面を形成するとともに前記グランドパターンの露出部を露出させる工程を設け、前記シールド金属膜を形成する工程では前記露出部においてシールド金属膜と前記グランドパターンとを接続する請求項3に記載のモジュールの製造方法。
【請求項5】
樹脂基板は、ガラス基材の多層基板とするとともに、前記グランドパターンは前記樹脂基板の内層に形成された請求項4に記載のモジュールの製造方法
【請求項6】
電子部品を装着する工程では、複数個の前記樹脂基板が連結部で連結された状態で前記電子部品を装着し、露出部を露出させる工程では、前記連結部を切断する請求項5に記載のモジュールの製造方法。
【請求項7】
電子部品を装着する工程では、複数個の前記樹脂基板が連結部で連結された状態で前記電子部品を装着し、シールド金属膜を形成する工程の後で、前記連結部を切断する請求項5に記載のモジュールの製造方法。
【請求項8】
樹脂基板上には、電子部品によって高周波回路が形成された請求項6または7に記載のモジュールの製造方法。
【請求項9】
半導体素子には高周波回路の一部が形成された請求項8に記載のモジュールの製造方法。
【請求項1】
樹脂基板と、この樹脂基板上に装着された電子部品と、この電子部品が埋設されるとともに、前記樹脂基板の少なくとも上面に形成された樹脂部と、この樹脂部の表面を覆うシールド金属膜とを有し、前記電子部品によって前記樹脂基板上に回路が形成されたモジュールの製造方法において、前記樹脂基板の上面に前記電子部品を装着して前記樹脂基板上に回路を形成し、その後で樹脂槽の上方に電子部品が下方を向く方向で樹脂基板を載置し、前記樹脂槽へ投入された非流動状態の前記樹脂が流動可能となるまで軟化させるとともに、前記樹脂基板と前記樹脂との間に形成される空間の空気を吸引し、その後で前記電子部品を前記軟化した樹脂へ浸漬するとともに、前記基板下面を前記樹脂の液面へ接触させ、その後で前記樹脂を圧縮して、前記樹脂を前記樹脂基板と前記電子部品との間の隙間へ強制的に流入させ、その後で前記樹脂を硬化して前記樹脂基板上に前記樹脂部を形成し、その後でシールド金属膜を形成する工程を設け、このシールド金属膜を形成する工程ではスパッタによって前記樹脂部の表面に金属薄膜を形成するモジュールの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂には第1の温度範囲内では流動性を有せず、この第1の温度より高い第2の温度範囲内では流動性を生じ、この第2の温度より高い温度で硬化する熱硬化性樹脂を用いるとともに、電子部品と樹脂基板との間の接続には前記第2の温度範囲よりも高い融点のはんだを用い、前記樹脂を強制的に流入させる工程における前記樹脂は第2の温度範囲内とした請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記樹脂を硬化する工程では、前記樹脂に圧力を印加しつつ前記樹脂が前記第2の温度範囲を超える温度にまで加熱する請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【請求項4】
樹脂基板にはグランドパターンが形成され、前記樹脂基板の側面には前記グランドパターンの露出部が形成され、この露出部において前記グランドパターンと前記シールド金属膜とが接続されたモジュールにおいて、前記樹脂を硬化する工程と前記シールド金属膜を形成する工程との間には、前記樹脂部の側面を形成するとともに前記グランドパターンの露出部を露出させる工程を設け、前記シールド金属膜を形成する工程では前記露出部においてシールド金属膜と前記グランドパターンとを接続する請求項3に記載のモジュールの製造方法。
【請求項5】
樹脂基板は、ガラス基材の多層基板とするとともに、前記グランドパターンは前記樹脂基板の内層に形成された請求項4に記載のモジュールの製造方法
【請求項6】
電子部品を装着する工程では、複数個の前記樹脂基板が連結部で連結された状態で前記電子部品を装着し、露出部を露出させる工程では、前記連結部を切断する請求項5に記載のモジュールの製造方法。
【請求項7】
電子部品を装着する工程では、複数個の前記樹脂基板が連結部で連結された状態で前記電子部品を装着し、シールド金属膜を形成する工程の後で、前記連結部を切断する請求項5に記載のモジュールの製造方法。
【請求項8】
樹脂基板上には、電子部品によって高周波回路が形成された請求項6または7に記載のモジュールの製造方法。
【請求項9】
半導体素子には高周波回路の一部が形成された請求項8に記載のモジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−171539(P2011−171539A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34460(P2010−34460)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]