説明

モジュール部品及びモジュール部品の製造方法

【課題】 シールド構造を具備したモジュール部品において、金属箔からなるシールド層へのクラックの発生を防止でき、更なる薄型化を低コストに実現できるモジュール部品及びモジュール部品の製造方法を提供する。
【解決手段】 モジュール部品10及びモジュール部品10の製造方法は、回路基板11の第1の面に複数の電子部品12と主要電子部品13とが配置され、主要電子部品13の接続部を保護する補強樹脂と、電子部品12の表面および回路基板11の第1の面を皮膜する絶縁性樹脂層14と、絶縁性樹脂層14を覆い回路基板11のグランドパターン16に接続された導電性樹脂層15と、を具備し、補強樹脂と絶縁性樹脂層14とが同一樹脂にて一連して形成され、且つ絶縁性樹脂層14の上面が主要電子部品13の上面よりも低いか同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール部品及びモジュール部品の製造方法に関し、特に、シールド構造を具備したモジュール部品及びモジュール部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法として、配線基板上に、電子部品とチップ部品とが所定の位置に載置して取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、電子部品とチップ部品との周囲に、それらの上面も含めて絶縁性樹脂を充填した。
特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、配線基板上に表面実装技術により電子部品を搭載し、シールドシートを電子部品の上面から供給し、約1MPaの圧力で貼り付けて電子部品を被覆する。
特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、軟化する温度範囲に加熱することにより絶縁性樹脂は軟化し、そして、加圧により絶縁性樹脂は流動し、電子部品の周囲に充填されていく。
特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、次いで、導電性接着剤をシールド層と接地電極パッドを接続するように塗布する。そして、シールドシートの絶縁性樹脂と導電性接着剤とを150℃で10分間加熱する。
特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、加熱により、絶縁性樹脂は硬化していき、電子部品の基板上での保持は堅固となり、金属箔から成るシールド層と接地電極パッドとが電気的に接続されてシールド構造が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−177520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯端末器等の分野では、内部に使用されるモジュール部品の小型化や薄型化および高密度実装化が図られている。
また、このようなモジュール部品では、回路特性の安定化や誤動作防止するために、シールド構造が採られている。
これにより、このようなモジュール部品では、外部からのノイズを遮蔽するとともに内部より発するノイズを外部へ漏らさないようにすることが必須とされる。
【0005】
特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、体積抵抗率が低く、低背化したシールド構造の電子回路モジュールが得られる。
しかし、特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法では、シールドシートを貼り付ける際に、基板上の凹凸に追従できない。
従って、特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、金属箔からなるシールド層にクラックが発生することが懸念される。
【0006】
ところで、図16に示すように、特許文献1に記載のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法と同様に、回路基板101の第1の面に各種電子部品102,103が配置されたモジュール部品100及びモジュール部品100の製造方法が提案されている。
このような従来のモジュール部品100及びモジュール部品100の製造方法は、各種電子部品102,103がはんだ材等を介して、回路基板101に電気的および機械的に接続されている。
また、このような従来のモジュール部品100及びモジュール部品100の製造方法は、第1の面に、これら電子部品102,103を覆う金属ケース104がはんだ材を介し回路基板101のグランドパターン105に接続されている。
そして、このような従来のモジュール部品100及びモジュール部品100の製造方法は、金属ケース104が、グランドパターン105を介して不図示のグランド電極と電気的に接続される。
さらに、このような従来のモジュール部品100及びモジュール部品100の製造方法は、回路基板101の第2の面に、モジュール部品100をメインボードに接続するためのはんだバンプ106が形成されている。
しかし、このような従来のモジュール部品100及びモジュール部品100の製造方法は、モジュール部品の小型化および薄型化が困難である。
その原因としては、シールド構造として金属ケースを用いているからである。
金属ケースは、はんだ材で回路基板に取り付けられていることから、取り付け用パッドの面積確保と、はんだ付け不良防止とのため、実装禁止エリアの確保が必要となる。
従って、このような従来のモジュール部品100及びモジュール部品100の製造方法は、実装面積が広くなって小型化が困難となる。
また、金属ケースの製造時の加工性やケース自体の強度を確保する上で、所望の板厚、サイズが必要となって、薄型化が難しい。
【0007】
一方、金属ケース以外のシールド構造として、電子部品を絶縁性樹脂で覆った上にシールド層として導電性樹脂層を形成したものが提案されている。
この構造により、従来の金属ケース構造よりも小型化および薄型化を図ることができる。
しかし、このような従来のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、各電子部品の上面まで絶縁性樹脂を形成しているために、絶縁性樹脂の厚み分がモジュール部品の厚みに加わってしまう。
そのため、電子部品上部の絶縁性樹脂厚みを極薄く形成した場合では、十分な強度が確保されていないことから、再加熱時に電子部品との熱膨張差等から生じる応力で、樹脂クラック等の不良に至ることが懸念される。
また、このような従来のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、電子部品上面よりも絶縁性樹脂の厚みを単純に薄くした場合に、その後に形成される導電性樹脂層と接触してしまい、電気的に不良となる。
さらに、このような従来のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、WL−CSP(Wafer level Chip Size Package)または、半導体素子等の主要電子部品を実装した後に絶縁性樹脂の充填を行っている。
そのため、このような従来のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、樹脂充填時の巻き込みによる樹脂内ボイドが発生し易い。
従って、このような従来のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、ボイドがはんだ接続部間を跨って生じていた場合、再加熱時に溶融したはんだがボイド内へ流出して隣接した接続部とはんだショート不良を引き起こすことが懸念される。
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、シールド構造を具備したモジュール部品において、金属箔からなるシールド層へのクラックの発生を防止でき、更なる薄型化を低コストに実現できるモジュール部品及びモジュール部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るモジュール部品は、回路基板の第1の面に複数の電子部品と主要電子部品とが配置されたモジュール部品において、前記主要電子部品の接続部を保護する補強樹脂と、前記電子部品の表面および前記回路基板の第1の面を皮膜する絶縁性樹脂層と、前記絶縁性樹脂層を覆い前記回路基板のグランドパターンに接続された導電性樹脂層と、を具備し、前記補強樹脂と前記絶縁性樹脂層とが同一樹脂にて一連して形成され、且つ前記絶縁性樹脂層の上面が前記主要電子部品の上面よりも低いか同じである。
【0010】
本発明に係るモジュール部品は、前記導電性樹脂層が、1層以上の樹脂材料で構成されている。
【0011】
本発明に係るモジュール部品の製造方法は、回路基板の第1の面に電子部品を実装する工程と、前記回路基板の前記第1の面を覆うように半硬化状の絶縁性樹脂層を形成する工程と、前記回路基板の前記第1の面に主要電子部品を実装する工程と、半硬化状の前記絶縁性樹脂層を硬化する工程と、前記絶縁性樹脂層と前記回路基板の一部をダイシングし溝部を形成する工程と、前記絶縁性樹脂層表面と前記溝部に導電性樹脂層を形成する工程と、前記回路基板の第2の面にはんだバンプを形成する工程と、前記絶縁性樹脂層の壁面に前記導電性樹脂が残るように前記溝部をダイシングし個片化する工程と、を含む。
【0012】
本発明に係るモジュール部品の製造方法は、回路基板の第1の面に電子部品を実装する工程と、前記回路基板の第1の面外周に形成されたグランドパターン表面が露出するように前記第1の面を覆う半硬化状の絶縁性樹脂層を形成する工程と、前記回路基板の前記第1の面に主要電子部品を実装する工程と、半硬化状の前記絶縁性樹脂層を硬化する工程と、前記絶縁性樹脂層表面と前記グランドパターン表面に導電性樹脂層を形成する工程と、前記回路基板の第2の面にはんだバンプを形成する工程と、前記絶縁性樹脂層の壁面に前記導電性樹脂が残るように前記溝部をダイシングし個片化する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るモジュール部品及びモジュール部品の製造方法によれば、シールド構造を具備したモジュール部品において、金属箔からなるシールド層へのクラックの発生を防止でき、更なる薄型化を低コストに実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1実施形態のモジュール部品の縦断面図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態のモジュール部品の製造方法の第1工程の縦断面図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態のモジュール部品の製造方法の第2工程の縦断面図である。
【図4】本発明に係る第1実施形態のモジュール部品の製造方法の第3工程の縦断面図である。
【図5】本発明に係る第1実施形態のモジュール部品の製造方法の第4工程の縦断面図である。
【図6】本発明に係る第1実施形態のモジュール部品の製造方法の第5工程の縦断面図である。
【図7】本発明に係る第1実施形態のモジュール部品の製造方法の第6工程の縦断面図である。
【図8】本発明に係る第1実施形態のモジュール部品の製造方法の第7工程の縦断面図である。
【図9】本発明に係る第2実施形態のモジュール部品の縦断面図である。
【図10】本発明に係る第2実施形態のモジュール部品の製造方法の第1工程の縦断面図である。
【図11】本発明に係る第2実施形態のモジュール部品の製造方法の第2工程の縦断面図である。
【図12】本発明に係る第2実施形態のモジュール部品の製造方法の第3工程の縦断面図である。
【図13】本発明に係る第2実施形態のモジュール部品の製造方法の第4工程の縦断面図である。
【図14】本発明に係る第2実施形態のモジュール部品の製造方法の第5工程の縦断面図である。
【図15】本発明に係る第2実施形態のモジュール部品の製造方法の第6工程の縦断面図である。
【図16】従来のモジュール部品の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る複数の実施形態のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態のモジュール部品10は、回路基板11の第1の面に、抵抗やキャパシタ等の電子部品12とWL−CSPまたは半導体素子等の主要電子部品13とが実装されている。
そして、モジュール部品10は、回路基板11の第1の面と電子部品12とを覆い、主要電子部品13の接続部に充填された熱硬化性樹脂等からなる絶縁性樹脂層14が形成されている。
【0016】
ここで、絶縁性樹脂層14の上面は、主要電子部品13の上面と略同じかあるいは低い状態にある。
この絶縁性樹脂層14と、絶縁性樹脂層14より露出した主要電子部品13の表面とを覆うようにシールド層として機能する導電性樹脂層15が形成されている。
【0017】
導電性樹脂層15は、回路基板11のグランドパターン16と機械的および電気的に接続された構造を成している。
ここで、導電性樹脂層15中に含まれるフィラーは、銀や金、銅、錫およびカーボンの何れか、もしくは、それらの組合せにより構成されていてもよい。
【0018】
また、導電性樹脂層15が2種類以上の樹脂材から構成されていてもよく、例えば耐湿性に優れた樹脂材と電気的特性に優れた樹脂材とを組み合わせた構造が適用できる。
回路基板11の第2の面には、メインボードへの接続用として錫を主成分とするはんだバンプ17が形成されている。
【0019】
このように、モジュール部品10は、絶縁性樹脂層14の上面がWL−CSPまたは半導体素子等の主要電子部品13上面と略同じか低く、且つその他の電子部品12が絶縁性樹脂で覆われた構造である。
従って、モジュール部品10は、各電子部品12,13と導電性樹脂層15との絶縁性を確保した状態で絶縁性樹脂の厚みを低減でき、薄型化が可能となる。
また、モジュール部品10は、図示はしていないが導電性樹脂層15を耐湿性や密着性に優れた樹脂材と、電気的特性に優れた樹脂材との2層以上の樹脂材から構成することが可能であり、それにより、信頼性を確保することができる。
【0020】
次に、モジュール部品10の製造方法について説明する。
図2に示すように、第1工程において、回路基板11の第1の面に電子部品12を実装する。
ここで、回路基板11は、複数個の回路基板部材がマトリクス状に配置された集合基板である。
なお、図示はしていないが、電子部品12の実装は、以下のようにして行う。
まず、回路基板11の任意の位置に錫を主成分とするはんだペースト材を印刷し、各種電子部品12を搭載する。
その後、リフロー炉ではんだペースト材の融点以上に加熱することにより電子部本12が回路基板11に実装される。
【0021】
次に、図3に示すように、第2工程において、回路基板11の第1の面を覆うように半硬化状の絶縁性樹脂層14を形成する。
絶縁性樹脂層14の形成方法としては、半硬化状の樹脂フィルムをラミネートする方法や、ディスペン法を用い液状の樹脂材を供給した後、加熱炉等を用い半硬化する方法が適用できる。
【0022】
その後、図4に示すように、第3工程において、半硬化状の絶縁性樹脂層14の上から主要電子部品13の実装と半硬化状の絶縁性樹脂層14との本硬化を行う。
主要電子部品13の実装方法としては、半硬化状の絶縁性樹脂層14の粘度が軟化する程度に回路基板11側から予備加熱を加えた状態で主要電子部品13の搭載を行い、その後、リフロー炉等で本加熱して実装する方法が適用できる。
この時、半硬化状の絶縁性樹脂層14も加熱され本硬化した状態となる。
主要電子部品13の搭載において、回路基板11側は常温で主要電子部品13側より予備加熱を加えて行ってもよい。
主要電子部品13の実装では、接続材料にはんだ材を用いた場合、リフロー炉での本加熱温度は用いたはんだ材の融点以上に加熱する。
必要に応じて、リフロー炉等での加熱後に絶縁性樹脂層14の硬化温度に再度加熱する処理を行ってもよい。
その他の方法としては、主要電子部品13の搭載時に搭載ヘッド側から本加熱を加えて、搭載と同時に実装する方法を適用してもよい。
この場合、主要電子部品13を実装した後、主要電子部品13以外に供給された半硬化状の絶縁性樹脂層14を、加熱炉等を用いて本硬化する。
【0023】
次に、図5に示すように、第4工程において、回路基板11と絶縁性樹脂層14とをモジュール単位にハーフダイシングし、溝部18を形成する。
ハーフダイシングには、乾式や湿式のダイシング方法を適用することができる。
ここで、回路基板11をハーフダイシングすると同時に、回路基板11の各内層に配置されたグランパターン16の断面を露出させる。
【0024】
その後、図6に示すように、第5工程において、ハーフダイシングにて形成された溝部17及び絶縁性樹脂層14の表面に導電性樹脂層15を形成する。
導電性樹脂層15の形成方法としては、フィルム状に成形された半硬化状の導電性樹脂を真空ラミネート法等により供給、熱硬化する方法が適用できる。
また、ディスペンス法にて導電性樹脂を供給し、加熱炉等で熱硬化する方法も適用することが可能である。
【0025】
次に、図7に示すように、第6工程において、回路基板11の第2の面にメインボードへの接続用として錫を主成分とするはんだバンプ17を形成する。
図示はしていないが、はんだバンプ17の形成方法としては、ペースト状のはんだ材を印刷法にて任意の位置に供給し、リフロー加熱することで形成できる。
その他にも、回路基板11の任意の位置にフラックスを印刷法または転写法にて供給し、はんだボールを搭載、リフロー加熱する方法を採ることも可能である。
また、必要に応じて、はんだバンプ17の形成時に付着したフラックスの洗浄を実施してもよい。
【0026】
次に、図8に示すように、第7工程において、モジュールの壁面に導電性樹脂が残るように溝部18をダイシングして個片化することで完了する。
【0027】
従って、モジュール部品10の製造方法は、先に接続部を保護する絶縁性樹脂を供給し、WL−CSPまたは半導体素子等の主要電子部品13を実装することにより、樹脂充填時に生じる樹脂内ボイドを抑制することができる。
また、モジュール部品10の製造方法は、主要電子部品13の接続部を保護する絶縁性樹脂の供給と、その他の電子部品表面を絶縁する絶縁性樹脂の供給を同時に行うことにより、生産性の向上が図れる。
【0028】
以上、説明したように第1実施形態のモジュール部品10によれば、絶縁性樹脂層14の上面がWL−CSPまたは半導体素子等の主要電子部品13上面と略同じか低く、且つその他の電子部品12が絶縁性樹脂で覆われた構造である。
従って、第1実施形態のモジュール部品10によれば、金属箔からなるシールド層へのクラックの発生を防止でき、各電子部品12,13と導電性樹脂層15との絶縁性を確保した状態で絶縁性樹脂の厚みを低減できることにより薄型化が可能となる。
また、第1実施形態のモジュール部品10によれば、導電性樹脂層15を耐湿性や密着性に優れた樹脂材と、電気的特性に優れた樹脂材との2層以上の樹脂材から構成することが可能であり、それにより、信頼性を確保することができる。
【0029】
また、第1実施形態のモジュール部品10の製造方法によれば、先に接続部を保護する絶縁性樹脂を供給し、WL−CSPまたは半導体素子等の主要電子部品13を実装することにより、樹脂充填時に生じる樹脂内ボイドを抑制することができる。
また、第1実施形態のモジュール部品10の製造方法によれば、主要電子部品13の接続部を保護する絶縁性樹脂の供給と、その他の電子部品表面を絶縁する絶縁性樹脂の供給を同時に行うことにより、生産性の向上が図れる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法について説明する。
なお、以下の第2実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0031】
図9に示すように、本発明に係る第2実施形態のモジュール部品20は、回路基板11の第1の面に形成されたグランドパターン16に導電性樹脂層15が電気的および機械的に接続されている点が第1実施形態と相違する点である。
また、モジュール部品20は、このグランドパターン16が、回路基板11の第1の面に形成されたソルダーレジストの開口部内に配置されている。
そして、図示はしていないが、このグランドパターン16表面には、Auめっき膜が形成されている。
従って、モジュール部品20は、グランドパターン16表面で導電性樹脂と電気的および機械的に接続されることにより、グランドパターン16のパターン幅およびレイアウトを調整することにより接続面積を広く確保でき、より安定したシールド特性を得ることができる。
【0032】
次に、モジュール部品20の製造方法について説明する。
図10に示すように、第1工程において、回路基板11の第1の面に各種電子部品12を実装する。
ここで、回路基板11は複数個の回路基板部材がマトリクス状に配置された集合基板である。
図示はしていないが、電子部品12の実装は、以下のようにして行う。
まず、回路基板11の任意の位置に錫を主成分とするはんだペースト材を印刷し、各種電子部品12を搭載する。
その後、リフロー炉ではんだペースト材の融点以上に加熱することで実装される。
【0033】
次に、図11に示すように、第2工程において、回路基板11の第1の面においてグランドパターン16が配置された基板外周領域以外に半硬化状の絶縁性樹脂層14を形成する。
絶縁性樹脂層14の形成方法としては、半硬化状の樹脂フィルムを各ロケーション単位でラミネート法を用いて供給する方法が適用できる。
また、ディスペンス法により液状の樹脂材を各ロケーション単位に供給した後、加熱炉等を用い半硬化する方法も適用できる。
ここで、グランドパターン16がソルダーレジストの開口部内に形成されていることから、樹脂の表面張力によりグランドパターン16の側面で樹脂の流れが止まりやすく、樹脂がグランドパターン16表面まで覆ってしまうことを抑制する。
【0034】
その後、図12に示すように、第3工程において、半硬化状の絶縁性樹脂層14の上から主要電子部品13の実装と半硬化状の絶縁性樹脂層14の本硬化を行う。
主要電子部品13の実装方法としては、半硬化状の絶縁性樹脂層14の粘度が軟化する程度に回路基板11側から予備加熱を加えた状態で主要電子部品13の搭載を行い、その後、リフロー炉等で本加熱し実装する方法が適用できる。
この時、半硬化状の絶縁性樹脂層14も加熱され、本硬化した状態となる。
主要電子部品13の搭載において、回路基板11側は常温で主要電子部品13側より予備加熱を加えて行ってもよい。
主要電子部品13の実装では、接続材料にはんだ材を用いた場合、リフロー炉での本加熱温度は用いたはんだ材の融点以上に加熱する。
必要に応じて、リフロー炉等での加熱後に絶縁性樹脂層14の硬化温度に再度加熱する処理を行ってもよい。
その他の方法として、主要電子部品13の搭載時に搭載ヘッド側から本加熱を加え搭載と同時に実装する方法を適用してもよい。
この場合、主要電子部品13を実装した後、加熱炉等を用いて主要電子部品13以外に供給された半硬化状の絶縁性樹脂層14を本硬化する。
【0035】
次に、図13に示すように、第4工程において、回路基板11のグランドパターン16上と絶縁性樹脂層14とを覆うように導電性樹脂層15を形成する。
導電性樹脂層15の形成方法には、フィルム状に成形された半硬化状の導電性樹脂を真空ラミネート法等により供給、熱硬化する方法が適用できる。
また、ディスペンス法や印刷法等で導電性樹脂を供給し、加熱炉等で熱硬化する方法も適用することが可能である。
【0036】
次に、図14に示すように、第5工程において、回路基板11の第2の面にメインボードへの接続用として錫を主成分とするはんだバンプ17を形成する。
図示はしていないが、はんだバンプ17の形成方法としては、ペースト状のはんだ材を印刷法にて任意の位置に供給し、リフロー加熱することで形成できる。
その他にも、回路基板11の任意の位置にフラックスを印刷法または転写法にて供給し、はんだボールを搭載、リフロー加熱する方法を採ることも可能である。
必要に応じ、はんだバンプ17の形成時に付着したフラックスの洗浄を実施してもよい。
【0037】
最後に、図15に示すように、第6工程において、グランドパターン16を避けて回路基板11をダイシングし、個片化することで完了する。
【0038】
従って、モジュール部品20の製造方法は、第1実施形態の製造方法で用いたハーフダイシング工程を実施せずとも、グランドパターン16と導電性樹脂との接続が可能であり、製造工程の簡素化が図れる。
また、モジュール部品20の製造方法は、第1実施形態と同様に、先に接続部を保護する絶縁性樹脂を供給し、WL−CSPまたは半導体素子等の主要電子部品13を実装することにより、樹脂充填時に生じる樹脂内ボイドを抑制することができる。
更に、モジュール部品20の製造方法は、主要電子部品13の接続部を保護する絶縁性樹脂の供給と、その他の電子部品表面を絶縁する絶縁性樹脂の供給とを同時に行うことによち、生産性の向上が図れる。
【0039】
第2実施形態のモジュール部品20によれば、グランドパターン16表面で導電性樹脂と電気的および機械的に接続される。
従って、モジュール部品20によれば、グランドパターン16のパターン幅およびレイアウトを調整することにより接続面積を広く確保でき、より安定したシールド特性を得ることができる。
【0040】
また、第2実施形態のモジュール部品20の製造方法によれば、モジュール部品20の製造方法は、第1実施形態の製造方法で用いたハーフダイシング工程を実施せずとも、グランドパターン16と導電性樹脂との接続が可能であり、製造工程の簡素化が図れる。
また、モジュール部品20の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、先に接続部を保護する絶縁性樹脂を供給し、WL−CSPまたは半導体素子等の主要電子部品13を実装することにより、樹脂充填時に生じる樹脂内ボイドを抑制することができる。
更に、モジュール部品20の製造方法によれば、主要電子部品13の接続部を保護する絶縁性樹脂の供給と、その他の電子部品表面を絶縁する絶縁性樹脂の供給とを同時に行うことにより、生産性の向上が図れる。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の第1実施形態に係るモジュール10の製造方法の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
【0042】
まず、第1工程(図2参照)において、回路基板11の第1の面に電子部品12を実装する。
ここで、回路基板11は、10mmのモジュール基板が、8×7のマトリクス状に配置された集合基板である。
図示はしていないが、電子部品12の実装は、以下のようにして行う。
まず、回路基板11上の任意のパターンに、Sn3.5Ag0.5Cuのはんだペースト材を印刷した後に電子部品12を任意の位置に搭載する。
その後、リフロー炉で,このはんだペースト材の融点である220℃以上に加熱することにより実装される。
【0043】
次に、第2工程(図3参照)において、回路基板11の第1の面を覆うように真空ラミネータ装置を用い半硬化状の樹脂フィルムをラミネートし、半硬化状の絶縁性樹脂層14を形成する。
【0044】
その後、第3工程(図4参照)において、半硬化状の絶縁性樹脂層14の上から主要電子部品13の実装と半硬化状の絶縁性樹脂層14の本硬化を行う。
主要電子部品13の実装方法としては、回路基板11を吸着工程する部品搭載機のステージ側より予備加熱を加え、部品搭載機の搭載ヘッド側より加える加熱と荷重を制御することにより、主要電子部品13の搭載と同時に回路基板11上に実装を行う。
その後、加熱炉を用いて主要電子部品13以外に供給された半硬化状の絶縁性樹脂層14を本硬化する。
【0045】
次に、第4工程(図5参照)において、回路基板11と絶縁性樹脂層14とをモジュール単位に乾式ダイサーを用いてハーフダイシングし、幅0.4mmで回路基板11の1/3程度まで切り込んだ溝部18を形成する。
ここで、回路基板11をハーフダイシングすると同時に、回路基板11の各内層に配置されたグランパターン16の断面が露出する。
【0046】
その後、第5工程(図6参照)において、回路基板11の第1の面を覆うように導電性樹脂層15を形成する。
導電性樹脂層15の形成方法としては、まず、半硬化状のAgフィラーを含有した樹脂シートを回路基板11の第1の面を覆うように真空ラミネート法を用いて供給する。
この時、ハーフダイシングにて形成された溝部18内にも樹脂材が供給される。
そして、加熱炉を用い150℃で1Hr加熱し、本硬化させることにより、導電性樹脂層15が形成される。
【0047】
次に、第6工程(図7参照)において、回路基板11の第2の面に、Sn3.5Ag0.5Cuのはんだペースト材を印刷法にて供給し、リフロー炉を用いて220℃以上加熱を行うことにより、はんだバンプ17を形成する。
【0048】
最後に、第7工程(図8参照)において、モジュールの壁面に導電性樹脂層15が残るように溝部18を乾式ダイサーにてダイシングし、個片化することで完了する。
【0049】
実施例の結果、樹脂充填時に生じる樹脂内ボイドを抑制することができることが確認できる。
また、実施例の結果、生産性の向上が図れることが確認できる。
【0050】
なお、本発明のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上述べたように、本発明のモジュール部品及びモジュール部品の製造方法によれば、シールド構造を具備したモジュール部品において、更なる薄型化を低コストに実現できるものである。
以上の結果として、コストパフォーマンスに優れた商品を提供でき、本発明の産業上の利用可能性は大といえる。
【符号の説明】
【0052】
10 モジュール部品
11 回路基板
12 電子部品
13 主要電子部品
14 絶縁性樹脂層
15 導電性樹脂層
16 グランドパターン
20 モジュール部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の第1の面に複数の電子部品と主要電子部品とが配置されたモジュール部品において、
前記主要電子部品の接続部を保護する補強樹脂と、
前記電子部品の表面および前記回路基板の第1の面を皮膜する絶縁性樹脂層と、
前記絶縁性樹脂層を覆い前記回路基板のグランドパターンに接続された導電性樹脂層と、を具備し、
前記補強樹脂と前記絶縁性樹脂層とが同一樹脂にて一連して形成され、且つ前記絶縁性樹脂層の上面が前記主要電子部品の上面よりも低いか同じであるモジュール部品。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュール部品であって、
前記導電性樹脂層が、1層以上の樹脂材料で構成されているモジュール部品。
【請求項3】
回路基板の第1の面に電子部品を実装する工程と、
前記回路基板の前記第1の面を覆うように半硬化状の絶縁性樹脂層を形成する工程と、
前記回路基板の前記第1の面に主要電子部品を実装する工程と、
半硬化状の前記絶縁性樹脂層を硬化する工程と、
前記絶縁性樹脂層と前記回路基板の一部をダイシングし溝部を形成する工程と、
前記絶縁性樹脂層表面と前記溝部に導電性樹脂層を形成する工程と、
前記回路基板の第2の面にはんだバンプを形成する工程と、
前記絶縁性樹脂層の壁面に前記導電性樹脂が残るように前記溝部をダイシングし個片化する工程と、を含むモジュール部品の製造方法。
【請求項4】
回路基板の第1の面に電子部品を実装する工程と、
前記回路基板の第1の面外周に形成されたグランドパターン表面が露出するように前記第1の面を覆う半硬化状の絶縁性樹脂層を形成する工程と、
前記回路基板の前記第1の面に主要電子部品を実装する工程と、
半硬化状の前記絶縁性樹脂層を硬化する工程と、
前記絶縁性樹脂層表面と前記グランドパターン表面に導電性樹脂層を形成する工程と、
前記回路基板の第2の面にはんだバンプを形成する工程と、
前記絶縁性樹脂層の壁面に前記導電性樹脂が残るように前記溝部をダイシングし個片化する工程と、を含むモジュール部品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−182350(P2012−182350A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44930(P2011−44930)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】