説明

モータサイクル用の傾き補正器を有するライティングおよび/またはシグナリング装置

【課題】光学ユニットに配置される補助光源をオンに切り替え、且つ、そのオンへの切り替えを、モータサイクルの傾きに応じて行うことによって、前述した欠点を解決する。
【解決手段】垂直軸7に対するモータサイクルの傾きを検出するための装置であり、主光源11は、リフレクタ3の隣接部分のうちの1つの部分と関連して、カットオフを伴う光ビームを生成し、追加の光源9、13は、リフレクタ3の上記隣接部分のうちの他のもう1つの部分と関連して、相補的なビームを生成し、主光源11および/または追加の光源9、13のオンへの切り換えが、検出装置に依存して行われ、追加の光源9、13は、その相補的なビームが、モータサイクルが傾く側で主光源11により生成されるビームのカットオフよりも上側で延びるように、ヘッドライト2に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、モータサイクル用のライティングおよび/またはシグナリング装置の技術分野であって、一般的には、曲がるときに傾くことができる、2つもしくは3つの車輪を有する、全ての車両用のライティングおよび/またはシグナリング装置の技術分野である。
【背景技術】
【0002】
モータサイクルには、一般に、モータサイクルが走行している道路を照らすために、フォーク(fork)に設置されるフロントライティング装置が設けられる。動きが、道路上において直線軸上で行なわれる場合には、ロービームで使用されるライティング装置は、とられるべき軌道をドライバが正確に見ることができるように、十分なビームを供給する。
【0003】
一方、道路がカーブを有する場合には、モータサイクルは、カーブの曲率に適合する軌道をとるために、カーブの内側へと傾く。この傾きにより、このカーブの軌道中にモータサイクルに加えられる遠心力を補償することができる。
【0004】
ライティング装置がロービーム位置にある場合には、光源により供給される光ビームは、水平軸よりも上側が遮られて見えなくされる、即ち、カットオフをすることにより、モータサイクルがこの道路上で直面しているユーザの目をくらませないようにする。したがって、このカットオフは、モータサイクルが直進走行しているときには、水平軸と区別できず、且つ、モータサイクルがカーブを辿るために傾くときには、水平軸に対して傾けられる。
【0005】
右の方へ方向付けられるカーブの場合には、モータサイクルが右へ傾き、且つ、光ビームのカットオフは、モータサイクルの傾き角度と等しい角度をなす角度領域を形成しつつ、水平軸の真下で右側に現れるので、光を奪われる領域が形成される。この領域とモータサイクルの軌道とが重ね合され、それにより、モータサイクルのドライバの視界が減少する。
【0006】
特許文献1(仏国特許FR2,223,229号)は、モータサイクルのフォークに装着される光学ユニットを回転させることによって、この欠点を軽減する。この回転は、その動作が重量の慣性動作に基づく、機械的な検出器のインパルスの下で、操作される。そのような装置は、例えば、ギアセットやピニオンなどの多くの移動部品を備えるため、達成することが困難である。
【0007】
特許文献2(米国特許US2006/0082221号)は、モータサイクルの側部に設置されるランプをオンに切り換えるための自動システムを開示する。この文献により開示される装置は、モータサイクルの湾曲軌道を十分に照明しない、という欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許FR2,223,229号
【特許文献2】米国特許US2006/0082221号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、主に、光学ユニットに配置される補助光源をオンに切り替え、且つ、そのオンへの切り替えを、モータサイクルの傾きに応じて行うことによって、前述した欠点を解決することである。この補助光源によって形成される光ビームは、光を奪われる領域を照らすが、モータサイクルが直面しているユーザの目をくらますことはなく、これは、追加のビームが、一方側では主ビームによって制限され、且つ、他方側では水平面に沿うカットオフによって制限されるからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の主題は、
垂直軸に対するモータサイクルの傾きを検出するための装置と、
少なくとも2つの隣接部分を備えるリフレクタを備え、且つ、
主光源と、少なくとも1つの追加の光源と、を支持する、ヘッドライトと、
を備え、
主光源は、リフレクタの上記隣接部分のうちの1つの部分と関連して、カットオフを伴う光ビームを生成し、
追加の光源は、リフレクタの上記隣接部分のうちの他のもう1つの部分と関連して、相補的なビームを生成し、
主光源および/または追加の光源のオンへの切り換えが検出装置に依存して行われ、追加の光源は、その相補的なビームが、モータサイクルが傾く側で主光源により生成されるビームのカットオフよりも上側で延びるように、ヘッドライトに配置される、
モータサイクルのためのライティングおよび/またはシグナリング装置である。
【0011】
したがって、相補的なビームは、カットオフラインよりも上側で、カットオフを伴う光ビームとも呼ばれる、主ビームを補完する。これをなすために、追加の光源が主光源に対して側方に配置される。
【0012】
ロービームでは、モータサイクルが直面しているユーザの目をくらませないようにすることが必要である。したがって、相補的なビームは、モータサイクルが傾けられるときのカットオフラインと、それを超えると眩しい光が現れる水平線との間に、抑えられる。
【0013】
リフレクタは、複数の隣接部分を備える単一品から成ってもよいが、それぞれが1つの隣接部分を形成する、複数の別個の並列されたリフレクタによって形成されてもよい。
【0014】
本発明の1つの特徴によれば、主光源および追加の光源が、発光ダイオードである。この技術は、限られた体積内で少なくとも2つの光源を使用する必要がある、本発明に係る装置に特に適している。そのような技術は、複数の放射源の使用に起因する加熱を防止する。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、複数の発光ダイオードが、1つの同じ支持体に配置され、支持体が、少なくとも2つの面または少なくとも2つの平面を有し、それぞれの面または平面が、1つの発光ダイオードを受け、面または平面が、65°〜85°の鋭角で互いに対して傾けられる。好適には、支持体は、三角形断面を有し、それにより、それぞれが1つの光源を受ける、3つの面または3つの平面が形成される。
【0016】
本発明の更に他の特徴によれば、支持体は、発光ダイオードと、放熱体と、を制御するための制御モジュールを備える。制御モジュールは、電子制御器と、電力要素と、を備え、電力要素が、放熱体によって冷却される。制御モジュールは、主光源および/または追加の光源および/または補足的な光源の、オン及びオフの切り換えを管理する。また、制御モジュールは、例えば、検出装置によって決定される傾き角度に応じておよび/またはモータサイクルの移動速度に応じて、相補的なビームの出力の漸進性または適合も制御する。
【0017】
好適には、支持体が、傾き検出装置を受ける。
【0018】
また、好適には、カットオフを伴う光ビームは、垂直軸の第1の側の水平なカットと、垂直軸に対して第1の側と反対側で、水平軸よりも上側に5〜25°で傾斜したカットオフと、によって形成される。
【0019】
ライティングおよび/またはシグナリング装置が、特に、2002年8月11日に施行されてジュネーブでの締結国の庇護を受けて発布された規則第113、すなわち、“対称な通過ビームまたは駆動ビームまたはその両方を放射し、且つフィラメント、ガス放電光源、または、LEDモジュールを備える自動車ヘッドランプの認可に関する一定の規定”にしたがって、平坦なカットオフを伴う光ビームを生成することを可能にする場合には、主光源が180°で放射する、単一の発光ダイオードを備える。
【0020】
主光源は、少なくとも2つの発光ダイオード、すなわち、180°で放射する第1の発光ダイオードと、5°〜25°で放射する第2の発光ダイオードと、を備え、これらは、カットオフを伴う光ビームが形成されるように組み合わせられるが、このカットオフは、特に、2002年8月11日に施行されてジュネーブでの締結国の庇護を受けて発布された規則第112、すなわち、“非対称な通過ビームまたは駆動ビームまたはその両方を放射し、且つフィラメントランプおよび/またはLEDモジュールを備える自動車ヘッドランプの認可に関する一定の規定”にしたがって、ライティングおよび/またはシグナリング装置で使用される傾斜したカットオフを伴う光ビームである。
【0021】
最後に、傾き検出装置は、とりわけ、ジャイロスコープまたは傾斜計を備える。この検出装置は、発光ダイオードを制御するためのモジュールに、関連付けられあるいは組み込まれる。
【0022】
本発明に係る1つの際立った利点は、そのような装置を備えるモータサイクルのドライバの安全性が増加することにあるが、これは、モータサイクルの傾きによって視野が損なわれないからである。
【0023】
他の利点は、そのような装置の適用の容易性および信頼性にある。具体的には、追加の照明機能を果たすために部品が移動することがなく、これにより、故障の危険が大幅に制限される。
【0024】
本発明の他の特徴、詳細、および、利点は、図面を参照して以下に与えられた説明を示唆として読むと、より明確に分かる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るライティングおよび/またはシグナリング装置の実施形態の正面図。
【図2】本発明に係るライティングおよび/またはシグナリング装置によって放射される光ビームの第1の図。
【図3】本発明に係るライティングおよび/またはシグナリング装置によって放射される光ビームの第2の図。
【図4】本発明に係るライティングおよび/またはシグナリング装置によって放射される光ビームの第3の図。
【図5】本発明に係るライティングおよび/またはシグナリング装置で使用される支持体を示す側面図。
【図6】図5の支持体の正面図。
【図7】本発明に係るライティングおよび/またはシグナリング装置で使用される支持体の変形例を示す側面図。
【図8】図7の支持体の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
なお、図は、本発明を適用するために本発明を詳しい態様で示しており、当然ながら、上記図は、適切な場合には本発明をより良く規定するために使用できる。
【0027】
図1は、モータサイクルに取り付けられるライティングおよび/またはシグナリング装置1の実施形態を示している。ヘッドライト2は、モータサイクルの前部、例えばモータサイクルのフォーク、に設置される。ヘッドライト2は、リフレクタ3を備えており、このリフレクタ3は、複数の隣接部分を備えてもよい。このリフレクタは、ヘッドライト2のチューブによって形成されてもよい内部反射面、すなわち、リアケーシングを有し、このリアケーシングは、後側で、ヘッドライトの外部体積に対してヘッドライトの内部体積を画定する。このリフレクタ3は、ヘッドライトの内側に取り付けられ、且つ、このヘッドライトのチューブに固定される、1つ以上の部品によって形成されてもよい。
【0028】
ヘッドライト2の内部体積は、一方側がチューブによって画定され、且つ、他方側が、ガラスの形状をなす、例えばドーム型の透明壁、によって画定される。このガラスは、光ビームが通過できるようにしつつ、ヘッドライトの内部体積内に設置される構成要素を保護する。
【0029】
第1の部分4は、リフレクタ3の上部領域内で延びており、且つ、一方側が湾曲した外周境界線によって境界付けられるとともに、他方側が平坦縁部によって境界付けられる、半円を形成する。この平坦縁部は、光ビームを水平方向6で遮断して、光ビームを特定の閾値未満に制限できるようにする、カットオフまたはカットオフライン5と呼ばれるものを形成する。このカットオフは、モータサイクルに近づいてくるユーザの目をくらませるのを避けるため、ロービーム機能と組み合わせて使用される。この実施形態では、カットオフ5は、垂直軸7の一方側および他方側が水平である。以下で引き合いに出される他の実施形態では、カットオフラインは、水平軸よりも上側に、平坦領域と傾斜領域とを有する。
【0030】
リフレクタの第1の部分4は、主光源11により放射される光ビームを送るものであり、主光源11は、白熱ランプまたはキセノンランプとなり得る。しかしながら、本発明は、この主光源が発光ダイオードからなる場合には、最も特別な用途を見出すが、それは、そのようなタイプの光源のジュール効果による損失が低く、そのため、本発明に係るヘッドライトの体積のような閉じられた体積内で、補助的な光源を使用できるからである。この主光源11は、ソケット14と、電球15と、からなり、電球15から、一条の光が、180°の角度領域で出現する。なお、ソケット14は、カットオフ5に対して平行であるが、これは、半円をなして形成されるリフレクタ3の第1の部分4にわたって、この光ビームを分布させるためである。
【0031】
リフレクタ3は、第2の部分8を有するが、この第2の部分8の機能は、追加の光源9により供給される相補的な光ビームを反射することである。なお、リフレクタ3の第2の部分8は、第1の部分4と直接に隣接しているが、第1の部分4とは区別されることに注意されたい。
【0032】
この第2の部分8は、三角形領域を形成するが、この場合には、2つの辺は、垂直軸7と水平軸6とが交差する中心を通過して、5〜25°の角度をなす。そのような値の範囲により、モータサイクルが傾くときに、道路を十分に照らすことができる。
【0033】
追加の光源9は、ヘッドライトに設置されるが、これは、リフレクタ3のこの第2の部分8を照らすためである。この追加の光源9が、発光ダイオードにより形成される場合には、発光ダイオードは、電球10がリフレクタの第2の部分8の方向を向くように設置され、それにより、一条の光または光ビームをこの第2の部分8に集光する。また、この追加の光源9は、ソケット16も備えるが、このソケット16は、主光源11のソケット14に対して角度をもって方向付けられる面内に、配置される。この鋭角は、例えば60°〜85°である。
【0034】
したがって、追加の光源9と組み合わされるリフレクタ3の第2の部分8は、モータサイクルの右および前方に位置される領域を、照らすことができる。
【0035】
本発明のこの実施形態では、リフレクタ3は、参照符号12が付される第3の部分を備えており、この第3の部分の配置は、垂直軸7に対して第2の部分8と反対側にあり、且つ、第3の部分の構造は、リフレクタのこの第2の部分8と同一である。
【0036】
この第3の部分12は、他の追加の光源(以下「補助光源13」という)によって生成される光ビームを反射する。補助光源13は、例えば、電球18が被せられるソケット17を有する発光ダイオードの形状をなすが、この電球18は、リフレクタ3の第3の部分12と対向する。
【0037】
追加の光源9の場合と同様に、補助光源13のソケット17は、主光源11のソケット14が延在する面と鋭角をなす面内で延びており、この角度は、60〜85°である。
【0038】
また、この図は、この主光源およびこの追加の光源がどのように固定されるのかも示している。主光源11のソケット14および追加の光源9のソケット16は、ヘッドライト2内で延びる支持体23に取り付けられる。好適には、この支持体は、カットオフライン5と、リフレクタ3を形成する第2の部分8および第3の部分12をそれぞれ境界付けるライン24、25との交差部で、リフレクタ3を貫通して、設置される。
【0039】
第2の部分8および第3の部分12は、カットオフ5に対して、第1の部分4と反対側にある。したがって、リフレクタにより生成される対称性は、カットオフ5を形成するこのラインよりも上側に、相補的なビームを投影できるようにすることが分かる。
【0040】
また、ヘッドライト2は、ハイビームの照明、すなわち、ユーザがモータサイクルに直面していない状況でカットオフが与えられない照明、も提供する。
【0041】
このハイビーム機能はリフレクタ3の第4の部分19によって提供されるが、この第4の部分19は、参照符号8、12がそれぞれ付される第2の部分および第3の部分に直接に隣接している。
【0042】
追加の光源9のオンまたはオフの切り換え、必要に応じて補助光源13のオンまたはオフの切り換えは、モータサイクルの傾き検出装置(図5では参照符号20が付される)に依存している。この検出装置は、モータサイクルのフレームまたはフォークに配置されてもよい。また、例えば検出装置を支持体23に固定することにより、検出装置をヘッドライト2と組み合わせることも有益である。
【0043】
この検出装置20は、モータサイクルの傾きの値を測定できるとともに、この測定値に応じて、追加の光源9および/または補助光源13のオンへの切り換えを制御できる、電子手段を備える。この傾き検出は、例えば、傾斜計とも呼ばれる傾きセンサによって、mたは、ジャイロスコープによって、行われる。
【0044】
図2は、ヘッドライト2によって投影される平坦なカットオフを伴うビーム、特に、前述した規則第113にしたがった平坦なカットオフを伴うビームを示している。リフレクタ3は、水平軸6に対して対称な態様でカットオフを伴う光ビーム21を反射する。したがって、主光源11により放射されるカットオフを伴う光ビーム21は、道路上に投影されるが、これは、カットオフライン5と区別できない水平軸6の真下で道路を照らすためである。モータサイクルが垂直な状況では、追加の光源および/または補助光源のいずれも、作動しない。
【0045】
図3は、ヘッドライト2によって投影される傾斜したカットオフを伴うビーム、特に、前述した規則第112にしたがった傾斜したカットオフを伴うビームを示している。リフレクタ3は、水平軸6に対して対称な態様でカットオフを伴う光ビーム21を反射する。このように、主光源11により放射されるカットオフを伴う光ビーム21は、道路上に投影されるが、これは、カットオフライン5と区別できない水平軸6の真下で道路を照らすためである。傾斜したカットオフを伴うビームとの関連において、特に、上記規則第112との関連において、補助光源13は、道路の脇を照らすように作動される。このように、モータサイクルが垂直な状況では、参照符号35により示される傾斜した光ビームが、カットオフライン5よりも上側で、且つ、水平軸6よりも上側で、道路上に投影される。したがって、傾斜したカットオフを伴う光ビームが、垂直軸7の第1の側、例えば垂直軸の左側の水平なカットと、垂直軸7に対して第1の側と反対側で水平軸6よりも上側に5〜25°で傾斜したカットオフとから形成され、補助光源13によってもたらされるこの傾斜したカットオフがオンに切り換えられていることを、理解されたい。このように、傾斜したカットオフを伴う光ビームは、傾斜した光ビーム35と組み合わせられたカットオフを伴う光ビーム21からなる。補助光源13は180°で放射する発光ダイオードであるが、傾斜した光ビーム35は、水平軸6よりも上側に5〜25°の所定の角度で、好ましくは水平軸6よりも上側に12°で、放射する発光ダイオードによって、生成される。
【0046】
当然ながら、本発明は、図2および図3に示されるように、規則第113または第112のいずれかを満たすライティングおよび/またはシグナリング装置にも、同様に非限定的な態様で適用されてもよい。
【0047】
図4は、モータサイクルが左へのカーブ中に傾けられる状況を示している。この場合には、モータサイクルには、傾斜したカットオフ、例えば、前述した規則第112にしたがって傾斜したカットオフ、を伴うビームを保持できるようにする、ライティングおよび/またはシグナリング装置が取り付けられる。
【0048】
モータサイクルのこの傾きは、もはや水平軸6と区別不可能ではないカットオフライン5の傾きを引き起こす。検出装置20は、この傾きを考慮し、且つ、追加の光源9のオンへの切り替えを指示するが、この追加の光源9は相補的な光ビーム22を生成するものであり、この相補的な光ビーム22は、カットオフ5と水平軸6との間の空間を満たすものである。したがって、相補的なビームが、カットオフライン5よりも上側であるが、水平軸6よりも下側であることが、分かる。
【0049】
相補的なビーム22は、カットオフビーム21と組み合わされるので、モータサイクルによって使用される道路の照明を改善することができるが、モータサイクルが直面するユーザの目をくらませることはなく、これは、相補的なビームが、水平軸6までに制限されるからである。
【0050】
そのような状況は、あらゆる場合において、モータサイクルが右へ傾くケースに置き換えることができる。具体的には、この場合には、検出装置は、補助光源13のオンへの切り換えを指示するが、これは、カットオフビーム21の右側に、すなわち、カットオフと水平軸との間に、同じ利点を与えるためである。
【0051】
図5は、支持体23の実施形態を示している。支持体は、主光源11、追加の光源9、および/または、補助光源13、これらの光源を制御するための電子手段、および、モータサイクルの傾きを検出するための検出装置20などの、複数の構成要素を一体化させる。
【0052】
支持体23は、主光源11が取り付けられる上端平面26と、2つの側部平面27、28と、を有する。電子制御モジュール29も、支持体23に固定されるが、この電子制御モジュールは、主光源11および追加の光源9を形成する発光ダイオードを制御する機能を果たす。
【0053】
電子制御モジュール29は、ヘッドライト2の外側へ延びる放熱体30を備えるが、これは、ヘッドライトを取り囲む空気流と熱的にやりとりするためである。すなわち、この放熱体30は、ヘッドライトの内部体積の外側に配置されて、且つ、制御モジュール29に組み込まれる電力要素を冷却する。
【0054】
また、支持体23または制御モジュール29は、モータサイクルの傾きを検出するための傾き検出装置20を受けるためにも、使用される。この実施形態は、1つの電源だけを必要とする単一部品を形成するという利点を有する。したがって、従来の電球の代わりに、この単一のアセンブリを、流通するモータサイクルに取り付けることができる。
【0055】
図6は、支持体23に対する、主光源11、追加の光源9、および/または、補助光源13の角度位置を示している。
【0056】
この支持体の断面は、三角形であり、且つ、それぞれの面が、1つの発光ダイオードを受ける。主光源11は、そのソケット14によって、上端平面26に固定される。追加の光源9は、それとしては、発光ダイオードを構成するソケット16を介して、第1の側部平面27に取り付けられ、一方、補助光源13は、そのベース17によって、第2の側部平面28に取り付けられる。
【0057】
図7および図8は、専用の補足的な光源31をハイビーム機能に組み込む変形例を示している。この補足的な光源は、特に、電球33によって覆われるソケット32により形成される発光ダイオードである。電球は、リフレクタ3の第4の部分19と対向し、また、ソケット32は、主光源11の発光ダイオードを形成するソケット14と平行に延びる。すなわち、支持体23は、上端平面26および側部平面27、28に加えて底部平面34が形成される、多角形断面を有するが、この底部平面は、特に、ソケット32を底部平面34に固定することにより、補足的な光源31のための支持体としての機能を果たす。
【0058】
追加の光源9および/または補助光源13のオンへの切り換えおよび/またはオフへの切り換えは、例えば、モータサイクルの傾きの値に応じておよび/またはモータサイクルの速度に応じて、オン・オフモードで、または、適応もしくは漸進的モードで、制御モジュール29により行なわれてもよい。モータサイクルの速度に応じる場合には、制御モジュール20は、モータサイクルの速度を表わす情報項目を受ける。
【0059】
漸進的なスイッチオンモードまたはスイッチオフモードでは、制御モジュール29は、追加の光源に供給される電力を管理するが、これは、1または複数の発光ダイオードにより放射される一条の光の強度を制御するためである。
【0060】
本発明は、主光源11、追加の光源9、補助光源13、および、補足的な光源31を形成するために、発光ダイオードの使用において特別な用途を見出すが、これは、光源により放射される熱の放出による劣化の危険を伴うことなく、これらのダイオードを、制限された且つ囲繞された環境内に、設置できるからである。
【0061】
また、本発明は、カットオフライン5が平坦でない状況にまでも及ぶ。具体的には、カットオフを伴う光ビームは、垂直軸7の第1の側の水平なカットと、垂直軸7に対して第1の側と反対側で水平軸6よりも上側に5〜25°で傾斜したカットと、によって形成されてもよい。この場合には、傾斜した領域が、前述した角度で水平軸よりも上側に照らされるため、そのようなロービームのカットオフが、平坦ではないことが分かる。
【0062】
水平なカットオフを有するビームの部分は、主光源11によって生成され、一方、傾斜したカットオフを画定する角度をもった領域は、5°〜25°で放射する第2の発光ダイオードにより形成される。2つのビームは、互いに組み合わされて、カットオフを伴う光ビームを形成する。そのような状況では、この第2のダイオードが、追加の光源9に取って代わり、そのオンへの切り換えは、主光源を形成する発光ダイオードのオンへの切り換えと協調される。したがって、ライティングおよび/またはシグナリング装置は、追加の光源を備えるが、この追加の光源は、第2のダイオードと対向する態様で支持体に設置され、且つ、モータサイクルが左へ傾くときに適合して道路を照明するために設けられる追加の光源を備える。
【0063】
上記で参照して使用された左/右フレームは、モータサイクルのサドルに配置されるドライバの位置によって決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸(7)に対するモータサイクルの傾きを検出するための検出装置(20)と、
少なくとも2つの隣接部分(4、8、12、19)を備えるリフレクタ(3)を備え、且つ、
主光源(11)と、少なくとも1つの追加の光源(9、13)と、を支持する、
ヘッドライト(2)と、
を備え、
前記主光源(11)は、リフレクタ(3)の前記隣接部分のうちの1つの部分と関連して、カットオフを伴う光ビーム(21)を生成し、
前記追加の光源(9、13)は、リフレクタ(3)の前記隣接部分のうちの他のもう1つの部分と関連して、相補的なビーム(22)を生成し、
前記主光源(11)および/または前記追加の光源(9、13)のオンへの切り換えが、前記検出装置(20)に依存して行われ、前記追加の光源(9、13)は、その相補的なビーム(22)が、モータサイクルが傾く側で前記主光源(11)により生成されるビームのカットオフ(5)よりも上側で延びるように、ヘッドライト(2)に配置される、
モータサイクルのためのライティングおよび/またはシグナリング装置(1)。
【請求項2】
前記主光源(11)および前記追加の光源(9、13)が、発光ダイオードである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードが、1つの同じ支持体(23)に配置され、前記支持体(23)が、少なくとも2つの平面(26、27、28)を有し、各平面が、1つの発光ダイオードを受け、前記平面(26,27)が、60°〜85°の鋭角で互いに対して傾けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持体(23)は、前記発光ダイオードと、放熱体(30)と、を制御するための制御モジュール(29)を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記支持体(23)が、傾き検出装置(20)を受ける、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記カットオフを伴う光ビーム(21)は、前記垂直軸(7)の第1の側の水平なカットと、前記垂直軸(7)に対して前記第1の側と反対側で水平軸(6)よりも上側に5〜25°で傾斜したカットオフと、によって形成される、請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記主光源(11)が、少なくとも2つの発光ダイオードを備え、第1の発光ダイオードが、180°で放射し、第2の発光ダイオードが、5°〜25°で放射し、それにより、傾斜したカットオフを伴う光ビームが一緒に形成される、請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記検出装置(20)が、少なくとも1つのジャイロスコープまたは少なくとも1つの傾斜計を備える、請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−166781(P2012−166781A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−30411(P2012−30411)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】