説明

ヨウ素ドープ二酸化チタンを用いて生物学的起源からのエテンを除去する方法

【課題】ヨウ素ドープ二酸化チタンて用いる生物学的起源からのエテンを除去する方法
【解決手段】本発明は、ヨウ素がドープされた二酸化チタンを用いて、生物学的起源からのエテンを除去する方法に関する。更に本発明の側面はこのヨウ素ドープ二酸化チタンを含む高分子組成物、効果的なエテン除去用添加剤としてのその使用、並びにヨウ素ドープ二酸化チタン自身である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨウ素がドープされた二酸化チタンを用いて、生物学的起源からのエテンを除去する方法に関する。更に本発明の側面はこのヨウ素ドープ二酸化チタンを含む高分子組成物、効果的なエテン除去用添加剤としてのその使用、並びにヨウ素ドープ二酸化チタン自身である。
【背景技術】
【0002】
果物、花などの生物由来製品の保管中に発生するエテンガスの除去は、新鮮な野菜、果物及び切花の収穫後の寿命を引き延ばすのに効果的な方法である。高濃度のエテンガスは、生鮮製品の老化を促進する。
【0003】
様々な技術に基づく数多くの解決策が既に市場に存在する。例えば、エテンは化学反応で除去可能であり、そしてこれは過マンガン酸カリウムベースの系で起こることである。また、吸着によっても除去可能であり、これは、プラスチック製の包装フィルムに組み込まれることが多い、ゼオライト、大谷石及び他の無機添加剤の機能原理であるる。これは例えば欧州特許第1134022号明細書に記載されている。更なる可能性としては、空気を浄化する触媒性フィルタを用いるものである。これらの解決策はいずれも不利点、例えばプラスチックフィルム中の無機添加剤の低活性、或いは過マンガン酸ベースのサシェ(小袋)の毒性、などを有しており、その処分は取り扱い容易ではない。
【0004】
TiO2ベースのフィルタの使用もまた、エテンの除去に対してとても一般的であり、
輸送並びに倉庫における生鮮食品の保管の間のいずれにも使用される。TiO2はエテン
を分解する光酸化触媒であるが、それは専用のUV灯を必要とする。UV光は、地上に到達する太陽スペクトルのうちごくわずかな部分のみに現れる。従って、本発明が解決しようとする課題は、より広い吸収スペクトルを有し、それにより、周辺可視光の存在下で、より効果的にエテン酸化をする、新規なドープTiO2を開発することである。
【0005】
二酸化チタンは、低コスト、非毒性、高い安定性及び高効率などの様々な理由により、有機汚染物質の光分解に幅広く使用されている。しかしながら、高エネルギーバンドギャップ(アナターゼ(Anatas)型でおよそ3.2eV)と、UV光(400nm未満、太陽光のわずか4%)のみにしか酸化プロセスを促進できないために、非常に制限がある。よって、そのスペクトルの発生をUV光から可視光へ適切にシフトさせることにより、その性能を改善し、光酸化プロセスのための太陽放射のより広い部分の活用を可能にする。
得られる触媒は、周辺光で作用できる。
【0006】
二酸化チタンのドーピングは、バンドギャップを低下せしめ、したがって吸収帯(及び励起プロセス)を可視光よりにシフトさせることを可能にする。
【0007】
これまで、二酸化チタンのドープ法は、遷移金属(V、Ni、Cr、Mn又はFe)を用いた金属イオン注入によるものであった。しかしながら、ドーパントとしての遷移金属の使用は、いくつかの不利点を有する:低い熱安定性、高価な手順、そしてある場合には再結合の増加。より近年には、効果的なドーパントとして窒素が報告されている(“Visible Light Photocatalysis in nitrogen−doped titanium oxide”Science,2001,293,269−271)。
【0008】
さらに、フェドロフ(Fedorov)らは、窒素ドープチタンナノ粒子スラリーを用いた可視光でのエタンの光分解を報告している(Applied Catalysis B:Environmental,2005,57,93−117)。
【0009】
有機材料の光酸化において非常に活性である、窒素ドープの二酸化チタンを製造する他の方法を、リー(Lee)らが報告している(Chem.Lett.,2005,34,660−661)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、さらに効果的な材料、すなわち、ヨウ素がドープされた高活性な可視光応答性二酸化チタンを提供する。該材料は、ヨウ素酸の存在下でチタニウムアルコキシドの加水分解によって得られる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面は、ガス雰囲気からエテンを除去する方法であって、ヨウ素ドープ二酸化チタンを少なくともある程度エテンを含むガス雰囲気に接触させる工程、並びにヨウ素ドープ二酸化チタンを300乃至700nmの波長の光で照射する工程、を含む方法である。
【0012】
好ましくは、ヨウ素ドープ二酸化チタンは、300乃至500nmの間の波長の光に晒される。
【0013】
TiO2の主たる結晶変態はルチル型(Rutil)及びアナターゼ型(Anatas
)である。ヨウ素ドープ二酸化チタンには主としてアナターゼ型変態が好ましいが、殆どの場合、ルチル型変態とアナターゼ型変体の混合物で存在している。
【発明の効果】
【0014】
植物は収穫された後もしばらくは生存しており、呼吸、蒸散、カビの生育、微生物活動下での腐敗など、様々な生理学的効果が起こり得、そして植物の鮮度低下を促進させ得る。加えて、植物は、代謝産物として、ある種の植物ホルモンであるエテンを展開させる。エテンは多くの生理学的効果、中でも呼吸促進作用や成熟促進作用を有し、そのため、植物の熟成と、また鮮度の低下にも大きく関係する。鮮度の低下は野菜、果物及び花の保管及び流通において特に問題となっている。野菜、果物及び花の鮮度を維持する為の収穫後の保存が、それゆえ高く望まれている。
【0015】
本方法は、エテンが果物、花又は野菜の保管中に発生する場合、特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例えば、ヨウ素ドープ二酸化チタンは、プラスチックフィルム、シート、バッグ、ボトル、発泡スチロールカップ、プレート、用品(utensils)、ブリスター包装、ボックス、ラッピング包装、プラスチックファイバー、テープ、より糸状農業用フィルム、使い捨ておむつ、使い捨て衣類、買い物袋、ゴミ袋、ダンボール箱、ろ過装置(冷蔵庫用)などの高分子製品に使用され得る。物品は、押し出し、押し出しブロー、フィルムキャスト、フィルムブロー、カレンダー、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、熱成形、紡績、ブロー押し出し及び回転キャストなど、これらに限定されない、当業者が利用できるいずれの方法によっても製造可能であり得る。
【0017】
特に、フィルム、ボックス、フィルタ、ラベル、バック、及びサシェなどの包装物品の
分野に興味がある。ガス分解の速度は、ヨウ素ドープ二酸化チタンの濃度と露光時間を単に変化させることで調節可能である。
【0018】
特に適するものは、セルロース材料から出来たサシェへの組み込みである。
【0019】
例えば、ヨウ素ドープ二酸化チタンは、天然または合成高分子材料に組み込まれる。
【0020】
適当である天然又は合成高分子を以下に示す:
1.モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテ−1−エン、ポリ−4−メチルペンテ−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィン、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエテン(ポリエチレンとも称する)(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエテン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエテン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエテン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエテン(MDPE)、低密度ポリエテン(LDPE)、線状低密度ポリエテン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0021】
ポリオレフィン、すなわち前の段落において例示したモノオレフィンのポリマー、望ましくはポリエテン及びポリプロピレンは、異なる方法によりそしてとりわけ以下の方法により調製され得る:
a)ラジカル重合(通常は高圧下及び高温において)。
b)通常、周期表のIVb、Vb、VIb又はVIII群の金属の一種又はそれ以上を含む触媒を使用した触媒重合。これらの金属は通常、一つ又はそれ以上の配位子、典型的にはπ−又はσ−配位し得るオキシド、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は遊離形態であるか、又は基材に、典型的には活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナ又は酸化ケイ素に固定され得る。これらの触媒は、重合媒体中に可溶又は不溶であり得る。該触媒は重合においてそのまま使用され得、又はさらなる活性剤、典型的には金属アルキル、金属ヒドリド、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシド又は金属アルキルオキサンであって、前記金属が周期表のIa、IIa及び/又はIIIa群の元素であるものが使用され得る。活性剤は、他のエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で都合良く変性され得る。これらの触媒系は通常、フィリップス、スタンダードオイルインディアナ、チグラー(−ナッタ)、TNZ(デュポン)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と命名される。
【0022】
2.1)で言及されたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエテン(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)の混合物、及び異なる型のポリエテンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0023】
3.モノオレフィン及びジオレフィンの互いの又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエテン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエテン(LLDPE)及びその低密度ポリエテン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテ−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エテン/ブテ−1−エンコポリマー、エテン/ヘキセンコポリマー、エテン/メチルペンテンコポリマー、エテン/ヘプテンコポリマー、エテン/オクテンコポリマー、エテン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エテン/シクロオレフィンコポリマー(例えばCOCの様な、エテン/ノルボルネン)、1−オレフィンがその場で生成されるエテン/1−オレフィンコポリマー;プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エテン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エテン/アルキルアクリレートコポリマー、エテン/アルキルメタクリレートコポリマー、エテン/酢酸ビニルコポリマー又はエテン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(
アイオノマー)並びにエテンとプロピレン及びへキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンなどのジエンとのターポリマー;及びそのようなコポリマーの互いの及び1)で上述したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エテンプロピレンコポリマー、LDPE/エテン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エテンアクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互の又はランダムのポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー及びそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0024】
4.それらの水素化変性物を含むハイドロカーボン樹脂(例えば炭素原子数5乃至9の)(例えば粘着付与樹脂)及びポリアルキレンとでん粉の混合物。
【0025】
1.)−4.)の上述のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチックまたアタクチックなどの立体構造を有し得る;アタクチックポリマーが好ましい。立体ブロックポリマーもまた含まれる。
【0026】
5.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0027】
6.スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にp−ビニルトルエン、エチルスチレンの全ての異性体、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン及びビニルアントラセン、並びにそれらの混合物などの、ビニル芳香族モノマー由来の芳香族ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック、又はアタクチックなどの立体構造を有し得る;アタクチックポリマーが好ましい。立体ブロックコポリマーもまた含まれる。
【0028】
6a.エテン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル及びビニルクロリド又はアクリル酸誘導体及びそれらの混合物、例えばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エテン(インターポリマー)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレートから選択される、上述のビニル芳香族モノマー及びコモノマーを含むコポリマー;
スチレンコポリマー及び他のポリマーの高衝撃混合物、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエテン/プロピレン/ジエンターポリマー;
及びスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エテン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エテン/プロピレン/スチレンなどのスチレンのブロックコポリマー。
【0029】
6b.6.)で記述したポリマーの水素化より誘導された水素化芳香族ポリマー、特にアタクチックポリスチレンの水素化によって製造されたポリシクロヘキシルエテン(PCHE)など、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)として言及される。
【0030】
6c.6a.)に記述したポリマーの水素化より誘導された水素化芳香族ポリマー。
【0031】
ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックなどの立体構造を有し得る;アタクチックポリマーが好ましい。立体ブロックポリマーもまた含まれる。
【0032】
7.ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエンにスチレン、ポリブタエン−スチレン又はポリブタジエン−
アクリロニトリルコポリマーにスチレン;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンのスチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エテン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリル;アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらの6)に記載されたコポリマーとの混合物、例えばABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして知られるコポリマー混合物。
【0033】
8.ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエテン、エテンと塩素化エテンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、並びにそれらのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン、酢酸ビニルコポリマーなど。
【0034】
9.ポリアクリレート及びポリメタクリレートなどのα,β−不飽和酸及びそれらの誘導体より誘導されたポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリルニトリル、ブチルアクリレートで衝撃変性されたもの。
【0035】
10.9)に記述したモノマーの互いの又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー、又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0036】
11.不飽和アルコールとアミン又はアシル誘導体又はそれらのアセタールより誘導されたポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレート、ポリビニルブチレート、ポリアリルフタレート、又はポリアリルメラミン;並びにそれらと上記1)で記述したオレフィンとのコポリマー。
【0037】
12.ポリアルキレングリコール、ポリエテンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどの環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、又はそれらのビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0038】
13.ポリアセタール、例えばポリオキシメテン(ポリオキシメチレンとも称する)、並びにコモノマーとしてエテンオキシドを含むそれらのポリオキシメテン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで変性されたポリアセタール。
【0039】
14.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、並びにポリフェニレンオキシドのスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0040】
15.一方がヒドロキシ末端ポリエーテル、ポリエステル又はポリブタジエンであり、他方が脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートより誘導されたポリウレタン並びにそれらの前駆体。
【0041】
16.ジアミシとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミン及びアジピン酸から開始した芳香族ポリアミド;へキサメテンジアミン及びイソフタル酸又は/及びテレフタル酸から及び変性剤としてエラストマーを用いて又は用いずに調製されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメテンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;及び上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学的に結合されたか又はグラフトされたエラストマーとのブロックコポリマー;又は例えばポリエテングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメテングリコールなどのポリエーテルとのブロックコポリマー;並びにEPDM又はABSで変性されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0042】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0043】
18.ジカルボン酸とジオールから、及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエテンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、並びに、ヒドロキシ末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;及びまたポリカーボネート又はMBSで変性されたポリエステル。
【0044】
19.ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0045】
20.ポリケトン。
【0046】
21.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びポリエーテルケトン。
【0047】
22.天然高分子、例えばセルロース、ゴム、ゼラチン及び化学的に変性されたそれらの同族誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート、又はメチルセルロースなどのセルロースエーテル;並びにロジン及びその誘導体。
【0048】
23.上述したポリマーのブレンド(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0049】
例えば、天然又は合成高分子材料はセルロース、ポリオレフィン、ポリスチレン又はポリエステルである。
【0050】
好ましいものは、天然又は合成高分子材料が果物、花又は野菜の包装材料である方法である。
【0051】
概して、ヨウ素ドープ二酸化チタンは、天然または合成高分子材料の質量に基づいて、0.001乃至10%の量で存在している。
【0052】
ヨウ素ドープ二酸化チタンの製造は、例えば、チタンニウム(IV)n−ブトキシド(アルドリッチ社の市販品)及びヨウ素酸(アルドリッチ社の市販品)などの市販の出発材料を用いて、標準的な操作で実施可能である。
【0053】
本発明の別の側面は、天然又は合成高分子に組み込まれているヨウ素ドープ二酸化チタンを含む組成物である。
【0054】
また本発明のさらなる側面は、ガス雰囲気中のエテンの除去のためのヨウ素ドープ二酸化チタンの使用ならびに、ヨウ素ドープされた二酸化チタンそのものである。
【0055】
ヨウ素ドープ二酸化チタンは強力な光触媒であり、それはまた汚染物質の除去、空気浄化、浄水、含水廃棄物の処理、除臭、抗菌剤(例えば屋根やタイル)、抗腐敗、防塵、防曇目的に使用可能である。
【0056】
用語「含水廃棄物」は、排水、湿った固形廃棄物、スラッジ(ヘドロ)及び汚染空気を意味する。
【0057】
用語「排水」は、汚染廃棄物であって、多かれ少なかれ濃い液体又は流体、例えば:工業工程及び/又は生産に由来する排水;農業活動及び畜産活動に由来する排水、例えば畜産業、食肉処理業、水産業からの排水など;市民の居住、例えば家、店、オフィス及び病院からの排水;雨水又は広場、道路、駐車場、車の洗浄からの洗浄水;自動車道路の排水並びに燃料補給からの排水;リサイクル工場及び廃棄物選択からの排水、埋立地及びゴミ箱からの浸出液などを意味する。
用語「固形含水廃棄物」によって、例えば、家庭内及び病院廃棄物、都市固形廃棄物、腐敗しやすい有機廃棄物、植物性廃棄物などの、様々な種類の廃棄物を意味すると認識される。
【0058】
用語「スラッジ」によって、都市、工場、農業活動、畜産業廃棄物に由来する固形又は半固形の廃棄物、或いは、例えば生物型学的な種類の精製工程由来のデカンテーションスラッジを意味すると認識される。
【0059】
用語「汚染空気」によって、人的活動、生産工程、生物学的精製または固形廃棄物の処理工場由来の、毒性或いは悪臭性の、ガス状又は揮発性物質によって汚染された空気を意味すると認識される。例えば、繁殖における動物性汚泥から遊離されたアンモニア、ペイント及び接着剤産業どで使用される有機溶媒などが言及され得る。
【0060】
用語「汚染物質」によって、ヒト及び/又は環境に対し有害である毒性又は悪臭性物質の各種類型、例えば、制限されないものとして:例えばハロゲン化残留物、薬剤、オイル、グリース、界面活性剤、合成洗剤、肥料、溶剤などの、様々な種類、由来及び組成物からなる揮発性又は非揮発性の有機物質;無機物質、例えば、金属、特に重金属、塩類;窒素、硫黄及びリン残留物など、を意味すると理解される。特に、汚染物質の中でも、既知の生物学的精製システムを用いて分解可能でない、これら有害な物質が好ましい。含水廃棄物処理の一つの目的は、ヒト及び他の生態系への悪影響の可能性を取り除くか、或いは、少なくとも大幅に低減するための、それからの汚染物質の除去である。一般的な関心ある分野としては:溶剤、揮発性有機物、塩素化揮発性有機物、ダイオキシン、ジベンゾフラン、殺虫剤、PCB類、クロロフェノール、アスベスト、重金属及び砒素化合物が挙げられる。興味ある幾つかの特定の化合物は、4−クロロフェノール、ペンタクロロフェノール、トリクロロエチレン(TCE)、パークロロエチレン、CCl4、HCCl3、CH2Cl2、ジブロモエチレン、塩化ビニル、ジクロロエチレン、メチルクロロホルム、p−クロロベンゼン、及びヘキサクロロシクロペンタジエンである。土壌及び地下水における
TCE、PCE、CFC−113(すなわちフレオン−113)及び他の油落とし剤の存在が広く知られている。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は本発明を説明する。
【0062】
実施例1及び2
ヨウ素を二酸化チタンに異なるヨウ素量でドープした。室温にて、ヨウ素酸を純水に溶解し、強力な撹拌下でテトラブチルオルソチタネートをゆっくりと滴下して加えた。混合物を室温で24時間撹拌し、溶剤を蒸発させた。得られた粉末を400℃で4時間焼成し、黄色粉末として最終生成物を得た。UV−可視スペクトルは可視領域に広がった肩(ショルダー)を示した。
【0063】
【表1】

【0064】
適用例
所定量のドープされたTiO2(80mg)をシュレンク管(100ml)に移し、一定
量の空気/エテンガス混合物を該管にゴムキャップを介して注入した(約9000ppm)。シュレンク管に含まれるガス混合物の組成を時間を追って観測した。光酸化を開始させるため、試験管を6500Wのキセノンランプ(連続光サイクル、ブラックパネル温度=63℃)を備え付けたウェザロメーター(モデル ATLAS Ci65A)に数時間晒した。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】欧州特許第1134022号明細書
【非特許文献】
【0067】
【非特許文献1】“Visible Light Photocatalysis in nitrogen−doped titanium oxide”Science,2001,293,269−271
【非特許文献2】Applied Catalysis B:Environmental,2005,57,93−117
【非特許文献3】Chem.Lett.,2005,34,660−661

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス雰囲気からエテンを除去する方法であって、
ヨウ素ドープ二酸化チタンを少なくともある程度エテンを含むガス雰囲気に接触させる工程、並びに
該ヨウ素ドープ二酸化チタンを300乃至700nmの波長の光で照射する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記エテンが、果物、花又は野菜の保存中に発生する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ヨウ素ドープ二酸化チタンが、天然又は合成高分子材料に取り込まれている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記天然又は合成高分子材料が、セルロース、ポリオレフィン、ポリスチレン又はポリエステルである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記天然又は合成高分子材料が、果物、花又は野菜の包装材料である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記ヨウ素ドープ二酸化チタンが、前記天然又は合成高分子材料の質量に基づいて、0.001乃至10%の量で存在している、請求項3記載の方法。
【請求項7】
天然又は合成高分子に取り込まれているヨウ素ドープ二酸化チタンを含む組成物。
【請求項8】
ガス雰囲気中のエテンの除去のためのヨウ素ドープ二酸化チタンの使用。
【請求項9】
ヨウ素ドープ二酸化チタン。

【公表番号】特表2009−540809(P2009−540809A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515821(P2009−515821)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055688
【国際公開番号】WO2007/147743
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】