説明

ライブビュー表示可能なカメラ

【課題】ファインダビューモード及びライブビューモードの何れであっても撮影者が被写体像を見易いライブビュー表示可能なカメラを提供することである。
【解決手段】このカメラは、撮影レンズ11からの被写体像は接眼レンズ57を用いて観察可能であると共に、上記被写体像を表示用撮像素子61により受光して該被写体像を液晶モニタにより表示することが可能である。そして、上記被写体像を形成して接眼レンズ57による観察に応じた観察を行わせるための第1のスクリーンと、上記被写体像を形成し上記液晶モニタによる表示に応じた表示を行わせるための第2のスクリーンとの一方が、モード切り替えレバーの選択に連動して、フォーカシングスクリーン56として被写体像結像面に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCD等の撮像素子で被写体を連続的に撮像して表示装置に表示する、いわゆるライブビュー表示可能なカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタル一眼レフカメラは、フォーカシングスクリーン上の被写体像を撮像して、その画像を電子ビューファインダに表示している。そして、近年、被写体像を連続的に撮像して液晶モニタ等に表示する、いわゆるライブビュー表示が可能なものが増えてきている。ライブビュー画像を液晶モニタに表示する場合、フォーカシングスクリーン上に設けられているAF測距用のAFフレームが、そのまま被写体像に重なって表示されるため、モニタ画面上で見難いものとなっている。
【0003】
そのため、例えば、フォーカシングスクリーン上の焦点調節補助用光学部材の画像を画像処理によって消去する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−296584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、フォーカシングスクリーン上の焦点調節補助用光学部材の画像は完全には消去しきれない、或いは消去した部分が不自然な画像となっているものであった。
【0005】
したがって、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ファインダビューモード及びライブビューモードの何れであっても撮影者が被写体像を見易いライブビュー表示可能なカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち請求項1に記載の発明は、ライブビュー表示可能なカメラに於いて、撮影レンズからの被写体像を接眼光学系を用いて観察する観察光学系と、上記被写体像を撮像素子により受光し、上記被写体像を外部表示装置により表示する表示手段と、上記被写体像からの光束を上記観察光学系で観察するか、若しくは上記表示手段で表示するかの選択を行う選択手段と、上記被写体像を形成し上記観察光学系による観察に応じた観察を行わせるための第1の焦点板と、上記被写体像を形成し上記表示手段による表示に応じた表示を行わせるための第2の焦点板と、上記選択手段の選択に連動して、上記2つの焦点板の一方を被写体像結像面に配置する焦点板切り替え手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記第1の焦点板は、フォーカス枠を表示する焦点板であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明に於いて、上記選択手段は、上記被写体像結像面から接眼光学系の間に配置された可動の反射ミラーであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、ライブビュー表示可能なカメラに於いて、撮影レンズと、上記撮影レンズを通過した被写体像を撮像する第1の撮像素子と、上記焦点板に形成された被写体像を観察するための観察光学系と、上記観察光学系の光路側に設けられた第2の撮像素子と、上記第1の撮像素子若しくは上記第2の撮像素子の出力に基づいて被写体像を表示する表示手段と、上記被写体像からの光束を上記観察光学系で観察するか、若しくは上記表示手段で表示するかの選択を行う選択手段と、上記第1の撮像素子と光学的に共役な位置に配置されたもので、上記被写体像を形成し上記観察光学系による観察に応じた観察を行わせるための第1の焦点板と、上記第1の撮像素子と光学的に共役な位置に配置されたもので、上記被写体像を形成し上記表示手段による表示に応じた表示を行わせるための第2の焦点板と、上記選択手段の選択に連動して、上記第1の焦点板及び第2の焦点板の何れか一方を被写体像結像面に配置するように切り替える切り替え手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明に於いて、上記第1の焦点板は、フォーカス枠を表示する焦点板であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明に於いて、上記選択手段は、上記被写体像結像面から観察光学系の間に配置された可動の反射ミラーであることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、撮影レンズを通過した被写体光束から被写体像を取得する第1の撮像手段と、上記第1の撮像手段の撮像光路に対して進退可能であり、上記撮像光路内に於いては上記被写体光束を接眼光学系に導くメインミラーと、上記接眼光学系の一部であって、上記メインミラーによって反射された上記被写体光束から被写体像を形成する焦点板と、上記焦点板上に形成された被写体像を取得する第2の撮像手段と、上記第1若しくは第2の撮像手段で取得された被写体像を表示可能な表示手段と、上記メインミラーの動作に応じて、上記表示手段の表示画像を選択する選択手段と、を具備し、上記焦点板は、上記被写体像を形成し上記接眼光学系による観察に応じた観察を行わせるための第1の焦点板と、上記被写体像を形成し上記表示手段による表示に応じた表示を行わせるための第2の焦点板とを有し、上記選択手段の選択に連動して、上記第1の焦点板及び第2の焦点板の何れか一方を被写体像結像面に配置することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明に於いて、上記第1の焦点板は、フォーカス枠を表示する焦点板であることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明に於いて、上記選択手段は、上記被写体像結像面から接眼光学系の間に配置された可動の反射ミラーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ファインダビューモード及びライブビューモードの何れであっても撮影者が被写体像を見易いライブビュー表示可能なカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態を示すもので、一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの構成を示す外観斜視図である。
【0018】
図1に於いて、この一眼レフレックスタイプのデジタルカメラ(以下、カメラと略記する)1は、交換レンズとしてのレンズ鏡筒10と、カメラ本体20から主に構成されており、該カメラ本体20の前面に対して、所望のレンズ鏡筒10が着脱自在に設定されている。
【0019】
カメラ本体20の上面には、レリーズ釦21と、モードダイヤル22と、パワースイッチレバー23と、コントロールダイヤル24と、モード切り替えレバー35等が設けられている。
【0020】
レリーズ釦21は、撮影準備動作及び露光動作を実行させるための釦である。このレリーズ釦21は、第1レリーズスイッチと第2レリーズスイッチの2段式のスイッチで構成されており、レリーズ釦21が半押し操作されることによって、第1レリーズスイッチがオンされて測光処理や測距処理などの撮影準備動作が実行される。また、レリーズ釦21が全押し操作されることによって、第2レリーズスイッチがオンされて露光動作が実行される。
【0021】
モードダイヤル22は、撮影時の撮影モードを設定するための操作部材である。このモードダイヤル22が所定方向に回転操作されることによって、撮影時の撮影モードが設定される。パワースイッチレバー23は、当該カメラ1の電源のオン/オフをするための操作部材である。このパワースイッチレバー23が回動操作されることにより、当該カメラ1のメイン電源のオン/オフが切り換えられる。
【0022】
コントロールダイヤル24は、撮影情報の設定を行うための部材である。このコントロールダイヤル24が操作されることにより、撮影時に種々の設定が行われる。また、切り替え手段であるモード切り替えレバー35は、ファインダビューモードとライブビューモードとを切り替える操作レバーとして構成される。この切り替え操作の詳細については後述する。
【0023】
ボディユニット20の背面部には、撮影画像やメニュー等を表示するための表示手段(外部表示装置)を構成する液晶モニタ26と、再生釦27と、メニュー釦28と、十字キー30と、OK釦31と、接眼光学系のファインダ33等が配置されている。
【0024】
上記再生釦27は、カメラ1の動作モードを、後述するSDRAM62や記録用のメディア63に記録されたJPEGファイルから画像を再生できる再生モードに切り換えるための釦である。メニュー釦28は、液晶モニタ26にメニュー画面を表示させるための釦である。このメニュー画面は、複数の階層構造から成るメニュー項目によって構成されている。ユーザは、所望のメニュー項目を十字キー30で選択することができ、OK釦31で選択した項目を決定することができる。例えば、後述するAFセンサユニット71の出力に応じて撮影レンズを駆動するオートフォーカス(AF)モードと、撮影者の手動操作に応じて撮影レンズを駆動するマニュアルフォーカス(MF)モードの切り替えについても、このメニュー項目に含まれている。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【0026】
図2に於いて、上記レンズ鏡筒10は、上記カメラ本体20の前面に設けられた、図示されないレンズマウントを介して着脱自在に装着可能である。そして、上記レンズ鏡筒10は、撮影レンズ11と、絞り12と、レンズ駆動機構13と、絞り駆動機構14と、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lμcomと略記する)15とから構成されている。
【0027】
上記撮影レンズ11は、レンズ駆動機構13内に存在する図示されないDCモータによって、光軸方向に駆動される。絞り12は、絞り駆動機構14内に存在する図示されないステッピングモータによって駆動される。また、Lμcom15は、上記レンズ駆動機構13や絞り駆動機構14等、レンズ鏡筒10内の各部を駆動制御する。このLμcom15は、通信コネクタ40を介して、後述するボディ制御用マイクロコンピュータ80と電気的に接続がなされ、該ボディ制御用マイクロコンピュータ80の指令に従って制御される。
【0028】
一方、カメラ本体20は、以下のように構成されている。
【0029】
レンズ鏡筒10内の撮影レンズ11、絞り12を介して入射される図示されない被写体からの光束は、可動ミラーである第1反射ミラー(選択手段)51で反射され、フォーカシングスクリーン56、更に上記第1反射ミラー51と共にファインダ光学系50を構成する第2乃至第4反射ミラー52〜54(図3参照)等を介して、接眼レンズ57に至る。また、第1反射ミラー51のハーフミラーの部分を透過した被写体光束の一部は、第1反射ミラー51とは独立して作動するサブミラー70で反射されて、自動測距を行うためのAFセンサユニット71に導かれる。尚、図2に於いては、第1反射ミラー51は別に示されているが、第2乃至第4の反射ミラー等と共にファインダ光学系(観察光学系)50を構成しているものである。
【0030】
光軸上で上記第1反射ミラー51の後方には、フォーカルプレーン式のシャッタ66と、光学系を通過した被写体像を光電変換するための撮像光学系の光電変換素子であり、CCD等で構成される第1の撮像素子としての撮影用撮像素子67が設けられている。つまり、第1反射ミラー51が撮影光路より退避した場合、撮影レンズ11及び絞り12を通った光束は、撮影用撮像素子67の撮像面上に結像される。
【0031】
また、ファインダ光学系50に於いては、後述するように、第2反射ミラー52の近傍に測光センサ63が、そして第4反射ミラー54の近傍に第2の撮像素子としての表示用撮像素子61及びモード切り替えスイッチ64が配設されている。上記測光センサ63は、後述する測光回路87を介してボディ制御用マイクロコンピュータ80に接続されるもので、その指令に従って制御される。また、モード切り替えスイッチ64はモード切り替えレバー35に対応するもので、その詳細については後述する。
【0032】
上記表示用撮像素子61と上記撮影用撮像素子67は、インターフェイス回路81を介して、圧縮手段を含み画像処理を行うための画像処理コントローラ82に接続されている。そして、この画像処理コントローラ82には、上述した液晶モニタ26と、記憶領域として設けられた一時保管用メモリであるSDRAM83、Flash Memory84及び記録メディア85等が接続されている。これらは、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
【0033】
上記記録メディア85は、図示されないカメラのインターフェイスを介してカメラ本体20に対し脱着可能な各種のメモリカードや外付けのハードディスクドライブ(HDD)等の外部記録媒体である。
【0034】
上記画像処理コントローラ82は、上述した測光センサ63を含む測光回路87と、AFセンサ駆動回路72と、ミラー駆動機構73と、シャッタチャージ機構75と、シャッタ制御回路76と、不揮発性メモリ(EEPROM)88と共に、このカメラ本体20内の各部を制御するためのボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bμcomと略記する)80に接続されている。
【0035】
上記Bμcom80には、更に、当該カメラの動作状態を表示出力によって撮影者へ告知するための動作表示用LCD90と、カメラ操作スイッチ(SW)91と、電源回路92を介して電池93と、通信コネクタ40が接続されている。
【0036】
尚、上記Bμcom80とLμcom15とは、レンズ鏡筒10の装着時に於いて、通信コネクタ40を介して通信可能に電気的接続がなされる。そして、デジタルカメラとして、Lμcom15がBμcom80に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
【0037】
上記AFセンサ駆動回路72は上記AFセンサユニット71を駆動制御するための回路であり、ミラー駆動機構73は第1反射ミラー51を駆動制御する機構である。また、シャッタチャージ機構75は、上記シャッタ66を構成する図示されない先幕と後幕を駆動するばねをチャージするものである。シャッタ制御回路76は、上記シャッタ66の先幕と後幕の動きを制御すると共に、Bμcom80との間でシャッタの開閉動作を制御する信号と図示されないストロボと同調する信号の授受を行う。また、上記測光回路87は、測光センサ63の電気信号に基づいて測光処理する回路である。
【0038】
不揮発性メモリ88は、上述したSDRAM83、Flash Memory84、記録メディア85以外の記憶領域として、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する記憶手段であり、Bμcom80からアクセス可能に設けられている。
【0039】
動作表示用LCD90は、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するためのものである。上記カメラ操作スイッチ91は、例えば撮影動作の実行を指示すると共に後述するように第1反射ミラー51を撮影光路の内外に切り換えるレリーズスイッチ、撮影モードと画像表示モードを切り換えるモード変更スイッチ及びパワースイッチ、等、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群で構成される。更に、電源回路92は、電源としての電池93の電圧を、当該カメラシステムの各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給するために設けられている。
【0040】
次に、このように構成されたカメラ1の各部の動作について説明する。
【0041】
先ず、画像処理コントローラ82により、Bμcom80の指令に従ってインターフェイス回路81が制御されて、撮影用撮像素子67から画像データが取り込まれる。この画像データは画像処理コントローラ82でビデオ信号に変換され、液晶モニタ26にて出力表示される。撮影者は、この液晶モニタ26の表示画像から、撮影した画像イメージを確認することができる。
【0042】
また、上記画像データは、一時保管用メモリであるSDRAM83に取り込まれる。このSDRAM83は、画像データが変換される際のワークエリア等に使用される。また、この画像データは、JPEGデータに変換された後には、記録メディア85に保管されるように設定されている。
【0043】
ミラー駆動機構73は、上述したように、第1反射ミラー51を撮像時の退避位置と観察時の観察位置へ駆動するための機構である。ミラー駆動機構73によって第1反射ミラー51が観察位置にあるとき、撮影レンズ11からの光束は、AFセンサユニット71側と第2乃至第4反射ミラー52〜55側へと分割されて導かれる。
【0044】
AFセンサユニット71内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路72を介してBμcom80へ送信されて、周知の測距処理が行われる。更に、フォーカシングスクリーン56の結像光束の一部は第2反射ミラー52を透過して測光センサ63へ導かれる。ここで検知された光量に基づいて、測光回路87にて周知の測光処理が行われる。
【0045】
シャッタ制御回路76では、Bμcom80からシャッタを駆動制御するための信号が受取られると、その信号に基づいてシャッタ66が制御される。また、上記シャッタ66が制御されるのと同じくして、ミラー駆動機構73によって第1反射ミラー51の動作が制御される。
【0046】
図3は、本発明の一実施形態に於けるカメラのファインダ光学系の構成を示す斜視図である。
【0047】
ファインダ光学系50は、レンズ鏡筒内の撮影レンズ11を通過した被写体からの光束を、上記ファインダ33を構成する接眼レンズ57へと導くための複数のミラー、すなわちメインミラーである第1反射ミラー51、第2反射ミラー52、第3反射ミラー53、第4反射ミラー54と、焦点板であるフォーカシングスクリーン(スクリーンマット)56と、接眼レンズ57とを有して構成される。
【0048】
上記第1反射ミラー51は軸51aを中心に図示矢印A方向に回動可能に構成されるもので、その一部が後述するAFセンサユニット71のためにハーフミラーで構成されている。第1反射ミラー51は、被写体の観察時は図示の如く、撮影レンズ11から入射された光束を、撮影レンズ11の光軸に対し略90°の角度である第2反射ミラー52の方向、すなわちカメラ本体20のレンズ鏡筒10側より見て右方向に反射する。そして、撮像時は、撮影光路より退避されて、被写体からの光束が、第1反射ミラー51の後方に配置される撮像素子(図示せず)に導かれるように動作する。
【0049】
上記第1反射ミラー51の反射面で反射された光束は、フォーカシングスクリーン56を介して第2反射ミラー52に入射する。この第2反射ミラー52は、上記第1反射ミラー51からの反射光軸上であって、その反射面が上記第1反射ミラー51の反射光軸に対し、所定の角度だけ傾いて配置されている。第2反射ミラー52に入射された上記第1反射ミラー51からの反射光束は、該第1反射ミラー51からの反射光軸に対し略90°の角度、すなわちカメラ本体20の上方に向けて反射される。
【0050】
上記第2反射ミラー52の反射面で反射された光束は、該第2反射ミラー52の反射面の反射光軸上であって、その反射面が第2の反射面の反射光軸に対し所定の角度だけ傾いて配置される第3反射ミラー53に入射される。第3反射ミラー53に入射された第2反射ミラー52からの反射光束は、第3反射ミラー53の反射面にて、上記第2反射ミラー52の反射面からの反射光軸に対し略90°の角度であって、上記第1反射ミラー51の反射面による反射方向と相反する方向に反射される。つまり、第2反射ミラー52の反射面からの反射光束は、第3反射ミラー53の反射面にて、カメラ本体20の左方向に向けて反射される。換言すれば、第1反射ミラー51の反射面にて反射された光束は、第2、第3反射ミラー52、53によって折り返すように導かれ、第3反射ミラー53の反射面の反射光軸は、上記第1反射ミラー51の反射面の反射光軸と略平行となって第4反射ミラー54に向かう。
【0051】
上記第3反射ミラー53の反射面で反射された光束は、該第3反射ミラー53の反射面の反射光軸上であって、その反射面が上記第3反射ミラー53の反射面の反射光軸に対し所定の角度だけ傾いて配置される回動可能な第4反射ミラー54に入射される。そして、第4反射ミラー54に入射された上記第3反射ミラー53からの反射光束は、第4反射ミラー54の反射面にて、上記第3反射ミラー53からの反射光軸に対し略90°の角度に反射される。つまり、第3反射ミラー53の反射面からの反射光束は、第4反射ミラーの反射面の反射光軸上に配置された接眼レンズ57に入射される。
【0052】
上記フォーカシングスクリーン56は、上述したファインダ光学系50に入射された光束を光学像として結像させるために、該光束を拡散させる拡散面を有するもので、上述した撮影用撮像素子67の撮像面上と光学的に等価な位置に、図示矢印B方向に移動可能に配置されている。
【0053】
また、上記第2反射ミラー52は、ハーフミラーで構成されている。第2反射ミラー52の反射面の裏面側には、被写体の明るさを測定する測光センサ63が配置されている。一方、第4反射ミラー54の反射面の裏面側には、結像レンズ60及びCCD等で構成される第1の撮像手段としての表示用撮像素子61が配設されている。この表示用撮像素子61は、フォーカシングスクリーン56上の像を、結像レンズ60を介して結像するためのものである。したがって、表示用撮像素子61に結像された像は反転しているものの、撮影者の目58が見ている像と同じものとなる。
【0054】
このように、撮影レンズ11からの被写体光束は、上述した第1乃至第4反射ミラー51〜54によって、その像が正立正像となるように反転されて接眼レンズ57に導かれる。これにより、接眼レンズ57(ファインダ33)を通して、撮影者の眼58でフォーカシングスクリーン56上に結像した被写体像が観察可能となる。
【0055】
尚、本実施形態では、第1反射ミラー51、第2反射ミラー52、第3反射ミラー53及び第4反射ミラー54は、入射光束に対して略90°の角度で反射するように配置しているが、これに限られるものではない。
【0056】
図4は、上述したフォーカシングスクリーン56の移動機構について示した図である。
【0057】
フォーカシングスクリーン56は、複数(図4に於いては3つ)のフォーカス枠表示線105と測光範囲表示線106とが設けられた第1の焦点板であるスクリーン1(以下、スクリーン(1)と記す)101と、上述した表示線等が設けられていない第2の焦点板であるスクリーン2(以下、スクリーン(2)と記す)102とが、スクリーン枠100に固定されて構成される。この場合、スクリーン(1)101とスクリーン(2)102とは、互いに長手方向が隣接してスクリーン枠100に固定されている。
【0058】
そして、スクリーン枠100の長手方向の一方の辺には、フォーカシングスクリーン56を移動可能とするためのラックギア103が形成されている。このラックギア103が、複数のギアから構成されるギア列110と噛合して、フォーカシングスクリーン56を図示矢印B方向に移動させるものである。このギア列110は、回動可能な第4反射ミラー54の下部に設けられて、図示矢印C方向に移動可能な扇状部材112の下面に形成されたギア歯部111と噛合するようになっている。すなわち、扇状部材112が図示矢印C方向に移動すると、ギア歯部111に噛合したギア列110が回転し、更にこのギア列110にラックギア103が噛合することにより、フォーカシングスクリーン56が図示矢印B方向に移動する。
【0059】
次に、図5乃至図7を参照して、ファインダビューモードとライブビューモードとの切り替えについて説明する。
【0060】
図5及び図6は第4反射ミラー75の駆動機構及びフォーカシングスクリーン56を示す斜視図で、図5はファィンダビューモード時の第4反射ミラー54を開いた状態を示した図、図6はライブビューモード時の第4反射ミラー54を閉じた状態を示した図である。また、図7は本実施形態に於けるモード切り替えレバー35を示した図である。
【0061】
第4反射ミラー54は、アイピース(ファインダ)33が取り付けられているアイピース枠115の近傍の回転軸116に回動可能(図5に於いて矢印C方向)に取り付けられている。この回転軸116にはバネ(トグルバネ)117が巻回されており、その一端部がアイピース枠115上の所定の位置に設けられたバネ止めピン119に当てつけられ、他端部が回転軸116に設けられたバネ止めピン118に引っ掛けられている。
【0062】
また、アイピース枠115の開口115a近傍には、第4反射ミラー54の開閉状態を検出するもので、モード切り替えレバー35に対応したモード切り替えスイッチ64が設けられている。このモード切り替えスイッチ64は、検出部64aが突起状に設けられている。
【0063】
図6に示されるように、第4反射ミラー54によってモード切り替えスイッチ64の検出部64aが押し込まれることにより、第4反射ミラー54が閉じられたことが検出される。すなわち、第4反射ミラー54が遮光位置、すなわち第4反射ミラー54がライブビュー位置に位置したことが検出される。一方、検出部64aが開放されると、第4反射ミラー54が開いた状態となることがわかる。すなわち、第4反射ミラー54がファインダビュー可能な位置に位置したことが検出される。
【0064】
上記バネ117は、開く方向に付勢されているもので、通常は、図5に示されるように、第4反射ミラー54がストッパ117に当てついた状態となる。このとき、第2反射ミラー52、第3反射ミラー53から導かれた光束は、第4反射ミラー54で反射されてアイピース33に至る。これが、ファインダビューモード時の状態である。尚、上記ストッパ122は、第1反射ミラー51等が収納されている、図示されないミラーボックスの上部等に固設されている。
【0065】
回転軸116の上面に設けられている突起部123は、図示されない係合部材を介して、図1及び図7に示されるモード切り替えレバー35と連動している。つまり、このモード切り替えレバー35が図示矢印D方向に操作されることにより、その操作方向に連動して回転軸116が回転し、図5に示される矢印C方向に第4反射ミラー54が回転する。すると、第4反射ミラー54の下部の扇状部材112に設けられたギア歯部111に噛合しているギア列110のギアが所定方向に回転し、該ギア列110及びラックギア103によってフォーカシングスクリーン56が図4に示される矢印B方向に移動する。
【0066】
この場合、図7に示されるように、モード切り替えレバー35が実線で示される位置がファインダビューモード(アイピースシャッタの開いた状態)であり、このときのフォーカシングスクリーン56は、図5に示されるようにスクリーン(1)101が観察光路上に位置される。一方、モード切り替えレバー35が二点鎖線で示される位置がライブビューモード(アイピースシャッタが閉じた状態)である。このときのフォーカシングスクリーン56は、図6に示されるようにスクリーン(2)102が観察光路上に位置される。
【0067】
このような構成のカメラ1に於いて、撮影者がモード切り替えレバー35を操作してファインダビューモードに切り替えると、モード切り替えレバー35の操作方向に連動して回転軸116が回転し、図5に示されるように、ストッパ122に当てつく位置まで第4反射ミラー54が回転する。これにより、扇状部材112の下部に設けられたギア歯部111に噛合しているギア列110のギアが所定方向に回転し、更に該ギア列110及びラックギア103によってフォーカシングスクリーン56が移動して、スクリーン(1)101が観察光路内に位置される。
【0068】
このスクリーン(1)101には、上述したようにフォーカス枠表示線105と測光範囲表示線106とが設けられている。したがって、撮影者は、被写体像にこれらのフォーカス枠表示線105と測光範囲表示線106を重ねて、アイピース33を通じて見ることができる。また、モード切り替えスイッチ64の検出部64aがオフ状態となっていることから、Bμcom80では、現在のモードがファインダビューモードであると判断する。
【0069】
一方、撮影者がモード切り替えレバー35を操作してライブビューモードに切り替えると、モード切り替えレバー35の操作方向に連動して回転軸116が回転し、図6に示されるように、アイピース枠115の開口115aを閉じる位置まで第4反射ミラー54が回転する。これにより、扇状部材112の下部に設けられたギア歯部111に噛合しているギア列110のギアが所定方向に回転し、更に該ギア列110及びラックギア103によってフォーカシングスクリーン56が移動して、スクリーン(2)102が観察光路内に位置される。
【0070】
このスクリーン(2)102は、上述したようにフォーカス枠表示線や測光範囲表示線等の表示は何も設けられていない。したがって、撮影者は、スクリーン(2)102を介して被写体像をそのまま、アイピース33を通じて見ることができる。また、モード切り替えスイッチ64の検出部64aがオン状態となっていることから、Bμcom80では、現在のモードがライブビューモードであると判断する。
【0071】
このように、ファィンダビューモード時では、ピント調節時等の確認をする際に上記表示線と被写体像とを合わせてみることができ、ライブビューモード時では、被写体像の確認をする上で不要な表示線を表示させないようにして見易くしているので、撮影者にとって使い勝手の良いものとなっている。
【0072】
尚、上述した実施形態に於いて、モード切り替えレバー35は、周知のロック機構が設けられるものであってもよいし、また掛止部が設けられるものであってもよい。そして、このモード切り替えレバー35と回転軸116とは、例えばバネ係合されたオーバチャージ機構を有して構成されたものであってもよいし、或いは直結された構成であってもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、表示用撮像素子61及び撮影用撮像素子67をCCDで構成した例で説明したが、これに限られるものではなく、CMOS等の撮像素子で構成しても良いのは勿論である。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本発明の一実施形態を示すもので、一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの構成を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に於けるカメラのファインダ光学系の構成を示す斜視図である。
【図4】フォーカシングスクリーン56の移動機構について示した図である。
【図5】第4反射ミラー75の駆動機構及びフォーカシングスクリーン56を示すもので、ファィンダビューモード時の第4反射ミラー54を開いた状態を示した図である。
【図6】第4反射ミラー75の駆動機構及びフォーカシングスクリーン56を示すもので、ライブビューモード時の第4反射ミラー54を閉じた状態を示した図である。
【図7】本発明の一実施形態に於けるモード切り替えレバー35を示した図である。
【符号の説明】
【0076】
1…カメラ、10…レンズ鏡筒、11…撮影レンズ、13…レンズ駆動機構、14…絞り駆動機構、15…レンズ制御用マイクロコンピュータ(Lμcom)、20…カメラ本体、21…レリーズ釦、22…モードダイヤル、26…液晶モニタ、33…ファインダ(アイピース)、35…モード切り替えレバー、40…通信コネクタ、50…ファインダ光学系、51…第1反射ミラー、52…第2反射ミラー、53…第3反射ミラー、54…第4反射ミラー、56…フォーカシングスクリーン、57…接眼レンズ、60…結像レンズ、61…表示用撮像素子、63…測光センサ、64…モード切り替えスイッチ、66…シャッタ、67…撮影用撮像素子、71…AFセンサユニット、72…AFセンサ駆動回路、73…ミラー駆動機構、75…シャッタチャージ機構、76…シャッタ制御回路、80…ボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)、81…インターフェイス回路、82…画像処理コントローラ、85…記録メディア、87…測光回路、100…スクリーン枠、101…スクリーン1(スクリーン(1))、102…スクリーン2(スクリーン(2))、103…ラックギア、105…フォーカス枠表示線、106…測光範囲表示線、110…ギア列、111…ギア歯部、112…扇状部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライブビュー表示可能なカメラに於いて、
撮影レンズからの被写体像を接眼光学系を用いて観察する観察光学系と、
上記被写体像を撮像素子により受光し、上記被写体像を外部表示装置により表示する表示手段と、
上記被写体像からの光束を上記観察光学系で観察するか、若しくは上記表示手段で表示するかの選択を行う選択手段と、
上記被写体像を形成し上記観察光学系による観察に応じた観察を行わせるための第1の焦点板と、
上記被写体像を形成し上記表示手段による表示に応じた表示を行わせるための第2の焦点板と、
上記選択手段の選択に連動して、上記2つの焦点板の一方を被写体像結像面に配置する焦点板切り替え手段と、
を具備することを特徴とするライブビュー表示可能なカメラ。
【請求項2】
上記第1の焦点板は、フォーカス枠を表示する焦点板であることを特徴とする請求項1に記載のライブビュー表示可能なカメラ。
【請求項3】
上記選択手段は、上記被写体像結像面から接眼光学系の間に配置された可動の反射ミラーであることを特徴とする請求項1に記載のライブビュー表示可能なカメラ。
【請求項4】
ライブビュー表示可能なカメラに於いて、
撮影レンズと、
上記撮影レンズを通過した被写体像を撮像する第1の撮像素子と、
上記焦点板に形成された被写体像を観察するための観察光学系と、
上記観察光学系の光路側に設けられた第2の撮像素子と、
上記第1の撮像素子若しくは上記第2の撮像素子の出力に基づいて被写体像を表示する表示手段と、
上記被写体像からの光束を上記観察光学系で観察するか、若しくは上記表示手段で表示するかの選択を行う選択手段と、
上記第1の撮像素子と光学的に共役な位置に配置されたもので、上記被写体像を形成し上記観察光学系による観察に応じた観察を行わせるための第1の焦点板と、
上記第1の撮像素子と光学的に共役な位置に配置されたもので、上記被写体像を形成し上記表示手段による表示に応じた表示を行わせるための第2の焦点板と、
上記選択手段の選択に連動して、上記第1の焦点板及び第2の焦点板の何れか一方を被写体像結像面に配置するように切り替える切り替え手段と、
を具備することを特徴とするライブビュー表示可能なカメラ。
【請求項5】
上記第1の焦点板は、フォーカス枠を表示する焦点板であることを特徴とする請求項4に記載のライブビュー表示可能なカメラ。
【請求項6】
上記選択手段は、上記被写体像結像面から観察光学系の間に配置された可動の反射ミラーであることを特徴とする請求項4に記載のライブビュー表示可能なカメラ。
【請求項7】
撮影レンズを通過した被写体光束から被写体像を取得する第1の撮像手段と、
上記第1の撮像手段の撮像光路に対して進退可能であり、上記撮像光路内に於いては上記被写体光束を接眼光学系に導くメインミラーと、
上記接眼光学系の一部であって、上記メインミラーによって反射された上記被写体光束から被写体像を形成する焦点板と、
上記焦点板上に形成された被写体像を取得する第2の撮像手段と、
上記第1若しくは第2の撮像手段で取得された被写体像を表示可能な表示手段と、
上記メインミラーの動作に応じて、上記表示手段の表示画像を選択する選択手段と、
を具備し、
上記焦点板は、上記被写体像を形成し上記接眼光学系による観察に応じた観察を行わせるための第1の焦点板と、上記被写体像を形成し上記表示手段による表示に応じた表示を行わせるための第2の焦点板とを有し、上記選択手段の選択に連動して、上記第1の焦点板及び第2の焦点板の何れか一方を被写体像結像面に配置することを特徴とするライブビュー表示可能なカメラ。
【請求項8】
上記第1の焦点板は、フォーカス枠を表示する焦点板であることを特徴とする請求項7に記載のライブビュー表示可能なカメラ。
【請求項9】
上記選択手段は、上記被写体像結像面から接眼光学系の間に配置された可動の反射ミラーであることを特徴とする請求項7に記載のライブビュー表示可能なカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−72286(P2007−72286A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260847(P2005−260847)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】