説明

ラッピング立体成形体及びその製造方法

【課題】凹凸その他の立体パターンごとに成形型を作製する必要なく、基材の表面に立体的装飾を付与することが可能なラッピング成形体を提供する。
【解決手段】基材31の主表面上に、立体部材32をあらかじめ配置しておき、その上に装飾フィルムを真空圧着することによって、金型を作製することなく、任意の凹凸パターン、立体的形状を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッピング成形体に関し、より詳しくは基材表面に立体的装飾を施したラッピング立体成形体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイドカウルやセンターカウルなどの自動車やオートバイの内装及び外装部品のような成形部品の表面に装飾フィルムをラッピングし、装飾立体成形部品を形成することが行われている。最近では、さらに、それらの立体成形部品表面に凹凸パターンを施して、より立体感のある装飾デザイン施すことが望まれている。通常、このような立体成形部品の表面に凹凸パターンを形成するためには、成形部品の基材自身の表面に凹凸を形成する必要があり、凹凸パターンごとに成形型を必要としていた。
【0003】
一方、成形部品に立体装飾を付与する方法としては、表面に凹凸を施したフィルムやシートを使用する方法があり、これらに関連するのものとして、以下の文献が挙げられる。
まず、特許文献1には、基材と、その基材の上面に固着されて設けられる合成樹脂シートよりなる所望形態の模様パターンと、その模様パターン上に、上方への膨らみ形状となることでその模様パターンとの間に空間を有するように、かつ、その周縁が模様パターンの周縁上に固着されて設けられる微細凹凸模様付き透明合成樹脂製シートよりなる表面材からなる装飾体が記載されている。
【0004】
特許文献2には、溶融押出しされた熱可塑性樹脂を、複数の凹部を有する型材に充填させる工程と、型材の凹部に充填された樹脂から成る凸模様部を、加熱された熱可塑性樹脂の基材シートの表面に転写して融着させる工程を有する立体装飾体の製造方法が記載されている。
【0005】
特許文献3には、透明又は半透明な基材シートの片面に未硬化の電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を少なくとも設けた積層体と、表面に微細凹凸を有する賦形用型とを用いて、加熱圧により積層体の表面保護層側の面を賦形し、その後に電離放射線を照射して表面保護層を硬化させ、積層体の基材シート側の面に図柄模様を有する加飾層を少なくとも設ける、インサートシートの製造方法が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−295499号公報
【特許文献2】特開2003−127225号公報
【特許文献3】特開2004−42409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のごとく、成形部品などの立体構造物の表面に凹凸パターンなどの立体形状を付与しようとすると、従来の方法では、成形部品の基材自身に凹凸を形成するため、インサート成形型などをデザインごとに作製しなければならない。型の作製コストが高いため、多種の製品に対応するには、時間とコストの両面で負担となる。一方、立体装飾フィルムやシートを用いて成形部品に立体形状を付与する場合も、必ずしも簡易な方法とはいえず、デザインごとに成形パターンを形成する必要があり、デザイン変更も容易ではない。
【0008】
本発明の課題は、デザインごとに成形型を必要とせず、簡易な方法で成形部品表面に立体装飾を付与することができるとともに、デザイン変更が容易な、ラッピング成形体とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、主表面を有する基材と、基材の主表面上に少なくとも部分的に接着された各立体部材と、立体部材を含む基材の露出表面の少なくとも一部を覆って貼着された装飾フィルムとを含むラッピング立体成形体が提供される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、主表面を有する基材を提供する工程と、基材の主表面上に各立体部材を少なくとも部分的に接着する工程と、真空圧着法で、立体部材を含む基材の露出表面の少なくとも一部を覆って装飾フィルムを貼着する工程とを含むラッピング立体成形体の製造方法を提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様のラッピング立体成形体によれば、デザインごとに成形型を必要とせず、簡易な方法で基材の主表面に立体装飾を付与したラッピング立体成形体を提供することができる。さらに、立体部材の位置や形状を変更することで、容易に立体装飾のデザイン変更を図ることができる。
【0012】
また、本発明の別の態様のラッピング立体成形体の製造方法によれば、真空圧着法を用いることで、上述する本発明の一態様のラッピング立体成形体が容易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に開示するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
本開示のラッピング成形体は、主表面を有する基材と、基材の主表面上に少なくとも部分的に接着された各立体部材と、立体部材を含む基材の露出表面の少なくとも一部を覆って貼着された装飾フィルムとを含むものである。製品ごとに基材の成形型を製作する必要がなく、基材の主表面に立体装飾を施した成形体を得ることができるものである。また、この構成によれば、立体装飾のデザイン変更も容易に行うことができる。
「少なくとも部分的に接着、貼着するもしくは覆う」または「少なくとも部分的に接着、貼着されもしくは覆われ」の表現は、本明細書中では、被着体の表面の少なくとも一部に接着、貼着する、もしくは覆うこと、または接着、貼着されもしくは覆われていることを意味する。被着体の表面の大部分を覆う場合もここに含まれる。
「各立体部材を、部分的に接着する」または「各立体部材は、部分的に接着され」の表現は、本明細書中では、立体部材が、被着体との接触面の一部分で接着されていることを意味する。
【0014】
図1に、本開示の実施の形態に係るラッピング立体成形体の部分断面図を示す。基材1の主表面に立体部材2が接着配置されており、立体部材と基材の露出表面の全部(図1(A)または一部(図1(B))に装飾フィルム4が貼着(ラッピング)されている。なお、図1において、立体部材2は基材1の主表面に接着剤層3を介して接着されている。
【0015】
基材の材質としては、限定されないが、真空圧着時の加熱温度に耐熱性があるものが好適である。例えば、鉄板、メラミン塗装鉄板、ステンレス板などの鋼板、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、アクリロニトリル /エチレン-プロピレン-ジエン/ スチレン(AES)、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロンなどの熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0016】
基材の形状には、特に制限がなく、射出成形、RIM成形、押し出し成形、ラミネート成形などの知られている成形法や、切削加工、打ち抜きなどの加工によって成形されたもの、例えば、曲面、平面を有するブロック、シートなどの形状が挙げられる。
【0017】
基材の寸法は、加工上問題を生じなければ特に制限がない。例えば、厚さが1mm〜10cm、縦・横の寸法が1cm〜5mの寸法であることができる。市販の真空圧着機では、少なくとも縦・横各1m程度までは加工が可能であるが、これより大きい寸法の真空圧着機も製造可能である。
【0018】
立体部材は、主に基材の主表面に少なくとも部分的に立体的な装飾を与えるために用いられるものであるが、基材に立体的形状を付加する目的で用いられてもよい。特に、基材の表面の凹凸パターンの装飾を付与する目的で、基材の主表面に接着して用いることができる。
【0019】
立体部材の材質は、基材と同種、異種、いずれの材質で形成されていてもよい。基材と
同じ材質のほか、後述するように、ベースフィルム上に感圧接着剤層を含む感圧接着フィルム、あるいは感圧接着剤フィルムより幅の狭い、感圧接着テープとして用いられるものは、用いることができる。
【0020】
ベースフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、アクリロニトリル /エチレン-プロピレン-ジエン/ スチレン(AES)、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロンなどの熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができるが、特にポリ塩化ビニルまたはポリウレタンを使用することができる。
【0021】
立体部材の寸法は、特に制限がなく、基材主表面上に接着でき、真空圧着法によるフィルムのラッピングができればよく、装飾のデザインにより選択される。図1に示すように、基材1に主表面に配置される立体部材2の大きさ、形状、数は限定されない。種々の立体部材2の組み合わせにより、多種多様な立体装飾デザインを提供できる。
【0022】
基材の主表面への凹凸パターンの付与には、フィルムあるいは感圧接着フィルムを打ち抜くなどしてパターンの要素をなす形状にしたものが使用できる。立体部材として用いるフィルムの厚さは、装飾フィルムで被覆されたときに、立体的装飾として視覚的にとらえられるものであればよく、例えば約0.04mm以上とする。別の実施形態ではフィルムの厚さが約0.06mm以上、またさらに別の実施形態では約0.1mm以上とすることができ、この場合はより立体感を出すことが容易となる。なお、立体部材の端縁部の段差が急峻な場合は、より薄いものでも立体感は得られ易い。
【0023】
一方、立体部材が厚くなりすぎると、立体部材の端縁の段差部分でラッピングする装飾フィルムに浮きが生ずる恐れがある。よって、立体部材の厚みは約2mm以下、または約1mm以下としてよい。
【0024】
しかし、立体部材の端縁部の段差を急峻でなくすれば、フィルムあるいはフィルム以外の立体部材の厚さあるいは高さが約1.0mm以上、さらに約2.0mm以上であっても端縁部での装飾フィルムの浮き抑えることが容易になる。したがって、端縁部を縁取りするとか、端縁部の断面形状を曲線状にして丸味をもたせるとかすれば、より高い立体部材を用いることができ、より立体感のある装飾を施すことは容易である(図1参照)。なお、真空圧着法を用いて装飾フィルムを貼着させる場合は、装飾フィルムが立体部材の形状に良好に追従して被覆されるので、端縁部での浮きをさらに効果的に抑えることができる。立体部材の平面寸法は、デザインに応じて任意に選択できる。たとえば、約0.1mm〜数十cmの幅あるいは長さから選択した立体部材を用いてもよい。
【0025】
立体部材の1つの態様として、半球形状などに変形させシートの内側の中空部分に基材の材質と同一または異なる材料を詰めて立体部材を成形してもよい。たとえば、ポリウレタンフィルムを半円球形状に成形して、アクリル樹脂、ナイロンなどの樹脂を中空部分に充填したものを使用することができる。
【0026】
立体部材を基材に接着する感圧接着剤(以下、第1の感圧接着剤ともいう。)としては、特に制限はない。感圧接着剤は、たとえば、手作業により基材に立体部材を貼着させる際に、付け直しが容易であり、使用できる。具体的には、基材上に立体部材を保持できて、真空圧着時の圧着力でずれず、高温下や長年の使用で変質、滲み出しなどが生じないものが適し、たとえば、天然ゴム、SBR、ブチルゴムなどのゴム系、アクリル系、シリコーン系、ジエン系、ポリエチレン系などが挙げられ、液の形態は溶剤型、エマルジョン型などの感圧接着剤を使用できる。ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂への粘着においては、粘着力の点などから、アクリル系感圧接着剤を使用できる。
【0027】
第1の感圧接着剤層の厚みは、限定されないが、装飾フィルムの圧着後に基材と立体部材との間からはみ出してこないように、典型的には、約200μm以下、または約100μm以下である。一方、装飾フィルムの圧着時に立体部材が基材からずれないために、約5μm以上、または約10μm以上、または約20μm以上であることができる。
【0028】
なお、基材に各立体部材を少なくとも部分的に接着する方法としては、上述する感圧接着剤を利用する方法以外にも、単独で、あるいは感圧接着剤との組み合わせで他の固定手段を用いることもできる。例えば、立体部材の基材への固定を補助するために、任意選択的に基材と立体部材とがガタなく嵌合する凹凸形状を基材が有して嵌合により固定する手段を用いることもできる。
【0029】
本開示のラッピング立体成形体によれば、各立体部材を少なくとも部分的に接着した基材の露出表面のすくなくとも一部を装飾フィルムで、ラッピングすることで、基材の主表面上に立体部材で少なくとも部分的に立体的な装飾を施した基材に基づくラッピング成形体を得ることができる。このラッピング成形体では、立体部材が基材に一体的に保持されるので、基材自身が立体的な表面形状を有しているものと同様のラッピング成形体となる。したがって、表面の凹凸パターンごとに成形型を製造することなく、立体部材やその配置を変えるだけで、表面に所望の凹凸パターンを有する成形体を得ることは容易である。基材の露出表面の少なくとも一部をラッピングする装飾フィルムの主たる目的は、基材の装飾および/または保護である。本開示では、基材の露出表面の主として保護を目的とする、たとえば透明なラッピングフィルムを含めて、装飾フィルムと称する。
【0030】
また、ラッピング方法として、後述する真空圧着法を用いた場合は、立体部材形状に対し追従性のよい被覆が可能なため、立体部材の端縁部での段差部分に浮きが生じにくく、基材と立体部材および装飾フィルムとの間で良好な一体感を得ることは容易である。その結果、あたかも基材そのものに凹凸加工した製品と同等の良好な立体装飾外観を得ることができる。
【0031】
装飾フィルムを被着体に少なくとも部分的に貼着することは、貼着後に被着体を少なくとも部分的に覆った所望の形状になるように、予め装飾フィルムを裁断などにより加工しておくことで達成できる。真空圧着を用いて装飾フィルムを部分的に貼着する場合には、立体部材および/もしくは基材、または装飾フィルムの貼着面のみに、所望の形状の感圧接着剤層(立体部材および/または基材と装飾フィルムとを接着する感圧接着剤を、以下、第2の感圧接着剤ともいう。)などを設けておき、真空圧着後に、装飾フィルムの所望の形状以外の部分を裁断などにより除去すること、および/または装置外部との圧力差を保ったまま、立体部材および/もしくは基材の一部のみを真空室内に保持できる真空圧着機を使用することなど、によって行ってもよい。
【0032】
なお、装飾フィルムで立体部材を接着した基材の露出表面全面を完全にラッピングし(本明細書中において、フルラッピングともいう。)てもよい。この場合は、基材の露出表面を完全に覆うことになるため、基材保護の効果が高いとともに、装飾フィルムの端部が基材端部まで覆うことにより、装飾フィルムのはがれが生じにくくなる。
また、ラッピング、フルラッピングのいずれにおいても、図2(E)に示すように、装飾フィルムが、装飾フィルムの剥がれをより生じにくくするために、基材の裏側の一部まで覆っていてもよい。
【0033】
装飾フィルムの材質としては、特に限定されないが、真空圧着法を用いてラッピングを行う場合は、真空圧着時の加熱温度に耐熱性があるものを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、アクリロニトリル/エチレン-プロピレン-ジエン/スチレン(AES)、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロンなどの熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの中では、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS、AESが、加熱時の伸び、被着体への貼着性を有しつつ、耐候性に優れる。特に、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンが、適する。
【0034】
装飾フィルムは、通常、キャスティング成形、押し出し成形などによって成形された単層又は積層のベースフィルムを含み、任意選択的に、ベースフィルム上に印刷層、金属蒸着層、感圧接着剤層などを含んでもよい。
【0035】
装飾フィルムのベースフィルムとしては、表面の保護、耐候性、強度、美観などの向上を図る目的で、同種または異種の材質で形成されたラミネートフィルムを使用してもよい。ラミネートフィルム同士が異種フィルムの場合は、フィルム間の弾性率、伸び率、Tg、Tmなどが近接していれば、圧着加工によるフィルム層間の剥離などが生じにくいことができる。
【0036】
装飾フィルムは、装飾目的で、被着面および/又はその反対側に単層または多層の印刷層を含んでもよい。印刷には、スクリーン、グラビア、オフセット、インクジェット、静電塗装などの知られた方法が用いられる。市販されている多種の耐候性インクを塗布する点では、スクリーン印刷を使用してもよい。印刷層は、装飾フィルムのベースフィルムと第2の感圧接着剤との間に位置すれば、印刷層の上に保護層を使用せず、摩擦などによる色落ちが少なくて適する。
【0037】
装飾フィルムは、装飾性の向上のために、装飾フィルムの貼着側および/又は貼着面の反対側に、濃淡および/又は模様などを付与するために、クロム、アルミニウム、チタン、インジウム、スズ、ニッケル、ステンレススチール、銀、金、銅、チタンなどの単独、もしく複数の金属膜の蒸着、および/または粉末状の金属微粒子を含んだコーティングの適用などによる加工が、単層または複層で施されていてもよい。この中では、インジウム蒸着膜、粉末状金属微粒子の被着が、装飾フィルムの加熱圧着時に、白化、金属膜のわれなどを生じにくく、適する。粉末状金属の被着は、公知の接着剤およびコーティング技術を用いて行われる。印刷層と同様に、金属蒸着層または粉末状微粒子層は、装飾フィルムと第2の感圧接着剤との間に位置すれば、摩擦などによる色落ちが少なく適する。
【0038】
装飾フィルム中の金属蒸着層および粉末状金属微粒子含有層の光線透過率は、デザインの自由度に応じて、広い幅を有することができ、具体的には、550nmの波長において、0.1〜99.9%であることができる。
【0039】
金属蒸着層および粉末状金属微粒子含有層の厚みについては、特に制限はなく、例えば数nm以下のものから数十nmまで、デザイン上意図された模様および/又は光線透過率にあわせた厚みを有することができる。
【0040】
装飾フィルムは、そのほか、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、フィラーなどの添加剤を含むことができる。
【0041】
装飾フィルムの厚さは、限定されないが、約200μm以下であれば、圧着後立体部材のエッジ部で浮きなどを発生しにくくできる。約100μm以下であれば、さらに真空圧着時の立体部材形状等への追従性を上げることができる。一方、基材保護の観点からは一定の強度を確保するため、装飾フィルムの最低厚みは、約50μm以上、または約80μm以上であることができる。
【0042】
装飾フィルムは、立体部材および/または基材との接着のために貼着面に第2の感圧接着剤を含んでもよい。第2の感圧接着剤の種類としては、第1の感圧接着剤に挙げたものを使用できる、第2の感圧接着剤は第1の感圧接着剤と同じであってもよい。
【0043】
装飾フィルム上への第2の感圧接着剤の形成は、コーティング、スプレーなどのあらゆる適用手法を用いることができるが、典型的には、感圧接着剤塗工液を塗工し、さらに乾燥することにより行うことができる。第2の感圧接着剤層の厚さは、装飾フィルムの圧着後の剥がれ、めくれ、高温下での滲み出しなどが生じなければ、限定されない。例えば約10〜約50μmであり、さらに別の態様では、約20〜約40μmであることができる。
【0044】
基材が、表面自由エネルギーが低くて接着が難しいポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂の場合には、接着を促進するために、第2の感圧接着剤には、タッキファイアなどの粘着性付与剤が含まれていてもよい。
【0045】
基材及び立体部材からなる被接着面の表面自由エネルギーを上げて濡れ性を上げ、粘着力を向上させるために、基材および/又は立体部材に、プラズマ処理、コロナ放電処理などを行うことができる。基材および/又は立体部材が、本発開示で用いられる熱可塑性樹脂、特にポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂などである場合、接着力の向上に有効である。特にコロナ放電処理を用いる場合は、大きなサイズの被着物の処理を大気圧下で行うことが可能である。
【0046】
装飾フィルム圧着後に、被着体と装飾フィルムとの間にほとんどまたは全く空気が残らないようにするために、第2の感圧接着剤層の一部または全部上に、気泡抜き用の連通した複数の溝を有していることができる。溝の深さおよび幅は、気泡抜きが行えれば、特に限定されないが、数mm以下であることができる。溝の最大の深さおよび幅は、限定されないが、装飾フィルムの貼着後に溝の形状が目視で見えないように、約30μm以下、または約10μm以下であることができる。溝の最低の深さおよび幅は、気泡抜きが行えれば特に限定されないが、円滑な気泡抜きのためには、約1μm以上、または約5μm以上であることができる。なお、装飾フィルムの被着面である第2の感圧接着剤層に設けられた溝の形状は、直線、曲線、波線など、その形状に制約はない。各溝がフィルムの縁部まで延在していれば、より効果的に気泡抜きを行うことができる。
【0047】
立体形状の表面へフィルムを圧着させるためには室温で行うことも可能であるが、充分な貼着を行うために、加熱してフィルムを軟化させ、展伸させて圧着を行うことが適する。
【0048】
装飾フィルムの被着体への加熱圧着は、装飾フィルムが充分な伸長性を発現する温度に加熱して、被着体に圧着することができる。加熱温度は、樹脂のTgに応じて所望の伸び率を達成できる温度であり、特に限定されないが、例えば、ポリウレタンおよびポリ塩化ビニルの場合では、約60℃以上、または約80℃〜約140℃、または約100〜約130℃であることができる。例えば、自動車の内装部品は、厳しいものでは約80℃の耐熱性であり、さらに厳しいものは約100〜約110℃の耐熱性である。したがって、このような温度で耐熱性を発現するような装飾フィルムを用い、適当な加熱および真空圧着条件を選択することが適する。
【0049】
装飾フィルムの耐熱性の程度は、用途によるが、一般的には約60℃以上、または約80℃以上であることができる。例えば自動車・オートバイの外装または内装用途で、室内最高温度として約80℃、さらには約100℃が設定される場合には、耐熱性が約100〜約110℃またはそれ以上であることできる。約140〜約160℃またはそれ以上の耐熱性を有してもよい。
【0050】
真空圧着法を用いて、装飾フィルムを基材に貼り付ける場合、通常、加熱して被着体に真空圧着される。本開示では、このときの基材の主表面上に立体部材による凹凸を有しているため、装飾フィルムが伸長性を有するものが好適である。さらに、基材自身も立体形状であると、真空圧着の際に装飾フィルムが伸びて被着体表面に貼着される。伸びた部分に残留応力が存在するが、本開示の装飾フィルムは残留応力が存在しても、高温に加熱されたときも、常温に冷却されても、貼着力が保持されるように、接着時(上記の加熱温度で)の伸びが、被着体の形状にもよるが、フィルムが伸びる前の寸法を約100%としてフィルムの寸法で約150%以上、あるいは約200%以上の伸びを有するものであることができる。
【0051】
次に、本開示のラッピング成形体の製造方法の実施形態について説明する。まず、この製造方法においては、主表面を有する基材を準備し、基材の主表面上に各立体部材を少なくとも部分的に接着する。基材および立体部材としては、すでに説明したものを使用できる。立体部材が感圧接着剤層を含む感圧接着フィルムの場合は、感圧接着剤により、形成するそれぞれのデザインに合わせた所定の位置に、所定の形状の立体部材を、所定の数、接着固定する。立体部材は、予め複数パターンを準備しておき、個々のデザインに合わせて、最適なパターンを選択、組み合わせて用いることもできる。接着固定方法は特に限定されず、手作業で貼り付けてもよい。
【0052】
続いて、真空圧着法を用いて、立体部材を含む基材の露出表面を覆って装飾フィルムを貼着する。以下、図2の模式工程図を参照して、この真空加熱圧着工程について説明する。図2(A)に示すように、代表的な真空圧着機は、上下に2つの真空室11,12を有しており、上下の真空室の間に被着体に被覆するフィルムをセットする治具が備えられている。また、真空室(下)には、上下に昇降可能な昇降台16が設置されており、被着体は、この昇降台16にセットされる。
【0053】
図2(A)に示すように、まず、真空圧着機10の真空室(下)11、真空室(上)12は大気圧に解放した状態で、上下の真空室の間に、装飾フィルム13をセットする。真空室(下)11には昇降台16に立体部材(被着体)14を感圧接着剤で貼り付けた主表面を有する基材(被着体)15をセットする。
【0054】
次に、図2(B)に示すように、真空室(下)11、真空室(上)12を閉鎖し、両方とも真空引きして、内部を真空(例えば、1MPa)にする。次いで、図2(C)の如く、装飾フィルム13を加熱しつつ、昇降台16で基材15を真空室(上)12間で押し上げる。加熱は、例えば真空室(上)の天井部に組み込まれたランプヒータで行われる。装飾フィルム13は主表面に立体部材(被着体)14を備えた基材(被着体)15に押しつけられ伸長する。一方、真空室(下)11と真空室(上)12とは仕切り板17で仕切られる。この後、図2(D)に示すように、装飾フィルム13を加熱した上で、真空室(上)12内を適当な圧力(例えば、2MPa〜大気圧)に加圧する。装飾フィルム13は立体部材(被着体)14を備えた基材(被着体)15の露出表面に密着し、露出表面の凹凸形状に追従して伸びて、表面に密着した被覆を形成する。このとき、装飾フィルム13は、基材1の側面はもちろん裏側18まで回り込んで、露出面をきれいに被覆し、しわは見られない。
【0055】
この後、上下の真空室12,11を再び開放し、大気圧に戻して、装飾フィルム13が被覆された被着体14、15を外に取り出す。図2(E)に示すように、被着体14、15の表面に密着した装飾フィルム13のエッジをトリミングすれば、真空圧着工程は完了する。真空圧着機による真空加熱圧着工程はこれに限定されるものではなく、変形は可能であり、加熱や加圧の条件も変更できることはいうまでもない。
【0056】
本開示のラッピング成形体の製造方法では、装飾フィルムのラッピングに上述する真空圧着方法を用いるため、平板な被着体に限らず、立体成形物である基材、主表面に凹凸を有する被着体に対し高い密着性と追従性を備えた被覆ができる。その結果、立体部材により基材の主表面に形成した凹凸を反映した、高い美観を備えた立体装飾を基材に付与することができる。また、立体部材の選択や配置を容易に変更できるため、成形型を作る必要なくデザイン変更が可能となる。真空圧着法を用いる場合は、被着体主表面の全体を装飾フィルムでラッピングすることが容易にできるため、良好な装飾性とともに、基材への保護効果を高め、耐候性を向上させることもできる。
【0057】
本開示のラッピング立体成形体の用途は、特に限定されないが、装飾性が望まれる自動車、飛行機、船舶、オートバイの少なくとも1種の外装または内装用部品の少なくとも1種に好適に使用できる。特に、耐候性および装飾性を使用する自動車、オートバイの少なくとも1種の外装・内装用部品の少なくとも1種、例えば、オートバイのシュラウド、サイドカウル、四輪車のフロントカウルの少なくとも1種に好適である。
【0058】
本開示のラッピング成形体は、自動車・オートバイなど少なくとも1種の内装・外装用部品の少なくとも1種として好適であるが、自動車・オートバイなどの内装・外装用部品として用いられるラッピング立体成形体の装飾フィルムに求められる性能の一例には以下のようなものがある。(なお、これらの試験法は、後述の実施例において「1.粘着力試験」及び「2.外観試験」として試料の評価に用いた。)
【0059】
1.粘着力試験
寸法が100%(延伸していない)フィルム(対照)と、寸法が200%(2倍延伸)に延伸されたフィルムの両者を用いて、
・温水浸漬試験:40℃×24時間
・加熱エージング試験:80℃×96時間
・高温・高湿度エージング試験:50℃・95%RH×120時間
・ヒートサイクル試験:−40℃、2時間と、50℃、2時間とで5サイクル
・5%塩水噴霧試験:5重量%の塩水をフィルム端部に120時間噴霧
の試験後に、
・室温で48時間経過後の対照と比較して、テスト後の外観で著しい変化がないこと
・テスト後の接着力が11.8N/25mm以上(180度剥離)であること。
【0060】
2.外観試験
寸法が100%(延伸していない)のフィルム、および200%に延伸(2倍延伸)されたフィルムの両者を用いて、
・サンシャインウェザー(WOM)試験:400時間
・サンシャインウェザー(WOM)試験:1000時間
・屋外暴露試験:水平面からの角度45度、高さ12mで、1000時間
・洗車耐久試験:80℃で、5.8MPaの圧力水を0.3mの距離から、45度の角度で1分間、フィルムの端部に向けて行う。
試験後に、
室温で48時間経過後の対照と比較して、テスト後の外観で著しい変化がないこと。
【0061】
本開示のラッピング立体成形体では、基材に立体部材により立体的装飾が施されているが、その表面をラッピングしている装飾フィルムは、上記の条件を満たすことが可能である。
【実施例】
【0062】
以下に、本発明の実施例で用いた基材、立体部材、装飾フィルムについて詳細を示す。
なお、実施例で用いた基材および立体部材は、工業用の汎用品グレードである。
<基材>
縦150mm×横70mm×厚み0.5mmのメラミン塗装鉄板
縦150mm×横70mm×厚み2mmのポリプロピレン(PP)板
【0063】
<立体部材>
実施例1〜11では、表1に示した材質及び厚みの樹脂フィルムをベースとし、表1に示した厚みを有するアクリル系接着剤(住友3M社製RD−2738)層を有する感圧接着テープを立体部材として用いた。比較例1〜2では、表2に示した材質及び厚みの樹脂フィルムを感圧接着剤なしで用いた。
【0064】
表1〜2における略号は下記を表す。
PP:ポリプロピレン
PE:ポリエチレン
PVC:ポリ塩化ビニル
PUR:ポリウレタン
PMMA:ポリメチルメタアクリレート
PC:ポリカーボネート
ABS:アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン
【0065】
<立体部材接着用の感圧接着剤(第1の感圧接着剤)>
RD−2738(住友3M社製):アクリル系接着剤
【0066】
<装飾フィルム>
装飾フィルムについては、次の2種類のものを用いた。
GHA3100J(住友3M社製):PVC表面フィルム
GHA4100J(住友3M社製):PUR表面フィルム
【0067】
これらの装飾フィルムは下記の規格を満たすものである。
外観:しわ、フィルムの破れ、ゴミの付着、汚れなどが目視で確認できないこと
厚さ:0.09mm〜0.11mm
色:標準見本と大差ないこと
伸び:寸法で80%以上
熱間伸び:高温オーブン内の雰囲気温度が、135℃に達した後、さらに30秒経過後に測定される寸法の伸びが200%以上であること
引っ張り強さ:25mm幅サンプルで20N以上であること
印刷性:FL545インク(住友3M社製)と415Jクリアー塗料(住友3M社製)のはじきと、フィルムから剥がれがないこと。
【0068】
装飾フィルムの感圧接着剤層としては、メラミン塗装鉄板では通常のアクリル系感圧接着剤(2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸)を用い、PP用感圧接着剤では通常の感圧接着剤にべたつき感を出すためにタッキファイアを添加したもの(ブチルアクリレート/アクリル酸)を使用した。
【0069】
実施例1〜11
表1に示す感圧接着テープ4枚を20×50mm(0.5mm厚以下の場合、図3(A)および(B)の22参照)または(10×100mm(0.5mm厚超の場合、図3(C)の23参照)の寸法にカットし、立体部材を作製した。70×150mmのメラミン塗装鉄板またはPP板の基材21の主表面上に、図3に示すように、ほぼ均等な間隔で平行に立体部材を貼着した。この感圧接着テープ4枚を接着した基材を1ユニットとした。
立体部材の基材と接する面と立体部材の側面とのなす角度は約90度であった。
真空圧着機(布施真空(株)社製真空成形機)の約500mm×600mmの貼り付け台に、8ユニットの感圧接着テープ貼着基材を配置し、装飾フィルム24としてそれぞれ表1に示す厚さの100μm厚のPVCフィルム(GHA3100J)を用い、図2を参照して先に説明した手順で、120℃、真空圧を1kPa、成形圧を大気圧として、加熱真空圧着法で8ユニットの基材21の露出表面に圧着した。その後室温まで放冷し、ユニット毎にエッジをトリミングして、フルラッピング成形体の試料を作製した(図3(B)参照)。
【0070】
24時間放置後に、試料の表面性、エッジ浮き及びずれについて目視して、評価した。
「表面性」は、空気の巻き込み、しわ等の不具合が無いものをA(良好)とし、不具合があったものをB(不良)とした。
「エッジ浮き」は、立体部材の周辺部における装飾フィルムの浮き等の不具合が無いものをA(良好)とし、不具合があったものをB(不良)とした。
「ずれ」は、装飾フィルムの貼り付け前の前後で、立体部材のずれが0.1mm以下の場合をA(良好)とし、0.1mm以上ずれたものをB(不良)とした。
さらに、上記の自動車・オートバイの内装・外装部品に求められる試験法である「1.粘着力試験」および「2.外観試験」で、これらの試料について評価をしたところ、すべての項目において良好な結果を示した。
【0071】
【表1】

【0072】
比較例1〜2
立体部材(22または23)としての感圧接着テープに代えて、感圧接着剤を塗布していない表2に示す樹脂フィルムを用い、基材21の主表面に単純に配置して、実施例と同様に、真空圧着機を用いて真空圧着した。
得られた試料について、実施例と同様の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
実施例12
基材として、図4に示す形状に成形したPP製オートバイシュラウド31、立体部材として、100μm厚のPURシートをトムソン刃で打ち抜いて直径5mm、高さ1.5mmに成形し、ナイロンを中空部分に充填し粘着剤を貼り付けたもの32を用い、図4(A)に示すようにオートバイシュラウド31の主表面に複数の立体部材32を配置、接着したものを真空圧着機の貼り付け台に配置し、装飾フィルムとしてGHA3100J,GHP4000Jを用い、真空圧着法で、120℃、真空圧を1kPa、成形圧を大気圧の条件として、圧着を行った。その後室温まで放冷し、エッジをトリミングして、フルラッピング立体成形体であるオートバイシュラウド33の試料を作製した。
【0075】
得られたオートバイシュラウドの写真を図4(B)に示す。また別部品に施された立体部材による立体的装飾(凹凸パターン)の部分の拡大図及び拡大写真を図5に示す。
【0076】
このオートバイシュラウドは、表面性、エッジ浮き、ずれのいずれの項目の評価も、A(良好)となり、また上記の「1.粘着力試験」および「2.外観試験」の試験でも、すべての項目において良好な結果を示した。
【0077】
実施例13
実施例12と同様にして、PP製オートバイシュラウドに、粘着剤を貼り付けた2.0mm厚のPVC成形品を立体部材として用いて、表面凹凸パターンを施した。
図5に得られたフルラッピング立体成形体としてのサイドカウルの図面(図5(A))及び写真(図5(B))を示す。
【0078】
このサイドカウルも、表面性、エッジ浮き、ずれのいずれの項目においても評価はA(良好)であり、さらに上記の「1.粘着力試験」及び「2.外観試験」の試験でもすべての項目において良好な結果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施態様のラッピング立体成形体の模式断面図である。
【図2】本発明の一態様の方法による真空加熱圧着の工程を概説するための図である。
【図3】実施例1〜11における試料の形状を示す図である。
【図4】実施例12のオートバイシュラウドの立体成形品の図及び写真である。
【図5】実施例13のオートバイシュラウドの立体成形品の図及び写真である。
【符号の説明】
【0080】
1 基材
2 立体部材
3 第1の感圧接着剤
4 装飾フィルム
5 第2の感圧接着剤
10 真空圧着機
11,12 真空室
13 装飾フィルム
14 立体部材(被着体)
15 基材(被着体)
16 台
17 仕切り板
18 基材の裏側
21 70×150mmの基材
22 20×50mmの立体部材
23 10×100mmの立体部材
24 装飾フィルム
31 オートバイシュラウド基材
32 立体部材
33 フルラッピングされたオートバイシュラウド製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する基材と、
前記基材の主表面上に部分的に接着された立体部材と、
前記立体部材を含む前記基材の露出表面の少なくとも一部を覆って貼着された装飾フィルムと、
を有するラッピング立体成形体。
【請求項2】
前記装飾フィルムは、真空圧着法により貼着されている、請求項1に記載のラッピング立体成形体。
【請求項3】
前記各立体部材は、前記感圧接着剤で前記基材の主表面上に少なくとも部分的に接着されている、請求項1に記載のラッピング立体成形体。
【請求項4】
前記立体部材は、
ポリ塩化ビニルまたはポリウレタンの少なくともいずれか1種で形成されているベースフィルム層を含む、請求項1に記載のラッピング立体成形体。
【請求項5】
前記装飾フィルムは、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、またはアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)の少なくともいずれか1種で形成されたベースフィルム層を含む、請求項1に記載のラッピング立体成形体。
【請求項6】
自動車またはオートバイの少なくとも1種の外装または内装部品の少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のラッピング立体成形体。
【請求項7】
オートバイのサイドカウルまたは四輪車のセンターカウルの少なくとも1種である、請求項6に記載のラッピング立体成形体。
【請求項8】
主表面を有する基材を提供する工程と、
前記基材の主表面上に各立体部材を少なくとも部分的に接着する工程と、
真空圧着法で、前記立体部材を含む前記基材の露出表面の少なくとも一部を覆って装飾フィルムを貼着する工程と
を有するラッピング立体成形体の製造方法。
【請求項9】
前記各立体部材は、前記感圧接着剤を介して前記基材主表面上に少なくとも部分的に接着される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記基材は、自動車またはオートバイの少なくとも1種の外装または内装部材のすくなくとも1種である、請求項8または9に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−64448(P2010−64448A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235424(P2008−235424)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】