説明

リソグラフィ装置及びデバイス製造方法

【課題】位置決め装置における外乱力による位置決め誤差を小さくする。
【解決手段】位置決め装置は、第1物体と、第2物体と、第1物体及び第2物体を互いに位置決めする位置決めシステムと、第1物体と第2物体とを接続する柔軟輸送ラインと、を含む。柔軟輸送ラインは、該ラインに沿って変化する剛性を有し、該輸送ラインは力学的な伝達関数による表現が可能であり、該伝達関数は位置決めシステムの閉ループ伝達関数に適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1物体及び第2物体に設けられる位置決め装置、及びその位置決め装置を含むリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置において第1物体及び第2物体を含む位置決め装置は公知である。ここで、第1物体は長ストロークモジュールの一部であり、第2物体は短ストロークモジュールの一部である。長ストロークモジュールと短ストロークモジュールとを組み合わせて協働させるという考えかたはリソグラフィ装置において周知の装置構成である。長ストロークモジュールは精度が限られるものの長距離の移動を受け持ち、短ストロークモジュールはそれよりも短い距離を高精度に移動させることができる。短ストロークモジュールは柔軟性を有する輸送ラインにより長ストロークモジュールに接続される。この輸送ラインは例えば電力、流体、真空などをもたらすためのラインである。1つの例においては短ストロークモジュールは柔軟な輸送ラインにより水が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の位置決め装置においては、上記の柔軟輸送ラインの剛性特性、減衰特性、及び質量特性が第1物体と第2物体との間に静的外乱力及び動的外乱力として作用する。柔軟輸送ラインの質量が極小の剛性で接続されているとするならば、柔軟輸送ラインの固有振動数が小さくなり、輸送ライン質量の自由運動によって望まれない外乱力が生じ得る。柔軟輸送ラインの固有振動数を大きくするために輸送ラインの剛性を高めれば、2つの物体を直接的に連結することになる。動的外乱は、第1物体と第2物体との間の位置決め誤差に影響する。位置決め誤差は、リソグラフィ装置の結像に望ましくない問題を引き起こしたり、リソグラフィ装置のオーバレイ誤差を発生させたりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、柔軟輸送ラインの動的外乱を低減する。そのために、本発明の一実施形態は、柔軟輸送ラインに比較的低い相互剛性をもたせる一方で、柔軟輸送ラインの比較的低周波の挙動を抑制するために内部剛性を高くするという洗練された均衡を得ることが好ましいという洞察に基づいている。よって、本発明の一実施形態は、柔軟輸送ラインに該ライン上の位置の関数として剛性が与えられている。その剛性により実現される柔軟輸送ラインの力学的な伝達関数は、位置決めシステムの閉ループ伝達関数に適合されている。
【0005】
本発明の一実施形態に従って柔軟輸送ラインを適合させることにより、相互剛性についての要求と柔軟輸送ラインの動特性との間に、位置決めシステムの閉ループ伝達関数についての知見に基づいてバランスをとることができる。
【0006】
好ましい一実施形態によれば、柔軟輸送ラインには位置の関数として剛性が与えられており、その関数は柔軟輸送ラインFTLが第1ヒンジHNG1を有するように与えられている。この実施形態は、第1物体と第2物体との間に比較的低い相互剛性を生み出すことができるという点で有効である。
【0007】
更なる一実施形態によれば、柔軟輸送ラインは、実質的に直線的かつ寸法的に安定した第1部分と、実質的に直線的かつ寸法的に安定した第2部分と、を含み、第1部分と第2部分とが第1ヒンジにより接続され、これら2つの部分が第1ヒンジ周りに互いに枢動可能とされていてもよい。この実施形態は、内部剛性を高くすることによって柔軟輸送ラインの比較的低周波の挙動を抑制するという点で有効である。
【0008】
本発明の実施形態が以下に説明されるがこれらは例示に過ぎない。この説明に用いられる参照符号は各図面において対応する部分を指し示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】第1物体、第2物体、及び柔軟輸送ラインが設けられている位置決め装置の上面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る長ストロークモジュール及び短ストロークモジュールを含む位置決め装置を模式的に示す図である。
【図4】フィードフォワード及びフィードバックを組み合わせた制御系にコントローラ設定点が入力される標準的な制御ブロック図を示す図である。
【図5】PIDコントローラによりある制御バンド幅で制御される自由運動質量のプロセス感度伝達関数の一例を示す図である。
【図6】図3に示す実施形態の模式的な拡大図である。
【図7】図6についてのもう1つの模式図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る柔軟輸送ラインの一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る2つの物体を連結する柔軟輸送ラインを模式的に示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る2つの物体を連結する柔軟輸送ラインを模式的に示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る2つの物体を連結する柔軟輸送ラインを模式的に示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係り、実質的に90度の枢動角の中立位置を第1ヒンジが有し、2つの物体を連結する柔軟輸送ラインを模式的に示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係る2つの物体を連結する柔軟輸送ラインを模式的に示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る2つの物体を連結する柔軟輸送ラインを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成されている照明光学系(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構成され、いくつかのパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成されている第1の位置決め装置PMに接続されているパターニングデバイス支持部または支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストでコーティングされたウエーハ)Wを保持するよう構成され、いくつかのパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成されている第2の位置決め装置PWに接続されている基板テーブル(例えばウエーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイからなる)目標部分Cに投影するよう構成されている投影系(例えば屈折投影レンズ系)PSと、を備える。
【0011】
照明系は、放射の方向や形状の調整またはその他の制御用に、各種の光学素子例えば屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子または他の各種光学部品を含んでもよく、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0012】
パターニングデバイス支持部は、パターニングデバイスの向きやリソグラフィ装置の構成、あるいはパターニングデバイスが真空環境下で保持されるか否かなどの他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。パターニングデバイス支持部においてはパターニングデバイスを保持するために、機械的固定、真空固定、静電固定、または他の固定用技術が用いられる。パターニングデバイス支持部は例えばフレームまたはテーブルであってよく、必要に応じて固定されていてもよいし移動可能であってもよい。パターニングデバイス支持部は、パターニングデバイスを例えば投影系に対して所望の位置に位置決めできるようにしてもよい。本明細書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」に同義であるとみなされるものとする。
【0013】
本明細書では「パターニングデバイス」という用語は、例えば基板の目標部分にパターンを形成すべく放射ビームの断面にパターンを付与するために使用され得るいかなるデバイスをも指し示すよう広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、基板の目標部分に所望されるパターンと厳密に対応していなくてもよい。このような場合には例えば、放射ビームのパターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを含む場合がある。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、目標部分に形成される集積回路などのデバイスの特定の機能層に対応する。
【0014】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、例えばマスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルなどがある。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。これらの傾斜ミラーにより、マトリックス状ミラーで反射された放射ビームにパターンが付与されることになる。
【0015】
本明細書では「投影系」という用語は、使用される露光光あるいは液浸や真空の利用などの他の要因に関して適切とされるいかなる投影系をも包含するよう広く解釈されるべきである。投影系には例えば屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはこれらの任意の組み合わせなどが含まれる。以下では「投影レンズ」という用語は、より一般的な用語である「投影系」と同義に用いられ得る。
【0016】
ここに説明されるのは、(例えば透過型マスクを用いる)透過型のリソグラフィ装置である。これに代えて、(例えば上述のようなプログラマブルミラーアレイや反射型マスクなどを用いる)反射型のリソグラフィ装置を用いることもできる。
【0017】
リソグラフィ装置は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブル(及び/または2つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に他の1以上のテーブルで準備工程を実行するようにしてもよい。
【0018】
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が液体で覆われるものであってもよい。この液体は比較的高い屈折率を有する例えば水などの液体であり、投影系と基板との間の空隙を満たす。液浸露光用の液体は、例えばマスクと投影系との間などのリソグラフィ装置の他の空間に適用されるものであってもよい。液浸技術は投影系の開口数を増大させる技術として周知である。本明細書では「液浸」という用語は、基板等の構造体が液体に完全に浸されているということを意味するのではなく、露光の際に投影系と基板との間に液体が存在するということを意味するに過ぎない。
【0019】
図1に示されるようにイルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからイルミネータILへとビーム搬送系BDを介して受け渡される。ビーム搬送系BDは例えば適当な方向変更用のミラー及び/またはビームエキスパンダを含んで構成される。あるいは光源が例えば水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射系または放射システムと総称される。
【0020】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するためのアジャスタADを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも半径方向外径及び/または内径の大きさ(通常それぞれ「シグマ−アウタ(σ−outer)」、「シグマ−インナ(σ−inner)」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素を備えてもよい。イルミネータはビーム断面における所望の均一性及び強度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられる。
【0021】
放射ビームBは、パターニングデバイス支持部(例えばマスクテーブル)MTに保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを通過した放射ビームBは投影系PSに進入する。投影系PSはビームを基板Wの目標部分Cに投影する。第2の位置決め装置PWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTを正確に移動させることができる。基板テーブルWTは例えば放射ビームBの経路に異なる目標部分Cを順次位置決めするように移動される。同様に、第1の位置決め装置PMと他の位置センサ(図1には明示せず)とにより放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。この位置決めは例えばマスクライブラリからのマスクの機械的交換後や露光走査中に行われる。一般にパターニングデバイス支持部(例えばマスクテーブル)MTの移動は、第1の位置決め装置PMの一部を構成するロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現される。同様に基板テーブルWTの移動は、第2の位置決め装置PWの一部を構成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールにより実現される。ステッパでは(スキャナとは逆に)、パターニングデバイス支持部(例えばマスクテーブル)MTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MAと基板Wとは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用の目標部分を占拠しているが、アライメントマークは目標部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合にはマスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0022】
図示の装置は例えば次のうちの少なくとも1つのモードで使用され得る。
【0023】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射(すなわち単一静的露光)で目標部分Cに投影される間、パターニングデバイス支持部(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる。そして基板テーブルがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なる目標部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で転写される目標部分Cのサイズを制限することになる。
【0024】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間(すなわち単一動的露光の間)、パターニングデバイス支持部(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期して走査される。パターニングデバイス支持部(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光での目標部分の(非走査方向の)幅を制限し、スキャン移動距離が目標部分の(走査方向の)長さを決定する。
【0025】
3.別のモードにおいては、パターニングデバイス支持部(例えばマスクテーブル)MTがプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、放射ビームPBに付与されたパターンが目標部分Cに投影される間、基板テーブルWTが移動または走査される。このモードではパルス放射源が通常用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは、基板テーブルWTの毎回の移動後、または走査中の連続放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のプログラマブルミラーアレイ等のプログラム可能パターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0026】
上記で記載したモードを組み合わせて動作させてもよいし、各モードに変更を加えて動作させてもよいし、さらに全く別のモードでリソグラフィ装置を使用してもよい。
【0027】
図2は、位置決め装置APPの上面図である。位置決め装置APPには第1物体OBJ1及び第2物体OBJ2が設けられている。位置決め装置APPはリソグラフィ装置において物体を位置決めするために使用することができる。位置決め装置APPには位置決めシステムPOSが設けられている。位置決めシステムPOSは第1物体OBJ1に対し第2物体OBJ2を位置決めするよう構成されている。位置決め装置APPには更に、柔軟性を有する輸送ラインFTLが設けられている。輸送ラインFTLは第1物体と第2物体とを接続する。柔軟輸送ラインFTLは例えば媒体を輸送するよう構成されている。あるいは柔軟輸送ラインFTLは例えば第1物体OBJ1と第2物体OBJ2との間で給電をするために設けられている配線である。柔軟輸送ラインFTLは、媒体の輸送及び/または電力供給をするラインであってもよい。本発明の一実施例においては、位置決め装置は2つのステージをもつというコンセプトに基づく。すなわち第1物体OBJ1は、限られた精度で長距離の移動を受け持つ長ストロークモジュールに相当する。第2物体OBJ2は、それよりも短い距離を高精度に移動させることができる短ストロークモジュールに相当する。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態を模式的に示す図である。ここで、位置決め装置APPは長ストロークモジュールLS及び短ストロークモジュールSSから成る。各モジュールは静止部と可動部とに分けられる。各モジュールは、静止部に対し可動部を移動させるモータ(図示せず)を含む。長ストロークモジュールの可動部LSMは、長ストロークモジュールの静止部LSSに対し少なくとも1つの方向に移動可能である。短ストロークモジュールの可動部SSMは、短ストロークモジュールの静止部SSSに対し少なくとも1つの方向に移動可能である。短ストロークモジュールの静止部SSSは、長ストロークモジュールの可動部LSMに取り付けられている。この実施例においては、第1物体OBJ1は短ストロークモジュールの静止部SSSを含む長ストロークモジュールの可動部LSMから成り(図3に示すハッチング部分)、第2物体OBJ2は短ストロークモジュールの可動部SSMに相当する。
【0029】
図4は、フィードフォワードFFとフィードバックFBとを組み合わせた制御系にコントローラの設定点SETPが入力される標準的な制御ブロック図を示す。コントローラFBと物理プラントPLTとによりフィードバック制御ループが形成される。物理プラントPLTは、ステージのアクチュエータ駆動信号ADSから位置計測信号PMSへの伝達関数を表す。位置計測信号PMSは任意の好適な計測系により与えられる。コントローラ設定点SETPに基づき物理プラントPLTに作用するアクチュエータ力だけではなく、物理プラントPLTの実位置は外部の外乱源DISTの影響を受ける。外乱源DISTは外部外乱力FDISTを生じさせる。外乱力FDISTの影響はフィードバック制御ループにより補正される。外乱力FDISTを事前に知ることはできないので、フィードバックループによりいくらかの遅れが生じ得る。このような外乱により物理プラントPLTの位置精度が影響される。外部外乱力FDISTに対する位置計測信号PMSの感度は伝達関数として表現することができる。この伝達関数は、プロセス感度伝達関数HPSとして公知である。この周波数依存の伝達関数は(1)式に示されるように表される。

【数1】

【0030】
図5は、典型的なプロセス感度伝達関数HPSのボード線図の例を示す。20kgの自由運動質量がおよそ300Hzの選択されたバンド幅BWでPIDコントローラにより制御される場合の例を示す。図の上欄には周波数FRQの関数としてプロセス感度の伝達関数の大きさMAGをデシベルdBで表し、下欄には周波数FRQの関数としてプロセス感度の伝達関数の位相PHAを度数Degで示す。周波数FRQの単位はヘルツHzである。選択バンド幅BWより低い帯域においてはフィードバックコントローラFBが外乱力DISTの影響をある程度抑制することができている。その理由は、特に本実施例では、フィードバックコントローラに積分動作が含まれているからである。仮にフィードバックコントローラFBに積分動作が含まれていなかったとしたら、プロセス感度は、フィードバックコントローラFBの帯域にわたってフィードバックコントローラFBの比例ゲインに実質的に反比例するであろう。選択バンド幅BWよりも高帯域ではフィードバックコントローラFBはもはやプロセス感度の伝達関数HPSに影響を及ぼすことができない。そのため、図5に示されるように、自由運動質量の周知の−2の傾きが選択バンド幅BWよりも高帯域に現れている。この伝達関数から言いうることは、位置計測信号POSは、低周波数の外乱力に比べて高周波の外乱力DISTに関して低感度であるということである。より一般的に言えば、位置計測信号POSに対する外部外乱力FDISTの影響は、外部外乱力FDISTの周波数及び振幅に依存するということである。いくつかの例においては、これらの外乱力とそれに付随する柔軟輸送ラインFTLへの設計要求は次のように表現される。
−2つの物体OBJ1、OBJ2間で輸送される媒体の圧力降下は、例えば十分な輸送量と最小の流れノイズとを満たす範囲でなるべく小さくすべきである。このため、柔軟輸送ラインFTLの径は大きいことが好ましい。壁厚を同一としたまま径を大きくすれば、柔軟輸送ラインFTLの質量は大きくなってしまう。
−2つの物体OBJ1、OBJ2に取り付けられる自由振動質量は小さくかつサーボエラーに関して高周波であることが好ましい。このため、柔軟輸送ラインFTLは軽量で高剛性のものを用いることが好ましい。
−2つの物体OBJ1、OBJ2間の剛性を小さくすることが、例えば各物体の歪みを小さくするために好ましい。よって、柔軟輸送ラインFTLは低剛性であることが好ましい。
−ある適用例(例えば高真空)においては柔軟輸送ラインFTLの材料は、高純度で放出ガスがなく、低拡散であることが好ましい。よって、柔軟輸送ラインは本来的に剛である材料で形成されることが好ましい。
【0031】
本発明の一実施形態においては、位置決め装置は2ステージのコンセプトに基づく。第1物体OBJ1は、長いストロークを制限された精度で移動させる長ストロークモジュールLSに相当する。第2物体OBJ2は、それよりも短いストロークをより高い精度で移動させることのできる短ストロークモジュールSSに相当する。柔軟性を有する輸送ラインは、これらモジュールを直接接続する。この柔軟輸送ラインFTLの剛性に起因して、長ストロークモジュールLSと短ストロークモジュールSSとの相対移動量が柔軟輸送ラインFTLに変形を与える。この変形が各モジュールに外乱力を引き起こす。低周波の外乱力であれば、その力の大きさは、柔軟輸送ラインFTLの静的な剛性とモジュール間の相対移動量との積に実質的に等しい。
【0032】
図6は、本発明の一実施形態に係る模式的な拡大図である。柔軟輸送ラインFTLは第1物体OBJ1と第2物体OBJ2とを接続する。第1物体OBJ1はハッチング部分で示されており、短ストロークモジュールの静止部SSSを含む長ストロークモジュールの可動部LSMにより構成されている。第2物体OBJ2は短ストロークモジュールの可動部SSMに相当する。図6においては、柔軟輸送ラインFTLは、柔軟輸送ラインの第1部分FTL’と柔軟輸送ラインの第2部分FTL’’とに切断線CCで仮想的に分割されている。第1物体OBJ1の物理挙動は柔軟輸送ラインFTLの第1部分FTL’の挙動に影響され、第2物体OBJ2の物理挙動は柔軟輸送ラインFTLの第2部分FTL’’の挙動に影響される。
【0033】
図7は、第1物体OBJ1及び第2物体OBJ2を模式的に示す図である。ここには、柔軟輸送ラインの第1部分FTL’及び柔軟輸送ラインの第2部分FTL’’が含まれており、これらは切断線CCで分離されている。第1部分及び第2部分には質量、剛性、及び減衰等の力学特性が与えられており、これらはそれぞれm、k、及びdと図示されている。この実施例では、柔軟輸送ラインFTLの位置を制御するための能動制御機構またはコントローラは存在しない。例えば加速設定点または減速設定点の終了後に、柔軟輸送ラインに対応する寄生的な力学系がその全エネルギを散逸させるまで減衰振動を行う。この減衰振動によって第1物体OBJ1及び第2物体OBJ2の両方に外部外乱力FDISTが生じ、図4を参照して説明したようにこれら物体の動特性に影響が生じる。
【0034】
一例として、弾性係数kである柔軟輸送ラインの第2部分FTL’’の寄生的な挙動によって第2物体OBJ2に生じる実質的に静的な外乱力は、以下の(2)式により決定される。ここで、柔軟輸送ラインの第2部分FTL’’と第2物体OBJ2との相対移動量をεで表している。

【数2】

【0035】
一例として、第2物体OBJ2に生じる実質的に動的な外乱力については、柔軟輸送ラインの第2部分FTL’’と第2物体OBJ2との相対移動量と第2物体OBJ2の加速度との関係を以下の(3)式に従って計算することができる。

【数3】

【0036】
ここで、ωは柔軟輸送ラインの第2部分FTL’’の固有振動数を表し、aは第2物体OBJ2の加速度を表し、ζはダンパdの臨界減衰比を表す。(3)式を(2)式に代入することにより、第2物体OBJ2に作用する外部外乱力FDISTの振幅及び周波数での表現が求まる。外部外乱力FDIST例えば第2物体OBJ2の加速度または減速度によるものである。

【数4】

【0037】
図4に示されるように、フィードフォワード制御信号FFが制御目的で物理システムPLTに適用されてもよい。知られているように、要求されるフィードフォワード信号と実際のフィードフォワード信号FFとの間にはある大きさの不一致が生じることが避けがたい。この不一致は例えばパラメタの調整が不正確であることにより生じ得る。あるいは、物理システムPLTでの物理特性の非線形性や振動によっても生じ得る。不一致は最悪の場合物理システムPLTにステップ応答を生じさせ、図7に示すバネ・マス・ダンパ系で表される挙動を柔軟輸送ラインFTLに励起させることになる。このバネ・マス・ダンパ系により生じる外部外乱力FDISTが(4)式に示されている。
【0038】
実施例に係る第2物体OBJ2等の実質的な自由運動質量に任意の力を付与したときのその自由運動質量mの変位量と付与された力との間の力学的な伝達関数は、(5)式で表される。

【数5】

【0039】
外乱力FDISTが存在する周波数をωとして代入して(5)式を変形すると、自由運動質量の周波数依存変位量xは(6)式で表される。

【数6】

【0040】
更に(4)式を(6)式に代入すると(7)式が得られる。(7)式は、本発明の一実施例に係る第2物体OBJ2等の自由運動質量に付与された加速度aによる変位量xを表す。

【数7】

【0041】
(7)式から言えることは、外乱力FDISTの原因となる第2物体OBJ2の変位量は小さくするためには、相互剛性を小さく、加速度及び/または減速度の大きさを小さく、かつ第2物体OBJ2の質量を大きくするとともに、柔軟輸送ラインFTL等の動的システムの固有振動数を大きくすることが好ましいということである。(7)式は加速度プロファイルがステップ応答として与えられる(2次の設定点プロファイルとして公知である)場合について導出したものであるが、より高次の例えば3次または4次等の加速度設定点プロファイルでは(7)式に示される互いに矛盾した要求を満たすことができない。最近の開発動向は、ステージの軽量化や加速度(減速度)の増大、要求精度の向上にあるが、これらは第2物体OBJ2の変位量を低減するのではなく拡大するものであり好ましくない。上述の分析によれば、一方では柔軟輸送ラインFTLに比較的低い相互剛性をもたせ、他方では柔軟輸送ラインFTLの内部剛性を高くして柔軟輸送ラインFTLの低周波の動的挙動を抑制するというように洗練された均衡を得ることが好ましいと言える。そこで、柔軟輸送ラインFTL上の位置の関数として剛性を有する柔軟輸送ラインFTLを提供し、柔軟輸送ラインFTLの力学的伝達関数DTFを実現する。力学的伝達関数DTFは位置決めシステムPOSの閉ループ伝達関数に適合される。これまで柔軟輸送ラインFTLは1自由度の集中質量の力学系として表現されてきたが、現実には柔軟輸送ラインFTLは周波数に依存する複雑なモード形状をもつ柔軟な部位であり、寄生的かつ過渡的に生じる力が各物体の複数の自由度の各々に作用し得る。
【0042】
図8Aは、本発明の一実施例に係る柔軟輸送ラインFTLの側面図である。図示されるように、柔軟輸送ラインFTLは実質的に不規則な外径を有してもよい。図8Bは、図8AのA−A線での柔軟輸送ラインFTLの断面図である。この断面図には柔軟輸送ラインFTLがその全長であるl=0からl=Lの範囲にわたり第1材料MAT1で形成されてもよいことが示されている。この土台となる材料の上面にある厚さでl=lからl=lの範囲に第2材料MAT2が設けられていてもよい。一例として更に、柔軟輸送ラインFTLは、土台となる材料の上面にある厚さでl=lからl=lの範囲に第3材料MAT3が設けられていてもよい。図8Cは、柔軟輸送ラインFTLの位置の関数としてその剛性の一例を示す図である。柔軟輸送ラインFTLの剛性は、第1材料MAT1を用いているl=0からl=l、l=lからl=l、及びl=lからl=Lの範囲がCに等しい。柔軟輸送ラインFTLの剛性は、第2材料MAT2を用いているl=lからl=lの範囲がCに等しく、第3材料MAT3を用いているl=lからl=lの範囲がCに等しい。同一材料または異種材料の複数層を組み合わせることにより、ある剛性を実現するようにしてもよい。また、第1材料MAT1、第2材料MAT2、第3材料MAT3は、同一材料とし厚さを異ならせることにより剛性を異ならせてもよい。
【0043】
図9は、本発明の一実施例に係る柔軟輸送ラインを示す図である。図9において、柔軟輸送ライン上の位置の関数としての剛性は、柔軟輸送ラインFTLが第1ヒンジHNG1を有するというものである。本実施例では、第1物体OBJ1と第2物体OBJ2との間の相互剛性を小さくすることができるとともに、柔軟輸送ラインの動的挙動にはほとんど影響が生じなくなる。
【0044】
図10は、本発明の一実施例に係る柔軟輸送ラインを示す図である。図10において、柔軟輸送ラインFLT上の位置の関数としての剛性は、柔軟輸送ラインFTLが実質的に直線的かつ寸法的に安定である(すなわち実質的に寸法が変動しない)第1部分FTL1と実質的に直線的かつ寸法的に安定である第2部分FTL2とを含むというものである。第1部分FTL1と第2部分FTL2とは第1ヒンジHNG1により接続されており、第1ヒンジHNG1周りに互いに枢動可能である。第1ヒンジは、枢動方向以外のすべての方向に遊びがなく実質的に剛であることが好ましい。この実施例によれば、第1物体OBJ1と第2物体OBJ2とが小さい相互剛性で連結されるとともに、柔軟輸送ラインの第1部分FTL1及び第2部分FTL2の内部剛性は大きくなる。柔軟輸送ラインの第1部分FTL1及び第2部分FTL2の内部剛性の増加によりそれら部分の固有振動数が大きくなる。よって、少なくとも第2物体OBJ2の動特性が改善され、結像特性及びオーバレイ特性も向上される。
【0045】
図11は、本発明の更なる一実施例を示す図である。第1ヒンジHNG1は2つの部分間に枢動角をもつ。枢動角αは0度乃至360度の範囲を有する。この実施例では、第1ヒンジHNG1は第1物体OBJ1に対して第2物体OBJ2を図示の範囲の枢動角αで移動させることが可能である。このとき、柔軟輸送ラインの第1部分FTL1及び第2部分FTL2は実質的に直線的かつ寸法的に安定である。
【0046】
図12は、本発明の一実施例を示す図である。第1ヒンジHNG1は中立位置を有する。この中立位置は枢動角が実質的に90度に等しい。また、中立位置においては柔軟輸送ラインFTLには内部応力が実質的に生じない。予め成形された柔軟輸送ラインを用いることにより、このような中立位置を実現してもよい。一例として、第1物体OBJ1及び第2物体OBJ2の最大の可動範囲はxy水平面内にある。この場合、第1物体OBJ1の水平方向移動が第2物体OBJ2に柔軟輸送ラインFTLを通じて与える外乱力FDISTは小さくなるという利点がある。2つの物体間の相互剛性が比較的小さい一方で柔軟輸送ラインFTLの内部剛性は大きく、柔軟輸送ラインFTLの比較的低周波の動的挙動を抑制するからである。
【0047】
図13は、本発明の更なる一実施例を示す図である。柔軟輸送ライン上の位置の関数としての剛性は、柔軟輸送ラインFTLが第1物体OBJ1の近傍に配置された第2ヒンジHNG2と、第2物体OBJ2の近傍に配置された第3ヒンジHNG3とを有するようになっている。この実施例には、2つの物体間の相互剛性を更に小さくすることができるという利点がある。それとともに、柔軟輸送ラインの第1部分FTL1及び第2部分FTL2の内部剛性は上述の実施例と実質的に同水準に保つことができる。更なる一実施例においては、柔軟輸送ラインFTLは、実質的に直線的かつ寸法的に安定した部分の輸送方向のねじり剛性が低減されていてもよい。この低減ねじり剛性は、柔軟輸送ラインFTLの第1部分FTL1及び/または第2部分FTL2の外径にノッチを刻むことにより実現されてもよい。この実施例によれば、柔軟輸送ラインFTLの比較的低周波の動的挙動を抑制するための高内部剛性と上述の相互剛性との均衡をより良好に実現することができる。
【0048】
図14は、本発明の一実施例を示す図である。第1物体OBJ1に取り付けられている柔軟輸送ラインの第1部分FTL1には、実質的に湾曲しかつ寸法的に安定した部分が第1ヒンジHNG1の近傍に設けられている。この実施例には更なる有効性がある。第2物体OBJ2に比べて動特性要求が緩和されているほうの物体である第1物体OBJ1に柔軟輸送ラインFTLの質量をより多く割り当てることができるからである。更に、本実施例の実質的に湾曲しかつ寸法的に安定した部分FTL1は、インパルス的な変動により生じる静的な外乱力を小さくすることができるという利点もある。このインパルス変動は例えば、冷却媒体の輸送方向が水平方向(例えばy方向)から垂直方向(例えばz方向)に変わるときに生じる。この方向変化は例えば、冷媒が第1物体OBJ1から第2物体OBJ2へと流れる際に生じる。この場合、物理システムPLTにより補償されるべき外乱力FDISTはアクチュエータシステムの生成する熱となり、アクチュエータシステムを予め定められた水準に保つためにある量の冷媒が必要となる。力の大きさが小さくなることにより、アクチュエータシステムの熱生成ひいては必要冷媒量も小さくすることができる。
【0049】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。基板は露光前または露光後においてトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味する。
【0050】
ここでは特に光学的なリソグラフィを本発明に係る実施形態に適用したものを例として説明しているが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光学的なリソグラフィに限られるものではない。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィーが基板に生成されるパターンを決める。パターニングデバイスのトポグラフィーが基板に塗布されているレジスト層に押し付けられ、電磁放射や熱、圧力、あるいはこれらの組み合わせによってレジストが硬化される。レジストが硬化されてから、パターニングデバイスは、パターンが生成されたレジストから外されて外部に移動される。
【0051】
本明細書において「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)、極紫外(EUV)放射(例えば5乃至20nmの範囲の波長を有する)、及び、イオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を示す。
【0052】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁的光学素子、及び静電的光学素子を含む1つまたは各種の光学素子の組み合わせを指し示すものであってもよい。
【0053】
本発明の具体的な実施形態が上述のように説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。例えば本発明は、上述の方法が記述された機械で読み取り可能な1以上の一連の指示を含むコンピュータプログラムの形式、またはこのようなコンピュータプログラムが記録されたデータ記録媒体(例えば半導体メモリや磁気・光ディスク)の形式をとってもよい。
【0054】
本発明の種々の実施例を上に記載したが、それらはあくまでも例示であって、それらに限定されるものではない。本発明の請求項の範囲から逸脱することなく種々に変更することができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物体及び第2物体と、
第1物体と第2物体とを互いに位置決めする位置決めシステムと、
第1物体と第2物体とを接続する柔軟輸送ラインと、を備え、
前記輸送ラインは該ラインに沿って変化する剛性を有し、該輸送ラインは力学的な伝達関数による表現が可能であり、該伝達関数は前記位置決めシステムの閉ループ伝達関数に適合されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
前記柔軟輸送ラインは第1のヒンジを有することを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記柔軟輸送ラインは、実質的に直線的かつ寸法的に安定した第1部分と実質的に直線的かつ寸法的に安定した第2部分とを備え、第1部分と第2部分とが前記第1のヒンジにより接続されており、該ヒンジにより第1部分と第2部分とが互いに枢動可能であることを特徴とする請求項2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記第1のヒンジは、0度乃至360度の範囲の枢動角を前記第1部分と第2部分との間にもつことを特徴とする請求項3に記載の位置決め装置。
【請求項5】
前記第1のヒンジは中立位置を有し前記枢動角が実質的に90度に等しいことを特徴とする請求項4に記載の位置決め装置。
【請求項6】
前記柔軟輸送ラインは、前記第1物体の近傍に配置される第2のヒンジと、前記第2物体の近傍に配置される第3のヒンジと、を有することを特徴とする請求項3に記載の位置決め装置。
【請求項7】
前記第1物体に取り付けられている前記柔軟輸送ラインの第1部分は、前記第1のヒンジの近傍で実質的に湾曲しかつ寸法的に安定して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の位置決め装置。
【請求項8】
前記柔軟輸送ラインは、前記位置決め装置の第1物体と第2物体との間で、媒体を輸送するためのホース、及び/または、電力または光学情報を輸送するための配線であることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項9】
放射ビーム断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成するパターニングデバイスを支持するためのパターニングデバイス支持部と、
基板を保持するための基板テーブルと、
パターン付き放射ビームを基板の目標部分に投影するための投影系と、
第1物体及び第2物体と、第1物体と第2物体とを互いに位置決めする位置決めシステムと、第1物体と第2物体とを接続する柔軟輸送ラインと、を含み、前記輸送ラインは該ラインに沿って変化する剛性を有し、該輸送ラインは力学的な伝達関数による表現が可能であり、該伝達関数は前記位置決めシステムの閉ループ伝達関数に適合されている位置決め装置と、を備え、
前記第1物体は長ストロークモジュールの可動部であり、前記第2物体は短ストロークモジュールの可動部であることを特徴とするリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記長ストロークモジュールの可動部に取り付けられている前記柔軟輸送ラインの第1部分は、該可動部の第1の移動方向に実質的に平行な向きに配置されていることを特徴とする請求項9に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記第1の移動方向は走査方向であることを特徴とする請求項10に記載のリソグラフィ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−226106(P2010−226106A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−60381(P2010−60381)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】