説明

リチウム二次電池、二次電池モジュールおよび二次電池パック

【課題】出力向上を図ることができるリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】リチウム二次電池は、電池缶内に4本の捲回体22が一列に並べられて収容されている。各捲回体22は正負極板がセパレータを介して捲回されている。捲回体22の1本あたりの容量は、1.5Ah以下に設定されている。正極板は、正極集電箔の長手方向中央部に正極合剤が塗着されており、その両側に未塗着部が形成されている。各未塗着部から1本ずつの正極タブ12が導出されている。負極板は、負極集電箔の長手方向中央部に負極合剤が塗着されており、その両側に未塗着部が形成されている。各未塗着部から1本ずつの負極タブ13が導出されている。正極タブ12、負極タブ13は、1本あたりの通電方向と交差する方向の断面積が0.3〜0.4mmに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウム二次電池、二次電池モジュールおよび二次電池パックに係り、特に、正極と負極とがセパレータを介して捲回された電極捲回体と、電極捲回体を収容する電池缶と、を備えたリチウム二次電池、リチウム二次電池の複数個を備えた二次電池モジュールおよび二次電池モジュールの複数個を備えた二次電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、高エネルギー密度および高出力密度を有することから、パソコンや携帯機器などの電源として広く使用されている。また、環境に配慮した自動車として電気自動車およびハイブリッド自動車の開発が進む中、リチウム二次電池は、自動車用の電源への適用が検討され、一部実用化されている。電気自動車やハイブリッド自動車の用途では、高出力化、高エネルギー密度化および長寿命化が重要な課題である。
【0003】
リチウム二次電池の構造として、負極と正極とをセパレータを介して扁平形状に捲回した後、プレス成形した扁平状捲回体を角型電池缶に収容した角型リチウム二次電池の構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この角型リチウム二次電池は、携帯電話などに広く使用されているが、電気自動車やハイブリッド自動車用の大型電池として用いた場合、扁平捲回体の中心部の締め付け圧力が小さく電池が膨れやすくなるため、電池寿命が短くなる、という問題がある。
【0004】
リチウム二次電池の高出力化を図るために正極および負極から複数の集電タブを導出し、その集電タブの厚さを制限する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。一方、電気自動車等の大型電池では、高出力化を図るために複数個の円筒型二次電池を配列した二次電池モジュールの構造が開示されている(特許文献3参照)。また、複数個の二次電池モジュールを接続することで更なる高出力化を図る二次電池パックの技術も知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−327527号公報
【特許文献2】特開2000−77055号公報
【特許文献3】特表2003−533844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の技術では、複数の集電タブを用いることで内部抵抗の低減が図られるものの、集電タブの取り付け方や取り付け位置あわせ等で製造プロセスを複雑化することとなる。換言すれば、正負極を捲回した電極捲回体に複数の集電タブを導出することは原理的に可能であるが、正負極の厚みのバラツキや捲回精度の限界から、製造工程や電池構造を複雑化し歩留まり低下を引き起こすこととなる。また、特許文献3のように円筒型二次電池を配列した構造では、二次電池モジュールに占める電池缶等の部品割合が大きくなるため、重量エネルギー密度が低下する、という問題がある。簡易な電池構造で低抵抗化することが可能となれば、リチウム二次電池の出力向上を図ることができ、二次電池モジュール、さらには、二次電池パックの高出力化を図ることが期待できる。
【0007】
本発明は上記事案に鑑み、高出力化を図ることができるリチウム二次電池、該リチウム二次電池の複数個を備えた二次電池モジュールおよび該二次電池モジュールの複数個を備えた二次電池パックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、集電体の長手方向中央部に活物質合剤の塗着部と該塗着部の長手方向両側に前記活物質合剤の未塗着部とを有する正極と、集電体の長手方向中央部に活物質合剤の塗着部と該塗着部の長手方向両側に前記活物質合剤の未塗着部とを有する負極と、がセパレータを介して捲回された複数本の電極捲回体と、前記正極の各未塗着部から少なくとも1本ずつ導出された帯状の正極導出部材と、前記負極の各未塗着部から少なくとも1本ずつ導出された帯状の負極導出部材と、前記電極捲回体を浸潤する電解液と、上記各部材を収容する電池缶と、を備え、前記電極捲回体は1本あたりの容量が1.5Ah以下であり、前記正極導出部材および負極導出部材は1本あたりの通電方向と交差する方向の断面積が0.4mm以下であることを特徴とするリチウム二次電池である。
【0009】
第1の態様では、正負極の両側に配置された未塗着部からそれぞれ少なくとも1本、合計少なくとも2本の帯状の正極および負極導出部材を導出し、正極導出部材および負極導出部材の1本あたりの断面積を0.4mm以下としたので、電気抵抗を低減し出力向上を図ることができると共に、電極捲回体の1本あたりの容量を1.5Ah以下としたので、正極および負極に流れる電流の分布を均等化し低抵抗化することができる。
【0010】
第1の態様において、電極捲回体が電池缶内で正極導出部材同士および負極導出部材同士が接続されて並列接続されていてもよい。正極導出部材および負極導出部材が、正負極の各未塗着部から1本ずつ導出されており、正負極のそれぞれで平行、かつ、捲回中心から見て同方向に配列されていてもよい。各電極捲回体の捲回軸方向と交差する方向の断面が正方形状または矩形状に形成することができる。正極導出部材同士を接続する正極集電板および負極導出部材同士を接続する負極集電板を備えるようにすることができる。電極捲回体を、一列に並べ、正極集電板を絶縁材を介して缶底側に配置して電池缶に収容してもよい。正極集電板が、電極捲回体の缶底側に配置された第1の板状部と、該第1の板状部に対し電極捲回体の長手方向に沿う一方の側面にL字状に折り曲げられた屈曲部とを有し、負極集電板が、電極捲回体の缶底側とは反対側に配置された第2の板状部を有してもよい。正極集電板が屈曲部に対し傾斜した第1のリード部を有し、該第1のリード部が正極外部端子に接続されており、負極集電板が第2の板状部に対し傾斜した第2のリード部を有し、該第2のリード部が負極外部端子に接続されており、第1および第2のリード部が互いに反対側に傾斜していてもよい。正負極集電板の断面積をそれぞれ各正極導出部材および負極導出部材の通電方向と交差する方向の断面積より大きくすることができる。正極集電板が屈曲部から突出し電極捲回体の外周部に当接する当接部材を有していてもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、第1の態様のリチウム二次電池の複数個を備え、前記リチウム二次電池が配列されており、隣り合う前記リチウム二次電池同士の間に空隙を形成するスペーサが配されたことを特徴とする二次電池モジュールである。この場合において、スペーサをリチウム二次電池の積層方向および該積層方向と交差する水平方向のリチウム二次電池間にそれぞれ複数配することが好ましい。
【0012】
本発明の第3の態様は、第2の態様の二次電池モジュールの複数個と、前記各二次電池モジュールを構成するリチウム二次電池の電池状態を制御する制御回路部と、前記複数個の二次電池モジュールおよび制御回路部を収容する外装ケースと、を備えたことを特徴とする二次電池パックである。この場合において、各二次電池モジュールを平面状に配列し、直列接続してもよい。外装ケースに内部の熱を外部へ放出するための放熱ファンが配されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、正負極の両側に配置された未塗着部からそれぞれ少なくとも1本、合計少なくとも2本の帯状の正極および負極導出部材を導出し、正極導出部材および負極導出部材の1本あたりの断面積を0.4mm以下としたので、電気抵抗を低減し出力向上を図ることができると共に、電極捲回体の1本あたりの容量を1.5Ah以下としたので、正極および負極に流れる電流の分布を均等化し低抵抗化することができる、という効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明を適用したリチウム二次電池パックの実施の形態について説明する。
【0015】
本実施形態のリチウム二次電池パック121は、図11に示すように、薄型直方体状の外装ケース111を備えている。外装ケース111内には、6個のリチウム二次電池モジュール112が収容されている。各リチウム二次電池モジュール112は、図10に示すように、8個の角型リチウム二次電池91で構成されている。
【0016】
リチウム二次電池モジュール112を構成する各リチウム二次電池91は、図7に示すように、薄型直方体状で開口部を有する電池缶72を備えている。電池缶72には、正極板および負極板が捲回された4本の捲回体22で構成された捲回体群41が収容されている。4本の捲回体は一列に並べられている。すなわち、各捲回体22は並列配置されている。捲回体群41は、各捲回体22の正極タブが露出した端面が缶底側となるように電池缶72に収容されている。捲回体群41には、正極集電板52、負極集電板51がそれぞれ接続されている。正極集電板52、負極集電板51と電池缶72の内面との間には、絶縁材が介在している。電池缶72は、厚みが捲回体群41の厚みより大きく形成されている。電池缶72は、開口部が矩形平板状の電池蓋71で封止されている。電池蓋71には、長手方向一側に正極端子73、他側に負極端子74がそれぞれ立設されている。電池蓋71には、非水電解液を注液するための注液口75が形成されている。注液口75は、電池缶72内に非水電解液を注液後、封止されている。
【0017】
捲回体群41を構成する各捲回体22は、図2(A)に示すように、正極板10と負極板11とがセパレータ14を介して捲回されており、捲回軸方向と交差する方向の断面が正方形状に形成されている。正極板10の捲回方向(長手方向)の一側および他側には、帯状の正極タブがそれぞれ1本ずつ接続されている。負極板11の捲回方向(長手方向)の一側および他側には、帯状の負極タブがそれぞれ1本ずつ接続されている。正極タブ、負極タブは、それぞれ1本あたりの通電方向と交差する方向の断面積が0.16〜0.4mmの範囲に形成されている。このため、正極板10、負極板11を捲回するときに正極タブ、負極タブが介在することで生じる捲回体22の変形(いびつになること)が最小限に抑えられる。各捲回体22では、1本あたりの容量が0.8Ah以上1.5Ah以下に設定されている。
【0018】
図1に示すように、捲回体22を構成する正極板10、負極板11およびセパレータ14は、それぞれ長尺矩形状に形成されている。捲回体22は、セパレータ14、負極板11、セパレータ14、正極板10がこの順に積層され、長手方向一側から捲回されて形成されている。正極板10は、長尺矩形状の正極集電箔(集電体)の長手方向中央部の両面に正極合剤が塗着された塗着部を有している。正極集電箔の長手方向の両端部、つまり、塗着部の長手方向両側には、正極合剤が塗着されていない未塗着部が形成されている。未塗着部には、正極集電箔が露出しており、それぞれ1本の正極タブ12が接続されている。2本の正極タブ12は、いずれも片側の端部が正極集電箔の一方の側縁から突出している。一方、負極板11は、長尺矩形状の負極集電箔(集電体)の長手方向中央部の両面に負極合剤が塗着された塗着部を有している。負極集電箔の長手方向の両端部、つまり、塗着部の長手方向両側には、負極合剤が塗着されていない未塗着部が形成されている。未塗着部には、負極集電箔が露出しており、それぞれ1本の負極タブ13が接続されている。2本の負極タブ13は、いずれも片側の端部が負極集電箔の一方の側縁から突出している。正極タブ12と負極タブ13とでは、互いに反対方向に突出している。正極集電箔と正極タブ12との接続、および、負極集電箔と負極タブ13との接続には、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接、ハトメ等を用いることができる。正極タブ12の材質としてはアルミニウムを挙げることができ、負極タブ13の材質としては銅、ニッケル、または、ニッケルめっきを施した銅、を挙げることができる。本例では、正極タブ12の材質にアルミニウム、負極タブ13の材質にニッケルがそれぞれ用いられている。
【0019】
正極板10は、正極集電箔としてアルミニウム箔が用いられている。アルミニウム箔の両面に塗着される正極合剤には、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質、活性炭、導電材、結着剤等が配合されている。正極活物質としては、スピネル型立方晶、層状型六方晶、オリビン型斜方晶、三斜晶等の結晶構造を有する、リチウムと遷移金属との複合化合物が用いられている。高出力、高エネルギー密度かつ長寿命といった観点では、リチウムとニッケル、マンガン、コバルトを含有する層状型六方晶が好ましく、特に、化学式LiMnNiCo(但し、MはFe、V、Ti、Cu、Al、Sn、Zn、Mg、Bで構成される群、好ましくはFe、V、Al、B、Mgで構成される群から選ばれる少なくとも一種である。また、0≦a≦0.6、0.3≦b≦0.6、0≦c≦0.4、0≦d≦0.1である。)で表される化合物が好ましい。
【0020】
正極活物質は次のようにして作製されたものである。すなわち、各原料の粉体が所望の組成比となるように供給され、ボールミル等の機械的な方法で粉砕混合される。粉砕混合は乾式、湿式のいずれでもよいが、粉砕混合された原料粉末の粒径が1μm以下、好ましくは0.3μm以下となるように粉砕混合される。さらに、得られた原料粉末を噴霧乾燥して造粒することが好ましい。このようにして粉砕混合された原料粉末が850〜1100℃、好ましくは900〜1050℃で焼成される。焼成は、酸素、空気等の酸化ガス雰囲気、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、これらを混合した雰囲気で行われる。正極活物質は、本例では、平均粒径が10μm以下に調整されている。
【0021】
導電材には、炭素結晶格子のc軸方向の長さLcが100nm以上で高導電性を有する粉末状黒鉛、鱗片状黒鉛、または、カーボンブラック等の無定形炭素が用いられる。これらの炭素材を組み合わせて用いてもよい。導電材の正極合剤に対する配合量は、粉末状黒鉛の場合は3〜12重量%、鱗片状黒鉛の場合は1〜7重量%、無定形炭素の場合は0.5〜7重量%に調整される。粉末状黒鉛の場合、配合量が3重量%未満では正極合剤内の導電ネットワークが不十分であり、12重量%を超えると相対的に正極活物質量が減少し電池容量の低下を招く。鱗片状黒鉛の場合、配合量が1重量%未満では他の導電材と置換した際の導電材料低減効果が低くなり、7重量%を超えると平均粒径が大きくなり正極合剤内部に空隙が形成されて正極の低密度化の要因となる。無定形炭素の場合、配合量が0.5重量%未満では正極材料間の空隙を繋ぐには不十分であり、7重量%を超えると正極の大幅な低密度化の要因となる。
【0022】
一方、負極板11は、負極集電箔として銅箔が用いられている。銅箔の両面に塗着される負極合剤には、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質、導電材、結着剤等が配合されている。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、炭素材料、リチウムイオンを挿入可能もしくは化合物の形成が可能な材料を用いることができ、炭素材料が好適である。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛類および石炭系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系コークス、石油系ピッチの炭化物、ピッチコークスの炭化物等の非晶質炭素類を挙げることができる。これらの炭素材料に種々の表面処理を施したものを用いてもよく、これらの炭素材料の2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、リチウムイオンを挿入可能もしくは化合物の形成が可能な材料としては、アルミニウム、スズ、ケイ素、インジウム、ガリウム、マグネシウムなどの金属およびこれらの元素を含む合金、スズ、ケイ素などを含む金属酸化物が挙げられる。さらにまた、金属、合金、金属酸化物と黒鉛系や非晶質系の炭素材料との複合材を挙げることができる。負極活物質は、本例では、平均粒径が20μm以下に調整されている。
【0023】
正極板10、負極板11は、次のようにして作製されたものである。すなわち、正極板10の作製では、正極活物質と、導電材として粉末状黒鉛、鱗片状黒鉛、無定形炭素またはこれらを組み合わせたものと、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とを混合してスラリーが作製される。このとき、正極活物質、導電材、結着剤をスラリー中で均一に分散させるため、混練機を用いて十分な混合が行われる。スラリーは、例えばロール転写式の塗布機などで、厚み15〜25μmのアルミニウム箔上に両面塗布される。このとき、アルミニウム箔の長手方向の両端部に、正極合剤の未塗着部が形成される。塗布後、プレス乾燥することにより正極板10が作製される。正極活物質、導電材、結着剤を混合した正極合剤塗着部分の厚さは20〜100μmに調整されている。一方、負極板11の作製では、正極板10の作製と同様に、負極活物質と結着剤とを混合したスラリーが厚さ7〜20μmの銅箔上に塗布され、プレス乾燥することで作製される。負極合剤塗着部分の厚さは20〜70μmに調整されている。負極合剤は、本例では、負極活物質と結着剤とが重量比90:10で混合されている。
【0024】
図3に示すように、捲回体22は、得られた正極板10および負極板11がセパレータ14を介して断面正方形状に捲回されることで形成されている。このため、捲回体22は、平面状に並べ易く、一列に並べて捲回体群41を構成したときに隣り合う捲回体22同士の間に形成される隙間が小さくなる。捲回体22の一方の端面には、正極集電箔の側縁から突出した2本の正極タブ12の端部が露出している。2本の正極タブ12は、平行に配列されており、幅方向の中心が捲回体22の捲回中心から見て同方向に配列されている。捲回体22の他方の端面には、負極集電箔の側縁から突出した2本の負極タブ13の端部が露出している。2本の負極タブ13は、平行に配列されており、幅方向の中心が捲回体22の捲回中心から見て同方向に配列されている。図4に示すように、捲回体群41では、4本の捲回体22が一列に(平面状に)並べられている。このため、薄型直方体状の電池缶72に容易に収容することが可能となる。
【0025】
図5に示すように、捲回体群41には、正極タブ12同士を接続する正極集電板52および負極タブ13同士を接続する負極集電板51がそれぞれ配されている。負極集電板51には、各捲回体22の端面に露出した負極タブ13がそれぞれ折り曲げられて接続されている。一方、正極集電板52には、各捲回体22の端面に露出した正極タブ12がそれぞれ接続されている。換言すれば、捲回体群41を構成する4本の捲回体22は、正極集電板52、負極集電板51を介して並列接続されている。負極集電板51と負極タブ13との接続、および、正極集電板52と正極タブ12との接続方法としては、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接等を挙げることができる。
【0026】
図6に示すように、正極集電板52は、4本の捲回体22の正極タブ12が露出した端面側に配置された正極板状部52b(第1の板状部)と、正極板状部52bに対し捲回体22の長手方向に沿う一方の側面にL字状に折り曲げられた屈曲部52cと、屈曲部52cに対し傾斜した正極リード部52a(第1のリード部)と、を有している。正極リード部52aは、傾斜方向が屈曲部52cに沿う方向(捲回体22の捲回軸方向)と鋭角をなしている。正極リード部52aは、捲回体群41を構成する捲回体22の配列方向(捲回体群41の長手方向)の一側に位置している。一方、負極集電板51は、捲回体22の負極タブ13が露出した端面側に配置された負極板状部51b(第2の板状部)と、負極板状部51bに対し傾斜した負極リード部51a(第2のリード部)と、を有している。負極リード部51aは、傾斜方向が捲回体22の捲回軸方向と鋭角をなしている。
【0027】
正極リード部52aおよび負極リード部51aは、互いに反対側、すなわち、いずれも捲回体22の捲回中心側に傾斜している。正極集電板52の断面積は各正極タブ12の通電方向と交差する方向の断面積より大きく形成されており、負極集電板51の断面積は各負極タブ13の通電方向と交差する方向の断面積より大きく形成されている。正極板状部52bには各捲回体22の正極タブ12が接続されており、負極板状部51bには各捲回体22の負極タブ13が接続されている。正極リード部52は正極端子73に接続されており、負極リード部51は負極端子74に接続されている(図7参照)。
【0028】
正極集電板52は、屈曲部52cから突出し捲回体群41を構成する各捲回体22の外周部に当接する当接部材としてのガイド61を有している。ガイド61は、隣り合う捲回体22の間に対応する位置で捲回体22の捲回軸方向中央部に位置している。ガイド61は、隣り合う捲回体22の間に形成される窪み部分に合うように形成されている。このガイド61は、例えば、プレス加工により正極集電板52に形成されたものである。
【0029】
<電池組立>
リチウム二次電池91は、次のようにして組み立てられたものである。作製した正極板10および負極板11の両端の未塗着部にそれぞれ正極タブ12および負極タブ13を超音波溶接で接合する。正極タブ12はアルミニウム製、負極タブ13はニッケル製とした。正極板10および負極板11を多孔性ポリエチレンフィルムのセパレータ14を介して断面正方形状に捲回し捲回体22を作製する(図2(A)参照)。捲回体22の1本当たりの容量は1.5Ahに設定されている。捲回体22の4本を一列に並べ、正極タブ12および負極タブ13をそれぞれ正極集電板52(正極板状部52b)および負極集電板51(負極板状部51b)と接続する(図5参照)。正極集電板52、負極集電板51を接続した捲回体群41を電池缶72内に挿入する。このとき、正極タブ12を接続した正極板状部52bを缶底側にする。正極リード部52a、負極リード部51aをそれぞれ正極端子73、負極端子74に接続する(図7参照)。電池蓋71で電池缶72の開口部を封止した後、注液口75から非水電解液(有機電解液)を注液する。そして、注液口75を塞ぐことで電池缶72内を密封しリチウム二次電池91の組立を完成させる。捲回体22の1本あたりの容量が0.8〜1.5Ahの範囲のため、リチウム二次電池91の電池容量が3.2〜6.0Ahの範囲となる。
【0030】
非水電解液としては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、メチルアセテート(MA)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)等の溶媒に電解質として6フッ化リン酸リチウム(LiPF)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)等を溶解させたものが用いられる。電解質濃度は、0.7〜1.5Mの範囲で設定することができる。本例では、非水電解液として、EC、DMC、EMCを体積比1:1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPFを1mol/l溶解させたものが用いられている。
【0031】
上述したリチウム二次電池モジュール112では、図9および図10に示すように、8個のリチウム二次電池91が、横向きで4個ずつ並べられ、上下2段に積層されている。すなわち、リチウム二次電池モジュール112は、リチウム二次電池91が4直2段に配列された直方体状に形成されている。リチウム二次電池モジュール112の長手方向の両側には、板状のエンドプレート101がそれぞれ配置されている。リチウム二次電池モジュール112では、上段に位置する4個のリチウム二次電池91の上側で長手方向に沿う両側の端部と、下段に位置する4個のリチウム二次電池91の下側で長手方向に沿う両側の端部とに2本ずつ、合計4本の締め付け板102が配置されている。2枚のエンドプレート101は4本の締め付け板102で締め付けられており、各リチウム二次電池91が固定されている。
【0032】
リチウム二次電池モジュール112では、リチウム二次電池91の積層方向および該積層方向と交差する水平方向のリチウム二次電池91同士の間、リチウム二次電池91と各エンドプレート101との間、リチウム二次電池91と締め付け板102との間に空隙を形成するスペーサ92が配されている。すなわち、隣り合うリチウム二次電池91同士の間、上下に積層されたリチウム二次電池91同士の間、上段のリチウム二次電池91と上側の締め付け板102との間、下段のリチウム二次電池91と下側の締め付け板102との間、リチウム二次電池91と各エンドプレート101との間にスペーサ92が配されている。隣り合うリチウム二次電池91同士の間では、上段、下段ともに、各リチウム二次電池91の電池蓋71側および缶底側にそれぞれ1つずつのスペーサ92が配されている。上下に積層されたリチウム二次電池91同士の間では、対向する面の4つの角部にそれぞれ1つずつのスペーサ92が配されている。上段のリチウム二次電池91と上側の締め付け板102との間では、各リチウム二次電池91の上面の4つの角部にそれぞれ1つずつのスペーサ92が配されている。下段のリチウム二次電池91と下側の締め付け板102との間では、各リチウム二次電池91の下面の4つの角部にそれぞれ1つずつのスペーサ92が配されている。リチウム二次電池91と各エンドプレート101との間では、上段のリチウム二次電池91の電池蓋側および缶底側に1つずつ、下段のリチウム二次電池91の電池蓋側および缶底側に1つずつの合計4つのスペーサ92が配されている。スペーサ92は、リチウム二次電池モジュール112を構成する各リチウム二次電池91の周囲に空隙を形成する機能を果たすため、材質や形状に特に制限はないが、本例では、耐熱樹脂製で薄型直方体状に形成されている。
【0033】
リチウム二次電池モジュール112を構成する8個のリチウム二次電池91は、正極端子73および負極端子74に板状の接続金具93を溶接で接合することで、直列接続されている。8個のリチウム二次電池91のうち、リチウム二次電池モジュール112の長手方向の一側で、上段に位置するリチウム二次電池91の正極端子73がリチウム二次電池モジュール112の正極端子16を兼ねており、下段に位置するリチウム二次電池91の負極端子74がリチウム二次電池モジュール112の負極端子15を兼ねている。
【0034】
上述したリチウム二次電池パック121では、図11に示すように、6個のリチウム二次電池モジュール112が外装ケース111の長手方向に2個、長手方向と交差する幅方向に3個の2列3行に平面配列されている。6個のリチウム二次電池モジュール112は直列接続されている。外装ケース111には、長手方向の一側に、各リチウム二次電池モジュール112を構成する各リチウム二次電池91の電池状態を監視し制御する制御回路部113が収容されている。外装ケース111には、長手方向に沿う一方の側面に放熱ファンとしての冷却ファン114が取り付けられている。冷却ファン114は、当該側面で2列に配列されたリチウム二次電池モジュール112の各列の略中央部に対応する位置にそれぞれ取り付けられている。冷却ファン114は、外装ケース111内に収容された各リチウム二次電池モジュール112(を構成する各リチウム二次電池91)の発熱に伴い温度が上昇した熱気を外部へ放出する機能を果たしている。
【0035】
制御回路部113は、各リチウム二次電池モジュール112を構成する各リチウム二次電池91の電圧を測定する電圧測定回路部と、電圧測定回路部で測定された電圧が予め定められた電圧上限値を越えたときにリチウム二次電池91の電圧が異常電圧と判定する異常電圧判定部と、各リチウム二次電池91に並列に接続され該リチウム二次電池91に流れる電流をバイパスするバイパス回路部と、を備えている。異常電圧判定部により、電圧測定回路部で測定されたリチウム二次電池91の電圧が電圧上限値を越えたときに、当該リチウム二次電池91の電圧が異常電圧と判定される。リチウム二次電池91の少なくとも1個の電圧が異常電圧と判定されたときに、バイパス回路部により、異常電圧と判定されたリチウム二次電池91の電圧を異常電圧と判定された以外のリチウム二次電池91の平均電圧となるまで放電させる。異常電圧と判定されたリチウム二次電池91の電圧が正常電圧に戻る(電圧検知部で異常電圧と判定されなくなる)と、バイパス回路を遮断して通常の充放電状態に復帰させる。
【0036】
(作用等)
次に、本実施形態のリチウム二次電池パック121、リチウム二次電池パック121を構成するリチウム二次電池モジュール112、リチウム二次電池モジュール112を構成するリチウム二次電池91の作用等について、リチウム二次電池91、リチウム二次電池モジュール112、リチウム二次電池パック121の順に説明する。
【0037】
リチウム二次電池91では、捲回体22を構成する正極板10の長手方向両端部に形成された未塗着部からそれぞれ1本、合計2本の帯状の正極タブ12が導出しており、負極板11の長手方向両端部に形成された未塗着部からそれぞれ1本、合計2本の帯状の負極タブ13が導出している。このため、電流経路がそれぞれ2本の正極タブ12、負極タブ13で形成されることから、電気抵抗が低減し出力向上を図ることができる。また、並列接続された4本の捲回体22が電池缶72に収容されている。このため、捲回体を1本ずつ収容した4本の電池缶を並列接続する場合と比べて出力密度を高めることができる。また、正極タブ12、負極タブ13を2本ずつとしたため、正負極板の長手方向側縁に櫛歯状の複数の切り欠きを形成した場合と比べて、製造工程や電池構造を簡素化することができる。
【0038】
また、リチウム二次電池91では、捲回体22の1本あたりの容量が0.8Ah以上1.5Ah以下に設定されている。1本あたりの容量が0.8Ahに満たない場合は、十分な電池容量を確保することが難しくなる。反対に、1本あたりの容量が1.5Ahより大きい場合は、正極板10や負極板11の長さが大きくなるため、正極板10および負極板11に流れる電流の分布に偏りが生じ、十分な出力特性を得ることができなくなる。また、捲回体の径が大きくなることから、充放電で生じる発熱により捲回体22の中心側と外周側との間で温度分布が大きくなり出力特性を低下させることがある。1本あたりの容量を0.8Ah以上1.5Ah以下としたことで、これらの問題を抑制することができる。
【0039】
更に、リチウム二次電池91では、正極タブ12、負極タブ13のそれぞれ1本あたりの通電方向と交差する方向の断面積が0.16〜0.4mmの範囲に形成されている。このため、内部抵抗を低減し出力向上を図ることができる。正極タブ12、負極タブ13の断面積を制限した分で厚さが小さくなり、正極板10、負極板11を捲回するときに正極タブ12、負極タブ13が介在することで生じる捲回体22の変形を最小限に抑制することができる。また、各捲回体22は、捲回軸方向と交差する方向の断面が正方形状に形成されている。このため、捲回体22を平面状に一列に並べて捲回体群41を構成したときに隣り合う捲回体22同士の間に形成される隙間を小さくすることができる。従って、捲回体群41を電池缶72に収容しても余剰の空隙が形成されず、体積エネルギー密度の向上を図ることができる。
【0040】
また更に、リチウム二次電池91では、2本の正極タブ12が、平行、かつ、幅方向の中心が捲回体22の捲回中心から見て同方向に配列されており、2本の負極タブ13が、平行、かつ、幅方向の中心が捲回体22の捲回中心から見て同方向に配列されている。このため、捲回体群41では、正極タブ12と正極集電板52との接続、負極タブ13と負極集電板51との接続を容易に行うことができる。また、正極集電板52、負極集電板51を介して各捲回体22が並列接続されることから、電池構造を簡易化し低抵抗化することができる。
【0041】
更にまた、リチウム二次電池91では、捲回体群41が正極集電板52を絶縁材を介して缶底側に配され電池缶72に収容されている。正極集電板52の材質にはアルミニウムが用いられ、負極集電板51の材質には銅が用いられている。このため、正極集電板52が負極集電板51に比べて軽量であることから、電池蓋71(正極端子73)までの距離が長くなる缶底側が正極側となるように電池缶72に捲回体群41を収容することで、リチウム二次電池91全体として軽量化を図ることができ、重量エネルギー密度の向上を図ることができる。
【0042】
また、リチウム二次電池91では、正極集電板52が捲回体22の長手方向に沿う一方の側面に位置する屈曲部52cに対し傾斜した正極リード部52aを有しており、負極集電板51が捲回体22の負極タブ13が露出した端面側に位置する負極板状部51bに対し傾斜した負極リード部51aを有している。正極リード部52a、負極リード部51aの傾斜方向がいずれも捲回体22の捲回軸方向と鋭角をなしている。このため、正極リード部52a、負極リード部51aの材料を低減することができ、低抵抗化を図ることができる。また、正極リード部52aおよび負極リード部51aは、互いに反対側、すなわち、いずれも捲回体22の捲回中心側に傾斜している。このため、捲回体群41と電池蓋71との間に形成される空間の大きさを適正化しつつ、同じ容量に設定した従来のリチウム二次電池と比べてリチウム二次電池91のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
更に、リチウム二次電池91では、正極集電板52の断面積が各正極タブ12の通電方向と交差する方向の断面積より大きく形成されており、負極集電板51の断面積が各負極タブ13の通電方向と交差する方向の断面積より大きく形成されている。このため、正極板10、負極板11から正極端子73、負極端子74への電流経路では、内部抵抗が低減し出力向上を図ることができる。
【0044】
また更に、リチウム二次電池91では、正極集電板52が屈曲部52cから突出し各捲回体22の外周部に当接するガイド61を有しており、ガイド61が隣り合う捲回体22の間に形成される窪み部分に合うように形成されている。このため、各捲回体22が電池缶72内でガイド61により固定されるので、衝撃や振動に対する耐久性を向上させた電池構造を実現することができる。また、ガイド61が捲回体22に接触することで放熱性が増すため、充放電に伴い各捲回体22が発熱しても温度分布を低減し出力低下を抑制することができる。
【0045】
更にまた、8個のリチウム二次電池91で構成したリチウム二次電池モジュール112では、リチウム二次電池91の積層方向および該積層方向と交差する水平方向のリチウム二次電池91同士の間に空隙を形成するスペーサ92が配されている。このため、リチウム二次電池モジュール112を構成する各リチウム二次電池91が充放電で発熱しても、リチウム二次電池91間に形成された空隙により熱を放散し易くすることができる。これにより、リチウム二次電池モジュール112として温度上昇が抑制されるため、電池性能を維持することができる。
【0046】
また、リチウム二次電池モジュール112では、上述したように出力性能やエネルギー密度に優れるリチウム二次電池91の8個を配列し、接続したため、高出力化、高エネルギー密度化を図ることができる。また、リチウム二次電池91がコンパクト化されているため、リチウム二次電池モジュール112としてもコンパクト化することができる。
【0047】
更に、6個のリチウム二次電池モジュール112で構成したリチウム二次電池パック121では、外装ケース111内に2列3行で平面配列され、直列接続されている。出力性能やエネルギー密度に優れるリチウム二次電池モジュール112の6個を直列接続したため、更なる高出力化、高エネルギー密度化を図ることができる。
【0048】
また更に、リチウム二次電池パック121では、外装ケース111に、2列に配列されたリチウム二次電池モジュール112の各列に対応する位置にそれぞれ1つずつ、合計2つの冷却ファン114が取り付けられている。このため、外装ケース111内に収容された各リチウム二次電池モジュール112を構成する各リチウム二次電池91が充放電に伴い発熱しても、温度が上昇した熱気を外部へ放出することができる。上述したように、リチウム二次電池モジュール112を構成するリチウム二次電池91間にスペーサ92による空隙が形成されているため、効率よく熱気を放出することができる。また、リチウム二次電池パック121では、外装ケース111内に平面配列することで薄型となるので、電気自動車やハイブリッド車の床底に設置することができ、車内空間を確保するために好適である。
【0049】
従来角型リチウム二次電池では、正負極板をセパレータを介して薄型扁平状に捲回した扁平状捲回体が電池缶に収容されている。図8に示すように、角型リチウム二次電池89は、薄型直方体状の電池缶86を備えている。電池缶86は上部の開口部が電池蓋で封止されている。電池蓋には、正極端子84および負極端子85がそれぞれ立設している。電池缶86には、扁平状捲回体81が捲回軸方向を略水平として収容されている。正負極板には、長手方向一側の側縁に活物質合剤の未塗着部が形成されている。扁平状捲回体81では、正負極板の未塗着部が捲回軸方向で互いに反対側に露出している。正負極板の未塗着部には、それぞれ正極タブ82および負極タブ83が1本ずつ接合されている。正極タブ82は正極端子84と接合されており、負極タブ83は負極端子85と接合されている。角型リチウム二次電池89の複数個を接続することで二次電池モジュールや二次電池パックの高出力化、高容量化を図ることが期待できる。ところが、このようなリチウム二次電池89では、扁平状捲回体81の捲回軸方向の中央部、つまり、正負極板の捲回方向と交差する幅方向の中央部が膨らみ易くなる。扁平状捲回体81が膨らむと、例えば、負極の場合は負極活物質が負極集電箔の銅箔から脱落し、出力や容量が低下する、という問題がある。また、リチウム二次電池の高出力化を図るために、複数のタブをそれぞれ導出した正負極板を円柱状に捲回した捲回体を円筒型容器に収容する技術が知られている。ところが、正負極板から複数のタブを導出したことで捲回体の製造プロセスを複雑化することとなる。さらには、円筒型の電池を複数個接続し二次電池モジュール、二次電池パックを構成した場合は、二次電池モジュールや二次電池パックに占める電池缶等の部品割合が大きくなり、エネルギー密度が低下する、という問題がある。本実施形態は、これらの問題を解決することができるリチウム二次電池、リチウム二次電池モジュール、リチウム二次電池パックである。
【0050】
なお、本実施形態のリチウム二次電池91では、正極板10の長手方向両側に形成された未塗着部からそれぞれ1本ずつ、合計2本の正極タブ12を導出し、負極板11の長手方向両側に形成された未塗着部からそれぞれ1本ずつ、合計2本の負極タブ13を導出した例を示したが、本発明は正極タブ12、負極タブ13の数に制限されるものではない。例えば、正極板10の各未塗着部からそれぞれ2本ずつ、合計4本の正極タブ12を導出するようにしてもよい。正極タブ12、負極タブ13の数を増やすことで、電流経路を増大させ低抵抗化を図ることができる。
【0051】
また、リチウム二次電池91では、捲回軸方向と交差する方向の断面が正方形状の捲回体22を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2(B)に示すように、当該断面が円形状の捲回体21とすることも可能である。このように断面形状の異なる捲回体は、例えば、捲回時の軸芯の断面形状を変えることで作製することができる。また、本実施形態では、特に言及していないが、捲回体22が捲回中心部に軸芯を有していてもよく、捲回時に用いた軸芯を捲回体作製後に取り除いてもよい。
【0052】
更に、リチウム二次電池91では、4本の捲回体22を並列接続した捲回体群41を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数本の捲回体22を接続すればよい。例えば、高容量化するために5本以上を並列接続するようにしてもよい。本実施形態のリチウム二次電池91では、電池缶72として薄型直方体状の形状、すなわち、電池蓋71と交差する面で隣り合う面が形成する角部が略直角の形状を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、当該角部にR付け加工を施してもよい。
【0053】
また更に、リチウム二次電池91では、正極活物質、負極活物質、導電材、電解液等の種々の材料を例示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、通常のリチウム二次電池に用いられる材料を用いることができる。
【0054】
更にまた、リチウム二次電池モジュール112では、8個のリチウム二次電池91を直列接続する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。リチウム二次電池モジュール112を構成するリチウム二次電池91の数を変えてもよい。また、リチウム二次電池91を直列接続することに代えて、並列接続や直並列接続とすることもできる。
【0055】
また、リチウム二次電池モジュール112では、配列されたリチウム二次電池91同士の間等に複数のスペーサ92を介在させる例を示したが、本発明はスペーサ92の位置や数に制限されるものではない。また、スペーサ92の形状や材質についても特に制限されないことはもちろんである。
【0056】
更に、リチウム二次電池パック121では、6個のリチウム二次電池モジュール112を直列接続する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。リチウム二次電池パック121を構成するリチウム二次電池モジュール112の数を変えてもよく、直列接続することに代えて、並列接続や直並列接続としてもよい。また、外装ケース111に収容されたリチウム二次電池モジュール112を構成するリチウム二次電池91の電池状態を制御する制御回路部113を例示したが、本発明は制御回路部113の構成に制限されるものではなく、リチウム二次電池91の電池状態を制御することができればよい。
【0057】
また更に、リチウム二次電池パック121では、リチウム二次電池モジュールを平面状に配列する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。平面状に配列すれば、薄型となるので、車内空間の確保が求められる電気自動車等の電源に好適に用いることができる。
【実施例】
【0058】
次に、本実施形態に従い製造したリチウム二次電池パック121の実施例についてさらに説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例において、実施例1、実施例2ではリチウム二次電池91、実施例3ではリチウム二次電池モジュール112、実施例4ではリチウム二次電池パック121についてそれぞれ説明する。また、比較のために作製した比較例のリチウム二次電池についても併記する。
【0059】
(実施例1)
<正極の作製>
実施例1では、正極活物質の原料として酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化コバルトを使用し、原子比でNi:Mn:Co比が1:1:1となるように秤量し、湿式粉砕機で粉砕混合した。得られた粉砕物に結着剤としてポリビニルアルコール(PVA)を加えた粉砕混合粉を噴霧乾燥機で造粒した。得られた造粒粉末を高純度アルミナ容器に入れ、PVAを蒸発させるため600℃で12時間の仮焼成を行い、空冷後解砕した。さらに、解砕粉にLi:遷移金属(Ni、Mn、Co)の原子比が1.1:1となるように水酸化リチウム一水和物を添加し、充分混合した。この混合粉末を高純度アルミナ容器に入れて900℃で6時間の本焼成を行った。得られた正極活物質を解砕分級した。この正極活物質の平均粒径は6μmであった。
【0060】
得られた正極活物質、導電材として粉末状黒鉛、鱗片状黒鉛、無定形炭素、および、結着剤としてPVDFを重量比で85:7:2:2:4となるように混合し、適量のN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリーを作製した。スラリーをプラネタリーミキサーで3時間撹拌して十分な混練を行い、ロール転写式の塗布機を用いて厚さ20μmのアルミニウム箔に塗布した。さらに、塗布面と反対側の面にも同様に塗布して正極板10を作製し、120℃で乾燥させた。その後、ロールプレス機を用い250kg/mmでプレスした。得られた正極板10の正極合剤密度は2.4g/cmであった。
【0061】
<負極の作製>
負極の作製では、負極活物質に平均粒径10μmの非晶質炭素を用い、これに導電材としてカーボンブラックの6.5重量%を加え、PVDFを加えた後、プラネタリーミキサーで30分撹拌して十分な混練を行いスラリーを作製した。塗布機によりスラリーを厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥後にロールプレスを行い、負極合剤密度1.0g/cmの負極板11を得た。
【0062】
<角型電池組立>
正極板10および負極板11にそれぞれ正極タブ12および負極タブ13を接合し、セパレータ14を介して矩形状に捲回した。正極タブ12、負極タブ13は、作製のしやすさから幅を3mmに設定し、断面積を0.3〜0.4mmに設定した。捲回体1本あたりの容量は1.5Ahに設定した。得られた捲回体22を4本用い、正極タブ12および負極タブ13に固定ガイド61を有する正極集電板52および負極集電板51をそれぞれ接続して一列に固定された捲回体群41を作製した。捲回体群41を電池缶72に挿入し、正極集電板52のタブと負極集電板51のタブとをそれぞれ正極端子73および負極端子74に接続し、電池蓋71を電池缶72に固定した。そして、電池蓋71に形成した注液口75から非水電解液を注入し、さらに注液口を塞ぎ密封することでリチウム二次電池91を作製した。
【0063】
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様の方法で正極板10および負極板11を作製し、正極板10および負極板11の両端部の未塗工部にそれぞれ正極タブ82および負極タブ83を超音波溶接で接合した。正極タブ82はアルミニウム製、負極タブ83はニッケル製とした。この正極板10および負極板11をセパレータ14を介して扁平状に捲回し扁平状捲回体81を得た。得られた扁平状捲回体81をアルミニウム製の電池缶86に収容し、正極タブ82を正極端子84に溶接し、一方、負極タブ83を負極端子85に溶接した後、電池蓋を電池缶86に取り付けた。最後に、電池蓋に設けた注液口から電解液を注入し、注液口を塞ぎ密封することでリチウム二次電池89を作製した(図8参照)。電解液には、EC、DMC、EMCを体積比1:1:1の割合で混合した後、LiPFを1mol/l溶解した有機電解液(非水溶電解液)を用いた。得られた比較例1のリチウム二次電池89では、電池容量が6Ahであった。
【0064】
<パルス充放電試験>
実施例1のリチウム二次電池91および比較例1のリチウム二次電池89について、以下の条件でパルス充放電試験を行った。
(1)充放電の中心電圧:3.6V
(2)放電パルス:電流72A、時間30秒
(3)充電パルス:電流36A、時間15秒
(4)放電と充電の間の休止時間:30秒
(5)中心電圧が変動するため、1000パルス毎に3.6Vで定電圧充電または定電圧放電を行い、中心電圧を3.6Vに調整した。
(6)周囲環境温度は50℃に設定した。
【0065】
パルス充放電試験の繰り返し回数を増やしながら、以下の方法によりリチウム二次電池91、リチウム二次電池89の直流抵抗および出力密度を求めた。すなわち、50℃の環境下で、電流24A、48A、72A、96Aの順に10秒間放電した。それぞれの放電電流と10秒目の電圧との関係をプロットし、得られた直線の傾きから直流抵抗を求めた。また、この直線の2.5Vにおける電流値を求め、2.5Vとその電流値との積を電池重量で除して、出力密度を求めた。求めた直流抵抗から、パルス充放電試験に伴う抵抗上昇率を、初期の直流抵抗を100とした百分率で算出した。
【0066】
図12に示すように、比較例1のリチウム二次電池89では、パルス充放電試験の繰り返し回数が30万回のときに抵抗上昇率がおよそ160%を示した。これに対して、実施例1のリチウム二次電池91では、30万回での抵抗上昇率が120%以下程度にすぎず、抵抗の上昇が小さく長寿命であることが明らかとなった。
【0067】
(実施例2)
実施例2では、捲回体の1本あたりの容量を1.0Ah、1.2Ahおよび2.0Ahとし、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を作製した。各容量の捲回体では、正極タブ12、負極タブ13の断面積を0.3〜0.4mmの範囲に設定した。1.0Ahの捲回体では6本、1.2Ahの捲回体では5本、2.0Ahの捲回体では3本をそれぞれ並列接続した。上述したパルス充放電試験を行い、各電池の初期出力密度および30万パルス後の抵抗上昇率を測定した。出力密度および抵抗上昇率の測定結果を下表1に示す。なお、表1において、捲回体の1本あたりの容量が1.5Ahのリチウム二次電池は実施例1のリチウム二次電池91を示している。
【0068】
【表1】

【0069】
表1に示すように、捲回体1本あたりの容量が2.0Ahの場合は、リチウム二次電池の初期の出力が3480W/kgを示し、抵抗上昇率が129%であった。これに対して、捲回体1本あたりの容量が1.5Ah以下の場合は、初期出力密度が大きくなり、パルス充放電試験後の抵抗上昇率が小さくなることが判った。つまり、捲回体1本あたりの容量が1.5Ahを超えると、初期出力密度および抵抗上昇率の特性が、1.5Ah以下の場合に比べて若干劣る結果が得られた。これは、1本あたり容量が1.5Ahより大きい場合、捲回体の温度分布や電流分布が大きくなるためと考えられる。また、正極タブ12、負極タブ13の断面積を0.3〜0.4mmの範囲としたことで、低抵抗化に寄与したためと考えられる。正極タブ12、負極タブ13の断面積について付言すれば、実施例2では捲回体1本あたりの容量に関わらず同じ断面積に設定したが、容量に合わせて変えることも可能である。例えば、捲回体1本あたりの容量が1.0Ah、1.2Ahの場合に正極タブ12、負極タブ13の断面積を0.3〜0.4mmとすると、製造上やコスト面の問題は生じないものの、若干過剰品質ともいえる。換言すれば、捲回体1本あたりの容量が1.5Ahのときに正極タブ12、負極タブ13の断面積を0.3〜0.4mmの範囲とすることが好適である。容量を小さくしたときは、正極タブ12、負極タブ13の断面積と容量とが比例関係になるように断面積を小さくすればよく(例えば、捲回体1本あたりの容量が1.0Ahのときに断面積を0.2〜0.27mmの範囲)、このようにしても上述した効果の得られることを確認している。
【0070】
(実施例3)
実施例3では、実施例1において作製した角型リチウム二次電池91を用いて、リチウム二次電池モジュール112を作製した(図9、図10参照)。すなわち、リチウム二次電池91を横向きに4直2段に配列し、各リチウム二次電池91間にはスペーサ92を取り付けて放熱のための空間を設けた。各リチウム二次電池91の正極端子73と負極端子74とには接続金具93を溶接して直列接続した。さらに、エンドプレート101を締め付け板102によって固定し、リチウム二次電池モジュール112を得た。上述した実施例1、実施例2で示したように、出力特性やエネルギー密度に優れるリチウム二次電池91を用いて構成したリチウム二次電池モジュール112では、出力特性、エネルギー密度に優れることを確認している。
【0071】
(実施例4)
実施例4では、実施例3において作製したリチウム二次電池モジュール112を用いて、リチウム二次電池パック121を作製した(図11参照)。すなわち、リチウム二次電池モジュール112を2列3行に平面配列し、それぞれを直列接続した後、外装ケース111に収容して薄型のリチウム二次電池パック121を作製した。リチウム二次電池パック121には制御回路部113と、冷却ファン114とを取り付けた。出力特性、エネルギー密度に優れるリチウム二次電池モジュール112を用いて構成したリチウム二次電池パック121では、出力特性、エネルギー密度に優れることを確認している。このリチウム二次電池パック121は薄型のため、電気自動車やハイブリッド車の床底に設置することができ、車内空間を確保するために好適である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は出力向上を図ることができるリチウム二次電池、該リチウム二次電池の複数個が接続された二次電池モジュールおよび該二次電池モジュールの複数個が接続された二次電池パックを提供するため、リチウム二次電池、二次電池モジュールおよび二次電池パックの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明を適用した実施形態のリチウム二次電池パックを構成するリチウム二次電池モジュールに用いられる角型リチウム二次電池の正極板、負極板および2枚のセパレータが捲回前に積層するときの状態を示す平面図である。
【図2】角型リチウム二次電池の正極板および負極板がセパレータを介して捲回された捲回体を示す斜視図であり、(A)は断面矩形状に捲回された捲回体、(B)は断面円形状に捲回された捲回体をそれぞれ示す。
【図3】角型リチウム二次電池を構成する捲回体の両端面からそれぞれ正極タブおよび負極タブが露出した状態を示す斜視図である。
【図4】角型リチウム二次電池を構成し4本の捲回体が並べられた捲回体群を示す斜視図である。
【図5】角型リチウム二次電池を構成する捲回体群と正極集電板および負極集電板との位置関係を示す斜視図である。
【図6】角型リチウム二次電池を構成する捲回体群に正極集電板および負極集電板が接続された状態を示す斜視図である。
【図7】角型リチウム二次電池を示す分解斜視図である。
【図8】従来の角型リチウム二次電池を示す断面図である。
【図9】実施形態のリチウム二次電池パックを構成するリチウム二次電池モジュールで、8個の角型リチウム二次電池が直列接続された状態を示す斜視図である。
【図10】実施形態のリチウム二次電池パックを構成するリチウム二次電池モジュールを示す斜視図である。
【図11】実施形態のリチウム二次電池パックを示す斜視図である。
【図12】実施例1および比較例1の角型リチウム二次電池のパルスサイクル数に対する抵抗上昇率の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0074】
10 正極
11 負極
12 正極タブ(正極導出部材)
13 負極タブ(負極導出部材)
14 セパレータ
22 捲回体(電極捲回体)
41 捲回体群
51 負極集電板
51a 負極リード部(第2のリード部)
51b 負極板状部(第2の板状部)
52 正極集電板
52a 正極リード部(第1のリード部)
52b 屈曲部
52c 正極板状部(第1の板状部)
61 ガイド(当接部材)
72 電池缶
73 正極端子(正極外部端子)
74 負極端子(負極外部端子)
91 角型リチウム二次電池
92 スペーサ
111 外装ケース
112 リチウム二次電池モジュール(二次電池モジュール)
113 制御回路部
114 冷却ファン(放熱ファン)
121 リチウム二次電池パック(二次電池パック)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体の長手方向中央部に活物質合剤の塗着部と該塗着部の長手方向両側に前記活物質合剤の未塗着部とを有する正極と、集電体の長手方向中央部に活物質合剤の塗着部と該塗着部の長手方向両側に前記活物質合剤の未塗着部とを有する負極と、がセパレータを介して捲回された複数本の電極捲回体と、
前記正極の各未塗着部から少なくとも1本ずつ導出された帯状の正極導出部材と、
前記負極の各未塗着部から少なくとも1本ずつ導出された帯状の負極導出部材と、
前記電極捲回体を浸潤する電解液と、
上記各部材を収容する電池缶と、
を備え、
前記電極捲回体は1本あたりの容量が1.5Ah以下であり、前記正極導出部材および負極導出部材は1本あたりの通電方向と交差する方向の断面積が0.4mm以下であることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項2】
前記電極捲回体は、前記電池缶内で前記正極導出部材同士および前記負極導出部材同士が接続されて並列接続されたことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記正極導出部材および負極導出部材は、前記正負極の各未塗着部から1本ずつ導出されており、前記正負極のそれぞれで平行、かつ、捲回中心から見て同方向に配列されたことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記各電極捲回体は、捲回軸方向と交差する方向の断面が正方形状または矩形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記正極導出部材同士を接続する正極集電板および前記負極導出部材同士を接続する負極集電板を備えたことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記電極捲回体は、一列に並べられ、前記正極集電板を絶縁材を介して缶底側に配置して前記電池缶に収容されたことを特徴とする請求項5に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記正極集電板は、前記電極捲回体の缶底側に配置された第1の板状部と、該第1の板状部に対し前記電極捲回体の長手方向に沿う一方の側面にL字状に折り曲げられた屈曲部とを有し、前記負極集電板は、前記電極捲回体の缶底側とは反対側に配置された第2の板状部を有することを特徴とする請求項6に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記正極集電板は前記屈曲部に対し傾斜した第1のリード部を有し、該第1のリード部は正極外部端子に接続されており、前記負極集電板は前記第2の板状部に対し傾斜した第2のリード部を有し、該第2のリード部は負極外部端子に接続されており、前記第1および第2のリード部は互いに反対側に傾斜していることを特徴とする請求項7に記載のリチウム二次電池。
【請求項9】
前記正負極集電板の断面積は、それぞれ前記各正極導出部材および負極導出部材の通電方向と交差する方向の断面積より大きいことを特徴とする請求項8に記載のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記正極集電板は、前記屈曲部から突出し前記電極捲回体の外周部に当接する当接部材を有することを特徴とする請求項7に記載のリチウム二次電池。
【請求項11】
請求項1に記載のリチウム二次電池の複数個を備え、前記リチウム二次電池が配列されており、隣り合う前記リチウム二次電池同士の間に空隙を形成するスペーサが配されたことを特徴とする二次電池モジュール。
【請求項12】
前記スペーサは、前記リチウム二次電池の積層方向および該積層方向と交差する水平方向のリチウム二次電池間にそれぞれ複数配されたことを特徴とする請求項11に記載の二次電池モジュール。
【請求項13】
請求項11に記載の二次電池モジュールの複数個と、前記各二次電池モジュールを構成するリチウム二次電池の電池状態を制御する制御回路部と、前記複数個の二次電池モジュールおよび制御回路部を収容する外装ケースと、を備えたことを特徴とする二次電池パック。
【請求項14】
前記各二次電池モジュールは、平面状に配列されており、直列接続されたことを特徴とする請求項13に記載の二次電池パック。
【請求項15】
前記外装ケースには、内部の熱を外部へ放出するための放熱ファンが配されたことを特徴とする請求項13に記載の二次電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−135170(P2010−135170A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309596(P2008−309596)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】