説明

リフトオフ方法およびリフトオフ装置

【課題】レジスト膜を剥離する際に、残すべきパターンの剥離や、バリ、ブリッジングなどの不良の発生を抑えて、歩留まり向上させる。
【解決手段】まず、基板1の一方の面にレジスト71の膜を形成する(ステップS1)。次に、レジストが形成された基板上に金属、半導体および絶縁体から選択された薄膜72を成膜する(ステップS2)。次に、薄膜72が成膜された基板1を加熱する(ステップS3)。レジスト71が付いた基板1をこのように加熱することにより、レジスト71が軟化、変形し、レジスト71上に付着した薄膜72もそれに応じて変形し、薄膜表面には皺WやクラックCが生じる。次に、高圧ジェットリフトオフ装置の高圧ジェットによりレジスト剥離液を吐出させて、レジスト71の膜とそのレジスト71上に成膜された薄膜72を除去する(ステップS4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフトオフ方法およびリフトオフ装置に係り、より詳細には、一方の面にレジストの膜が形成された基板上に金属、半導体および絶縁体から選択された薄膜を成膜した後、レジストの膜とそのレジスト膜上に成膜された薄膜を除去することで薄膜パターンを得るリフトオフ方法およびリフトオフ装置に関する。特に、レジスト膜およびそのレジスト膜上に成膜された薄膜を除去する前に、または除去しながら、基板を温めるようにしたリフトオフ方法およびリフトオフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄膜のパターニング方法として、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、薬液によるエッチングやプラズマを用いたドライエッチングによりパターンを形成する方法が、半導体をはじめ薄膜デバイスの製造方法として広く用いられている。また、エッチングを行うことが困難な材料に対するパターニング方法としては、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した後に真空蒸着やスパッタにより金属、半導体または絶縁体などの薄膜を成膜し、レジスト剥離液を用いてレジストを剥離する際に不要な部分も同時に剥離して薄膜パターンを形成するいわゆるリフトオフによる方法がある。
【0003】
以下、一般的なリフトオフの方法について、図5を参照して説明する。
まず、図5(a)および(b)に示すように、基板1上にフォトレジスト71をスピンコートにより成膜し、ホットプレートやオーブン(図示せず)を用いてベークを行う。このとき、側壁が逆テーパとなるようなレジスト71(図5(a))や、断面がハンマーヘッド型になるようなレジスト71(図5(b))を用いることが望ましい。このようなフォトレジスト71により、基板1上に、成膜したいパターンに対して反転している像を形成する。
【0004】
次に、真空蒸着やスパッタに代表される成膜方法により、図5(c)および(d)に示すように、金属膜、半導体または絶縁体から成る薄膜72を成膜する。このとき、フォトレジスト71の開口部においては、薄膜72は基板1上に成膜される。次に、図5(e)および(f)に示すように、レジスト剥離液によりレジスト71を剥離する(リフトオフ)。このとき、レジスト71上に成膜された薄膜72がレジスト71とともに除去されるため、基板1上のレジスト開口部に成膜された薄膜パターンが残ることになる。
【0005】
ここで、レジスト71の側壁が上述したように逆テーパやハンマーヘッド形状であると、その側壁部分には成膜され難い。従って、その場合、その側壁部分を介して剥離液がレジスト71に接触し易くなるため、レジスト71の剥離性が向上するとともに、側壁に成膜された薄膜72が残留することによるバリ73の発生(図5(g)および(h))を抑えることができる。
【0006】
しかしながらそれでも、レジスト71上には薄膜72があるため、レジスト剥離液に浸すことにより金属膜、半導体または絶縁体が成膜された基板1からレジスト71をリフトオフする場合、剥離液が十分に浸透しない場合がある。かかる場合、超音波をかけたり温度を加えるという方法を採るのが一般的である(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、基板1を溶剤に浸漬した状態で加圧する方法(例えば、特許文献3参照)や、液体窒素を用いて冷却する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
また、近年では、レジスト71および薄膜72の剥離性を高めるために、剥離液を高圧ノズルから吐出させて基板1表面に吹き付けることにより、噴射圧による物理的な力と剥離液の化学的な作用を用いてリフトオフを行う高圧ジェットリフトオフ装置などが提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、さらに剥離性を向上させるために剥離液に浸漬させた後に高圧ジェットを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−183859号公報
【特許文献2】特開2005−079460号公報
【特許文献3】特開2007−221096号公報
【特許文献4】特開2004−103625号公報
【特許文献5】特開2005−045156号公報
【特許文献6】特開2005−072430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したとおり、リフトオフ方法において剥離性を高めるためには、レジスト側壁への薄膜72の付着を抑える必要がある。従って、逆テーパ型やハンマーヘッド型の形状を有するフォトレジスト71が用いられている。
しかしながら、これらのレジスト71を用いた場合においても、ステップカバレッジの良いスパッタなどの成膜方法で成膜した場合、レジスト71の側壁に薄膜72が付着してしまうことがある。前述のように、レジスト側壁に薄膜72が付着すると、剥離液がレジスト71に到達しにくいため、剥離性が悪くなるという課題がある。
また、浸漬を用いた方法では、剥離した薄膜72の再付着によるコンタミネーションの課題や、これを除去するための洗浄工程が必要となり薬液の使用量が増加するという課題があった。
【0009】
更に、前述の高圧ジェットリフトオフ装置を用いた場合、次のような課題もあった。すなわち、レジスト側壁に薄膜72の付着が多い場合には、ジェットの物理的な力によりレジスト71上の薄膜72が引き剥がされる際に、レジスト側壁の薄膜72に引っ張られて、基板1上に残すべき薄膜部分も同時に剥離してしまうという課題があった。
さらに、剥離液への浸漬後に高圧ジェットを用いる場合においては、同様の課題があるとともに、薬液の使用量や装置コストが増加してしまうという課題があった。
また、微細なパターンや薄膜72の膜厚が厚い場合、隣接するパターン間が狭くなるため、剥離液が廻り込みにくく、パターン間の薄膜72が残ってしまうという、いわゆるブリッジング74(図5(i)および(j)参照)の発生という課題があり、総じて未だ歩留まりが悪かった。
【0010】
本発明は、上述した事情を鑑みて為されたものであり、レジスト膜を剥離する際に、残すべきパターンの剥離や、バリ、ブリッジングなどの不良の発生を抑えて、歩留まり向上させることのできるリフトオフ方法を提供することを第一の目的とする。
【0011】
また、本発明は、レジスト膜を剥離する際に、残すべきパターンの剥離や、バリ、ブリッジングなどの不良の発生を抑えることが可能なリフトオフ装置を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に記載のリフトオフ方法は、一方の面にレジストの膜が形成された基板上に金属、半導体および絶縁体から選択された薄膜を成膜した後、レジストの膜とそのレジスト膜上に成膜された薄膜を除去することで薄膜パターンを得るリフトオフ方法であって、前記基板の一方の面に前記レジストの膜を形成する工程と、前記レジストが形成された前記基板上に前記金属、半導体および絶縁体から選択された薄膜を成膜する工程と、前記薄膜が成膜された前記基板を加熱手段により加熱して前記薄膜に皺またはクラックを生じさせる工程と、高圧ジェットリフトオフ装置の高圧ジェットによりレジスト剥離液を吐出させて、前記レジストの膜とそのレジスト上に成膜された薄膜を除去する工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2に記載のリフトオフ方法は、請求項1において、前記加熱手段は、ホットプレートまたはオーブンであり、前記基板を加熱して前記薄膜に皺またはクラックを生じさせた後に、前記高圧ジェットリフトオフ装置の高圧ジェットにより前記レジスト剥離液を吐出させて、前記レジストの膜とそのレジスト上に成膜された前記薄膜を除去することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3に記載のリフトオフ方法は、請求項1において、前記加熱手段は、加熱用ヒーターであり、前記基板を加熱して前記薄膜に皺またはクラックを生じさせると同時に、前記高圧ジェットリフトオフ装置の高圧ジェットにより前記レジスト剥離液を吐出させて、前記レジストの膜とそのレジスト上に成膜された薄膜を除去することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項4に記載のリフトオフ装置は、基板ローダーと、一方の面にレジストの膜と薄膜の順に膜が形成された基板を膜を上にして吸着するとともに、回転する機構を有した吸着ステージと、レジスト剥離液を吐出するための高圧ジェットノズルと、を少なくとも備えたリフトオフ装置であって、前記基板ローダーと前記吸着ステージの間に、前記基板を加熱するためのホットプレートまたはオーブンを更に備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項5に記載のリフトオフ装置は、一方の面にレジストの膜と薄膜の順に膜が形成された基板を膜を上にして吸着するとともに、回転する機構を有した吸着ステージと、レジスト剥離液を吐出するための高圧ジェットノズルと、を少なくとも備えたリフトオフ装置であって、前記吸着ステージは、前記基板を加熱するためのヒーターを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載した発明(リフトオフ方法)によれば、薄膜に形成された皺やクラックから剥離液が入り込むため剥離性が向上し、微細なパターンで隣接するパターン間が狭くても、または膜厚が厚くても剥離液の廻り込みが可能となり、レジストの膜とそのレジスト上に成膜された薄膜を、バリやブリッジングを発生させることなく、除去することができる。
【0018】
また、請求項2に記載した発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、特に、リフトオフ前に、レジストの膜を軟化、変形させるとともにそのレジスト上の薄膜に皺やクラックを生じさせるので、剥離性を向上させることができる。
【0019】
また、請求項3に記載した発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、特に、基板の加熱と同時にレジスト剥離液を吐出するので、レジストの膜とそのレジスト上の薄膜を効率よく剥離することができる。
【0020】
請求項4および5に記載した発明(リフトオフ装置)によれば、薄膜に皺やクラックを生じさせて、剥離液を廻り込ませるので、薬液の使用量を減少させるとともに、処理時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るリフトオフ方法の一実施形態を示すフローチャート。
【図2】薄膜が成膜された基板を加熱した後の、レジスト及びレジスト上の薄膜の状態を説明するための図。
【図3】本発明に係るリフトオフ装置の一例を示すブロック図。
【図4】本発明に係るリフトオフ装置の他の一例を示すブロック図。
【図5】従来のリフトオフ方法の課題を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のリフトオフ方法の一実施形態を示すフローチャートである。図2は、薄膜が成膜された基板を加熱した後の、レジスト及びレジスト上の薄膜の状態を説明するための図である。
【0023】
図1において、まず、基板1の一方の面にレジスト71の膜を形成する(ステップS1)。次に、そのレジスト71が形成された基板1上に金属、半導体および絶縁体から選択された薄膜72を成膜する(ステップS2)。
【0024】
次に、薄膜72が成膜された基板1を加熱する(ステップS3)。レジスト71が付いた基板1をこのように加熱することにより、レジスト71が軟化、変形し、レジスト71上に付着した薄膜72もそれに応じて変形し、薄膜表面には、図2(a)および(b)に示すように、皺WやクラックCが生じる。特に、加熱することによりレジスト71の膜が収縮し、これに引っ張られて、レジスト71の側壁に付着した薄膜に応力がかかり、とりわけその部分にクラックCが生じる。
【0025】
ここで、薄膜72が成膜された基板1を加熱する手段としては、例えば、ホットプレートやオーブン等が考えられる。また、この加熱の際の温度については、レジストの種類により異なるが、一般的なクレゾールノボラックレジストやアクリル系のレジストにおいては、Tg以上の温度である100℃乃至150℃程度が望ましい。
【0026】
次に、高圧ジェットリフトオフ装置の高圧ジェット(例えば、5〜15MPaの圧力)によりレジスト剥離液を吐出させて、レジスト71の膜とそのレジスト71上に成膜された薄膜72を除去する(ステップS4)。このとき、前述のように、レジスト71上の薄膜表面には、レジスト71の軟化や変形に伴って皺WやクラックCが生じている。
【0027】
従って、この皺WやクラックCの部分に集中的に高圧ジェットの物理的な力が作用し、薄膜72が容易にレジスト71から剥離するとともに、皺WやクラックCの存在により剥離液によるレジスト71の溶解も促進されるので、レジスト71の除去も容易となる。つまり、基板1を一旦加熱することによりレジスト71が軟化、変形し、レジスト71上の薄膜72は成膜直後の状態を維持することが困難になるため、レジスト71および薄膜72に対する、高圧ジェット処理の物理的な力の作用が大きくなり、その結果剥離性が向上する。
【0028】
また、レジスト71の側壁部の薄膜72が多くてもその部分に特にクラックCが生ずるので、その側壁部分の薄膜72に引っ張られて基板1に残すべき薄膜72が剥がれてしまうこともない。さらに、相対的に高圧ジェットの圧力が低くても、十分な剥離効果が得られることになる。
【0029】
なお、ステップS3の処理とステップS4の処理は、同時に行ってもよい。これはレジスト除去のために基板1が載置される吸着ステージ内にヒーター等を備えることによって実現できる。
【0030】
以上のように、本発明のリフトオフ方法によれば、残すべきパターンの剥離や、バリ、ブリッジングなどの不良の発生を抑えて、歩留まり向上させることができる。また、リフトオフ工程におけるプロセス時間の短縮にもつながる。
【0031】
特に、従来と同様、逆テーパ型やハンマーヘッド型のレジストを用いてレジスト側壁に付着する薄膜の量を低減すれば、皺やクラックはその側壁の部分で顕著に発生することになり、側壁での薄膜の剥離性が向上し、バリ、ブリッジングなどの不良の発生が抑えられる。
【0032】
図3は、本発明のリフトオフ装置の一実施形態を示すブロック図である。
同図に示すとおり、本発明の一実施形態のリフトオフ装置は、基板ローダー/アンローダー2と、搬送ロボット3と、ホットプレート4と、基板1を回転させるスピンカップ5とを備えている。スピンカップ5は、基板1を吸着するための吸着ステージ51と、レジスト剥離液であるN-methyl Pyrrolidone(以下、NMPと称す)を高圧吐出するための高圧ジェットノズル52と、リンス液であるIPAを吐出するためのリンス液ノズル53と、基板1を乾燥させるためのN2ブローノズル54を備えている。
なお、図3において、ホットプレート4は、スピンカップ5の下(スピンカップ5を間に挟み、基板ローダー/アンローダー2と反対側の位置)に配置してもよい。
【0033】
ここで、高圧ジェットノズル52は、NMPを加圧するためのポンプ(図示せず)に接続され、先端には100μm程度の開口を有するノズルが装着されており、加圧されたNMPはこのノズルを通して吐出されるため、ビーム状になる。この高圧ジェットノズル52は、スピンカップ5内にて回転している基板1の中心部から外周部にかけて往復運動をするように構成されている。
【0034】
次に、このリフトオフ装置の動作を説明する。
搬送ロボット3は、基板ローダー/アンローダー2にセットされたカセット21から基板1を取り出して搬送し、取り出した基板1をホットプレート4上に載置する。基板1は所定時間ホットプレート4上に保持される。これにより、レジスト71が軟化、変形し、レジスト71上に付着した薄膜72もそれに応じて変形し、薄膜表面には、図2(a)および(b)に示すように、皺WやクラックCが生じる。
【0035】
その後、搬送ロボット3は、基板1をスピンカップ5に搬送する。基板1はスピンカップ5の吸着ステージ51に吸着される。吸着ステージ51が回転することにより基板1が回転し、基板1が回転している状態で、高圧ジェットノズル52からNMPが高圧吐出されて、回転している基板1上にNMPが噴きつけられる。前述のように高圧ジェットノズル52は、NMPを吐出しながら基板1の中心部から外周部にかけて往復運動をするので、結果として、NMPは基板1に満遍なく噴きつけられ、それにより基板1全体のレジスト71とそのレジスト71上の薄膜72が除去される。このとき皺WやクラックCの部分に集中的に高圧ジェットの物理的な力が作用し、薄膜72が容易にレジスト71から剥離するとともに、皺WやクラックCの存在により剥離液によるレジスト71の溶解も促進されるので、レジスト71の除去も容易となる。
【0036】
次に、基板1が回転した状態で、リンス液ノズル53からリンス液であるIPAを吐出され、基板1が洗浄される。その後、N2ブローノズル54から乾燥風が吐出され、基板1が乾燥される。最後に、乾燥された基板1は、搬送ロボット3により基板ローダー/アンローダー2に搬送され、カセット21に収納される。
【0037】
なお、この実施形態では、基板1を加熱する手段として、ホットプレート4を採用したが、本発明の趣旨はこれに限られることはなく、例えばオーブンであってもよいし、さらに当業者であれば、この加熱手段として、仕様等に応じて適宜適式なものを採用し得るであろう。
以上のように、本発明のリフトオフ装置によれば、残すべきパターンの剥離や、バリ、ブリッジングなどの不良の発生を抑えて、歩留まり向上させることができる。
【0038】
図4は、本発明のリフトオフ装置の他の実施形態を示すブロック図である。この実施形態は、基板の加熱とレジスト等の除去を同時に行うようなリフトオフ装置の例を示している。
この実施形態と図3に示した実施形態の差異は、この実施形態は、図3のホットプレート4がない代わりに、吸着ステージ内にヒーターが備わっている点にある。
すなわち、図4に示すとおり、この実施形態のリフトオフ装置は、その内部にヒーター511を有する吸着ステージ51aを備えている。かかる構成によれば、基板1を加熱しながら、高圧ジェットリフトオフを行うことができる。
【0039】
なお、吸着ステージ内の加熱手段としてはヒーターに限られることはなく、他の加熱手段であってもよい。
この実施形態に係るリフトオフ装置においても、前述の実施形態と同様の効果が得られる。加えて、この実施形態では、特に、基板を加熱しながら高圧ジェットリフトオフを行うことにより、上に薄膜が成膜されたレジストが軟化している状態で高圧ジェットが吐出されるため、剥離液の高圧ジェットに晒された薄膜は高圧ジェットの物理的な力により更に軟化、変形し易くなり、剥離性が向上する。
【0040】
なお、以上のすべての実施形態において使用されている「レジスト上」という語句の内容には、特に除外する記載がない限り、「レジスト側壁面上」も含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、一方の面にレジストの膜が形成された基板上に金属、半導体および絶縁体から選択された薄膜を成膜した後、レジストの膜とそのレジスト膜上に成膜された薄膜を除去することで薄膜パターンを得るリフトオフ方法およびリフトオフ装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 基板、2 基板ローダー/アンローダー、3 搬送ロボット、4 ホットプレート、5 スピンカップ、51,51a 吸着ステージ、52 高圧ジェットノズル、53 リンス液ノズル、54 N2ブローノズル、511 ヒーター、71 レジスト、72 薄膜、73 バリ、74 ブリッジング、W 皺、C クラック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にレジストの膜が形成された基板上に金属、半導体および絶縁体から選択された薄膜を成膜した後、レジストの膜とそのレジスト膜上に成膜された薄膜を除去することで薄膜パターンを得るリフトオフ方法であって、
前記基板の一方の面に前記レジストの膜を形成する工程と、
前記レジストが形成された前記基板上に前記金属、半導体および絶縁体から選択された薄膜を成膜する工程と、
前記薄膜が成膜された前記基板を加熱手段により加熱して前記薄膜に皺またはクラックを生じさせる工程と、
高圧ジェットリフトオフ装置の高圧ジェットによりレジスト剥離液を吐出させて、前記レジストの膜とそのレジスト上に成膜された薄膜を除去する工程と、
を備えることを特徴としたリフトオフ方法。
【請求項2】
前記加熱手段は、ホットプレートまたはオーブンであり、前記基板を加熱して前記薄膜に皺またはクラックを生じさせた後に、前記高圧ジェットリフトオフ装置の高圧ジェットにより前記レジスト剥離液を吐出させて、前記レジストの膜とそのレジスト上に成膜された前記薄膜を除去することを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ方法。
【請求項3】
前記加熱手段は、加熱用ヒーターであり、前記基板を加熱して前記薄膜に皺またはクラックを生じさせると同時に、前記高圧ジェットリフトオフ装置の高圧ジェットにより前記レジスト剥離液を吐出させて、前記レジストの膜とそのレジスト上に成膜された薄膜を除去することを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ方法。
【請求項4】
基板ローダーと、一方の面にレジストの膜と薄膜の順に膜が形成された基板を膜を上にして吸着するとともに、回転する機構を有した吸着ステージと、レジスト剥離液を吐出するための高圧ジェットノズルと、を少なくとも備えたリフトオフ装置であって、
前記基板ローダーと前記吸着ステージの近傍に、前記基板を加熱するためのホットプレートまたはオーブンを更に備えたことを特徴とするリフトオフ装置。
【請求項5】
一方の面にレジストの膜と薄膜の順に膜が形成された基板を膜を上にして吸着するとともに、回転する機構を有した吸着ステージと、レジスト剥離液を吐出するための高圧ジェットノズルと、を少なくとも備えたリフトオフ装置であって、
前記吸着ステージは、前記基板を加熱するためのヒーターを有することを特徴とするリフトオフ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−263022(P2010−263022A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111588(P2009−111588)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】