説明

ルテニウムの低温堆積のための組成物及び方法

ルテニウムを堆積するための組成物及び方法。四酸化ルテニウムRuOを含有する組成物を前駆体溶液608として使用し、ALD、プラズマ強化堆積、及び/またはCVDによって基板400を被覆する。周期的プラズマ濃縮を使用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記憶ドライブ用の薄膜磁気ヘッドなどのデバイスの製造にかかわる様々な段階のためのめっきシードとしてのルテニウムのコンフォーマル低温堆積に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、2009年1月16日に出願された米国仮出願第61/145,324号の利益を主張するものであり、開示内容は参照により全体がここに組み込まれる。
【0003】
近年、消費者、ビジネス、及びエンタープライズの用途で要求されるデータ記憶の増大にともなって、ハードディスクドライブ(HDD)の記録面密度において40%の成長率を維持するために、垂直磁気記録(PMR)が導入された。PMRの導入により、台形状書込み磁極及び書込み磁極を包むリーディング/トレーリング/サイドシールドなど、薄膜磁気ヘッドの構造に対していくつかの変更が課せられた。台形状書込み磁極は、メディア上の磁気トラックと比較して、書込み磁極の歪曲に対する高い耐性を有し、一方で書込み磁極を包むシールドは、隣接するデータビットに書き込む間にインタートラック及びイントラトラック干渉を最小化する。
【0004】
台形状書込み磁極を製造する1つの方法には、厚いアルミナ層に台形状の溝をエッチングした後に、めっき処理によって高い飽和磁化を有する磁気材料で台形磁極を充填する方法がある。所望の磁性(高い飽和磁化、低い容易/困難軸保磁力、低い異方性、高い周波数応答、及び低い残留磁化など)を維持しつつ、溝を空隙のないように充填するために、溝の内部を覆い、アルミナの上部表面を被覆するめっきシードが必要である。ルテニウムは、CoFe、CoNiFe、FeCoなどの高いモーメント磁性材料のめっきに適していることが知られている。優れためっきシードとして作用することの他に、Ru上にめっきされた高いモーメント材料は、磁気ヘッドの効果的な機能のために必須である優れた磁性を有する。
【0005】
書込み磁極を軟磁性シールドで包むための方法には、めっきシードとして作用する非磁性スペーサ層を介在させて、書込み磁極の頂部及び側部上に軟磁性シールドをめっきする方法がある。この場合も、RuはNiFe、NiFeCoなどの高モーメント軟磁性材料のめっきに適している。
【0006】
これらの用途ではいずれも、溝の内部または3次元書込み磁極構造体の曝露された表面を均一に覆う、基板表面全体にわたって優れた厚さ制御及び均一性を有するルテニウムのコンフォーマル層が必要とされる。周知の堆積法の内、原子層堆積(ALD)及びコンフォーマル化学気相堆積(コンフォーマルCVD)は、ルテニウムのコンフォーマル堆積を提供する唯一の商業的に実現可能な方法である。これらの方法はいずれも高い温度及び基板の加熱を必要とする。しかしながら、堆積の間の薄膜ヘッド構造体の損傷を防ぐためには、約200℃未満、さらには170℃程度の堆積温度の制約を満たさなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,544,389号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Microelectronic Engineering 83,(2006),2248−2252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ルテニウムのコンフォーマル低温堆積には、改良された組成物及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1実施形態では、化学組成物は、第1溶媒と、第2溶媒と、該第1及び第2溶媒中に1.0重量%から1.7重量%の範囲の濃度で四酸化ルテニウム(RuO)を含む。
【0011】
別の実施形態では、方法は、第1混合物において、第1溶媒の第2溶媒に対する比率が第1比率となるように、第1溶媒及び第2溶媒を容器内に入れる段階を含む。容器内の第1溶媒及び第2溶媒は、蒸発して蒸気を形成し、蒸気は容器から放出される。容器からの蒸気の放出に応じて、容器内に残留する第2混合物における、第1溶媒の第2溶媒に対する第2比率を決定する。第2比率の決定に応じて、容器内に残留する第2混合物に添加して、容器内でほぼ第1比率を回復するように、第3混合物に対して、第1溶媒の第2溶媒に対する第3比率を決定する。
【0012】
さらに別の実施形態では、方法はRuOと、第1溶媒と、30体積%対70体積%の比率で第1溶媒と混合された第2溶媒と、を含有する混合物を得る段階と、流体連結において堆積システムと連結された容器内に混合物を入れる段階と、を含む。第1溶媒と、第2溶媒と、RuOと、を含有する蒸気を容器から堆積システムへと供給し、容器内の混合物から第2溶媒よりも高速で第1溶媒を消耗する堆積処理を実施する。RuOと、第1溶媒と、30体積%対70体積%よりも高い第2比率で第1溶媒と混合された第2溶媒と、を含有する補充混合物を使用して容器を補充する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本方法の1実施形態による処理段階のフローチャートである。
【図2】図1の実施形態による追加の段階を示すフローチャートである。
【図3】図1の実施形態による追加の段階を示すフローチャートである。
【図4】図1〜3によって堆積された材料の構造を示す概略図である。
【図4A】図1〜3のフローチャートの方法を使用して形成された台形状書込み磁極のABS(空気軸受表面)図である。
【図5】ルテニウムのコンフォーマル堆積のための処理モジュールの一般的概略図である。
【図6】図5の処理モジュールのさらなる態様の概略図である。
【図7】図5の処理モジュールのチャンバ本体及び多領域シャワーヘッドを示す斜視図である。
【図8】図7の処理チャンバ内に位置し得るチャックの断面概略図である。
【図9】図5の処理モジュールにおいて使用される補充及びバブラー(bubbler)システムの概略図である。
【図10】明細書に記載されたとおり、アンプル溶媒の体積パーセント変化及びアンプル圧力を示すチャートである。
【図11】明細書に記載されたとおり、アンプル溶媒の体積パーセント変化を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
堆積されたルテニウム膜の品質は、(四酸化ルテニウム)RuO及びRuOが溶解される少なくとも1つの溶媒の組成及び純度に強く影響される。ToRuS(登録商標)はAir Liquide社から市販されており、不燃性フッ素化溶媒などの2種以上の溶媒の混合物中に溶解されたRuOからなる化合物である。本発明のさまざまな実施形態の組成物は、0.4重量%以下のみのRuOを含有する従来のToRuS混合物とは対照的である。以下の組成物は、1原子%未満の酸素含有量を有し、200℃で90%から105%のステップカバレッジを有する、鏡面反射性を有し、銀のような、低抵抗の膜を生じさせると考えられる。
【0015】
組成物は、少なくとも1重量%のRuOを含む。1実施形態では、前記組成物は、1.0重量%から1.7重量%のRuOを含む。別の実施形態では、組成物は、1.0重量%から1.2重量%のRuOを含む。さらに別の実施形態では、組成物は、1.6重量%から1.7重量%を含む。組成物におけるRuOの最大含有量は、少なくとも1つの溶媒へのRuOの溶解限度に制約されるが、1.7重量%を超え得る。範囲の上限及び溶解度は、組成物を含有する容器が受ける温度などの環境条件にも依存し得る。
【0016】
組成物は、少なくとも2つの溶媒を含み、1実施形態では、30体積%以下の濃度の第1溶媒#1(S1)及び70体積%以上の濃度の第2溶媒#2(S2)の室温での混合物を含む。組成物への使用に適する例示的な溶媒は、例えば特許文献1に開示されており、これらは参照により全体がここに組み込まれる。
【0017】
組成物の含水量は、1実施形態では10ppm未満であり、別の実施形態では5ppm未満である。組成物中のRuOの濃度が上昇すると、より多量の水が許容される。
【0018】
組成物の純度及び濃度は、例えば、表面被覆組成物に対して不活性であるかまたは裏地を備えた容器内に組成物を貯蔵し、貯蔵の間に組成物が劣化することを防ぐことによって、維持され得る。ガラスライナーを使用することもできるが、容器の内側表面上にSi/SiOのコンフォーマル二重層被覆を使用することが好ましい。
【0019】
組成物は、起こり得る化学物質の遅い長期の分解を防ぐために、室温または外気温で貯蔵され得る。
【0020】
前駆体は、組成物を含有するアンプルを通過させてArなどのキャリアガスをバブリングすることによってチャンバへと供給され得る。反応器に所望の量及び濃度の前駆体を供給するために、キャリアガス流量及びアンプルのヘッドスペースにおける圧力が調節される。消費されるにつれて、溶媒1:溶媒2の溶媒の相対比率が30:70から典型的にアンプル寿命の終わりを示す約20:80となるまで組成は徐々に変化し得る。相対比率は、体積パーセントで計上され得る。遠隔補給によってアンプルを補充する場合、補給キャニスタ内の組成は、補充後の組成が初期値である30:70に戻るような組成でなければならない。これについて、図面を参照して以下でさらに説明する。
【0021】
ルテニウム膜の品質は、プロセス条件に強く影響される。組成物中の活性化学物質であるRuOは、非常に反応性が高い。以下の条件が守られないと、ウエハの全域で良好な厚さ及び均一なシート抵抗を有し、高純度の滑らかな銀のような外見を有する、高い鏡面反射性を有する膜ではなく、酸素(RuO由来)及びフッ素(溶媒由来)の高い不純物含有量を有する膜の暗色/黒色領域が生じ得る。
【0022】
プロセス条件に関して、組成物は、150℃から220℃に維持されるウエハ表面に平行であり且つ近接し、温度制御されたシャワーヘッド板を通して導入され得る。シャワーヘッドと基板表面との間の距離は、典型的に18mm未満である。シャワーヘッドに近接することによって、移動の間に分解することなくRuOをウエハ表面に移動させることが保証される。
【0023】
RuOがRuOへと部分的に分解される気相反応を最小限に抑えるために、組成物及び共反応物Hが交互に注入され得る。これらのパルスは、組成物の期間が0.5秒から10秒であり、Hの期間が0.5秒から10秒である。組成物のパルス及びHのパルスは、Arなどの不活性ガスの0.5秒から10秒のパルスによって区切られ得る。4つのパルスのセットの各々が、ウエハ表面上に3から4ÅのRuを堆積する堆積サイクルを構成する。
【0024】
キャリアガス、H、及びパージガスの具体的な流量は、ウエハサイズ及びCVDチャンバの構造によって特定される。直径150mm〜200mmの基板に対する典型的な流量は、ヘッドスペースの圧力が40Torrから500Torrの範囲に維持されたアンプルを通過するArキャリアガスが50sccmから200sccm、パージガスが200sccmから400sccm、及びHが100sccmから500sccmである。全てのパルスの間、チャンバ圧力は、0.2Torrから0.8Torrに維持される。
【0025】
パージガスは、パージの間はチャンバの頂部から、反応物H/RuO前駆体のパルスの間はチャンバの底部へと切り替えられ、全工程の間に安定且つほぼ一定の圧力が維持される。
【0026】
製法のプラズマ強化ALD(PE−ALD)プロセス段階の間、RuO供給パルスの間にはシャワーヘッドと基板との間隔を小さくして、ウエハ表面への適切な供給を確実にする一方で、製法のプラズマ活性化段階の間には間隔を広げて、安定且つ均一なプラズマを保証する。
【0027】
様々な製法段階において、チャンバ内の処理圧力は、ターボポンプにつながる絞りゲートバルブまたは乾燥ポンプにつながる絞りゲートバルブのいずれかによって制御される。典型的に、ターボポンプは、150mTorr未満の圧力が必要とされる製法段階で使用され、一方で乾燥ポンプは300mTorrを越える圧力が必要とされる製法段階で使用される。
【0028】
投与段階の間に、確実にチャンバへと十分な水素を供給するために、H投与段階の間、H質量流量制御器によって、一定の速度でタンクを連続的に充填し、タンクは定期的に中身をチャンバ内へと放出して空にされる。タンクは、質量流量制御器(MFC)とシャワーヘッドに隣接する供給バルブとの間のガスラインの延長であるかまたはガスラインに接続された小さな一定容量であり得る。タンクの容量は、力が供給圧力を超えないように選択され、質量流量制御器が設定点バルブでの流れを維持し続けるようにする。圧力はまた、短いHパルスの間にタンク内容物の半分以上がチャンバに供給される程度に十分高くなければならない。これら2つの制約により、最適な容量が設定され、典型的に、40〜60”長、0.25”内径のガス供給ラインと同等である。
【0029】
前述の条件下で堆積されたRu膜は、高い引張応力(典型的に>1GPa)を有する傾向にあり、また、SiO及びアルミナなどの下部の誘電膜に対する十分な接着力が不足し得る。これらの潜在的な制限を解消するために、以下のプロセス改善策の1つ以上を実施することができる。
【0030】
堆積の前に、インサイチュースパッタエッチングまたはエクサイチュースパッタエッチング(真空を破壊することなく)によって表面を洗浄してよい。
【0031】
堆積は、Hが処理チャンバ内に導入されたときにプラズマに点火するプラズマ強化堆積とすることができる。これにより、化学吸着されたRuOとの表面反応が加速され、成長膜表面のイオン衝撃が膜の応力を低減する。プラズマ強化堆積によりまた、ウエハ表面上のRu膜のより均一な核形成がもたらされる。典型的に、堆積の最初の10サイクルから20サイクルは、当該モードで実施される。これは、PE−ALD(プラズマ強化ALD)法と称される。PE−ALDはまた、堆積膜の表面の粗さを低減することができる。
【0032】
膜の応力を許容レベルまで低減するために、成長膜は、表面に制御可能なエネルギーのイオンを当てるプラズマに定期的に曝露され得る。このようなプラズマ緻密化サイクルは、5サイクルから20サイクルの堆積毎に実施され得る。緻密化は、0.05Torrから0.5Torrで、Arプラズマにおいて、RFウエハバイアス100ボルトから500ボルト及び200ワットから500ワットで10秒間から30秒間実施され得る。
【0033】
下部の誘電体及び上部のRuに対する優れた接着を促進する、別の金属または金属窒化物などの接着層を含むことができる。多様な金属窒化物の内で、窒化タングステン(WN)は、コンフォーマルRu堆積と同一の温度で行われる原子層堆積またはプラズマ強化原子層堆積法のいずれかを使用してコンフォーマルに堆積することができるため、この用途に適し得る。別の選択肢は、Ti、Cr、Taまたは類似のものなどの二層接着層であり、これは、コンフォーマルRu堆積に対して優れた接着性及び優れた核形成表面を与えるRuの上部層に、下部の酸化物に対する優れた接着力を提供する。
【0034】
所定の総スタック厚さに対して、金属スタックの実効抵抗を低下させるために、Ru及び1つまたは複数の低抵抗膜の積層が堆積され得る。薄いめっきシード層を覆う均一なめっきのために低いシート抵抗が望ましい場合、これは重要である。より低抵抗の材料は、ALDまたはCVDによっても堆積され得る。200℃以下で堆積することができるこのような低抵抗材料は、Cu、Co、Ni、Al、Pd、Pt及びIrを含むが、それらに限定されるわけではない。
【0035】
ルテニウムを堆積するための例示的なプロセス段階は、例えば、非特許文献1及び特許文献1に開示されており、これらは参照により全体がここに含まれる。
【0036】
以降において、図面を参照して前述の内容をさらに詳細に説明する。基板上にルテニウムのコンフォーマル膜を堆積するための工程の基本的な流れを、添付の図1〜4を参照して説明する。図5〜9は、製造に使用される装置の一部分を図示しており、チャンバ502と、補充システム650を備える1つまたは2つのガス供給システム及び前駆体供給システム504、505と、真空ポンプシステム506とを備える処理モジュール500を含む。図10及び11は、図9の補充システムについてさらに説明するものである。
【0037】
段階の典型的な流れは以下の通りである。図1から4に示されているように、表面402を有し、典型的に直径150mmまたは200mmのシリコンまたはAlTiCウエハ400である基板ウエハ400を処理器具のロードロック(図示せず)に配置し、該ロードロック(図示せず)を真空レベル(典型的に10−5Torrから10−4Torr)まで減圧する。段階100では、チャンバ502内の全てのガスフローを停止して、ターボポンプ510を用いてチャンバを基礎圧力(典型的に10−6Torrから10−4Torr)まで減圧する。処理モジュール500を中央ウエハ処理部(図示せず)に接続するスリットバルブ(図示せず)を開放することによって、中央ウエハ処理部におけるウエハロボット(図示せず)が処理モジュール500にアクセスできるようになる。中央ウエハ処理部におけるロボットは、減圧されたロードロックからチャンバ502内へとウエハ400を移動する。ウエハ400は、ウエハ上昇ピン(図示せず)上に配置される。ロボットのエンドエフェクタ(図示せず)は、処理チャンバから後退し、スリットバルブが閉じられる。可動式であり、加熱され(典型的に約200℃)、温度制御されたチャック516(図8)は、上方に移動してウエハ400、次いでウエハ締め付けリング514と係合される。ウエハ締め付けリングはウエハ400をチャック516に対してしっかりと支持する。静電チャックが使用される場合、ウエハはウエハ上昇ピン上に配置され、チャックが上方に移動してウエハをピンから離し、ウエハが静電的に固定される。チャックはその後、上方に移動し続けてウエハリングと係合される。この場合、ウエハリングは、締め付け機能を提供しないため、ウエハと物理的に接触しない場合もある。ウエハ縁部から膜を物理的に排除するために、物理的接触が実施され得る。堆積の縁部排除は、ウエハ表面とウエハリング上の突出部との間の小さな間隙を通して処理チャンバ内に入るウエハの周囲にパージガスを提供することによっても達成される。
【0038】
段階102(図1)では、加熱されたチャック516に裏面ガスを出して、ウエハ400を急速且つ均一に処理温度(約200℃)まで加熱する。熱伝導率が高いため、ヘリウムが一般的に熱伝導ガスとして使用される。ウエハ400とチャック516との間の裏面ガス圧力は、最大熱伝導率では5〜30Torrの範囲である。Si及びAlTiCウエハは両者とも、20〜60秒間で設定点から5℃以内に加熱される。表面402から材料を1〜2nm除去するために、ウエハ400の表面402に、シャワーヘッド518からプラズマスパッタエッチングを施す。典型的な条件は、20〜100sccmフローのArまたはAr/H、13.56MHz、RF出力200〜500W(ワット)、圧力5〜20mTorr、エッチング時間20〜200秒間、基板とシャワーヘッドとの間隔50〜100mmである。詳細なプロセス条件は、対象の材料除去に対して均一性及びエッチング速度再現性を最大化するように選択され、チャンバ502の構成の詳細に依存する。プロセスガスは、多領域のシャワーヘッド516の組み合わせを通して、及びチャンバパージポート(図示せず)を通して導入される。その他の実施形態では、一領域のシャワーヘッドが使用され得る。プロセスの最後にガスフローを停止し、チャンバ502を基礎圧力まで戻すことができる。モジュール500は、追加のモジュールを収容し得る中央ウエハ処理部にドッキングするように設計されているため、前洗浄スパッタエッチングは、スパッタエッチングモジュールまたはイオンビームエッチングモジュールなどの別々のエッチングモジュール(図示せず)において実施され得る。
【0039】
段階104(図1)では、下部の誘電体及び上部のRuに対する接着性を促進する、別の金属または金属窒化物などの接着剤または接着層404(図4)をウエハ400上に堆積する。当該層の必要性は、用途及び後続のウエハにコンフォーマルRu堆積を施す工程順序に依存する。代替として、接着剤または接着層404は、ウエハ400を処理モジュール500内に配置する前に、スパッタリング(PVD)、イオンビーム堆積(IBD)、CVDまたはALDを介して、別々のモジュール(図示せず)において堆積することもできる。
【0040】
段階106では、ここで明瞭な説明のためにリストとして記載する以下の代表的な組成物及び方法の1つで、RuO含有組成物を調製し、貯蔵し、チャンバに提供する。
1.少なくとも1.0重量%のRuO、多様な代替的実施形態では1.0重量%から1.7重量%のRuO、1.0重量%から1.2重量%のRuO、または1.6重量%から1.7重量%を含有する組成物。
2.少なくとも2つの溶媒であって、1つの代表的な実施形態では、30%以下の濃度で第1溶媒#1及び70%以上の濃度で第2溶媒#2の2つの溶媒。
3.上記方法によって滑らかな鏡面反射性ルテニウムが生成されるような範囲の溶媒濃度。
4.図9〜11を参照してさらに説明されるバルク補給容器内の別の組成物。
5.10ppm未満の含水量。
6.組成物に対して不活性な裏地または表面被覆を備えた容器内に、室温で組成物を貯蔵し、貯蔵の間に組成物が劣化することを防ぐ。
【0041】
段階108では、5〜40Åのルテニウム層406をプラズマ強化ALD(PE−ALD)によって堆積する。段階108は、図面2を参照してここで説明される複数のサブステップ200〜206を含む。
【0042】
段階200では、ウエハ400がシャワーヘッドに近接する(5〜20mm)ように、チャック516を移動させる。不活性キャリアガス中にRuOを含有する組成物は、シャワーヘッド516の一領域を通して0.5〜10秒間導入される。キャリアガスの流量は、50〜200sccmであり、組成物の流量は50〜200sccmである。不活性パージガスは、100〜400sccmでパージポートを通して導入される。チャンバの圧力は、乾燥ポンプに接続されたポートに設けられた絞りバルブによって、またはパージフローを調節することによって、0.2〜0.8Torrの範囲に維持される。
【0043】
段階202では、基板の表面に投与した後、蒸気及びキャリアガスの混合物のフローを停止し、シャワーヘッド518及びパージガス注入ポートを通して、100sccmから400sccmの流量で0.5〜10秒間パージガスを導入し、チャンバ容積から組成物を押し流し、ウエハ表面上に化学吸着された層を残して基板上に物理吸着され得る過剰な組成物を除去する。同時に、ウエハを固定し、ターボポンプ510に接続されたポート上に搭載された絞りバルブ520によって、またはパージフローを調節することによって、圧力を50〜300mTorrの範囲に制御しつつ、チャック516を下部処理位置(基板からシャワーヘッドまでの間隔が50mmから100mmである)まで下方に移動する。ターボポンプが主ポンプとして使用される場合、乾燥ポンプに接続されたポート上のゲートバルブは逆に閉鎖される。
【0044】
チャンバから過剰な蒸気及びキャリアガスを除去した後、段階204において、シャワーヘッド上の第2領域を通して0.5〜10秒間Hを導入する。
【0045】
シャワーヘッドに接続されたH供給バルブが開放されると、タンク内に貯蔵されたHが処理チャンバへと効率的に供給される。Hがチャンバに供給されるときに、気体をH原子及びAr、H、及びHなどのイオンに解離させるために、チャックに13.56MHzのRFを印加することによって200〜500Wの出力及び基板からシャワーヘッドまでの間隔50〜100mmでRFプラズマが点火される。Ar、H、及びHによる基板表面のイオン衝撃とあわせてH原子は、化学吸着されたRuOを還元して2〜4AのRuを形成するという結果をもたらす。この段階の間、ターボポンプに接続されたポート上に搭載された絞りバルブによって、またはパージフローを調節することのいずれかによって、圧力は50〜300mTorrの範囲に制御される。
【0046】
本開示において繰り返し記載されないが、このため及びその他の全ての処理段階において、単一領域のシャワーヘッドを使用することも可能であり、次の反応物(H)が導入される前に、RuOを含有するキャリアガス及び蒸気の半分以上がシャワーヘッドから除去されるように、パージガスフローが提供され、パルス期間は十分長い。実施形態によっては、単一領域のシャワーヘッドを用いることで、優れたガス注入均一性、ひいては優れた堆積均一性を容易に達成することができる。単一領域シャワーヘッドは組立てがより容易でもあり得る。本発明の実施形態は多領域シャワーヘッドの使用に限定されない。パージポートを通して100〜400sccmの不活性パージガスが導入され、シャワーヘッドを通してさらに導入され得る。この処理が実施されるモードであるパルスCVDの場合、次の反応物(H)が導入される前にRuOを有するキャリアガス及び蒸気半分以上をシャワーヘッドとウエハとの間(チャンバ全体ではない)の空間から除去すれば十分である。これは、次の反応物が導入される前に、1つの反応物を完全にチャンバから排出しなければならないALD処理とは異なる。
【0047】
段階206では、基板の表面にHプラズマを供給した後、Hフローを停止し、パージガスをシャワーヘッド及びパージガス注入ポートを通して100〜400sccmの流量で0.5〜10秒間導入し、チャンバ体積から過剰なHを排出し、ウエハ表面上に化学吸着されたH層を残しつつ、基板上に物理吸着され得る過剰なHを除去する。同時に、ウエハを固定し、乾燥ポンプに接続されたポート上に搭載された絞りバルブによって、またはパージフローを調節することによって、圧力を0.2〜0.8Torrの範囲に制御しつつ、チャックは、上部の処理位置(基板からシャワーヘッドまでの間隔が5〜20mmである)まで上方に移動され得る。
【0048】
段階108は複数回反復され(典型的に2〜10回)、5〜40ÅのRuが後続の堆積のための核層として堆積される。
【0049】
段階110では、所望の厚さのルテニウムのより厚い層408を熱的ALD(T−ALD)によって堆積する。段階110は、図3を参照してここで説明される複数のサブステップ300〜306を含む。
【0050】
段階300では、チャックを移動して、基板をシャワーヘッドに近接させる(5〜20mm)。組成物の成分を運ぶキャリアガスは、シャワーヘッドの一領域を通して0.5〜10秒間導入される。キャリアガスの流量は50〜200sccmであり、一方で組成物の流量は50〜200sccmである。100〜400sccmの不活性パージガスが、パージポートを通して導入される。チャンバ圧力は、乾燥ポンプに接続されたポート上に搭載された絞りバルブ、またはパージフローを調節することのいずれかによって、0.2〜0.8Torrの範囲に維持される。
【0051】
基板の表面に供給した後、フローを停止し、段階302aにおいて、パージガスをシャワーヘッド及びパージガス注入ポートを通して100〜400sccmの流量で0.5〜10秒間導入し、チャンバ体積から段階300の組成物成分を排出し、ウエハ表面上に化学吸着された層を残しつつ、基板上に物理吸着され得る過剰なRuOを除去する。チャンバ圧力は、乾燥ポンプに接続されたポート上に搭載された絞りバルブによって、またはパージフローを調節することのいずれかによって、0.2〜0.8Torrの範囲に維持される。
【0052】
段階304では、チャンバから過剰な組成物を除去した時点で、シャワーヘッド上の第2領域を通してHを0.5〜10秒間導入する。パージポートを通して100〜400sccmの不活性パージガスが導入され、シャワーヘッドを通してさらに導入され得る。シャワーヘッドに接続されたH供給バルブが開放されると、タンク内に貯蔵されたHが処理チャンバへと効率的に供給される。Hは、化学吸着されたRuOと反応して2〜4AのRuを形成する。この段階の間、ターボポンプに接続されたポート上に搭載された絞りバルブによって、またはパージフローを調節することのいずれかによって、チャンバ圧力は0.2〜0.8Torrの範囲に維持される。
【0053】
段階306では、基板の表面にHを供給した後、Hフローを停止し、パージガスをシャワーヘッド及びパージガス注入ポートを通して100〜400sccmの流量で0.5〜10秒間導入し、チャンバ体積から過剰なHを排出し、ウエハ表面上に化学吸着されたHの層を残しつつ、基板上に物理吸着され得る過剰なRuOを除去する。チャンバ圧力は、乾燥ポンプに接続されたポート上に搭載された絞りバルブによって、またはパージフローを調節することのいずれかによって、0.2〜0.8Torrの範囲に維持される。
【0054】
段階110は、複数回反復され(典型的に50〜200回)、150〜800ÅのRuが後続の堆積のための核層として堆積される。
【0055】
段階112では、膜応力を制御するために周期的なプラズマ濃縮を5〜20回の堆積サイクル毎に実施することができる。このプロセスでは、100〜400sccmの不活性ガスがシャワーヘッド及び不活性ガス注入口を通してチャンバ内へと導入され、チャンバ圧力は50〜300mTorrの範囲に制御され、膜は200〜500WのRFプラズマによって10〜30秒間高密度化される。高密度化段階が完了した後、熱的ALDサイクルが再開される。
【0056】
堆積の完了に続いて、ポンプパージシーケンスが実施される。この段階では、100〜400sccmの不活性パージガスが、シャワーヘッド及びパージガス注入口の両領域を通して、0.1〜1Torrの範囲のチャンバ圧力で0.5〜10秒間導入され、続いて、ガスが停止されてチャンバが0.01〜0.1Torrまで減圧されるポンプダウン段階が実施さる。ポンプパージは複数回(例えば10回)反復され、処理チャンバから微量の反応物(RuO及びH)が除去される。
【0057】
チャンバにおける全てのガスフローは停止され、チャンバはターボポンプによって基礎圧力(典型的に10−6から10−4Torr)まで減圧される。ウエハを処理チャンバから取り出す状態にするために、ウエハの搭載にかかわる段階の順序が逆転される。
【0058】
モジュールを中央ウエハ処理部に接続するスリットバルブを開くことによって、処理モジュールにアクセスする中央ウエハ処理部内にウエハロボットを提供する。
【0059】
中央ウエハ処理部内のロボットは、ウエハをチャンバから減圧されたロードロックへと移動する。
【0060】
ロードロックにおいてウエハの所望の処理が完了した後、ロードロックは大気圧に開放され、ウエハはロードロックから取り出される。
【0061】
図4は、先に説明した層を概略的に図示する。図4Aは、リーティング/トレーリング/サイドシールド412を備える台形状書込み磁極410の作製における、本願発明の方法の使用を図示する。
【0062】
ここで、図5〜11を参照して、サブシステムの詳細について説明する。これらのサブシステムの多くは、前述の処理の説明において既に説明されている。
【0063】
フレーム521上に搭載されたチャンバは、典型的に、室温(RT)〜80℃の温度に制御可能な内壁522(図7)を備えてステンレス鋼またはアルミニウムから構成され、ウエハクランプ514と連携する、加熱され、温度制御可能な可動式チャック516を備える。チャックの加熱は、温度を良好に均一化するために(典型的に200℃で±2℃未満の変動)、1つまたは複数の領域524において提供され得る(図8)。チャックの上部表面526は、ヘリウムなどの熱伝導ガスの均一な分配のための多数の溝528を有する。ヘリウムは、チャックに接続された裏面ガスライン530を通して供給される。裏面ガスラインは、チャックに供給されるRF電力がチャンバ外部へのガスラインを流下することを防ぐために、RFアイソレータ532を備える。
【0064】
処理モジュールのフレームはまた、ガス供給及び前駆体供給システム504、505、制御電子回路、及び真空ポンプシステム506などのサブシステムを収容する。
【0065】
チャンバ502は、基礎圧力(10−4から10−7Torr)、プロセス圧力(10〜1000mTorr)及びチャンバ排気及び減圧の間に生じる圧力(1Torr〜760Torr)を感知するための、多数の圧力計測器を備える。これらの測定器は、前駆体に対して化学的に不活性であるべきであり、また、圧力測定器内での前駆体の濃縮を防ぐために、温度制御され得る。
【0066】
チャックの表面は、電力を電源からチャックへと効率的に伝送させるように設計された介在整合回路を有し、典型的に13.56MHzで作動するRF電源535に接続される。ウエハがチャック上に配置されたときに、ウエハ及びウエハクランプのみがRF電位となるように、チャックの外部層は接地される。
【0067】
ウエハを装着するために、スリットバルブを開放することによって、処理モジュール500にアクセスする中央ウエハ処理部内にウエハロボットを提供する。中央ウエハ処理部内のロボット(図示せず)は、減圧されたロードロックからチャンバ502へとウエハを移動する。ウエハ400は、ウエハ上昇ピン上に配置される。ロボットエンドエフェクタは処理チャンバから後退し、スリットバルブが閉鎖される。可動式の、加熱され(典型的に約200℃)、温度制御されたチャック516は、上方に移動してウエハと、次いでウエハ締め付けリング514と係合される。ウエハ締め付けリングは、チャックに対してウエハを堅固に固定する。静電チャックが使用される場合、ウエハはウエハ上昇ピン上に配置され、チャックが上方に移動してウエハをピンから離し、その後ウエハを静電的にチャックする。チャックはその後、上方に移動し続けてウエハリングと係合される。この場合、ウエハリングは、固定機能を提供しないため、ウエハ表面と物理的に接触しなくてもよい。
【0068】
チャックに面するのは、典型的に室温(RT)〜80℃で作動する温度制御されたシャワーヘッド518である。シャワーヘッドは、複数の集合領域539として組織される、その面538にわたって分散された多数の小さな穴536を有する。領域は、相互に連結されて、そこを通して反応物が導入され得る2つの主領域540を形成することができる。この場合には、組成物は主領域540の1つを通して導入され得、一方でHは他の主領域を通して導入される。多数の領域539が使用される場合、反応物が領域へと逆流するのを防ぐために、不活性ガスフローが休止(非活性)領域を通して連続的に維持される。パージの間、不活性ガスは、両方の主領域540を通して導入される。前述のように、単一領域のシャワーヘッドを使用することができる。多領域シャワーヘッドは必須ではない。
【0069】
シャワーヘッド518を通したガス注入口に加えて、チャンバの底部およびスリットバルブに近接して追加のガス注入口542が設けられる。チャンバ502のこれらの領域に反応ガスを近付けず、またはガスバラスと及び安定なチャンバ圧力制御を提供するために、パージガスは典型的にこれらの注入口を通して導入される。
【0070】
チャンバは、チャンバをポンプから分離し、または所望の圧力を得るためにポンプの効果的なポンピング速度を調節することができる絞りゲートバルブを介してポンプアウトポートの1つの接続された乾燥ポンプ(図示せず)によって減圧することができる。乾燥ポンプは、チャンバを大気圧から減圧するため、及び前述のような高圧で作動する処理段階のために使用される。
【0071】
また、チャンバをポンプから分離し、また所望の圧力を得るためにポンプの効果的なポンピング速度を調節することができる絞りゲートバルブ520を有するターボポンプ510(図6)がチャンバに接続されている。チャンバ圧力が一旦150mTorr未満となると、ターボポンプを使用してチャンバを基礎圧力まで減圧する。ターボポンプはまた、前述のようなより低い圧力で作動する処理段階でも使用される。
【0072】
ガス供給システム(図5)は、プロセスガスを供給するための多数のガススティック544及びバブラーシステム546を備える。ガススティックの各々は、典型的に圧力調整器、ガスフィルタ、上流及び下流バルブが設けられた質量流量制御器、及び例えばシャワーヘッド518または不活性ガスパージのようなチャンバ上の対応するガス注入口の近くに搭載された最終制御バルブを備える。H用のガススティックはまた、ガスタンクとして作用するための延長ガスラインまたは固定容量を含み得る。
【0073】
図9を参照すると、前駆体供給システムは、例えばベーパードローまたは直接液体注入などのその他の形態を使用することもできるが、典型的にはバブラー602である。キャリアガス604は、前述のガススティックを通してバブラーの浸漬管606へと供給される。キャリアガス604は、アンプル610などの容器内に含まれる組成物608を通して気泡を形成し、RuO及び溶媒及びキャリアガスの混合物612がアンプルから出る。アンプルのヘッドスペース614の圧力は、アンプルの外部に接続されたニードルバルブ(図示せず)によって制御される。アンプル圧力617とも称される(図10)ヘッドスペースの圧力をモニタするために、例えば静電容量型圧力計などの圧力測定器615が使用される。バブラーの排出流は、シャワーヘッド付近に配置された制御バルブ(図示せず)を通してチャンバ502に供給され得るかまたは乾燥ポンプの前方ラインに接続される分流ラインへと供給され得る。同様に、キャリアガス604フローは、アンプルへ、または乾燥ポンプの前方ラインに接続されたバイパスラインへと移動され得る。方法を実行する間、質量流量制御器(図示せず)を通した安定な流れが維持されるように、キャリアガス604のフローは、アンプルの注入口とバイパスラインとの間にトグルで留められる。アンプルの排出口上の分流ライン(図示せず)は、アンプルを設置するときにアンプルのヘッドスペースに含まれる不活性充填ガスを排出するために、アンプルの交換の前または後にアンプルに接続された全てのラインのポンプアウトを含むアンプルの設置及び設定手順の間に主に使用される。
【0074】
前駆体供給システムはまた、溶液654を有する外部タンク652から定期的にアンプルを充填する外部バルク補給システム650に接続するための設備を備え得る。自動操作を可能にするために、アンプルは、ユーザによって低、高、及び過剰(警告)レベルが設定される、1つまたは複数のレベルセンサ656を備え得る。これは、類似の機能を果たし得る圧力測定器617に加えて、または代替として使用され得る。アンプルは、前駆体供給キャビネット内部の温度を制御すること、または温度制御されたカバーまたは温度制御された液槽でアンプルを能動的に加熱/冷却することのいずれかによって、温度制御され得る。
【0075】
組成物とアンプル壁との間の反応を防止するために、アンプル610の内部表面は、ガラスライナー(図示せず)によって保護されるか、または好ましくはSi及びSiOの二重層657で被覆される。組成物と接触するチャンバ表面及びガスラインもまた、さらなる予防措置として被覆され得る。
【0076】
バルク補給システム650は、自動化しても手動であってもよい。いずれの場合においても、時間とともに組成物608が目的の濃度を維持するように、補充溶液654は組成物608と同一でなく、代わりに少なくとも1つの溶媒及びRuOの混合物とするべきである。
【0077】
図10及び11は、製造工程の間のアンプル610内の組成物608の消費にともなうアンプル圧力617の変化を示す。アンプル内の圧力617は、溶液中の四酸化ルテニウムの蒸気圧及び溶媒に応じる。図10は、四酸化ルテニウムがS1及びS2で表される2つの溶媒中に溶解された場合を示す。S1及びS2は異なる蒸気圧を有するため、S2よりも高い蒸気圧を有するS1はより速く消費され、その%濃度が相対的に低下し、一方でS2の%濃度が相対的に上昇する。この図では、約5300サイクルで、S1の%が20%ラインを下回り、S2の%は80%ラインを超える。全体的なアンプルの圧力は、約203Torrである。この関係は一定である。従って、全体的なアンプル圧力を測定することによって、溶媒濃度が示唆される。この再現性および有効性について図11を参照してさらに説明する。
【0078】
図10の横軸の範囲が図11の横軸の中で複数回反復される。図11では、2つの溶媒が所望の目標値である70及び30パーセントを有する。または、例示的な範囲を提示すると、70〜72パーセント及び30〜28パーセントである。S1はS2よりも速く消費されるため、組成物を含む容器からより高速で消耗され、約5300サイクルの間隔でそれぞれ80及び20重量パーセントの濃度となる。その後、補給システム650が作動して、補充液体658がアンプルに入れられ、残りの組成物608と混合されて、図11の水平部分によって示されるような所望の目標に戻るように%濃度が調節される。その結果、プロセス組成物608に補充組成物658を補給する本方法は、製造環境に一貫性のある結果をもたらし、チャンバに供給される前駆体612を所望の範囲に回復する。図示された範囲は例であり、安定した製造のための要件を満たすように決定されたものであるが、限定を意図するものではない。処理条件及び目標の製品の特徴に応じて、その他の範囲及び限度を採用することも可能である。
【0079】
全体的なアンプル圧力の代わりに、組成物のレベル(例えば液体の高さまたは重量によって決定される)を同様の方法で使用することも可能である。また、サイクル回数に基づいて、言い換えると図10及び11のX軸上の位置に基づいて補給の時期を知ることも可能である。
【0080】
多くの実施例では、初期組成物608は、700ml(ミリリットル)のS2及び300mlのS1を含み得る。所定の回数のサイクル後、200mlの組成物608が残留し得、そのうちの160mlがS2であり、40mlがS1であり得る。適当なRuOの量とともにアンプルを補充するために、補給溶媒654は、(700ml−160ml)=540mlのS2及び(300ml−40ml)=260mlのS1を含むべきである。
【0081】
図9には1つのシステムを図示したが、図5に示すように1つ以上の前駆体供給システム(504、505)を設置することも可能である。例えば、シード層に前駆体を供給するために第2チャネルを使用することも可能である。第2チャネルは、第1前駆体供給システムと類似に構成及び作動してよく、または異なってもよい。
【0082】
本発明は、多様な実施形態の記載によって説明され、これらの実施形態は詳細に記載されたが、特許請求の範囲をそのような詳細に制限または限定することを意図するものではない。当業者にはさらなる利点及び修正が容易に理解されるであろう。より広い側面において本発明は、図示及び説明された特定の詳細、代表的装置及び方法、並びに例示的実施例限定されない。従って、出願人の発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱し得る。
【符号の説明】
【0083】
400 ウエハ
404 接着層
406 Ru核形成層
408 Ruコンフォーマル層
500 処理モジュール
502 チャンバ
504 ガス供給システム
505 前駆体供給システム
510 ターボポンプ
514 ウエハ締め付けリング
516 チャック
518 シャワーヘッド
520 絞りゲートバルブ
528 溝
530 裏面ガスライン
602 バブラー
604 キャリアガス
606 浸漬管
608 組成物
610 アンプル
614 ヘッドスペース
615 圧力測定器
650 バルク補給システム
656 水位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1溶媒と、
第2溶媒と、
前記第1及び第2溶媒中に、1.0重量%から1.2重量%または1.6重量%から1.7重量%の濃度で存在する四酸化ルテニウム(RuO)と、
を含む化学組成物。
【請求項2】
10PPM未満の水をさらに含む、請求項1に記載の化学組成物。
【請求項3】
前記第1溶媒が30%未満の濃度であり、前記第2溶媒が70%を超える濃度である、請求項1に記載の化学組成物。
【請求項4】
第1溶媒及び第2溶媒を含有し、前記第1溶媒の前記第2溶媒に対する比率が第1比率である、ある量の第1混合物を提供する段階と、
前記量の第1混合物を容器内に収容する段階と、
前記容器内の前記第1溶媒及び前記第2溶媒を蒸発させて蒸気を形成させる段階と、
ある量の第2混合物が前記容器内に残留するように、前記容器から前記蒸気を解放する段階と、
前記容器内に残留する前記量の第2混合物における、前記第1溶媒の前記第2溶媒に対する第2比率を決定する段階と、
前記第2比率の決定に応じて、前記量の第2混合物及びある量の第3混合物を混合すると前記第1比率がほぼ回復されるように、前記容器内に残留する前記量の第2混合物に混合する前記量の第3混合物に対して、前記第1溶媒の前記第2溶媒に対する第3比率を決定する段階と、
を含む方法。
【請求項5】
前記量の第1混合物を提供する段階が、
ある量の前記第1溶媒をある量の前記第2溶媒と混合して前記量の第1混合物を提供する段階を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記量の第2混合物が前記容器内に残留するときに前記第2比率が前記第1比率と異なるように、前記第1及び第2溶媒が異なる蒸気圧を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1比率が30体積%:70体積%から28体積%:72体積%の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第2比率が30体積%:70体積%から20体積%:80体積%の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物が10PPM未満のH0を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物が5PPM未満のH0を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記第1溶媒及び前記第2溶媒を蒸発させる段階が、
前記容器を加熱して前記蒸気を形成させる段階と、
前記容器にキャリアガスを流す段階と、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
RuOと、第1溶媒と、30体積%対70体積%の比率で前記第1溶媒と混合された第2溶媒と、を含有する混合物を得る段階と、
流体連結において堆積システムと連結された容器内に前記混合物を入れる段階と、
前記第1溶媒と、前記第2溶媒と、Ru0と、を含有する蒸気を前記容器から前記堆積システムへと供給し、前記容器内の前記混合物から前記第2溶媒よりも高速で前記第1溶媒を消耗する堆積処理を実施する段階と、
RuOと、前記第1溶媒と、30体積%対70体積%よりも高い第2比率で前記第1溶媒と混合された前記第2溶媒と、を含有する補充混合物を使用して前記容器を補充する段階と、を含む方法。
【請求項13】
前記堆積処理がALDまたはCVDである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記容器を補充する段階が、
前記容器内の圧力の低下の測定に基づいて補充を開始する段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記容器を補充する段階が、
前記堆積処理の後、前記容器内の体積の測定に基づいて補充を開始する段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記容器を補充する段階が、
前記容器内のレベルの低下の測定に基づいて補充を開始する段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記容器を補充する段階が、
実施した堆積サイクルの回数の測定に基づいて補充を開始する段階を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記容器を補充する段階が、
バルク補給コンテナから前記容器へと補充混合物を自動的に供給する段階を含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−515842(P2012−515842A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546424(P2011−546424)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/021375
【国際公開番号】WO2010/083510
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(507414535)ビーコ・インスツルメンツ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】