説明

レジストパターンの形成方法、立体構造の製造方法、及び半導体装置の製造方法

【課題】所望の形状のレジストパターンを高精度に形成することができるレジストパターンの形成方法、立体構造の製造方法、及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】レジストパターンの形成方法は、支持部10上に、多層レジスト20を形成する工程と、多層レジスト20に第1の波長の第1の光による露光を施す工程と、多層レジスト20に第1の波長と異なる第2の波長の第2の光による露光を施す工程と、露光が施された多層レジスト20に現像処理を施すことによって、レジストパターンを形成する工程とを有し、複数のレジスト層は、第1の光による露光によって第1の現像可溶領域23が形成される第1のレジスト層21と、第2の光による露光によって第2の現像可溶領域24が形成される第2のレジスト層22とを含み、レジストパターンを形成する工程は、多層レジスト20から第1及び第2の現像可溶領域21,22を除去する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの形成方法、並びに、この形成方法を用いる立体構造の製造方法及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板上に多層構造のレジスト層(「多層レジスト」とも言う。)を形成し、これをパターニングすることによってレジストパターンを形成する方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、同一光量の露光が施された部分におけるアルカリ現像液に対する溶解速度が異なる複数のレジスト層が積層されている多層レジストを形成し、これに露光を施し、現像することによってレジストパターンを形成する方法が提案されている。また、特許文献2には、感度が異なる複数のレジスト層が積層されている多層レジストを形成し、これに露光を施し、現像することによって段差のあるトレンチ(溝)を形成し、このトレンチを利用してトランジスタのゲート電極を作成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−296237号公報
【特許文献2】特許第3434625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、多層レジストに、レジスト層の溶解速度の違いに依存した形状のレジストパターンが形成されるに過ぎず、所望の形状のレジストパターンを高精度に形成することが困難であるという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載されている方法では、多層レジストに、レジスト層の感度の違いに依存した形状のレジストパターンが形成されるに過ぎず、所望の形状のレジストパターンを高精度に形成することが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、所望の形状のレジストパターンを高精度に形成することができるレジストパターンの形成方法、並びに、この形成方法を用いた立体構造の製造方法及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るレジストパターンの形成方法は、支持部上に、複数の積層されたレジスト層を含む多層レジストを形成する工程と、前記多層レジストの第1の領域に、第1の波長の第1の光による露光を施す工程と、前記多層レジストの第2の領域に、前記第1の波長と異なる第2の波長の第2の光による露光を施す工程と、前記露光が施された前記多層レジストに現像処理を施すことによって、レジストパターンを形成する工程とを有し、前記複数のレジスト層は、前記第1の光による露光によって第1の現像可溶領域が形成される第1のレジスト層と、前記第2の光による露光によって第2の現像可溶領域が形成される第2のレジスト層とを含み、前記レジストパターンを形成する工程は、前記多層レジストから前記第1及び第2の現像可溶領域を除去する工程を含むことを特徴としている。
【0008】
本発明の一態様に係る立体構造の製造方法は、支持部上に、前記レジストパターンの形成方法によって、前記支持部に達する深さの部分を有するトレンチを有するレジストパターンを形成する工程と、前記トレンチ内に、前記支持部上に形成される立体構造材料を充填することによって、前記レジストパターンのトレンチの形状に応じた形状の立体構造を形成する工程と、前記レジストパターンを除去する工程とを有することを特徴としている。
【0009】
本発明の他の態様に係る立体構造の製造方法は、加工層上に、前記レジストパターンの形成方法によって、レジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンと前記加工層との両方をエッチングするエッチング処理によって、前記加工層を、前記レジストパターンの形状に応じた形状の立体構造に加工する工程とを有することを特徴としている。
【0010】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、前記レジストパターンの形成方法によって、前記半導体基板に達する深さの部分を有するトレンチを有するレジストパターンを形成する工程と、前記トレンチ内に、前記半導体基板上に形成される立体構造材料を充填することによって、前記レジストパターンのトレンチの形状に応じた形状の立体構造を形成する工程と、前記レジストパターンを除去する工程とを有することを特徴としている。
【0011】
本発明の他の態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された加工層上に、前記レジストパターンの形成方法によって、レジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンと前記加工層との両方をエッチングするエッチング処理によって、前記加工層を、前記レジストパターンの形状に応じた形状の立体構造に加工する工程とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係るレジストパターンの形成方法によれば、所望の形状のレジストパターンを高精度に形成することができるという効果が得られる。
【0013】
本発明の一態様に係る立体構造の製造方法によれば、所望の形状に高精度に形成されたレジストパターンを用いて、立体構造を高精度に形成することができるという効果が得られる。
【0014】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法によれば、所望の形状に高精度に形成されたレジストパターンを用いて、半導体装置の構成の一部としての加工層を高精度に加工することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係るレジストパターンの形成方法における多層レジスト形成工程を概略的に示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るレジストパターンの形成方法における第1の波長の第1の光による露光工程を概略的に示す縦断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るレジストパターンの形成方法における第2の波長の第2の光による露光工程を概略的に示す縦断面図である。
【図4】第1の実施形態に係るレジストパターンの形成方法における現像工程を概略的に示す縦断面図である。
【図5】比較例のレジストパターンの形成方法における多層レジスト形成工程を概略的に示す縦断面図である。
【図6】比較例のレジストパターンの形成方法における多層レジストの露光工程及び酸拡散領域を概略的に示す縦断面図である。
【図7】第1の実施形態の変形例に係るレジストパターンの形成方法における現像工程を概略的に示す縦断面図である。
【図8】第1の実施形態の他の変形例に係るレジストパターンの形成方法における現像工程を概略的に示す縦断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る立体構造の製造方法における多層レジストのトレンチ形成工程を概略的に示す縦断面図である。
【図10】第2の実施形態に係る立体構造の製造方法における立体構造材料の充填工程を概略的に示す縦断面図である。
【図11】第2の実施形態に係る立体構造の製造方法における溶解除去工程を概略的に示す縦断面図である。
【図12】第3の実施形態に係る立体構造の製造方法における多層レジストの形成工程を概略的に示す縦断面図である。
【図13】第3の実施形態に係る立体構造の製造方法におけるエッチング工程を概略的に示す縦断面図である。
【図14】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるイオン打ち込み工程を概略的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《1》第1の実施形態
《1−1》第1の実施形態の方法
以下に、第1の実施形態に係るレジストパターンの形成方法を説明する。図1から図4までは、本発明の第1の実施形態に係るレジストパターンの形成方法における主要な工程を概略的に示す縦断面図であり、図1は多層レジスト20の形成工程を示し、図2は第1の波長λ1の第1の光L1による露光工程を示し、図3は第2の波長λ2の第2の光L2による露光工程を示し、図4は現像工程を示す。
【0017】
第1の実施形態においては、基板11とこの上に形成された加工層12とからなる支持部10上に、ホトリソグラフィ工程を用いてレジストパターンを形成する方法を説明する。基板11は、例えば、絶縁基板である。加工層12は、立体構造が形成される加工対象であり、例えば、シリコン層又は金属層である。ただし、レジストパターンを支持する支持部10の構造及び材料は、これらに限定されない。
【0018】
第1の実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、以下の手順により実行される。先ず、図1に示されるように、支持部10の一部を構成する加工層12上に、第1のレジスト層21を形成し、その上に第2のレジスト層22を形成することによって、多層レジスト20を形成する。第1のレジスト層21は、第1の波長λ1の第1の光L1による露光によって第1の現像可溶領域23が形成される材料であって、且つ、第2の波長λ2の第2の光L2による露光によって現像可溶領域が形成されない材料で形成される。第2のレジスト層22は、第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2の第2の光L2による露光によって第2の現像可溶領域24が形成される材料であって、且つ、第1の波長λ1の第2の光L1による露光によって現像可溶領域が形成されない材料で形成される。第1のレジスト層21と第2のレジスト層22とは異なった波長の光で感光するものであり、第1の実施形態においては、第1のレジスト層21の方が第2のレジスト層22よりも短波長の光に感光するように、材料が決められている。望ましい例としては、第1のレジスト層21として、Krfレーザ光(波長248nm)に感光する化学増幅型レジスト層を使用し、第2のレジスト層22としてi線(波長365nm)に感光する光分解反応型のレジスト(ノボラック樹脂系レジスト)層を使用することができる。この場合には、第1の光L1として、Krfレーザ光を用い、第2の光L2として、i線を用いる。
【0019】
第2のレジスト層22がノボラック樹脂系レジスト層である場合には、その厚さAは、通常、2000〜25000オングストロームの範囲内である。第1のレジスト層21が化学増幅型レジスト層である場合には、その厚さBは、通常、1000〜15000オングストロームの範囲内である。AとBの比は、段差30の希望する位置(多層レジスト20の厚さ方向の位置)に応じて決定される。
【0020】
次に、図2に示されるように、開口32を有する第1のマスク31を用いて多層レジスト20の第1の領域61に、第1の光L1(例えば、Krfレーザ光)による露光を施す。第1の光L1は、第2のレジスト層22を感光させず、第1のレジスト層21を感光させる。この結果、第1のレジスト層21に第1の現像可溶領域23が形成される。ここで、現像可溶領域とは、現像処理によって除去される性質を持つ領域である。
【0021】
次に、図3に示されるように、開口34を有する第2のマスク33を用いて多層レジスト20の第2の領域62に、第2の光L2(例えば、i線)による露光を施す。第2の光L2は、第1のレジスト層21を感光させず、第2のレジスト層22を感光させる。この結果、第2のレジスト層22に第2の現像可溶領域24が形成される。図示の例では、第2のマスク33の開口34は、第1のマスク31の開口32よりも幅広に形成されている。ただし、第1のマスク31の開口32及び第2のマスク33の開口34の形状、大きさ、及び配置は、図示の例に限定されず、希望するレジストパターンの形状に応じて決定すればよい。
【0022】
次に、図4に示されるように、露光が施された多層レジスト20に現像処理を施すことによって第1及び第2の現像可溶領域23及び24を除去して、レジストパターンを形成する。現像処理には、例えば、アルカリ現像液が用いられる。第1及び第2の現像可溶領域23及び24が除去された箇所には、段差30を有するトレンチ25が形成される。図4の例では、トレンチ25は、第1のレジスト層21内に形成された幅狭部分と第2のレジスト層22内に形成された幅広部分とから形成されている。トレンチ25の幅狭部分は第1の光L1による露光領域(領域61)に対応し、トレンチ25の幅広部分は第2の光L2による露光領域(領域62)に対応する。このように、第1の実施形態においては、トレンチ25の形状は、露光領域に対応しているので、複数のレジスト層の現像速度の差異や複数のレジスト層の感度の差異を利用してトレンチの形状を調整する方法に比べて、高精度な形状のトレンチを形成でき、その結果、高精度な形状のレジストパターンを形成することができる。
【0023】
なお、第1の実施形態においては、第1のレジスト層21として化学増幅型レジストを使用した場合であっても、第2のレジスト層22が第1のレジスト層21と外気との接触を防ぐため、保護膜を使用する必要がない。
【0024】
《1−2》比較例
図5及び図6は、比較例のレジストパターンの形成方法の各工程を概略的に示す縦断面図であり、図5は、多層レジスト形成工程を示し、図6は、露光工程を示す。比較例においては、図5に示されるように、基板111と加工層112を有する支持部110上に、感度の異なる化学増幅型レジストからなるレジスト層121,122を形成して多層レジスト120を形成し、その上に保護膜(カバー膜)123を形成する。次に、図6に示されるように、開口132を有する第1のマスク131を用いて多層レジスト120に、光L3による露光を施し、現像可溶領域を形成する。この結果、感度の高いレジスト層122では現像可溶領域123aが幅広になり、感度の低いレジスト層121では現像可溶領域123bが幅狭になる。
【0025】
化学増幅型レジストでは、その中に添加された酸発生剤が、光照射により酸を発生させ、露光後の加熱(ポストエキスポージャベーク)により、その酸が触媒として作用し、化学増幅型レジストがネガ型レジストである場合にはネガ型レジストに現像液に対する不溶化の性質を持たせ、化学増幅型レジストがポジ型レジストである場合にはポジ型レジストに現像液に対する可溶化の性質を持たせる。ところが、化学増幅型レジストを積層させた多層レジストでは、露光により発生した酸が拡散して下層との界面で酸拡散領域124を発生させ易い。ポジ型レジストにおいて酸拡散領域124の酸が拡散した場合には、希望しない領域まで現像時に溶解することになるので、レジストパターンの形状が所望の形状にならない。
【0026】
《1−3》第1の実施形態の効果
以上に説明したように、第1の実施形態に係るレジストパターンの形成方法によれば、露光領域に対応した幅のトレンチを形成することによってレジストパターンを形成しているので、上記比較例の場合に比べ、高精度な形状のレジストパターンを形成することができる。
【0027】
なお、第1の実施形態においては、第1のレジスト層21として化学増幅型レジストを使用した場合であっても、第2のレジスト層22が第1のレジスト層21と外気との接触を防ぐため、化学増幅型レジストを積層させた比較例のように保護膜123を使用する必要がなく、製造プロセスの簡素化を実現できる。
【0028】
《1−4》第1の実施形態の変形例
図7は、第1の実施形態の変形例に係るレジストパターンの形成方法における現像工程を概略的に示す縦断面図である。図7において、図4に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。図1から図4までに示した例では、第1のレジスト層21として、短波長の光に感光する化学増幅型レジスト層を使用し、第2のレジスト層22として長波長の光に感光する光分解反応型のレジスト(ノボラック樹脂系レジスト)層を使用した場合を説明したが、図7に示されるように、第1のレジスト層21aとして、長波長の光に感光するノボラック樹脂系レジスト層を使用し、第2のレジスト層22aとして短波長の光に感光する化学増幅型レジストを使用してもよい。ただし、この場合には、第2のレジスト層22aを外気にさらさないようにするための保護膜71を備える必要がある。このような形成方法によっても、高精度な形状のレジストパターンを形成することができる。
【0029】
また、図1から図4までに示した例では、露光にi線及びKrfレーザ光を使用する場合を例示したが、第1の光L1と第2の光L2として、他の波長の光を使用することができる。例えば、第1の光L1として、i線、Krfレーザ光、Arfレーザ光(波長193nm)、及びg線(波長436nm)のいずれかの光線を使用した場合には、第2の光L2として、i線、Krfレーザ光、Arfレーザ光、及びg線のいずれかであって、第1の光L1として使用される光線以外の光線を使用することができる。なお、トレンチの幅狭部分を形成するための露光には波長の短い光線を利用し、トレンチの幅広部分を形成するための露光には波長の長い光線を利用することが望ましい。
【0030】
図8は、第1の実施形態の他の変形例に係るレジストパターンの形成方法における現像工程を概略的に示す縦断面図である。図8において、図4に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。図1から図4までに示した例では、多層レジスト20が第1のレジスト層21と第2のレジスト層22とから構成される場合を説明したが、図8に示されるように、多層レジスト20bを第1のレジスト層21と第2のレジスト層22と第3のレジスト層72とから(又は、4層以上のレジスト層から)構成してもよい。この場合には、第3のレジスト層として、例えば、第1のレジスト層21と第2のレジスト層22と第3のレジスト層72として、それぞれ、i線で感光する材料、Krfレーザ光で感光する材料、Arfレーザ光で感光する材料を用いればよい。
【0031】
また、図1から図4までに示した例では、トレンチ25の断面形状がT字状の場合を説明したが、露光する領域及びレジスト層の厚さを変更することによって、トレンチ25の形状を所望の形状に変更することができる。
【0032】
また、図1から図4までに示した例では、第1のレジスト層21の上面と第2のレジスト層22の下面とが直接接触している場合を説明したが、第1のレジスト層21と第2のレジスト層22との間に、他のレジスト層を介在させてもよい。例えば、第1の波長λ1の第1の光L1と第2の波長の第2の光L2の両方に感光する他のレジスト層を、第1のレジスト層21と第2のレジスト層22との間に介在させてもよい。
【0033】
《2》第2の実施形態
図9は、本発明の第2の実施形態に係る立体構造の製造方法における多層レジストのトレンチ形成工程を概略的に示す縦断面図である。また、図10は、第2の実施形態に係る立体構造の製造方法における立体構造材料の充填工程を概略的に示す縦断面図であり、図11は、第2の実施形態に係る立体構造の製造方法における現像工程を概略的に示す縦断面図である。図9から図11までにおいて、図4に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。図9から図11までにおいては、基板11は、例えば、絶縁基板又は半導体ウェハなどであり、加工層12は、例えば、半導体シリコン層又は金属層などである。
【0034】
第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、先ず、第1の実施形態において説明したレジストパターンの形成方法によって、図9に示されるように、加工層12上に多層レジスト20からなるレジストパターンを形成する。図9には、多層レジスト20として、段差30を有するトレンチ29を備えたレジストパターンを示している。
【0035】
次に、図10に示されるように、トレンチ29内に、支持部10上に形成される立体構造材料を充填することによって、レジストパターンの形状に応じた形状の立体構造を形成する。
【0036】
次に、図11に示されるように、レジストパターンを過酸化水素水などの洗浄液で溶解剥離することによって除去し、図11に示されるような立体構造41が形成される。
【0037】
以上に説明したように、第2の実施形態に係る立体構造の製造方法によれば、所望の形状に高精度に形成されたレジストパターンを用いて、立体構造を高精度に形成することができる。
【0038】
また、第2の実施形態に係る立体構造の製造方法によれば、レジストパターンを形成した後に、所望の形状に高精度に形成されたレジストパターンを用いる簡単な処理によって、立体構造41を形成することができるので、製造プロセスの簡素化を実現することができる。
【0039】
なお、第2の実施形態に係る立体構造の製造方法は、半導体装置の構成部分(例えば、導電性材料からなる配線層など)の形成に適用することができる。
【0040】
また、立体構造41の下層の構造は図示の例に限らず、支持部10の構造は立体構造41を支持可能な構造であれば他の構造であってもよい。
【0041】
《3》第3の実施形態
図12は、本発明の第3の実施形態に係る立体構造の製造方法における多層レジストの形成工程を概略的に示す縦断面図である。また、図13は、第3の実施形態に係る立体構造の製造方法におけるエッチング工程を概略的に示す縦断面図である。図12及び図13において、図4に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。図12及び図13においては、基板11aは、例えば、絶縁基板であり、加工層12aは、例えば、半導体シリコン層又は金属層である。
【0042】
第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、先ず、第1の実施形態において説明したレジストパターンの形成方法によって、加工層12a上に多層レジスト20からなるレジストパターンを形成する。図12には、図4の場合と同様に、段差30を有するトレンチ25を備えたレジストパターンを示している。
【0043】
次に、多層レジスト20からなるレジストパターンと加工層12aとの両方をエッチングすることができるドライエッチング処理によって、図13に示されるように、加工層12aをレジストパターンの形状に応じた形状の立体構造に加工する。ここで、レジストパターンの形状に応じた形状とは、同一形状だけでなく、使用するエッチングガス及びその他のエッチング条件(印加電圧など)によるレジストパターンのエッチングレートと加工層12aのエッチングレートの比率に応じて、深さ方向に拡大又は縮小された形状を含む。加工層12aのエッチングレートがレジストパターンのエッチングレートよりも速ければ、レジストパターンの高さ(絶対値)よりも大きい深さ(絶対値)のトレンチが形成され、逆の場合には、レジストパターンの高さ(絶対値)よりも小さい深さ(絶対値)のトレンチが形成される。
【0044】
以上に説明したように、第3の実施形態に係る立体構造の製造方法によれば、所望の形状に高精度に形成されたレジストパターンを用いて、加工層12cからなる立体構造を高精度に形成することができる。
【0045】
また、第3の実施形態に係る立体構造の製造方法によれば、レジストパターンを形成した後に、所望の形状に高精度に形成されたレジストパターンを用いて、1回のエッチング処理によって、加工層12cからなる立体構造を形成することができるので、製造プロセスの簡素化を実現することができる。
【0046】
なお、第3の実施形態に係る立体構造の製造方法は、半導体装置の構成部分(例えば、導電性材料からなる配線層など)の形成に適用することができる。したがって、第3の実施形態に係る立体構造の製造方法は、半導体装置の製造方法に適用することができる。
【0047】
《4》第4の実施形態
図14は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるイオン打ち込み(イオンインプラント)工程を概略的に示す縦断面図である。図14において、図4に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。図14においては、基板11bは、例えば、絶縁基板であり、加工層12dは、例えば、シリコン層などの半導体層である。
【0048】
第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、先ず、第1の実施形態において説明したレジストパターンの形成方法によって、加工層12d上に多層レジスト20からなるレジストパターンを形成する。図14には、図4の場合と同様に、段差30を有するトレンチ25を備えたレジストパターンを示している。
【0049】
次に、レジストパターンが形成された図14に示されるような構造に、イオンインプラント装置によりイオン(例えば、ボロン、リンなど)を打ち込む。この打ち込みは、例えば、図14に示される構造の全域に、均一に行われる。イオンは、レジストパターンを介して(すなわち、トレンチ25の浅い部分及びレジスト層21を通過して、又は、レジストパターンのトレンチ25の貫通部分を通して)加工層12dに打ち込まれる。レジストパターンのトレンチ25の貫通部分を通過するイオンは、加工層12dの深い位置まで到達し、不純物領域51を形成する。レジストパターンのトレンチ25の浅い部分及びレジスト層21を通過するイオンは、この通過過程でエネルギーを失うので加工層12dの浅い位置までしか到達できず、不純物領域52を形成する。
【0050】
その後、必要な工程(例えば、レジストパターンの除去工程、アニール工程、他のレジストパターンの形成及びイオン打ち込み工程、配線形成工程など)を経て半導体装置を完成させる。
【0051】
以上に説明したように、第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、所望の形状に高精度に形成されたレジストパターンを用いて、半導体装置の構成の一部としての加工層(半導体層)12dの深さの異なる複数の位置に、1回のイオン打ち込み工程によって、不純物領域51,52を形成することができるので、製造プロセスの簡素化を実現することができる。
【0052】
また、第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、所望の形状に高精度に形成されたレジストパターンを用いて、半導体装置の構成の一部としての加工層12dにイオン打ち込みを行うので、加工層12dの正確な位置に不純物領域51,52を形成することができる。
【0053】
また、多層レジスト20を構成するレジスト層の数を3層以上とし、トレンチ25の深さを3段階以上にすることによって、1回のイオン打ち込み工程によって、深さの異なる3箇所以上の位置に不純物領域を形成することができる。
【0054】
さらに、多層レジスト20の最上層を構成するレジスト層(図14においては、第2のレジスト層22)として、環境の影響を受け難い光分解反応レジストを用いる場合には、専用のカバー膜を使用しなくても第1のレジスト層21を化学増幅型レジストで形成した場合であって、T−TOP形状などのようなパターン変形を起こし難い。
【符号の説明】
【0055】
10 支持部、 11,11a,11b 基板、 12,12a 加工層、 12c 加工層から形成された立体構造、 12d 加工層(半導体層)、 20,20a,20b 多層レジスト、 21,21a 第1のレジスト層、 22,22a,28 第2のレジスト層、 23 第1の現像可溶領域、 24 第2の現像可溶領域、 25,25a,25b,29 トレンチ、 30 段差、 31 第1のマスク、 32 開口、 33 第2のマスク、 34 開口、 41 加工層から形成された立体構造、 51,52 不純物拡散領域、 61 第1の領域、 62 第2の領域、 71 保護膜、 72 第3のレジスト層、 L1 第1の光、 L2 第2の光、 λ1 第1の光の波長、 λ2 第2の光の波長。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部上に、複数の積層されたレジスト層を含む多層レジストを形成する工程と、
前記多層レジストの第1の領域に、第1の波長の第1の光による露光を施す工程と、
前記多層レジストの第2の領域に、前記第1の波長と異なる第2の波長の第2の光による露光を施す工程と、
前記露光が施された前記多層レジストに現像処理を施すことによって、レジストパターンを形成する工程と
を有し、
前記複数のレジスト層は、前記第1の光による露光によって第1の現像可溶領域が形成される第1のレジスト層と、前記第2の光による露光によって第2の現像可溶領域が形成される第2のレジスト層とを含み、
前記レジストパターンを形成する工程は、前記多層レジストから前記第1及び第2の現像可溶領域を除去する工程を含む
ことを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項2】
前記多層レジストを形成する工程は、前記第1のレジスト層を形成する工程と、前記第1のレジスト層の上面に接する前記第2のレジスト層を形成する工程とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項3】
前記第1のレジスト層は、化学増幅型レジスト層であり、
前記第2のレジスト層は、ノボラック樹脂レジスト層である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項4】
前記第1のレジスト層は、ノボラック樹脂レジスト層であり、
前記第2のレジスト層は、化学増幅型レジスト層である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項5】
前記第2のレジスト層上に保護膜を形成する工程をさらに有する
ことを特徴とする請求項4に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
前記第2の現像可溶領域の幅は、前記第1の現像可溶領域の幅より広い
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
前記第1の光は、i線、Krfレーザ光、Arfレーザ光、及びg線のいずれかの光線であり、
前記第2の光は、i線、Krfレーザ光、Arfレーザ光、及びg線のいずれかであって、前記第1の光として使用される光線以外の光線である
ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項8】
前記支持部は、基板と、該基板上に形成された加工対象となる加工層とを含む
ことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項9】
支持部上に、請求項1から8までのいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法によって、前記支持部に達する深さの部分を有するトレンチを有するレジストパターンを形成する工程と、
前記トレンチ内に、前記支持部上に形成される立体構造材料を充填することによって、前記レジストパターンのトレンチの形状に応じた形状の立体構造を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程と
を有することを特徴とする立体構造の製造方法。
【請求項10】
加工層上に、請求項1から8までのいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法によって、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンと前記加工層との両方をエッチングするエッチング処理によって、前記加工層を、前記レジストパターンの形状に応じた形状の立体構造に加工する工程と
を有することを特徴とする立体構造の製造方法。
【請求項11】
半導体基板上に、請求項1から8までのいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法によって、前記半導体基板に達する深さの部分を有するトレンチを有するレジストパターンを形成する工程と、
前記トレンチ内に、前記半導体基板上に形成される立体構造材料を充填することによって、前記レジストパターンのトレンチの形状に応じた形状の立体構造を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記立体構造は、導電性材料からなる配線である
ことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体基板上に形成された加工層上に、請求項1から8までのいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法によって、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンと前記加工層との両方をエッチングするエッチング処理によって、前記加工層を、前記レジストパターンの形状に応じた形状の立体構造に加工する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
半導体層上に、請求項1から8までのいずれか1項に記載のレジストパターンの形成方法によって、レジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを介して前記半導体層にイオンを打ち込む工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−208350(P2012−208350A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74413(P2011−74413)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】