説明

レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法

【課題】優れたマスクエラーファクターでのレジストパターン製造用レジスト組成物の提供。
【解決手段】構造単位(aa)と、構造単位(a1−1)又は構造単位(a1−2)の構造単位(ab)とを有する樹脂(A1);構造単位(aa)を有さず、樹脂(A1)が有する構造単位(ab)と同一の構造単位(ab)を有する樹脂(A2);酸発生剤を含有し、かつ「0.8<α/β<1.2、αは樹脂(A1)の全構造単位に対する樹脂(A1)中の構造単位(ab)のモル%;βは樹脂(A2)の全構造単位に対する樹脂(A2)中の構造単位(ab)と同一の構造単位のモル%」の関係を満たすレジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及び該レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体の微細加工技術として、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)等の短波長光を露光源とする光リソグラフィ技術が活発に検討されている。このような光リソグラフィ技術に用いられるレジスト組成物としては、例えば、式(u−A)で表される構造単位及び式(u−B)で表される構造単位からなる樹脂と、式(u−B)で表される構造単位、式(u−C)で表される構造単位及び式(u−D)で表される構造単位からなる樹脂と、酸発生剤と、溶剤とを含有するレジスト組成物が知られている(特許文献1)。



【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−197413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる上記レジスト組成物から製造されるレジストパターンは、マスクエラーファクター(MEF)が必ずしも満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕式(aa)で表される構造単位と、式(a1−1)で表される構造単位及び式(a1−2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(ab)とを有する樹脂(A1);
式(aa)で表される構造単位を有さず、樹脂(A1)が有する構造単位(ab)と同一構造の構造単位(ab)を有し、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂(A2);並びに
酸発生剤を含有し、かつ
式(X1)で表される関係を満たすレジスト組成物。
0.8<α/β<1.2 (X1)
[式(X1)中、αは、樹脂(A1)の全構造単位に対する、樹脂(A1)が有する前記構造単位(ab)の含有割合〔モル%〕を表す。
βは、樹脂(A2)の全構造単位に対する、樹脂(A2)が有する前記構造単位(ab)と同一構造の構造単位の含有割合〔モル%〕を表す。]

[式(aa)中、
aa1は、水素原子又はメチル基を表す。
aa1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基又は式(a−1)で表される基を表す。

(式(a−1)中、
sは0又は1の整数を表す。
10及びX11は、それぞれ独立に、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
10、A11及びA12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。)
aa2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。]


[式(a1−1)中、
a1は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手である。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。m1は0〜14の整数を表す。
式(a1−2)中、
a2は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は前記と同義である。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手である。
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
a7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
〔2〕前記式(aa)のAaa1が、炭素数1〜6のアルカンジイル基である前記〔1〕記載のレジスト組成物。
〔3〕前記式(aa)のAaa1が、エチレン基である前記〔1〕記載のレジスト組成物。
〔4〕前記α及び前記βが、以下の式(X2)で表される関係を満たす前記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載のレジスト組成物。
0.9<α/β<1.1 (X2)
〔5〕前記構造単位(ab)が、前記式(a1−1)で表される構造単位である前記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載のレジスト組成物。
〔6〕前記酸発生剤が、式(B1)で表される酸発生剤である前記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載のレジスト組成物。

[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
〔7〕前記式(B1)のYが、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基である前記〔6〕記載のレジスト組成物。
〔8〕さらに溶剤を含む前記〔1〕〜〔7〕のいずれか記載のレジスト組成物
〔9〕(1)前記〔1〕〜〔8〕のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のレジスト組成物によれば、優れたマスクエラーファクター(MEF)のレジストパターンを製造することができる。また、欠陥数の少ないレジストパターンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に示す種々の化合物などにおいて共通する基を定義しておく。この定義において、「C」に付して記載した数値は、各々の基の炭素数を示すものである。
【0008】
本明細書において、「炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基をいう。該脂肪族炭化水素基はさらに鎖式及び脂環式に分類される。本明細書でいう脂肪族炭化水素基とは、特に定義しない限り、鎖式及び脂環式の脂肪族炭化水素基が組み合わさった脂肪族炭化水素基を含む。
【0009】
鎖式の脂肪族炭化水素基(鎖式炭化水素基)のうち1価のものは、典型的にはアルキル基であり、当該アルキル基としては、メチル基(C)、エチル基(C)、プロピル基(C)、ブチル基(C)、ペンチル基(C)、ヘキシル基(C)、ヘプチル基(C)、オクチル基(C)、デシル基(C10)、ドデシル基(C12)、ヘキサデシル基(C14)、ペンタデシル基(C15)、ヘキシルデシル基(C16)、ヘプタデシル基(C17)及びオクタデシル基(C18)などが挙げられ、これらは直鎖でも分岐していてもよい。この鎖式炭化水素基は特に限定しない限り、ここに例示したアルキル基の一部に炭素炭素二重結合を含んでいてもよいが、このような炭素炭素二重結合などを有さない、飽和の鎖式炭化水素基、特に飽和のアルキル基が好ましい。2価の鎖式炭化水素基は、ここに示したアルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が該当する。
【0010】
脂環式の脂肪族炭化水素基(以下、場合により「脂環式炭化水素基」という。)のうち1価のものは、典型的には、脂環式炭化水素から水素原子1個を取り去った基である。当該脂環式炭化水素基には、炭素炭素不飽和結合1個程度を含む不飽和脂環式炭化水素基でもよく、このような炭素炭素不飽和結合を含まない飽和脂環式炭化水素基でもよいが、本明細書でいう脂環式炭化水素基は飽和であると好ましい。また、脂環式炭化水素基は単環式のものであっても、多環式のものであってもよい。ここでは、水素原子を取り去る前の脂環式炭化水素を例示することにより、脂環式炭化水素基を例示することにする。単環式の脂環式炭化水素は典型的にはシクロアルカンであり、以下の式(KA−1)で表されるシクロプロパン(C)、式(KA−2)で表されるシクロブタン(C)、式(KA−3)で表されるシクロペンタン(C)、式(KA−4)で表されるシクロヘキサン(C)、式(KA−5)で表されるシクロヘプタン(C)、式(KA−6)で表されるシクロオクタン(C8)及び式(KA−7)で表されるシクロドデカン(C12)などが挙げられる。

多環式の脂環式炭化水素は例えば、

多環式の脂環式炭化水素は、例えば、以下の式(KA−8)で示されるビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(以下「ノルボルナン」という場合がある)ノルボルネン(C)、式(KA−9)で示されるアダマンタン(C10)及び式(KA−10)〜式(KA−22)で示される脂環式炭化水素などが挙げられる。
2価の脂環式炭化水素基とは、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が該当する。
【0011】
本明細書において、芳香族炭化水素基は1価の芳香族炭化水素基であり、典型的にはアリール基である。具体的には、フェニル基(C)、ナフチル基(C10)、アントリル基(C14)、ビフェニル基(C12)、フェナントリル基(C14)及びフルオレニル基(C13)などである。
【0012】
脂肪族炭化水素基は置換基を有することがある。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基を挙げることができる。
【0013】
ハロゲン原子は特に限定のない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。
アルコキシ基としては、メトキシ基(C)、エトキシ基(C)、プロポキシ基(C)、ブトキシ基(C)、ペンチルオキシ基(C)、ヘキシルオキシ基(C)、ヘプチルオキシ基(C7)、オクチルオキシ基(C8)、デシルオキシ基(C10)及びドデシルオキシ基(C12)などであり、これらアルコキシ基は直鎖でも分岐していてもよい。
アシル基としては、アセチル基(C)、プロピオニル基(C)、ブチリル基(C)、バレイル基(C)、ヘキシルカルボニル基(C)、ヘプチルカルボニル基(C7)、オクチルカルボニル基(C8)、デシルカルボニル基(C10)及びドデシルカルボニル基(C12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したものに加え、ベンゾイル基(C7)などのようにアリール基とカルボニル基とが結合したものを含む。これらアシル基のうち、アルキル基とカルボニル基とが結合したものの該アルキル基は直鎖でも分岐していてもよい。
アリール基としては、上述の芳香族炭化水素基のアリール基として例示したものと同じであり、アリールオキシ基の具体例は、当該アリール基と酸素原子とが結合したものである。
アラルキル基としては、ベンジル基(C7)、フェネチル基(C8)、フェニルプロピル基(C9)、ナフチルメチル基(C11)及びナフチルエチル基(C12)などである。
【0014】
芳香族炭化水素基も置換基を有することがある。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アルキル基及びアリールオキシ基を挙げることができる。これらのうち、アルキル基は、鎖式脂肪族炭化水素基として例示したものと同じであり、芳香族炭化水素基に任意に有する置換基のうち、アルキル基以外のものは、脂肪族炭化水素基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
【0015】
また、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0016】
<レジスト組成物>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(以下「樹脂(A)」という)及び酸発生剤(以下「酸発生剤(B)」という)を含有する。
樹脂(A)は、樹脂(A1)と、樹脂(A2)とを含む。
また、本発明のレジスト組成物は、さらに溶剤(D)及び/又は塩基性化合物(C)を含有していることが好ましい。
本レジスト組成物は、樹脂(A1)及び樹脂(A2)を組み合わせて含有することにより、優れたマスクエラーファクターのレジストパターンを製造できるという効果を発現する。
【0017】
〈樹脂(A1)〉
樹脂(A1)は、構造単位(aa)と、式(a1−1)で表される構造単位(a1−1)及び式(a1−2)で表される構造単位(a1−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(ab)とを有する。
【0018】
〈構造単位(aa)〉
構造単位(aa)は、以下の式(aa)で表される。

[式(aa)中、
aa1は、水素原子又はメチル基を表す。
aa1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基又は式(a−1)で表される基を表す。

(式(a−1)中、
sは0又は1の整数を表す。
10及びX11は、それぞれ独立に、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
10、A11及びA12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。)
aa2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。]
【0019】
aa1のアルカンジイル基は、例えば、Aaa1のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、1−メチルブタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐状アルカンジイル基が挙げられる。
アルカンジイル基に含まれる水素原子は、置換基(水素原子以外の1価の基)に置換されていてもよく、該置換基としては、ヒドロキシ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基などが挙げられる。
【0020】
aa1の基(a−1)は、X10及びX11のように、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基等の原子又は原子団を含む。
10、A11及びA12の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、1−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基等が挙げられる。
10、A11及びA12における置換基としては、ヒドロキシ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基などが挙げられる。
【0021】
酸素原子を有する基(a−1)としては、

などが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0022】
カルボニル基を有する基(a−1)としては、

などが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0023】
カルボニルオキシ基を有する基(a−1)としては、

などが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0024】
オキシカルボニル基を有する基(a−1)としては、

などが挙げられる(*は結合手を表す)。
【0025】
構造単位(aa)のAaa1は炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1〜4のアルカンジイル基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0026】
aa2の脂肪族炭化水素基は、部分的に、炭素炭素不飽和結合を有していてもよいが、炭素炭素不飽和結合を有さない飽和の脂肪族炭化水素基(脂肪族飽和炭化水素基)が好ましい。好ましい脂肪族炭化水素基としては、アルキル基(該アルキル基は直鎖でも分岐していてもよい。)及び脂環式炭化水素基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基などが挙げられる。
脂環式炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基及びメチルノルボルニル基並びに下記に示す基などが挙げられる。

また、Raa2は、これらのアルキル基及び脂環式炭化水素基のうち、二種以上を組み合わせた脂肪族炭化水素基でもよい。
【0027】
aa2の脂肪族炭化水素基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基及びアルコキシカルボニル基などが挙げられる。Raa2が、置換基を有する脂肪族炭化水素基である場合、置換基にある炭素原子を含めて、その合計炭素数は18以下であることが好ましい。このような炭素数の上限を踏まえ、ハロゲン原子、アルコキシ基及びアシル基の具体例は、すでに例示したものから選ぶことができる。なお、アルコキシカルボニル基は、例示したアルコキシ基とカルボニル基との組み合わせである。該置換基の中でもフッ素原子が好ましく、すなわち、Raa2の脂肪族炭化水素基はフッ素原子を有するものが好ましい。フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,1,2,2,3,3−ペプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基及びペルフルオロオクチル基などが挙げられる。
なかでも、好ましくは、フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基としては、トリペルフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基及びペルフルオロオクチル基などであり、より好ましくは、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基である。
【0028】
ここで、構造単位(aa)の具体例を示す。

【0029】

式(aa−1)〜式(aa−14)のいずれかで表される構造単位(aa)の具体例において、以下に示す部分構造Mを、以下に示す部分構造Aに置き換えたものも構造単位(aa)の具体例として挙げることができる。

【0030】
構造単位(aa)は、式(aa’)で表される化合物(以下、場合により「化合物(aa’)」という。)から誘導される。

(式(aa’)中の符号はいずれも、前記と同義である。)
【0031】
化合物(aa’)は、例えば、以下の反応式で表わされる方法などにより製造することができる。

式(aas−1)で表される化合物と式(aas−2)で表される化合物とを、溶媒中、触媒の存在下で反応させることが好ましい。かかる溶媒は、ジメチルホルムアミドなどが用いられる。触媒としては、炭酸カリウム及びヨウ化カリウムなどを用いればよい。
【0032】
式(aas−1)で表される化合物は、市場から容易に入手できるもの(市販品)が好ましい。このような市販品は、メタクリル酸などがある。
式(aas−2)で表される化合物は例えば、式(aas−3)で表される化合物と式(aas−4)で表される化合物とを反応させることで製造できる。この反応は、溶媒中、塩基触媒の存在下で実施される。この反応で用いる溶媒としては、テトラヒドロフランなどである。塩基触媒としては、ピリジンなどが用いられる。

式(aas−3)で表される化合物としては、例えばクロロアセチルクロリドなどが挙げられる。このクロロアセチルクロリドは市場から容易に入手できる。
式(aas−4)で表される化合物としては、例えば、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノールなどを用いればよい。この2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノールは市場から容易に入手できる。
【0033】
〈構造単位(ab)〉
構造単位(ab)は、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)は以下の式(a1−1)及び式(a1−2)で表される。

[式(a1−1)中、
a1は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手である。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
式(a1−2)中、
a2は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は前記と同義である。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手である。
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
a7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【0034】
a1及びLa2は、好ましくは、酸素原子又は、k1が1〜4の整数である−O−(CH2k1−CO−O−で表される基あり、より好ましくは酸素原子又は、−O−CH2−CO−O−であり、一層好ましくは酸素原子である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
【0035】
a6及びRa7の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基であり、この炭素数の上限以下の範囲で、すでに例示したものを含む。Ra6及びRa7の脂肪族炭化水素基はそれぞれ独立に、好ましくは炭素数8以下のアルキル基又は炭素数8以下の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数6以下のアルキル基又は炭素数6以下の脂環式炭化水素基である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は、好ましくは0又は1である。
【0036】
構造単位(a1−1)としては、以下の構造単位が挙げられる。

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】

【0041】

式(a1−1−1)〜式(a1−1−38)のいずれかで表される構造単位(a1−1)の具体例において、構造単位(aa)の具体例と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも構造単位(a1−1)の具体例として挙げることができる。
【0042】
なかでも、式(a1−1−1)、式(a1−1−2)及び式(a1−1−3)のいずれかで表される構造単位(a1−1)並びにこれらの構造単位(a1−1)の部分構造Mが部分構造Aに置き換えられたものが好ましく、式(a1−1−1)、式(a1−1−2)及び式(a1−1−3)のいずれかで表される構造単位(a1−1)がより好ましく、式(a1−1−1)及び式(a1−1−2)のいずれかで表される構造単位(a1−1)がさらに好ましい。なお、これら好ましい構造単位(a1−1)を有する樹脂(A)は、該樹脂(A)を製造する際に、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート又は2−イソプロピルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートなどを製造用原料(モノマー)として用いればよい。
【0043】
次に、構造単位(a1−2)の具体例を示す。

式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)のいずれかで表される構造単位(a1−2)の具体例において、構造単位(aa)の具体例と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも構造単位(a1−2)の具体例として挙げることができる。
【0044】
なかでも、式(a1−2−1)、式(a1−2−2)、式(a1−2−4)及び式(a1−2−5)のいずれかで表される構造単位(a1−2)並びにこれらの構造単位(a1−2)の部分構造Mが部分構造Aに置き換えられたものが好ましく、式(a1−2−4)及び式(a1−2−5)のいずれかで表される構造単位ならびにこれらの構造単位(a1−2)の部分構造Mが部分構造Aに置き換えられたものがより好ましい。このような構造単位(a1−2)を有する樹脂(A)を製造するためには、1−メチル−2−シクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレートなどをモノマーとして用いればよい。
【0045】
樹脂(A1)において、構造単位(aa)と、構造単位(ab)とは、各々一種ずつ有していてもよいし、一方が複数種であり、他方が一種であってもよい。これらのうち、樹脂(A1)を容易に製造できる点では、構造単位(aa)と、構造単位(ab)とを各々一種ずつ有しているものが好ましい。構造単位(aa)及び構造単位(ab)の組み合わせとしては例えば、以下の表1及び表2に示される。なお、表1では、式(aa−1)で表される構造単位(aa)などを、その式番号に応じて、「(aa−1)」などと表記し、式(a1−1−1)で表される構造単位(a1−1)、式(a1−2−1)で表される構造単位(a1−2)などを、その式番号に応じて、「(a1−1−1)」、「(a1−2−1)」などと表記する。また、例えば「(aa−1)/(aa−3)」の表記は、構造単位(aa)として、式(aa−1)で表される構造単位と、式(aa−3)で表される構造単位とをともに有することを意味する。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
樹脂(A1)の全構造単位(100モル%)に対する構造単位(aa)及び構造単位(ab)それぞれの含有割合は、5〜95モル%の範囲が好ましく、10〜90モル%の範囲がさらに好ましい。すなわち、樹脂(A1)の全構造単位に対する構造単位(ab)の含有割合α[以下、場合により「樹脂(A1)での含有割合α」という。](モル%)は、5〜95モル%の範囲が好ましく、10〜90モル%の範囲がさらに好ましい。ただし、この樹脂(A1)での含有割合αは、樹脂(A2)の全構造単位に対する構造単位(ab)の含有割合β[以下、場合により「樹脂(A2)での含有割合β」という。](モル%)との間に、前記式(X1)で表される関係を満たすことが必要であり、樹脂(A2)での含有割合βを考慮して、樹脂(A1)での含有割合αを定める必要がある。なお、このような樹脂(A1)は、該樹脂(A1)製造時に用いる全モノマーの総モル量に対する化合物(aa’)、構造単位(ab)を誘導するモノマー[構造単位(a1−1)を誘導するモノマー及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマー]それぞれの使用モル量を調節することで製造できる。
樹脂(A1)での含有割合αを求めるには、以下のようにすればよい。
樹脂(A)を製造する際に用いるモノマーの各々の量と、樹脂(A1)製造後に重合反応混合物に残存したモノマーの各々の量とから、樹脂(A1)製造に消費されたモノマー各々の量を求め、樹脂(A1)中の全構造単位の物質量(樹脂(A1)製造に消費されたモノマーの全量)と、構造単位(ab)の形成に消費されたモノマーの総物質量とから、樹脂(A1)での含有割合αを算出する。
あるいは、製造された樹脂(A1)から樹脂(A1)での含有割合αを求める場合には、NMR(H−NMR,13C−NMR)分析により各構成単位の比率を測定し、樹脂(A1)での含有割合αを算出する。
【0049】
樹脂(A1)は、構造単位(aa)及び構造単位(ab)以外に、他の構造単位を有することもある。ここで、樹脂(A1)が有することもある、構造単位(aa)、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)以外の構造単位としては、後述するモノマー及び公知のモノマー等に由来する構造単位が挙げられる。なかでも、酸安定モノマーに由来する構造単位などが好ましく、特に、酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位がより好ましい。樹脂(A1)が酸安定構造単位を有する場合、樹脂(A1)を含有する本レジスト組成物は、後述するレジストパターンの製造において、本レジスト組成物を基板に塗布したとき、基板上に形成される塗布膜又は塗布膜から得られる組成物層が基板との間に優れた密着性を発現し易い傾向がある。
ただし、樹脂(A1)が他の構造単位を有する場合、その含有割合は、50モル%以下の範囲が好ましく、30モル%以下の範囲がさらに好ましく、このような他の構造単位を樹脂(A1)は有さないことがさらに好ましい。
【0050】
〈樹脂(A2)〉
樹脂(A2)は上述のとおり、以下の要件を満たすものである。
(1)構造単位(aa)を有さないこと;
(2)アルカリ水溶液に不溶又は難溶であること;
(3)酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となること;
(4)樹脂(A1)と同一の構造単位(ab)を有すること;
(5)樹脂(A2)での含有割合β(モル%)が、前記樹脂(A1)での含有割合αとの間で、
0.8<α/β<1.2 (X1)
の関係を満たすこと。
【0051】
要件(1)の「構造単位(aa)を有しないこと」とは、すでに樹脂(A1)の説明で示した構造単位(aa)を、該樹脂(A2)が有さないことをいう。構造単位(aa)は前記式(aa)で表されるものであり、その具体例は上述のとおりである。
【0052】
要件(2)及び要件(3)の「アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる」特性とは、酸の作用を受ける前は、アルカリ水溶液(特に、後述するレジストパターンの製造方法で用いる現像液が挙げられる。)に不溶又は難溶であるが、酸の作用を受けた後は、該アルカリ水溶液に可溶となる特性(以下、場合により「樹脂(A2)特性」という。)をいう。かかる樹脂(A2)特性と、酸発生剤の効果との相乗効果により、本レジスト組成物はレジストパターンを製造することができる。
このような樹脂(A2)は、分子内に酸不安定基を有する。ここでいう「酸不安定基」とは、酸との接触により脱離し得る保護基により保護されている親水性基を意味し、かかる親水性基としては、ヒドロキシ基又はカルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基がより好ましい。分子内に酸不安定基を有するためには、当該分子内に酸不安定基を含む構造単位(以下、場合により「構造単位(a1)」という。)を有することが好ましい。
なお、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)も酸不安定基を含む構造単位である。すなわち、樹脂(A1)は、樹脂(A2)特性と同じ特性を有する。
【0053】
要件(4)は、樹脂(A2)が、該樹脂(A2)とともに用いる樹脂(A1)と同一の構造単位(ab)を有するというものである。例えば、樹脂(A1)及び樹脂(A2)がともに、式(a1−1−3)で表される構造単位を有する場合は、この式(a1−1−3)で表される構造単位が構造単位(ab)に該当し、式(a1−1−3)で表される構造単位の樹脂(A1)及び樹脂(A2)での含有割合により、それぞれ、α及びβを定め、α/βを算出する。また、例えば、樹脂(A1)及び樹脂(A2)がともに、式(a1−1−3)で表される構造単位と、式(a1−2−5)で表される構造単位とを有する場合は、式(a1−1−3)で表される構造単位及び式(a1−2−5)で表される構造単位の両方が構造単位(ab)に該当し、式(a1−1−3)で表される構造単位及び式(a1−2−5)で表される構造単位の樹脂(A1)及び樹脂(A2)の合計含有割合により、それぞれ、α及びβを定め、α/βを算出する。なお、樹脂(A1)での含有割合αを求める方法は上述のとおりであり、樹脂(A2)での含有割合βを求めるには、樹脂(A1)での含有割合αを同様に方法が挙げられる。すなわち、樹脂(A1)での含有割合αを求める方法において、「樹脂(A1)」を「樹脂(A2)」に、「樹脂(A1)での含有割合α」を「樹脂(A2)での含有割合β」に読み替えればよい。
【0054】
要件(5)は、上述のようにして求められたα及びβが、式(X1)の関係を満たすというものである。この関係を満たす樹脂(A1)及び樹脂(A2)を含有する本レジスト組成物は、優れたマスクエラーファクターのレジストパターンを製造できるという効果を発現する。α/βが小さいと、樹脂(A1)と樹脂(A2)の露光後の現像液に対する溶解コントラストが異なることによりマスクエラーファクターが悪くなる。同様に、α/βが大きいと、α/βが小さい場合と同様にマスクエラーファクターが悪くなる。この点から、α/βは、より好ましくは、以下の式(X2)で表される関係を、さらに好ましくは、以下の式(X3)で表される関係を満たす。
0.9<α/β<1.1 (X2)
0.95<α/β<1.05 (X3)
【0055】
〈酸不安定基〉
親水性基がカルボキシ基である場合の酸不安定基は、該カルボキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、カルボキシ基の−O−と結合する該有機残基の原子が第三級炭素原子である基(すなわち第三アルコールのエステル)が挙げられる。このような酸不安定基のうち、好ましい酸不安定基は例えば、以下の式(1)で表されるもの(以下、場合により「酸不安定基(1)」という。)である。

式(1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2が結合して、それらが結合する炭素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。Ra1及びRa2が結合して形成される環及び該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
【0056】
a1〜Ra3の脂肪族炭化水素基は、アルキル基又は脂環式炭化水素基である。このアルキル基の具体例は、すでに例示したアルキル基のうち、炭素数が1〜8の範囲において、すでに例示したものを含む。脂環式炭化水素基も、炭素数が8以下の範囲において、すでに例示したものを含む。
【0057】
a1及びRa2が結合して環を形成するとは、−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)で表される基が、下記に示すいずれかのものとなることをいう。このような環の炭素数は、好ましくは3〜12の範囲である。

【0058】
酸不安定基(1)としては、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3が全てアルキル基である基、このアルキル基のうち、1つはtert−ブチル基であると好ましい。)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2が結合し、これらが結合する炭素原子とともにアダマンタン環を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0059】
一方、親水性基がヒドロキシ基である場合の酸不安定基は、該ヒドロキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、アセタール構造又はケタール構造を含む基となったものが挙げられる。このような酸不安定基のうち、好ましい酸不安定基は例えば、以下の式(2)で表されるもの(以下、場合により「酸不安定基(2)」という。)である。

式(2)中、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rb3は、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Rb2及びRb3は結合して、それらが各々結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。該炭化水素基がメチレン基を含む場合、そのメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、Rb2及びRb3が結合して形成される環を構成するメチレン基も、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
【0060】
b1〜Rb3の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよく、その具体例も炭素数の上限が20以下である範囲において、すでに例示したものを含むが、Rb1及びRb2のうち、少なくとも1つは水素原子であると好ましい。
b2及びRb3が結合して形成する環は、上述したRa1及びRa2が互いに結合して形成する環の1つの炭素原子が1つの酸素原子と置き換わったものが挙げられる。
【0061】
酸不安定基(2)の具体例としては、以下の基が挙げられる。

【0062】
樹脂(A2)が、構造単位(ab)以外に有する構造単位(a1)は、酸不安定基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマーから誘導されるものが好ましく、酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーから誘導されるものがさらに好ましい。
【0063】
樹脂(A2)が有する構造単位(a1)は、構造単位(ab)のように、その酸不安定基(1)自体が、炭素数5〜20の脂肪族環を部分構造としていると好ましい。立体的に嵩高い基の酸不安定基(1)を含む構造単位(ab)を有する樹脂(A1)及び樹脂(A2)を用いることにより、これらを含有する本レジスト組成物は、より良好な解像度でレジストパターンを製造できる。
【0064】
樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対する構造単位(ab)の含有割合βは、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲が一層好ましい。ただし、樹脂(A2)での含有割合βは、すでに説明した樹脂(A1)での含有割合αを考慮して定める必要がある。また、樹脂(A2)での含有割合βは、該樹脂(A2)が要件(2)及び要件(3)を満たすことも考慮して定めることも必要である。樹脂(A2)での含有割合βで、構造単位(ab)を有する樹脂(A2)は、該樹脂(A2)製造時に用いる全モノマー量に対する、構造単位(ab)、すなわち構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマーの量を調節することで製造できる。
【0065】
樹脂(A2)は、樹脂(A1)が有する構造単位(ab)と同一ではない構造単位(a1−1)や、樹脂(A1)が有する構造単位(ab)と同一ではない構造単位(a1−2)〔樹脂(A1)が有する構造単位(ab)と同一ではない構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)〕を有していてもよい。樹脂(A2)が有する構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)のうち、樹脂(A1)が有しないものは、構造単位(ab)には該当しない。また、樹脂(A2)には、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)の他に、酸不安定基を有する構造単位(a1)〔他の構造単位(a1)〕を有していてもよい。以下に、他の構造単位(a1)の具体例を、該他の構造単位(a1)を誘導するモノマーを挙げることで示すことにする。
【0066】
他の構造単位(a1)としては例えば、以下の式(a1−3)で表されるノルボルネン環を有するモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−3)」という。)から誘導されるものが挙げられる。このモノマー(a1−3)からは、酸不安定基(1)を有する構造単位(a1)が誘導される。

式(a1−3)中、
a9は、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、シアノ基又は−COORa13(Ra13は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子は、ヒドロキシ基に置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。)を表す。
a10、Ra11及びRa12は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表すか、或いは、Ra10及びRa11が結合して、これらが結合している炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成する。なお、この脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基などに置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
【0067】
a9のヒドロキシ基を有するアルキル基は例えば、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
a10〜Ra12の脂肪族炭化水素基は、鎖式炭化水素基(例えば、アルキル基)及び脂環式炭化水素基のいずれでもよく、その具体例は、炭素数20以下の範囲において、すでに例示したものを含む。
a10及びRa11が結合して形成される環は、脂肪族環が好ましく、具体的には、シクロへキサン環及びアダマンタン環がより好ましい。
【0068】
a9のアルコキシカルボニル基は例えば、メトキシカルボニル基(C)及びエトキシカルボニル基(C)など、すでに例示したアルコキシ基にカルボニル基がさらに結合した基が挙げられる。
【0069】
モノマー(a1−3)としては、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルなどが挙げられる。
【0070】
モノマー(a1−3)を用いて樹脂(A2)を製造した場合、この樹脂(A2)にはモノマー(a1−3)に由来する、立体的に嵩高い構造単位が含まれる。このように立体的に嵩高い構造単位を有する樹脂(A2)を含有する本レジスト組成物により、レジストパターンを製造すれば、より良好な解像度でレジストパターンを得ることができる。さらにモノマー(a1−3)を用いることにより、樹脂(A2)の主鎖に剛直なノルボルナン環を導入できるため、該樹脂(A2)を含有する本レジスト組成物は、ドライエッチング耐性に優れたレジストパターンが得られ易いという傾向がある。
【0071】
上述のように、良好な解像度でレジストパターンを製造できる点や、ドライエッチング耐性に優れたレジストパターンが得られ易いという点では、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対する、モノマー(a1−3)に由来する構造単位の含有割合は10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0072】
酸不安定基(2)を有するモノマーとしては、例えば、以下の式(a1−4)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−4)」という。)が挙げられる。

式(a1−4)中、
a32は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基(ハロアルキル基)、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a33は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
laは0〜4の整数を表す。laが2以上である場合、複数のRa33は同一でも異なっていてもよい。
a34及びRa35はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
a2は、単結合又は炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基及び炭素数2〜4のアシルオキシ基に置換されていてもよい。ここに示す置換基の具体例は、炭素数が各々の上限である範囲において、すでに例示したものを含む。Xa2の脂肪族炭化水素基は、鎖式炭化水素基であると好ましく、アルキル基であるとさらに好ましい。該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は−N(R)−で示される基に置き換わっていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a3は、炭素数1〜18の炭化水素基であり、好ましくは、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であり、これらの炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を有していてもよい。
【0073】
a32の「ハロゲン原子を有してもよいアルキル基」のうち、アルキル基の具体例としては、炭素数1〜6の範囲において、すでに例示したものを含む。ハロアルキル基としては、アルキル基を構成する水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子に置換されたものである。具体的にハロアルキル基を挙げると、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基及びトリヨードメチル基などである。
a32及びRa33のハロゲン原子、アルコキシ基及びアシル基の具体例は、すでに例示したものを含む。
a34及びRa35の炭化水素基は、鎖式炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。その具体例は、各々の炭素数の範囲において、すでに例示したものを含む。これらのうち、該鎖式炭化水素基としては、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が好ましく、該脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基が好ましい。該芳香族炭化水素基は、フェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基及び2−メチル−6−エチルフェニルが好ましい。
【0074】
a32及びRa33がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a33のアルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0075】
上述したように、Xa2及びYa3は、これらに含まれる水素原子が、ハロゲン原子及びヒドロキシ基などの置換基に置換されていてもよいが、このように水素原子が置換されている場合、その置換基は好ましくはヒドロキシ基である。
【0076】
モノマー(a1−4)としては、以下のモノマーが挙げられる。

【0077】

【0078】

ここに示すモノマー(a1−4)において、以下に示す部分構造V’を、以下に示す部分構造P’に置き換えたものもモノマー(a1−4)の具体例として挙げることができる。

【0079】
樹脂(A2)が、モノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0080】
酸不安定基(2)を有するモノマーとして、例えば、式(a1−5)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−5)」という場合がある。)も用いることができる。

式(a1−5)中、
31は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
〜Lは、酸素原子又は硫黄原子又は−O−(CH2k1−CO−O−で表される基を表す。ここで、k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
s1及びs1’は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表す。
【0081】
31としては、水素原子及びメチル基が好ましい。
としては、酸素原子が好ましい。
及びLは、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子である。L及びLは、一方が酸素原子、他方が硫黄原子であると好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。Zとしては、単結合又は−CH−CO−O−が好ましい。
【0082】
モノマー(a1−5)としては、以下のモノマーが挙げられる。ここでは、R31がメチル基である具体例を示すことにするが、このメチル基を水素原子に置き換えたものも、モノマー(a1−5)の具体例である。

【0083】

【0084】
樹脂(A2)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0085】
樹脂(A2)は構造単位(ab)を有しているので、かかる構造単位(ab)の作用で、該樹脂(A2)が、要件(2)及び要件(3)を十分満たすのであれば、構造単位(A2)は、このような他の構造単位(a1)を有しなくてもよい。また、ここに示した他の構造単位(a1)を樹脂(A1)が有していてもよい。この場合、樹脂(A1)も、樹脂(A2)特性と同じ特性を有することがある。
【0086】
〈酸安定構造単位〉
本レジスト組成物に含有される樹脂(A2)としては、酸不安定基を有さない構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位」という。)を有していると好ましい。なお、上述のとおり、樹脂(A1)においても、構造単位(aa)及び構造単位(ab)以外に、酸安定構造単位を有することもある。
【0087】
樹脂(A2)が酸安定構造単位を有する場合、構造単位(a1)〔構造単位(ab)と、構造単位(ab)以外の構造単位(a1)との合計〕の含有割合を基準にして、酸安定性構造単位の含有割合を定めるとよい。構造単位(a1)の含有割合と酸安定性構造単位の含有割合との比は、〔構造単位(a1)〕/〔酸安定構造単位〕で表して、好ましくは10〜80モル%/90〜20モル%であり、より好ましくは20〜60モル%/80〜40モル%である。また、樹脂(A2)が有する構造単位(ab)及び構造単位(ab)以外の構造単位(a1)のいずれかは、アダマンタン環を有する構造単位、特に構造単位(a1−1)であると好ましく、この場合、樹脂(A2)が有する構造単位(a1)の総量(100モル%)に対して、構造単位(a1−1)の割合を15モル%以上とすることが好ましい。このようにすると、該樹脂(A2)を含有する本レジスト組成物から得られるレジストパターンのドライエッチング耐性がより良好になる傾向がある。
【0088】
酸安定構造単位は、ヒドロキシ基又はラクトン環を有する構造単位が好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位(以下、「酸安定構造単位(a2)」という場合がある。)及び/又はラクトン環を有する酸安定構造単位(以下、「酸安定構造単位(a3)」という場合がある。)を有する樹脂(A)は、樹脂(A1)の場合ですでに説明したとおり、塗布膜又は組成物層が基板との間に優れた密着性を発現し易くなる。そのため、この本レジスト組成物は良好な解像度で、レジストパターンを製造することができる。なお、ここでいう本レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法に関しては後述する。まず、酸安定構造単位として好適な、酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)に関して具体例を挙げつつ説明する。なお、以下の説明では、樹脂(A1)及び樹脂(A2)を総称して、「樹脂(A)」ということがある。
【0089】
<酸安定構造単位(a2)>
本レジスト組成物を、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)、電子線あるいはEUV光などの高エネルギー線を露光に用いる場合には、酸安定構造単位(a2)として、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位(a2−0)を樹脂(A)に導入することが好ましい。短波長のArFエキシマレーザ(波長:193nm)を露光源とする露光を用いる場合は、酸安定構造単位(a2)として、後述の式(a2−1)で表される酸安定構造単位を樹脂(A)に導入することが好ましい。このように、樹脂(A)が有する酸安定構造単位(a2)は各々、レジストパターンを製造する際の露光源によって好ましいものを選ぶことができるが、樹脂(A)が有する酸安定構造単位(a2)は、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)1種のみを有していてもよく、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)2種以上を有していてもよく、或いは、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)と、それ以外の酸安定構造単位(a2)とを組み合わせて有していてもよい。
【0090】
<酸安定構造単位(a2−1)>
酸安定構造単位(a2−1)は、以下の式(a2−1)で表される構造単位(以下、「酸安定構造単位(a2−1)」という場合がある。)が挙げられる。

式(a2−1)中、
a3は、酸素原子又は−O−(CH2k2−CO−O−(k2は1〜7の整数を表す。)を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0091】
a3は、好ましくは、酸素原子又は、k2が1〜4の整数である−O−(CH2k2−CO−O−で表される基であり、より好ましくは、酸素原子又は、−O−CH2−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0092】
酸安定構造単位(a2−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0093】

【0094】

式(a2−1−1)〜式(a2−1−17)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)の具体例において、構造単位(aa)の具体例と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも酸安定構造単位(a2−1)の具体例として挙げることができる。
【0095】
例示した酸安定構造単位(a2−1)の中でも、式(a2−1−1)、式(a2−1−2)、式(a2−1−13)及び式(a2−1−15)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)並びにこれらの酸安定構造単位(a2−1)の部分構造Mが部分構造Aに置き換わったものが好ましく、式(a2−1−1)、式(a2−1−2)、式(a2−1−13)及び式(a2−1−15)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)がさらに好ましい。これらの酸安定構造単位(a2−1)を有する樹脂(A)は、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸1−(3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルオキシカルボニル)メチルなどをモノマーとして用いればよい。
【0096】
樹脂(A2)が、酸安定構造単位(a2−1)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対して、3〜40モル%の範囲から選ばれ、5〜35モル%の範囲がより好ましく、5〜30モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A1)が、酸安定構造単位(a2−1)を有する場合、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)からなる群から選ばれる構造単位並びに構造単位(aa)の合計含有割合を考慮して、酸安定構造単位(a2−1)の含有割合を適宜調整すればよい。
【0097】
<酸安定構造単位(a2−0)>
酸安定構造単位(a2)は、以下の式(a2−0)で表される構造単位(以下、「酸安定構造単位(a2−0)」という場合がある。)が挙げられる。

式(a2−0)中、
a30は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31は同一でも異なっていてもよい。
【0098】
a30のハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基及びハロゲン原子の具体例は、式(a1−4)のRa32で例示したものと同じである。これらのうち、Ra30は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a31のアルコキシ基としては、すでに例示したものを含む。これらのうち、Ra31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
a31のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
【0099】
酸安定構造単位(a2−0)を誘導するモノマー(以下、「酸安定モノマー(a2−0)」という場合がある。)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

ここに例示する具体例において、ベンゼン環に結合しているメチル基やエチル基を、Ra31として例示したその他の置換基に置き換えたものも、酸安定モノマー(a2−0)の具体例である。
【0100】
酸安定モノマー(a2−0)を用いて樹脂(A)を製造する場合、該酸安定モノマー(a2−0)にあるフェノール性ヒドロキシ基が保護基で保護されているモノマーを用いることもできる。保護基としては、例えば、酸又は塩基で脱離する保護基などが好ましい。酸又は塩基で脱離する保護基で保護されたフェノール性ヒドロキシ基は、酸又は塩基との接触により脱保護することができる。ただし、樹脂(A)は、酸不安定基を含む構造単位(a1)を有しているので、保護基で保護されたフェノール性ヒドロキシ基を脱保護する際には、構造単位(a1)の酸不安定基を著しく損なわないよう塩基との接触により、脱保護することが好ましい。保護基としては例えば、アセチル基、ベンゾイル基等が好ましい。塩基としては、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0101】
なかでも、酸安定モノマー(a2−0)としては、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが好ましい。
【0102】
樹脂(A2)が、酸安定構造単位(a2−0)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜95モル%の範囲から選ばれ、10〜80モル%の範囲がより好ましく、15〜80モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A1)が、酸安定構造単位(a2−0)を有する場合、その含有割合は、酸安定構造単位(a2−1)で説明したようにして定めればよい。
【0103】
〈酸安定構造単位(a3)〉
酸安定構造単位(a3)が有するラクトン環は例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環及びδ−バレロラクトン環のような単環式でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
【0104】
酸安定構造単位(a3)は好ましくは、以下の式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表されるものである。樹脂(A)は、これらのうち1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。なお、以下の説明においては、式(a3−1)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−1)」といい、式(a3−2)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−2)」といい、式(a3−3)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−3)」という。

[式(a3−1)中、
a4は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a18は、水素原子又はメチル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a21は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、p1が2以上の場合、複数のRa21は同一でも異なっていてもよい。
式(a3−2)中、
a5は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
q1は、0〜3の整数を表す。
a22は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、q1が2以上の場合、複数のRa22は同一でも異なっていてもよい。
式(a3−3)中、
a6は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a20は、水素原子又はメチル基を表す。
r1は、0〜3の整数を表す。
a23は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、r1が2以上の場合、複数のRa23は同一でも異なっていてもよい。]
【0105】
式(a3−1)〜式(a3−3)において、La4〜La6は、それぞれ独立に、酸素原子又は、k3が1〜4の整数である*−O−(CH2k3−CO−O−で表される基が好ましく、酸素原子又は、*−O−CH2−CO−O−がより好ましく、さらに好ましくは酸素原子である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0106】
γ−ブチロラクトン環を有する酸安定構造単位(a3−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0107】

【0108】
γ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定構造単位(a3−2)としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0109】

【0110】
γ−ブチロラクトン環とシクロヘキサン環との縮合環を有する酸安定構造単位(a3−3)は例えば、以下のものが挙げられる。

式(a3−1−1)〜式(a3−1−11)のいずれかで表される酸安定構造単位(a3−1)、式(a3−2−1)〜式(a3−2−11)のいずれかで表される酸安定構造単位(a3−2)及び式(a3−3−1)〜式(a3−3−6)のいずれかで表される酸安定構造単位(a3−3)において、構造単位(aa)の例示と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも、各々酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)の具体例として挙げることができる。また、この例示において、ラクトン環が有する置換基(Ra21〜Ra23)としてメチル基を有するものも例示したが、このメチル基を上述のような基に置き換えたものも、酸安定構造単位(a3)の具体例として挙げられる。
【0111】
酸安定構造単位(a3)の中でも、α−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロ−2−オキソ−3−フリル及び(メタ)アクリル酸2−(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチルなどから誘導される酸安定構造単位(a3)が好ましい。
【0112】
樹脂(A2)が、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)からなる群より選ばれる酸安定構造単位(a3)を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜70モル%の範囲が好ましく、10〜65モル%の範囲がより好ましく、10〜60モル%の範囲がさらに好ましい。また、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)それぞれの含有量は、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜60モル%の範囲が好ましく、10〜55モル%の範囲がより好ましく、20〜50モル%の範囲がさらに好ましく、20〜45モル%の範囲が一層好ましい。
樹脂(A1)が、前記の群より選ばれる酸安定構造単位(a3)を有する場合、その含有割合は、酸安定構造単位(a2−1)で説明したようにして定めればよい。
【0113】
〈酸安定モノマー(a4)〉
他の酸安定構造単位を、他の酸安定構造単位を誘導するモノマー(酸安定モノマー)を挙げることで示すことにする。なお、以下の説明において、他の酸安定構造単位を誘導するモノマーを「酸安定モノマー(a4)」という。
【0114】
酸安定モノマー(a4)として、以下の式(a4−1)で表される無水マレイン酸、式(a4−2)で表される無水イタコン酸、及び、式(a4−3)で表されるノルボルネン環を有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a4−3)」という場合がある。)などを挙げることができる。

[式(a4−3)中、
a25及びRa26は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、シアノ基、カルボキシ基又は−COORa27〔Ra27は、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。但し−COORa27が酸不安定基となるものは除く(すなわち、Ra27は、3級炭素原子が−O−と結合するものを含まない)〕を表すか、或いはRa25及びRa26が結合して−CO−O−CO−を形成する。]
【0115】
式(a4−3)のRa25及びRa26において、ヒドロキシ基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが好ましい。
a27の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数4〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数4〜12の脂環式炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基及び2−オキソ−オキソラン−4−イル基などがさらに好ましい。
【0116】
酸安定モノマー(a4−3)としては、例えば、2−ノルボルネン、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、5−ノルボルネン−2−メタノール及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0117】
樹脂(A2)が、式(a4−1)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位、式(a4−2)で表される無水イタコン酸に由来する構造単位及びモノマー(a4−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜30モル%の範囲がより好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A1)が、式(a4−1)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位、式(a4−2)で表される無水イタコン酸に由来する構造単位及びモノマー(a4−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位を有する場合、その含有割合は、酸安定構造単位(a2−1)で説明したようにして定めればよいが、好ましくは、樹脂(A1)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜20モル%の範囲が好ましい。
【0118】
さらに、酸安定モノマー(a4)としては、例えば、式(a4−4)で表されるスルトン環を有するもの(以下、「酸安定モノマー(a4−4)」という場合がある。)が挙げられる。

[式(a4−4)中、
a7は、酸素原子又は−T−(CH2k2−CO−O−を(k2は1〜7の整数を表す。Tは酸素原子又はNHである。)表し、*はカルボニル基との結合手を表す。
a28は、水素原子又はメチル基を表す。
10は、置換基を有していてもよいスルトン環基を表す。]
【0119】
スルトン環基に含まれるスルトン環としては、脂環式炭化水素を構成するメチレン基のうち、隣り合う2つのメチレン基の一方が酸素原子、他方がスルホニル基に置き換わったものであり、下記に示すものなどが挙げられる。スルトン環基の代表例は、下記スルトン環にある水素原子の1つが、結合手に置き換わったものであり、式(a4−4)においてはLa7との結合手が該当する。

置換基を有していてもよいスルトン環基とは、上述の結合手に置き換わった水素原子以外の水素原子がさらに置換基(水素原子以外の1価の基)に置換されたものである。置換基としては、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ化アルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のアシル基又は炭素数1〜8のアシルオキシ基が挙げられる。
【0120】
酸安定モノマー(a4−4)の具体例を示す。

【0121】

【0122】

【0123】

【0124】

【0125】

【0126】

【0127】

【0128】

【0129】

【0130】

【0131】

上記のモノマーにおいて、Ra28に相当するメチル基が水素原子に置き換わった構造単位も、構造単位(a4−4)の具体例として挙げることができる。
【0132】
樹脂(A2)が、酸安定モノマー(a4−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜35モル%の範囲がより好ましく、5〜30モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A1)が、酸安定モノマー(a4−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、酸安定構造単位(a2−1)で説明したようにして定めればよいが、好ましくは、樹脂(A1)の全構造単位に対して、5〜30モル%の範囲が好ましい。
【0133】
また、酸安定モノマー(a4)としては、例えば、以下に示すようなフッ素原子を有するモノマー〔以下、「酸安定モノマー(a4−5)」という場合がある。〕も用いることができる。

【0134】
このような酸安定モノマー(a4−5)の中でも、単環式又は多環式の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸5−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸6−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸4,4−ビス(トリフルオロメチル)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノニルが好ましい。
【0135】
樹脂(A2)が、酸安定モノマー(a4−5)に由来する構造単位を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜20モル%の範囲が好ましく、2〜15モル%の範囲がより好ましく、3〜10モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A1)が、酸安定モノマー(a4−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、酸安定構造単位(a2−1)で説明したようにして定めればよいが、好ましくは、樹脂(A1)の全構造単位に対して、5〜40モル%の範囲が好ましい。
【0136】
樹脂(A)の製造には、以下の示す式(3)で表される基を有する酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位を含有することもできる。
【0137】
まず、式(3)で表される基を有する酸安定モノマー(a4)[以下、式(3)で表される基を有する酸安定モノマー(a4)を場合により、「酸安定モノマー(a4−6)」という。]について示す。式(3)で表される基は以下のとおりである。

[式(3)中、R10は、炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。*は結合手を表す。]
【0138】
10のフッ化アルキル基としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、パーフルオロペンチル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基及びペルフルオロヘキシル基が挙げられる。
【0139】
10のフッ化アルキル基は、その炭素数が1〜4であると好ましく、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びペルフルオロプロピル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0140】
酸安定モノマー(a4−6)としては、例えば、以下で表されるものが挙げられる。

ここに示した酸安定モノマー(a4−6)の具体例において、以下の部分構造M’を部分構造A’に置き換えたものも、酸安定モノマー(a4−6)の具体例として挙げることができる。

【0141】
また、酸安定モノマー(a4−6)としては、以下のものも挙げることができる。

【0142】
樹脂(A2)が、酸安定モノマー(a4−6)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A1)が、酸安定モノマー(a4−6)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、酸安定構造単位(a2−1)で説明したようにして定めればよいが、好ましくは、樹脂(A1)の全構造単位に対して、20〜70モル%の範囲が好ましい。
【0143】
樹脂(A)は、以下に示す式(4)で表される基を有する酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位を含有することができる。

[式(4)中、
11は、置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表す。
12は、置換基を有してもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
は、単結合、−(CHm10−SO−O−*又は−(CHm10−CO−O−*を表し、ここに示すアルキレン鎖〔−(CHm10−〕を構成するメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わっていてもよく、当該アルキレン鎖に含まれる水素原子は、フッ素原子に置き換わっていてもよい。
m10は、1〜12の整数を表す。]
【0144】
11における炭素数6〜12の芳香族炭化水素基の具体例は、炭素数がこの範囲において、すでに例示したものを含む。これら芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基は、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、フェニルオキシ基及びtert−ブチルフェニル基などである。
【0145】
11としては、以下の基が挙げられる。なお、*は炭素原子との結合手である。

【0146】
12における炭素数1〜12の炭化水素基は、鎖式炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよい。
脂肪族炭化水素基としては、典型的にはアルキル基であり、その具体例は炭素数が1〜12の範囲において、すでに例示したものを含む。脂環式炭化水素基としては、炭素数が12以下の範囲において、すでに例示したものを含む。
なお、R12が脂肪族炭化水素基である場合、該脂肪族炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、ハロゲン原子、硫黄原子、酸素原子及び窒素原子などである〔連結基として、スルホニル基、カルボニル基を含む形態でもよい〕。
このようなヘテロ原子を含むR12としては、以下の基が挙げられる。

【0147】
12が芳香族炭化水素基である場合、その具体例は、R11の場合と同じである。
【0148】
としては、下記に示す基が挙げられる。

【0149】
式(4)で表される基を含む酸安定モノマー(a4)としては、例えば、式(a4−7)で表されるもの[以下、場合により「酸安定モノマー(a4−7)」という。]が挙げられる。


[式(a4−7)中、
13は、水素原子又はメチル基を表す。
11、R12及びAは、前記と同義である。]
【0150】
酸安定モノマー(a4−7)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

ここに示した酸安定モノマー(a4−7)の具体例において、上述した部分構造M’を部分構造A’に置き換えたものも、酸安定モノマー(a4−7)の具体例として挙げることができる。
【0151】
樹脂(A2)が、酸安定モノマー(a4−7)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲が好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A1)が、酸安定モノマー(a4−7)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、酸安定構造単位(a2−1)で説明したようにして定めればよいが、好ましくは、樹脂(A1)の全構造単位に対して、20〜70モル%の範囲が好ましい。
【0152】
酸安定モノマー(a4)としては、以下の式(a4−8)で示されるモノマー[以下、場合により、「酸安定モノマー(a4−8)」という。]も挙げることができる。

[式(a4−8)中、
は、炭素数3〜36の脂環を表す。
は、単結合又は炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよいが、Aのうち、酸素原子に結合している原子は炭素原子である。
14は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を表す。
15及びR16は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を表す。]
【0153】
は、単環式又は多環式の炭素数3〜36の脂肪族環であり、その炭素数は5〜18の範囲が好ましく、6〜12の範囲がより好ましい。すなわち、式(a4−8)において

で示される部分構造は、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素に含まれる水素原子の1個がAとの結合手に、脂環式炭化水素の環を構成する炭素原子の1つに結合している2つの水素原子が、−O−CO−R15及び−O−CO−R16との結合手に置き換わったものを挙げることができる。
の脂肪族環は、シクロヘキサン環、アダマンタン環、ノルボルナン環及びノルボルネン環が特に好ましい。
【0154】
の脂肪族炭化水素基は、炭素数が17以下の範囲において、すでに例示したアルカンジイル基及び2価の脂環式炭化水素基を挙げることができ、炭素数が17以下の範囲であれば、アルカンジイル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせた脂肪族炭化水素基であってもよい。また、Aの脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよい。
例えば、アルカンジイル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせた脂肪族炭化水素基としては、以下の式(X−A)、式(X−B)及び式(X−C)で表される基などが挙げられる。

式中、
X1及びXX2は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、XX1及びXX2がともに単結合であることはなく、式(X−A)、式(X−B)及び式(X−C)で表される基の総炭素数は17以下である。
【0155】
の脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基としては、例えば、式(aa)の基(a−1)で例示したものが挙げられる。
【0156】
は、単結合又は*−(CHs1−CO−O−(*は−O−との結合手を表し、s1は1〜6の整数を表す。)で表される基であると好ましく、単結合又は*−CH−CO−O−(*は−O−との結合手を表す。)であるとより好ましい。
【0157】
14、R15及びR16(R14〜R16)のアルキル基としては、炭素数が1〜6の範囲において、その具体例は、すでに例示したものを含む。ハロゲン化アルキル基としては、フッ素原子を有するアルキル基が特に好ましい。R15及びR16のハロゲン化アルキル基のうち、好ましいものとしては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基及びペルフルオロブチル基などが挙げられ、中でも、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びペルフルオロプロピル基が挙げられる。
14は、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0158】
酸安定モノマー(a4−8)としては、以下に示すものが挙げられる。なお、R14〜R16及びAは、上記と同じ意味を表す。

これらの中でも、

で示される酸安定モノマー(a4−8)がより好ましい。
【0159】
酸安定モノマー(a4−8)として、より具体的には、以下で表されるものが挙げられる。

ここに示した酸安定モノマー(a4−8)の具体例において、上述したように部分構造M’を部分構造A’に置き換えたものも、酸安定モノマー(a4−8)の具体例として挙げられる。
【0160】
好ましい酸安定モノマー(a4−8)は例えば、式(a4−8−a)で表される化合物と、式(a4−8−b)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。式(a4−8−a)で表される化合物は例えば、特開2002−226436号公報に記載されている1−メタクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタンなどが挙げられる。式(a4−8−b)で表される化合物としては例えば、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロ酪酸無水物及びトリフルオロ酢酸無水物などが挙げられる。
この反応は、用いる式(a4−8−b)で表される化合物の沸点温度付近で加温することにより、実施することが好ましい。

[式(a4−8−a)及び式(a4−8−b)中の符号はいずれも、上記と同じ意味を表す。]
【0161】
樹脂(A2)が、酸安定モノマー(a4−8)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A2)の全構造単位に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A1)が、酸安定モノマー(a4−8)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、酸安定構造単位(a2−1)で説明したようにして定めればよいが、好ましくは、樹脂(A1)の全構造単位に対して、20〜70モル%の範囲が好ましい。
【0162】
酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位を樹脂(A1)が有する場合、酸安定モノマー(a4−6)及び/又は酸安定モノマー(a4−7)に由来する構造単位が好ましく、酸安定モノマー(a4−6)に由来する構造単位がさらに好ましい。
【0163】
<樹脂の製造方法>
樹脂(A1)は、化合物(aa’)と、構造単位(ab)を誘導するモノマーとを重合させて得ることができる。あるいは化合物(aa’)と、構造単位(ab)を誘導するモノマーと、他の構造単位を誘導するモノマー(好ましくは、酸安定モノマー(a4))とを重合させて得ることができる。
樹脂(A1)を製造する際には、酸安定モノマー(a4)として、酸安定モノマー(a4−6)及び/又は酸安定モノマー(a4−7)を用いることが好ましい。なお、いずれの場合にも、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマーのうち、構造単位(ab)以外を誘導できるものを用いることもある。樹脂(A1)は、このようなモノマーを公知の重合法(例えばラジカル重合法)に供することにより重合(共重合)させることで製造できる。
【0164】
樹脂(A1)の重量平均分子量は、6,000以上80,000以下が好ましく、8,000以上80,000以下がより好ましく、10,000以上60,000以下がさらに好ましく、10,000以上30,000以下がとりわけ好ましく、10,000以上15,000以下が特に好ましい。なお、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0165】
樹脂(A2)は、構造単位(ab)を誘導するモノマーを重合させて得ることができる。好ましくは、構造単位(ab)を誘導するモノマーと、酸安定構造単位を誘導するモノマーとを共重合させたものであり、より好ましくは、構造単位(ab)を誘導するモノマーと、酸安定構造単位(a2)及び/又は酸安定構造単位(a3)を誘導するモノマーとを共重合させたものである。
樹脂(A2)は、構造単位(ab)又は該構造単位(ab)以外の構造単位(a1)として、アダマンチル基を有する構造単位(a1−1)及びシクロへキシル基を有する構造単位(a1−2)のうち、少なくとも1種を有することが好ましく、アダマンチル基を有する構造単位(a1−1)を有することがより好ましい。酸安定構造単位(a2)としては、ヒドロキシアダマンチル基を有する構造単位(a2−1)を用いることが好ましい。酸安定構造単位(a3)としては、γ−ブチロラクトン環を有する酸安定構造単位(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定構造単位(a3−2)の少なくとも1種を有することが好ましい。樹脂(A2)は、上述したようなモノマーを公知の重合法(例えばラジカル重合法)に供することにより重合(共重合)させることで製造できる。
【0166】
樹脂(A2)の重量平均分子量は、2,500以上50,000以下が好ましく、3,000以上30,000以下がより好ましく、3,000以上10,000以下がさらに好ましい。なお、ここでいう重量平均分子量の定義及びその測定手段は、樹脂(A1)の場合と同じである。
【0167】
<酸発生剤>
酸発生剤は、非イオン系とイオン系とに分類される。本レジスト組成物に含有される酸発生剤(B)は、非イオン系酸発生剤でも、イオン系酸発生剤でも、これらを組み合わせて含有していてもよい。非イオン系酸発生剤には、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が含まれる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩及びヨードニウム塩など)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン及びスルホニルメチドアニオンなどがある。
【0168】
酸発生剤としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用できる。
また、酸発生剤は、公知の方法によって製造したものを利用することができる。
【0169】
本レジスト組成物に含有される酸発生剤は、以下の式(B1)で表される酸発生剤(以下、場合により「酸発生剤(B1)」という。)が好ましい。なお、以下の説明において、この酸発生剤(B1)のうち、正電荷を有するZは「有機カチオン」といい、該有機カチオンを除去してなる負電荷を有するものを「スルホン酸アニオン」ということがある。

式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。
【0170】
1及びQ2のペルフルオロアルキル基の具体例は、すでに例示したアルキル基のうち、炭素数1〜6のアルキル基において、該アルキル基を構成する水素原子の全部がフッ素原子に置き換わったものが該当する。
本レジスト組成物に含有される酸発生剤(B1)としては、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、トリフルオロメチル基又はフッ素原子の酸発生剤(B1)が好ましく、Q1及びQ2がともにフッ素原子である酸発生剤(B1)がさらに好ましい。
【0171】
b1の脂肪族炭化水素基の具体例は、すでに例示したアルカンジイル基、及び、上述の式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基などである。
【0172】
b1の脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わったものとしては、例えば、以下の式(b1−1)、式(b1−2)、式(b1−3)、式(b1−4)、式(b1−5)及び式(b1−6)〔式(b1−1)〜式(b1−6)〕のいずれかで示される基が挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−6)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、左側の結合手*は、C(Q1)(Q2)と結合し、右側の結合手*はYと結合している。以下の式(b1−1)〜式(b1−6)の具体例も同様である。

式(b1−1)〜式(b1−6)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
b4は、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は13である。
b5は、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
b6及びLb7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表し、これらの脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。但しLb6及びLb7の合計炭素数の上限は16である。
b8は、炭素数1〜14の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
b9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11の2価の脂肪族炭化水素基を表し、これらの脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は12である。
本レジスト組成物に用いる酸発生剤としては、これらの中でも、式(b1−1)で表される2価の基をLb1として有する酸発生剤(B1)が好ましく、Lb2が単結合又はメチレン基である式(b1−1)で表される2価の基を、Lb1として有する酸発生剤(B1)がより好ましい。
【0173】
b1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)〜式(b1−3)のいずれかで表される基である。
【0174】
ここで、好ましい式(b1−1)〜式(b1−3)のいずれかで表される基の具体例を挙げる。なお、*の定義はすでに説明したとおりである。
【0175】
式(b1−1)で表される2価の基は例えば、以下のものが挙げられる。

【0176】
式(b1−2)で表される2価の基は例えば、以下のものが挙げられる。

【0177】
式(b1−3)で表される2価の基は例えば、以下のものが挙げられる。

【0178】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0179】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0180】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0181】
b1の脂肪族炭化水素基における置換基としては例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基及びグリシジルオキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子、芳香族炭化水素基、アラルキル基及びアシル基の具体例はすでに説明したとおりである。
【0182】
Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基のうち、Yはアルキル基及び脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数3〜12の脂環式炭化水素基がより好ましく、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基がさらに好ましい。
Yの脂肪族炭化水素基における置換基としては例えば、ハロゲン原子(但し、フッ素原子を除く)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1で表される基(式中、Rb1は、炭素数1〜16の炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。ここでいう芳香族炭化水素基及びアラルキル基には、例えば、アルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基をさらに有していてもよい。
【0183】
Yの脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基及びカルボニル基からなる群より選ばれる基(2価の基)に置き換わっていてもよい。脂環式炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わった基としては例えば、環状エーテル基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基の1つ又は2つが酸素原子に置き換わった基)、環状ケトン基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基の1つ又は2つがカルボニル基に置き換わった基)、スルトン環基(すでに酸安定モノマー(a4−4)の場合で説明したとおり、脂環式炭化水素基を構成するメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、酸素原子及びスルホニル基に置き換わった基)及びラクトン環基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、酸素原子及びカルボニル基に置き換わった基)などが挙げられる。
【0184】
Yの脂環式炭化水素基の好ましい基は、以下に示す式(Y1)、式(Y2)、式(Y3)、式(Y4)及び式(Y5)のいずれかで表される脂環式炭化水素基であり、これらのもののうち、式(Y1)、式(Y2)、式(Y3)及び式(Y5)のいずれかで表される脂環式炭化水素基が、さらに好ましく、式(Y1)及び式(Y2)のいずれかで表される脂環式炭化水素基が特に好ましい。これらの脂環式炭化水素基を構成する水素原子は、置換基に置換されていてもよい。

【0185】
置換基を有する脂環式炭化水素基の具体例は例えば、以下のものである。

【0186】
Yの脂環式炭化水素基は、式(Y1)及び式(Y2)で示したようにアダマンタン環を有する基であると好ましく、これらが置換基を有する場合、その置換基はヒドロキシ基が好ましい。すなわち、置換基を有する脂環式炭化水素基としては、ヒドロキシアダマンチル基がYとして好ましい。
【0187】
スルホン酸アニオンの好適例を具体的に示すと、式(b1−1−1)、式(b1−1−2)、式(b1−1−3)、式(b1−1−4)、式(b1−1−5)、式(b1−1−6)、式(b1−1−7)、式(b1−1−8)及び式(b1−1−9)〔以下、「式(b1−1−1)〜式(b1−1−1−9)」のように表記する。〕で表されるスルホン酸アニオンを挙げることができる。この式(b1−1−1)〜式(b1−1−1−9)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンにおいて、Lb1は式(b1−1)で表される基が好ましい。また、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、Yの脂肪族炭化水素基に任意に有することもある置換基として定義したものであり、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基及びヒドロキシ基が好ましく、メチル基及びヒドロキシ基がより好ましい。

【0188】
式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンの具体例は例えば、特開2010−204646号公報に記載されているスルホン酸アニオンを挙げることができる。
【0189】
以下、好ましいスルホン酸アニオンとして、Lb1が、式(b1−1)で表される基であり、Yが、式(Y1)又は式(Y2)で表される脂環式炭化水素基である具体例を挙げる。Yが無置換の脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−1)〜式(b1−s−9)のいずれかで表されるものが挙げられる。

【0190】
Yがヒドロキシ基を有する脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−10)〜式(b1−s−18)のいずれかで表されるものが挙げられる。

【0191】
Yが環状ケトン基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−19)〜式(b1−s−29)のいずれかで表されるものが挙げられる。


【0192】
Yが芳香族基を有する脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−30)〜式(b1−s−35)のいずれかで表されるものが挙げられる。

【0193】
Yが、前記ラクトン環基又は前記スルホン酸環基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−36)〜式(b1−s−41)のいずれかで表されるものが挙げられる。

【0194】
また、Yはアルキル基であってもよい。このようなスルホン酸アニオンとしては例えば、以下の式(b1−s−42)で表されるものが挙げられる。

【0195】
酸発生剤(B1)中の有機カチオン(Z+)は有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、有機ベンゾチアゾリウムカチオン及び有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、さらに好ましくは、以下の式(b2−1)、式(b2−2)、式(b2−3)及び式(b2−4)〔以下、「式(b2−1)〜式(b2−4)」のように表記する。〕のいずれかで表される有機カチオンである。有機ヨードニウムカチオンは、好ましくは式(b2−2)で表される有機カチオンである。

【0196】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4、Rb5及びRb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましい。該アルキル基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよく、該脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよく、該芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。
b11は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b9、Rb10及びRb11は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基がアルキル基である場合、その炭素数は1〜12であると好ましく、この脂肪族炭化水素基が脂環式炭化水素基である場合、その炭素数は3〜18であると好ましく、4〜12であるとさらに好ましい。
b12は、炭素数1〜18の炭化水素基を表す。この炭化水素基のうち、芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基を有していてもよい。
【0197】
b9とRb10との組み合わせ、及び/又は、Rb11とRb12との組み合わせは、それぞれ独立に、互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)は脂肪族環又は該脂肪族環を構成するメチレン基が、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっている環である。
【0198】
b13、Rb14、Rb15、Rb16、Rb17及びRb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上であるとき、複数のRb13は同一でも異なっていてもよく、p2が2以上であるとき、複数のRb14は同一でも異なっていてもよく、s2が2以上であるとき、複数のRb15は同一でも異なっていてもよく、t2が2以上であるとき、複数のRb18は同一でも異なっていてもよい。
【0199】
b12のアルキルカルボニルオキシ基としては、すでに例示したアシル基と酸素原子とが結合したものである。
【0200】
b9〜Rb12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基など挙げられる。
b9〜Rb11の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基など挙げられる。
b12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基などである。
b12の芳香族炭化水素基とアルキル基が結合したものは、典型的にはアラルキル基である。
b9とRb10との組み合わせが結合して形成する環としては例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
b11とRb12との組み合わせが結合して形成する環としては例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0201】
式(b2−1)〜式(b2−4)で表される有機カチオンの具体例は、特開2010−204646号公報に記載されたものを挙げることができる。
【0202】
例示した有機カチオンの中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という。〕がより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、R19、R20及びR21がいずれもメチル基である。)がさらに好ましい。

式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数4〜18の脂環式炭化水素基が好ましい。該脂肪族炭化水素基は、置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一でも異なっていてもよく、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一でも異なっていてもよく、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一でも異なっていてもよい。
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0203】
ここで、好適な有機カチオンであるカチオン(b2−1−1)の具体例を示す。

【0204】

【0205】

【0206】

【0207】
また、有機カチオンとしては、式(b2−3)で表される有機カチオンのうち、以下の有機カチオンも好適なものとして挙げることができる。

【0208】
酸発生剤(B1)を、それを構成するスルホン酸アニオン及び有機カチオンの各々について説明したが、該酸発生剤(B1)は該スルホン酸アニオン及び該有機カチオンの組合せである。該スルホン酸アニオンと該有機カチオンとは任意に組み合わせることができる。該スルホン酸アニオン及び該有機カチオンの組み合わせを表3に示す。なお、表2において、式(b1−s−1)で表されるスルホン酸アニオンなどを、その式番号に応じて、「(b1−s−1)」などと表し、式(b2−c−1)で表される有機カチオンなどを、その式番号に応じて、「(b2−c−1)」などと表すことにする。
【0209】
【表3】

【0210】
さらに好ましい酸発生剤(B1)としては、以下の式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−4)、式(B1−5)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−8)、式(B1−9)、式(B1−10)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)、式(B1−15)、式(B1−16)及び式(B1−17)のいずれかで表されるものである。中でも、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)及び(B1−14)のいずれかで表されるものがより好ましい。また、すでに述べたように、Yが置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基が好ましいので、この点では、式(B1−2)、式(B1−3)、(B1−6)、式(B1−7)及び式(B1−11)のいずれかで表されるものがより好ましい。
【0211】

【0212】

【0213】

【0214】

【0215】
酸発生剤(B)は、上述したように、酸発生剤(B1)とは異なる酸発生剤を含んでいてもよく、この場合は、酸発生剤(B)の総量における酸発生剤(B1)の含有割合は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。ただし、本発明のレジスト組成物における酸発生剤(B)は、実質的に酸発生剤(B1)のみであることがさらに好ましい。
【0216】
<塩基性化合物>
本レジスト組成物は、塩基性化合物を含有してもよい。ここでいう「塩基性化合物」とは、酸を捕捉するという特性を有する化合物、特に、既に説明した酸発生剤から発生する酸を捕捉するという特性を有する化合物を意味する。
【0217】
塩基性化合物は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンのいずれでもよい。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。該塩基性化合物として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。

[式(C1)中、
c1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0218】

[式(C1−1)中、
c2及びRc3は、前記と同義である。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は、同一でも異なっていてもよい。]
【0219】

[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、
c5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は同一でも異なっていてもよい。]
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる
【0220】

[式(C5)及び式(C6)中、
c10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14はそれぞれ独立であり、p3が2以上であるとき、複数のRc15は同一でも異なっていてもよい。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0221】

[式(C7)及び式(C8)中、
c18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18はそれぞれ独立であり、r3が2以上であるとき、複数のRc19は同一でも異なっていてもよく、s3が2以上であるとき、複数のRc20は同一でも異なっていてもよい。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0222】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられ、
これらの中でも、ジイソプロピルアニリンが好ましく、2,6−ジイソプロピルアニリンがより好ましい。
【0223】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジンなどが挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリンなどが挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン及びビピリジンなどが挙げられる。
【0224】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリンなどが挙げられる。
【0225】
<溶剤>
本レジスト組成物には、溶剤(D)が含むことが好ましい。溶剤(D)は、用いる樹脂(A1)などの種類及びその量と、酸発生剤の種類及びその量などに応じ、さらに後述するレジストパターンの製造において、基板上に本レジスト組成物を塗布する際の塗布性が良好となるという点から適宜、最適なものを選ぶことができる。
【0226】
好適な溶剤の例としては、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンなどのケトン類;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類を挙げることができる。本レジスト組成物において、溶剤は、1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
【0227】
<その他の成分>
本レジスト組成物は、必要に応じて、上述の構成成分以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、本技術分野で広く用いられている添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料などが挙げられる。
【0228】
<本レジスト組成物及びその調製方法>
本レジスト組成物は、樹脂(A)〔樹脂(A1)及び樹脂(A2)の組み合わせ〕、酸発生剤、並びに、必要に応じて用いられる、塩基性化合物、溶剤及びその他の成分を混合することで調製することができる。混合において、その混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂(A1)などの種類や樹脂(A1)などの溶剤に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
各成分を混合した後は、孔径0.01〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0229】
樹脂の本レジスト組成物に対する含有割合は、本レジスト組成物の固形分の総質量に対して、80質量%以上99質量%以下であると好ましい。
本明細書において、本レジスト組成物の質量から溶剤の含有量を取り除いたものを、本レジスト組成物の「固形分」ということがある。この固形分の本レジスト組成物総質量に対する含有割合は、液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定できる。
【0230】
酸発生剤の含有量は、本レジスト組成物に含有される樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下である。
【0231】
本レジスト組成物に塩基性化合物を用いる場合、その含有割合は、固形分の総質量に対して、0.01〜1質量%程度であると好ましい。
【0232】
溶剤の含有割合は、上述のとおり、樹脂(A1)の種類などに応じて適宜調節できるが、本レジスト組成物総質量に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上であり、さらに好ましくは94質量%以上であり、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは99.9質量%以下である。溶剤の含有割合が90質量%である本レジスト組成物では、該本レジスト組成物の固形分は10質量%に該当する。このような含有割合で溶剤を含有する本レジスト組成物は、例えば後述するレジストパターンの製造方法において、厚み30〜300nm程度の組成物層を形成可能な薄膜レジストとして適している。
【0233】
これらの樹脂(A)及び酸発生剤ならびに必要に応じて用いられる溶剤及び塩基性化合物等の各々の含有割合は、本レジスト組成物を調製する際の各々の使用量により制御可能である。これらの含有割合は、調製後の本レジスト組成物を、例えばガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の公知の分析手段に供することにより求めることができる。
【0234】
なお、その他の成分を本レジスト組成物に用いる場合には、当該他の成分の種類に応じて、適切な含有割合を調節することもできる。
【0235】
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本レジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。以下、ここに示す工程の各々を、「工程(1)」〜「工程(5)」のようにいう。
【0236】
工程(1)における本レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーターなど、半導体の微細加工のレジスト材料塗布用として広く用いられている塗布装置によって行うことができる。かくして基板上に、本レジスト組成物からなる塗布膜が形成される。当該塗布装置の条件を種々調節することで、該塗布膜の膜厚は調整可能であり、適切な予備実験などを行うことにより、所望の膜厚の塗布膜になるように塗布条件を選ぶことができる。本レジスト組成物を塗布する前の基板は、微細加工を実施しようとする種々のものを選ぶことができる。なお、本レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜を形成しておいたりすることもできる。この反射防止膜の形成には例えば、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
【0237】
工程(2)においては、乾燥は、例えば、ホットプレートなどの加熱装置を用いた加熱手段(いわゆるプリベーク)、又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて行われる。乾燥の条件は、本レジスト組成物に含有される溶剤の種類等に応じて調整されるが、例えばホットプレートを用いる加熱手段では、該ホットプレートの表面温度を50〜200℃程度の範囲が好ましい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布膜が形成された基板を封入した後、該減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にすればよい。かくして塗布膜から溶剤を除去することにより、該基板上には組成物層が形成される。
【0238】
工程(3)は該組成物層を露光する工程であり、好ましくは、露光機を用いて該組成物層を露光するものである。この際には、微細加工を実施しようとする所望のパターンに応じたマスクを介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や、超紫外光(EUV)を照射するものなど、種々のものを用いることができる。また、該露光機は液浸露光機であってもよい。
上述のとおり、マスクを介して露光することにより、該組成物層には露光された部分(露光部)及び露光されていない部分(未露光部)が生じる。露光部の組成物層では該組成物層に含まれる酸発生剤が露光エネルギーを受けて酸を発生し、さらに発生した酸の作用により、樹脂(A)にある酸不安定基[樹脂(A1)及び樹脂(A2)が有する構造単位(ab)にある酸不安定基、並びに樹脂(A2)が構造単位(ab)以外に有する構造単位(a1)にある酸不安定基]が脱保護反応することにより親水性基を生じ、結果として露光部の組成物層にある樹脂(A)はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。一方、未露光部では露光エネルギーを受けていないため、樹脂(A)はアルカリ水溶液に対して不溶又は難溶のままとなる。かくして、露光部にある組成物層と未露光部にある組成物層とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が著しく相違することとなる。
【0239】
工程(4)においては、露光部で生じうる脱保護反応を、さらにその進行を促進するための加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)が行われる。かかる加熱処理は前記工程(2)で示したホットプレートを用いる加熱手段が好ましい。なお、工程(4)におけるホットプレート加熱では、該ホットプレートの表面温度は50〜200℃程度が好ましく、70〜150℃程度がより好ましい。
【0240】
工程(5)は、加熱後の組成物層を現像する工程であり、好ましくは、加熱後の組成物層を現像装置により現像するものである。ここでいう現像とは、加熱後の組成物層をアルカリ水溶液と接触させることにより、露光部の組成物層を該アルカリ水溶液に溶解させ、未露光部の組成物層を基板上に残すことにより、当該基板上にレジストパターンが製造される。
ここで用いられるアルカリ水溶液は、「アルカリ現像液」と称される本技術分野で用いられるものを用いることができる。該アルカリ水溶液としては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液や(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液などが挙げられる。
【0241】
以上により基板上に製造されたレジストパターンは、好ましくは超純水等でリンス処理を行い、さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去する。
【0242】
以上のような工程(1)〜工程(5)を含むレジストパターン製造方法によれば、本レジスト組成物は、優れたマスクエラーファクター(MEF)のレジストパターンを製造できる。
【0243】
<用途>
本レジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)露光用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、さらに液浸露光用のレジスト組成物として好適である。
【実施例】
【0244】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。
樹脂の組成比(樹脂製造に用いた各モノマーに由来する構造単位の、樹脂に対する共重合比)は、重合終了後の反応液における未反応モノマー量を液体クロマトグラフィーを用いて測定し、得られた結果から重合に用いられたモノマー量を求めることにより算出した。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの分析条件は下記のとおりである。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0245】
樹脂の合成
樹脂の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。

以下、これらのモノマーを「モノマー(M−A)」〜「モノマー(M−K)」という。
【0246】
合成例1〔樹脂A1−1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−E)及びモノマー(M−F)を用い、そのモル比(モノマー(M−E):モノマー(M−F))が56:44となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.3×10の樹脂A1−1(共重合体)を収率75%で得た。この樹脂A1−1は、以下の構造単位を有するものである。各構造単位のモル比は、構造単位(u−E)〔モノマー(M−E)に由来する構造単位を、その式番号の末尾記号に応じて、「構造単位(u−E)」という。以下、同様。〕:構造単位(u−F)=64.9:35.1であった。

【0247】
合成例2〔樹脂A1−2の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−E)及びモノマー(M−H)を用い、そのモル比(モノマー(M−E):モノマー(M−H))が46:54となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.3×10の樹脂A1−2(共重合体)を収率62%で得た。この樹脂A1−2は、以下の構造単位を有するものである。各構造単位のモル比は、構造単位(u−E):構造単位(u−H)=59.9:40.1であった。

【0248】
合成例3〔樹脂A1−3の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−E)及びモノマー(M−B)を用い、そのモル比(モノマー(M−E):モノマー(M−B))が65:35となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.4×10の樹脂A1−3(共重合体)を収率83%で得た。この樹脂A1−3は、以下の構造単位を有するものである。各構造単位のモル比は、構造単位(u−F):構造単位(u−B)=65.1:34.9であった。

【0249】
合成例4〔樹脂A1−4の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−K)及びモノマー(M−H)を用い、そのモル比(モノマー(M−E):モノマー(M−H))が45:55となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.2×10の樹脂A1−5(共重合体)を収率60%で得た。この樹脂A1−4は、以下の構造単位を有するものである。各構造単位のモル比は、構造単位(u−E):構造単位(u−H)=60.0:40.0であった。

【0250】
合成例5〔樹脂A2−1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−H)、モノマー(M−I)、モノマー(M−G)、モノマー(M−J)及びモノマー(M−C)を用い、そのモル比(モノマー(M−H):モノマー(M−I):モノマー(M−J):モノマー(M−G):モノマー(M−C))が50:5:4:33:8となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.8mol%及び5.4mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量4.7×10の樹脂A2−1(共重合体)を収率71%で得た。この樹脂A2−1は、以下の構造単位を有するものである。各構造単位のモル比は、構造単位(u−H):構造単位(u−I):構造単位(u−J):構造単位(u−G):構造単位(u−C)=40.6:5.1:4.8:39.7:9.8であった。

【0251】
合成例6〔樹脂A2−2の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−F)、モノマー(M−I)、モノマー(M−G)、モノマー(M−J)及びモノマー(M−C)を用い、そのモル比(モノマー(M−F):モノマー(M−I):モノマー(M−J):モノマー(M−G):モノマー(M−C))が45:5:9:33:8となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、2.0mol%及び6.0mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量4.2×10の樹脂A2−2(共重合体)を収率80%で得た。この樹脂A2−2は、以下の構造単位を有するものである。各構造単位のモル比は、構造単位(u−F):構造単位(u−J):構造単位(u−D):構造単位(u−K):構造単位(u−C)=35.2:5.4:9.8:39.8:9.8であった。

【0252】
合成例7〔樹脂A2−3の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−B)、モノマー(M−C)及びモノマー(M−D)を用い、そのモル比(モノマー(M−B):モノマー(M−C):モノマー(M−D))が35:45:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.0mol%及び3.0mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.0×10の樹脂A2−3(共重合体)を収率75%で得た。この樹脂A2−3は、以下の構造単位を有するものである。構造単位(u−B):構造単位(u−C):構造単位(u−D)=34.7:45.4:19.9であった。

【0253】
合成例8〔樹脂A3−1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−A)及びモノマー(M−B)を用い、そのモル比(モノマー(M−A):モノマー(M−B))が80:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.5mol%及び1.5mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量2.8×10の樹脂A3−1(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂A3−1は、以下の構造単位を有するものである。構造単位(u−A):構造単位(u−B)=80.2:19.8であった。

【0254】
実施例1〜6及び比較例1
<レジスト組成物の調製>
合成例1〜合成例8で得られた樹脂;
以下に示す酸発生剤B1〜B3;
以下に示す塩基性化合物C1;
の各々を表4に示す質量部で、以下に示す溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0255】
【表4】

実施例1:構造単位(u−H)が構造単位(ab)に該当
実施例2:構造単位(u−F)が構造単位(ab)に該当
実施例3:構造単位(u−H)が構造単位(ab)に該当
実施例4:構造単位(u−H)が構造単位(ab)に該当
実施例5:構造単位(u−F)が構造単位(ab)に該当
実施例6:構造単位(u−H)が構造単位(ab)に該当
【0256】
<酸発生剤>
B1:特開2010−152341号の実施例に従って合成

B2:WO2008/99869号の実施例に従って合成

B3:特開2007−108581の実施例に従って合成

【0257】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成製)
【0258】
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0259】
<レジストパターンの製造及びその評価>
実施例1〜6の本レジスト組成物及び比較例1のレジスト組成物は以下のようにして、液浸露光によるマスクエラーファクター(MEF)評価、並びに欠陥評価を行った。以下、本レジスト組成物及び比較例1のレジスト組成物を総称して、「レジスト組成物」ということがある。
【0260】
〈レジスト組成物の液浸露光〉
以下のようにして、レジスト組成物の液浸露光を行い、マスクエラーファクター(MEF)評価を実施した。
シリコンウェハに、有機反射防止膜用組成物(ARC−29;日産化学(株)製)を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ780Åの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。レジスト組成物を塗布したシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表3の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークし、レジスト膜を形成した。レジスト膜が形成されたシリコンウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー(XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光)で、コンタクトホールパターン(ホールピッチ100nm/ホール径70nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。尚、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、前記シリコンウェハを、ホットプレート上にて、表3の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク処理した。次いでこのシリコンウェハを、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0261】
各レジスト膜において、ホール径70nmのマスクで形成したパターンのホール径が55nmとなる露光量を実効感度とした。
【0262】
〈マスクエラーファクター(MEF)評価〉
実効感度において、ホール径がそれぞれ72nm、71nm、70nm、69nm、68nmのマスクで形成されたパターンの、マスクホール径を横軸、各パターンのホール径を縦軸にプロットした時の直線の傾きをMEFとして算出した。結果を表5に示す。
【0263】
〈欠陥評価〉
12インチのシリコン製ウェハ(基板)に、レジスト組成物を、乾燥後の膜厚が0.15μmとなるように塗布(スピンコート)した。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表3のPB欄に示す温度で60秒間プリベーク(PB)し、ウェハ上に組成物層を形成した。
このようにして組成物層を形成したウェハに、現像機[ACT−12;東京エレクトロン(株)製]を用いて、60秒間、水リンスを行った。
その後、欠陥検査装置[KLA−2360;KLAテンコール製]を用いて、ウェハ上の欠陥数を測定した。結果を表5に示す。
【0264】
【表5】

【0265】
本レジスト組成物(実施例1〜実施例6)を用いて得られるレジストパターンは、優れたマスクエラーファクターのレジストパターンを製造することができた。一方、比較例1のレジスト組成物では、得られるレジストパターンのマスクエラーファクターは不良であった。また、本レジスト組成物(実施例1〜実施例6)を用いて得られるレジストパターンは欠陥の発生数も、比較例1のレジスト組成物に比して少なく、良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0266】
本発明のレジスト組成物は、半導体の微細加工に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(aa)で表される構造単位と、式(a1−1)で表される構造単位及び式(a1−2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(ab)とを有する樹脂(A1);
式(aa)で表される構造単位を有さず、樹脂(A1)が有する構造単位(ab)と同一構造の構造単位(ab)を有し、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂(A2);並びに
酸発生剤を含有し、かつ
式(X1)で表される関係を満たすレジスト組成物。
0.8<α/β<1.2 (X1)
[式(X1)中、
αは、樹脂(A1)の全構造単位に対する、樹脂(A1)が有する前記構造単位(ab)の含有割合〔モル%〕を表す。
βは、樹脂(A2)の全構造単位に対する、樹脂(A2)が有する前記構造単位(ab)と同一構造の構造単位の含有割合〔モル%〕を表す。]

[式(aa)中、
aa1は、水素原子又はメチル基を表す。
aa1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基又は式(a−1)で表される基を表す。

(式(a−1)中、
sは0又は1の整数を表す。
10及びX11は、それぞれ独立に、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
10、A11及びA12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。)
aa2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。]

[式(a1−1)中、
a1は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手である。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。m1は0〜14の整数を表す。
式(a1−2)中、
a2は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は前記と同義である。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手である。
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
a7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
【請求項2】
前記式(aa)のAaa1が、炭素数1〜6のアルカンジイル基である請求項1記載のレジスト組成物。
【請求項3】
前記式(aa)のAaa1が、エチレン基である請求項1記載のレジスト組成物。
【請求項4】
前記α及び前記βが、以下の式(X2)で表される関係を満たす請求項1〜3のいずれか記載のレジスト組成物。
0.9<α/β<1.1 (X2)
【請求項5】
前記構造単位(ab)が、前記式(a1−1)で表される構造単位である請求項1〜4のいずれか記載のレジスト組成物。
【請求項6】
前記酸発生剤が、式(B1)で表される酸発生剤である請求項1〜5のいずれか記載のレジスト組成物。

[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
【請求項7】
前記式(B1)のYが、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基である請求項6記載のレジスト組成物。
【請求項8】
さらに溶剤を含む請求項1〜7のいずれか記載のレジスト組成物
【請求項9】
(1)請求項1〜8のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2012−141586(P2012−141586A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256542(P2011−256542)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】