説明

レベチラセタムを含む医薬組成物

【課題】本発明の目的は、有効成分として、レベチラセタム、ブリバラセタム又はセレトラセタムを含む医薬組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、ドライシロップの形態である経口投与可能な医薬組成物であって、有効成分としてレベチラセタム、ブリバラセタム又はセレトラセタム、賦形剤として、該組成物の全重量に対して、マンニトール、ソルビトール又はキシリトールの中から選択され、平均粒子径が75〜520μmである、少なくとも10〜90重量%の顆粒希釈剤を含む前記医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レベチラセタム(levetiracetam)、ブリバラセタム(brivaracetam)又はセレトラセタム(seletracetam)を有効成分として含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
レベチラセタム、即ち(S)−(−)−アルファ−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミド、左旋性の化合物は、欧州特許第EP0162036Bにおいて、中枢神経系の低酸素型及び虚血性型侵襲の治療及び予防のための保護剤として開示され、下式を有する。
【0003】
【化1】

【0004】
この化合物はまた、てんかんの治療に効果的であり、その右旋性鏡像体である(R)−(+)−アルファ−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドは完全に活性を欠如していることが示された(A.J.Gowerら,Eur.J.Pharmacol.,222,1992,193−203)ことに対する治療指標である。
【0005】
公開番号WO01/62726である国際特許出願は、2−オキソ−1−ピロリジン及びその製造方法を開示している。特に、国際的に特定されていない名称であるブリバラセタムとして知られている化合物の(2S)−2−[(4R)−2−オキソ−4−プロピル−ピロリジン−1−イル]ブタンアミドを開示している。
【0006】
【化2】

【0007】
公開番号WO2005/121082である国際特許出願は、2−オキソ−1−ピロリジン誘導体の製造方法を記載し、特に、国際的に特定されていない名称であるセレトラセタムとして知られている(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]ブタンアミドの製造方法を開示している。
【0008】
【化3】

【0009】
したがって、2−オキソ−1−ピロリジン誘導体は、製薬産業において特に有用である。
【0010】
ブリバラセタムは、てんかんの治療に効果的である。フェーズIIの臨床試験は、続発性全身てんかんの有無に関わらず、難治性部分発症発作を有する成人患者(16〜65歳)の補助療法において、ブリバラセタム(5、20及び50mg/日)の有効性及び安全性を評価した。ブリバラセタムはまた、疱疹後神経痛である患者(>18歳)の治療において効果的である。
【0011】
セレトラセタムは、てんかんの治療に効果的である。2つのフェーズIIaの服用量調査試験は、てんかんにおいてセレトラセタムを用いて行なわれ、最大3個の同時の抗てんかん薬を現在服用している非常に難治性の成人患者における部分発症発作の補助治療においてセレトラセタムの有効性及び安全性が評価された。
【発明の開示】
【0012】
経口的に投与することができる医薬組成物の開発において、現在求められている目的の1つは、水に分散されたか又は直接飲み込まれた場合、有効成分の味がしない組成物を有するようにすることである。
【0013】
本発明は、有効成分を含む経口投与可能な顆粒、特に、水に分散させた場合に、有効成分の味が実質的にしない、レベチラセタム、ブリバラセタム又はセレトラセタムの経口的に口当たりの良い微粒子形態に関する。
【0014】
錠剤、粉末、顆粒、カプセルなどの医薬製剤の多種のタイプがある。その中でも、ドライシロップ製剤は、日本の薬局方における製造の一般的な規則に従えば、「使用前に溶解させるか又は懸濁させる製剤」を意味する。これは、特に、薬が嫌いなる子供又は嚥下が困難である老齢者のような患者のための製剤であって、このような子供及び/又は老齢者でもそれを容易に摂取することができる。多くの成人及び多くの子供は、丸薬若しくは錠剤を飲み込むことが困難であるか、又はそれらを飲み込めないので、それによって、レベチラセタム、ブリバラセタム又はセレトラセタムから恩恵を受けられない。さらに、この製剤は取扱い易く、非常に簡単に分注し、服用することができる。
【0015】
一局面によれば、本発明は、ドライシロップの形態である経口投与可能な医薬組成物に関し、該医薬組成物は、有効成分としてレベチラセタム、ブリバラセタム又はセレトラセタム、賦形剤として、該組成物の全重量に対して、マンニトール、ソルビトール又はキシリトールの中から選択され、平均粒子径が75〜520μmである、少なくとも10〜90重量%の顆粒希釈剤を含む。
【0016】
別の局面によれば、本発明は、ドライシロップの形態である経口投与可能な医薬組成物に関し、該医薬組成物は、有効成分としてレベチラセタム、賦形剤として、該組成物の全重量に対して、平均粒子径が75〜520μmである、希釈剤として少なくとも10〜90重量%の顆粒マンニトールを含む。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、てんかん、パーキンソン病、運動障害及び他の神経障害からなる群から選択される疾患を治療するためのドライシロップの形態である経口投与可能な医薬組成物に関し、該医薬組成物は、有効成分としてレベチラセタム、ブリバラセタム又はセレトラセタム、賦形剤として、該組成物の全重量に対して、マンニトール、ソルビトール又はキシリトールの中から選択され、平均粒子径が75〜520μmである、少なくとも10〜90重量%の顆粒希釈剤を含む。
【0018】
用語「有効成分」とは、本明細書中で使用するとき、治療効果を有する物質として定義される。
【0019】
本発明の医薬組成物に存在する有効成分の量は、該組成物が投与される哺乳動物、及び治療されるべき疾患に依存して変更することができる。
【0020】
全てのパーセントは、他に特記される場合を除いて、錠剤コアの全重量に対する重量当たりとして与えられる。
【0021】
用語「ドライシロップ」は、本明細書中で使用するとき、顆粒形態を有する製剤として定義される。本発明の医薬組成物は、投与前には水に分散することができ;好ましくは、次に、透明な溶液が得られる。本発明の医薬組成物はまた、直接的にも、即ち、水を用いないで飲み込むことができる。
【0022】
本発明の医薬組成物は、ボトル、サシェ又はカプセルなどのいずれかのタイプの適切なパッケージングに包装することができる。好ましくは、組成物は、包装されたユニットの各々が、1回服用量の有効成分を含むように単位剤形に予め包装されている。単位服用量は、直接舌の上に、又は水若しくは食物中に注ぐことができる。
【0023】
希釈剤の例は、マンニトール、ソルビトール及びキシリトールである。より好ましい希釈剤は、マンニトールである。
【0024】
通常、本発明に係る医薬組成物は、該組成物の全重量に対して、20〜80重量%の希釈剤を含む。
【0025】
好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、25〜75重量%の希釈剤を含む。
【0026】
好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、該組成物の全重量に対して、30〜70重量%の希釈剤、より好ましくは35〜65重量の希釈剤、最も好ましくは40〜60重量%の希釈剤を含む。
【0027】
通常、本発明に係る医薬組成物は、平均粒子径が75〜450μmである希釈剤を含む。
【0028】
好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、平均粒子径が100〜300μmであり;より好ましくは、平均粒子径が120〜250μmであり;最も好ましくは、平均粒子径が150〜200μmである希釈剤を含む。
【0029】
さらに、顆粒希釈剤に加えて、追加の賦形剤を医薬組成物に添加することができる。通常、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの追加の賦形剤を含む。好ましくは、追加の賦形剤は、室温で水溶性である。
【0030】
したがって、本発明の医薬組成物はまた、賦形剤として結合剤を含むことができる。
【0031】
用語「結合剤」とは、本明細書中で使用するとき、圧縮力だけでは結合することができない粒子を結合することができる試薬として定義される。結合剤は、単一の化合物の形態であるか又は化合物の混合物の形態で存在してもよい。
【0032】
結合剤の例は、スターチ、架橋したカルボキシメチルセルロースナトリウムとも呼ばれるクロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、及びポリビニルピロリドンである。本発明に係る好ましい結合剤は、ポリビニルピロリドン、スターチグリコール酸ナトリウム、及びクロスカルメロースナトリウムである。より好ましい結合剤は、ポリビニルピロリドンである。
【0033】
本発明に係る医薬組成物は、該組成物の全重量に対して、0.5〜5.0重量%の結合剤を含む。好ましくは、医薬組成物は、該組成物の全重量に対して、1.0〜4.0重量%の結合剤を含む。より好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、該組成物の全重量に対して、1.5〜2.5重量%の結合剤を含む。
【0034】
本発明の医薬組成物はまた、賦形剤として、甘味剤を含んでもよい。本発明に従って使用することができる甘味剤の例は、アスパルテーム、カリウムのアセサルフェーム(acesulfame)、シクラメート(人工甘味料)、サッカリンである。好ましくは、組成物は、人工甘味剤を含む。より好ましい甘味剤は、アスパルテームである。
【0035】
本発明に係る医薬組成物は、該組成物の全重量に対して、1.0〜30重量%の甘味剤を含む。好ましくは、医薬組成物は、2.0〜15重量%の甘味剤を含む。より好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、該組成物の全重量に対して、1.0〜7.5重量%の甘味剤を含む。
【0036】
本発明の医薬組成物はまた、賦形剤として、香味剤を含むことができる。
香味剤の例は、チェリーフレーバー、グレープフルーツフレーバー、テトラロームオレンジ及びハッカ油(oleum aurantii)である。好ましくは、液体の香味剤が用いられる。好ましい香味剤は、テトラロームオレンジである。
【0037】
通常、本発明に係る医薬組成物は、0.01〜2.00重量%の香味剤を含む。好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、0.02〜1.50重量%の香味剤、より好ましくは0.04〜1.00重量%の香味剤、最も好ましくは0.08%〜1.2重量%の香味剤を含む。
【0038】
通常、本発明は、有効成分としてレベチラセタム、該組成物の全重量に対して、10〜90重量%の希釈剤、0.5〜5.0重量%の結合剤、1.0〜30重量%の甘味剤、及び0.01〜2.00重量%の香味剤を含む医薬組成物に関する。
【0039】
特に、本発明は、有効成分としてレベチラセタム、該組成物の全重量に対して、20〜80重量%の希釈剤、0.5〜5.0重量%の結合剤、1.0〜30重量%の甘味剤、及び0.01〜2.00重量%の香味剤を含む医薬組成物に関する。
【0040】
好ましくは、本発明は、有効成分としてレベチラセタム、該組成物の全重量に対して、30〜70重量%の希釈剤、1.0〜4.0重量%の結合剤、2.0〜15重量%の甘味剤、及び0.02〜1.50重量%の香味剤を含む医薬組成物に関する。
【0041】
より好ましくは、本発明は、有効成分としてレベチラセタム、該組成物の全重量に対して、40〜60重量%の希釈剤、1.5〜2.5重量%の結合剤、1.0〜7.5重量%の甘味剤、及び0.08〜1.2重量%の香味剤を含む医薬組成物に関する。
【0042】
通常、本発明は、有効成分としてレベチラセタム、該組成物の全重量に対して、10〜90重量%のマンニトール、0.5〜5.0重量%のポリビニルピロリドン、1.0〜30重量%のアスパルテーム、及び0.01〜2.00重量%のテトラロームオレンジを含む医薬組成物に関する。
【0043】
特に、本発明は、有効成分としてレベチラセタム、該組成物の全重量に対して、20〜80重量%のマンニトール、0.5〜5.0重量%のポリビニルピロリドン、1.0〜30重量%のアスパルテーム、及び0.01〜2.00重量%のテトラロームオレンジを含む医薬組成物に関する。
【0044】
好ましくは、本発明は、有効成分としてレベチラセタム、該組成物の全重量に対して、30〜70重量%のマンニトール、1.0〜4.0重量%のポリビニルピロリドン、2.0〜15重量%のアスパルテーム、及び0.02〜1.50重量%のテトラロームオレンジを含む医薬組成物に関する。
【0045】
より好ましくは、本発明は、有効成分としてレベチラセタム、該組成物の全重量に対して、40〜60重量%のマンニトール、1.5〜2.5重量%のポリビニルピロリドン、1.0〜7.5重量%のアスパルテーム、及び0.08〜1.20重量%のテトラロームオレンジを含む医薬組成物に関する。
【0046】
更に特定の態様では、本発明は、該組成物の全重量に対して、30.0〜85.0重量%のレベチラセタム、ブリバラセタム又はセレトラセタムを含む医薬組成物に関する。
【0047】
通常、この更なる特定の態様では、本発明は、該組成物の全重量に対して、35.0〜83.0重量%のレベチラセタムを含む医薬組成物に関する。
【0048】
特に、この更なる特定の態様では、本発明は、該組成物の全重量に対して、36.0〜80.0重量%のレベチラセタムを含む医薬組成物に関する。
【0049】
好ましくは、この更なる特定の態様では、本発明は、該組成物の全重量に対して、38.0〜78.0重量%のレベチラセタムを含む医薬組成物に関する。
【0050】
より好ましくは、この更なる特定の態様では、本発明は、該組成物の全重量に対して、45.0〜75.0重量%のレベチラセタムを含む医薬組成物に関する。
【0051】
本発明の一態様では、有効成分としてレベチラセタムを含む医薬組成物に存在する甘味剤、香味剤、及び結合剤の全量は、該組成物の全重量に対して、90.0重量%以下、好ましくは80.0重量%以下、より好ましくは30.0重量%以下である。
【0052】
本発明に係る医薬組成物は、好ましくは、サシェ中の顆粒の形態、及びボトル中の顆粒の形態である。組成物はまた、チューワブルな錠剤に圧縮されてもよい。
【0053】
場合により、本発明に係る医薬組成物は、味マスキング剤を含んでもよい。
本発明の医薬組成物は、当業者に知られている慣用的な方法に従って、いずれかのプロセスによって製造することができる。プロセスの例は、直接圧縮、乾式造粒、湿式造粒、溶融造粒である。好ましくは、医薬組成物は、湿式造粒によって製造される。
【0054】
有効成分、マンニトール及び結合剤は、湿式造粒プロセスによって粒状にされる。次に、乾燥した顆粒上に香味剤を添加する。次いで、甘味剤を添加する。最終混合を行う。
【0055】
具体的な製剤は下記の通りである:
・500mgのレベチラセタム、平均粒子径が180μmの451mgの顆粒マンニトール(パーリトール(Pearlitol)(登録商標)SD200)、19mgのポリビニルピロリドン(ポビドン(Povidone)K30)、30mgのアスパルテーム、及び1mgのテトラロームオレンジを含むドライシロップ組成物。
【0056】
・500mgのレベチラセタム、平均粒子径が180μmの451mgの顆粒マンニトール(パーリトール(登録商標)SD200)、19mgのポリビニルピロリドン(ポビドンK30)、30mgのアスパルテーム、及び1mgのハッカ油を含むドライシロップ組成物。
【0057】
別の態様では、本発明は、疾患の治療又は予防に有用なレベチラセタムを含む医薬組成物に関する。
【0058】
用語「疾患」に関して、本出願人は、てんかん発生、発作性障害、けいれん、パーキンソン病、ドーパミン代償療法によって誘導される運動障害、神経弛緩剤の投与によって誘導される遅発性運動障害、ハンチントン舞踏病、他の神経障害、例えば双極性障害、マニア、うつ病、不安症、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、片頭痛、三叉神経痛及び他の神経痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、脳虚血、心不整脈、筋緊張症、コカイン中毒、脳梗塞、ミオクローヌス、振戦、本態性振戦、単純及び複雑チック、トゥレット・シンドローム、下肢静止不能症候群及び他の運動障害、新生脳出血、筋萎縮性側索硬化症、痙縮及び変性疾患、気管支喘息、喘息重積状態及びアレルギー性気管支炎、喘息症候群、気管支過敏性及び気管支症候群、並びにアレルギー性及び血管運動神経性鼻炎及び鼻結膜炎からなる群から選択される疾患を了解する。
【0059】
用語「治療(treatment)」は、本明細書中で使用するとき、治療的(curative)処置及び予防的処置が含まれる。
【0060】
「治療的(curative)」とは、障害又は状態の現在の症候出現の処置に有効であることを意味する。
【0061】
「予防的」とは、障害又は状態の発生又は再発予防を意味する。
本発明はまた、医薬組成物の使用によるヒト患者の治療方法に関する。
【0062】
本発明はまた、前記疾患を治療するための薬剤として使用するための医薬組成物に関する。
【0063】
本発明はまた、前記疾患における治療用途のための薬剤を製造するための医薬組成物の使用に関する。
【0064】
好ましくは、前記疾患は、てんかん、パーキンソン病、運動障害、片頭痛、振戦、本態性振戦、双極性障害、慢性疼痛、神経因性疼痛、又は気管支、喘息若しくはアレルギー状態から本質的になる群から選択される。より好ましくは、前記疾患はてんかんである。
【0065】
本発明はまた、本発明に係る医薬組成物が使用されることによって特徴付けられる、前記疾患における治療用途に意図された薬剤を製造する方法に関する。
【0066】
本発明はまた、医薬組成物の投与による疾患を軽減するためにヒトを治療する方法に指向される。
【0067】
本発明の医薬組成物は、均質な、フリーフローな、磨耗耐性な、均一サイズの顆粒の形態である。
【0068】
本発明の1つの利点は、香味剤が顆粒表面で十分に分散しているという特徴である。
本発明の別の利点は、医薬組成物が味をマスクした製剤であるということである。組成物は、可溶化したレベチラセタムの味が実質的になく、口当たりの良く、薬剤の味がしない。
【0069】
本発明の別の利点は、顆粒のより容易な流動性、同時に、良好であり迅速な水への溶解を可能にする少量の結合剤である。
【0070】
本発明の組成物は、食物又は水溶液に分散させ、苦味なく飲み込むことができる。
本発明の別の利点は、医薬組成物が、一度、舌の上に置かれると、ザラザラした感じ又は他の目立った残留物なしに、ほとんど即座に分散することである。
【0071】
さらに、本発明の医薬組成物は、賦形剤として、潤滑剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、スクロース、糖を含むことを要しない。外部被覆を必要としない。そのため、製造が容易である。分散剤が必要でない。
【0072】
下記の実施例は、例示のみを目的として提供され、いかなる方法においても本発明を限定するように構築することは意図しておらず、そのように構築されていない。当業者は、下記の実施例の日常的な変更及び修飾が本発明の精神又は範囲を超えることなしに実施され得ることを承認する。
【実施例】
【0073】
実施例1.
ドライシロップAは、本発明に係る湿式造粒プロセスによって製造され、下記の組成を有する(表1)。
【0074】
【表1】

【0075】
マンニトール(パーリトールSD200)は、平均粒子径が約180μmの顆粒マンニトールである。
【0076】
ポビドンK30は、結合剤として用いられるポリビニルピロリドンであるが、脱苦味剤しても作用し、第二に粘性の構築に手助けすることができる。
【0077】
結合剤のポビドンは、顆粒液(8gのエタノール)に溶解され、混合マンニトール及び有効成分に添加される。
【0078】
湿式顆粒物は乾燥される。乾燥の終わりに、温度が室温に下がったら、液体の香味剤であるテトラロームオレンジをアルコールと混合し、全ての顆粒表面に均質に噴霧される。顆粒は、甘味剤であるアスパルテームの添加前に篩いに掛けられる。最終の混和物が混合される。
【0079】
粒度分布試験を行う。結果は下記の通りである:
<10%の顆粒フラクションは、75μmを下回る。
>90%の顆粒フラクションは、75μmを上回り、500μmを下回る。
0%の顆粒フラクションは、500μmを上回る。
粒度分布の結果は、その1つが本明細書に記載されるように、製剤に関して理想的である。
【0080】
有効成分中の服用量が行われ、アッセイ結果は、95%を上回る割合である。得られた結果は、95.0%〜105.5%の共通の規格内にある。
【0081】
組成物は、フリーフローであり、乾燥形態ではヒトの舌に置かれた場合、又は水に分散され、その分散の約5分以内に摂取される場合、可溶化したレベチラセタムの味が実質的にない。
【0082】
実施例2.
ドライシロップBは、本発明に係る湿式造粒プロセスによって製造され、下記の組成を有する(表2)。
【0083】
【表2】

【0084】
この組成物は、満足のいく味を示す。
【0085】
実施例3(比較例)
ドライシロップCは、湿式造粒プロセスによって製造され、下記の組成を有する(表3)。
【0086】
【表3】

【0087】
この組成物は、苦味があり、したがって、患者による薬物摂取の良好なコンプライアンスは承認されない。
【0088】
実施例4(比較例)
ドライシロップDは、湿式造粒プロセスによって製造され、下記の組成を有する(表4)。
【0089】
【表4】

【0090】
湿式造粒後に得られた顆粒は、フリーフローではなく、均質なサイズでない。
【0091】
実施例5(比較例)
ドライシロップEは、湿式造粒プロセスによって製造され、下記の組成を有する(表5)。
【0092】
【表5】

【0093】
湿式造粒後に得られた顆粒は、フリーフローではなく、均質なサイズでない。
【0094】
実施例6:薬理学的データ
レベチラセタムは、1回の54mg/kg服用後に、試験した全ての種(マウス、ラット、ウサギ及びイヌ)において十分に吸収され、概して、完全に生体に利用可能である。レベチラセタムは、一般に、服用に比例している血漿レベル及び曝露と共に、これらの種において直線的な動力学を示すが、イヌでは、血漿レベル及び曝露の両方は、嘔吐によりいくつかの試験においてより高い服用量で比例以下であった。マウス及びラットでは、血漿レベル及び曝露は、強制飼養と比較して、飼料投与によって与えられた場合により低かったので、食物は吸収を減少させるようであった。毒性学試験で用いた服用量での繰り返し投与後、血漿レベルは、マウスにおいて安定を維持し、ラットでは増加する傾向にあった。マウス、ラット及びイヌでは、より高い服用量での酵素誘導の兆候がいくつかあった。しかしながら、これは、繰り返し投与後のレベチラセタムの感知できるほどの低い曝露に帰着しなかった。
【0095】
レベチラセタムは、マウス、ラット、ウサギ及びイヌに投与後、組織に均質に分布し、主な例外は、腎臓(高濃度)、及び脂肪組織(非常に低濃度)であった。血漿と中枢神経系との間の交換の速度は、ほとんど他の組織に対するものよりも遅かった。
【0096】
レベチラセタムは、胎盤関門を通過するが、羊水に蓄積されない。
組織分布試験からの見解と一致して、レベチラセタムは、細胞内及び細胞外の水の体積に対応して0.5〜0.7L/kgの分布体積を有する。レベチラセタムは、血漿タンパク質に結合せず、血液と血漿との間に等しく分布する。
【0097】
全ての種において、レベチラセタム及びその代謝物は、他の重要な排泄経路を伴わないで、尿中に大部分が排出される。生体では、レベチラセタムの保持及び蓄積はなく、1%未満の放射線活性が、マウス及びラットへの[14C]−レベチラセタムの投与後に死体に残存していた。
【0098】
実施例7:全ての実験は、地方の動物実験に関する倫理委員会のガイドラインに従って行った。
【0099】
海馬スライスにおけるてんかん応答:レベチラセタムは、還流液中の高いK+/低いCa2+濃度によるラットの海馬スライスにおいて誘導され、ビククリンによって誘導されるてんかん応答を減少させる。高いK+/低いCa2+濃度によるか又はビククリンによって誘導されるてんかん応答に対するブリバラセタムの効果は、従来報告された標準的な手法に従って、Sprague−Dawleyから調製した横位海馬スライスにおいて試験された。てんかん応答は、人工的な脳脊髄液(ACSF)(K+3mM;Ca2+2.4mM)の通常の還流から、高いK+/低いCa2+液(HKLCF)(K+7.5mM;Ca2+0.5mM)に又は5Mビククリンメチオダイド(BMI)含有ACSFに通過させることによって誘導した。
【0100】
細胞外のフィールド電位(FP)は、2MのNaClを満たしたガラス微小電極を用いて、スライスのCA3領域において記録された。誘発されたFPは、スライスがACSFにある場合に最大振幅の50〜75%の1つのポピュレーションスパイク(PS)を発揮する定電流方形パルスを用いて、線毛刺激に応答して、10分の間隔で記録した。HKLCFモデルでは、2分の自発的な活動も、誘発された応答の記録間の各10分の間隔の中間で記録された。
【0101】
ブリバラセタム又はレベチラセタムのいずれかは、ACSFからHKLCF又は5M BMI含有ACSFに移す20分前に、スライスの浴液に添加し、実験を通じて、還流液に維持された。
【0102】
マウスにおける聴原発作:音刺激に対して野生的なランニング、間代性及び緊張性けいれんを伴って反応する遺伝的に音に感受性の雄性マウス(16〜28g;n=10匹/群)を用いた。聴原発作は、30秒間与えられた音刺激(90dB、10〜20kHz)によって誘導した。マウスは、生理食塩水、ブリバラセタム(i.p.,30分)又はレベチラセタム(i.p.,60分)のいずれかで用意され、慢性けいれんに対して保護されたマウスの割合は、抗けいれん作用を評価するために端点として用いた。
【0103】
マウスにおける化学的に誘導した発作:ペンチレンテトラゾール、83mg kg-1s.c.を用いて、ブリバラセタムの抗けいれん的特性を評価した。服用量は、動物の97%において4本全ての肢の慢性けいれんを誘導するけいれん服用量として、生理食塩水で処理した動物における服用量−効果曲線に基づいて選択した。化学的けいれん誘発剤の投与直後、マウスは、小さなプラスチック製の籠(25 13 8cm)に分けて入れられ、60分間、4本全ての肢に間代性けいれんの存在を観察した。緊張性けいれん(後肢の伸長)の発生及び死亡率もこの間隔中に記録した。間代性けいれんに対して保護されたマウスの比率を計算し、抗けいれん作用についての端点として用いた。
【0104】
結果
海馬スライスにおけるてんかん応答:ラットの海馬スライスの還流を通常のACSFからHKLCFに変更することにより、定電流線毛刺激に応答して、CA3領域において、てんかんFPを増加的に生じた。HKLCF単独に晒された対照スライスでは、PS1振幅は、次第に増加し、20分以内に水平値(4.250.77mV)に到達し、ACSF還流下で記録されたもののほぼ2倍高かった(2.180.15mV;n=10スライスの平均s.d.)。また、反復的なPS(即ち、PS2、PS3等)の定電流の1回刺激によって誘発したバーストは、統計で顕著に増加し、HKLCF還流の最初の30分で、誘発されたバースト当たり1回のPS1から平均7.62.3PSに増加し、記録の終了まで徐々に増加し続け、HKLCFの80分の還流後には、誘発されたバースト当たり平均8.81.6PSに到達した。ブリバラセタム及びレベチラセタムの両方は、これらのてんかん応答を減少させた。HKLCFの15分の還流により、自然なフィールドバーストが、HKLCF単独に晒された10個の対照スライスのうち4個において発生し、HKLCF中の25分から記録の終結まで、全ての対照スライスは、規則的なフィールドバーストを示した。レベチラセタム(32μM)ではなく、ブリバラセタム(3.2M)は、この自然なバーストの速度を減少させた。
【0105】
インビボ試験:完全に扁桃体燃え上がりラットでは、ブリバラセタムは、21.2mg kg-1の服用量から運動発作強度において有意な抑制を誘導し、レベチラセタムは、170mg kg-1の服用量から同様の効果を誘導した。ブリバラセタムはまた、試験した最も高い服用量(212.3mg kg-1)で放出後の持続期間を有意に減少させ、レベチラセタムは、最大1700mg kg-1までこのパラメータに不活性であった。
【0106】
聴原発作感受性マウスは、ブリバラセタム及びレベチラセタムによる間代性けいれんの発祥に対して保護した;ED50値は、表2に示されている。マウスにおいて発作誘導の30分前にi.p.投与したブリバラセタムはまた、より高いED50値ではあるが、ペンチレンテトラゾールによって誘導された間代性けいれんに対して、並びにマウスにおける最大の電気ショックによって誘導された緊張性の後肢の伸長に対して保護した。
【0107】
ブリバラセタムは、試験した最大の服用量(67.9mg kg-1)で出現する完全な阻害を伴って、2.1mg kg-1の服用量からGAERSラットにおいて自然なSWDを有意に抑制した。一方、レベチラセタムは、5.4mg kg-1の服用量からのSWDの有意な抑制を誘導した。
【0108】
マウスの角膜燃え上がり中のブリバラセタムによる前処理は、全身性運動発作の発生における有意な減少をもたらし、類似の発生減少は、より高い服用量でのレベチラセタムを用いて観察された。連続的な角膜刺激と続く処置の終了は、最大の服用量のブリバラセタムを用いて予め処理した群における全身性運動発作の発生における持続的低下を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライシロップの形態である経口投与可能な医薬組成物であって、有効成分としてレベチラセタム(levetiracetam)、ブリバラセタム(brivaracetam)又はセレトラセタム(seletracetam)、賦形剤として、該組成物の全重量に対して、マンニトール、ソルビトール又はキシリトールの中から選択され、平均粒子径が75〜520μmである、少なくとも10〜90重量%の顆粒希釈剤を含む前記医薬組成物。
【請求項2】
前記有効成分がレベチラセタムである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
てんかん、パーキンソン病、運動障害及び他の神経障害からなる群から選択される疾患を治療するためのドライシロップの形態である経口投与可能な医薬組成物であって、有効成分としてレベチラセタム、ブリバラセタム又はセレトラセタム、賦形剤として、該組成物の全重量に対して、マンニトール、ソルビトール又はキシリトールの中から選択され、平均粒子径が75〜520μmである、少なくとも10〜90重量%の顆粒希釈剤を含む前記医薬組成物。
【請求項4】
前記希釈剤がマンニトールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
組成物の全重量に対して、20〜80重量%の希釈剤を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
組成物の全重量に対して、40〜60重量%の希釈剤を含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
平均粒子径が75〜450μmである希釈剤を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
平均粒子径が150〜200μmである希釈剤を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
室温で水溶性の少なくとも1つの追加の賦形剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
結合剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記結合剤がポリビニルピロリドンである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
組成物の全重量に対して、0.5〜5.0重量%の結合剤を含む、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
組成物の全重量に対して、1.5〜2.5重量%の結合剤を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
甘味剤を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記甘味剤がアルパルテームである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
組成物の全重量に対して、1.0〜30重量%の甘味剤を含む、請求項14又は15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
香味剤を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記香味剤がテトラロームオレンジ(Tetrarome Orange)である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
0.01〜2.00重量%の香味剤を含む、請求項17又は18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
有効成分としてレベチラセタムを含み、組成物の全重量に対して、40〜60重量%のマンニトール、1.5〜2.5重量%のポリビニルピロリドン、1.0〜7.5重量%のアスパルテーム、及び0.08〜1.2重量%のテトラロームオレンジを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
レベチラセタム500mg、平均粒子径が180μmである顆粒マンニトール(パーリトール(Pearlitol)(登録商標)SD200)451mg、ポリビニルピロリドン(ポビドン(Povidone)K30)19mg、アスパルテーム30mg、及びテトラロームオレンジ1mgを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2010−24156(P2010−24156A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−185042(P2008−185042)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(507141907)ユセベ ファーマ,ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】