説明

レーザプリンタ装置

【課題】 付加的な部材を用いることなく、定着ユニットとレーザスキャニングユニットの冷却を行なうことのできるレーザプリンタ装置を提供する。
【解決手段】 レーザプリンタ装置では、ベース部材6、定着ユニット5、レーザスキャニングユニット4を覆うようにトップカバー10が配設されている。ベース部材6における定着ユニット5の側に位置する端部において強度を確保するために形成された立ち上がり部には、一方向に沿って複数の開口部が形成され、その開口部は、ファン9から遠ざかるにしたがって開口面積が徐々に大きくなるように形成されている。トップカバー10には、ベース部材6の側に突出した壁部11が一体的に形成され、壁部11と立ち上がり部とで空気の通路が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザプリンタ装置に関し、特に、冷却用のファンを備えたレーザプリンタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置の一形態にレーザプリンタ装置がある。図7に示すように、レーザプリンタ装置101では、レーザプリンタ装置101の給紙口113から給紙された所定の用紙120が感光体102を通過する際に、レーザスキャニングユニット104により画像信号に基づいた所定のレーザ光線をその感光体102に照射することによってその用紙120にトナーが転写されることになる。トナーが転写された用紙120は定着ユニット105において、所定の温度にて定着されて排紙口114から排紙される。なお、トナーはカートリッジ103から供給される。
【0003】
この一連の印刷動作において、定着処理は温度約200℃程度のもとで行なわれるため、定着ユニット105が熱を発することになる。また、レーザスキャニングユニット104では、内装されている所定のポリゴンミラー(図示せず)を回転させることによって画像信号に基づいたレーザ光線が感光体102に照射されるため、そのポリゴンミラーを回転させるために、レーザスキャニングユニット104にはポリゴンモータ(図示せず)が内装されている。レーザスキャニングユニット104は、このポリゴンモータの回転によって熱を発することになる。
【0004】
このように、定着ユニット105において発生する熱と、レーザスキャニングユニット104において発生する熱がレーザプリンタ装置101の内部に籠らないように、レーザプリンタ装置101には冷却のためのファン(図示せず)が取付けられる。特許文献1〜3には、プリンタ装置等において発生する熱を取除く手法について開示されている。
【特許文献1】特開2004−12859号公報
【特許文献2】特開2004−262117号公報
【特許文献3】特開2001−337290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレーザプリンタ装置101では次のような問題点があった。レーザプリンタ装置101において冷却のためのファンを取付けようとすると、用紙120の搬送を妨げないようにすることと、小型化を図る点からレーザプリンタ装置101の側部に配置されることが多い。そして、この場合には、定着ユニット105およびレーザスキャニングユニット104にて発生する熱を除去するために、付加的なダクト(図示せず)がレーザプリンタ装置101内に配設されることがあった。そのため、レーザプリンタ装置101のさらなる小型化を阻害する要因の一つとなっていた。また、付加的な部材を使用するために生産コストの低減を阻害する要因の一つとなっていた。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、付加的な部材を用いることなく、定着ユニットとレーザスキャニングユニットの冷却を行なうことのできるレーザプリンタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレーザプリンタ装置は、1対の枠体とベース部材とレーザスキャニングユニットと定着ユニットとファンとトップカバーと立ち上がり部と複数の開口部と所定の壁部とを備えている。1対の枠体は互いに対向するように配設されている。ベース部材は1対の枠体の間を渡すように1対の枠体のそれぞれに固定され一方向に延在する。レーザスキャニングユニットはそのベース部材に載置され、所定の画像信号に基づいてレーザ光線を照射することにより用紙にトナーを転写する。定着ユニットはベース部材に対して一方向と略直交する方向の側に並設され、用紙に転写されたトナーを定着する。ファンは、1対の枠体のうちの一方の枠体においてベース部材の一方向の端部に対応する位置に配設されている。トップカバーはベース部材、レーザスキャニングユニット、定着ユニットおよびファンを覆うように配設されている。立ち上がり部は、ベース部材において定着ユニット側に位置する端部に設けられ、トップカバーの側に向かって立ち上げられて一方向に延在している。複数の開口部は一方向に沿って立ち上がり部に形成され、それぞれ所定の開口面積を有している。所定の壁部はトップカバーにおいてベース部材の側に向かって形成され、立ち上がり部との間で空気を導くための通路となる。そして、開口部は、ファンから遠ざかるにしたがって所定の開口面積が徐々に大きくなるように形成されている。壁部は、立ち上がり部と壁部との間にレーザスキャンユニットに内装されたポリゴンモータが位置するように配設されている。
【0008】
この構造によれば、ベース部材の立ち上がり部に開口部を設け、トップカバーに壁部を設けることで、ダクトなどの付加的な部材を不要とせずに空気を定着ユニットとレーザスキャニングユニットへ導くことができて、小型化を図りながら定着ユニットとレーザスキャニングユニットを確実に冷却することができる。
【0009】
本発明に係る他のレーザプリンタ装置は、所定のベース材とレーザスキャニングユニットと定着ユニットとファンと立ち上がり部とを備えている。所定のベース部材は一方向に延在している。レーザスキャニングユニットはベース部材に載置され、所定の画像信号に基づいてレーザ光線を照射することにより用紙にトナーを転写する。定着ユニットはベース部材に対して一方向と略直交する方向の側に並設され、用紙に転写されたトナーを定着する。冷却のためのファンは、ベース部材に対して一方向の端部の側に配設されている。立ち上がり部はベース部材において定着ユニットが並設される側の端部に形成され、上方に向かって折り曲げられている。その立ち上がり部には、定着ユニットが配設されている側とレーザスキャニングユニットが配設されている側とを連通する開口部が形成されている。
【0010】
この構造によれば、ベース部材の立ち上がり部に開口部を設けることで、ダクトなどの付加的な部材を不要とせずに空気を定着ユニットとレーザスキャニングユニットへ導くことができて、小型化を図りながら定着ユニットとレーザスキャニングユニットを確実に冷却することができる。
【0011】
また、開口部は一方向に沿って複数設けられ、その複数の開口部はファンから遠ざかるにしたがって開口面積が徐々に大きくなるように形成されていることが好ましい。
【0012】
これにより、ファンからより遠い側に位置する開口部を通過する空気の流量とファンにより近い側に位置する開口部を通過する空気の流量との差がより少なくなって、レーザスキャニングユニットをより均一に冷却することができる。
【0013】
さらに、ベース部材、定着ユニット、レーザスキャニングユニットを覆うように配設されるトップカバーを備え、そのトップカバーには、トップカバーを装着した状態でベース部材の側に突出し、立ち上がり部との間に空気を導くための所定の壁部が形成されていることが好ましい。
【0014】
これにより、壁部と立ち上がり部との間に空気の通路が形成されて、熱をもった空気がレーザプリンタ装置内でよどみなどを形成することなく確実にファンにまで導かれて、熱をレーザプリンタ装置の外へ排出することができる。
【0015】
そして、その壁部は、立ち上がり部と壁部との間にレーザスキャニングユニットに内装されたポリゴンモータが位置するように配設されていることが好ましい。
【0016】
これにより、熱を発生させるポリゴンモータを集中的に冷却することができる。
【0017】
また、ファンは、立ち上がり部と前記壁部との間に位置するように配設されていることが好ましい。
【0018】
これにより、熱をもった空気がファンにまで確実に導かれて、熱をレーザプリンタ装置の外へ排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係るレーザプリンタ装置について説明する。図1および図2に示すように、レーザプリンタ装置で1では、フレームとして互いに対向するように1対の枠体8が配設され、その1対の枠体8の間を渡すように一方向に延在する所定のベース部材6が、その枠体8に固定されている。ベース部材6の下方には、所定の用紙20に画像を印刷するためのトナーを転写する感光体2が配設されるとともに、その感光体2と対向するようにトナーを供給するカートリッジ3が配設されている。
【0020】
感光体2の上方には、用紙20に転写されたトナーを定着するための定着ユニット5がベース部材6と並ぶように配設されている。そして、ベース部材6には、所定の画像信号に基づいてレーザ光線を感光体2に照射するレーザスキャニングユニット4が載置されている。そのレーザスキャニングユニット4には、画像信号に基づいたレーザ光線を感光体2に照射させるために、所定のポリゴンミラーとそのポリゴンミラー(図示せず)を回転させるためのポリゴンモータ4aが内装されている。1対の枠体8のうちの一方の枠体8において、ベース部材6の一方向の端部に対応する位置に冷却のためのファン9が配設されている。
【0021】
ベース部材6、定着ユニット5、レーザスキャニングユニット4を覆うように、トップカバー10が配設されている。図3に示すように、そのトップカバー10には、トップカバー10を装着した状態でベース部材6の側に突出した壁部11が一体的に形成されている。壁部10と立ち上がり部7とで空気の通路が形成されることになる。その壁部10は、後述するように、壁部10と立ち上がり部7との間にレーザスキャニングユニット4に内装されたポリゴンモータ4aが位置するように配設されている。
【0022】
図4および図5に示すように、ベース部材6における定着ユニット5の側に位置する端部には、ベース部材6の強度を確保するためにトップカバー10の側に向かって折り曲げられて一方向に延在する立ち上がり部7が形成されている。その立ち上がり部7には、一方向に沿って複数の開口部7a〜7eが形成されている。その開口部7a〜7eは、ファン9から遠ざかるにしたがって開口面積が徐々に大きくなるように形成されている。
【0023】
次に、上述したレーザプリンタ装置1の動作について説明する。図1に示すように、トナーを収容したカートリッジ3がレーザプリンタ装置1内に装着される。次に、レーザプリンタ装置1の給紙口13から給紙(矢印)された所定の用紙20が感光体2へ送られる。感光体2には、レーザスキャニングユニット4により画像信号に基づいた所定のレーザ光線が照射され、用紙20が感光体2を通過する際に、そのレーザ光線の照射に基づいて用紙20にトナーが転写される。トナーが転写された用紙20は定着ユニット5へ送られる。定着ユニット5では、所定の温度にてトナーを用紙20に定着させる処理が施される。定着処理が完了した用紙20は排紙口14から排紙(矢印)されることになる。このようにして、レーザプリンタ装置1による一連の印刷処理が完了する。
【0024】
一連の印刷処理において、定着ユニット5では、たとえば温度約200℃程度のもとで定着処理が行なわれるため、定着ユニット5から熱が発生する。また、レーザスキャニングユニット4では、画像信号に基づいて内装された所定のポリゴンミラー(図示せず)を回転させるためにポリゴンモータ4aが駆動することによって、レーザスキャニングユニット4からも熱が発生することになる。定着ユニット5とレーザスキャニングユニット4において発生する熱は、図4に示すように、ファン9によってレーザプリンタ装置の外へ排熱される。
【0025】
上述したレーザプリンタ装置では、図4および図5に示すように、レーザスキャニングユニット4が載置されるベース部材6にはベース部材6の端部を折り曲げて立ち上がり部7を設けることで補強がなされており、その立ち上がり部に開口部7a〜7eが設けられている。また、ファン9は、枠体において一方向に延在するベース部材6の端部に対応する位置に配設されて、レーザプリンタ装置1内の空気はレーザプリンタ装置1の側方に向かって排出されることになる。
【0026】
このとき、そのような空気の流れによって、まず、定着ユニット5が冷却される。そして、図6に示すように、レーザプリンタ装置の側方へ向かって流れようとする空気は、立ち上がり部7によってその流れが阻害されることなく開口部7a〜7eを通過してレーザスキャニングユニット4に確実に導かれることになる。その結果、レーザスキャニングユニット4を効果的に冷却することができる。
【0027】
また、開口部7a〜7eはファン9から遠ざかるにしたがって開口面積が徐々に大きくなるように形成されていることで、ファン9からより遠い側に位置する開口部を通過する空気の流量とファン9により近い側に位置する開口部を通過する空気の流量との差がより少なくなって、レーザスキャニングユニット4をより均一に冷却することができる。
【0028】
さらに、トップカバー10の裏側に壁部11を設けることで、壁部10と立ち上がり部7との間に空気の通路が形成されて、熱をもった空気がレーザプリンタ装置1内でよどみなどを形成することなく確実にファン9にまで導かれて、レーザプリンタ装置1の外へ排出されることになる。しかも、レーザスキャニングユニット4に内装されたポリゴンモータ4aが壁部10と立ち上がり部7と間に位置するように壁部10をトップカバー10に配設することで、熱を発生させるポリゴンモータ4aを集中的に冷却することができる。
【0029】
このように、本レーザプリンタ装置1では、ベース部材6の立ち上がり部7に開口部7a〜7eを設け、トップカバー10に一体的に壁部11を設けることで、ダクトなどの付加的な部材が不要となって、小型化を図りながら定着ユニット5とレーザスキャニングユニット4を確実に冷却することができる。
【0030】
なお、今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係るレーザプリンタ装置の分解斜視図である。
【図2】同実施の形態において、レーザプリンタ装置における上部の構造を示す部分斜視図である。
【図3】同実施の形態において、壁部が一体的に形成されたトップカバーの斜視図である。
【図4】同実施の形態において、レーザプリンタ装置におけるベース部材および定着ユニット付近の構造を示す部分斜視図である。
【図5】同実施の形態において、ベース部材の斜視図である。
【図6】同実施の形態において、レーザプリンタ装置内における空気の流れを示す平面図である。
【図7】従来のレーザプリンタ装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 レーザプリンタ装置、2 感光体、3 カートリッジ、4 レーザスキャニングユニット、4a ポリゴンモータ、5 定着ユニット、6 ベース部材、7 立ち上がり部、7a〜7e 開口部、8 枠体、9 ファン、10 トップカバー、11 壁部、13 給紙口、14 排紙口、20 用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配設された1対の枠体と、
前記1対の枠体の間を渡すように前記1対の枠体のそれぞれに固定され、一方向に延在するベース部材と、
前記ベース部材に載置され、所定の画像信号に基づいてレーザ光線を照射することにより用紙にトナーを転写するためのレーザスキャニングユニットと、
前記ベース部材に対して前記一方向と略直交する方向の側に並設され、用紙に転写されたトナーを定着するための定着ユニットと、
前記1対の枠体のうちの一方の枠体において、前記ベース部材の前記一方向の端部に対応する位置に配設されたファンと、
前記ベース部材、前記レーザスキャニングユニット、前記定着ユニットおよび前記ファンを覆うように配設されるトップカバーと、
前記ベース部材において前記定着ユニット側に位置する端部に設けられ、前記トップカバーの側に向かって立ち上げられて前記一方向に延在する立ち上がり部と、
前記一方向に沿って前記立ち上がり部に形成され、それぞれ所定の開口面積を有する複数の開口部と、
前記トップカバーにおいて前記ベース部材の側に向かって形成され、前記立ち上がり部との間で空気を導くための通路となる所定の壁部と、
を備え、
前記開口部は、前記ファンから遠ざかるにしたがって前記所定の開口面積が徐々に大きくなるように形成され、
前記壁部は、前記立ち上がり部と前記壁部との間に前記レーザスキャンユニットに内装されたポリゴンモータが位置するように配設された、レーザプリンタ装置。
【請求項2】
一方向に延在する所定のベース部材と、
前記ベース部材に載置され、所定の画像信号に基づいてレーザ光線を照射することにより用紙にトナーを転写するためのレーザスキャニングユニットと、
前記ベース部材に対して前記一方向と略直交する方向の側に並設され、用紙に転写されたトナーを定着するための定着ユニットと、
前記ベース部材に対して前記一方向の端部の側に配設された冷却のためのファンと、
前記ベース部材において前記定着ユニットが並設される側の端部に形成され、上方に向かって折り曲げられた立ち上がり部と、
を備え、
前記立ち上がり部には、前記定着ユニットが配設されている側と前記レーザスキャニングユニットが配設されている側とを連通する開口部が形成された、レーザプリンタ装置。
【請求項3】
前記開口部は前記一方向に沿って複数設けられ、
複数の前記開口部は、前記ファンから遠ざかるにしたがって開口面積が徐々に大きくなるように形成された、請求項2記載のレーザプリンタ装置。
【請求項4】
前記ベース部材、前記定着ユニット、前記レーザスキャニングユニットを覆うように配設されるトップカバーを備え、
前記トップカバーには、前記トップカバーを装着した状態で前記ベース部材の側に突出し、前記立ち上がり部との間に空気を導くための所定の壁部が形成された、請求項2または3に記載のレーザプリンタ装置。
【請求項5】
前記壁部は、前記立ち上がり部と前記壁部との間に前記レーザスキャニングユニットに内装されたポリゴンモータが位置するように配設された、請求項4記載のレーザプリンタ装置。
【請求項6】
前記ファンは、前記立ち上がり部と前記壁部との間に位置するように配設された、請求項2〜5のいずれかに記載のレーザプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−259522(P2006−259522A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79529(P2005−79529)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】