説明

レーザマーキング装置

【課題】マイクロマーキングを行うことのできる、簡単な構造のレーザマーキング装置を提供する。
【解決手段】 本発明によるレーザマーキング装置は、半導体レーザユニット2と、半導体レーザユニットハウジング3と、レンズハウジング5と、集光レンズ11と、を含む。半導体レーザユニットは、半導体レーザ1を含み、光軸と一致する回転対称軸を有する円筒形をなす。半導体レーザユニットハウジングは、半導体レーザユニットと嵌合する円筒形の中空部を備え、さらに、半導体レーザユニットを嵌合させた場合の光軸に対して一定の角度の面を備える。半導体レーザユニットは、円筒形の中空部において光軸方向および回転対称軸のまわりの回転方向に位置調整ができる。レンズハウジングは、摺動させることにより、半導体レーザユニットハウジングに対して位置調整ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザを使用するレーザマーキング装置に関する。特にマイクロマーキングやトレーサブルマーキングが可能なマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂などからなる製品などに、文字、コードおよび記号などを記録するマーキングには、顧客などに対して情報を提供することを目的とするものと、製造工程や流通工程において情報を提供することを目的とし、顧客などに対して情報を提供することを目的としないものとがある。前者は、肉眼で視認させることによって情報を提供するので、マーキングの対象を視認できる程度の大きさにする必要がある。このため、前者をマクロマーキングと呼称する。後者は、肉眼で視認させることによって情報を提供することを目的せず、また製品などの美観を損なわないのが好ましいので、肉眼で視認できない程度に小さくするのが好ましい。このような、肉眼で視認できない程度に小さなマーキングをマイクロマーキングと呼称する。
【0003】
マイクロマーキングの一例が製造工程の管理用のトレーサブルマーキングである。トレーサブルマーキングは製品の特定の位置に、微細な2次元バーコードなどのような特殊な記号をマーキングすることによって、製造日時や製造ライン、型番や使用材料と加工プロセスのパラメーターなどを記録する。記録された情報は、下流の製造工程で使用し、あるいは、万一不良品が出たときに上流の工程に逆上って調査して不良原因を確認するのに使用する。
【0004】
マイクロマーキングに使用されるマーキング装置としては、光源にファイバーレーザを使用するものがある。ファイバーレーザは、光源がシングルモードであるために回折限界まで集光でき、かつエネルギーが大きいので、レーザによるマイクロマーキングに適している。しかし、ファイバーレーザを光源に使用するマーキング装置は、大がかりなものとなり、また高価なものとなる。
【0005】
ファイバーレーザを光源に使用するマーキング装置は、たとえば、特許文献1(図3および20頁第1段落乃至24頁第1段落)に開示されている。また、半導体レーザからのレーザ光を微小スポット光に集束できるようなマーキング装置は、特許文献2(図1および22乃至28段落)および特許文献3(図1および25乃至31段落)に開示されている。しかし、これらはマイクロマーキングに適したものではない。
【0006】
【特許文献1】特表2002−501436号公報
【特許文献2】特開2001−100145号公報
【特許文献3】特開2000−334585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マイクロマーキングを行うことのできる、簡単な構造のレーザマーキング装置は存在しなかった。したがって、マイクロマーキングを行うことのできる、簡単な構造のレーザマーキング装置に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるレーザマーキング装置は、半導体レーザユニットと、半導体レーザユニットハウジングと、レンズハウジングと、集光レンズと、を含む。半導体レーザユニットは、半導体レーザを含み、光軸と一致する回転対称軸を有する円筒形をなす。半導体レーザユニットハウジングは、半導体レーザユニットと嵌合する円筒形の中空部を備え、さらに、半導体レーザユニットを嵌合させた場合の光軸に対して一定の角度の面を備える。集光レンズは、コリメータレンズによって平行化された光束を集光する。半導体レーザユニットは、半導体レーザユニットハウジングの円筒形の中空部において光軸方向および光軸と一致する回転対称軸のまわりの回転方向に位置調整ができるように構成され、レンズハウジングは、光軸に対して前記一定の角度の面を摺動させることにより、半導体レーザユニットハウジングに対して位置調整ができるように構成されている。
【0009】
本発明によるレーザマーキング装置を製造する方法は、半導体レーザユニットと、半導体レーザユニットハウジングと、レンズハウジングと、を含むマーキング装置を製造する。半導体レーザユニットは、半導体レーザを含み、光軸と一致する回転対称軸を有する円筒形をなす。半導体レーザユニットハウジングは、半導体レーザユニットと嵌合する円筒形の中空部を備え、さらに、半導体レーザユニットを嵌合させた場合の光軸に対して一定の角度の面を備える。半導体レーザユニットは、半導体レーザユニットハウジングの円筒形の中空部において光軸方向および光軸と一致する回転対称軸のまわりの回転方向に位置調整ができるように構成され、レンズハウジングは、光軸に対して前記一定の角度の面を摺動させることにより、半導体レーザユニットハウジングに対して位置調整ができるように構成されている。
【0010】
本発明によるレーザマーキング装置を製造する方法は、半導体レーザユニットを、半導体レーザユニットハウジングの円筒形の中空部に勘合させるステップと、光軸をZ軸として、波面の点像を観察しながら半導体レーザ光の中心を像の中心に合わせるように、半導体レーザユニットハウジングのX軸方向およびY軸方向の位置を調整するステップと、を含む。さらに、半導体レーザユニットハウジングの光軸と一定の角度の面にレンズハウジングを載せて、波面像の点像の位置が左右・上下が対称となるようにレンズハウジングのX軸方向およびY軸方向の位置を調整するステップを含む。さらに、波面収差を測定し、測定結果に基づいてレンズハウジングの位置と半導体レーザユニットの高さを調整するステップと、半導体レーザユニット、半導体レーザユニットハウジングおよびレンズハウジングを一体として固定するステップと、を含む。
【0011】
本発明によれば、コリメータレンズによって平行化されたレーザ光束の波面を測定しながら、波面収差をできるだけ小さくするように、半導体レーザユニットハウジングを介して、半導体レーザユニットとレンズハウジングとの位置関係を調整することができる。したがって、簡単な構造のレーザマーキング装置によって、コリメータレンズによって平行化されたレーザ光束を微小スポット光に集光することができ、マイクロマーキングが実現できる。
【0012】
本発明の一実施形態よれば、一定の角度が90度である。
【0013】
したがって、光軸に対するレンズハウジングの位置を調整するのが容易である。
【0014】
本発明の他の実施形態よれば、半導体レーザユニットハウジングとレンズハウジングとの間にレンズの傾き調整のための機構を備える。
【0015】
したがって、非点収差を補正することができる。
【0016】
本発明の他の実施形態よれば、レンズハウジングが、波面補正板をさらに備える。
【0017】
したがって、レーザアブレーション加工法により波面補正板の形状を加工することにより収差をさらに小さくすることができる。
【0018】
本発明の他の実施形態よれば、コリメータレンズが、半導体レーザの活性層に垂直な方向のビーム拡がり角と平行な方向のビーム拡がり角を揃えるようなビーム整形機能を有する。
【0019】
したがって、非点収差を小さくすることができる。
【0020】
本発明によるマーキング装置の他の実施形態よれば、マーキング対象物からの戻り光の強度が最大となるようにまたは戻り光のビーム径が最小となるように集光レンズの光軸方向の位置を調整するオートフォーカス機構をさらに備える。
【0021】
したがって、オートフォーカス機構によりマーキングの不鮮明化が防止出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1および図2を参照して、本発明のレーザマーキング装置のレーザ光源部分の構成を説明する。レーザ光源部分は、半導体レーザユニット2と、半導体レーザユニットハウジング3と、レンズハウジング5とを含む。半導体レーザユニット2は、半導体レーザ1を含み、光軸と一致する回転対称軸を有する円筒形である。半導体レーザユニットハウジング3は、半導体レーザユニットと嵌合する円筒形の中空部を備え、さらに、半導体レーザユニットを嵌合させた場合に光軸に対して一定の角度の面を備える。レンズハウジング5は、コリメータレンズ4を含み、半導体レーザユニットハウジング3の光軸に対して一定の角度の面に対応する、光軸に対して一定の角度の面を備える。本実施形態においては、一定の角度は90度である。
【0023】
使用する半導体レーザ1は、シングルモードの半導体レーザであれば、いずれの波長でもよい。波長は、主には、406ナノメータまたは940ナノメータである。半導体レーザ1の出力は、2Wまでの範囲であり、本実施形態においては、200mWである。
【0024】
ここで、半導体レーザユニット2は、半導体レーザユニットハウジング3の円筒形の中空部において光軸方向および光軸と一致する回転対称軸のまわりの回転方向に位置調整ができるように構成されている。また、レンズハウジング5は、光軸に対して一定の角度の面を摺動させることにより、半導体レーザユニットハウジング3に対して位置調整ができるように構成されている。
【0025】
図3は、本発明のレーザマーキング装置のレーザ光源部分を調整するための調整装置51を示す。図中のPの位置に、レンズユニット5を配置し、その下に半導体レーザユニットハウジング3を配置して調整を行う。図中のAは、半導体レーザユニットハウジング3に対する、レンズハウジング5のX軸方向の位置調整機構を示す。図中のBは、半導体レーザユニットハウジング3に対する、レンズハウジング5のY軸方向の位置調整機構を示す。これらの調整は、半導体レーザユニットハウジング3を固定して、その光軸に対して一定の角度の面において、バネによる反力をかけながらX軸方向またはY軸方向に、レンズハウジング5をネジによって押して摺動させることによって行う。図中のCは、半導体レーザユニットハウジング3に対する、半導体レーザユニット2のZ軸(光軸)方向の位置調整機構を示す。この調整は、固定した半導体レーザユニットハウジング3の円筒形の中空部に半導体レーザユニット2を嵌合させて、ネジ機構により半導体レーザユニット2の底面のZ軸(光軸)方向の位置を変化させることにより行う。図中のDは、半導体レーザユニットハウジング3に対する、半導体レーザユニット2のZ軸(光軸)のまわりの回転位置調整機構を示す。半導体レーザユニット2を載せた円形のテーブルが回転することによってZ軸(光軸)のまわりの回転位置を調整する。図中のEは、半導体レーザユニットハウジング3を固定する固定機構および半導体レーザユニット2を載せた円形のテーブルを載せたステージ全体のX軸方向の傾き調整機構を示す。図中のFは、半導体レーザユニットハウジング3を固定する固定機構および半導体レーザユニット2を載せた円形のテーブルを載せたステージ全体のY軸方向の傾き調整機構を示す。
【0026】
レーザ光源部分を調整するための上述の調整装置51によって、半導体レーザユニットハウジング3を介して、半導体レーザユニットハウジング3とレンズハウジング5との位置関係を調整することができる。調整装置51を使用して、どのように調整を行うかについて以下に説明する。
【0027】
図4は、調整装置51と、レーザ光の波面を測定する測定光学系とを含む調整システムの構成を示す。以下に詳細に説明するように、測定光学系によってレーザ光の波面を測定しながら、調整装置51によってレーザ光源部分の調整を行う。半導体レーザ1によって射出されたレーザ光束は、コリメータレンズ4によって平行とされる。平行レーザ光束は、それぞれの焦点の和の間隔を空けて配置された焦点距離F1のレンズ101および焦点距離F2のレンズ103を通過させることによって平行レーザ光束の直径を変更する。具体的に平行レーザ光束の直径は、F2/F1倍となる。平行レーザ光束の直径は、後方に配置されたマイクロレンズアレイ105の面積に合わせるように行う。
【0028】
つぎに、波面測定について説明する。波面測定には、シャックハルトマン測定法を使用する。測定に際しては、たとえばヘリウム・ネオン光源111からの基準光をマイクロレンズアレイ105に入射させる。マイクロレンズアレイ105におけるマイクロレンズの焦点距離は、10000マイクロメートル、配置ピッチは、0.3ミリメートルである。各マイクロレンズは、入射された基準光をそれぞれ集光する。結像レンズ107を使用して焦点像をディテクタアレイ(CCD)109上に結像して、個々の焦点の位置を記録する。つぎに測定光をマイクロレンズアレイ105に入射させ、同様に焦点像を記録する。基準光での焦点位置と測定光の焦点位置のズレ量を求める。基準光とのズレ量は波面の傾きを表しているので、ビーム径全体について積分するとビーム光の波面が求まる。
【0029】
測定された波面の変位、すなわち波面収差をチェルニケ係数展開することで収差を個別に評価することがでる。具体的にチェルニケ係数1項はX軸の傾きを、チェルニケ係数2項はY軸の傾きを、チェルニケ係数3項はコリメートレンズ4のデファーカスを、チェルニケ係数4項および5項は非点収差を、チェルニケ係数6項および7項はコマ収差(レンズの表面裏面の位置、半導体レーザ光源とコリメータレンズとの軸ずれなど)、チェルニケ係数8項は球面収差を示す。波面収差をチェルニケ係数展開する上述の処理は、ディテクタアレイ109に接続された図示しないプロセッサによって行われる。プロセッサは、たとえばパーソナルコンピュータであってもよい。
【0030】
上述の波面測定の結果に基づいて、調整装置51によって、半導体レーザユニットハウジング3を介して、半導体レーザユニット2とレンズハウジング5との位置関係を調整する。
【0031】
上述の半導体レーザユニットハウジング3とレンズハウジング5との位置関係の調整によっても、収差がなお目標値、たとえばλ/4以下とならない場合には、加工用レーザ光源113および加工用集光レンズ115を使用してレーザアブレーション加工法により波面補正板6の形状を加工することにより収差をさらに小さくする。具体的には、コリメータレンズ4と波面補正板6を透過した半導体レーザ光の波面を測定して、位相の進み具合を示す等高線マップを作成する。このマップの位相が遅れている所に対応する波面補正板の部分をレーザアブレーションで除去して位相を調整する。樹脂製の波面補正板を使用することにより、コリメータレンズ4がガラス製であっても補正可能となる。レーザアブレーション加工法の詳細については、特許第3085875号(光学面の形成方法)に記載されている。
【0032】
上述の調整手順を、図5の流れ図を参照して説明する。ステップS010において、半導体レーザユニット2および半導体レーザユニットハウジング3を、調整装置51に取付ける。ステップS020において、波面の点像を観察しながら以下の調整を行う。図3のDによって、半導体レーザユニット2を回転させることにより半導体レーザの向きを調整する。半導体レーザ光の中心を像の中心に合わせるように、図3に示さない調整機構により、調整装置全体をX軸方向およびY軸方向に移動させることにより、半導体レーザユニットハウジング3のX軸方向およびY軸方向の位置を調整する。さらに、半導体レーザチップの取付け誤差による半導体レーザ光の光軸ずれを、図3のEおよびFのチルト調整ステージで調整する。ステップS030において、半導体レーザユニットハウジング3の光軸と一定の角度の面にレンズハウジング5を載せて、半導体レーザ光の中心に合わせる。波面像の点像の位置が左右・上下が対称となるように、図3のAおよびBによってレンズハウジング5のX軸方向およびY軸方向の位置を調整する。ステップS040において、ディテクタアレイ109によって波面収差を測定する。チェルニケ係数1、2および3項が0に近づくように、図3のCによってレンズハウジング5の位置と半導体レーザユニット2の高さを調整する。ステップS050において、非点収差の調整が必要かどうか判断する。必要であれば、ステップS060に進み、必要でなければステップS070に進む。ステップS060において、チェルニケ係数4および5項が0に近づくように、図3のGに示す、半導体レーザユニットハウジング3とレンズハウジング5との間において、X軸方向またはY軸方向にレンズを傾ける。レンズを傾けるには、たとえばシムを挿入してもよい。あるいは、ネジとバネからなる機構あるいはバイアスネジ機構を設けてネジを調整することによって傾けてもよい。その後、ステップS030に戻り、再び、レンズハウジング5の位置と半導体レーザユニット2の高さを調整する。ステップS070において、半導体レーザユニット2および半導体レーザユニットハウジング3をUV硬化樹脂などの接着剤で固定する。また、レンズハウジング5、シムおよび半導体レーザユニットハウジング3をUV硬化樹脂などの接着剤で固定する。ステップS080において、波面を測定し、波面補正板による補正が必要かどうか判断する。必要であれば、ステップS090に進む。必要でなければ、終了する。ステップS090において、加工用レーザ光源113および加工用集光レンズ115を使用してレーザアブレーション加工法により波面補正板6の形状を加工することにより収差をさらに小さくする。
【0033】
図6は、本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置の全体構成を示す。レーザマーキング装置は、上述の方法によって波面収差を最小化した、レーザ光源部分、すなわち、半導体レーザユニット2、半導体レーザユニットハウジング3、レンズハウジング5および波面補正板6と、集光レンズ11を含む。レーザ光源部分によって波面収差を最小化し、平行化したレーザ光束を、集光レンズ11によって集光することにより高輝度のスポットを得ることで、XYステージ22上の加工物21へのマイクロマーキングが可能となる。レーザマーキング装置は、半導体レーザドライバ16およびXYステージ22を制御するためのプロセッサ15を備えてもよい。
【0034】
ここで、短焦点レンズによる集光では集光点での深度が浅いためにマーキング物の凹凸によりマーキングが不鮮明に成り易い。そこで、集光照射したマーキング物による反射光をビームスプリター12で分離し、集光レンズ13で集光して、光―電気変換素子14により電気信号に変換し、プロセッサ15に取り込む。プロセッサ15は、当該信号を最大とするように、集光レンズ11をアクチエター17で駆動しマーキング面にベストなフォーカスを維持する。また、別の方法として、ビーム径を画像によって測定し、最小とするように、集光レンズ11をアクチエター17で駆動してもよい。
【0035】
アクチエター17としては ピエゾ素子駆動、モーター駆動、静電気駆動、磁力駆動などを用いることが出来る。このようなオートフォーカス機構によりマーキングの不鮮明化が防止出来る。
【0036】
図7は、コリメータレンズの光学配置を示す。コリメータレンズは、R1面がY−トロイダル面からなり、R2面がX−トロイダル面からなるトロイダルレンズを使用した。トロイダルレンズの形状データを以下に示す。rは曲率半径、Kは形状係数、A、B、CおよびDは、それぞれ4次、6次、8次および10次の補正項の係数である。

【表1】

【0037】
コリメータレンズとしては、アナモルフィックレンズなどを使用し、X方向(半導体レーザの活性層に平行な方向)およびY方向(半導体レーザの活性層に垂直な方向)の光束の径を等しくするようにしてもよい。
【0038】
集光レンズは、焦点距離が10ミリメータのものを使用した。
【0039】
本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置によってマイクロマーキングされた結果を図8乃至10に示す。図8は、ポリカーボネート(PC)上にマイクロマーキングされたものである。ドットの大きさは、約70マイクロメータである。図9は、アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)上にマイクロマーキングされたものである。ドットの大きさは、約10マイクロメータである。図10は、エポキシ上にマイクロマーキングされたものである。ドットの大きさは、約30マイクロメータである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置のレーザ光源部分を示す。
【図2】本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置のレーザ光源部分を示す。
【図3】本発明のレーザマーキング装置のレーザ光源部分を調整するための調整装置を示す。
【図4】調整装置を含む、レーザ光源部分を調整するための光学系の構成を示す。
【図5】本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置の調整手順を示す流れ図である。
【図6】本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置の全体構成を示す。
【図7】コリメータレンズの光学配置を示す。
【図8】本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置によってマイクロマーキングされた結果を示す。
【図9】本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置によってマイクロマーキングされた結果を示す。
【図10】本発明の一実施形態によるレーザマーキング装置によってマイクロマーキングされた結果を示す。
【符号の説明】
【0041】
1 半導体レーザ
2 半導体レーザユニット
3 半導体レーザユニットハウジング
4 コリメータレンズ
5 レンズハウジング
6 波面補正板
7 集光レンズ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザを使用するレーザマーキング装置であって、
半導体レーザを含み、光軸と一致する回転対称軸を有する円筒形の半導体レーザユニットと、
半導体レーザユニットと嵌合する円筒形の中空部を備え、さらに、半導体レーザユニットを嵌合させた場合に光軸に対して一定の角度の面を備える半導体レーザユニットハウジングと、
コリメータレンズを含み、光軸に対して前記一定の角度の面を備えるレンズハウジングと、
コリメータレンズによって平行化された光束を集光する集光レンズと、を含み、
半導体レーザユニットが、半導体レーザユニットハウジングの円筒形の中空部において光軸方向および光軸と一致する回転対称軸のまわりの回転方向に位置調整ができるように構成され、
レンズハウジングが、光軸に対して前記一定の角度の面を摺動させることにより、半導体レーザユニットハウジングに対して位置調整ができるように構成されたレーザマーキング装置。
【請求項2】
前記一定の角度が90度である請求項1に記載のレーザマーキング装置。
【請求項3】
半導体レーザユニットハウジングとレンズハウジングとの間にレンズの傾き調整のための機構を備えた請求項1または2に記載のレーザマーキング装置。
【請求項4】
レンズハウジングが、波面補正板をさらに備える請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザマーキング装置。
【請求項5】
コリメータレンズが、半導体レーザの活性層に垂直な方向のビーム拡がり角と平行な方向のビーム拡がり角を揃えるようなビーム整形機能を有する請求項1から4のいずれか一項に記載のレーザマーキング装置。
【請求項6】
マーキング対象物からの戻り光の強度が最大となるようにまたは戻り光のビーム径が最小となるように集光レンズの光軸方向の位置を調整するオートフォーカス機構をさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載のレーザマーキング装置。
【請求項7】
半導体レーザを含み、光軸と一致する回転対称軸を有する円筒形の半導体レーザユニットと、半導体レーザユニットと嵌合する円筒形の中空部を備え、さらに、半導体レーザユニットを嵌合させた場合に光軸に対して一定の角度の面を備える半導体レーザユニットハウジングと、コリメータレンズを含み、光軸に対して前記一定の角度の面を備えるレンズハウジングと、を含むレーザマーキング装置を製造する方法であって、
半導体レーザユニットを、半導体レーザユニットハウジングの円筒形の中空部に勘合させるステップと、
光軸をZ軸として、波面の点像を観察しながら半導体レーザ光の中心を像の中心に合わせるように、半導体レーザユニットハウジングのX軸方向およびY軸方向の位置を調整するステップと、
半導体レーザユニットハウジングの光軸と一定の角度の面にレンズハウジングを載せて、波面像の点像の位置が左右・上下が対称となるようにレンズハウジングのX軸方向およびY軸方向の位置を調整するステップと、
波面収差を測定し、測定結果に基づいてレンズハウジングの位置と半導体レーザユニットの高さを調整するステップと、
半導体レーザユニット、半導体レーザユニットハウジングおよびレンズハウジングを一体として固定するステップと、を含む方法。
【請求項8】
前記一定の角度が90度である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
非点収差の調整が必要な場合に、半導体レーザユニットハウジングとレンズハウジングとの間において、X軸方向またはY軸方向のレンズの傾きを傾き調整機構により調整するステップをさらに含む請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
レンズハウジングの前面に波面補正板を取付けるステップと、波面を測定しながら、レーザアブレーション加工法により波面補正板の形状を加工することにより収差をさらに小さくする請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−88216(P2006−88216A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280023(P2004−280023)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(597073645)ナルックス株式会社 (38)
【出願人】(000139366)株式会社ワイ・イー・データ (39)
【Fターム(参考)】