説明

レーザー内視鏡検査における高解像度の顕微鏡画像又は切断のための方法及び装置

【課題】本願発明は、レーザーで誘起された対象反応放射に基づく高解像度の顕微鏡画像、及び、顕微鏡的な処理工程を生成する為の方法及び装置に関している。フェムト秒レーザーの放射を用いた1ミリメートル未満の精度による、正確な画像生成及び材料、特に生体材料の微細加工を許容する、多光子過程の内視鏡的な応用の為の新しい可能性を見出すことが本願発明の課題である。
【解決手段】上記課題は本願発明に従って、顕微鏡的な高解像度の画像を生成するために、パルスを与えられフォーカシングされたレーザー放射を透過系(4)及び0.55より大きな開口数を有する小型フォーカシング光学素子(5)からなる透過フォーカシング光学素子(45)を用いて対象(1)へ入射すること、及び、透過フォーカシング光学素子(45)の遠位端を少なくとも2次元的に移動することによって解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、レーザーで誘起された対象反応放射に基づく内視鏡検査における、高解像度の顕微鏡画像生成及び顕微鏡的な処理工程を実行する為の方法及び装置に関している。
【0002】
本願発明は、有利にはフェムト秒レーザー技術を用いた多光子過程を基礎にする内視鏡検査に適用される。本発明は特に、マイクロイメージング法、走査型レーザー顕微鏡、光コヒーレンストモグラフィー、及び、単一光子イメージング並びに多光子イメージングにおいて使用可能であり、又、特に内視顕微鏡及び内視顕微鏡手術に利用出来る。
【0003】
本発明は特に生体物質の正確な処理に適している。それは例えば、細胞群内の所望でない細胞の非活性化、眼底及び水晶体の処理、インプラントの処理、コントロールされた活物質(active materials)の伝達、顎手術、耳、鼻並びに喉の手術、血管手術、リンパ節治療、心臓手術、神経手術、幹細胞治療、及び、腫瘍治療である。
【背景技術】
【0004】
フェムト秒レーザー放射はこれまで主に診断分野において利用されている。特に、近赤外(NIR)のフェムト秒レーザー放射によって生じる、2光子蛍光(特許文献1参照)及びSHGが、生物学的対象の3次元的な顕微鏡検査の為に使用される。加えて、フェムト秒レーザーは光コヒーレンストモグラフィー(OCT)による診断に使用される(特許文献2)。
【0005】
ミリメートル未満の範囲の精度を有する光学的処理の為のNIRフェムト秒レーザーはこれまで商業的には、角膜処理の為にのみ用いられてきた(特許文献3、4、及び5)。その際、ターゲットの電離、プラズマ形成、及び、空洞気泡の形成並びに崩壊や衝撃波の生成のような破壊工程の生成をもたらす多光子過程は有効である。1マイクロメーター未満の直径の照射スポット上で、開口数の大きい(NA>1)フォーカシング光学素子を用いて、レーザー光線を回折限界でフォーカシングすることにより、僅かなナノジュールパルスエネルギーのNIRレーザーパルスは、物質を処理する為に十分である、光学破壊の為の閾値に関しては典型的には1TW/cmの範囲である。多重パルスから1nJのパルスを利用することで、200nm以下の範囲での切断作用及び開口を付随的損傷なしに実現出来ること、が実証された(非特許文献1及び2)。
【0006】
眼部前方の治療の分野で医学的に活用する為のフェムト秒レーザー装置とは別に、半導体やその他の材料を正確に表面処理する為のフェムト秒レーザー装置が存在する。(非特許文献3)
【0007】
特許文献6には、集中的なNIRフェムト秒レーザー光線及び開口数(NA)の大きいフォーカシング光学素子を用いての着色された皮膚腫瘍の分析方法及び光学処理方法が記載される。ターゲット内部での使用は、大きな開口数1.2≦NA≦1.3を有するマクロフォーカシング光学素子の、典型的には200μmの、作動距離に制限される。(非特許文献4)
【0008】
これまで、開口数の大きなフォーカシング光学素子を有する商業用のライト内視鏡(light endoscopes)は存在しなかった。典型的な開口数はNA≒0.3よりも小さい範囲にある。加えて、全ての商業的なライト内視鏡は、光学材料及びライトガイドを基礎にしており、上記ライトガイドは、高分散の為、フェムト秒パルスを透過することが出来ない。
【0009】
注入された蛍光マーカーによる、又は、蛍光性たんぱく質の発現を導く外来DNAを事前に注入すること(トランスフェクション)による、2光子画像形成の為の、屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)、及び、開口数の小さな微細構造のライトガイドを基礎にした小動物に使用する為の内視鏡の第1の試作品が存在する。0.2mmから2mmまでの典型的な直径を有するGRINレンズは、小型化されたシステムの構成を可能にする。その平坦な末端表面により、多レンズ系は単純にそして簡潔に製造される。開口数は、利用される物質及び屈折率勾配の製造工程に依存する。銀がドープされたGRINレンズの為、開口数は最大0.48となり(850nmでのNIR)、タリウムがドープされたGRINレンズの為、開口数は最大0.55となる(850nmで)。しかしながら開口数が小さい為、解像度、励起効率、及び検出効率は僅かである。
【0010】
多光子に基づく物質切除の為に必要であり、本質的に診断の場合よりもより高い光の強度を達成する為には、極端に高いレーザーパルスエネルギーが必要だろう。これは高コストで複雑なレーザー器具を必要とするだろう。加えて、高い潜在的なリスクが存在するだろう。細胞のサイズよりもより大きな範囲での大きな空洞気泡並びに非制御のオートフォーカシングを含む付随的損傷が発生する為(上記付随的損傷はパルスエネルギーと相互関係を示す)、ターゲット内部で100μm未満の範囲の処理精度は達成出来ないだろう。
【0011】
上述の全ての方法及び装置は、1ミリメートル未満の精度を有して正確に、画像を生成する為に及び/または処理する為に、物質内部及び体内でフェムト秒レーザー放射による多光子過程を内視鏡的に使用出来ない、という欠点を有している。
【0012】
例えば走査型レーザー顕微鏡(LSM)、光干渉断層システム(OCT)、多光子イメージング(MPI)のような、複数の顕微鏡的光学的イメージング方法(所謂マイクロイメージング)の開発は、光学的マイクロイメージングを激変させ、その可能性を急激に拡大させた(例えば、非特許文献5及び6を参照)。これらの方法に基づくデバイスは、微視的な検査を、素早く、非侵襲で、且つ、造影剤を用いずに可能にするので、生物学の分野で一段と用いられる(例えば、非特許文献7を参照)。
【0013】
現在、光学的で顕微鏡的な走査方法は、殆ど外部、又は、表面付近を検査する為に使用される。なぜなら、スキャナの小型化の欠如の為、スキャニング方法を有する、柔軟性があり且つ小型のデバイスが達成されないからである。
【0014】
例えば特許文献7に従うLSM内視鏡の様な現存の光学イメージングの解決法は、制限された解像度のみを有し、また、LSMの為にのみ用いることが出来る。MPI内視鏡(例えば非特許文献8)は本質的に比較的大きな寸法を有する、それは良好な光学パラメータを有するMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)‐ミラースキャナがおよそ3mm未満ではない為である(それにより、MEMSを有する内視鏡の直径をおよそ5mm未満には出来ない)。
【0015】
【特許文献1】US5,034,613A
【特許文献2】WO1998/038907
【特許文献3】EP1470623A2
【特許文献4】DE10148783A1
【特許文献5】US5,993,438A
【特許文献6】DE10065146A1
【特許文献7】EP1468322
【非特許文献1】KOENIG et al., Optics Express 10 (2002) 171-176頁
【非特許文献2】KOENIG et al., Med. Laser Appl. 20 (2005) 169-184頁
【非特許文献3】LeHarzic et al., Optics Express 13 (2005) 6651-6656頁
【非特許文献4】KOENIG, RIEMANN, Journal Biomedical Optics 8 (3) (2003) 432-439頁
【非特許文献5】Concello et al. in: Nature Methods 2 (12), 2005, 920-931頁
【非特許文献6】Helmchen et al., op.cit., 932-940頁
【非特許文献7】Flushberg et al., op.cit., 941-950頁
【非特許文献8】Ling Fu et al., in: Optics Express 14 (3), 2006, 1027-1032頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本願発明の課題は、多光子過程を内視鏡的に応用する為の新しい可能性を見出すことに基づいている。それはフェムト秒レーザーの放射を用いて、1mm未満の精度を有する、物質特に生体物質の正確な画像生成及び/または微細処理を可能にする。
【0017】
本願発明のその他の課題は、特に柔軟性のあるハンドヘルドな医療装置及び顕微内視鏡(microendoscopes)の為に、顕微鏡的に走査する光学的イメージングの為の可能性を見出すことであり、それは特定のイメージング方法及び分析方法(例えばMPI、OCT又はLSM)とは結び付けられず、高い空間解像度を有して光ヘッドの小型化及び柔軟化を可能にする。
【0018】
拡張された課題は、生体組織及びその他の物質を微細処理する為に、並びに、一体化された画像化‐処理デバイスの為に、光ヘッドを柔軟に応用することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明にしたがって上記課題は、レーザーで誘起された対象反応放射に基き、顕微鏡的な高解像度の画像を生成するための方法の場合に解決される。
上記の方法は、
‐透過系及び、該透過系の端部で固定接続され、対象の局所的な反応放射をマイクロメーターからナノメーターの範囲で誘発する為の、0.55よりも大きな開口数の小型フォーカシング光学素子からなる、透過フォーカシング光学ユニットを用いて、レーザー系から対象へフォーカシングされた励起放射を、パルスを与えて入射する工程、
‐対象に対して連続的、空間的に変更される励起放射を調節する為に、及び、小型フォーカシング光学素子の遠位端に存する対象の対象反応放射を空間的に割り当てて走査する為に、透過フォーカシング光学素子ユニットの遠位端を少なくとも2次元的にスキャン移動する工程、及び
‐空間的に漸進的に走査される対象反応放射を、透過フォーカシング光学素子ユニットを用いて、光子検出器を有する画像生成系へ透過する工程
を特徴とする。
【0020】
有利には、2次元的なスキャン移動に対し直行する第3のスキャンプロセスが、透過フォーカシング光学ユニットの軸方向の移動により、小型フォーカシング光学素子により予め定められた焦点面での対象反応放射の2次元的なスキャン移動から生成される画像記録の深度を変更する為に、行われる。
【0021】
小型フォーカシング光学素子、及び、レーザー系及び画像生成系に属しレーザー系及び画像生成系に対して直接光学的連結を生じるマイクロ光学素子が、合目的に、固定接続により、透過フォーカシング光学ユニットとして、同時にスキャンして移動され、その際、軸方向で、対象での焦点面の深度を調節する為の相対移動を実行することが出来る。その場合有利には、透過系及び小型フォーカシング光学素子の間の距離を変更することで、焦点面を変更される。
【0022】
好ましい実施例では、小型フォーカシング光学素子、及び、レーザー系及び画像生成系に対する連結光学的連結を生む光学ファイバが、固定接続により、透過フォーカシング光学ユニットとして、同時にスキャンして移動される。その際、複数のファイバフォーカシング光学素子ユニットからなるファイバ束の一種により、対象のマルチチャンネル走査を同時に実行出来る、又は、1つのチャンネルでパラメータを変更することにより励起放射が組織処理の為に用いられることで、対象の画像化機能及び処理機能を準同時に実行することが出来る。
【0023】
本願発明の拡張された課題は、
‐励起放射を出力の高められた有効放射に切り替えること、
‐局所的な組織変化を誘発する為に、透過フォーカシング光学ユニットによってフォーカシングされる有効放射を、パルスを与えて対象へ入射すること、及び
‐対象の3次元的な処理工程を実行する為に、透過フォーカシング光学ユニットの遠位端を規定して移動すること
によって解決される。
【0024】
その際、NIR‐フェムト秒レーザーの放射は、開口数の大きな小型光学素子によって、特にGRIN光学素子によって、好ましくは柔軟性のある光学ライトガイド、反射性の導波管、又は、固定された棒状のGRIN光学素子の組み合わせで、ほとんど散乱せずに対象へ透過され、また、ターゲット上へ、100μm未満の、好ましくは1μm未満の照射スポット上へフォーカシングされる。過渡強度が100GW/cmよりも強い範囲に、通常は1‐20TW/cmよりも強い範囲にある場合、フェムト秒レーザーを用いて、焦点面で生体組織を処理することも出来る。
【0025】
例えば圧電駆動の調整ユニットを用いて、焦点面をシフトすることで、焦点面を変更することが出来る、そのようにして、様々なターゲットの深度での物質処理が可能となる。ターゲットでのパルス幅は合目的に10ps未満、好ましくは400fs未満である。NIR領域の僅かな吸収係数及び散乱係数のため、NIR‐レーザー波長が好まれる。しかしながら本願発明は可視領域のレーザー波長、特にSHG結晶により発生する周波数が2倍のフェムト秒レーザーの放射、並びに、UV領域の放射、特にはTHGレーザー放射、も含んでいる。
【0026】
MHz領域の繰り返し周波数を有するレーザーパルスは、しかし又、より低い(例えばkHz領域の)繰り返し周波数を有するレーザーパルス、並びに単独のパルスも、処理の為に利用することが出来る。好ましくは、ナノジュール領域のパルスが使用される。通常、物質処理の為には、照射スポット毎の露光時間は10msよりも短い時間で足りる。
【0027】
有利には、対象反応放射を空間分解して画像記録する為の出力を下げられた励起放射のスキャンされる入射と交互して、対象を組織処理する為の出力を高められた有効放射を入射への切り替えが行われる。対象から放出される放射は、合目的に時間相関単一光子計数法によって検出される。
【0028】
本願発明の課題は更に、レーザー内視鏡検査で、1ミリメートル未満の精度で生体物質、特に皮膚組織を、微細処理する為の後述の方法により解決される、つまり、0.05nJから100μJまでのパルスエネルギーを有するフェムト秒レーザーのレーザーパルスが、ファイバを介し、対象側に配設される大きな開口数を有する小型フォーカシング光学素子と結合され、また、10μm未満の照射スポットを有する対象内部のターゲット上へフォーカシングされること、隣接する領域に深刻な付随的損傷を生じることなく、100μm未満の精度を有する内視鏡的な微細処理の為に用いられる100GW/cmよりも強い過渡強度を有するレーザーパルスが、ターゲットの電離、光学破壊、及びプラズマ形成の形の多光子過程を誘発すること、及び、ターゲットから放射されるプラズマ放射並びにターゲットから放出されるその他の対象反応放射が、微細処理を観察する為に、有利には多光子レーザー顕微鏡の形の照射検出デバイスを用いて、画像を生成して検出されること、によって解決される。
【0029】
それにより、隣接する細胞に損傷を与えることなく、単一点照射により、組織群内の個々の細胞が光学破壊される。その際、破壊領域の直径は、露光時間並びに用いられるレーザーパルスエネルギーを選択することにより変更される。同じ状況で、直線的な移動により、物質内部で、切断幅が10μm未満の正確な切断を実行することが可能である。その際、切断幅は露光時間及びレーザーパルスエネルギーを選択することで変更される。
【0030】
関心領域(ROI)が組織的にスキャンされる場合、100μmから1mmのより大きな面積で、10μm未満の精度、及び、20μm未満の奥行き効果で、正確な物質除去を実現することが出来る。追加的に焦点面を変位させた場合、1μmから1000mmまでの範囲で大体積の物質除去を実現することが可能である。
【0031】
レーザー処理の間にターゲットから放出される放射、特にプラズマ光は、レーザー放射と同様の放射経路(柔軟性のある微細構造のファイバ、反射性の導波管、GRIN光学素子)、及び、フォーカシング光学素子を介して、受容、透過され、また、検出用のビームスプリッタにより分離される。更に強度が、通常は1‐100GW/cmの範囲にある光学破壊の為の閾値未満である場合、2光子蛍光及び3光子蛍光の検出並びに例えばコラーゲン繊維のような特定の対象構造のSHG及びTHGの検出による、対象の走査によって画像記録を達成出来る。これは処理されるべきターゲットを正確に見つけ出すことを可能にする。ターゲットを見つける為に、追加的に対象をマーキングせずに、SHG及び自己蛍光を頻繁に使用することができる。更にこの画像生成を、TW/cmの範囲の強いレーザーパルスによる照射の直ぐ後で、レーザー処理の効果を画像生成して表すために使用することが出来る。興味深いことには、予備試験において、処理される生体物質がレーザー処理の範囲で強いルミネッセンス(luminescence)を放出することが観察された。
【0032】
更に、内視鏡的に応用する為の小型顕微鏡ヘッドの場合の問題は、以下のように解決される、尚、上記小型の顕微鏡ヘッドでは、励起放射を供給する為の透過光学素子、対象への励起放射を収束してエネルギー入力する為のフォーカシング光学素子、及び、エネルギー入力の位置を変更する為のスキャンデバイスが、ハウジング内に配設され、その際、上記フォーカシング光学素子がハウジング内の窓を通過して有効放射を対象へフォーカシングされる。上記課題は、フォーカシング光学素子が、6mm未満の直径、及び、NA>0.55の開口数を有する小型のフォーカシング光学素子であり、その際、励起放射が小型のフォーカシング光学素子によって局所的に、100μm未満の領域上に制限されて、対象へフォーカシングされること、透過光学素子が、ハウジング内に存するその端部で、小型フォーカシング光学素子と固定接続され、そして透過フォーカシング光学ユニットを形成すること、及び、スキャンデバイスが、窓の極近傍で小型フォーカシング光学素子を横方向へ移動する為の、平面で2次元的に可動性の少なくとも1つのスキャンアクチュエーターを有すること、によって解決される。
【0033】
合目的に、スキャンデバイスは更に、透過フォーカシング光学ユニットを軸方向へ移動する為の軸方向に可動性の調整ユニットを有し、その際、上記透過フォーカシング光学ユニットは調整ユニットにて軸方向に確実に固定される。その場合、透過フォーカシング光学ユニットは、第1の実施例では、小型フォーカシング光学素子及び光学ファイバから固定して構成され、その際、上記透過フォーカシング光学ユニットは調整ユニットで軸方向に確実に固定される。第2の実施例では光学ファイバの代わりに反射性の導波管が用いられる。第3の実施例では、透過フォーカシング光学素子ユニットは小型フォーカシング光学素子、及び、照射検出デバイスの顕微鏡対物レンズ(Microscope optics)からなり、その際、2次元的なスキャンアクチュエータ及び軸方向の調整ユニットは独占的に小型フォーカシング光学素子に結合される。
【0034】
小型フォーカシング光学素子は、好ましくは、多レンズGRIN光学素子であり、上記GRIN光学素子は、NA>0.55(からNA=0.85まで)の大きな開口数を達成する為に、円形の端面を有するか、或いは、上流側の屈折性の球面レンズセグメントと共に備えられる。軸方向の解像度を更に改善する為に、フォーカシング光学素子は、合目的に2レンズGRIN光学素子及びその間に配設された回折光学素子を含む。
【0035】
有利には、スキャンデバイスでは、2次元的なスキャンアクチュエータは圧電スキャナとして形成される。しかし、合目的に静電スキャナ又は電磁スキャナとして形成してもよい。3次元スキャナを実現する為に、有利には、軸方向調整ユニットが2次元的なスキャンアクチュエータと接続され、スキャンアクチュエータは軸方向に可動性のスキャナホルダに固定される。
【0036】
透過光学素子は、有利には、フォトニック結晶ファイバ(PCF)であるが、それは、フォトニック結晶ファイバがフェムト秒レーザー放射をほぼ散乱なしで透過するからである。空間的に分解された画像記録の為に、好ましくはダブルクラッド‐ラージエリア‐コアPCFのタイプのファイバが使用される。その他の応用の為に、フォトニック結晶ファイバはラージエリア‐コアPCFとして形成される。
【0037】
有利には、対象反応放射を直接的に記録する為に、スキャナハウジング内でファイバの周囲に、少なくとも1つの受光器が配設される。受光器は、好ましくは光学フィルタの組み合わせと共に備えられる。合目的に、ハウジング内でファイバの周りに、対象の反応放射の様々な構成要素を直接的に記録する為に、複数の受光器が配設される。
【0038】
多チャンネル走査を達成する為に、ハウジングにて有利には複数のファイバが、ファイバホルダ内に平行に案内される。その場合、上記ファイバは、合目的に柔軟性のあるバンド(band)に組み込まれ、また、振動を抑制する為の強化要素を有する。
【0039】
好ましくは、ハウジングはパイプ形状に形成され、その端側でカバー及び窓により密に密閉される。特に内視鏡的応用の為に、ハウジングは少なくとも1つの平坦な側壁を有する。その際、ハウジングの平坦な端壁には側面に沿って窓が着設され、また、ハウジングは端側のカバーによって密に密閉される。この構造の為に、小型フォーカシング光学素子は、放射屈折要素(radiation-deflecting element)を含み、それにより励起放射は、透過フォーカシング光学ユニットから横方向へ出て、且つ、励起放射を横に配置された窓を通過して対象上にフォーカシング出来る。その際、対象の横方向の第1のスキャン次元の為の軸方向調整ユニット、及び、横方向の第2のスキャン次元及び対象の深度スキャンの為のスキャンアクチュエータが設けられる。密に密閉されたハウジングは、透過フォーカシング光学ユニットの端部の妨げのない動きを保証する為に、合目的に真空化される。
【0040】
従来の内視鏡的画像記録装置又は微細手術ユニットは、光学解像度が低すぎるか寸法が大きすぎる、又は、画像化の為の特定の顕微鏡的方法と結び付けられているため生体組織については特定の特性に関してのみ画像化が可能である、という考えに本願発明は基づいている。上記装置を光学的な処理装置と組み合わせることもまた困難である。
【0041】
更に、GRIN光学素子を有する内視鏡的画像記録装置が成果を収めたが、その場合、スキャン屈折角度及びそれによる横方向の解像度が非常に制限されるので、更なる小型化が阻まれている。更に、それぞれの光学ヘッドは、ただ1つの顕微鏡的イメージング方法(MPI、LSM等)の為にのみ実際に、適合され、且つ、利用可能である。
【0042】
ライトガイドファイバに固定接続されたフォーカシング光学素子の2次元スキャン又は3次元スキャンにより、フォーカシング光学素子の前方での放射の、これまで十分でなかったスキャン角度が実現されるので、本願発明は種々の問題を解決する。その際、ファイバと連結されたフォーカシング光学素子は、一体部分として、薄い光学窓を介してアクチュエーターによってスキャンされる。上記フォーカシング光学素子により有効放射(つまり、上述の画像生成方法の1つの為の励起放射)は、ファイバから分離され、フォーカシング光学素子を用いて対象の1点上へフォーカシングされる、又、対象に反射される反応放射はフォーカシング光学素子により再び収束され、そして、フォーカシング光学素子の近位端を介して、ライトガイドファイバの開口数に適合され、画像センサへ案内される。用いられるイメージング方法とは無関係に、(例えば遠位端で大きな開口数(NA>0.5)を有する、MPI又はLSMの為の、)様々なフォーカシング光学素子が使用される。
【0043】
2次元スキャンパターンが可能な、用いられるアクチュエータは、例えば、小型の圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、又は、電磁アクチュエータである。窓からフォーカシング光学素子の遠位端までの距離、及び、窓厚は、フォーカシング光学素子の作動距離(すなわち先端の焦点距離)によって調整され、また、ファイバと連結したフォーカシング光学素子の深度調整の為、窓からの距離の変化を考慮する。ファイバフォーカシング光学素子結合の横方向スキャンの際、対象の予め選択された面の点は、体系的方法で漸次走査される。例えば蛍光又はSHG(第2高調波発生)の様な、有効放射が作用した後に発生する対象反応放射は、フォーカシング光学素子及びライトガイドファイバを介してセンサユニットへ透過される。
【0044】
第2の拡張的課題である、様々な画像化方法に応用する為の本願発明の順応化は、光源の(光学的な)有効放射が、柔軟なライトガイドファイバによって処理されるべき対象へ送られ、そしてそこで対象のスキャン走査の為に用いられ、また反応放射が再びライトガイドファイバによって受け取られる(所謂ダイレクトスキャナ)ことによって、達成される。用いられるイメージング方法に依存して、異なる光学ファイバ(透過ファイバ)が必要となり、例えば、MPIの為にはPCF(フォトニック結晶ファイバ)が用いられる。そのため、走査ヘッドは様々なファイバと連結することにより、その他のイメージング方法に応用できる。
【0045】
ファイバによって、有効放射(又は励起放射)は、対象へ案内され、また、フォーカシング光学素子によって対象の表面又は内部にフォーカシングされる。そして、対象から戻る反応放射は、光学窓を通過して、外部のセンサユニットの、又は、スキャナハウジング内に直に位置するセンサユニットの、フォーカシング光学素子を介して案内される。
【0046】
その様な性質のダイレクトスキャナは、マイクロメートル範囲の対象のイメージングの、高い軸方向及び横方向の解像度を実現出来る。加えて、マイクロ手術及びナノ手術で、並びに様々な組織及び物質を処理する為に、スキャナを案内された処理工具として使用でき、それは有効放射が、レーザーカッティングプロセス又は処理プロセスの為の実質的に高められた出力によって用いられ、且つ、二者択一的に観察の為に切り替えられることによる。
【0047】
本願発明に従う解決法により、多光子過程の内視鏡的な新しい応用が可能となる。それは、正確な画像生成、及び/または、物質、特に生体物質の、フェムト秒レーザー放射を用いた1ミリメートル未満の精度の微細処理を許容する。特には柔軟でハンドヘルドな医療機器及び顕微内視鏡用の、顕微鏡的な小型記録ヘッドは、画像を生成する様々なイメージング方法の為の、好ましくは多光子イメージング(MPI)及び走査型レーザー顕微鏡(LSM)の為の、実質的により小型で、より軽量で、より柔軟な測定ヘッドを用いて、高解像度で走査された画像を獲得すること、並びに同一のデバイスによってMPI法を(例えば内視鏡検査で)微細処理プロセスの為に開発すること、そして他のイメージング方法と組み合わせることを可能にする。
【0048】
本願発明は、具体的な実施例に基づいてより詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本願発明に従う方法は、以下において、レーザーを利用した他のイメージング方法を利用する為の一般性を制限することなく、単一光子顕微鏡、2光子顕微鏡、及び、多光子顕微鏡の為に用いられるような、フェムト秒レーザー顕微鏡の使用において説明される。
【0050】
本装置は、図1に示すように、照射検出デバイス30からなる。上記照射検出デバイスでは、80MHzフェムト秒チタンサファイアレーザー31によりパルスを与えられた、放射波長が780nmの放射が発生し、シャッター32、ビーム減衰器33及びダイクロイック‐スプリッタ(dichroic splitter)34を通過して透過し、また顕微鏡対物レンズ35によりフォーカシングされ準備される、またそこで、レーザー励起により対象1から戻る2次放射(例えば、単一光子蛍光、2光子蛍光、及び多光子蛍光、SHG、THG、ルミネッセンス等)は、スプリッタ34を介して光子検出器36へ分離される。
【0051】
照射検出デバイス30の顕微鏡対物レンズ35は、レーザー光線をマルチモード光学ファイバ4の中央領域20(図10においてのみ図示)へ結合する。上記マルチモード光学ファイバは、微細構造のフォトニック結晶ファイバ(PCF)として、好ましくはダブルクラッド‐ファイバとして形成され、又、大きな開口数(NA>0.55)を有する小型光学素子5への放射の透過を担う。
【0052】
ファイバ4の遠位端に固定して取り付けられる小型フォーカシング光学素子5は、特別な小型の屈折率分布型光学素子(GRIN光学素子)である。上記小型のGRIN光学素子は放射方向に屈折率分布を持つロッドレンズからなり、また、照射スポット上へ1μm未満のフォーカシングを達成する為に、大きな開口数(NA)を獲得する為の反射性の屈折レンズ形態(refractive lens shapes)に連結される。この目的の為に遠位レンズは半円形状に形成されるか、又は、屈折性の半円レンズセグメント5’がGRIN光学素子の前方に配置される。この特別な小型フォーカシング光学素子5の典型的な寸法は、外径が1.7mm、そして長さが2cmである。
【0053】
小型フォーカシング光学素子5によって、シャッター32の作動後、先ず、減衰器33を介して下げられた0.5nJのパルスエネルギーと共にNIR‐レーザーパルスは、処理されるべき対象1上に当てられる。制御されたx‐y偏向(振動)の為の、(図2に従う)有利には圧電アクチュエータ6’の形状のスキャンユニット6、並びに、焦点面を変更する為の軸調節ユニット8を用いて、組織の異なる深さの面を走査することができる。SHG光線及び2光子蛍光の形で対象1から放出される信号は、小型GRIN光学素子5によって検出され、主にPCFファイバ4の外側のクラッドで顕微鏡対物レンズ35を介してダイクロイック‐スプリッタ34へ案内され、そしてそこから典型的には光電子増倍管(PMT)である光子検出器36へ透過される。
【0054】
光子検出器36の信号をx‐yスキャンポジション及び焦点面と関連付けることで、画像加工により、コンピュータ37(例えばPC)で、対象1の3次元画像を作り出すことが出来る。上記画像に基づいて、対象1の内部のターゲットを画定することが出来る。レーザー光線はターゲット上に位置付けられる。また、レーザー光線は、(例えば位置の変更による)減衰器33の透過の変更により、例えば3nJの高いパルスエネルギーの調整後、また、シャッター32の開放後、対象1の内部の焦点面で局所プラズマを発生する為に適している。上記局所プラズマは、(単一点照射:シングルポイントイルミネーションによる)ドリリング、(ラインスキャンによる)切断、並びに個々の細胞の非活性化、又は、スキャニングによる関心領域(ROI)の切除の為に利用出来る。
【0055】
処理プロセスの間、光子検出器36ではプラズマ放射からの信号が記録される。SHG信号、2光子蛍光、又は、処理する範囲の発光、に基づく画像を得るために、処理プロセスの終了後に再度、(例えば、0.5nJの)僅かなパルスエネルギーのレーザーパルスによって対象1を走査することが出来る。
【0056】
特に有利には、レーザーパルスを透過する為の中心にあるPCFライトガイド、及び、微細構造でなくてもよい対象放射を透過する為の周辺のライトガイドを有するファイバ4が用いられる。更に、大きな開口数を生じる為に、球面レンズセグメント5’を有する小型フォーカシング光学素子5の代わりに、2つのレンズをのみを有するGRIN光学素子を使用することも出来る。その他の変更された実施例では、遠位端面の追加的な湾曲(そうでなければ通常平面である)により、大きな開口数を有する小型GRIN光学素子が用いられる。
【0057】
人の皮膚を研究する為の特別な応用では、市販の2光子顕微鏡又は多光子顕微鏡‐双方共にここでは照射検出デバイス30のもとに含まれる‐に、追加的に、大きな開口数を有する小型フォーカシング光学素子5が、照射検出デバイス30の(又は、多光子顕微鏡の或いは断層撮影装置(tomograph)の)顕微鏡対物レンズ35により画定される焦点面が小型フォーカシング光学素子5によって処理されるべき対象のよってより深い層へ透過するように、固定連結される。このようにして、例えば2cm長の棒状の小型GRIN光学素子5を用いて、焦点は対象1内部へ透過される。上記小型GRIN光学素子は、湾曲したGRINレンズ表面又は球面レンズセグメント5’によりNA>0.6(0.85まで)の非常に大きな開口数を有し、(窓厚が200μm未満の)サファイア窓を有する特別なステンレス鋼チューブ内にあり、そして、3軸方向調整デバイス(横方向スキャンアクチュエータ6と軸方向調整デバイス8の協働作用)に配設される。軸方向調整デバイス8を用いて、顕微鏡対物レンズ35に対する距離を、及びそれにより近似的に、対象1の焦点面を、典型的には0.5mmまでの範囲で、マイクロメートル未満の範囲の精度をもって、移動させることが出来る。
【0058】
対象1から放出される放射は、小型フォーカシング光学素子5により捕捉され、そして、顕微鏡対物レンズ35及びダイクロイック‐スプリッタ34を介し、光子検出器36により検出され、そして画像生成の為に用いられる。上記光子検出器は照射検出デバイス30内、又は、断層撮影装置内にある。
【0059】
フェムト秒レーザー31の照射は、シャッター32、減衰器33、及び、ダイクロイック‐スプリッタ34を通過し透過した後、光学多間接アーム、x‐y‐ガルボスキャナ及び光学素子(非図示)を用いて、内視鏡的で、固定された、軸方向調整デバイス8を用いて焦点面を変更する為に可動性である、大きな開口数を有するフォーカシング光学素子5に結合される。上記フォーカシング光学素子はファイバ束(fiber bundle)4によって囲まれる。対象1から放出される放射が、小型フォーカシング光学素子5に捕捉され、又、周囲のファイバ束4を通過して光子検出器36に案内される間に、小型フォーカシング光学素子5により透過される高いパルスエネルギーの放射を用いて、処理は実行される。
【0060】
用いられる光子検出器36は、速い反応時間によって特徴付けられるべきである。それにより、対象1から放出される放射の光子の到着を時間相関して、好ましくは時間相関単一光子計数法により捕捉できる。それにより、時間分解能はピコ秒未満の範囲に達することが可能である。蛍光の寿命を特定する為に、又、SHG/THG放射及びプラズマ放射を蛍光から分離する為に、上記時間分解能を利用出来る。
【0061】
PMTアレイ(PMT array)をポリクロメーター(polychromator)と組み合わせることで、光子検出器36を更にスペクトル検出器として形成出来る。
【0062】
他の実施のグループでは、レーザー放射を高精度で位置調整する為の、また、対象反応放射を検出する為の装置は、ダイレクトスキャナとしての照射検出デバイス30に基づいて、内視鏡的にファイバ4を介して接続される持ち手部(handle part)として実現される。
【0063】
図2aに図示されるように、この装置は基本構造として、ハンドヘルドの剛体ハウジング2、光学ファイバ4に接続される小型フォーカシング光学素子5、並びにスキャンアクチュエータ6からなる。上記ハウジングは、用いられる光学放射構成要素の為の透明な窓3により対象1上に接触される、又、上記スキャンアクチュエータは固定接続されたファイバフォーカシング光学素子装置45を自由に選択可能なスキャニングパターンで2次元的(X‐Yスキャン)に動かす。ハウジング2内には、軸方向に可動性のスキャナホルダ7が設けられる。上記スキャナホルダは軸方向調整ユニット8によって先の2つのスキャン方向に対し直行する第3のスキャン移動(Zスキャン)を可能にする。例えば(有効放射又は出力の下げられた励起放射を供給する為の、そして、対象反応放射を透過する為の)ファイバ4、スキャンアクチュエータ6及び調整ユニット8の為の導線、及び随意の真空ライン9のような、供給ラインの為の柔軟なチューブ2’’との接続の前に、ハウジング2はハウジングカバー2’により閉じられる。
【0064】
この基本となる実施例に基づき、様々なオペレーティングモード及び構造的な変更が実現される。それらは以下に別々の実施例として記載される。
【0065】
1.3次元スキャンを有するダイレクトスキャナ
この例ではダイレクトスキャナは、図2aに示すように、小型フォーカシング光学素子5、フォーカシング光学素子5の近位端がその遠位端と接続されるファイバ4、及びスキャンアクチュエータ6、例えば圧電アクチュエータ6’、からなる。上記スキャンアクチュエータは直接小型フォーカシング光学素子5の遠位端を対象1に接している薄い光学窓5を介して走査する。フォーカシング光学素子5の焦点は、対象1表面に接する窓3の後方又は上記対象の深部にあり、そして、小型フォーカシング光学素子5によりスキャン(x−yスキャン)される。対象1での走査深度を軸方向調整ユニット8によって調節することが出来る。その際、軸方向に可動性のスキャナホルダ7が軸方向で変位される。上記スキャナホルダ7上には、ファイバ4とフォーカシング光学素子5を共に横方向へ動かすスキャンアクチュエータ6が固定される。それによりフォーカシング光学素子5の遠位端と窓3の間の距離は変わり、また、ハウジング2の長手方向でのZスキャンを実現する。軸方向調整ユニット8内及びスキャナホルダ7内のファイバ4の自由長は、窓3に対するファイバフォーカシング光学素子ユニット45の距離を変更する際、ファイバ4の長さを補う為に利用される。
【0066】
小型フォーカシング光学素子5は、ファイバ4の直径とは異なる直径を有することが可能であり、また、GRIN光学素子、従来の光学素子、フレネル光学素子、又はGRIN光学素子とその他の光学素子(回折光学素子、フレネル光学素子等)からなる組み合わせとしても構成可能である。
【0067】
特に有利な実施では、小型フォーカシング光学素子5は、遠位面が平坦な屈折球面レンズセグメント5’、2枚のGRINレンズ5’’及び5’’’、並びに、その間に配設される回折光学素子5を有する。対象側のGRINレンズ5’’は、球面レンズセグメント5’の収差を補償するために利用され、また、その近位端で球面レンズセグメント5’を通過して透過される強く発散される対象反応放射から、準平行な又は僅かに発散したビーム束を発生する。第2のGRINレンズ5’’’は、上記放射をファイバ4で結合させる為、又は、ファイバ4から有効放射(励起放射)を分離する為に利用される。回折光学素子5は、球面レンズセグメント5’並びにGRINレンズ5’’及び5’’’の色収差を修正する。
【0068】
医学的な適合性材料からなるハウジング2は、その遠位端で光学窓3により、密に(真空気密に)閉じられる。上記窓も同様に医学的な適合性があり、透過性の材料からなる。その近位端でも同様に、ハウジング2は医学的応用の為、カバー2’により真空気密に閉じられる。上記カバー2’はスキャン稼動の為に必要とされる全ての導線を有するチューブ2’’と接続される。カバー2’の遠位側上で軸方向調整ユニット8が固定される。カバー2’はスキャナへ導かれる全ての導線の真空気密での案内を保障する。
【0069】
スキャンニング時のファイバフォーカシング光学素子ユニット45の遠位端に対する空気抵抗を減少する為に、ハウジング2を真空ライン9により真空状態に出来る。
【0070】
例えば圧電アクチュエータとして、軸方向調整ユニット8を構成することが出来る。それによりダイレクトスキャナは、点スキャン、線スキャン、2次元スキャン又は3次元スキャンを、x移動、y移動、及びz移動の任意に組み合わせで、実行することが出来る。それは2次元スキャンアクチュエータ6、及び、軸方向調整ユニット8の目的を定めた制御によって達成される。
【0071】
図2bは、光学窓3を有するダイレクトスキャナの特別な実施を示す。上記光学窓はハウジング2の壁に側面に沿って着設される。フォーカシング光学素子5は、この場合、屈折ユニット5**(例えばプリズム)を含んでいる。上記屈折ユニットは放射の方向を約90゜屈折させる。それにより、ダイレクトスキャナのこの構造形態の場合、対象1に対する深度調整(z‐スキャン)は、圧電アクチュエーター6’によって引き受けられる。上記圧電アクチュエーターは図2aと全く同様にx‐スキャンを実行する。軸方向調整ユニット8はここではy‐スキャンを担う。
【0072】
図3は、静電スキャナ6’’を有するダイレクトスキャナの変更された実施を示す。この場合、導線12を介して電位を受ける導電層13が、互いに向かい合う層電極10の電場により方向付けられる作用を受けることによって、ファイバフォーカシング光学素子ユニット45は移動又は調整される。ハウジング2が絶縁体からなる場合、或いは、図3に示すように、ハウジング2が導電体からなる時にハウジング2が絶縁基板11に接している場合、層電極10は直接ハウジング2の内壁へ配設される。その他の点では、静電スキャナ6’’を有するダイレクトスキャナは、圧電アクチュエータ6’を有する場合と同様のスキームに従って機能する。
【0073】
図4は、永久磁石14が用いられる電磁アクチュエータ6’’’を有するダイレクトスキャナの変更された実施を示す。この場合、(例えば強磁性のコーティングとして)ファイバフォーカシング光学素子ユニット45上に配設された永久磁石14が、向かい合う導電誘導成分15の電磁場により方向付けられる作用を受けることによって、ファイバフォーカシング光学素子ユニット45は移動又は調整される。上記導電誘導成分はハウジング2の内壁に着設される。図3に示すように、ハウジング2が導電性材料からなる場合、誘電体層11の形の絶縁基板が用いられる。
【0074】
この実施のその他の実施例が図5に示される。その場合、永久磁石14は複数の誘導成分16で代替される。ダイレクトスキャナの残りの全ての機能は、上述の圧電スキャナ6’又は静電スキャナ6’’を有する実施の場合と全く同じである。
【0075】
図2から図5、並びに図9に従う具体的な実施例が、顕微鏡的な画像化の目的の為に用いられる場合、以下図10に記載されるように、ファイバ4として、所謂、ダブルクラッド‐ラージエリア‐コアPCF(PCF:フォトニック結晶ファイバ)が使用される。この型のファイバ4は、高められた屈折率nを持つ中心領域20を有する。屈折率nを持つ光学材料からなる被覆22により取り囲まれる微細構造化された領域21によって、上記中心領域はその誘導特性を得る。被覆22は外側のコーティング23によって囲まれる。上記外側のコーティングは低い屈折率nを有し、また、とりわけファイバ4の力学特性を向上させる。一般的に、n>n>nが成り立つ。コア領域20は、有効放射を対象1へ供給する為に用いられる。対象1で生じる反応放射は、小型フォーカシング光学素子5により、ファイバ4の被覆22へ結合され、これを介して逆伝送され、そして放射スプリッタ34を用いて(外部の)光子検出器36上へ分離される(双方共に図1おいてのみ図示)。光子検出器36は必要なカラーフィルター及び、必要な場合、コレクティング光学素子(collecting optics)を装備する。ダイレクトスキャナの具体的な利用に依存して、対象反応放射は、反射する又は拡散する反射励起放射、フォトルミネッセンス(特に蛍光)、ラマン散乱及びレイリー散乱、励起放射の発生される高調波(SHG、THG)等、として現れることが出来る。上述の型のファイバは、画像化と組織処理を組み合わせて利用する場合にも有利である。
【0076】
ダイレクトスキャナが専ら超微細手術又は物質処理の目的で使用される場合、ファイバ4は、有利には所謂ラージエリア‐コアPCFである。その様なファイバ4では、被覆22は微細構造領域21へ縮小される。つまり、図10に示される被覆22は完全に機能層として割り当てられる。
【0077】
図6から図8に、対象反応放射を検出する為のその他の可能性が示される。その際、静電アクチュエータ6’’又は電磁アクチュエータ6’’’を有するダイレクトスキャナは特別な実施で機能する。
【0078】
図6に従う第1の実施では、ファイバ4の為に、ラージエリア‐コアPCFが用いられる。有効放射によって発生する対象反応放射は、少なくとも1つのカラーフィルターからなる上流側の光学フィルタの組み合わせ18を有する受光器17により、ダイレクトスキャナ内で検出される。受光器17の遠位側のハウジング2の内壁は、ミラーコーティング10と共に備えられる。上記ミラーコーティングを、代替として、(反射)電極によって誘電性コーティング11上に形成することもできる。この実施例は、小型化された利用の場合に有利である。その際、受光器17はファイバ4の為に中央に穴を有する。
【0079】
図7は1つの実施例を開示する。その実施では、可能な限り多くの対象反応放射がハウジング2の壁で反射せずに受光器17’及び17’’のフィルタの組み合わせ18’及び18’’により検出される様に、少なくとも2つの受光器17’及び17’’が配設される。具体的な利用に依存して、受光器17’及び17’’及びフィルタの組み合わせ18’及び18’’は同種のものでも、また異なるものでもよい。
【0080】
例えば2次電子増倍管(SEV又はPMT)のような、中心に通路がない受光器17の為に、図8に代替の実施が示される。この装置でファイバ4は、クロスウェブ構造を有する軸方向に可動性の枠7’に固定される。それにより、枠7’は受光器17に最小限の陰影のみを与える。枠7’はリング形状の又は軸方向にセグメント化する調整ユニット8’上に固定される。上記調整ユニットは他方で非可動性のリング形状の又はセグメント化する要素7’’に結合される。
【0081】
図6から図8に従う全ての実施例にて、対象反応放射の一部がファイバ4によって外部受光器36へ案内されなければならない場合、ダブルクラッド‐ラージエリア‐コアPCFを、ファイバ4として使用することも出来る。
【0082】
図9は1つの実施例を示す。上記実施例では、静電アクチュエータ6’’を有するダイレクトスキャナは、層電極10、誘電体層11、給電ライン12、及び、導電層13から形成され、例えば関連する光学素子及び照明を含むCCDカメラのような、2次元イメージセンサ19と組み合わせることが出来る。ファイバ4はこの装置ではダブルクラッド‐ラージエリア‐コアPCFによって形成される。画像化の目的の為と同様に超微細手術又は物質処理の目的の為にも上記ファイバを用いることが出来る。
【0083】
図6から図9に従うダイレクトスキャナの全ての具体的な実施例では、静電アクチュエータ6’’の為に、ファイバフォーカシング光学素子ユニット45を移動させる為の導電性の層10及び13の代わりに、図4に図示されるような、永久磁石14及び導電誘導成分15を、又は、図5に図示されるような、ハウジング2及びファイバフォーカシング光学素子ユニット45に配置される導電誘導成分15及び16を、用いることが出来る。
【0084】
2.複数のファイバフォーカシング光学素子ユニットを有するダイレクトスキャナ
ダイレクトスキャナを多チャンネルデバイスとして構成することも出来る。そのような実施では、ファイバフォーカシング光学素子ユニット45は、図11に示すように、マルチコアケーブルの一種により置き換えられる。その際、少なくとも2つのファイバフォーカシング光学素子ユニット45が互いに接続される。ファイバ4は柔軟なバンド26に埋め込まれ、有利には、制限なしに突き出るファイバの遠位部は同じ長さであり、そして補強要素25によりホルダ24で固定される。補強要素25はファイバフォーカシング光学素子ユニット45の遠位部の振動特性を調整する為に用いられる。補強要素を個々の小型フォーカシング光学素子5を直接的に固定する為に用いることもできる。ホルダ24によってファイバ4は、利用方法に依存して、例えば1列(図11B)、2列(図11C)、又はマトリクス(図11D)で、対照な或いは非対照な幾何パターンで配設される。利用方法に依存して他の形態を与えられた幾何パターンもまた可能である。
【0085】
フォーカシング光学素子5を利用状況に依存して、真直ぐな実施例(図2a)又は曲げられた実施例(図2b)で利用することが出来る。ファイバホルダ24は、スキャナアクチュエータ6又は特には(図2a又は図2bに従う)圧電アクチュエータ6’に固定接続されるか、又は、軸方向へ可動性のスキャナホルダ7又は枠ホルダ7’(図3から図5及び図9に従う実施例)へ組み込まれる。
【0086】
使用されるファイバ4の種類は、使用方法に依存して、例えばMPIの為に、有利にはダブルクラッド‐ラージエリア‐コアPCFが利用される、その他の使用の為にはラージエリア‐コアPCFで足りる。
【0087】
2.1.多チャンネルスキャニングイメージング
変更された実施では、例えばLSM、MPI又はOCPのような多チャンネルで走査して画像化する為のダイレクトスキャナは、多チャンネルスキャナとして用いられる。この場合、全てのファイバフォーカシング光学素子の組み合わせ45は、2次元スキャンアクチュエータ6により同期して割り当てられた部分領域に渡り移動する。個々のファイバ4により更に伝えられる部分イメージから、全イメージが合成される。これは、全ての個々の小型フォーカシング光学素子5の均一な焦点距離、及び、励起放射の一様な出力分布によって達成される。
【0088】
複数のファイバフォーカシング光学素子ユニット45のパラレルスキャンにより、イメージの記録時間が本質的に短縮される。これは、被験者及び/または患者の心拍、呼吸、又は起こりうる震えによる、様々なアーチファクトの除外をもたらすことが出来る。同様にそれにより、記録時間を変えない場合、画像化の解像度を実質的に向上させること、又は、被写領域を拡大することが出来る。起こりうる深度調整は、図2及び3にて示したように実行される。
【0089】
2.2.ダイレクト多光子トモグラフィー
その他の実施では、多チャンネルダイレクトスキャナは2.1.の例と比較可能に構成されるが、個々のファイバ4(又は、ファイバグループ)のフォーカシング光学素子5の焦点距離は異なる。それにより、対象1の少なくとも2つの異なる深度にある平面の同時の画像(断層写真:トモグラム)が記録される。それにより、例えばLMS又はMPIによって、対象1の3次元画像を1つの工程で記録することが出来る。更に、断層写真(tomograms)の記録時間を、広い深度領域で、又は、より高い深さ分解能(複数のイメージング平面)を有して、深度調節を用いることにより、実質的に短縮することが出来る。それにより2.1.の例で挙げられたアーチファクトは除外される。
【0090】
2.3.様々なイメージング方法及び/または測定方法の統合したダイレクトスキャナ
他の実施では、多チャンネルダイレクトスキャナは、2.1.又は2.2.の例のように構成されるが、その際、個々のファイバ4(又は、ファイバグループ)は異なるフォーカシング光学素子5と共に備えられる。これは、例えば同時の又は高速で連続するMPI又はMP‐トモグラフィー及びOCTのような、様々な光学的画像化方法又は測定方法の為に平行して用いられる。この場合、ファイバフォーカシング光学素子ユニット45は、対応する画像化方法または測定方法の為に最適化され、そして、それらの振動技術的な特性が互いに適合される。
【0091】
多チャンネルダイレクトスキャナもまた、最適化され且つ適合された特性により、例えば、蛍光偏光、コヒーレンス、又は、対象の画像化のような、対象反応放射の様々な特徴を同時に測定する為に使用することが出来る。
【0092】
2.4.画像化機能及び処理機能を統合した多チャンネルダイレクトスキャナ
多機能的な実施では、多チャンネルダイレクトスキャナは2.1.から2.3.の例に従って構成されるが、個々のファイバ4又はファイバグループのフォーカシング光学素子5、及び、ファイバ4は異なる。ファイバフォーカシング光学素子ユニット45の幾つかが(例えばLSM又はMPIによる)画像化の目的の為に最適化され、そしてその他は超微細手術の目的又は(例えば多光子レーザーアブレーションによる)物質処理の目的の為に最適化される。それにより、様々なファイバフォーカシング光学素子ユニット45又はそのグループによって、画像化及び処理を、平行して或いは素早く交替して、実行することが出来る。
【0093】
2.5.複数の個々のファイバダイレクトスキャナの統合
有利には、個々のファイバスキャナのハウジング2が互いに固定接続されることで(単独では非図示)、図2から図9に従う同種のダイレクトスキャナの連結により、例えば平行なMPIのように対象1の高解像度の走査可能な面が拡大されるか、又は、例えばOCT多チャンネルダイレクトスキャナのように多チャンネルデバイスが達成される。
【0094】
特には、正確な切除によって弾性を向上出来るように、網膜を正確に処理出来るように、加齢性黄斑変性症の場合に血管を閉じること又は除去することが出来るように、所望でない細胞を除去又は非活性化するように、圧を軽減する為に導管を開口することが出来るように、そして、視神経での複雑な治療を実現できるように、水晶体を処理する為に上記の装置は有利には眼部の中間部分及び後方部分の手術を実行する為に用いられる。
【0095】
更に、具体的な実施例1から4の装置を中耳領域での正確な手術を実行する為に使用することも出来る。
【0096】
加えて、本発明に従う実施1から4は、例えば近接する脳部位を損傷することなく腫瘍細胞を光学的に非活性化する為に、高精度及び最小侵襲の治療による脳領域での手術の為に使用される。
【0097】
その他にも有利には実施1から4は、近接した神経を損傷することなく脊柱領域での手術を実行する為に用いられる。
【0098】
具体的な実施例1から4における装置はまた、合目的に、培養された皮膚製品で所望でない細胞及び微生物を非活性化又は除去する為に、又は、胎児内での手術を高精度で実行する為に用いられる。
【0099】
上記の例1から4に従う装置は、特に、水性媒体内で微細処理を実行する為に、特には体内での(例えばDNAの)分子移動の為の光学的なトランスフェクションを実現する為又は所望でない分化をする注入された幹細胞を光学的に非活性化する為に、適している。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】フェムト秒レーザー処理の為の、及び、皮膚組織を観察する為の、非常に大きな開口数を有する多光子顕微鏡(照射検出デバイス)に基づく、本願発明に従う方法を実行する為の基本構成である。
【図2a】軸方向スキャニングの為、及び、ライトガイドファイバ(ダブルクラッドファイバ)によって蛍光を検出する為の、圧電アクチュエータを有するダイレクトスキャナである。
【図2b】横方向スキャニングの為、及び、ライトガイドファイバ(ダブルクラッドファイバ)によって蛍光を検出する為の、圧電アクチュエータを有するダイレクトスキャナである。
【図3】静電アクチュエータを有する、図2aのダイレクトスキャナである。
【図4】電磁アクチュエータ及びファイバ装置上の永久磁石を有する、図2aのダイレクトスキャナである。
【図5】電磁アクチュエータ及びファイバ装置上の誘導成分を有する、図2aのダイレクトスキャナである。
【図6】静電アクチュエータ、直接スキャナに位置する(ファイバ通路を有する)検出器、及び、ハウジング壁上の反射層を有するダイレクトスキャナである。
【図7】静電アクチュエータ、及び、直接的に組み込まれた2つの検出器を有するダイレクトスキャナである。
【図8】電磁アクチュエータ、及び、直接的に組み込まれた1つの(ファイバ通路のない)検出器を有するダイレクトスキャナである。
【図9】電磁アクチュエータ、及び、(ファイバ通路のない)明視野のイメージング装置を有するファイバによる蛍光検出器を有するダイレクトスキャナである。
【図10】ダブルクラッド‐ラージエリア‐コアPCFの型のファイバの図である。
【図11】ハウジング内の多チャンネル装置の概略図である。
【符号の説明】
【0101】
1 対象
2 ハウジング
3 窓
4 透過系
5 小型フォーカシング光学素子
6 走査アクチュエータ
30 画像生成系
35 透過系
36 光子検出器
45 透過フォーカシング光学素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡検査で、レーザーで誘起された対象反応放射に基づいて、高解像度の顕微鏡画像を生成する為の方法において、
‐透過系(4;35)及び、透過系の端部で固定接続され、対象(1)の局所的な反応放射をマイクロメーターからナノメーターの範囲で誘発する為の、0.55よりも大きな開口数の小型フォーカシング光学素子(5)からなる、透過フォーカシング光学ユニット(45)を用いて、レーザー系から対象(1)へ、フォーカシングされた励起放射を、パルスを与えて入射する工程、
‐対象(1)に対して連続的、空間的に変更される励起放射の位置の為に、及び、小型フォーカシング光学素子(5)の遠位端に存する対象(1)の対象反応放射を局所的に割り当てて走査する為に、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)の遠位端を少なくとも2次元的にスキャン移動する工程、及び
‐透過フォーカシング光学素子ユニット(45)を用いて、光子検出器(36)を有する画像生成系(30)へ、局所的に漸進して走査される対象反応放射を透過する工程、
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、2次元的なスキャン移動に対し直行する第3のスキャンプロセスが、透過フォーカシング光学ユニット(45)の軸方向の移動により、小型フォーカシング光学素子(5)により予め定められた焦点面での対象反応放射の2次元的なスキャン移動から生成された画像記録の深度を変更する為に、行われることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、小型フォーカシング光学素子(5)、及び、照射検出デバイス(30)に属し照射検出デバイス(30)に対して直接光学的連結を生じる光学素子(35)が、固定接続により、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)として、同時にスキャンして移動され、その際、軸方向で、対象(1)での焦点面の深度を調節する為の相対移動を実行できることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、透過系及び小型フォーカシング光学素子(5)の間の距離を変更することで、焦点面が変更されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の方法において、小型フォーカシング光学素子(5)、及び、照射検出デバイス(30)に対し光学的連結を生じる光学ファイバ(4)が、固定接続により、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)として、同時にスキャンして移動されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、複数のファイバフォーカシング光学素子ユニット(45)からなるファイバ束の一種によって、対象(1)の多チャンネル走査が同時に実行されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、パラメータの変更により励起放射が組織処理の為に用いられることで、複数のファイバフォーカシング光学素子ユニット(45)からなるファイバ束の一種によって、対象(1)の画像化機能及び処理機能が準同時に実行されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、
‐励起放射を出力の高められた有効放射へ切り替えること
‐局所的な組織変化を誘発する為に、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)によってフォーカシングされる有効放射をパルスを与えて対象(1)へ入射すること、及び、
‐対象(1)の3次元的な処理工程を実行する為に、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)の遠位端を規定して移動すること、
を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、対象反応放射を空間分解して画像記録する為の出力を減少された励起放射のスキャンされる入射と交互して、対象(1)を組織処理する為に出力を高められた有効放射の入射への切り替えが行われることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、対象(1)から放出される放射を、時間相関単一光子計数により検出することを特徴とする方法。
【請求項11】
レーザー内視鏡検査で1ミリメートル未満の精度で生体物質を微細処理する為の方法において、
‐0.05nJから100μJまでのパルスエネルギーを有するフェムト秒レーザーのレーザーパルスを、ファイバ(4)を介して対象側に配設される大きな開口数を有する小型フォーカシング光学素子(5)へ結合し、また、10μm未満の照射スポットを有する対象(1)内部のターゲット上へフォーカシングする工程、
‐隣接する領域に深刻な付随的損傷を生じずに、100μm未満の精度を有する内視鏡的な微細処理の為に用いられる100GW/cmよりも強い透過強度を有するレーザーパルスによって、ターゲットの電離、光学破壊、及び、プラズマ形成の形の多光子過程を誘発する工程、及び
‐微細処理を観察する為に、照射検出デバイス(30)を用いて、ターゲットから放射されるプラズマ放射並びにターゲットから放出されるその他の対象反応放射を画像生成して検出する工程、
を特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、隣接する細胞を損傷することなく、単一点照射により組織群内の個々の細胞を光学破壊し、その際、破壊領域の直径が、露光時間並びに用いるレーザーパルスエネルギーを選択することにより、変更されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、直線的な移動により、対象(1)内部で、切断幅が10μm未満の正確な切断を実行し、その際、露光時間並びに用いるレーザーパルスエネルギーを選択することにより、切断幅が変更されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法において、領域(ROI)のスキャンによって、100μmから1mmまでのより大きな面上で、10μm未満の精度及び20μm未満の奥行き効果で、正確な物質除去を実現することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法において、領域(ROI)のスキャン及び焦点面の変位によって、1μmから1000mmまでの範囲で大体積の物質除去が実現されることを特徴とする方法。
【請求項16】
特に内視鏡的使用の為の、小型の顕微鏡ヘッドにして、
励起放射を供給する為の透過光学素子、対象へ励起放射を収束してエネルギー入力する為のフォーカシング光学素子、及び、エネルギー入力の位置を変更する為のスキャンデバイスが、ハウジング内に配設され、その際フォーカシング光学素子がハウジング内の窓を通過して有効放射を対象へフォーカシングする小型の顕微鏡ヘッドにおいて、
‐フォーカシング光学素子が、6mm未満の直径、及び、NA>0.55の開口数を有する小型フォーカシング光学素子(5)であり、その際励起放射が小型フォーカシング光学素子(5)によって局所的に、100μm未満の領域上へ制限されて、対象へフォーカシングされること、
‐透過光学素子(4)が、ハウジング内に存するその端部で、小型フォーカシング光学素子(5)と固定接続され、且つ、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)を形成すること、及び
‐スキャンデバイスが、窓(3)の極近で小型フォーカシング光学素子(5)を横方向へ移動する為の、平面で2次元的に可動性の少なくとも1つのスキャンアクチュエータ(6)を有すること、
を特徴とする顕微鏡ヘッド。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、スキャンデバイスが更に透過フォーカシング光学素子ユニット(45)を軸方向へ移動する為の軸方向に可動性の調整ユニット(8)を有し、その際、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)は調整ユニット(8)にて軸方向に確実に固定されることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項16に記載の装置において、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)が小型フォーカシング光学素子(5)及び光学ファイバ(4)から固定して構成され、その際、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)は調整ユニット(8)で軸方向に確実に固定されることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項16に記載の装置において、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)が小型フォーカシング光学素子(5)及び反射性の導波管から固定して構成され、その際、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)は調整ユニット(8)で軸方向に確実に固定されることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項16に記載の装置において、透過フォーカシング光学素子ユニット(45)が、小型フォーカシング光学素子(5)、及び、照射検出デバイス(30)の顕微鏡対物レンズ(35)からなり、その際、2次元的なスキャンアクチュエータ(6)及び軸方向調整ユニット(8)は独占的に小型光学素子(5)へ結合されることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項16に記載の装置において、フォーカシング光学素子(5)が、円形の端面を有する屈折率分布型光学素子(GRIN光学素子)であることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項16に記載の装置において、フォーカシング光学素子(5)が、上流側の屈折性の球面レンズセグメント(5’)を有する屈折率分布型光学素子(GRIN光学素子)であること特徴とする装置。
【請求項23】
請求項16に記載の装置において、フォーカシング光学素子(5)が2レンズの屈折率分布型(GRIN)光学素子(5’’、5’’’)及び回折光学素子(5)を含むことを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項16に記載の装置において、軸方向調整ユニット(8)が2次元的なスキャンアクチュエータ(6)と固定接続され、また、スキャンアクチュエータ(6、6’、6’’、6’’’)が軸方向に可動性のスキャナホルダ(7)に固定されることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項18に記載の装置において、透過光学素子が、フェムト秒レーザー放射をほぼ散乱なしで透過するダブルクラッド(double-clad)‐ラージエリア‐コア(large-area core)フォトニック結晶ファイバ(PCF)の型の微細構造ファイバ(4)であることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項18に記載の装置において、透過光学素子が、ラージエリア‐コア(large-area core)フォトニック結晶ファイバ(PCF)の型のファイバ(4)であることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項18に記載の装置において、ハウジング(2)内にてファイバ(4)の周囲に対象反応放射を直接的に記録する為の少なくとも1つの受光器(17)が配設されることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項18に記載の装置において、ハウジング(2)内にてファイバ(4)の周囲に対象反応放射のスペクトルの様々な構成要素を直接的に記録する為の複数の受光器(17)が配設されることを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項18に記載の装置において、複数のファイバ(4)がハウジング(2)内で平行に配設され、また、上記ファイバがファイバホルダ(24)内で平行に案内されることを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置において、ファイバ(4)が、柔軟なバンド(26)に埋め込まれ、また、振動を抑制する為の補強要素(25)を有することを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項16に記載の装置において、ハウジング(2)がパイプ形状に形成され、又、その端側でカバー(2’)及び窓(3)により密に密閉されることを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項16に記載の装置において、ハウジング(2)が少なくとも1つの平坦な側壁を有し、その際、ハウジング(2)の平坦な側壁で、側面に沿って、窓(3)が着設され、また、ハウジング(2)は端側のカバー(2’)により密に密閉されることを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項32に記載の装置において、小型フォーカシング光学素子(5)が放射屈折要素(5**)を有し、それにより励起放射は透過フォーカシング光学素子ユニット(45)から横方向に出て、且つ、側面に配設された窓(3)を通過して対象(1)上にフォーカシング可能であり、その際、対象(1)での横方向の第1のスキャン次元の為の調整ユニット(8)、及び、横方向の第2のスキャン次元並びに対象(1)の深度スキャンの為のスキャンアクチュエータ(6)が設けられることを特徴とする装置。
【請求項34】
請求項31又は32に記載の装置において、密に密閉されたハウジング(2)が真空状態にされることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−100057(P2008−100057A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−249269(P2007−249269)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(507320362)イェンラープ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】