説明

レーザー熱転写プロセスを使用して有機薄膜トランジスタを製造する方法

本発明は、基板層を提供するステップと、ゲート電極層を提供するステップと、誘電材料層を提供するステップと、有機半導体(OSC)材料層を提供するステップと、ソース/ドレイン電極層を提供するステップとを備え、層のうちの1つ以上がレーザー熱転写(LITI)プロセスを使用して堆積される、有機薄膜トランジスタ(TFT)製造方法を提供する。好ましくは、有機TFTはボトムゲートデバイスであり、ソース/ドレイン電極は、LITIを使用して有機半導体層または誘電材料層上に堆積される。さらに好ましくは、ドーパント材料がOSC材料とソース/ドレイン電極層間に提供されてもよく、ドーパント材料もLITIを使用して堆積されてもよい。また、好ましくは、ドーパントは、TCNQやF4TCNQなどの電荷中性ドーパントであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、有機薄膜トランジスタおよびこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは2つの主要なタイプ、つまりバイポーラ接合トランジスタおよび電界効果トランジスタに分類可能である。両タイプは、チャネル領域において3つの電極とそれらの間に配置された半導体材料とを備える共通構造を共有する。バイポーラ接合トランジスタのこれら3つの電極は、エミッタ、コレクタおよびベースとして既知であるのに対して、電界効果トランジスタにおけるこれら3つの電極は、ソース、ドレインおよびゲートとして既知である。バイポーラ接合トランジスタは、エミッタとコレクタとの間の電流が、ベースとエミッタとの間を流れる電流によってコントロールされるため、電流作動デバイスと記されることがある。対照的に、電界効果トランジスタは、ソースとドレインとの間を流れる電流が、ゲートとソースとの間の電圧によってコントロールされるため、電圧作動デバイスと記されることがある。
【0003】
トランジスタはまた、正の電荷キャリア(正孔)を伝導する半導体材料を備えるか負の電荷キャリア(電子)を伝導する半導体材料を備えるかに応じて、それぞれP型およびN型に分類可能である。半導体材料は、電荷を受容、伝導および提供する性能にしたがって選択可能である。正孔や電子を受容、伝導および提供するという半導体材料の性能は、その材料にドーピングを行なうことによって向上可能である。ソース電極やドレイン電極に使用される材料はまた、正孔や電極を受容および注入する性能にしたがって選択可能である。例えば、P型トランジスタデバイスは、正孔を受容、伝導および提供する際に効率的な半導体材料を選択することと、半導体材料から正孔を注入および受容する際に効率的なソース電極およびドレイン電極向け材料を選択することとによって形成可能である。電極のフェルミレベルと半導体材料のHOMO(最高被占分子軌道)レベルとの良好なエネルギーレベル整合は、正孔の注入および受容を高めることができる。対照的に、N型トランジスタデバイスは、電子を受容、伝導および提供する際に効率的な半導体材料を選択することと、電子を半導体材料に注入し、かつこれから電子を受容する際に効率的なソース電極およびドレイン電極向けの材料を選択することとによって形成可能である。電極のフェルミレベルと半導体材料のLUMO(最低空分子軌道)レベルとの良好なエネルギーレベル整合は、電子の注入および受容を高めることができる。
【0004】
トランジスタは、薄膜の成分を堆積して薄膜トランジスタを形成することによって形成可能である。有機材料がこのようなデバイスで半導体材料として使用される場合、これは有機薄膜トランジスタとして知られている。
【0005】
有機薄膜トランジスタの種々の配置が既知である。このようなデバイスの1つは、ソース電極およびドレイン電極を備える絶縁ゲート電界効果トランジスタであって、チャネル領域においてソース電極とドレイン電極との間に半導体材料が配置されており、半導体材料に隣接してゲート電極が配置されており、チャネル領域においてゲート電極と半導体材料との間に1層の絶縁材料が配置されているトランジスタである。
【0006】
このような有機薄膜トランジスタの一例が図1に示されている。図示されている構造は基板1上に堆積可能であり、ソース電極2およびドレイン電極4を備えており、これらは、両者の間に配置されているチャネル領域6と間隔をあけられている。有機半導体(OSC)8がチャネル領域6に堆積されており、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部の上に延びてもよい。誘電材料の絶縁層10が有機半導体8上に堆積されており、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部の上に延びてもよい。最終的に、ゲート電極12が絶縁層10に堆積される。ゲート電極12はチャネル領域6に配置され、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部に延びてもよい。
【0007】
上記構造は、ゲートがデバイスの上側に配置されているため、トップゲート有機薄膜トランジスタとして知られている。また、デバイスの底側にゲートを提供していわゆるボトムゲート有機薄膜トランジスタを形成することも知られている。
【0008】
このようなボトムゲート有機薄膜トランジスタの一例が図2に示されている。図1および図2に示されている構造の関係をより明確に示すために、同一の参照番号が対応する部分に使用されている。図2に示されているボトムゲート構造は、基板1に堆積されたゲート電極12を備えており、誘電材料の絶縁層10がこの上に堆積されている。有機半導体(OSC)層8は誘電材料の絶縁層10上に堆積される。ソース電極2およびドレイン電極4はOSC層8上に堆積される。ソース電極2およびドレイン電極4は、ゲート電極上でこれら両者の間に配置されているチャネル領域6から間隔をあけられている。
【0009】
当技術分野において、ソース電極およびドレイン電極の上に薄型の自己組織化双極子層を提供してエネルギーレベル整合を改良することも既知である。理論に縛られることなく、薄型の自己組織化双極子層は、OSCとソース/ドレインの材料間のエネルギーレベル整合を改良するために、ソース/ドレイン電極付近にOSCのエネルギーレベルをシフトさせる電界を提供することができる。このことは、ソース電極およびドレイン電極におけるコンタクト抵抗を低下させるという効果を有しているため、TFTの性能を改良する。
【0010】
エネルギーレベル整合は、正孔注入のバリアを削減するために必要とされる。エネルギーレベル整合を実行するために、ソースおよびドレインの材料(コンタクト)の仕事関数は、とりわけ金属の仕事関数が非常に低い場合に、増大されなければならない。これは複数の方法で実行可能であるが、このうちの2つを以下に示す。
【0011】
1つは、自己組織化単分子層を形成する材料、つまり、置換フェニル、チオールまたは有機シランなどの、永久双極子モーメントを備える金属表面に共有結合されている分子を使用することである。
【0012】
もう1つは、強力な電子アクセプタである分子を使用することであり、この場合LUMOレベルは、ソースおよびドレインの材料のフェルミエネルギーレベル未満である。この場合、材料が金属に吸着されると、金属からアクセプタ分子のLUMOへの自然電荷転写が、1層の負帯電アクセプタ分子が金属表面上に形成されるように生じる。例示的材料はフッ素置換テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)であり、これは、本出願人の以前の出願GB−A−0712269.0号に開示されている。US2000/133782号およびJ.Am.Chem.Soc.,2006,128,16418−16419もまた、ベンゾニトリル、またはTCNQなどの置換ベンゾニトリルの使用を開示している。
【0013】
より良好なエネルギーレベル整合を提供するためのソースおよびドレインのコンタクトの可能な表面修正は、論じられているように、酸素プラズマ処理、UVオゾン処理、および、永久双極子モーメントが強力な分子を備える自己組織化単分子層の形成を含む。
【0014】
図3は既知のボトムゲート有機薄膜トランジスタを示しており、ここでソース電極およびドレイン電極は、薄いドーピング材料層をこの上に配置している。この構造は図2に示されている従来技術の配置に類似しており、明確にするために同一の参照番号が同一部分に使用されている。図3に示されている配置の重要な相違は、ドーピング材料14の薄い層、例えばFTCNQまたはF4TCNQが、ソース電極2およびドレイン電極4と有機半導体8との間の界面に挿入されることである。
【0015】
図4は既知のトップゲート有機薄膜トランジスタを示しており、ここでソース電極およびドレイン電極は、薄いドーピング材料層をこの上に配置している。この構造は図1に示されている従来技術の配置に類似しており、明確にするために同一の参照番号が同一部分に使用されている。また、図4に示されている配置の重要な相違は、ソース電極2およびドレイン電極4が、ドーピング材料14の薄い層、例えばFTCNQやF4TCNQをこの上に配置していることである。
【0016】
図3に示されている既知のボトムゲートは、通常は、概略断面図が示されている図5に図示されている方法を使用して形成される。
1.ゲート堆積およびパターニング12(例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)コーティング基板のパターニング)。
2.誘電堆積およびパターニング10(例えば、架橋性のフォトパターニング可能な誘電体)。
3.(例えば、溶液処理可能なポリマーのインクジェットプリンティングによる)OSC8の堆積。
4.(例えば、シャドウマスキングによる)ドーパント層16の堆積。ドーパント分子はOSC8と相互作用し、この場合両者は接触している。LUMOが深いアクセプタドーパントについて、電子はOSCからドーパントに転写され、OSCの局所領域を伝導させる。このことは、ソースおよびドレインのコンタクトにおける電荷の注入および抽出を改良する。
5.ソース・ドレインの材料堆積およびパターニング2、4(例えば、シャドウマスキング)。
【0017】
この技術はまた、トップゲートデバイスと両立可能である。この場合、ソース・ドレイン層がまず堆積およびパターニングされる(上記ステップ5)。しかしながら、上記ステップ4を参照すると、トップゲートデバイスは、上述のように、ソースおよびドレインのコンタクトとOSCとの間のより良好なエネルギーレベル整合を提供するために、多数の異なる方法で処理可能である。例えば、F4−TCNQは自己組織化双極子層としてスピンコーティングすることによって適用可能であり、あるいは蒸着可能であり、あるいは表面処理を使用して厚く適用可能である。これら後者の2つの方法では、F4−TCNQはドーパント層として作用する。
【0018】
ソース・ドレイン金属が(例えば、後続の導電層への電気接続について)暴露される必要があるところでは、(例えば、フォト反応性取り付けグループの直接フォトパターニング、レーザー切断などによって)厚いドーパント層が除去される必要がある場合があり、あるいは従来の表面パターニングが、ドーパント層が必要とされる場所を定義するために必要とされる場合もある。あるいは、F4−TCNQ層が薄い自己組織化単分子層として適用され、かつ十分導電性である場合、F4−TCNQは、形成による導電を妨げることなく、そのままとされる場合もある。
【0019】
説明されているように、ソースおよびドレインのコンタクトはトップゲートデバイスではOSCの前に堆積されるため、上記の種々の方法を使用して、ソースおよびドレインの仕事関数を調整するために多くが実行可能である。半導体層がソースおよびドレインのコンタクトの製造後に堆積されるので、これによって、コンタクトの仕事関数を増大させることでTFTデバイス内のコンタクト抵抗を削減するために、半導体層の堆積前にソースおよびドレインのコンタクトの表面の修正をすることが可能になる。
【0020】
しかしながら、対照的に、トップコンタクト・ボトムゲート有機TFTの製造は、形成済み半導体層の上部に金属性のソースおよびドレインのコンタクトを堆積することを必要とする。
【0021】
この場合には、レドックス活性および/またはイオン汚染の存在がTFTのOFF電流を増大させることがあり、かつ/またはヒステリシス効果の発生をもたらすことになるので、半導体層の汚染を回避することが重要である。したがって、無電解めっきなどの化学反応や金属前駆体の熱/光化学分解を伴うプロセスは、有機半導体層の上部にソースおよびドレインのコンタクトを製造するには適していないことが分かっている。同じ制約が、フォトレジストの溶液、レジスト現像液および除去液を伴うリフトオフプロセスにあてはまる。事実、ソース電極およびドレイン電極を堆積するための従来技術の多くは、シリコン(およびその誘導体)などの無機半導体と併用するために開発されており、有機半導体材料と併用される場合には極めて不利なものである。
【0022】
金属パターンを汚染なく堆積するための技術の1つは、「シャドウマスキング」という既知の技術による熱蒸着を使用する。しかしながら、このようなシャドウマスクプロセスでの溶解は制限され、蒸着金属コンタクトと半導体層との間の界面における化学的特性および電気的特性をコントロールおよび改良することは非常に困難である。
【0023】
ソースおよびドレインのコンタクトをボトムゲートデバイスに適用するために従来技術を使用することは、ソースおよびドレインのコンタクトの底部を適切にドーピングし、あるいはソース/ドレイン/ドーパント/OSC界面におけるドーパントのプロファイルを適切に修正する可能性をほとんど残さないことが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の一実施形態の目的は、有機半導体層の上部に金属性のソースおよびドレインのコンタクトを堆積するための改良された方法を提供することである。さらなる目的は、有機半導体層の上部に金属性のソースおよびドレインのコンタクトを堆積する一方で、金属コンタクトと半導体層との間に得られる界面が適切にドープされることによって低コンタクト抵抗を表示することを保証するための改良された方法を提供することである。さらなる目的は、改良された有機薄膜トランジスタを提供することである。
【0025】
本発明は、半導体層の上部への金属コンタクトの堆積にレーザー熱転写法(LITI)を適用するステップを備える。
【0026】
本発明はさらに、半導体層と金属コンタクト間の界面に化学ドーパント層を提供するステップと、局所的化学相互作用をもたらすステップと、界面での半導体材料を金属コンタクトにドーピングするステップとを備える。
【0027】
本発明は有機薄膜トランジスタ(有機TFT)の製造に適用可能であり、トップゲートデバイスのみならずトップコンタクト・ボトムゲートデバイスにおけるソースおよびドレインのコンタクトと半導体層と間の、ドーピングされたことでオームの法則に従う界面の製造を見込んでいる。
【0028】
したがって、上記に照らして、かつ本発明の第1の態様によると、基板層を提供するステップと、ゲート電極層を提供するステップと、誘電材料層を提供するステップと、有機半導体(OSC)材料層を提供するステップと、ソース電極およびドレイン電極層を提供するステップとを備えており、層のうちの1つ以上がLITIプロセスを使用して堆積される、有機薄膜トランジスタ(TFT)製造方法が提供される。
【0029】
本発明の第2の態様によると、基板層を提供するステップと、LITIプロセスを使用して基板層上にソースおよび/またはドレイン電極を堆積するステップと、ソース/ドレイン電極層上に有機半導体(OSC)材料層を提供するステップと、(OSC)材料層上に誘電材料層を提供するステップと、誘電材料層上にゲート電極を提供するステップとを備える、トップゲート有機薄膜トランジスタ(TFT)製造方法が提供される。
【0030】
本発明の第3の態様によると、基板層を提供するステップと、基板層上にゲート電極を提供するステップと、ゲート電極上に誘電材料層を提供するステップと、誘電材料層上に有機半導体(OSC)材料層を提供するステップと、LITIプロセスを使用してOSC層上にソースおよび/またはドレイン電極を堆積するステップとを備えるボトムゲート有機薄膜トランジスタ(TFT)製造方法が提供される。
【0031】
本発明の第4の態様によると、基板層を提供するステップと、基板層上にゲート電極を提供するステップと、ゲート電極上に誘電材料層を提供するステップと、レーザー熱転写(LITI)プロセスを使用して誘電材料層上にソースおよび/またはドレイン電極を堆積するステップと、ソースおよびドレイン層上に有機半導体(OSC)材料層を提供するステップとを備えるボトムゲート有機薄膜トランジスタ(TFT)製造方法が提供される。
【0032】
好ましくは、第1、第2、第3および第4の態様において、OSC材料とソース/ドレイン電極層間にドーパント材料をさらに提供する。さらに好ましくは、ドーパント材料もまたLITIを使用して堆積されてもよい。
【0033】
また好ましくは、ドーパントは、置換TCNQやF4TCNQなどの電荷中性ドーパントであってもよい。この誘導体は、OSCをドーピングし、ソース/ドレイン電極を結合し、OSCに可湿性表面を提供する際にとりわけ良好であることが分かっている。
【0034】
好ましくは、有機半導体材料は、TCNQのLUMOレベルより深いHOMOレベルを有する。有機半導体材料は好都合なことに、ドーパント部分のLUMOより浅いHOMOレベルを有する。
【0035】
好ましくは、有機半導体材料は、材料が、例えばインクジェットプリンティングやスピンコーティングによって堆積可能になるように溶液処理可能なものである。適切な溶液処理可能な材料はポリマー、デンドリマーおよび小分子を含む。
【0036】
組成の伝導率は好ましくは、電極に隣接して10-6S/cmから10-2S/cmの範囲である。しかしながら、組成の伝導率は、特定の使用に望ましい特定の伝導率値にしたがって、ドーパントの濃度を変更することによって、あるいは異なる有機半導体材料および/またはドーパントを使用することによって容易に変更可能である。
【0037】
ボトムゲートデバイスについて、有機誘電材料は、ソース電極およびドレイン電極へのドーパント部分の選択的結合が促進されるように、誘電層とソース電極およびドレイン電極の化学的特性に大きな差異を提供するために利用可能である。
【0038】
同様に、トップゲートデバイスについて、有機基板は、ソース電極およびドレイン電極へのドーパント部分の選択的結合が促進されるように、誘電層とソース電極およびドレイン電極の化学的特性に大きな差異を提供するために利用可能である。
【0039】
別の配置では、誘電層または基板は、誘電層や基板ではなくソース電極およびドレイン電極へのドーパント部分の選択的結合を向上させるために処理可能である。
【0040】
好ましくは、ソースおよびドレイン材料は、以下のリストのうちの1つである:銀、銀コロイド、スズ、銅、金、モリブデン、プラチナ、パラジウム、タングステン、クロムまたはインジウムスズ酸化物。三酸化モリブデンまたは酸化モリブデンのいずれかのさらなる層が好ましくはソースおよびドレインのコンタクトに適用される。
【0041】
ソース電極およびドレイン電極が熱処理されるか、150℃未満、好ましくは100℃付近の温度で焼結されることが好ましい。材料がソースおよび/またはドレイン材料としての使用に適しているはずの120から130℃で焼結する銀コロイドもある。LITIプロセスを使用する場合、赤外線からオレンジ色の範囲の波長の光が使用可能であることも好ましい。
【0042】
第5の態様によると、TFTが、第1から第3の態様のうちのいずれか1つにしたがって製造される有機薄膜トランジスタ(TFT)が提供される。
【0043】
第6の態様によると、OLEDデバイスが有機TFTを含み、TFTが第1から第3の態様のうちのいずれか1つにしたがって製造される有機発光ダイオード(OLED)デバイスが提供される。
【0044】
本発明は、例証としてのみ、添付の図面を参照して以下詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、既知のトップゲート有機薄膜トランジスタ配置を示している。
【図2】図2は、既知のボトムゲート有機薄膜トランジスタ配置を示している。
【図3】図3は、ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層が、両者の間に1層の薄いドーピング材料を配置している既知のボトムゲート有機薄膜トランジスタを示している。
【図4】図4は、ソース電極およびドレイン電極がこの上に1層の薄いドーピング材料を配置している既知のトップゲート有機薄膜トランジスタを示している。
【図5】図5は、図3に示されている実施形態にしたがった有機薄膜トランジスタの形成に関する既知の方法ステップを図示している。
【図6A】図6Aは、当該技術分野で既知であるように、LITIを使用するドナー基板からレセプタ基板への材料の堆積を示す図である。
【図6B】図6Bは、当該技術分野で既知であるように、LITIを使用するドナー基板からレセプタ基板への材料の堆積を示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にしたがった、導電性材料およびドーパント材料の2成分転写層を備えるドナー基板を示す図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態にしたがった、LITIプロセスを使用する、図7の導電性材料およびドーパント材料を備える2成分転写層のTFTの半導体層への転写を示す図である。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施形態にしたがった、LITIプロセスを使用する、図7の導電性材料およびドーパント材料を備える2成分転写層のTFTの半導体層への転写を示す図である。
【図9】図9は、有機薄膜トランジスタおよび有機発光デバイスを備えるアクティブマトリクス有機発光ディスプレイの一部を示している。
【図10】図10は、有機薄膜トランジスタおよび有機発光デバイスを備えるもう1つのアクティブマトリクス有機発光ディスプレイ配置の一部を示している。
【発明を実施するための形態】
【0046】
一般的に、レーザー熱転写法(LITI)によって、ドナー基板からレセプタ基板への材料パターンの転写が可能になる。図6Aおよび図6Bは、当該技術分野で既知であるように、LITIを使用するドナー基板からレセプタ基板への材料の堆積を示す図である。図6Aおよび図6Bの両方において、ベース基板100と、光熱変換層110と、転写可能な材料からなる転写層120とを備えるドナー基板300が示されている。転写プロセス時に、ベース基板100の所定の領域がレーザービーム400で照射されて、照射エリアにおける光熱変換をもたらす(図6A参照)。この熱は、転写層120と光熱変換層110間の接着を弱め、ドナー基板300と接触しているレセプタ基板200に転写されるドナー基板420Aおよび420Bの加熱エリアに転写層120をもたらす(図6B参照)。
【0047】
米国特許出願第2006/0068520A1号は、レーザー熱転写(LITI)プロセス用のドナー基板を製造する方法を開示している。つまり、ベース基板が準備される。光熱変換層がベース基板上に形成される。バッファ層が光熱変換層上に形成される。バッファ層の表面粗さは、バッファ層の表面を処理することによって増大される。ドナー基板は次いで、バッファ層上に転写層を形成することによって完成される。ドナー基板を使用することによって、転写層に含有されている材料のパターンが、OLEDディスプレイの製造時にレセプタ基板に堆積可能である。
【0048】
また、米国特許出願第2006/0068520A1号は、OLEDの放射性材料に加えて、正孔注入材料、正孔移送材料、正孔ブロック材料および電子注入材料を備える転写層が、OLEDの製造時にLITIプロセスを使用するパターン堆積に使用されてもよいことを開示している。
【0049】
米国特許出願第2006/0068520A1号は、OLEDディスプレイの製造に必要な機能的材料のパターニング堆積の方法としてLITIを開示している。
【0050】
LITIを使用して、有機薄膜トランジスタの1つ以上の層を堆積することは知られていない。
【0051】
本発明の実施形態のうちの1つの目的は、半導体層の表面上に電子導電性のソースおよびドレインのコンタクトを製造する方法を提供することと、これらのソースおよびドレインのコンタクトと半導体層間にドーピング界面をさらに提供することである。これは、以下の図7、図8Aおよび図8Bを参照して説明されている。
【0052】
図7は、本発明の一実施形態にしたがった、導電性材料およびドーパント材料の2成分転写層を備えるドナー基板を示す図である。導電性材料(530)を備える第1の(厚い)層と、ドーパント(540)を備える第2の(薄い上部)層とを具備する2成分転写層(A)を備えるドナー基板500が図7に示されている。ベース基板510および光熱変換層520も示されている。
【0053】
図8Aおよび図8Bは、本発明の一実施形態にしたがった、LITIプロセスを使用する、図7の導電性材料およびドーパント材料を備える2成分転写層のTFTの有機半導体層への転写を示す図である。図8Aにおいて、基板680と、ボトムゲート電極690と、誘電層670と、半導体層660とを備える部分的に準備または製造されたTFT600が示されている。
【0054】
導電性材料(630)を備える第1の(厚い)層と、ドーパント(640)を備える第2の(薄い上部)層とを具備する2成分転写層(A’)を備えるドナー基板600も示されている。ベース基板610および光熱変換層620もまた示されている。レーザー光820も示されている。
【0055】
半導体層660の表面へのドナー基板600の転写は次いで金属パターン630D、630Sの堆積をもたらし、1層の薄いドーパント640は金属パターン630D、630Sと半導体層660の表面間に挟持されている。このアプローチによって、金属パターン630D、630Sと半導体層660間の界面にドーピングプロファイル700を導入することができる。
【0056】
TFT基板680と、ボトムゲート電極690と誘電層670も示されている。
【0057】
ボトムゲートが占めるエリアのドナー基板にLITIプロセス時に適用される光をマスクするために、マスクがドナー基板と併用される必要があることは当業者に明らかであるはずである。したがって、LITI光マスクおよびボトムゲートは、ソース、ゲートおよびドーパント材料が半導体材料上の正確な位置に堆積されるように、慎重に整列される必要がある。
【0058】
LITIプロセスによって使用される光は、多くの光が、有機半導体層ではなくソース電極およびドレイン電極によって吸収されるように、好ましくは赤外線である。赤色/オレンジ色の範囲の光の周波数もまた適切である。さらに、OSCの温度感度ゆえに、過熱によってOSC層に影響を与えることなく、十分な光エネルギーの使用と、ソースおよびドレインのコンタクトの(例えば)銀コロイドの焼結とが両立される必要がある。ターゲット温度範囲は150から170℃未満、好ましくは100℃付近である。適切な120から130℃で焼結する銀コロイドもある。
【0059】
有機TFTを製造するのに使用可能な本発明のプロセスの概要は以下のとおりである:
1.(例えば)ガラスまたはプラスチック基板上へのゲート堆積およびパターニング(例えば、ITOコーティング基板のパターニング)。
2.(例えば、OLEDと併用される場合−以下の図9および図10を参照)底部電極およびコンデンサの堆積。
3.誘電堆積およびパターニング(例えば、架橋性無機/有機フォトパターニング可能な誘電体)。
4.(例えば、溶液処理可能なポリマーのインクジェットプリンティングによる)OSCの堆積。
5.上述のような、かつ本発明にしたがったLITIを使用するソース、ドレインおよびドーパントの堆積。
【0060】
LITIプロセスが(ドーパント材料なしで)ソース電極およびドレイン電極のみを堆積するために使用可能であり、かつこのような場合LITIプロセスはトップゲートTFTに使用可能であることは当業者には明らかなはずである。さらに、上記のようなLITIプロセスは、トップゲートまたはボトムゲートの有機TFTの複数の層のうちのいずれか1つを堆積するために使用可能である。しかしながら、LITIプロセスは、ボトムゲートTFTの場合、かつソース、ドレインおよびドーパント材料の堆積が単一ステップで実行される場合に最も有用であることが分かっている。
【0061】
LITIプロセスはしたがって、OSCにダメージを与えうるため従来技術のスパッタリング方法によって実行不可能な、ITO、酸化亜鉛、酸化モリブデンなどの金属化合物を堆積するために使用可能である。
【0062】
本発明の実施形態にしたがった有機TFTの他の特徴について以下に説明する。
【0063】
基板
基板は剛性でも柔軟性でもよい。剛性基板はガラスまたはシリコンから選択されてもよく、柔軟性基板は、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(エチレンナフタレート)PEN、ポリカーボネートおよびポリイミドなどの薄いガラスまたはプラスチックを備えてもよい。
【0064】
有機半導体材料は、適切な溶媒の使用によって溶液処理可能なものとされてもよい。例示的溶媒は、トルエンおよびキシレンなどのアルキルベンゼンと、クロロホルムとを含む。好ましい溶液堆積技術はスピンコーティングおよびインクジェットプリンティングを含む。他の溶液堆積技術はディップコーティング、ロールプリンティングおよびスクリーンプリンティングを含む。
【0065】
有機半導体材料
好ましい有機半導体材料は、随意置換されたペンタセン、ポリアリーレン、とりわけポリフルオレンおよびポリチオフェンなどの随意置換されたポリマー、およびオリゴノマーなどの小分子を含む。異なる材料タイプのブレンド(例えば、ポリマーおよび小分子のブレンド)を含む材料のブレンドが使用されてもよい。有機半導体層の厚さは好ましくは50から80nmである。
【0066】
ソース電極およびドレイン電極
LITI転写層における導電性材料成分(ソース電極およびドレイン電極)は、無機金属、導電性金属酸化物、あるいは導電性ポリマーであるように選択されてもよい。このような導電性ポリマーの一例はポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)であるが、他の導電性ポリマーも当該技術分野で既知である。
【0067】
好ましくは、導電性材料は高伝導率を有し、また、高伝導率を達成するために低温で焼結可能な銀ナノ粒子を備えるように選択されてもよい。
【0068】
pチャネル有機TFTについて、好ましくはソース電極およびドレイン電極は高仕事関数材料、好ましくは3.5eVより大きな仕事関数の金属、例えば、金、プラチナ、パラジウム、モリブデン、タングステンまたはクロムを備える。より好ましくは、金属は、4.5から5.5eVの範囲の仕事関数を有する。他の適切な化合物、合金、およびインジウムスズ酸化物などの酸化物もまた使用可能である。三酸化モリブデンまたは酸化モリブデンのさらなる層も適用可能である。
【0069】
ソース電極およびドレイン電極は好ましくは、製造を容易にするために同一の材料から形成される。しかしながら、ソース電極およびドレイン電極は、それぞれ電荷注入および抽出を最適化するために異なる材料から形成されてもよい点が認識される。この場合、LITIドナー基板の転写層はこれに応じて修正される必要がある。
【0070】
ソース電極とドレイン電極間に定義されるチャネルの長さは最大500ミクロンであってもよいが、好ましくは、この長さは200ミクロン未満、より好ましくは100ミクロン未満、最も好ましくは20ミクロン未満である。
【0071】
ゲート電極
ゲート電極は、広範囲の導電性材料、例えば金属(例えば、金)または金属化合物(例えば、インジウムスズ酸化物)から選択可能である。あるいはまた、導電性ポリマーはゲート電極として堆積されてもよい。このような導電性ポリマーは、例えばスピンコーティングまたはインクジェットプリンティング技術および上記の他の溶液堆積技術を使用して溶液から堆積されてもよい。ゲート電極と、ソース電極およびドレイン電極の厚さは5から200nmの範囲であってもよいが、例えば原子間力顕微鏡(AFM)によって測定されるように通常は50nmである。
【0072】
絶縁層(ゲート誘電体)
絶縁層は、高抵抗率を有する絶縁性材料から選択された誘電材料を備える。誘電体の誘電定数kは通常約2から3であるが、有機TFTについて達成可能なキャパシタンスはkに比例し、かつドレイン電流IDはキャパシタンスに比例するため、kの値が高い材料が望ましい。したがって、動作電圧が低い高ドレイン電流を達成するために、チャネル領域において誘電層が薄い有機TFTが好ましい。
【0073】
誘電材料は有機でも無機でもよい。好ましい無機材料はSiO2、SiNxおよびスピン・オン・ガラス(SOG)を含む。好ましい有機材料は概してポリマーであり、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリジン(PVP)などの絶縁性ポリマーと、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリレートと、Dow Corningから入手可能なベンゾシクロブタン(BCB)とを含む。絶縁層は、材料のブレンドによって形成されてもよく、あるいは多層構造を備えてもよい。
【0074】
誘電材料は、当該技術分野で既知のように、熱蒸着、真空処理または積層技術によって堆積されてもよい。あるいはまた、誘電材料は、例えば、スピンコーティングまたはインクジェットプリンティング技術および上記の他の溶液堆積技術を使用して溶液から堆積されてもよい。
【0075】
誘電材料が溶液から有機半導体に堆積される場合、有機半導体の溶解をもたらすことはない。同様に、有機半導体が溶液から誘電材料上に堆積される場合、誘電材料は溶解されることはない。このような溶解を回避するための技術は、直交溶媒の使用、つまり下地層を溶解しない最上層の堆積への溶媒の使用と、下地層の架橋とを含む。
【0076】
絶縁層の厚さは好ましくは2マイクロメートル未満、より好ましくは500nm未満である。
【0077】
ドーパント材料
LITI転写層のドーパント成分は、低LUMOのアクセプタ化合物であるように選択されてもよい。例として、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)およびテトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)が挙げられる。
【0078】
出願人は、GB2455096号において、銀とF4TCNQの組み合わせは、有機TFTにおいてソースおよびドレインのコンタクトとして使用される場合に、優れた正孔注入特性を有することを示している。例えば、アセトニトリル中の飽和カロメル電極に対するTCNQF4の値0.53およびTCNQの値わずか0.17を付与する表IVを参照のこと。TCNQF4は本発明にしたがってソース/ドレインドーパントとして有用であることが分かっているが、本発明の実施形態にしたがってドーパントとして使用するのに適切な他の電子アクセプタ、例えば、TCNQ(CN)2と、TCNQCl2およびTCNQBr2などのTCNQのハロゲン化誘導体もまた表IVに開示されている。他の電子アクセプタのフッ素化誘導体、例えばアントラキノン、ペリレンビスイミドおよびテトラシアノアントラキノジメタンのフッ素化誘導体などの誘導体もまた使用可能である。ドーパントの電子親和性を増大させるための他の電子求引置換基はニトロ(−NO2)およびシアノ(−CN)基を含む。
【0079】
GB2455096号の実施形態は、ドーパントが、ソース/ドレイン電極に対するより良好な選択的結合、ソース/ドレイン電極上のOSCのより良好な可湿性、およびより良好なドーピングによるOSCの電荷移動性の改良を有するという、US2005/133782号に開示されているTCNQドーパントに対する改良を提供する。
【0080】
有機TFT用途
本発明の実施形態にしたがった有機TFTは、広範囲の可能な用途を有している。このような用途の1つは、光学デバイス、好ましくは有機光学デバイスの画素を駆動することである。このような光学デバイスの例は、光応答性デバイス、とりわけ光検出器と、発光デバイス、とりわけ有機発光デバイス(OLED)とを含む。有機TFTは、アクティブマトリクス有機発光デバイスとの併用、例えばディスプレイ用途での使用にとりわけ適している。
【0081】
図9は、共通基板21に製造された有機薄膜トランジスタおよび隣接する有機発光デバイスを備える画素を示している。有機TFTはゲート電極22と、誘電層24と、ソース電極23sおよびドレイン電極23dと、OSC層25とを備える。OLEDは陽極27と、陰極29と、陽極と陰極間に提供されているエレクトロルミネセント層28とを備える。電荷移送層、電荷注入層または電荷ブロック層などのさらなる層が陽極と陰極間に配置されてもよい。図6の実施形態では、陰極材料層が有機TFTとOLEDの両方に亘って延びており、絶縁層26が、陰極層29をOSC層25から電気的に分離するために提供される。有機TFTおよびOLEDのアクティブエリアは、基板21上に1層のフォトレジストを堆積して、これをパターニングすることによって形成された共通バンク材料によって定義され、基板上に有機TFTおよびOLEDエリアを定義する。本実施形態では、ドレイン電極23dは、発光状態と非発光状態に有機発光デバイスを切り替えるために、有機発光デバイスの陽極に直接接続される。
【0082】
図10に示されている代替配置では、有機薄膜トランジスタは、有機発光デバイスに対して積層して製造されてもよい。このような実施形態では、有機薄膜トランジスタは、トップゲート構成またはボトムゲート構成で上記のように構築される。図6の実施形態のように、有機TFTおよびOLEDのアクティブエリアはフォトレジスト33のパターニング層によって定義されるが、この積層配置では、2つの個別バンク層33があり、一方はOLED用、もう一方は有機TFT用である。(パッシベーション層としても既知である)平坦化層31が有機TFT上に堆積される。例示的パッシベーション層はBCBおよびパリレンを含む。有機発光デバイスがパッシベーション層上に製造される。有機発光デバイスの陽極34が、パッシベーション層31およびバンク層33を通過する導電性ビア32によって有機薄膜トランジスタのドレイン電極に電気接続される。
【0083】
有機TFTおよび光学アクティブエリア(例えば発光または光検知エリア)を備える画素回路がさらなる要素を備えてもよい点が認識される。とりわけ、図9および10のOLED画素回路は通常、図示されている駆動トランジスタに加えて少なくとも1つのさらなるトランジスタと、少なくとも1つのコンデンサとを備えることになる。
【0084】
ここに説明されている有機発光デバイスはトップ放射デバイスまたはボトム放射デバイスであってもよいことが認識される。つまり、デバイスは、デバイスの陽極側または陰極側のいずれかを介して発光可能である。透過デバイスでは、陽極および陰極の双方が透過性である。透過陰極デバイスは、(当然、完全透過デバイスが所望されなければ)透過陽極を有する必要はないため、ボトム放射デバイスに使用される透過陽極は、アルミニウム層などの反射性材料層によって置換または補完されてもよい点が認識される。
【0085】
透過陰極はアクティブマトリクスデバイスについてとりわけ好都合であるが、それは、このようなデバイスにおける透過陽極を介する放射は、図10に示されている実施形態から分かるように、放射画素の下に配置されている有機TFT駆動回路によって少なくとも部分的にブロックされてもよいからである。
【0086】
本発明は好ましい実施形態を参照して具体的に図示および説明されているが、添付の請求項によって定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細に関する種々の変更がなされてもよい点が当業者によって理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機薄膜トランジスタ(TFT)の製造方法であって、
基板層を提供するステップと、
ゲート電極層を提供するステップと、
誘電材料層を提供するステップと、
有機半導体(OSC)材料層を提供するステップと、
ソース・ドレイン電極層を提供するステップとを備えており、
前記層のうちの1つ以上が、レーザー熱転写(LITI)プロセスを使用して堆積される方法。
【請求項2】
トップゲート有機薄膜トランジスタ(TFT)の製造方法であって、
基板層を提供するステップと、
レーザー熱転写(LITI)プロセスを使用して前記基板層上にソース電極および/またはドレイン電極を堆積するステップと、
前記ソース・ドレイン電極層上に有機半導体(OSC)材料層を提供するステップと、
前記(OSC)材料層上に誘電材料層を提供するステップと、
前記誘電材料層上にゲート電極を提供するステップとを備える方法。
【請求項3】
ボトムゲート有機薄膜トランジスタ(TFT)の製造方法であって、
基板層を提供するステップと、
前記基板層上にゲート電極を提供するステップと、
前記ゲート電極上に誘電材料層を提供するステップと、
前記誘電材料層上に有機半導体(OSC)材料層を提供するステップと、
レーザー熱転写(LITI)プロセスを使用して前記OSC層上にソース電極および/またはドレイン電極を堆積するステップとを備える方法。
【請求項4】
ボトムゲート有機薄膜トランジスタ(TFT)の製造方法であって、
基板層を提供するステップと、
前記基板層上にゲート電極を提供するステップと、
前記ゲート電極上に誘電材料層を提供するステップと、
レーザー熱転写(LITI)プロセスを使用して前記誘電材料層上にソース電極および/またはドレイン電極を堆積するステップと、
前記ソース・ドレイン層上に有機半導体(OSC)材料層を提供するステップとを備える方法。
【請求項5】
前記OSC材料と前記ソース・ドレイン電極層との間にドーパント材料を提供するステップをさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項6】
前記ドーパント材料もまたLITIを使用して堆積される、請求項5に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項7】
前記ドーパント材料が、電子を受容することによって有機半導体材料を化学的にドーピングするためのドーパント部分を備えており、前記ドーパント部分が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極(SCE)に対して少なくとも0.3eVの酸化還元電位を有する、請求項5または6に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記ドーパント部分の前記酸化還元電位が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極に対して少なくとも0.4eVである、請求項7に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記ドーパント部分の前記酸化還元電位が、アセトニトリル中の飽和カロメル電極に対して少なくとも0.5eVである、請求項8に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記ドーパント部分が電荷中性ドーパントである、請求項7から9のうちのいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
前記ドーパント部分が、ハロゲン、ニトロおよび/またはCN基で置換される、請求項7〜10のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記ドーパント部分が、2つ以上のハロゲン、ニトロまたはCN基で置換される、請求項11に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記ハロゲンがフッ素である、請求項11または12に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記ドーパント部分が、置換テトラシアノキノジメタン、アントラキノン、ペリレンビスイミドまたはテトラシアノアントラキノジメタンである、請求項7〜13のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記有機半導体材料が、TCNQのLUMOレベルより深いHOMOレベルを有する、請求項1〜14のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記有機半導体材料が、前記ドーパント部分のLUMOより浅いHOMOレベルを有する、請求項1〜15のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項17】
前記有機半導体材料が溶液から堆積される、請求項1〜16のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項18】
前記ソース/ドレイン電極に隣接するドープされた有機半導体材料が10-6S/cmから10-2S/cmの範囲の伝導率を有する、請求項1〜17のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項19】
前記誘電材料が有機誘電材料を備える、請求項18に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項20】
前記誘電材料層が、前記ソース・ドレイン電極への前記ドーパント部分の選択的結合を高めるように処理される、請求項18または19に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項21】
前記ソース・ドレイン材料が以下のリストのうちの1つである、請求項1〜20のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法:銀、銀コロイド、スズ、銅、金、モリブデン、プラチナ、パラジウム、タングステン、クロムまたはインジウムスズ酸化物。
【請求項22】
1層の三酸化モリブデンまたは酸化モリブデンをさらに備える、請求項21に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項23】
LITIを使用して堆積された前記層が、150℃未満の温度で熱処理される、請求項1〜22のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項24】
LITIを使用して堆積された前記層が、120℃から130℃の範囲の温度で熱処理される、請求項23に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項25】
LITIを使用して堆積された前記層が焼結される、請求項23または24に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項26】
赤外線からオレンジ色の範囲の光を使用するステップをさらに備える、請求項1〜25のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか一項にしたがって製造された有機薄膜トランジスタ(TFT)。
【請求項28】
請求項1〜26のいずれか一項にしたがって製造された有機TFTを含む有機発光ダイオード(OLED)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−508964(P2012−508964A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521632(P2011−521632)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001925
【国際公開番号】WO2010/015822
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】