説明

レーザ加工装置及びレーザ加工方法

【課題】加工用レーザ光束を加工対象物における加工位置に正確に集光させることができ生体組織や細胞等加工中に移動する動きのある加工対象について適用してもレーザ加工の精度を向上させることができ生体及び細胞の機能改変に用いることができるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】組織、器官、細胞の生体及び生体関連物質に対して加工用レーザ光束を照射して加工するレーザ加工装置であって、加工用レーザ光束1を集光させるレーザ加工光学系4と、加工用レーザ光束1の光路を偏向させる偏向光学系9と、加工対象物3の形状情報を取得する形状情報取得手段21,23と、形状情報に基づく画像を表示する画像表示手段32と、制御回路部20とを備える。制御回路部20は、入力された加工位置情報に基づいて、偏向光学系9の動作及び加工用レーザ光束1の出力を制御し、レーザ加工光学系4による加工位置を制御し、加工対象物の代謝機能を改変させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工光学系を用いてレーザ加工(切断や穿孔、あるいは、改質)を行うレーザ加工装置及びレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工対象物に対して微細加工を行う装置として、特許文献1に記載されているように、走査型プローブ顕微鏡を用いた加工装置が提案されている。この加工装置は、加工機能を付加した走査型プローブ顕微鏡であり、XYラスタ測定により測定像を更新表示しながら、その画像上に加工すべきXY座標を重ね書きし、XYラスタ走査が加工すべきXY座標に達したら、そのポイントで加工動作、測定を連続して行い、その後はラスタ走査測定を続けることで、リアルタイムに加工した試料表面の測定観察を行えるようになっている。
【0003】
一方、従来において、レーザ加工光学系を用いたレーザ加工が提案されている。このレーザ加工光学系は、例えば、フェムト秒チタンサファイアレーザなどからの出射光束を加工用レーザ光束として用い、この加工用レーザ光束を対物レンズを介して加工対象物上に集光して照射し、この加工対象物に対するレーザ加工を行うように構成されている。このようなレーザ加工によって、加工対象物に対して、極めて微細な孔開け加工などを行うことができる。
【0004】
このようなレーザ加工における加工対象物は、ガラス板などに限られず、生体組織や細胞などに対しても加工(切断や穿孔、あるいは、改質)を行うことができる。フェムト秒レーザを用いたレーザ加工は、非熱加工が可能であり、また、透過性に優れるため、加工対象物の内部加工が可能であり、さらに、加工箇所の周辺の損傷が小さく、加工精度が高いという特性を有するため、生体組織や細胞などに対する加工にも適している。
【0005】
【特許文献1】特開平8−220107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のようなレーザ加工を正確に行うには、加工用レーザ光束の焦点を加工対象物における所定の加工位置に対して正確に一致させる必要がある。
【0007】
ところが、レーザ加工光学系を用いたレーザ加工においては、加工用レーザ光束の焦点を加工対象物における加工位置に対して正確に一致させることが困難であり、このことがレーザ加工の精度の向上を困難としている。
【0008】
そして、レーザ加工光学系として使用される共焦点光学系は、動きのある加工対象について適用することは提案されていない。特に、生体組織や細胞などに対する加工を行う場合には、加工対象物が加工中に移動することもあるため、正確に所定の箇所に対する加工を行うことが困難となっている。また、従来のフェムト秒レーザを用いたレーザ加工装置は、非生物材料を加工する用途に限定されている。
【0009】
なお、生物試料を対象としたレーザ加工装置として、「レーザディセクション装置」が提案されているが、生体及び細胞の機能改変に用いることは提案されていない。
【0010】
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、加工用レーザ光束の焦点を加工対象物における加工位置に対して正確に一致させることができ、また、生体組織や細胞など、加工対象物が加工中に移動するような動きのある加工対象について適用しても、レーザ加工の精度を向上させることができ、また、生体及び細胞の機能改変に用いることができるレーザ加工装置及びレーザ加工方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明に係るレーザ加工装置は、以下の構成の少なくとも一を備えるものである。
【0012】
〔構成1〕
加工対象物となる組織、器官、または、細胞の生体及び生体関連物質に対し加工用レーザ光束を集光して照射しこの加工用レーザ光束の照射位置を該加工対象物の表面、または、内部において走査することにより該加工対象物の該加工用レーザ光束が照射された部分を加工するレーザ加工装置であって、加工用レーザ光源からの加工用レーザ光束を対物レンズを介して集光させ加工対象物に対して照射することにより該加工対象物に対する加工を行うレーザ加工光学系と、加工用レーザ光束の光路を偏向させる偏向光学系と、加工対象物を対物レンズの光軸に対して垂直な平面内において移動操作する移動操作手段と、対物レンズと加工対象物との相対距離を調整する焦点調節手段と、加工対象物における少なくとも加工用レーザ光束が照射される領域の形状情報を取得する形状情報取得手段と、形状情報取得手段により得られた形状情報に基づく画像を表示する画像表示手段と、画像表示手段により表示される画像に対応した加工位置情報が入力される入力手段と、移動換作手段、焦点調節手段及び偏向光学系の動作並びに加工用レーザ光束の出力を制御する制御回路部とを備え、制御回路部は、入力手段に入力された加工位置情報に基づいて、偏向光学系の動作及び加工用レーザ光束の出力を制御して、レーザ加工光学系による加工位置を制御して、加工対象物の代謝機能を改変させることを特徴とするものである。
【0013】
〔構成2〕
構成1を有するレーザ加工装置において、加工対象物の全体の大きさが、加工時に形状情報取得手段及び画像表示手段により観察される領域よりも大きい場合においては、加工対象物に対して、観察される領域を移動させつつ、加工位置情報を入力され、制御回路部は、入力された加工位置情報に基づいて、偏向光学系の動作及び加工用レーザ光束の出力を制御して、レーザ加工光学系による加工位置を制御することを特徴とするものである。
【0014】
〔構成3〕
構成1を有するレーザ加工装置において、加工対象物において加工対象となる加工領域が点在している場合においては、形状情報取得手段及び画像表示手段により観察される領域を移動させつつ、各加工領域について加工位置情報を入力され、制御回路部は、入力された各加工位置情報に基づいてバッチ処理を行い、偏向光学系の動作及び加工用レーザ光束の出力を制御して、レーザ加工光学系による加工位置を制御することを特徴とするものである。
【0015】
〔構成4〕
構成1乃至構成3のいずれか一を有するレーザ加工装置において、加工用レーザ光束は、発振パルス幅が1フェムト秒乃至300フェムト秒で、かつ、ピークパワーが1GW乃至100GWのフェムト秒レーザであることを特徴とするものである。
【0016】
〔構成5〕
加工対象物となる組織、器官、または、細胞の生体及び生体関連物質に対し加工用レーザ光束を集光して照射しこの加工用レーザ光束の照射位置を該加工対象物の表面、または、内部において走査することにより該加工対象物の該加工用レーザ光束が照射された部分を加工するレーザ加工方法であって、加工対象物における少なくとも加工用レーザ光束が照射される領域の形状情報を形状情報取得手段により取得し、形状情報に基づく画像を画像表示手段により表示し、画像表示手段が表示する画像に対応して入力手段により加工位置情報を入力し、加工位置情報に基づいて動作する制御手段を用いて加工対象物の加工用レーザの光軸に対する垂直な平面内における位置を調整し加工用レーザの集光位置と加工対象物との相対距離を調整し加工対象物に対して加工用レーザ光束を集光させて照射するとともにこの加工用レーザ光束の光路を偏向させ加工用レーザ光束の出力を制御して加工用レーザ光束による加工位置を制御して、加工対象物の代謝機能を改変させることを特徴とするものである。
【0017】
〔構成6〕
構成5を有するレーザ加工方法において、加工対象物の全体の大きさが形状情報取得手段により形状情報を取得される領域よりも大きい場合においては、加工対象物に対して形状情報を取得される領域を移動させつつ加工位置情報を入力し、入力した加工位置情報に基づいて加工用レーザ光束の光路及び出力を制御して、加工用レーザ光束による加工位置を制御することを特徴とするものである。
【0018】
〔構成7〕
構成5を有するレーザ加工方法において、加工対象物において加工対象となる加工領域が点在している場合においては、形状情報取得手段により形状情報を取得される領域を移動させつつ、各加工領域について加工位置情報を入力し、入力した各加工位置情報に基づいてバッチ処理を行い、加工用レーザ光束の光路及び出力を制御して、レーザ加工光学系による加工位置を制御することを特徴とするものである。
【0019】
〔構成8〕
構成5乃至構成7のいずれか一を有するレーザ加工方法において、加工用レーザ光束として、発振パルス幅が1フェムト秒乃至300フェムト秒で、かつ、ピークパワーが1GW乃至100GWのフェムト秒レーザを用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るレーザ加工装置は、〔構成1〕を有することにより、制御回路部は、入力手段に入力された加工位置情報に基づいて、偏向光学系の動作及び加工用レーザ光束の出力を制御して、レーザ加工光学系による加工位置を制御して、加工対象物となる組織、器官、または、細胞の生体及び生体関連物質の代謝機能を改変させるので、加工対象物における加工位置を、三次元的に、また、リアルタイムに制御することができ、加工対象物の内部にある加工位置に対しても、また、加工対象物が移動している場合であっても、正確な加工を行うことができる。
【0021】
本発明に係るレーザ加工装置は、〔構成2〕を有することにより、加工対象物の全体の大きさが加工時に形状情報取得手段及び画像表示手段により観察される領域よりも大きい場合においては、制御回路部は、加工対象物に対して観察される領域を移動させつつ入力された加工位置情報に基づいて、偏向光学系の動作及び加工用レーザ光束の出力を制御して、レーザ加工光学系による加工位置を制御するので、画像表示手段により観察される領域よりも大きい領域についての加工を行うことができる。
【0022】
本発明に係るレーザ加工装置は、〔構成3〕を有することにより、加工対象物における加工領域が点在している場合において、制御回路部は、加工対象物に対して観察される領域を移動させつつ入力された各加工位置情報に基づいてバッチ処理を行い、偏向光学系の動作及び加工用レーザ光束の出力を制御して、レーザ加工光学系による加工位置を制御するので、点在している複数の加工領域について、それぞれ加工を行うことができる。
【0023】
本発明に係るレーザ加工装置は、〔構成4〕を有することにより、加工用レーザ光束は、発振パルス幅が1フェムト秒乃至300フェムト秒で、かつ、ピークパワーが1GW乃至100GWのフェムト秒レーザであるので、非熱加工が可能であり、また、透過性に優れるため、加工対象物の内部加工が可能であり、さらに、加工箇所の周辺の損傷が小さく、加工精度が高いという特性を有し、生体組織や細胞などに対する加工にも適している。
【0024】
そして、本発明に係るレーザ加工方法は、〔構成5〕を有することにより、制御手段により、入力した加工位置情報に基づいて、加工用レーザ光束の光路及び出力を制御して、加工用レーザ光束による加工位置を制御して、加工対象物となる組織、器官、または、細胞の生体及び生体関連物質の代謝機能を改変させるので、加工対象物における加工位置を、三次元的に、また、リアルタイムに制御することができ、加工対象物の内部にある加工位置に対しても、また、加工対象物が移動している場合であっても、正確な加工を行うことができる。
【0025】
本発明に係るレーザ加工方法は、〔構成6〕を有することにより、加工対象物の全体の大きさが加工時に形状情報取得手段により形状情報を取得される領域よりも大きい場合においては、加工対象物に対して形状情報を取得される領域を移動させつつ入力された加工位置情報に基づいて、加工用レーザ光束の光路及び出力を制御して、加工用レーザ光束による加工位置を制御するので、形状情報を取得される領域よりも大きい領域についての加工を行うことができる。
【0026】
本発明に係るレーザ加工方法は、〔構成7〕を有することにより、加工対象物において加工領域が点在している場合においては、加工対象物に対して形状情報を取得される領域を移動させつつ入力された各加工位置情報に基づいてバッチ処理を行い、加工用レーザ光束の光路及び出力を制御して、加工用レーザ光束による加工位置を制御するので、点在している複数の加工領域について、それぞれ加工を行うことができる。
【0027】
本発明に係るレーザ加工方法は、〔構成8〕を有することにより、加工用レーザ光束は、発振パルス幅が1フェムト秒乃至300フェムト秒で、かつ、ピークパワーが1GW乃至100GWのフェムト秒レーザであるので、非熱加工が可能であり、また、透過性に優れるため、加工対象物の内部加工が可能であり、さらに、加工箇所の周辺の損傷が小さく、加工精度が高いという特性を有し、生体組織や細胞などに対する加工にも適している。
【0028】
すなわち、本発明は、加工用レーザ光束の焦点を加工対象物における加工位置に対して正確に一致させることができ、また、生体組織や細胞など、加工対象物が加工中に移動するような動きのある加工対象について適用しても、レーザ加工の精度を向上させることができ、また、生体及び細胞の機能改変に用いることができるレーザ加工装置及びレーザ加工方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0030】
〔本発明に係るレーザ加工装置の構成〕
本発明に係るレーザ加工装置は、加工対象物に対して加工用レーザ光束を集光して照射し、この加工用レーザ光束の照射位置を加工対象物の表面、または、内部において走査することにより、加工対象物の加工用レーザ光束が照射された部分を加工する装置である。そして、本発明に係るレーザ加工方法は、本発明に係るレーザ加工装置を使用することによって実行される加工方法である。
【0031】
本発明に係るレーザ加工装置は、特に、組織、器官、または、細胞の生体及び生体関連物質を加工対象物とする場合に好適に使用することができ、この加工対象物の代謝機能を改変させる加工に適している。
【0032】
図1は、本発明に係るレーザ加工装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
本発明に係るレーザ加工装置は、図1に示すように、加工用レーザ光束1を対物レンズ2を介して集光し加工対象物3に対して照射することにより該加工対象物3に対する加工を行うレーザ加工光学系4を備えている。
【0034】
このレーザ加工光学系4は、加工用レーザ光源5からの出射光束を加工用レーザ光束1として用い、この加工用レーザ光束1を対物レンズ2を介して加工対象物3上に集光して照射し、この加工対象物3に対するレーザ加工を行うものである。加工用レーザ光源5は、発振パルス幅が1フェムト秒乃至300フェムト秒で、かつ、ピークパワーが1GW乃至100GWのフェムト秒レーザであることが望ましい。この加工用レーザ光源5としては、例えば、フェムト秒チタンサファイアレーザを用いることができる。フェムト秒チタンサファイアレーザとしては、例えば、発振波長が800nm、周波数1kHz、パルス幅150fs(フェムト秒)、出力0.8mJ/pulseのものなどを使用することができる。
【0035】
加工用レーザ光束1は、第1の光学ユニット6内のミラー7、分岐用ハーフミラー8及び偏向光学系となるガルバノミラーユニット9を介して、対物レンズ2が内蔵された第2の光学ユニット10に入射される。
【0036】
ガルバノミラーユニット9は、加工用レーザ光束1の光軸に直交するX軸方向に光束を偏向させる第1の偏向ミラーと、加工用レーザ光束1の光軸及びX軸に直交するY軸方向に光束を偏向させる第2の偏向ミラーとを有して構成され、加工用レーザ光束1の光路を2軸(XY軸)方向に偏向させる機能を有している。このガルバノミラーユニット9の各偏向ミラーは、制御回路部となる後述する制御コンピュータ20によって制御される。このガルバノミラーユニット9において、各偏向ミラーを経た加工用レーザ光束1は、リレーレンズ11,12を経て、第2の光学ユニット10に向けて出射される。
【0037】
第2の光学ユニット10においては、加工用レーザ光束1は、ハーフミラー13により反射され、蛍光フィルタ14を透過して、対物レンズ2に入射される。対物レンズ2に入射された加工用レーザ光束1は、加工対象物3に集光して照射される。
【0038】
対物レンズ2は、焦点調節手段となるピエゾ素子により、光軸方向(Z軸方向)に移動操作可能となっている。この対物レンズ2は、ピエゾ素子により、加工対象物3との相対距離が調整されるようになっている。そして、加工対象物3は、この加工対象物3を対物レンズ2の光軸に対して垂直な平面内において移動操作する移動操作手段となるXYステージ15の載置台上に支持されている。なお、加工対象物3は、XYステージ15の載置台上に吸引保持機構(バキュームチャック)によって固定されるようにしてもよい。このXYZステージ15は、制御回路部となる制御コンピュータ20により、インターフェイスを介して制御される。
【0039】
このような加工用レーザ光束1の照射によって、加工対象物3に対して、極めて微細な孔開け加工などを行うことができる。加工対象物3は、例えば、ガラス板などの他、生体組織、細胞などである。
【0040】
なお、第2の光学ユニット10においては、透過照明(例えば、水銀ランプ)16からの照明光が、ミラー17を介して、XYステージ15の裏面側より加工対象物3に入射され、この加工対象物3を照明する。この場合、蛍光フィルタ14を透すことによって、蛍光観察も可能である。また、反射照明(例えば、ハロゲンランプ)18からの照明光が、ハーフミラー19を介して、加工用レーザ光1と同軸に加工対象物3に入射され、この加工対象物3を照明する。
【0041】
そして、このレーザ加工装置は、加工対象物3における少なくとも加工用レーザ光束1が照射される領域の形状情報を取得する形状情報取得手段を備えている。このレーザ加工装置においては、形状情報取得手段として、レーザ加工光学系4と同軸に配置された共焦点光学系21と、レーザ加工光学系4と同軸に配置された撮像光学系22を介して加工対象物3の撮像を行う固体撮像素子(CCD)23とを備えている。
【0042】
共焦点光学系21は、測定用レーザ光源24からの測定用レーザ光束25をガルバノミラーユニット9及び対物レンズ2を介して加工対象物3に集光させ、この測定用レーザ光束25の加工対象物3により反射、または、散乱された光束を結像させ、この結像光を反射光量測定手段となる検出器26により検出することによって、形状情報として、加工対象物3の三次元形状データを取得するものである。
【0043】
測定用レーザ光束25を発する測定用レーザ光源24としては、例えば、発振波長が543nmであるヘリウム−ネオン(He−Ne)レーザを使用することができる。この測定用レーザ光源24より発せられた測定用レーザ光束25は、ハーフミラー27を介して集光レンズ28に入射され、この集光レンズ28によって、ピンホールマスク29のピンホール内に集光される。このピンホールを経た測定用レーザ光束25は、リレーレンズ30を経て、分岐用ハーフミラー8を透過して、ガルバノミラーユニット9に入射する。この測定用レーザ光束25は、分岐用ハーフミラー8を透過することによって、加工用レーザ光束1の光路に合流し、同軸となっている。すなわち、分岐用ハーフミラー8を透過した測定用レーザ光束25は、加工用レーザ光束1と同様に、ガルバノミラーユニット9を経て、第2の光学ユニット10に入射され、対物レンズ2に入射される。対物レンズ2に入射された測定用レーザ光束25は、加工対象物3に集光され、この加工対象物3の表面、または、内部の状態によって、反射、または、散乱される。
【0044】
加工対象物3において反射、または、散乱された測定用レーザ光束25は、対物レンズ2及びガルバノミラーユニット9を経て、分岐用ハーフミラー8に戻る。測定用レーザ光束25は、この分岐用ハーフミラー8を透過し、リレーレンズ30によって、ピンホールマスク29のピンホール内に集光される。このピンホールを経た測定用レーザ光束25は、集光レンズ28を経て、ハーフミラー27を透過して、検出器26によって受光される。この共焦点光学系11において、ピンホールマスク29は、対物レンズ2による測定用レーザ光束25の焦点と共役な位置に配置されている。
【0045】
固体撮像素子23は、撮像レンズ22、ハーフミラー13及び対物レンズ2を介して、加工対象物3を撮像し、形状情報として、加工対象物3の二次元形状データを取得する。この固体撮像素子23が撮像を行う光路は、ハーフミラー13より対物レンズ2に亘って、加工用レーザ光束1の光路に合流し、同軸となっている。
【0046】
そして、このレーザ加工装置は、共焦点光学系21、または、固体撮像素子23により得られた形状情報に基づいて、画像を表示する画像表示手段となるモニタ32を有している。このモニタ32は、制御コンピュータ20に付属するモニタである。また、このレーザ加工装置は、モニタ32により表示される画像に対応して加工位置情報が入力される入力手段となるマウス33を有している。このマウス33は、制御コンピュータ20に付属する入力装置である。なお、この入力手段としては、マウス33に代えて、ライトペンや、その他の入力装置を用いてもよい。
【0047】
そして、このレーザ加工装置において、制御コンピュータ20は、マウス33により入力された加工位置情報に基づいて、XYステージ15、対物レンズ2を移動させるピエゾ素子及びガルバノミラーユニット9の動作並びに加工用レーザ光束1の出力を制御して、レーザ加工光学系4による加工位置を制御する。
【0048】
すなわち、制御コンピュータ20は、共焦点光学系21により得られた三次元形状データに対応してマウス33により入力された加工位置情報を記憶し、記憶された加工位置情報に基づいて、順次レーザ加工を行う。なお、測定用レーザ光束25と加工用レーザ光束1とは、予め波長の差がわかっており、各波長における対物レンズ2の焦点距離の差も予め知ることができるので、測定用レーザ光束25による合焦位置がわかれば、この位置に基づいて、加工用レーザ光束1についての合焦位置を決定することができる。このようにして決定される合焦位置は、誤差が10nm程度以下の精度を有して決定することができる。
【0049】
また、加工用レーザ光束1の合焦位置と測定用レーザ光束25の合焦位置との誤差が10nm程度以下であることにより、加工位置情報と実際の加工位置との誤差も、10nm程度以下とすることができる。
【0050】
また、制御コンピュータ20は、固体撮像素子23により得られた二次元形状データ(観察画像)に対応してマウス33により入力された加工位置情報に基づいて、リアルタイムでレーザ加工を行う。
【0051】
〔本発明に係るレーザ加工装置の動作(1)〕
(1)装置のアライメントについて
このレーザ加工装置を用いてレーザ加工を行うには、まず、装置のアライメントを行う。このアライメントは、以下の手順で行う。
【0052】
図2は、本発明に係るレーザ加工装置におけるアライメント手順を示すフローチャートである。
【0053】
すなわち、図2のフローチャートに示すように、ステップst1で、各光学ユニット6,10及びガルバノミラーユニット9を配置する。
【0054】
次に、ステップst2で、共焦点光学系21を調整し、測定用レーザ光源24からの測定用レーザ光束25をガルバノミラーユニット9へ導く。
【0055】
ステップst3では、加工用レーザ光源5からの加工用レーザ光束1を第1の光学ユニット6に導入する。
【0056】
ステップst4では、加工用レーザ光源5を調整し、加工用レーザ光束1をガルバノミラーユニット9へ導く。このとき、測定用レーザ光束25と加工用レーザ光束1とが同軸になるようにする。
【0057】
ステップst5では、ガルバノミラーユニット9の内部のガルバノミラーを調整し、測定用レーザ光束25及び加工用レーザ光束1を第2の光学ユニット10へ導く。
【0058】
ステップst6では、ガルバノミラーユニット9の出射端レンズの焦点位置に対物レンズ2の入射瞳が一致するように、第2の光学ユニット10を調整する。
【0059】
ステップst7では、測定用レーザ光束25及び加工用レーザ光束1が加工対象物3に対して垂直に照射されるように、第2の光学ユニット10を調整する。
【0060】
次のステップst8では、測定用レーザ光束25の集光位置を加工用レーザ光束1の集光位置に合わせる。
【0061】
すなわち、まず、表面が平坦な加工対象物3をXYステージ15上に置く。次に、十分にエネルギーを減衰させた加工用レーザ光束1を加工対象物3に照射し、加工用レーザ光束1の集光部でのみ加工対象物3が加工されるようにして、この結果から、加工用レーザ光束1の集光位置と加工対象物3の表面位置とを厳密に合わせる。そして、測定用レーザ光束25を加工対象物3に照射しながら、共焦点光学系21を構成するレンズ位置を前後させる。このようにレンズを移動させると、測定用レーザ光束25の集光位置も前後する。共焦点の原理から、測定用レーザ光束25の集光位置が加工対象物3の表面位置に一致したとき、検出器26で得られる信号強度が最大となる。すなわち、検出器26で得られる信号強度が最大となるレンズ位置を求めることにより、測定用レーザ光束25の集光位置が加工対象物3の表面位置に一致する。この調整作業により、加工用レーザ光束1と測定用レーザ光束25の集光位置が一致する。
【0062】
このようにして、測定用レーザ光束25及び加工用レーザ光束1の集光位置を一致させると、共焦点光学系21により取得した加工対象物3の三次元データに基づくレーザ加工が可能になる。
【0063】
そして、ステップst9では、撮像レンズ22の焦点位置(撮像被写界面)を、加工用レーザ光束1の集光位置に合わせる。すなわち、固体撮像素子23及び撮像レンズ22の取り付け角度を合わせ、焦点位置(撮像被写界)を調整して、加工用レーザ光束1の集光位置と撮像レンズ22のの焦点位置とを一致させる。
【0064】
まず、表面が平坦な加工対象物3をXYステージ15上に置く。次に、加工用レーザ光束1の集光位置と加工対象物3の表面の位置とを一致させる。そして、固体撮像素子23及び撮像レンズ22を取り付けているアダプタのフォーカス調整機構を調整しながら、モニタ32上において、観察像のフォーカスを合わせる。次に、測定用レーザ光束25を加工対象物3に照射しながら、XY軸のガルバノミラーを動かす。このとき、測定用レーザ光束25の集光点の移動軌跡が、観察像内において水平、または、垂直であることを確認する。集光点の移動軌跡が斜めになっている場合には、固体撮像素子23の取り付け角度を調整する。この調整作業によって、加工用レーザ光束1の集光位置と撮像レンズ22の焦点位置とが一致し、また、固体撮像素子23による観察像が正しく表示される。
【0065】
このように、固体撮像素子23による観察像と、ガルバノミラーのポジション(X軸及びY軸)とを関連づけることにより、観察画像に基づいて、リアルタイムにレーザ加工を行うことが可能になる。
【0066】
そして、ステップst10では、固体撮像素子23による観察画像と、ガノバノミラーのポジションとを関連づける。すなわち、観察画像における各ピクセルに対するガルバノミラーのポジションを関連づける。
【0067】
まず、表面が平坦な加工対象物3をXYステージ15上に置く。次に、撮像レンズ22のフォーカスを合わせ、また、測定用レーザ光束25を加工対象物3に照射する。そして、固体撮像素子23による観察画像内に測定用レーザ光束25の集光部が現れるように、XY軸のガルバノミラーを動かす。ここで、測定用レーザ光束25の集光部のピクセル位置と、このときのXY軸ガルバノミラーのポジションとを対応させて登録する。さらに、測定用レーザ光束25が別の任意の位置に集光するようにXY軸ガルバノミラーを動かし、このときの集光部のピクセル位置と、XY軸ガルバノミラーのポジションとを対応させて登録する。この調整作業によって、固体撮像素子23のピクセル毎に、各ガルバノミラーのポジションが関連づけられる。
【0068】
(2)共焦点光学系を用いてレーザ加工を行う場合
図3は、本発明に係るレーザ加工装置における加工手順を示すフローチャートである。
【0069】
共焦点光学系21を用いてレーザ加工を行う場合には、図3のフローチャートに示すように、ステップst11において、加工対象物3をXYステージ15上に設置する。このとき、マニピュレータを用いて、加工対象物3の位置を調整し、また、XYステージ15を操作して、加工対象物3をレーザ加工が可能な領域内に収める。
【0070】
次に、ステップst12に進み、共焦点光学系21により、三次元形状データを取得する。すなわち、共焦点光学系21による測定用レーザ光束25の集光点を加工対象物3に対して走査し、検出器26で得られる信号強度を制御コンピュータ20により記録してゆく。測定用レーザ光束25の集光点の走査を、加工対象物3の表面上のみならず、加工対象物3の内部に亘って行うことにより、加工対象物3の三次元形状データを取得することができる。この走査は、ガルバノミラーユニット9及び対物レンズ2を移動させるピエゾ素子を制御することによって行う。
【0071】
そして、ステップst13では、加工データを作成する。すなわち、制御コンピュータ20に記憶された三次元形状データに基づいて、レーザ加工を行うべき箇所を指定(加工位置情報を入力)する。この加工箇所の指定は、図4に示すように、三次元形状データを画像化してモニタ32に表示させ、このように画像化された三次元形状データ上においてマウス33を用いて行うことができる。例えば、マウス33により、所定の領域34を囲むようにしてプロットすることによって、プロットされた領域34内を加工領域として指定することができる。
【0072】
また、加工箇所の指定は、三次元形状データに基づいて、キーボード等による数値の入力によっても行うことができる。
【0073】
ステップst14では、加工条件を指定する。すなわち、加工深さ(焦点位置)、走査速度、加工回数、加工エネルギーなど、レーザ加工における種々の条件を指定する。この指定は、制御コンピュータ20に対する入力によって行う。
【0074】
そして、ステップst15では、制御コンピュータ20が、XYステージ15、対物レンズ2を移動させるピエゾ素子及びガルバノミラーユニット9の動作並びに加工用レーザ光束1の出力を制御して、レーザ加工光学系4によるレーザ加工を行う。
【0075】
このとき、共焦点光学系21により得られた三次元形状データと加工用レーザ光束1の合焦位置とは、前述したように、誤差が10nm程度以下の精度で一致しているので、三次元形状データに基づいて加工箇所の指定を行うことにより、正確に所望の箇所を加工することができる。
【0076】
(3)固体撮像素子を用いてレーザ加工を行う場合
固体撮像素子23を用いてレーザ加工を行う場合には、図3のフローチャートに示すように、ステップst11において、加工対象物3をXYステージ15上に設置した後、ステップst16に進む。
【0077】
ステップst16では、固体撮像素子23により、二次元形状データ(観察画像)を取得する。このとき、透過照明(例えば、水銀ランプ)16、または、反射照明(例えば、ハロゲンランプ)18により、加工対象物3を照明する。
【0078】
固体撮像素子23により取得された二次元形状データ(観察画像)は、制御コンピュータ20のモニタ32に、画像として表示する。
【0079】
そして、ステップst17では、加工位置を入力しながら、リアルタイムでレーザ加工を行う。すなわち、制御コンピュータ20により表示された二次元形状データ(観察画像)に基づいて、レーザ加工を行うべき箇所を指定(加工位置情報を入力)する。この加工箇所の指定は、図4に示すように、二次元形状データを画像化してモニタ32に表示させ、このように画像化された二次元形状データ上においてマウス33を用いて行うことができる。例えば、マウス33により、所定の箇所をプロットすることによって、プロットされた箇所を加工位置として指定することができる。
【0080】
このとき、制御コンピュータ20は、XYステージ15、対物レンズ2を移動させるピエゾ素子及びガルバノミラーユニット9の動作並びに加工用レーザ光束1の出力を制御して、リアルタイムにレーザ加工光学系4によるレーザ加工を行う。なお、加工深さ(焦点位置)や加工エネルギーなどの加工条件については、予め指定しておく。この指定は、制御コンピュータ20に対する入力によって行っておく。
【0081】
このとき、前述したアライメントによって、固体撮像素子23のピクセル毎に各ガルバノミラーのポジションが関連づけられているので、モニタ32に表示された二次元形状データに基づいて加工箇所の指定を行うことにより、正確に所望の箇所を加工することができる。
【0082】
〔本発明に係るレーザ加工装置の動作(2)〕
図5は、本発明に係るレーザ加工装置において、加工対象となる加工対象物全体の大きさが加工時の観察領域よりも大きい場合にレーザ加工を行うべき箇所を指定する操作を示す正面図である。
【0083】
本発明に係るレーザ加工装置において、図5に示すように、加工対象となる加工対象物全体の大きさ(加工対象物101を囲む加工領域34)が加工時の観察領域(カメライメージエリア)102よりも大きい場合には、加工対象物101に対して観察領域102を移動させつつ、モニタ32上において、マウス33により加工領域34を囲んでプロットすることによって、プロットされた領域34内を加工領域として指定することができる。そして、指定された加工領域34に対する加工を行うことができる。
【0084】
図6は、本発明に係るレーザ加工装置において、加工対象となる加工領域が点在している場合にレーザ加工を行うべき箇所を指定する操作を示す正面図である。
【0085】
図7は、本発明に係るレーザ加工装置において、加工対象となる加工領域が点在している場合に、モニタ上において加工領域を指定する操作を示す正面図である。
【0086】
また、図6に示すように、加工対象となる加工領域34a,34b,34c,34dが、観察領域102内、または、加工時の観察領域102よりも広い領域に亘って点在している場合には、図7に示すように、モニタ32上において、マウス33により各加工領域34a,34b,34c,34dを指定したうえ、各加工領域34a,34b,34c,34dについてバッチ処理を行うことにより、各加工領域34a,34b,34c,34dに対する加工を順次行うことができる。また、この場合においては、各加工領域34a,34b,34c,34dごとに、異なる加工を行うこともできる。
【0087】
また、本発明に係るレーザ加工装置において、加工対象物に厚みがある場合において、この加工対象物に刳り貫き加工を行う場合には、以下のようにして、操作の単純化を図ることができる。
【0088】
図8は、本発明に係るレーザ加工装置における刳り貫き加工の操作画面を示す正面図である。
【0089】
すなわち、厚みのある加工対象物に対する刳り貫き加工を行う場合には、図8に示すように、モニタ32上において、マウス33を用いて、刳り貫き加工の深さを示す直線35をプロットすることにより、加工深さを指定することができる。
【0090】
図9は、本発明に係るレーザ加工装置において使用するマウスの構成を示す斜視図である。
【0091】
この場合において、刳り貫き加工の深さの指定は、図9に示すように、マウス33のホイール33aを回転操作することによって行うことができる。なお、マウス33は、横方向への移動によりx座標成分の入力ができ、縦方向への移動によりy座標成分の入力ができるようになっており、ホイール33aを回転によってz座標成分(深さ)の入力が行えるようにしたものである。
【0092】
図10は、本発明に係るレーザ加工装置において、照射パルス数を指定するウィンドを示す正面図である。
【0093】
また、このレーザ加工装置において、照射する加工用レーザ光束1のパルス数の指定は、図10に示すように、マウス33を右クリックすることによって、モニタ32上にサブウィンド32aを表示させ、このサブウィンド32a内に表示されるパルス数を示す数値を選択(左クリック)することによって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るレーザ加工装置におけるアライメント手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係るレーザ加工装置における加工手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係るレーザ加工装置において、レーザ加工を行うべき箇所を指定する操作を示す正面図である。
【図5】本発明に係るレーザ加工装置において、加工対象となる加工対象物全体の大きさが加工時の観察領域よりも大きい場合にレーザ加工を行うべき箇所を指定する操作を示す正面図である。
【図6】図6は、本発明に係るレーザ加工装置において、加工対象となる加工領域が点在している場合にレーザ加工を行うべき箇所を指定する操作を示す正面図である。
【図7】図7は、本発明に係るレーザ加工装置において、加工対象となる加工領域が点在している場合に、モニタ上において加工領域を指定する操作を示す正面図である。
【図8】本発明に係るレーザ加工装置における刳り貫き加工の操作画面を示す正面図である。
【図9】本発明に係るレーザ加工装置において使用するマウスの構成を示す斜視図である。
【図10】本発明に係るレーザ加工装置において、照射パルス数を指定するウィンドを示す正面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 加工用レーザ光束
2 対物レンズ
3 加工対象物
4 レーザ加工光学系
5 加工用レーザ光源
9 ガルバノミラーユニット
15 XYZステージ
20 制御コンピュータ
21 共焦点光学系
24 測定用レーザ光源
25 測定用レーザ光束
26 検出器
32 モニタ
33 マウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物となる組織、器官、または、細胞の生体及び生体関連物質に対し、加工用レーザ光束を集光して照射し、この加工用レーザ光束の照射位置を該加工対象物の表面、または、内部において走査することにより、該加工対象物の該加工用レーザ光束が照射された部分を加工するレーザ加工装置であって、
加工用レーザ光源からの上記加工用レーザ光束を対物レンズを介して集光させ、上記加工対象物に対して照射することにより、該加工対象物に対する加工を行うレーザ加工光学系と、
上記加工用レーザ光束の光路を偏向させる偏向光学系と、
上記加工対象物を上記対物レンズの光軸に対して垂直な平面内において移動操作する移動操作手段と、
上記対物レンズと上記加工対象物との相対距離を調整する焦点調節手段と、
上記加工対象物における少なくとも上記加工用レーザ光束が照射される領域の形状情報を取得する形状情報取得手段と、
上記形状情報取得手段により得られた形状情報に基づく画像を表示する画像表示手段と、
上記画像表示手段により表示される画像に対応した加工位置情報が入力される入力手段と、
上記移動換作手段、上記焦点調節手段及び上記偏向光学系の動作並びに上記加工用レーザ光束の出力を制御する制御回路部と
を備え、
上記制御回路部は、上記入力手段に入力された加工位置情報に基づいて、上記偏向光学系の動作及び上記加工用レーザ光束の出力を制御して、上記レーザ加工光学系による加工位置を制御して、上記加工対象物の代謝機能を改変させる
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
上記加工対象物の全体の大きさが、加工時に上記形状情報取得手段及び上記画像表示手段により観察される領域よりも大きい場合においては、
上記加工対象物に対して、観察される領域を移動させつつ、加工位置情報を入力され、
上記制御回路部は、入力された加工位置情報に基づいて、上記偏向光学系の動作及び上記加工用レーザ光束の出力を制御して、上記レーザ加工光学系による加工位置を制御する
ことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
上記加工対象物において加工対象となる加工領域が点在している場合においては、
上記形状情報取得手段及び上記画像表示手段により観察される領域を移動させつつ、各加工領域について加工位置情報を入力され、
上記制御回路部は、入力された各加工位置情報に基づいてバッチ処理を行い、上記偏向光学系の動作及び上記加工用レーザ光束の出力を制御して、上記レーザ加工光学系による加工位置を制御する
ことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
上記加工用レーザ光束は、発振パルス幅が1フェムト秒乃至300フェムト秒で、かつ、ピークパワーが1GW乃至100GWのフェムト秒レーザである
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
加工対象物となる組織、器官、または、細胞の生体及び生体関連物質に対し、加工用レーザ光束を集光して照射し、この加工用レーザ光束の照射位置を該加工対象物の表面、または、内部において走査することにより、該加工対象物の該加工用レーザ光束が照射された部分を加工するレーザ加工方法であって、
上記加工対象物における少なくとも上記加工用レーザ光束が照射される領域の形状情報を形状情報取得手段により取得し、
上記形状情報に基づく画像を画像表示手段により表示し、
上記画像表示手段が表示する画像に対応して入力手段により加工位置情報を入力し、
上記加工位置情報に基づいて動作する制御手段を用いて、上記加工対象物の上記加工用レーザの光軸に対する垂直な平面内における位置を調整し、上記加工用レーザの集光位置と上記加工対象物との相対距離を調整し、上記加工対象物に対して上記加工用レーザ光束を集光させて照射するとともに、この加工用レーザ光束の光路を偏向させ、上記加工用レーザ光束の出力を制御して、上記加工用レーザ光束による加工位置を制御して、上記加工対象物の代謝機能を改変させる
ことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項6】
上記加工対象物の全体の大きさが、上記形状情報取得手段により形状情報を取得される領域よりも大きい場合においては、
上記加工対象物に対して、形状情報を取得される領域を移動させつつ、加工位置情報を入力し、
入力した加工位置情報に基づいて、上記加工用レーザ光束の光路及び出力を制御して、上記加工用レーザ光束による加工位置を制御する
ことを特徴とする請求項5記載のレーザ加工方法。
【請求項7】
上記加工対象物において加工対象となる加工領域が点在している場合においては、
上記形状情報取得手段により形状情報を取得される領域を移動させつつ、各加工領域について加工位置情報を入力し、
入力した各加工位置情報に基づいてバッチ処理を行い、上記加工用レーザ光束の光路及び出力を制御して、上記レーザ加工光学系による加工位置を制御する
ことを特徴とする請求項5記載のレーザ加工方法。
【請求項8】
上記加工用レーザ光束として、発振パルス幅が1フェムト秒乃至300フェムト秒で、かつ、ピークパワーが1GW乃至100GWのフェムト秒レーザを用いる
ことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一に記載のレーザ加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−114059(P2008−114059A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268443(P2007−268443)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(395023060)株式会社東京インスツルメンツ (7)
【Fターム(参考)】