説明

レーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測方法及び計測装置

【課題】 産業上において重要な分野で利用されているレーザ変位計について、レーザ干渉計を用いて動的線形性を正確且つ容易に計測し、評価できるようにする。
【解決手段】 金属棒の一端部に二重発射管から同心円上の2個の飛翔体を単独に、及び同時に又は微少な所定時間間隔で衝突させて金属棒内に弾性波パルスを発生させる。各飛翔体の衝突で発生した弾性波パルスが金属棒の他端部に到達したときに生じる端面の運動速度及びひずみを、評価対象となるレーザ変位計で計測する。また基準となるレーザ干渉計で計測し、計測信号を演算し、また適宜補正を行う。その演算結果とレーザ変位計の計測値を時間領域及び周波数領域で比較することによりレーザ変位計の動的線形性を計測し、評価を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業上広く用いられているレーザ変位計による動的計測の基礎となる、それら計測機器の動的線形性を評価するための計測方法とその方法を実施するための装置に関し、特に、本発明は新しいDCから必要な周波数までの高速広周波数帯域における微小変位発生装置によって発生させた動的変位、速度を、基準となるレーザ干渉計で計測した結果を基礎にして、その性能評価対象であるレーザ変位計の動的線形性の計測を可能とする計測方法とその方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドップラーシフトや光ヘテロダイン干渉等の光干渉を原理とする動的変位や振動を測定するレーザ振動計及びレーザ変位計は、従来から産業界では広く用いられてきている。レーザ振動計及びレーザ変位計は、非接触で微小な面の微小運動や動的変位を計測出来ることから、マイクロ運動デバイスの開発、マイクロ運動メカニズムの開発における計測で、近年広く用いられるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、1MHzをゆうに超える周波数帯域幅の数値がメーカ仕様に示されている一方、実際の計測では注目した周波数での測定結果の信頼性を検証する方法がなく、レーザ振動計、レーザ変位計のデータは未公開のままである。即ち、真実に1MHzをゆうに超える周波数帯域幅をレーザ振動計及びレーザ変位計はもっているのかどうか、また、特定の周波数での感度や位相遅れはどれくらいなのかを、検証する方法がないのが実状である。
【0004】
そのため、動的計測に今後さらに多用されるであろうレーザ振動計及びレーザ変位計の、動的性能の基礎となるべき動的線形性を評価する計測技術の確立は急務となっている。
【0005】
したがって本発明は、レーザ変位計による動的変位の測定において、それらの計測装置に動的線形性が成立するかどうかを計測し、また動的線形性が成立する周波数領域、振幅領域を明らかにする計測方法とその方法を実施するための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、計測器の線形性が成り立たなければ、本来計測はなりたたない。動的計測における線形性、すなわち動的線形性は、『入力信号x(t)に対する出力信号をX(t)とし、入力信号y(t)に対する出力信号をY(t)とするとき、任意定数a、bを用いて、入力信号a・x(t)+b・y(t)に対する出力信号がa・X(t)+b・Y(t)となること。』と一般的には定義される。しかしながら、この定義に基いて、計測機器やセンサの動的線形性を評価することは、一般には容易ではない。したがって本発明は、概略以下に述べるような手段により、レーザ変位計の動的線形性の計測を行うようにしたものである。
【0007】
即ち、レーザー変位計については、金属棒端面に対して、基準となるレーザ干渉計と動的線形性を測定するレーザ変位計のレーザ光を照射する。棒のもう一方の端面に内側発射管から発射される内側飛翔体を衝突させることによって発生した弾性波パルスがもう一方の照射端面に到達したときに生じる端面の動的変位を、基準となるレーザ干渉計と動的線形性を測定するレーザ変位計で同時に計測する。
【0008】
基準となるレーザ干渉計で得られた動的変位信号をdn,1(t)とし、その動的線形性を評価するレーザ変位計で得られた動的変位信号をdt,1(t)とする。次に、棒の端面に外側発射管から発射される外側飛翔体を衝突させることによって発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達したときに生じる端面の動的変位を、基準となるレーザ干渉計とその動的線形性を評価するレーザ変位計で同時に計測する。基準となるレーザ干渉計で得られた動的変位信号をdn,2(t)とし、その動的線形性を評価するレーザ変位計で得られた動的変位信号をdt,2(t)とする。
【0009】
最後に、内側飛翔体と外側飛翔体を同時に金属棒に衝突させ、発生した弾性波パルスがもう一方の照射端面に到達したときに生じる端面の動的変位を、基準となるレーザ干渉計と動的線形性を測定するレーザ変位計で同時に計測する。基準となるレーザ干渉計で得られた動的変位をdn,1+2(t)とし、その動的線形性を評価するレーザ変位計で得られた動的変位信号をdt,1+2(t)とする。
【0010】
棒内部に発生している波動が弾性波動であることから、基準となるレーザ干渉計による計測結果に関して、入力信号の加法性、すなわちdn,1+2(t)=dn,1(t)+dn,2(t)が成立する範囲内で、dt,1+2(t)=dt,1(t)+dt,2(t)が成立する範囲を周波数領域、時間領域で求める、もしくは周波数領域、時間領域でdt.1+2(t)とdt,1(t)+dt,2(t)を比較するという手段を用いる。
【0011】
同時に発射させる時の内側発射管からの飛翔体および外側発射管からの飛翔体は、それぞれ単独で発射される場合と同一形状であり、かつ同一条件(発射圧力、発射管の内部での初期位置など)でなければならない。
【0012】
内側飛翔体と外側飛翔体の棒への衝突が同時でない場合には、その時間差(Δt)をパラメータにして、両飛翔体を同時に発射した時の信号をもっとも良く表すように、Δtを決める。
【0013】
したがって本発明は次に述べるような手段を採用することによって、本発明の上記課題を解決することができる。即ち、請求項1に係る発明は、金属棒の第1端面に第1の飛翔体のみ、及び第2の飛翔体のみ、並びに前記第1及び第2の両飛翔体を同時に或いは微小時間差をもって衝突させて金属棒内部に弾性波パルスを発生させ、前記各衝突により発生した弾性波パルスが金属棒の前記第1端面の反対側の第2端面に到達したときに生じる第2端面の動的変位を、レーザ干渉計と、評価対象となるレーザ変位計とで計測し、前記レーザ干渉計の信号と、前記レーザ変位計の信号とを、時間領域または周波数領域で比較することにより、レーザ変位計の動的線形性を計測することを特徴とするレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測方法としたものである。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、金属棒の第1端面に第1の飛翔体のみ、及び第2の飛翔体のみ、並びに前記第1及び第2の両飛翔体を同時に或いは微小時間差をもって衝突させて金属棒内部に弾性波パルスを発生させる発射装置と、前記各衝突により発生した弾性波パルスが金属棒の前記第1端面の反対側の第2端面に到達したときに生じる第2端面の動的変位を測定するレーザ干渉計、及び評価対象となるレーザ変位計と、前記レーザ干渉計の信号と、前記レーザ変位計の信号とを、時間領域または周波数領域で比較し、レーザ変位計の動的線形性を計測する計測手段とを備えたことを特徴とするレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置としたものである。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、前記第1の飛翔体を内側の管内から、前記第2の飛翔体は内側の管と外側の管の間から発射すること、もしくはその逆に第1の飛翔体は内側の管と外側の管の間から、第2の飛翔体は内側の管内から発射することを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置としたものである。
【0016】
また、請求項4に係る発明は、前記第1の飛翔体及びそのための発射装置、第2の飛翔体及びそのための発射装置を多重化し、発射の時間差を制御し、金属棒内部に発生する弾性波の周波数帯域を狭帯域化することを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置としたものである。
【0017】
また、請求項5に係る発明は、飛翔体本体部を異なる材質の積層体で構成し、または飛翔体本体部の先端に該本体部と異なる材質の部材を取り付け、金属棒内部に発生する弾性波パルスの周波数帯域を制御することを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置としたものである。
【0018】
また、請求項6に係る発明は、前記計測手段は、前記第1及び第2の両飛翔体を微小時間差をもって衝突させるとき、両飛翔体の金属棒に対する衝突時刻の差を、両飛翔体を各々単独で衝突させたときに発生する歪ゲージ出力またはレーザ干渉計による計測結果に基づき、両飛翔体が完全には同時衝突が達成できないための微小時間差をもって衝突させたときに発生する歪ゲージ出力または基準レーザ干渉計による計測結果が最も適合するパラメータとして求め、 第1の飛翔体のみ、及び第2の飛翔体のみ、並びに両飛翔体を微小時間差をもって各々衝突させた時に得られる評価対象とするレーザ振動計の出力信号から、それらの動的線形性を計測することを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置としたものである。
【0019】
また、請求項7に係る発明は、前記金属棒を、軸方向への剛体運動を拘束しないように点接触によって水平に支持したことを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置としたものである。
【0020】
また、請求項8に係る発明は、前記金属棒の第1端面に接する金属球を取り付け、前記金属球に発射タイミングを精密に制御した飛翔体を衝突させ、金属棒内部に弾性波パルスを発生させることを特徴とする、請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置としたものである。
【0021】
また、請求項10に係る発明は、上記請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の装置または方法を用いて動的線形性が計測されたレーザ変位計としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、レーザ変位計による動的変位の測定において、それらの計測装置に動的線形性が成立するかどうかを計測し、また動的線形性が成立する周波数領域、振幅領域を明らかにする計測方法とその方法を実施するための装置を得ることができる。
【0023】
それにより、レーザ変位計の一次標準、及び二次標準の確立に貢献し、この分野の国際標準の確立に寄与することができる。また、マイクロデバイス、マイクロメカトロニクスにおける高周波振動計測における計測の信頼性が向上し、更に加速度センサについてもその一次標準校正技術の信頼性を向上させることができ、また国際規格を作成するとも可能となる。
【0024】
また、企業内での動的機械量センサの校正の基準の信頼性を向上させることから、動的機械量計測の信頼性が向上し、各計測器の使用に際して、ノイズと信号と区別がつかない等の実用上の問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、レーザ変位計による動的変位の測定において、その計測装置に動的線形性が成立するかどうかを計測し、また動的線形性が成立する周波数領域、振幅領域を明らかにする計測方法とその方法を実施するための装置を提供するという課題を、金属棒の第1端面に第1の飛翔体のみ、及び第2の飛翔体のみ、並びに前記第1及び第2の両飛翔体を同時に或いは微小時間差をもって衝突させて金属棒内部に弾性波パルスを発生させ、前記各衝突により発生した弾性波パルスが金属棒の前記第1端面の反対側の第2端面に到達したときに生じる第2端面の動的変位を、レーザ干渉計と、評価対象となるレーザ変位計とで計測し、前記レーザ干渉計の信号と、前記レーザ変位計の信号とを、時間領域または周波数領域で比較することにより、レーザ変位計の動的線形性を計測することによって実現した。
【実施例1】
【0026】
本発明によるレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測方法及び装置は、ほぼ同様の手法によって本発明以外においても種々の態様で実施することができるので、本発明に関連する各種態様を含めて説明する。図1に示す実施例においては、金属棒1の第1端面2に後述するような飛翔体3を衝突させて衝撃を加え、内部に弾性波パルスを発生させるものであり、内側発射管4、外側発射管5の二重の多重発射管7を用い、この多重発射管7から内外2個の多重の飛翔体3を発射させる。図示実施例では内側発射管4の内部から略円柱状の内側飛翔体8を内側発射装置9により、また内側発射管4と外側発射管5との間の環状空間から環状の外側飛翔体10を外側発射装置11により各々独立して発射できるようにしている。この発射の状態はレーザ光源27からのレーザを金属棒1の前方において、2本間隔を設けて照射し、このレーザ光を遮る状態を受光素子28で検出し、その時間差をカウンタ29によって計測し、そのデータをパソコン26に入力して検出することができる。
【0027】
上記各飛翔体の発射に際しては、弁開閉制御装置15により第1弁16を解放し、第1高圧空気源17からの高圧空気を内側発射装置9に供給することにより、内側発射管4内の内側飛翔体8を金属棒1の第1端面2に向けて発射させる。内側飛翔体8が金属棒1の第1端面2に衝突すると、金属棒1内には衝撃加速度の弾性波が発生して金属棒1内を伝播する。また、弁開閉制御装置15により前記第1弁16の解放後の所定時間後に第2弁18を解放し、第2高圧空気源19からの高圧空気を外側発射装置11に供給することにより、内側発射管4と外側発射管5との間に配置した環状の外側飛翔体10を金属棒1の第1端面2に向けて発射させる。外側飛翔体10が金属棒1の第1端面2に衝突すると、金属棒1内には前記と同様の衝撃加速度の弾性波が前記第1飛翔体8の衝突による弾性波の発生に対して時間遅れで発生し金属棒1内を伝播する。
【0028】
このようにして金属棒1内に発生した弾性波により、金属棒1内には合成衝撃加速度の波形が生じることとなり、この波形が金属棒1の第2端面22に対して伝播する。このように、飛翔体を複数用い、各飛翔体の発射時期を任意に設定し発射の位相を制御することにより、重ね合わせの原理により全体として所定の継続時間の衝撃加速度波形を発生することが可能となる。
【0029】
これらの発射管4、5の各飛翔体8、10との接触面、または各飛翔体の外周面には潤滑処理、或いは低摩擦係数化する表面処理層を設けることが好ましい。また、個々の飛翔体の発射により金属棒1内部に発生する弾性波パルスの周波数帯域を狭くするために、飛翔体先端部に高分子材料、プラスティックス、木材などを取り付けても良い。その際には、飛翔体本体部が金属、高分子材料、あるいはプラスティックス、木材など異なる材料との積層構造をもつような多重飛翔体を用いても良い。また金属棒1は軸方向への剛体運動を拘束しないようにボールベアリングやころ軸受等の点接触によって水平に支持し、弾性波の伝播への影響を最小限にすることが好ましい。更に、飛翔体が衝突する金属棒の端面には金属球を接触する状態で取り付けてもよい。
【0030】
上記のような金属棒1の第1端面2において発生した弾性波パルスは、金属棒1内部を伝播してもう一方の第2端面22に到達して反射する。反射の過程で発生する端面に垂直な方向の動的変位が、その端面に対してレーザを照射しているレーザ変位計23への入力となる。また、動的変位の精密な測定は、レーザ干渉計24により測定し、動的線形性の測定対象となっているレーザ変位計による計測値と比較を行う。
【0031】
本発明は更に図2に示すような装置によってもレーザ変位計による測定を行い、その評価を行うことができる。同図の例においては前記図1に示す例と異なり、金属棒1の第2端面22に圧電膜もしくは圧電膜駆動のレーザ光反射膜(材)(以下「圧電膜」と称する)30を設け、図2の例においては歪ゲージの信号を信号入力処理部31で検出して処理し、圧電膜駆動装置32を作動してこの圧電膜30を駆動することができるようにしている。また、評価対象となるレーザ変位計23のレーザ、及び基準となるレーザ干渉計24のレーザは、各々鏡33を介して前記圧電膜30の表面に照射し、この圧電膜30と金属棒1で生成される動的変位を検出できるようにしている。また、パソコン26からの指示により、所定の時期に圧電膜を駆動させることもできる。
【0032】
このような圧電膜を用いることにより丸棒内部を伝播する弾性波パルスの端面での反射により発生する速度、動的変位の周波数帯域が十分広くない場合には、圧電物質を断面に付加して、広帯域化をはかることができる。この圧電物質の利用については後にも述べる。図2に示すような装置において、波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、ゲージの周波数応答、棒端面に取り付けた圧電物質の高速微小振動、及び高速微小動的変位の少なくとも一つを補正する補正関数を記録したデータと、歪ゲージが貼り付けられた金属棒を必要不可欠な交換部品セットとすることにより、反復実施を容易に行うことができる装置として、この装置の取り扱いを容易にすることができる。
【0033】
基準レーザ干渉計を用いて棒端面の動的変位を計測し、レーザ変位計の動的線形性を求める場合。
この場合においては、発射管から発射された飛翔体が、直径に比較して十分に長い金属棒端面に衝突すると、内部に弾性波パルスが発生する。その弾性波パルスが、もう一方の端面に到達して反射するときの端面の動的変位(d(t))は、金属棒内部の縦波弾性波速度(C)と端面での入射弾性波パルスのひずみ(ε(t))とによって、以下の式で表される。
【数1】

(8.1)
【0034】
そこで、内側発射管から飛翔体が発射される場合に端面に発生する動的変位と入射弾性波パルスのひずみを、それぞれdin,1(t)、εin,1(t)とする。外側発射管から飛翔体が発射される場合に端面に発生する動的変位と入射弾性波パルスのひずみを、それぞれdin,2(t)、εin,2(t)、とする。以下の式が成立する。
【数2】

(8.2)
【数3】

(8.3)
【0035】
そこで、記号を以下の表のように定める。
【表1】


(8.4)式が成立する範囲内で、(8.5) 式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが評価対象であるレーザ変位計の動的線形性の評価である。
【数4】

(8.4)
【数5】

(8.5)
【0036】
内側飛翔体と外側飛翔体の衝突が同時でない場合にはその時間差をΔtとすると, (8.6)式が成立する範囲内で、(8.7) 式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが評価対象であるレーザ変位計の動的線形性の評価である。
【数6】

(8.6)
【数7】

(8.7)
【0037】
丸棒内部を伝ぱする弾性波パルスの端面での反射により発生する速度、動的変位の周波数帯域が十分広くない場合には、圧電物質(圧電膜や圧電スタックなど)を端面に付加して、広帯域化を図る。この場合には、次のようにこの圧電物質を用いる。
【0038】
上記のように本発明においては、内側発射管のみから飛翔体を発射する場合、もしくは、外側発射管のみから飛翔体を発射する場合のどちらか一方の場合にのみ、金属棒のレーザ光照射端面に取り付けた圧電物質を駆動する。また、内側飛翔体、外側飛翔体を同時に発射する場合には、個別に発射した時とすべて同じ条件で、圧電物質を駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を実施するシステム概要を示す構成図である。
【図2】本発明を実施する他のシステム概要を示す構成図である。
【符号の説明】
【0040】
1 金属棒
2 第1端面
3 飛翔体
4 内側発射管
5 外側発射管
6 多重発射管
7 内側飛翔体
8 内側発射装置
10 外側飛翔体
11 外側発射装置
15 弁開閉制御装置
16 第1弁
17 第1高圧空気源
18 第2弁
19 第2高圧空気源
22 第2端面
23 レーザ変位計
24 レーザ干渉計
26 パソコン
27 レーザ光源
28 受光素子
29 カウンタ
30 鏡面をもつ圧電物質(圧電膜)
31 シグナルコンデンショナ
32 圧電膜駆動装置
33 鏡


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属棒の第1端面に第1の飛翔体のみ、及び第2の飛翔体のみ、並びに前記第1及び第2の両飛翔体を同時に或いは微小時間差をもって衝突させて金属棒内部に弾性波パルスを発生させ、
前記各衝突により発生した弾性波パルスが金属棒の前記第1端面の反対側の第2端面に到達したときに生じる第2端面の動的変位を、レーザ干渉計と、評価対象となるレーザ変位計とで計測し、
前記レーザ干渉計の信号と、前記レーザ変位計の信号とを、時間領域または周波数領域で比較することにより、レーザ変位計の動的線形性を計測することを特徴とするレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測方法。
【請求項2】
金属棒の第1端面に第1の飛翔体のみ、及び第2の飛翔体のみ、並びに前記第1及び第2の両飛翔体を同時に或いは微小時間差をもって衝突させて金属棒内部に弾性波パルスを発生させる発射装置と、
前記各衝突により発生した弾性波パルスが金属棒の前記第1端面の反対側の第2端面に到達したときに生じる第2端面の動的変位を測定するレーザ干渉計、及び評価対象となるレーザ変位計と、
前記レーザ干渉計の信号と、前記レーザ変位計の信号とを、時間領域または周波数領域で比較し、レーザ変位計の動的線形性を計測する計測手段とを備えたことを特徴とするレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置。
【請求項3】
前記発射装置は二重管からなり、前記第1の飛翔体を内側の管内から、前記第2の飛翔体は内側の管と外側の管の間から発射すること、もしくはその逆に第1の飛翔体は内側の管と外側の管の間から、第2の飛翔体は内側の管内から発射することを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置。
【請求項4】
前記第1の飛翔体及びそのための発射装置、第2の飛翔体及びそのための発射装置を多重化し、発射の時間差を制御し、金属棒内部に発生する弾性波の周波数帯域を狭帯域化することを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置。
【請求項5】
飛翔体本体部を異なる材質の積層体で構成し、または飛翔体本体部の先端に該本体部と異なる材質の部材を取り付け、金属棒内部に発生する弾性波パルスの周波数帯域を制御することを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置。
【請求項6】
前記計測手段は、前記第1及び第2の両飛翔体を微小時間差をもって衝突させるとき、両飛翔体の金属棒に対する衝突時刻の差を、両飛翔体を各々単独で衝突させたときに発生するレーザ干渉計による計測結果に基づき、両飛翔体が完全には同時衝突が達成できないための微小時間差をもって衝突させたときに発生する基準レーザ干渉計による計測結果が最も適合するパラメータとして求め、 第1の飛翔体のみ、及び第2の飛翔体のみ、並びに両飛翔体を微小時間差をもって各々衝突させた時に得られる評価対象とするレーザ変位計の出力信号から、それらの動的線形性を計測することを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置。
【請求項7】
前記金属棒を、軸方向への剛体運動を拘束しないように点接触によって水平に支持したことを特徴とする請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置。
【請求項8】
前記金属棒の第1端面に接する金属球を取り付け、
前記金属球に発射タイミングを精密に制御した飛翔体を衝突させ、金属棒内部に弾性波パルスを発生させることを特徴とする、請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置。
【請求項9】
前記金属棒の第2端面に圧電物質を取り付け、
前記圧電物質を前記弾性波パルスの第2端面での反射過程の所定の時期に駆動する圧電物質駆動手段を備え、
金属棒単体で発生できる棒端面の動的変位の周波数帯域幅が不足しているときに、前記圧電物質駆動手段により周波数帯域幅を広帯域化することを特徴とする、請求項2に記載のレーザ変位計のレーザ干渉計を用いた動的線形性計測装置。
【請求項10】
上記請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の装置または方法を用いて動的線形性が計測されたレーザ変位計。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−322941(P2006−322941A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161892(P2006−161892)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【分割の表示】特願2003−115453(P2003−115453)の分割
【原出願日】平成15年4月21日(2003.4.21)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】