説明

レーザ照射装置

【課題】容易に迅速に軸合わせができるとともに、軸合わせの前に行われる防風工程を省略できる立軸形水車及び立軸形発電機の軸受用の部材の軸合わせに適用可能なレーザ照射装置を提供する。
【解決手段】レーザ照射装置10は、円周部に円弧状の溝170b1が開口されるとともに中心部に孔170cが貫通され玉軸受170bと溝170b1に回転自在に係合される複数の球体170aとを有する支持部170と、球体170aよりも径が大きい略球形状の球体部10aと、球体部10aに取り付けられ球体部10aに重力を加える錘部10dと、球体部10aに取り付けられレーザ光線を照射するレーザ発光部10cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立軸形水車及び立軸形発電機の軸受用の部材の軸合わせに適用可能なレーザ照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所では、機能維持及び予防保全を図る為、定期的な水車及び発電機の点検及び手入れが行われている。これらの点検及び手入れは、水車及び発電機を停止させてから分解し、各部材毎の劣化状況を調べる等して行われる。例えば、立軸形フランシス水車及び立軸形発電機を点検する場合は、基礎台に固定されているケーシング、ドラフト等の部材を除いたほぼ全ての部材、主軸、ランナ、上部ブランケット、発電機の回転子、下部ブランケット等が分解されて一時取り除かれる。
【0003】
こうして分解された各部材は、それぞれに点検、手入れがなされ、再度分解前の状態に組み立てられる。この組み立てでは、まず上部ブランケット及び下部ブランケット等の軸受用の部材を仮に組み立てて軸合わせを行い、軸受用の部材の設置位置を決めてから、位置決め用の金具(ノック)等で印をしておき、軸受用部材を一度分解し、主軸及びランナ等の回転部材を挿入した状態で、軸受用部材を再度組み立てる等して行われる。
【0004】
従って、軸受用の部材の軸合わせにおいて、軸受用の部材の軸心が、互いにずれたり、地面から垂直になっていない場合、軸受に挿入されて組み上げられる回転部材の回転軸にズレが生じ、運転時の振動の増大や、軸受温度の上昇等の原因となってしまう。従って、この組立工程における軸受用の部材の軸合わせは、非常に重要な工程であり、綿密に行われる必要がある。
【0005】
従来、この軸受用の部材の軸合わせ工程は、まず、軸受用の部材を基礎台に仮設置し、上部に位置する部材、例えば上部ブランケットの開口部に架台を取り付け、架台の中心位置から錘を取り付けられたピアノ線を、下方に向けて吊り下げて、所定の固定部材の軸心位置に合わせ、回転軸の位置として定め、例えば下部ブランケットのような他の軸受用の部材の取付位置を調整するという手順で行われることが多い。またこの時、吊り下げられたピアノ線が揺れるのを防止する為、吊り下げられた錘を油が入れられた容器に入れる等の工夫がなされることも多い。
【0006】
軸受用の部材の軸合わせ作業の多くは、ピアノ線と各部材の内側面との距離を、インサイドマイクロメータ等の計測器で測り、軸心位置が合うように、軸受用の各部材の位置を移動するようにして行われる。インサイドマイクロメータによる距離測定では、インサイドマイクロメータを水平状態に保ちながら、その一端部がピアノ線に、他端部が軸受用の部材の内側面に接するようにして計測を行う必要があり、豊富な経験と熟練を要する。
【0007】
これに関連して、特許文献1に示すような、水車発電機のセンタリング測定方法及び測定装置が開示されている。このセンタリング測定方法によれば、ピアノ線センタリング方式による水車発電機の据付作業に、固定物及び取付物とピアノ線との距離をセンサ測定する工程を備え、実測データに基づきピアノ線と機器の据付中心位置に関する移動量を算出・表示することにより、経験の浅い作業者においても、巧拙なく確実にセンタリング測定を実施できるようになるというものである。
【0008】
また、特許文献2に示すようなセンタリング計測装置及び計測方法も開示されている。このセンタリング計測装置によれば、上部から垂直に垂らされた細線(例えばピアノ線)に水平に支持された吊り下げ架台に、細線の位置を検出する非接触XYセンサを取り付けた計測機器を備え、当該計測機器に基準位置と円筒の内面との距離を検出させることにより、センタリング計測にかかる工数を削減できるとともに、高所の足場を必要とせず安全にセンタリングができるというものである。
【0009】
更に、特許文献3に示すようなセンタリング計測装置及び計測方法も開示されている。このセンタリング計測装置によれば、特許文献2の計測装置に、更に独立したピアノ線用XYテーブルを備え、当該ピアノ線用XYテーブルからピアノ線を垂らすとともに、従来の架台用回転テーブルから複数のワイヤーで計測装置を吊り下げることにより、ピアノ線及び計測装置の振れ止め時間を短くできるというものである。
【0010】
また更に、特許文献4に示すような水車発電機の軸振れ測定方法及び測定装置も開示されている。この軸振れ測定方法によれば、組立工程とともに実行する水平調整測定及び各軸振れ調整測定と、機器連結後の軸の全体姿勢を調整・確認する総合振れ見測定とを連続的に実行し、軸振れの量を基準部材の移動調整量として算出・表示して、軸振れ調整に係る測定プロセスを自動化するものである。これにより、測定精度の向上、測定時間の短縮及び据付状態の即時的な検討等従来の測定成績を大幅に向上することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−23548号公報(第3及び6頁、図1)
【特許文献2】特開平8−340662号公報(第3、4及び6頁、図1)
【特許文献3】特開平10−47945号公報(第4及び8頁、図1)
【特許文献4】特開平7−83784号公報(第2及び6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、従来例に係るセンタリングに関する各種の測定(計測)装置及び測定(計測)方法によれば、いずれも上部から吊されたピアノ線を基に、軸合わせを行うものである。従って、ピアノ線の振れを抑える為に、建屋の防風は勿論、水車の吸出管、入口弁、制圧機、放水管等から吹き上げてくる風を防ぐ等の防風工程を施さなければならない。また、ピアノ線の位置合わせにおいては、ピアノ線の位置をずらす毎に静定時間が必要になり、軸心の位置設定に時間がかかる。
【0013】
そこで本発明は、上述の問題に鑑み創作されたものであり、容易に迅速に軸合わせができるとともに、軸合わせの前に行われる防風工程を省略できる立軸形水車及び立軸形発電機の軸受用の部材の軸合わせに適用可能なレーザ照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係るレーザ照射装置は、
円周部に円弧状の溝が開口されるとともに中心部に孔が貫通された玉軸受と前記溝に回転自在に係合される複数の球体とを有する支持部と、
前記球体よりも径が大きい略球形状の球体部と、
前記球体部に取り付けられて前記球体部に重力を加える錘部と、
前記球体部に取り付けられてレーザ光線を照射するレーザ発光部と、を備え、
前記球体部が前記支持部に載置され、前記球体部の球面が前記支持部の複数の前記球体の球面に接して、前記球体部が前記支持部に回動自在に支持され、
前記錘部が前記玉軸受の孔を通過して前記球体部に取り付けられ、
前記錘部と前記レーザ発光部とが前記球体部の中心を通る同一直線上に配置され、
前記錘部によって加えられる重力で前記球体部が回動して一定の状態を保ち、前記レーザ発光部が重力の反対方向或いは重力と同方向にレーザを照射する、
ことを特徴とする。
【0015】
また、前記球体部の一方の面に前記錘部が取り付けられ、前記球体の他方の面に前記レーザ発光部が設置され、前記レーザ発光部が重力と反対方向にレーザを照射してもよい。
【0016】
また、前記錘部に円形状の開口部が設けられ、
前記レーザ発光部は、前記開口部の内側に位置する前記球体部の一方の面に設置され、
前記レーザ発光部が重力と同方向にレーザを照射してもよい。
【0017】
また、前記錘部は、両端が開口し一方の端部の周面にネジ溝が形成された円筒部を有し、
前記球体部の一方の面及び他方の面には前記円筒部の先端が着脱自在に取り付け可能なネジ溝が形成された開口部を有し、
前記球体部のいずれかの開口部の内側に前記レーザ発光部が設置され、
前記レーザ発光部が設置された方の前記球体部の開口部に前記錘部の端部が取り付けられた際に、前記レーザ発光部が重力と同方向にレーザを照射し、
前記レーザ発光部が設置された方と逆側の前記球体部の開口部に前記錘部の端部が取り付けられた際に、前記レーザ発光部が重力の反対方向にレーザを照射してもよい。
【0018】
また、基礎ステージと前記基礎ステージ上に積層されるX方向又はY方向へ移動可能な第1の可動ステージと前記第1の可動ステージ上に積層されて前記支持部が支持されるY方向又はX方向へ移動可能な第2の可動ステージとを有する取付架台を備え、
前記基礎ステージ、前記第1の可動ステージ及び前記第2の可動ステージには互いに連通し、前記錘部が通過する孔部がそれぞれ開口され、
前記基礎ステージ、前記第1の可動ステージ及び前記第2の可動ステージのそれぞれの孔部の径が前記基礎ステージ、前記第1の可動ステージ、前記第2の可動ステージの順に小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る軸合わせレーザ照射装置によれば、ピアノ線を使用しないで軸心の位置を決めることができる。これにより、軸合わせの前に行われる防風工程を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態としての軸合わせ補助装置100の構成例を示す概略図である。
【図2】架台101の構成例を示す斜視図である。
【図3】レーザ照射装置10の構成例を示す概略断面図である。
【図4】レーザ照射装置10の組立例を示す斜視図である。
【図5】受光器20の構成例を示す斜視図である。
【図6】受光器20の組立例を示す斜視図である。
【図7】受光器20の機能例(その1)を示す図である。
【図8】受光器20の機能例(その2)を示す図である。
【図9】受光器20の機能例(その3)を示す図である。
【図10】軸合わせ補助装置100の軸合わせ例を示すフローチャートである。
【図11】軸合わせ補助装置100の傾斜検出例を示すフローチャートである。
【図12】レーザ照射装置10のその他の構成例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
続いて、この発明に係る実施の形態としての軸合わせ補助装置及び軸合わせ方法について、図面を参照しながら説明をする。図1は、本発明に係る実施の形態としての軸合わせ補助装置100の構成例を示す概略図である。
【0022】
図1に示す軸合わせ補助装置100は、例えば、水力発電所における水車200及び発電機201の軸合わせ作業を補助する装置であり、水車200の回転軸と発電機201の回転軸との軸合わせに用いられる。水力発電所には第1の物体の一例を構成する水車取付用の下部基礎1が設けられる。下部基礎1には、回転軸を有した水車200が取り付けられる。下部基礎1には、水車200の回転軸を組み入れる為の円形状の開口部1aが設けられている。水車200の回転軸上方は第2の物体の一例を構成するメタル支え4で可動自在に支持される。
【0023】
下部基礎1内に組み込まれた水車200と接続される発電機201は、電機子回転軸を有している。発電機201は、この例では、下部基礎1と一体に設けられた上部基礎5に取り付けられる。電機子回転軸は、第2の物体の一例を構成する下部ブランケット6及び上部ブラケット8等の軸受用の部材で支持される。上述のメタル支え4、下部ブランケット6及び上部ブラケット8等には、回転軸を組み入れる為の円形状の開口部が各々設けられている。
【0024】
軸合わせ補助装置100は、水車200及び発電機201のオーバーホール後、これらの組み立て時に、下部基礎1、メタル支え4、下部ブランケット6及び上部ブラケット8等の相互の開口部の軸心が略同一直線上に乗るように仮設置された、例えば下部基礎1の開口部1aと、メタル支え4の開口部4aとの軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出してこれらの移動調整量及び移動方向を提示するものである。
【0025】
水車200には、立軸形のフランシス水車が一例として挙げられる。水車200は、ドラフト2、ケーシング3、ランナ211、主軸210及びメタル支え4を有し、下部基礎1に設置されている。水車200は、ケーシング3からドラフト2へと流れる水の水力によりランナ211を回転させる。ランナ211の上部には、水車200の回転軸である主軸210が接続されており、主軸210は、軸受用のメタル支え4の開口部4aに係合され、状態を支えられながら回転し、上部の発電機201に回転動力を伝達する。
【0026】
発電機201には、立軸形の普通形発電機が一例として挙げられる。発電機201は、発電用の固定子部7、下部ブランケット6、上部ブランケット8及び主軸212を有し、上部基礎5に設置されている。発電機201の電機子回転軸である主軸212は、下方の端部を主軸210の上方の端部に連結され、水車200からの回転動力を得る。主軸212は、軸受用の下部ブランケット6の開口部6a及び上部ブランケット8の開口部8aに係合され、垂直状態に状態を支えられながら回転する。発電機201は、主軸212に連結された図示しない磁極が回転することにより、固定子部7に電力を発生させる。
【0027】
なお、図1に示す水車200及び発電機201は、基本的部位のみを抜き出して表記されたものであり、本来は、上記の部位以外にも多数の部位を有して構成されている。
【0028】
軸合わせ補助装置100は、レーザ照射装置10、受光器20、電線30、コンピュータ40を備えて構成される。レーザ照射装置10は、発光手段の一例を構成し、下部基礎1の一方の端部から、下部基礎1の開口部1aの軸心に沿った光線LB1を、例えばメタル支え4の開口部4aに向けて照射する。
【0029】
レーザ照射装置10は、この例では、水車200の最下部に位置するドラフト2に、架台101に取り付けられて設置され、当該架台101から、地面に対して略垂直方向の光線LB1を上方に照射する。照射された光線LB1は、受光器20により受光される。
【0030】
受光器20は、受光手段の一例を構成し、ここではメタル支え4の開口部4aの内側面に一端部の2つの接合部を接して配置され、メタル支え4の開口部4aの軸心周辺において他端部が光線LB1を受光するとともに、受光された光線LB1の位置情報を出力する。受光器20には、電線30を介してコンピュータ40が接続される。
【0031】
コンピュータ40は、情報処理手段の一例を構成し、受光器20から出力された位置情報を入力して、下部基礎1の開口部1aとメタル支え4の開口部4aとの軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出する。コンピュータ40は、モニタ41、キーボード42、I/Oインターフェイス43、制御装置44、メモリ45、RAM46を備えて構成され、メモリ45に記憶された基礎情報と、受光器20から入力される位置情報とを基にして、軸合わせに必要な処理を行う。
【0032】
I/Oインターフェイス43には、キーボード42が接続され、様々な命令及びデータを入力するように操作される。キーボード42を操作して入力される、数字や文字等の操作データはI/Oインターフェイス43を介して制御装置44に入力される。また、I/Oインターフェイス43には、モニタ41が接続される。モニタ41には、液晶表示パネルや、PDP表示パネル、CRT等が使用され、I/Oインターフェイス43を介して制御装置44から出力される画像データを表示する。
【0033】
制御装置44は、メモリ45から処置に必要なプログラム及び基礎情報等を適宜読み出して、RAM46に展開し、キーボード42から入力される操作データに基づいて、軸合わせに必要な各種処理を実行する。コンピュータ40は、例えば、下部基礎1又は上部基礎5上に仮に設置されて操作される。
【0034】
図2は、架台101の構成例を示す斜視図である。図2に示す架台101は、取付架台の一例を構成し、レーザ照射装置10を回動自在に支持するとともに、当該レーザ照射装置10の位置調整に用いられるものである。架台101は、可動ステージ110及び120、基礎ステージ130を備えて構成され、上面の可動ステージ110が、地面に対して略水平になるように、所定の場所、ここではドラフト2に配置される。
【0035】
基礎ステージ130は、レール132、ネジ受133、調整足部134を有して構成され、架台101の最下部に配置される。基礎ステージ130は、例えば、所定の厚みを有する金属板により、上面を正方形状に構成される。基礎ステージ130の底面には、ネジ孔が4つ開口され、当該ネジ孔に調整足部134のネジ部134bが係合される。
【0036】
調整足部134は、一方の端部に、ネジ部134bを有するとともに、他方の端部に例えばゴム製の円形体134aを有して構成され、架台101の水平調整に用いられる。調整足部134は、円形体134aを回転されることにより、ネジ部134bの長さを調整される。基礎ステージ130の上面には、レール132が2本平行に配置される。
【0037】
レール132は、例えば鋼鉄等の金属により四角柱に構成され、ここでは一方の長手方向の側面に、ガイド用の凸部132aが突出形成されている。2本のレール132の長手方向の一方の端部には、両者にまたがるように、ネジ受133が例えば溶接される。
【0038】
ネジ受133は、例えば鋼鉄により、四角柱の本体の中心部に、雌ネジ部133aを開口された円筒部を有するように構成され、当該雌ネジ部133aに、可動ステージ120の調整ネジ121を嵌合するようになされる。ネジ受133が接続されないレール132の他方の端部からは、可動ステージ120の孔部124が係合される。
【0039】
可動ステージ120は、可動台の一例を構成し、基礎ステージ130上を、矢印線Y1方向に移動可能になされる。可動ステージ120は、例えば、調整ネジ121、レール122、突出部122a、ネジ受123、孔部124を有し、基礎ステージ130上に設置される。可動ステージ120は、例えば、所定の厚みを有する金属板により、基礎ステージ130よりも小さい正方形状を有するように形成される。可動ステージ120の底面には、孔部124が、2本平行に開口される。孔部124の一方の内側面には、ガイド用の凹部124aが、レール132の凸部132aと係合可能な形状に切削形成される。可動ステージ120の一方の側面には、ネジ孔120aが開口されており、当該ネジ孔120aには、雌ネジ部133aに嵌合された調整ネジ121が連結される。調整ネジ121は所定の径及び長さを有し、可動ステージ120の矢印線Y1方向の位置調整に用いられる。
【0040】
一方、可動ステージ120の、ネジ孔120aが開口された面と垂直な、向かい合う2つの側面には、レール122用の突出部122aが形成されており、当該突出部122aの上面には、L型のレール122が2本平行に配置される。レール122は、例えば鋼鉄により構成され、調整ネジ121及び孔部124と垂直方向に配置される。2本のレール122の長手方向の端部には、両者にまたがるように、ネジ受123が例えば溶接される。ネジ受123が接続されないレール122の他方の端部からは、可動ステージ110の孔部114が係合される。
【0041】
可動ステージ110は、可動台の一例を構成し、矢印線X1方向に移動可能になされる。可動ステージ110は、調整ネジ111、孔部114、精密水準器140を有し、可動ステージ120上に設置される。可動ステージ110は、例えば、所定の厚みを有する金属板により、上面が可動ステージ120よりも小さい正方形状を有するように形成される。可動ステージ110の底面には、孔部114が、2本平行に開口される。孔部114の一方の内側面には、ガイド用の凸部114aが、レール122と嵌合可能に突出形成される。可動ステージ110の一方の側面には、ネジ孔110aが開口されており、当該ネジ孔110aには、調整ネジ111が、雌ネジ部123aに嵌合されて端部を連結される。調整ネジ111は所定の径及び長さを有するネジであり、可動ステージ110の矢印線X1方向の位置調整に用いられる。以上のようにして、架台101が構成される。
【0042】
またこの例で、架台101の可動ステージ110及び120には、係合状態を固定する為のロック機構が設けられている。このロック機構は、ネジ受150及び160、ロック用ネジ151及び161を備えて構成される。
【0043】
ロック用ネジ161は、可動ステージ120の調整ネジ121が連結された側面と対向する側面に端部を接するように配置され、可動ステージ120のY1方向の移動をロックする。ロック用ネジ161は、ネジ受160に嵌合されて、調整ネジ121と軸部を向かい合わせるように状態を保持される。ネジ受160は、レール132の端部に連結される。
【0044】
同様に、ロック用ネジ151は、可動ステージ110の調整ネジ111が連結された側面と対向する側面に端部を接するように配置され、可動ステージ110のX1方向の移動をロックする。ロック用ネジ151は、ネジ受150に嵌合されて、調整ネジ111と軸部を向かい合わせるように状態を保持される。ネジ受150は、レール122の端部に連結される。
【0045】
また、架台101の可動ステージ110の上面には、水準器の一例を構成する精密水準器140が設置される。精密水準器140は、この例では、互いに垂直になるように2本配置され、可動ステージ110の水平に対する傾斜を検出する。
【0046】
また更に、この例では、可動ステージ110及び120、基礎ステージ130の中心部には、互いに連通する孔部110b、120b、130bが開口され、当該孔部110b、120b、130bにレーザ照射装置10が係合されるようになる。
【0047】
またこの例では、基礎ステージ130の形状を四角形とし、基礎ステージ130の下面に4つの調整足部134を連結するようにしたが、それに限られることはなく、基礎ステージ130の形状を例えば円形とし、3つの調整脚部134を下面に連結するようにしてもよい。このようにすることにより、調整足部134が均等に荷重負荷を分担できるようになり、架台101を安定して設置できるとともに、架台101の水平調整が容易になる。
【0048】
図3は、レーザ照射装置10の構成例を示す概略断面図である。図3に示すレーザ照射装置10は、球体部10a、レーザ照射器10c及び円筒錘部10dを備えて構成される。球体部10aは、鋼鉄、真鍮等により、略球形状に構成される。球体部10aの一方の面、ここでは上面には、円筒部10a1の一方の端部が、例えば溶接により連結される。円筒部10a1は、鋼鉄、真鍮等により、円形状の開口部を有する円筒状に構成され、開口部の内側面には雌ネジを切られている。
【0049】
球体部10aの他方の面、ここでは下面には、円筒穴部10a2が円形状に開口される。円筒穴部10a2も、内側面に雌ネジを切られている。ここで、円筒部10a1及び円筒穴部10a2の円形状の開口部は、球体部10aの中心を通る直線状の軸心を有するとともに、同径に開口され、同ピッチの雌ネジを切られている。円筒穴部10a2には、錘部の一例を構成する円筒錘部10dが係合され、球体部10aに重力を加える。
【0050】
円筒錘部10dは、鋼鉄、真鍮等による円筒部10d3を有して構成される。円筒部10d3は円形状の開口部を有するとともに、一方の端部の外側面に、円筒部10a1又は円筒穴部10a2に嵌合可能なネジ部10d2を有している。また円筒部10d3の他方の端部には、例えば鉛合金によるドーナツ形錘部10d1が、所定の重さを有して連結されている。
【0051】
また、球体部10aの上面の円筒部10a1の内側には、円筒部10a1と同心円状に穴部10a3が開口されている。穴部10a3には、ここでは内側面に精密ピッチの雌ネジが切られ、発光部の一例を構成するレーザ照射器10cが係合される。レーザ照射器10cは、光線LB1の発光源を、例えば、外側面に穴部10a3と嵌合可能な精密ピッチのネジ溝を切られた円筒容器に納められて構成されている。このようにして、レーザ照射装置10が構成される。
【0052】
一方、架台101の孔部110bには、支持部の一例を構成するベアリング170が設置され、レーザ照射装置10を回動自在に支持する。ベアリング170は、転がり軸受170bと、ボール170aとを有して構成される。
【0053】
転がり軸受170bは、玉軸受の一例を構成し、円周部に上面を開放された溝170b1を開口されるとともに、中心部に孔部170cを貫通されている。溝170b1には、球体の一例を構成するボール170aが、この例では8個、回転自在に係合される。
【0054】
レーザ照射装置10は、ここでは、円筒錘部10dを下にして、球体部10aの球状の側面をボール170aの球状の側面に接し、ベアリング170に支持される。これにより、円筒錘部10dが鉛直な状態で、レーザ照射装置10の姿勢が保持されるので、レーザ照射器10cが、重力と反対方向の光線LB1を容易に鉛直に照射できるようになる。
【0055】
また、この例のように、上方に向けて光線LB1を照射したい場合は、円筒錘部10dのネジ部10d2を円筒穴部10a2に嵌合するが、下方に向けて光線LB1を照射したい場合は、ネジ部10d2を円筒部10a1に嵌合するようにする。これにより、レーザ照射器10cが下方に向けられた状態で保持され、重力方向に光線LB1を照射できるようになる(図12参照)。
【0056】
また更に、レーザ照射装置10が設置される架台101の孔部120bは、可動ステージ110の可動領域を考慮して、孔部110bの最小開口部、この例では、孔部170cとほぼ同径の開口部よりも大きく開口される。孔部130bは、可動ステージ120の可動領域を考慮して、孔部120bよりも更に大きく開口される。このようにすることにより、レーザ照射装置10の位置調整を行う場合に、円筒錘部10dの円筒部10d3を貫通する為の連通路が確保される。
【0057】
図4は、レーザ照射装置10の組立例を示す斜視図である。図4に示すレーザ照射装置10を組み立てる場合、まず、レーザ照射器10cを製造する。レーザ照射器10cを製造するには、まず、例えば電池駆動型のレーザダイオードを準備する。次に、準備したレーザダイオードを、側面に精密ピッチのネジ溝を切られた円筒容器に納める。この時、円筒容器の軸心とレーザダイオードが照射する光線LB1とが一直線状になるように留意する。
【0058】
次に、球体部10aを製造する。球体部10aを製造するには、まず、例えば真鍮による適当な大きさの球体を準備する。球体が準備できたら、一方の面、ここでは下面に円筒穴部10a2を開口するとともに、内側面にネジ溝を切る。また、他方の面、ここでは上面に穴部10a3を開口し、レーザ照射器10c嵌合用の精密ピッチのネジ溝を切る。この時、穴部10a3は円筒穴部10a2と同心円上に開口するようにする。また、穴部10a3を大きめに開口して既存の精密ピッチの雌ネジを溶接してもよい。
【0059】
次に円筒部10a1を製造する。円筒部10a1を製造するには、まず、上述の円筒穴部10a2と同じ径の開口部を有する、例えば真鍮の円筒状の部材を準備する。円筒状の部材が準備できたら、適当な長さに切り出し、開口部の内側面にネジ溝を切る。ここで、上述の円筒穴部10a2と、ネジ溝のピッチを合わせるようにする。円筒部10a1を製造できたら、球体部10aに、穴部10a3と同心円状になるように、例えば溶接により連結する。
【0060】
次にベアリング170を準備する。ここでは、所定の径を有する8個のボール170aと、ボール170aと係合可能な無終端状の溝170b1を開口された転がり軸受170bとを準備する。これらは、既製のベアリングの転がり軸受の上面を開放して、更に孔部170cを切削加工する等して準備するとよい。
【0061】
次に、円筒錘部10dを製造する。円筒錘部10dを製造するには、円筒穴部10a2と嵌合可能な径を有する例えば真鍮の円筒状の部材を準備する。円筒状の部材が準備できたら適当な長さに切り出し、一方の端部の外側面にネジ溝を切る。また、例えば鉛合金によるドーナツ形錘部10d1を準備し、他方の端部に例えば溶接により連結する。
【0062】
以上の部材が準備できたら、まず、レーザ照射器10cを穴部10a3に嵌合させる。この時、例えばレーザ照射器10cの上面に溝10c1を形成しておき、当該溝10c1に嵌合可能な金具等を用いて、レーザ照射器10cを回転させるようにするとよい。次に、球体部10aをベアリング170上に載せて、下方から円筒錘部10dを孔部130b、120b、110bに貫通させ、ネジ部10d2を円筒穴部10a2に嵌合させて連結する。このようにして、レーザ照射装置10を組み立てることができる。
【0063】
図5は、受光器20の構成例を示す斜視図である。図5に示す受光器20は、本体21、円筒部22及びCCD23、出力部24、反転設置用ポインタ25を備えて構成される。本体21は、板状の本体部の一例を構成し、所定の長さを有するものである。本体21は、例えば表面が撓まない程度の厚みを有するプラスチック製の板により、この例では直方体形状に構成される。
【0064】
本体21の一方の端部には、CCD23が設置される。CCD23は、受光板の一例を構成し、光線LB1を受光するとともに、受光された場所の位置情報を出力する。CCD23には、出力部24が接続される。出力部24は、CCD23の出力するデータを、コンピュータ40に向けて送信可能な信号に変換/変調する機能を有するものである。出力部24の後段には、電線30が接続されている。
【0065】
一方、本体21の他方の端部には、円筒部22がこの例では2つ連結される。円筒部22は、第1及び第2の円形部材の一例を構成し、この例では、例えばメタル支え4のような、第2の物体の開口部の内側面に、それぞれ1つの湾曲された側面部を接するようにして配置され、合わせて2つの接合部で接するものである。
【0066】
また、本体21の中間部の、CCD23と円筒部22との間には、反転設置用ポインタ25が設置される。反転設置用ポインタ25は、一方の側面にレーザ照射器25a、他方の側面にレーザ照射器25bを有し、当該レーザ照射器25a及び25bから本体21の長手方向の中線(軸心)に沿った光線LB2及びLB3を照射する。光線LB2及びLB3は、互いに相対する方向に一直線状に照射され、本体21を反転して設置する為に行われる、反転前の設置位置のマーキングに用いられる。また、レーザ照射器25a及びレーザ照射器25bには、例えば電池駆動型のレーザダイオード等が用いられる。以上のようにして、受光器20が構成される。
【0067】
またこの例では、円筒部22を一般的な円筒形状とし、第2の物体の開口部の内側面に円筒部22が直線で接するようにしたが、これに限られることはなく、円筒部22の、第2の物体の開口部の内側面と接触する側面部の中間部を湾曲状に突出させ、円筒部22を変形円筒形状としてもよい。このようにすることにより、円筒部22が第2の物体の開口部の内側面に点で接するようになるので、受光器20の設置が容易になる。
【0068】
また更に、この例では本体21の中間部に反転設置用ポインタ25を設置するようにしたが、これに限られることはなく、レーザ照射器25a及び25bを分離させて、本体21の長手方向の両端部の例えば側面にそれぞれ設置するようにしてもよい。以下で、受光器20の組立(製造)方法について説明をする。
【0069】
図6は、受光器20の組立例を示す斜視図である。図6に示す受光器20を組み立てる場合、まず、本体21を製造する。本体21を製造するには、プラスチックやセラミック等の、充分な厚みを有する板部材を準備し、所定の大きさの長方形の部材を切り出すようにする。この時の長手方向の長さl1は、設置される全ての軸受用の部材の半径Rよりも長く、直径2Rよりも小さくなるようにする(図7参照)。短手方向の幅w1は、本体21の強度を保てる程度の幅に設定される。
【0070】
次に、円筒部22を2つ製造する。円筒部22を製造するには、まず、プラスチックやセラミック等により形成された所定形状の円筒部材を準備する。この円筒部材の半径は、本体21の幅w1の半分以下に設定される。また、円筒部材の高さは、円筒部22が、軸受用の部材の側面に安定して接することができるように充分な高さに設定される。所定形状の円筒部材を準備できたら、側面に、中心角が90°の扇形の孔部22aを開口する。また、この時、扇形の孔部22aの頂点が、円筒部22の中心と一致するようにするとよい。円筒部22を2つ製造できたら、孔部22aを、本体21の長手方向の一方の端部の2つの角にそれぞれ嵌合させて接着する。
【0071】
次にCCD23を準備する。CCD23には、受光器20が設置される全ての軸受用の部材の開口部の半径Rを考慮し、適正な大きさのシート状のCCDが使用される。また、CCD23の出力段には、出力部24を接続し、更に出力部24に電線30を接続する。CCD23が準備できたら、本体21の他方の端部に貼り付ける。またこの時、CCD23は、受光器20が配置される軸受用の部材のいずれにおいても、CCD23が光線LB1を受光できるような適正な位置に配置するようにする。
【0072】
次に、反転設置用ポインタ25を製造する。反転設置用ポインタ25を製造するには、まず、プラスチックやセラミック等により形成された、例えば一方を開口された直方体の容器部材を準備する。所定の容器部材が準備できたら、対向する2つの側面に孔部を開口し、当該孔部から光線LB2及びLB3を照射できるように、レーザ照射器25a及び25bを容器内に設置する。また、レーザ照射器25a及び25bの電源となる電池も容器内に格納するようにするとよい。反転設置用ポインタ25が準備できたら、容器部材の開口された面を、本体21側にして本体21に接着する。この時、光線LB2及びLB3が、本体21の軸心と一致するように留意する。このようにして受光器20を組み立てることができる。
【0073】
またこの例では、CCD23とコンピュータ40とを、電線30を介して通信可能に接続するようにしたが、これに限られることはなく、出力部24に例えば携帯電話のような通信機器を接続し、コンピュータ40と無線通信可能なようにしてもよい。このようにすることにより、電線30の長さ等を気にすることなく受光器20を配置することができるようになる。以下で、軸合わせ補助装置100による軸合わせ方法について説明をする。まず初めに、受光器20の機能について説明をする。
【0074】
図7は、受光器20の機能例(その1)を示す図である。図7に示す受光器20は、メタル支え4の開口部4aの内側面に、円筒部22の側面を点P4及び点P5において接して配置され、レーザ照射装置10から照射される光線LB1を点PB1において受光している。図7は、その受光面側である下部方向の面を図示したものである。
【0075】
CCD23により受光されて出力された点PB1の位置情報は、出力部24及び電線30を介してコンピュータ40に入力されるようになる。コンピュータ40の制御装置44は、入力された点PB1の位置情報と、予め入力されてメモリ45に記憶された基礎情報とを基にして、以下のような処理を実行する。またここでは、基礎情報として、点P1(x1,y1)の位置情報、ズレ量の許容値dm等が予めメモリ45に記憶されているものとする。
【0076】
また、位置を調整されるメタル支え4は、接合用のボルトが緩められた状態で、ここでは下部基礎1に係合されている。従って、軸合わせ工程において、X方向及びY方向に微妙な位置を調整することが可能である。軸合わせ工程後の位置は、ノックと呼ばれる位置決め用の金具により印できる。従って、メタル支え4が軸合わせ工程後に分解され、回転軸を係合した状態で再度組み立てられる場合に、メタル支え4を軸合わせされた位置に設置することができるようになる。
【0077】
受光器20は、反転設置用ポインタ25から光線LB2及びLB3を照射している状態で、配置作業者により状態を保持されるものとする。一方でコンピュータ40は、接合用ボルトの調整作業者に情報を表示するとともに操作され、必要に応じて、調整作業者が配置作業者に口頭又は無線で所定の指示を送るものとする。
【0078】
また、以下の軸合わせ工程は、受光器20が開口部4aに直角に配置されているか否かの検出を行う傾斜検出工程と、開口部4aの軸心位置のズレ量を検出するズレ量検出工程とにより構成される。従って、以下2つの工程に分けて説明をする。
【0079】
[傾斜検出工程]
傾斜検出工程において、制御装置44はまず、メモリ45から、基礎情報を読み出し、基準点として点P1を設定する。ここで、点P1は、予め本体21の軸心上の任意の位置に設定されているのもとする。次に、制御装置44は、受光器20から光線LB1の受光点、点PB1(xB1,yB1)の位置情報を読み出して、点P1から点PB1へのベクトルV1を設定し、当該ベクトルV1の長さ|V1|、ベクトルV1のX成分ベクトルV1xの長さ|V1x|、Y成分ベクトルV1yの長さ|V1y|の値とともに、モニタ41に表示させる。しかし、通常コンピュータ40は、調整作業者の近くに配置されているので、配置作業者はモニタ41を見ることができない。従って、必要に応じて、調整作業者が配置作業者に口頭又は無線で所定の指示を送るようにする。配置作業者は、当該所定の指示を参考にして、長さ|V1x|が最小値になるように、受光器20のX方向の傾きを調整し、長さ|V1y|が最小値になるように、受光器20のY方向の傾きを調整する。長さ|V1|が最小値になる設置状態が、受光器20が、光線LB1に対して垂直に設置されている状態となる。
【0080】
またここで、コンピュータ40が告知音を発して、配置作業者に受光器20の傾斜状態を告知できるようにするとよい。例えば、コンピュータ40が、長さ|V1|が長い時は、長い無音間隔を有したビープ音を発し、長さ|V1|が短い時は、それに比例して短い無音間隔を有したビープ音を発するようにする。こうすることにより、配置作業者に長さ|V1|の情報をフィードバックできるので、配置作業者が傾斜検出工程を単独で実行できるようになる。
【0081】
更に、電線30と接続されたモニタ装置を配置作業者の近くに配置し、配置作業者が、当該モニタ装置の表示を参考にして作業できるようにしてもよい。こうすることにより、配置作業者に長さ|V1|の更に詳しい情報をフィードバックできる。このように傾斜検出工程を実行することにより、受光器20が、開口部4aに垂直に配置される。
【0082】
[ズレ量検出工程]
上述の傾斜検出工程が終了したら、制御装置44は、例えば調整作業者により入力される命令に応じて、再度、受光器20から点PB1の位置情報を読み出す。制御装置44は、読み出した情報及び点PB1の位置情報を基に、再度ベクトルV1、X成分ベクトルV1x、Y成分ベクトルV1yを新たに設定し、メモリ45等に記憶する。
【0083】
また、配置作業者又はその補助作業者は、制御装置44がベクトルV1を読み込んだ時に、開口部4aに照射されている光線LB2及び光線LB3の照射位置、点P2(x2,y2)及び点P3(x3,y3)を印しておく。この印は、例えばペンのようなもので印をしてもよいし、例えば鋭角部を有するシールで印してもよい。開口部4aが磁性を有する材料によるものであれば、磁石を一時的に貼ることにより印をしてもよい。
【0084】
図8は、受光器20の機能例(その2)を示す図である。図8に示す受光器20は、先ほどの印を基にして図7の状態から180°回転されて開口部4aに円筒部22を接している。つまり、光線LB2の照射位置点P2’(x2’,y2’)が、先ほどの点P3と一致し、光線LB3の照射位置点P3’(x3’,y3’)が、先ほどの点P2と一致するように配置されている。従って、図8の受光器20は、図7の状態と同じ軸心上に、180°反転された状態で、水平に配置されている。
【0085】
この状態で制御装置44は、例えば調整作業者により入力される命令に応じて、受光器20から点PB1の位置情報を再度に読み出す。制御装置44は、反転後の状態における、点P1から点PB1へのベクトルV2、X成分ベクトルV2x、Y成分ベクトルV2yを設定し、メモリ45等に記憶する。
【0086】
制御装置44は、ベクトルV1及びV2を比較し、中心点P0と点PB1との距離d1(dx1,dy1)を以下の式1乃至式3を用いて算出する。
dx1=|V1x|=|V2x|・・・式1
dy1=||V1y|−|V2y||/2・・・式2
d1=√(dx12+dy12)・・・式3
制御装置44は、算出結果を、適当な方法で表示モニタ41に表示する。
調整作業者は、当該距離d1(dx1,dy1)を参考にして、メタル支え4の接合位置を微妙に調整する。このようにズレ量検出工程を実行することにより、メタル支え4の開口部4aと、下部基礎1の開口部1aとの軸心位置が合わせられる。
【0087】
図9A及びBは、受光器20の機能例(その3)を示す図である。図9Aに示す受光器20は、この例では、初めN−S方向に長手方向を平行に配置されている。図9Aの配置状態において上述のような軸合わせ工程を実行したら、次に、90°回転させ、図9Bに示すようにW−E方向に長手方向を平行に配置して、再度同様の軸合わせ工程を実行するようにする。このようにすることにより、開口部4aが真円でなかった場合にも、軸心位置のズレを最小限に抑えることができる。
【0088】
図10は、軸合わせ補助装置100の軸合わせ例を示すフローチャートである。この軸合わせ例によれば、互いの開口部の軸心が略同一直線上に乗るように仮設置された、下部基礎1及びメタル支え4の、軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出して、当該下部基礎1の開口部1aと、メタル支え4の開口部4aとを軸合わせするようになされる。また、以下のような手順でメタル支え4の軸合わせを行ったら、以降、同様の手順で、下部ブランケット6、上部ブランケット8の軸合わせが行われるものとする。
【0089】
これらを処理条件にして、図10に示すステップA1で、下部基礎1の一方の端部であるドラフト2から下部基礎1の軸心に沿った光線LB1を、メタル支え4の開口部4aに向けて照射する。この例では、ドラフト2に配置された架台101のレーザ照射装置10から上方へ向けた光線LB1を照射する。従って、架台101の調整機構を用いて光線LB1の位置調整を行う。まず、精密水準器140を参考にして調整足部134の円形体134aを回転させる等して、可動ステージ110の上面が水平になるように調整する。次に、調整ネジ111及び121を調整して、光線LB1が下部基礎1の開口部1aの中心に照射されるように、光線LB1のXY方向を調整する。またこの時、下部基礎1と互いに固定状態にある上部基礎5に仮設置された上部ブランケット8に、例えば中心を示した受光用の板、若しくは受光器20を配置し、それを目印として、光線LB1のXY方向の位置調整をするようにするとよい。
【0090】
ステップA2で制御装置44は、メモリ45から基礎情報を読み出す。制御装置44は、メモリ45に予め記憶された基礎情報から、予め設定された点P1(x1,y1)の位置情報、ズレ量の許容値dm等を読み出す。
ステップA3で制御装置44は、読み出した情報を基に、基準点である点P1(x1,y1)を設定する。制御装置44は、本体21の軸心上の点P1を基準点として以後の処理を実行するようになる。
【0091】
ステップA4で受光器20が開口部4aに設置される。ここでは、例えば配置作業者が、メタル支え4の開口部4aの内側面に一端部の2つの接点を接するようにして、受光器20を配置する。
ステップA5では傾斜検出が実行される。この傾斜検出では、制御装置44は、上述の傾斜検出工程の手順に従って所定の検出処理を実行して情報を表示又は告知し、配置作業者は、当該情報を基にして、開口部4aに対する受光器20の角度を調整する(図11参照)。
【0092】
ステップA6で、制御装置44は所定の命令に応じ、点PB1の位置情報を読み出す。受光器20のCCD23は、その受光点である点PB1の位置情報を、出力部24及び電線30を介してコンピュータ40に出力する。コンピュータ40の制御装置44は、CCD23から読み出した点の座標を、点PB1(xB1,yB1)として設定する。
【0093】
ステップA7で、制御装置44は、点P1から点PB1へのベクトルV1を設定する。ここで制御装置44は、ベクトルV1を例えばメモリ45に記憶する(図7参照)。
ステップA8で、反転設置用ポインタ25が照射する光線LB2及びLB3の、開口部4aへの照射位置、点P2及び点P3が印される(図7参照)。ここでは、例えば配置作業者を補助する補助作業者が、ペン等で開口部4aの内側面に印を付す。
【0094】
ステップA9で、受光器20が180°回転されて、開口部4aに設置される。この時例えば配置作業者は、受光器20を反転し、前のステップA8で開口部4aの内側面に印された点P2と、光線LB3の照射位置とが一致し、更に、点P3と、光線LB2の照射位置とが一致するように受光器20の位置を合わせる。
ステップA10で、制御装置44は所定の命令に応じ、点PB1の位置情報を再度読み出す。ここで制御装置44は、ステップA6に従って読み出した点の座標を、点PB1(xB1,yB1)として設定する。
【0095】
ステップA11で、制御装置44は、点P1から点PB1へのベクトルV2を設定する。ここでコンピュータ40の制御装置44は、ベクトルV2を例えばメモリ45に記憶する(図8参照)。
ステップA12で、制御装置44は、ベクトルV1及びV2を基に、ズレ量を算出する。制御装置44は、上述の式1〜式3により、点P0と点PB1との距離d1(dx1,dy1)を算出し、表示する。
【0096】
ステップA13で、制御装置44は、点P0と点PB1の座標が同じか否かを判定する。ここで制御装置44は、ステップA12により算出された点P0と点PB1との距離d1と、ズレ量の許容値dmとを比較する。比較の結果、距離d1が許容値dmよりも小さい場合は処理を終了し、距離d1が許容値dmよりも大きい場合はステップA14に進む。
ステップA14に進んだ場合、ステップA12の算出結果を基にして、メタル支え4の位置が調整される。ここでは、調整作業者が、距離d1等を参考にして、メタル支え4の位置を微妙に調整する。調整がなされたら、再度ステップA4に戻り同様の処理を実行する。以降、ステップA13で距離d1が許容値dm以下であるとの判定がされるまでステップA4〜A13の処理を繰り返す。このようにして、軸合わせ処理が実行される。
【0097】
また、所定の方向に、例えば図9Aのように設置された受光器20による軸合わせを上述のステップA1〜A14のように実行したら、図9Bのように略90°回転させて、更にステップA1〜A14を実行するようにするとよい。このようにすることにより、開口部4aの内側面から、光線LB1までの距離を、四方で均等にできるので、正確に軸合わせをすることができる。
【0098】
図11は、軸合わせ補助装置100の傾斜検出例を示すフローチャートである。上述の軸合わせ例のステップA5において、制御装置44は、以下のように傾斜検出処理を実行する。例えば、図11に示すフローチャートのステップB1で、制御装置44は、メモリ45から基礎情報を読み出す。制御装置44は、メモリ45に予め記憶された基礎情報から、点P1(x1,y1)の位置情報等を読み出す。
【0099】
ステップB2で制御装置44は、読み出した情報を基に、基準点である点P1(x1,y1)を設定する。
ステップB3で制御装置44は、受光器20から光線LB1を受光した点PB1の座標を読み出す。制御装置44は、読み出した点の座標を、点PB1(xB1,yB1)として設定する。
ステップB4で制御装置44は、点P1から点PB1へのベクトルV1を設定し、ベクトルV1の長さ|V1|、ベクトルV1のX成分ベクトルV1xの長さ|V1x|、Y成分ベクトルV1yの長さ|V1y|を、モニタ41に表示する。
【0100】
ステップB5で、モニタ41の表示に従い、受光器20の傾斜が、例えば配置作業者により修正される。この時、配置作業者がモニタ41を見られない場合は、調整作業者がモニタ41の表示を基に指示をする。配置作業者は、指示を参考にして、長さ|V1x|が最小値になるように、受光器20のX方向の傾きを調整し、長さ|V1y|が最小値になるように、受光器20のY方向の傾きを調整する。またここで、上記したような告知音やモニタ装置等により、コンピュータ40が配置作業者に対して情報をフィードバックできるようにするとなおよい。
【0101】
ステップB6で終了の命令が入力されるまで、制御装置44は、ステップB3〜B5の処理を自動的に繰り返して実行する。この繰り返しの実行ピッチは、0.5秒〜1秒程度に設定するとよい。また、ステップB4〜B6までの処理を繰り返し実行している間、ステップB4で設定される長さ|V1|の推移を、時間軸を横軸とするグラフ等で表示するようにしてもよい。更にまた、長さ|V1|の最小値を自動的に記録し、表示するようにしてもよい。
【0102】
以上のようにして、傾斜検出処理が実行される。以上のようにして、下部基礎1とメタル支え4との軸合わせ工程が実行される。以下同様の手順で、下部ブランケット6及び上部ブランケット8の軸合わせが行われ、全ての軸受用の部材の軸が、下部基礎1の軸心位置に合わせられる。
【0103】
このように、本発明に係る軸合わせ補助装置100及び軸合わせ方法によれば、レーザ照射装置10は、下部基礎1の開口部1aの軸心に沿った光線LB1を軸受用の部材の開口部に向けて照射し、受光器20は、軸受用の部材の開口部の内側面に配置されて当該光線LB1を受光するとともに、受光された光線LB1の位置情報を出力し、コンピュータ40は、出力された位置情報を入力し、下部基礎1及び軸受用の部材の開口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出するものである。従って、当該ズレ量及びズレ方向を参考にして、ズレ量が零になるように、下部基礎1に対する軸受用の部材の位置を移動させることができるので、容易に迅速に軸合わせをすることができる。
【0104】
また、ピアノ線を使用しないで軸心の位置を決めることができるので、軸合わせの前に行われる防風工程を簡略化又は省略することができる。更に、例えばマイクロメータのような精密測定器を使用せずに、自動的に且つ正確に測定ができるので、誰でも容易にズレ量及びズレ方向を検出できるとともに、作業者による検出結果のバラツキを最小限に抑えることができる。
【0105】
なお、ここでは、安定した土台である下部基礎1の最下部のドラフト2に架台101を設置して、下方から上方に向けて光線LB1を照射するようにしたが、これに限られることはなく、上部ブランケット8の開口部8aに設置された、従来のピアノ線設置用の架台に架台101を取り付け、上方から下方に向けて光線LB1を照射するようにしてもよい。このようにすることにより、配置作業者の足場として、例えば足場等を設置しなくてはいけない場合にも、無理なく受光器20を配置して光線LB1を受光することができる。
【0106】
図12は、レーザ照射装置10のその他の構成例を示す概略断面図である。図12に示すレーザ照射装置10は、円筒部10a1を下方にしてベアリング170上に配置され、円筒部10a1に円筒錘部10dを連結されて構成されている。このようにすることにより、レーザ照射装置10は、レーザ照射器10cを下方にした状態で姿勢を保持されるので、上部ブランケット8の開口部8aから地面に対して略垂直な光線LB1を、重力と同方向に向けて照射できるようになる。
【0107】
つまり、レーザ照射装置10は、上方又は下方のどちらの方向にも、鉛直な光線LB1を照射できるので、設置条件に応じて、最下部の部材又は最上部の部材のいずれかに、レーザ照射装置10を設置することができる。
【0108】
また、レーザ照射装置10の照射方向を上方から下方に変更する場合は、円筒錘部10dを円筒穴部10a2から外し、球体部10aをベアリング170上で反転し、円筒錘部10dを円筒部10a1に係合すればよい。従って、誰でも容易に照射方向の変更工程を実行することができる。
【0109】
更に、レーザ照射装置10は、ベアリング170上に配置されるだけで、重力により姿勢が保持されて、鉛直な光線LB1を照射できるようになるので、誰でも容易に架台101及びレーザ照射装置10を設置できるとともに、軸合わせ工程の効率を向上できる。
【0110】
また更に、この例では、開口部に配置される受光器20の傾斜検出工程において、コンピュータ40を用いるようにしたが、これに限られることはなく、受光器20の側面等に高精度の水準器を配し、配置作業者が単独で傾斜検出できるようにしてもよい。このようにすることにより、受光器20の受光位置を容易に調整できる。
【0111】
なおこの例では、本発明の軸合わせ補助装置及び軸合わせ方法を、水力発電所の水車200及び発電機201に設置された下部基礎1と軸受用の部材との軸合わせに適用した場合について説明をしたが、これに限られることはなく、各々が円形状の開口部を有し、互いの開口部の軸心が略同一直線上に乗るように仮設置された、例えば光学系の第1及び第2のレンズの開口部の軸合わせにも適用することができる。この場合には、コンピュータ40により検出される第1及び第2のレンズの開口部の軸心位置のズレ量が零になるように、第1のレンズに対する第2のレンズの位置、又は第2のレンズに対する第1のレンズの位置を調整することができる。
【0112】
(付記1)
各々が円形状の開口部を有し、互いの開口部の軸心が略同一直線上に乗るように仮設置
された第1及び第2の物体の、軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出する軸合わせ補助装
置において、
前記第1の物体の開口部の一方の端部から、当該第1の物体の開口部の軸心に沿った光
線を、前記第2の物体の開口部に向けて照射する発光手段と、
前記第2の物体の開口部の内側面に、一端部の2つの接合部を接して配置され、当該第
2の物体の開口部の軸心周辺において他端部が前記光線を受光するとともに、受光された
前記光線の位置情報を出力する受光手段と、
前記受光手段により出力された前記位置情報を入力して、前記第1及び第2の物体の開
口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出する情報処理手段とを備えることを特徴とす
る軸合わせ補助装置。
【0113】
(付記2)
前記受光手段は、
所定の長さを有する板状の本体部と、
前記本体部の一方の端部に設置され、前記光線を受光する受光板とを有することを特徴
とする付記1に記載の軸合わせ補助装置。
【0114】
(付記3)
前記受光手段は、
前記本体部の他方の端部に連結され、前記第2の物体の開口部の内側面に接する第1及
び第2の円形部材を有することを特徴とする付記2に記載の軸合わせ補助装置。
【0115】
(付記4)
前記第1及び第2の物体は、
水車及び発電機の軸受用の部材で構成され、
前記開口部は、当該水車及び発電機の軸受を構成することを特徴とする付記1に記載
の軸合わせ補助装置。
【0116】
(付記5)
前記発光手段は、
X方向及びY方向に移動可能な可動台と、
前記可動台の水平に対する傾斜を検出する水準器とを有する取付架台に支持されること
を特徴とする付記1に記載の軸合わせ補助装置。
【0117】
(付記6)
前記取付架台は、
円周部に溝を開口されるとともに、中心部に孔部を貫通された玉軸受と、
前記玉軸受の前記溝に回転自在に係合される複数の球体とを設けられた支持部を有し、
前記発光手段は、
略球形状の球体部と、
前記球体部の一方の面に取り付けられ、前記球体部に重力を加える錘部と、
前記球体部の他方の面に設置され、前記重力と反対方向に光線を照射する発光部とを有
し、
前記発光手段は、
前記球体部の球面を前記支持部の前記球体の球面に接し、前記支持部に回動自在に支持
されることを特徴とする付記5に記載の軸合わせ補助装置。
【0118】
(付記7)
前記錘部は、
円形状の開口部を設けられ、
前記発光部は、
前記開口部の内側に位置する、前記球体部の一方の面に設置され、前記重力と同方向に
光線を照射することを特徴とする付記6に記載の軸合わせ補助装置。
【0119】
(付記8)
各々が円形状の開口部を有し、互いの開口部の軸心が略同一直線上に乗るように仮設置
された第1及び第2の物体の、軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出して、当該第1の物
体の開口部と第2の物体の開口部とを軸合わせする方法であって、
前記第1の物体の開口部の一方の端部から、当該第1の物体の開口部の軸心に沿った光
線を、前記第2物体の開口部に向けて照射する工程と、
前記第2の物体の開口部の内側面に一端部の2つの接点を接するようにして配置される
所定形状の受光手段の受光位置を調整する工程と、
当該第2の物体の開口部の軸心周辺において、前記受光手段の他端部で前記光線を受光
する工程と、
受光した前記光線の位置情報を出力する工程と、
出力された前記位置情報を入力して、前記第1及び第2の物体の開口部の軸心位置のズ
レ量及びズレ方向を検出する工程と、
検出された前記ズレ量及びズレ方向を参考にして、当該ズレ量が零になるように、前記
第1の物体に対する前記第2の物体の位置、又は前記第2の物体に対する前記第1の物体
の位置を調整する工程とを備えることを特徴とする軸合わせ方法。
【0120】
この付記は、立軸形水車及び立軸形発電機の軸受用の部材の軸合わせに適用可能な軸合わせ補助装置及び軸合わせ方法に関する。詳しくは、第2の物体の開口部に配置された受光手段から出力される情報であって、第1の物体の開口部の軸心に沿って照射された光線の位置情報を入力して、第1及び第2の物体の開口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出する情報処理手段を備え、容易に迅速に軸合わせができるようにするとともに、軸合わせの前に行われる防風工程を省略できるようにしたものである。
【0121】
この付記に係る軸合わせ補助装置は、各々が円形状の開口部を有し、互いの開口部の軸心が略同一直線上に乗るように仮設置された第1及び第2の物体の、軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出する軸合わせ補助装置において、第1の物体の開口部の一方の端部から、当該第1の物体の開口部の軸心に沿った光線を、第2の物体の開口部に向けて照射する発光手段と、第2の物体の開口部の内側面に、一端部の2つの接合部を接して配置され、当該第2の物体の開口部の軸心周辺において他端部が光線を受光するとともに、受光された光線の位置情報を出力する受光手段と、受光手段により出力された位置情報を入力して、第1及び第2の物体の開口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出する情報処理手段とを備えることを特徴とするものである。
【0122】
この付記に係る軸合わせ補助装置によれば、発光手段は、第1の物体の開口部の軸心に沿った光線を第2の物体の開口部に向けて照射し、受光手段は、第2の物体の開口部の内側面に配置されて当該光線を受光するとともに、受光された光線の位置情報を出力し、情報処理手段は、出力された位置情報を入力し、第1及び第2の物体の開口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出する。
【0123】
従って、当該ズレ量及びズレ方向を参考にして、ズレ量が零になるように、第1の物体に対する第2の物体の位置、又は第2の物体に対する第1の物体の位置を調整することができるので、容易に迅速に軸合わせをすることができる。また、ピアノ線を使用しないで軸心の位置を決めることができるので、軸合わせの前に行われる防風工程を省略できる。
【0124】
この付記に係る軸合わせ方法は、各々が円形状の開口部を有し、互いの開口部の軸心が略同一直線上に乗るように仮設置された第1及び第2の物体の、軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出して、当該第1の物体の開口部と第2の物体の開口部とを軸合わせする方法であって、第1の物体の開口部の一方の端部から、当該第1の物体の開口部の軸心に沿った光線を、第2物体の開口部に向けて照射する工程と、第2の物体の開口部の内側面に一端部の2つの接点を接するようにして配置される所定形状の受光手段の受光位置を調整する工程と、当該第2の物体の開口部の軸心周辺において、受光手段の他端部で光線を受光する工程と、受光した光線の位置情報を出力する工程と、出力された位置情報を入力して、第1及び第2の物体の開口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出する工程と、検出されたズレ量及びズレ方向を参考にして、当該ズレ量が零になるように、第1の物体に対する第2の物体の位置、又は第2の物体に対する第1の物体の位置を調整する工程とを備えることを特徴とするものである。
【0125】
この付記に係る軸合わせ方法によれば、第1の物体の開口部の軸心に沿って照射された光線を基にして、第1及び第2の物体の開口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出し、検出されたズレ量が零になるように、第1の物体に対する第2の物体の位置、又は第2の物体に対する第1の物体の位置を調整するようになされる。
【0126】
従って、容易に迅速に軸合わせができるとともに、ピアノ線を使用しないで軸心の位置を決めることができる。これにより、軸合わせの前に行われる防風工程を省略できる。
【0127】
この付記に係る軸合わせ補助装置によれば、第2の物体の開口部に配置された受光手段から出力される情報であって、第1の物体の開口部の軸心に沿って照射される光線の位置情報を入力する情報処理手段を備え、第1及び第2の物体の開口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出するものである。
【0128】
この構成により、当該ズレ量及びズレ方向を参考にして、ズレ量が零になるように、第1の物体に対する第2の物体の位置、又は第2の物体に対する第1の物体の位置を調整することができるので、容易に迅速に軸合わせをすることができる。また、ピアノ線を使用しないで軸心の位置を決めることができるので、軸合わせの前に行われる防風工程を省略できる。更に、例えばマイクロメータのような精密測定器を使用せずに、自動的に且つ正確に測定ができるので、誰でも容易にズレ量及びズレ方向を検出できるとともに、作業者による検出結果のバラツキを最小限に抑えることができる。
【0129】
この付記に係る軸合わせ方法によれば、第1の物体の開口部の軸心に沿って照射された光線を基にして、第1及び第2の物体の開口部の軸心位置のズレ量及びズレ方向を検出し、検出されたズレ量及びズレ方向を参考にして、当該ズレ量が零になるように、第1の物体に対する第2の物体の位置、又は第2の物体に対する第1の物体の位置を調整するようになされる。
【0130】
この構成により、容易に迅速に軸合わせができるとともに、ピアノ線を使用しないで軸心の位置を決めることができる。これにより、軸合わせの前に行われる防風工程を省略できる。更に、例えばマイクロメータのような精密測定器を使用せずに、自動的に且つ正確に測定ができるので、誰でも容易にズレ量及びズレ方向を検出できるとともに、作業者による検出結果のバラツキを最小限に抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
この発明は、立軸形水車及び立軸形発電機等の軸受用の部材の軸合わせに適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0132】
1・・・下部基礎、2・・・ドラフト、3・・・ケーシング、4・・・メタル支え、5・・・上部基礎、6・・・下部ブランケット、7・・・固定子部、8・・・上部ブランケット、10・・・レーザ照射装置、20・・・受光器、21・・・本体、22・・・円筒部、40・・・コンピュータ、100・・・軸合わせ補助装置、101・・・架台、140・・・精密水準器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周部に円弧状の溝が開口されるとともに中心部に孔が貫通された玉軸受と前記溝に回転自在に係合される複数の球体とを有する支持部と、
前記球体よりも径が大きい略球形状の球体部と、
前記球体部に取り付けられて前記球体部に重力を加える錘部と、
前記球体部に取り付けられてレーザ光線を照射するレーザ発光部と、を備え、
前記球体部が前記支持部に載置され、前記球体部の球面が前記支持部の複数の前記球体の球面に接して、前記球体部が前記支持部に回動自在に支持され、
前記錘部が前記玉軸受の孔を通過して前記球体部に取り付けられ、
前記錘部と前記レーザ発光部とが前記球体部の中心を通る同一直線上に配置され、
前記錘部によって加えられる重力で前記球体部が回動して一定の状態を保ち、前記レーザ発光部が重力の反対方向或いは重力と同方向にレーザを照射する、
ことを特徴とするレーザ照射装置。
【請求項2】
前記球体部の一方の面に前記錘部が取り付けられ、前記球体の他方の面に前記レーザ発光部が設置され、前記レーザ発光部が重力と反対方向にレーザを照射する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ照射装置。
【請求項3】
前記錘部に円形状の開口部が設けられ、
前記レーザ発光部は、前記開口部の内側に位置する前記球体部の一方の面に設置され、
前記レーザ発光部が重力と同方向にレーザを照射する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ照射装置。
【請求項4】
前記錘部は、両端が開口し一方の端部の周面にネジ溝が形成された円筒部を有し、
前記球体部の一方の面及び他方の面には前記円筒部の先端が着脱自在に取り付け可能なネジ溝が形成された開口部を有し、
前記球体部のいずれかの開口部の内側に前記レーザ発光部が設置され、
前記レーザ発光部が設置された方の前記球体部の開口部に前記錘部の端部が取り付けられた際に、前記レーザ発光部が重力と同方向にレーザを照射し、
前記レーザ発光部が設置された方と逆側の前記球体部の開口部に前記錘部の端部が取り付けられた際に、前記レーザ発光部が重力の反対方向にレーザを照射する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ照射装置。
【請求項5】
基礎ステージと前記基礎ステージ上に積層されるX方向又はY方向へ移動可能な第1の可動ステージと前記第1の可動ステージ上に積層されて前記支持部が支持されるY方向又はX方向へ移動可能な第2の可動ステージとを有する取付架台を備え、
前記基礎ステージ、前記第1の可動ステージ及び前記第2の可動ステージには互いに連通し、前記錘部が通過する孔部がそれぞれ開口され、
前記基礎ステージ、前記第1の可動ステージ及び前記第2の可動ステージのそれぞれの孔部の径が前記基礎ステージ、前記第1の可動ステージ、前記第2の可動ステージの順に小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレーザ照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−189603(P2012−189603A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110275(P2012−110275)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2007−44374(P2007−44374)の分割
【原出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(596133119)中電プラント株式会社 (101)
【Fターム(参考)】