説明

ロボット生産システム

【課題】専用の治具やツールを用意する必要がなく、短時間で高精度の教示作業を完了することができ、正確な位置合わせが不要となされ、生産ラインへの設置作業が容易であり、生産ラインへ設置した状態と生産ラインから外した状態との間を配置変更自在とすることができるロボット生産システムを提供する。
【解決手段】搬送ロボット30が配設された配置変更自在な第1の作業テーブルT1と、第1の作業テーブルT1を設置した際にこの第1の作業テーブルT1の位置の所定位置に対する位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段となるカメラ33と、カメラ33による検出結果に基づいて搬送ロボット30の動作の基準となる教示データを補正する位置ずれ補正手段となる制御部51を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット生産システムに対してワークの位置を自動的に教示してロボット生産システムを設置する設置作業が自動化されたロボット生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、精密部品の組立を行うため、ワークを把持して移動操作し、このワークを他のワークに組み付けるロボット生産システムが提案されている。このようなロボット生産システムにおいては、ロボットの手先位置を正確に教示することが必要である。すなわち、ロボット生産システムは、所定の位置にしっかりと固定し、また、ワークも正確に所定の位置に位置決めすることを前提として、手先位置の教示を正確に行う必要である。手先位置の教示を正確に行わないと、所定の位置に置かれたワークを把持することができないからである。
【0003】
このような教示を正確に行うための技術として、例えば、特許文献1には、教示プログラム上で位置データが与えられている教示点の内の少なくとも1個の教示点に対応するワーク上の部位にカメラにより識別が可能なマークを施し、ロボットに搭載されたカメラによってマークの位置を計測し、マーク位置の計測結果に基づいて少なくとも1個の教示点の位置データの3次元の要補正量を求めるようにした教示位置データの3次元位置補正量取得方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ロボットにおいて、複数のワークと組立ツールとを搬入対象物として、各搬入対象物をロボットの可動範囲の外部から可動範囲の内部まで搬入するとともに、完成後の組立体と使用後の組立ツールとを搬出対象物として、各搬出対象物を可動範囲の内部から可動範囲の外部まで搬出する搬送手段とを備えることにより、組立ツールの交換を人手に頼らずに行えるようにして、多品種少量生産を効率的に行えるようにした装置が記載されている。
【0005】
そして、特許文献3には、ロボットマニピュレータの手首軸に6軸の力センサを設け、インピーダンス制御を行うロボットシステムを用いてキャリブレーション点教示を行うに際し、円形状の穴を持つ治具を定点に準備し、この治具の円形状の穴にちょうど挿入できる棒をツールとしてロボットマニピュレータの手首軸に装着し、このツールの先端をロボットマニピュレータの制御点とし、治具の円形状の穴にロボットのツールである棒を挿入することにより定点観測をし、ロボットの制御点の位置情報と姿勢情報をキャリブレーション情報として利用することが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3665353号公報
【特許文献2】特許第3673117号公報
【特許文献3】特開平5−111886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のロボット生産システムにおいては、ワークの位置決め作業や教示作業など、現場オペレータの作業負担が大きく、特に、ワークが多品種化した場合には、位置決め及び教示をする回数が増えることとなり、ロボット生産システムによる自動生産作業全体の生産性が低下することが問題となっている。
【0008】
前述した特許文献1乃至特許文献3に記載された技術においても、専用の治具や組立ツールを用意したり、マークを施したりしなければならず、教示作業を十分に容易化することができない。
【0009】
そこで、本発明は、前記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、専用の治具やツールを用意する必要がなく短時間で高精度の教示作業を完了することができ、正確な位置合わせが不要となされ、生産ラインへの設置作業が容易であり、生産ラインへ設置した状態と生産ラインから外した状態との間を配置変更自在とすることができるロボット生産システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明は、以下の構成のいずれか一を有するものである。
【0011】
〔構成1〕
本発明に係るロボット生産システムは、ワークを把持しこのワークを所定の位置に移動操作する把持ハンドを備えたロボットアームを有するロボット生産システムであって、ロボットアームが配設された配置変更自在な作業テーブルと、作業テーブルを設置した際にこの作業テーブルの位置の所定位置に対する位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段と、位置ずれ検出手段による検出結果に基づいてロボットアームの動作の基準となる教示データを補正する位置ずれ補正手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
このロボット生産システムにおいては、作業テーブルの位置の所定位置に対する位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段と、位置ずれ検出手段による検出結果に基づいてロボットアームの動作の基準となる教示データを補正する位置ずれ補正手段とを備えることにより、ロボット生産システムによる位置補正(教示)の自動化を実現した。
【0013】
また、このロボット生産システムにおいては、ワークをワークトレイにより搬送する場合においても、ロボット生産システムとワークトレイとの位置ずれを補正することができるので、ワークをそのまま搬送する場合と同様の自動化が可能である。
【0014】
〔構成2〕
構成1を有するロボット生産システムにおいて、位置ずれ検出手段は、ワークを含む領域の撮像を行い得られた画像に基づいてワークの位置を検出する撮像手段であり、位置ずれ補正手段は、撮像手段による検出結果に応じてロボットアームを制御する制御手段であることを特徴とするものである。
【0015】
このロボット生産システムにおいては、位置ずれ検出手段として撮像手段を有することにより、高精度な位置合わせが可能である。
【0016】
〔構成3〕
構成1を有するロボット生産システムにおいて、位置ずれ検出手段は、把持ハンドがワークに向けて移動しワークを把持しようとしたときに把持ハンドとワークとが当接した場合に把持ハンドが受ける力を検出する力センサであり、位置ずれ補正手段は、力センサにより検出された力に基づく演算を行い把持ハンドをワークに倣わせてワークに密着させてワークの位置を検出する演算手段であることを特徴とするものである。
【0017】
このロボット生産システムにおいては、位置ずれ検出手段として力センサを有することにより、高精度な精密位置合わせが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るロボット生産システムは、構成1を有することにより、作業テーブルの位置の所定位置に対する位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段と、位置ずれ検出手段による検出結果に基づいてロボットアームの動作の基準となる教示データを補正する位置ずれ補正手段とを備えているので、ロボット生産システムによる位置補正の自動化を実現した。
【0019】
本発明に係るロボット生産システムにおいては、作業テーブルの正確な位置合わせが不要であるため、生産ラインへの設置作業が容易である。さらに、このロボット生産システムは、生産ラインへ設置した状態と生産ラインから外した状態との間を配置変更自在とすることができる。例えば、昼間は作業者による作業を行っていた生産ラインにおいて、夜間は、この生産ラインに本発明に係るロボット生産システムを設置して、全自動生産に切り替えることが容易に行えるようになる。また、ロボット生産システムを生産量の多い別ラインへ設置して操業を調整することができる。さらに、ロボット生産システムが故障した場合に、生産ラインから撤去して、作業者による作業に切り替えることでダウンタイムを最小化できる。また、生産ラインのレイアウトを変更する場合においても、生産ラインへのロボット生産システムの設置作業が容易であるため、容易に対応することができる。
【0020】
また、本発明においては、ワークの位置決めを行うための専用治具は不要であるため、作業者と同一の組立ラインにおいて、例えば、作業者が作業を行わない時間帯において、作業者に代わって、作業者が使用していたと同一の治具、工具、作業テーブル及び自動装置を使用して自動生産を行うことができる。つまり、人と同一のラインを利用することで省スペース化でき、設備コストを抑えることができる。
【0021】
本発明に係るロボット生産システムは、構成2を有することにより、位置ずれ検出手段は、ワークを含む領域の撮像を行い得られた画像に基づいてワークの位置を検出する撮像手段であり、位置ずれ補正手段は、撮像手段による検出結果に応じてロボットアームを制御する制御手段であるので、高精度な位置合わせが可能である。
【0022】
本発明に係るロボット生産システムは、構成3を有することにより、位置ずれ検出手段は、把持ハンドがワークに向けて移動しワークを把持しようとしたときに把持ハンドとワークとが当接した場合に把持ハンドが受ける力を検出する力センサであり、位置ずれ補正手段は、力センサにより検出された力に基づく演算を行い把持ハンドをワークに倣わせてワークに密着させてワークの位置を検出する演算手段であるので、高精度な精密位置合わせが可能である。
【0023】
すなわち、本発明は、専用の治具やツールを用意する必要がなく短時間で高精度の教示作業を完了することができ、正確な位置合わせが不要となされ、生産ラインへの設置作業が容易であり、生産ラインへ設置した状態と生産ラインから外した状態との間を配置変更自在とすることができるロボット生産システムを提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
〔第1の実施の形態〕
図1〜図4は本発明のロボット生産システムにかかる第1の実施の形態を示し、図1はロボット生産システムの概略斜視図、図2はロボット生産システムのブロック図、図3は搬送ロボットの把持ハンド及びカメラの斜視図、図4はロボット生産システムの設置状態の概略斜視図である。
【0026】
図1に示すように、ロボット生産システム1Aは、配置変更自在で、且つ、近接位置に配置された第1、第2、第3作業テーブルT1,T2,T3と、第1、第2、第3作業テーブルT1,T2,T3上の所定位置に設置された3つの台座10,10,10と、この3つの台座10,10,10上に選択的に載置可能なワークトレイ20と、第1作業テーブルT1上に設置された搬送ロボット30と、第1、第2、第3作業テーブルT1,T2,T3上にそれぞれ設置され、所定の作業を行う第1、第2、第3作業ロボットR1,R2,R3とを備えている。これらのうち、第1作業テーブルT1及びこの第1作業テーブルT1上に設置された搬送ロボット30が、本発明に係るロボット生産システムを構成する。なお、本発明に係るロボット生産システムにおいては、第1作業ロボットR1を設けずに構成してもよい。
【0027】
搬送ロボット30は、第1作業テーブルT1に下端が固定されたハンド移動手段である多関節アーム部31と、この多関節アーム部31の先端に取り付けされた把持ハンド32と、この把持ハンド32の近傍に固定された位置ずれ検出手段を構成する撮像手段であるカメラ33とを備えている。
【0028】
多関節アーム部31は、図2に示すように、位置ずれ補正手段を構成する制御部51からの駆動信号によって各関節を揺動・回転駆動し、これによって把持ハンド32の位置を所定の位置に移動させる。カメラ33からの画像信号は、画像処理部52に送られ、さらに、制御部51に送られる。また、把持ハンド32には、後述する位置ずれ検出手段を構成する力センサ53が取付けられている。この力センサ53からの出力信号は、制御部51に送られる。
【0029】
このロボット生産システムにおいては、制御部51は、第1作業テーブルT1内に内蔵されており、この第1作業テーブルT1とともに搬送可能な一体構造となっている。また、このロボット生産システムにおいては、画像処理部52も第1作業テーブルT1内に内蔵されているため、電源線及び信号線のみを外部機器と接続することにより、使用することができる。
【0030】
把持ハンド32は、図3に詳しく示すように、多関節アーム部31の先端に回転自在に取り付けされたハンドベース部35と、このハンドベース部35の下方に設けられた一対のハンド片36,36とを有する。一対のハンド片36,36は、ハンドベース部35に沿って移動する上面部36aと、この上面部36aより垂下された側面部36bと、この側面部36bの下端より内側に突出する下面部36cとから構成されている。各上面部36aの両側の端部にはガイド用テーパ面37が形成されている。
【0031】
一対のハンド片36,36は、互いの間隔を広げる方向と狭める方向に移動可能であり、グリップ23への進入を可能とするハンド開位置や、グリップ23を把持するハンド閉位置に位置させることができる。
【0032】
カメラ33により撮影された位置認識用視覚マーカ24の画像情報は、制御部51に送られ、制御部51は、画像情報に基づいて多関節アーム部31の駆動を制御する。
【0033】
第1〜第3作業ロボットR1,R2,R3は、各作業テーブルT1,T2,T3の台座10,10,10上に載置されたワークトレイ20のワーク保持位置を作業位置とする。そして、第1、第2、第3作業ロボットR1,R2,R3は、ティーチングされた作業位置でそれぞれ所定の作業をワーク40に対して行う。
【0034】
搬送ロボット30には、力センサ53が設けられている。この力センサ53は、搬送ロボット30が第1の作業テーブルT1以外の作業テーブル(第2及び第3作業テーブルT2,T3)上に載置されたワーク40に向けて移動し、カメラ33により得られた画像に基づいて位置を検出されたワーク40を把持しようとしたときに、搬送ロボット30の把持ハンド32とワーク40とが当接した場合に、把持ハンド32が受ける力を検出する。力センサ53により検出された力は、制御手段51に送られる。制御手段51は、力に基づく演算を行い、図3に示すように、把持ハンド32をワーク40に倣わせてワーク40に密着させてワーク40の位置を検出する。
【0035】
そして、制御装置51は、検出されたワーク40の位置を記憶し、以後、この記憶に基づいて搬送ロボット30を制御する。すなわち、搬送ロボット30に対する教示が自動的に行われる。搬送ロボット30、第1、第2、第3作業ロボットR1,R2,R3は、垂直多関節ロボットではなく、水平多関節ロボット、直交軸ロボット等、いずれの形態でもよい。また、第1、第2、第3作業ロボットR1,R2,R3は、ロボットに限らず、加工機やねじ締め機、かしめ機等、いずれの形態でも良い。
【0036】
図4は、本発明に係るロボット生産システムの設置状態の概略斜視図である。
【0037】
このロボット生産システムは、第1作業テーブルT1上に載置されたワーク40を把持して、第2及び第3作業テーブルT2,T3上に移動操作し、それぞれの作業テーブルに載置されたワークに対して所定の作業を行うことができる。このとき、作業に先だって、カメラ33により得られた画像及び力センサ53により検出された力に基づく教示が行われるので、図4に示すように、搬送ロボット30が載置固定された第1作業テーブルT1の位置が正確に設置されている必要はない。なお、図4においては、第1作業テーブルT1の位置は、一点鎖線で示す位置が正確な位置であり、実線で示した位置は、位置ずれした状態を示している。
【0038】
したがって、このロボット生産システムは、生産ラインへ設置した状態と生産ラインから外した状態との間を配置変更自在とすることができる。例えば、昼間は作業者による作業を行っていた生産ラインにおいて、夜間は、この生産ラインに本発明に係るロボット生産システムを設置して、全自動生産に切り替えることが容易に行えるようになる。すなわち、全自動生産を開始するに先だって、前述のような教示を行うことにより、第1の作業テーブルT1上に載置されたワーク40を正確に把持して他の作業テーブル(第2及び第3作業テーブルT2,T3,・・・)上の所定位置に移動操作することができ、また、他の作業テーブル(第2及び第3作業テーブルT2,T3,・・・)上に載置されたワーク40を正確に把持して第1の作業テーブルT1上の所定位置に移動操作することができる。
【0039】
また、生産ラインのレイアウトを変更する場合においても、生産ラインへのロボット生産システムの設置作業が容易であるため、容易に対応することができる。さらに、このロボット生産システムにおいては、作業者との交代が容易であるため、セル生産に円滑に対応することができる。また、ロボット生産システムを生産量の多い別ラインへ設置して操業を調整することができる。さらに、ロボット生産システムが故障した場合に、生産ラインから撤去して、作業者による作業に切り替えることでダウンタイムを最小化できる。
【0040】
図5は、このロボット生産システムにおいてワーク40の位置を検出する手順を示すフローチャートである。
【0041】
前述のように構成された本発明に係るロボット生産システムは、図5に示すように、ワーク40の位置を検出して、教示操作を自動的に行う。すなわち、制御部51は、図5に示すように、S11において、動作を開始すると、S12に進み、カメラ33により得られた画像データに基づいて、ワーク40の位置の計測を開始する(位置ずれ検出)。次に、S13において、計測結果に基づいて搬送ロボット30の把持ハンド32をワーク40に向けて接近させる。
【0042】
そして、S14に進み、搬送ロボット30の把持ハンド32によりワーク40を把持し、把持ハンド32がワーク40に当接して受ける力を検出し、把持ハンド32をワーク40に倣わせてワーク40に密着させてワーク40の位置を正確に検出する(位置ずれ検出)。次に、S15において、検出されたワーク40の位置を記憶する。
【0043】
S16に進み、記憶されたワーク40の位置に基づいて、教示データを補正する(位置ずれ補正)。この補正により、自動教示が行われる。そして、S17に進み、自動教示を終了する。以後は、制御部51は、補正された教示データに基づいて、搬送ロボット30を制御する。
【0044】
図6は、このロボット生産システムの運用方法を示すフローチャートである。
【0045】
前述のように構成された本発明に係るロボット生産システムは、前述したように、図6に示すように、通常は作業者による作業が行われている生産ラインに設置して使用するという運用に供することができる。
【0046】
すなわち、図6に示すように、S21において、ロボット生産システムの運用を開始すると、S22に進み、このロボット生産システムを、作業者の作業が終了した生産ラインに、作業者の代替として配置される。そして、S23においては、制御部51は、図5に示した教示データの補正の手順により、第1作業テーブルT1と生産ラインとの位置ずれの自動補正を行う。なお、ここで、生産ラインは、前述の第2及び第3作業テーブルT2,T3であってもよいし、その他の作業テーブルや同形態の別ラインであってもよい。そして、S24に進み、ロボット生産システムによる自動生産を開始する。つまり、人と同一のラインを利用することで省スペース化でき、設備コストを抑えることができる。
【0047】
S25において、自動生産が終了したときには、S26に進み、ロボット生産システムを生産ラインから撤去、搬出する。このとき、通常の作業者による作業が開始できる状態となる。そして、S27に進み、ロボット生産システムの運用を終了する。
【0048】
〔第2の実施の形態〕
図7は、本発明の第2の実施の形態におけるロボット生産システムの概略平面図である。
【0049】
本発明のロボット生産システムにおける位置ずれ検出手段は、前述の実施の形態におけるカメラ33(撮像手段)及び力センサ53のようにワーク40と搬送ロボット30との相対位置を検出する手段に限定されず、図7に示すように、第1の作業テーブルT1と、この第1の作業テーブルT1以外の作業テーブル(第2及び第3作業テーブルT2,T3)との間の相対位置を検出する手段であってもよい。
【0050】
このような検出手段としては、例えば、第1の作業テーブルT1に設置された複数のレーザ距離計55を用いることができる。すなわち、これらレーザ距離計55により、第1の作業テーブルT1と、他の作業テーブル(第2及び第3作業テーブルT2,T3,・・・)又は壁面その他の位置基準となる物との間の相対位置・姿勢を計測することにより、第1の作業テーブルT1の基準位置に対する位置ずれ量を検出することができる。このように検出された位置ずれ量に基づいて、制御部51により、教示データを補正することにより、自動教示を行うことができる。そして、制御部51は、補正された教示データに基づいて、搬送ロボット30を制御する。
【0051】
この実施の形態におけるロボット生産システムにおいても、生産ラインへ設置した状態と生産ラインから外した状態との間を配置変更自在とすることができる。全自動生産を開始するに先だって、前述のような教示を行うことにより、第1の作業テーブルT1上に載置されたワーク40を正確に把持して他の作業テーブル(第2及び第3作業テーブルT2,T3,・・・)上の所定位置に移動操作することができ、また、他の作業テーブル(第2及び第3作業テーブルT2,T3,・・・)上に載置されたワーク40を正確に把持して第1の作業テーブルT1上の所定位置に移動操作することができる。
【0052】
また、生産ラインのレイアウトを変更する場合においても、生産ラインへのロボット生産システムの設置作業が容易であるため、容易に対応することができる。さらに、このロボット生産システムにおいては、作業者との交代が容易であるため、セル生産に円滑に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるロボット生産システムの概略斜視図である。
【図2】本発明に係るロボット生産システムのブロック図である。
【図3】搬送ロボットの把持ハンド及びカメラの斜視図である。
【図4】本発明に係るロボット生産システムの設置状態の概略斜視図である。
【図5】本発明に係るロボット生産システムにおいて、ワークの位置を特定する手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るロボット生産システムにおける運用方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるロボット生産システムの概略平面図である。
【符号の説明】
【0054】
30 搬送ロボット
T1 第1作業テーブル
33 カメラ
40 ワーク
51 制御手段
53 力センサ
55 レーザ距離計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを把持しこのワークを所定の位置に移動操作する把持ハンドを備えたロボットアームを有するロボット生産システムにおいて、
前記ロボットアームが配設された配置変更自在な作業テーブルと、
前記作業テーブルを設置した際に、この作業テーブルの位置の所定位置に対する位置ずれ量を検出する位置ずれ検出手段と、
前記位置ずれ検出手段による検出結果に基づいて、前記ロボットアームの動作の基準となる教示データを補正する位置ずれ補正手段と
を備えたことを特徴とするロボット生産システム。
【請求項2】
前記位置ずれ検出手段は、前記ワークを含む領域の撮像を行い、得られた画像に基づいて、前記ワークの位置を検出する撮像手段であり、
前記位置ずれ補正手段は、前記撮像手段による検出結果に応じて前記ロボットアームを制御する制御手段である
ことを特徴とする請求項1記載のロボット生産システム。
【請求項3】
前記位置ずれ検出手段は、前記把持ハンドが前記ワークに向けて移動し、前記ワークを把持しようとしたときに、前記把持ハンドと前記ワークとが当接した場合に、前記把持ハンドが受ける力を検出する力センサであり、
前記位置ずれ補正手段は、前記力センサにより検出された力に基づく演算を行い、前記把持ハンドを前記ワークに倣わせてワークに密着させて前記ワークの位置を検出する演算手段である
ことを特徴とする請求項1記載のロボット生産システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−208209(P2009−208209A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55252(P2008−55252)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】