説明

ワイヤソーの電力供給装置

【課題】装置の大型化を抑えながら、停電等の発生時により確実かつ正常に切断用ワイヤの走行を停止させる。
【解決手段】ワイヤソーは、切断用ワイヤを駆動するための駆動モータ25、これを制御するサーボアンプ42等を含む。サーボアンプ42は、電源40から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ部44と、直流電力を平滑化するとともに蓄積する平滑部46と、直流電力を交流電力に変換して駆動モータ25に供給するインバータ部48と、停電時等に平滑部46に蓄積された電力を用いて駆動モータ25を減速動作に移行すべくインバータ部48を制御する制御部50を含む。平滑部46は、電気二重層キャパシタ46a及び電解コンデンサ46bからなり、停電時には、この電気二重層キャパシタ46a等に蓄積された電力が駆動モータ25に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料、セラミック、ガラス基板等の脆性材料からなるワークをワイヤによりウエハ状に切断するワイヤソーの電力供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体材料等のワークを切断する手段としてワイヤソーが知られている。ワイヤソーは、複数のガイドローラ間に切断用ワイヤが巻き掛けられることにより該ワイヤが多数本並んだ状態で張設され、かつその軸方向に高速駆動された状態で、この軸方向と直交する方向に半導体インゴットが切断送りされることによりワークを切断する。
【0003】
ワイヤソーでは、停電等により電力供給が遮断された場合には、断線やこれによるワーク損傷を回避するために各ガイドローラをそれらの同期を保ちつつ安全に停止させる必要がある。従来は、そのための手段として無停電電源装置(UPS:Uninterruptive Power System)を設けてワイヤソー全体の電力をバックアップすることが行われていたが、最近では、例えば特許文献1に記載されるように、制御系の電源だけをUPSでバックアップし、その他の動力系(ガイドローラ駆動用のサーボモータ)の電源については、サーボアンプに設けられる電圧平滑化用の電解コンデンサに蓄電される電力を用いることが行われている。つまり、モータが減速動作に入れば、その後は回生制動によりモータを正常に停止させることが可能となるため、この減速動作移行時の電力だけを電解コンデンサに蓄積された電力で補うことにより、切断用ワイヤの走行を正常な状態で停止させる一方で、UPSの負担を軽減して装置のコンパクト化、低廉化を図ることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−10637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、太陽電池用のシリコンウエハの切り出し等、ワイヤソーは、比較的大型のワークを切断することが求められている。大型ワークの切断ではモータへの負荷が増すため、このような高負荷切断中に停電等が発生して電力供給が遮断されると、その負荷による制動がモータにかかるために回生電力を効率良く発生させることができず、十分な回生電力を得るまでに時間を要するといった不都合が考えられ、サーボアンプに設けられる電解コンデンサに蓄積される電力だけでモータを正常に停止させることが難しい場合が生じ得る。従って、この点を改善することが求められる。
【0006】
なお、特許文献1には、電解コンデンサに蓄積される電力だけでは十分でない場合を想定してサーボアンプとは別に電力蓄電ユニットを設けることが記載されているが、これでは装置の大型化を伴うこととなり望ましくない。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、装置の大型化を抑えながら、停電等の発生時により確実かつ正常に切断用ワイヤの走行を停止させ得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、モータの駆動により軸方向に走行する切断用ワイヤを有し、この切断用ワイヤに対してその軸方向と直交する方向にワークを相対的に切断送りすることにより当該ワークを切断するワイヤソーの電力供給装置であって、電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部で変換された直流電力を平滑化するとともに蓄積する平滑部と、平滑化された直流電力を交流電力に変換してモータを駆動するインバータ部と、前記電源からの交流電力の供給停止又は電圧低下時に前記平滑部に蓄積された電力を用いてモータを減速動作に移行すべく前記インバータ部を制御する制御部とを備えており、前記平滑部として電気二重層キャパシタを有し、前記減速動作時には、この電気二重層キャパシタに蓄積された電力が交流電力に変換されて前記モータに供給されるものである。
【0009】
この電力供給装置では、電源から供給される交流電力が直流電力に変換され、これが平滑化された上で所定の周波数及び電圧の交流電力に変換されてモータに供給される。その一方で、平滑化された直流電力が平滑部に蓄積され、停電時等には、この平滑部に蓄積された電力が減速動作用の電力としてモータに供給される。この場合、同等の占有スペースで電解コンデンサに比べて高い蓄電能力を有する電気二重層キャパシタが平滑部として設けられていることにより、コンパクトな装置構成を保ちながらモータ減速用の電力をより多くバックアップすることが可能となる。
【0010】
なお、電気二重層キャパシタはその内部抵抗が大きいため放電時の電圧降下が大きい。そのため、上記の構成において、より好ましくは、前記平滑部として前記電気二重層キャパシタに加えて電解コンデンサが設けられており、前記減速動作時には、これら電気二重層キャパシタ及び電解コンデンサに蓄積された電力が交流電力に変換されて前記モータに供給されるものであるのが好適である。
【0011】
この構成によれば、電気二重層キャパシタによる初期放電時の電圧降下が電解コンデンサにより蓄積される電力により補完されるため、モータを減速動作に移行するために必要な電力(電圧)をより確実にかつ長期的にバックアップすることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明した本発明の電力供給装置によれば、コンパクトな装置構成を保ちながらモータの減速動作用の電力をより多くバックアップすることが可能であり、従って、大型ワークの切断等、高負荷切断中に停電等が発生した場合でも、切断用ワイヤの走行をより確実にかつ正常に停止させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の電力供給装置が適用されるワイヤソーを示す全体構成図である。
【図2】電力供給装置の一例を示す概略図である。
【図3】電気二重層キャパシタ及び電解コンデンサの放電特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る電力供給装置が適用されるワイヤソーの全体構成図である。
【0015】
この図に示すワイヤソーは、一対のワイヤ繰出し・巻取り装置10A,10B、ガイドプーリ12A,12B、ガイドプーリ14A,14B、ガイドプーリ16A,16B、ワイヤ張力調節装置18A,18B、ガイドプーリ22A,22B、及び4つのガイドローラ24A,24B,26A,26Bを備えている。
【0016】
ガイドローラ24A,24Bは互いに同じ高さ位置に配され、ガイドローラ26A,26Bはそれぞれガイドローラ24A,24Bの下方の位置に配されており、各ガイドローラ24A,24B,26A,26Bがそれぞれ駆動モータ25によって回転駆動されるようになっている。同図では、駆動モータ25はガイドローラ26Aのもののみ示している。
【0017】
各ワイヤ繰出し・巻取り装置10A,10Bは、切断用のワイヤWが巻かれるボビン9A,9Bと、これを回転駆動するボビン駆動モータ11A,11Bとを備えている。一方のワイヤ繰出し・巻取り装置10Aのボビン9Aから繰出されたワイヤWは、ガイドプーリ12A,14A,16A、ワイヤ張力調節装置18Aのプーリ20A、及びガイドプーリ22Aの順に掛けられ、さらにガイドローラ24A,24B,26B,26Aの外周面のガイド溝(図示省略)に嵌め込まれながらこれらガイドローラの外側に多数回螺旋状に巻回された(巻き掛けられた)後、ガイドプーリ22B、ワイヤ張力調節装置18Bのプーリ20B、ガイドプーリ16B,14B,12Bの順に掛けられ、他方のワイヤ繰出し・巻取り装置10Bのボビン9Bに巻き取られており、両ワイヤ張力調節装置18A,18BによってワイヤWに適当な張力が与えられている。そして、駆動モータ25によるガイドローラ26Aの回転駆動方向と、各ボビン駆動モータ11A,11Bによるボビン9A,9Bの回転駆動方向が正逆に切換えられることにより、ワイヤWがボビン9Aから繰出されてボビン9Bに巻き取られる状態と、ワイヤWがボビン9Bから繰出されてボビン9Aに巻き取られる状態とに切換えられるようになっている。すなわち、このワイヤソーにおいては、ガイドローラ24A,24Bの間に多数本のワイヤWが互いに平行な状態で張られながらその軸方向に往復駆動されるようになっている。
【0018】
このガイドローラ24A,24B間に張られたワイヤWの上方には、円柱状のワーク(例えば半導体インゴット)28を移動させるワーク送り装置30が設けられている。このワーク送り装置30は、ワーク保持部32と、ワーク送りモータ34とを備えている。ワーク保持部32は、上記ワーク28をその軸方向とワイヤ並び方向とが合致する向きに保持するものであり、ワーク送りモータ34は、図略のボールネジとの組み合わせにより、上記ワーク保持部32とワーク28とを一体に昇降させる(切断送りする)ものである。
【0019】
ガイドローラ24A,24B間に張られたワイヤWの上方において、ワーク28の左右両側の位置には、砥粒供給装置36A,36Bが設けられている。これらの砥粒供給装置36A,36Bは、高速駆動される各ワイヤWに対して、砥粒が混合された加工液(スラリ)を供給してワイヤWの表面に付着させるものである。
【0020】
従って、このワイヤソーでは、ガイドローラ24A,24B間に張られた多数本のワイヤWがその長手方向に同時高速駆動され、かつこれらのワイヤWに砥粒供給装置36A,36Bからスラリが供給されながら、ワーク28がワイヤWに対して切断送りされることにより、このワーク28から一度に多数枚のウエハ(薄片)が同時に切り出される。
【0021】
なお、同図中、符号19A,19Bはそれぞれワイヤ張力調節装置18A,18Bを駆動する駆動モータである。このワイヤソーでは、これらの駆動モータ19A,19Bを含むワイヤ駆動用のモータ(駆動モータ25、ボビン駆動モータ11A,11B等)は、何れもサーボモータから構成されている。
【0022】
次に、上記ワイヤWの駆動を制御する制御系の構成について図2を用いて説明する。
【0023】
図2において、符号40は、ワイヤソーの電源である三相交流電源(以下、電源と略す)であり、符号42は、駆動モータ25の駆動を制御するサーボアンプである。本発明では、このサーボアンプに本発明の電力供給装置が適用されている。なお、サーボアンプ42は、ワイヤWを駆動する前記モータ25,11A,11B,19A,19B毎にそれぞれ設けられるが、図2では、便宜上、ガイドローラ26Aを駆動する駆動モータ25とそのサーボアンプ42のみを図示している。
【0024】
前記サーボアンプ42は、コンバータ部44、平滑部46、インバータ部48及び制御部50を含み、前記電源40がコンバータ部44に、駆動モータ25がインバータ部48にそれぞれ接続されている。
【0025】
コンバータ部44は、三相交流電源からの交流電力を直流電力に変換するもので、インバータ部48は、コンバータ部44で変換された直流電力を所定周波数及び電圧の三相交流電力に変換する。これらコンバータ部44とインバータ部48とは一対の直流電路を介して接続されている。
【0026】
平滑部46は、コンバータ部44により変換された直流電力を平滑化するとともにその直流電力を蓄積するもので、駆動モータ25を減速動作に移行させるために必要な電力を蓄積可能な蓄電能力を有する。
【0027】
この平滑部46は、電気二重層キャパシタ46aと電解コンデンサ46bとからなり、これら電気二重層キャパシタ46aと電解コンデンサ46bとは互いに並列に前記直流電路間に設けられている。これにより停電や瞬低(電源40の瞬時停電や瞬時電圧低下)により適正な電力供給が妨げられたときには、これら電気二重層キャパシタ46a及び電解コンデンサ46bに蓄積された電力が減速開始用の駆動電力として駆動モータ25に供給される。なお、これら電気二重層キャパシタ46a及び電解コンデンサ46bのうち、停電や瞬低の際に駆動モータ25に供給するための電力の大部分は電気二重層キャパシタ46aに蓄積され、電解コンデンサ46bは、後述するように、放電開始時(駆動モータ25に電力供給を開始した時)に生じる電気二重層キャパシタ46aの電圧降下を補完するための電力を蓄積する。従って、電解コンデンサ46bの蓄電容量は電気二重層キャパシタ46aの蓄電容量に比べて小さい。
【0028】
制御部50は、前記インバータ部48を制御することにより駆動モータ25への電力供給を制御するものであり、図示を省略するが、このワイヤソーの駆動を統括的に制御するNC(Numerical Control)装置からの制御信号に基づいてインバータ部48を制御する。
【0029】
なお、同図中符号60は、周知のUPSであって、電源40からの電力の供給状態を検知しながら停電等により電源40からの電力供給が遮断されると、各サーボアンプ42の制御部50及びNC装置に対して電力を供給するとともにNC装置に対して電源40からの電力供給が停止されたことを示す信号(電力供給停止信号)を出力する。
【0030】
次に、上記のように構成されたワイヤソーの作用効果について説明する。
【0031】
このワイヤソーが起動すると所定のウォームアップ動作が実行される。このウォームアップ動作中、各サーボアンプ42においては、電源40から供給される交流電力が直流電力に変換されるとともに平滑化され、この直流電力が平滑部46(電気二重層キャパシタ46a及び電解コンデンサ46b)に蓄積される。
【0032】
ウォームアップ動作が完了すると、NC装置から各サーボアンプ42の制御部50に制御信号が出力され、制御部50によりインバータ部48が制御されることにより直流電力が所定周波数及び電圧の交流電力に変換されながら各駆動モータ25、ボビン駆動モータ11A,11B、駆動モータ19A,19B(以下、駆動モータ25等)に供給される。これによりワイヤWが高速駆動される一方で、ワーク送り装置30によりワーク28が切断送りされ、ワーク28の切り出しが行われる。そして、各駆動モータ25及びボビン駆動モータ11A,11Bの回転駆動方向が交互に切換えられながら、つまりワイヤWの走行方向が切換えられながらワーク28の切り出しが進められる。
【0033】
なお、このようなワイヤWの走行方向の切換時には、各モータ11A,11B,25の減速及び加速が行われるため、これにより各モータ11A,11B,25の減速時には、当該モータ11A,11B,25で発生する回生電力が各サーボアンプ42の平滑部46に蓄積され、その後、各モータ11A,11B,25の加速時には、この平滑部46に蓄積された電力が各モータ11A,11B,25に供給されることとなる。これにより各モータ11A,11B,25で発生する回生電力がワイヤWの駆動に有効に活用される。
【0034】
このようなワイヤソーの駆動中、停電等により電源40からの電力供給が停止されると、UPS60からNC装置及び各サーボアンプ42の制御部50に電力供給が開始される。NC装置は、サーボアンプ42の平滑部46の電圧を監視しており、この電圧が所定電圧以下になる場合に、NC装置から各サーボアンプ42の制御部50にモータ停止指令信号、すなわち駆動モータ25等を停止させるための制御信号が出力される。
【0035】
制御部50は、このモータ停止指令信号の入力に基づき駆動モータ25等を減速動作に移行すべくインバータ部48を制御する。この際、停電により電源40からの電力供給が遮断されているため、各サーボアンプ42の平滑部46(電気二重層キャパシタ46a及び電解コンデンサ46b)に蓄積されている電力が減速開始用の駆動電力として駆動モータ25等に供給される。このようにして各駆動モータ25が減速動作に移行すると、その後は、駆動モータ25等が発電機として機能することにより、その回生電力がモータ減速用の駆動電力として使用されながら駆動モータ25等が減速制御され、このようにして駆動モータ25等が減速することにより、駆動モータ25等がそれぞれ同期した状態で正常に停止することとなる。
【0036】
以上のように、このワイヤソーでは、停電等により駆動モータ25等への電力供給が遮断されたときには、各サーボアンプ42の平滑部46(電気二重層キャパシタ46a及び電解コンデンサ46b)に蓄積されている電力を減速開始用の駆動電力として駆動モータ25等に供給し、駆動モータ25等をそれらの同期を保ちながら適切に減速させるため、停電時等に、ガイドローラ24A,24B,26A,26Bが慣性力等により互いに独立して回転してワイヤWが断線に至るといった不都合を未然に防止することができる。
【0037】
特に、このワイヤソーによれば、平滑部46として電解コンデンサに比べて蓄電能力の高い電気二重層キャパシタ46aを設けているため、サーボアンプ42の大型化を抑えながら駆動モータ25等の減速用の電力をより多くバックアップすることが可能である。
【0038】
しかも、平滑部46はこの電気二重層キャパシタ46aに電解コンデンサ46bを併用した構成であるため、放電開始直後の初期電圧を適切に確保することができるという利点がある。すなわち、電気二重層キャパシタは蓄電能力が高い一方で、その内部抵抗による電圧降下が大きく、電気二重層キャパシタのみで平滑部46を構成する場合には、例えば図3中に二点鎖線に示すように、放電開始直後の電圧降下により初期電圧が大幅に下がってしまう。これに対して、電解コンデンサのみで平滑部46を構成する場合には、同図中の一点鎖線に示すようにそのような顕著な電圧降下はなく、このような特性を有する電気二重層キャパシタ46aと電解コンデンサ46bとを併用した上記平滑部46の構成によると、同図中の実線に示すように、電気二重層キャパシタ46aによる初期放電時の電圧降下が電解コンデンサ46bにより蓄積された電力により補完され、その結果、駆動モータ25等を減速動作に移行するために必要な電力(電圧)を確実にかつ長期的にバックアップすることが可能となる。
【0039】
従って、このワイヤソーによれば、コンパクトな装置構成を保ちながら駆動モータ25等の減速動作用の電力をより多くバックアップすることが可能であり、例えば大型のワーク28を切断する高負荷切断時など、駆動モータ25等から効率良く回生電力を得ることが難しく十分な回生電力を得るまでに時間を要するような場合でも、サーボアンプ42(平滑部46)に蓄積した電力だけで駆動モータ25等を適切に減速動作に移行させて停止させることが可能となり、その結果、ワイヤWの走行をより確実かつ正常に停止させることができるようになる。
【0040】
なお、このワイヤソーでは、上記のように初期電圧を十分に確保し、より長期的な電力をバックアップするために平滑部46として電気二重層キャパシタ46aと電解コンデンサ46bとを併用する構成を採用しているが、電圧降下後の電力で駆動モータ25を確実に減速、停止させることができるような場合には、電解コンデンサ46bを省略して電気二重層キャパシタ46aのみで平滑部46を構成するようにしてもよい。
【0041】
また、この実施形態では、駆動モータ25等を制御するためのサーボアンプ42に本発明を適用した例について説明したが、勿論、サーボアンプ42に限定されるものではなく、サーボモータ以外の誘導モータを制御するための装置、すなわち電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、これを平滑化した上で所定の周波数及び電圧の交流電力に変換したからモータに供給する装置であれば本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
25 駆動モータ
40 三相交流電源
42 サーボアンプ
44 コンバータ部
46 蓄電部
46a 電気二重層キャパシタ
46b 電解コンデンサ
48 インバータ部
50 制御部
60 UPS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動により軸方向に走行する切断用ワイヤを有し、この切断用ワイヤに対してその軸方向と直交する方向にワークを相対的に切断送りすることにより当該ワークを切断するワイヤソーの電力供給装置であって、
電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部で変換された直流電力を平滑化するとともに蓄積する平滑部と、平滑化された直流電力を交流電力に変換してモータを駆動するインバータ部と、前記電源からの交流電力の供給停止又は電圧低下時に前記平滑部に蓄積された電力を用いてモータを減速動作に移行すべく前記インバータ部を制御する制御部とを備えており、前記平滑部として電気二重層キャパシタを有し、前記減速動作時には、この電気二重層キャパシタに蓄積された電力が交流電力に変換されて前記モータに供給されることを特徴とするワイヤソーの電力供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤソーの電力供給装置において、
前記平滑部として前記電気二重層キャパシタに加えて電解コンデンサが設けられており、前記減速動作時には、これら電気二重層キャパシタ及び電解コンデンサに蓄積された電力が交流電力に変換されて前記モータに供給されることを特徴とするワイヤソーの電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−218520(P2011−218520A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92983(P2010−92983)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(391003668)トーヨーエイテック株式会社 (145)
【Fターム(参考)】