説明

ワイヤレスヘッドレスト

【課題】
携帯電話等の通話源を特定の箇所にセットすることなく、ヘッドレストによるハンズフリー通話を可能とした新規な手法を提供する。
【解決手段】
車の座席に備え付けられたヘッドレスト10−1〜10−4にワイヤレス通信機能を持たせることで、携帯電話50、携帯プレーヤ52、カーステレオ54等の車内で利用される各種音声ソースとの音声データの交換を可能とし、この交換した音声データを各ヘッドレスト10−1〜10−4に設けられたスピーカから出力する。さらに、各ヘッドレスト10−1〜10−4の通信機能を利用することで、ヘッドレストを介した同乗者間の会話も可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤレスヘッドレストに関し、特に、装着時の違和感緩和に有効なワイヤレスヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話のハンズフリー装置としては、下記の文献に記載されたものが知られている。
【特許文献1】特開2002−247173号公報 この特許文献1には、携帯電話をスピーカとマイクロホンを備えた充電器にセットすることで、ハンズフリーを可能とした構成が示されている。
【0003】
一方、ヘッドセット型のハンズフリー装置としては、下記の文献に記載されたものが知られている。
【特許文献2】特表平10−509570号公報 この特許文献2には、ヘッドセットをスタンドに取り付けて、卓上マイクロホンとして使用可能とした構成が示されている。
【0004】
また、ヘッドレスト型のハンズフリー装置としては、下記の文献に記載されたものが知られている。
【特許文献3】特開平5−92741号公報
【特許文献4】特開平8−324354号公報
【特許文献5】特開平9−149112号公報
【特許文献6】特開平11−004287号公報
【特許文献7】特開2000−232922号公報
【特許文献8】特開2001−095646号公報
【特許文献9】特開2001−146136号公報
【特許文献10】特開2001−260762号公報
【特許文献11】特開2001−260763号公報
【特許文献12】特開2002−057773号公報
【特許文献13】特開2002−271463号公報
【特許文献13】特開2002−362245号公報
【特許文献14】特開2003−224653号公報
【特許文献15】特開2004−015090号公報
【特許文献16】特開2004−016711号公報 これら特許文献3〜16には、自動車内に設けられたヘッドレストにマイクとスピーカを内蔵し、ヘッドレストによるハンズフリー通話を可能とした例が多数開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の構成では、ハンズフリー通話を行うためには、携帯電話をカバンやポケットから取り出して充電器にセットする必要があり、また、他人に聞かれたくない内容の場合には、携帯電話で通話する必要があるため、ハンズフリー通話を維持することができなかった。特に、車内で使用する場合には、携帯電話を充電器にセットする構成では不必要に大きくなり、重心も安定しないため、車内での取付場所に制約を受けることになる。
【0006】
また、上記特許文献2の構成では、通話源との接続が有線になるため煩わしさが残り、上記特許文献1と同様に、携帯電話をカバンやポケットに入れたままの通話はできなかった。
【0007】
また、上記特許文献3〜16の構成では、上述の特許文献1と同様に、ハンズフリー通話を行うためには、携帯電話をカバンやポケットから取り出してヘッドレストに接続する必要があり、携帯電話の取り出しや固定に煩雑さが残るという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、携帯電話等の通話源を特定の箇所にセットすることなく、ヘッドレストによるハンズフリー通話を可能とした新規な手法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、通話源との無線通信を確立する手段と、前記無線通信を介して前記通話源との音声交換が可能なスピーカおよびマイクを備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、通話源としては、携帯電話、固定式電話、公衆電話、IP電話等の各種電話機器や、PCやPDA等のコンピュータ機器、ラジオやステレオ等のオーディオ機器等、音声信号を扱う各種機器や他のワイヤレスヘッドレストが含まれる。
【0011】
これらの通話源とヘッドレストには、双方向または一方向の無線通信による音声信号の交換が可能な無線通信回路が組み込まれ、この回路間で構築される無線通信コネクションを介して音声信号の送受信が行われる。ここで使用する無線通信規格としては、音声信号の交換に適し、かつ、他信号の影響を受けにくいブルートゥースが推奨される。
【0012】
上記構成によれば、ヘッドレストと通話源との音声信号の交換は、無線通信を介して行われるため、例えば、携帯電話をカバンやポケットに入れたままで、ヘッドレストによるハンズフリー通話が可能となる。
【0013】
ここで、ヘッドレストはユーザから非常に近い位置に配置されるため、例えば運転中に同乗者に聞かれたくない内容であっても、自己のみが聞こえる音量でハンズフリー通話を行うことができるとともに、一人で運転中の場合でも、ヘッドセット装着の煩わしさを避けたハンズフリー通話を行うことができる。
【0014】
さらに、自動車用ハンズフリーのシーンにあっては、ヘッドセットで耳をふさぐことによる運転中の違和感や外音が聞こえにくくなることによる危険性を緩和することもできる。
【0015】
また、請求項2記載の発明は、無線通信手段と、スピーカと、マイクとを備えたワイヤレスヘッドレストを複数備え、前記各ワイヤレスヘッドレストは、前記無線通信手段を介して他のワイヤレスヘッドレストとの通信を可能としたことを特徴とする。
【0016】
このようにヘッドレスト同士の通信を可能とすることで、同乗者間でヘッドレストを介した会話を行うことが可能になるため、例えば、高速道路の運転中や窓を開けた状態での運転等の騒音が多い環境下であっても、同乗者間での会話を行うことができる。
【0017】
また、請求項3記載の発明は、通話源との無線通信を確立する手段と、前記通話源から受信した受話音を外部に出力するスピーカと、送話音の取り込みが可能な位置に設けられた第1のマイクロホンと、外音の取り込みが可能な位置に設られた第2のマイクロホンとを具備することを特徴とする。
【0018】
上記のように、外音取り込み機能を設けることで、通話中であってもキャッチしなればならない外音、例えば、サイレン等の取り込みも可能になる。その他、受話音と外音との合成機能をさらに設けることで、例えば、受話音と外音の音量バランス調整が可能になる等、より快適な通話を提供することができる。
【0019】
また、、請求項4記載の発明は、通信源との無線通信を確立する手段と、前記通信源から受信した音声信号を外部に出力するスピーカと、外音の取り込みが可能な位置に設られたマイクロホンと、前記マイクロホンから取り込んだ外音の種類を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて前記通信源から受信した音声信号の音量を調節する手段とを具備することを特徴とする。
【0020】
ここで、通信源としては、携帯電話の他、カーステレオや携帯音楽プレーヤ等の音楽再生装置や他のワイヤレスヘッドレストが含まれる。
【0021】
このように、外音の種類に応じて受信音声の音量を調整する機能を設けることで、通話中や音楽のリスニング中であってもキャッチしなればならない外音、例えば、サイレン等が鳴っている場合には、受信音を自動的に小さくすることで、サイレンの確実なキャッチが可能になる。
【0022】
また、請求項5記載の発明は、複数の通信源との無線通信を確立する手段と、前記無線通信を確立する通信源を選択する手段と、前記選択した通信源から受信した音声信号を外部に出力するスピーカとを具備することを特徴とする。
【0023】
このように通信源の選択機能を設けることで、例えば、ある同乗者と会話したい場合には、当該同乗者のワイヤレスヘッドレストとの無線通信を確立させ、全員と会話したい場合には、全員のワイヤレスヘッドレストとの無線通信を確立させ、一人または全員で音楽を聴きたい場合には、音楽プレーヤを通信源として選択する等のユーザによるソースの自由な選択が可能になる。
【0024】
また、請求項6記載の発明は、複数の通信源との無線通信を確立する手段と、前記通信源から受信した信号の種類を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて前記無線通信を確立する通信源を選択する手段と、前記選択した通信源から受信した音声信号を外部に出力するスピーカとを具備することを特徴とする。
【0025】
このように複数の通信源を自動的に切替可能な構成とすることで、例えば、音楽を聴いている時に携帯電話からの着信が入った場合は、自動的に携帯電話の通話に切り替わる構成や、同乗者から会話のリクエストがあった場合に、当該同乗者への通信に切り替わる構成を取ることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、各種の通信源との無線交信が可能なヘッドレスト通信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。尚、本発明は、以下説明する実施形態に限らず適宜変更可能である。
【0028】
図1は、本実施形態に係るワイヤレスヘッドレストのシステム構成を示す平面図である。同図に示すように、本システムでは、車内の座席に設けられたヘッドレストにワイヤレス機能が組み込まれたワイヤレスヘッドレスト10−1〜10ー4が各座席に設けられる。
【0029】
その結果として、各ワイヤレスヘッドレスト10−1〜10ー4は、通信源となる携帯電話50、携帯プレーヤ52、カーステレオ54および他のヘッドレストと無線通信可能なワイヤレスヘッドレストとして構成される。ここで、各通信源とヘッドレスト10との間は、ワイヤレスコネクション60による双方向通信が行われ、通信規格としては音声通信に適し、7基までのマルチコネクションが可能なブルートゥースが適用される。よって、各通信源には、ブルートゥース回路が搭載される。
【0030】
このワイヤレスヘッドレスト10は、運転中等の携帯電話50の使用が制約されるハンズフリーシーンで好適に利用される。例えば、運転中に携帯電話50が着信を受けた場合には、携帯電話50とヘッドレスト10とがワイヤレスリンク60を介して接続され、この状態でヘッドレスト10を耳に装着することにより、携帯電話50をカバンやポケットに入れたままであってもハンズフリー通話を行うことができる。
【0031】
その他、携帯プレーヤ52やカーステレオ54で再生される音楽を聴きたい場合には、ブルートゥースの通信チャネルを当該音楽ソースに切り替えることで、好みのソースを選択し、ヘッドレストに内蔵されたスピーカから音楽を聴くことができる。
【0032】
加えて、同乗者間で会話を行いたい場合には、ブルートゥースの通信チャネルを他のヘッドレストに切り替えることで、ヘッドレストを介した会話を行うことができる。その際、ヘッドレスト内に設けられた音声認識・合成機能により、カーステレオ54で再生された音楽をBGMにして会話を行うことも可能である。
【0033】
さらに、車外でサイレンSirenが鳴っている場合には、音楽のリスニングや会話の途中であっても、ヘッドレスト内に設けられた音声認識・合成機能により、当該音楽や会話中にサイレンSirenを割り込ませるか、または、音楽や会話を止めることで、サイレンSirenが確実にキャッチできるように構成される。
【0034】
また、各ヘッドレスト10−1〜10−4には、2基のスピーカが設けられており、ステレオでもモノラルでも、いずれの音声再生も可能に構成され、音源ソースの形式に応じて、自動的に出力方式が選択される。
【0035】
図2は、図1に示したヘッドレストの構成を示す斜視図である。同図に示すように、ヘッドレスト10は、各種回路を収容したヘッドレスト本体12と、該ヘッドレスト本体12に取り付けられたスピーカ14−1および14−2と、送話用マイク18と、外音収集用マイク20と、シガライタ等に接続可能な電源コード30とで構成される。尚、ヘッドレスト本体12には、電源コード30からの電源のON/OFFを切り替える図示しない電源スイッチが設けられる。
【0036】
ここで、スピーカ14−1および14−2は、携帯プレーヤ52等の音楽ソースのステレオ出力に対応して、ヘッドレスト10の左右にそれぞれ配置され、Sound(R)およびSound(L)を出力する。
【0037】
送話用マイク18は、ユーザが発した声をキャッチするマイクロホンを先端に内蔵するとともに、角度調整部22の蛇腹構造によってロッドアンテナのように伸縮自在で好みの方向に向けることが可能な構造で、ヘッドレスト本体12に回動可能な状態で取り付けられる。尚、会話をしない場合や音楽を聞く場合には、このマイク18をヘッドレスト本体12の裏側に送って収容することも可能である。
【0038】
外音収集用マイク20は、外音の取り込みが好適な位置に設けられ、このマイク20で収集した外音がヘッドレスト10の内部で音声処理される。例えば、外音収集用マイク20で取り込んだ音声の中にサイレン等の特定音声パターンが含まれていた場合には、音楽や会話を中断してサイレンのみをスピーカ14−1および14−2から出力することで、ユーザに対して当該サイレンの存在を認知させる。
【0039】
図3は、図2に示したヘッドレストの内部回路構成を示すブロック図である。同図に示すように、ヘッドレスト10は、携帯電話や他のヘッドレストとの無線通信機能を提供するブルートゥース回路100と、該ブルートゥース回路100から出力された信号に対してノイズキャンセラやイコライザ処理を行う音声処理回路104と、該各回路100および104に必要なプログラムおよびデータを格納する不揮発性メモリ112−1および112−2と、該音声処理回路にて処理された信号を増幅するオーディオアンプ106と、音声入力インターフェースとなる第1および第2のマイクロホン108−1および108−2と、音声出力インターフェースとなるスピーカ110−1および110−2とで構成される。
【0040】
ここで、第1のマイクロホン108−1は、図2に示した送話用マイク18の内部に組み込まれ、第2のマイクロホン108−2は、図2に示した外音収集用マイク20の内部に組み込まれ、スピーカ110−1および110−2は、図2に示したヘッドレスト本体12の左右にそれぞれ配置される。
【0041】
図4は、図3に示した音声処理回路の第1の構成例とその動作を説明したブロック図である。同図に示す音声処理回路104は、ブルートゥース回路100、第1のマイクロホン108−1および第2のマイクロホン108−2からそれぞれ入力される信号に対応して設けた重み演算器150−1〜150−3と、該各演算器150−1〜150−3の出力を合成する合成回路152とで構成される。
【0042】
重み演算器150−1に入力されたブルートゥース回路100からの受信音は、「A」という重み付けがされて「A・受信音」として合成回路152に入力され、重み演算器150−2に入力された第1のマイクロホン108−1からの送話音は、「B」という重み付けがされて「B・送話音」として合成回路152に入力され、重み演算器150−3に入力された第2のマイクロホン108−2からの外音は、「C」という重み付けがされて「C・外音」として合成回路152に入力される。
【0043】
ここで、各重み演算器150−1〜150−3には、外部からのボリュームコントロール信号が入力される構成となっており、ユーザは、各重み値A、BおよびCに対して好みの値を設定することができる。
【0044】
合成回路152は、各重み演算器150−1〜150−3から得た信号を合成して、「A・受信音+B・送話音+C・外音」なる合成信号を生成し、この生成した合成信号をオーディオアンプ106を介してスピーカ110−1および110−2から出力する。
【0045】
この音声処理回路104の外音処理により、通話中や音楽のリスニング中であっても、外音を常にスピーカから出力させることができるため、片耳であっても塞ぐことが規制の対象になり得る自動車用ハンズフリーへの適用も期待できる。
【0046】
さらに、会話や音楽と外音との音声バランスは、ユーザが好みの状態に調整でき、また、外音にサイレンや警告音が含まれている場合には、外音の音量を自動的に大きく設定することもできるため、各種ハンズフリーへの応用が期待できる。
【0047】
図5は、図3に示した音声処理回路の第2の構成例とその動作を説明したブロック図である。同図に示す音声処理回路104は、ブルートゥース回路100、第1のマイクロホン108−1および第2のマイクロホン108−2からそれぞれ入力される信号を解読する音声デコーダ154と、ブルートゥース回路100、第1のマイクロホン108−1および第2のマイクロホン108−2からそれぞれ入力される信号に対応して設けた重み演算器150−1〜150−3と、該各演算器150−1〜150−3の出力を合成する合成回路152とで構成される。
【0048】
音声デコーダ154は、入力された各音声信号の種類を判定し、例えば、第2のマイクロホン108−2から得た外音の中にサイレンや警告が含まれている場合には、重み値Cを大きく設定するとともに、重み値AおよびBを小さく設定するかまたは遮断して、サイレンや警告を確実にキャッチできるようユーザに働きかける。
【0049】
ここで、音声デコーダ154には、外部からのボリュームコントロール信号が入力される構成となっており、ユーザは、各重み値A、BおよびCに対して好みの値を設定することができる。尚、重み演算器150−1〜150−3および合成回路152の構成および動作は、前述の図4に示した例と同様である。
【0050】
このように本音声処理回路104では、音声デコーダ154による音声認識に基づいて、各音声の重み量が自動的に調整されるため、外音に含まれたサイレンや警告等を確実にキャッチすることができる。
【0051】
図6は、図5に示した音声処理回路が実行する合成処理の一例を示すフローチャートである。同図に示すように、図5に示した音声処理回路は、受信した外音にサイレンが含まれているか否かを判断し(ステップS100)、サイレンが含まれていた場合には、通話信号の重み値AおよびBを小さく設定するとともに、当該サイレンが含まれた外音の重み値Cを大きく設定する(ステップS102)。
【0052】
その後、入力された受信音、送話音、外音にそれぞれA、BおよびCの重み付けを行ってこれらを合成し(ステップS104)、この合成した信号をスピーカから出力する。
【0053】
一方、外音にサイレンが含まれていなかった場合には(ステップS100でNO)、ステップS102の処理を飛ばして、ステップS104の処理を実行する。その後、ヘッドレストの電源がOFFされるまで、ステップS100からステップS104までの処理を繰り返す(ステップS106でNO)。
【0054】
図7は、図3に示したヘッドレストの内部回路に外部からのチャネル切替機能を付加した構成例を示すブロック図である。ブルートゥース回路100の無線確立手法としては、予め登録された優先順位に従って通信相手を選択する方法や、通信確立が可能な相手を自動的に走査する方法等があるが、同図に示す例は、ユーザからの指示によって通信相手の選択を可能とした場合の例である。
【0055】
このように、ユーザからの指示によって通信相手の選択を可能とする場合には、同図に示すように、チャネル選択信号Channel Selectを外部から取り込んで、ブルートゥース回路100に入力する構成とし、入力されたチャネル選択信号Channel Selectが示す通信相手を優先的に選択する構成とする。
【0056】
図8は、図3に示したヘッドレストの内部回路にチャネル自動切替機能を付加した構成例を示すブロック図である。同図に示す例は、マイクロホン108−1または108−2から受信した音声の種類によって通信相手の選択を可能とした場合の例である。
【0057】
このように、受信した音声の種類によって通信相手の選択を可能とする場合には、同図に示すように、音声処理回路104内で各マイクロホンから取り込んだ信号の音声認識を行い、この認識結果に基づいて、チャネル選択信号Channel Selectをブルートゥース回路100に入力する構成とする。
【0058】
ここで、不揮発性メモリ112−2には、音声信号の種類ごとに固有の自動処理が登録されており、音声処理回路104は、この登録された自動処理を選択実行する。例えば、音楽のリスニング中にユーザから「シートA」との音声入力を受けた場合には、シートAに備え付けられたヘッドレストとの無線リンクを確立する処理や、ラジオから緊急ニュースが入った場合は、カーステレオに無線リンクを切り替える処理や、携帯電話からの着信があった場合には、当該携帯電話に無線リンクを切り替える処理を行う。
【0059】
図9は、本実施形態に係るワイヤレスヘッドレストの別のシステム構成を示す平面図である。同図に示すように、各通信源の無線リンクは、中継機62を介して行う構成としても良い。その他は、図1に示した例と同様である。
【0060】
このように、中継機62を介することで、各ヘッドレストのブルートゥース回路は、当該中継機62との無線リンクを確立すれば良い構成となり、中継機62にルータ機能を持たせておけば、携帯電話50や携帯プレーヤ52の音源を各ヘッドレストで共有することができる。
【0061】
尚、上述した例では、同じ車内に存在する通信源とヘッドレストとの間での通信を例に説明したが、他の車内に存在する通信源との通信を行う構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、携帯電話や携帯プレーヤ等の通信源を特定の箇所にセットすることなく、ヘッドレストによるハンズフリー通話が可能になるため、各種音源が混在し同乗者との会話が望まれる車載用ハンズフリーへの適用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態に係るワイヤレスヘッドレストのシステム構成を示す平面図である。
【図2】図1に示したヘッドレストの構成を示す斜視図である。
【図3】図2に示したヘッドレストの内部回路構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示した音声処理回路の第1の構成例とその動作を説明したブロック図である。
【図5】図3に示した音声処理回路の第2の構成例とその動作を説明したブロック図である。
【図6】図5に示した音声処理回路が実行する合成処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図3に示したヘッドレストの内部回路に外部からのチャネル切替機能を付加した構成例を示すブロック図である。
【図8】図3に示したヘッドレストの内部回路にチャネル自動切替機能を付加した構成例を示すブロック図である。
【図9】本実施形態に係るワイヤレスヘッドレストの別のシステム構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0064】
10…ワイヤレスヘッドレスト、12…ヘッドレスト本体、14…スピーカ、18…送話用マイク、20…外音収集用マイク、22…角度調整部、24…ベースプレート、30…電源コード、50…携帯電話、52…携帯プレーヤ、54…カーステレオ、60…ワイヤレスリンク、62…中継機、100…ブルートゥース回路、102…バッテリ、104…音声処理回路、106…オーディオアンプ、108…マイクロホン、110…スピーカ、112…不揮発性メモリ、150…重み演算器、152…合成回路、154…音声デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話源との無線通信を確立する手段と、
前記無線通信を介して前記通話源との音声交換が可能なスピーカおよびマイクを備えたワイヤレスヘッドレスト。
【請求項2】
無線通信手段と、スピーカと、マイクとを備えたワイヤレスヘッドレストを複数備え、 前記各ワイヤレスヘッドレストは、
前記無線通信手段を介して他のワイヤレスヘッドレストとの通信を可能としたことを特徴とするワイヤレスヘッドセット。
【請求項3】
通話源との無線通信を確立する手段と、
前記通話源から受信した受話音を外部に出力するスピーカと、
送話音の取り込みが可能な位置に設けられた第1のマイクロホンと、
外音の取り込みが可能な位置に設られた第2のマイクロホンと
を具備するワイヤレスヘッドレスト。
【請求項4】
通信源との無線通信を確立する手段と、
前記通信源から受信した音声信号を外部に出力するスピーカと、
外音の取り込みが可能な位置に設られたマイクロホンと、
前記マイクロホンから取り込んだ外音の種類を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記通信源から受信した音声信号の音量を調節する手段と
を具備するワイヤレスヘッドレスト。
【請求項5】
複数の通信源との無線通信を確立する手段と、
前記無線通信を確立する通信源を選択する手段と、
前記選択した通信源から受信した音声信号を外部に出力するスピーカと
を具備するワイヤレスヘッドレスト。
【請求項6】
複数の通信源との無線通信を確立する手段と、
前記通信源から受信した信号の種類を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記無線通信を確立する通信源を選択する手段と、
前記選択した通信源から受信した音声信号を外部に出力するスピーカと
を具備するワイヤレスヘッドレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−80886(P2006−80886A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262532(P2004−262532)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】