説明

ワーク供給装置およびワーク供給方法

【課題】装置占有面積を減少させることができるワーク供給装置およびワーク供給方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ダイボンディング装置に板状のワークを供給するワーク供給装置において、第1ワークを多段収納し第1載置部12Bに載置されたマガジンをチャック機構3によって挟持して移動させて下流側装置への供給位置に位置合わせし、空のマガジンを第1載置部12Aに載置することにより第1ワークを供給するとともに、ワーク治具に積層状態で収納された板状の第2ワークを対象とする場合には、第2載置部12B上に着脱自在に装着されたワーク治具からワーク移載ヘッド6によって第2のワークを吸着保持して下流側装置への供給位置まで移動させる。これにより、単一のワーク供給装置によって、供給形態の異なるワークを供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ用の基板などの板状のワークを取り出してダイボンディング装置などに供給するワーク供給装置およびワーク供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハから切り出された個片の半導体素子をパッケージ用の基板に接合するダイボンディング装置には、板状のワークである基板を供給するためのワーク供給装置が付設されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献例では、基板はマガジンに複数設けられた基板保持用のスリットに個々に挿入された状態で収納されており、マガジンは所定の供給位置までリフタ装置によって移動するようになっている。そして供給位置において基板は下流側装置に備えられた引き出し機構によってマガジンから順次引き出され、下流側装置の搬送コンベアなどの搬送機構に渡される。
【特許文献1】特開平10−167471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ダイボンディング装置の対象となるパッケージ用の基板には、多数枚を積層した状態で供給される供給形態のものが存在する。この供給形態においては、基板は専用のピックアップヘッドによって1枚づつ取り出され、一旦取り出し用レールなどの基板受渡部に載置された後、下流側装置の基板搬送機構に渡される。一般にダイボンディング装置では、前述の2通りの供給形態のいずれをも対象とするため、従来装置においてはそれぞれ専用のワーク供給装置を個別に備える必要があり、装置占有面積の増大を余儀なくされていた。
【0004】
そこで本発明は、装置占有面積を減少させることができるワーク供給装置およびワーク供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワーク供給装置は、マガジンに垂直方向に複数段収納された板状の第1ワークおよびワーク治具に積層状態で収納された板状の第2ワークのうちのいずれかを下流側装置へ供給するワーク供給装置であって、前記マガジンを複数載置するマガジン載置部と、前記マガジン載置部から前記第1ワークを収納したマガジンを取り出して前記下流側装置への供給位置に移動させるマガジン取り出し移動手段と、前記ワーク治具を複数載置するワーク治具載置部に載置されたワーク治具から前記第2ワークを取り出して前記供給位置へ第2ワークを受け渡す前記ワーク受渡部に移載するワーク移載手段とを備え、前記ワーク治具載置部と前記ワーク受渡部とを前記マガジン載置部に着脱自在に装着する。
【0006】
本発明のワーク供給方法は、マガジンに垂直方向に複数段収納された板状の第1ワークおよびワーク治具に積層状態で収納された板状の第2ワークのうちのいずれかを単一のワーク供給装置によって下流側装置へ供給するワーク供給方法であって、前記ワーク供給装置は、前記マガジンを複数載置するマガジン載置部と、前記マガジン載置部から前記第1ワークを収納したマガジンを取り出して前記下流側装置への供給位置に移動させるマガジン取り出し移動手段と、前記ワーク治具を複数載置するワーク治具載置部に載置されたワーク治具から前記第2ワークを取り出して前記供給位置へ第2ワークを受け渡す前記ワーク受渡部に移載するワーク移載手段とを備え、前記第1ワークを供給する場合には前記ワーク移載手段を前記マガジン載置部から退避させ、前記マガジンをマガジン載置部に載置し、前記第2ワークを供給する場合には前記マガジン取り出し移動手段を前記マガジン載
置部から退避させ、前記ワーク治具載置部と前記ワーク受渡部とをマガジン載置部に装着し、前記ワーク治具をワーク治具載置部に載置する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マガジン載置部から第1ワークを収納したマガジンを取り出して下流側装置への供給位置に移動させるマガジン取り出し移動手段と、ワーク治具載置部に載置されたワーク治具から第2ワークを取り出してワーク受渡部に移載するワーク移載手段とを備え、ワーク治具載置部とワーク受渡部とをマガジン載置部に着脱自在に構成することにより、単一のワーク供給装置によって供給形態の異なるワークを供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の正面図、図2は本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の作業対象となるワークを収納するマガジンおよびワーク治具の斜視図、図4、図5は本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の正面図、図6は本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置によるワーク供給方法の動作説明図、図7は本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置によるワーク収納方法の動作説明図である。
【0009】
まず図1、図2を参照して、ワーク供給・収納装置の構造を説明する。このワーク供給・収納装置は、ダイボンディング装置などの作業装置にワークを供給するワーク供給装置としての機能と、作業装置から作業後のワークを受け取って収納するワーク収納装置としての機能とを、同一構造の装置によって兼務可能としたものである。さらにここでは、供給形態の異なる2種類のワークを対象として、ワークの供給・収納が可能となっている。
【0010】
すなわち、作業装置の上流側にこのワーク供給・収納装置を配置することにより、マガジンに所定間隔で垂直方向に複数段収納された板状の第1ワークおよびワーク治具に積層状態で収納された板状の第2ワークのうちのいずれかを作業装置である下流側装置へ供給するワーク供給装置として機能する。さらにこのワーク供給・収納装置を作業装置の下流側に配置することにより、上流側装置である作業装置から送り出される前述の第1ワークまたは第2ワークを受け取って、マガジンまたはワーク治具に収納するワーク収納装置として機能する。
【0011】
図1、図2において、ベース部1上にはマガジン載置部2が配設されている。ワーク供給装置として機能させる場合には、マガジン載置部2には供給対象の第1ワークを複数段収納した状態のマガジンが載置されるとともに、後述するように第2ワークを対象とする場合には第2ワークを積層収納するワーク治具が装着される。またワーク収納装置として機能させる場合にもマガジン載置部2には同様にマガジンやワーク治具が装着されるが、この場合には上流側装置から受け取ったワークがこれらのマガジンやワーク治具に収納される。なお、第2ワーク18を収納する際には、ワーク治具でなく、マガジンに収納してもよい。
【0012】
マガジン載置部2の右側方には、マガジン載置部2からマガジンを上下から挟み込むチャック機構3が、水平移動機構4Y、昇降移動機構4Zによって水平方向および垂直方向に移動可能に配設されている。またベース部1の上面には垂直な垂直フレーム5aが立設されており、垂直フレーム5aの上端部から水平方向に延出して設けられた水平フレーム5bには、ワーク移載ヘッド6がヘッド昇降機構7およびヘッド水平移動機構8によって昇降および水平移動可能に設けられている。
【0013】
チャック機構3およびワーク移載ヘッド6が移動可能な位置には、供給・受取りコンベア9が設けられている。ワーク供給装置として機能する場合には、供給・受取りコンベア9は、供給対象のワークを下流側装置へ搬送して供給する。すなわち供給・受取りコンベア9が配設された位置は、下流側装置へワークを供給する供給位置となっている。またワーク収納装置として機能する場合には、供給・受取りコンベア9は、収納対象のワークを上流側装置から受け取る。この場合には供給・受取りコンベア9が配設された位置は、上流側装置からワークを受け取る受取位置となっている。
【0014】
ここで図3を参照して、対象となるワークの種類およびこれらのワークの供給形態について説明する。図3(a)は、板状の第1ワーク15および第1ワーク15を垂直方向に複数段収納するために用いられるマガジン14を示している。マガジン14にはワーク収納用のワーク収納スリット14aが所定間隔で垂直方向に複数段に設けられており、各ワーク収納スリット14aには第1ワーク15が1枚づつ収納される。そしてワーク収納スリット14aには開口部14bが形成されており、第1ワーク15はその両端部でワーク収納スリット14aに保持されている。なお、図4,図6,図7においては、マガジン14を簡略化して図示している。
【0015】
第1ワーク15は部品の性質上、ワーク表裏面を他のワークと接触させることが好ましくないような種類のワークであり、このようなマガジン14を用いる取扱いにより、収納状態におけるワークダメージの発生を防いでいる。第1ワーク15をダイボンディング装置などの下流側装置に対して供給する場合には、マガジン載置部2に載置されたマガジン14をチャック機構3によって挟み込んで保持して移動させて、対象となるワーク収納スリット14aを供給・受取コンベア9に位置合わせし、下流側装置に備えられたワーク引出・送込機構10によってワーク収納スリット14a内の第1ワーク15を引き出す。また上流側装置によって作業終了後に供給・受取コンベア9を介して送り出された第1ワーク15は、ワーク引出・送込機構10によってマガジン14のワーク収納スリット14a内に送り込まれて収納される。
【0016】
図3(b)は、板状の第2ワーク18を収納するワーク治具17を示している。ワーク治具17は、ベース部17aに立設された複数のワークガイドポスト17bによって、第2ワーク18の端面を位置保持する構造となっており、これにより第2ワーク18は積層状態でベースプレート16a上の所定位置に保持される。第2ワーク18は、第1ワーク15と異なりワーク相互を積層状態で取り扱っても差し支えないような種類のワークであり、各ワークの間に層間紙18aを挟んで積層される。このように積層状態で収納することにより、簡単な構造のワーク治具で収納することができ、取り扱いを簡略化することが可能となっている。ワーク治具17としては、ワークガイドポスト17bを直接ベースプレート16aに植設した構成としてもよい。
【0017】
第2ワーク18を下流側装置に対して供給する場合には、複数のワーク治具17が設けられたワーク治具ユニット16(図5参照)をマガジン載置部2の上部に装着し、ワーク移載ヘッド6の吸着ノズル55によって第2ワーク18を吸着保持して取り出し、供給・受取コンベア9を介して下流側装置に供給する。また上流側装置によって作業終了後に供給・受取コンベア9を介して送り出された第2ワーク18は、ワーク移載ヘッド6によって吸着保持されて、ワーク治具ユニット6上の各ワーク治具17に移載収納される。
【0018】
次に、各部の詳細構造を説明する。まずマガジン載置部2の構造を説明する。図2に示すように、ベース部1の上面には保持部材11が立設されており、保持部材11の側面にはそれぞれマガジン14を水平方向に複数載置する第1載置部12A、第2載置部12Bが2段に設けられている。下段に位置する第1載置部12Aには第1ワーク15が取り出された後の空のマガジン14が載置され、第1載置部12Aの上方に配置された第2載置
部12Bには、各ワーク収納スリット14aに第1ワーク15が収納されたマガジン14が載置される。
【0019】
第1載置部12A、第2載置部12Bはそれぞれマガジン送りコンベア13を備えており、いずれも載置された第1ワーク15を水平方向に移動させることができるようになっている。これにより、第1載置部12A、第2載置部12Bに載置されたマガジン14を、以下に説明するチャック機構3による取り出し位置まで移動させることができるようになっている。なお、ワーク供給装置においては、第1載置部12Aにおけるマガジン送りコンベア13は必須のものではない。同様に後述するワーク収納装置においては、第2載置部12Bにおけるマガジン送りコンベア13は必須のものではない。チャック機構3によってマガジン14を順次押し込むことによってマガジンを送れば足りるからである。
【0020】
次にマガジン載置部2からマガジン14を挟み込んで取り出すチャック機構3の構造を説明する。昇降プレート20の側面には、スライダ22がスライド自在に嵌着したガイドレール21が垂直に配設されており、スライダ22はナット24と結合された昇降ブロック23に固着されている。ナット24にはチャック開閉モータ26によって回転駆動される送りねじ25が螺合しており、チャック開閉モータ26を駆動することにより、可動チャック27Aがナット24とともに昇降する。
【0021】
昇降プレート20には可動チャック27Aと上下方向に対向する位置に固定チャック27Bが固定されており、可動チャック27Aが昇降することにより、可動チャック27A、固定チャック27Bは相接近・離隔する。これによりチャック機構3は可動チャック27A、固定チャック27Bによってマガジン14を上下方向に挟み込んで取り出すことができる。したがってチャック機構3は、マガジン14を挟時してマガジン載置部2から取り出す挟持機構となっている。
【0022】
次にチャック機構3を昇降・水平移動させる昇降移動機構4Z、水平移動機構4Yについて説明する。昇降プレート20の右側面にはスライダ32が固着されており、スライダ32は垂直プレート30に垂直方向に配設されたガイドレール31にスライド自在に嵌着している。昇降プレート20の側面に結合されたナット34には、チャック昇降モータ36によって回転駆動される送りねじ35が螺合しており、チャック昇降モータ36を駆動することにより、昇降プレート20が昇降する。
【0023】
垂直プレート30の下端部は水平な移動プレート43に固着されており、移動プレート43の下面に固着されたスライダ42は、ベース部1の上面にY方向に配設されたガイドレール41にスライド自在に嵌着している。移動プレート43の下面に結合されたナット44には、チャック水平移動モータ46によって回転駆動される送りねじ45が螺合しており、チャック水平移動モータ46を駆動することにより、移動プレート43を介して垂直プレート30がY方向に水平移動する。したがってチャック機構3は、昇降移動機構4Z、水平移動機構4Yにより昇降および水平移動を行い、マガジン載置部2からマガジン14を取り出して所定経路で移動させるマガジン移動動作を行うことができる。
【0024】
次にワーク移載ヘッド6およびワーク移載ヘッド6を移動させるヘッド昇降機構7、ヘッド水平移動機構8の構造を説明する。ワーク移載ヘッド6は水平なノズルプレート54の下面に複数の吸着ノズル55を装着して構成されており、真空吸引源(図示省略)によって吸着ノズル55から吸引することにより、第2ワーク18を吸着保持する。ノズルプレート54に連結された昇降軸53はスライダ52に固着されており、スライダ52は移動ブロック50に垂直に配設されたガイドレール51にスライド自在に嵌着している。
【0025】
移動ブロック50には、駆動プーリ58および従動プーリ59が上下に配設されており
、駆動プーリ58と従動プーリ59に調帯されたベルト57は、結合部材56を介して昇降軸53と結合されている。駆動プーリ58をヘッド昇降モータ(図示省略)によって駆動することにより、昇降軸53を介してワーク移載ヘッド6が昇降する。
【0026】
水平フレーム5bの側面にはY方向にガイドレール61が配設されており、ガイドレール61にスライド自在に嵌着したスライダ62は、移動ブロック50の裏面に固着されている。水平フレーム5bには駆動プーリ65および従動プーリ66が水平に配設されており、駆動プーリ65と従動プーリ66に調帯されたベルト64は、結合部材63を介して移動ブロック50と結合されている。駆動プーリ65をヘッド水平移動モータ(図示省略)によって駆動することにより、ワーク移載ヘッド6は移動ブロック50と一体的に水平移動する。したがってワーク移載ヘッド6は、ヘッド昇降機構7およびヘッド水平移動機構8によって昇降および水平移動し、吸着ノズル55によって第2ワーク18を吸着保持して移載するワーク移載動作を行うことができるようになっている。
【0027】
図4は、第1ワーク15を下流側装置へ供給する際の状態を示している。第1ワーク15を供給する場合には、ワーク移載手段のワーク移載ヘッド6およびヘッド昇降機構7をマガジン載置部2の上方から退避させ、複数のマガジン14をマガジン載置部2に載置する。この場合には、後述するワーク治具載置部とワーク受渡部とをマガジン載置部2から取り外した状態でマガジン14を載置する。ワーク供給動作においては、マガジン送りコンベア13によってマガジン14をチャック機構3による取り出し位置、すなわち可動チャック27A、固定チャック27Bによってマガジン14を上下から挟持可能な端部側へ移動させる。
【0028】
そしてマガジン14を可動チャック27A、固定チャック27Bによって挟み込んで取り出し、水平移動機構4Y、昇降移動機構4Zによってチャック機構3を移動させて、マガジン14を供給・受取コンベア9に位置合わせする。これによりマガジン14の各ワーク収納スリット14a内の第1ワーク15は、下流側装置のワーク引出・送込機構10によって順次引き出され、この後空になったマガジン14は第1載置部12Aに載置される。
【0029】
したがって、チャック機構3および水平移動機構4Y、昇降移動機構4Zは、マガジン載置部2から第1ワーク15を収納したマガジン14を取り出して、下流側装置への供給位置に移動させるマガジン取り出し移動手段となっており、さらにこのマガジン取り出し移動手段は、マガジン14を挟持するチャック機構3と、チャック機構3を水平方向および垂直方向に移動させる移動機構(水平移動機構4Y、昇降移動機構4Z)とを備えた構成となっている。
【0030】
そしてマガジン載置部2は、マガジン14を水平方向に複数個載置する第1載置部12Aと、第1載置部12Aの上方に配置されマガジン14を水平方向に複数載置する第2載置部12Bと、第2載置部12Bに載置されたマガジン14をマガジン取り出し移動手段による取り出し位置に移動させるマガジン送り手段(マガジン送りコンベア13)とを備えた構成となっており、マガジン取り出し移動手段は、第2載置部12Bから取り出したマガジン14を、供給位置(供給・受取コンベア9)を経由して、第1載置部12Aに載置するように動作する。
【0031】
図5は、同一のワーク供給・収納装置を用いて、第2ワーク18を下流側装置へ供給する状態を示している。第2ワーク18を供給する場合には、マガジン取り出し移動手段のチャック機構3をマガジン載置部2から退避させて右下方位置まで移動させる。そして第2載置部12B上にワーク治具ユニット16を装着する。ワーク治具ユニット16は水平なベースプレート16a上に複数のワーク治具17(図3(b)参照)を載置し、両端部
に層間紙回収箱16bおよびワーク受渡ユニット19を配設した構成となっている。
【0032】
ワーク受渡ユニット19は第2ワーク18を載置して搬送するワーク受渡コンベア19aを備えており、ワーク治具ユニット16を第2載置部12Bに装着した状態では、ワーク受渡コンベア19aは供給・受取コンベア9と連結される位置にある。したがって、ワーク治具からワーク移載ヘッド6によって取り出された第2ワーク18をワーク受渡ユニット19のワーク受渡コンベア19a上に載置することにより、第2ワーク18は供給位置に配設された供給・受取コンベア9を介して下流側装置に供給される。層間紙回収箱16bは、ワーク治具17において第2ワーク18の間に挟まれた層間紙18aを回収するために設けられている。なお、ワーク受渡ユニット19は、単なるレールでもよく、ワーク受渡コンベア19aは必須のものではない。
【0033】
上記構成において、ベースプレート16aはワーク治具17を複数載置するワーク治具載置部となっており、ベースプレート16a上に設けられたワーク受渡ユニット19は、供給位置に配設された供給・受取コンベア9へ第2ワーク18を受け渡すワーク受渡部となっている。またワーク移載ヘッド6およびヘッド昇降機構7、ヘッド水平移動機構8は、ワーク治具載置部に載置されたワーク治具17から第2ワーク18を取り出してワーク受渡部に移載するワーク移載手段を構成する。そして第2ワーク18を対象とする場合には、ワーク治具載置部とワーク受渡部とをマガジン載置部2の上部の第2載置部12Bに着脱自在に装着し、ワーク治具17をワーク治具載置部に載置する。
【0034】
なお、ここでは共通のベースプレート16a上にワーク受渡ユニット19とワーク治具17とを設けて一体的にマガジン載置部2に装着する替わりに、ワーク受渡ユニット19をワーク治具ユニット16から分離し、複数のワーク治具17が載置されたワーク治具ユニット16とワーク受渡ユニット19とを、個別にマガジン載置部2に装着するようにしてもよい。ただし、本実施の形態に示すようにワーク受渡ユニット19と複数のワーク治具17とを共通のベースプレート16a上に設けて一体的に装着するようにした方が、ワーク切替時の作業を簡略化することができる。
【0035】
次に本実施の形態に示すワーク供給・収納装置によるワーク供給動作およびワーク収納動作の例について説明する。前述のように、このワーク供給・収納装置は、供給形態の異なる2種類のワークを対象として、ワーク供給およびワーク収納の2つの用途に供することができるようになっている。
【0036】
すなわちこのワーク供給・収納装置は、マガジン14に垂直方向に複数段収納された板状の第1ワーク15またはワーク治具17に積層状態で収納された第2ワーク18を下流側装置へ供給するワーク供給装置として機能し、また上流側装置から送り出される板状の第1ワーク15または第2ワーク18を受け取って、それぞれマガジン14に垂直方向に多段収納またはワーク治具17に積層状態で収納するワーク収納装置として機能する。
【0037】
このような構成を採用することにより、単一のワーク供給・収納装置によって供給形態の異なる複数種類のワークを対象とすることが可能となり、各供給形態毎に専用設備を必要としていた従来装置と比較して、装置占有面積を減少させることができる。
【0038】
なお図4、図5においては、このワーク供給・収納装置がワーク供給装置として用いられている例を示したが、この装置をワーク収納装置として用いる場合には以下のように動作する。まず第1ワーク15を対象としたワーク収納装置として用いる場合には、図4における説明と異なり、チャック機構3は第1載置部12Aから第1ワーク15が存在しない空のマガジン14を取り出す。次いで水平移動機構4Y、昇降移動機構4Zによってチャック機構3を移動させることにより、マガジン14を上流側装置からの第1ワーク15
の受取位置を経由して移動させ第2載置部12Bに載置する。そして第1載置部12Aに設けられたマガジン送りコンベア13は、第1載置部12Aに載置されたマガジン14をマガジン取り出し移動手段による取り出し位置に移動させる。
【0039】
また第2ワーク18を対象としたワーク収納装置として用いる場合には、図5における説明と異なり、ワーク移載ヘッド6は上流側装置から供給・受取コンベア9によって搬送された第2ワーク18を受取位置にて吸着保持する。次いでヘッド昇降機構7,ヘッド水平移動機構8によってワーク移載ヘッド6を移動させることにより、第2ワーク18をマガジン載置部2に装着されたワーク治具ユニット16上のワーク治具17に移載する。
【0040】
次に図6を参照して、本実施の形態のワーク供給装置を用いて第1ワーク15を下流側装置に供給するワーク供給方法について説明する。図6(a)において、マガジン載置部2の第2載置部12B上には、第1ワーク15を収納した状態のマガジン14が複数載置されており、マガジン送りコンベア13によってマガジン送り動作を行うことにより、これらのマガジン14のうち、右端部のマガジン14はチャック機構3による取り出し位置に送られる。
【0041】
この後図6(b)、(c)に示すように、チャック機構3が移動して、取り出し対象のマガジン14を可動チャック27A、固定チャック27Bによって上下から挟持する。そしてマガジン14を取り出したチャック機構3は、下流側装置への供給位置に配設された供給・受取コンベア9へ移動し、各ワーク収納スリット14a内に収納された第1ワーク15を供給・受取コンベア9を介して下流側装置へ供給する。
【0042】
このとき、図6(d)に示すように、まず最下段のワーク収納スリット14aを起点として、マガジン14の下段側から上段側に向って順次第1ワーク15を送り出し、図6(e)に示すように最上段のワーク収納スリット14aから第1ワーク15を送り出してマガジン14が空になったならば、図6(f)に示すように、マガジン14を挟持したチャック機構3を第1載置部12Aへ移動させる。
【0043】
そして図6(g)に示すように、空になったマガジン14を第1載置部12A上に載置した後、チャック機構3は再び上述の動作を反復実行し、第1ワーク15を全て送り出した後の空のマガジン14は、図6(h)に示すように、チャック機構3によって第1載置部12A上に載置され、以降同様の動作が反復される。上述のワーク供給動作においては、第2載置部12Bから取り出したマガジン14をマガジン取り出し移動手段によって供給位置に移動させ、マガジン14を所定間隔で順次下降させることにより収納された複数の第1ワーク15を下段側から上段側に向かって順次送り出し、送り出し後の空のマガジン14を第1載置部12Aに載置するようにしている。
【0044】
このような方法を用いることにより、従来装置のようにリフタでマガジンを移動させる場合にマガジンの位置ずれによって生じるワーク送り出し動作の不具合を防止できるとともに、マガジンの下段側からワークを送り出すことにより、ワーク収納スリット14aとの摺動によってワークに付着した異物が開口部14bを通じて落下して、下段側に位置するワークに付着することによる汚染を防止することができる。
【0045】
さらに上述のワーク供給動作においては、マガジン載置部2において上方に位置する第2載置部12Bから取り出したマガジン14を供給位置を経由して下方の第1載置部12Aに移動させるようにしていることから、マガジン14の第2の載置部12Bからの取り出しから、供給位置でのワーク送り出しにおけるマガジン14の下降、ワーク取り出し後のマガジン14の第1載置部12Aまでの移動に至る一連のマガジン移動動作において昇降動作が錯綜することによる無駄を極力排除することができ、効率的なワーク供給動作が
実現されている。
【0046】
次に図7を参照して、本実施の形態のワーク収納装置を用いて第1ワーク15を上流側装置から受け取るワーク収納方法について説明する。図7(a)において、マガジン載置部2の第2載置部12B上には空のマガジン14が複数載置されている。マガジン送りコンベア13によってマガジン送り動作を行うことにより、図7(b)に示すようにこれらのマガジン14のうちの右端部のマガジン14がチャック機構3による取り出し位置に送られる。
【0047】
次いでチャック機構3が移動して、図7(c)に示すように、取り出し対象のマガジン14を可動チャック27A、固定チャック27Bによって上下から挟持し、図7(d)に示すように、上流側装置からの受取位置に配設された供給・受取コンベア9へ移動する。そして空状態の各ワーク収納スリット14aに、供給・受取コンベア9から受け取った第1ワーク15を収納する。
【0048】
このとき、図7(d)に示すように、マガジン14の上段側から下段側に向って順次第1ワーク15を収納し、図7(e)に示すように、最下段のワーク収納スリット14aに第1ワーク15を収納してマガジン14が満杯になったならば、図7(f)に示すようにマガジン14を挟持したチャック機構3を第2載置部12Bへ移動させる。そして図7(g)に示すように、満杯のマガジン14を第2載置部12Bに載置した後、第1載置部12Aに載置された次のマガジン14を対象として、上述と同様の動作が反復実行される。
【0049】
上述のワーク収納動作においては、第1載置部12Aから取り出したマガジン14をマガジン取り出し移動手段によって受取位置に移動させ、マガジン14を所定間隔で順次上昇させることにより上流側装置から受け取った第1ワーク15を下段側から上段側に向かって順次収納し、収納後に満杯となったマガジン14を第2載置部12Bに載置するようにしている。
【0050】
この場合においてもワーク供給と同様に、マガジンの位置ずれによって生じるワーク収納動作の不具合を防止できるとともに、マガジンの上段側からワークを収納することにより、ワーク収納スリット14aとの摺動によってワークに付着した異物が開口部14bを通じて落下して、下段側に位置するワークに付着することによる汚染を防止することができる。
【0051】
さらに上述のワーク収納動作においては、マガジン載置部2において下方に位置する第1載置部12Aから取り出したマガジン14を受取位置を経由して上方の第2載置部12Bに移動させるようにしていることから、マガジン14の第1の載置部12Aからの取り出しから、受取位置でのワーク受け取りにおけるマガジン14の上昇、ワーク収納後のマガジン14の第2載置部12Bまでの移動に至る一連のマガジン移動動作において、昇降動作が錯綜することによる無駄を極力排除することができ、効率的なワーク収納動作が実現されている。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のワーク供給装置およびワーク供給方法は、単一のワーク供給・収納装置によって供給形態の異なるワークを供給することができるという効果を有し、板状のワークを取り出してダイボンディング装置などの作業装置に供給する用途に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の作業対象となるワークを収納するマガジンおよびワーク治具の斜視図
【図4】本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の正面図
【図5】本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置の正面図
【図6】本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置によるワーク供給方法の動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態のワーク供給・収納装置によるワーク収納方法の動作説明図
【符号の説明】
【0054】
2 マガジン載置部
3 チャック機構
4Y 水平移動機構
4Z 昇降移動機構
6 ワーク移載ヘッド
7 ヘッド昇降機構
8 ヘッド水平移動機構
9 供給・受取コンベア
10 ワーク引出・送込機構
12A 第1載置部
12B 第2載置部
13 マガジン送りコンベア
14 マガジン
15 第1ワーク
16 ワーク治具ユニット
17 ワーク治具
18 第2ワーク
19 ワーク受渡ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マガジンに垂直方向に複数段収納された板状の第1ワークおよびワーク治具に積層状態で収納された板状の第2ワークのうちのいずれかを下流側装置へ供給するワーク供給装置であって、
前記マガジンを複数載置するマガジン載置部と、前記マガジン載置部から前記第1ワークを収納したマガジンを取り出して前記下流側装置への供給位置に移動させるマガジン取り出し移動手段と、前記ワーク治具を複数載置するワーク治具載置部に載置されたワーク治具から前記第2ワークを取り出して前記供給位置へ第2ワークを受け渡すワーク受渡部に移載するワーク移載手段とを備え、前記ワーク治具載置部と前記ワーク受渡部とを前記マガジン載置部に着脱自在に装着することを特徴とするワーク供給装置。
【請求項2】
前記マガジン載置部は、マガジンを水平方向に複数個載置する第1載置部と、前記第1載置部の上方に配置されマガジンを水平方向に複数載置する第2載置部と、前記第2載置部に載置されたマガジンを前記マガジン取り出し移動手段による取り出し位置に移動させるマガジン送り手段とを備え、前記マガジン取り出し移動手段は、前記第2載置部から取り出したマガジンを前記供給位置を経由して移動させて前記第1載置部に載置することを特徴とする請求項1記載のワーク供給装置。
【請求項3】
マガジンに垂直方向に複数段収納された板状の第1ワークおよびワーク治具に積層状態で収納された板状の第2ワークのうちのいずれかを単一のワーク供給装置によって下流側装置へ供給するワーク供給方法であって、
前記ワーク供給装置は、前記マガジンを複数載置するマガジン載置部と、前記マガジン載置部から前記第1ワークを収納したマガジンを取り出して前記下流側装置への供給位置に移動させるマガジン取り出し移動手段と、前記ワーク治具を複数載置するワーク治具載置部に載置されたワーク治具から前記第2ワークを取り出して前記供給位置へ第2ワークを受け渡すワーク受渡部に移載するワーク移載手段とを備え、
前記第1ワークを供給する場合には前記ワーク移載手段を前記マガジン載置部から退避させ、前記マガジンをマガジン載置部に載置し、
前記第2ワークを供給する場合には前記マガジン取り出し移動手段を前記マガジン載置部から退避させ、前記ワーク治具載置部と前記ワーク受渡部とをマガジン載置部に装着し、前記ワーク治具をワーク治具載置部に載置することを特徴とするワーク供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−69772(P2006−69772A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257934(P2004−257934)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】