説明

ワーク搬送方法およびワーク搬送装置

【課題】ワークを浮上させた非接触状態で搬送する両面粘着テープ剥離方法および両面粘着テープ剥離装置を提供する。
【解決手段】搬送路2の中央部分で垂直に貫通する孔12から搬送されるウエハWの裏面に気体を吹き付けるとともに、搬送路2の幅方向の両側で進行方向斜め中央寄りに形成された孔13からからウエハ裏面に向けて進行方向斜め中央寄りの気体を吹き付けながらウエハWを浮上させて搬送する過程で、ウエハWが進路を外れる場合に外れる側の孔13から吹き出す気体の流量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、回路基板などの各種ワークを非接触で搬送するワーク搬送方法およびワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク搬送装置として、例えば、半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)を非接触で搬送するものが提案および実施されている。具体的には、高さ方向に所定のピッチをおいて半導体ウエハを多段に収納可能なウエハカセットへのウエハのアンロードまたはロードを、エアーフロートを利用して実施している。つまり、ウエハカセットの正面から奥側に向けて矩形状に切り欠いた底面の下方にエアーフロート台を設けている。ウエハカセットからウエハをアンロードする場合、ウエハカセットから露出するウエハ裏面分部にエアーフロート台からエアーを吹き付けて浮上させるとともに、当該エアーフロート台上で待機している真空吸着板の真下までウエハ全体を前進移動させる。受け渡し位置に到達したウエハの表面を真空吸着板が吸着し、ウエハカセットからウエハをアンロードする。
【0003】
ウエハカセットからウエハをロードする場合、真空吸着板によって表面を吸着されたウエハが、エアーフロート台上に搬送されてくると、エアーフロート台によってウエハ裏面からエアーを吹き付けて浮上状態にするとともに、真空吸着板の吸着を解除して当該真空吸着板を退避させながらウエハカセット内にウエハをロードしている。(特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平4−25153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実施例装置は、カセットの開口部分での僅か数センチの距離をエアーフロート台を利用してウエハを浮上搬送しているので、ウエハカセットへのアンロードおよびロードを非接触によって有効に機能させている。しかしながら、エアーフロート台を利用して長距離にわたってウエハを搬送させる場合、非接触状態で浮上しているウエハが蛇行し、エアーフロート台から落下して破損するといった問題がある。
【0006】
なお、搬送方向に沿ってエアーフロート台の両側にガイド壁を設けることにより、エアーフロート台からのウエハの落下を防止することができる。しかしながら、エアーフロート台を移動するウエハは蛇行してガイド壁に衝突し、外端縁を破損するといった問題が新たに生じている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、半導体ウエハや回路基板などのワークを非接触で精度よく搬送可能なワーク搬送方法およびワーク搬送装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0009】
すなわち、ワークを搬送するワーク搬送方法であって、
前記ワークの幅よりも大きい搬送面に沿ってその中央部分に設けられた第1吹き出し部からワーク裏面に向けて真上に気体を吹き付けてワークを浮上させながら前方へ搬送する搬送過程と、
前記搬送過程において、搬送面の幅方向の両側に設けられた第2吹き出し部からワーク裏面に向けて斜め中央寄りに吹き付ける気体の流量を調整しながらワークの進路を調整する進路調整過程と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
(作用・効果) 上記方法によれば、搬送面上を浮上して搬送されるワークが蛇行する場合、第2吹き出し部から吹き出される気体の流量が調整され、蛇行が抑制される。したがった、ワークの搬送経路からの落下およびガイド壁との衝突を回避させながら所定の搬送経路に沿ってワークを精度よく搬送することができる。
【0011】
上記方法において、進路調整過程は、ワークの幅方向に所定のクリアランスを設けて配備した非接触式の検出器でワーク端部を検出し、当該検出した側の第2吹き出し部から吹き出す気体の流量を他方の第2吹き出し部から吹き出す気体の流量よりも多くし、ワークの進路を調整することが好ましい。
【0012】
この方法によれば、検出器によって検出された側に設けられた第2吹き出し部からワーク裏面に向けて吹き付ける気体の流量を他方の第2吹き出し部からの気体の流量よりも多くすることができるので、搬送経路から外れかけたワークを搬送経路に戻すことができる。したがって、上記方法を好適に実施することができる。
【0013】
上記方法において、保持テーブルに保持された前記ワークの搬送方向の後側からノズルで気体を吹き付けてワークを浮上させるとともに、前向きの推進力を与えて前記搬送面上にワークを移動させ、
前記搬送過程では、搬送面を進路方向に斜め下がり傾斜にし、ワークへの前向きの推進力を与え、
当該搬送面を水平姿勢に戻してワークの搬送を停止させることが好ましい。
【0014】
この方法によれば、ワークの後側からノズルで気体を吹き付けることにより、負圧でワークを上浮させるとともに、浮上したワークを搬送面に向けて搬出させることができる。また、搬送面に到達したワークは、斜め下がり傾斜の搬送面に沿って前向きの推進力を得て搬送され、搬送面が水平に戻されることによりワークの搬送が停止される。したがって、搬出から停止まで間、ワークを非接触状態で搬送することができる。
【0015】
なお、上記方法において、保持テーブルに保持されたワーク裏面を支持ピンで突き上げ支持し、ワークの後側からノズルで気体を吹き付けることが好ましい。
【0016】
この方法によれば、保持テーブルからワークを確実に浮上させた状態で搬送面にワークを搬出することができる。
【0017】
なお、第2吹き出し部は、ワーク裏面にワークの進行方向斜め中央寄りの気体を吹き付けるようにしてもよい。
【0018】
この方法によれば、搬送面を斜め下がり傾斜にしなくても、ワークを前方に送り出す推進を得ることができる。
【0019】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0020】
すなわち、ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
前記ワークの搬送方向に沿ってその中央部分からワーク裏面に向けて真上に気体を吹き付ける第1吹き出し部と、ワークの幅方向からワーク裏面に向けて斜め中央よりに気体を吹き付ける第2吹き出し部とを搬送面に設け、ワーク幅方向に所定のクリアランスを有し当該ワークよりも大きい搬送面上でワークを浮上させて搬送するワーク搬送部と、
前記搬送面に設けられた第1吹き出し部および第2吹き出し部に向けて気体を供給する気体供給部と、
前記ワーク搬送部に向けてワークを搬出するワーク搬出機構と、
前記ワーク搬送部で搬送されるワークの端部を検出する検出器と、
前記検出器によりワーク端部の検出された側の第2吹き出し部から吹き出す気体の流量を、他方の第2吹き出し部から吹き出す気体の流量よりも多くし、ワークの進路を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
(作用・効果) この構成によれば、検出器によってワーク端部が検出された側の第2吹き出し部からワーク裏面に吹き付ける気体の流量を他方の第2吹き出し部からの気体の流量よりも多くされる。したがって、ワーク搬送経路から外れかけるワークを搬送経路の中央に戻すことができる。すなわち、上記方法を好適に実現することができる。
【0022】
上記構成において、ワーク搬出機構は、ワークを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに保持されたワークの後側から気体を吹き付けるノズルとで構成したしてもよい。
【0023】
この構成によれば、ワークの後側から吹き付ける気体によってワーク裏面と保持テーブルの保持面との間で差圧を生じさせてワークを浮上させつつ、ワーク搬送部に向けて当該ワークを搬出することができる。
【0024】
また、上記構成において、保持テーブルは、ワーク裏面から突き上げて支持する複数本の支持ピンを備えていてもよい。
【0025】
この構成によれば、保持テーブルに保持されたワークを浮上させるよりも容易に浮上させてワーク搬送部にワークを搬出することができる。
【0026】
さらに、上記構成において、少なくとも前記ワーク搬送部を装備し、ワーク搬送開始端側を支点にして先端側を揺動可能にした揺動部と、
前記揺動部を駆動させる駆動機構とを備え、
前記制御部は、さらに前記ワーク搬送時にワーク搬送部を揺動下降させてワークを浮上させながら搬送させ、所定位置にワークが到達する時点に合わせて当該ワーク搬送部を揺動上昇させてワークを当該所定位置で停止させるよう前記駆動部を制御するように構成してもよい。
【0027】
この構成によれば、ワークの搬出から所定距離を搬送して所定位置で停止までの間、ワークを浮上させた非接触状態で取り扱うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のワーク搬送方法およびワーク搬送装置によれば、ワークを浮上させたまま搬送経路に沿って精度よく搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ワーク搬送装置の平面図である。
【図2】ワーク搬送装置の正面図である。
【図3】保持テーブルの動作を説明する図である。
【図4】搬送路の断面図である。
【図5】保持テーブルの平面図である。
【図6】実施例装置の動作を説明する図である。
【図7】実施例装置の動作を説明する図である。
【図8】実施例装置の動作を説明する図である。
【図9】実施例装置の動作を説明する図である。
【図10】変形例装置の平面図である。
【図11】変形例装置の搬送路の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0031】
また、本実施例装置において搬送するワークとして、半導体ウエハ(以下、適宜に「ウエハ」という)を例にとって説明する。このウエハは、ウエハと略同形状のステンレス鋼やガラス基板などの支持板を両面粘着テープを介して裏打ち補強した状態、あるいは表面保護用の粘着テープを貼り付けた状態で裏面をバックグラインドした後に、さらにその表面から支持板および両面粘着テープあるいは表面保護用の粘着テープが除去された状態にある。なお、ワークの種類および形状については特に限定されない。例えば、ワークとして回路基板やガラス基板などの各種基板であってもよい。また、その形状は、円形または矩形などであってもよい。
【0032】
図1は本発明に係るワーク搬送装置を示す平面図、図2はワーク搬送装置の正面図である。
【0033】
このワーク搬送装置は、図1および図2に示すように、保持テーブル1と、搬送路2と、冷却ステージ3と、搬出ステージ4とが支持フレームを介して揺動可動台5に配備されている。以下、各構成について詳述する。
【0034】
保持テーブル1は、金属製のチャックテーブルであり、流路を介して外部の真空装置と連通接続されている。つまり、保持テーブル1上に載置したウエハWを吸着保持するように構成されている。また、保持テーブル1は、吸着パッド6と複数本の支持ピン7とが装備されている。なお、保持テーブル1は、金属製に限定されず、セラミックの多孔質で形成されたものであってもよい。
【0035】
吸着パッド6は、保持テーブル1の中央で出退昇降可能な上面が真空吸着面に構成されている。
【0036】
支持ピン7は、保持テーブル1の所定の円周上に等間隔をおいて配備されている。すなわち、支持ピン7は、シリンダ8によって保持テーブル1の保持面に対して出退昇降可能に構成れている。さらに、支持ピン7の先端は、絶縁物で構成されているか、あるいは絶縁物で被覆されている。
【0037】
保持テーブル1の後方には、ノズル9が配備されている。ノズル9は、図6に示すように、保持テーブル1から支持ピン7で突き上げ保持されたウエハWと保持テーブル1との間に気体を吹き付ける。
【0038】
図1に戻り、搬送路2は、搬送対象のウエハWよりも幅の大きい板状であり、冷却ステージ3を挟んで保持テーブル1と搬出ステージ4のそれぞれに連結されている。搬送面には、搬送方向に沿ってその中央部分で図中の一点鎖線で囲った第1吹き出し部10と、第1吹き出し部10を挟んで搬送路2の両側で図中の一点鎖線で囲った第2吹き出し部11とを備えている。
【0039】
第1吹き出し部10は、図4に示すように、搬送路2の垂直貫通して形成された複数個の孔12からなる。孔12は、搬送路2内の裏面側の流路14によって纏められている。纏まって1本になった流路14には、第1電磁バルブ15が備えられており、他端にポンプ18が連通接続されている。
【0040】
第2吹き出し部11は、ウエハWの進行方向斜め中央寄りに搬送路2を貫通して形成された複数個の孔13からなる。孔13は、第2吹き出し部11ごとに搬送路2の両端の内部の裏面側で流路16によってそれぞれが纏められている。纏まって1本になった各流路16には、第2電磁バルブ17が備えられており、他端にポンプ18が連通接続されている。
【0041】
図1および図2に戻り、搬送路2の搬送開始側に配備された投光器19と終了側に配備された受光器20からなる2個の検出器が、搬送路2の幅方向にそれぞれ配備されている。すなわち、各検出器20は、搬送路2の中央に沿って搬送されるウエハWの幅方向に位置する外周端から所定のクリアランスをおいて配備されている。
【0042】
さらに、搬送路2の両側端には、ウエハWの落下防止用のガイド壁22がそれぞれ配備されている。ガイド壁22の表面は、弾性体で被覆されている。
【0043】
冷却ステージ3は金属製のチャックテーブルであり、温度センサを備えるとともに、図5に示すように、ステージ上に載置されるウエハWを冷却するペルチェ素子24を内部に備えている。また、図1および図2に示すように、冷却ステージ3の手前で搬送路2の側面から立設された支持フレーム26にノズル27が装備されている。
【0044】
ノズル27は、冷却ステージ3に載置されたウエハWの後端に向けて気体を吹き付けるよう、その先端が下向き斜め姿勢に設定されている。
【0045】
搬出ステージ4は、金属製のチャックテーブルであり、流路23を介して外部の真空装置と連通接続されている。つまり、搬出ステージ4上に搬送されてきたウエハWを吸着保持するように構成されている。また、搬出ステージ4は、保持テーブル1と同様に支持ピン28が装備されている。なお、搬出ステージ4は、金属製に限定されず、セラミックの多孔質で形成されたものであってもよい。
【0046】
支持ピン28は、搬出ステージ4の所定の円周上に等間隔をおいて配備されている。すなわち、支持ピン28は、シリンダ29によって搬出ステージ4の保持面に対して出退昇降可能に構成れている。さらに、支持ピン28の先端は、絶縁物あるいは絶縁物で被覆されている。
【0047】
揺動可動台5は、保持テーブル1側の下部に配備された支柱30に支軸31を介して軸支されるとももに、搬出ステージ4側の下部で昇降カム32に支持されている。すなわち、昇降カム32に連結されたモータ33を正逆転駆動させることにより、当該揺動可動台5が支軸31周りに枢動しつつ、ウエハWの進行方向に微小角度で斜め下がり傾斜するように構成されている。
【0048】
次に、上記実施例装置を用いて保持テーブル1から搬出ステージ4までウエハWを搬送する基本的な動作について説明する。
【0049】
先ず、図示しない搬送ロボットの馬蹄形をした先端アームよって裏面を吸着保持されたウエハWを保持テーブル1上に搬送する。
【0050】
保持テーブル1上に到達したウエハWは、保持テーブル1上に突出している吸着パッド6に一旦受け取られた後、吸着パッド6の下降に伴って保持テーブル1の上面に所定の姿勢および位置で載置される。
【0051】
次に、支持ピン7を上昇させて保持テーブル1から突き出し、図3に示すように、ウエハWを保持テーブル1から離間させる。この状態で、モータ33を正転させ、図7に示すように、揺動可動台5を揺動下降させるのに伴って、図6に示すように、保持テーブル1も搬送方向に斜め下がり傾斜になる。同時、ウエハWの後側からノズル9で気体を吹き付けながらウエハWを支持ピン7から浮上させ、支持ピン7を下降させる。ウエハWは,保持テーブル1上で浮上するとともに、前向きの推進力を得て搬送路2に向けて送り出される。
【0052】
図4および図7に示すように、搬送路2の表面に設けられた第1吹き出し部10および第2吹き出し部11の各孔12、13から均一な流量の気体が吹き出されており、その上をウエハWが浮上しながら冷却ステージ3に向けて搬送される。
【0053】
図8に示すように、冷却ステージ3にウエハWが到達する手前からモータ33を逆転させて揺動可動台5を水平に戻し、冷却ステージ3上にウエハWを載置する。このとき、揺動可動台5を水平に戻すタイミングは、例えば、予め決めた時間または所定位置をウエハWが通過したことを図示しないセンサで検出した結果に基づいて決められる。
【0054】
冷却ステージ3上で所定時間をかけて冷却しながら温度センサでウエハWの温度をモニタする。ウエハWが所定温度に達すると、モータ33を正転させて揺動可動台5を揺動下降させるとともに、ウエハWの後側からノズル27で気体を吹き付ける。このとき、冷却ステージ3の保持面とウエハWの裏面との間に差圧が生じてベルヌーイ効果によってウエハWが浮上するとともに、前向きの推進力を得たウエハWが気体の吹き出されている搬送路2上を浮上しながら搬出ステージ4へと搬送される
【0055】
搬出ステージ4にウエハWが到達する手前からモータ33を逆転させて揺動可動台5を水平に戻し、搬出ステージ4上にウエハWを載置する。このとき、揺動可動台5を水平に戻すタイミングは、例えば、予め決めた時間または所定位置をウエハWが通過したことを図示しないセンサで検出した結果に基づいて決められる。
【0056】
搬出ステージ4に載置されたウエハWは、支持ピン28によって搬出ステージ4から突き上げ支持される。保持テーブル1へのウエハWの搬入と同様に、図示しない搬送ロボットによって裏面を吸着保持されたウエハWを搬出ステージ4から搬出する。
【0057】
以上で一巡の動作が終了し、以後同じ動作が繰り返される。
【0058】
次に、販路路2上でのウエハWの搬送制御について説明する。
【0059】
保持テーブル1または冷却ステージ3から送り出されて搬送路2上でウエハWを搬送している最中に、ウエハWの撓みや重量バランスの偏りなどによって搬送路2の規定の進路からウエハWが外側に外れてゆく場合がある。このとき、図9に示すように、一方の投光器19からの光35が遮断されて受光器20からの信号がオフ状態になる。制御部37は、オフ状態になった側の第2吹き出し部11の孔13に連通接続された流路16に配備された第2電磁バルブ17の開度を調整し、当該第2吹き出し部11から吹き出す気体の流量を第1吹き出し部10から吹き出す気体の流量よりも増やす。
【0060】
増量した気体の吹き出し時間は、ウエハWの種類、形状、重さなどによって適宜に設定されている。すなわち、再現実験やシミュレーションなどによって流量と時間との関係を適宜に設定変更し、いずれの条件で搬送路2の中央の規定進路にウエハWが戻るかの最適化によって予め決められている。
【0061】
第2吹き出し部11から増量した気体をウエハWの裏面に向けて進行方向斜め中央寄りに所定時間だけ吹き付けることにより、搬送路2の中心軸から外れたウエハWの中心が2点鎖線で示すウエハWのように搬送路2の中心まで戻り、そのまま搬送路2に沿って各ステージ3、4に搬送される。
【0062】
上記実施例装置によれば、保持テーブル1から搬送路2を浮上して各ステージ3、4に搬送されるウエハWが、搬送路2上の規定の進路から外れたとき検出器によって検出され、第2吹き出し部11からの気体の流量および気体の吹き出し時間が調整されるので、搬送路2中央の規定の進路にウエハWを戻すことができる。すなわち、搬送路2の両端に配備したガイド壁22にウエハWを衝突させることなくウエハWを搬送路2上で浮上させた非接触状態で各ステージに精度よく搬送することができる。
【0063】
なお、本発明は以下のような形態で実施することも可能である。
【0064】
(1)上記実施例装置において、図10の一点鎖線で示すように、第1吹き出し部10を搬送路2の搬送軸に沿って左右の2区画に分けてもよい。この場合、図11に示すように、2区画の第1吹き出し部10および2区画の第2吹き出し部11ごとに、孔12、13を纏めた1本の流路ごとに第1および第2電磁バルブ15、17を備え、それぞれの流量および時間を調整可能にする。この構成によれば、ウエハWの進路の修正をより精度よく行うことができる。
【0065】
(2)上記実施例装置において、第2吹き出し部11の搬送面に形成された孔13は、斜め中央よりに貫通させたものであってもよい。つまり、ノズル9からの気体の吹き付けと揺動可動台5の傾斜とによってウエハWの前方への推進力が十分に得られる場合は、当該構成であっても各ステージにウエハWを搬送することができる。
【0066】
(3)上記実施例装置において、揺動可動台5の搬出ステージ4側の下部を軸支し、保持テーブル1側の下部をシリンダなどのアクチュエータで昇降させて当該揺動可動台5を搬送方向に揺動下降させるように構成してもよい。
【0067】
(4)上記実施例装置において、保持テーブル1は、支持ピン7を備えない構成であってもよい。つまり、冷却ステージ3と同様にノズル9によってテーブル保持面とウエハWの裏面との間に差圧を発生させてウエハWを浮上させる。
【0068】
(5)上記実施例装置において、検出器は、投光器19と受光器20からなる光センサに限らず、光学カメラなどを利用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 … 保持テーブル
2 … 搬送路
3 … 冷却ステージ
4 … 搬出ステージ
5 … 揺動可動台
10 … 第1吹き出し部
11 … 第2吹き出し部
14 … 流路
15 … 第1電磁バルブ
16 … 流路
17 … 第2電磁バルブ
18 … ポンプ
19 … 投光器
20 … 受光器
37 … 制御部
W … 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送するワーク搬送方法であって、
前記ワークの幅よりも大きい搬送面に沿ってその中央部分に設けられた第1吹き出し部からワーク裏面に向けて真上に気体を吹き付けてワークを浮上させながら前方へ搬送する搬送過程と、
前記搬送過程において、搬送面の幅方向の両側に設けられた第2吹き出し部からワーク裏面に向けて斜め中央寄りに吹き付ける気体の流量を調整しながらワークの進路を調整する進路調整過程と、
を備えたことを特徴とするワーク搬送方法。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク搬送方法において、
前記進路調整過程は、ワークの幅方向に所定のクリアランスを設けて配備した非接触式の検出器でワーク端部を検出し、当該検出した側の第2吹き出し部から吹き出す気体の流量を他方の第2吹き出し部から吹き出す気体の流量よりも多くし、ワークの進路を調整する
ことを特徴とするワーク搬送方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のワーク搬送方法において、
保持テーブルに保持された前記ワークの搬送方向の後側からノズルで気体を吹き付けてワークを浮上させるとともに、前向きの推進力を与えて前記搬送面上にワークを移動させ、
前記搬送過程では、搬送面を進路方向に斜め下がり傾斜にし、ワークへの前向きの推進力を与え、
当該搬送面を水平姿勢に戻してワークの搬送を停止させる
ことを特徴とするワーク搬送方法。
【請求項4】
請求項3に記載のワーク搬送方法において、
前記保持テーブルに保持されたワーク裏面を支持ピンで突き上げ支持し、ワークの後側からノズルで気体を吹き付ける
ことを特徴とするワーク搬送方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のワーク搬送方法において、
前記第2吹き出し部は、ワーク裏面にワークの進行方向斜め中央寄りの気体を吹き付ける
ことを特徴とするワーク搬送方法。
【請求項6】
ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
前記ワークの搬送方向に沿ってその中央部分からワーク裏面に向けて真上に気体を吹き付ける第1吹き出し部と、ワークの幅方向からワーク裏面に向けて斜め中央よりに気体を吹き付ける第2吹き出し部とを搬送面に設け、ワーク幅方向に所定のクリアランスを有し当該ワークよりも大きい搬送面上でワークを浮上させて搬送するワーク搬送部と、
前記搬送面に設けられた第1吹き出し部および第2吹き出し部に向けて気体を供給する気体供給部と、
前記ワーク搬送部に向けてワークを搬出するワーク搬出機構と、
前記ワーク搬送部で搬送されるワークの端部を検出する検出器と、
前記検出器によりワーク端部の検出された側の第2吹き出し部から吹き出す気体の流量を、他方の第2吹き出し部から吹き出す気体の流量よりも多くし、ワークの進路を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載のワーク搬送装置において、
前記ワーク搬出機構は、ワークを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに保持されたワークの後側から気体を吹き付けるノズルとで構成した
ことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のワーク搬送装置において、
前記保持テーブルは、ワーク裏面から突き上げて支持する複数本の支持ピンを備えた
ことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のいずれかに記載のワーク搬送装置において、
少なくとも前記ワーク搬送部を装備し、ワーク搬送開始端側を支点にして先端側を揺動可能にした揺動部と、
前記揺動部を駆動させる駆動機構とを備え、
前記制御部は、さらに前記ワーク搬送時にワーク搬送部を揺動下降させてワークを浮上させながら搬送させ、所定位置にワークが到達する時点に合わせて当該ワーク搬送部を揺動上昇させてワークを当該所定位置で停止させるよう前記駆動部を制御する
ことを特徴とするワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−76877(P2012−76877A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223426(P2010−223426)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(394016601)日東精機株式会社 (79)
【Fターム(参考)】