説明

一体型の多目的光学アラインメントのためのシステムおよび方法

【課題】一体型の多目的光学アラインメントのためのシステムおよび方法
【解決手段】半導体処理システムで使用される光学アラインメントシステムが提供される。この光学アラインメントシステムは、アラインメント用の特徴部を上面に一体形成されたウエハチャックを備える。また、ウエハチャックの上方には、アラインメント用の特徴部に向けて光信号を発することができるビーム形成システムが配置される。また、アラインメント用の特徴部に向けて発せられた光信号の振幅を検出することができる検出器も設けられる。一形態において、アラインメント用の特徴部は、光信号の一部をビーム形成システムに反射し返す反射性アラインメント用の特徴部であって良い。別の一形態において、アラインメント用の特徴部は、光信号の一部がウエハチャックを通過して検出器に到達することを可能にする透過性アラインメント用の特徴部であって良い。この形態では、ウエハチャックの下方に検出器を配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的なアラインメントに関するものである。本発明は、より具体的に言うと、干渉法および反射率計に基づいた終点&光学測定システムのための一体型の多目的な、光学的なアラインメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路またはフラットパネルディスプレイなどの半導体デバイスの製造では、プラズマ処理室内で基板(例えばウエハまたはガラスパネルなど)の処理が行われる。このような処理は、基板上に材料層を堆積させること、および堆積された層を選択エッチングすることを含む。基板表面は、通常は、エッチング用の層を用意するために、適切なフォトレジストまたはハードマスクで覆われる。そして、マスクによって保護されていない領域をエッチングするために、エッチングの最中に適切なエッチャント源からプラズマが生成される。エッチングは、対象となる層が最後までエッチングされた、または対象となる層が所望の厚さに達したと決定された時点で終結される。このエッチングの終結は、通常は、エッチングの「終点」と称される。
【0003】
当該分野では、エッチングを終結させるタイミングを決定するために、多くの技術が採用されてきた。例えば、干渉法では、基板で反射された光ビームが監視され、反射ビームの振幅の最大値および最小値をカウントすることによって、または信号の停止にもとづいて、エッチングの深さが決定される。光ビームは、基板表面で反射されたりその下の接触面で反射されたりするので、建設的干渉および相殺的干渉の両方を生じる。したがって、もし層の元の厚さが既知であれば、エッチングの最中に最大ピークおよび最小ピークをカウントすることによって、残りの厚さを推定することが可能である。
【0004】
半導体処理ツール上で用いられる干渉法および反射率計に基づいた終点&光学測定システムは、通常は、光反射ビームを被験ウエハ表面の法線に正確にアラインメントすることに依存する。光学アラインメントが実現されると、入射ビームは光学システムの透過部または収集部に反射し返され、最大可能信号強度が実現される。
【0005】
このアラインメントを実現するため、処理システムの電極上に基準ウエハを配置すること、および反射し返される信号が最大値に達するまで光学システムの各部のアラインメントを調整すること、をともなう何らかのアラインメント操作が実施される。例えば、図1は、光学終点検出システムを用いた従来のエッチングシステム100の図である。エッチングシステム100は、ウエハチャック104と覗き窓106とを有する処理室102を備える。覗き窓106は、光ビーム110がビーム形成システム108によって基準ウエハ112の表面上に透過されることを可能にする。
【0006】
ビーム形成システム108から発せられる光ビーム110を厳密にアラインメントするために、基準ウエハ112がウエハチャック104上に配置される。次いで、基準ウエハ112の表面上に光ビーム110が発せられ、ビーム形成システムに反射し返される信号がチェックされる。概して、ビーム形成システム108は、用いられる全ての波長について反射信号が最大になるまで調整される。この操作は、あいにく、基準ウエハ112を処理室内に載置しなければならないので、通常のプロセスの流れを中断させてしまう。
【0007】
ツールを製造状態または使用可能状態にするため、更に別のアラインメント操作が必要とされる。ウエハを処理室に運び込むロボットアームは、処理室内の電極の位置に対して厳密にアラインメントされることが望ましい。このアラインメントは、複雑な試験装置および慎重な測定を必要とする。例えば、あるプロセスでは、ウエハ104上に基準面が載置され、対応する基準面がロボットアーム上に配される。そして、ロボットアームは、基準面にアラインメントされるまで手動で調整される。調整後の最終的な座標は、ロボットアームの制御システムにプログラムとして組み込まれる。したがって、ロボットは、ウエハチャック104の中心の位置を知ることができる。この操作を実施するためには、ロボットを作動させる搬送モジュールと処理室との両方に開口を設け、基準面の位置合わせを厳密に行う必要がある。これは、時間のかかるプロセスであるので、ロボットアームの再アラインメントは、通常は、ウエハが損傷を受けたとき、または電極上のウエハの位置が明らかに誤りであるときにのみ繰り返される。
【0008】
以上に説明されたように、通常のプロセスの流れを中断させることなく光学アラインメントを可能にすることができる光学アラインメントシステムが必要とされている。また、このシステムは、処理室および搬送モジュールに開口を設けることなく厳密なロボットアラインメントを可能にできることが望ましい。
【発明の開示】
【0009】
概して、本発明は、通常のプロセスの流れを中断させることなく光学アラインメントを可能にすることができる一体型の多目的光学アラインメントシステムを提供することによって、これらのニーズに対処している。一実施形態では、半導体処理システムで使用される光学アラインメントシステムが開示される。この光学アラインメントシステムは、アラインメント用の特徴部を上面に一体形成されたウエハチャックを備える。また、ウエハチャックの上方には、アラインメント用の特徴部に向けて光信号を発することができるビーム形成システムが配置される。更に、アラインメント用の特徴部に向けて発せられた光信号の振幅を検出することができる検出器も設けられる。一形態において、アラインメント用の特徴部は、光信号の一部を光ビーム検出器に反射し返す反射性アラインメント用の特徴部であって良い。別の一形態において、アラインメント用の特徴部は、光信号の一部がウエハチャックを通過して検出器に到達することを可能にする透過性アラインメント用の特徴部であって良い。この形態では、検出器をウエハチャックの下方に配置することができる。
【0010】
本発明の更なる一実施形態では、半導体処理システムにおける光学アラインメントのための方法が開示される。この方法は、ウエハチャックの中心に一体形成されたアラインメント用の特徴部に向けて光信号を発する工程を含む。次いで、アラインメント用の特徴部に向けて発せられた光信号の振幅が検出され、検出された光信号の振幅が最大になるようにビーム形成システムが調整される。前述のように、アラインメント用の特徴部は、ビーム形成システムと共に設けることができる検出器に光信号の一部を反射し返す反射性アラインメント用の特徴部であっても良いし、光信号の一部がウエハチャックを通過して検出器に到達することを可能にする透過性アラインメント用の特徴部であっても良い。
【0011】
別の一実施形態では、半導体処理システムでロボットアームをアラインメントするためのシステムが開示される。このシステムは、アラインメント用の特徴部を上面の中心に一体形成されたウエハチャックを備える。ウエハチャックの上方には、ビーム形成システムが配置され、アラインメント用の特徴部に向けて光信号を発することができる。ロボットアームをアラインメントするため、先ず、中心位置に基準パターンを設けられたロボットアラインメントウエハがロボットアーム上に配置され、処理室に挿入される。次いで、ロボットアームのアラインメントを決定するため、基準パターン上に発せられた光信号の振幅を検出する検出器が用いられる。基準パターンは、一般に、ロボットアラインメントウエハの中心がウエハチャックの中心に対して定まるように、光信号を変化させる。基準パターンは、例えば、複数のバンドパスフィルタを個々の区域として含む円形スペクトル基準パターンであって良い。この例では、各バンドパスフィルタは、それぞれ固有の中心波長を有する。基準パターンの別の代表例は、ロボットアラインメントウエハを処理室に挿入する際のロボットアームの移動方向に沿って一列に並んだ複数の円形アパチャを有する線状アパチャパターンである。また、精度を高めるために、複数の線状アパチャパターンを有する1つの複数列線状アパチャパターンを用いることも可能である。このとき、複数の線状パターンは、更に、固有の中心波長を有するバンドパスフィルタをそれぞれ含んでいる。本発明の他の形態および利点は、本発明の原理を例示した添付の図面に関連して行われる以下の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
通常のプロセスの流れを中断させることなく光学アラインメントを可能にすることができる光学アラインメントシステムに関する発明が開示される。また、本発明の実施形態は、処理室および搬送モジュールに開口を設けることなく厳密なアラインメントをロボットにより行なわせることができる。以下の説明では、本発明の完全な理解を促すために、多数の詳細が特定されている。しかし、当業者ならば明らかなように、本発明は、これらの詳細の一部または全部を特定しなくても実施することが可能である。また、本発明を不必要に不明瞭にするのを避けるため、周知のプロセス工程の詳細な説明は省略されている。
【0013】
図1は、背景技術の項で既に説明済みである。図2は、本発明の一実施形態にしたがった、反射に基づく一体型の多目的光学アラインメントシステムを有するエッチングシステム200の図である。エッチングシステム200は、覗き窓206とウエハチャック204とを有する処理室202を備える。ウエハチャックは、光ビーム210のアラインメントを促進するためのアラインメント用の特徴部を備える。このアラインメント用の特徴部は、反射性アラインメント用の特徴部212として図2に示されている。覗き窓206は、光ビーム210がビーム形成システム208によってウエハチャック204の表面上に透過されることを可能にする。
【0014】
図2の実施形態では、ウエハチャック204の中心領域に、小型の反射性アラインメント用の特徴部212が形成されている。反射性アラインメント用の特徴部212は、ウエハチャック204の表面に平行であるので、これは、ウエハチャック204上にウエハを設けた場合の効果を模したものである。一実施形態において、反射性アラインメント用の特徴部212は、ウエハチャック204の表面上の小さな領域を研磨して滑らかにすることによって形成される。この実施形態では、1つの連続領域を形成する、または複数の小領域からなる格子パターンを形成するように、反射性アラインメント用の特徴部212を研磨することができる。このようにすれば、ウエハチャック204の表面に異種の材料が追加されないので、汚染のリスクを低減することができる。また、ウエハチャック表面の研磨は、製造プロセスに追加される工程を最少に抑えることができる。更には、チャックの材料が充分にテストされているので、有効期限の長い反射性アラインメント用の特徴部212を製造することができる。
【0015】
更なる一実施形態において、反射性アラインメント用の特徴部212は、例えばサファイアなどの透明な光学材料で形成された小型の円柱であって良い。この円柱は、ウエハチャック204の中心に開けたくぼみに、例えば半導体グレードの接着剤を用いて埋め込まれる。この円柱の下面は、アルミニウムで被覆することが可能である。接着剤およびサファイアは、プラズマによる攻撃からアルミニウムの被覆を保護すると共にアルミニウムが処理室に浸入するのを阻止する働きをする。サファイアの屈折率は、有意な表面反射を生じるのに充分な大きさなので、サファイアにアルミニウムを使用せずに、金属被覆の使用を回避することも可能である。更には、円柱の下面を面取りすることによって、再帰性反射体を形成することも可能である。
【0016】
ビーム形成システム208から発せられる光ビーム210を厳密にアラインメントするため、ウエハチャック204の表面上の反射性アラインメント用の特徴部212上に発せられた光ビーム210と、ビーム形成システムに反射し返された信号とがチェックされる。ビーム形成システム208は、光源と光検出機構とを有するのが通常である。例えば、ビーム形成システムに光を提供するために、とある光ファイバを用いる一方で、反射性アラインメント用の特徴部212で反射された光を受け取って、その受け取られた光を光検出器に提供するために、別の光ファイバを用いることが可能である。ビーム形成システム208は、用いられている全波長について反射光信号が最大になるまで調整される。
【0017】
このように、ビーム形成システム208のアラインメントは、例えばウエハとウエハとの間またはウエハの存在しない洗浄処理の最中など、エッチングシステム200がアイドル状態にあるときならば、いつでも着手することができる。ビーム形成システム208のアラインメントは、時間の経過とともに、例えば処理室の振動や加熱、または冷却の工程の結果としてドリフトする可能性がある。反射性アラインメント用の特徴部212は、ウエハチャック204に組み込まれているので、ビーム形成システム208のアラインメントは、例えばウエハが取り出されるたびにチェックすることができる。すなわち、ウエハチャック204は、処理室201からウエハが取り出されるたびに剥き出しになるので、反射性アラインメント用の特徴部212は、そのたびにビーム形成システム208のアラインメントに用いることができる。更に、ビーム形成システム208のアラインメントは、ウエハエッチング工程とウエハエッチング工程との間に生じることができるので、通常のプロセスの流れを中断することなく実施することができる。
【0018】
本発明の更なる一実施形態では、透過に基づくアラインメント用の特徴部を用いることができる。図3は、本発明の一実施形態にしたがった、透過に基づく一体型の多目的光学アラインメントシステムを有するエッチングシステム300の図である。図2のシステムと同様に、エッチングシステム300は、覗き窓206とウエハチャック302とを有する処理室202を備える。ただし、図3の実施形態において、ウエハチャック302は、光ビーム210のアラインメントを促進するための透過性アラインメント用の特徴部304を有する。前述のように、覗き窓206は、光ビーム210がビーム形成システム208によってウエハチャック302の表面上に透過されることを可能にする。
【0019】
図3の実施形態では、ウエハチャック302の中心領域に、小型の透過性アラインメント用の特徴部304が形成されている。一実施形態において、透過性アラインメント用の特徴部304は、ウエハチャック302の表面に平行であるので、これは、ウエハチャック302上にウエハを設けた場合の効果を模したものである。図3に示されるように、透過性アラインメント用の特徴部304の軸は、ウエハチャック302の上面に垂直である。また、透過性アラインメント用の特徴部304には、光ファイバ308を介して光検出器306が結合されている。透過性アラインメント用の特徴部304は、ビーム形成システム208が厳密にアラインメントされたときに光がウエハチャック302を透過することを可能にする透明で、真空気密で、且つ高アスペクト比の特徴部である。
【0020】
高アスペクト比は、光ビームをウエハチャック302の表面に対して基本的に垂直にするので、光が透過性アラインメント用の特徴部304を透過して光ファイバ308を介して光検出器210に到達するのを可能にする。したがって、ビーム形成システム208から発せられる光ビーム210を厳密にアラインメントするため、その光ビーム210はウエハチャック302の表面上の透過性アラインメント用の特徴部304上に発せられる。光信号は、透過性アラインメント用の特徴部304を透過した後、ウエハチャック302を通じて光検出器306に到達する。ビーム形成システム208は、用いられている全波長について透過性アラインメント用の特徴部304を透過する光が最大になるまで調整される。
【0021】
前述のように、ビーム形成システム208のアラインメントは、エッチングシステム300がアイドル状態にあるときならば、いつでも着手することができる。透過性アラインメント用の特徴部304は、ウエハチャック302に組み込まれているので、ビーム形成システム208のアラインメントは、例えばウエハが取り出されるたびにチェックすることができる。したがって、反射性アラインメント用の特徴部の場合と同様に、透過性アラインメント用の特徴部304の場合も、ビーム形成システム208のアラインメントは、ウエハエッチング工程とウエハエッチング工程との間に生じることができるので、通常のプロセスの流れを中断することなく実施することが可能である。
【0022】
ビーム形成システムのアラインメントを促進することに加えて、透過性アラインメント用の特徴部304は、製造ウエハの透過率を測定するために用いることもできる。例えば、ウエハの温度を測定するために、赤外線スペクトルを用いることができる。光ビーム210の波長範囲に赤外線スペクトルが含まれる場合は、透過性アラインメント用の特徴部304を用いることによって、光ファイバ308を介して検出器306に赤外線信号を伝送することができる。そして、赤外線信号を分析することによって、ウエハの温度を決定することができる。
【0023】
更に、ウエハチャックに一体形成されたアラインメント用の特徴部を用いれば、ビーム形成システムを、ウエハチャックの中心に対するロボットアームの相対位置を決定するための測定機器として用いることができる。図4は、本発明の一実施形態にしたがった、一体型のロボットアームアラインメント機能を有するエッチングシステム400の図である。エッチングシステム400は、一体型アラインメント用の特徴部402を中心位置に配されたウエハチャック204を備える。前述のように、一体型アラインメント用の特徴部402は、図2を参照にして上述された反射性アラインメント用の特徴部であっても良いし、あるいは、図3を参照にして上述された透過性アラインメント用の特徴部であっても良い。いずれにせよ、一体型アラインメント用の特徴部402は、発せられた光ビームをウエハチャック204の表面に垂直に入射させるようにビーム形成システムをアラインメントするために用いられる。ロボットアーム408のアラインメントを促進するため、ロボットアーム408上には、基準パターン406を有するロボットアラインメントウエハ404が載置される。基準パターン406は、一般に、ロボットアラインメントウエハ404の中心領域に形成される。一実施形態では、ロボットアラインメントウエハ404は、ウエハカセットに装填される。そして、ロボットアーム408は、ウエハカセットからロボットアラインメントウエハ404を取り出した後に、処理室202に挿入される。
【0024】
エッチングシステムにおいて、ウエハチャック204は、処理環境の中心を定めている。本発明の実施形態の一体型アラインメント用の特徴部402は、ウエハチャック204の中心に形成されているので、ウエハ処理システムにとって、ウエハチャック204の中心の座標は既知である。したがって、ウエハチャック204の表面上の一体型アラインメント用の特徴部402にアラインメントされた光ビームは、ウエハチャック204の中心に対するロボットアラインメントウエハ404上の基準パターン406の相対位置を検出するために用いることができる。具体的に言うと、ロボットアラインメントウエハ404上の基準パターン406は、光ビームにばらつきを生じさせるので、システムは、このばらつきをもとに、ウエハチャック204の中心に対する基準パターン406の中心の、ひいてはロボットアラインメントウエハ404の中心の相対位置を計算することができる。
【0025】
図5A〜5Bは、ロボットアラインメントウエハ404の上で使用することができる各種の基準パターンを示している。図5Aは、本発明の一実施形態にしたがった、ロボットアラインメントウエハと共に用いられる円形スペクトル基準パターン406aの図である。円形スペクトル基準パターン406aは、固有の中心波長の光バンドパスフィルタをそれぞれ有する4つの四分円500a〜500dを含む。図中において、円形スペクトル基準パターン406aは、4つの四分円を有するものとして示されている。しかしながら、円形スペクトル基準パターン406aは、固有の中心波長の光バンドパスフィルタをそれぞれ有する任意の数の区域に分割することが可能である。
【0026】
各四分円500a〜500dは、光スペクトルの異なる部分をそれぞれ透過させる。透過された光は、ウエハチャック上のアラインメント用の特徴部で反射されるか、あるいは、ウエハチャック上のアラインメント用の特徴部を透過する。光ビームから検出される光スペクトルのバランスが、各バンドパスフィルタからの光が等量であることを示しているとき、円形スペクトル基準パターン406aの中心は、ウエハチャックの中心の真上に位置している。それ以外の場合は、光ビームから検出される光スペクトルのバランスは、ウエハチャックの中心に対する円形スペクトル基準パターン406aの中心のオフセットを示している。
【0027】
図5Bは、本発明の一実施形態にしたがった、ロボットアラインメントウエハと共に用いられる線状アパチャパターン406bの図である。線状アパチャパターン406bは、ロボットアラインメントウエハを処理室に挿入する際のロボットアームの移動方向に沿って一列に並んだひと続きの円形アパチャ502を有する。ロボットアラインメントウエハが処理室に挿入されると、光ビームは各円形アパチャ502を通過して、反射性アラインメント用の特徴部が用いられている場合は検出器に反射し返され、透過性アラインメント用の特徴部が用いられている場合は透過性の円柱および光ファイバを介して検出器に伝わる。
【0028】
いずれの場合も、検出器は、各円形アパチャ502がアラインメント用の特徴部の上方を通過するのにともなって、光ビーム信号のピークを検出する。検出されるピークの振幅は、円形アパチャ502の中心がアラインメント用の特徴部の上方を通過するときほど高く、円形アパチャ502の端がアラインメント用の特徴部の上方を通過するときほど低い。したがって、ロボットアラインメントシステムは、光ビーム信号の振幅変調をもとに、ロボットアラインメントウエハの双方向の位置を計算することができる。ロボットアームのアラインメントの精度を高めるためには、図5Cを参照にして以下に説明されるように、複数列からなる線状アパチャパターンを用いることも可能である。
【0029】
図5Cは、本発明の一実施形態にしたがった、ロボットアラインメントウエハと共に用いられる複数列線状アパチャパターン406cの図である。複数列線状アパチャパターン406cは、複数の線状アパチャパターン504a〜504cを含み、各パターンは、ロボットアラインメントウエハを処理室に挿入する際のロボットアームの移動方向に沿って一列に並んだひと続きの円形アパチャ502をそれぞれ有する。また、各線状アパチャパターン504a〜504cは、固有の中心波長を有する光バンドパスフィルタでそれぞれ覆われている。
【0030】
前述のように、検出器は、各円形アパチャ502がアラインメント用の特徴部の上方を通過するのにともなって、光ビーム信号のピークを検出する。検出されるピークの振幅は、円形アパチャ502の中心がアラインメント用の特徴部の上方を通過するときほど高く、円形アパチャ502の端がアラインメント用の特徴部の上方を通過するときほど低い。したがって、ロボットアラインメントシステムは、光ビーム信号の振幅変調をもとに、ロボットアラインメントウエハの双方向の位置を計算することができる。
【0031】
また、各線状アパチャパターン504a〜504cを覆っているバンドパスフィルタは、ロボットアラインメントウエハを処理室に挿入する際のロボットアームの移動方向に沿って基準パターン406cの中心に位置している中心の線状アパチャパターン504bからの右方向および左方向のオフセットを計算するために用いることができる。各バンドパスフィルタは、光スペクトルのそれぞれ異なる部分を透過させる。透過された光は、ウエハチャック上のアラインメント用の特徴部で反射されるか、あるいは、ウエハチャック上のアラインメント用の特徴部を透過する。したがって、光ビームから検出される光スペクトルのバランスは、ウエハチャックの中心に対する基準パターン406cの中心のオフセットを示している。
【0032】
更なる一実施形態において、基準パターンは、ロボットアラインメントウエハを処理室に挿入する際のロボットアームの移動方向に垂直な複数のスリットを有することも可能である。複数のスリットは、端から端へと透過波長を連続的に変化させる連続した光学フィルタで覆われる。これらのスリットがウエハチャック上のアラインメント用の特徴部の上を横切るのにともなって、スリットおよびフィルタを通過してアラインメント用の特徴部に到達する光信号の波長についてのみ、光信号の変調が行われる。このようにすれば、波長限界の上限および下限を用いて左方向および右方向へのオフセットを計算することが可能である。この基準パターンは、光ビームの均一性に寄らずに使用できる点で有利である。
【0033】
ロボットアラインメントウエハ上の基準パターンを用いて計算された情報は、次いで、ロボット制御システムにアラインメント座標を送信するために用いられる。例えば、基準パターンによって、ロボットが4分の1ミリだけ左寄りであることが示されたとする。すると、補正座標が生成され、ロボット制御システムに提供される。このようにすれば、搬送モジュールまたは処理室のいずれに開口を設けることもなくロボットアームのアラインメントを行うことができる。
【0034】
図6は、本発明の一実施形態にしたがった、半導体処理システムにおける光学アラインメントのための方法600のフローチャートである。最初の工程602では、予備処理工程が実施される。予備処理工程は、例えば、ウエハチャックにアラインメント用の特徴部を埋め込む工程、および本開示内容を熟読することによって当業者に明らかになるその他の予備処理工程を含むことができる。
【0035】
工程604では、ウエハチャックの中心に配されたアラインメント用の特徴部に向けて光ビームが発せられる。前述のように、アラインメント用の特徴部は、反射性アラインメント用の特徴部または透過性アラインメント用の特徴部のいずれかであって良い。反射性アラインメント用の特徴部は、ウエハチャックの表面に平行であるので、これは、ウエハチャック上にウエハを設けた場合の効果を模したものである。図2を参照にして上述したように、反射性アラインメント用の特徴部は、ウエハチャックの表面上の小さな領域を滑らかに研磨することによって形成されても良いし、あるいは、例えばサファイアなどの透明な光学材料で形成された小型の円柱であっても良い。
【0036】
一実施形態において、透過性アラインメント用の特徴部も、やはりウエハチャックの表面に平行であるので、これは、ウエハチャック上にウエハを設けた場合の効果を模したものである。透過性アラインメント用の特徴部の軸は、ウエハチャックの上面に垂直である。また、透過性アラインメント用の特徴部は、光ファイバを介して光検出器を結合されている。透過性アラインメント用の特徴部は、ビーム形成システムが厳密にアラインメントされたときに光がウエハチャックを透過することを可能にする透明で、真空気密で、且つ高アスペクト比の特徴部である。
【0037】
工程606では、アラインメント用の特徴部に向けて発せられた光の波長が検出される。反射性アラインメント用の特徴部が用いられているとき、光ビームは、反射性アラインメント用の特徴部で反射され、ビーム形成システムに返される。この実施形態では、ビーム形成システムは、光源と光検出機構とを有するのが通常である。例えば、ビーム形成システムに光を提供するために、とある光ファイバを用いる一方で、反射性アラインメント用の特徴部で反射された光を受け取って、その受け取られた光を光検出器に提供するために、別の光ファイバを用いることが可能である。透過性アラインメント用の特徴部が用いられるとき、高アスペクト比は、光ビームをウエハチャックの表面に基本的に垂直にするので、光が透過性アラインメント用の特徴部を透過して光ファイバを介して光検出器に到達するのを可能にする。したがって、光信号は、透過性アラインメント用の特徴部を透過した後、ウエハチャックを通じて光検出器に到達する。
【0038】
ビーム形成システムは、次いで、工程608において、検出される全ての波長の振幅が最大になるように調整される。ビーム形成システムが調整されるにつれて、ウエハチャックに対する光ビームの入射は垂直に近づき、検出される波長の振幅は増大する。したがって、検出される波長の振幅が最大になったとき、ウエハチャックの表面に対する光ビームの入射は垂直で、ビーム形成システムは厳密にアラインメントされている。
【0039】
工程610では、後処理工程が実施される。後処理工程は、例えば、更なるウエハ処理、ロボットアームのアラインメント、および当業者に明らかになるその他の後処理工程を含む。このようにすれば、本発明の実施形態は、例えば、ウエハとウエハとの間またはウエハの存在しない洗浄処理の最中など、エッチングシステムがアイドル状態にあるときならば、いつでも取り組むことが可能である。アラインメント用の特徴部は、ウエハチャックに組み込まれているので、ビーム形成システムのアラインメントは、例えば、ウエハが取り出されるたびにチェックすることが可能である。このように、ビーム形成システムのアラインメントは、ウエハエッチング工程とウエハエッチング工程との間に生じることができるので、通常のプロセスの流れを中断することなく実施することが可能である。
【0040】
以上では、理解を明確にするために、詳細を特定したうえで発明の説明を行ったが、添付の特許請求の範囲内であれば、特定の変更および修正が可能であることは明らかである。したがって、これらの実施形態は、例示を目的としたものであって、限定を目的としたものではなく、本発明は、上述した詳細に限定されることなく、添付の特許請求の範囲およびそれらに相当する範囲で変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】光学終点検出システムを用いた従来のエッチングシステムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にしたがった、反射に基づく一体型の多目的光学アラインメントシステムを有するエッチングシステムの概略構成図である。
【図3】本発明の一実施形態にしたがった、透過に基づく一体型の多目的光学アラインメントシステムを有するエッチングシステムの概略構成図である。
【図4】本発明の一実施形態にしたがった、一体型のロボットアームを用いたアラインメント機能を有するエッチングシステムの模式図である。
【図5A】本発明の一実施形態にしたがった、ロボットアラインメントウエハと共に用いられる円形スペクトル基準パターンの説明図である。
【図5B】本発明の一実施形態にしたがった、ロボットアラインメントウエハと共に用いられる線状アパチャパターンの説明図である。
【図5C】本発明の一実施形態にしたがった、ロボットアラインメントウエハと共に用いられる複数列線状アパチャパターンの説明図である。
【図6】本発明の一実施形態にしたがった、半導体処理システムにおける光学アラインメントのための方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
100…エッチングシステム
102…処理室
104…ウエハチャック
106…覗き窓
108…ビーム形成システム
110…光ビーム
112…基準ウエハ
200…エッチングシステム
202…処理室
204…ウエハチャック
206…覗き窓
208…ビーム形成システム
210…光ビーム
212…反射性アラインメント用の特徴部
300…エッチングシステム
302…ウエハチャック
304…透過性アラインメント用の特徴部
306…光検出器
308…光ファイバ
400…エッチングシステム
402…一体型のアラインメント用の特徴部
404…ロボットアラインメントウエハ
406…基準パターン
406a…円形スペクトル基準パターン
406b…線状アパチャパターン
406c…複数列線状アパチャパターン
408…ロボットアーム
500a〜500d…四分円
502…円形アパチャ
504a〜504c…線状アパチャパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理システムで使用される光学アラインメントシステムであって、
アラインメント用の特徴部を上面に一体形成されたウエハチャックと、
前記ウエハチャックの上方に配置され、前記アラインメント用の特徴部に向けて光信号を発することができるビーム形成システムと、
前記アラインメント用の特徴部に向けて発せられた光信号の振幅を検出することができる検出器と
を備える光学アラインメントシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学アラインメントシステムであって、
前記アラインメント用の特徴部は、前記光信号の一部を前記ビーム検出器に反射させることができる反射性の特徴部である光学アラインメントシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の光学アラインメントシステムであって、
前記反射性のアラインメント用の特徴部は、前記ウエハチャックの前記上面を研磨してなる領域である光学アラインメントシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の光学アラインメントシステムであって、
前記研磨された領域は、連続した一領域である光学アラインメントシステム。
【請求項5】
請求項3に記載の光学アラインメントシステムであって、
前記研磨された領域は、研磨された複数の小領域からなるパターンである光学アラインメントシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の光学アラインメントシステムであって、
前記アラインメント用の特徴部は、前記光信号の一部が前記ウエハチャックを通過して前記検出器に到達することを可能にする透過性の特徴部である光学アラインメントシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の光学アラインメントシステムであって、
前記検出器は、前記ウエハチャックの下方に配置される、光学アラインメントシステム。
【請求項8】
請求項6に記載の光学アラインメントシステムであって、
前記透過性のアラインメント用の特徴部は透明である光学アラインメントシステム。
【請求項9】
半導体処理システムにおける光学アラインメントのための方法であって、
ウエハチャックの中心に一体形成されたアラインメント用の特徴部に向けて光信号を発する工程と、
前記アラインメント用の特徴部に向けて発せられた前記光信号の振幅を検出する工程と、
前記検出された光信号の振幅が最大になるように、前記光信号を生成するビーム形成システムを調整する工程と
を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記アラインメント用の特徴部は、前記光信号の一部を、前記ビーム形成システムと共に設けられる検出器に反射させることができる反射性の特徴部である方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記反射性アラインメント用の特徴部は、前記ウエハチャックの前記上面を研磨してなる領域である方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記研磨された領域は、連続した一領域である方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、
前記研磨された領域は、研磨された複数の小領域からなるパターンである方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、
前記アラインメント用の特徴部は、前記光信号の一部が前記ウエハチャックを通過して前記検出器に到達することを可能にする透過性の特徴部である方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法あって、
前記検出器は、前記ウエハチャックの下方に配置される方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記透過性アラインメント用の特徴部は透明である方法。
【請求項17】
半導体処理システムで使用される、ロボットアームをアラインメントするためのシステムであって、
アラインメント用の特徴部を上面の中心位置に一体形成されたウエハチャックと、
前記ウエハチャックの上方に配置され、前記アラインメント用の特徴部に向けて光信号を発することができるビーム形成システムと、
前記ロボットアーム上に配置され、基準パターンを中央位置に設けられたロボットアラインメントウエハと、
前記基準パターン上に発せられた前記光信号の振幅を検出することができる検出器と
を備えるシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、
前記基準パターンは、前記ロボットアラインメントウエハの中心が前記ウエハチャックの中心に対して定まるように、前記光信号を変化させるシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、
前記基準パターンは、それぞれ固有の中心波長を有する複数のバンドパスフィルタを個々の区域として含む円形スペクトル基準パターンであるシステム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムであって、
前記基準パターンは、前記ロボットアラインメントウエハを処理室に挿入する際の前記ロボットアームの移動方向に沿って一列に並んだ複数の円形アパチャを有する線状アパチャパターンであるシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、
前記基準パターンは、固有の中心波長を有するバンドパスフィルタをそれぞれ含む複数の線状アパチャパターンを有する1つの複数列線状アパチャパターンであるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−501527(P2007−501527A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522763(P2006−522763)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/025517
【国際公開番号】WO2005/028994
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】