説明

一心双方向光モジュール

【課題】送信部から受信部への信号の電気的クロストークを低減すると共に、回路基板への取付けを容易にした一心双方向光モジュールを提供する。
【解決手段】一心双方向光モジュール1は、第1の軸線に沿って配置された第1の光信号を送信する送信部11と、第1の軸線と交差する第2の軸線に沿って配置された第2の光信号を受信する受信部12と、を備え、第1の軸線と第2の軸線の交差部に第1の光フィルタを配し、第1の軸線上に配された光ファイバを介して第1の光信号を送信し第2の光信号を受信するものであって、送信部11、受信部12及び光ファイバのそれぞれを保持する筐体部分13を、回路基板の片側から取付け可能な共通の導電金属部材30で覆ってグラウンド接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板への取付けを容易にすると共に送信側から受信側への信号の電気的クロストークを低減した、1本の光ファイバを用いて光信号を送受信する一心双方向光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光アクセス系を中心として、1本の光ファイバで上りと下りの信号を送受信する一心双方向通信の需要が急速に拡大しつつある。この一心双方向通信で光信号を送受信する一心双方向光モジュールに求められる伝送速度は高く、例えばGE−PON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)に用いられた場合等では、ギガビットクラスである。2波長以上が多重化された光信号を上述のような高伝送速度において正確に送受信するには(すなわち高品質な伝送を可能とするには)、送信部から受信部への電気的クロストークを低減することが必要である。
【0003】
一心双方向光モジュールの光信号送信部からの電気的クロストークを低減する技術として、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の一心双方向光モジュールは、図7に示すように、光信号送信部11及び光信号受信部12を金属製の筐体13に保持している。この一心双方向光モジュールは、光信号送信部11のリードピン11aと回路基板20の導電パターン22とが半田接続されると共に、図7(A)及び図7(B)に示すように、回路基板20に固着される一対の金属製の部材90で回路基板20の表裏両側から挟持されて、回路基板20に取付けられている。この一心双方向光モジュールにおいては、回路基板20に取付ける際に用いる金属製の部材90で、筐体の一部分(光信号送信部を保持する部分)を覆い、金属製の部材90をグラウンド(GND)に電気的に接続することにより、上記電気的クロストークを低減するようにしている。
【特許文献1】特開2006−126495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7に示した、特許文献1に開示の技術のように、ノイズ源である光信号送信部11の周辺の筐体13を、GNDに電気的に接続する金属製の部材90で挟持/固定しGND強化を行うことで、光信号送信部11から光信号受信部12への信号の電気的クロストークに対しては、一定の効果が認められる。しかし、本発明者が行った電磁ノイズ解析によれば、筐体13の電位は、ミクロには、GNDと接続されている金属製の部材90から離れるにつれて、空中を伝播されるノイズの影響や筐体13を伝播するノイズの影響などによって不安定なGND電位となっており、電気的クロストーク低減の観点からさらなる改善の余地がある。また、特許文献1では、一心双方向光モジュール100の光信号送信部11を覆う金属製の部材90により回路基板20の表裏から当該モジュール100を挟んで回路基板20に取付けており、取付け作業に手間を用し、取付け構造としても改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、送信部から受信部への信号の電気的クロストークを低減すると共に、回路基板への取付けを容易にした一心双方向光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による一心双方向光モジュールは、第1の軸線に沿って配置された第1の光信号を送信する送信部と、第1の軸線と交差する第2の軸線に沿って配置された第2の光信号を受信する受信部と、を備え、第1の軸線と第2の軸線の交差部に第1の光フィルタを配し、第1の軸線上に配された光ファイバを介して第1の光信号を送信し第2の光信号を受信するものであって、送信部、受信部及び光ファイバのそれぞれを保持する筐体部分を、回路基板の片側から取付け可能な共通の導電金属部材で覆ってグラウンド接続することを特徴とする。
【0007】
また、一心双方向光モジュールが、第1の軸線と交差する第3の軸線に沿って配置された第3の光信号を受信する受信部を備え、第1の軸線と第3の軸線の交差部に第2の光フィルタを配し、光ファイバを介して第3の光信号を受信するようにしてもよい。
なお、導電金属部材は、上記筐体部分と溶接により接合するための開口を有することが好ましい。また、導電金属部材は、略円筒形状を半割りにした2つの部材からなると共に、その2つの部材で上記筐体部分を挟持して取付けられることも好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一心双方向光モジュールの回路基板への取付けが容易になると共に、当該モジュールを備えた機器(例えば、光トランシーバ)における送信部から受信部への信号の電気的クロストークを低減することができる。そのため、一心双方向光モジュールを備える機器の製造コストを抑えることができるとともに、当該モジュールの受信部において良好な受信感度特性やCN比が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る一心双方向光モジュール(以下、光送受信モジュールという)について説明する図であり、図1(A)は本光送受信モジュールの斜視図、図1(B)はその平面図である。また、図2(A)は本光送受信モジュールが回路基板へ取付けられている様子を導電金属部材の図示を省略して示す図であり、図2(B)は本光送受信モジュール内における光結合の様子を説明する模式図である。
【0010】
本発明による光送受信モジュール1は、図1に示すように、光送受信モジュール本体10に、回路基板20(図2参照)に固定される導電金属部材(以下、金属部材という)30を取付けてなる。光送受信モジュール本体10は、図7の光送受信モジュールと同様なものであり、例えば、1本の光ファイバでデジタル光信号を送受信するダイプレクサ(Diplexer)タイプの光送受信モジュールである。光送受信モジュール本体10に金属部材30を取付けた状態の光送受信モジュール1は、金属部材30を回路基板20に固着させることにより、回路基板20に取付けることができる。
【0011】
まず、図2を用いて、光送受信モジュール本体10(以下、モジュール本体10という)と、回路基板20について説明する。
モジュール本体10は、光信号送信部11、光信号受信部12、筐体13、光伝送部品14等を有する。
【0012】
光信号送信部11及び光信号受信部12は、図2(A)及び図2(B)に示すように、複数のリードピン11a,12aがガラス封止されて取付けられたステム11b,12bと、集光用レンズ11c,12cが封止ガラスにより固定されたキャップ11d,12dと、からなる同軸型のパッケージを有している。ステム11b,12b上には、後述の半導体発光素子や半導体受光素子等の搭載部品が搭載されるが、これらは上記パッケージにより封止されている。また、上記ステム11b,12bは、例えば、一部が金メッキされた冷間圧延鋼(SPCE鋼)またはコバール材を加工したものであり、キャップ11d,12dは、例えば、被削性が良いステンレススチール材料を加工したものである。ステム11b,12bとキャップ11d,12dとを封止溶接することにより、上記搭載部品が封止される。
【0013】
光信号送信部11には、図2(B)に示すように、第1の波長の光信号を出射する半導体発光素子(LD:Laser Diode)11eが搭載されており、このLD11eから出射された光信号は、集光用レンズ11c及び筐体13が有する後述のWDMフィルタ13aを透過し、光伝送部品14内の光ファイバ14aを介して、外部に伝達される。LD11eは、複数のリードピン11aのうち一部のリードピン11aと電気的に接続されており、光信号送信部11の外部から当該リードピン11aを介して電気的な送信信号を受ける。
【0014】
光信号受信部12には、半導体受光素子(PD:Photo Diode)12eが搭載されており、このPD12eは、光伝送部品14内の光ファイバ14aから入射されWDMフィルタ13aで反射された光信号を、筐体13が有する後述のカットフィルタ13bと、集光用レンズ12cと、を介して受光する。このPD12eが受光する光ファイバ14aを伝播してきた光信号は、光信号送信部11から出力された光信号と異なる波長(第2の波長)を有している。また、好ましくは、光信号受信部12には、PD12eが生成した微弱な電気信号を増幅する、図示しないトランスインピーダンスアンプ(TIA:Trans Impedance Amplifier)が搭載される。
【0015】
TIAを搭載した場合、PD12eとTIAは電気的に接続され、TIAは、複数のリードピン12aのうち一部のリードピン12aと電気的に接続されている。PD12eにより受光され電気信号に変換された信号は、TIAにより増幅され、増幅された電気信号は、当該リードピン12aを介して光信号受信部12の外部へ送出される。PD12eとしては、例えば、アバランシェフォトダイオードや、PINフォトダイオードを用いることができる。
【0016】
光伝送部品14は、例えば、光ファイバ14aとフェルール14bとスリーブ14cとを含む部品である。光ファイバ14aがフェルール14bに保持されており、また、フェルール14bがスリーブ14cに保持されている。フェルール14bは、光伝送部品14の端部に設けられるものであり、その端面に光ファイバ14aの端面が露出している。光送受信モジュール1において、光伝送部品14は、その端面から光信号送信部11の方向へ向けて、外部からの信号光を出射する。第2の波長を有するこの光信号は、WDMフィルタ13aにより反射され、光信号受信部12のPD12eにより受光される。また、光伝送部品14は、その端面に受けたLD11eからの信号光を外部に伝送する。
【0017】
上述のような光信号送信部11、光信号受信部12、及び光伝送部品14が取付けられる筐体13には、以下のWDMフィルタ13a及びカットフィルタ13bも取付けられる。
WDMフィルタ13aは、光の波長に基づいて選択的に透過または反射を行う波長選択フィルタであり、光信号送信部11から出射された光信号を透過するもので、また、光ファイバ14aの一端からの光信号を反射して、光信号受信部12に導くものである。
また、カットフィルタ13bは、特定の波長の光を透過し、他の波長の光を遮断するものであり、このカットフィルタ13bにより、光信号送信部11からの光信号等が光信号受信部12に入射することを防止することができる。
【0018】
上記の構成部品が取付けられる筐体13は、YAGレーザ溶接が可能な材料、例えば、ステンレススチール材料を加工したものであり、その基本形は円筒形である。筐体13は、円筒形の軸心を中心軸とした光路孔13cが形成され、光路孔13cには、WDMフィルタ13aが固定されるWDMフィルタ固定部13dを有する。また、筐体13は、カットフィルタ13bが固定されるカットフィルタ固定孔13eを有している。
【0019】
さらに、筐体13は、光信号送信部11、光信号受信部12及び光伝送部品14がそれぞれ調芯されて固定される光信号送信部固定孔13f、光信号受信部固定面13g及び光伝送部品固定面13hを有する。光信号送信部固定孔13fへの光信号送信部11の取付けは、光信号送信部固定壁13iに光信号送信部11のキャップ11dをYAG溶接することにより行われる。光信号受信部固定面13gへの光信号受信部12の取付けは、光信号受信部12のキャップ12dの端面をキャップ固定平面にYAG溶接することにより行われ、光伝送部品固定面13hへの光伝送部品14の取付けは、スリーブ固定平面にスリーブ14cの端面をYAG溶接することにより行われる。
【0020】
この筐体13により、光信号送信部11と光信号受信部12と光伝送部品14とは、光信号送信部11のLD11eから出射された光信号がWDMフィルタ13aを介して光ファイバ14aに入射して外部に伝送され、かつ、外部から光ファイバ14aを通して出射された光信号がWDMフィルタ13aで反射されて光信号受信部12のPD12eに入射するように、位置合わせが成される。
【0021】
つまり、筐体13により、第1の波長の光信号を出射する光信号送信部11は、第1の軸線(筐体13の中心軸)Aに沿って配置され、第2の波長の光信号を受信する光信号受信部12は、第1の軸線と交差する第2の軸線Bに沿って配置される。また、この筐体13により、第1の波長の光を透過し第2の波長の光を反射する光フィルタ(WDMフィルタ13a)は、第1の軸線Aと第2の軸線Bとが交差する位置に配置される。さらに、この筐体13により、第1の軸線Aに沿った光ファイバ保持部(フェルール14b)に保持された光ファイバ14aは、所定の位置に配置される。すなわち、光信号送信部11が出射する第1の波長の光が光フィルタを透過した後に光ファイバ14aに結合する位置であって、光ファイバ14aを伝播してきた第2の波長の光が光フィルタで反射されて光信号受信部12に結合する位置に配置される。
【0022】
回路基板20は、光信号送信部11との間及び光信号受信部12との間で、電気信号の授受を行うためのものであり、図2(A)に示すように、光信号として送出する電気信号の送信処理などを行うIC21等を搭載している。回路基板20には、モジュール本体10と電気接続するための導電パターン22が複数形成されている。
【0023】
上述のようなモジュール本体10に後述の金属部材30(図1参照)を取付けることで、本光送受信モジュール1となる。モジュール本体10と金属部材30との取付けは、例えば、YAG溶接により行われる。この光送受信モジュール1の回路基板20への取付けは、例えば、金属部材30を回路基板20に半田接続すると共に、リードピン11a,12aと回路基板20の導電パターン22とを半田接続することにより、回路基板20の片側から行うことができる。
【0024】
続いて、図1に戻り、本発明の主要部に係る金属部材30について説明する。金属部材30は、モジュール本体10に取付けられて光送受信モジュール1の光信号送信部11からの電気的クロストークを低減させ、また、光送受信モジュール1を回路基板20の片側から取付けるためのものである。金属部材30は、光送受信モジュール1の光信号送信部11、光信号受信部12及び光伝送部品14のそれぞれを保持する筐体(筐体部分)13を一括して覆っており、回路基板20のシグナルグラウンド(SG:Signal Ground)に電気接続される。この金属部材30は回路基板20の片側からのみの操作で回路基板に取付けることができる。この金属部材30は、本体部31と、取付け部32と、を有する。
【0025】
金属部材30の本体部31は、図1(A)に示すように、少なくともモジュール本体10の光信号送信部11、及び、その光信号送信部11から光信号受信部12へと続く筐体13を、モジュール本体10の片側から覆う部分である。図1(A)の例では、本体部31はさらに光伝送部品14のスリーブ14c(図2参照)を覆っている。
【0026】
また、本体部31は、図1(B)に示すように、光信号受信部12側に切り欠き31aが形成されている。このように切り欠き31aを形成しておくことで、金属部材30を取付ける際に、モジュール本体10の光信号受信部12により、その取付けが妨げられることを防ぐことができる。なお、この切り欠き31aは、モジュール本体10において光信号受信部12を調芯のためにいかなる位置に配しても、金属部材30を回路基板20に取付ける際に、金属部材30が光信号受信部12に接触しないように設けられる。
【0027】
また、本体部31は、その内周面がモジュール本体10の外周面に沿うように形成されており、例えば、円筒状に形成されたモジュール本体10の筐体13に対応した形状、すなわち、半円筒形状を有している。
また、金属部材30をモジュール本体10に取付け、これらを電気的に接続するために、金属部材30の本体部31と、モジュール本体10と、をYAG溶接することが好ましい。そのため、金属部材30の本体部31においてモジュール本体10の筐体13と接する部分の一部に、開口31bが設けられている。このように開口31bを設けておけば、そのエッジと筐体13とをYAG溶接したときに、溶接痕を確認することができる。
【0028】
金属部材30の取付け部32は、金属部材30を回路基板20に取付ける(固着する)ための部分であり、本体部31が延在する方向と直交する方向に延在する。また、取付け部32は、回路基板20と半田付けされ、好ましくは、回路基板20のシグナルグラウンドに電気的に接続される。
【0029】
このような本体部31と取付け部32を有する金属部材30は、例えば、YAGレーザ溶接の可能な材料(ステンレススチール材料等)から作製されている。また、金属部材30は、光信号受信部12の前後(ファイバ軸方向に関する前後)を2つの取付け部32で挟むようにして、YAGレーザ溶接によりモジュール本体10に取付けられる。ステンレススチール材料からなる金属部材30のうち、少なくとも半田付けされる部分には、金メッキ、銀メッキや半田メッキなど濡れ性が良い材料で表面処理が行われる。
【0030】
本実施形態に係る光送受信モジュール1において、このような金属部材30を設けることにより、モジュール本体10から放出される電界の強度を低減することができる。このことは、本発明者の試験により確認されている。
その試験では、本実施形態の構成を有する光送受信モジュール1(YAGレーザ溶接により金属部材30をモジュール本体10に取付け、金属部材30を回路基板20のSGに電気的に接続して回路基板20に取付けられたもの)をサンプルX1とした。また、金属部材30が無い以外はサンプルX1と同じ構成のもの(なお、筐体13と上記SGとは電気的に接続されていない)をサンプルX2として用意し、特許文献1に開示の技術を用いた構成のものをX3として用意した。そして、それらサンプルX1,X2,X3に関して、光信号送信部11のLD11eを駆動したときの電界の強度を、図2のO〜Rの各点で測定した。この測定結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
なお、表1のO〜R点はそれぞれ、光信号送信部11のステム11b上の点(入力部近傍)、筐体13中央部上の点、筐体13の光伝送部品14側端部上の点(YAG溶接部近傍の点)、光信号受信部12のステム12b上の点(出力部近傍)である。
表1に示すように、実験では、サンプルX2における電界強度は、回路基板20の光信号受信部12側に近づくにつれ小さくなっているが、R点で測定された電界強度は、78.5dBμV/mである。また、サンプルX3において測定された電界強度は、サンプルX2と比べて、O点及びP点では小さくなっているものの、Q点及びR点では、ほぼ変わらない。
【0033】
しかし、サンプル1において測定された電界強度は、サンプルX1及びX2に比べて、O〜R点の各点で小さくなっており、特に、R点では、72.0dBμV/mである。このことから、本光送受信モジュール1では、上述のように金属部材30を設けることによって、光信号受信部周辺のノイズを受けやすい部分(リードピンなど)の近傍での電界強度を小さくすることができることがわかる。
【0034】
このように、本光送受信モジュール1では、光信号受信部近傍における電界強度が小さいため、筐体の光信号受信部近傍の電位を安定的にGND電位にして電気的クロストークを低減させることが可能であり、また、主なノイズ源である光信号送信部周辺(LD駆動配線部分)等からの電磁波が光信号受信部の出力部分にノイズとして及ぼす影響は小さい。
【0035】
次に、図3を用いて、金属部材の他の例を説明する。図3は、他の例の金属部材の斜視図である。本例の金属部材40は、上述の例の金属部材30と同様に、モジュール本体10に取付けられて光信号送信部11からの電気的クロストークを低減させ、また、光送受信モジュールを回路基板20の片側から取付けるためのものでもある。しかし、金属部材40は、金属部材30とは異なり、2つの金属製の部材(第1の部材41,第2の部材44)からなる。金属部材40は、図3に示すような、第1の部材41に第2の部材44が組付けられた状態で用いられる。
【0036】
金属部材40は、金属部材30の取付け部32と同様な、金属部材40を回路基板20に取付ける(固着する)ための部分である取付け部43を有する。この取付け部43は、取付け部32と同様に半田付けにより回路基板20に固定され、回路基板20のSGと電気的に接続されることが好ましい。また、取付け部32と異なり、第2の部材44が係合する係合孔43aを有する。この係合孔43aと第2の部材44の係合部46とが係合するように、第1の部材41に第2の部材44を嵌め込むことにより、第2の部材44が第1の部材41に組付けられる。
【0037】
また、2つの部材41,44は、それぞれ略半円筒形状の本体部42,45を有する。第1の部材41と第2の部材44とを組付けたときに、これら本体部42,45は、モジュール本体10を上下から挟み込むことによって、少なくとも筐体13に当接するようになっている。言い換えると、金属部材40は、第1の部材41及び第2の部材44でモジュール本体10の筐体13を挟持するようにして、モジュール本体10に取付けられる。そして、金属部材40は、筐体13に当接して、筐体13と電気的に接続されている。
【0038】
前例の金属部材30を用いる際は、その本体部31とモジュール本体10の筐体13とを互いに固定し電気的接続するためにYAG溶接を行う必要があったが、金属部材40を上述のように構成することにより、上記YAG溶接の工程を省略することができる。
また、前例の金属部材30を用いる際は、半田付けのための金メッキなどが上記YAG溶接を行う際に邪魔になるため、部分メッキ化が必要であったが、金属部材40を上述のように構成することにより、全体に金メッキ処理等を行ってもよい。その場合、例えば、光トランシーバを作製する際などに、部分メッキコストが不要となるので、製造コストを低減させることができる。
【0039】
なお、本例の金属部材40は、第2の部材44の第1の部材41への組付けが容易になるように、例えば、金属部材30の材料に比べて撓ませることが容易な材料(例えば、リン青銅)で、金属部材30より薄く形成することが好適である。そして、この金属部材40は、モジュール本体10の光信号受信部12が両取付け部43で挟まれるような形態で、筐体13を挟持することにより、モジュール本体10に取付けられる。
【0040】
また、第1の部材41の本体部42と第2の部材44の本体部45とには、前例の金属部材30の本体部31と同様に、モジュール本体10の光信号受信部12側に切り欠き42a,45aがそれぞれ形成されている。これら切り欠き42a,45aは開口を形成している。この開口により、モジュール本体10において光信号受信部12を調芯のためにいかなる位置に配しても、回路基板20に金属部材40を取付ける際に、金属部材40が光信号受信部12に接触しないようにすることができる。
【0041】
また、金属部材40とモジュール本体10との電気的接続をより確実にするために、例えば、本体部42aに弾性片42bが複数形成されている。これら弾性片42bは、モジュール本体10を第2の部材44に向かう方向に付勢しており、これら弾性片42bにより、金属部材40とモジュール本体10とが物理的に確実に接触できるようになっている。弾性片42は、本体部42aから折り曲げられるなどして形成される。
【0042】
図4及び図5は、本発明の他の実施形態に係る光送受信モジュールについて説明する図であり、図4(A)は本光送受信モジュールの斜視図、図4(B)はその平面図である。また、図5(A)は本光送受信モジュールが回路基板へ取付けられている様子を金属部材の図示を省略して示す図であり、図5(B)は本光送受信モジュール内における光結合の様子を説明する模式図である。
【0043】
光送受信モジュール2は、図4に示すように、モジュール本体50に、回路基板80(図5参照)に固定するため等に用いられる金属部材60が取付けられてなる。本実施形態のモジュール本体50は、例えば、1本の光ファイバで光信号を送受信するトリプレクサ(Triplexer)タイプの光送受信モジュールであり、1本の光ファイバでデジタル光信号を送受信することに加えて、更に例えばアナログ変調信号(CATVの映像信号等)といった別の光信号を受信できるものである。モジュール本体50に金属部材60を取付けた状態の光送受信モジュール2は、金属部材60を回路基板80に固着させることにより、回路基板80に取付けることができる。
【0044】
まず、図5を用いて、モジュール本体50と回路基板80について説明する。モジュール本体50は、図5(A)に示すように、第1の波長の光信号を送信する光信号送信部51、第2の波長の光信号を受信する第1の光信号受信部52、第3の波長の光信号を受信する第2の光信号受信部53、筐体54、光伝送部品55等を有する。また、例えば、このモジュール本体50が出力する光信号は、第1の波長のデジタル変調信号であり、このモジュール本体50に入力される光信号は、第2の波長のデジタル変調信号、及び、第3の波長のアナログ変調信号である。
【0045】
光信号送信部51は、図5(B)に示すように、第1の波長の光信号を出射するLD11eが搭載されており、このLD11eから出射された光信号は、集光用レンズ11c及び筐体54が有する後述の第1のWDMフィルタ54a及び第2のWDMフィルタ54bを透過し、光伝送部品14内の光ファイバ14aを介して、外部に伝送される。光信号送信部51のその他の形状及び構成は、図1及び図2の実施形態における光信号送信部11と同様である。
【0046】
第1の光信号受信部52には、第2の波長の光信号を受信するPD12eが搭載されている。このPD12eは、光伝送部品14内の光ファイバ14aから入射され第2のWDMフィルタ54bを透過し第1のWDMフィルタ54aで反射された光信号を、筐体54が有する後述の第1のカットフィルタ54cと、集光用レンズ12cと、を介して受光する。第1の光信号受信部52のその他の形状及び構成は、図1及び図2の実施形態における光信号受信部12と同様である。
【0047】
第2の光信号受信部53には、第2の波長の光信号を受信するPD53aが搭載されている。このPD53aは、光伝送部品14内の光ファイバ14aから入射され第2のWDMフィルタ54bで反射された光信号を、筐体54が有する後述の第2のカットフィルタ54dと、集光用レンズ12cと、を介して受光する。なお、PD53aとしては、例えば、アナログ受信PINフォトダイオードを用いることができる。また、第2の光信号受信部53では、PD53aが直接リードピン12a(すなわち、TIAを介さずに)と電気的に接続されている。したがって、PD53aにより受光され電気信号に変換された信号は、当該リードピン12aを介して直接光信号受信部53の外部へ送出される。第2の光信号受信部53のその他の形状及び構成は、図1及び図2の実施形態における光信号受信部12と同様である。
【0048】
光伝送部品55は、その端面から光信号送信部51方向へ向けて、外部からの信号光を出射する。この光信号のうち第3の波長の光信号は、第2のWDMフィルタ54bにより反射され、第2の光信号受信部53のPD53aにより受光される。また、光伝送部品から出射された光信号のうち第2の波長の光信号は、第2のWDMフィルタ54bを透過し、第1のWDMフィルタ54aにより反射され、第1の光信号受信部52のPD12eにより受光される。光伝送部品55のその他の形状及び構成は、図1及び図2の実施形態における光伝送部品14と同様である。
【0049】
筐体54には、上述のような光信号送信部51、第1の光信号受信部52、第2の光信号受信部53及び光伝送部品55が取付けられ、また、以下の第1及び第2のWDMフィルタ54a,54b並びに第1及び第2のカットフィルタ54c,54dも取付けられる。
第1及び第2のWDMフィルタ54a,54bは、光の波長に基づいて選択的に透過または反射を行う波長選択フィルタである。
【0050】
第1のWDMフィルタ54aは、第1の波長の光信号を透過する。光ファイバ14aの一端からの光信号のうち、後述の第2のWDMフィルタ54bを透過した第2の波長の光信号は、この第1のWDMフィルタ54aにより、第1の光信号受信部52に導かれる。
第2のWDMフィルタ54bは、第3の波長の光信号を反射し、第1及び第2の波長の光信号を透過する。この第2のWDMフィルタ54bにより、光ファイバ14aの一端から入力される光信号のうち第3の波長の光信号は、第2の光信号受信部53に導かれる。
【0051】
また、第1及び第2のカットフィルタ54c,54dは、特定の波長の光を透過し、他の波長の光を遮断するものであり、それぞれ、第2及び第3の波長を透過し、第1〜3の波長のうち、上記透過する波長以外の波長の光信号を遮断する。この第1及び第2のカットフィルタ54c,54dにより、所望の波長以外の光信号が、第1及び第2の光信号受信部52,53に入射することを防止することができる。
【0052】
上記の構成部品が取付けられる筐体54は、円筒形の軸心を中心軸とする光路孔54eが形成され、光路孔54eには、第1及び第2のWDMフィルタ54a,54bが固定される。また、筐体54は、第1及び第2のカットフィルタ54c,54dが固定される第1及び第2のカットフィルタ固定孔54f,54gを有している。
【0053】
さらに、筐体54は、図1及び図2の実施形態の光信号送信部固定孔13f及び光伝送部品固定面13hと同様な、光信号送信部固定孔54h及び光伝送部品固定面54kを有する。また、図1及び図2の実施形態の光信号受信部固定面13gと同様な、第1の光信号受信部固定面54i及び第2の光信号受信部固定面54jを有する。
【0054】
この筐体54により、第1の波長の光信号を出射する光信号送信部51は、第1の軸線(筐体54の中心軸)Aに沿って配置される。また、この筐体54により、第2の波長の光信号を受信する第1の光信号受信部52は、第1の軸線Aと交差する第2の軸線Bに沿って配置される。また、第3の波長の光信号を受信する第2の光信号受信部53は、第1の軸線Aと交差する軸線であり第2の軸線Bとは異なる第3の軸線Cに沿って配置される。
【0055】
さらに、この筐体54により、第1の波長の光を透過し第2の波長の光を反射する第1の光フィルタ(第1のWDMフィルタ54a)は、第1の軸線A及び第2の軸線Bと交差する位置に配置される。また、第3の波長の光信号を反射するとともに、第1及び第2の波長の光信号を透過する第2の光フィルタ(第2のWDMフィルタ54b)は、第1の軸線A及び第3の軸線Cと交差する位置に配置される。
【0056】
さらに、この筐体54により、第1の軸線Aに沿った光ファイバ保持部(フェルール14b)に保持された光ファイバ14aは、以下の(1)〜(3)の条件を満たす位置に配置される。
(1)光信号送信部51が出射する第1の波長の光が第1及び第2の光フィルタを透過した後に光ファイバ14aに結合する位置。
(2)光ファイバ14aを伝播してきた第2の波長の光が第1の光フィルタで反射されて第1の光信号受信部52に結合する位置。
(3)光ファイバ14aを伝播してきた第3の波長の光が第2の光フィルタで反射されて第2の光信号受信部53に結合する位置。
【0057】
つまり、この筐体13により、光信号送信部51と第1及び第2の光信号受信部52,53と光伝送部品55とは、以下の(A)〜(C)が達成できるように位置合わせされる。
(A)光信号送信部51のLD11eから出射された第1の波長の光信号が第1及び第2のWDMフィルタ54a,54bを介して光ファイバ14aに入射して外部に伝送。
(B)外部から光ファイバ14aを通して出射された光信号のうち第3の波長の光信号が、第2のWDMフィルタ54bで反射されて第2の光信号受信部53のPD12eに入射。
(C)外部から光ファイバ14aを通して出射された光信号のうち第2の波長の光信号が、第2のWDMフィルタ54bで反射されて、第2の光信号受信部53のPD12eに入射。
【0058】
回路基板80は、図1及び図2の実施形態の回路基板20と同様なものであり、光信号送信部51、第1の光信号受信部52や第2の光信号受信部53との間で、電気信号の授受を行う。
以上のようなモジュール本体50を有し回路基板80に取付けられる光送受信モジュール2は、モジュール本体50に金属部材60(図4参照)が取付けられてなり、例えば、金属部材60を回路基板80に半田接続すると共に、リードピン11a,12aと回路基板80の導電パターン22とを半田接続することにより、回路基板80の片側から取付けることができる。
【0059】
続いて、図4に戻り、本発明の主要部に係る金属部材60について説明する。金属部材60は、モジュール本体50に取付けられて光送受信モジュール2の光信号送信部51からの電気的クロストークを低減させ、また、光送受信モジュール2を回路基板80の片側から取付けるためのものである。
【0060】
金属部材60は、光送受信モジュール2の光信号送信部51、光信号受信部52及び光伝送部品14のそれぞれを保持する筐体(筐体部分)55を一括して覆っており、回路基板80のシグナルグラウンド(SG:Signal Ground)に電気接続される。この金属部材30は回路基板20の片側からのみの操作で回路基板に取付けることができる。この金属部材60は、図4(A)に示すように、図1及び図2の実施形態の取付け部32と同様な取付け部62を有し、また、本体部61を有する。
【0061】
金属部材60の本体部61は、図4(A)に示すように、少なくともモジュール本体50の光信号送信部51、及び、その光信号送信部51から光信号受信部52,53へと続く筐体54を、モジュール本体50の片側から覆う。また、本体部61は、図1及び図2の実施形態の本体部31とは異なり、図4(B)に示すように、その両側(第1の光信号受信部52側及び第2の光信号受信部53側)に切り欠き61aが形成されている。この切り欠き61aはそれぞれ、図1及び図2の実施形態の切り欠き31aと同様なものである。なお、本体部61のその他の形状及び構成は、図1及び図2の実施形態の本体部31と同様である。
【0062】
続いて、図6を用いて、本実施形態の金属部材の他の例を説明する。図6は、他の例の金属部材の斜視図である。本例の金属部材70は、上述の例の金属部材60と同様に、モジュール本体50に取付けられて光信号送信部51からの電気的クロストークを低減させ、また、光送受信モジュールを回路基板80に取付けるためのものである。しかし、金属部材60とは異なり、2つの金属製の部材(第1の部材71,第2の部材74)からなる。
【0063】
金属部材70の第1の部材71は、図3の実施形態の金属部材40の第1の部材41が有する本体部42及び取付け部43と同様な、本体部72及び取付け部73を有する。
また、金属部材70の第2の部材74は、図3の実施形態の金属部材40の第2の部材44が有する本体部45及び係合部46と同様な、本体部75及び係合部76を有する。
【0064】
ただし、両本体部72,75は、両側(第1の光信号受信部52側及び第2の光信号受信部53)に切り欠き72a,75aをそれぞれ有する。これら切り欠き72a,75aは、第1の部材71に第2の部材74が組みつけられたときに、金属部材70の両側で開口を形成するようになっている。これら開口により、モジュール本体50において第1及び第2の光信号受信部52,53を調芯のためにいかなる位置に配しても、回路基板80に金属部材70を取付ける際に、第1及び第2の光信号受信部52,53に接触しないようにすることができる。
また、金属部材70は、第1の部材71及び第2の部材74でモジュール本体50の筐体54を挟持するようにして、当該モジュール本体50に取付けられる。そして、金属部材70は、筐体55に当接して、筐体54と電気的に接続されている。
【0065】
本実施形態に係る光送受信モジュールにおいて、このような金属部材70を設けることにより、モジュール本体50における雑音端子電圧を低減することができる。このことは、本発明者の試験により確認されている。
【0066】
その試験では、本実施形態の構成を有する光送受信モジュール(筐体54を挟持するように金属部材70をモジュール本体50に取付け、金属部材70を回路基板80のSGに電気的に接続して回路基板80に取付けられたもの)をサンプルY1とした。また、金属部材70が無い以外はサンプルY1と同じ構成のもの(なお、筐体54と上記SGとは電気的に接続されていない)をサンプルY2として用意した。そして、それらサンプルY1,Y2に関して、光信号送信部51のLD11eを駆動したときに、図5のS〜W点の各点で、雑音端子電圧を測定した。
【0067】
なお、図5のS〜W点はそれぞれ、光信号送信部51のステム11b上の点、筐体54中央部上の点、筐体54の光伝送部品55側端部上の点(YAG溶接部近傍の点)、第1の光信号受信部52のステム12b上の点、第2の光信号受信部53のステム12b上の点、である。
【0068】
S〜W点で測定された雑音端子電圧は、サンプルY2については、それぞれおよそ、74dbμV、75dbμV、71dbμV、73dbμV、73dbμVであったのに対し、サンプルY1については、それぞれおよそ、68dbμV、65dbμV、64dbμV、66dbμV、64dbμVであった。このことから、本実施形態の光送受信モジュールでは、金属部材70を設けることによって、雑音端子電圧を小さくし、電気的クロストークを低減させることが可能であることがわかる。
【0069】
また、サンプルY1及びY2のモジュール本体50が有する第1の光信号受信部52の最小受信感度特性を表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
表2に示すとおり、サンプルY2の第1の光信号受信部52は、光信号送信部51のLD11eを駆動していない場合の最小受信感度が−32.2dBmであったときに光信号送信部51のLD11eを駆動した場合、その最小受信感度が−19.8dBmへと変化しており、そのクロストークペナルティが12.4dBと大きい。
【0072】
一方、サンプルY1の第1の光信号受信部52は、光信号送信部51のLD11eを駆動していない場合の最小受信感度が−30.8dBmであったときに光信号送信部51のLD11eを駆動した場合、その最小受信感度が−28.3dBmへと変化しており、そのクロストークペナルティが2.5dBと非常に小さい。
このことから、本実施形態の光送受信モジュールに金属部材70を設けることによって、電気的クロストークを低減でき、最小受信感度に対するクロストークペナルティを削減することができることがわかる。
【0073】
また、サンプルY1及びY2のモジュール本体50が有する第2の光信号受信部(アナログ受信)53への電気的クロストークの影響を確認するため、光信号送信部51のLD11eを駆動していない状態と、駆動していない状態でのCN比を比較した。その比較結果を表3に示す。
【0074】
【表3】

【0075】
表3に示すとおり、Y2においては、光送信受信部51のLD11eを駆動することによって、搬送波周波数が55〜800MHzの範囲では、CN比は5〜24.2dB減少する。すなわち光送受信部51からの電気的クロストークは、5〜24.2dBである。一方、Y1においては、光送信受信部51のLD11eを駆動しても、搬送波周波数が55〜800MHzの範囲では、CN比はほとんど変わらず、光送受信部51からの電気的クロストークは、−0.3〜2.0dBである。
このことから、本実施形態の光送受信モジュールに金属部材70を設けることによって、電気的クロストークを低減でき、最小受信感度に対するクロストークペナルティを削減することができることがわかる。
【0076】
上述したように、本発明によれば、一心双方向光モジュールを回路基板に取付ける作業が容易になる。また、当該モジュールを覆う金属部材が、光信号送信部のみならず筐体等を覆っているため、光信号送信部以外の部分に浮遊していたノイズを低減でき、光送受信モジュールの送信部から受信部への信号の電気的クロストークを低減することができる。そのため、一心双方向光モジュールを備える光トランシーバ等の機器の製造コストを抑えることができるとともに、良好な受信感度特性及びCN比が得られる。
【0077】
なお、上述の光送受信モジュールにおいては、金属部材の回路基板への固着方法として、半田付けによる方法を用いていたが、その方法に代えて、ネジで固定する方法等を用いてもよい。そのため、金属部材は、その取付け部に、ネジ穴またはネジ止め用の半円形の凹所を有することが好ましい。
また、金属部材と光送受信モジュールとの接続方法も同様に、YAG溶接によるものの代わりに、ネジで固定する方法等を用いてもよい。
また、光送受信モジュールのリートピンと回路基板の導電パターンとを、フレキシブルプリント回路基板を用いて電気的に接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態に係る光送受信モジュールについて説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光送受信モジュールについて説明する図である。
【図3】図1及び図2の実施形態の光送受信モジュールの金属部材の他の例の斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る光送受信モジュールについて説明する図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る光送受信モジュールについて説明する図である。
【図6】図5及び図6の実施形態の光送受信モジュールの金属部材の他の例の斜視図である。
【図7】従来の光送受信モジュールについて説明する図である。
【符号の説明】
【0079】
1,2…一心双方向モジュール(光送受信モジュール)、10…光送受信モジュール本体(モジュール本体)、11…光信号送信部、11a,12a…リードピン、11b,12b…ステム、11c,12c…集光用レンズ、11d,12d…キャップ、11e…LD、12e…PD、12…光信号受信部、13…筐体、13a…WDMフィルタ、13b…カットフィルタ、13c…光路孔、13d…WDMフィルタ固定部、13e…カットフィルタ固定孔、13f…光信号送信部固定孔、13g…光信号受信部固定面、13h…光伝送部品固定面、13i…光信号送信部固定壁、14…光伝送部品、14a…光ファイバ、14b…フェルール、14c…スリーブ、20…回路基板、21…IC、22…導電パターン、30…金属部材、31…本体部、31a…切り欠き、31b…開口、32…取付け部、40…金属部材、41…第1の部材、42,45…本体部、42a…切り欠き43…取付け部、43a…係合孔、44…第2の部材、46…係合部、50…光送受信モジュール、51…光信号送信部、52…第1の光信号受信部、53…第2の光信号受信部、53a…PD、54…筐体、54a…第1のWDMフィルタ、54b…第2のWDMフィルタ、54c…第1のカットフィルタ、54d…第2のカットフィルタ、54e…光路孔、54f,54g…カットフィルタ固定孔、54h…光信号送信部固定孔、54i…光信号受信部固定面、54j…光信号受信部固定面、54k…光伝送部品固定面、55…光伝送部品、60…金属部材、61…本体部、62…取付け部、70…金属部材、71…第1の部材、72,75…本体部、73…取付け部、74…第2の部材、76…係合部、80…回路基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸線に沿って配置された第1の光信号を送信する送信部と、前記第1の軸線と交差する第2の軸線に沿って配置された第2の光信号を受信する受信部と、を備え、前記第1の軸線と前記第2の軸線の交差部に第1の光フィルタを配し、前記第1の軸線上に配された光ファイバを介して前記第1の光信号を送信し前記第2の光信号を受信する一心双方向光モジュールであって、
前記送信部、前記受信部及び前記光ファイバのそれぞれを保持する筐体部分を、回路基板の片側から取付け可能な共通の導電金属部材で覆ってグラウンド接続することを特徴とする一心双方向光モジュール。
【請求項2】
前記第1の軸線と交差する第3の軸線に沿って配置された第3の光信号を受信する受信部を備え、前記第1の軸線と前記第3の軸線の交差部に第2の光フィルタを配し、前記光ファイバを介して前記第3の光信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の一心双方向光モジュール。
【請求項3】
前記導電金属部材は、前記筐体部分と溶接により接合するための開口を有することを特徴とする請求項1または2に記載の一心双方向光モジュール。
【請求項4】
前記導電金属部材は、略円筒形状を半割りにした2つの部材からなると共に、該2つの部材で前記筐体部分を挟持して取付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の一心双方向光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−37174(P2009−37174A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203782(P2007−203782)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】