説明

一貫工程による超伝導テープ製造方法および装置

【課題】超伝導テープを製造するための全工程を同一環境の下で行うことが可能であって、製造コストと製造時間が短縮され、同一の蒸着条件が超伝導テープ全体に適用されることにより超伝導テープの均一性が向上して性能が優れるし、ドラムによる大面積の基板上への蒸着が可能であって蒸着効率および高品質の超伝導テープが得られる、一貫工程による超伝導テープ製造方法および装置の提供。
【解決手段】反応チャンバの内部で、ドラムに巻かれた基板を熱処理させ、蒸着チャンバから供給された超伝導テープを含む緩衝層、超伝導層、接触抵抗低減層、保護層を成す成分を前記基板上に連続的に蒸着させ、熱処理させることを特徴とする、一貫工程による超伝導テープ製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導テープを製造する方法および装置に係り、さらに詳しくは、同一の製造環境で全ての超伝導テープ製造過程が行われて装置および製造工程の単純化が図られ、高品質の超伝導テープを提供することができるとともに、時間的、経済的コストを節減することができる、一貫工程による超伝導テープ製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、超伝導テープは、基本的に金属基板の上面に緩衝層および超伝導層を蒸着し、その上面に接触抵抗低減層および保護層などを蒸着する。このような超伝導テープは、金属基板の前熱処理工程、緩衝層蒸着工程、超伝導層蒸着工程、後酸素熱処理工程、保護層蒸着工程、ラミネーション工程を行うことにより製造される。
【0003】
この種の超伝導テープ蒸着装置に対する従来の技術として、特許文献1による「テープ基板上に超伝導物質を蒸着するための装置」がある。前記従来の技術によれば、前記各工程に該当するだけの真空チャンバが直列に配置されて相互連通し、両端には、それぞれテープ基板の供給のための供給リールが含まれたリールチャンバ、および超伝導物質が蒸着された超伝導テープの巻線のための巻線リールが含まれたリールチャンバが連結されている。テープ基板は、各工程に該当するチャンバを経ながら順次蒸着および熱処理が施される。
【0004】
ところが、前記装置による超伝導テープの製造過程は、各工程の数に相当するだけのチャンバ数が必要なのでチャンバの製作費が高くなり、工程のチャンバ数が多いだけ、蒸着速度または処理速度の最も低いチャンバ側に巻線速度を低めなければならないので、収率が低くなる可能性があり、一つのチャンバでも工程変数が最適範囲から外れると、超伝導テープは所望の性能が出なくなるおそれがある。
【0005】
また、各チャンバにおける蒸着条件、例えば温度およびガス雰囲気が異なるので、これらのチャンバを分離させるための分離チャンバが別途にさらに含まれなければならないので、製造コストがさらに高くなるという問題点もある。
【0006】
【特許文献1】国際公開公報WO2004/012278 A2パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、超伝導テープを成す特定の成分を供給する蒸着チャンバ、前記特定の成分を、ドラムに巻かれた基板上に蒸着させ、熱処理過程を行う反応チャンバ、および前記蒸着チャンバと前記反応チャンバとの雰囲気を分離させる分離チャンバによって全ての超伝導テープ製造過程が同一環境の下で行われる、一貫工程による超伝導テープ製造方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、反応チャンバの内部で、ドラムに巻かれた基板を熱処理させ、蒸着チャンバから供給された超伝導テープを含む緩衝層、超伝導層、接触抵抗低減層、保護層を成す成分を前記基板上に連続的に蒸着させ、熱処理させることを特徴とする、一貫工程による超伝導テープ製造方法を技術的要旨とする。
【0009】
ここで、一貫工程による超伝導テープ製造方法は、前記蒸着チャンバ側に一部露出された基板の巻かれたドラムが回転しながら、前記基板上に、前記蒸着チャンバから供給された超伝導テープの緩衝層を成す成分を蒸着させる緩衝層蒸着段階と、前記緩衝層蒸着段階の後、前記蒸着チャンバから供給された超伝導テープの超伝導層を成す成分を蒸着させる超伝導層蒸着段階と、前記超伝導層蒸着段階の後、前記反応チャンバの内部に酸素を供給し、超伝導層が蒸着された超伝導テープを熱処理させる酸素熱処理段階と、前記酸素熱処理段階中、前記反応チャンバから分離チャンバを介して気体をポンピングして、前記超伝導層の上面に、前記蒸着チャンバから供給された超伝導テープの接触抵抗低減層を成す成分を蒸着させる接触抵抗低減層蒸着段階と、前記接触抵抗低減層蒸着段階の後、前記蒸着チャンバから供給された超伝導テープの保護層を成す成分を蒸着させる保護層蒸着段階とを含んでなることが好ましい。
【0010】
ここで、前記緩衝層蒸着段階の前に、反応チャンバの内部で、ドラムに巻かれた基板を常温から工程温度まで昇温させながら熱処理させる脱炭熱処理段階と、前記脱炭熱処理段階の後、前記反応チャンバの内部で、基板に形成された酸化層を還元させる還元熱処理段階とをさらに含んでなることが好ましい。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、超伝導テープを成す特定の成分が供給される物質供給部が含まれた蒸着チャンバと、前記蒸着チャンバと部分的に連通するように設けられ、ドラムに巻かれた基板を前記蒸着チャンバ側に露出させる反応チャンバとを含んでなり、前記蒸着チャンバから供給された特定の成分が、ドラムに巻かれた基板上に蒸着され、熱処理過程および超伝導テープを成す薄膜蒸着過程が同一環境の下で一貫的に行われることを特徴とする、一貫工程による超伝導テープ製造装置を別の技術的要旨とする。
【0012】
ここで、前記一貫工程による超伝導テープ製造装置において、薄膜を成す特定の成分が基板に蒸着されるように多数の物質供給部が内部に含まれた蒸着チャンバと;前記蒸着チャンバと部分的に連通し、前記蒸着チャンバ側の連通部分に露出され、前記物質供給部によって特定の成分が蒸着されるように形成された基板と、外周面に前記基板が巻かれて回転するドラムと、前記基板を熱処理させるヒータと、内部に酸素を供給する酸素供給部とからなる反応チャンバと;前記蒸着チャンバと前記反応チャンバとの間に設けられ、蒸着チャンバと反応チャンバの雰囲気を分離させる分離チャンバと;を含んでなることが好ましい。
【0013】
また、前記物質供給部は、蒸気坩堝とすることが好ましく、前記分離チャンバは、前記反応チャンバから気体をポンピングし得るように設けられることが好ましい。
【0014】
これにより、超伝導テープを製造するための全工程を同一環境の下で行うことが可能であって、製造コストおよび製造時間が短縮され、同一の蒸着条件が超伝導テープ全体に適用されることにより超伝導テープの均一性が向上して性能が優れるし、ドラムによる大面積の基板上への蒸着が可能であって蒸着効率および高品質の超伝導テープが得られるという利点がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、超伝導テープを製造するための全工程を同一環境の下で行うことが可能であり、これにより製造コストと製造時間が短縮され、同一の蒸着条件が超伝導テープ全体に適用されることにより超伝導テープの均一性が向上して性能が優れるし、ドラムによる大面積の基板上への蒸着が可能であって蒸着効率および高品質の超伝導テープが得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明に係る一貫工程による超伝導テープ蒸着装置の要部を示す模式図である。
【0017】
図1に示すように、本発明に係る一貫工程による超伝導テープ蒸着装置は、蒸着チャンバ100、反応チャンバ200、並びに温度および真空状態の差異による前記蒸着チャンバ100と反応チャンバ200の蒸着環境を分離させる分離チャンバ300によって大きく構成される。
【0018】
前記蒸着チャンバ100の内部は、均一な組成比を持つように〜10−5Torr程度の真空状態に一定に維持され、超伝導テープを成す特定の成分を基板上に供給するための物質供給部110が多数含まれている。
【0019】
前記物質供給部110は、基板上に蒸着させるための物質の供給方法に応じて、スパッタリング蒸着方法によるターゲット部、パルスレーザー蒸着方法によるターゲット部、および蒸気蒸着方法による蒸気坩堝のいずれか一つまたは多数を選択して使用することができるが、大面積蒸着および蒸着工程が比較的単純な蒸気蒸着方法による蒸気坩堝とすることが好ましい。
【0020】
ここで、蒸気坩堝を加熱させるために外側に誘導加熱コイルを形成させるが、前記誘導加熱コイルは、前記蒸気坩堝の入口側がさらに高い温度で加熱され得るように誘導加熱コイルの中心部に蒸気坩堝の入口がくるようにする(誘導加熱コイルの中心部における磁場が最も強くてうまく誘導加熱されるためである)。これは、蒸着物質の蒸気が凝結して蒸気坩堝の入口を塞ぐおそれもあるので、入口側にさらに高い温度を加えるためである。
【0021】
これにより、超伝導テープを成す特定の成分物質は、蒸気状態に昇華して基板上に到達されて蒸着されるようにする。ここで、必要によって前記物質供給部110の使用順序に従って前記物質供給部110に隣接して蒸着領域を設定するために、各物質供給部の間にガイド板が設置されてもよく、各物質供給部の前方にガイドチューブなどが設置されてもよい。
【0022】
次に、前記反応チャンバ200は、前記蒸着チャンバ100と部分的に連通するように設けられ、物質供給部110からの物質が基板上に蒸着されるようにする。本発明において、基板はドラム(drum)210の外周面に巻かれた線材状に供給される。前記蒸着チャンバ100と連通した部分を介してドラム210およびこのドラムに巻かれた基板が前記蒸着チャンバ100に露出され、基板上に、超伝導テープを成す特定の成分が蒸着される。ここで、ドラム210が回転して前記蒸着チャンバ100側に露出された部分では基板上に特定の物質が蒸着され、反対側、すなわち反応チャンバ200の内部では酸素などの気体が供給されて所定の分圧(〜5mTorr)の下で基板蒸着物質に酸素熱処理などが行われる。
【0023】
前記基板に蒸着される特定成分の物質の提供を順次前記物質供給部110から受ける。この際、一般に、基板の真上層に蒸着される緩衝層を成す成分、超伝導層を成す成分、接触抵抗低減層を成す成分、保護層を成す成分が蒸着順序に従って供給されて蒸着される。このような超伝導テープを成す蒸着成分は順次供給され、必要に応じて酸素などの気体が供給されて蒸着と同時に酸素熱処理が行われる。また、各層の蒸着が行われる工程温度も超伝導層を蒸着するための温度に合わせられる(一般に700〜800°C)。これにより、同一の蒸着環境の下で連続且つ一貫的に蒸着工程が一時に行われる。
【0024】
前記反応チャンバ200内には、ドラム210に隣接して、基板または基板に蒸着された物質を熱処理させるためのヒータ220が設けられる。これは、前記ヒータ220によって、基板に形成された有機物および基板の表面に形成された酸化層を除去し、蒸着された超伝導層に酸素を供給して酸素欠乏現象を補強するためである。前記ヒータ220は、通常、ハロゲンヒータ220を採用し、常温から工程温度以上まで昇温の制御が可能である。
前記反応チャンバ200には、所定の酸素を一定の圧力で制御して反応チャンバ200の内部へ供給するための酸素供給部230が設けられる。これは、基板上に超伝導層を蒸着させた後、超伝導層の酸素欠乏現象を補強するためであり、酸素雰囲気(〜5mTorr)で超伝導層の蒸着と同時に酸素熱処理ができるようにしたものである。ここで、酸素供給部230によって酸素が供給されて熱処理および超伝導層の蒸着が完了すると、前記反応チャンバ200内の酸素は後述する分離チャンバ300からポンピングされて再び真空状態を維持する。
【0025】
次に、前記分離チャンバ300は、前記蒸着チャンバ100および反応チャンバ200の蒸着環境を熱的に、真空的に相互分離させるためのもので、前記蒸着チャンバ100と前記反応チャンバ200との互いに連通する部分は除いて、両側に蒸着チャンバ100および反応チャンバ200を横切って設けられる。ここで、事実上、蒸着チャンバ100、反応チャンバ200および分離チャンバ300は、分離チャンバ300とドラム210との間に相互連通するが、反応チャンバ200が高圧、蒸着チャンバ100が低圧の状態で常に分離チャンバ300でポンピングが行われるので、高圧状態である反応チャンバ200内の気体が分離チャンバ300を介して蒸着チャンバ100に流入することはない。これにより、蒸着チャンバ100および反応チャンバ200は熱的に、真空的にある程度分離されるのである。
【0026】
本発明は、上述したように構成された製造装置によって熱処理過程が反応チャンバ200で行われ、連続的に蒸着チャンバ100の物質供給部110から供給された、超伝導テープを成す特定の成分の物質がドラム210に巻かれて、回転している基板上に蒸着され、蒸着と同時に或いは連続的に反応チャンバ200の内部では酸素雰囲気で超伝導層の熱処理が可能であって、超伝導テープの製造のための全ての蒸着工程が同一の蒸着環境で連続的且つ同時に行われる。
【0027】
以下、本発明に係る一貫工程による超伝導テープの製造のための方法について説明する。一般に、金属基板上にバッファ層が蒸着されたIBAD基板の場合には、緩衝層蒸着過程、超伝導層蒸着過程、酸素熱処理過程、接触抵抗低減層蒸着過程、保護層蒸着過程が行われるが、金属基板(結晶が両軸整列された基板であって、RABiTs)の場合には、前熱処理過程が行われる。この前熱処理過程は、金属内に存在する有機物を除去する脱炭熱処理過程と、金属表面の酸化層を除去する還元熱処理過程である。
次に、前記金属基板としてRABiTS基板を使用した場合について説明する。
1)脱炭熱処理段階
前記脱炭熱処理段階は、基板内に存在する有機物を除去するためのもので、反応チャンバ200で基板を常温から工程温度(700〜800°C)まで2時間にわたって昇温させる間、混合ガス(アルゴン+酸素)を流しながら熱処理を行う過程である。この際、ガス分圧は数mTorr〜200mTorrまでである。昇温に伴って金属基板内の有機物が表面に拡散しながら表面で酸素と反応してCO、COが生成される。この気体は真空ポンプによって外部へ排出される。
【0028】
2)還元熱処理段階
前記還元熱処理段階は、反応チャンバ200の内部で行われるもので、基板の表面に形成された酸化層を還元過程によって除去する過程である。酸化層は、通常、工程条件で(111)成長が優勢であるから、(001)エピタキシ成長を期待することができないため、還元熱処理によって除去しなければならない。還元熱処理は、700〜800°Cの温度で行われるが、後述する緩衝層の蒸着温度と同一にすると、温度上げおよび温度下げの過程を省略することができる。還元熱処理の際に供給されるガスは、水素を含む混合ガスを使用する。通常、供給ガスは数mTorr〜200mTorrの分圧を保つように流す。
【0029】
3)緩衝層蒸着段階
前記緩衝層蒸着段階は、蒸着チャンバ100と反応チャンバ200との連通した部分で基板の巻かれたドラム210が回転しながら行われる。緩衝層は、基板と超伝導層の格子不一致および基板の拡散を防ぐために基板の上層に蒸着される。このような緩衝層は、多数の薄膜層からなり、一般にCeO/YSZ/CeO、CeO/Y/CeOまたはY/CeOなどの多層薄膜に形成される。蒸着温度は500〜800°Cまでであり、蒸着率は数Å/sec程度である。また、反応チャンバ200内に存在する水蒸気を酸化源として用いるが、この水蒸気は、酸素でガス分圧を人為的に維持しながら酸化反応を誘導することができる。後述する超伝導層の蒸着工程温度と同一にすると、温度上げおよび温度下げの過程を省略することができる。
【0030】
4)超伝導層蒸着段階
前記緩衝層の蒸着が完了すると、その上層に超伝導層の蒸着が直ちに続く。蒸着のための工程温度は700〜800°Cの間であり、酸素分圧は5mTorrである。
【0031】
5)酸素熱処理段階
前記超伝導層の蒸着が完了すると、直ちに酸素熱処理が続く。温度は電源を遮断し、自然冷却させながら制御し、ガスは大気圧になるまで入れる。酸素熱処理を行う理由は、超伝導層に足りない酸素の組成比を合わせるためである。
【0032】
6)接触抵抗低減層蒸着段階
これは、前記超伝導層と後述の保護層との間にAu、Ptなどの接触抵抗低減層を蒸着することにより、接触抵抗を減らすためである。蒸着時点は、酸素熱処理過程中に真空を引いた後、蒸着すればよい。蒸着が終わると、直ちに酸素熱処理を再び施す。
【0033】
7)保護層蒸着段階
保護層は、超伝導層を物理、化学的損傷から保護するとともに超伝導線材のクエンチ(Quench)の際に電流の迂回路を形成して超伝導線材を保護する役割を果たすもので、前記接触抵抗低減層の上層に形成される。前記保護層の材料としては、安くて伝導性の高い物質、例えば銅などが使用される。
【0034】
上述したような製造過程によって熱処理過程が反応チャンバ200で行われ、連続的に蒸着チャンバ100の物質供給部110から供給された、超伝導テープを成す特定の成分の物質がドラム210に巻かれて、回転している基板上に蒸着され、蒸着と同時に且つ連続的に反応チャンバ200の内部では酸素雰囲気で超伝導層の熱処理が可能であって、超伝導テープの製造のための全ての蒸着工程が同一の蒸着環境で連続的且つ一貫的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る一貫工程による超伝導テープ蒸着装置の要部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0036】
100 蒸着チャンバ
110 物質供給部
200 反応チャンバ
210 ドラム
220 ヒータ
230 酸素供給部
300 分離チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバの内部で、ドラムに巻かれた基板を熱処理させ、蒸着チャンバから供給された超伝導テープを含む緩衝層、超伝導層、接触抵抗低減層、保護層を成す成分を前記基板上に連続的に蒸着させた後、熱処理させることを特徴とする、一貫工程による超伝導テープ製造方法。
【請求項2】
一貫工程による超伝導テープ製造方法は、
前記蒸着チャンバ側に一部露出された基板の巻かれたドラムが回転しながら、前記基板上に、前記蒸着チャンバから供給された超伝導テープの緩衝層を成す成分を蒸着させる緩衝層蒸着段階と、
前記緩衝層蒸着段階の後、前記蒸着チャンバから供給された超伝導テープの超伝導層を成す成分を蒸着させる超伝導層蒸着段階と、
前記超伝導層蒸着段階の後、前記反応チャンバの内部に酸素を供給し、超伝導層が蒸着された超伝導テープを熱処理させる酸素熱処理段階と、
前記酸素熱処理段階中、前記反応チャンバから分離チャンバを介して気体をポンピングして、前記超伝導層の上面に、前記蒸着チャンバから供給された超伝導テープの接触抵抗低減層を成す成分を蒸着させる接触抵抗低減層蒸着段階と、
前記接触抵抗低減層蒸着段階の後、前記蒸着チャンバから供給された超伝導テープの保護層を成す成分を蒸着させる保護層蒸着段階とを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の一貫工程による超伝導テープ製造方法。
【請求項3】
前記緩衝層蒸着段階の前に、
反応チャンバの内部で、ドラムに巻かれた基板を常温から工程温度まで昇温させながら熱処理させる脱炭熱処理段階と、
前記脱炭熱処理段階の後、前記反応チャンバの内部で、基板に形成された酸化層を還元させる還元熱処理段階とをさらに含んでなることを特徴とする、請求項2に記載の 一貫工程による超伝導テープ製造方法。
【請求項4】
超伝導テープを成す特定の成分が供給される物質供給部が含まれた蒸着チャンバと、前記蒸着チャンバと部分的に連通するように設けられ、ドラムに巻かれた基板を前記蒸着チャンバ側に露出させる反応チャンバとを含んでなり、前記蒸着チャンバから供給された特定の成分が、ドラムに巻かれた基板上に蒸着され、熱処理過程および超伝導テープを成す薄膜蒸着過程が同一環境の下で一貫的に行われることを特徴とする、一貫工程による超伝導テープ製造装置。
【請求項5】
前記一貫工程による超伝導テープ製造装置において、
薄膜を成す特定の成分が基板に蒸着されるように多数の物質供給部が内部に含まれた蒸着チャンバと;
前記蒸着チャンバと部分的に連通し、前記蒸着チャンバ側の連通部分に露出され、前記物質供給部によって特定の成分が蒸着されるように形成された基板と、外周面に前記基板が巻かれて回転するドラムと、前記基板を熱処理させるヒータと、内部に酸素を供給する酸素供給部とからなる反応チャンバと;
前記蒸着チャンバと前記反応チャンバとの間に設けられ、蒸着チャンバと反応チャンバの雰囲気を分離させる分離チャンバと;を含んでなることを特徴とする、請求項4に記載の一貫工程による超伝導テープ製造装置。
【請求項6】
前記物質供給部は蒸気坩堝であることを特徴とする、請求項5に記載の一貫工程による超伝導テープ製造装置。
【請求項7】
前記分離チャンバは、前記反応チャンバから気体をポンピングし得るように設けられたことを特徴とする、請求項5に記載の一貫工程による超伝導テープ製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−226813(P2008−226813A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228557(P2007−228557)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(507296791)コリア エレクトロテクノロジー リサーチ インスティテュート (24)
【Fターム(参考)】