説明

三次元構造体の製造方法および三次元構造体

【課題】導電体内の欠陥の発生を抑制し、導電体が連続的に形成される三次元構造体の製造方法および三次元構造体を提供する。
【解決手段】第1の導電体上に、絶縁体と、この絶縁体内に、第1の導電体と異なる第2の導電体で構成される縦構造体と横構造体が組み合わされた三次元の擬似導電体構造とを形成する工程と、擬似導電体構造を溶解除去して三次元の空洞を形成し、第1の導電体を露出させる工程と、第1の導電体をシード層として、電解めっき法により第3の導電体を空洞に充填し、三次元の導電体構造を形成する工程を有することを特徴とする三次元構造体の製造方法およびこれによる三次元構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁体と導電体で構成される三次元構造体の製造方法および三次元構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁体中にナノメートルオーダー(幅1μm未満)の金属細線が三次元的に形成されている三次元構造体を作製するための方法として、半導体製造プロセスにおける配線形成方法のひとつである逐次配線形成法がある。逐次配線形成法では、まず、半導体基板上に絶縁層を堆積し、リソグラフィーによりホールエッチングを行う。そして、金属充填により縦方向の金属細線を形成する。また、横方向の金属細線は、金属充填したコンタクトホールの上に金属層を形成後、パターンエッチングを行うことで形成する。そしてこれらの処理を繰り返し行って三次元的な金属細線構造を形成する。
【0003】
一方、近年、半導体製造プロセスにおいて、ダマシン法と一般に呼称されている象眼法が採用されている(例えば、特許文献1)。このダマシン法とは、ビア配線や上層配線層を形成するためのビアホールやトレンチと呼ばれる配線溝(開口部)を絶縁層に形成しておき、その空間に導電体材料を埋め込むという配線形成方法である。このダマシン法において、縦方向のビア配線と上層配線層を同時に形成する場合は、特にデュアルダマシン法と呼称されている。
【0004】
このダマシン法、特にデュアルダマシン法においては、これまでの積層とエッチングを繰り返して多層配線を形成する逐次配線形成法と比較し、ステップ数が少なく、製造コストも低減することが可能であった。しかし、逐次配線形成法と同じく金属細線の縦方向、横方向の接続部において、酸化膜や微細な空隙等の欠陥の発生を抑制することを考慮したプロセスではなく、これらの欠陥が生じた場合には、それに起因する配線の高抵抗化や電力損失を招いてしまう恐れがあった。
【特許文献1】特開平10−112503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、導電体内の欠陥の発生を抑制し、導電体が連続的に形成される三次元構造体の製造方法および三次元構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の三次元構造体の製造方法は、第1の導電体上に、絶縁体と、前記絶縁体内に、第1の導電体と異なる第2の導電体で構成される縦構造体と横構造体が組み合わされた三次元の擬似導電体構造とを形成する工程と、前記擬似導電体構造を溶解除去して三次元の空洞を形成し、前記第1の導電体を露出させる工程と、前記第1の導電体をシード層として、電解めっき法により第3の導電体を前記空洞に充填し、三次元の導電体構造を形成する工程を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、上記製造方法において、前記三次元の導電体構造を形成する工程の後に、前記第1の導電体を除去する工程を有することが望ましい。
【0008】
ここで、上記製造方法において、前記擬似導電体構造を、溶液中で逆電解をかけることにより溶解除去することが望ましい。
【0009】
ここで、上記製造方法において、前記擬似導電体構造を超音波振動下で溶解除去することが望ましい。
【0010】
ここで、上記製造方法において、前記第2の導電体が、Cu、Ni、Coより選択される金属であることが望ましい。
【0011】
ここで、上記製造方法において、前記第3の導電体が、Cu、Au、Agより選択される金属であることが望ましい。
【0012】
ここで、上記製造方法において、前記絶縁体が、可視光に対して透明であることが望ましい。
【0013】
本発明の一態様の三次元構造体は、絶縁体内に、縦構造体と横構造体のそれぞれが複数の階層で組み合わされることにより形成された導電体構造を有する三次元構造体であって、前記導電体構造が単一の組成を有し、かつ、前記縦構造体と前記横構造体の接合部が連続的に形成されていることを特徴とする。
【0014】
ここで、上記三次元構造体において、前記絶縁体が可視光に対して透明であることが望ましい。
【0015】
ここで、上記三次元構造体において、前記導電体がCu、Au、Agより選択される金属であることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、導電体内の欠陥の発生を抑制し、導電体が連続的に形成される三次元構造体の製造方法および三次元構造体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の三次元構造体は、絶縁体内に、縦構造体と横構造体のそれぞれが複数の階層で組み合わされることにより形成された導電体構造を有する三次元構造体である。そして、この導電体構造が単一の組成を有し、かつ、縦構造体と横構造体の接合部が連続的に形成されていることを特徴とする。
【0019】
図1は、本実施の形態の三次元構造体の断面図である。図1に示す三次元構造体は、ナノメートルオーダーの多層配線を有する半導体デバイスである。例えばB(ボロン)等のp型不純物がドープされたSi基板10上に、上層の配線層からSi基板10への電気的導通をとるための、例えばW(タングステン)を材料とするコンタクトプラグ12が形成されている。そして、このコンタクトプラグ12上にパターン形成された、やはりWを材料とする配線14が形成されている。なお、Si基板10とコンタクトプラグ12の界面、あるいは、コンタクトプラグ12と配線14との界面に、例えばTi系の金属のバリアメタルを設けても構わない。
【0020】
そして、配線14の上には、例えばSiO(シリコン酸化物)で形成される絶縁体20内に、三次元的に形成された多層配線構造として、例えばCu(銅)を材料とする導電体構造30を有している。そして、この導電体構造30は、ビアプラグである縦構造体30a、30cと、金属配線である横構造体30b、30dが階層的に組み合わされることにより形成されている。さらに、縦構造体30a、30cと横構造体30b、30dの接合部、すなわち、ビアプラグと金属配線の接合部が、例えば、結晶粒分布の急激な変化、Cu酸化物やCu以外の材料の存在、あるいはミスフィット転移や空隙等の不連続性(欠陥)を示すことなく連続的に形成されている。
【0021】
このように、図1に示す半導体デバイスでは、その多層配線構造において、Cu単体が、特段の物性的境界なく連続的に形成された構造が実現されている。この構造により、多層配線中、特に金属配線とビアプラグ接合部での配線抵抗の増大を抑制でき、高性能な半導体デバイスの実現を可能とする。また、接合部でのマイグレーションの抑制も可能となり、高い信頼性を有する半導体デバイスの実現を可能とする。
【0022】
次に、図1の半導体デバイスの製造方法について、図2を参照しつつ説明する。図2は、本実施の形態の三次元構造体の製造方法の工程断面図である。この製造方法は、第1の導電体上に、絶縁層を堆積し、この絶縁層を貫通する開口部を形成し、この開口部に第1の導電体と異なる第2の導電体を充填する一連の処理を複数回繰り返す。この処理により、三次元の擬似導電体構造を形成する。そして、その後、三次元の擬似導電体構造(第2の導電体)を溶解除去し、三次元の空洞を形成し、第1の導電体を露出させる工程と、第1の導電体をシード層として、電解めっき法により第3の導電体を空洞に充填することにより、三次元の導電体構造を形成する工程を有することを特徴とする。
【0023】
最初に、図2(a)に示すように、B(ボロン)等のp型不純物がドープされたSi基板10上に、SiO膜20aを公知のCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により堆積する。その後、このSiO膜20aに公知のリソグラフィー法およびドライエッチング法により、コンタクトホールを開口する。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、WをCVD法により堆積した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨してコンタクトホールをWで充填し、コンタクトプラグ12を形成する。その後、第1の導電体となるWをCVD法により堆積した後、公知のリソグラフィー法およびドライエッチング法によりWをパターニングし、配線14を形成する。
【0025】
次に、図2(c)に示すように、配線14の上にSiO膜20bを絶縁層として形成する。その後、このSiO膜20bに公知のリソグラフィー法およびドライエッチング法により、SiO膜20b貫通する開口部としてビアホールを形成する。リソグラフィー法においては、フォトレジスト層を形成後、パターン露光、現像によりレジストパターンを形成する。上記フォトレジスト層としては、水銀灯のi線、g線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、電子線ビーム(EB:Electron Beam)向けに慣用されるフォトレジスト材料を用いることができる。
【0026】
高アスペクト比なビアホールを形成する場合、ドライエッチングの異方性エッチングにて行うが、この時フォトレジスト層と絶縁層のエッチング選択比によって、その層間にCrやAl等の金属をハードマスクとして備えてもよい。また、これらビアホールの形成法については、用いる絶縁層によって、フォトリソグラフィー以外のインプリントを利用した方法、レーザー照射を用いた三次元造形手法等特に問わない。
【0027】
次に、図2(d)に示すように、金属配線用の開口部を形成する。金属配線用の開口部の形成においては、まず、ビアホールの開いた状態で、フォトレジスト層16を形成し、所望のパターンを露光、現像処理により形成する。そして、電解めっき法を用いて第2の導電体となるCuを堆積し、CMP法により表層の不要なCuを除去する。その後、アッシングによりフォトレジスト層16を除去する。このプロセスにより、開口部をCuで充填し、ビアホール40aおよび金属配線40bを形成する。
【0028】
なお、Cuの堆積については電解めっき法以外にも、公知のCVD法等その他の膜堆積手法を適用することが可能となる。また、Cuを堆積する前に、別の金属で形成されるバリア層やシード層を設けるプロセスを適用しても構わない。
【0029】
さらに、図2(c)〜図2(e)で説明した一連の工程を繰り返すことにより、図2(f)および図2(g)で示すように、SiO膜20c内にビアホール40cおよび金属配線40dが形成される。そして、CVD法とCMPの組み合わせにより金属配線40dの間を充填するSiO膜20dを形成する。以上のようにしてCuの2層配線からなる擬似導電体構造40が形成される。さらに、同様のプロセスを繰り返すことで、3層以上の擬似導電体構造も形成することが可能である。
【0030】
次に、図2(h)に示すように、擬似導電体構造40を形成するCuを溶解除去し、三次元の空洞を形成し、空洞の下部に下地のWで形成される配線14を露出させる。除去の方法としては、Cuが溶解する溶液中に浸漬し行ってもよいし、Si基板10側を陽極として逆電解をかけて溶解してもよく、方法は限定されない。例えば、Cuにて形成した場合、ウェットエッチング溶液としては、アンモニア水、過硫酸アンモニウム水溶液、重クロム酸カリウム水溶液、無水クロム酸水溶液、塩化第二鉄水溶液等が用いられる。なお、特に配線が微細な場合は、Cuの溶解除去を超音波振動下で行うことが望ましい。空洞内の溶液の置換が促進されることにより、Cuの溶解速度を向上させることが可能だからである。
【0031】
次に、図2(i)に示すように、Cuが析出するめっき液にて下地のW配線14をシード層として、電解めっき法を施し、空洞部に第3の導電体であるCuを充填する。これにより、ビアプラグ30a、30c、金属配線30b、30dが継ぎ目なく連続したCuの多層配線構造30が形成される。この時、CMP法により表層の余分なCuを除去しても構わない。以上のプロセスにより、図1に示す半導体デバイスが完成する。なお、第2の導電体の溶解除去を逆電解で行うプロセスの場合、第2の導電体の溶解除去と第3の導電体の充填を連続して行うことで工程を簡略化できるという利点がある。
【0032】
ここで、図2(a)〜図2(g)で説明したプロセスは、デュアルダマシン法によるCu多層配線の形成法である。この方法で形成された多層配線構造では、例えば、金属配線40bとビアプラグ40cとの間に酸化膜の介在等の不連続が生ずることが回避できない。
【0033】
また、ここでは最終的に形成される多層配線構造がCuで形成される場合、すなわち第3の導電体がCuである場合について説明した。半導体デバイスとしては、低抵抗かつ信頼性の高い配線を形成できるCuを導電性材料として用いることが好ましい。しかし。電解めっき法により形成可能な導電体であれば必ずしもCuに限られることはなく、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Co、Cr、Sn、Pdより選ばれてなる一種、またはこれらの合金、または、これら金属とセラミックの複合めっき等を適用することが可能である。
【0034】
また、溶解除去する擬似導電体(第2の導電体)としてCuを用いる場合を例に説明した。溶解除去を、逆電解をかけることで行う場合には、容易に溶液中に溶解するCu、Ni、Coを用いることが特に好ましい。しかし、絶縁層や下地の第1の導電体と選択的に溶解可能な導電体であれば、あらゆる導電性材料を適用することが可能である。そして、第2の導電体により開口部を充填する場合、電解めっき法やCVD法に限らず、選択した材料に応じて、蒸着法やスパッタ法を適用しても構わない。
【0035】
また、絶縁体あるいは絶縁層としてSiO膜を例に説明したが、SiO膜以外にもSOG(Spin On Glass)や有機系の低誘電率膜等を適用することも可能である。絶縁体の形成方法としては、CVD法、蒸着法、前駆液体をスピンコートにて成膜する手法等の公知の方法から適切な方法を選択すればよい。
【0036】
また、第3の導電体を電解めっき法により形成する際の、シード層となる第1の導電体としてWを用いる場合を例に説明したが、シード層として機能する導電性材料であれば、その他の金属を用いることも可能である。
【0037】
また、ここではデュアルダマシン法を用いて、第2の導電体の三次元構造を形成する場合を例に説明したが、例えば、通常のダマシン法(シングルダマシン法)で第2の導電体の三次元構造を形成しても構わない。あるいは、ダマシン法と逐次配線形成法を組み合わせても構わない。また、半導体基板としてもSi以外の半導体基板を用いても構わない。
【0038】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の三次元構造体について図面を参照しつつ説明する。図3は、本実施の形態の三次元構造体の断面図である。図3に示す三次元構造体は、ナノメートルオーダーの導電体構造を有する光学デバイスである。本実施の形態については、導電性材料等の選択や、プロセスの選択等について特段の記載をしない点については、第1の実施の形態と同様である。したがって、重複する内容については記載を省略する。
【0039】
図3に示すように、可視光に対して透明な絶縁体であるSiO膜20内に、Auを材料とする縦構造体50b、50dと横構造体50a、50c、50eが組み合わされて形成された導電体構造50を有している。そして、この導電体構造50は単一の組成Cuを有し、かつ、縦構造体50b、50dと横構造体50a、50c、50eの接合部が連続的に形成されている。すなわち、これらの接合部が、例えば、結晶粒分布の急激な変化、Cu酸化物やCu以外の材料の存在、あるいはミスフィット転移や空隙等の不連続性(欠陥)を示すことなく連続的に形成されている。
【0040】
このように、図3に示す光学デバイスは、ナノメートルオーダーのAuがシームレスな三次元構造を有している。したがって、例えば、近接場光を利用した光学デバイスに適用した場合、屈折部(接合部)におけるプラズモンの散乱等が生じない低損失なデバイスの作成が可能となる。
【0041】
次に、図3に示す光学デバイスの製造方法について、図4を参照しつつ説明する。図4は、本実施の形態の三次元構造体の製造方法の工程断面図である。この製造方法は、第1の導電体上に、絶縁層を堆積し、この絶縁層を貫通する開口部を形成し、開口部に第1の導電体と異なる第2の導電体を充填し、第2の導電体を堆積およびパターン形成する一連の処理を複数回繰り返す。この処理により、三次元の擬似導電体構造を形成する。その後、三次元の擬似導電体構造(第2の導電体)を溶解除去し、三次元の空洞を形成し、第1の導電体を露出させる工程と、第1の導電体をシード層として、電解めっき法により第3の導電体を空洞に充填する工程を有する。
【0042】
最初に、図4(a)に示すように、Si基板10上に、第1の導電体となるAg膜60を例えば、蒸着法により形成する。ここで、後に形成される第2の導電体以外の組成であれば、第1の導電体の材料は必ずしもAuである必要はない。しかし、酸化還元電位が高く、容易に溶解除去が難しい、Ag、Au、Pt等の貴金属であることが望ましい。
【0043】
次に、図4(b)に示すように、Au膜60上に、第2の導電体となるCu膜を例えば、CVD法により堆積する。そして、このCu膜を公知のリソグラフィー法およびドライエッチング法により、パターン形成し、1層目のナノメートルオーダーの横構造体70aを形成する。
【0044】
次に、図4(c)に示すように、Cuの横構造体50a上に、SiO膜20aをCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により堆積する。その後、このSiO膜20aに公知のリソグラフィー法およびドライエッチング法により、横構造体70aに達する貫通孔を開口する。
【0045】
次に、図4(d)に示すように、Cu膜をCVD法により堆積して研磨することにより、貫通孔内にCuの1層目のナノメートルオーダーの縦構造体70bを形成する。その後、さらにCu膜をCVD法により堆積し、公知のリソグラフィー法およびドライエッチング法により、パターン形成し、2層目のナノメートルオーダーの横構造体70cを形成する。
【0046】
さらに、図4(e)、図4(f)に示すように、図4(c)、図4(d)を用いて説明した一連の工程を繰り返すことにより、2層目のナノメートルオーダーの縦構造体70d、3層目のナノメートルオーダーの横構造体70eを形成する。
【0047】
次に、図4(g)に示すように、横構造体70eの上にSiO膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により堆積し、CMP法により表面を平坦化する。以上のようにして、縦構造体70b、70dと横構造体70a、70c、70eが組み合わされた三次元の擬似導電体構造70が形成される。
【0048】
次に、図4(h)に示すように、擬似導電体構造70を形成するCuを溶解除去し、空洞を形成し、空洞の下部に下地のAg膜60を露出させる。除去の方法としては、Cuが溶解する溶液中に浸漬して行ってもよいし、Si基板10側を陽極として逆電解をかけて溶解してもよく、方法は限定されない。
【0049】
次に、図4(i)に示すように、Cuが析出するめっき液にて下地のAu膜60をシード層として、電解めっき法を施し、開口部に第3の導電体であるAuを充填し、縦構造体50b、50d、横構造体50a、50c、50eが継ぎ目なく連続したAuの導電体構造50が形成される。
【0050】
その後、図4(j)に示すように、下地のSi基板10と、第1の導電体であるAg膜60を、例えばCMP法により除去する。以上のプロセスにより、図3の光学デバイスが完成する。
【0051】
なお、下地のSi基板10と、第1の導電体であるAg膜60を除去することは必ずしも必須ではなく、光学デバイスの用途によっては、そのまま残存させてもかまわない。
【0052】
また、絶縁体としては、ここではSiO膜を例に説明したが、可視光に対して透明であれば、その他の材料を適用することが可能である。
【0053】
ここで、図4(a)〜図4(f)で説明した擬似導電体構造70を形成するプロセスは、半導体プロセスにおける逐次配線形成法に相当するプロセスである。ここでは、縦構造体とその上の横構造体を別々に形成する方法を示したが、貫通孔形成後に、例えばCu膜を堆積して、続けてそのCu膜を公知のリソグラフィー法とドライエッチング法によりパターン形成して、縦構造体とその上の横構造体を同時に形成するプロセスを採用しても構わない。また、第1の実施の形態のように、擬似導電体構造70を形成するプロセスとしてダマシン法を用いることも当然可能である。また、この手法は、特開2007−272017号公報に開示されている偏光板の作製にも有用である。
【0054】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。上記、実施の形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、実施の形態の説明においては、三次元構造体、三次元構造体の製造方法等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる三次元構造体、三次元構造体の製造方法等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0055】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての三次元構造体、三次元構造体の製造方法は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を説明する。以下に示す実施例は、本発明を好適に説明する例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0057】
(実施例1)
Au100nmが蒸着されたSi基板の所望の位置に、1mm□、厚さ100nmのCu層を蒸着により形成した。この基板上に、絶縁体としてSpin On Glass(SOG)を300nm厚になるようスピンコートにより製膜後、焼結により形成した。その上に膜厚20nmのCrを蒸着後、さらにフォトレジスト層を形成し、露光、現像処理を施した。得られたフォトレジストパターンをマスクとして、絶縁体にエッチング処理を施し、直径100nmの貫通孔を形成した。この時、フォトレジストパターンに覆われないCr膜の露出部分は同時にエッチング除去した。
【0058】
この時の底部は、Cu層となっている。残存するフォトレジスト、およびCr層をエッチング除去後、再度層厚120nmとなるようフォトレジスト層をスピンコートにより形成後、先の貫通孔と連続的に繋がるような所望のパターンにパターン露光を行い、現像処理を施した。このパターン露光によって形成した孔に対して、硫酸銅を主成分とする電解めっきを施し、Cuにて孔が充填するまで析出処理を行った。その後、表面上に余分に析出したCu膜をCMPにより除去後、残存フォトレジストをアッシングにて除去することで、2層の金属が金属ビア接続された配線構造を形成することが出来た。さらに上記と同様の操作を繰り返すことにより、3層からなる三次元の擬似金属配線構造を形成した。
【0059】
次に、この基板を陽極として30mAの電解を10分間超音波振動を与えながら印加し、Cu金属細線を溶解除去し空洞を形成した。その後、基板を陰極にセットしなおし、改めてCuの電解めっきを施し、絶縁体表面までCuを析出した後、CMPにより表面を研磨した。以上のプロセスを経ることで、絶縁体であるSOG内にCu細線からなる導電体構造(三次元積層金属細線構造)を有する三次元構造体を形成できた。
【0060】
(実施例2)
Ag100nmが蒸着されたSi基板の所望の位置に、1mm□、厚さ100nmのCu層を蒸着により形成した基板上に、実施例1に記載した方法と同様の方法により、Cuの三次元の擬似導電体構造を形成後、逆電解を掛けることで、Cuを溶解除去した。その後、Auを電解めっきにより形成し、絶縁体表面までAuを析出した後、CMPにより表面を研磨することで、Au細線からなる三次元構造体を形成できた。
【0061】
(実施例3)
Ag100nmが蒸着されたSi基板の所望の位置に、1mm□、厚さ100nmのCu層を蒸着により形成した。この基板上に、実施例1に記載した方法と同様の方法により、Cuの三次元の擬似導電体構造を形成した。この基板を塩化第二鉄水溶液(FeCl;60g/Fe(NO;20g/純水/200ml)中に超音波振動下浸漬することで、Cuを溶解後、純水にて洗浄を繰り返した。その後、Auを電解めっきにより形成し、絶縁体表面までAuを析出した後、CMPにより表面を研磨することで、Au細線からなる三次元構造体を形成できた。
【0062】
このように、本実施例により本発明の効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施の形態の三次元構造体の断面図である。
【図2】第1の実施の形態の三次元構造体の製造方法の工程断面図である。
【図3】第2の実施の形態の三次元構造体の断面図である。
【図4】第2の実施の形態の三次元構造体の製造方法の工程断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 Si基板
12 コンタクトプラグ
14 配線
20、20a、20b、20c SiO
20 磁気回路
30 導電体構造
30a、c 縦構造体
30b、d 横構造体
40 擬似導電体構造
40a、c ビアホール
40b、d 金属配線
50 導電体構造
50a、50c、50e 横構造体
50b、50d 縦構造体
60 Ag膜
70 擬似導電体構造
70a、70c、70e 横構造体
70b、70d 縦構造体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電体上に、
絶縁体と、前記絶縁体内に、第1の導電体と異なる第2の導電体で構成される縦構造体と横構造体が組み合わされた三次元の擬似導電体構造とを形成する工程と、
前記擬似導電体構造を溶解除去して三次元の空洞を形成し、前記第1の導電体を露出させる工程と、
前記第1の導電体をシード層として、電解めっき法により第3の導電体を前記空洞に充填し、三次元の導電体構造を形成する工程を有することを特徴とする三次元構造体の製造方法。
【請求項2】
前記三次元の導電体構造を形成する工程の後に、前記第1の導電体を除去する工程を有することを特徴とする請求項1記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項3】
前記擬似導電体構造を、溶液中で逆電解をかけることにより溶解除去することを特徴とする請求項1または請求項2記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項4】
前記擬似導電体構造を超音波振動下で溶解除去することを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項5】
前記第2の導電体が、Cu、Ni、Coより選択される金属であることを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか一項に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項6】
前記第3の導電体が、Cu、Au、Agより選択される金属であることを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか一項に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項7】
前記絶縁体が、可視光に対して透明であることを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか一項に記載の三次元構造体の製造方法。
【請求項8】
絶縁体内に、縦構造体と横構造体のそれぞれが複数の階層で組み合わされることにより形成された三次元の導電体構造を有する三次元構造体であって、
前記導電体構造が単一の組成を有し、かつ、前記縦構造体と前記横構造体の接合部が連続的に形成されていることを特徴とする三次元構造体。
【請求項9】
前記絶縁体が可視光に対して透明であることを特徴とする請求項8記載の三次元構造体。
【請求項10】
前記導電体がCu、Au、Agより選択される金属であることを特徴とする請求項8または請求項9記載の三次元構造体。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−212180(P2009−212180A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51646(P2008−51646)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「低損失オプティカル新機能部材技術開発」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】