不揮発性半導体記憶装置
【課題】ワード線リークの検出のための特別のパッドやスイッチを必要とせず、ワード線リークの発生箇所を迅速かつ確実に検出する。
【解決手段】制御回路4は、ワード線のリーク状態を判定するワード線リークテストを実行する場合において、テストパターンデータを書き込まれたメモリセルアレイ100に接続されたワード線に、テストパターンデータに対応した電圧を電圧制御回路20から印加する。その後、転送トランジスタ12を非導通状態とすることによりワード線をフローティング状態に設定する。転送トランジスタ12の非導通状態への切替えから所定時間経過後、センスアンプ回路30を作動させてメモリセルアレイ100に対する読み出し動作を実行する。その読み出しの結果をテストパターンデータに対応する期待値と比較する。
【解決手段】制御回路4は、ワード線のリーク状態を判定するワード線リークテストを実行する場合において、テストパターンデータを書き込まれたメモリセルアレイ100に接続されたワード線に、テストパターンデータに対応した電圧を電圧制御回路20から印加する。その後、転送トランジスタ12を非導通状態とすることによりワード線をフローティング状態に設定する。転送トランジスタ12の非導通状態への切替えから所定時間経過後、センスアンプ回路30を作動させてメモリセルアレイ100に対する読み出し動作を実行する。その読み出しの結果をテストパターンデータに対応する期待値と比較する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施の形態は、不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的書き換えが可能でかつ、高集積化が可能な不揮発性記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。NAND型フラッシュメモリでは、複数のメモリセルを隣接するもの同士でソース/ドレイン拡散層を共有する形で直列接続して、NANDセルユニットを構成する。NANDセルユニットの両端はそれぞれ、選択ゲートトランジスタを介してビット線及びソース線に接続される。この様なNANDセルユニット構成により、NOR型と比べて単位セル面積が小さくかつ大容量記憶が可能となる。
【0003】
NAND型フラッシュメモリのメモリセルは、半導体基板にトンネル絶縁膜を介して形成された電荷蓄積層(浮遊ゲート電極)と、その上にゲート間絶縁膜を介して積層された制御ゲート電極とを有し、浮遊ゲート電極の電荷蓄積状態によりデータを不揮発に記憶する。例えば、浮遊ゲート電極に電子を注入したしきい値電圧の高い状態をデータ“0”、浮遊ゲート電極の電子を放出させたしきい値電圧の低い状態をデータ“1”として、2値データ記憶を行う。最近は、書き込まれるしきい値電圧分布を細分化して、4値、8値等の多値記憶も行われている。
【0004】
近年、最小加工寸法がますます小さくなり、不揮発性記憶装置の微細化が進行するにつれて、ワード線間、又はワード線と選択ゲート線との間の間隔がますます小さくなっている。ワード線間の間隔が小さくなることは、ワード線リークが発生しやすくなることを意味する。従って、ワード線リークの発生を検査する必要があるが、このワード線リークの発生箇所を迅速かつ確実に検出することが可能な不揮発性半導体記憶装置の提案が望まれている。
しかし、従来の不揮発性半導体記憶装置では、チップ上にワード線リークの検出専用のパッド、及びスイッチを設ける必要があり、これがチップ面積の縮小の障害となっていた。また、ワード線1本ごと、又はブロックごとに検出を行う必要があり、検査時間が長くなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−192500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、ワード線リークの検出のための特別のパッドやスイッチを必要とせず、ワード線リークの発生箇所を迅速かつ確実に検出することのできる不揮発性半導体記憶装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、複数の不揮発性メモリセルを直列接続してなるメモリストリングとその両端に接続された第1及び第2の選択ゲートトランジスタとを備えたNANDセルユットの集合により構成されるブロックを複数個配列して構成されるメモリセルアレイを備えている。ワード線は、第1の方向に並ぶ前記メモリセルの制御ゲートを共通接続する。第1及び第2の選択ゲート線は、第1の方向に並ぶ第1及び第2の選択ゲートトランジスタのゲートを共通接続する。ビット線は、NANDセルユニットの第1の端部に接続され、ソース線はNANDセルユニットの第2の端部に接続される。センスアンプ回路は、ビット線の電位を検知してメモリセルに保持されるデータを判定する。電圧制御回路は、ワード線、第1及び第2の選択ゲート線に与える電圧を制御する。転送トランジスタは、電圧制御回路とワード線、第1及び第2の選択ゲート線との間の接続状態を切り替える。制御回路は、電圧制御回路、転送トランジスタ及びセンスアンプ回路を制御する。
制御回路は、前記ワード線のリーク状態を判定するワード線リークテストを実行する場合において、テストパターンデータを書き込まれた前記メモリセルアレイに接続された前記ワード線に、前記テストパターンデータに対応した電圧を前記電圧制御回路から印加した後、前記転送トランジスタを非導通状態とすることにより前記ワード線をフローティング状態に設定し、前記転送トランジスタの非導通状態への切替えから所定時間経過後、前記センスアンプ回路を作動させて前記メモリセルアレイに対する読み出し動作を実行し、その読み出しの結果を前記テストパターンデータに対応する期待値と比較するよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】メモリセルアレイ100の等価回路図である。
【図3A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図3B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図4A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示すフローチャートである。
【図4B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図6】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図7】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図8A】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図8B】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図9A】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図9B】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図10】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置としてのNAND型フラッシュメモリの全体構成の概略であり、図2はそのメモリセルアレイ100の等価回路を示す。
NAND型フラッシュメモリの基本単位であるNANDセルユニットNUは、直列接続された複数のメモリセルMC0−MC63からなるメモリストリングと、その両端に配置された二つの選択ゲートトランジスタSG1,SG2を備えている。
【0011】
但しこの実施の形態では、選択ゲートトランジスタSG1,SG2にそれぞれ隣接して、データ記憶を行わないダミーセルMCDD,MCDSが挿入されている。ダミーセルMCDD,MCDSは通常のアドレスの入力によってアクセスができないが、その構造は通常のメモリセルMC0−MC63と同様である。なお、ダミーセルを有さないNANDセルユニットを採用することが可能であることは言うまでも無い。
【0012】
NANDセルユニットNUは、その一端が選択ゲートトランジスタSG1を介してビット線BLに接続され、他端が選択ゲートトランジスタSG2を介して、メモリアレイ100内で共通のソース線CELSRCに接続されている。
【0013】
1つのメモリセルは、シリコン基板のP型ウェルに形成されたN型ソース/ドレイン拡散層を有し、電荷蓄積層としての浮遊ゲートと制御ゲートの積層ゲート構造を有する。但し、電荷蓄積層として浮游ゲートを持つメモリセル方式に代わり、ゲート絶縁膜中に絶縁層、例えば窒化シリコン層からなる電荷蓄積層(電荷トラップ)を持つメモリセルを用いることもできる。浮遊ゲートに保持する電荷量を書き込み動作、消去動作で変化させることにより、メモリセルのしきい値を変化させて、1ビットのデータ、あるいは多ビットのデータを記憶させる。以下の実施形態では、1メモリセルに1ビットのデータを記憶させる場合を例として説明するが、1メモリセルに2ビット以上のデータを記憶される場合にも、同様な構成、動作が可能であることはいうまでもない。
【0014】
NANDセルユニットNU内の各メモリセルMC0−MC63及びダミーセルMCDD,MCDSの制御ゲートは別々のワード線WL0−WL63及びダミーワード線WLDD、WLDSに接続され、選択ゲートトランジスタSG1,SG2のゲートはそれぞれ選択ゲート線SGD,SGSに接続される。
【0015】
ワード線WL0−WL63、ダミーワード線WLDD,WLDS及び選択ゲート線SGD,SGSを共有するNANDセルユニットの集合は、データ一括消去の単位となるブロックBLKを構成する。通常図示のように、ビット線の方向に複数のブロックBLKi,BLKi+1,・・・が配列される。また、各ブロックBLKi、BLKi+1・・・には、ロウデコーダ10内に、それぞれそのブロックが不良であることを示すブロック不良データを格納するためのラッチ回路LATが設けられている。
【0016】
また、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリは、メモリセルアレイ100に対する動作を行うための構成として、入出力回路1、コマンドレジスタ2、アドレスレジスタ3、制御回路4、高電圧発生回路5、ページバッファ制御回路6、カラムデコーダ7、ロウデコーダ10、ロウ系の電圧制御回路20、センスアンプ回路兼ページバッファ30(以下、単にセンスアンプ回路30という)、比較回路40を備えている。
【0017】
書き込み動作においては、データロードコマンドを入出力回路1からコマンドレジスタ2にラッチし、書き込み先アドレスを入出力回路1を介してアドレスレジスタ3にラッチし、続いて、書き込みデータを入出力回路1を介してセンスアンプ回路(兼書き込み回路)30にロードする。この後、書き込み実行コマンドを入出力回路1を介してコマンドレジスタ2にラッチすると、内部で自動的に書き込み動作が開始される。
【0018】
即ち書き込み実行コマンドが入力されると、制御回路4が動作を開始する。制御回路4は、書き込み動作においては、書き込み動作に必要な電圧の制御や、書き込みパルス印加動作やベリファイ読み出し動作のタイミング制御を実行する。また制御回路4は、ベリファイ読み出し動作により所望の書き込みが完了したと判定されるまで書き込みパルス印加動作とベリファイ読み出し動作を繰り返す制御を行う。
【0019】
高電圧発生回路5は、制御回路4に制御されて、ロウ系電圧制御回路20やページバッファ制御回路6に必要な高電圧(昇圧電圧)を発生する。
【0020】
ロウ系の電圧制御回路20は、高電圧発生回路5から供給される昇圧電圧に基づきワード線WL0〜63の電圧を制御する64個のCGデコーダ・ドライバ26、ドレイン側選択ゲート線SGDの電圧を制御するSGDドライバ22、ソース側選択ゲート線SGSの電圧を制御するSGSドライバ23、ダミーワード線WLDD,WLDSの電圧を制御するCGDD,CGDSドライバ24,25、及びブロックデコーダ用の昇圧電源電圧VRDECを出力するためのVRDECドライバ21を有する。これらのドライバ21−26は、メモリセルアレイ100の複数のブロックで共有されるのが好適である。
【0021】
NAND型フラッシュメモリでは、選択されたNANDセルユニットの複数のワード線に対して複数の電圧を用いて動作させることが必要であるため、ロウアドレスの中で、NANDセルユニット内のワード線を選択するページアドレスが、CGデコーダ・ドライバ26のそれぞれに入力されている。
【0022】
メモリセルアレイ100の各ブロックのワード線端部には、ブロック選択機能を持つ狭義のロウデコーダ10が配置されている。ロウデコーダ10は、前述したラッチ回路LATに加え、アドレスレジスタ3からブロックアドレスを受けてこれをデコードするブロックデコーダ11と、このブロックデコーダ11の出力により共通に制御されて書き込み、消去及び読み出しに必要な電圧を選択ブロックBLK内のワード線WLや選択ゲート線SGD、SGDに伝達するための複数の転送トランジスタ12と、アドレス一致検出回路9とを有する。ブロックデコーダ11には、転送トランジスタ12の共通ゲートTGに所望の電圧を出力するためのレベルシフト回路が含まれる。アドレス一致検出回路9は、不良ブロックデータと、指定されたブロックアドレスとの一致を検出する回路である。
【0023】
転送トランジスタアレイ12の一端は、ドライバ21−26の出力端子に接続され、他端はセルアレイ100内のワード線WL、ダミーワード線WLDD,WLDS及び選択ゲート線SGD、SGDに接続される。例えば、書き込みパルス印加動作においては、選択ワード線に書き込み電圧Vpgm(20V程度)を印加する必要がある。このとき転送トランジスタ12の共通ゲートTGには、VRDECドライバ21から供給されるVpgm+Vt(Vtは転送トランジスタ12の閾値電圧)が印加される。
【0024】
NAND型フラッシュメモリは、書き込みと消去にFNトンネル電流を用いる。特に書き込み動作においては、NOR型メモリセルと異なり、1つのメモリセルの閾値電圧のシフトに必要な電流が微小であるため、同時に多数のメモリセルを書き込むことができる。従って、書き込み、読み出しの一括処理単位のページ長を、2kByteや4kByteと大きくすることができる。ページバッファを構成するセンスアンプ回路30内のセンスユニットも、ページ長と同数含まれている。
【0025】
カラムデコーダ7は、例えば書き込みデータをロードする場合には、アドレスレジスタ3から送られるカラムアドレスをデコードして、入出力回路1と選択されたセンスユニットを接続して、カラムアドレス毎の書き込みデータをセンスアンプ回路30にセットする。読み出し動作においては、その逆であり、一括してページバッファ30に読み出したデータを、カラムアドレスに従って選択されたセンスユニットから入出力回路1に出力する。
【0026】
なお、図1では省略しているが、実際には入出力回路1とページバッファ30の間には、所定のサイクルでデータの入出力を実現するための回路が組み込まれている。
【0027】
前述のように、ダミーワード線WLDD,WLDSは、通常のワード線WL0−63のようには選択アクセスされることはない。従って、ロウ系電圧制御回路20におけるワード線WL駆動のためのドライバ26と、ダミーワード線WLDD,WLDS駆動のためのドライバ24,25とは、基本的に前者が5ビット或いは6ビットからなるワード線アドレスをデコードするデコーダを含み、後者はそれがない点で異なる。
【0028】
比較回路40は、後述するワード線リークテストの読み出し結果と、ワード線リークテストのためにメモリセルアレイ100に書き込まれたリークテストパターンデータとを比較して、ワード線のリークの有無を判定するための回路である。
本実施の形態では、ワード線WLのリーク状態をテストするためのワード線リークテストを実行可能に構成されている。
【0029】
次に、ワード線リークテストを実行する際の本実施の形態のNAND型フラッシュメモリの動作を、図3A〜図6を参照して説明する。図3A、図3Bは、ワード線リークテストを実行する場合にメモリセルに記憶されるテストパターンデータ、及び印加される電圧の関係を示している。図4Aは、このワード線リークテストの実行手順を示すフローチャートである。図4Bは、このワード線リークテストの動作を示すタイミングチャートである。図5、図6はワード線WLに印加される電圧とメモリセルの閾値電圧分布との関係を示している。
【0030】
図3A、図3B、及び図4A、図4Bを参照して、この発明の実施の形態によるワード線リークテストの動作を説明する。本実施の形態のワード線リークテストは、1つのメモリブロックBLK中において、奇数番目のワード線のリークテストを実行するステップ(図3A)と、偶数番目のワード線のリークテストを実行するステップとの2段階のステップ(図3B)で実行される。いずれのステップにおいても、ワード線WL等を所定の電位まで充電した後、フローティング状態に設定し、その後所定期間経過後にセンスアンプ回路を動作させることで、ワード線WLのリーク状態を判定している。そして、この2段階のステップを実行することで、メモリブロックBLK中の全てのワード線のリーク状態を判定することができる。
【0031】
奇数番目のワード線のリークテストは、図3Aに示すように、NANDセルユニット中でビット線BL側から見て奇数番目のメモリセルMC(MC1、MC3、・・・MC63)にデータ”0”を、偶数番目のメモリセルMCにデータ”1”を与えるテストパターンデータ(チェッカパターンデータ)を書き込んだ後に開始される(図4のステップS11)。以下では、特に断らない限り、「奇数番目のメモリセル」、「偶数番目のメモリセル」とは、ビット線BL側から数えた場合を意味するものとして説明を続ける。
【0032】
データ”0”を有するメモリセルMCに接続された奇数番目のワード線WLには、読み出しパス電圧Vreadが与えられる。この読み出しパス電圧Vreadは、図5に示すように、テストパターンデータとして与えられたデータ”0”を有するメモリセルMCの閾値電圧分布の上限よりも2V程度大きい電圧であり、2値記憶方式の場合、例えば6V程度である。
【0033】
一方、データ”1”を有するメモリセルMCに接続された偶数番目のワード線WLには、読み出し電圧Vcgrvを与える。この読み出し電圧Vcgrvは、図5に示すように、データ”1”、”0”の閾値電圧分布の中間の電圧であり、例えば0Vに設定される。
なお、ダミーワード線WLDD、WLDS、及び選択ゲート線SGD,SGSには、それぞれ読み出しパス電圧Vread、読み出しパス電圧Vread、選択ゲート電圧Vsg、選択ゲート電圧Vsgがロウ系電圧制御回路20から固定的に供給される。
【0034】
なお、テストパターンデータのデータ”0”に対応するメモリセルMCの閾値電圧分布の上限値を、ワード線リークテストの判断基準に応じて変化させるようにすることも好適である。この上限値を制御することにより、どの程度のリークを不良と判定するのかを決定することができる。
【0035】
本実施の形態のNAND型フラッシュメモリは、ワード線リークテストの際、上記のような電圧をロウ系電圧制御回路20で発生させて、それらの電圧を転送トランジスタ12を介してワード線WL、ダミーワード線WLDD,WLDS、選択ゲート線SGD,SGSに印加する(図4のステップS12)。これらの電圧の転送のため、転送トランジスタ12のゲートTGに与えられる電圧VRDECは、所定期間の間電圧Vtgに維持される。ここで、電圧Vtgは、電圧Vreadに転送トランジスタ12の閾値電圧Vthを加えた電圧Vreadhh(=Vread+Vth)か、これよりも大きな値に設定される。
【0036】
本実施の形態のワード線リークテストでは、電圧VRDECが、所定期間電圧Vreadhhに所定期間維持され、これによりロウ系電圧制御回路20で発生させた上述の電圧がワード線WL、ダミーワード線WLDD,WLDS、及び選択ゲート線SGD,SGSに転送される。その後、電圧VRDECは電圧Vreadhhから0Vに落とされる。これにより、ワード線WL、ダミーワード線WLDD,WLDS及び選択ゲート線SGD、SGSはフローティング状態となる(図4のステップS13)。
【0037】
フローティング状態とされた後、所定の待機時間(例えば10μS程度)経過後、制御回路4はセンスアンプ回路30を作動させて、ビット線BLの電位を検出する(図4のステップS14,S15)。フローティング状態とされた場合であっても、ワード線WL等におけるリークが想定よりも少なければ、ワード線WLは当初の値をほぼ維持する。従って、NANDセルユニット中のメモリセルMC0〜63は全て導通状態を維持し、そのNANDセルユニットに接続されたビット線BLは放電される。従って、ブロックBLK中でワード線WLのリークが、上述の待機時間との関係で十分に少なければ、センスアンプ回路30の読み出しデータは、全ビット線BLに対し全て”L”となる。
【0038】
一方、ワード線WLのリークが大きければ、ワード線WLの電圧Vreadは当初の値から低下する(逆に、電圧Vcgrvを与えられたワード線WLの電位は上昇する)。その結果、例えばデータ”0”を保持しているメモリセルの一部は、図6に示すように、導通状態(ON)から非導通状態(OFF)に切り替わる。これにより、そのNANDセルユニットに接続されたビット線BLの一部の電位は放電されず、所定の電位を維持する。センスアンプ回路30の読み出しデータは、そのような所定の電位が維持されたビット線BLに関し、”H”となる。これは、リークの発生を示している。
【0039】
センスアンプ回路30は、このようなビット線BLの電位の変動を検知して、ワード線WLのリークの有無を示す読み出しデータを、センスアンプ回路30内部のページバッファに格納する。このページバッファに格納された読み出しデータは、比較回路40において、All FFh又はAll 00hであるか否かが判定される。比較回路40は、その比較結果に応じて、メモリブロックBLK中の奇数番目のワード線WLのリークの度合を判定する。
【0040】
以上、メモリブロックBLK中の奇数番目のワード線WLのリークの度合のテストの手順を図3Aを参照しつつ説明したが、偶数番目のワード線WLのリークの度合も、上記と略同様にテストされ得る。すなわち、図3Bに示すように、奇数番目のワード線のリークテストは、奇数番目のメモリセルMCにデータ”1”を、偶数番目のメモリセルMCにデータ”0”を与えるテストパターンデータを書き込んだ後に開始される。
【0041】
データ”0”を有するメモリセルMCに接続された偶数番目のワード線WLには、読み出しパス電圧Vreadが与えられる。一方、データ”1”を有するメモリセルMCに接続された奇数番目のワード線WLには、読み出し電圧Vcgrvを与える。ダミーワード線WLDD、WLDS、及び選択ゲート線SGD,SGSへ与えられる電圧は図3Aと同様である。そして、転送トランジスタ12を所定期間導通させた後非導通状態とすることで、ワード線WL等をフローティング状態とし、所定の待機期間(例えば10μS程度)経過後センスアンプ回路30を作動させる点も、図3Aと同様である。このようにして、偶数番目のワード線WLのリークの度合が判定される。
【0042】
そのようにしてなされたリークの度合の判定の結果に基づいて、当該ブロックBLKが正常か不良かが判定される(図4のステップS17)。ここでは、1ページ中で”H”と判定されたビット線BLの数即ち不良ビット数が規定値以下かどうかが判定される。不良と判定された場合、そのブロックは不良ブロック(バッドブロック)とされ、不良のブロックBLKに供えられたラッチ回路LATに、そのブロックが不良であることを示すブロック不良データが格納される。不良ブロックデータは、アドレス一致検出回路9にも格納され、これにより、不良ブロックの選択が回避される)。
【0043】
図4Bは、具体的な電圧の印加タイミング、変動タイミングを示すタイミングチャートである。時刻t1において選択ゲート線SGD、SGSを電圧Vsgに上昇させる。次に時刻t2において、電圧VRDECを電圧Vreadhhまで上昇させ、次いで時刻t3において、データ”0”を与えられたメモリセルMCに接続されたワード線WL(CG_usel)を電圧Vreadまで印加する。一方、データ”1”を与えられたメモリセルMCに接続されたワード線WL(CG_sel)は電圧Vcgrv=0に維持する。その後、時刻t4において電圧VRDECを0Vに落とす。この時刻t4から所定時間(例えば10μS)経過後、センスアンプ回路30が差動し、センス動作が実行されることにより、ワード線WLのリークの度合が判定され得る。図4Bでは図示は省略しているが、ビット線BLの充電動作は、時刻t4以前、すなわちワード線WL等がフローティング状態に切り替わる以前に完了しているのが好ましい。
【0044】
なお、図3A〜図6で説明したワード線リークテストの動作は、図7に示すように、テスタからの制御の下、複数のメモリチップを同時にテスト対象とする場合にも適用され得る。すなわち、テスタTESTERから上述のワード線リークテストの実行を指示する実行コマンドを各チップに送り、各チップに上述の動作を行わせることが可能である。また、ステップS14における待機時間の長さも、テスタから指定することが可能である。
【0045】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリを、図8A及び図8Bを参照して説明する。メモリの全体構成は図1に示すものと同一であるので、その説明は省略する。図8A、図8Bは、この第2の実施の形態に係るNANDフラッシュメモリにおいてワード線リークテストを実行する場合のテストパターンデータ、及び電圧の関係を示している。図8Aは図3Aに対応し、図8Bは図3Bに対応する。この実施の形態では、ダミーワード線WLDD、WLDSに与えられる電圧が電圧Vreadでなく、電圧Vsgである点で、第1の実施の形態と異なっている。その他の動作は同一であるので、重複する説明は省略する。ダミーセルMCDD、MCDSの閾値電圧が、例えば負の値に維持されているのであれば、ダミーワード線に与える電圧は必ずしも電圧Vreadである必要はなく、電圧Vsgで十分である。
【0046】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリを、図9A及び図9Bを参照して説明する。メモリの全体構成は図1に示すものと同一であるので、その説明は省略する。図9A、図9Bは、この第3の実施の形態に係るNANDフラッシュメモリにおいてワード線リークテストを実行する場合のテストパターンデータ、及び電圧の関係を示している。図9Aは図3Aに対応し、図9Bは図3Bに対応する。
【0047】
この実施の形態では、ダミーワード線WLDD、WLDSに与えられる電圧が、隣接するワード線WLに印加される電圧とは異なるように設定される。
【0048】
例えば、図9Aに示すように、ワード線WL63に印加される電圧が電圧Vreadである場合、隣接するダミーワード線WLDDには電圧Vcgrvが印加される。その場合、ワード線WL0には電圧Vcgrvが印加されるので、ダミーワード線WLDSには電圧Vreadが印加される。これにより、ワード線WL及びダミーワード線WLDD,WLDSには、電圧Vreadと電圧Vcgrvとが交互に印加される。このような印加状態にすることにより、より一層リーク状態の検知が容易になる。
【0049】
逆に、図9Bに示すように、ワード線WL63に印加される電圧が電圧Vcgrvである場合、ダミーワード線WLDDには電圧Vreadが印加される。その場合、ワード線WL0には電圧Vreadが印加されるので、ダミーワード線WLDSには電圧Vcgrvが印加される。
【0050】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリを、図10を参照して説明する。この実施の形態は、ワード線WLをフローティング状態とすることによりワード線WLのリーク状態を検出する点で、上記の実施の形態と同様である。ただし、この実施の形態では、図10に示すように、時刻t4において、電圧VRDECの電圧値を0Vではなく、電源電圧Vddに低下させる点で、上述の実施の形態と異なっている。このため、電圧Vread、Vsg(>Vread)を与えられているワード線WL及び選択ワード線SGD、SGSはフローティング状態に切り替わるが、この電圧Vdd−Vthよりも小さい電圧Vcgrv(=0V)を与えられているワード線WLはフローティング状態とはならず、電圧Vcgrvを供給され続ける。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、上述の実施の形態では、選択ゲートトランジスタに隣接するメモリセルがダミーセルである場合を例にとって説明したが、これに限らず、ダミーセルを有さず、メモリストリング中のメモリセルが全てデータ記憶に用いられるノーマルセルであってもよい。
【0052】
また、上記の実施の形態では、奇数番目又は偶数番目の一方に”0”を、他方に”1”を書き込んでなるチェッカパターンデータをメモリセルアレイにテストデータとして書き込んだ上でテスト読み出しを行い、その後”0”と”1”を全て置き換えた別のチェッカパターンデータを書き込んでテスト読み出しを行っている。しかし、これに限らず、例えば3個のメモリセルのうち1個にのみ”0”を書き込むテストパターンデータを利用してもよい。その他、ワード線WL等をフローティング状態に設定し、その後所定期間待機した後のメモリセルの導通状態を検出することができるのであれば、パターンデータの形式は不問である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・入出力回路、 2・・・コマンドレジスタ、 3・・・アドレスレジスタ、4・・・制御回路、 5・・・高電圧発生回路、6・・・ページバッファ制御回路、 7・・・カラムデコーダ、 9・・・アドレス一致検出器、10・・・ロウデコーダ、 20・・・ロウ系の電圧制御回路、 30・・・センスアンプ回路兼ページバッファ、 40・・・比較回路、 50・・・ラッチ回路。
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施の形態は、不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的書き換えが可能でかつ、高集積化が可能な不揮発性記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。NAND型フラッシュメモリでは、複数のメモリセルを隣接するもの同士でソース/ドレイン拡散層を共有する形で直列接続して、NANDセルユニットを構成する。NANDセルユニットの両端はそれぞれ、選択ゲートトランジスタを介してビット線及びソース線に接続される。この様なNANDセルユニット構成により、NOR型と比べて単位セル面積が小さくかつ大容量記憶が可能となる。
【0003】
NAND型フラッシュメモリのメモリセルは、半導体基板にトンネル絶縁膜を介して形成された電荷蓄積層(浮遊ゲート電極)と、その上にゲート間絶縁膜を介して積層された制御ゲート電極とを有し、浮遊ゲート電極の電荷蓄積状態によりデータを不揮発に記憶する。例えば、浮遊ゲート電極に電子を注入したしきい値電圧の高い状態をデータ“0”、浮遊ゲート電極の電子を放出させたしきい値電圧の低い状態をデータ“1”として、2値データ記憶を行う。最近は、書き込まれるしきい値電圧分布を細分化して、4値、8値等の多値記憶も行われている。
【0004】
近年、最小加工寸法がますます小さくなり、不揮発性記憶装置の微細化が進行するにつれて、ワード線間、又はワード線と選択ゲート線との間の間隔がますます小さくなっている。ワード線間の間隔が小さくなることは、ワード線リークが発生しやすくなることを意味する。従って、ワード線リークの発生を検査する必要があるが、このワード線リークの発生箇所を迅速かつ確実に検出することが可能な不揮発性半導体記憶装置の提案が望まれている。
しかし、従来の不揮発性半導体記憶装置では、チップ上にワード線リークの検出専用のパッド、及びスイッチを設ける必要があり、これがチップ面積の縮小の障害となっていた。また、ワード線1本ごと、又はブロックごとに検出を行う必要があり、検査時間が長くなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−192500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、ワード線リークの検出のための特別のパッドやスイッチを必要とせず、ワード線リークの発生箇所を迅速かつ確実に検出することのできる不揮発性半導体記憶装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、複数の不揮発性メモリセルを直列接続してなるメモリストリングとその両端に接続された第1及び第2の選択ゲートトランジスタとを備えたNANDセルユットの集合により構成されるブロックを複数個配列して構成されるメモリセルアレイを備えている。ワード線は、第1の方向に並ぶ前記メモリセルの制御ゲートを共通接続する。第1及び第2の選択ゲート線は、第1の方向に並ぶ第1及び第2の選択ゲートトランジスタのゲートを共通接続する。ビット線は、NANDセルユニットの第1の端部に接続され、ソース線はNANDセルユニットの第2の端部に接続される。センスアンプ回路は、ビット線の電位を検知してメモリセルに保持されるデータを判定する。電圧制御回路は、ワード線、第1及び第2の選択ゲート線に与える電圧を制御する。転送トランジスタは、電圧制御回路とワード線、第1及び第2の選択ゲート線との間の接続状態を切り替える。制御回路は、電圧制御回路、転送トランジスタ及びセンスアンプ回路を制御する。
制御回路は、前記ワード線のリーク状態を判定するワード線リークテストを実行する場合において、テストパターンデータを書き込まれた前記メモリセルアレイに接続された前記ワード線に、前記テストパターンデータに対応した電圧を前記電圧制御回路から印加した後、前記転送トランジスタを非導通状態とすることにより前記ワード線をフローティング状態に設定し、前記転送トランジスタの非導通状態への切替えから所定時間経過後、前記センスアンプ回路を作動させて前記メモリセルアレイに対する読み出し動作を実行し、その読み出しの結果を前記テストパターンデータに対応する期待値と比較するよう構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】メモリセルアレイ100の等価回路図である。
【図3A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図3B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図4A】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示すフローチャートである。
【図4B】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図6】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図7】第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図8A】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図8B】第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図9A】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図9B】第3の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示す概念図である。
【図10】第4の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置としてのNAND型フラッシュメモリの全体構成の概略であり、図2はそのメモリセルアレイ100の等価回路を示す。
NAND型フラッシュメモリの基本単位であるNANDセルユニットNUは、直列接続された複数のメモリセルMC0−MC63からなるメモリストリングと、その両端に配置された二つの選択ゲートトランジスタSG1,SG2を備えている。
【0011】
但しこの実施の形態では、選択ゲートトランジスタSG1,SG2にそれぞれ隣接して、データ記憶を行わないダミーセルMCDD,MCDSが挿入されている。ダミーセルMCDD,MCDSは通常のアドレスの入力によってアクセスができないが、その構造は通常のメモリセルMC0−MC63と同様である。なお、ダミーセルを有さないNANDセルユニットを採用することが可能であることは言うまでも無い。
【0012】
NANDセルユニットNUは、その一端が選択ゲートトランジスタSG1を介してビット線BLに接続され、他端が選択ゲートトランジスタSG2を介して、メモリアレイ100内で共通のソース線CELSRCに接続されている。
【0013】
1つのメモリセルは、シリコン基板のP型ウェルに形成されたN型ソース/ドレイン拡散層を有し、電荷蓄積層としての浮遊ゲートと制御ゲートの積層ゲート構造を有する。但し、電荷蓄積層として浮游ゲートを持つメモリセル方式に代わり、ゲート絶縁膜中に絶縁層、例えば窒化シリコン層からなる電荷蓄積層(電荷トラップ)を持つメモリセルを用いることもできる。浮遊ゲートに保持する電荷量を書き込み動作、消去動作で変化させることにより、メモリセルのしきい値を変化させて、1ビットのデータ、あるいは多ビットのデータを記憶させる。以下の実施形態では、1メモリセルに1ビットのデータを記憶させる場合を例として説明するが、1メモリセルに2ビット以上のデータを記憶される場合にも、同様な構成、動作が可能であることはいうまでもない。
【0014】
NANDセルユニットNU内の各メモリセルMC0−MC63及びダミーセルMCDD,MCDSの制御ゲートは別々のワード線WL0−WL63及びダミーワード線WLDD、WLDSに接続され、選択ゲートトランジスタSG1,SG2のゲートはそれぞれ選択ゲート線SGD,SGSに接続される。
【0015】
ワード線WL0−WL63、ダミーワード線WLDD,WLDS及び選択ゲート線SGD,SGSを共有するNANDセルユニットの集合は、データ一括消去の単位となるブロックBLKを構成する。通常図示のように、ビット線の方向に複数のブロックBLKi,BLKi+1,・・・が配列される。また、各ブロックBLKi、BLKi+1・・・には、ロウデコーダ10内に、それぞれそのブロックが不良であることを示すブロック不良データを格納するためのラッチ回路LATが設けられている。
【0016】
また、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリは、メモリセルアレイ100に対する動作を行うための構成として、入出力回路1、コマンドレジスタ2、アドレスレジスタ3、制御回路4、高電圧発生回路5、ページバッファ制御回路6、カラムデコーダ7、ロウデコーダ10、ロウ系の電圧制御回路20、センスアンプ回路兼ページバッファ30(以下、単にセンスアンプ回路30という)、比較回路40を備えている。
【0017】
書き込み動作においては、データロードコマンドを入出力回路1からコマンドレジスタ2にラッチし、書き込み先アドレスを入出力回路1を介してアドレスレジスタ3にラッチし、続いて、書き込みデータを入出力回路1を介してセンスアンプ回路(兼書き込み回路)30にロードする。この後、書き込み実行コマンドを入出力回路1を介してコマンドレジスタ2にラッチすると、内部で自動的に書き込み動作が開始される。
【0018】
即ち書き込み実行コマンドが入力されると、制御回路4が動作を開始する。制御回路4は、書き込み動作においては、書き込み動作に必要な電圧の制御や、書き込みパルス印加動作やベリファイ読み出し動作のタイミング制御を実行する。また制御回路4は、ベリファイ読み出し動作により所望の書き込みが完了したと判定されるまで書き込みパルス印加動作とベリファイ読み出し動作を繰り返す制御を行う。
【0019】
高電圧発生回路5は、制御回路4に制御されて、ロウ系電圧制御回路20やページバッファ制御回路6に必要な高電圧(昇圧電圧)を発生する。
【0020】
ロウ系の電圧制御回路20は、高電圧発生回路5から供給される昇圧電圧に基づきワード線WL0〜63の電圧を制御する64個のCGデコーダ・ドライバ26、ドレイン側選択ゲート線SGDの電圧を制御するSGDドライバ22、ソース側選択ゲート線SGSの電圧を制御するSGSドライバ23、ダミーワード線WLDD,WLDSの電圧を制御するCGDD,CGDSドライバ24,25、及びブロックデコーダ用の昇圧電源電圧VRDECを出力するためのVRDECドライバ21を有する。これらのドライバ21−26は、メモリセルアレイ100の複数のブロックで共有されるのが好適である。
【0021】
NAND型フラッシュメモリでは、選択されたNANDセルユニットの複数のワード線に対して複数の電圧を用いて動作させることが必要であるため、ロウアドレスの中で、NANDセルユニット内のワード線を選択するページアドレスが、CGデコーダ・ドライバ26のそれぞれに入力されている。
【0022】
メモリセルアレイ100の各ブロックのワード線端部には、ブロック選択機能を持つ狭義のロウデコーダ10が配置されている。ロウデコーダ10は、前述したラッチ回路LATに加え、アドレスレジスタ3からブロックアドレスを受けてこれをデコードするブロックデコーダ11と、このブロックデコーダ11の出力により共通に制御されて書き込み、消去及び読み出しに必要な電圧を選択ブロックBLK内のワード線WLや選択ゲート線SGD、SGDに伝達するための複数の転送トランジスタ12と、アドレス一致検出回路9とを有する。ブロックデコーダ11には、転送トランジスタ12の共通ゲートTGに所望の電圧を出力するためのレベルシフト回路が含まれる。アドレス一致検出回路9は、不良ブロックデータと、指定されたブロックアドレスとの一致を検出する回路である。
【0023】
転送トランジスタアレイ12の一端は、ドライバ21−26の出力端子に接続され、他端はセルアレイ100内のワード線WL、ダミーワード線WLDD,WLDS及び選択ゲート線SGD、SGDに接続される。例えば、書き込みパルス印加動作においては、選択ワード線に書き込み電圧Vpgm(20V程度)を印加する必要がある。このとき転送トランジスタ12の共通ゲートTGには、VRDECドライバ21から供給されるVpgm+Vt(Vtは転送トランジスタ12の閾値電圧)が印加される。
【0024】
NAND型フラッシュメモリは、書き込みと消去にFNトンネル電流を用いる。特に書き込み動作においては、NOR型メモリセルと異なり、1つのメモリセルの閾値電圧のシフトに必要な電流が微小であるため、同時に多数のメモリセルを書き込むことができる。従って、書き込み、読み出しの一括処理単位のページ長を、2kByteや4kByteと大きくすることができる。ページバッファを構成するセンスアンプ回路30内のセンスユニットも、ページ長と同数含まれている。
【0025】
カラムデコーダ7は、例えば書き込みデータをロードする場合には、アドレスレジスタ3から送られるカラムアドレスをデコードして、入出力回路1と選択されたセンスユニットを接続して、カラムアドレス毎の書き込みデータをセンスアンプ回路30にセットする。読み出し動作においては、その逆であり、一括してページバッファ30に読み出したデータを、カラムアドレスに従って選択されたセンスユニットから入出力回路1に出力する。
【0026】
なお、図1では省略しているが、実際には入出力回路1とページバッファ30の間には、所定のサイクルでデータの入出力を実現するための回路が組み込まれている。
【0027】
前述のように、ダミーワード線WLDD,WLDSは、通常のワード線WL0−63のようには選択アクセスされることはない。従って、ロウ系電圧制御回路20におけるワード線WL駆動のためのドライバ26と、ダミーワード線WLDD,WLDS駆動のためのドライバ24,25とは、基本的に前者が5ビット或いは6ビットからなるワード線アドレスをデコードするデコーダを含み、後者はそれがない点で異なる。
【0028】
比較回路40は、後述するワード線リークテストの読み出し結果と、ワード線リークテストのためにメモリセルアレイ100に書き込まれたリークテストパターンデータとを比較して、ワード線のリークの有無を判定するための回路である。
本実施の形態では、ワード線WLのリーク状態をテストするためのワード線リークテストを実行可能に構成されている。
【0029】
次に、ワード線リークテストを実行する際の本実施の形態のNAND型フラッシュメモリの動作を、図3A〜図6を参照して説明する。図3A、図3Bは、ワード線リークテストを実行する場合にメモリセルに記憶されるテストパターンデータ、及び印加される電圧の関係を示している。図4Aは、このワード線リークテストの実行手順を示すフローチャートである。図4Bは、このワード線リークテストの動作を示すタイミングチャートである。図5、図6はワード線WLに印加される電圧とメモリセルの閾値電圧分布との関係を示している。
【0030】
図3A、図3B、及び図4A、図4Bを参照して、この発明の実施の形態によるワード線リークテストの動作を説明する。本実施の形態のワード線リークテストは、1つのメモリブロックBLK中において、奇数番目のワード線のリークテストを実行するステップ(図3A)と、偶数番目のワード線のリークテストを実行するステップとの2段階のステップ(図3B)で実行される。いずれのステップにおいても、ワード線WL等を所定の電位まで充電した後、フローティング状態に設定し、その後所定期間経過後にセンスアンプ回路を動作させることで、ワード線WLのリーク状態を判定している。そして、この2段階のステップを実行することで、メモリブロックBLK中の全てのワード線のリーク状態を判定することができる。
【0031】
奇数番目のワード線のリークテストは、図3Aに示すように、NANDセルユニット中でビット線BL側から見て奇数番目のメモリセルMC(MC1、MC3、・・・MC63)にデータ”0”を、偶数番目のメモリセルMCにデータ”1”を与えるテストパターンデータ(チェッカパターンデータ)を書き込んだ後に開始される(図4のステップS11)。以下では、特に断らない限り、「奇数番目のメモリセル」、「偶数番目のメモリセル」とは、ビット線BL側から数えた場合を意味するものとして説明を続ける。
【0032】
データ”0”を有するメモリセルMCに接続された奇数番目のワード線WLには、読み出しパス電圧Vreadが与えられる。この読み出しパス電圧Vreadは、図5に示すように、テストパターンデータとして与えられたデータ”0”を有するメモリセルMCの閾値電圧分布の上限よりも2V程度大きい電圧であり、2値記憶方式の場合、例えば6V程度である。
【0033】
一方、データ”1”を有するメモリセルMCに接続された偶数番目のワード線WLには、読み出し電圧Vcgrvを与える。この読み出し電圧Vcgrvは、図5に示すように、データ”1”、”0”の閾値電圧分布の中間の電圧であり、例えば0Vに設定される。
なお、ダミーワード線WLDD、WLDS、及び選択ゲート線SGD,SGSには、それぞれ読み出しパス電圧Vread、読み出しパス電圧Vread、選択ゲート電圧Vsg、選択ゲート電圧Vsgがロウ系電圧制御回路20から固定的に供給される。
【0034】
なお、テストパターンデータのデータ”0”に対応するメモリセルMCの閾値電圧分布の上限値を、ワード線リークテストの判断基準に応じて変化させるようにすることも好適である。この上限値を制御することにより、どの程度のリークを不良と判定するのかを決定することができる。
【0035】
本実施の形態のNAND型フラッシュメモリは、ワード線リークテストの際、上記のような電圧をロウ系電圧制御回路20で発生させて、それらの電圧を転送トランジスタ12を介してワード線WL、ダミーワード線WLDD,WLDS、選択ゲート線SGD,SGSに印加する(図4のステップS12)。これらの電圧の転送のため、転送トランジスタ12のゲートTGに与えられる電圧VRDECは、所定期間の間電圧Vtgに維持される。ここで、電圧Vtgは、電圧Vreadに転送トランジスタ12の閾値電圧Vthを加えた電圧Vreadhh(=Vread+Vth)か、これよりも大きな値に設定される。
【0036】
本実施の形態のワード線リークテストでは、電圧VRDECが、所定期間電圧Vreadhhに所定期間維持され、これによりロウ系電圧制御回路20で発生させた上述の電圧がワード線WL、ダミーワード線WLDD,WLDS、及び選択ゲート線SGD,SGSに転送される。その後、電圧VRDECは電圧Vreadhhから0Vに落とされる。これにより、ワード線WL、ダミーワード線WLDD,WLDS及び選択ゲート線SGD、SGSはフローティング状態となる(図4のステップS13)。
【0037】
フローティング状態とされた後、所定の待機時間(例えば10μS程度)経過後、制御回路4はセンスアンプ回路30を作動させて、ビット線BLの電位を検出する(図4のステップS14,S15)。フローティング状態とされた場合であっても、ワード線WL等におけるリークが想定よりも少なければ、ワード線WLは当初の値をほぼ維持する。従って、NANDセルユニット中のメモリセルMC0〜63は全て導通状態を維持し、そのNANDセルユニットに接続されたビット線BLは放電される。従って、ブロックBLK中でワード線WLのリークが、上述の待機時間との関係で十分に少なければ、センスアンプ回路30の読み出しデータは、全ビット線BLに対し全て”L”となる。
【0038】
一方、ワード線WLのリークが大きければ、ワード線WLの電圧Vreadは当初の値から低下する(逆に、電圧Vcgrvを与えられたワード線WLの電位は上昇する)。その結果、例えばデータ”0”を保持しているメモリセルの一部は、図6に示すように、導通状態(ON)から非導通状態(OFF)に切り替わる。これにより、そのNANDセルユニットに接続されたビット線BLの一部の電位は放電されず、所定の電位を維持する。センスアンプ回路30の読み出しデータは、そのような所定の電位が維持されたビット線BLに関し、”H”となる。これは、リークの発生を示している。
【0039】
センスアンプ回路30は、このようなビット線BLの電位の変動を検知して、ワード線WLのリークの有無を示す読み出しデータを、センスアンプ回路30内部のページバッファに格納する。このページバッファに格納された読み出しデータは、比較回路40において、All FFh又はAll 00hであるか否かが判定される。比較回路40は、その比較結果に応じて、メモリブロックBLK中の奇数番目のワード線WLのリークの度合を判定する。
【0040】
以上、メモリブロックBLK中の奇数番目のワード線WLのリークの度合のテストの手順を図3Aを参照しつつ説明したが、偶数番目のワード線WLのリークの度合も、上記と略同様にテストされ得る。すなわち、図3Bに示すように、奇数番目のワード線のリークテストは、奇数番目のメモリセルMCにデータ”1”を、偶数番目のメモリセルMCにデータ”0”を与えるテストパターンデータを書き込んだ後に開始される。
【0041】
データ”0”を有するメモリセルMCに接続された偶数番目のワード線WLには、読み出しパス電圧Vreadが与えられる。一方、データ”1”を有するメモリセルMCに接続された奇数番目のワード線WLには、読み出し電圧Vcgrvを与える。ダミーワード線WLDD、WLDS、及び選択ゲート線SGD,SGSへ与えられる電圧は図3Aと同様である。そして、転送トランジスタ12を所定期間導通させた後非導通状態とすることで、ワード線WL等をフローティング状態とし、所定の待機期間(例えば10μS程度)経過後センスアンプ回路30を作動させる点も、図3Aと同様である。このようにして、偶数番目のワード線WLのリークの度合が判定される。
【0042】
そのようにしてなされたリークの度合の判定の結果に基づいて、当該ブロックBLKが正常か不良かが判定される(図4のステップS17)。ここでは、1ページ中で”H”と判定されたビット線BLの数即ち不良ビット数が規定値以下かどうかが判定される。不良と判定された場合、そのブロックは不良ブロック(バッドブロック)とされ、不良のブロックBLKに供えられたラッチ回路LATに、そのブロックが不良であることを示すブロック不良データが格納される。不良ブロックデータは、アドレス一致検出回路9にも格納され、これにより、不良ブロックの選択が回避される)。
【0043】
図4Bは、具体的な電圧の印加タイミング、変動タイミングを示すタイミングチャートである。時刻t1において選択ゲート線SGD、SGSを電圧Vsgに上昇させる。次に時刻t2において、電圧VRDECを電圧Vreadhhまで上昇させ、次いで時刻t3において、データ”0”を与えられたメモリセルMCに接続されたワード線WL(CG_usel)を電圧Vreadまで印加する。一方、データ”1”を与えられたメモリセルMCに接続されたワード線WL(CG_sel)は電圧Vcgrv=0に維持する。その後、時刻t4において電圧VRDECを0Vに落とす。この時刻t4から所定時間(例えば10μS)経過後、センスアンプ回路30が差動し、センス動作が実行されることにより、ワード線WLのリークの度合が判定され得る。図4Bでは図示は省略しているが、ビット線BLの充電動作は、時刻t4以前、すなわちワード線WL等がフローティング状態に切り替わる以前に完了しているのが好ましい。
【0044】
なお、図3A〜図6で説明したワード線リークテストの動作は、図7に示すように、テスタからの制御の下、複数のメモリチップを同時にテスト対象とする場合にも適用され得る。すなわち、テスタTESTERから上述のワード線リークテストの実行を指示する実行コマンドを各チップに送り、各チップに上述の動作を行わせることが可能である。また、ステップS14における待機時間の長さも、テスタから指定することが可能である。
【0045】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリを、図8A及び図8Bを参照して説明する。メモリの全体構成は図1に示すものと同一であるので、その説明は省略する。図8A、図8Bは、この第2の実施の形態に係るNANDフラッシュメモリにおいてワード線リークテストを実行する場合のテストパターンデータ、及び電圧の関係を示している。図8Aは図3Aに対応し、図8Bは図3Bに対応する。この実施の形態では、ダミーワード線WLDD、WLDSに与えられる電圧が電圧Vreadでなく、電圧Vsgである点で、第1の実施の形態と異なっている。その他の動作は同一であるので、重複する説明は省略する。ダミーセルMCDD、MCDSの閾値電圧が、例えば負の値に維持されているのであれば、ダミーワード線に与える電圧は必ずしも電圧Vreadである必要はなく、電圧Vsgで十分である。
【0046】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリを、図9A及び図9Bを参照して説明する。メモリの全体構成は図1に示すものと同一であるので、その説明は省略する。図9A、図9Bは、この第3の実施の形態に係るNANDフラッシュメモリにおいてワード線リークテストを実行する場合のテストパターンデータ、及び電圧の関係を示している。図9Aは図3Aに対応し、図9Bは図3Bに対応する。
【0047】
この実施の形態では、ダミーワード線WLDD、WLDSに与えられる電圧が、隣接するワード線WLに印加される電圧とは異なるように設定される。
【0048】
例えば、図9Aに示すように、ワード線WL63に印加される電圧が電圧Vreadである場合、隣接するダミーワード線WLDDには電圧Vcgrvが印加される。その場合、ワード線WL0には電圧Vcgrvが印加されるので、ダミーワード線WLDSには電圧Vreadが印加される。これにより、ワード線WL及びダミーワード線WLDD,WLDSには、電圧Vreadと電圧Vcgrvとが交互に印加される。このような印加状態にすることにより、より一層リーク状態の検知が容易になる。
【0049】
逆に、図9Bに示すように、ワード線WL63に印加される電圧が電圧Vcgrvである場合、ダミーワード線WLDDには電圧Vreadが印加される。その場合、ワード線WL0には電圧Vreadが印加されるので、ダミーワード線WLDSには電圧Vcgrvが印加される。
【0050】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリを、図10を参照して説明する。この実施の形態は、ワード線WLをフローティング状態とすることによりワード線WLのリーク状態を検出する点で、上記の実施の形態と同様である。ただし、この実施の形態では、図10に示すように、時刻t4において、電圧VRDECの電圧値を0Vではなく、電源電圧Vddに低下させる点で、上述の実施の形態と異なっている。このため、電圧Vread、Vsg(>Vread)を与えられているワード線WL及び選択ワード線SGD、SGSはフローティング状態に切り替わるが、この電圧Vdd−Vthよりも小さい電圧Vcgrv(=0V)を与えられているワード線WLはフローティング状態とはならず、電圧Vcgrvを供給され続ける。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、上述の実施の形態では、選択ゲートトランジスタに隣接するメモリセルがダミーセルである場合を例にとって説明したが、これに限らず、ダミーセルを有さず、メモリストリング中のメモリセルが全てデータ記憶に用いられるノーマルセルであってもよい。
【0052】
また、上記の実施の形態では、奇数番目又は偶数番目の一方に”0”を、他方に”1”を書き込んでなるチェッカパターンデータをメモリセルアレイにテストデータとして書き込んだ上でテスト読み出しを行い、その後”0”と”1”を全て置き換えた別のチェッカパターンデータを書き込んでテスト読み出しを行っている。しかし、これに限らず、例えば3個のメモリセルのうち1個にのみ”0”を書き込むテストパターンデータを利用してもよい。その他、ワード線WL等をフローティング状態に設定し、その後所定期間待機した後のメモリセルの導通状態を検出することができるのであれば、パターンデータの形式は不問である。
【符号の説明】
【0053】
1・・・入出力回路、 2・・・コマンドレジスタ、 3・・・アドレスレジスタ、4・・・制御回路、 5・・・高電圧発生回路、6・・・ページバッファ制御回路、 7・・・カラムデコーダ、 9・・・アドレス一致検出器、10・・・ロウデコーダ、 20・・・ロウ系の電圧制御回路、 30・・・センスアンプ回路兼ページバッファ、 40・・・比較回路、 50・・・ラッチ回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の不揮発性メモリセルを直列接続してなるメモリストリングとその両端に接続された第1及び第2の選択ゲートトランジスタとを備えたNANDセルユットの集合により構成されるブロックを複数個配列して構成されるメモリセルアレイと、
第1の方向に並ぶ前記メモリセルの制御ゲートを共通接続するワード線と、
前記第1の方向に並ぶ前記第1及び第2の選択ゲートトランジスタのゲートを共通接続する第1及び第2の選択ゲート線と、
前記NANDセルユニットの第1の端部に接続されるビット線と、
前記NANDセルユニットの第2の端部に接続されるソース線と、
前記ビット線の電位を検知して前記メモリセルに保持されるデータを判定するセンスアンプ回路と、
前記ワード線、前記第1及び第2の選択ゲート線に与える電圧を制御する電圧制御回路と、
前記電圧制御回路と前記ワード線、前記第1及び第2の選択ゲート線との間の接続状態を切り替える転送トランジスタと、
前記電圧制御回路、前記転送トランジスタ及び前記センスアンプ回路を制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記ワード線のリーク状態を判定するワード線リークテストを実行する場合において、
テストパターンデータを書き込まれた前記メモリセルアレイに接続された前記ワード線に、前記テストパターンデータに対応した電圧を前記電圧制御回路から印加した後、前記転送トランジスタを非導通状態とすることにより前記ワード線をフローティング状態に設定し、
前記転送トランジスタの非導通状態への切替えから所定時間経過後、前記センスアンプ回路を作動させて前記メモリセルアレイに対する読み出し動作を実行し、その読み出しの結果を前記テストパターンデータに対応する期待値と比較するよう構成された
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記メモリストリング中の偶数番目のメモリセルに前記テストパターンデータとして第1のデータを書き込み、奇数番目のメモリセルに前記第1のデータが対応する第1の閾値電圧分布よりも高い第2の閾値電圧分布に対応する第2のデータを書き込んだ後に第1のテスト動作を実行し、
前記メモリストリング中の奇数番目のメモリセルに前記テストパターンデータとして第1のデータを書き込み、偶数番目のメモリセルに第2のデータを書き込んだ後に第2のテスト動作を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記第1のテスト動作では、偶数番目のメモリセルに接続された前記ワード線に前記第1の閾値電圧分布と前記第2の閾値電圧分布との間の第1の電圧を印加する一方、奇数番目のメモリセルに接続された前記ワード線に前記第2閾値電圧分布の上限よりも大きい第2の電圧を印加し、
前記第2のテスト動作では、奇数番目のメモリセルに接続された前記ワード線に前記第1の電圧を印加する一方、偶数番目のメモリセルに接続された前記ワード線に前記第2の電圧を印加する
ことを特徴とする請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリストリング中の前記メモリセルのうち、前記選択ゲートトランジスタに隣接するメモリセルは、データ記憶には用いられないダミーセルであり、
前記ダミーセルに接続されるダミーワード線は、隣接する前記ワード線に印加される電圧とは異なる電圧を与えられることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記転送トランジスタのゲートに印加される電圧を、第1の電圧から第2の電圧に切り換えることにより、前記第2電圧よりも所定値以上小さい電圧値を転送している前記転送トランジスタを導通状態に維持する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項1】
複数の不揮発性メモリセルを直列接続してなるメモリストリングとその両端に接続された第1及び第2の選択ゲートトランジスタとを備えたNANDセルユットの集合により構成されるブロックを複数個配列して構成されるメモリセルアレイと、
第1の方向に並ぶ前記メモリセルの制御ゲートを共通接続するワード線と、
前記第1の方向に並ぶ前記第1及び第2の選択ゲートトランジスタのゲートを共通接続する第1及び第2の選択ゲート線と、
前記NANDセルユニットの第1の端部に接続されるビット線と、
前記NANDセルユニットの第2の端部に接続されるソース線と、
前記ビット線の電位を検知して前記メモリセルに保持されるデータを判定するセンスアンプ回路と、
前記ワード線、前記第1及び第2の選択ゲート線に与える電圧を制御する電圧制御回路と、
前記電圧制御回路と前記ワード線、前記第1及び第2の選択ゲート線との間の接続状態を切り替える転送トランジスタと、
前記電圧制御回路、前記転送トランジスタ及び前記センスアンプ回路を制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記ワード線のリーク状態を判定するワード線リークテストを実行する場合において、
テストパターンデータを書き込まれた前記メモリセルアレイに接続された前記ワード線に、前記テストパターンデータに対応した電圧を前記電圧制御回路から印加した後、前記転送トランジスタを非導通状態とすることにより前記ワード線をフローティング状態に設定し、
前記転送トランジスタの非導通状態への切替えから所定時間経過後、前記センスアンプ回路を作動させて前記メモリセルアレイに対する読み出し動作を実行し、その読み出しの結果を前記テストパターンデータに対応する期待値と比較するよう構成された
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記メモリストリング中の偶数番目のメモリセルに前記テストパターンデータとして第1のデータを書き込み、奇数番目のメモリセルに前記第1のデータが対応する第1の閾値電圧分布よりも高い第2の閾値電圧分布に対応する第2のデータを書き込んだ後に第1のテスト動作を実行し、
前記メモリストリング中の奇数番目のメモリセルに前記テストパターンデータとして第1のデータを書き込み、偶数番目のメモリセルに第2のデータを書き込んだ後に第2のテスト動作を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記第1のテスト動作では、偶数番目のメモリセルに接続された前記ワード線に前記第1の閾値電圧分布と前記第2の閾値電圧分布との間の第1の電圧を印加する一方、奇数番目のメモリセルに接続された前記ワード線に前記第2閾値電圧分布の上限よりも大きい第2の電圧を印加し、
前記第2のテスト動作では、奇数番目のメモリセルに接続された前記ワード線に前記第1の電圧を印加する一方、偶数番目のメモリセルに接続された前記ワード線に前記第2の電圧を印加する
ことを特徴とする請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリストリング中の前記メモリセルのうち、前記選択ゲートトランジスタに隣接するメモリセルは、データ記憶には用いられないダミーセルであり、
前記ダミーセルに接続されるダミーワード線は、隣接する前記ワード線に印加される電圧とは異なる電圧を与えられることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記転送トランジスタのゲートに印加される電圧を、第1の電圧から第2の電圧に切り換えることにより、前記第2電圧よりも所定値以上小さい電圧値を転送している前記転送トランジスタを導通状態に維持する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2012−48795(P2012−48795A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192083(P2010−192083)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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