説明

中性子およびガンマ線のモニター

選択的に放射線を検出する装置は、中性子放射物、例えばプルトニウム等の検出を容易にする中性子検出器と、ガンマ線源、例えばウラニウム等の検出を容易にするガンマ線検出器と、および/または放射線源を遮蔽することのできる材料、例えば鉛等の検出を容易にする蛍光X線分析器とを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2003年6月5日出願の米国特許仮出願第60/476,101号の優先権を主張するものであり、その教示の全ては参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
テロリズムの発生で、大量破壊の放射線武器またはそれらの放射線の検出を遮蔽するのに使用される材料、例えば原子量の大きな元素を検出する効率的な検出器の必要が高まっている。特に重要な3種類の武器は、いわゆる「汚染武器」、ウラニウム系原子爆弾、プルトニウム系原子爆弾である。例えば、汚染武器は、爆発によって飛散される放射線材料で取り囲んだ化学的爆発物を含み、周辺を汚染する。汚染武器はその放出される放射線によって検出することができ、ガンマ線および制動放射線が最も通常の痕跡である。ウラニウム系原子爆弾は原理的に235Uまたは238Uの痕跡ガンマ線で識別することができる。武器級の235Uからの放射線束は少なく、したがって、235Uまたは238U痕跡ガンマ線をバックグラウンドのガンマ線または無関係な線源から識別するためには優れた効率と良好なエネルギー分解能が望まれる。プルトニウム系原子爆弾は、中性子放射によって検出することができる。中性子放射物は希少であり、中性子のバックグラウンドレベルよりも数倍高い中性子源を検出することが、プルトニウム存在の明らかな証拠となり得る。
【0003】
ガンマ線と中性子の検出はその発見から辿る長い歴史を有する。多くの主題の本および研究論文、例えば、Glenn F.Knollによる「放射線検出および測定(Radiation Detection and Measurement)、第3版、1999」、Wiley Pressが入手可能であり、その教示の全ては参照により本明細書に組み込まれている。最近まで、放射線検出器は殆ど害のない産業用または研究用途のために使用された。最も広く用いられたシンチレータであるNaI(Tl)が1940年終わりに導入されて以来、良好な効率とエネルギー分解能を備えるガンマ線デバイスが入手可能であった。現在では、低エネルギーおよび高エネルギーのガンマ線を検出するための多くの無機および有機シンチレータ、ならびに多数の半導体検出器があり、様々な用途に適合する形態で市場で入手可能である。シンチレータからの光は光検出器、例えば光電子増倍管、フォトダイオード、および電荷結合デバイス(CCD)等によって検出することができる。しかし、これらの検出器は大きい質量の大きい原子番号の材料、例えば鉛、タングステン等で遮蔽されたガンマ線源を検出することができない。また、1960年代初めには市場で中性子検出器が入手可能になった。これらの比較的嵩高な装置は、BFまたはHeのいずれかを充填したガス比例計数管で熱中性子を検出する。高エネルギーの中性子は主にプラスチックおよび液体シンチレータによって測定することができ、エネルギーを有する中性子が水素核と弾性的に衝突するとき、高次にイオン化するプロトンを検出する。また、高速中性子の存在は、中性子の速度を水素含有材料で熱化(熱エネルギ程度に減速する)し、または減速し、得られる熱中性子を効率的な熱中性子検出器で検出することによって求めることができる。リチウムまたはホウ素を含むプラスチックシンチレータおよび液体シンチレータは、この方法を用いる検出器の例である。
【発明の開示】
【0004】
既存の市販放射線検出器は、選択性、効率、携帯性、および3種類の主要な放射線武器の検出を含む、既存の核放射線武器検出の要求を満たさない。さらに、既存の放射線検出器は遮蔽された武器、例えば鉛で遮蔽された武器からのガンマ線を検出することができない。したがって、遮蔽された武器を含む、大量破壊の放射線武器を効率的に検出する必要性がある。
【0005】
本発明の様々な実施形態において、検出装置は例えばプルトニウム等の中性子放射物の検出を容易にする中性子検出器、例えばウラニウム等のガンマ線源の検出を容易にするガンマ線検出器、および/または例えば鉛等の放射能源を遮蔽することのできる材料の検出を容易にするX線分析器を含む。
【0006】
一実施形態において、放射線選択検出装置は中性子シンチレータ、光検出器、中性子シンチレータと光検出器を連結する光ガイドを含む。光ガイドは液体または固体であり、典型的には固体である。様々な実施形態において、中性子シンチレータは高速中性子、熱中性子、またはその両方に応答することができる。
【0007】
他の実施形態において、放射線選択検出器装置は、蛍光X線分析器および光検出器と連結した中性子またはガンマ線シンチレータを含む。
【0008】
他の実施形態において、放射線選択検出器装置は、光検出器と連結したガンマ線シンチレータおよび中性子シンチレータ、および蛍光X線分析器を含む。
【0009】
他の実施形態において、選択的放射線検出器のための装置は、光検出器と連結したガンマ線シンチレータおよび中性子シンチレータを含む。
【0010】
様々な実施形態において、前述の各装置は手持で使用することができる。いくつかの実施形態において、前述の各装置は、制御装置、例えば電子制御装置によって制御することができる。例えば、制御装置を光検出器と連結させて、熱中性子、高速中性子、および/またはガンマ線を選択的に検出することができ、あるいは、制御装置は蛍光X線分析器と連結させて蛍光X線を検出することができ、例えばX線で対象物を照射し、対象物からの蛍光X線を選択的に検出することができる。
【0011】
また、放射線の選択的な検出方法も含まれる。
【0012】
本明細書に開示する実施形態は、特に大量破壊武器に伴う放射線および放射線遮蔽の検出の特徴から見て、従来の市販の放射線検出器を超える多くの利点を提供する。
【0013】
例えば、異なる放射線源のための多重検出器、例えば熱中性子検出器、高速中性子検出器、および/またはガンマ線検出器は単一検出器として組合わせることができる。また、それらの放射線検出器は、典型的な放射線遮蔽材料の存在を検出することのできる蛍光X線分析器と組合わせることができる。
【0014】
新しい中性子検出器が開示され、シンチレーション光は、高速中性子シンチレータおよび/または高速中性子熱化材としても機能することのできる光ガイドによって、光検出器に導入される。この新規な中性子検出器は、従来のHe中性子検出器に比べて同じ効率でより軽量であり、より安価であり、ガンマ線よりも中性子に選択性があり、温度に対して鈍感であり、移動の制約が少ないことを含む、大きな利点を有する。さらに、この検出器は放射線検出装置に対する中性子源の方向の検出を可能にする構成で作製することができる。
【0015】
光ガイドとシンチレーション用に光学的に透過な材料を提供することによって、2個またはそれ以上の線源(例えば高速中性子、熱中性子、および/またはガンマ線)から生じるシンチレーション光を同じ光検出器へ導くことが可能になる。さらに、使用したシンチレーション材料は、時間の関数としてのシンチレーション信号によって、電子制御装置が異なる種類の放射線を識別することを可能にする。
【0016】
個々の放射線検出器および蛍光X線分析器は同じ制御装置によって制御することができる。軽量または多重機能の組み合わせを可能にする前述の他の特徴と組合わせて、本明細書の様々な実施形態は、軽量で手持ちのできる自動化された多機能の放射線選択検出器を提供する。
【0017】
したがって、本明細書の様々な実施形態は汚染爆弾、ウラニウム系原子爆弾、およびプロトニウム系原子爆弾の存在を同時に検出し、放射線源の放射線レベルを識別して測定し、かつ、それらの放射線源を検出できないように遮蔽するために使用することのできる材料を検出することができる。
【0018】
本発明の前述の目的および他の目的、特徴、および利点は、添付図面で示すように、本発明の好ましい実施形態のより具体的な以下の説明から明らかになるであろう。異なる図面においても同様の参照符号は同一の部品を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を説明することに重点を置いている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0020】
本明細書の様々な実施形態は、対象物、例えば中性子およびガンマ線などの放射線武器の痕跡、およびガンマ線源を検出から遮蔽することのできる大きい原子番号の材料、例えば鉛、タングステン等を検出するための方法および装置に関する。本明細書に説明する様々な実施形態は、それらの対象物を識別することができ、「汎用性」があり、携帯性で手持ちの、テロリスト脅威検出器の多くの構成の例である。様々な実施形態において、検出は、ガンマ線、例えば特定の放射線同位元素のガンマ線特性、プルトニウムの中性子特性、および放射能、例えばガンマ線源を遮蔽することのできる大きい原子量(大きい原子番号)の材料など一つのまたは複数の対象物について可能である。いくつかの実施形態において、単一の手持ち検出器を用いてこれらの対象物の存在の証拠を記録し、作業者にその存在を警告する。
【0021】
図1は、ガンマ線と中性子を検出するように装備した放射線選択検出装置10の実施形態を示す。中性子シンチレータ14は光ガイド22およびガンマ線シンチレータ18と結合される。光検出器26が結合され、中性子シンチレータ14とガンマ線シンチレータ18からのシンチレーション光を検出する。また、この装置は、任意選択的に高速中性子を熱化する材料とすることのできる減速体38で覆うことができる。検出器26は、プリアンプ30を介してデータ取得、制御、表示、出力を提供することのできる制御装置70に結合することができる。制御装置70は、手持ち放射線検出機器として当技術分野に既知の電子制御装置、例えば、市販の蛍光X線ユニット(Xli、Niton LLC、Billerica、Massachusetts)のデータ取得、制御、および表示装置を容易に用いることができる。主に、装置10は手持ちに設計することができ、例えば、全ての要素を約2.5kg未満、またはさらに典型的には約1.5kg未満の総質量を有する単一の小型ユニットに収納することができる。
【0022】
本明細書で説明するように、ガンマ線検出器は当技術分野で既知の任意のガンマ線検出器、例えば、固体半導体検出器、または光検出器(例えば26)と結合したガンマ線シンチレータ(例えば18)とすることができる。典型的にガンマ線検出器はガンマ線シンチレータを含む。ガンマ線シンチレータを説明する開示した実施形態の中で、ガンマ線チンチレーターを固体ガンマ線検出器で置き換えた他の実施形態も意図されている。
【0023】
中性子シンチレータ14は、高速中性子、熱中性子に応答してシンチレートする材料、または両方の種類の中性子に応答する材料の組み合わせを含むことができる。本明細書に使用される、熱中性子は、kT程度の運動エネルギーを有する中性子であり(kはボルツマン定数であり、Tはケルビン温度である)、高速中性子はkTよりも大きな運動エネルギー、例えば、主に数千〜数百万電子ボルトの範囲よりもはるかに大きな運動エネルギーを有する中性子である。一般的に中性子シンチレータ14の材料は熱中性子検出の優れた効率を有し、X線またはガンマ線検出の効率は無視できる。この材料はシンチレーション成分に結合した熱中性子捕獲同位元素を含むことができ、捕獲同位元素を熱中性子に接触させることによってシンチレーションを行う。捕獲同位元素は当技術分野で既知の任意の熱中性子捕獲同位元素、例えば、Li、10B、113Cd、157Gd等とすることができ、一般にLi、10Bであり、またはより典型的にはLiである。シンチレーション成分は、捕獲同位元素によって捕獲された熱中性子の反応生成物に応答してシンチレーションを行う当技術分野で既知の任意の成分とすることができ、例えば、シンチレーション成分はZnSとすることができる。中性子シンチレータ14の材料は、捕獲同位元素とシンチレーション成分の任意の組み合わせ、例えば、ZnSとLi、10B、113Cd、157Gdの少なくとも1種との組合わせを含む化合物とすることができる。典型的に、中性子シンチレータはLiFとZnSの組み合わせである。例えば、様々な実施形態において、中性子シンチレータ14はLiFとZnSの混合物から作製された厚さ約0.5mmの市場で入手可能なスクリーン材料(Applied Scsintillation Technologies、Harlow、United Kingdom)である。リチウムは、同位元素的に豊富な断面積940バーンの同位元素Liであり、熱中性子を捕獲してヘリウム原子核He(アルファ粒子)とトリトンHに分裂し、総放出エネルギーは4.78MeVである。エネルギーを持つアルファ粒子とトリトンはZnS中でエネルギーを失い、ZnSにシンチレーションを行わせて、アルファ粒子とトリトンが静止する際に損失エネルギーキロボルト毎に約50フォトンを放出する。したがって、各捕獲された中性子は数十万個の光学的な光量子を生成する高い確率を有するはずである。
【0024】
LiF/ZnSスクリーンの試験は、それらが他の放射線、例えばガンマ線、X線等よりも熱中性子に選択性があることを示し、例えば、これらのスクリーンは熱中性子の検出に約50%の固有の効率を有するが、それらのガンマ線検出効率は、例えば約10−8未満で無視できる。ガンマ線に対する熱中性子のこの選択性は、大量破壊武器に伴う中性子放射物による有効な警報を選択するので、比較的一般的なガンマ線源(医療用同位元素、工業的試験装置の放射線源等)による「誤警報」の割合を低減することができる。ガンマ線に対する熱中性子検出のこの選択性は比率で表すことができる。典型的な構成では、ガンマ線に対する熱中性子の選択性は少なくとも約10,000:1、さらに典型的には少なくとも1,000,000:1であり、ある実施形態において少なくとも約10,000,000:1である。
【0025】
任意選択的な中性子減速体38は、高速中性子を熱化する材料から作製することができる。当業者であれば、多くの適切な減速材料の知識を有し、減速材料、厚さ、およびガンマ線検出効率の損失を最小にしながら、中性子検出効率を最大にする配置を選択することができよう。例えば、主に中性子減速材は、水などの水素含有材料、有機溶媒(アルコール、エーテル(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、アルカン(例えばヘキサン、デカン)、アセトニトリル、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、油およびワックス(例えば鉱物油、パラフィン等)、有機ポリマー(例えばポリアルカン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、ポリビニレン(例えばポリ塩化ビニル)、ポリアクリラート(例えばポリメチルメタクリラート)、ポリスチレン、ポリアルキルシロキサン(例えばポリジメチルシロキサン)等)、水または有機溶媒とポリマーの複合材もしくはゲル(例えばゼラチン、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸等の水ゲル)、および当技術分野で知られた多くの他の減速材である。
【0026】
例えば、ある実施形態において、減速体38は、有機ポリマー、例えば高密度ポリエチレンから作製することができ、装置10の上に配置して入射する高速中性子を減速(熱化)することができるので、それらは中性子シンチレータ14によって効率的に捕獲することができる。他の実施形態において、減速材38は装置10を覆う液体減速材、例えば水、有機溶媒、水ゲル等の適切な厚さの層を保持する容器とすることができる。様々な実施形態において、中性子減速材中の水素原子核は、H同位元素を富裕にする、すなわち、減速材中のHの割合が天然の存在量レベルよりも多くすることができる。ある実施形態において、中性子減速材中の水素原子核は、少なくとも約50%、さらに典型的には少なくとも約90%、または好ましくは少なくとも約95%がH同位元素である。
【0027】
光ガイド22を中性子シンチレータ14に結合して、シンチレーション光を光検出器26に導くことができる。光ガイド22は比較的大きなシンチレーション表面積からのシンチレーションフォトンを収集し、それらを検出器26のより小さな面積に導くことができる。これは、所定の検出器表面積についてより高いシンチレーション光収集効率をもたらすことができる。他の構成も可能であるが、光ガイド22が(検出器26の検出表面に垂直とすることができる)シンチレータ14の表面に平行な構成は手持ちユニットに適した小型構造を提供する。
【0028】
シンチレーションフォトンの光検出器26への案内に加えて、光ガイド22は任意選択的に以下の追加の機能のひとつまたは両方を行うことができる。
【0029】
第1に、光ガイド材料は高速中性子の減速材または熱化材として作用することができ、したがってそれらを減速させて熱エネルギーに変えるので、それらを効率的に中性子シンチレータ14に捕獲することができる。したがって、光ガイド22は、透過性の基準を満たすことのできる上述の任意の中性子減速材、例えば、典型的に水などの水素含有材料、有機溶媒、透過な有機ポリマー(例えばポリアクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキルシロキサン)複合材、水または有機溶媒とポリマーのゲル、鉱物油等を含むことができる。主に、光ガイド22の材料は固体、例えば有機ポリマー、一般にポリアクリラートとすることができ、例えばある実施形態においてポリメチルメタクリラートである。様々な実施形態において、光ガイド22の材料中に含まれる水素原子核のH同位元素を豊富にする、すなわち、減速材中のHの割合が天然の存在量レベルよりも多くすることができる。ある実施形態において、中性子減速材中の水素原子核は、少なくとも約50%、さらに典型的には少なくとも約90%、または好ましくは少なくとも約95%がH同位元素である。
【0030】
第2に、前節で説明した光ガイドの材料は、高速中性子に応答するシンチレーションに有限の効率を有することができ、例えば、高速中性子が水素原子核に衝突するとき、水素原子核はイオン化させることができる十分なエネルギーで散乱し、これは光検出器26によって検出することができる。ある実施形態において、光ガイド22は、高速中性子シンチレータとして機能することができ、したがって中性子シンチレータ14を含む。したがって、様々な実施形態において、装置10は材料および光ガイド22および中性子シンチレータ14の選択に応じて、高速中性子、熱中性子、または高速および熱中性子を検出することができる。
【0031】
ガンマ線検出器18は当技術分野に知られている様々なガンマ線シンチレータの任意のもの、例えば、タリウムをドープしたヨウ化ナトリウム(NaI(Tl))、タリウムをドープしたヨウ化セシウム(CsI(Yl))、ゲルマン酸ビスマス(BGO)、フッ化バリウム(BaF)、セリウムをドープしたオキシオルソケイ酸ルテチウム(LSO(Ce))、タングステン酸カドミウム(CdWO)、セリウムをドープしたイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP(Ce))、セリウムをドープしたケイ酸ガドリニウム(GSO(Ce)等とすることができる。例えば、NaI(Tl)は高速で効率的かつ安価であるが、吸湿性があり、主に湿気をシールして使用される。BaF、BGOまたはLSO等の非吸湿性結晶を用いることもできる。それらの材料は典型的に汚染爆弾からのガンマ線を検出する良好な効率を有するように選択され、例えば、137Cs(しばしば汚染爆弾の放射能脅威として引用される)からの662keVガンマ線は、厚さ2.5cm(1インチ)のLSO結晶中で80%を超える吸収効率を有し、これは約10,000個の検出可能な光フォトンを生成することができる。一般に、ガンマ線シンチレータは、NaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO、BaF、LSO、またはCdWOを含み、さらに典型的にはBGO、BaF、またはLSOを含む。ある実施形態において、ガンマ線シンチレータはBaFであり、他の実施形態において、ガンマ線シンチレータはLSOである。
【0032】
様々な実施形態において、ガンマ線シンチレータ18および光ガイド22はいかなるシンチレーション事象によって発生した光学波長に対しても透過である。本明細書に使用される用語「透過な」および「透過度」は光、例えばシンチレーション光の単位路長当たりの透過率を指す。典型的に、シンチレーション光に対する材料の1メートル当たりの透過率の少なくとも約90%、一般に約95%、さらに典型的には約98%を透過する。主に、透過したシンチレーション光は約400ナノメートル(nm)〜約600nm、一般に約350〜約600nm、さらに典型的には約300〜600nmの範囲である。したがって、ある実施形態において、透過な材料(例えば光ガイド、ガンマ線シンチレータ等)は約350nm〜約600nmのシンチレーション光の約95%/メートルが透過し、さらに典型的に約300nm〜約600nmのシンチレーション光の約98%が透過する。
【0033】
様々な実施形態において、シンチレータ18および光ガイド22のそれぞれの屈折率は、同じ範囲、例えば約1.4〜約2.4、またはさらに典型的には約1.5〜約1.8とすることができ、かつ、一般にシンチレータ18と光ガイド22間の界面の反射を同様に最小化するように選択することができる。
【0034】
したがって、様々な実施形態において、光ガイド22および/またはガンマ線シンチレータ18はシンチレーション光に対して透過であり、これは光検出器26での検出効率にとって有利である。さらに、複数のシンチレーション光源からの光を収集して検出器26の光学面に送達することができるので、単一の光検出器26だけで使用できる。例えば、図1に示すように、中性子シンチレータ14と相互作用している熱中性子からのシンチレーション光は、光ガイド22およびガンマ線シンチレータ18を経て検出器26に入ることができる。光ガイド22が高速中性子シンチレータとしても機能することのできる実施形態では、そのシンチレーション光もガンマ線シンチレータ18を経て検出器26に入ることができ、したがって、3個の光源(光ガイド22中の高速中性子、シンチレータ14中の遅い中性子、およびシンチレータ18中のガンマ線)からのシンチレーション光は単一の光検出器26によって検出することができる。さらに、ある実施形態において、これらの要素は入替の配置が可能であり、例えば、光ガイド22とガンマ線シンチレータ18の順序を逆にすることができ、ガンマ線シンチレーション光がシンチレータ18から光ガイド22を通って検出器26へ入ることができる。
【0035】
2種またはそれ以上のシンチレーション光が検出器26で検出される様々な実施形態において、それらはその時間特性すなわち時間の関数によって識別される。例えば、高速中性子、熱中性子、およびガンマ線を検出するように装備された装置10の実施形態において、制御装置70は、例えば立ち上がり時間、減衰時間等の時間特性の特徴に応じた検出信号によって区分するようにプログラムすることができる。例えば、ある実施形態において、光ガイド22用にポリメチルメタクリラートを使用すると、約2ナノ秒の高速中性子の減衰時間を与え、シンチレータ18用にLSOを使用すると、約40ナノ秒のガンマ線シンチレーションの減衰時間を与え(20倍遅い)、シンチレータ14にLiF/ZnSを使用すると、約30マイクロ秒の熱中性子シンチレーション減衰時間を与える(高速中性子シンチレーション減衰よりも約15000倍遅く、ガンマ線シンチレーション減衰よりも約700倍遅い)。当技術分野に知られている標準的な立ち上がり時間検出回路は、それらの時間的に分離された信号を容易に識別することができ、したがって複数の種類のシンチレーション光を分離したデータ、例えば各シンチレーション光の種類ごとにパルス高さスペクトルを生成する制御装置70によって典型的に明白に区分することができる。当技術分野に知られた標準的な回路を制御装置70に使用することができ、これは十分高速であり、複数シンチレーション光からの実質上全ての信号を処理することができる。
【0036】
図2は、放射線材料、例えばガンマ線源56を遮蔽することのできる大きい原子量(大きい原子番号)の材料54を検出するための、制御装置70と結合した蛍光X線(XRF)検出器40を示す。
【0037】
XRF分析器40は、当技術分野で既知の市販の検出器、例えば、Xli XRF分析器(Niton LLC、Billerica、Massachusetts)を容易に用いることができる。Xliは蛍光X線を発生させることができる放射線源を含む重さ1kg(2ポンド)未満の手持ちユニットであり、例えば、それは122keVのガンマ線を放出する強い57Co源を含むことができ、タングステン、鉛、ウラニウム、プルトニウム等を含む様々な大きい原子番号の重い元素の特性X線を励起することができる。放出された蛍光X線放射は、大きい原子番号材料の特性X線の検出に優れた効率と分解能を有することのできる検出器、例えば、冷却したCdTe検出器で検出することができる。処理された情報は例えば液晶ディスプレイに表示することができる。パルス高さスペクトルを含む集められた情報は、ユニット70中に記憶することができ、遠隔測定することができ、作業者に潜在的な危険を自動的に警告することができる。
【0038】
したがって、XRF分析器40は、対象物材料、例えば爆弾52中の放射線源56を取り囲む遮蔽材料54中の蛍光X線を発生させる放射線源48(典型的に遮蔽64で封入されている)を任意に選択することができる。例えば、一実施形態において、放射能源48(図2には任意の二重源として示されている)は57Coとすることができ、これはその減衰の約90%の間122keVのガンマ線を放出することができる。122keVのガンマ線は、放射能源56を遮蔽するのに適した大きい原子量/大きい原子番号の材料54、例えば、タングステン、鉛、ウラニウム、プルトニウム等のK線を効率的に励起することができる。XRF分析器40は検出器60を含み、これは当技術分野に既知の任意のX線検出器とすることができ、例えば様々な実施形態において、検出器60はプリアンプ68に結合した厚さ約2mmのCdTe(テルル化カドミウム)半導体検出器とすることができる。厚さ2mmのCdTe検出器は、大きい原子量/大きい原子番号の元素のK線の検出に約80%を超える固有効率を有することができる。市場で入手可能なCdTe検出器のエネルギー分解能は100keVのガンマ線について約2keVを超えることができ、これは様々な重元素のK線を分離し、少なくともある程度遮蔽材料54の元素組成物を識別することができる。当業者であれば、ある実施形態において、市場で入手可能な57Coの100ミリキュリー(mCi)リング源と、1cmで厚さ2mmのCdTe検出器と一緒に用いると、検出器から1フィートの距離で厚さ6.4mm(1/4インチ)までの鋼容器内部の鉛遮蔽材があることを見つけることができるのを理解することができよう。
【0039】
方法および装置の様々な実施形態において、放射線検出器の可能な組み合わせの各々が意図されている。例えば、様々な実施形態に含まれるものは、XRFおよび高速中性子検出器、XRFおよび熱中性子検出器、XRFおよびガンマ線検出器、XRF、高速中性子およびガンマ線検出器、XRF、熱中性子、およびガンマ線検出器、XRF、高速中性子、熱中性子、およびガンマ線検出器、高速中性子およびガンマ線検出器、熱中性子およびガンマ線検出器、高速中性子、および熱中性子検出器、高速中性子、熱中性子、およびガンマ線選出器等である。さらにこれらの各々は様々な実施形態において、例えば単一制御装置70によって自動制御されること、および手持ち操作、例えば単一手持ちユニットに設計することが意図されている。
【0040】
他の実施形態において、1個または複数の検出器をアンビリカルコード(必須の接続線)または無線通信リンクによって制御装置70に結合することができる。例えば、単一の手持ち装置は、制御装置とガンマ線/中性子検出器サブユニットと結合したXRF分析器を含むことができ、サブユニットは制御装置とXRFユニットを含む主要ユニットから取り外すことができ、アンビリカルコードまたは無線通信リンクを経由して制御装置と通信することができる。これはさらに柔軟性のある検出器の使用を可能にし、例えば、取り外し可能なガンマ線/中性子検出子を使用して、乗物または限定された空間中の到達困難な領域を探査することができる。
【0041】
図3は、光ガイド82と熱中性子シンチレータ層80の構成を用いる新しい中性子検出器装置120の一実施形態を示す。装置120は、図1の装置10に示した他の構成と任意選択的に組み合わせて、中性子検出器として使用することができる。新しい検出器は熱中性子捕獲シンチレータ材料80の層またはシートを、光学的に透過な光要素、好ましくは水素含有材料の光ガイド板82で挟む。
【0042】
光ガイド板82は中性子チンチレーター80と結合させてシンチレーション光を光検出器26へ導くことができる。光ガイド82は、複数のシンチレータ層80によって形成される比較的大きなシンチレーション表面積から、シンチレーションフォトンを集め、それらを検出器26のより小さな面積に導く。これは所定の検出器表面積について高いシンチレーション光収集効率をもたらす。他の構成も可能であるが、光ガイド82がシンチレータ層80の表面(検出器26の検出表面に垂直とすることができる)に平行な構成は手持ちユニットに適した小型構造を提供する。
【0043】
光ガイド82は二つの独立した機能を有することができる。それらは高速中性子を熱化(減速)するので、それらは熱中性子検出器シンチレータ80に捕獲されて光学的な光を生成し、それらはシンチレーション光を光検出器へ導くことができる。好ましい実施形態は、熱中性子シンチレータ80をLiF:ZnSから作製された厚さ約0.5mmのシンチレーション光検出スクリーンとして使用する。市場で入手可能な厚さ0.5mmのシンチレーション材料(Applied Scsintillation Technologies、Harlow、United Kingdom)は、約50%の熱中性子捕獲確率を有することができる。光ガイド82は良好な高速中性子の減速材でもある任意の光学的に透過な材料、例えばポリメチルメタクリラートなどのアクリルプラスチックとすることができる。
【0044】
また、光ガイド82は、任意の透過なプラスチックシンチレータ、例えば、熱中性子、高速中性子、および/または他の注目する放射線に応答してシンチレーションを行う当技術分野で既知の様々な化合物をドープした光学的に透過なプラスチックシートとすることができる。典型的なシンチレータはそれ自体よく知られた高速中性子の検出器であり、固有の高速中性子シンチレータ、中性子減速材、および光検出器26への光ガイドとしての3つの役割を有する。さらに、光ガイド82は水、HO、または重水DOとすることができ、水素を水素の同位元素Hと置換することができる。水は特に効果的な中性子減速材であり、重水が中性子を吸収する確率は非常に小さい。光ガイド82に使用することのできる当技術分野で既知のさらに他の材料は、良好な中性子減速材となることのできる液体シンチレータであり、高速中性子に応答してシンチレーションを行い、ガンマ線シンチレーションからのシンチレーションを識別する。熱中性子シンチレータ80は、典型的にポリメチルメタクリラート光ガイド82に結合させることができ、例えば、光学的に透過なシリコン、エポキシの層、および/または液体結合剤とスクリーンに直接接触する。光学的に不透過とすることのできる任意選択的な中性子減速材84、例えば高密度ポリエチレンを用いて中性子検出の効率を高めることができる。
【0045】
図4は単一光検出器26から見た中性子とガンマ線の選択的検出を行うための装置130の要素を示す。ガンマ線と中性子を選択的に検出されることが望ましい用途において、ガンマ線シンチレーション検出器18は光ガイド/シンチレータ82/80の一端部に取り付けることができる。ガンマ線検出器と中性子検出器からの信号は、前記のそれらの異なる時間特性によって分離することができる。光ガイド/シンチレータ82/80によって画定される装置130の部分が例えば長さ約30cmを超えて長ければ、組合わせたガンマ線と中性子結合器の両端に光検出器を配置することが有利であろう。2個の光検出器からの信号は加えることができ、組み合わされた信号は前記の時間特性によって中性子とガンマ線信号に別々に分析することができる。
【0046】
装置130のさらに他の実施形態は、高速中性子の検出が望まれる用途に有いることができる。ある実施形態において、中性子シンチレータ82は、例えば高速中性子に応答してシンチレーションを行う有機ポリマー材料から作製することができる。他の実施形態において、LiF:ZnS中性子シンチレータ材料は、例えば、水、有機溶媒、鉱物油等の液体シンチレータ中に懸濁させることができ、ガンマ線または電子が検出されるときに放出されたシンチレーション光の減衰時間は、高速プロトン(例えば高速中性子シンチレーションによる)が検出されるときに放出されたシンチレーション光の減衰時間とは大きく異なることができる。液体シンチレータの2種の減衰時間定数はガンマ線検出器または光ガイド/シンチレータ82/80の減衰時間定数と大きく異なるので、4つの信号を全て分離することが可能であり、したがって、単一光検出器(またはその出力が互いに加えられる1個または複数の光検出器)を用いて、高速中性子、熱中性子、およびガンマ線を完全に区別することができる。
【0047】
図5は新しい中性子シンチレータ/光ガイド装置150の等角図を示す。広さ約5.1cm、長さ約30.5cm、厚さ約1.25cmで、全ての側面を研磨した光学的に透過なポリメチルメタクリラートの4枚のシート、110、112、114、116は、熱中性子シンチレータ材料LiF:ZnS118を各5.1cm×30.5cmの側面の間および上部と底部に層として有する。それらのLiF:ZnSスクリーンを備える4個の平板は5.1cm×30.5cm×高さ約5.6cmの多層サンドイッチ150を形成する。装置150は光検出器と結合することができ、例えば装置150は図4中の中性子シンチレータ/光ガイド80/82を置き換えることができる。上述のように、非常に長い検出器および/またはかすかな信号の検出を必要とする用途では、それらの光ガイド/シンチレータ装置の各端部に第2の光検出器、例えば、光電子増倍管を取り付けて、2個の検出器を用いて検出された光量を増加させることができる。
【0048】
実験で確認されたモンテカルロシミュレーションは、ポリメチルメタクリラートが高密度ポリエチレンの中性子の熱化率は約75%ほどの効率であることを示している。したがって、中性子シンチレータ/光ガイド150は示したように効率的な中性子検出器であり得る。検出器の長さを中性子減速材134の層、例えば、高密度ポリエチレンで被覆することによって約30%さらに効率的にすることができ、光ガイド/シンチレータ150と中性子減速材134の間に中性子シンチレータ材料の層を配置することによってさらに効率化することができる。
【0049】
光ガイド/シンチレータ150のガンマ線に対する中性子の選択性は5×10:1の比率で測定された。中性子検出器の現在の「ゴールド標準」である市販のHeガス比例計数管は、10〜10の範囲の排除率である。したがって、本発明の検出器は最善の現在の市販He検出器よりも1000以上倍大きなガンマ線排除率を有する。
【0050】
上述のように、ガンマ線源からの誤警報を最小にしながら、中性子源例えば、プルトニウムを検出するためには、ガンマ線に対する中性子の選択性が重要である。例えば、ひとつの現在の保安基準は、2メートルの距離から0.455kg(1ポンド)のプルトニウムの存在を検出する中性子検出器を必要とする。0.455kg(1ポンド)のプルトニウムは毎秒約20,000個の高速中性子を放出する。2メートルで、秒当たり検出器の1cm当たりで横切る最大0.04個の中性子がある。光ガイド/シンチレータ150で達成できる中性子の検出効率が50%であれば、計数率はわずかに0.02/秒/cmである。ガンマ線を検出する中性子検出器の効率が10−3であれば、小さなガンマ線源からの20ガンマ線/秒/cmが0.455kg(1ポンド)のプルトニウムからの中性子と同じ信号を与え、警報を発する。ガンマ線検出の効率がわずかに2×10−9の中性子光ガイド/シンチレータ150は、プルトニウムからの中性子放出のための前述の保安基準に比べると、小さなガンマ線源によっては警告を発しないであろう。実際に、中性子光ガイド/シンチレータ150は、ガンマ線源がそれ自体健康に重要な危険性がないかぎり、中性子/プルトニウム保安基準に等しいガンマ線源は通常検出しないであろう。
【0051】
光ガイド/シンチレータ150は、従来のHeを超える他の実際的な利点を有する。市販のHe検出器は、厚さ5.1cmの高密度ポリエチレンの被覆などの厚い中性子減速材によって包囲されていないかぎり、一般的にわずかに約10%の中性子検出効率を有する。中性子光ガイド/シンチレータ150中に、光ガイド、例えばポリメチルメタクリラート光ガイド110、112、114、116によって提供された固有の中性子減速を有する開示の中性子検出器は、高密度ポリエチレン被覆がなくても、殆ど40%の効率を有することができる。さらに、完全に減速したHe検出器の効率を達成する必要があれば、開示した中性子検出器は、完全な減速を得るためにはるかに薄い減速材(例えばポリエチレン)を使用することができる。したがって、本明細書に開示する検出器は同じ効率の市販のHe検出器よりもはるかに軽くすることができ、これは装置を手持ち使用にするために最も重要である。
【0052】
また、光ガイド/シンチレータ150は非常に堅牢にすることができ、移動の制約がない。He検出器は一般的に約2〜4気圧の圧力で同位元素Heを入れている。多くの場合、輸送法規はそれらの検出器を輸送するために特別な手順を必要とする。
【0053】
また、市販のHe検出器は、+10℃〜+50℃の範囲の温度での操作に制限され、やはり検出は温度変化で影響を受ける。光ガイド/シンチレータ150は少なくとも−10℃〜約50℃の範囲にわたって温度変化に鈍感である。
【0054】
さらに他の利点は、自国防衛の要求を満たすのに必要な十分大きなサイズを有する開示の検出器が、同等の材料、例えば光ガイド材料のコストが従来の検出器のHeのコストに比べて典型的にはるかに安価であるので、同等の効率の市販のHe検出器よりも安価なことである。
【0055】
当業者であれば、1個または複数の光ガイドおよび1個または複数の中性子シンチレーション層の多くの可能性のある配置と光検出器とを組合わせて中性子検出器を形成することができ、例えば、中性子シンチレーション層を光ガイド材料の塊の前面に設計し、光検出器を光ガイド材料の塊の後面に結合させることができることを理解するであろう。しかし、図3〜図5に示すように、1個または複数の光検出器と組合わせた、光ガイドの複数の層と中性子シンチレータは上述のように特に効率的である。
【0056】
図6は、複数の光ガイド部分160を用いて方向性感度のある中性子検出器を提供する中性子シンチレータ/光ガイド装置168の他の実施形態を示す。光ガイド部分160は6個のパイ状部分に分割された六角形の形に配置される。各光ガイドセグメント160を取り囲むように、LiF:ZnS熱中性子シンチレータ材料166を設けることができる。光ガイド材料中の高速中性子シンチレーションから、または材料166中の熱中性子シンチレーションのいずれか、あるいは両方からの各セグメントから集められたシンチレーション光は、例えば市場で入手可能なセグメント化された光検出器を用いて、または個別の光検出器を用いて個別に検出することができる。異なるセグメントに集められた光は、例えば適切なモデル化または計量実験を行うことによって、中性子源の方向の相関を明らかにすることができる。当業者であれば、図6に示した六角形の分割が、検出器に対する中性子源の方向に基づいてシンチレーションの差動検出を可能にする多くの構成の中のひとつであること、例えば、図4および図5中の中性子シンチレータ材料80と光ガイド82が同じ機能を有することができることを理解するであろう。
【0057】
図7は、中性子およびガンマ検出器、および蛍光X線分析器を制御装置と一体化して、手持ちの自国防衛用爆弾検出器に適合する単一の小型ユニットにした装置700を示す。装置700は実験的試験とモンテカルロコンピュータシミュレーションによって設計された。装置700は、ガンマ線に鈍感な中性子選択検出器、中性子に鈍感なガンマ線選択検出器、および3.1mm(1/8インチ)鋼から作られた箱の内部の少なくとも約30.5cm(12インチ)の遮蔽材料を発見する能力のあるXRF検出器を含む。
【0058】
全体的な寸法が5.1cm×5.1cm×25.4cmの中性子検出器は、各々1.25cm×5.1cm×25.4cmの研磨した4枚の透過なポリメチルメタクリラート光ガイドシート710からなり、光電子増倍管である光検出器714の5.1cmの面に接する端部を除いて、厚さ0.43mmのLiF/ZnS中性子シンチレータ712が、ガイド710の全ての面を被覆する。検出器の外側は厚さ1.25cmの高密度ポリエチレンの中性子減速材716で被覆され、ポリメチルメタクリラート光ガイド710と共に入射する高速中性子を減速するので、それらはLiF/ZnS中性子シンチレータ712によって効率的に捕獲される。ガンマ線シンチレータ718は直径5.1cm、長さ5.1cmのBaF単結晶であり、ガンマ線検出に良好な効率を有し放射性同位元素の識別に良好なエネルギー分解能を有する。ガンマ線シンチレータ718の前面の、および光検出器714に平行な、例えば厚さ約0.8mmのアルミニウムまたはプラスチックの薄い窓720は、ガンマ検出器が50keV〜数MeVのガンマ放射線に感度よくすることができる。当業者であれば、ガンマ線検出器を他の放射線範囲に適合させるために、どのようにして他の材料または厚さの窓を選択するかの知識を有するであろう。示した実施形態において、シンチレータ718はガイド/シンチレータ710/712をはさんで検出器714と反対側に配置される。(他の実施形態において、シンチレータ718を検出器714とガイド/シンチレータ710/712の間に配置することによって、BaFガンマシンチレータ718のより高いエネルギー分解能を得ることができる。例えば、厚さ0.8mmのアルミニウムまたはプラスチックの薄い層は、ガンマシンチレータ718の周りに検出器714の面に垂直に帯として配置することができる。)BaFからのシンチレーション光は光ガイド710を通って光検出器714へ伝わる。
【0059】
BaFガンマシンチレータ718からの信号は、それぞれ0.63マイクロ秒および〜30マイクロ秒であるそれらの異なる減衰時間によって、LiF/ZnS中性子シンチレータ712からの信号と分離される。
【0060】
変更モデルXLp XRF分析器724(Niton、同)の最上位機として中性子/ガンマ組み立て体722が取り付けられ、これはデジタル化されたパルス処理を用いて2個の検出器714とXRF検出器726を同時に解析し、4,096チャンネルのデータのスペクトルと結果を記憶し、その全を中央指令ポイントに無線で遠隔送信することができる。
【0061】
XRF分析器724は100ミリキュリー(mCi)の十分遮蔽された57Co源726を用い、シャッター728が起動装置730で開かれるとき、122keVのガンマ線を放射して重元素遮蔽の特性X線を励起し、特性X線は大面積CdTe検出器732中で検出される。装置700のサイズは大きなコードレスドリルのサイズと同様であり、重量はバッテリー電源を含んで約3kgである。電池のフル充電で12時間以上の連続運転ができる。
【0062】
制御装置734は装置700の検出器を作動させ、放射線検出結果を表示スクリーン736に表示する。携帯電源738、例えばバッテリーまたは燃料電池を含むことができる。
【0063】
様々な実施形態において、モジュール設計によって各検出器/分析器は互いにまたは制御装置と分離して操作することができる。例えば、中性子/ガンマ線検出器はXRF分析器と制御装置を含む基本ユニットから取り外し可能なユニットとすることができ、中性子/ガンマ線検出器はアンビリカルコード、無線通信等を経由して制御装置と通信することができる。したがって、中性子/ガンマ線検出器は完全に独立したモジュールとすることができ、あるいは装置700の残りと一体化することができることが好ましい。当業者であれば、例えば、アンビリカルコード運転の場合、適切なプリアンプ回路を用いて、または無線運転の場合、市販の無線通信モジュールを制御装置とXRF検出器に連結して、それらの遠隔操作を提供することができる。
【0064】
政府の機関は、例えばテロリズム対策、環境監視等の目的のための望ましい検出規格を制定することができる。様々な実施形態は例えば1種または複数種の以下の規格に適合することができる。
(1)毎秒20,000個またはそれ以上の中性子を放出する遮蔽しない中性子源を2メートルの距離で10秒内に検出する。
(2)遮蔽しない10マイクロキュリー(μCi)の137Cs源を2メートルの距離で10秒内に検出する。
(3)放出されたガンマ線に基づいて特定の放射性同位元素を同定する。
(4)検出器から1フィート(30.5cm)まで、および鋼または等しい吸収材料の1/4インチ(6.4mm)までの裏側の大きい原子番号の遮蔽材を検出する。
【0065】
本発明をその好ましい実施形態を参照して具体的に示し説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形状と設計における様々な変更をそれに加えることができることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ガンマ線および中性子を検出する放射線選択検出装置10の一実施形態を示す図である。
【図2】放射性材料、例えばガンマ線源56を遮蔽することのできる大きい原子量(大きい原子番号)の材料54を検出するための、制御装置70と結合した任意選択的な蛍光X線(XRF)検出器40を示す図である。
【図3】光ガイド82および熱中性子シンチレータ層80の構成を用いる新しい中性子検出装置120の実施形態を示す図である。
【図4】単一の光検出器26によって検出される中性子およびガンマ線を選択的に検出するための装置130の構成要素を示す図である。
【図5】新しい中性子シンチレータ/光ガイド装置150の一実施形態の斜視図である。
【図6】多重光ガイド部分160を用いて方向性感度のある中性子検出器を提供する、中性子シンチレータ/光ガイド装置168の他の実施形態を示す図である。
【図7】中性子とガンマ線検出器と蛍光X線分析器とを、制御装置と一体化して手持ちの自国防衛用爆弾検出に適合する単一の小型ユニットにした、装置700を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子シンチレータと、
光検出器と、
前記中性子シンチレータを前記光検出器に結合する固体または液体の光ガイドとを含む、選択的に放射線を検出する検出装置。
【請求項2】
請求項1において、前記検出装置が手持ちに適合するようにされた検出装置。
【請求項3】
請求項1において、前記中性子シンチレータが、ガンマ線より少なくとも10,000:1の比率で選択的に熱中性子に応答する検出装置。
【請求項4】
請求項1において、前記検出装置が、ガンマ線より少なくとも1,000,000:1の比率で選択的に熱中性子に応答する検出装置。
【請求項5】
請求項1において、複数の光ガイドを含む検出装置。
【請求項6】
請求項1において、複数の中性子シンチレータを含む検出装置。
【請求項7】
請求項1において、前記中性子シンチレータが高速中性子に応答する検出装置。
【請求項8】
請求項1において、前記中性子シンチレータが熱中性子に応答する検出装置。
【請求項9】
請求項8において、前記中性子シンチレータは、捕獲同位元素が熱中性子に接触する際にシンチレーションを起す、シンチレーション成分に結合させた熱中性子捕獲同位元素を含む検出装置。
【請求項10】
請求項9において、前記捕獲同位元素がLi、10B、113Cd、157Gdから選択される検出装置。
【請求項11】
請求項9において、前記シンチレーション成分がZnSである検出装置。
【請求項12】
請求項9において、前記中性子シンチレータがLiFとZnSを含む検出装置。
【請求項13】
請求項7において、前記光ガイドが1.4〜2.4の屈折率を有する検出装置。
【請求項14】
請求項13において、前記光ガイドが高速中性子を熱化する水素含有材料を含む検出装置。
【請求項15】
請求項13において、前記光ガイドが、水、有機溶媒、鉱物油、有機ポリマーから選択される少なくとも1種の材料を含む検出装置。
【請求項16】
請求項13において、前記光ガイドがポリメチルメタクリラートである検出装置。
【請求項17】
請求項14において、前記光ガイド中に含まれる水素原子核は水素のH同位元素が豊富である検出装置。
【請求項18】
請求項1において、前記検出装置が高速中性子を熱化する材料によって少なくとも部分的に被覆されている検出装置。
【請求項19】
請求項18において、前記検出装置が、水、有機溶媒、鉱物油、有機ポリマーから選択される1種の材料によって少なくとも部分的に被覆される検出装置。
【請求項20】
請求項19において、前記光ガイド中に含まれる水素原子核は水素のH同位元素が豊富である検出装置。
【請求項21】
請求項1において、前記検出装置が、高密度ポリエチレンによって少なくとも部分的に被覆されている検出装置。
【請求項22】
請求項8において、前記光検出器に結合された制御装置をさらに含む検出装置。
【請求項23】
請求項22において、前記制御装置に結合されて放射線検出結果を表示するディスプレイをさらに含む検出装置。
【請求項24】
請求項22において、前記光ガイドが、高速中性子シンチレータと、熱中性子に対応するシンチレーション光と高速シンチレーションに対応するシンチレーション光を識別するためのシンチレーション光の時間特性を検出する前記制御装置とを含む検出装置。
【請求項25】
請求項22において、複数の中性子シンチレータと複数の光ガイドを含み、前記中性子シンチレータの主要面が実質上前記光検出器の光学軸に調整されている検出装置。
【請求項26】
請求項25において、前記光ガイドがポリメチルメタクリラートの平坦なシートである検出装置。
【請求項27】
請求項25において、前記制御装置が、前記光検出器で少なくとも2個の光ガイドの各々からシンチレーション信号を独立に検出し、各々のシンチレーション信号の相対強度と前記検出装置への中性子源の入射方向とを関係付けている検出装置。
【請求項28】
請求項8において、前記光検出器に結合させたガンマ線シンチレータをさらに含む検出装置。
【請求項29】
請求項28において、前記ガンマ線シンチレータが1.4〜2.4の屈折率を有する検出装置。
【請求項30】
請求項28において、前記ガンマ線シンチレータが、300nm〜600nmの光について1メートル当たり少なくとも95%の透過率を有する検出装置。
【請求項31】
請求項28において、前記ガンマ線シンチレータが、NaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO、BaF、LSO、CdWOから選択される材料を含む検出装置。
【請求項32】
請求項28において、前記ガンマ線シンチレータがBaFである検出装置。
【請求項33】
請求項28において、前記光検出器に結合されて中性子とガンマ線を選択的に検出する制御装置をさらに含む検出装置
【請求項34】
請求項33において、前記制御装置が、それらのシンチレーション信号の時間特性によって中性子とガンマ線を選択的に検出する検出装置。
【請求項35】
請求項28において、蛍光X線分析器をさらに含む検出装置。
【請求項36】
請求項35において、前記蛍光X線分析器が、アンビリカルコードまたは無線通信によって独立に操作するようにされた検出装置。
【請求項37】
請求項35において、さらに、
前記光検出器に結合されて中性子とガンマ線を選択的に検出し、前記蛍光X線分析器に結合されて蛍光X線を検出する制御装置を含む検出装置。
【請求項38】
請求項37において、前記制御装置が蛍光X線分析器に結合されて対象物をX線で照射し、対象物からの蛍光X線を選択的に検出する検出装置。
【請求項39】
請求項1において、前記蛍光X線分析器をさらに含む検出装置。
【請求項40】
請求項39において、前記蛍光X線分析器が、アンビリカルコードまたは無線通信によって独立に操作するようにされた検出装置。
【請求項41】
請求項39において、前記光検出器に結合されて中性子を選択的に検出する制御装置をさらに含む検出装置。
【請求項42】
請求項41において、前記制御装置が蛍光X線分析器に結合されて対象物をX線で照射し、対象物からの蛍光X線を選択的に検出する検出装置。
【請求項43】
請求項8において、固体ガンマ線検出器をさらに含む検出装置。
【請求項44】
蛍光X線分析器と、
少なくとも1個の光検出器に結合されたガンマ線シンチレータとを含む、選択的に放射線を検出する検出装置。
【請求項45】
請求項44において、前記蛍光X線分析器が、アンビリカルコードまたは無線通信によって独立に操作するようにされた検出装置。
【請求項46】
請求項44において、前記ガンマ線シンチレータがBaFである検出装置。
【請求項47】
請求項46において、さらに、
前記光検出器に結合されてガンマ線を選択的に検出し、前記蛍光X線分析器に結合されて対象物をX線で照射し、前記対象物からの蛍光X線を選択的に検出する制御装置を含む検出装置。
【請求項48】
請求項46において、前記検出装置が手持ちに適合するようにされた検出装置。
【請求項49】
蛍光X線分析器と、
光検出器に結合された中性子シンチレータとを含む、選択的に放射線を検出する検出装置。
【請求項50】
請求項49において、前記蛍光X線分析器が、アンビリカルコードまたは無線通信によって独立に操作するようにされた検出装置。
【請求項51】
請求項49において、さらに、
前記光検出器に結合されて、シンチレーション光によって高速および熱中性子を時間の関数として選択的に検出し、前記蛍光X線分析器に結合されて、対象物をX線で照射し、前記対象物からの蛍光X線を選択的に検出し、ディスプレイに結合されて放射線検出の結果を表示する制御装置を含む検出装置。
【請求項52】
請求項50において、前記検出装置が手持ちに適合するようにされた検出装置。
【請求項53】
光検出器に結合されたガンマ線検出器と中性子シンチレータを含む、放射線を選択的に検出する検出装置。
【請求項54】
請求項53において、前記ガンマ線検出器が前記光検出器に結合されたガンマシンチレーション検出器である検出装置。
【請求項55】
請求項54において、前記光検出器に結合されて中性子とガンマ線をそれらの時間特性によって選択的に検出する制御装置をさらに含む検出装置。
【請求項56】
請求項54において、前記制御装置が、高速中性子と、熱中性子と、ガンマ線をそれらの時間特性によって検出する検出装置。
【請求項57】
請求項56において、さらに、
前記蛍光X線分析器に結合されて、対象物をX線で照射し、対象物からの蛍光X線を選択的に検出し、ディスプレイに結合されて放射線検出の結果を表示する制御装置を含む検出装置。
【請求項58】
請求項57において、前記検出装置が手持ちに適合するようにされた検出装置。
【請求項59】
請求項1において、さらに、
前記光検出器に結合されたガンマ線シンチレータと、
蛍光X線分析器とを含む検出装置。
【請求項60】
請求項59において、前記光検出器に結合された前記ガンマ線シンチレータおよび中性子シンチレータが、アンビリカルコードまたは無線通信によって蛍光X線分析器から独立に操作するようにされた検出装置。
【請求項61】
請求項59において、さらに、
前記光検出器に結合されて高速中性子、遅い中性子、およびガンマ線をそれらのシンチレーション信号の時間特性によって選択的に検出し、前記蛍光X線分析器に結合されて対象物をX線で照射し、前記対象物からの蛍光X線を選択的に検出し、ディスプレイに結合されて放射線検出の結果を表示する制御装置を含む検出装置。
【請求項62】
請求項61において、前記検出装置が手持ちに適合するようにされた検出装置。
【請求項63】
ガンマ線より少なくとも1,000,000:1の比率で選択的に熱中性子に応答する中性子シンチレータと、
光検出器と、
前記中性子シンチレータを前記光検出器に結合する光ガイドとを含む、放射線を選択的に検出する検出装置。
【請求項64】
ガンマ線より少なくとも1,000,000:1の比率で選択的に熱中性子に応答する中性子シンチレータ材料と、
ガンマ線シンチレータと、
前記中性子シンチレータと前記ガンマ線シンチレータに結合された光検出器と、
前記中性子シンチレータ材料を挟んで中性子シンチレーション光を光検出器に導入する、平坦なシートの形の複数の光ガイドと、
蛍光X線分析器と、
前記光検出器と前記蛍光X線分析器に結合された制御装置とを含む、放射線を選択的に検出する手持ち検出装置。
【請求項65】
中性子シンチレータを中性子放射線源に接触させるステップと、
前記中性子シンチレータからのシンチレーション光を光ガイドを通して光検出器に導くステップと、
ガンマ線に比べて少なくとも10,000:1の比率で中性子を選択的に検出するステップとを含む、放射線を選択的に検出する方法。
【請求項66】
請求項65において、前記中性子が手持ち検出装置によって検出される方法。
【請求項67】
請求項65において、ガンマ線に比べて少なくとも約1,000,000:1の比率で中性子を選択的に検出することをさらに含む方法。
【請求項68】
請求項65において、前記シンチレーション光を複数の光ガイドで前記光検出器へ導くことを含む方法。
【請求項69】
請求項65において、複数の中性子シンチレータを中性子放射線源に接触させることを含む方法。
【請求項70】
請求項65において、高速中性子を検出することをさらに含む方法。
【請求項71】
請求項65において、熱中性子を検出することをさらに含む方法。
【請求項72】
請求項65において、さらに前記光ガイドが、水、有機溶媒、鉱物油、有機ポリマーから選択される少なくとも1種の材料を含み、高速中性子を前記光ガイドで熱化することを含む方法。
【請求項73】
請求項71において、前記光ガイドがポリメチルメタクリラートである方法。
【請求項74】
請求項72において、前記光ガイド中に含まれる水素原子核は水素のH同位元素が豊富である方法。
【請求項75】
請求項65において、前記中性子が前記中性子シンチレータまたは光ガイドに接触する前に高速中性子を熱化することをさらに含む方法。
【請求項76】
請求項65において、Li、10B、113Cd、157Gdから選択される捕獲同位元素で熱中性子を捕獲することをさらに含む方法。
【請求項77】
請求項76において、前記熱中性子と前記捕獲同位元素との反応生成物をZnSと接触させることによってシンチレーションを起させる方法。
【請求項78】
請求項65において、放射線を自動的に選択検出することをさらに含む方法。
【請求項79】
請求項78において、放射線検出結果を自動的に表示することをさらに含む方法。
【請求項80】
請求項78において、さらにシンチレーション光の時間特性を検出することによって、高速中性子に対応するシンチレーション光を熱中性子に対応するシンチレーション光から自動的に識別することを含む方法。
【請求項81】
請求項78において、少なくとも2個の光ガイドから前記光検出器に導かれたシンチレーション光を比較することによって、前記光検出器に関する中性子源の方向を自動的に決定することをさらに含む方法。
【請求項82】
請求項65において、NaI(Tl)、CsI(Tl)、BGO、BaF、LSO、CdWOから選択されたガンマ線シンチレータをガンマ線に接触させ、ガンマ線シンチレーション光を前記光検出器に導いて前記ガンマ線シンチレーション光を検出することをさらに含む方法。
【請求項83】
請求項82において、中性子およびガンマ線シンチレーション光を光検出器で自動的に選択検出することをさらに含む方法。
【請求項84】
請求項83において、ガンマ線および中性子をそれらのシンチレーション信号の時間特性を比較することによって選択的に検出することをさらに含む方法。
【請求項85】
請求項84において、対象物をX線で自動的に照射し、大きい原子量の元素を含む放射能遮蔽材料の証拠となる前記対象物からの蛍光X線を選択的に検出することをさらに含む方法。
【請求項86】
請求項85において、前記蛍光X線分析がアンビリカルコードまたは無線通信によって独立に行われることをさらに含む方法。
【請求項87】
対象物からの蛍光X線を分析することと、
ガンマ線シンチレータをガンマ線と接触させ、シンチレーション光を検出することによってガンマ線を検出することとを含む、放射線を選択的に検出する方法。
【請求項88】
請求項87において、対象物をX線で自動的に照射して前記対象物からの蛍光X線を選択的に検出することをさらに含む方法
【請求項89】
請求項87において、放射線検出結果を自動的に表示することをさらに含む方法。
【請求項90】
請求項87において、前記蛍光X線分析がアンビリカルコードまたは無線通信によって独立に行われることをさらに含む方法。
【請求項91】
対象物からの蛍光X線を分析することと、
中性子シンチレータを中性子と接触させシンチレーション光を検出することによって中性子を検出することとを含む、放射線を選択的に検出する方法。
【請求項92】
請求項91において、対象物をX線で自動的に照射して前記対象物からの蛍光X線を選択的に検出することをさらに含む方法。
【請求項93】
請求項91において、放射線検出結果を自動的に表示することをさらに含む方法。
【請求項94】
請求項91において、さらに前記中性子シンチレータ中の中性子からのシンチレーション光を自動的に検出し、中性子が、ガンマ線に比べて少なくとも1,000,000:1の比率で中性子シンチレータ中で選択的に検出されることを含む方法。
【請求項95】
請求項91において、前記中性子検出がアンビリカルコードまたは無線通信によって前記制御装置と通信する分離したモジュール中で行われる方法。
【請求項96】
中性子シンチレータを中性子に接触させることと、
ガンマ線シンチレータをガンマ線に接触させることと、
前記中性子およびガンマ線からのシンチレーション光を選択的に検出することとを含む、放射線を選択的に検出する方法。
【請求項97】
請求項96において、中性子とガンマ線をそれらのシンチレーション光の時間特性を比較することによって自動的に選択検出することをさらに含む方法。
【請求項98】
請求項96において、高速中性子と、熱中性子と、ガンマ線をそれらのシンチレーション光の時間特性を比較することによって自動的に選択検出することをさらに含む方法。
【請求項99】
請求項96において、前記中性子シンチレータ中の中性子からのシンチレーション光を自動的に検出し、前記中性子が、ガンマ線に比べて少なくとも1,000,000:1の比率で前記中性子シンチレータ中で選択的に検出されることをさらに含む方法。
【請求項100】
中性子シンチレータを疑わしい中性子源に接触させ、中性子からの前記中性子シンチレータ中のシンチレーション光を解析し、中性子が、ガンマ線に比べて少なくとも1,000,000:1の比率で前記中性子シンチレータ中で選択的に検出されることと、
ガンマ線シンチレータを疑わしいガンマ線源に接触させ、前記ガンマ線シンチレータ中のガンマ線からのシンチレーション光を解析することと、
対象物をX線で照射して前記対象物からの蛍光X線を選択的に分析して大きい原子量の遮蔽材料の存在を実証することとを含む、大量破壊の放射線武器またはその遮蔽材を選択的に検出する方法。
【請求項101】
中性子シンチレータを中性子放射線源に接触させる手段と、
前記中性子シンチレータからのシンチレーション光を光検出器へ導く手段と、
中性子をガンマ線に比べて少なくとも1,000,000:1の比率で選択的に検出する手段とを含む、放射線の選択検出手段。
【請求項102】
対象物からの蛍光X線を分析する手段と、
ガンマ線を検出する手段とを含む、放射線の選択検出手段。
【請求項103】
対象物からの蛍光X線を分析する手段と、
中性子を検出する手段とを含む、放射線の選択検出手段。
【請求項104】
中性子を検出する手段と、
ガンマ線を検出する手段とを含む、放射線の選択検出手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−526791(P2006−526791A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515261(P2006−515261)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/018030
【国際公開番号】WO2004/109331
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505296429)サーモ・ニトン・アナライザーズ・エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】