説明

乗り換え案内システム

【課題】運行遅延をリアルタイムに把握し、より正確な到着時刻にアラームを発生する乗り換え案内システムを提供することである。
【解決手段】乗り換え案内サイトから送信される電車運行タイムテーブル情報を使って、電車の到着時刻になったらアラームを発生させるサービスを提供する乗り換え案内システムにおいて、乗車するユーザーが持つGPS付携帯電話より一定周期で現在位置の測位を行い、得られた現在位置の位置情報と乗り換え案内サイトが提供する当該路線上の各駅の位置情報付きタイムテーブル情報とを比較することにより、電車に遅延が発生した場合でも、その遅延時間をリアルタイムに把握し、到着時刻の補正を行うことにより、より正確な到着時刻にアラームを発生させることができることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗り換え案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
都心で混雑した電車で通勤する場合など、騒音や人影で現在の位置を把握するのが困難な状況がある。
【0003】
また、座席で仮眠をとる場合に、目的地に到着したことを知らせるアラーム機能が有効である。
【0004】
一方、都心の電車運行はトラブルが多く、予定されていた運行時刻から遅延するケースが良くある。よって、運行遅延をリアルタイムに把握し、より正確な到着時刻にアラームを発生するサービスが望ましい。
【0005】
従来、乗り換え案内サイトからのタイムテーブル情報を使って、到着時刻になったら音や振動などによりアラームを発生し、乗り過ごしを防止するサービスは存在したが、固定の時刻情報で到着時刻を判定するため、電車運行に遅延が発生した場合でも、決まった時刻にしかアラームを発生させることができず、実際の到着時刻とずれてしまうという課題があった。
【0006】
特許文献1には、GPSを利用してバスの現在位置をバス停留所に表示するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−62763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の発明では、GPSを利用してバスの現在位置を取得することができるが、その現在位置情報の利用については何ら考慮されていないものであった。
【0009】
本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、運行遅延をリアルタイムに把握し、より正確な到着時刻にアラームを発生する乗り換え案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するにあたり、本発明は、乗り換え案内サイトから送信される電車運行タイムテーブル情報を使って、電車の到着時刻になったらアラームを発生させるサービスを提供する乗り換え案内システムにおいて、乗車するユーザーが持つGPS付携帯電話より一定周期で現在位置の測位を行い、得られた現在位置の位置情報と乗り換え案内サイトが提供する当該路線上の各駅の位置情報付きタイムテーブル情報とを比較することにより、電車に遅延が発生した場合でも、その遅延時間をリアルタイムに把握し、到着時刻の補正を行うことにより、より正確な到着時刻にアラームを発生させることができることを特徴とする。
【0011】
本発明は、電車の運行時刻のタイムテーブル情報に基づき、乗り換え案内サービスを提供するシステムであって、前記タイムテーブルに、乗り換え経路上の各駅のGPS位置情報を付けて位置情報付きタイムテーブルとして情報提供することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、情報提供された前記位置情報付きタイムテーブルに基づき、乗車中の電車の目的駅への到着時刻を予測することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記予測した乗車中の電車の目的駅への到着時刻になったときにアラームを発生することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、情報提供された前記位置情報付きタイムテーブルに基づき、乗車中の電車の目的駅の1つ手前の駅に到着した際にアラームを発生することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記位置情報付きタイムテーブルの情報提供を受け、前記アラームを出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下のような効果を奏する。
【0017】
すなわち本発明によれば、GPS機能にて定期的に現在位置の位置情報を測位し、タイムテーブルから想定される予定通過時刻と比較することによりその時点での電車の遅延時間をリアルタイムに求めることができ、これを使って到着時刻を補正することにより、従来に比べてより正確な到着時刻にアラームを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による乗り換え案内システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態で行う遅延時間の計算方法についての説明図であり、(a)は位置情報付きタイムテーブルを示す図であり、(b)は各駅の位置関係を示す図である。
【図4】アラーム設定時刻の別の例を説明する図であり、(a)は位置情報付きタイムテーブルを示す図であり、(b)は各駅の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明による乗り換え案内システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1において、GPS付携帯電話1は、ユーザーの指示、または、アプリケーションソフトの指示により、GPS機能を使って自身の現在位置の測位を行う機能を有する。
【0022】
乗り換え案内サイト2は、各駅毎の電車運行時刻のタイムテーブル、および各駅のGPS位置情報をデータベースとして有し、ユーザーからリクエストを受けた乗り換え経路上に存在する各駅の位置情報付きタイムテーブル3を送信する機能を有する。なお、本発明は電車に限らず、バスや船そのほかすべての公共交通機関に適用可能である。従って、以下において「電車」といえばすべての公共交通機関を指すものとする。
【0023】
また、GPS付携帯電話1は、GPS測位した結果と、位置情報付きタイムテーブル3とを比較し、現在位置の予定通過時刻と、実際の現在時刻とを比較し、電車の遅延時間を求める機能を有する。
【0024】
次に、図1に示した実施形態の動作について説明する。
【0025】
図2は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0026】
ユーザーは、乗り換え案内サイト2にアクセスし、目的の乗り換え経路、出発・到着日時などの情報をGPS付携帯電話1よりリクエストする(ステップ01)。
【0027】
リスエストを受けた乗り換え案内サイト2は、データベースの情報から目的の経路上に存在する各駅の位置情報付きタイムテーブル3を作成し、GPS付携帯電話1に送信する。
【0028】
これを受信(ステップ02)したGPS付携帯電話1は、ユーザーからのアラーム機能起動操作により、アラーム機能を有効にし(ステップ03)、GPS機能を使って現在位置の測位を行う(ステップ04)。
【0029】
GPS付携帯電話1は、ステップ04の測位で得られた現在位置の位置情報と、位置情報付きタイムテーブル3の情報を比較し、現在位置の予定通過時刻と、実際の現在時刻との差分、すなわち遅延時間を求める(ステップ05)。
【0030】
GPS付携帯電話1は、ステップ05で求めた遅延時間分だけ到着時刻を補正する(ステップ06)。
【0031】
GPS付携帯電話1は、ステップ06で補正した到着時刻に達するまで、一定時間間隔でこの動作を継続する(ステップ07、ステップ08)。
【0032】
その後、GPS付携帯電話1は、補正した到着時刻に到達した時点で音や振動によるアラームを発生させる(ステップ09)。本動作により、ユーザーは補正された正確な到着時刻をアラームにより認識することができ、乗り過ごしなどを防止することができる。
【0033】
すなわち本発明は、図1において、乗り換え案内サイト2は、GPS付携帯電話1よりリクエストを受けると、要求があった乗り換え案内経路上の各駅の位置情報付きタイムテーブル3を送信する機能を有す。また図2において、GPS付携帯電話1は、GPS機能により現在位置の測位を一定周期で行い(ステップ04)、位置情報付きタイムテーブル3と比較して現在位置を通過すべき予定時刻と現在時刻を比較し、遅延時間を求める(ステップ05)。その遅延時間分だけ到着時刻を補正することにより(ステップ06)、正確な到着時刻にアラームを発生させることができる。
【0034】
図3は、本実施形態で行う遅延時間の計算方法についての説明図であり、(a)は位置情報付きタイムテーブルを示す図であり、(b)は各駅の位置関係を示す図である。
【0035】
GPSでの現在位置の測位結果が、図3のようにC駅とD駅の中間であった場合、まず位置情報付タイムテーブル3からC駅、D駅の位置情報であるc地点、d地点を引用する。
【0036】
GPS付携帯電話1は、引用データを用いて現在位置とC駅、D駅との距離をそれぞれ計算で求める。この計算結果より、タイムテーブル3に基づいて予定通り運行された場合の現在位置を通過する予定時刻を以下の計算式で求める。
【0037】
タイムテーブルから算出した現在時刻
=C駅からの発車時刻+
(C駅からD駅までの時間)×距離c/(距離c+距離d)
この結果を用いて、電車の運行予定時間からの遅延時間が、以下の計算で求められる。
【0038】
遅延時間
=実際の時刻−タイムテーブルから算出した現在時刻
以上である。
【0039】
以上、説明したとおり、本発明によれば、GPS機能にて定期的に現在位置の位置情報を測位し、タイムテーブルから想定される予定通過時刻と比較することによりその時点での電車の遅延時間をリアルタイムに求めることができ、これを使って到着時刻を補正することにより、従来に比べてより正確な到着時刻にアラームを発生させることができる。
【0040】
なお、アラーム発生時刻は、目的の駅に到着する時刻に設定することもできるが、ほかの時刻に設定することもできる。図4は、このアラーム設定時刻の別の例を説明する図であり、(a)は位置情報付きタイムテーブルを示す図であり、(b)は各駅の位置関係を示す図である。
【0041】
図3に示した例では、現在地の位置情報と、位置情報付きタイムテーブルとから遅延時間を計算で算出し、アラーム発生時間を補正していたが、この図4に示す例では、現在の位置情報から、目的駅(D駅)の一つ手前の駅(C駅)を通過したことが確認できた時点で、遅延時間を計算することなく直ちにアラームを発生する機能を有する。
【0042】
この図4のアラームによれば、図3のアラームよりは、正確な到着時刻は把握できないが、電車運行の遅延を把握しつつ、かつ目的駅の1つ手前の駅で到着を認識できるため、実用上は図3の例とほぼ同等の効果が得られると考えられる。また、図3の例と図4の例とを兼ね備えたシステムであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、乗り換え案内システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 GPS付携帯電話
2 乗換案内サイト
3 位置情報付きタイムテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車の運行時刻のタイムテーブル情報に基づき、乗り換え案内サービスを提供するシステムであって、前記タイムテーブルに、乗り換え経路上の各駅のGPS位置情報を付けて位置情報付きタイムテーブルとして情報提供することを特徴とする乗換え案内システム。
【請求項2】
情報提供された前記位置情報付きタイムテーブルに基づき、乗車中の電車の目的駅への到着時刻を予測することを特徴とする請求項1に記載の乗換え案内システム。
【請求項3】
前記予測した乗車中の電車の目的駅への到着時刻になったときにアラームを発生することを特徴とする請求項2に記載の乗換え案内システム。
【請求項4】
情報提供された前記位置情報付きタイムテーブルに基づき、乗車中の電車の目的駅の1つ手前の駅に到着した際にアラームを発生することを特徴とする請求項2または4に記載の乗換え案内システム。
【請求項5】
前記位置情報付きタイムテーブルの情報提供を受け、前記アラームを出力することを特徴とする請求項3に記載の乗換え案内システムの携帯電話。
【請求項6】
前記位置情報付きタイムテーブルの情報提供を受け、前記アラームを出力することを特徴とする請求項4に記載の乗換え案内システムの携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−231303(P2010−231303A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75610(P2009−75610)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】