説明

乾式塩分回収方法及びプラント

【課題】塩ビ系廃棄物の燃焼温度を現在実用化温度での燃焼炉温度として塩分回収可能かつ使用する水はクローズ的に循環使用可能な乾式塩分回収方法及びプラントの提供。
【解決手段】塩ビ系廃棄物投入機構1を直結し、内部に一次燃焼室2d、二次燃焼室2eを設けた燃焼炉2と、二次燃焼室2eからの燃焼ガスを定温冷却する温水ボイラ3と、温水ボイラ3を通した燃焼ガス中に、別置した苛性ソーダ溶液供給装置4からの苛性ソーダ溶液混入循環水を噴射する噴霧ノズル4bを内設した高温排気ダクト4aと、高温排気ダクト4aからの燃焼ガス中の塩素ガスの一部を残して殆んどと苛性ソーダとを化学反応してパウダー化塩を回収するサイクロン装置4とを順次ライン連結した特徴的構成の採用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩ビ系廃棄物を燃焼して発生する塩素ガスからパウダー状の塩を回収するための乾式塩分回収方法及びプラントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩ビ系廃棄物を燃焼して塩分を回収するには、学術的には塩ビ系廃棄物を2,000℃で燃焼して熱分解を計り、この熱分解ガスを苛性ソーダと反応させてフレーク状の塩分を回収出来ることは既に公表されている。
【0003】
他方、現在の塩ビ系燃焼ガスの排ガス処理は、湿式スクラバー(湿式集塵装置)により、循環水の塩分濃度が濃くなった時点で燃焼釜に移して水分の蒸発を行い、乾燥状態まで加熱して保管処理を行っていたので塵芥や塩素を含んだフロックしか得られずそのまま廃棄したならば公害を惹起しかねない。
【0004】
又バグフィルター装置(乾式集塵装置)により、バグに石灰をコーティングして有害物質を吸着させて振るい落とすことを繰り返し行い、石灰に塩素等を吸着中和させ、塩化カルシウムを生成し、これを特別管理で保管処理するか廃棄物埋立て処理を行う。又石灰のみでの処理が不可能なときには活性炭粉を同時にコーティングして特別管理の保管処理を行う。
その為、長期的保管処理をするには広大な場所の確保が必要であり、廃棄物埋立てでは塩化カルシウム等が解け出して土壌を変質悪化させてしまい、地下水や川に流れ込む公害問題を惹き起す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記学術的公表された技術では、最高燃焼温度を誇る耐熱レンガ炉でも2000℃には耐えられず短期にレンガ壁はボロボロとなり現実には実現不可能な理論的技術でしかなかった。
又、現在実施している前記湿式、乾式排ガス処理方式だと種々の問題点を孕んでいる。
【0006】
ここにおいて本発明が解決しようとする目的は次の通りである。
即ち、本発明の第1の目的は、塩ビ系廃棄物を現在実用化している燃焼炉温度でも最終的に塩分を回収出来る乾式塩分回収方法及びプラントを提供せんとするものである。
【0007】
本発明の第2の目的は、使用する水はクローズ的に循環使用するので使用水量が少なくて済み排水公害も起生しない乾式塩分回収方法及びプラントを提供せんとするものである。
【0008】
本発明の第3の目的は、排ガスを気体・液体・固体に効率的に三体分離を計って分離した塩水化液体を循環水として再処理利用する乾式塩分回収方法及びプラントを提供せんとするものである。
【0009】
本発明の他の目的は、明細書の詳細な説明及び図面、特に特許請求に範囲の記載から自づと明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の方法は、塩ビ系廃棄物を従来温度で一次、二次燃焼して発生した塩素ガスを一旦定温冷却した上で、苛性ソーダ溶液を噴霧して化学反応させ塩パウダー化を計りサイクロン方式で塩パウダーを回収する特徴的手法を講じる。
【0011】
本発明のプラントは、塩ビ系廃棄物投入機構を直結し、内部に一次燃焼室、二次燃焼室を設けた燃焼炉と、当該二次燃焼室からの燃焼ガスを定温冷却する温水ボイラと、当該温水ボイラを通した燃焼ガス中に、別置した苛性ソーダ溶液供給装置からの苛性ソーダ溶液混入循環水を噴射する噴霧ノズルを内設した高温排気ダクトと、当該高温排気ダクトから送られて来た燃焼ガス中の塩素ガスの一部と当該苛性ソーダとを化学反応して一部パウダー化塩を回収するサイクロン装置とを、順次ライン連結した特徴的手段を講じる。
【0012】
さらに、具体的詳細に述べれば、本発明の課題解決に当り、以下に開示する本発明の手法又は手段を採用することにより前記目的を達成するように為される。
【0013】
即ち、本発明方法の第一の特徴は、塩ビ系廃棄物を定量投入する投入工程と、投入された当該塩ビ系廃棄物を一次燃焼する一次燃焼工程と、当該一次燃焼ガスを850℃近辺2秒間二次燃焼して塩素化合物と未燃物を分解する二次燃焼工程と、当該二次燃焼ガスを定温冷却する定温冷却工程と、当該二次燃焼ガス中に苛性ソーダ水溶液を噴霧する苛性ソーダ溶液噴霧工程と、塩素ガスのほとんどと苛性ソーダとを化学反応させて塩のパウダーを生成させる塩パウダー生成工程と、当該塩パウダーをサイクロン方式で回収する工程とを、順次踏んで塩のパウダーを得てなる、塩分回収方法の構成採用にある。
【0014】
本発明方法の第2の特徴は、上記本発明方法の第1の特徴における前記塩パウダー生成工程と分岐して以降同時並行して、燃焼ガス中の前記塩素ガスのほとんどをパウダー化除去した排ガス中の残留分を捕縛する工程と、当該捕縛した塩素含排ガスを定温に冷却する排ガス冷却工程と、当該塩素含排ガスを苛性ソーダを含む循環水霧滴と混濁させる工程と、塩素ガスの捕縛混濁水を塩水に生成する塩水化工程と、当該塩水化循環水中に苛性ソーダ溶液を混入する苛性ソーダ溶液混入工程と、苛性ソーダ溶液混入循環水を前記二次燃焼ガス中にフィードバック噴霧する前記苛性ソーダ溶液の噴霧工程とを、順次踏んで塩のパウダーを得てなる、乾式塩分回収方法の構成採用にある。
【0015】
本発明方法の第3の特徴は、上記本発明方法の第1の特徴における前記一次燃焼は、700℃〜800℃近辺、前記苛性ソーダ溶液噴霧は、500℃近辺、
のそれぞれの燃焼ガス雰囲気中で実施してなる、塩分回収方法の構成採用にある。
【0016】
本発明プラントの第1の特徴は、塩ビ系廃棄物投入燃焼ゾーンと熱回収ゾーンと塩パウダー化回収ゾーンを直列配置し、前記塩ビ系廃棄物投入燃焼ゾーンに、廃棄物定量投入機構に投入口で直結し、かつ内設した一次燃焼室の排気口側に二次燃焼室を設けた燃焼炉を設置し、前記熱回収ゾーンに、前記排気口と二次燃焼ダクトを介して導入口で連通した温水ボイラを設置し、前記塩パウダー化回収ゾーンに設置したサイクロン装置の受入口と前記温水ボイラの導出口を、途中苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズルを内設した高温排気ダクトを介して連通直結してなる、乾式塩分回収プラントの構成採用にある。
【0017】
本発明プラントの第2の特徴は、上記本発明プラントの第1の特徴における前記塩パウダー化回収ゾーン以降に引続き、排ガス捕縛洗浄ゾーンと苛性ソーダ溶液循環水混入ゾーンと排ガスの循環水霧滴との混濁分離ゾーンと大気放出ゾーンを直列配置し、前記排ガス捕縛洗浄ゾーンには、前記サイクロン内中央に吸引口を臨ませ立ち上げて続く折曲水平管内にガス冷却装置を内設した吸引冷却ダクトを架設する一方、前記苛性ソーダ溶液循環水混入ゾーンに設置した苛性ソーダ溶液供給装置を前記高温排気ダクト内の苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズルに終結する循環管にも調整弁を介して苛性ソーダ溶液供給管を連結し、他方、前記排ガスの循環水霧滴との混濁分離ゾーンには、前記循環管の循環ポンプを介接した始端と連結しかつ複数の旋回分離器を下側に垂設した分離中床により、上部に前記吸引冷却ダクトの排ガス吸込口と連通し前記循環管から連がる拡散噴霧スプレーを複数吊設したスプレー室を、下部に分離室をそれぞれ仕切った湿式集塵装置を設置し、更に、当該湿式集塵装置の前記分離室と吸引ダクトを介し吐出口にサイレンサーを取付けた排気ファンを付設してなる、乾式塩分回収プラントの構成採用にある。
【0018】
本発明プラントの第3の特徴は、上記本発明プラント第1の特徴又は第2の特徴における前記サイクロンは、複数基設けてなる、乾式塩分回収プラントの構成採用にある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の仕様は、以上のような具体的解決構成を採用するので、従来実現不可能であった塩ビ系廃棄物の1000℃以下の燃焼ガス中から塩分を回収することを可能とした。
しかも現在使用可能な素材を用いた燃焼炉で実現し得る。
【0020】
又湿式集塵装置に一時溜置された循環水は補給水のみで廃液処理の必要なく永久使用される。
さらに、循環水霧滴に排ガス中のダストを捕縛し汚濁するので、循環水の一部を湿式集塵装置で清水にして循環水に戻すことが出来る。
その上、大気放出時の排ガス中は、ほぼ100%の含水率の為に、大気放出ガス中の水分が同様水蒸気となるが、この水蒸気を回収して、循環水に使用することで補給水の負荷も軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施最良形態を方法例及びプラント例について図面を参照して説明する。
(プラント例)
本発明の実施最良形態を示すプラント例を図1について説明する。
本プラント例は、塩ビ系廃棄物投入燃焼ゾーンZ1と熱回収ゾーンZ2と塩パウダー化回収ゾーンZ3と排ガス捕縛洗浄ゾーンZ4と苛性ソーダ溶液循環水混入ゾーンZ5と排ガスの循環水霧滴との混濁分離ゾーンZ6と大気放出ゾーンZ7とフロック凝集ゾーンZ8とフロック回収ゾーンZ9とを直列配置する。
【0022】
前記塩ビ系廃棄物投入燃焼ゾーンZ1には、塩ビ系廃棄物投入機構1を付設した焼却炉2を設置する。
図中1aは塩ビ系廃棄物投入ホッパー、1bはストッパシリンダ、1cはプッシュシリンダ、2aは投入口、2bは燃焼バーナ、2cは燃焼エアー供給ブロアー、2dは一次燃焼室、2eは二次燃焼室、2fは二次燃焼バーナ、2gは排出口、2hは二次燃焼ダクトである。
【0023】
前記熱回収ゾーンZ2には、温水ボイラ3を設置する。
図中3aは導入口、3bは導出口、3cは熱交換器である。
前記塩パウダー化回収ゾーンZ3には、サイクロン装置4を設置する。
図中4aは高温排気ダクト、4bは複数の苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズル、4cは回収器、4dは連続塩素濃度測定装置である。
【0024】
前記排ガス捕縛洗浄ゾーンZ4には、吸引冷却ダクト5を設置する。
図中5aは吸引口、5bはガス冷却噴霧ノズル、5cは温度センサである。
前記苛性ソーダ溶液循環水混入ゾーンZ5には、苛性ソーダ溶液供給装置6を設置する。
図中6aは苛性ソーダ溶液供給管、6bは供給ポンプ、6cは開閉弁、6dは複数の自動調整弁である。
【0025】
前記排ガス循環水霧滴混濁分離ゾーンZ6には、湿式集塵装置7を設置する。
図中7aは排気ガス送入口、7bはし型煤塵補集室、7cはスプレー室、7dは複数の拡散噴霧スプレー、7eは分離中床、7fは密閉分離室、7gは気体・液体・固体三体分離の複数旋回分離器、7hは垂壁、7iはドレイン管、7jは吸込ダクト、7kは循環水溜槽である。
前記大気放出ゾーンZ7には、吸込ダクト7jと直結する排気ファン8を設置する。
図中8aはサイレンサーである。
【0026】
前記排ガス循環水霧滴混濁ゾーンZ6から苛性ソーダ溶液循環水混入ゾーンZ5、排ガス捕縛洗浄ゾーンZ4、塩パウダー化回収ゾーンZ3に亙って配管され循環水を循環する循環管9は、始端を循環ポンプ9aを介し湿式集塵装置7の循環水溜槽7kに、終端を苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズル4bにそれぞれ連結される。
図中9bは、複数の苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズル4bに接続する為循環管9の分岐最終端に介接した複数の調節弁、9cはガス冷却噴霧ノズル5b、複数の拡散噴霧スプレー7dと循環管9とをそれぞれ結ぶために介接した複数の開閉弁である。
【0027】
前記フロック凝集ゾーンZ8には、凝集攪拌装置10とその上方にパウダー自動定量供給装置11とを設置する。
図中10aは攪拌モータ、10bは複数の攪拌羽根、11aは瞬間凝縮剤収容ホッパーである。
前記フロック回収ゾーンZ9には、凝集フロック分離回収装置12を設置する。
図中12aはエンドレスフィルタ、12bは複数の凝集フロック剥離用高圧エアーノズル、12cは回収シュータである。
なお、本実施最良形態例では中和剤として苛性ソーダ溶液を使用するがこれに限定されない。
【0028】
(方法例)
前記プラント例に適用する本実施最良形態の方法例を図2を参照して説明する。
まず、所要大きさに破砕した塩ビ系廃棄物を収容した塩ビ系廃棄物投入ホッパー1aのストッパーシリンダ1bの間歇開閉により定量がプッシュシリンダ1cに供給され、次いでプッシュシリンダ1cの押し込みで投入口2aから一次燃焼室2dに投入される(塩ビ系廃棄物の定量投入工程ST1)と一次燃焼バーナ2bにより例えば700℃〜800℃近辺で加熱燃焼し(一次燃焼工程ST2)、その間燃焼エアー供給ブロアー2cでエアーが吹き込まれ、加熱燃焼した上昇燃焼ガスは二次燃焼室2eに入り二次燃焼バーナー2fでさらに例えば850℃近辺2秒間程度加熱燃焼される(二次燃焼工程ST3)。
【0029】
二次燃焼ガスは二次燃焼ダクト2hを通り温水ボイラ3に送り込まれ、内蔵する熱交換器3cにより内水に熱エネルギー交換して例えば850℃近辺の定温に燃焼ガスは例えば500℃近辺に冷却される(燃焼ガスの定温冷却工程ST4)。
さらに、この定温冷却された燃焼ガスは高温排気ダクト4aを通る際、例えば500℃近辺の燃焼ガス雰囲気中に複数の苛性ソーダ溶解循環水の噴霧ノズル4bから循環水が噴霧され(苛性ソーダ水溶液の噴霧工程ST5)、結果350℃近辺迄下がった燃焼ガス中の硫黄酸化物、ダイオキシン類を中和処理し、塩化水素化合物の塩素ガスのほとんどと化学反応を喚起して塩パウダー化されつつ(塩パウダー生成工程ST6)サイクロン装置4に送られ、サイクロン装置4の回転遠心力により比重差で塩パウダーをサイクロン内壁面に添って降下し二段式排出弁(図示せず)で連続的に回収器4cで回収される(サイクロン回収工程ST7)。
【0030】
なお、苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズル4bへの循環水への苛性ソーダ溶解濃度調節は、苛性ソーダ溶液供給装置6からの供給ポンプ6bにより苛性ソーダ溶液供給管6aを経て、連続塩素濃度測定装置4dの測定値により複数の自動調整弁6dの開閉又は開度を自動調節して循環水へ流れる循環管9への注入量によるか、循環水噴霧ノズル4bにそれぞれ連通する循環管9の分岐最終端に介接した調整弁9bの開閉による(苛性ソーダ溶液混入工程ST8)。
【0031】
塩パウダー化されて回収されなかった残りの塩化水素化合物、煤塵、等含有排ガスは吸引冷却ダクト5の吸引口5aから吸い込まれ(排ガス捕縛工程ST9)、ガス冷却噴霧ノズル5bから温度センサ5cにより温度監視を受けながら循環水を噴射して冷却化が計られる(排ガス冷却工程ST10)。
引続き、冷却された排ガスは湿式集塵装置7の煤塵補集室7bに入り拡散噴霧スプレー7dが噴射され、排ガス中に含まれる比重の高い煤塵等夾雑物やフロックを降下しドレイン管7iで補集する。
【0032】
その上で、スプレー室7cに進行した排ガスは拡散噴霧スプレー7dにより循環管9からの循環水を噴霧して排ガス中に浮遊する粒子との接触を計るため超高温サウナ状態として分離中床7eの旋回分離器7g群に吸込み、内部に形成した渦巻発生路室(図示せず)を強制通過させ、比重の高い夾雑物やフロック等を内壁面に衝突垂降して一箇所に集めドレイン管7iで補集する。
【0033】
即ち、排ガスの微粒子はスプレー7dの霧滴により増湿、凝集、凝縮、拡散、溶解、断突などの作用を促進される。スプレー室7cの底部の分離中床7e下側に多数配列された旋回分離器7g内において排気ガス粒子とスプレー霧滴との接触を完全にする。
換言すれば、排気ガス中粒子をスプレー霧滴とを混合して分離中床7eを通り旋回分離器7eに流入し、その際排ガス粒子はスプレー水滴に付着溶解し、比重の高い夾雑物やフロックを一箇所に集めドレイン管7iに捕集する一方、液化水滴を循環水溜槽7kに落滴させるとともに水滴化されなかった蒸気を吸込ダクト7jへ吸込む(排ガスの循環水霧滴との混濁分離工程ST11)。
【0034】
湿式集塵装置7の若干の苛性ソーダ(中和剤)を混入した循環水溜槽7kに受入れた水滴は、図示しないストレーナ等で水滴液中の塵埃を完全に除去し若干の苛性ソーダ(中和剤)を混入し塩水化とともに補給水を補水して塩水濃度を高くならないようにしてある(塩水化工程ST12)。
塩水化工程ST12後の循環水は前記苛性ソーダ溶液混入工程ST8と前記苛性ソーダ水溶液の噴霧工程ST5へとフィードバックする。
【0035】
一方、ドレイン管7iで捕集されたフロッグは、凝集攪拌装置10に入り、そこで瞬間凝縮剤収容ホッパー11a内の瞬間凝縮パウダーをパウダー自動定量供給装置12で注入され、攪拌モータ10aの攪拌羽根10bを旋回させてフロッグの凝集を促進する(図示しないフロック凝集工程)。
その後、凝集フロックを凝集フロック分離回収装置12のエンドレスフィルター12aに送られて凝集フロック剥離用高圧ノズル12b群からエアーブローが吹付けられ剥離されて回収シュータ12c上に落下回収される(図示しない凝集フロック分離回収工程)。
【0036】
他方、吸込ダクト7jに吸込まれた蒸気は、排気ファン8を通してサイレンサー8aを抜け大気中に放出される。
なお、循環水は排ガス中に蒸発含有して大気中に放出するので補給水が必要である。大気放出時の排ガス中は、ほぼ100%の含水率の為に大気放出ガス中の水分が同様水蒸気となる。この水蒸気を回収して循環水に使用することで、補給水の負荷が軽減出来る。
なお、サイクロン装置4で回収した塩パウダーは凍結防止剤として道路に散布することが可能である。
【実施例】
【0037】
本実施最良形態例のプラントラインを形成する各装置における温度、集塵濃度、硫黄酸化物、塩化水素化合物、ダイオキシン類のそれぞれの値を表記する。
【0038】
【表1】

以上から燃焼炉2は従来同様の燃焼温度850℃で良く、燃焼ガス中の塩化水素化合物、硫黄酸化物、ダイオキシン類の有毒ガスは苛性ソーダ水噴霧後は極端に減少し、煤塵濃度も湿式集塵装置7後はこれ又激減し、大気放出時には無公害化されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施最良形態のプラント例を示すモデル図である。
【図2】同上の方法例を示す工程フローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
Z1…塩ビ系廃棄物投入燃焼ゾーン
Z2…熱回収ゾーン
Z3…塩パウダー化回収ゾーン
Z4…排ガス捕縛洗浄ゾーン
Z5…苛性ソーダ溶液循環水混入ゾーン
Z6…排ガスの循環水霧滴との混濁分離ゾーン
Z7…大気放出ゾーン
Z8…フロック凝集ゾーン
Z9…フロック回収ゾーン
1…塩ビ系廃棄物投入機構
1a…塩ビ系廃棄物投入ホッパー
1b…ストッパシリンダ
1c…プッシュシリンダ
2…焼却炉
2a…投入口
2b…燃焼バーナ
2c…燃焼エアー供給ブロアー
2d…一次燃焼室
2e…二次燃焼室
2f…二次燃焼バーナ
2g…排出口
2h…二次燃焼ダクト
3…温水ボイラ
3a…導入口
3b…導出口
3c…熱交換器
4…サイクロン装置
4a…高温排気ダクト
4b…苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズル
4c…回収器
4d…連続塩素濃度測定装置
5…吸引冷却ダクト
5a…吸引口
5b…ガス冷却噴霧ノズル
5c…温度センサ
6…苛性ソーダ溶液供給装置
6a…苛性ソーダ溶液供給管
6b…供給ポンプ
6c…開閉弁
6d…自動調整弁
7…湿式集塵装置
7a…排気ガス送入口
7b…し形煤塵補集室
7c…スプレー室
7d…拡散噴霧スプレー
7e…分離中床
7f…密閉分離室
7g…旋回分離器
7h…垂壁
7i…ドレイン管
7j…吸込ダクト
7k…循環水溜槽
8…排気ファン
8a…サイレンサー
9…循環管
9a…循環ポンプ
9b…調整弁
9c…開閉弁
10…凝集攪拌装置
10a…攪拌モータ
10b…攪拌羽根
11…パウダー自動定量供給装置
11a…瞬間凝縮剤収容ホッパー
12…凝集フロック分離回収装置
12a…エンドレスフィルター
12b…凝集フロック剥離用エアーノズル
12c…回収シュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩ビ系廃棄物を定量投入する投入工程と、
投入された当該塩ビ系廃棄物を一次燃焼する一次燃焼工程と、
当該一次燃焼ガスを850℃近辺2秒間二次燃焼して塩素化合物と未燃物を分解する二次燃焼工程と、
当該二次燃焼ガスを定温冷却する定温冷却工程と、
当該二次燃焼ガス中に苛性ソーダ水溶液を噴霧する苛性ソーダ溶液噴霧工程と、
塩素ガスのほとんどと苛性ソーダとを化学反応させて塩のパウダーを生成させる塩パウダー生成工程と、
当該塩パウダーをサイクロン方式で回収する工程とを、
順次踏んで塩のパウダーを得る、
ことを特徴とする乾式塩分回収方法。
【請求項2】
前記塩パウダー生成工程と分岐して以降同時並行して、
燃焼ガス中の前記塩素ガスのほとんどをパウダー化除去した排ガス中の残留分を捕縛する工程と、
当該捕縛した塩素含排ガスを定温に冷却する排ガス冷却工程と、
当該塩素含排ガスを苛性ソーダを含む循環水霧滴と混濁させる工程と、
塩素ガスの捕縛混濁水を塩水に生成する塩水化工程と、
当該塩水化循環水中に苛性ソーダ溶液を混入する苛性ソーダ溶液混入工程と、
苛性ソーダ溶液混入循環水を前記二次燃焼ガス中にフィードバック噴霧する前記苛性ソーダ溶液の噴霧工程とを、
順次踏んで塩のパウダーを得る、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾式塩分回収方法。
【請求項3】
前記一次燃焼は、700℃〜800℃近辺、
前記苛性ソーダ溶液噴霧は、500℃近辺、
のそれぞれの燃焼ガス雰囲気中で実施される、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾式塩分回収方法。
【請求項4】
塩ビ系廃棄物投入燃焼ゾーンと熱回収ゾーンと塩パウダー化回収ゾーンを直列配置し、
前記塩ビ系廃棄物投入燃焼ゾーンに、廃棄物定量投入機構に投入口で直結し、かつ内設した一次燃焼室の排気口側に二次燃焼室を設けた燃焼炉を設置し、
前記熱回収ゾーンに、前記排気口と二次燃焼ダクトを介して導入口で連通した温水ボイラを設置し、
前記塩パウダー化回収ゾーンに設置したサイクロン装置の受入口と前記温水ボイラの導出口を、途中苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズルを内設した高温排気ダクトを介して連通直結する、
ことを特徴とする乾式塩分回収プラント。
【請求項5】
前記塩パウダー化回収ゾーン以降に引続き、
排ガス捕縛洗浄ゾーンと苛性ソーダ溶液循環水混入ゾーンと排ガスの循環水霧滴との混濁分離ゾーンと大気放出ゾーンを直列配置し、
前記排ガス捕縛洗浄ゾーンには、前記サイクロン内中央に吸引口を臨ませ立ち上げて続く折曲水平管内にガス冷却装置を内設した吸引冷却ダクトを架設する一方、
前記苛性ソーダ溶液循環水混入ゾーンに設置した苛性ソーダ溶液供給装置を前記高温排気ダクト内の苛性ソーダ溶解循環水噴霧ノズルに終結する循環管にも調整弁を介して苛性ソーダ溶液供給管を連結し、
他方、前記排ガスの循環水霧滴との混濁分離ゾーンには、前記循環管の循環ポンプを介接した始端と連結しかつ複数の旋回分離器を下側に垂設した分離中床により、上部に前記吸引冷却ダクトの排ガス吸込口と連通し前記循環管から連がる拡散噴霧スプレーを複数吊設したスプレー室を、下部に分離室をそれぞれ仕切った湿式集塵装置を設置し、
更に、当該湿式集塵装置の前記分離室と吸引ダクトを介し吐出口にサイレンサーを取付けた排気ファンを付設する、
ことを特徴とする請求項4に記載の乾式塩分回収プラント。
【請求項6】
前記サイクロンは、
複数基設ける、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の乾式塩分回収プラント。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−292341(P2007−292341A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118377(P2006−118377)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(302021477)
【出願人】(306011757)株式会社六協 (1)
【Fターム(参考)】