説明

交通システム

【課題】 車両が一つの信号機から情報を取得している途中に通り過ぎてしまった場合でも情報を完全に得ることができ、また、歩行者や自転車や車椅子や車両が安全に通ることができる交通システムを提供する。
【解決手段】 信号機の情報を信号機20,21,22,23と車両18との間で光通信を利用して車両に送る交通システムであって、車両18は、複数の信号機から光通信を行う一つの信号機を選択する信号機選択手段と、複数の信号機のうちの一つの信号機との光通信を行うための車載光信号送受信手段とを備え、信号機20,21,22,23は、信号機情報を信号機から発せられる光にのせる光変調手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通システムに関し、特に、車両と歩行者と信号機あるいは路上に設置された装置との間での通信を利用した交通システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の交通システムは、信号機の発光器の点灯状態を車両に乗っている運転者や、歩行者が目で見て確認することにより、道路を通行するというものであった。車両用信号機の発光器の点灯状態は、青色発光器の点灯、黄色発光器の点灯、赤色発光器の点灯の3種類があり、点灯状態によりそれぞれ、「進め」、「注意」、「止まれ」の情報に対応している。また、歩行者用信号機の発光器の点灯状態は、青色発光器の点灯、青色発光器の点滅、赤色発光器の点灯の3種類があり、それらの状態によりそれぞれ「進め」、「注意」、「止まれ」の情報に対応している。また、信号機の近傍には、交差点名などの地名や道路案内や道路の渋滞状況等を示す道路交通情報等が存在する。運転者はそれらの情報を、車両を運転しながら、目で見て得るようにしている。
【0003】
上記のように、信号機の点灯状態や信号機の近傍に設けられた道路交通情報等を目で見て確認する場合には、車両が走行しているために、見落としてしまう可能性もある。特に、夜間においてかなり接近するまで読み取りが困難であるという問題がある。
【0004】
この問題点を解決しようとする装置が特許文献1に開示されている。その装置は、信号機の発光器の光を変調する変調手段を備え、道路交通情報等をその変調手段で発光器の光に変調することによってのせることにより、車両に送るようにしている。
【特許文献1】特開平8−7193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示されるような装置の場合、車両が一つの信号機から情報を取得している途中に通り過ぎてしまった場合、情報を完全に得ることができなくなってしまうという問題点がある。
【0006】
また、目視により情報を得る場合、信号機に頼りすぎて、横断歩道を横断している歩行者に気が付かなくなる可能性もある。また、逆に、横断歩道を横断する歩行者は、信号機の点灯状態に頼りすぎて、曲がって横断歩道に進入してくる車両に気が付かなくなる可能性もある。さらに、夜間などは、自転車、歩行者、車椅子は、車両に乗っている運転者には気がつかれない可能性もある。また、目視により情報を得る場合、合流点で合流してくる車両に気が付かない可能性もある。
【0007】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、車両が一つの信号機から情報を取得している途中に通り過ぎてしまった場合でも情報を完全に得ることができ、また、歩行者や自転車や車椅子や車両が安全に通ることができる交通システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る交通システムは、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0009】
第1の交通システム(請求項1に対応)は、信号機の情報を信号機と車両との間で光通信を利用して車両に送る交通システムであって、車両は、複数の信号機から光通信を行う一つの信号機を選択する信号機選択手段と、複数の信号機のうちの一つの信号機との光通信を行うための車載光信号送受信手段とを備え、信号機は、信号機情報を信号機から発せられる光にのせる光変調手段とを備えることで特徴づけられる。
【0010】
第2の交通システム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは信号機選択手段は、車両が進行方向前の信号機との通信が未完了のとき、通過後の後方の信号機を選択することで特徴づけられる。
【0011】
第3の交通システム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは信号機選択手段は、車両から前方に複数の信号が見えるとき、カーナビゲーション装置のデータを利用して直近の信号機を選択することで特徴づけられる。
【0012】
第4の交通システム(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは信号機情報は、信号点灯時間であり、車両は、車速と信号点灯時間に基づいて、安全に通過できるかどうかを判断する判断手段を備えたことで特徴づけられる。
【0013】
第5の交通システム(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは信号機情報は、信号機の緯度経度であることで特徴づけられる。
【0014】
第6の交通システム(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは信号機情報は、位置情報または方向情報であることで特徴づけられる。
【0015】
第7の交通システム(請求項7に対応)は、上記の構成において、好ましくは信号機情報は、走行レーン毎の車種、制限速度情報であることで特徴づけられる。
【0016】
第8の交通システム(請求項8に対応)は、情報を信号機と車両との間で光通信を利用して車両に送る交通システムであって、車両は、複数の信号機から光通信を行う一つの信号機を選択する信号機選択手段と、複数の信号機のうちの一つの信号機との光通信を行うための車載光信号送受信手段とを備え、信号機は、横断歩道通行中の歩行者を検知する歩行者情報検知手段と、歩行者情報検知手段で検知した歩行者情報を信号機から発せられる光にのせる光変調手段と、車両からの光信号を受信する光信号受信手段とを備えることで特徴づけられる。
【0017】
第9の交通システム(請求項9に対応)は、車両の情報を信号機を経由して歩行者、視覚障害者に通知する交通システムであって、車両は、ハンドル操作を検出するハンドル操作検出手段と、ハンドル操作検出手段により検出されたハンドル操作情報を無線で信号機に送信するハンドル操作情報送信手段とを備え、信号機は、車両から送信されたハンドル操作情報を受信するハンドル操作情報受信手段と、ハンドル操作情報受信手段で受信されたハンドル操作情報を歩行者、視覚障害者に知らせる車両情報通知手段を備えたことで特徴づけられる。
【0018】
第10の交通システム(請求項10に対応)は、自転車、歩行者、車椅子の存在を車両の運転者に通知する交通システムであって、自転車、歩行者、車椅子は、その存在情報を発する存在通知発信手段を備え、車両は、存在通知発信手段から送られた存在情報を受信する存在情報受信手段を備えたことで特徴づけられる。
【0019】
第11の交通システム(請求項11に対応)は、合流点で合流車がある場合には、車両に通知する交通システムであって、合流点には、合流車両を検知する合流車両検知手段と合流車両検知手段で検知された合流車両情報を送信する合流車両情報送信手段とを設け、車両は、合流車両情報を受信する合流車両受信手段を備えたことで特徴づけられる。
【発明の効果】
【0020】
第1の交通システムによれば、車両の信号機選択部によって光通信を行う信号機を選択し、選択された信号機と車載光信号送受信部との間で、変調された信号機からの光を介して光通信を行うため、車両は、確実に信号機からの情報を得ることができる。
【0021】
第2の交通システムによれば、信号機選択部により、車両が進行方向前の信号機との通信が未完了のとき、通過後の後方の信号機を選択して、光通信を継続することができるので、車両は、確実に信号機からの情報を得ることができる。
【0022】
第3の交通システムによれば、信号機選択部により、車両の前方に複数の信号機が見えるとき、カーナビゲーション装置のデータを利用して直近の信号機を選択して光通信を行うので、車両は、確実に信号機からの情報を得ることができる。
【0023】
第4の交通システムによれば、信号機から信号点灯時間に関する情報が得られ、車両は、判断手段により、得られた信号点灯時間と車速に基づいて、安全に通過できるかどうか判断するので、より安全な交通システムを得ることができる。
【0024】
第5の交通システムによれば、信号機から光通信により緯度経度の情報を得ることができるので、運転者は容易に車両の現在位置を知ることができる。
【0025】
第6の交通システムによれば、信号機から光通信により位置情報または方向情報を得ることができるので、運転者は容易に車両の現在の位置あるいは方向を知ることができる。
【0026】
第7の交通システムによれば、信号機から光通信により走行レーン毎の車種、制限速度情報を得ることができるので、運転者は容易に走行レーン毎の車種、制限速度を知ることができる。
【0027】
第8の交通システムによれば、信号機から横断歩道通行中の歩行者の情報を光通信により得ることができるので、運転者は、容易に横断歩道通行中の歩行者がいることを知ることができ、安全性をより高めた交通システムを構築することができる。
【0028】
第9の交通システムによれば、歩行者、視覚障害者は、車両情報通知装置によって、車両を運転している運転者のハンドル操作についての情報を得ることができるので、歩行者、視覚障害者は、より安全に通行することができる。
【0029】
第10の交通システムによれば、車両は、自転車、歩行者、車椅子に備えられた存在通知発信手段によって発せられた存在情報を存在情報受信手段により受信することにより、自転車、歩行者、車椅子の存在情報を得ることができるので、車両を運転している運転者は、容易に、自転車、歩行者、車椅子の存在を知ることができ、より安全な交通システムを構築することができる。
【0030】
第11の交通システムによれば、合流点に、合流車両を検知する合流車両検知手段があるので、合流車両を検知することができ、その検知された合流車両情報を合流車両情報送信手段によって、車両に送信し、車両は、その合流車両情報を合流車両情報受信手段で得ることができるため、車両を運転している運転者は、容易に合流車両の存在を知ることができ、より安全な交通システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る交通システムの実施形態のシステム構成図である。交通システム10は、道路と交差点と横断歩道と車両と歩行者と信号機を有している。また、図1には合流点60も示している。図1は、交通システム10の一部を示し、道路11,12と交差点13と横断歩道14,15,16,17と車両18と歩行者19と信号機20,21,22,23を示している。車両18は、車載システム24を備えている。また、歩行者19は、歩行者用無線発信器25を備えている。さらに、信号機20,21,22,23は、それぞれ車両用信号灯20−1,21−1,22−1,23−1と歩行者用信号灯20−2,21−2,22−2,23−2と歩行者検知装置20−3,21−3,22−3,23−3と信号機制御装置20−4,21−4,22−4,23−4を備えている。また、信号機20,21,22,23は、それぞれ、ハンドル操作情報受信装置20−5,21−5,22−5,23−5を備えている。
【0033】
合流点60には、合流車両を検知する合流車両検知装置61と合流車両検知装置61で検知された合流車両情報を送信する合流車両情報送信装置62とを設け、車両は、合流車両情報を受信する合流車両受信装置を備えている。
【0034】
道路11,12は、車両や、自転車、歩行者、車椅子が通行するための道である。交差点13は、道路11と道路12が交差するところである。横断歩道14,15,16,17は、歩行者や車椅子が道路11あるいは道路12を横断するための歩道である。車両18は、自動車であり、バスやトラック等も含んでいる。歩行者19は、道路を歩行する人であり、図1では、例として横断歩道14を渡っている様子を示している。
【0035】
車両18が備えている車載システム24は、信号機からの変調された光を受光し、信号機からの情報を受け取り、運転者に知らせる機能と、運転者のハンドル操作の情報を無線で信号機に送信する機能と、自転車や歩行者、車椅子の所有する存在通知発信装置からの信号を受信し、それらの存在を運転者に知らせる機能を実現するためのシステムである。
【0036】
歩行者19や、自転車(図示せず)、車椅子(図示せず)の所有する歩行者用無線発信器(存在通知発信装置)25は、歩行者19等(自転車、車椅子を含める)が存在するという情報を無線で発信する装置である。
【0037】
信号機20,21,22,23は、車両や、自転車、歩行者、車椅子が、そのまま進んでもよいか、止まるかを、青色の点灯、赤色の点灯などで示し、円滑に、また安全に通行できるようにするための装置である。信号機20,21,22,23のそれぞれの車両用信号灯20−1,21−1,22−1,23−1は、それぞれ青色発光機、黄色発光機、赤色発光機を備えている。それらのうち、青色発光機が点灯しているときは、車両への「進め」の合図であり、黄色発光機が点灯しているときは、車両への「注意」の合図であり、赤色発光機が点灯しているときは、車両への「止まれ」の合図である。これらの合図により、車両が安全に円滑に通行することができる。また、車両用信号灯20−1,21−1,22−1,23−1のそれぞれの青色発光機、黄色発光機、赤色発光機は、光を変調することによって後述の情報をのせて車両に送るようにしている。これにより、車両に乗っている人は、「進め」、「注意」、「止まれ」という目視による情報以外の情報も信号機から得ることができる。
【0038】
信号機20,21,22,23のそれぞれの歩行者用信号灯20−2,21−2,22−2,23−2は、それぞれ青色発光機、赤色発光機を備えている。それらのうち、青色発光機が点灯しているときは、歩行者や車椅子などへの「進め」の合図であり、赤色発光機が点灯しているときは、歩行者や車椅子などへの「止まれ」の合図である。また、青色発光機が点滅しているときは、歩行者や車椅子などへの「注意」の合図である。これらの合図により、歩行者や車椅子が円滑に、また安全に通行することができる。また、歩行者用信号灯は、文字や絵が表示されるようになっており、車両の運転者がハンドル操作を行ったという情報を表示できるようになっている。さらに、信号機20,21,22,23は、音声発生装置(図示せず)を備えており、車両の運転者がハンドル操作を行ったという情報を音声発生装置から音声を発生して歩行者や車椅子に乗っている人に知らせるようになっている。これにより、歩行者等は、歩行者用信号灯を見ているときでも、車両が曲がってくるかどうかを知ることができ、安全に、また円滑に横断歩道を渡ることができる。
【0039】
歩行者検知装置23−3,20−3,21−3,22−3は、それぞれ横断歩道14,15,16,17を渡っている歩行者等(車椅子も含む)を検知する装置である。
【0040】
信号機制御装置20−4,21−4,22−4,23−4は、それぞれ同一の構成であり、図2のブロック図で示すような構成をしており、信号機制御装置30と符号を付している。信号機制御装置30は、信号機制御部31と光通信制御部32と記憶装置33とCPU34とハンドル操作情報受信装置35と車両情報通知装置36を備えている。CPU34は、信号機制御部31と光通信制御部32と記憶装置33とハンドル操作情報受信装置35と車両情報通知装置36を制御する。信号機制御部31は、車両用信号灯20−1,21−1,22−1,23−1のそれぞれの青色発光機、黄色発光機、赤色発光機(図2では、簡略して車両用信号灯37と記す)と歩行者用信号灯20−2,21−2,22−2,23−2のそれぞれの青色発光機、赤色発光機(図2では、簡略して歩行者用信号灯38と記す)の点滅を制御する。光通信制御部32は、車両用信号灯20−1,21−1,22−1,23−1のそれぞれの青色発光機、黄色発光機、赤色発光機(車両用信号灯37)から発する光を変調し、信号点灯時間、信号機の緯度経度、位置情報、方向情報、走行レーン毎の車種の情報、制限速度の情報と、歩行者検知装置で検知された歩行者の存在の情報を載せるための制御を行う。ハンドル操作情報受信装置20−5,21−5,22−5,23−5(図2では、符号35を付している)は、車両から送信されるハンドル操作情報を受信する装置である。車両情報通知装置36は、ハンドル操作情報受信装置35によって受信されたハンドル操作情報を歩行者用信号灯38で表示することと音声発生装置(図示せず)で音声を発する制御を行う。
【0041】
図3は、信号機から発せられる光信号に変調されることによりのせてある情報のデータ構造を示す。データはデータの開始を示す開始データとデータ1〜5とデータの終了を示す終了データからなる。データ1は、信号点灯時間、データ2は、信号機の緯度経度、データ3は、位置情報、方向情報、データ4は、歩行者検知情報、データ5は、走行レーン毎の車種、制限速度情報である。
【0042】
図4は、車両18の車載システム24の概略図である。また、図5は、車載システム24のブロック図である。車載システム24は、車載端末装置40とGPSレシーバ41と無線通信アンテナ42と光信号送受信機43とハンドル操作検知器44とドライバーズインターフェイス45を備えている。
【0043】
車載端末装置40は、GPSレシーバ41からの信号を処理し、車両18の現在位置を知らせ、カーナビゲーションの機能をはたすための信号処理を行う。また、車載端末装置40は、無線通信アンテナ42からの信号を処理し、自転車、歩行者、車椅子の存在情報を表示装置46に表示させたり、音声発生装置(図示せず)で音声を発する処理を行う。さらに、車載端末装置40は、ハンドル操作検知器44からの信号を処理し、ハンドル操作情報をのせた信号を無線通信アンテナ42から発信する処理を行う。また、車載端末装置40は、光信号を受信すべき信号機を選択し、その選択した信号機からの光信号を光信号送受信機43で受信し、その光信号から信号機の情報を処理し、信号点灯時間、信号機の緯度経度、信号機の位置情報、方向情報、走行レーン毎の車種の情報、制限速度情報、歩行者情報を表示装置46で表示し、音声発生装置で音声を発する処理を行う。
【0044】
GPSレシーバ41は、複数の人工衛星であるGPS衛星(図示せず)からのGPS用シグナルを受信するための装置である。このGPSレシーバ41により受信されたGPS衛星からのシグナルにより、位置を数十mの精度で特定できる。
【0045】
無線通信アンテナ42は、自転車、歩行者、車椅子が所有する存在通知発信装置25からの無線通信を受信し、また、ハンドル操作情報をのせた信号を無線で送信する。
【0046】
光信号送受信機43は、信号機選択部52(図6参照)によって選択した信号機からの光信号を受信する装置である。
【0047】
ハンドル操作検知器44は、車両の運転者のハンドル操作を検知する装置である。
【0048】
ドライバーズインターフェイス45は、表示装置46と音声発生装置を備えており、車両位置特定装置54(図6参照)によって特定された車両の位置を表示するとともに、自転車、歩行者、車椅子の存在情報を表示装置46に表示させ、音声発生装置(図示せず)で音声を発する。また、表示装置46は、信号機の情報である信号点灯時間、信号機の緯度経度、信号機の位置情報、方向情報、走行レーン毎の車種の情報、制限速度情報、歩行者情報を表示し、音声発生装置は、それらの情報を音声で知らせる。
【0049】
図6は、車載端末装置40のブロック図である。車載端末装置40は、CPU50と光通信処理部51と信号機選択部52と無線通信処理部53と車両位置特定部54と記憶装置55を備えている。CPU50は、光通信処理部51と信号機選択部52と無線通信処理部53と車両位置特定部54と記憶装置55の制御を行うものである。
【0050】
光通信処理部51は、光信号受信機43によって受信した信号機からの光信号を処理し、信号機の情報である信号点灯時間、信号機の緯度経度、信号機の位置情報、方向情報、走行レーン毎の車種の情報、制限速度情報、歩行者情報を抽出し、それらの情報をCPU50を介して、ドライバーズインタフェース45に送る。
【0051】
信号機選択部52は、光信号受信機43で受信する光信号を発する信号機を選択する装置である。この信号機選択部52からの命令により光信号受信機43は、その受光部(図示せず)を選択された信号機の方向に向ける。例えば、信号機選択部52は、車両が進行方向前の信号機との通信が未完了のとき、通過後の後方の信号機を選択する。また、信号機選択部52は、車両から前方に複数の信号が見えるとき、カーナビゲーション装置のデータを利用して直近の信号機を選択する。
【0052】
無線通信処理部53は、存在情報抽出部を備え、存在情報抽出部は、無線通信アンテナ42によって受信した自転車、歩行者、車椅子が所有する存在通知発信装置からの無線通信信号から存在情報を抽出し、CPU50を介してドライバーズインタフェース45に送る。この無線通信アンテナ42と存在情報抽出部によって存在情報受信部を構成する。また、無線通信処理部53は、ハンドル操作情報処理部を備え、そのハンドル操作情報処理部は、ハンドル操作情報をのせた信号を無線通信アンテナ42を介して無線で送信する。このハンドル操作情報処理部と無線通信アンテナ42によってハンドル操作情報送信部を構成する。
【0053】
車両位置特定装置54は、車両の位置を特定し、特定した位置を時間毎に記憶するための装置である。車両位置特定装置54は、GPSレシーバ41と接続されており、GPSレシーバ41により受信した複数のGPS衛星からのGPS用シグナルに基づいて車両の緯度、経度を正確に特定することができる。
【0054】
記憶装置55は、信号機選択部52により信号機を選択するためのカーナビゲーション装置用の地図情報データを記憶している。また、光通信処理部51、無線通信処理部53によって得られた各データを記憶する。
【0055】
次に本実施形態の交通システムでの車両、信号機、歩行者等の動作を説明する。
【0056】
車両、歩行者、自転車、車椅子は、道路を通行する。
【0057】
信号機20,21,22,23に備えられた信号機制御装置30は、信号機制御部31により通常の信号機の点灯を記憶装置に記憶されたタイムスケジュールにしたがって行う。交差点では、車両、歩行者、自転車、車椅子は、信号機20,21,22,23の車両用信号灯37の指示と歩行者用信号灯38の指示に従って通行する。
【0058】
また、信号機20,21,22,23の信号機制御装置30は、光通信制御部32によって、緯度経度、位置情報、歩行者検知部によって検知した情報から図3で示すデータ構造のデータを生成し、その生成されたデータを光変調によりのせる。それにより、信号機からの光は、図3で示したデータ構造のデータがのせられた光が発せられている。
【0059】
このデータには、歩行者が横断歩道を渡っているときには、信号機の歩行者検知部によって歩行者が検知されたときは、歩行者情報が載せられている。
【0060】
車両は、信号機選択部52によって複数の信号機から光通信を行う一つの信号機を選択する。車両から前方に複数の信号が見えるとき、カーナビゲーション装置のデータを利用して直近の信号機を選択する。光信号受信部43によって、選択した信号機との光通信を行う。その光通信により、信号機の情報である信号点灯時間、信号機の緯度経度、信号機の位置情報、方向情報、走行レーン毎の車種の情報、制限速度情報、歩行者情報をドライバーズインタフェース45の表示装置で表示し、あるいは、音声で流す。
【0061】
この光通信を行っているとき、車両が進行方向前の信号機との通信が未完了のとき、信号機選択部52は、通過後の後方の信号機を選択する。そして、その後方の信号機との光通信を行い、通信を完了させる。
【0062】
また、車両は、自転車、歩行者、車椅子が所有する存在通知発信装置25から存在通知情報が送られたら警報を発する。
【0063】
交差点で車両に乗っている運転者がハンドル操作を行ったとき、ハンドル操作の情報が無線で送信され、信号機は、その情報を受け、歩行者用信号灯38で車両がハンドルを操作したという情報を表示し、また、音声で警告する。
【0064】
合流点60では、合流する車両がある場合には、その合流車両を合流車両検知装置61が検知し、その合流車両情報を合流車両情報送信装置62が送信し、車両は、その合流車両の情報を無線通信アンテナ42と車載端末装置40からなる合流車両受信装置によって受け、表示装置46に表示し、音声で知らせる。
【0065】
上記の交通システムにより、車両が一つの信号機から情報を取得している途中に通り過ぎてしまった場合でも情報を完全に得ることができ、また、歩行者や自転車や車椅子や車両が安全に通ることができる。
【0066】
なお、本実施形態において、車両情報通知装置36は、ハンドル操作情報受信装置35によって受信されたハンドル操作情報を歩行者用信号灯38で表示することと音声発生装置で音声を発する制御を行うようにしているが、それに加えて、車両情報通知装置36に無線送信機能を持たせ、歩行者や視覚障害者の持つ携帯通信端末にハンドル操作情報を無線で送り、その携帯通信端末で通知するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、車両、歩行者等が円滑に安全に通行することができる交通システムとして利用される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る交通システムの実施形態の構成図である。
【図2】信号機制御装置のブロック図である。
【図3】信号機の光通信に用いられるデータ構造を示す図である。
【図4】車載システムの構成図である。
【図5】車載システムのブロック図である。
【図6】車載端末装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
10 交通システム
11,12 道路
13 交差点
14,15,16,17 横断歩道
18 車両
19 歩行者
20,21,22,23 信号機
24 車載システム
25 歩行者用無線発信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号機の情報を前記信号機と車両との間で光通信を利用して前記車両に送る交通システムであって、
前記車両は、前記複数の信号機から光通信を行う一つの信号機を選択する信号機選択手段と、前記複数の信号機のうちの一つの信号機との光通信を行うための車載光信号送受信手段とを備え、
前記信号機は、前記信号機情報を信号機から発せられる光にのせる光変調手段とを備えることを特徴とする交通システム。
【請求項2】
前記信号機選択手段は、前記車両が進行方向前の信号機との通信が未完了のとき、通過後の後方の信号機を選択することを特徴とする請求項1記載の交通システム。
【請求項3】
前記信号機選択手段は、前記車両から前方に複数の信号が見えるとき、カーナビゲーション装置のデータを利用して直近の信号機を選択することを特徴とする請求項1または2記載の交通システム。
【請求項4】
前記信号機情報は、信号点灯時間であり、前記車両は、車速と前記信号点灯時間に基づいて、安全に通過できるかどうかを判断する判断手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項5】
前記信号機情報は、前記信号機の緯度経度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項6】
前記信号機情報は、位置情報または方向情報であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項7】
前記信号機情報は、前記走行レーン毎の車種、制限速度情報であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項8】
情報を前記信号機と車両との間で光通信を利用して前記車両に送る交通システムであって、
前記車両は、前記複数の信号機から光通信を行う一つの信号機を選択する信号機選択手段と、前記複数の信号機のうちの一つの信号機との光通信を行うための車載光信号送受信手段とを備え、
前記信号機は、横断歩道通行中の歩行者を検知する歩行者情報検知手段と、前記歩行者情報検知手段で検知した前記歩行者情報を信号機から発せられる光にのせる光変調手段と、前記車両からの光信号を受信する光信号受信手段とを備えることを特徴とする交通システム。
【請求項9】
車両の情報を信号機を経由して歩行者、視覚障害者に通知する交通システムであって、 前記車両は、ハンドル操作を検出するハンドル操作検出手段と、前記ハンドル操作検出手段により検出されたハンドル操作情報を無線で信号機に送信するハンドル操作情報送信手段とを備え、
前記信号機は、前記車両から送信された前記ハンドル操作情報を受信するハンドル操作情報受信手段と、前記ハンドル操作情報受信手段で受信された前記ハンドル操作情報を前記歩行者、視覚障害者に知らせる車両情報通知手段を備えたことを特徴とする交通システム。
【請求項10】
自転車、歩行者、車椅子の存在を車両の運転者に通知する交通システムであって、
前記自転車、前記歩行者、前記車椅子は、その存在情報を発する存在通知発信手段を備え、前記車両は、前記存在通知発信手段から送られた前記存在情報を受信する存在情報受信手段を備えたことを特徴とする交通システム。
【請求項11】
合流点で合流車がある場合には、車両に通知する交通システムであって、
前記合流点には、合流車両を検知する合流車両検知手段と、前記合流車両検知手段で検知された合流車両情報を送信する合流車両情報送信手段とを設け、
前記車両は、前記合流車両情報を受信する合流車両受信手段を備えたことを特徴とする交通システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−79722(P2007−79722A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264175(P2005−264175)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】