説明

人数計測システム

【課題】建屋内もしくは室内に滞留する人数を計測する。
【解決手段】人物検出手段は人の出入りする場所の上方に設けられた複数台のカメラからなる撮像手段からの画像データにより距離情報を得るから、床上の影の距離情報と人物の距離情報とから区別して人物を検出することができ、人物計数手段は検出された人物について移動を追跡し、移動方向を検出してその人数を計数し、滞留人数計数手段において正確に滞留人数を計数することかできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋内、もしくは室内に滞留する人数を計測するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建屋内もしくは室内の人数を計測する場合、出入り口をテレビカメラで撮像してそれを人が計測する方法が考えられる。
人が計測する場合、長時間緊張が続き、また見落としが発生するおそれがあった。
また、テレビカメラで撮像した画像データから人物を認識し、これについて処理することが考えられる。この場合、例えば人物の床上の影をも人物として認識されることが考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、人の流れを情報より撮像した画像データから人物を認識し、その情報を用いたアプリケーションを実行するシステムにおいて、建屋内もしくは室内に滞留する人数を計測する点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決するため請求項1に係る人数計測システムは、人の出入りする場所の上方に設けられた複数台のカメラからなる撮像手段と、前記撮像手段の画像データからの距離情報をもとに人物を検出する人物検出手段と、前記人物検出手段が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに人数を計数する人物計数手段と、前記人物計数手段が検出した人物の人数をもとに建屋内もしくは室内に滞留している人数を計測する滞留人数計数手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0005】
請求項2に係る人数計測システムは、人の出入りする場所の上方に設けられた複数台のカメラからなる撮像手段と、前記撮像手段の画像データからの距離情報をもとに人物を検出する人物検出手段と、前記人物検出手段が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに人数を計数する人物計数手段と、前記人物計数手段が検出した人物の人数と、計測時の誤差補正値をもとに建屋内もしくは室内に滞留している人数を計測する滞留人数計数手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項3に係る人数計測システムは、人の出入りする場所の上方に設けられた複数台のカメラからなる撮像手段と、前記撮像手段の画像データからの距離情報をもとに人物を検出する人物検出手段と、前記人物検出手段が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに人数を計数する人物計数手段と、前記人物計数手段が検出した人物の人数と、計測時の誤差補正値をもとに建屋内もしくは室内に滞留している人数を計測するとともに、実際の滞留人数を入力し、これにより以降の計数時の誤差補正値を更新する滞留人数計数手段とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る人数計測システムによると、人物検出手段は複数台のカメラからなる撮像手段からの画像データにより距離情報を得るから、床上の影と区別して人物を検出することができ、人物計数手段は検出された人物について移動を追跡し、移動方向を検出してその人数を計数し、滞留人数計数手段において正確に滞留人数を計数することかできる。
【0008】
請求項2に係る人数計測システムによると、請求項1と同様に、人物検出手段は複数台のカメラからなる撮像手段からの画像データにより距離情報を得るから、床上の影と区別して人物を検出することができる。さらに、滞留人数計数手段において滞留人数を計測する際に計測時の誤差補正値を用いてより正確に計測できる。
【0009】
請求項3に係る人数計測システムによると、請求項2と同様に、人物検出手段は複数台のカメラからなる撮像手段からの画像データにより距離情報を得るから、床上の影と区別して人物を検出することができ、滞留人数計数手段において滞留人数を計測する際に計測時の誤差補正値を用いてより正確に計測できる。さらに、所定の計測時に実際の滞留人数を入力するから、これにより以降の計数時の誤差補正値を更新することができ、滞留人数計測を行うことができる。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の1実施例の機能ブロック図である。図1において、101は人の出入りをする場所例えばある会場の部屋であり、例えば第1および第2の出入り口101a,101bを備える。102は前記部屋101の第1の出入り口101a近傍の上方に設置した第1の撮像手段、103は前記部屋101の第2の出入り口101b近傍の上方に設置した第2の撮像手段、104は前記第1の撮像手段102の画像データからの距離情報をもとに人物を検出する第1の人物検出手段、105は前記第2の撮像手段103の画像データからの距離情報をもとに人物を検出する第2の人物検出手段、106は前記第1の人物検出手段104が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに人数を計数する第1の人物計数手段、107は前記第2の人物検出手段105が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに人数を計数する第2の人物計数手段である。108は前記第1、第2の人物計数手段104,105が検出した人物の人数をもとに建屋内もしくは室内例えば前記部屋101に滞留している人数を計測する滞留人数計数手段であり、滞留人数入力手段108aを備える。109は前記滞留人数計数手段108が計測した滞留人数を例えば画像表示するため所定の部門例えば保守管理部門に通知する通知手段である。
【0011】
第1の撮像手段102および103の各々は複数台例えば2台のテレビカメラを1組として用いる。したがって、第1の出入り口101aには、複数台のカメラからなる撮像手段102が設置され、第2の出入り口101bについても同様である。
図2は、人物検出手段104,105が人物を検出するために必要な距離情報を得る原理を説明する図である。テレビカメラが1台によるときは、その画像データからは撮影した被写体が床面上の影、あるいは雑音である場合には、人物との区別がつかない。本発明では、複数台のカメラを2台ずつ用い、三角測量の原理で物体の距離情報を求め、それが示す距離がテレビカメラから測定したとき人間として妥当なものであるときは、人物を検知したとするものである。図2に示すように、ある物体の1点P(X,Y,Z)を2台のカメラで撮影する。左側のカメラの撮像面に像pl(xl,yl)が結像し、右側のカメラの撮像面にpr(xr,yr)が結像する。2つのカメラ間での対応点を探索することにより点P(X,Y,Z)の位置を求める。このとき、両方のカメラの焦点距離をF、両カメラ間の距離をBとすると、点Pの各座標点はX,Y,Zは以下の式により求まる。
X=B(xl+xr)/2d
Y=B(yl+yr)/2d
Z=BF/d
ただし、d=xl−xr
複数台のカメラを用いるときは、それらから2台ずつを選び出した適当数の組による各計算結果の平均値を位置として求めるなどの方法が用いられる。
【0012】
第1、第2の1人物検出手段104,105は、画像データの中から上記のように距離を測定し、その中から人の背の高さとして適当な所定の範囲にある距離情報を有する所定範囲の閉領域を検知しその領域を人の画像であると判定する。
人物が第1の出入り口101aから第1の撮像手段102の検知領域(概ね撮像範囲)に入ると第1の撮像手段102に撮影され、この画像データは第1の人物検出手段104において人物部分が検出される。第2の出入り口101bから第2の撮像手段103の検知領域に入ったときも同様に人物部分が検出される。第1の人物計数手段106は第1の人物検出手段104が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに移動方向に応じてその人数を計数する。第2の人物計数手段107も同様に人数を計数する。この計数は、第1、第2の撮像手段102,103の検知領域の所定方向が入口方向、また例えば反対側が出口方向であるとして、第1、第2の人物計数手段106,107は前記検知領域の所定方向からの移動方向にしたがって、その出入り口について「入り」か又は「出」かを判定し、その判定に基づいて人数を計数する。
滞留人数計数手段108は所定の時期ごとに第1、第2の人数計数手段106,107からの出入りのそれぞれの人数を受けて、当該部屋101の残留人数を計数する。
【0013】
滞留人数計数手段108において、残留人数計数の誤差補正値として、二つの出入り口の入退室人数に対する補正係数を用いた場合以下のように行う。
第1の人物計数手段106により計数された第1の出入り口101aからの入室人数をI、出室人数をO、入室人数の補正係数をKI1、出室人数の補正係数をKO1
第2の人物計数手段107により計数された第2の出入り口101bからの入室人数をI、出室人数をO、入室人数の補正係数をKI2、出室人数の補正係数をKO2
滞留人数計数手段108に入力された滞留人数の真値をT、現在の滞留人数計数手段108の出力をTとすると、補正係数を以下のように計算する。
I1=1−(I/(I+I))((T−T)/2)
I2=1−(I/(I+I))((T−T)/2)
O1=1+(O/(O+O))((T−T)/2)
O2=1+(O/(O+O))((T−T)/2)
計算された補正係数に対し、平滑処理を行っている。
補正された滞留人数出力値Tは以下のようになる。
=(KI1・I+KI2・I)−(KO1・O+KO2・O
計算された滞留人数が負になった場合も同様な補正を行う(滞留人数は負であることはないから、真値として0が入力されたと考え補正する。)
一日の運用開始時に、滞留人数の真値T0を0として、滞留人数計数手段108の滞留人数入力手段108aから入力し、各補正係数KI1,KI2,KO1,KO2を求め、これにより補正された滞留人数出力値Tを求める。そして、これにより以降の計数時の誤差補正係数値を更新して、滞留人数出力値Tを計算する。
通知手段109は滞留人数計数手段108が計測した滞留人数を保守管理部門に通知する。保守部門ではこの滞留人数をモニタ表示する。
【0014】
展示会などの入口、出口に本システムを適用することにより、会場内に滞在している人数を把握することが可能となり、混雑度を把握し、入場制限などを行うことができる。
また、遊戯施設などでの待ち行列の長さを測る場合は、列を作る経路を予め定め、その経路に従って進入させて、その経路の入口に撮像手段を設置する。このようにして、経路の入口から遊戯施設までの待ち時間を推定することが可能となり、利用者の利便性を増すことが期待できる。
さらに、部屋に設置することにより部屋内に滞在している人数の把握が可能となり、人数にあわせた空調の制御などが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】人数計測システムの1実施例の機能ブロック図である。
【図2】人物を検出するために必要な距離情報を得る原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0016】
101…部屋、101a…第1の出入り口、101b…第2の出入り口、102…第1の撮像手段、103…第2の撮像手段、104…第1の人物検出手段、105…第2の人物検出手段、106…第1の人物計数手段、107…第2の人物計数手段、108…滞留人数計数手段、109…通知手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の出入りする場所の上方に設けられた複数台のカメラからなる撮像手段と、
前記撮像手段の画像データからの距離情報をもとに人物を検出する人物検出手段と、
前記人物検出手段が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに人数を計数する人物計数手段と、
前記人物計数手段が検出した人物の人数をもとに建屋内もしくは室内に滞留している人数を計測する滞留人数計数手段とを備えたことを特徴とする人数計測システム。
【請求項2】
人の出入りする場所の上方に設けられた複数台のカメラからなる撮像手段と、
前記撮像手段の画像データからの距離情報をもとに人物を検出する人物検出手段と、
前記人物検出手段が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに人数を計数する人物計数手段と、
前記人物計数手段が検出した人物の人数と、計測時の誤差補正値をもとに建屋内もしくは室内に滞留している人数を計測する滞留人数計数手段とを備えたことを特徴とする人数計測システム。
【請求項3】
人の出入りする場所の上方に設けられた複数台のカメラからなる撮像手段と、
前記撮像手段の画像データからの距離情報をもとに人物を検出する人物検出手段と、
前記人物検出手段が検出した人物の移動を追跡し、移動方向を検出するとともに人数を計数する人物計数手段と、
前記人物計数手段が検出した人物の人数と、計測時の誤差補正値をもとに建屋内もしくは室内に滞留している人数を計測するとともに、実際の滞留人数を入力し、これにより以降の計数時の誤差補正値を更新する滞留人数計数手段とを備えたことを特徴とする人数計測システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−217289(P2008−217289A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52248(P2007−52248)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000176730)三菱プレシジョン株式会社 (97)
【Fターム(参考)】