説明

付加重合用触媒成分の製造方法、付加重合用触媒および付加重合体の製造方法

【課題】より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒のための付加重合用触媒成分等を提供する。
【解決手段】溶媒中で0.05kW/m3以上の攪拌動力で攪拌しながら、活性化剤化合物と、無機酸化物または有機ポリマーからなる粒子群を接触させることを含む、付加重合用触媒成分の製造方法、その付加重合用触媒成分を用いた付加重合用触媒、およびそれを用いる付加重合体の製造方法等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒成分の製造方法、付加重合用触媒および付加重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系重合体は、機械的性質、耐薬品性等に優れ、また、安価で経済的であることから、各種の成形品に広く用いられている。
【0003】
近年、オレフィン系重合体の製造方法としては、遷移金属成分(例えばメタロセン錯体や非メタロセン化合物)と有機金属成分(例えばアルミノキサン等)とを組み合わせた、いわゆるシングルサイト触媒を用いて、オレフィン等を付加重合させる製造方法が知られている。
【0004】
シングルサイト触媒を、スラリー重合や気相重合のように付加重合体が粒子を形成して生成する重合に適用する場合、例えば特許文献1に記載されているように、特定の粒子を触媒成分の一つとして用いることが知られている。
【0005】
また、特許文献2には無機物質または有機ポリマーからなる改質された粒子を付加重合用触媒成分の一つとして用いることが記載されている。そして、特許文献3にはメタロセン化合物および特定のアルミニウムオキシ化合物を微粒子状担体に担持した固体触媒を用いてオレフィンを重合する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3900457号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開02/051878号明細書
【特許文献3】特開昭61−108610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
オレフィン系重合体の製造に際しては、通常、水素ガスを使用して、得られるオレフィン系重合体の分子量を調節することが行われている。一般に、重合系内の水素ガスの濃度を高くすれば、オレフィン系重合体の分子量は低くなる。従来のシングルサイト触媒を用いた場合、水素濃度がそれほど高くない重合条件下においても、オレフィン系重合体の分子量は低くなり、水素濃度を制御してオレフィン系重合体の分子量を設計することは、困難なことがあった。そこで、オレフィン系重合体の設計の観点からは、水素濃度が高い重合条件下であっても、高分子量の付加重合体が得られれば、水素濃度を制御しやすくなり、オレフィン重合体の分子量を設計しやすくなるので、好ましい。
【0008】
本発明の目的は、かかる現状において、水素濃度がより高い重合条件下で、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒のための付加重合用触媒成分を提供すること、さらには、そのような付加重合用触媒成分を含む付加重合用触媒、およびそれを用いた付加重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の側面は、溶媒中で0.05kW/m3以上の攪拌動力で攪拌しながら、活性化剤化合物と、無機物質または有機ポリマーからなる粒子群とを接触させることを含む、付加重合用触媒成分の製造方法を提供することにある。尚、以下の説明の便宜上、かかる側面での付加重合用の固体触媒成分を「付加重合用触媒成分(B1)」という。
【0010】
本発明の第二の側面は、下記式[1]で表される化合物(a)、
11m [1]
(式中、M1は元素の周期表第1、2、12、14または15族の金属原子を表し、mはM1の原子価に相当する数を表す。L1は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、L1 が複数存在する場合、複数のL1は互いに同じであっても異なっていてもよい。)
下記式[2]で表される化合物(b)、および
1t-1TH [2]
下記式[3]で表される化合物(c)、
2t-2TH2 [3]
(上記式[2],[3]において、R1は電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R1が複数存在する場合、複数のR1は互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表す。Tはそれぞれ独立に元素の周期表の第15族または第16族の原子を表し、tはTの原子価に相当する数を表す。)
並びに、無機物質または有機ポリマーからなる粒子(d)の群とを、溶媒中で攪拌しながら接触させることを含む、付加重合用触媒成分の製造方法であって、該無機物質または有機ポリマーからなる粒子(d)の群を該化合物(a)、(b)および(c)のうち少なくとも1つと接触させる時の攪拌動力が0.05kW/m3以上である、付加重合用触媒成分の製造方法を提供することにある。尚、以下の説明の便宜上、かかる側面での付加重合用の固体触媒成分を「付加重合用触媒成分(B2)」という。
【0011】
本発明の第三の側面は、元素の周期表第3族〜第11族またはランタノイド系列の遷移金属化合物(A)と、上記の第一または第二の側面における付加重合用触媒成分の製造方法によって得られた付加重合用触媒成分(B)を接触させて得られる、付加重合用触媒を提供することにある。
【0012】
本発明の第四の側面は、元素の周期表第3族〜第11族またはランタノイド系列の遷移金属化合物(A)、上記の第一または第二の側面における付加重合用触媒成分の製造方法によって得られた付加重合用触媒成分(B)、および有機アルミニウム化合物(C)を接触させて得られる、付加重合用触媒を提供することにある。
【0013】
本発明の第五の側面は、上記の第三または第四の側面における付加重合用触媒を用いる、付加重合体の製造方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水素濃度がより高い重合条件下で、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒成分が提供され、更には、その付加重合用触媒成分を含む付加重合用触媒、およびそれを用いた付加重合体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
上記した本発明の第一の側面の好ましい1つの態様として、前記活性化剤化合物が、有機アルミニウムオキシ化合物、イオン性化合物およびルイス酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、付加重合用触媒成分の製造方法が挙げられる。このように、活性化剤化合物として、有機アルミニウムオキシ化合物、イオン性化合物およびルイス酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いることによって、水素濃度がより高い重合条件下で、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒のための付加重合用触媒成分がより確実に得られる。
【0016】
本発明の第一,二の側面の好ましいもう1つの態様として、前記攪拌動力が0.05〜50kW/m3である、付加重合用触媒成分の製造方法が挙げられる。このように、攪拌動力を0.05〜50kW/m3にすることによって、水素濃度がより高い重合条件下で、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒のための付加重合用触媒成分がより確実に得られる。
【0017】
上記した本発明の第三,四の側面の好ましい1つの態様として、前記の元素の周期表第3族〜第11族またはランタノイド系列の遷移金属化合物(A)が、少なくとも一つのシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する遷移金属化合物である、付加重合用触媒が挙げられる。かかる態様では、遷移金属化合物(A)として少なくとも一つのシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する遷移金属化合物を用いることによって、水素濃度がより高い重合条件下で、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒がより確実に得られる。
【0018】
また、上記した本発明の第五の側面の好ましい1つの態様として、オレフィン重合体の製造方法が挙げられる。さらに第五の側面の好ましいもう1つの態様として、付加重合体が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である、付加重合体の製造方法が挙げられる。かかる態様では、本発明の第三,四の側面における優れた付加重合用触媒を使用することによって、水素濃度がより高い重合条件下で、より高分子量のオレフィン重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体なる付加重合体がより確実に得られる。
【0019】
尚、これらの本発明の第五の側面の好ましい態様において、上記した第三,四の側面の好ましい態様としての付加重合用触媒を使用する、付加重合体の製造方法も含まれ得る。また、上記した本発明の第六の側面の好ましい態様には、上記した第一の側面の好ましい態様も含まれ得る。
【0020】
活性化剤化合物
本発明における活性化剤化合物と、無機物質または有機ポリマーからなる粒子群とを溶媒中で攪拌しながら接触させることによって得られる付加重合用触媒成分(B1)における、活性化剤化合物としては、通常に付加重合用活性化剤化合物として用いられる化合物であれば特に制限されないが、有機アルミニウムオキシ化合物、イオン性化合物およびルイス酸が好ましく使用される。
【0021】
有機アルミニウムオキシ化合物としては、一般式{−Al(E1)−O−}aで示される構造を有する環状のアルミノキサンおよび/または一般式 E2{−Al(E2)−O−}bAlE22(但し、E1およびE2は、それぞれ炭化水素基であり、全てのE1および全てのE2は同じであっても異なっていても良い。aは2以上の整数を、bは1以上の整数を表す。)で示される構造を有する線状のアルミノキサンが好ましく用いられる。E1またはE2における炭化水素基としては、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0022】
上記E1、E2の具体例としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。aは2以上の整数であり、bは1以上の整数である。好ましくは、E1およびE2はメチル基、またはイソブチル基であり、aは2〜40、bは1〜40である。
【0023】
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶媒(ベンゼン、トルエン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)に結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)を接触させて作る方法が例示できる。このような方法で得られたアルミノキサンは通常、環状のアルミノキサンと線状のアルミノキサンとの混合物となっていると考えられる。
【0024】
本発明におけるイオン性化合物としては、一般に付加重合用活性化剤化合物として用いられる化合物であれば特に制限されないが、一般式 G+(EQ1234-、あるいは一般式(L−H)+(EQ1234-(但し、Eは3価の原子価状態の元素周期律表の第13および15族元素であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。G+は無機または有機のカチオンであり、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0025】
一般式 G+(EQ1234-で表されるホウ素化合物において、G+は無機または有機のカチオンであり、Eは3価の原子価状態の元素周期律表の第13および15族元素であり、Q1〜Q4はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。Eは好ましくは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、リン、ヒ素、またはアンチモン原子であり、さらに好ましくは、ホウ素、アルミニウム、またはガリウム原子である。Q1〜Q4は好ましくは、ハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含むアミノ基であり、より好ましいQ1〜Q4はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含む炭化水素基、または1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化炭化水素基である。さらに好ましくは、Q1〜Q4は、それぞれ少なくとも1個のフッ素原子を含む炭素原子数1〜20のフッ素化炭化水素基であり、特に好ましくはQ1〜Q4は、それぞれ少なくとも1個のフッ素原子を含む炭素原子数6〜20のフッ素化アリール基である。
【0026】
一般式 G+(EQ1234-で表される化合物における無機のカチオンであるG+の具体例としては、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるG+としては、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。G+として好ましくはカルベニウムカチオンであり、特に好ましくはトリフェニルメチルカチオンである。(EQ1234-としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)アルミネート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)アルミネート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミネート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)アルミネート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)アルミネート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ガリウメート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ガリウメート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウメート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ガリウメート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメート、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニルガリウメートなどが挙げられる。
【0027】
これらの具体的な組み合わせとしては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)アルミネート、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ガリウメートなどを挙げることができるが、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメートであり、さらに好ましくはトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0028】
また、一般式(L−H)+(EQ1234-で表される化合物においては、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸であり、Eは3価の原子価状態の元素周期律表の第13および15族元素であり、Q1〜Q4は上記のQ1〜Q4と同様である。
【0029】
一般式(L−H)+(EQ1234-で表される化合物におけるブレンステッド酸である(L−H)+の具体例としては、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(EQ1234-としては、前述と同様のものが挙げられる。
【0030】
これらの具体的な組み合わせとしては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメート、などを挙げることができるが、好ましくは、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、あるいはN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウメートであり、更に好ましくはN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0031】
本発明におけるルイス酸化合物としては、一般に付加重合用活性化剤化合物として用いられる化合物であれば特に制限されないが、一般式 EQ123で表される化合物が好ましく用いられる。
【0032】
一般式 EQ123で表される化合物において、Eは3価の原子価状態の元素周期律表の第13および15族元素であり、Q1〜Q3は上記のQ1〜Q4と同様である。Eは好ましくは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、リン、ヒ素、またはアンチモン原子であり、さらに好ましくは、ホウ素、アルミニウム、またはガリウム原子である。
【0033】
一般式 EQ123で表される化合物の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)アルミニウム、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)アルミニウム、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)アルミニウム、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ガリウム、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ガリウム、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ガリウム、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム等が挙げられるが、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムであり、更に好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0034】
無機物質または有機ポリマーからなる粒子群
本発明における無機物質または有機ポリマーからなる粒子群としては、付加重合用触媒成分(B1)の製造に用いられる溶媒あるいは重合溶媒に不溶な固体状物質であれば特に制限されないが、一般に担体として用いられているものが好ましく使用され、粒径の整った、多孔質の物質が好ましく、無機物質または有機ポリマーが好適に使用され、無機物質がより好適に使用される。かかる無機物質または有機ポリマーからなる粒子群としては、得られる付加重合体の粒径分布の観点から、該粒子の粒径の体積基準で測定した幾何標準偏差として好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.7以下である。
【0035】
該粒子の無機物質としては、例えば、無機酸化物、粘土および粘土鉱物を挙げることができる。これら複数の無機物質を混合して用いてもかまわない。無機酸化物としては、例えば、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、およびThO2、ならびにこれらの混合物、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、およびSiO2−TiO2−MgOを挙げることができる。これらの無機酸化物の中では、SiO2および/またはAl23が好ましく、特にSiO2(即ちシリカ)が好ましい。なお、上記無機酸化物は少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有してもかまわない。
【0036】
粘土または粘土鉱物としては、例えば、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、バイロフィライト、タルク、ウンモ群、スメクタイト、モンモリロナイト群、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトを挙げることができる。これらの中で好ましくは、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイトであり、さらに好ましくはモンモリロナイト、ヘクトライトである。
【0037】
これらの無機物質の中で、無機酸化物が好適に用いられる。これらの無機物質は、乾燥し、実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥させたものが好ましい。加熱処理は通常、目視で水分を確認できない無機物質について温度100〜1500℃で、好ましくは100〜1000℃で、さらに好ましくは200〜800℃で実施される。その加熱時間は特に限定されるものではないが、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。加熱乾燥の方法としては、例えば、加熱中に乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させて乾燥する方法、および、減圧下で加熱乾燥する方法等を挙げることができる。
【0038】
また、無機酸化物には通常、表面に水酸基が存在しているが、無機酸化物として、表面水酸基の活性水素を種々の置換基で置換した改質無機酸化物を使用してもよい。改質無機酸化物としては、例えば、トリメチルクロロシランおよびtert−ブチルジメチルクロロシラン等のトリアルキルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン等のトリアリールクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のジアリールジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のアルキルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等のアリールトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等のトリアリールアルコシキシランおよびジメチルジメトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のジアリールジアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、テトラメトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のアルキルジシラザン、テトラクロロシラン、メタノールおよびエタノール等のアルコール、フェノール、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、およびブチルオクチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム、ブチルリチウム等のアルキルリチウムと接触処理した無機酸化物を挙げることができる。
【0039】
更に、トリアルキルアルミニウムと接触後、ジエチルアミンおよびジフェニルアミン等のジアルキルアミン、メタノールおよびエタノール等のアルコール、フェノールと接触処理した無機酸化物を例示することができる。
【0040】
また、無機酸化物は水酸基同士が水素結合することにより無機酸化物自体の強度が高まっていることがある。その場合、仮に表面水酸基の活性水素全てについて種々の置換基で置換してしまうと、粒子強度の低下等を招く場合がある。よって、無機酸化物の表面水酸基の活性水素は必ずしも全て置換する必要はなく、表面水酸基の置換率は適宜決めればよい。表面水酸基の置換率を変化させる方法は特に限定されない。該方法としては、例えば、接触処理に使用する化合物の使用量を変化させる方法を例示することができる。
【0041】
無機物質の平均粒子径は特に限定されないが、通常1〜5000μmであり、好ましくは、5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μm、更に好ましくは10〜100μmである。細孔容量は、好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積は、好ましくは、10〜1000m2/g、より好ましくは100〜500m2/gである。
【0042】
該粒子の有機ポリマーは、どのような有機ポリマーを用いてもよく、また複数種の有機ポリマーの混合物を用いてもよい。有機ポリマーとして、好ましくは、活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基を有する重合体である。
【0043】
上記の活性水素を有する官能基は、活性水素を有していれば特に限定されない。該官能基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオール基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基、およびカルバゾリル基を挙げることができる。なかでも、好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基であり、特に好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基またはヒドロキシ基である。これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0044】
上記の非プロトン供与性のルイス塩基性官能基は、活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基であれば特に限定されない。該官能基としては、例えば、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基、ニトリル基、アジド基、N−置換イミノ基、N,N−置換アミノ基、N,N−置換アミノオキシ基、N,N,N−置換ヒドラジノ基、ニトロソ基、ニトロ基、ニトロオキシ基、フリル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、N,N−置換カルバモイル基、チオアルコキシ基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、および置換スルホン酸基を挙げることができる。好ましくは、複素環基であり、更に好ましくは、酸素原子および/または窒素原子を環内に有する芳香族複素環基である。特に好ましくは、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基であり、最も好ましくはピリジル基である。これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0045】
上記有機ポリマーとしての重合体中の活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基の含有量は特に限定されない。該使用量は、好ましくは、重合体の単位グラム当りの官能基のモル量として0.01〜50mmol/gであり、より好ましくは0.1〜20mmol/gである。
【0046】
上記の官能基を有する重合体の製造方法としては、例えば、活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーを単独重合させる方法、および該モノマーと重合性不飽和基を有する他のモノマーとを共重合させる方法を挙げることができる。このとき更に2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーをも一緒に共重合することが好ましい。
【0047】
上記の重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基およびアリル基等のアルケニル基、ならびにエチン基等のアルキニル基を挙げることができる。上記の活性水素を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、ビニル基含有1級アミン、ビニル基含有2級アミン、ビニル基含有アミド化合物、およびビニル基含有ヒドロキシ化合物を挙げることができる。該モノマーの具体例としては、N−(1−エテニル)アミン、N−(2−プロペニル)アミン、N−(1−エテニル)−N−メチルアミン、N−(2−プロペニル)−N−メチルアミン、1−エテニルアミド、2−プロペニルアミド、N−メチル−(1−エテニル)アミド、N−メチル−(2−プロペニル)アミド、ビニルアルコール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オールが挙げられる。
上記の活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルピリジン、ビニル(N−置換)イミダゾール、およびビニル(N−置換)インダゾールを挙げることができる。
【0048】
重合性不飽和基を有する他のモノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィン、芳香族ビニル化合物および環状オレフィン化合物を挙げることができる。該モノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。なかでも、好ましくはエチレンまたはスチレンである。これらのモノマーは2種以上を用いてもよい。上記2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーの具体例としては、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0049】
有機ポリマーの平均粒子径としては特に限定されないが、通常1〜5000μmであり、好ましくは5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。細孔容量としては特に限定されないが、好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積としては特に限定されないが、好ましくは10〜1000m2/g、より好ましくは50〜500m2/gである。
【0050】
これらの有機ポリマーは、乾燥され、実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥されたものが好ましい。加熱処理は通常、目視で水分を確認できない有機ポリマーについて温度30〜400℃で、好ましくは50〜200℃で、更に好ましくは70〜150℃で実施される。その加熱時間は特に限定されないが、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。加熱乾燥の方法としては、例えば、加熱中に、乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させて乾燥する方法、および、減圧下で加熱乾燥する方法等を挙げることができる。
【0051】
付加重合用触媒成分(B1)の製造方法
上記の活性化剤化合物と無機物質または有機ポリマーからなる粒子群を任意の方法により接触させることによって、付加重合用触媒成分(B1)を製造することができる。具体的には粒子群を溶媒中に分散させ、そこへ活性化剤化合物を添加することにより製造される。この場合の溶媒は、活性化剤化合物と反応しないものが好ましく、活性化剤化合物を溶解させる溶媒がより好ましい。
【0052】
溶媒としては、例えば、非極性溶媒、極性溶媒が挙げられる。非極性溶媒としては、例えば、炭化水素化合物等が挙げられる。極性溶媒としては、例えば、ハロゲン化物、エーテル化合物、アルコール化合物、フェノール化合物、カルボニル化合物、リン酸誘導体、二トリル化合物、ニトロ化合物、アミン化合物、硫黄化合物等が挙げられる。
【0053】
炭化水素化合物としては、例えば、芳香族炭化水素化合物、脂肪族炭化水素化合物等が挙げられる。芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0054】
ハロゲン化物としては、例えば、ジクロロメタン、ジフルオロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられる。エーテル化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシジエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。アルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。フェノール化合物としては、例えば、フェノール、p−クレゾール等が挙げられる。カルボニル化合物としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。リン酸誘導体としては、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル等が挙げられる。二トリル化合物としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロベンゼン等が挙げられる。アミン化合物としては、例えば、ピリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。
【0055】
溶媒として好ましくは、炭化水素化合物またはエーテル化合物であり、より好ましくは、炭化水素化合物であり、更に好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンであり、特に好ましくは、トルエンまたはキシレンである。
【0056】
接触させる温度、時間は任意に取ることが出来るが、温度は通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜150℃、更に好ましくは−20℃〜120℃である。特に反応初期は発熱を抑えるために低温で反応させるのが好ましい。接触させる量は、任意に選ぶことが出来るが、活性化剤化合物がアルミニウムオキシ化合物である場合、無機物質または有機ポリマーからなる粒子群の単位グラム当たり該化合物をアルミニウム原子換算で通常0.01〜100mmol、好ましくは0.1〜20mmol、更に好ましくは1〜10mmolである。同様に、活性化剤化合物がイオン性化合物あるいはルイス酸化合物である場合、粒子群の単位グラム当たり該化合物を通常0.00001〜100mmol、好ましくは0.00005〜10mmol、更に好ましくは0.0025〜1mmolである。
【0057】
活性化剤化合物と、無機物質または有機ポリマーからなる粒子群の接触は、0.05kW/m3以上の高い攪拌動力で活性化剤化合物および粒子群、あるいはさらに溶媒の混合物を混合する。接触の際の攪拌動力は、0.05kW/m3以上であれば特に制限されないが、通常0.05〜50kW/m3、好ましくは0.10〜10kW/m3、更に好ましくは0.15〜1.5kW/m3である。
【0058】
付加重合用触媒成分の製造装置
本発明の付加重合用触媒成分の製造に用いる製造装置は、溶媒の供給手段、活性化剤化合物の供給手段、無機物質または有機ポリマーからなる粒子群の供給手段、攪拌手段およびタンク手段を備えた、付加重合用触媒成分の製造装置であって、その攪拌手段が、タンク手段内において、溶媒中で、活性化剤化合物と無機物質または有機ポリマーからなる粒子群を、0.05kW/m3以上の攪拌動力で攪拌し得るものであることを特徴としている。その攪拌手段としては、通常、アンカー翼、傾斜パドル翼、ファウドラー翼等の攪拌翼が用いられる。また、その攪拌効果を高めるために、通常、タンク手段の壁面内側に邪魔板が設けられている。上記の範囲で攪拌動力が得られるものであれば良く、その他の手段については特に制限されるものではない。尚、かかる製造装置は、上記の付加重合用触媒成分(B1)または以下に詳述する付加重合用触媒成分(B2)のいずれにも有効である。
【0059】
上記の活性化剤化合物と無機物質または有機ポリマーからなる粒子群の接触に用いる攪拌手段は、0.05kW/m3以上の攪拌動力での混合が可能な装置であれば特に制限されないが、攪拌翼を備えた装置が好ましく用いられる。攪拌翼の形状および数、邪魔板の有無およびその形状と数についても、0.05kW/m3以上の高い攪拌動力での混合が可能であれば特に制限されない。かかる攪拌動力は、0.05kW/m3以上であれば特に制限されないが、通常0.05〜50kW/m3、好ましくは0.10〜10kW/m3、更に好ましくは0.15〜1.5kW/m3である。
【0060】
接触時の攪拌動力の調節方法は特に制限されないが、トルク計を備えた攪拌手段を用いて混合時のトルクを測定しながら攪拌動力を調節する方法、下式に従って攪拌回転数を調節する方法を例示することができる。
Pv=Np×ρ×n3×d5÷V
(式中、Pvは攪拌動力(kW/m3)、Npは攪拌動力数(−)、ρは溶媒の密度(kg/m3)、nは攪拌翼の回転数(sec-1)、dは攪拌翼の径(m)、Vは反応液容積(m3)をそれぞれ示す。)上記式における攪拌動力数Npは、例えば、[改定五版 化学工学便覧(昭和63年3月18日丸善株式会社)]の895頁、図20・8記載の曲線から求められる。接触は通常レイノルズ数が104以上で行われるため、上記レイノルズ数の範囲では、Npは攪拌翼の種類、邪魔板の有無によって決定される定数とみなされる。
【0061】
化合物(a)
付加重合用触媒成分(B2)の製造に用いられる化合物(a)は、下記一般式[1]で表される化合物である。
11m [1]
上記一般式[1]におけるM1は、元素周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第1、2、12、14または15族の金属原子を表す。一般式[1]におけるM1としては、例えば、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、カドミウム原子、水銀原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子、ビスマス原子を挙げることができる。なかでも、好ましくはマグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子またはビスマス原子であり、特に好ましくはマグネシウム原子、亜鉛原子、スズ原子またはビスマス原子であり、最も好ましくは亜鉛原子である。また、上記一般式[1]におけるmはM1の原子価に相当する数を表し、例えばM1 が亜鉛原子の場合mは2である。
【0062】
一般式[1]におけるL1のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができる。L1における炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基が好ましい。
【0063】
1におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、およびn−エイコシル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはイソブチル基である。
【0064】
これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、1H,1H−パーフルオロプロピル基、1H,1H−パーフルオロブチル基、1H,1H−パーフルオロペンチル基、1H,1H−パーフルオロヘキシル基、1H,1H−パーフルオロオクチル基、1H,1H−パーフルオロドデシル基、1H,1H−パーフルオロペンタデシル基、および1H,1H−パーフルオロエイコシル基、ならびに、これらのアルキル基のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したアルキル基を挙げることができる。
また、これらのアルキル基はいずれも、メトキシ基、およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基で置換されていてもよい。
【0065】
1におけるアリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはフェニル基である。これらのアリール基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0066】
1におけるアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、およびアントラセニルメチル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはベンジル基である。これらのアラルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0067】
上記一般式[1]におけるL1として好ましくは、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、更に好ましくは水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくはアルキル基である。
【0068】
1が亜鉛原子の場合の化合物(a)としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛等のジアルキル亜鉛;ジフェニル亜鉛、ジナフチル亜鉛、およびビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛等のジアリール亜鉛;ジアリル亜鉛等のジアルケニル亜鉛;ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛;塩化メチル亜鉛、塩化エチル亜鉛、塩化プロピル亜鉛、塩化n−ブチル亜鉛、塩化イソブチル亜鉛、塩化n−ヘキシル亜鉛、臭化メチル亜鉛、臭化エチル亜鉛、臭化プロピル亜鉛、臭化n−ブチル亜鉛、臭化イソブチル亜鉛、臭化n−ヘキシル亜鉛、ヨウ化メチル亜鉛、ヨウ化エチル亜鉛、ヨウ化プロピル亜鉛、ヨウ化n−ブチル亜鉛、ヨウ化イソブチル亜鉛、およびヨウ化n−ヘキシル亜鉛等のハロゲン化アルキル亜鉛;フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、およびヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛を挙げることができる。
【0069】
化合物(a)として好ましくは、ジアルキル亜鉛であり、更に好ましくは、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛またはジn−ヘキシル亜鉛であり、特に好ましくはジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛である。
【0070】
化合物(b),(c)
付加重合用触媒成分(B2)の製造に用いられる、化合物(b)は下記式[2]で表されるものであり、
1t-1TH [2]
化合物(c)は下記式[3]で表されるものである。
2t-2TH2 [3]
【0071】
上記一般式[2]または[3]におけるTは、それぞれ独立に、元素周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第15族または第16族の原子を表す。一般式[2]におけるTと一般式[3]におけるTとは、同じであっても異なっていてもよい。これらの式におけるTの第15族原子としては、例えば、窒素原子およびリン原子を挙げることができ、第16族原子としては、例えば、酸素原子および硫黄原子を挙げることができる。Tとして好ましくは、窒素原子または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。上記一般式[2]または[3]におけるtはそれぞれのTの原子価に相当する数を表す。tは、Tが第15族原子の場合は3であり、Tが第16族原子の場合は2である。
【0072】
上記一般式[2]におけるR1 は、電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R1 が複数存在する場合、複数のR1は互いに同じであっても異なっていてもよい。電子吸引性の指標として、例えばハメット則の置換基定数σ等が知られており、置換基定数σが正である官能基を電子吸引性基として例示することができる。
【0073】
上記一般式[2]におけるR1の電子吸引性基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン基およびフェニル基を挙げることができる。一般式[2]におけるR1の電子吸引性基を含有する基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基、シアノ化アリール基、ニトロ化アリール基、エステル基(アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基)、アシル基、およびハロゲン化アシル基を挙げることができる。
【0074】
上記一般式[2]におけるR1のハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基 、1H,1H−パーフルオロブチル基、1H,1H−パーフルオロペンチル基、1H,1H−パーフルオロヘキシル基、1H,1H−パーフルオロオクチル基、1H,1H−パーフルオロドデシル基、1H,1H−パーフルオロペンタデシル基、および1H,1H−パーフルオロエイコシル基、ならびに、これらのハロゲン化アルキル基のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したアルキル基を挙げることができる。
【0075】
上記一般式[2]におけるR1のハロゲン化アリール基としては、例えば、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、および4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフチル基、ならびに、これらのハロゲン化アリール基のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したハロゲン化アリール基を挙げることができる。
【0076】
上記一般式[2]におけるR1の(ハロゲン化アルキル)アリール基としては、例えば、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、および2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、ならびに、これらの(ハロゲン化アルキル)アリール基のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更した(ハロゲン化アルキル)アリール基を挙げることができる。
【0077】
上記一般式[2]におけるR1のシアノ化アリール基としては、例えば、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、および4−シアノフェニル基を挙げることができる。
【0078】
上記一般式[2]におけるR1のニトロ化アリール基としては、例えば、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、および4−ニトロフェニル基を挙げることができる。
【0079】
上記一般式[2]におけるR1のエステル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、およびペンタフルオロフェノキシカルボニル基を挙げることができる。
【0080】
上記一般式[2]におけるR1のアシル基およびハロゲン化アシル基としては、例えば、ホルミル基、エタノイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロエタノイル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、パーフルオロエタノイル基、パーフルオロプロパノイル基、パーフルオロブタノイル基、パーフルオロペンタノイル基、パーフルオロヘキサノイル基、パーフルオロヘプタノイル基、パーフルオロオクタノイル基、パーフルオロノナノイル基、パーフルオロデカノイル基、パーフルオロウンデカノイル基、およびパーフルオロドデカノイル基を挙げることができる。
【0081】
上記一般式[2]におけるR1として、好ましくはハロゲン化炭化水素基であり、より好ましくはハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基である。更に好ましくは、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基、4−クロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3.5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基またはペンタクロロフェニル基であり、特に好ましくは、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基であり、最も好ましくは、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、3,5−ジフルオロフェニル、3,4,5−トリフルオロフェニル基またはペンタフルオロフェニル基である。
【0082】
上記一般式[3]におけるR2 は炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表す。一般式[3]におけるR2の炭化水素基として、好ましくは、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、一般式[1]におけるL1 として例示した基を例示することができる。R2におけるハロゲン化炭化水素基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、および(ハロゲン化アルキル)アリール基を挙げることができ、上記一般式[2]におけるR1の電子吸引性基として例示したハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基をそれぞれ例示することができる。
【0083】
上記一般式[3]におけるR2は、好ましくはハロゲン化炭化水素基であり、さらに好ましくはフッ素化炭化水素基である。
【0084】
化合物(b)としては、例えば、アミン、ホスフィン、アルコール、チオール、フェノール、チオフェノール、ナフトール、ナフチルチオール、およびカルボン酸化合物を挙げることができる。アミンおよびホスフィン化合物としては、ジ(フルオロメチル)アミン、ビス(ジフルオロメチル)アミン、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2−フルオロフェニル)アミン、ビス(3−フルオロフェニル)アミン、ビス(4−フルオロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、ビス(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(4−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,6−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2−シアノフェニル)アミン、(3−シアノフェニル)アミン、ビス(4−シアノフェニル)アミン、ビス(2−ニトロフェニル)アミン、ビス(3−ニトロフェニル)アミン、ビス(4−ニトロフェニル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロブチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロペンチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロヘキシル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロオクチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロドデシル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロペンタデシル)アミン、およびビス(1H,1H−パーフルオロエイコシル)アミン、ならびに、これらのアミン類のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えたアミン類を挙げることができる。また、上記アミンの窒素原子がリン原子に置換されたホスフィン化合物も同様に挙げることができる。それらホスフィン化合物は、上記アミン中の「アミン」を「ホスフィン」に置き換えることによって表される化合物等である。
【0085】
化合物(b)のアルコールおよびチオール化合物としては、例えば、フルオロメタノール、ジフルオロメタノール、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H−パーフルオロブタノール、1H,1H−パーフルオロペンタノール、1H,1H−パーフルオロヘキサノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H−パーフルオロドデカノール、1H,1H−パーフルオロペンタデカノール、および1H,1H−パーフルオロエイコサノール、ならびに、これらのアルコール類のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えたアルコールを挙げることができる。また、上記アルコール化合物の酸素原子を硫黄原子に置き換えたチオール化合物も同様に挙げることができる。それらチオール化合物は、上記アルコール化合物中の「ノール」を「ンチオール」に置き換えることによって表される化合物等である。
【0086】
化合物(b)のフェノール、ナフトール、チオフェノール、およびナフチルチオール化合物としては、例えば、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノール、パーフルオロ−1−ナフトール、パーフルオロ−2−ナフトール、4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフトール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、および4−ニトロフェノール、ならびに、これらのフェノール類のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えたフェノールを挙げることができる。また、上記フェノール化合物の酸素原子を硫黄原子に置き換えたチオフェノール化合物も同様に挙げることができる。それらチオフェノール化合物は、上記フェノール化合物の「フェノール」を「チオフェノール」に置き換えることによって表される化合物(ナフトールの場合は、「ナフトール」を「ナフチルチオール」に置き換えることによって表される化合物)等である。
【0087】
化合物(b)のカルボン酸化合物としては、例えば、ペンタフルオロベンゾイックアシッド、パーフルオロエタノイックアシッド、パーフルオロプロパノイックアシッド、パーフルオロブタノイックアシッド、パーフルオロペンタノイックアシッド、パーフルオロヘキサノイックアシッド、パーフルオロヘプタノイックアシッド、パーフルオロオクタノイックアシッド、パーフルオロノナノイックアシッド、パーフルオロデカノイックアシッド、パーフルオロウンデカノイックアシッド、およびパーフルオロドデカノイックアシッドを挙げることができる。
【0088】
化合物(b)としては、アミン、アルコール、またはフェノール化合物が好ましく、具体的には、アミンとしては、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、またはビス(ペンタフルオロフェニル)アミンであり、アルコールとしては、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールであり、フェノールとしては、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールまたは2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールである。
【0089】
化合物(b)として、より好ましくは、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールであり、更に好ましくは、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノールまたは1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールである。
【0090】
化合物(c)としては、例えば、水、硫化水素、アミン、およびアニリン化合物を挙げることができる。アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−エイコシルアミン等のアルキルアミン、アリルアミン、シクロペンタジエニルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、フルオロメチルアミン、ジフルオロメチルアミン、トリフルオロメチルアミン、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアミン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、およびパーフルオロエイコシルアミン、ならびに、これらのアミンのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えたハロゲン化アルキルアミンを挙げることができる。
【0091】
化合物(c)のアニリン化合物としては、例えば、アニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、2−トリルアミン、3−トリルアミン、4−トリルアミン、2,3−キシリルアミン、2,4−キシリルアミン、2,5−キシリルアミン、2,6−キシリルアミン、3,4−キシリルアミン、3,5−キシリルアミン、2,3,4−トリメチルアニリン、2,3,5−トリメチルアニリン、2,3,6−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、3,4,5−トリメチルアニリン、2,3,4,5−テトラメチルアニリン、2,3,4,6−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、ペンタメチルアニリン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2,3−ジエチルアニリン、2,4−ジエチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、3,4−ジエチルアニリン、3,5−ジエチルアニリン、2,3,4−トリエチルアニリン、2,3,5−トリエチルアニリン、2,3,6−トリエチルアニリン、2,4,6−トリエチルアニリン、3,4,5−トリエチルアニリン、2,3,4,5−テトラエチルアニリン、2,3,4,6−テトラエチルアニリン、2,3,5,6−テトラエチルアニリン、およびペンタエチルアニリン、ならびに、これらのエチルをn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、またはn−テトラデシルに置き換えたアルキルアニリン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、およびペンタフルオロアニリン等のハロゲン化アニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、および2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、ならびに、これらのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えた(ハロゲン化アルキル)アニリンを挙げることができる。
【0092】
化合物(c)として好ましくは、水、硫化水素、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−オクチルアミン、アニリン、2,6−キシリルアミン、2,4,6−トリメチルアニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、ベンジルアミン、トリフルオロメチルアミン、ペンタフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、パーフルオロエイコシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリンまたは2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、特に好ましくは、水、トリフルオロメチルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、最も好ましくは水またはペンタフルオロアニリンである。
【0093】
無機物質または有機ポリマーからなる粒子(d)の群
無機物質または有機ポリマーからなる粒子(d)の群としては、付加重合触媒成分(B2)の製造に用いられる溶媒あるいは重合溶媒に不溶な固体状物質であれば特に制限されないが、好ましくは、上記のように付加重合用触媒成分(B1)の製造に用いる無機物質または有機ポリマーからなる粒子群として例示した粒子を例示することができる。
【0094】
付加重合用触媒成分(B2)の製造方法
本発明の付加重合用触媒成分(B2)を得るために、上記の化合物(a)、(b)、(c)および粒子(d)の群を接触させる順序は、特に限定されることはなく、例えば、以下の順序を挙げることができる。
<1>(a)と(b)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<2>(a)と(b)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<3>(a)と(c)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<4>(a)と(c)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<5>(a)と(d)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<6>(a)と(d)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<7>(b)と(c)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<8>(b)と(c)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
<9>(b)と(d)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<10>(b)と(d)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
<11>(c)と(d)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<12>(c)と(d)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
接触順序として、好ましくは、上記の<1>、<2>、<3>、<5>、<11>または<12>である。特に好ましくは、<2>または<5>である。
【0095】
上記の接触順序において、化合物(a)、(b)および(c)のうち少なくとも1つの化合物と、無機物質粒子または有機ポリマー粒子(d)との接触を行う際は、0.05kW/m3以上の攪拌動力により混合を行う。すなわち、上記の<5>、<6>、<9>、<10>、<11>および<12>の接触順序においては全ての接触処理を、<2>、<4>および<8>の接触順序においては第2の接触以降の接触処理を、<1>、<3>および<7>の接触順序においては第3の接触処理を0.05kW/m3以上の攪拌動力で混合を行う。接触の際の攪拌動力は、0.05kW/m3以上であれば特に制限されないが、通常0.05〜50kW/m3、好ましくは0.10〜10kW/m3、更に好ましくは0.15〜1.5kW/m3である。
【0096】
また、化合物(a)、(b)、(c)および粒子(d)の群を接触させて得られた粒子群(「中間固体群」と呼ぶことがある)を、再度、化合物(a)、(b)および(c)すべてと接触させてもよい。接触させる順序は特に限定されることはなく、前記<1>〜<12>において、粒子(d)の群を中間固体群に置き換えた方法が挙げられる。なかでも、次の<13>、<14>または<15>が好ましい。
<13>中間固体群と(a)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<14>中間固体群と(b)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<15>中間固体群と(c)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
上記の順序(13)〜(15)において、全ての接触における攪拌動力は0.05kW/m3以上である。上記の接触処理の後、上記接触処理により得られた固体成分と化合物(a)、(b)および(c)との接触処理を更に1回以上行ってもよい。この場合においても、接触時の攪拌動力が0.05kW/m3以上の条件に設定する。
【0097】
このような接触処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。処理温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。処理時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。また、このような処理は溶媒を用いて行う。
【0098】
溶媒としては、上記化合物(a)、(b)、(c)、粒子(d)の群、およびそれらの接触物と反応しない溶媒が用いられる。しかしながら、上述のように、段階的に各成分を接触させる場合には、ある段階においてある成分と反応する溶媒であっても、該溶媒が他の段階において各成分と反応しない溶媒であれば、該溶媒を他の段階で用いることができる。つまり、各段階における溶媒は相互に、同じかまたは異なる。該溶媒としては、上記付加重合用触媒成分(B1)の製造方法のところで溶媒として例示したものと同じものを例示することができる。
【0099】
化合物(a)、(b)および(c)を接触させて得られる接触生成物(e)と、粒子(d)の群とを接触させる場合、つまり上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、接触生成物(e)を製造する場合の溶媒(s1)としては、上記の脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物またはエーテル化合物が好ましい。
【0100】
一方、接触生成物(e)と粒子(d)の群とを接触させる場合の溶媒(s2)としては極性溶媒が好ましい。溶媒の極性を表す指標としては、ETN値(C.Reichardt,“Solvents and Solvents Effects in Organic Chemistry”, 2nd ed., VCH Verlag (1988).)等が知られており、0.8≧ETN≧0.1なる範囲を満足する溶媒が特に好ましい。かかる極性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、およびスルホランを挙げることができる。溶媒(s2)として更に好ましくは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールであり、特に好ましくはジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノールまたはシクロヘキサノールであり、最も好ましくはテトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノールである。
【0101】
また、前記溶媒(s2)としては、これら極性溶媒と炭化水素化合物との混合溶媒を用いることもできる。炭化水素化合物としては上記付加重合用触媒成分(B1)の製造方法のところで例示した脂肪族炭化水素化合物や芳香族炭化水素化合物が用いられる。極性溶媒と炭化水素化合物との混合溶媒としては、例えば、ヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘキサン/1−プロパノール混合溶媒、ヘキサン/2−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/1−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/2−プロパノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、トルエン/1−プロパノール混合溶媒、トルエン/2−プロパノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒、キシレン/1−プロパノール混合溶媒、およびキシレン/2−プロパノール混合溶媒を挙げることができる。好ましくはヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒である。更に好ましくはヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒またはトルエン/エタノール混合溶媒である。最も好ましくはトルエン/エタノール混合溶媒である。トルエン/エタノール混合溶媒における、エタノール分率の好ましい範囲は10〜50体積%であり、更に好ましくは15〜30体積%である。
【0102】
化合物(a)、(b)および(c)を接触させて得られる接触生成物(e)と、粒子(d)の群とを接触させる方法、つまり上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、溶媒(s1)および溶媒(s2)として、共に炭化水素化合物を用いることもできる。この場合は、化合物(a)、(b)および(c)を接触させた後、得られた接触生成物(e)と粒子(d)の群とを接触させるまでの時間は短い方が好ましい。時間として好ましくは0〜5時間であり、更に好ましくは0〜3時間であり、最も好ましくは0〜1時間である。また、接触生成物(e)と粒子(d)とを接触させる場合の温度は、通常−100℃〜40℃であり、好ましくは−20℃〜20℃であり、最も好ましくは−10℃〜10℃である。
【0103】
上記の<2>、<4>、<5>、<6>、<8>、<9>、<10>、<11>、<12>の場合、上記の非極性溶媒、極性溶媒いずれも使用することができる。好ましくは、非極性溶媒である。なぜならば、化合物(a)と(c)との接触生成物や、化合物(a)と(b)との接触生成物と化合物(c)とが接触した接触生成物は一般的に非極性溶媒に対し溶解性が低いので、これら接触物が生成する時に反応系内に粒子(d)の群が存在する場合、生成した接触生成物が(d)の表面に析出し、より固定化されやすい、と考えられるからである。
【0104】
上記成分化合物(a)、(b)、(c)各化合物の使用量は特に限定されない。各化合物の使用量は、化合物(a)の使用量を1モルとすると、下記の関係式(1)を満足することが好ましい。
|M1の原子価−(b)のモル量−2×(c)のモル量|≦1 (1)
かかる式中、化合物(a)の使用量を1モルとした場合の化合物(b)のモル量は、好ましくは0.01〜1.99モルであり、より好ましくは0.1〜1.8モルであり、さらに好ましくは0.2〜1.5モルであり、最も好ましくは0.3〜1モルである。化合物(c)の好ましい使用量、より好ましい使用量、さらに好ましい使用量、最も好ましい使用量は、M1の原子価、化合物(b)の使用量、および上記関係式(1)によってそれぞれ算出される。
【0105】
化合物(a)および(d)の使用量は、付加重合用触媒成分(B2)に含まれる化合物(a)に由来する金属原子が、得られる粒子1gに含まれる金属原子のモル数にして、0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
【0106】
反応をより速く進行させるため、上記のような接触処理の後に、より高い温度での加熱工程を付加することが好ましい。加熱工程では、より高温とするために、沸点の高い溶媒を使用することが好ましく、加熱工程を行う際に、接触工程で用いた溶媒を他のより沸点の高い溶媒に置き換えてもよい。
【0107】
本発明の付加重合用触媒成分(B2)は、このような接触処理の結果、原料である化合物(a)、(b)、(c)および/または粒子(d)の群が未反応物として残存していてもよい。しかし、予め未反応物を除去する洗浄処理を行った方が好ましい。その際の溶媒は、接触時の溶媒と同じでも異なっていてもよい。このような洗浄処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。処理温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。処理時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。
【0108】
また、このような接触処理や洗浄処理の後、生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。より好ましくは0℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃の温度で2時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃の温度で4時間〜18時間である。
【0109】
本発明の付加重合用触媒成分(B2)の製造方法の具体例を、化合物(a)がジエチル亜鉛であり、化合物(b)がペンタフルオロフェノールであり、化合物(c)が水であり、粒子(d)がシリカである場合について更に詳細に以下に示す。テトラヒドロフランを溶媒とし、そこへジエチル亜鉛のヘキサン溶液を加え、3℃に冷却し、そこへジエチル亜鉛に対して等モル量のペンタフルオロフェノールを滴下し室温にて10分間〜24時間攪拌を行った後、更にジエチル亜鉛に対して0.5倍モル量の水を滴下し室温にて10分間〜24時間撹袢する。その後、溶媒を留去し、120℃で減圧下8時間乾燥を行う。以上の操作によって得られた固体成分に、テトラヒドロフラン、シリカを加え、40℃で2時間、0.05kW/m3以上の攪拌動力で攪拌する。固体成分をテトラヒドロフランで洗浄した後、120℃で減圧下8時間乾燥を行う。かくして本発明の付加重合用触媒成分(B2)を製造することができる。
【0110】
遷移金属化合物(A)
本発明の付加重合用触媒に用いられる遷移金属化合物(A)としては、以下に記す付加重合用触媒成分(B1またはB2)と合わせて(あるいは更に有機アルミニウム化合物(C)と合わせて)用いることにより付加重合活性を示す遷移金属化合物であれば特に限定されないが、通常、シングルサイト触媒を形成する遷移金属化合物が使用される。本発明におけるシングルサイト触媒とは、従来の固体触媒と区別される触媒であって、分子量分布が狭く均質性の高い付加重合体を製造し得る狭義のシングルサイト触媒のみならず、狭義のシングルサイト触媒と類似の製造方法で製造される、分子量分布が広く均質性の低い付加重合体を製造し得る触媒をも意味する。
【0111】
かかる遷移金属化合物(A)としては、元素の周期表第3族〜第11族またはランタノイド系列の遷移金属化合物が通常用いられ、下記式[4]で表される遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物の二量体が好ましい。
2a21b [4]
(式中、M2は元素の周期表第3族〜第11族またはランタノイド系列の遷移金属原子を表す。L2はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基を表し、複数のL2は互いに直接連結されているか、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する残基を介して連結されていてもよい。X1はハロゲン原子、炭化水素基(ただし、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を除く。)または炭化水素オキシ基を表す。aは0<a≦8を満たす数を表し、bは0<b≦8を満たす数を表す。)
【0112】
式[4]のM2としては、例えば、スカンジウム原子、イットリウム原子、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオビウム原子、タンタル原子、クロム原子、鉄原子、ルテニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子、サマリウム原子、イッテルビウム原子等を挙げられる。なかでも好ましくは、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、コバルト原子またはニッケル原子であり、より好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、特に好ましくはジルコニウム原子である。
【0113】
式[4]のL2のシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基としては、例えば、(置換)シクロペンタジエニル基、(置換)インデニル基および(置換)フルオレニル基を挙げることができる。具体的には、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル基、1−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル基、1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−イソプロピルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−イソプロピルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル基、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、2−メチルインデニル基、3−メチルインデニル基、4−メチルインデニル基、5−メチルインデニル基、6−メチルインデニル基、7−メチルインデニル基、2−tert−ブチルインデニル基、3−tert−ブチルインデニル基、4−tert−ブチルインデニル基、5−tert−ブチルインデニル基、6−tert−ブチルインデニル基、7−tert−ブチルインデニル基、2,3−ジメチルインデニル基、4,7−ジメチルインデニル基、2,4,7−トリメチルインデニル基、2−メチル−4−イソプロピルインデニル基、4,5−ベンズインデニル基、2−メチル−4,5−ベンズインデニル基、4−フェニルインデニル基、2−メチル−5−フェニルインデニル基、2−メチル−4−フェニルインデニル基、2−メチル−4−ナフチルインデニル基、フルオレニル基、2,7−ジメチルフルオレニル基および2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基を例示することができる。
【0114】
式[4]のL2に用いられるシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基の多座性ηは特に限定されなく、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基のとりうるいずれの値でもよい。例えば、5座、4座、3座、2座、単座が挙げられ、好ましくは5座、3座または単座であり、より好ましくは5座または3座である。
【0115】
式[4]におけるL2のヘテロ原子を含有する基におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子を挙げることができ、かかる基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルホスフィノ基、アリールホスフィノ基、キレート性配位子、あるいは酸素原子、硫黄原子、窒素原子および/またはリン原子を環内に有する芳香族複素環基もしくは脂肪族複素環基が好ましい。
【0116】
式[4]におけるL2のヘテロ原子を含有する基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基,2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、2−イソプロピルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、4−sec−ブチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−sec−ブチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2,6−ジメトキシフェノキシ基、3,5−ジメトキシフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、4−ニトロソフェノキシ基、4−ニトロフェノキシ基、2−アミノフェノキシ基、3−アミノフェノキシ基、4−アミノチオフェノキシ基、2,3,6−トリクロロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基、チオメトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、イソプロピルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ピロリル基、ジメチルホスフィノ基、2−(2−オキシ−1−プロピル)フェノキシ基、カテコール、レゾルシノール、4−イソプロピルカテコール、3−メトキシカテコール、1,8−ジヒドロキシナフチル基、1,2−ジヒドロキシナフチル基、2,2’−ビフエニルジオール基、1,1’−ビ−2−ナフトール基、2,2’−ジヒドロキシ−6,6’−ジメチルビフェニル基、4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−2,2’メチレンジフェノキシ基、および4,4’,6,6’−テトラメチル−2,2’−イソブチリデンジフェノキシ基を挙げることができる。
【0117】
また、上記ヘテロ原子を含有する基としては、例えば、下記式[5]で表される基も挙げることができる。
33P=N− [5]
(式中、R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、複数のR3は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のR3のうち、任意の2つ以上が互いに結合していてもよく、環構造を形成していてもよい。)
【0118】
前記式[5]におけるR3の具体例としては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへプチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、およびベンジル基を例示することができる。
【0119】
更に前記ヘテロ原子を含有する基としては下記式[6]で表される基も例示することができる。
【化1】

(式中、R4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素オキシ基、シリル基またはアミノ基を表し、複数のR4は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のR4のうち、任意の2つ以上が互いに結合していてもよく、環構造を形成していてもよい。)
【0120】
上記式[6]におけるR4の具体例として、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、tert−ブチル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−フルオレニル基、2−メチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ピリジル基、シクロヘキシル基、2−イソプロピルフェニル基、ベンジル基、メチル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2−クロロフェニル基、およびペンタフルオロフェニル基を例示することができる。
【0121】
前記式[4]におけるL2のキレート性配位子とは、複数の配位部位を有する配位子を指し、該配位子としては、例えば、アセチルアセトナート、ジイミン、オキサゾリン、ビスオキサゾリン、テルピリジン、アシルヒドラゾン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポルフィリン、クラウンエーテル、およびクリプタートを挙げることができる。
【0122】
前記式[4]におけるL2の複素環基としては、例えば、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基およびN−置換インダゾリル基を挙げることができ、なかでも、好ましくはピリジル基である。
【0123】
前記式[4]において、複数のL2が、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはリン原子を含有する残基を介して連結されている場合(すなわち、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基同士が該残基を介して連結されている場合、ヘテロ原子を含有する基同士が該残基を介して連結されている場合、またはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基とヘテロ原子を含有する基とが該残基を介して連結されている場合)、該残基として好ましくは、2つのL2と結合する原子が炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはリン原子であって、2つのL2を結合させる最小原子数が3個、2個または1個の2価の残基である。該残基として、メチレン基、エチレン基およびプロピレン基等のアルキレン基;ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)およびジフェニルメチレン基等の置換アルキレン基;シリレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、テトラメチルジシリレン基、およびジメトキシシリレン基等の置換シリレン基;窒素原子、酸素原子、硫黄原子、およびリン原子等のヘテロ原子を例示することができる。なかでも、特に好ましくは、メチレン基、エチレン基、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、ジフェニルメチレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基またはジメトキシシリレン基である。
【0124】
前記式[4]におけるX1のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができる。X1の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、およびアルケニル基を挙げることができ、なかでも、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数3〜20のアルケニル基である。
【0125】
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、およびn−エイコシル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基またはアミル基である。これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、およびパーブロモプロピル基を挙げることができる。またこれらのアルキル基は、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0126】
炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、およびアントラセニルメチル基を挙げることができ、より好ましくはベンジル基である。これらのアラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0127】
炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基を挙げることができ、より好ましくはフェニル基である。これらのアリール基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0128】
炭素原子数3〜20のアルケニル基としては、例えば、アリル基、メタリル基、クロチル基、1,3−ジフェニル−2−プロペニル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはアリル基またはメタリル基である。
【0129】
一般式[4]におけるX1の炭化水素オキシ基としては、例えば、アルコキシ基、アラルキルオキシ基およびアリールオキシ基を挙げることができ、なかでも、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基または炭素原子数6〜20のアリールオキシ基である。
【0130】
炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、およびn−イコソキシ基を挙げることができ、なかでも、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、またはtert−ブトキシ基である。これらのアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0131】
炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2、3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、およびアントラセニルメトキシ基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはベンジルオキシ基である。これらのアラルキルオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0132】
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2、3−ジメチルフェノキシ基、2、4−ジメチルフェノキシ基、2、5−ジメチルフェノキシ基、2、6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−5−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−メチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、およびアントラセノキシ基を挙げることができる。これらのアリールオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0133】
式[4]におけるX1として、より好ましくは塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシ基またはベンジル基である。
【0134】
式[4]におけるaは0<a≦8を満たす数であり、bは0<b≦8を満たす数であり、M2の価数に応じて適宜選択される。M2がチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である場合、aは2であることが好ましく、bも2であることが好ましい。
【0135】
式[4]で表される、遷移金属原子がチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(インデニル)チタンジクロライド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、ビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、
【0136】
ビス[2−(ビス−3,5−トリフルオロメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−tert−ブチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−メチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(3,5−ジメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(ペンタフルオロフェニル)インデニル]チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(インデニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(フルオレニル)チタンジクロライド、インデニル(フルオレニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(インデニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(フルオレニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、
【0137】
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、
【0138】
ジメチルシリレンビス(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−tert−ブチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、
【0139】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、
【0140】
シクロペンタジエニルチタントリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド、シクロペンタジエニル(ジメチルアミド)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(フェノキシ)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−tert−ブチルフェニル)チタンジクロライド、インデニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、フルオレニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、
【0141】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0142】
ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0143】
ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0144】
ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0145】
ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0146】
ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0147】
ジメチルシリレン(インデニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0148】
ジメチルシリレン(フルオレニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0149】
(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(ベンジルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(フェニルフォスファイド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニルジメチルシランチタンジクロライド、
【0150】
(ジメチルアミノメチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(ジメチルアミノエチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(ジメチルアミノプロピル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(N−ピロリジニルエチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロライド、(B−ジメチルアミノボラベンゼン)シクロペンタジエニルチタンジクロライド、シクロペンタジエニル(9−メシチルボラアントラセニル)チタンジクロライド、
【0151】
2,2’−チオビス[4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ]チタンジクロライド、2,2’−チオビス[4−メチル−6−(1−メチルエチル)フェノキシ]チタンジクロライド、2,2’−チオビス(4,6−ジメチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−エチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−スルフィニルビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−(4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−1,1’ビフェノキシ)チタンジクロライド、(ジ−tert−ブチル−1,3−プロパンジアミド)チタンジクロライド、(ジシクロヘキシル−1,3−プロパンジアミド)チタンジクロライド、
【0152】
[ビス(トリメチルシリル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジメチルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジエチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライド、[トリス(3,5−ジエチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライド、および[トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライドや、これらの化合物の「チタン」を「ジルコニウム」または「ハフニウム」に置き換えた化合物、「(2−フェノキシ)」を「(3−フェニル−2−フェノキシ)」、「(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)」、または「(3−tert−ブチルジメチルシリル−2−フェノキシ)」に置き換えた化合物、「ジメチルシリレン」を「メチレン」、「エチレン」、「ジメチルメチレン(イソプロピリデン)」、「ジフェニルメチレン」、「ジエチルシリレン」、「ジフェニルシリレン」、または「ジメトキシシリレン」に置き換えた化合物、「ジクロライド」を「ジフルオライド」、「ジブロマイド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル、「ジエチル」、「ジイソプロピル」、「ジフェニル」、「ジベンジル」、「ジメトキシド」、「ジエトキシド」、「ジ(n−プロポキシド)」、「ジ(イソプロポキシド)」、「ジフェノキシド」、または「ジ(ペンタフルオロフェノキシド)」に置き換えた化合物、ならびに「トリクロライド」を「トリフルオライド」、「トリブロマイド」、「トリアイオダイド」、「トリメチル」、「トリエチル」、「トリイソプロピル」、「トリフェニル」、「トリベンジル」、「トリメトキシド」、「トリエトキシド」、「トリ(n−プロポキシド)」、「トリ(イソプロポキシド)」、「トリフェノキシド」、または「トリ(ペンタフルオロフェノキシド)」に置き換えた化合物、を挙げることができる。
【0153】
式[4]で表される、遷移金属原子がニッケル原子である化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジイソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジメトキシオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジエトキシオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0154】
2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、
【0155】
2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジイソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0156】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソプロピルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソプロピルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソプロピルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソプロピルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、2,2−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−イソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0157】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソブチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソブチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−4−tert−ブチル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−イソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0158】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−tert−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−tert−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−tert−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−tert−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、
【0159】
2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−イソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0160】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、
【0161】
2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−イソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0162】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、および上記各化合物の対掌体、上記ビスオキサゾリン型化合物の一方のオキサゾリン環の不斉炭素の立体配置を逆の配置にした化合物、ならびに「ジブロマイド」を「ジフルオライド」、「ジクロライド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル」、「ジエチル」、「ジイソプロピル」、「ジフェニル」、「ジベンジル」、「ジメトキシド」、「ジエトキシド」、「ジ−n−プロポキシド」、「ジイソプロポキシド」、「ジフェノキシド」、または「ジ(ペンタフルオロフェノキシド)」に置き換えた化合物、を挙げることができる。
【0163】
式[4]で表される、遷移金属原子がニッケル原子である化合物としては、例えば、下記構造式にて表される化合物を挙げることができる。
【化2】

(式中、R5とR6はいずれも2,6−ジイソプロピルフェニル基を表し、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基あるいはR7とR8とが互いに結合したアセナフテン基を表し、X2はそれぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシ基、エトキシ基、またはフェノキシ基を表す。)
【0164】
また、上記のニッケル化合物において、「ニッケル」を「パラジウム」、「コバルト」、「ロジウム」、または「ルテニウム」に置き換えた化合物も同様に例示することができる。
【0165】
式[4]で表される、遷移金属原子が鉄である化合物としては、例えば、2,6−ビス−[1−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄ジクロライド、2,6−ビス−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄ジクロライド、および2,6−ビス−[1−(2−tert−ブチル−フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄ジクロライド、ならびに、これらの化合物の「ジクロライド」を、「ジフルオライド」、「ジブロマイド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル」、「ジエチル」、「ジメトキシド」、「ジエトキシド」、または「ジフェノキシド」に置き換えた化合物を挙げることができる。
【0166】
式[4]で表される遷移金属化合物のμ−オキソタイプの遷移金属化合物としては、例えば、μ−オキソビス[イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、およびμ−オキソビス[ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、ならびに、これらの化合物の「クロライド」を「フルオライド」、「ブロマイド」、「アイオダイド」、「メチル」、「エチル」、「イソプロピル」、「フェニル」、「ベンジル」、「メトキシド」、「エトキシド」、「n−プロポキシド」、「イソプロポキシド」、「フェノキシド」、または「ペンタフルオロフェノキシド」に置き換えた化合物を挙げることができる。
【0167】
式[4]で表される化合物以外の遷移金属化合物(A)として、[ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート]ニッケルクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジエチルピラゾリル)ボレート]ニッケルクロライド、および[ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート]ニッケルクロライド、ならびに、これらの化合物の「クロライド」を、「ブロマイド」、「アイオダイド」、「メチル」、「エチル」、「アリル」、「メタリル」、「メトキシド」、または「エトキシド」に置き換えた化合物を挙げることができる。
また、上記のニッケル化合物において、「ニッケル」を、「鉄」または「コバルト」に置き換えた化合物も同様に例示することができる。
【0168】
また、遷移金属原子がニッケル原子である化合物としては、例えば、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、酢酸ニッケル、トリフルオロ酢酸ニッケル、シアン化ニッケル、シユウ酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、ビス(アリル)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、ジクロロビス(アセトニトリル)ニッケル、ジクロロビス(ベンゾニトリル)ニッケル、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)ニッケル、ジアセトビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル、ビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル、ビス[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル、テトラアミンニッケルナイトレート、テトラキス(アセトニトリル)ニッケルテトラフルオロボレート、およびニッケルフタロシアニンを挙げることができる。
【0169】
同様に、遷移金属原子がバナジウム原子である化合物としては、例えば、バナジウムアセチルアセトナート、バナジウムテトラクロライド、およびバナジウムオキシトリクロライドを挙げることができる。また、遷移金属原子がサマリウム原子である化合物としては、例えば、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムメチルテトラヒドロフランを挙げることができる。遷移金属原子がイッテルビウム原子である化合物としては、例えば、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イッテルビウムメチルテトラヒドロフランを挙げることができる。
【0170】
これらの遷移金属化合物は一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0171】
以上に例示した遷移金属化合物のうち、本発明で用いる遷移金属化合物(A)として好ましくは、上記の式[4]で表される遷移金属化合物である。なかでも、上記式[4]におけるM2が第4族原子である遷移金属化合物が好ましく、特に式[4]におけるL2としてシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を少なくとも一つ有する遷移金属化合物が好ましい。なかでも、ジルコニウム化合物が更に好ましく、式[4]におけるL2としてシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を2つ有し、L2が互いに炭素原子、ケイ素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する残基を介して連結されているジルコニウム化合物が特に好ましい。
【0172】
式[4]で表される遷移金属化合物は、特開平6−340684号公報、特開平7−258321号公報、国際特許公開第95/00562号明細書などに記載の製造方法によって製造することが可能である。
【0173】
有機アルミニウム化合物(C)
有機アルミニウム化合物(C)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。好ましくは、下記式[7]で表される有機アルミニウム化合物である。
8dAlY3-d [7]
(式中、R8は炭化水素基を表し、R8は同じであっても異なっていてもよい。Yは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアラルキルオキシ基を表し、Yは同じであっても異なっていてもよい。dは0<d≦3を満たす数を表す。)
【0174】
上記式[7]におけるR8として好ましくは、炭素原子数1〜24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素原子数1〜24のアルキル基である。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、およびn−オクチル基を挙げることができきる。好ましくはエチル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基またはn−オクチル基である。
【0175】
また、Yにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができ、好ましくは塩素原子である。
Yにおけるアルコキシ基としては、炭素原子数1〜24のアルコキシ基が好ましく、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、およびn−イコソキシ基を挙げることができ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基またはtert−ブトキシ基である。
【0176】
Yにおけるアリールオキシ基としては、炭素原子数6〜24のアリールオキシ基が好ましい。該アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、およびアントラセノキシ基を挙げることができる。
【0177】
Yにおけるアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基が好ましい。該アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、およびアントラセニルメトキシ基を挙げることができ、好ましくはベンジルオキシ基である。
【0178】
式[7]で表される有機アルミニウム化合物(C)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、およびトリ−n−オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、およびジ−n−ヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、およびn−ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、およびジ−n−ヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、メチル(ジメトキシ)アルミニウム、メチル(ジエトキシ)アルミニウム、およびメチル(ジ−tert−ブトキシ)アルミニウム等のアルキル(ジアルコキシ)アルミニウム、ジメチル(メトキシ)アルミニウム、ジメチル(エトキシ)アルミニウム、およびジメチル(tert−ブトキシ)アルミニウム等のジアルキル(アルコキシ)アルミニウム、メチル(ジフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、およびメチルビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のアルキル(ジアリールオキシ)アルミニウム、ならびに、ジメチル(フェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、およびジメチル(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のジアルキル(アリールオキシ)アルミニウム等を挙げることができる。
【0179】
なかでも、好ましくはトリアルキルアルミニウムであり、更に好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムであり、特に好ましくはトリイソブチルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムである。
これらの有機アルミニウム化合物は一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0180】
付加重合用触媒
本発明の付加重合用触媒において、遷移金属化合物(A)の使用量は、付加重合用触媒成分(B1またはB2)1gに対し通常1×10-6〜1×10-3molであり、好ましくは5×10-6〜1×10-4molである。また有機アルミニウム化合物(C)の使用量は、遷移金属化合物(A)の遷移金属原子に対する有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル比(C)/(A)として、0.01〜10,000であることが好ましく、0.1〜5,000であることがより好ましく、1〜2,000であることが最も好ましい。
【0181】
本発明の付加重合用触媒としては、遷移金属化合物(A)および付加重合用触媒成分(B1またはB2)、場合によってはさらに有機アルミニウム化合物(C)を予め接触させて得られた反応物を用いてもよく、重合反応装置中に別々に投入して用いてもよい。遷移金属化合物(A)、付加重合用触媒成分(B1またはB2)および有機アルミニウム化合物(C)を用いる場合には、それらの内の任意の2つの成分を予め接触させて、その後もう一つの成分を接触させてもよい。
【0182】
各触媒成分を触媒調製用反応器または重合用反応器に供給する方法も、特に制限されるものではない。各成分を固体状態で供給する方法、水分や酸素等の触媒成分を失活させる成分を十分に取り除いた炭化水素化合物に溶解させた溶液状態、または懸濁もしくはスラリー化させた状態で供給する方法等が挙げられる。このときの溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物、またはメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素化合物が挙げられ、脂肪族炭化水素化合物または芳香族炭化水素化合物が好ましい。
【0183】
各触媒成分を溶液状態、または懸濁もしくはスラリー化させた状態で供給する場合、付加重合用触媒成分(B1またはB2)の濃度は、通常0.01〜1000g/リットル、好ましくは0.1〜500g/リットルである。遷移金属化合物の濃度は、付加重合用触媒成分1gあたり、通常1×10−8〜1モル/リットル、好ましくは5×10−7〜5×10−2モル/リットルである。有機アルミニウム化合物(C)の濃度は、アルミニウム原子換算で通常0.0001〜100モル/リットル、好ましくは0.01〜10モル/リットルである。
【0184】
付加重合体の製造方法
本発明の付加重合体の製造方法において、重合方法が特に限定されるものではなく、ガス状のモノマー中での気相重合、溶媒を使用する溶液重合、スラリー重合等が可能である。溶液重合、またはスラリー重合に用いる溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物、またはメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素化合物が挙げられ、あるいはオレフィン自身を溶媒に用いる(バルク重合)ことも可能である。重合方法は、回分式重合、連続式重合のいずれでも可能であり、さらに重合を反応条件の異なる2段階以上に分けて行ってもよい。重合時間は、一般に、目的とするオレフィン重合体の種類、反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。
【0185】
本発明は、付加重合体粒子の形成を伴う重合(例えばスラリー重合、気相重合、バルク重合等)に特に好適に適用される。スラリー重合は、公知のスラリー重合方法、重合条件に従って行えばよいが、それらに限定される事はない。スラリー法における好ましい重合方法として、モノマー(およびコモノマー)、供給物、稀釈剤などを必要に応じて連続的に添加し、かつ、ポリマー生成物を連続的または少なくとも周期的に取出す連続式反応器が含まれる。反応器としては、ループ反応器を使用する方法、反応器が異なったり、反応条件が異なる複数の攪拌反応器を直列または並列またはこれらの組合せなどが挙げられる。
【0186】
稀釈剤としては、例えばパラフィン、シクロパラフィンまたは芳香族炭化水素等の不活性稀釈剤(媒質)を用いることができる。重合反応器または反応帯域の温度は、通常約0℃〜約150℃、好ましくは30℃〜100℃の範囲をとることができる。圧力は通常約0.1MPa〜約10MPaに変化させることができ、好ましくは0.5MPa〜5MPaである。触媒を懸濁状態に保持し、媒質および少なくとも一部のモノマーおよびコモノマーを液相に維持し、モノマーおよびコモノマーを接触させることができる圧力をとることができる。従って、媒質、温度、および圧力は、付加重合体が固体粒子として生成され、その形態で回収されるように選択すればよい。
【0187】
付加重合体の分子量は反応帯域の温度の調節、水素の導入等、公知の各種の手段によって制御することができる。各触媒成分、モノマー(およびコモノマー)は、公知の任意の方法によって、任意の順序で反応器、または反応帯域に添加できる。例えば、各触媒成分、モノマー(およびコモノマー)を反応帯域に同時に添加する方法、逐次に添加する方法等を用いることができる。所望ならば、各触媒成分はモノマー(およびコモノマー)と接触させる前に、不活性雰囲気中において予備接触させることができる。
【0188】
気相重合は、公知の気相重合方法、重合条件に従って行えばよいが、それらに限定されることはない。気相重合反応装置としては、流動層型反応槽、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽が用いられる。反応槽内に攪拌翼が設置された反応装置でも何ら問題はない。各成分を重合槽に供給する方法としては通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する、あるいは溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する等の方法を用いることができる。各触媒成分は個別に供給してもよいし、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0189】
重合条件として、温度は重合体が溶融する温度未満、好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは30℃〜100℃の範囲である。さらに最終製品の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加しても構わない。また、重合に際して、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
【0190】
本発明においては、このような重合(本重合)の実施前に予備重合を行ってもかまわない。
【0191】
本発明の付加重合体の製造方法は、前記の本発明の付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合させる付加重合体の製造方法である。重合に使用するモノマーとしては、炭素原子数2〜20のオレフィン、ジオレフィン、環状オレフィン、アルケニル芳香族炭化水素、極性モノマー等を挙げることができ、同時に2種以上のモノマーを用いることもできる。
【0192】
これらの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のオレフィン;1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等のジオレフィン;ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−ベンジル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチル−2−ノルボルネン、5−アセチルオキシ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−エトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等の環状オレフィン;スチレン、2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン、3−フェニルプロピレン等のアルケニルベンゼン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、p−第2級ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、ジビニルベンゼン等のビスアルケニルベンゼン、1−ビニルナフタレン等のアルケニルナフタレン等のアルケニル芳香族炭化水素;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、およびそのナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のα,β−不飽和カルボン酸エステル、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル等の極性モノマーなどが挙げられる。
【0193】
本発明は、これらのモノマーの単独重合または共重合に適用される。共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、プロピレンと1−ブテン等が例示されるが、本発明はこれらに限定されるべきものではない。
【0194】
本発明の付加重合用触媒はオレフィン重合用触媒として特に好適であり、オレフィン重合体の製造方法に好適に用いられる。かかるオレフィン重合体として特に好ましくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、なかでもポリエチレン結晶構造を有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体が好ましい。ここでいうα−オレフィンとして好ましくは、炭素原子数3〜8のα−オレフィンであり、具体的には1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
【実施例】
【0195】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0196】
共重合体におけるα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量
共重合体におけるα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量は、赤外分光光度計(日本分光工業社製 FT−IR7300)を用い、エチレンとα−オレフィンの特性吸収より検量線を用いて求め、炭素原子1000個当たりの短鎖分岐数(SCB)として表した。
【0197】
メルトフローレート(MFR)
MFRは、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃にて荷重21.18N(2.16kg)で測定したメルトフローレート値である(単位:g/10分)。
【0198】
スウェル比(SR)
SRは、MFR測定時に得られたストランド径をダイの内径である2.095mmで除した値である。
【0199】
メルトフローレート比(MFRR)
MFRRは、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃、荷重211.82N(21.60kg)で測定されたメルトフローレート値を、荷重21.18N(2.16kg)で測定されたメルトフローレート値(MFR)で除した値である。上記メルトフローレート測定についてはすべて、予め酸化防止剤を1000ppm配合した重合体を用いた。
【0200】
攪拌動力
合成時の攪拌動力は、下式に従って攪拌回転数を変化することによって調節した。
Pv=Np×ρ×n3×d5÷V
(式中、Pvは攪拌動力(kW/m3)、Npは攪拌動力数(−)、ρは溶媒の密度(kg/m3)、nは攪拌翼の回転数(sec-1)、dは攪拌翼の径(m)、Vは反応液容積(m3)をそれぞれ示す。)上記式における攪拌動力数Npとして、アンカー翼に対しては0.2、3枚後退翼に対しては0.8、45°傾斜4枚パドル翼に対しては1.0の値を用いた。
【0201】
実施例1
槽径85.2mmの500mlガラス製セパラブルフラスコおよび翼径75mmのアンカー翼を用い、攪拌動力0.17kW/m3で攪拌しながら、以下の(1)および(2)に記載したように、付加重合用触媒成分(B2)の合成を行った。
(1)シリカの処理
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、溶媒としてトルエン382ml、粒子(d)の群として、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)38.6gを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン16.3mlとトルエン28.6mlの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌した。その後、得られた固体生成物をトルエン331mlで6回、洗浄を行った。その後、トルエンを110mlを加え、一晩静置した。
【0202】
(2)付加重合用触媒成分(B2)の調製
上記実施例1(1)で得られたトルエンスラリーへ、化合物(a)として2.0mol/lのジエチル亜鉛のヘキサン溶液58mlを投入し、攪拌した。その後、5℃に冷却した後、化合物(b)としてペンタフルオロフェノール10.7gと溶媒としてトルエン18.2mlの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、化合物(c)として水1.57mlを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、55℃で2時間攪拌した。その後、室温にて化合物(a)として2.0mol/lのジエチル亜鉛のヘキサン溶液39mlを投入した。5℃に冷却した後、化合物(b)として3,4,5−トリフルオロフェノール5.72gと溶媒としてトルエン12.1mlの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、化合物(c)として水1.04mlを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、40℃で2時間、更に、80℃で2時間攪拌した。攪拌を停止し残量が193mlとなるまで上澄み液を抜き出し、トルエン185mlを投入し、攪拌した。95℃に昇温し、4時間攪拌した。次いで、トルエンによる以下の洗浄操作、すなわち、(i)得られた混合物を静置し、(ii)沈降した固体(下層)とスラリー(上層)との界面が見えた時点でスラリーを取り除き、(iii)残りの固体中の液体をフィルターで除去し、(iv)固体にトルエン331mlを加え、(v)該混合物を95℃に昇温して5分間攪拌する、という操作を4回繰り返した。次いで、ヘキサンによる以下の洗浄操作、すなわち、(i)得られた混合物を静置し、(ii)沈降した固体(下層)とスラリー(上層)との界面が見えた時点でスラリーを取り除き、(iii)残りの固体中の液体をフィルターで除去し、(iv)固体にヘキサン331mlを加え、(v)該混合物を室温下で5分間攪拌する、という操作を3回繰り返した。洗浄された固体にヘキサン331mlを加えてスラリーを調製し、該スラリーの全量を減圧乾燥用の別のフラスコに移送した後、該スラリーから液体をフィルターにて除去した。得られた固体成分を減圧下、23℃で1時間乾燥を行うことにより改質された粒子(B2)70.8gを得た。
【0203】
(3)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、分子量調節剤として水素をその分圧が0.017MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.95mol%、1−ブテン=2.99mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mmol/mlに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、遷移金属化合物(A)として、濃度を2μmol/mlに調整したラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液 0.5mlを投入し、続いて固体触媒成分として上記実施例1(2)で得られた付加重合用触媒成分(B2)4.7mgを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.29mol%)をフィードしながら70℃で、1時間重合を行った。その結果、オレフィン重合体88gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.8×108g/molZrで、固体触媒成分当りの重合活性は18700g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体では、SCB=16.9、MFR=0.74g/10分、MFRR=76、SR=1.27であった。
【0204】
実施例2
(1)付加重合用触媒成分(B2)の調製
平板バッフル2個を装着した槽径85.2mmの500mlガラス製セパラブルフラスコおよび翼径28.4mmの45°傾斜4枚パドル翼を用い、攪拌動力0.40kW/m3で攪拌した以外は、実施例1(1)および(2)に記載された方法と同様にして、付加重合用触媒成分(B2)73.7gを得た。
【0205】
(2)重合
重合開始時の系内のガス組成として、水素が1.01mol%、1−ブテンが2.70mol%であり、固体触媒成分として上記実施例2(1)で得られた付加重合用触媒成分(B2)4.4mgを使用した以外は、実施例1(3)に記載の方法で重合を行った。その結果、オレフィン重合体81gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.8×108g/molZrで、固体触媒成分当りの重合活性は18400g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体では、SCB=16.4、MFR=0.69g/10分、MFRR=72、SR=1.18であった。
【0206】
比較例1
(1)付加重合用触媒成分(B2)の調製
槽径85.2mmの500mlガラス製セパラブルフラスコおよび翼径60.8mmのアンカー翼を用い、攪拌動力0.006kW/m3で攪拌した以外は、実施例1(1)および(2)に記載された方法と同様にして、付加重合用触媒成分(B2)75.4gを得た。
【0207】
(2)重合
重合開始時の系内のガス組成として、水素が1.01mol%、1−ブテンが2.44mol%であり、固体触媒成分として上記実施例2(1)で得られた付加重合用触媒成分(B2)5.0mgを使用した以外は、実施例1(3)に記載の方法と同様の方法で重合を行った。その結果、オレフィン重合体74gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.5×108g/molZrで、固体触媒成分当りの重合活性は14800g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体では、SCB=17.1、MFR=2.5g/10分、MFRR=48、SR=1.40であった。
【0208】
実施例3
(1)付加重合用触媒成分(B1)の処理
2個のフィンガーバッフルと翼径35mmの3枚後退翼を装着した槽径58mmの200mlセパラブルフラスコを窒素置換し、溶媒としてトルエン70ml、粒子(d)の群として窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)7.0gを入れて、攪拌動力0.69kW/m3で撹拌した。その後、5℃に冷却した後、東ソーファインケム社製PMAO−Sトルエン溶液(アルミニウム濃度=2.79mol/l)19.1mLを反応器内の温度を5℃に保ちながら20分間で滴下した。滴下終了後、5℃で30分間、80℃で3時間攪拌した。その後、反応器内の温度を40℃に冷却し、得られた固体生成物を40℃でトルエン70mlにて2回、室温でヘキサン70mLで1回洗浄を行った。得られた固体成分を減圧下、23℃で1時間乾燥を行うことにより付加重合用触媒成分(B1)8.48gを得た。
【0209】
(2)重合
重合開始時の系内のガス組成として、水素が0.90mol%、1−ブテンが3.58mol%であり、固体触媒成分として上記実施例3(1)で得られた付加重合用触媒成分(B1)4.7mgを使用した以外は、実施例1(3)に記載の方法と同様の方法で重合を行った。その結果、オレフィン重合体15gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は3.0×107g/molZrで、固体触媒成分当りの重合活性は3190g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体では、SCB=14.3、MFR=3.6g/10分、MFRR=33、SR=1.62であった。
【0210】
比較例2
(1)付加重合用触媒成分(B1)の調製
攪拌動力0.025kW/m3で攪拌した以外は、実施例3(1)に記載された方法と同様の方法により、付加重合用触媒成分(B1)8.52gを得た。
【0211】
(2)重合
重合開始時の系内のガス組成として、水素が0.92mol%、1−ブテンが3.58mol%であり、固体触媒成分として上記比較例2(1)で得られた付加重合用触媒成分(B1)5.2mgを使用した以外は、実施例1(3)に記載の方法と同様の方法で重合を行った。その結果、オレフィン重合体14gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は2.8×107g/molZrで、固体触媒成分当りの重合活性は2690g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体では、SCB=15.8、MFR=5.3g/10分、MFRR=33、SR=1.64であった。
【産業上の利用可能性】
【0212】
以上詳述したように本発明によれば、水素濃度がより高い重合条件下で、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒成分の製造方法、付加重合用触媒および、ならびにより高分子量の付加重合体の製造方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中で0.05kW/m3以上の攪拌動力で攪拌しながら、活性化剤化合物と、無機物質または有機ポリマーからなる粒子群とを接触させることを含む、付加重合用触媒成分の製造方法。
【請求項2】
前記活性化剤化合物が、有機アルミニウムオキシ化合物、イオン性化合物およびルイス酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項1に記載の付加重合用触媒成分の製造方法。
【請求項3】
下記式[1]で表される化合物(a)、
11m [1]
(式中、M1は元素の周期表第1、2、12、14または15族の金属原子を表し、mはM1の原子価に相当する数を表す。L1は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、L1 が複数存在する場合、複数のL1は互いに同じであっても異なっていてもよい。)
下記式[2]で表される化合物(b)、および
1t-1TH [2]
下記式[3]で表される化合物(c)、
2t-2TH2 [3]
(上記式[2],[3]において、R1は電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R1が複数存在する場合、複数のR1は互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表す。Tはそれぞれ独立に元素の周期表の第15族または第16族の原子を表し、tはTの原子価に相当する数を表す。)
並びに、無機物質または有機ポリマーからなる粒子(d)の群とを、溶媒中で攪拌しながら接触させることを含む、付加重合用触媒成分の製造方法であって、該無機物質または有機ポリマーからなる粒子(d)の群を該化合物(a)、(b)および(c)のうち少なくとも1つと接触させる時の攪拌動力、およびそれ以降の全ての接触における攪拌動力が0.05kW/m3以上である、付加重合用触媒成分の製造方法。
【請求項4】
前記攪拌動力が0.05〜50kW/m3である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の付加重合用触媒成分の製造方法。
【請求項5】
元素の周期表第3族〜第11族またはランタノイド系列の遷移金属化合物(A)、および請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた付加重合用触媒成分(B)を接触させて得られる、付加重合用触媒。
【請求項6】
元素の周期表第3族〜第11族またはランタノイド系列の遷移金属化合物(A)、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法によって得られた付加重合用触媒成分(B)、および有機アルミニウム化合物(C)を接触させて得られる、付加重合用触媒。
【請求項7】
前記の元素の周期表第3族〜第11族またはランタノイド系列の遷移金属化合物(A)が、少なくとも一つのシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する遷移金属化合物である、請求項5または6に記載の付加重合用触媒。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の付加重合用触媒を用いる、付加重合体の製造方法。
【請求項9】
前記付加重合体がオレフィン重合体である、請求項8に記載の付加重合体の製造方法。
【請求項10】
前記付加重合体がエチレンとα−オレフィンとの共重合体である、請求項8に記載の付加重合体の製造方法。

【公開番号】特開2009−235404(P2009−235404A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52414(P2009−52414)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】