説明

位相変調装置、及び位相変調装置を使った観察システム

【課題】 任意の形状の位相分布に位相変調する位相変調装置を提供する。
【解決装置】 入射光束(LL)を位相変調する位相変調装置(100)である。そして、その位相変調装置(100)は入射光束(LL)を第1光束(LL1)と第2光束(LL2)とに分割する分割部(HM)と、分割部(HM)から第1距離(D)離れた位置に第1光束の光軸上に配置され、第1光束の少なくとも一部の光束を反射させて空間変調する第1空間変調部(11)と、分割部(HM)から第1距離(D)とは異なる第2距離(D+x)離れた位置に第2光束の光軸上に配置され、第2光束の少なくとも一部の光束を反射させて空間変調する第2空間変調部(12)と、第1空間変調部(11)で空間変調された第1光束と第2空間変調部(12)で空間変調された第2光束とを同一光軸に重ね合わせた射出光束(SL)を射出する合成部(DV)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の形状の位相分布に位相変調する位相変調装置、及びその位相変調装置を使用する観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
位相板などの位相変調装置は、顕微鏡などの観察装置で広く使用されている。例えば透明な物体は光の位相を変化させるだけなので、そのままではコントラストが低く識別が難しい。そこで、特許文献1などに開示されるように、透明物体の位相変化を識別可能なコントラストに変換する位相差顕微鏡が提案されている。位相差顕微鏡はこのような透明物体の観察に適しているが、観察倍率を変更したり観察光の波長を変化させたりすると、位相板を交換しなくてはならず作業が大変であった。また、複数の位相板を用意しなければならずコストもかかっていた。
【0003】
このため特許文献1は、全ての倍率で十分な解像力や像コントラストを得ることができるように、最適な位相膜の膜幅などを提案している。
また、特許文献2に開示される位相差顕微鏡は、複数の位相板を用意しなければならないが、位相板と遮光体とを組み合わせたフィルタ部材を使用して作成が容易で安価でありながら高いコントラストを得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−84260号公報
【特許文献1】特開2008−185719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される位相板は、汎用的であるが高い解像力や像コントラストを得ることができない。特許文献2に開示される位相板は作成が容易で安価ではあるが、多くの位相板を用意しなければならないことは従前と同様であり、また位相板の管理も大変である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、任意の形状の位相分布に位相変調する位相変調装置を提供する。またこの位相変調装置を使用した観察装置を提供する。
【0007】
第1の観点の位相変調装置は、入射光束を位相変調する位相変調装置である。そして、その位相変調装置は入射光束を第1光束と第2光束とに分割する分割部と、分割部から第1距離離れた位置に第1光束の光軸上に配置され、第1光束の少なくとも一部の光束を反射させて空間変調する第1空間変調部と、分割部から第1距離とは異なる第2距離離れた位置に第2光束の光軸上に配置され、第2光束の少なくとも一部の光束を反射させて空間変調する第2空間変調部と、第1空間変調部で空間変調された第1光束と第2空間変調部で空間変調された第2光束とを同一光軸に重ね合わせた射出光束を射出する合成部と、を備える。
【0008】
第2の観点の観察システムは、第1の観点の位相変調装置と、位相変調装置で空間変調された射出光束を使う観察装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の位相変調装置は、任意の形状の位相分布を形成することができるため、位相板を複数用意する必要がない。また本発明の位相変調装置は、位相差もλ/4とかλ/2とに任意に変更できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態の第1位相変調装置100の概念断面図である。
【図2】(a)は、空間変調部であるDMD10の斜視図である。 (b)は、空間変調部であるDMD10の拡大平面図である。
【図3】第1位相変調装置100の動作を説明するための図である。
【図4】(a)は、第2位相変調装置110で使われるGLV素子40の部分斜視図である。 (b)は、(a)のA−A断面図で、可動リボン44にバイアスをかけない状態である。 (c)は、(a)のA−A断面図で、可動リボン44にバイアスをかけた凹凸状態である。
【図5】(a)は、第3位相変調装置120の概念断面図である。 (b)は、第1エレクトロクロミック素子21を示した図である。 (c)は、第2エレクトロクロミック素子22を示した図である。 (d)は、合成光SLを示した断面図である。
【図6】第4位相変調装置130の概念断面図である。
【図7】第5位相変調装置140の概念断面図である。
【図8】(a)は、第1DMD11のマイクロミラーMMの図である。 (b)は、第2DMD12のマイクロミラーMMの図である。 (c)は、第3DMD13のマイクロミラーMMの図である。 (d)は、第1反射光束RL1、第2反射光束RL2及び第3反射光束RL3を合成した合成光束SLの断面図である。
【図9】第1位相変調装置100を用いた観察システムOSの側面図である。
【図10】観察システムOSの光学系を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
<<位相変調装置100の構成>>
図1は、第1位相変調装置100の概念断面図である。第1位相変調装置100は、分割合成部である第1ハーフミラーHM1、第1空間変調部である第1DMD(Digital Micro-mirror Device)11および第2空間変調部である第2DMD12を有している。
【0012】
分割合成部は例えば2つの光束を合成して1つの光束に合成する機能と1つの光束を2つの光に分割する機能を有すればよいため、本実施形態では第1ハーフミラーHM1が用いられる。第1DMD11および第2DMD12は、複数のマイクロミラーを二次元平面に配列した素子である。なお、第1DMD11および第2DMD12は同じ構成であるため、特に区別しないときにはDMD10として説明する。DMD10については図2を参照しながら説明する。
【0013】
第1DMD11は後述する第1光束LL1にほぼ垂直になるように固定板59に取り付けられており、固定板59は第1位相変調装置100の筐体などに固定されている。また、第1DMD11の固定位置は、第1ハーフミラーHM1から距離D離れた位置である。第2DMD12は後述する第2光束LL2にほぼ垂直になるように移動板57に取り付けられている。移動板57は移動ステージ55上で移動可能に構成されている。移動ステージ55には駆動機構53と駆動モータ51とが設けられている。駆動モータ51の駆動によって、駆動機構53を介して移動板57が移動する。また、第2DMD12の固定位置は、第1ハーフミラーHM1からおよそ距離Dだけ離れた位置である。図1では、第1DMD11が固定板59に固定されているが、第2DMD12のように移動する構成でもよい。
【0014】
第2DMD12の移動量xは、数百μmもあれば十分である。第1DMD11が第1ハーフミラーHM1から距離Dだけ離れた位置であり第2DMD12も第1ハーフミラーHM1から距離Dだけ離れた位置であるため、第2DMD12は最低±λ/2の距離を移動できればよい。例えば後述するレーザ光束LLの波長λが500nmであれば、第2DMD12の移動量は500nm以上の移動量があればよい。
【0015】
第1位相変調装置100は制御部90を有している。制御部90は、第1DMD11および第2DMD12に設けられた複数のマイクロミラーを制御して光束を空間変調する。また、制御部90は駆動モータ51の駆動量を制御する。
【0016】
以下、空間変調部であるDMD10について、図2を参照しながら説明する。
図2は、空間変調部であるDMD10を説明するための図である。図2(a)は空間変調部であるDMD10の斜視図であり、図2(b)は空間変調部であるDMD10の拡大平面図である。
【0017】
図2(a)に示されたように、空間変調部であるDMD10は複数の辺長の15μm〜25μmの四角形のマイクロミラーMMをXY平面に格子状に配列した素子である。DMD10は例えば約50万個から約150万個のマイクロミラーMMが配置される。また、DMD10はマイクロミラーMM(例えばMM(i、j))を前後に±12度程度傾けることで、入射光の反射方向を変化することができる。すなわち、図1の第1DMD11にほぼ垂直に入射する第1光束LL1と、第2DMD12にほぼ垂直に入射する第2光束LL2との反射光を調整することができる。
【0018】
DMD10は、図2(b)に示されたようにXY平面において、X軸及びY軸方向にマイクロミラーMMがn個ずつ設けられている。なお、マイクロミラーMMの−X側を第1列とし、マイクロミラーMMの−Y側を第1行とする。したがって、DMD10において四隅のマイクロミラーMMは、時計方向に沿ってそれぞれにMM(1、1)、MM(1、n)、MM(n、n)及びMM(n、1)である。その他の任意のマイクロミラーMMは、MM(i、j)で示される。
【0019】
例えば図2(b)において、斜線部分のマイクロミラーMMは反射している状態を示し、白い部分のマイクロミラーMMは反射していない状態を示している。したがって、DMD10は円環状の領域を反射している。
【0020】
<<第1位相変調装置100の動作>>
第1位相変調装置100の動作について、図3を参照しながら説明する。図3は、第1位相変調装置100の動作を説明するための図である。第1位相変調装置100の周囲にパルスレーザ光源LAと第2ハーフミラーHM2とが配置されている。
なお、図3では、説明を簡単にするため、第1DMD11及び第2DMD12が3×3=9枚のマイクロミラーMMで描かれている。また、パルスレーザ光源LAから第1DMD11及び第2DMD12までのレーザ光LLとして一点鎖線で示し、第1DMD11及び第2DMD12からの反射光をレーザ光SLとして二点鎖線で示す。レーザ光LLとレーザ光SLとの光軸は一致しているが説明のためずらして描いてある。
【0021】
まず、パルスレーザ光源LAから波長λ、例えば500nmのレーザ光束LLが照射される。レーザ光LLは、第2ハーフミラーHM2を透過して第1ハーフミラーHM1に向かう。
【0022】
第1ハーフミラーHM1に向かったレーザ光LLは、第1ハーフミラーHM1で第1光束LL1と第2光束LL2とに分割される。第1ハーフミラーHM1を透過した第1光束LL1は第1DMD11に対してほぼ垂直に入射し、第1ハーフミラーHM1で反射された第2光束LL2は第2DMD12に対してほぼ垂直に入射する。ここでハーフミラーHMから第1DMD11までの距離とハーフミラーHMから第2DMD12までの距離との差xが、λ/4、すなわち125nm離れている。
【0023】
第1DMD11は、制御部90により所定のマイクロミラーMMが制御されて、第1光束LL1を空間変調する。第1DMD11は矢印AR1に示されたように、例えば網目部分のマイクロミラーMMが第1光束LL1を反射している。また、白い部分のマイクロミラーMMは第1光束LL1を反射しない。したがって、第1DMD11で反射された第1光束LL1は、十字状の領域が反射された第1反射光束RL1となる。第1DMD11で反射された第1反射光束RL1は、十字状に空間変調されて再び第1ハーフミラーHM1に入射する。
【0024】
また、第2DMD12は第2光束LL2を空間変調する。第2DMD12は矢印AR2に示されたように、斜線部分のマイクロミラーMMが第2光束LL2を反射している。また、白い部分のマイクロミラーMMは第2光束LL2を反射しない。したがって、第2DMD12で反射された第2光束LL2は、四隅の領域が反射された第2反射光束RL2となる。第2DMD12で反射された第2反射光束RL2は、四隅が反射されて再び第1ハーフミラーHM1に入射する。
【0025】
その後、第1ハーフミラーHM1は空間変調された第1反射光束RL1と第2反射光束RL2とを光軸を一致させて重ね合わせ、合成光束SLを射出する。合成光束SLは矢印AR3に示されるように断面が四角い光束である。この合成光束SLはさらに第2ハーフミラーHM2へ向かい、第2ハーフミラーHM2でパルスレーザ光源LAとは異なる方向へ進む。
【0026】
ここで、第1ハーフミラーHM1から第1DMD11までの距離と第1ハーフミラーHM1から第2DMD12までの距離との差xがλ/4である。このため第1ハーフミラーHM1から第1DMD11までの往復距離と第1ハーフミラーHM1から第2DMD12までの往復距離とは、2xすなわちλ/2の差がある。つまり、矢印AR3で示される合成光束SLは、網目部分(色の濃い部分)に示された十字状の第1反射光束RL1と斜線部分(色の薄い部分)で示された四隅の第2反射光束RL2とは、λ/2の位相差が生じている。
【0027】
したがって、第1位相変調装置100は、十字状の領域と四隅とがλ/2の位相差を有する光束を形成することができる。制御部90は、第1DMD11及び第2DMD12の各マイクロミラーMMを制御し、また第2DMD12の光軸方向の位置も制御することができる。すなわち、第1位相変調装置100は、任意の形状の位相分布を形成することができるとともに、位相差も任意に変更できる。
【0028】
(第2の実施形態)
<<位相変調装置の構成>>
第2の実施形態の位相変調装置について、図4を参照しながら説明する。図4は第2の実施形態の位相変調装置に用いられるGLV(Grating Light Valve)素子40を説明するための図である。図4(a)は、GLV素子40の部分斜視図である。図4(b)は、(a)のA−A断面図で、可動リボン44にバイアスをかけない平ら状態である。図4(c)は、(a)のA−A断面図で、可動リボン44にバイアスをかけた凹凸状態である。
【0029】
<<位相変調装置の構成>>
第1位相変調装置100において空間変調部として反射現像を利用したDMD10が用いられているが、第2位相変調装置はDMD10の替わりに回折現像を利用したGLV素子40が用いられる。この差異点のみが第1の実施形態で説明された位相変調装置100と異なっているため、以下GLV素子40について説明し、他の部分に対して説明を省略する。
【0030】
GLV素子40は、図4(a)に示されたように複数の固定リボン43と複数の可動リボン44とより構成されている。図4(a)では8本の固定リボン43及び可動リボン44のみ書かれているが、実際にGLV素子40は合計6480本の固定リボン43及び可動リボン44が交互に配置されている。また、固定リボン43及び可動リボン44の下面にはそれらに接続された共通電極45が設けられている。
【0031】
また、図4(b)に示されたように、GLV素子40は可動リボン44にバイアスをかけないで固定リボン43と同じ平面に位置し平らを形成されてもよい。したがって、第1光束LL1又は第2光束LL2が垂直にGLV素子40に入射する場合においては、平ら状態になっている固定リボン43及び可動リボン44により第1光束LL1又は第2光束LL2がそのまま逆方向に向かって反射される。このときの光束が第1反射光束RL1又は第2反射光束RL2である。
【0032】
さらに、図4(c)に示されたように、GLV素子40は可動リボン44にバイアスをかけると、静電気吸引作用で湾曲され、固定リボン43と可動リボン44とが凹凸状態となることで、回折格子が形成される。したがって、第1光束LL1又は第2光束LL2が垂直にGLV素子40に入射する場合において、固定リボン43及び可動リボン44の表面に入射された第1光束LL1又は第2光束LL2(実践矢印で示す)はそのまま逆方向に向かって反射される。このときの光束が第1反射光束RL1又は第2反射光束RL2である。一方、固定リボン43及び可動リボン44の間に入射された光束(中空矢印で示す)は、光の回折現像により第1反射光束RL1又は第2反射光束RL2と異なる方向に反射される回折光DLとなる。
【0033】
(第3の実施形態)
第3位相変調装置120について、図5を参照しながら説明する。図5は位相変調装置120を説明するための図である。図5(a)は位相変調装置120の概念断面図である。図5(b)は第1エレクトロクロミック素子21を示した断面図である。図5(c)は、第2エレクトロクロミック素子22を示した図である。図5(d)は、合成光束SLを示した断面図である。
【0034】
<<第3位相変調装置120の構成>>
第1位相変調装置100において空間変調部としてDMD10が用いられている。しかし、第3の実施形態の第3位相変調装置120はDMD10の替わりにエレクトロクロミック素子20及び反射鏡27が用いられる。また、レーザ光源LBは直線偏光、例えばP偏光のレーザ光束を照射する。レーザ光源LBと第3位相変調装置120との間に、偏光ビームスプリッタPR及びλ/4板29が配置されている。第1位相変調装置100と同じ部材には同じ符号を付し説明を割愛する。
【0035】
偏光ビームスプリッタPRはP偏光のレーザ光束を透過し、S偏光を反射する。またP偏光のレーザ光束はλ/4板29を2度通過することでS偏光に偏光の軸を90度回転させることができる。
【0036】
エレクトロクロミック素子20はエレクトロクロミック材と電極とを有している。エレクトロクロミック材は、電圧をかけることで、光の透過率を調整できる特性を持つ材料である。第3の実施形態では、エレクトロクロミック特性を示す有機/金属ハイブリッドポリマーが用いられる。この有機/金属ハイブリッドポリマーは、金属イオンと有機分子とが数珠つなぎになった材料である。
【0037】
エレクトロクロミック素子20を構成するエレクトロクロミック材はそれに印加された電圧の符号と強度とを任意かつ独立に変化することができ、エレクトロクロミック材の透過率はそれに印加される電圧の符号(プラスマイナス)も含めた変化に基づいて変化する。
【0038】
<<第3位相変調装置120の動作>>
以下、第3位相変調装置120の動作について説明する。
【0039】
まず、パルスレーザ光源LAから波長λ、例えば500nmのP偏光のレーザ光束PLが照射される。P偏光のレーザ光PLは、偏光ビームスプリッタPRを透過してλ/4板29に入射する。λ/4板29はP偏光のレーザ光PLを偏光の軸を45度回転させ円偏光にする。円偏光のレーザ光PLは、第1ハーフミラーHM1に向かう。
【0040】
第1ハーフミラーHM1に向かったレーザ光PLは、第1ハーフミラーHM1で第1光束PL1と第2光束LL2とに分割される。第1ハーフミラーHM1を透過した第1光束PL1は第1エレクトロクロミック素子21に対してほぼ垂直に入射し、第1ハーフミラーHM1で反射された第2光束PL2は第2エレクトロクロミック素子22に対してほぼ垂直に入射する。ここで第1ハーフミラーHM1から第1エレクトロクロミック素子21までの距離と第1ハーフミラーHM1から第2エレクトロクロミック素子22までの距離との差xが、λ/4、すなわち125nm離れている。
【0041】
また、制御部90により所定のエレクトロクロミック材が制御されて、第1エレクトロクロミック素子21は第1光束PL1を空間変調する。空間変調された第1光束PL1は、反射鏡27で反射され第1反射光束RL1となる。第1エレクトロクロミック素子21及び反射鏡27は図5(b)に示されたように、例えば網目部分の領域が第1光束PL1を反射している。また、第1エレクトロクロミック素子21及び反射鏡27は白い部分の領域の第1光束PL1を反射しない。したがって、第1エレクトロクロミック素子21及び反射鏡27で反射された第1光束PL1は、十字状の領域が反射された第1反射光束RL1となる。第1反射光束RL1は、十字状に空間変調されて再び第1ハーフミラーHM1に入射する。
【0042】
第2エレクトロクロミック素子22は第2光束PL2を空間変調する。第2エレクトロクロミック素子22は図5(c)に示されたように、斜線部分の領域が第2光束PL2を反射している。また、第2エレクトロクロミック素子22及び反射鏡27は白い部分の領域の第2光束PL2を反射しない。したがって、第2エレクトロクロミック素子22及び反射鏡27で反射された第2光束PL2は、四隅の領域が反射された第2反射光束RL2となる。第2反射光束RL2は、四隅が反射されて再び第1ハーフミラーHM1に入射する。
【0043】
その後、第1ハーフミラーHM1は、空間変調された第1反射光束RL1と第2反射光束RL2とを光軸を合わせて重ね合わせ、図5(d)に示された合成光束SLを射出する。合成光束SLはさらにλ/4板29に向かう。λ/4板29は、円偏光のレーザ光PLを45度回転させS偏光にする。S偏光の合成光束SLはさらに偏光ビームスプリッタPRへ向かい、偏光ビームスプリッタPRはP偏光の合成光束SLを反射させる。
【0044】
ここで、第1ハーフミラーHM1から第1エレクトロクロミック素子21までの距離と第1ハーフミラーHM1から第2エレクトロクロミック素子22までの距離との差xがλ/4である。すなわち矢印AR3で示される合成光束SLは、網目部分(色の濃い部分)に示された十字状の第1反射光束RL1と斜線部分(色の薄い部分)で示された四隅の第2反射光束RL2とは、λ/2の位相差が生じている。
【0045】
したがって、第3位相変調装置120は、十字状の領域と四隅とがλ/2の位相差を有する光束を形成することができる。制御部90は、第1エレクトロクロミック素子21及び第2エレクトロクロミック素子22を制御し、また第2エレクトロクロミック素子22の光軸方向の位置も制御することができる。すなわち、第3位相変調装置120は、任意の形状の位相分布を形成することができるとともに、位相差も任意に変更できる。また、第1の実施形態の第2ハーフミラーHM2に代えて、偏光光、偏光ビームスプリッタPR及びλ/4板29を使用することで、レーザ光束の利用をより効率にしている。
【0046】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の位相変調装置130について、図6を参照しながら説明する。図6は、位相変調装置130の概念断面図である。
【0047】
<<第4位相変調装置130の構成>>
第4の実施形態の第4位相変調装置130は、第1位相変調装置100のDMD10の替わりに液晶素子アレイ30及び反射鏡27が用いられる。また、パルスレーザ光源LAの替わりにP偏光及びS偏光の両方を照射するレーザ光源LCが用いられる。第1ハーフミラーHM1の替わりに偏光ビームプリズムPBSが設けられている。第2ハーフミラーHM2の周囲には偏光板38が設けられている。これらの差異点が第1位相変調装置100と異なり、他の部分は同じである。同じ部材には同じ符号を付しており説明を省略する。
【0048】
液晶素子アレイ30は、液晶素子アレイ30を構成する各単位液晶素子(アレイとなって配列されている個々の素子)に印加する電圧を調整することにより、各単位液晶素子のリターデーションを調節する。これによって、液晶素子アレイ30を通過し反射鏡27で反射して、P偏光又はS偏光のレーザ光束の反射の領域を変えることができる。
【0049】
第4の実施形態において偏光ビームプリズムPBSは、入射した光をその偏光成分により分離させる光学素子である。例えば所定の偏光光(P偏光)を通過させ、別の偏光光(S偏光)を反射する光学素子である。
【0050】
<<第4位相変調装置130の動作>>
以下、第4位相変調装置130の動作について説明する。
【0051】
まず、レーザ光源LCからP偏光とS偏光とを含んだ偏光光束PLが照射される。偏光光PLは、第2ハーフミラーHM2を透過して偏光ビームプリズムPBSに向かう。
【0052】
偏光ビームームプリズムPBSに向かった偏光光PLは、偏光ビームプリズムPBSの偏光面S1でP偏光PL1とS偏光PL2とに分割される。偏光ビームプリズムPBSを透過したP偏光PL1は第1液晶素子アレイ31に対してほぼ垂直に入射し、偏光ビームプリズムPBSの偏光面S1で反射されたS偏光PL2は第2液晶素子アレイ32に対してほぼ垂直に入射する。ここで、偏光ビームプリズムPBSから第1液晶素子アレイ31までの距離と偏光ビームプリズムPBSから第2液晶素子アレイ32までの距離との差xが、λ/4、すなわち125nm離れている。
【0053】
また、制御部90により所定の液晶素子が制御されて、第1液晶素子アレイ31はP偏光PL1を空間変調する。空間変調されたP偏光PL1は、反射鏡27で反射され第1反射光束RL1となる。第1反射光束RL1は、第1ハーフミラーHM1に入射する。
【0054】
第2液晶素子アレイ32はS偏光PLを空間変調する。第2液晶素子アレイ32及び反射鏡27で反射された第2光束PL2は、第1ハーフミラーHM1に入射する。
【0055】
その後、偏光ビームプリズムPBSに入射したP偏光は偏光ビームプリズムPBSの偏光面S1を透過し再び第2ハーフミラーHM2に向かう。また、偏光ビームプリズムPBSに入射した第2反射光束RL2は偏光ビームプリズムPBSの偏光面S1に反射され第2ハーフミラーHM2に向かう。したがって、第2ハーフミラーHM2に向かう第1反射光束RL1と第2反射光束RL2とは偏光ビームプリズムPBSにより合成光束SLに合成される。合成光束SLは、さらに第2ハーフミラーHM2でパルスレーザ光源LAとは異なる方向へ進む。ここで、偏光板38がP偏光とS偏光とを含む合成光束SLを、同じ偏光にする。このようにしてビームプリズムPBSで合成された合成光束SLは偏光の軸が同一になる。
【0056】
ここで、偏光ビームプリズムPBSから第1液晶素子アレイ31までの往復距離と偏光ビームプリズムPBSから第2液晶素子アレイ32までの往復距離とは、2xすなわちλ/2の差がある。すなわち、合成光束SLは、第1液晶素子アレイ31で反射された第1反射光束RL1と第2液晶素子アレイ32で反射された第2反射光束RL2とが、λ/2の位相差を生じている。
【0057】
したがって、制御部90は、第1液晶素子アレイ31及び第2液晶素子アレイ32を制御し、また第2液晶素子アレイ32の光軸方向の位置も制御することができる。すなわち、第4位相変調装置130は、任意の形状の位相分布を形成することができるとともに、位相差も任意に変更できる。また、第1の実施形態の第1ハーフミラーHM1に代えて、偏光光、偏光ビームプリズムPBS及びλ/4板29を使用することで、レーザ光束の利用をより効率にしている。
【0058】
(第5の実施形態)
第5実施形態の第5位相変調装置140について、図7及び図8を参照しながら説明する。図7は、第5位相変調装置140の概念断面図である。図8(a)は、第1反射光束RL1の断面図である。図8(b)は、第2反射光束RL2の断面図である。図8(c)は、第3反射光束RL3の断面図である。図8(d)は、第1反射光束RL1、第2反射光束RL2及び第3反射光束RL3を合成した合成光束SLの断面図である。
【0059】
<<第5位相変調装置140の構成>>
第5実施形態の第5位相変調装置140は、第3ハーフミラーHM3及び第3空間変調部である第3DMD13が付属されている点が異なっている。なお、第3ハーフミラーHM3は第1の実施形態の第1ハーフミラーHM1と同じ構成である。第3DMD13は第1の実施形態の第2DMD12と同じ構成である。また、駆動モータ51、駆動機構53移動ステージ55及び移動板57は、第1実施形態と同じである。第2DMD12の駆動モータなどには接尾にAを付し、第3DMD13の駆動モータなどには接尾にBを付けて区別する。その他第1形態と同じ部材には同じ符号を付す。
【0060】
第5実施形態において、第3ハーフミラーHM3は第2ハーフミラーHM2と第1ハーフミラーHM1との間に設けられている。また、第3DMD13は第3ハーフミラーHM3の反射光の光軸にほぼ垂直に配置されている。また、第1ハーフミラーHM1と第3ハーフミラーHM3の間の距離がHである場合、第3DMD13は、第3ハーフミラーHM3から距離D+H+λ/8だけ離れた位置に配置される。
【0061】
<<第5位相変調装置140の動作>>
まず、パルスレーザ光源LAから波長λ、例えば500nmのレーザ光束LLが照射される。レーザ光LLは、第2ハーフミラーHM2を透過して第3ハーフミラーHM3に向かう。
【0062】
第3ハーフミラーHM3に向かったレーザ光LLは、第3ハーフミラーHM3で第1光束LL1(及び第2光束LL2)と第3光束LL3とに分割される。第3ハーフミラーHM3を透過した第1光束LL1及び第2光束LL2は第1ハーフミラーHM1に入射する。一方、第3ハーフミラーHM3で反射された第3光束LL3は第3DMD13に対してほぼ垂直に入射する。
【0063】
第1ハーフミラーHM1に入射された第1光束LL1及び第2光束LL2は、第1ハーフミラーHM1により分割される。第1ハーフミラーHM1を透過した第1光束LL1は第1DMD11に対してほぼ垂直に入射し、第1ハーフミラーHM1で反射された第2光束LL2は第2DMD12に対してほぼ垂直に入射する。
【0064】
ここで、第3ハーフミラーHM3から第1DMD11までの距離と第3ハーフミラーHM3から第2DMD12までの距離との差xが、λ/4、すなわち125nm離れている。また、第3ハーフミラーHM3から第1DMD11までの距離と第3ハーフミラーHM3から第3DMD13までの距離との差xが、λ/8、すなわち62.5nm離れている。
【0065】
第1DMD11は、制御部90により所定のマイクロミラーMMが制御されて、第1光束LL1を空間変調する。第1DMD11は図8(a)に示されたように、例えば網目部分のマイクロミラーMMが第1光束LL1を反射している。また、白い部分のマイクロミラーMMは第1光束LL1を反射しない。第1DMD11で反射された第1光束LL1は、4辺の中央領域が反射された第1反射光束RL1となる。第1DMD11で反射された第1反射光束RL1は、空間変調されて再び第1ハーフミラーHM1に入射し、次に第3ハーフミラーHM3に入射する。
【0066】
また、第2DMD12は第2光束LL2を空間変調する。第2DMD12は図8(b)に示されたように、斜線部分のマイクロミラーMMが第2光束LL2を反射している。また、白い部分のマイクロミラーMMは第2光束LL2を反射しない。したがって、第2DMD12で反射された第2光束LL2は、四隅の領域が反射された第2反射光束RL2となる。第2DMD12で反射された第2反射光束RL2は、再び第1ハーフミラーHM1に入射し、次に第3ハーフミラーHM3に入射する。
【0067】
また、第3DMD13は第3光束LL3を空間変調する。第3DMD13は図8(c)に示されたように、中央の色の濃い部分のマイクロミラーMMが第3光束LL3を反射している。また、白い部分のマイクロミラーMMは第3光束LL3を反射しない。したがって、第3DMD13で反射された第3光束LL3は、中央のみの領域が反射された第3反射光束RL3となる。第3DMD13で反射された第3反射光束RL3は、再び第3ハーフミラーHM3に入射する。
【0068】
その後、第3ハーフミラーHM3は空間変調された第1反射光束RL1、第2反射光束RL2、および第3反射光束RL3を光軸を一致させて重ね合わせ、合成光束SLを射出する。合成光束SLは図8(d)に示されるように断面が四角い光束である。この合成光束SLはさらに第2ハーフミラーHM2へ向かい、第2ハーフミラーHM2でパルスレーザ光源LAとは異なる方向へ進む。
【0069】
ここで、第3ハーフミラーHM3から第1DMD11までの往復距離と第3ハーフミラーHM3から第2DMD12までの往復距離とは、2xすなわちλ/2の差がある。第3ハーフミラーHM3から第1DMD11までの往復距離と第3ハーフミラーHM3から第3DMD13までの往復距離とは、2xすなわちλ/4の差がある。つまり、図8(d)で示される合成光束SLは、中央の一番色の濃い部分、網目部分(次に色の濃い部分)に示された4辺の中央領域と斜線部分(色の薄い部分)で示された四隅領域とは、それぞれがλ/4の位相差が生じている。
【0070】
その後、合成光束SLはさらに第2ハーフミラーHM2へ向かい、第2ハーフミラーHM2でパルスレーザ光源LAとは異なる方向へ進む。
第5位相変調装置140は、任意の形状の位相分布を形成することができるとともに、3つの位相差も任意に変更できる。特に実施形態として示さないが、第2実施形態から第4実施形態までの構成と入れ替えてもよい。
【0071】
<観察システムOSの構成>
観察システムOSは、第1位相変調装置100から第5位相変調装置140のいずれかを用いている。図9は、第1位相変調装置100を用いた観察システムOSの側面図である。
【0072】
図9に示されたように、観察システムOSは内部にパルスレーザ光源LAを有するランプハウス71と、内部に後述するコンデンサレンズ82を収納したコンデンサ筒72とからなる照明光学系70を有している。また、ランプハウス71とコンデンサ筒72との間においてコンデンサレンズ82の焦点位置の近傍に光軸に対して直交する方向のスライド可能にスライダ80が設けられている。また、その照明光学系70は、L形の照明支柱73の上端部側に支持されている。照明支柱73の下端部側は観察物体(標本)83を載置する標本載置台74の後端部に固定され、標本載置台74は顕微鏡本体75に固定されている。
【0073】
顕微鏡本体75には、接眼レンズ76を有する鏡筒77が垂直線に対して所定角度傾斜した状態で固定されている。また、顕微鏡本体75にはレボルバ78がピント合わせのための上下動かつ対物レンズ交換のための回転が可能なように支持され、レボルバ78には倍率の異なる例えば10x,20x,40xの複数の対物レンズ79が取り付けられている。
【0074】
また、レボルバ78及び対物レンズ79の下方には第1位相変調装置100が内蔵されている。第1位相変調装置100は、照明光学系70により照射さられた観察物体(標本)83の像に位相差を生じさせることで、観察物体(標本)83をよりはっきり観察することができる。
【0075】
<観察システムOSの光学系>
以下、観察システムOSの光学系について、図10を参照しながら説明する。図10は、観察システムOSの光学系を示した図である。
【0076】
まず、ランプハウス71に内蔵されたパルスレーザ光源LAからの光束は、スライダ80の中央部に配置されたリングスリット81に入射する。リングスリット81を通過した光束は、コンデンサ筒72に収納されたコンデンサレンズ82に入射し、コンデンサレンズ82により平行光となる。コンデンサレンズ82により平行光となった光束は、標本載置台74に載置されている観察物体(標本)83に照射する。そして、観察物体(標本)83を透過した光束は、レボルバ78に設けられた対物レンズ79に入射し、対物レンズ79を通過してまず第2ハーフミラーHM2に導かれる。
【0077】
第2ハーフミラーHM2に反射された光束は、第1位相変調装置100に入射する。第1ハーフミラーHM1を通過した光束は、第1DMD11に入射して第1DMD11のマイクロミラーMMに集光される。一方、第1ハーフミラーHM1で反射された光束は第2DMD12に入射して第2DMD12のマイクロミラーMMに集光される。
【0078】
第1DMD11及び第2DMD12は、それぞれの光束を空間変調する。そして第1DMD11と第2DMD12との位相差が調整される。観察物体83に応じて又はパルスレーザ光源LAの波長に応じて、第1DMD11及び第2DMD12は、任意の形状の位相分布を形成し、また位相差も任意に変更できる。
【0079】
第1DMD11により空間変調された光束は、第1ハーフミラーHM1及び第2ハーフミラーHM2を順次に通過する。また、第2DMD12により空間変調された光束は、第1ハーフミラーHM1に反射され第2ハーフミラーHM2を透過する。そして、位相変調装置100により位相変調された光束は鏡筒77を通過して接眼レンズ76に入射する。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上、第1の実施例から第5の実施例まで最適な実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、その技術的範囲内において実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 … DMD
11 … 第1DMD、 12 … 第2DMD、 13 … 第3DMD
20 … エレクトロクロミック素子
21 … 第1エレクトロクロミック素子、 22 … 第2エレクトロクロミック素子
30 … 液晶素子アレイ
31 … 第1液晶素子アレイ、 32 … 第2液晶素子アレイ
40 … GLV素子
41 … 第1GLV素子、 42 … 第2GLV素子
43 … 固定リボン、 44 … 可動リボン
45 … 共通電極
51、51A、51B … 駆動モータ
53、53A、53B … 駆動機構
55、55A、55B … 移動ステージ
57、57A、57B … 移動板
59、59A、59B … 固定板
67、69 … 反射鏡
70 … 照明光学系
71 … ランプハウス
72 … コンデンサ筒
73 … 照明支柱
74 … 標本載置台
75 … 顕微鏡本体
76 … 接眼レンズ
77 … 鏡筒
78 … レボルバ
79 … 対物レンズ
80 … スライダ
81 … リングスリット
82 … コンデンサレンズ
83 … 観察物体(標本)
90 … 制御部
100 … 第1位相変調装置、 110 … 第2位相変調装置
120 … 第3位相変調装置、 130 … 第4位相変調装置
140 … 第5位相変調装置
HM … ハーフミラー
HM1 … 第1ハーフミラー、 HM2 … 第2ハーフミラー
LA … パルスレーザ光源
LL … レーザ光束
LL1 … 第1光束、 LL2 … 第2光束、 LL3 … 第3光束
MM … マイクロミラー
OS … 観察システム
PBS … 偏光ビームプリズム
PL1 … P偏光、 PL2 … S偏光
RL1 … 第1反射光束、 RL2 … 第2反射光束、 RL3 … 第2反射光束
SL … 合成光束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光束を位相変調する位相変調装置であって、
前記入射光束を第1光束と第2光束とに分割する分割部と、
前記分割部から第1距離離れた位置に前記第1光束の光軸上に配置され、前記第1光束の少なくとも一部の光束を反射させて空間変調する第1空間変調部と、
前記分割部から前記第1距離とは異なる第2距離離れた位置に前記第2光束の光軸上に配置され、前記第2光束の少なくとも一部の光束を反射させて空間変調する第2空間変調部と、
前記第1空間変調部で空間変調された第1光束と前記第2空間変調部で空間変調された第2光束とを同一光軸に重ね合わせた射出光束を射出する合成部と、
を備える位相変調装置。
【請求項2】
前記第1空間変調部及び第2空間変調部の空間変調を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1空間変調部が空間変調した領域と前記第2空間変調部が空間変調した領域とが重なり合わないように制御する請求項1に記載の位相変調装置。
【請求項3】
前記第1空間変調部を前記第1光束の光軸方向に移動させ又は前記第2空間変調部を前記第2光束の光軸方向に移動させる移動部を備える請求項1又は請求項2に記載の位相変調装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記第1空間変調部又は前記第2空間変調部を前記入射光束の波長以下の距離だけ移動させる請求項3に記載の位相変調装置。
【請求項5】
前記分割部と合成部とは一体物である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位相変調装置。
【請求項6】
前記一体物は、偏光ビームスプリッタ又はハーフミラーを含む請求項5に記載の位相変調装置。
【請求項7】
前記第1空間変調部及び第2空間変調部は、可動式のマイクロミラーを駆動して光束を反射させるデバイスを含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の位相変調装置。
【請求項8】
前記第1空間変調部及び第2空間変調部は、回折現象を利用して前記光束を反射させるデバイスを含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の位相変調装置。
【請求項9】
前記第1空間変調部及び第2空間変調部は、液晶又はエレクトロクロミック素子及び反射ミラーを組み合わせたデバイスを含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の位相変調装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載された位相変調装置と、
前記位相変調装置で空間変調された前記射出光束を使う観察装置と、
を備える観察システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−2698(P2011−2698A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146380(P2009−146380)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】