説明

位置センサ及びリソグラフィ装置

【課題】コンパクトなユニット内に組み込むことができ、複数の自由度の位置測定値を提供できる位置センサを提供する。
【解決手段】位置センサは、ターゲットの位置データを測定するように構成される。位置センサは、放射ビームを照射するように構成された放射源と、放射ビームを第1の回折方向に少なくとも1つの1次放射ビームに回折するように構成された第1の格子と、1次回折ビームの光路内に配置され、第1の格子で回折された1次回折ビームを、第1の回折方向に実質的に垂直な第2の回折方向に回折するように構成された第2の格子とを含む。第2の格子はターゲットに接続される。第1の検出器は、第1の格子によって回折されたビームの少なくとも一部を検出するように構成され、少なくとも1つの第2の検出器は第1の格子と第2の格子によって回折されたビームの少なくとも一部を検出するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、位置センサ、そのような位置センサを含むリソグラフィ装置及びそのような位置センサの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へとパターンを転写することが可能である。
【0003】
[0003] リソグラフィ分野における現在の傾向は、スループットの増大(すなわち、時間単位当たりの処理可能なウェーハ数の増加)とパターンの解像度の増大、すなわち、基板上に提供されるパターンの寸法の低減へ向かっている。これらの要件は、例えば、基板を支持する基板テーブルのスキャン速度の増大と、基板テーブル、パターニングデバイスなど位置決め精度の向上と言い換えることができる。速度のそのような増大は、比較的軽量のステージ(基板ステージ又はマスクステージなど)の使用を必要とする。そうした速い速度とそれに対応する加速度が与えられると、そのような軽量の構造は共振を引き起こすことがある。言い換えれば剛体質量として振舞わないことがある。そのような非剛体挙動に対処するため、過剰決定された位置センシング情報を入手してそれによって基板テーブル、パターニングデバイス支持体などの部分の非剛体挙動を検知するマルチプルポジションセンシングが提案されている。非剛体挙動に関して、例えば、共振、屈曲、膨張などに関して得られたデータをアクチュエータ制御システム内に適用してそのような挙動を補償し、及び/又は抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004] コンパクトなユニット内に組み込むことができ、複数の自由度の位置測定値を提供できる位置センサを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005] 本発明の一実施形態によれば、ターゲットの位置データを測定するように構成された位置センサであって、
伝搬方向と、放射ビームの伝搬方向に垂直で、互いに垂直な方向として画定された第1及び第2の回折方向とを有する放射ビームを照射するように構成された光源と、
放射ビームを、回折のために、第1の回折方向に伝搬方向成分を有する少なくとも第1の回折ビーム内に回折するように構成された第1の格子と、
第1の回折ビームの光路内に配置され、第1の格子で回折された第1の回折ビームを、回折によって、第1の回折方向に垂直な第2の回折方向に伝搬方向成分を有する少なくとも第2の回折ビーム内に回折するように構成された第2の格子であって、ターゲットに接続された第2の格子と、
第1の格子によって回折された第1の回折ビームの少なくとも一部を検出するように構成された第1の検出器と、
第1の格子と第2の格子によって回折された第2の回折ビームの少なくとも一部を検出するように構成された少なくとも1つの第2の検出器と
を含む位置センサが提供される。
【0006】
[0006] 本発明の別の実施形態では、パターニングデバイスから基板上へパターンを転写するように配置されたリソグラフィ装置であって、ステージの位置を測定するように構成された本発明の一態様によるステージと、少なくとも1つの位置センサとを含むリソグラフィ装置が提供される。
【0007】
[0007] 本発明のさらに別の実施形態では、位置データを測定するように構成された位置センサであって、位置センサは、
伝搬方向と、放射ビームの伝搬方向に垂直で、互いに垂直な方向として画定された第1及び第2の回折方向とを有する放射ビームを照射するように構成された光源と、
第1の回折方向の放射ビームを、回折のために、第1の回折方向に伝搬方向成分を有する少なくとも第1の回折ビーム内に回折するように構成された第1の格子と、
回折ビームを第1の格子へ反射して第1の格子によって再び回折する第1のレトロリフレクタと、
第1の格子によって回折されたビームの少なくとも一部を検出するように構成された少なくとも1つの検出器とを含み、
第1のレトロリフレクタは、第1の格子の第1の伝搬方向に沿って見て実質的に同じ位置に入射するように回折ビームを反射するように構成された位置センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【図1】[0009]本発明を具体化できるリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】[0010]本発明の一実施形態による位置センサの概略図である。
【図3】[0011]本発明の別の実施形態による位置センサの概略図である。
【図4】[0012]本発明のさらに別の実施形態による位置センサの概略図である。
【図5】[0013]図4の位置センサの一部の詳細図である。
【図6】[0014](A)乃至(C)は、本発明のさらに別の実施形態による位置センサの概略図である。
【図7】[0015]本発明のさらに別の実施形態による位置センサの概略図である。
【図8】[0016](A)乃至(C)は、本発明のさらに別の実施形態による位置センサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0017] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又は任意の他の適切な放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に配置するように構成された第1の位置決めデバイスPMに接続されたパターニングデバイス支持構造(例えば、マスクテーブル)MTとを含む。この装置は、また、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に配置するように構成された第2の位置決めデバイスPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WT又は「基板支持体」を含む。さらに、この装置は、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上にパターニングデバイスMAによって放射ビームBへ付与されたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSを含む。
【0010】
[0018] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0011】
[0019] パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。このパターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。パターニングデバイス支持体は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0012】
[0020] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0013】
[0021] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0014】
[0022] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0015】
[0023] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0016】
[0024] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル又は「基板支持体」(及び/又は2つ以上のマスクテーブル又は「マスク支持体」)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル又は支持体を並行して使用するか、又は1つ又は複数の他のテーブル又は支持体を露光に使用している間に1つ又は複数のテーブル又は支持体で予備工程を実行することができる。
【0017】
[0025] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)と投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0018】
[0026] 図1を参照すると、照明システムILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源及びリソグラフィ装置は、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOから照明システムILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及び照明システムILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0019】
[0027] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように設定されたアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0020】
[0028] 放射ビームBは、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1の位置決めデバイスPMと別の位置センサ(図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。一般に、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWT又は「基板支持体」の移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイス(例えばマスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0021】
[0029] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードにおいては、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT又は「マスク支持体」及び基板テーブルWT又は「基板支持体」は、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWT又は「基板支持体」がX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードにおいては、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT又は「マスク支持体」及び基板テーブルWT又は「基板支持体」は同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT又は「マスク支持体」に対する基板テーブルWT又は「基板支持体」の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、パターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MT又は「マスク支持体」はプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWT又は「基板支持体」を移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWT又は「基板支持体」を移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0022】
[0030] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0023】
[0031] 図2は、ターゲットTAの傾斜TLを検出するように配置された位置センサの側面図を示す。位置センサは、光源又は放射源、すなわち、可視、赤外又は紫外波長の単色ビームなどの放射ビームを伝送する送信機TRを含む。送信機TRは、ビームの方向に実質的に垂直に位置する第1の格子GR1へビームを放出する。1次及び−1次回折ビームが生成される(ゼロ次などのその他の次数も生成され得るが図示していない。これについては後述する)。1次及び−1次回折ビームは、ターゲットTAの表面に反射し(反射及び/又はゼロ次効果によって)、それによって第1の格子GR1に再度到達し、再度回折する。この実施形態では、1次回折は、第1のレトロリフレクタRFL1に入射し、同じ経路を第1の検出器SE1へ戻り(斜視図で分かるように)、それによって再び第1の格子によって2回回折される。レトロリフレクタは、角の立方体によって形成でき、反射したビームをy方向に(すなわち、図の方向に)平行移動させる。第1の格子GR1が2次元(例えば、交差)格子であって反射面である場合には、別のレトロリフレクタアーキテクチャが提供される。すなわち、第1の格子GR1は、ビームをY方向に偏向し、次に、反射面と第1の格子GR1とに当たり、ビームをターゲットTA側へ曲げる。以下のように傾斜感度が得られる。第1に、図2に示すように、ターゲットTAの傾斜TLは、第1の格子の上部でこの例では距離SHだけ、ターゲットTAから反射したビームを移動させる。それによって、そのような傾斜の間に、格子GR1の周期的な性質によって第1の検出器SE1で受信された強度の(周期的な)変化が発生する。第2に、ターゲットが傾斜のために上昇する一方の経路とターゲットが傾斜のために下降する他方の経路についてレトロリフレクタへ向かう総経路長は増大する。したがって、2つの経路に沿ったビームの組合せは位相差を生じ、検出器SE1が受信する振幅が変化する。第1のレトロリフレクタRFL1はこの実施形態では1次ビームを反射するように構成されているので、この実施形態では経路長と格子のそれぞれの効果が相乗されて感度が向上する。経路長と位相差の効果の組合せによって位置検出感度を向上させることができる。さらに、感度の検出だけが必要なため、フォトダイオード(すなわち、安定し、便利で低コストの品目)を検出器として使用できる。振幅の変化によって位置検知デバイスの代わりにフォトダイオードを検出に使用でき、無線検知が可能になる。レトロリフレクタは、第1の格子による回折の回折方向から見てレトロリフレクタに到達する前のビームの回折と実質的に同じ第1の格子上の位置で反射するように配置されている。回折ビームがその方向に成分を有する第1の格子による回折の方向は、本明細書では第1の回折方向とも呼ばれる。送信機からレトロリフレクタへ向かうビームが受ける位相効果及び/又は経路長効果はレトロリフレクタから検出器への光路で実質的に再現され、これが位置センサの感度にプラスに作用する。
【0024】
[0032] 図3は、図2の実施形態の変形例の斜視図を示す。ここで、図2の実施形態とは異なり、2回回折したビームの1次及び−1次ビームの両方はレトロリフレクタ(この例では隅の立方体)によって反射され、寄与の組合せが第1の検出器SE1によって受け取られる。格子の周期的な性格の上記の効果はここでは1次回折の増大と−1次回折の低減及びその逆の組合せとして使用される。格子GR1上の第1の回折の1次回折と−1次回折の一方だけが適用されるため、経路長変化の効果は打ち消される。
【0025】
[0033] 図4は、図2に関して説明したのと同じセンサであるが、干渉計が追加され、干渉計のビームが送信機からの第1の回折におけるゼロ次回折ビームによって形成されるセンサを示す。ある程度の傾斜感度(及びz方向に増大する測定感度)を達成するため、干渉計はターゲット上に2回反射するように配置されている。図4に示す構成は、ターゲットの垂直位置(すなわち、z方向の位置)とターゲットTAの傾斜の測定を可能にし、平面外(すなわち、水平XY平面外)測定を提供する。干渉計の一実施形態の詳細を図5に示す。第1の格子GR1からのゼロ次回折ビームがリターダRETと第1のビームスプリッタBS1を通過する。ここで、ビームは基準ビーム内に分割され、基準ビームはレトロリフレクタIRFL(例えば、隅の立方体)及び4分の1ラムダ板を介して干渉計検出器ISEへ誘導され、第2のビームスプリッタBS2を介して移動するビームをターゲットTAの表面へ誘導し、上記ビームはそこで反射する。反射したビームは、第2のビームスプリッタBS2によって別のレトロリフレクタIRFLへ誘導され、IRFLはビームを第2のビームスプリッタBS2へ反射するが、ビームは平行移動し、第2のビームスプリッタに反射した後、再びターゲットに反射し、他方の反射に対して平行移動する。次に、ビームは第2のビームスプリッタBS2を通過し、第1のビームスプリッタBS1に反射して検出器ISEに達する。図示のように4分の1及び2分の1ラムダ板が提供される。ターゲットTAが格子の場合、ターゲットTAはビームの偏光に影響し、4分の1ラムダ板が狙う効果に寄与し、別の構成を生むことがある。
【0026】
[0034] さらに自由度が大きい検知を追加する方法の開示の前に、図2及び図3に示す傾斜センサのいくつかの別の実施形態を開示する。図6Aは、反射型ターゲットの代わりに(部分的に)透過的なターゲットが使用されるセンサの一実施形態を示す。送信機TRから出たビームは、最初にターゲットの透過部分を通過する。次に、ビームは、第1の格子GR1(この実施形態では反射型であって、ターゲットの透過部分を通過した後にターゲットの透過部分へビームと1次及び−1次回折ビームを反射するように構成された)に反射する。次に、1次及び−1次反射ビームは、レトロリフレクタRFL1によって反射され、同様に第1の検出器SE1に戻り、再度格子GR1によって回折される。ターゲットTAの透過部分の傾斜TLの結果、ビームが格子GR1に入射する場所はターゲットTAへの入射角と屈折率との変化のために変位し、その結果、1次及び−1次回折ビームの強度が変化し、この強度変化が検出器SE1によって検出される。
【0027】
[0035] 別の代替形態を図6Bに示す。ここで、再び、ターゲットTAの透過部分又は接続部分を適用できる。図2及び図3の実施形態と同様であるが、第1の格子GR1は、送信機TRと第1の検出器SE1の側に配置されている。送信機からのビームは第1の格子GR1によって回折され、1次及び−1次回折ビームはターゲットTAの透過部分を通過し、反射面RFSに反射する。反射ビームは再び透過部分を通過し、再び第1の格子GR1によって回折される。図6Bでは、−1次回折ビームが第1のレトロリフレクタRFL1に反射し、同じ経路に沿って第1の検出器SE1へ戻り、それによって第1の格子GR1によって2回回折される。しかし、図2で挙げたのと同じ理由で−1次回折ビームの代わりに1次回折ビームを適用してもよい。ターゲットTA(の透過部分又は接続部分)を傾斜させる時に第1の格子GR1に対して回折ビームが変位するため、傾斜感度が得られ、これによって、図6Aにも示すように入射角と屈折率の効果を含めることで解像度を向上させることができる。反射面RFSはターゲットTAの一部、例えば、上面にあってもよい。RFSを下面に配置する時には図2の構成が得られ、入射角と屈折率の効果が打ち消される。さらに、図3に示す構成もここで適用できる。
【0028】
[0036] さらに別の代替実施形態を図6Cに示す。この実施形態では、格子GR1は反射型で、ターゲットの透過部分の表面に提供されている。ターゲットの透過部分を通過するビームは、第1の格子GR1によって回折され反射されてターゲットTAの透過部分の反対側の表面に提供された予備の格子GRAに達するが、ターゲットTAの片方の一部として提供されてもよい。そこで、ビームは再び回折され、同様の経路を伝って検出器SE1へ戻る(おそらくは再びレトロリフレクタと格子GRAとを介して)。ターゲットの傾斜TLの結果として、格子GR1上のビームの変位が達成され、上記と同様の効果が得られる。
【0029】
[0037] 図6A〜図6Cの実施形態では、透過部分はターゲットの一部を形成してもよいが、ターゲットに接続されてもよいことが理解されよう。
【0030】
[0038] 図6A〜図6Cに示し、同図に関連して説明する実施形態を、図4及び図5に示し、同図に関連して説明する実施形態と同じ又は同様の干渉計構成と組み合わせて、傾斜測定にZ位置測定を追加してもよい。さらに、図示のように、透過部分による屈折を達成するためにターゲットの透過部分の屈折率が周囲の媒体の屈折率とは異なることが理解されよう。
【0031】
[0039] なお、図2、図3、図6A〜図6Cの実施形態のいずれにおいても、z方向の平行移動が水平方向の格子上のビームの移動を引き起こすため、干渉計を追加する代わりに、これらの図に開示するようにセンサによって、z位置も測定することができる。上記複数のセンサを用いて、z方向の傾斜と位置をこれらのセンサによって提供される複数の測定値から分離することができる。さらに上記実施形態では、z位置は容量センサ、音響センサ又は線形光学センサなどの別のセンサによって測定可能である。
【0032】
[0040] 図2、図3、図6A〜図6Cに示し、同図に関連して説明する例を適用して、図示の構成に垂直に開示された構成を複製することで、X軸周りの傾斜とY軸周りの傾斜の測定(すなわち、リソグラフィ用語で「チップ」及び「チルト」の測定)が可能である。さらに、2次元の第1の格子GR1を適用して送信機からx方向(回折方向としての)へのビームの回折と、y方向(回折方向としての)へのビームの回折が可能である。
【0033】
[0041] 図6A〜図6Cの実施形態のリソグラフィ装置への適用例は以下を含んでもよい。図6Aの実施形態を適用してロングストロークに対するショートストローク位置を測定でき、それによってショートストロークによりターゲットが提供され、第1の格子、検出器及びレトロリフレクタがロングストロークで提供される。それによって、第1の格子GR1をメトロロジーフレームMF又はリソグラフィ装置のその他の基準構造上に提供できる。図6Bの実施形態を適用してロングストロークに対するショートストローク位置を測定できる(それによってショートストロークによりターゲットが提供され、第1の格子、検出器及びレトロリフレクタがロングストロークに提供される)。それによって、反射面RFSをメトロロジーフレームMF又はリソグラフィ装置のその他の基準構造、又はショートストロークもしくはロングストローク上に提供できる。そのような適用例では、図6Aと図6Bの両方の実施形態は、例えば、メトロロジーフレーム又はロングストロークなどの基準構造に対するターゲット、それ故、ショートストロークの測定を提供する。また、図6Cに示し、同図に関連して説明する実施形態を適用してショートストローク位置を測定でき、ロングストロークに対するショートストローク位置の測定の一例を提供する。また、格子GR1及び透過部分はショートストローク上に提供され、検出器SE1はロングストローク上に提供される。
【0034】
[0042] 同様に、図2、図3、図6A〜図6Cに示し、同図に関連して説明する実施形態を、例えば、ショートストローク−ロングストロークメトロロジー、ショートストローク−メトロロジーフレーム(又はその他の基準構造)メトロロジー及び/又はロングストローク−メトロロジーフレーム(他の基準構造の)メトロロジーに適用してもよい。これらの実施形態では、様々なメトロロジーコンポーネント(例えば、TR、SE1、GR1、TA)は、異なる構造で配置できる。例えば、ショートストローク−メトロロジーフレームメトロロジーの場合、送信機TRと検出器SE1はバランスマス上に配置され、ビーム操縦光学系及びレトロリフレクタRFL1はロングストローク上に、格子GR1はショートストローク上に、反射面RFSはメトロロジーフレーム上に配置される。
【0035】
[0043] 図7を参照しながら、6自由度のセンサの一例について以下に説明する。図7は、位置センサの一実施形態の上面図を示す。送信機TR、第1の検出器SE1、及び第1のレトロリフレクタRF1は、図2に示し、同図に関連して説明する同装置に対応してもよい。第1の格子GR1の回折は、x方向の方向性成分を入手した1次及び−1次回折を含む回折ビームを提供する。さらに、図2及び同図に関連する説明では反射型と呼ばれるターゲットは、第2の(この例では反射型の)格子GR2を備える。第2の格子GR2の各々によるゼロ次回折は、図2に示し、同図に関連して説明する経路をたどり、検出器SE1に達して傾斜又はz位置などの平面外の(すなわち、x/y平面外の)位置検知を提供する。第2の格子GR2からの1次及び−1次回折(第2の回折ビームとも呼ばれる)を第1の格子GR1(傾斜メトロロジーについて図2に示すような)を介して反射するように構成された第2のレトロリフレクタRFL2が提供される。これらの回折は、回折のために、y方向の方向性成分を入手している。第1の格子GR1との第2の遭遇から発するy方向の1次回折の1つがレトロリフレクタによって反射される。第2の遭遇位置の第1の格子GR1の格子構造はry対yメトロロジーから見て互いに垂直であることに留意されたい。このために、交差格子(すなわち、2次元格子)に加えてこの2つの垂直な格子を適用できる。これらのレトロリフレクタRFL2はx方向に(すなわち、測定方向に垂直に)シフトを課してビームを第1の格子GR1へ三度戻し、第2の格子へ戻して第2の格子により再び回折される前に入射及び戻りビームを分離する。回折ビームは、各々第2の検出器SE2によって検出される。ターゲットのY方向の変位の結果、パターンGR2は、Y方向に変位し、これが第2の検出器SE2によって周期信号として検出される第2の格子での1次及び−1次回折に影響する(周期性は第2の格子GR2のパターンの周期性によって決定される)。Y方向の位置の測定には1つの第2の検出器と1つの第2の格子で十分であることが理解されよう。しかし、図示の実施形態では、図面平面内の、すなわち、z軸に対するターゲットの回転を2つの第2の検出器SE2による測定値の差から導出することができる。
【0036】
[0044] 図7の実施形態では、第1の格子は、2次元格子(例えば、交差格子)を含んでいてもよい。それによって、第1の格子での回折は、x方向に延在するビームを提供するだけでなく、y方向に延在するビームも提供する。第1のレトロリフレクタRFL1、第1の検出器SE1、第2の格子GR2及び第2のレトロリフレクタRFL2を含むセンサアーキテクチャを90度回転させた複製(x−y平面での送信機TRを中心とする)によって、別の第1のレトロリフレクタRFL1、別の第1の検出器SE1、別の第2の格子GR2及び別の第2のレトロリフレクタRFL2が得られ、その結果、rxの測定値(別の第1の検出器SE1による)、別の検出器SE2によるx及びrzの測定値が提供され得る。図4及び図5に関連して開示された干渉計、又はz方向の平行移動の結果として第1の格子GR1上でビームが水平に移動する回折ベースの代替光学系によって、組合せの6自由度の位置測定が可能になる。第2の格子GR2のための2次元格子の適用によって周期的構造の利用可能性の観点からのx及びy方向の(理論的に)無限の測定範囲が可能になる。リソグラフィ装置分野での適用例に戻ると、入手できたセンサの1つを提供してリソグラフィ装置内のステージなどの可動部の位置を測定できる。潜在的にコンパクトな性質でコンポーネント数が少ないため(したがって、潜在的に比較的低コストである)、ステージの様々な部分に複数の上記センサを提供して、屈曲、共振及びその他のステージの非剛体挙動に関する情報を得ることができる。
【0037】
[0045] 図5に示し、同図に関連して説明する干渉計の感度は、ターゲット上にビームを複数回反射させることで改善できる。次に、各々の反復がターゲット上にビームを反射させる反復構造を提供できる複数のビームスプリッタ及びミラーを提供できる。図8Aに示す実施形態では、図5の構成の同様のビームスプリッタ及びレトロリフレクタに加えて、第2のビームスプリッタBS2に隣接するレトロリフレクタが各々の反復がターゲット上にビームを2回反射させるように構成された2つのビームスプリッタ及び2つのミラー上での反復にとって代わられる。そのような1つ、2つ又はそれ以上の反復の連鎖の終わりに、ビームが反復構造を介して戻り、ターゲット上に再度複数回反射するためのリフレクタが提供される。図8Bでは、別個のビームスプリッタと別個のミラーではなく、第2のビームスプリッタBS2は、BS2及びBS3ビームスプリッタの分割面が互いに実質的に90度の角度をなすV字形構成であって、ターゲットから第2のビームスプリッタ上に反射したビームが第3のビームスプリッタへ反射し、そこから再びターゲットへ戻るような構成である第2及び第3のビームスプリッタBS2、BS3のアセンブリ構成をとっている。同様に、互いに実質的に90度をなすように配置されたミラーを含むV字形のミラー構成が提供され、第2のビームスプリッタを通過したビームを第3のビームスプリッタへ反射し、またその逆の動作を行う。V字形のミラー構成の中心軸はV字形のビームスプリッタの構成の中心軸に対してオフセットされているため、ターゲットへのビームの連続的な反射はオフセットされる。別の構成を図8Cに示す。図8Cに示す実施形態では、図5の構成と同様のビームスプリッタとレトロリフレクタに加えて、第2のビームスプリッタBS2に隣接するレトロリフレクタが各々の反復がターゲット上にビームを1回反射させるように構成されたビームスプリッタと水平ミラーとの反復にとって代わられる。そのような1つ、2つ又はそれ以上の反復の連鎖の終わりに、ビームが反復構造を介して戻り、ターゲット上に再度複数回反射するためのリフレクタが提供される。水平ミラーを組み合わせてコンパクトで安定した構成を可能にする単一のミラーを得ることができる。図8A〜図8Cに示す構成は、「ビームスプリッタ構成」ごとにz軸周りに(すなわち、メトロロジー軸周りに)個別に回転でき、例えば、よりコンパクトな解決策を得るか又はチップ/チルトの不感受性を向上させることができる。
【0038】
[0046] 本明細書では、位置という用語は、任意の1自由度、すなわち、x、y、z、rx、ry、rz又はこれらの2つ以上の組合せを含むものと理解されたい。ビームという用語は、可視、赤外、紫外線を含む任意の種類の放射ビームを含むが、これらに限定されないことを理解されたい。図2〜図8に示す実施形態では、x方向は一般に第1の回折方向の一例と理解してよく、y方向は第2の回折方向の一例と理解してよい。これらの実施形態では、放射源からの放射ビームの伝搬方向はz方向をたどる。実施形態に示すように、第1及び/又は第2の格子は実質的にxy平面内に、すなわち、第1及び第2の回折方向の平面内に延在する。その他の任意の構成も適用できる。「回折方向の回折」又は「回折方向への回折」という表現は、ビームの方向が回折によって変えられて回折方向に方向線分を入手するような回折と理解されたい。図2、図3及び図6A〜図6Cに示す例では、格子に入射する送信機からの垂直ビームは水平の(左から右又はその逆)方向成分を有する方向を入手した1次(及び/又は−1次)回折ビームを提供するので、回折方向は図面平面で左から右(又はその逆)の方向として理解されたい。
【0039】
[0047] 図2〜図7を通して、1次回折を一般に+1と呼び、−1次回折を一般に−1と呼ぶ。
【0040】
[0048] 一般に、第1の回折ビーム及び第2の回折ビームは1次(及び/又は−1次)回折ビームと理解すべきであるが、2次以上の回折も提供できる。
【0041】
[0049] 回折という用語は、反射回折及び/又は透過回折を含むものと理解されたい。
【0042】
[0050] 様々な図の部分を組み合わせて、新しい特別仕立ての測定構成を構築することができる。これによって、構成当たり1又は最大6の自由度を測定するメトロロジー構成を得ることができる。
【0043】
[0051] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0044】
[0052] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0045】
[0053] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0046】
[0054] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指す。
【0047】
[0055] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0048】
[0056] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットの位置データを測定するように構成された位置センサであって、
伝搬方向を有する放射ビームを提供するように構成された放射源と、
前記放射ビームを、前記伝搬方向に実質的に垂直な第1の回折方向に伝搬方向成分を有する少なくとも第1の回折ビーム内に回折するように構成された第1の格子と、
前記第1の回折ビームの光路内に配置され、前記第1の格子で回折された前記第1の回折ビームを、前記第1の回折方向と前記伝搬方向とに実質的に垂直な第2の回折方向に伝搬方向成分を有する少なくとも第2の回折ビーム内に回折するように構成された第2の格子であって、前記ターゲットに接続された第2の格子と、
前記第1の格子によって回折された前記第1の回折ビームの少なくとも一部を検出するように構成された第1の検出器と、
前記第1の格子と前記第2の格子によって回折された前記第2の回折ビームの少なくとも一部を検出するように構成された第2の検出器と
を備える位置センサ。
【請求項2】
第1のレトロリフレクタと、
前記第1の格子による少なくとも1つの1次回折と、前記第2の格子によるゼロ次回折とを介して前記放射源から前記第1のレトロリフレクタまで提供された順方向光路と、
前記第2の格子によるゼロ次回折と、前記第1の格子による少なくとも1つの1次回折とを介して前記第1のレトロリフレクタから前記第1の検出器まで提供された逆方向光路と
をさらに備える、請求項1に記載の位置センサ。
【請求項3】
前記第1のレトロリフレクタが、前記入射する1次回折ビームを反射して前記第1の回折方向に沿って前記第1の格子上の実質的に同じ位置で反射させるように構成される、請求項2に記載の位置センサ。
【請求項4】
第2のレトロリフレクタと、
前記第1の格子による少なくとも1つの1次回折と、前記第2の格子による1次回折とを介して前記放射源から前記第2のレトロリフレクタまで提供された第2の順方向光路と、
前記第2の格子による1次回折と、前記第1の格子による少なくとも1つの1次回折とを介して前記第2のレトロリフレクタから前記第2の検出器まで提供された第2の逆方向光路と
をさらに備える、請求項2又は3に記載の位置センサ。
【請求項5】
2つの第2の格子と、2つの第2の検出器とを備える、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の位置センサ。
【請求項6】
前記第1の格子が、前記第1のそれぞれ前記第2の回折方向に伝搬方向成分を有するそれぞれの第1の回折ビーム内に前記ビームを回折するように構成された2つの2次元グリッドを備え、前記位置センサが、
前記第1の格子で回折された前記1次回折ビームの光路内に配置され、前記第2の回折方向に前記伝搬方向成分を入手するように構成され、前記第1の格子で回折された前記1次回折ビームを回折して前記第1の回折方向に伝搬方向成分を入手するように構成され、前記ターゲットに接続された別の第2の格子と、
前記第1の格子と前記別の第2の格子によって回折された前記ビームの少なくとも一部を検出するように構成された別の第2の検出器と
をさらに備える、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の位置センサ。
【請求項7】
干渉計をさらに備え、前記干渉計の入力ビームが、前記第1の格子のゼロ次回折ビームによって提供される、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の位置センサ。
【請求項8】
前記干渉計が、デュアルビームスプリッタと、デュアル干渉計レトロリフレクタとを備え、前記干渉計ビームを前記ターゲット上で2回反射するように構成される、請求項7に記載の位置センサ。
【請求項9】
前記干渉計が、前記ビームを前記ターゲット上で少なくとも3回反射する複数のビームスプリッタを備える、請求項7に記載の位置センサ。
【請求項10】
前記第2の格子が反射型で、前記第1の格子で回折された前記第1の格子からの前記第1の回折ビームの少なくとも一部を前記第1の格子側へ反射し、前記第1のレトロリフレクタが、前記第1の格子で回折された前記1次回折ビームから回折され、前記第2の格子によって反射された回折ビームを反射するように配置される、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の位置センサ。
【請求項11】
前記第1のレトロリフレクタが、1次及び−1次回折ビームを反射するように構成される、請求項10に記載の位置センサ。
【請求項12】
別の第1のレトロリフレクタをさらに備え、前記第2の格子が反射型で、前記第1の格子からの前記1次及び−1次回折ビームの少なくとも一部を前記第1の格子側へ反射し、前記第1のレトロリフレクタが、前記1次回折ビームから回折され、前記第2の格子によって反射された前記第1の格子からの1次回折ビームを前記第1の格子側へ反射するように配置され、前記別の第1のレトロリフレクタが、前記−1次回折ビームから回折され、前記第2の格子によって反射された前記第1の格子からの1次回折ビームを前記第1の格子側へ反射するように配置される、請求項10に記載の位置センサ。
【請求項13】
前記第1の格子によって回折された前記1次回折ビームを前記ターゲットの透過部分を通して伝送するように配置される、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の位置センサ。
【請求項14】
パターニングデバイスから基板上へパターンを転写するように配置されたリソグラフィ装置であって、ステージと、前記ステージの位置を測定するように構成された請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの位置センサとを備えるリソグラフィ装置。
【請求項15】
前記位置センサを少なくとも2つ備え、各々の前記位置センサが、前記ステージの位置を測定するように構成される、請求項14に記載のリソグラフィ装置。
【請求項16】
前記位置センサを少なくとも4つ備える、請求項15に記載のリソグラフィ装置。
【請求項17】
前記位置センサを少なくとも6つ備える、請求項15に記載のリソグラフィ装置。
【請求項18】
位置データを測定するように構成された位置センサであって、
伝搬方向を有する前記放射ビームを提供するように構成された放射源と、
第1の回折方向の前記放射ビームを、前記伝搬方向に実質的に垂直な第1の回折方向に伝搬方向成分を有する少なくとも1つの回折ビーム内に回折するように構成された第1の格子と、
前記回折ビームを前記第1の格子へ反射して前記第1の格子によって再び回折される第1のレトロリフレクタと、
前記第1の格子によって回折された前記ビームの少なくとも一部を検出するように構成された検出器とを備え、
前記第1のレトロリフレクタが、前記回折ビームを反射して前記第1の回折方向から見て前記第1の格子上の実質的に同じ位置に入射させるように構成される位置センサ。
【請求項19】
前記光源、前記検出器及び前記第1のレトロリフレクタが、基準構造に接続される、請求項18に記載の位置センサ。
【請求項20】
ターゲットの位置データを測定するように構成され、前記ターゲットの表面に提供され、前記回折ビームを前記第1の格子へ反射するように構成された反射面を備え、前記第1の格子が前記基準構造に接続される、請求項19に記載の位置センサ。
【請求項21】
前記第1のレトロリフレクタが、前記第1の格子によって回折された前記反射回折ビームの別の回折の1次及び−1次回折ビームを反射するように構成される、請求項18に記載の位置。
【請求項22】
2つの第1のレトロリフレクタを備え、前記レトロリフレクタの一方が、前記第1の格子で回折された前記反射回折ビームの別の回折の1次回折ビームを反射するように構成され、前記レトロリフレクタの他方が、前記第1の格子で回折された反射した−1次回折ビームの別の回折の1次回折ビームを反射するように構成される、請求項20に記載の位置センサ。
【請求項23】
前記ターゲットの位置データを測定するように構成され、前記ターゲットに接続され、周囲の媒体の屈折率とは異なる屈折率を有する透過部分を備え、前記透過部分が前記1次回折ビームの光路内に位置する、請求項19に記載の位置センサ。
【請求項24】
前記第1の格子が、前記基準構造に提供される、請求項23に記載の位置センサ。
【請求項25】
前記第1の格子が、前記透過部分に提供される、請求項23に記載の位置センサ。
【請求項26】
前記第1の検出器が、フォトダイオードを備え、検出されたビームの強度を表す出力信号を提供するように構成される、請求項16から23のいずれかに記載の位置センサ。
【請求項27】
前記回折ビームの光路長の変化及び/又は位相差を検出するように構成される、請求項18から26のいずれか一項に記載の位置センサ。
【請求項28】
請求項18から27のいずれかに記載の前記位置センサの使用、特に、請求項26及び/又は27に記載の、傾斜センサとしての位置センサの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257394(P2011−257394A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−124078(P2011−124078)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】