位置判定装置およびナビゲーション装置並びに位置判定方法,プログラム
【課題】車両の地図上の位置をより適正に判定する。
【解決手段】道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴点を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する撮影位置と関連付けて参照データDB44に記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する撮影位置に基づいて自車位置を判定するものにおいて、隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dは、道路の幅員が小さいほど短くなるように調整されてなる。これにより、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。
【解決手段】道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴点を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する撮影位置と関連付けて参照データDB44に記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する撮影位置に基づいて自車位置を判定するものにおいて、隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dは、道路の幅員が小さいほど短くなるように調整されてなる。これにより、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置判定装置およびナビゲーション装置並びに位置判定方法,プログラムに関し、詳しくは、車載カメラから撮影された風景画像を用いて車両の地図上の位置を判定する位置判定装置およびナビゲーション装置並びに位置判定方法,プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の位置判定装置としては、道路上の白線などの道路標示を示すパターン情報と道路標示の特徴点の座標(ワールド座標)を示す位置情報とを予め対応付けて登録しておき、パターン情報を用いたパターンマッチング等により、車載カメラによる撮影画像の中に道路標示があると判定したときには、撮影画像から特徴点を抽出して、車両の暫定現在位置を基準にした自動車座標系における道路標示の特徴点の座標(自動車座標)を算出し、算出した道路標示の特徴点の自動車座標と対応する位置情報とを用いて車両の現在位置を算出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、これにより、GPS信号やジャイロ,車線センサからの信号を利用した位置測位により得られる車両の暫定現在位置よりも高精度な現在位置を算出することができるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−108043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の装置により行なわれる道路標示を示すパターン情報と撮影画像とのマッチング処理や、上述の装置と同様に高精度な現在位置の算出を目的として行なわれる車両からの風景画像の特徴的部分を示すパターン情報と撮影画像とのマッチング処理は、車両が走行している最中に行なう必要があることから、車両の位置を正しく判定することができない場合があった。車両が走行している最中は、その走行環境などによっては、撮影画像における道路標示や特徴的部分の移動速度が速くなり、パターン情報と一致する撮影画像を得ることができる時間が短くなって、即ち、パターン情報と一致する撮影画像を得ることができる道路上での撮影位置の範囲が狭くなって、パターン情報と撮影画像とが一致していると判定される機会が少なくなってしまう場合があった。
【0005】
本発明の位置判定装置および位置判定方法並びにプログラムは、車両の地図上の位置をより適正に判定することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位置判定装置およびナビゲーション装置並びに位置判定方法,プログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の位置判定装置は、
道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定する位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
ことを特徴とする。
【0008】
この本発明の位置判定装置では、隣接する参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されている。車両が走行している道路の幅員が比較的小さい場合には、風景画像の中の特徴的部分(例えば、道路脇の建物や道路標識といった道路脇の地物など)の移動速度が比較的大きく、参照データと一致する特徴的部分を有する風景画像を撮影可能な時間は短い。したがって、こうした場合には、隣接する参照データの道路上の間隔を短くすることにより、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。この結果、車両の地図上の位置をより適正に判定することができる。
【0009】
こうした本発明の位置判定装置において、隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の曲率半径が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、ものとすることもできる。これは、車両が走行している道路の曲率半径が比較的小さい場合には、風景画像の中の特徴的部分の移動速度(特に車両の旋回方向と逆方向に相当する方向への移動速度)が比較的大きいことに基づく。
【0010】
また、本発明の位置判定装置において、隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の車線数が少ないほど短くなる傾向,道路の車線幅が狭いほど短くなる傾向,道路の歩道幅が狭いほど短くなる傾向のうち少なくともいずれかとなるように調整されてなる、ものとすることもできる。これは、道路の車線数が少ないほど,道路の車線幅が狭いほど,道路の歩道幅が狭いほど、道路の幅員が小さくなる傾向があると共に、車両が走行している道路の幅員が小さいほど、風景画像の中の特徴的部分の移動速度が大きくなる傾向があることに基づく。
【0011】
さらに、本発明の位置判定装置において、隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路上で最寄りの交差点からの距離が短いほど短くなる傾向に調整されてなる、ものとすることもできる。これは、走行している道路上で最寄りの交差点からの距離が比較的短い場合には車両が交差点を右左折して道路方向に対して斜めに道路に進入してからの移動距離が短い場合が含まれ、こうした場合には風景画像の中の特徴的部分の移動速度(特に車両の旋回方向と逆方向に相当する方向への移動速度)が比較的大きいことに基づく。
【0012】
あるいは、本発明の位置判定装置において、前記マッチング処理は、車載カメラから撮影される風景画像に対して特徴的部分を抽出する所定の画像処理を施して得られる判定用データと前記参照データとの一致の程度が判定用閾値以上のときに一致していると判定し、前記一致の程度が前記判定用閾値未満のときに一致していないと判定することにより行なわれ、前記判定用閾値は、前記調整された隣接する参照データの道路上の間隔が短いほど小さくなる傾向に調整されてなる、ものとすることもできる。こうすれば、隣接する参照データの道路上の間隔が比較的短い場合に、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会をより増やすことができる。ここで、所定の画像処理としては、少なくともエッジ検出処理を含むものなどを用いることができる。
【0013】
この判定用閾値を調整する態様の本発明の位置判定装置において、前記判定用閾値は、車速が大きいほど小さくなる傾向,ハンドル操舵量が大きいほど小さくなる傾向,走行している道路の幅方向において車両位置が道路脇に近いほど小さくなる傾向,走行している道路の幅方向において車両位置が前記参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置より道路脇に近いほど小さくなる傾向のうち少なくともいずれかとなるように調整されてなる、ものとすることもできる。これは、ハンドル操舵量が大きいほど,走行している道路の幅方向において車両位置が道路脇に近いほど,走行している道路の幅方向において車両位置が参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から離れるほど、風景画像の中の特徴的部分の移動速度が大きくなる傾向があることに基づく。
【0014】
本発明のナビゲーション装置は、上述のいずれかの態様の本発明の位置判定装置、即ち、基本的には、道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定する位置判定装置であって、隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる位置判定装置、を備え、該位置判定装置により判定された車両の地図上の位置を用いて目的地への経路案内を行なう、ことを要旨とする。
【0015】
この本発明のナビゲーション装置では、上述のいずれかの態様の本発明の位置判定装置を備えるから、上述の位置判定装置が奏する効果、例えば、車両の地図上の位置をより適正に判定することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0016】
本発明の位置判定方法は、
道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行なうステップと、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定するステップと、を含む位置判定方法であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
ことを特徴とする。
【0017】
この本発明の位置判定方法では、隣接する参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されている。車両が走行している道路の幅員が比較的小さい場合には、風景画像の中の特徴的部分(例えば、道路脇の建物や道路標識といった道路脇の地物など)の移動速度が比較的大きく、参照データと一致する特徴的部分を有する風景画像を撮影可能な時間は短い。したがって、こうした場合には、隣接する参照データの道路上の間隔を短くすることにより、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。この結果、車両の地図上の位置をより適正に判定することができる。
【0018】
本発明のプログラムは、上述した位置判定方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに分担して実行させれば、上述した位置判定方法の各ステップが実現されるため、その位置判定方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例としてのナビゲーション装置20を含むナビゲーションシステム10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】風景画像とのマッチング処理に用いられる参照データを作成する様子の一例を説明する説明図である。
【図3】道路とその幅員Dw,歩道幅Pw,車線幅Lwとの複数の関係の一例を説明する説明図である。
【図4】参照データ間隔設定方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcの一例を示す説明図である。
【図6】参照データ間隔Dを設定するためのパラメータと係数との複数の関係の一例を説明する説明図である。
【図7】車両が交差点を左折して走行する様子の一例を説明する説明図である。
【図8】電子制御ユニット30により実行される自車位置判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図9】判定用閾値Mrefを設定するためのパラメータと係数との複数の関係の一例を説明する説明図である。
【図10】走行車線係数k14の係数設定用マップの例を説明するための説明図である。
【図11】走行車線車係数k15を設定する様子の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の一実施例としてのナビゲーション装置20を含むナビゲーションシステム10の構成の概略を示す構成図である。実施例のナビゲーションシステム10は、図示しない車両(自動車)に搭載された各種センサを中心とする車載装置12と、図示しない車載バッテリからの電力供給を受けて作動するナビゲーション装置20とを備える。実施例のナビゲーション装置20は、図示するように、文字や画像を表示する矩形状の画面を有する例えば液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどとして構成されたディスプレイ22と、ディスプレイ22の画面に取り付けられた例えば抵抗膜方式や静電容量方式などによるタッチパネル24と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット30と、各種アプリケーションソフトウェアや地図データなどを記憶する大容量メモリとしてのハードディスクドライブ(以下、HDDという)40とを備える。
【0022】
電子制御ユニット30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU32の他に各種処理プログラムを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、記憶したデータを保持する不揮発性のフラッシュメモリ38と、図示しない入出力ポートとを備える。電子制御ユニット30には、操作者のタッチ位置を検出するタッチパネル24からの信号やHDD40から読み出したデータの他に、車載装置12からの各種信号が車内ネットワーク経由で入力ポートを介して入力されている。車載装置12からの信号としては、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号をGPSアンテナを介して受信するGPS受信機50からの信号,車両の駆動軸や車輪が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速センサ52からの信号,車両の加速度を検出する加速度センサ54からの信号,車両の進行方位やその変化を検出する例えばジャイロセンサにより構成された方位センサ56からの信号,車両のハンドルの基準位置(進行方向に相当する位置)からの回転量(回転角)をハンドル操舵量として検出する操舵量センサ58からの信号,車両前方に設置されて車両前方の風景画像を動画や静止画として撮影可能なカメラ59からの信号(撮影画像)などがある。電子制御ユニット30からは、ディスプレイ22への表示信号やアンプを内蔵したスピーカ26への音声信号,HDD40に書き込むデータなどが出力ポートを介して出力されている。
【0023】
実施例のナビゲーション装置20では、電子制御ユニット30は、HDD40から必要なアプリケーションソフトウェアや地図データを読み出して各種処理を実行する。例えば、ハードウェア又はソフトウェア或いはその組み合わせにより実現される機能を表す図1の機能ブロックに示すように、電子制御ユニット30は、GPS受信機50からの信号や方位センサ56からの信号などに基づいて車両の現在位置である自車位置を判定するロケーション処理部60によるロケーション処理,地図データを用いてディスプレイ22に地図を表示する地図表示処理部62による地図表示処理,判定された自車位置から目的地への走行ルートを探索して地図表示処理部62による地図表示やスピーカ26からの音声出力によりルート案内を行なうナビゲーション処理部64によるナビゲーション処理,これらの処理に用いられる画像処理部66による各種画像処理などを実行する。なお、地図データは、HDD40の地図データ用データベース(以下、地図データDBという)42に記憶されている。
【0024】
電子制御ユニット30によるロケーション処理では、GPS受信機50からのGPS信号に基づいていわゆるGPS航法により自車位置を算出したり、GPS信号を受信できない場合などに車速センサ52からの車速パルス信号や加速度センサ54からの車両の加速度,方位センサ56からの車両の方位に基づいていわゆる自律航法により自車位置を算出したり、算出された自車位置が地図の道路上から外れた場合などに地図データを用いて自車位置を道路上の位置に補正するいわゆるマップマッチングを行なったりして、自車位置を推定する。さらに、ロケーション処理では、カメラ59により撮影される風景画像と予めHDD40に記憶された複数の参照データとが一致しているか否かを判定する画像認識処理としてのマッチング処理を行ない、マッチング処理により一致していると判定された参照データに関連付けられた地図上の位置を、GPS航法や自律航法などにより推定した自車位置に代えて、正しい自車位置と判定する。ここで、HDD40に記憶された複数の参照データは、実際に走行した車両の車載カメラから道路上で走行方向に間隔をもって撮影された風景画像の特徴点(例えば、道路脇の建物の輪郭,窓枠,看板や道路標識といった道路脇の地物,道路標示など)を抽出して得られるデータであり、風景画像を撮影したときの自車位置などの撮影情報と共に、HDD40の参照データ用データベース(以下、参照データDBという)44に記憶されている。
【0025】
ここで、カメラ59により撮影される風景画像とのマッチング処理に用いられる参照データを作成する方法を説明する。図2は、風景画像とのマッチング処理に用いられる参照データを作成する様子の一例を説明する説明図である。実施例では、図中上部に示すように、参照データ作成用の車両は、道路上で地点毎に予め定められた参照データ間隔Dをもって車載カメラから車両前方の風景画像を撮影しながら走行し、風景画像の撮影時における車両の地図上の位置(緯度及び経度)と車両の方位(道路方向に沿った方位)とを各種センサからの信号などに基づいて正確な情報として取得する。続いて、図中下部左側に示すように、車載された電子制御ユニットにより、撮影された風景画像に対してエッジ検出処理などを施すことにより風景画像の特徴点を抽出して二値化した特徴点画像を作成し、作成した特徴点画像に対して風景画像認識に適した特徴点を強調したり強調した特徴点周辺の特徴点を破棄したりする強調処理や、ノイズ除去処理などを施して、参照データを作成する。また、撮影された風景画像から参照データを作成する際に、特徴点画像に対して道路上の白線や矢印などの道路標示が強調されるよう強調処理を施すことにより、風景画像の撮影時における走行車線の検出を行なう。エッジ検出処理や強調処理,ノイズ除去処理などの周知な画像処理手法については、これ以上詳細な説明は省略する。こうして作成された複数の参照データは、図中中段右側に示すように、実施例の車両に搭載されたナビゲーション装置20のHDD40の参照データDB44に、参照データ毎に撮影時の車両の位置,車両の方位,走行車線(以下、それぞれ撮影位置,撮影方位,撮影時走行車線という)と関連付けられて記憶される。
【0026】
なお、HDD40の地図データDB42には、道路情報や施設情報などが含まれ、道路情報には、例えば各道路の両端のノードが示す地図上の位置(緯度及び経度),各道路の距離,地域(市街地,郊外),種別(一般道路,高速道路),勾配,信号機の数の他に、図2中下部右側に示すように、各道路の幅員Dw,車線数Ln,車線幅Lw,歩道幅Pw,道路形状(直線またはカーブ),曲率半径R,道路種類(一方通行道路,対面通行道路,中央分離帯のある道路等),前述の参照データ間隔Dなどが含まれる。図3は、道路とその幅員Dw,歩道幅Pw,車線幅Lwとの複数の関係の一例を説明する説明図である。図中、左側の(a)は道路種類が対面通行道路で片側3車線の車線数Lnが値6の道路を示し、中央の(b)は道路種類が一方通行道路(例えば高速道路や高架道路などの場合)で車線数Lnが値3の道路を示し、右側の(c)は道路種類が一方通行道路で車線数Lnが値4の道路を示す。図3では、道路の歩道幅Pwは左右両側で等しく車線幅Lwは全て等しいものとして示したが、全ての道路について同一の基準に基づくものであれば、例えば、歩道幅Pwは左右両側歩道幅の平均値として表したり、車線幅Lwは全車線の車線幅の平均値として表すなどとしてもよい。
【0027】
さらに、カメラ59により撮影される風景画像とのマッチング処理に用いられる参照データの道路上の間隔を設定する方法を説明する。図4は、実施例の参照データ間隔設定方法の一例を示すフローチャートである。この方法は、参照データ作成用の車両が風景画像の撮影を伴って走行する前に、前述の参照データDB44と同じデータベースを有する図示しないコンピュータによって参照データ間隔Dを設定する際に適用される。
【0028】
図4の参照データ間隔設定方法では、まず、参照データ間隔Dの設定対象となる道路(以下、対象道路という)の車線数Lnや車線幅Lw,歩道幅Pw,道路形状,曲率半径R,対象道路における最寄りの交差点からの距離Dc,参照データ間隔の初期値D0など設定に必要なデータを入力し(ステップS100)、入力した車線数Ln,車線幅Lw,歩道幅Pwの各パラメータに基づいてそれぞれ初期値D0に乗じるべき車線数係数k1,車線幅係数k2,歩道幅係数k3を設定する(ステップS110)。ここで、対象道路の車線数Lnや車線幅Lw,歩道幅Pw,道路形状,曲率半径R,対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcは、HDD40の地図データDB42から入力することができる。対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcは、実施例では、対象道路の両端のノード間を単位距離毎に分割した複数の地点毎に定めるものとし、他の道路との関係や対象道路の位置,距離に基づいて算出されて地図データDB42に記憶されたものを入力するものとした。図5に対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcの一例を示す。また、参照データ間隔の初期値D0は、実施例では、ロケーション処理により実施例のナビゲーション装置20が備える電子制御ユニット30の演算量が過大にならない範囲内で、対象道路となる多くの道路で正確な自車位置を得ることができる道路上の間隔として、電子制御ユニット30やHDD40の性能などに基づいて予め実験や解析により定められたもの(例えば、数十mなど)を用いるものとした。
【0029】
続いて、対象道路の道路形状を調べ(ステップS120)、道路形状がカーブ形状であるときには、入力した曲率半径Rに基づいて初期値D0に乗じるべき曲率半径係数k4を設定し(ステップS130)、道路形状が直線形状であるときには、曲率半径係数k4に値1を設定する(ステップS140)。さらに、入力した最寄りの交差点からの距離Dcに基づいて初期値D0に乗じるべき交差点距離係数k5を設定し(ステップS150)、初期値D0に車線数係数k1と車線幅係数k2と歩道幅係数k3と曲率半径係数k4と交差点距離係数k5とを乗じたものを参照データ間隔Dに設定して(ステップS160)、設定終了とする。そして、こうした参照データ間隔Dの設定を予め定められた地図上の全ての道路を対象道路として繰り返し行なう。次に、参照データ間隔Dを設定するためのパラメータ(実施例では、車線数Ln,車線幅Lw,歩道幅Pw,曲率半径R,最寄りの交差点からの距離Dc)に基づく各係数の設定について説明する。
【0030】
図6は、参照データ間隔Dを設定するためのパラメータと係数との複数の関係の一例を説明する説明図である。図示するように、対象道路の車線数Lnが少ないほど車線数係数k1が値1を跨いで小さくなり、対象道路の車線幅Lwが狭いほど車線幅係数k2が値1を跨いで小さくなり、対象道路の歩道幅Pwが狭いほど歩道幅係数k3が値1を跨いで小さくなり、カーブ形状の対象道路の曲率半径Rが小さいほど曲率半径係数k4が値1を跨いで小さくなり、対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcが後述する所定距離D1未満の範囲で短いほど交差点距離係数k5が値1未満の範囲で小さくなるように、各パラメータに基づいて各係数が設定される。なお、歩道幅係数k3については、歩道幅Pwが値0で対象道路に歩道がない場合には歩道幅係数k3の予め定められた値1未満の下限値が設定されるものとした。また、交差点距離係数k5については、最寄りの交差点からの距離Dcが所定距離D1以上の場合には値1が設定されるものとした。このように各係数を設定する理由を更に説明する。
【0031】
実施例のナビゲーション装置20が搭載された車両が走行している道路の幅員が比較的小さい場合には、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点の移動速度が比較的大きく、参照データDB44の参照データと一致する特徴点を有する風景画像を撮影可能な時間は極めて短い。言い換えると、こうした場合には、参照データDB44の参照データと一致する特徴点を有する風景画像を撮影可能な道路上の撮影位置の範囲はかなり狭い。このため、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会が少なくなり、本来は参照データと一致していると認識してもよい風景画像であるにも拘わらずそう認識することができない、いわゆる認識漏れが生じてしまう。これに対し、道路の幅員が比較的が小さい場合には隣接する参照データの道路上の間隔Dを短くすれば、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。道路の幅員が比較的小さい場合としては、道路の車線数が少ない場合,車線幅が狭い場合,歩道幅が狭い場合などを考えることができるから、実施例では、対象道路の車線数Lnが少ないほど,車線幅Lwが狭いほど,歩道幅Pwが狭いほど、各係数を小さくなるように設定して参照データ間隔Dを短くすることによって、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。しかも、対象道路の幅員が比較的大きい場合には参照データ間隔Dを長くすることになるから、参照データのデータ量を抑制することができる。
【0032】
また、ナビゲーション装置20が搭載された車両が走行している道路がカーブ形状で曲率半径Rが比較的小さい場合には、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点の移動速度(特に車両の旋回方向と逆方向に相当する方向への移動速度)が比較的大きく、やはり参照データと一致する特徴点を有する風景画像を撮影可能な時間は極めて短い。これに対し、対象道路の曲率半径Rが小さいほど曲率半径係数k4を小さくなるように設定するから、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができ、風景画像の認識漏れを抑制する(認識率を高める)ことができる。さらに、図7に示す車両が交差点を左折して走行する様子の一例から分かるように、車両が交差点を右折または左折して道路に進入するときには、車両は道路方向に対して斜めに道路に進入し、車両がある程度進んでから道路方向と略一致する方向に進むことになる。このため、実施例では、対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcが所定距離D1未満の範囲で短いほど交差点距離係数k5を小さくなるように設定するから、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。したがって、所定距離D1は、交差点を右左折した車両が進入した道路で道路方向と略一致する方向に走行する状態となるまでの距離として予め実験や解析により定められた距離を用いることができる。こうして設定された各係数を初期値D0に乗じて参照データ間隔Dを設定するから、マッチング処理によりカメラ59により撮影される風景画像と参照データとが一致していないと判定され過ぎるのを抑制することができ、自車位置をより適正に判定することができる。
【0033】
次に、こうして構成された実施例のナビゲーション装置20の動作、特に走行中に自車位置を判定する際の動作について説明する。図8は、電子制御ユニット30のロケーション処理部60により画像処理部66と連携して実行される自車位置判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、GPS航法や自律航法などにより推定された自車位置と方位センサ56からの信号などに基づく現在の車両の進行方位(道路方向に沿った方位)とが、それぞれ参照データDB44の参照データの1つに関連付けられた撮影位置と撮影方位とに一致する毎に繰り返し実行される。
【0034】
自車位置判定処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32は、まず、現在推定されている自車位置である推定自車位置,本ルーチンが実行されたときにカメラ59により撮影された風景画像から得られる判定用データ,推定自車位置および現在の車両の進行方位(以下、車両進行方位という)と一致する撮影位置および撮影方位の参照データ,推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置および撮影方位に対応する撮影時走行車線Ls,推定自車位置および車両進行方位に対応する道路種類,推定自車位置での参照データ間隔D,車速センサ52からの信号に基づいて算出される車速V,操舵量センサ58からの信号として得られるハンドル操舵量St,本判定処理に用いられる判定用基準閾値M0など判定に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。
【0035】
ここで、推定自車位置は、実施例では、ロケーション処理部60によりGPS航法や自律航法などにより推定されたものを入力するものとした。判定用データは、図2を用いて説明した風景画像から参照データを作成した際の画像処理手法と同手法を、本ルーチンを実行したときにカメラ59により撮影された風景画像に対して適用することにより作成したものを入力するものとした。参照データと撮影時走行車線Lsとは、それぞれ推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置および撮影方位に対応するものを参照データDB44から入力するものとした。道路種類は、推定自車位置および車両進行方位に対応するものを地図データDB42から入力するものとした。参照データ間隔Dは、図4を用いて説明した参照データ間隔設定方法により対象道路および対象道路内の地点毎に設定されて地図データDB42に道路情報の一部として記憶されたもののうち、推定自車位置に対応するものを入力するものとした。判定用基準閾値M0は、判定用データと参照データとの一致の程度を示す一致率Mrが判定用閾値Mref以上か否かを判定する本ルーチンの処理(即ち、実施例のマッチング処理)における判定用閾値Mrefの基準値であり、判定用データと参照データとが一致していると判定可能な範囲の比較的小さい値として予め実験や解析により定められたものを用いるものとした。
【0036】
こうしてデータを入力すると、図2を用いて説明した参照データを作成する際に走行車線を検出したときの画像処理手法と同手法を、カメラ59により撮影した風景画像から判定用データを作成する際に適用することにより、車両が走行している道路での走行車線Lrを検出し(ステップS210)、検出した走行車線Lrから入力した撮影時走行車線Lsを減じたものの絶対値を走行車線差ΔLとして計算する(ステップS220)。ここで、走行車線Lrは、日本のように自動車が左側通行となる国や地域では、車両が走行している道路が複数車線を有する場合には、最も左側の車線を値1として左側から何番目の車線かを整数で示す値とし、車両が走行している道路が一車線のみを有する場合には、値1とした。なお、参照データDB44の撮影情報としての撮影時走行車線Lsも同様に値1以上の整数とした。
【0037】
続いて、入力した参照データ間隔D,車速V,ハンドル操舵量St,検出した走行車線Lr,計算した走行車線差ΔLの各パラメータに基づいてそれぞれ判定用基準閾値M0に乗じるべき間隔係数k11,車速係数k12,操舵量係数k13,走行車線係数k14,走行車線差係数k15を設定し(ステップS230)、判定用基準閾値M0に間隔係数k11と車速係数k12と操舵量係数k13と走行車線係数k14と走行車線差係数k15とを乗じたものを判定用閾値Mrefに設定する(ステップS240)。ここで、各係数は、実施例では、パラメータと係数との関係を予め定めて係数毎に係数設定用マップとしてROM34に記憶しておき、パラメータが与えられると記憶したマップから対応する係数を導出して設定するものとした。
【0038】
図9に判定用閾値Mrefを設定するためのパラメータと係数との複数の関係の一例を示し、図10に走行車線係数k14の係数設定用マップの例を示し、図11に走行車線車係数k15を設定する様子の例を説明する説明図を示す。図9中、右側は係数設定用マップの一例である。図9に示すように、参照データ間隔Dが短いほど間隔係数k11が値1を跨いで小さくなり、車速Vが大きいほど車速係数k12が値1を跨いで小さくなり、ハンドル操舵量Stが大きいほど操舵量係数k13が値1から小さくなり、走行車線Lrが道路脇に近いほど走行車線係数k14が小さくなり、走行車線差ΔLが大きいほど(走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから離れるほど)走行車線差係数k15が値1から小さくなるように、各パラメータに基づいて各係数が設定される。なお、操舵量係数k13については、ハンドル操舵量Stが値0近傍の不感帯としての所定量以下の範囲では一律に値1が設定されるものとした。また、図10に示すように、走行車線係数k14は、入力した道路種類毎に異なる係数設定用マップが選択されて、選択された係数設定用マップに走行車線Lrを適用することにより設定することができる。例えば、図中左側の(a)の道路(道路種類が対面通行道路で片側3車線の道路)では、走行車線Lrが小さいほど(即ち左側の道路脇に近いほど)値1を跨いで小さくなるように走行車線係数k14が設定され、図中中央の(b)の道路(道路種類が一方通行道路で3車線の道路)や図中右側の(c)の道路(道路種類が一方通行道路で4車線の道路)では、走行車線Lrが中央の車線から離れて左側または右側の道路脇に近いほど値1から小さくなるように走行車線係数k14が設定される。さらに、走行車線差係数k15は、走行車線差ΔLに基づいて設定することにより、図11に示すように、走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから道路幅方向の左側または右側に離れるほど値1から小さくなるように設定される、と言い換えることができる。このように各係数を設定する理由を次に説明する。
【0039】
実施例のナビゲーション装置20が搭載された車両が走行している道路上の参照データ間隔Dが比較的短い場合は、前述したように、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定される機会が少なく、本来は参照データと一致していると認識してもよい風景画像の認識漏れが生じやすい場合である。したがって、参照データ間隔Dが比較的短い場合に間隔係数k11を小さくして判定用閾値Mrefを小さくすることにより、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定されやすくすることができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。また、車速Vやハンドル操舵量Stが比較的大きい場合は、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点の移動速度(ハンドル操舵量Stについては特に車両の旋回方向と逆方向に相当する方向への移動速度)が比較的大きい場合である。したがって、車速Vやハンドル操舵量Stが大きいほど車速係数k12や操舵量係数k13を小さくして判定用閾値Mrefを小さくすることにより、風景画像と参照データとが一致していると判定されやすくすることができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。
【0040】
さらに、走行車線Lrが道路脇に近い場合は、走行している道路の幅方向において車両位置が中央より左側または右側の道路脇に近い場合であり、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点(道路の幅方向中央より左側の道路脇に近い場合には画像左側の特徴点,道路の幅方向中央より右側の道路脇に近い場合には画像右側の特徴点)の移動速度が比較的大きく、やはり風景画像の認識漏れが生じやすい場合である。したがって、走行車線Lrが道路脇に近いほど走行車線係数k14を小さくして判定用閾値Mrefを小さくすることにより、風景画像と参照データとが一致していると判定されやすくすることができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。また、走行車線差ΔLが大きい場合(走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから離れる場合)は、走行している道路の幅方向において車両位置が参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置より離れている側の道路脇に近い場合であり、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点(参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から左側に離れる場合には画像左側の特徴点,参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から右側に離れる場合には画像右側の特徴点)の移動速度が比較的大きく、これも風景画像の認識漏れが生じる要因となる。したがって、走行車線差ΔLが小さいほど走行車線差係数k15を小さくして判定用閾値Mrefを小さくすることにより、風景画像と参照データとが一致していると判定されやすくすることができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。
【0041】
こうして判定用閾値Mrefを設定すると、判定用データと参照データとの一致率Mrを計算し(ステップS250)、計算した一致率Mrと判定用閾値Mrefとを比較する(ステップS260)。ここで、一致率Mrは、判定用データと参照データとが一致する程度を表すものであり、例えば、二値化画像として両データ(総画素数と縦横比は同じとする)の対応する画素を比較し、値(値0または値1)が一致する画素数の総画素数に対する割合などとして計算することができる。
【0042】
計算した一致率Mrが判定用閾値Mref未満のときには、判定用データと参照データとは一致していないと判断し、推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置および撮影方位の参照データおよび道路上その前後2つの参照データの合計3つの参照データと、1つの判定用データと、の合計3回の判定処理を行なったか否かを判定する(ステップS270)。合計3回の判定処理を行なっていない場合には、ステップS200に戻り、判定用データについては代えることなく、先にステップS200で入力した推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置の参照データに代えて、この撮影位置の道路上で車両進行方向1つ後の参照データ(1つ先の参照データ)を入力して、ステップS200〜S260の処理を繰り返す。再び、一致率Mrが判定用閾値Mref未満で合計3回の判定処理を行なっていない場合には(ステップS260,S270)、ステップS200に戻り、判定用データについては代えることなく、最初にステップS200で入力した推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置の参照データに代えて、この撮影位置の道路上で車両進行方向1つ前の参照データを入力して、ステップS200〜S260の処理を繰り返す。
【0043】
こうして一致率Mrが判定用閾値Mref未満との判定結果を繰り返し3回得たときには(ステップS260,S270)、推定自車位置を自車位置と判定して(ステップS280)、自車位置判定処理ルーチンを終了する。一方、こうした処理を3回繰り返している最中に一致率Mrが判定用閾値Mref以上と判定されたときには、そのときに判定用データと一致した参照データに対応する撮影位置を自車位置と判定して(ステップS290)、自車位置判定処理ルーチンを終了する。こうした処理により、ロケーション処理においてGPS航法や自律航法などにより推定された推定自車位置より正確な自車位置を特定することができる。なお、こうして自車位置が特定されると、特定された自車位置を基準としてGPS航法や自律航法などにより次の自車位置の推定が行なわれる。
【0044】
なお、本ルーチンの各ステップの処理は、基本的に電子制御ユニット30のロケーション処理部60により行なわれ、ステップS200の入力処理における判定用データの作成は電子制御ユニット30の画像処理部66により行なわれる。
【0045】
以上説明した実施例のナビゲーション装置20によれば、道路上で走行方向に間隔をもって車載されたカメラ59から撮影された風景画像の特徴点を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する撮影位置と関連付けて参照データDB44に記憶しておき、車載されたカメラ59から撮影される風景画像と複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する撮影位置に基づいて車両の現在位置である自車位置を判定するものにおいて、隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dは、道路の幅員が小さいほど(実施例では、車線数Lnが少ないほど,車線幅Lwが狭いほど,歩道幅Pwが狭いほど)短くなるように調整されてなるから、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。この結果、自車位置をより適正に判定することができる。
【0046】
また、実施例のナビゲーション装置20によれば、隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dは、道路の曲率半径Rが小さいほど,道路上で最寄りの交差点からの距離Dcが短いほど、小さくなるように調整されてなるから、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。さらに、判定用データと参照データとの一致率Mrと比較するための判定用閾値Mrefを、調整された隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dが短いほど,車速Vが大きいほど,ハンドル操舵量Stが大きいほど,走行車線Lrが道路脇に近いほど,走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから離れるほど、小さくなるように調整するから、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定されやすくすることができる。この結果、自車位置を更に適正に判定することができる。
【0047】
実施例のナビゲーション装置20では、隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dを、対象道路の車線数Lnが少ないほど,車線幅Lwが狭いほど,歩道幅Pwが狭いほど,対象道路の曲率半径Rが小さいほど,道路上で最寄りの交差点からの距離Dcが短いほど短くなるように調整するものとした、即ち5個のパラメータに基づいて調整するものとしたが、対象道路の車線数Lnと車線幅Lwと歩道幅Pwとに基づく調整に代えてまたは加えて、参照データ間隔Dを、対象道路の幅員Dwが狭いほど短くなるように調整するものとしてもよい。また、参照データ間隔Dを、これら5個のパラメータに道路の幅員Dwを加えた6個のパラメータのうち任意の一部(1個以上)のパラメータのみに基づいて調整するものとしてもよいし、6個のパラメータに加えて他のパラメータにも基づいて調整するものとしてもよい。
【0048】
したがって、例えば、参照データ間隔Dを、対象道路の幅員Dw以外のパラメータに基づいて調整することなく、対象道路の幅員Dwが狭いほど短くなるように調整するものとしてもよい。
【0049】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用データと参照データとの一致率Mrの判定に用いる判定用閾値Mrefは、参照データ間隔Dが短いほど,車速Vが大きいほど,ハンドル操舵量Stがが大きいほど,走行車線Lrが道路脇に近いほど,走行車線差ΔLが大きいほど小さくなるように調整されるものとした、即ち5個のパラメータに基づいて調整されるものとしたが、これら5個のパラメータのうち任意の一部(1個以上)のパラメータのみに基づいて判定用閾値Mrefを調整するものとしてもよい。また、判定用閾値Mrefとして、判定用基準閾値M0をそのまま用いるものとしてもよい。
【0050】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用データと参照データとの一致率Mrの判定に用いる判定用閾値Mrefは、走行車線Lrが道路脇に近いほど小さくなるように調整されるものとしたが、走行している道路の幅方向において車両位置が道路脇に近いほど判定用閾値Mrefを小さく調整すればよいから、走行車線Lrを検出することなく、道路の幅方向にける車両位置を判定用データに対する画像処理により検出してこの検出位置に基づいて判定用閾値Mrefを調整するものとしてもよい。
【0051】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用データと参照データとの一致率Mrの判定に用いる判定用閾値Mrefは、走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから離れるほど小さくなるように調整されるものとしたが、走行している道路の幅方向において車両位置が参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から離れるほど判定用閾値Mrefを小さく調整すればよいから、走行車線Lrを検出することなく、道路の幅方向における車両位置を判定用データに対する画像処理により検出してこの検出位置に基づいて判定用閾値Mrefを調整するものとしてもよい。
【0052】
実施例では、本発明の位置判定装置をディスプレイ22やHDD40を備えるナビゲーション装置20に適用して説明したが、例えば、ディスプレイを備えるナビゲーション装置と通信可能に接続されたサーバに電子制御ユニット30のロケーション処理部60の機能とロケーション処理に必要な画像処理部66の機能の一部とを行なわせるようにして、このサーバを本発明の位置判定装置として機能させるものとしてもよい。また、ナビゲーション装置20に代えて、デジタルカメラや携帯端末,ドライブレコーダなどの機器を本発明の位置判定装置として機能させるものとしてもよい。この場合、こうした機器を車室内に設置してこの機器が備えるカメラにより撮影される風景画像を用いて自車位置を判定するようにしてもよい。
【0053】
また、実施例では、本発明の位置判定装置をナビゲーション装置20に適用して説明したが、位置判定方法の形態としてもよいし、こうした位置判定方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラムの形態としてもよい。また、こうしたプログラムを記録媒体に記憶させた形態としても構わない。
【0054】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、複数の参照データをHDD40の参照データDB42に記憶しておき車載されたカメラ59から撮影される風景画像と複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行なって一致していると判定された参照データに対応する撮影位置に基づいて自車位置を判定する図7の自車位置判定処理ルーチンを実行する電子制御ユニット30のロケーション処理部60と画像処理部66の一部とが「位置判定装置」に相当する。
【0055】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0056】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ナビゲーション装置や位置判定装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 ナビゲーションシステム、12 車載装置、20 ナビゲーション装置、22 ディスプレイ、24 タッチパネル、26 スピーカ、30 電子制御ユニット、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリ、40 ハードディスクドライブ(HDD)、42 地図データ用データベース(地図データDB)、44 参照データ用データベース(参照データDB)、50 GPS受信機、52 車速センサ、54 加速度センサ、56 方位センサ、58 操舵量センサ、59 カメラ、60 ロケーション処理部、62 地図表示処理部、64 ナビゲーション処理部、66 画像処理部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置判定装置およびナビゲーション装置並びに位置判定方法,プログラムに関し、詳しくは、車載カメラから撮影された風景画像を用いて車両の地図上の位置を判定する位置判定装置およびナビゲーション装置並びに位置判定方法,プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の位置判定装置としては、道路上の白線などの道路標示を示すパターン情報と道路標示の特徴点の座標(ワールド座標)を示す位置情報とを予め対応付けて登録しておき、パターン情報を用いたパターンマッチング等により、車載カメラによる撮影画像の中に道路標示があると判定したときには、撮影画像から特徴点を抽出して、車両の暫定現在位置を基準にした自動車座標系における道路標示の特徴点の座標(自動車座標)を算出し、算出した道路標示の特徴点の自動車座標と対応する位置情報とを用いて車両の現在位置を算出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、これにより、GPS信号やジャイロ,車線センサからの信号を利用した位置測位により得られる車両の暫定現在位置よりも高精度な現在位置を算出することができるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−108043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の装置により行なわれる道路標示を示すパターン情報と撮影画像とのマッチング処理や、上述の装置と同様に高精度な現在位置の算出を目的として行なわれる車両からの風景画像の特徴的部分を示すパターン情報と撮影画像とのマッチング処理は、車両が走行している最中に行なう必要があることから、車両の位置を正しく判定することができない場合があった。車両が走行している最中は、その走行環境などによっては、撮影画像における道路標示や特徴的部分の移動速度が速くなり、パターン情報と一致する撮影画像を得ることができる時間が短くなって、即ち、パターン情報と一致する撮影画像を得ることができる道路上での撮影位置の範囲が狭くなって、パターン情報と撮影画像とが一致していると判定される機会が少なくなってしまう場合があった。
【0005】
本発明の位置判定装置および位置判定方法並びにプログラムは、車両の地図上の位置をより適正に判定することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位置判定装置およびナビゲーション装置並びに位置判定方法,プログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の位置判定装置は、
道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定する位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
ことを特徴とする。
【0008】
この本発明の位置判定装置では、隣接する参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されている。車両が走行している道路の幅員が比較的小さい場合には、風景画像の中の特徴的部分(例えば、道路脇の建物や道路標識といった道路脇の地物など)の移動速度が比較的大きく、参照データと一致する特徴的部分を有する風景画像を撮影可能な時間は短い。したがって、こうした場合には、隣接する参照データの道路上の間隔を短くすることにより、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。この結果、車両の地図上の位置をより適正に判定することができる。
【0009】
こうした本発明の位置判定装置において、隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の曲率半径が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、ものとすることもできる。これは、車両が走行している道路の曲率半径が比較的小さい場合には、風景画像の中の特徴的部分の移動速度(特に車両の旋回方向と逆方向に相当する方向への移動速度)が比較的大きいことに基づく。
【0010】
また、本発明の位置判定装置において、隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の車線数が少ないほど短くなる傾向,道路の車線幅が狭いほど短くなる傾向,道路の歩道幅が狭いほど短くなる傾向のうち少なくともいずれかとなるように調整されてなる、ものとすることもできる。これは、道路の車線数が少ないほど,道路の車線幅が狭いほど,道路の歩道幅が狭いほど、道路の幅員が小さくなる傾向があると共に、車両が走行している道路の幅員が小さいほど、風景画像の中の特徴的部分の移動速度が大きくなる傾向があることに基づく。
【0011】
さらに、本発明の位置判定装置において、隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路上で最寄りの交差点からの距離が短いほど短くなる傾向に調整されてなる、ものとすることもできる。これは、走行している道路上で最寄りの交差点からの距離が比較的短い場合には車両が交差点を右左折して道路方向に対して斜めに道路に進入してからの移動距離が短い場合が含まれ、こうした場合には風景画像の中の特徴的部分の移動速度(特に車両の旋回方向と逆方向に相当する方向への移動速度)が比較的大きいことに基づく。
【0012】
あるいは、本発明の位置判定装置において、前記マッチング処理は、車載カメラから撮影される風景画像に対して特徴的部分を抽出する所定の画像処理を施して得られる判定用データと前記参照データとの一致の程度が判定用閾値以上のときに一致していると判定し、前記一致の程度が前記判定用閾値未満のときに一致していないと判定することにより行なわれ、前記判定用閾値は、前記調整された隣接する参照データの道路上の間隔が短いほど小さくなる傾向に調整されてなる、ものとすることもできる。こうすれば、隣接する参照データの道路上の間隔が比較的短い場合に、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会をより増やすことができる。ここで、所定の画像処理としては、少なくともエッジ検出処理を含むものなどを用いることができる。
【0013】
この判定用閾値を調整する態様の本発明の位置判定装置において、前記判定用閾値は、車速が大きいほど小さくなる傾向,ハンドル操舵量が大きいほど小さくなる傾向,走行している道路の幅方向において車両位置が道路脇に近いほど小さくなる傾向,走行している道路の幅方向において車両位置が前記参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置より道路脇に近いほど小さくなる傾向のうち少なくともいずれかとなるように調整されてなる、ものとすることもできる。これは、ハンドル操舵量が大きいほど,走行している道路の幅方向において車両位置が道路脇に近いほど,走行している道路の幅方向において車両位置が参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から離れるほど、風景画像の中の特徴的部分の移動速度が大きくなる傾向があることに基づく。
【0014】
本発明のナビゲーション装置は、上述のいずれかの態様の本発明の位置判定装置、即ち、基本的には、道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定する位置判定装置であって、隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる位置判定装置、を備え、該位置判定装置により判定された車両の地図上の位置を用いて目的地への経路案内を行なう、ことを要旨とする。
【0015】
この本発明のナビゲーション装置では、上述のいずれかの態様の本発明の位置判定装置を備えるから、上述の位置判定装置が奏する効果、例えば、車両の地図上の位置をより適正に判定することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0016】
本発明の位置判定方法は、
道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行なうステップと、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定するステップと、を含む位置判定方法であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
ことを特徴とする。
【0017】
この本発明の位置判定方法では、隣接する参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されている。車両が走行している道路の幅員が比較的小さい場合には、風景画像の中の特徴的部分(例えば、道路脇の建物や道路標識といった道路脇の地物など)の移動速度が比較的大きく、参照データと一致する特徴的部分を有する風景画像を撮影可能な時間は短い。したがって、こうした場合には、隣接する参照データの道路上の間隔を短くすることにより、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。この結果、車両の地図上の位置をより適正に判定することができる。
【0018】
本発明のプログラムは、上述した位置判定方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに分担して実行させれば、上述した位置判定方法の各ステップが実現されるため、その位置判定方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例としてのナビゲーション装置20を含むナビゲーションシステム10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】風景画像とのマッチング処理に用いられる参照データを作成する様子の一例を説明する説明図である。
【図3】道路とその幅員Dw,歩道幅Pw,車線幅Lwとの複数の関係の一例を説明する説明図である。
【図4】参照データ間隔設定方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcの一例を示す説明図である。
【図6】参照データ間隔Dを設定するためのパラメータと係数との複数の関係の一例を説明する説明図である。
【図7】車両が交差点を左折して走行する様子の一例を説明する説明図である。
【図8】電子制御ユニット30により実行される自車位置判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図9】判定用閾値Mrefを設定するためのパラメータと係数との複数の関係の一例を説明する説明図である。
【図10】走行車線係数k14の係数設定用マップの例を説明するための説明図である。
【図11】走行車線車係数k15を設定する様子の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の一実施例としてのナビゲーション装置20を含むナビゲーションシステム10の構成の概略を示す構成図である。実施例のナビゲーションシステム10は、図示しない車両(自動車)に搭載された各種センサを中心とする車載装置12と、図示しない車載バッテリからの電力供給を受けて作動するナビゲーション装置20とを備える。実施例のナビゲーション装置20は、図示するように、文字や画像を表示する矩形状の画面を有する例えば液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどとして構成されたディスプレイ22と、ディスプレイ22の画面に取り付けられた例えば抵抗膜方式や静電容量方式などによるタッチパネル24と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット30と、各種アプリケーションソフトウェアや地図データなどを記憶する大容量メモリとしてのハードディスクドライブ(以下、HDDという)40とを備える。
【0022】
電子制御ユニット30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU32の他に各種処理プログラムを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、記憶したデータを保持する不揮発性のフラッシュメモリ38と、図示しない入出力ポートとを備える。電子制御ユニット30には、操作者のタッチ位置を検出するタッチパネル24からの信号やHDD40から読み出したデータの他に、車載装置12からの各種信号が車内ネットワーク経由で入力ポートを介して入力されている。車載装置12からの信号としては、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号をGPSアンテナを介して受信するGPS受信機50からの信号,車両の駆動軸や車輪が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速センサ52からの信号,車両の加速度を検出する加速度センサ54からの信号,車両の進行方位やその変化を検出する例えばジャイロセンサにより構成された方位センサ56からの信号,車両のハンドルの基準位置(進行方向に相当する位置)からの回転量(回転角)をハンドル操舵量として検出する操舵量センサ58からの信号,車両前方に設置されて車両前方の風景画像を動画や静止画として撮影可能なカメラ59からの信号(撮影画像)などがある。電子制御ユニット30からは、ディスプレイ22への表示信号やアンプを内蔵したスピーカ26への音声信号,HDD40に書き込むデータなどが出力ポートを介して出力されている。
【0023】
実施例のナビゲーション装置20では、電子制御ユニット30は、HDD40から必要なアプリケーションソフトウェアや地図データを読み出して各種処理を実行する。例えば、ハードウェア又はソフトウェア或いはその組み合わせにより実現される機能を表す図1の機能ブロックに示すように、電子制御ユニット30は、GPS受信機50からの信号や方位センサ56からの信号などに基づいて車両の現在位置である自車位置を判定するロケーション処理部60によるロケーション処理,地図データを用いてディスプレイ22に地図を表示する地図表示処理部62による地図表示処理,判定された自車位置から目的地への走行ルートを探索して地図表示処理部62による地図表示やスピーカ26からの音声出力によりルート案内を行なうナビゲーション処理部64によるナビゲーション処理,これらの処理に用いられる画像処理部66による各種画像処理などを実行する。なお、地図データは、HDD40の地図データ用データベース(以下、地図データDBという)42に記憶されている。
【0024】
電子制御ユニット30によるロケーション処理では、GPS受信機50からのGPS信号に基づいていわゆるGPS航法により自車位置を算出したり、GPS信号を受信できない場合などに車速センサ52からの車速パルス信号や加速度センサ54からの車両の加速度,方位センサ56からの車両の方位に基づいていわゆる自律航法により自車位置を算出したり、算出された自車位置が地図の道路上から外れた場合などに地図データを用いて自車位置を道路上の位置に補正するいわゆるマップマッチングを行なったりして、自車位置を推定する。さらに、ロケーション処理では、カメラ59により撮影される風景画像と予めHDD40に記憶された複数の参照データとが一致しているか否かを判定する画像認識処理としてのマッチング処理を行ない、マッチング処理により一致していると判定された参照データに関連付けられた地図上の位置を、GPS航法や自律航法などにより推定した自車位置に代えて、正しい自車位置と判定する。ここで、HDD40に記憶された複数の参照データは、実際に走行した車両の車載カメラから道路上で走行方向に間隔をもって撮影された風景画像の特徴点(例えば、道路脇の建物の輪郭,窓枠,看板や道路標識といった道路脇の地物,道路標示など)を抽出して得られるデータであり、風景画像を撮影したときの自車位置などの撮影情報と共に、HDD40の参照データ用データベース(以下、参照データDBという)44に記憶されている。
【0025】
ここで、カメラ59により撮影される風景画像とのマッチング処理に用いられる参照データを作成する方法を説明する。図2は、風景画像とのマッチング処理に用いられる参照データを作成する様子の一例を説明する説明図である。実施例では、図中上部に示すように、参照データ作成用の車両は、道路上で地点毎に予め定められた参照データ間隔Dをもって車載カメラから車両前方の風景画像を撮影しながら走行し、風景画像の撮影時における車両の地図上の位置(緯度及び経度)と車両の方位(道路方向に沿った方位)とを各種センサからの信号などに基づいて正確な情報として取得する。続いて、図中下部左側に示すように、車載された電子制御ユニットにより、撮影された風景画像に対してエッジ検出処理などを施すことにより風景画像の特徴点を抽出して二値化した特徴点画像を作成し、作成した特徴点画像に対して風景画像認識に適した特徴点を強調したり強調した特徴点周辺の特徴点を破棄したりする強調処理や、ノイズ除去処理などを施して、参照データを作成する。また、撮影された風景画像から参照データを作成する際に、特徴点画像に対して道路上の白線や矢印などの道路標示が強調されるよう強調処理を施すことにより、風景画像の撮影時における走行車線の検出を行なう。エッジ検出処理や強調処理,ノイズ除去処理などの周知な画像処理手法については、これ以上詳細な説明は省略する。こうして作成された複数の参照データは、図中中段右側に示すように、実施例の車両に搭載されたナビゲーション装置20のHDD40の参照データDB44に、参照データ毎に撮影時の車両の位置,車両の方位,走行車線(以下、それぞれ撮影位置,撮影方位,撮影時走行車線という)と関連付けられて記憶される。
【0026】
なお、HDD40の地図データDB42には、道路情報や施設情報などが含まれ、道路情報には、例えば各道路の両端のノードが示す地図上の位置(緯度及び経度),各道路の距離,地域(市街地,郊外),種別(一般道路,高速道路),勾配,信号機の数の他に、図2中下部右側に示すように、各道路の幅員Dw,車線数Ln,車線幅Lw,歩道幅Pw,道路形状(直線またはカーブ),曲率半径R,道路種類(一方通行道路,対面通行道路,中央分離帯のある道路等),前述の参照データ間隔Dなどが含まれる。図3は、道路とその幅員Dw,歩道幅Pw,車線幅Lwとの複数の関係の一例を説明する説明図である。図中、左側の(a)は道路種類が対面通行道路で片側3車線の車線数Lnが値6の道路を示し、中央の(b)は道路種類が一方通行道路(例えば高速道路や高架道路などの場合)で車線数Lnが値3の道路を示し、右側の(c)は道路種類が一方通行道路で車線数Lnが値4の道路を示す。図3では、道路の歩道幅Pwは左右両側で等しく車線幅Lwは全て等しいものとして示したが、全ての道路について同一の基準に基づくものであれば、例えば、歩道幅Pwは左右両側歩道幅の平均値として表したり、車線幅Lwは全車線の車線幅の平均値として表すなどとしてもよい。
【0027】
さらに、カメラ59により撮影される風景画像とのマッチング処理に用いられる参照データの道路上の間隔を設定する方法を説明する。図4は、実施例の参照データ間隔設定方法の一例を示すフローチャートである。この方法は、参照データ作成用の車両が風景画像の撮影を伴って走行する前に、前述の参照データDB44と同じデータベースを有する図示しないコンピュータによって参照データ間隔Dを設定する際に適用される。
【0028】
図4の参照データ間隔設定方法では、まず、参照データ間隔Dの設定対象となる道路(以下、対象道路という)の車線数Lnや車線幅Lw,歩道幅Pw,道路形状,曲率半径R,対象道路における最寄りの交差点からの距離Dc,参照データ間隔の初期値D0など設定に必要なデータを入力し(ステップS100)、入力した車線数Ln,車線幅Lw,歩道幅Pwの各パラメータに基づいてそれぞれ初期値D0に乗じるべき車線数係数k1,車線幅係数k2,歩道幅係数k3を設定する(ステップS110)。ここで、対象道路の車線数Lnや車線幅Lw,歩道幅Pw,道路形状,曲率半径R,対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcは、HDD40の地図データDB42から入力することができる。対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcは、実施例では、対象道路の両端のノード間を単位距離毎に分割した複数の地点毎に定めるものとし、他の道路との関係や対象道路の位置,距離に基づいて算出されて地図データDB42に記憶されたものを入力するものとした。図5に対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcの一例を示す。また、参照データ間隔の初期値D0は、実施例では、ロケーション処理により実施例のナビゲーション装置20が備える電子制御ユニット30の演算量が過大にならない範囲内で、対象道路となる多くの道路で正確な自車位置を得ることができる道路上の間隔として、電子制御ユニット30やHDD40の性能などに基づいて予め実験や解析により定められたもの(例えば、数十mなど)を用いるものとした。
【0029】
続いて、対象道路の道路形状を調べ(ステップS120)、道路形状がカーブ形状であるときには、入力した曲率半径Rに基づいて初期値D0に乗じるべき曲率半径係数k4を設定し(ステップS130)、道路形状が直線形状であるときには、曲率半径係数k4に値1を設定する(ステップS140)。さらに、入力した最寄りの交差点からの距離Dcに基づいて初期値D0に乗じるべき交差点距離係数k5を設定し(ステップS150)、初期値D0に車線数係数k1と車線幅係数k2と歩道幅係数k3と曲率半径係数k4と交差点距離係数k5とを乗じたものを参照データ間隔Dに設定して(ステップS160)、設定終了とする。そして、こうした参照データ間隔Dの設定を予め定められた地図上の全ての道路を対象道路として繰り返し行なう。次に、参照データ間隔Dを設定するためのパラメータ(実施例では、車線数Ln,車線幅Lw,歩道幅Pw,曲率半径R,最寄りの交差点からの距離Dc)に基づく各係数の設定について説明する。
【0030】
図6は、参照データ間隔Dを設定するためのパラメータと係数との複数の関係の一例を説明する説明図である。図示するように、対象道路の車線数Lnが少ないほど車線数係数k1が値1を跨いで小さくなり、対象道路の車線幅Lwが狭いほど車線幅係数k2が値1を跨いで小さくなり、対象道路の歩道幅Pwが狭いほど歩道幅係数k3が値1を跨いで小さくなり、カーブ形状の対象道路の曲率半径Rが小さいほど曲率半径係数k4が値1を跨いで小さくなり、対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcが後述する所定距離D1未満の範囲で短いほど交差点距離係数k5が値1未満の範囲で小さくなるように、各パラメータに基づいて各係数が設定される。なお、歩道幅係数k3については、歩道幅Pwが値0で対象道路に歩道がない場合には歩道幅係数k3の予め定められた値1未満の下限値が設定されるものとした。また、交差点距離係数k5については、最寄りの交差点からの距離Dcが所定距離D1以上の場合には値1が設定されるものとした。このように各係数を設定する理由を更に説明する。
【0031】
実施例のナビゲーション装置20が搭載された車両が走行している道路の幅員が比較的小さい場合には、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点の移動速度が比較的大きく、参照データDB44の参照データと一致する特徴点を有する風景画像を撮影可能な時間は極めて短い。言い換えると、こうした場合には、参照データDB44の参照データと一致する特徴点を有する風景画像を撮影可能な道路上の撮影位置の範囲はかなり狭い。このため、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会が少なくなり、本来は参照データと一致していると認識してもよい風景画像であるにも拘わらずそう認識することができない、いわゆる認識漏れが生じてしまう。これに対し、道路の幅員が比較的が小さい場合には隣接する参照データの道路上の間隔Dを短くすれば、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。道路の幅員が比較的小さい場合としては、道路の車線数が少ない場合,車線幅が狭い場合,歩道幅が狭い場合などを考えることができるから、実施例では、対象道路の車線数Lnが少ないほど,車線幅Lwが狭いほど,歩道幅Pwが狭いほど、各係数を小さくなるように設定して参照データ間隔Dを短くすることによって、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。しかも、対象道路の幅員が比較的大きい場合には参照データ間隔Dを長くすることになるから、参照データのデータ量を抑制することができる。
【0032】
また、ナビゲーション装置20が搭載された車両が走行している道路がカーブ形状で曲率半径Rが比較的小さい場合には、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点の移動速度(特に車両の旋回方向と逆方向に相当する方向への移動速度)が比較的大きく、やはり参照データと一致する特徴点を有する風景画像を撮影可能な時間は極めて短い。これに対し、対象道路の曲率半径Rが小さいほど曲率半径係数k4を小さくなるように設定するから、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができ、風景画像の認識漏れを抑制する(認識率を高める)ことができる。さらに、図7に示す車両が交差点を左折して走行する様子の一例から分かるように、車両が交差点を右折または左折して道路に進入するときには、車両は道路方向に対して斜めに道路に進入し、車両がある程度進んでから道路方向と略一致する方向に進むことになる。このため、実施例では、対象道路における最寄りの交差点からの距離Dcが所定距離D1未満の範囲で短いほど交差点距離係数k5を小さくなるように設定するから、マッチング処理により風景画像と参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。したがって、所定距離D1は、交差点を右左折した車両が進入した道路で道路方向と略一致する方向に走行する状態となるまでの距離として予め実験や解析により定められた距離を用いることができる。こうして設定された各係数を初期値D0に乗じて参照データ間隔Dを設定するから、マッチング処理によりカメラ59により撮影される風景画像と参照データとが一致していないと判定され過ぎるのを抑制することができ、自車位置をより適正に判定することができる。
【0033】
次に、こうして構成された実施例のナビゲーション装置20の動作、特に走行中に自車位置を判定する際の動作について説明する。図8は、電子制御ユニット30のロケーション処理部60により画像処理部66と連携して実行される自車位置判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、GPS航法や自律航法などにより推定された自車位置と方位センサ56からの信号などに基づく現在の車両の進行方位(道路方向に沿った方位)とが、それぞれ参照データDB44の参照データの1つに関連付けられた撮影位置と撮影方位とに一致する毎に繰り返し実行される。
【0034】
自車位置判定処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32は、まず、現在推定されている自車位置である推定自車位置,本ルーチンが実行されたときにカメラ59により撮影された風景画像から得られる判定用データ,推定自車位置および現在の車両の進行方位(以下、車両進行方位という)と一致する撮影位置および撮影方位の参照データ,推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置および撮影方位に対応する撮影時走行車線Ls,推定自車位置および車両進行方位に対応する道路種類,推定自車位置での参照データ間隔D,車速センサ52からの信号に基づいて算出される車速V,操舵量センサ58からの信号として得られるハンドル操舵量St,本判定処理に用いられる判定用基準閾値M0など判定に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。
【0035】
ここで、推定自車位置は、実施例では、ロケーション処理部60によりGPS航法や自律航法などにより推定されたものを入力するものとした。判定用データは、図2を用いて説明した風景画像から参照データを作成した際の画像処理手法と同手法を、本ルーチンを実行したときにカメラ59により撮影された風景画像に対して適用することにより作成したものを入力するものとした。参照データと撮影時走行車線Lsとは、それぞれ推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置および撮影方位に対応するものを参照データDB44から入力するものとした。道路種類は、推定自車位置および車両進行方位に対応するものを地図データDB42から入力するものとした。参照データ間隔Dは、図4を用いて説明した参照データ間隔設定方法により対象道路および対象道路内の地点毎に設定されて地図データDB42に道路情報の一部として記憶されたもののうち、推定自車位置に対応するものを入力するものとした。判定用基準閾値M0は、判定用データと参照データとの一致の程度を示す一致率Mrが判定用閾値Mref以上か否かを判定する本ルーチンの処理(即ち、実施例のマッチング処理)における判定用閾値Mrefの基準値であり、判定用データと参照データとが一致していると判定可能な範囲の比較的小さい値として予め実験や解析により定められたものを用いるものとした。
【0036】
こうしてデータを入力すると、図2を用いて説明した参照データを作成する際に走行車線を検出したときの画像処理手法と同手法を、カメラ59により撮影した風景画像から判定用データを作成する際に適用することにより、車両が走行している道路での走行車線Lrを検出し(ステップS210)、検出した走行車線Lrから入力した撮影時走行車線Lsを減じたものの絶対値を走行車線差ΔLとして計算する(ステップS220)。ここで、走行車線Lrは、日本のように自動車が左側通行となる国や地域では、車両が走行している道路が複数車線を有する場合には、最も左側の車線を値1として左側から何番目の車線かを整数で示す値とし、車両が走行している道路が一車線のみを有する場合には、値1とした。なお、参照データDB44の撮影情報としての撮影時走行車線Lsも同様に値1以上の整数とした。
【0037】
続いて、入力した参照データ間隔D,車速V,ハンドル操舵量St,検出した走行車線Lr,計算した走行車線差ΔLの各パラメータに基づいてそれぞれ判定用基準閾値M0に乗じるべき間隔係数k11,車速係数k12,操舵量係数k13,走行車線係数k14,走行車線差係数k15を設定し(ステップS230)、判定用基準閾値M0に間隔係数k11と車速係数k12と操舵量係数k13と走行車線係数k14と走行車線差係数k15とを乗じたものを判定用閾値Mrefに設定する(ステップS240)。ここで、各係数は、実施例では、パラメータと係数との関係を予め定めて係数毎に係数設定用マップとしてROM34に記憶しておき、パラメータが与えられると記憶したマップから対応する係数を導出して設定するものとした。
【0038】
図9に判定用閾値Mrefを設定するためのパラメータと係数との複数の関係の一例を示し、図10に走行車線係数k14の係数設定用マップの例を示し、図11に走行車線車係数k15を設定する様子の例を説明する説明図を示す。図9中、右側は係数設定用マップの一例である。図9に示すように、参照データ間隔Dが短いほど間隔係数k11が値1を跨いで小さくなり、車速Vが大きいほど車速係数k12が値1を跨いで小さくなり、ハンドル操舵量Stが大きいほど操舵量係数k13が値1から小さくなり、走行車線Lrが道路脇に近いほど走行車線係数k14が小さくなり、走行車線差ΔLが大きいほど(走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから離れるほど)走行車線差係数k15が値1から小さくなるように、各パラメータに基づいて各係数が設定される。なお、操舵量係数k13については、ハンドル操舵量Stが値0近傍の不感帯としての所定量以下の範囲では一律に値1が設定されるものとした。また、図10に示すように、走行車線係数k14は、入力した道路種類毎に異なる係数設定用マップが選択されて、選択された係数設定用マップに走行車線Lrを適用することにより設定することができる。例えば、図中左側の(a)の道路(道路種類が対面通行道路で片側3車線の道路)では、走行車線Lrが小さいほど(即ち左側の道路脇に近いほど)値1を跨いで小さくなるように走行車線係数k14が設定され、図中中央の(b)の道路(道路種類が一方通行道路で3車線の道路)や図中右側の(c)の道路(道路種類が一方通行道路で4車線の道路)では、走行車線Lrが中央の車線から離れて左側または右側の道路脇に近いほど値1から小さくなるように走行車線係数k14が設定される。さらに、走行車線差係数k15は、走行車線差ΔLに基づいて設定することにより、図11に示すように、走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから道路幅方向の左側または右側に離れるほど値1から小さくなるように設定される、と言い換えることができる。このように各係数を設定する理由を次に説明する。
【0039】
実施例のナビゲーション装置20が搭載された車両が走行している道路上の参照データ間隔Dが比較的短い場合は、前述したように、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定される機会が少なく、本来は参照データと一致していると認識してもよい風景画像の認識漏れが生じやすい場合である。したがって、参照データ間隔Dが比較的短い場合に間隔係数k11を小さくして判定用閾値Mrefを小さくすることにより、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定されやすくすることができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。また、車速Vやハンドル操舵量Stが比較的大きい場合は、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点の移動速度(ハンドル操舵量Stについては特に車両の旋回方向と逆方向に相当する方向への移動速度)が比較的大きい場合である。したがって、車速Vやハンドル操舵量Stが大きいほど車速係数k12や操舵量係数k13を小さくして判定用閾値Mrefを小さくすることにより、風景画像と参照データとが一致していると判定されやすくすることができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。
【0040】
さらに、走行車線Lrが道路脇に近い場合は、走行している道路の幅方向において車両位置が中央より左側または右側の道路脇に近い場合であり、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点(道路の幅方向中央より左側の道路脇に近い場合には画像左側の特徴点,道路の幅方向中央より右側の道路脇に近い場合には画像右側の特徴点)の移動速度が比較的大きく、やはり風景画像の認識漏れが生じやすい場合である。したがって、走行車線Lrが道路脇に近いほど走行車線係数k14を小さくして判定用閾値Mrefを小さくすることにより、風景画像と参照データとが一致していると判定されやすくすることができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。また、走行車線差ΔLが大きい場合(走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから離れる場合)は、走行している道路の幅方向において車両位置が参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置より離れている側の道路脇に近い場合であり、カメラ59により撮影される風景画像における特徴点(参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から左側に離れる場合には画像左側の特徴点,参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から右側に離れる場合には画像右側の特徴点)の移動速度が比較的大きく、これも風景画像の認識漏れが生じる要因となる。したがって、走行車線差ΔLが小さいほど走行車線差係数k15を小さくして判定用閾値Mrefを小さくすることにより、風景画像と参照データとが一致していると判定されやすくすることができ、風景画像の認識漏れを抑制することができる。
【0041】
こうして判定用閾値Mrefを設定すると、判定用データと参照データとの一致率Mrを計算し(ステップS250)、計算した一致率Mrと判定用閾値Mrefとを比較する(ステップS260)。ここで、一致率Mrは、判定用データと参照データとが一致する程度を表すものであり、例えば、二値化画像として両データ(総画素数と縦横比は同じとする)の対応する画素を比較し、値(値0または値1)が一致する画素数の総画素数に対する割合などとして計算することができる。
【0042】
計算した一致率Mrが判定用閾値Mref未満のときには、判定用データと参照データとは一致していないと判断し、推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置および撮影方位の参照データおよび道路上その前後2つの参照データの合計3つの参照データと、1つの判定用データと、の合計3回の判定処理を行なったか否かを判定する(ステップS270)。合計3回の判定処理を行なっていない場合には、ステップS200に戻り、判定用データについては代えることなく、先にステップS200で入力した推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置の参照データに代えて、この撮影位置の道路上で車両進行方向1つ後の参照データ(1つ先の参照データ)を入力して、ステップS200〜S260の処理を繰り返す。再び、一致率Mrが判定用閾値Mref未満で合計3回の判定処理を行なっていない場合には(ステップS260,S270)、ステップS200に戻り、判定用データについては代えることなく、最初にステップS200で入力した推定自車位置および車両進行方位と一致する撮影位置の参照データに代えて、この撮影位置の道路上で車両進行方向1つ前の参照データを入力して、ステップS200〜S260の処理を繰り返す。
【0043】
こうして一致率Mrが判定用閾値Mref未満との判定結果を繰り返し3回得たときには(ステップS260,S270)、推定自車位置を自車位置と判定して(ステップS280)、自車位置判定処理ルーチンを終了する。一方、こうした処理を3回繰り返している最中に一致率Mrが判定用閾値Mref以上と判定されたときには、そのときに判定用データと一致した参照データに対応する撮影位置を自車位置と判定して(ステップS290)、自車位置判定処理ルーチンを終了する。こうした処理により、ロケーション処理においてGPS航法や自律航法などにより推定された推定自車位置より正確な自車位置を特定することができる。なお、こうして自車位置が特定されると、特定された自車位置を基準としてGPS航法や自律航法などにより次の自車位置の推定が行なわれる。
【0044】
なお、本ルーチンの各ステップの処理は、基本的に電子制御ユニット30のロケーション処理部60により行なわれ、ステップS200の入力処理における判定用データの作成は電子制御ユニット30の画像処理部66により行なわれる。
【0045】
以上説明した実施例のナビゲーション装置20によれば、道路上で走行方向に間隔をもって車載されたカメラ59から撮影された風景画像の特徴点を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する撮影位置と関連付けて参照データDB44に記憶しておき、車載されたカメラ59から撮影される風景画像と複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する撮影位置に基づいて車両の現在位置である自車位置を判定するものにおいて、隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dは、道路の幅員が小さいほど(実施例では、車線数Lnが少ないほど,車線幅Lwが狭いほど,歩道幅Pwが狭いほど)短くなるように調整されてなるから、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。この結果、自車位置をより適正に判定することができる。
【0046】
また、実施例のナビゲーション装置20によれば、隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dは、道路の曲率半径Rが小さいほど,道路上で最寄りの交差点からの距離Dcが短いほど、小さくなるように調整されてなるから、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定される機会を増やすことができる。さらに、判定用データと参照データとの一致率Mrと比較するための判定用閾値Mrefを、調整された隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dが短いほど,車速Vが大きいほど,ハンドル操舵量Stが大きいほど,走行車線Lrが道路脇に近いほど,走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから離れるほど、小さくなるように調整するから、マッチング処理により判定用データと参照データとが一致していると判定されやすくすることができる。この結果、自車位置を更に適正に判定することができる。
【0047】
実施例のナビゲーション装置20では、隣接する参照データの道路上の参照データ間隔Dを、対象道路の車線数Lnが少ないほど,車線幅Lwが狭いほど,歩道幅Pwが狭いほど,対象道路の曲率半径Rが小さいほど,道路上で最寄りの交差点からの距離Dcが短いほど短くなるように調整するものとした、即ち5個のパラメータに基づいて調整するものとしたが、対象道路の車線数Lnと車線幅Lwと歩道幅Pwとに基づく調整に代えてまたは加えて、参照データ間隔Dを、対象道路の幅員Dwが狭いほど短くなるように調整するものとしてもよい。また、参照データ間隔Dを、これら5個のパラメータに道路の幅員Dwを加えた6個のパラメータのうち任意の一部(1個以上)のパラメータのみに基づいて調整するものとしてもよいし、6個のパラメータに加えて他のパラメータにも基づいて調整するものとしてもよい。
【0048】
したがって、例えば、参照データ間隔Dを、対象道路の幅員Dw以外のパラメータに基づいて調整することなく、対象道路の幅員Dwが狭いほど短くなるように調整するものとしてもよい。
【0049】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用データと参照データとの一致率Mrの判定に用いる判定用閾値Mrefは、参照データ間隔Dが短いほど,車速Vが大きいほど,ハンドル操舵量Stがが大きいほど,走行車線Lrが道路脇に近いほど,走行車線差ΔLが大きいほど小さくなるように調整されるものとした、即ち5個のパラメータに基づいて調整されるものとしたが、これら5個のパラメータのうち任意の一部(1個以上)のパラメータのみに基づいて判定用閾値Mrefを調整するものとしてもよい。また、判定用閾値Mrefとして、判定用基準閾値M0をそのまま用いるものとしてもよい。
【0050】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用データと参照データとの一致率Mrの判定に用いる判定用閾値Mrefは、走行車線Lrが道路脇に近いほど小さくなるように調整されるものとしたが、走行している道路の幅方向において車両位置が道路脇に近いほど判定用閾値Mrefを小さく調整すればよいから、走行車線Lrを検出することなく、道路の幅方向にける車両位置を判定用データに対する画像処理により検出してこの検出位置に基づいて判定用閾値Mrefを調整するものとしてもよい。
【0051】
実施例のナビゲーション装置20では、判定用データと参照データとの一致率Mrの判定に用いる判定用閾値Mrefは、走行車線Lrが撮影時走行車線Lsから離れるほど小さくなるように調整されるものとしたが、走行している道路の幅方向において車両位置が参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から離れるほど判定用閾値Mrefを小さく調整すればよいから、走行車線Lrを検出することなく、道路の幅方向における車両位置を判定用データに対する画像処理により検出してこの検出位置に基づいて判定用閾値Mrefを調整するものとしてもよい。
【0052】
実施例では、本発明の位置判定装置をディスプレイ22やHDD40を備えるナビゲーション装置20に適用して説明したが、例えば、ディスプレイを備えるナビゲーション装置と通信可能に接続されたサーバに電子制御ユニット30のロケーション処理部60の機能とロケーション処理に必要な画像処理部66の機能の一部とを行なわせるようにして、このサーバを本発明の位置判定装置として機能させるものとしてもよい。また、ナビゲーション装置20に代えて、デジタルカメラや携帯端末,ドライブレコーダなどの機器を本発明の位置判定装置として機能させるものとしてもよい。この場合、こうした機器を車室内に設置してこの機器が備えるカメラにより撮影される風景画像を用いて自車位置を判定するようにしてもよい。
【0053】
また、実施例では、本発明の位置判定装置をナビゲーション装置20に適用して説明したが、位置判定方法の形態としてもよいし、こうした位置判定方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラムの形態としてもよい。また、こうしたプログラムを記録媒体に記憶させた形態としても構わない。
【0054】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、複数の参照データをHDD40の参照データDB42に記憶しておき車載されたカメラ59から撮影される風景画像と複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行なって一致していると判定された参照データに対応する撮影位置に基づいて自車位置を判定する図7の自車位置判定処理ルーチンを実行する電子制御ユニット30のロケーション処理部60と画像処理部66の一部とが「位置判定装置」に相当する。
【0055】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0056】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ナビゲーション装置や位置判定装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 ナビゲーションシステム、12 車載装置、20 ナビゲーション装置、22 ディスプレイ、24 タッチパネル、26 スピーカ、30 電子制御ユニット、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリ、40 ハードディスクドライブ(HDD)、42 地図データ用データベース(地図データDB)、44 参照データ用データベース(参照データDB)、50 GPS受信機、52 車速センサ、54 加速度センサ、56 方位センサ、58 操舵量センサ、59 カメラ、60 ロケーション処理部、62 地図表示処理部、64 ナビゲーション処理部、66 画像処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定する位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項2】
請求項1記載の位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の曲率半径が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の車線数が少ないほど短くなる傾向,道路の車線幅が狭いほど短くなる傾向,道路の歩道幅が狭いほど短くなる傾向のうち少なくともいずれかとなるように調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路上で最寄りの交差点からの距離が短いほど短くなる傾向に調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の位置判定装置であって、
前記マッチング処理は、車載カメラから撮影される風景画像に対して特徴的部分を抽出する所定の画像処理を施して得られる判定用データと前記参照データとの一致の程度が判定用閾値以上のときに一致していると判定し、前記一致の程度が前記判定用閾値未満のときに一致していないと判定することにより行なわれ、
前記判定用閾値は、前記調整された隣接する参照データの道路上の間隔が短いほど小さくなる傾向に調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項6】
請求項5記載の位置判定装置であって、
前記判定用閾値は、車速が大きいほど小さくなる傾向,ハンドル操舵量が大きいほど小さくなる傾向,走行している道路の幅方向において車両位置が道路脇に近いほど小さくなる傾向,走行している道路の幅方向において車両位置が前記参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から離れるほど小さくなる傾向のうち少なくともいずれかとなるように調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の位置判定装置を備え、該位置判定装置により判定された車両の地図上の位置を用いて目的地への経路案内を行なうナビゲーション装置。
【請求項8】
道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行なうステップと、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定するステップと、を含む位置判定方法であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
位置判定方法。
【請求項9】
請求項8記載の位置判定方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項1】
道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行ない、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定する位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項2】
請求項1記載の位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の曲率半径が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の車線数が少ないほど短くなる傾向,道路の車線幅が狭いほど短くなる傾向,道路の歩道幅が狭いほど短くなる傾向のうち少なくともいずれかとなるように調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の位置判定装置であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路上で最寄りの交差点からの距離が短いほど短くなる傾向に調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の位置判定装置であって、
前記マッチング処理は、車載カメラから撮影される風景画像に対して特徴的部分を抽出する所定の画像処理を施して得られる判定用データと前記参照データとの一致の程度が判定用閾値以上のときに一致していると判定し、前記一致の程度が前記判定用閾値未満のときに一致していないと判定することにより行なわれ、
前記判定用閾値は、前記調整された隣接する参照データの道路上の間隔が短いほど小さくなる傾向に調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項6】
請求項5記載の位置判定装置であって、
前記判定用閾値は、車速が大きいほど小さくなる傾向,ハンドル操舵量が大きいほど小さくなる傾向,走行している道路の幅方向において車両位置が道路脇に近いほど小さくなる傾向,走行している道路の幅方向において車両位置が前記参照データを得た風景画像の撮影時の車両位置から離れるほど小さくなる傾向のうち少なくともいずれかとなるように調整されてなる、
位置判定装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の位置判定装置を備え、該位置判定装置により判定された車両の地図上の位置を用いて目的地への経路案内を行なうナビゲーション装置。
【請求項8】
道路上で走行方向に間隔をもって車載カメラから撮影された風景画像の特徴的部分を抽出して得られる複数の参照データをそれぞれ対応する地図上の位置と関連付けて記憶しておき、車載カメラから撮影される風景画像と前記複数の参照データとが一致しているか否かを判定するマッチング処理を行なうステップと、該マッチング処理により一致していると判定された参照データに対応する地図上の位置に基づいて車両の地図上の位置を判定するステップと、を含む位置判定方法であって、
隣接する前記参照データの道路上の間隔は、道路の幅員が小さいほど短くなる傾向に調整されてなる、
位置判定方法。
【請求項9】
請求項8記載の位置判定方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−32953(P2013−32953A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168805(P2011−168805)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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